JP5530172B2 - 電子部品の内部電極の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品の内部電極の製造方法および電子部品に係り、さらに詳しくは、たとえば積層セラミック圧電素子などの積層電子部品の歩留まり向上を実現できる電子部品の内部電極の製造方法および電子部品に関する。
電子部品の一例としての積層セラミック圧電素子は、誘電体層と内部電極層とが交互に複数配置された積層構造の素子本体と、この素子本体の両端部に形成された一対の外部端子電極とで構成される。
この積層セラミック圧電素子は、まず、誘電体層となるグリーンシートと、内部電極層となる焼成前電極膜と、を交互に積層させて焼成前素子本体を製造し、次に、これを焼成した後、焼成後素子本体の両端部に一対の外部端子電極を形成して製造される。なお、グリーンシートおよび焼成前電極膜は、通常バインダーが含有されている。そのため、焼成前素子本体は、通常、バインダーを除去するために、加熱して脱バインダー処理を行った後に、焼成されることとなる。
即ち、誘電体を含むスラリーを、引き上げスリップ成形、ドクターブレード成形、押出成形などの方法によってグリーンシートを形成し、前記グリーンシート上に、前記内部電極用ペーストを塗布し、その後、乾燥させて前記焼成前電極膜を形成する。前記焼成前電極膜が形成された複数のグリーンシートを積層し、プレス成形した後、加熱して、グリーンシートおよび内部電極膜用ペースト中の有機成分を脱脂する。有機成分は加熱によって分解され気体となってグリーンシート及び前期焼成前内部電極膜から抜ける。
ここで、内部電極中の有機成分は金属粒子の触媒作用によりグリーンシート中の有機成分より低温で気体となって脱脂される。
このとき、前記気体成分が、誘電体を含むまだ脱脂されていないグリーンシートを積層方向と直角方向の成分を有する圧力で押すこととなる。そして、グリーンシートを積層方向に剥離することとなり、グリーシート間に隙間を生じさせて、その後の焼結を困難にする課題があり、クラック及びデラミネーションなどの欠陥の発生を抑制し歩留まりの向上した積層セラミックス電子部品及び膜電子部品を製造することが望まれる。
そこで、基板上の膜又は積層構造体の焼成行程において、膜又は積層の界面に対し垂直方向に遠心力を負荷することにより、加圧焼結を達成し、それにより、膜又は層の界面に水平方向の収縮を大幅に減少させることにより、欠陥の発生を防ぐ焼成方法、接合界面の整合を図ることにより、界面接着力を向上させる焼成方法、該焼成方法を使用して作製された膜又は積層構造体、及び膜状又は積層電子部材が、提供されている(特許文献1)が、装置が大掛かりとなっていた。
従って、まず、電極膜形成における脱バインダー処理時のクラック発生を防止することが望ましい。
特開2005−126255号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、積層セラミック圧電素子などの電子部品を小型化、多層化、および高容量化した場合において、脱バインダー処理時に発生するクラックの抑制された電子部品を製造するための方法を提供することである。
本発明者等は、積層セラミック圧電素子などの電子部品の製造に際して、焼成後に内部電極層を形成することとなる内部電極ペーストの印刷パターンを所定パターンとすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、内部電極層を有する電子部品を製造する方法であって、導電体粉末と共材を含有する粉末成分と、溶媒などの揮発性有機成分と、バインダーや可塑剤などの不揮発性有機成分と、を含有する内部電極用ペースト印刷部のすべての場所から、幅0.1mm以下の非印刷部までの印刷面上の距離を、2mm以下とし、その非印刷部は脱脂前の成型体表面まで繋がっている内部電極印刷パターンとして、誘電体層となるグリーンシートに印刷し、さらに、揮発性溶剤を揮発させて、焼成して、前記内部電極層を形成することになる焼成前電極膜を形成する工程を有することを特徴とする内部電極を有する電子部品の製造方法。
または、内部電極層を有する電子部品を製造する方法であって、導電体粉末と共材を含有する粉末成分と、溶媒などの揮発性有機成分と、バインダーや可塑剤などの不揮発性有機成分と、を含有する内部電極用ペースト印刷部に、近接する内部電極の平均印刷厚よりグリーンシート厚の1/40以上薄く印刷されている部分が存在し、その幅は0.1mm以下であり、内部電極印刷部のすべての場所からの距離が2mm以内となる部分が、脱脂前の成型体表面まで繋がっている内部電極印刷パターンとして、誘電体層となるグリーンシートに印刷し、さらに、揮発性溶剤を揮発させて、焼成して、前記内部電極層を形成することになる焼成前電極膜を形成する工程を有することを特徴とする内部電極を有する電子部品の製造方法。
ここで、揮発性成分とは、45℃の温度で15分間で揮発する成分と定義する。印刷後、脱脂前の予備加熱に相当する加熱で飛散する成分だからである。内部電極用ペースト印刷部から、非印刷部までの距離を、2mm以下とする内部電極印刷パターンとし、所定の工程を経たとき、焼成後における内部電極層の脱脂によるデラミネーション防止効果を増大させることができる。
通常前記内部電極用ペーストに使用される粉末は、共材としてグリーンシートに含まれる無機酸化物と同じ若しくは近い成分の粉末が含まれている。このとき、前記内部電極用ペーストが、平均粒子径が0.05〜0.6μmの範囲にある導電体粉末と、平均粒子径が0.002〜0.6μmの範囲にある無機酸化物粉末を共材として含有し、前記無機酸化物粉末の含有量を、前記導電体粉末100重量部に対して、5〜40重量部の範囲とする。このような無機酸化物粉末は、内部電極層とセラミックス層の焼成収縮の差を緩和し、また、内部電極層とセラミックス層の密着強度を高くするために添加される。
本発明の内部電極の製造方法において、前記電子部品は、前記内部電極層と誘電体層が交互に積層されている。内部電極層と誘電体層を交互に積層するには、焼成後に内部電極層となる焼成前電極膜、焼成後に誘電体層となるグリーンシートを、次のように形成する。
すなわち、誘電体を含むスラリーを、引き上げスリップ成形、ドクターブレード成形、押出成形などの方法によってグリーンシートを形成し、前記グリーンシート上に、前記内部電極用ペーストを塗布し、その後、乾燥させて前記焼成前電極膜を形成する。前期焼成前電極膜が形成された複数のグリーンシートを積層、圧着して焼成前の積層体を得る。前記内部電極用ペーストの塗布方法は、たとえば、印刷法、などにより塗布しても良い。
電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミック圧電素子、コンデンサ、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
非印刷部までの距離を、2mm以下とする内部電極印刷パターンとして、誘電体層となるグリーンシートに印刷することにより、脱脂時に内部電極から発生するガスが抜けるパスが短くなり、内部電極から発生するガスによるデラミネーションが発生しにくくすることができる。2mmより非印刷部までの距離が遠いと、内部電極から発生するガスが内部電極とシート間を押し広げデラミネーションが発生しやすくなる。
また、内部電極用ペースト印刷部から、非印刷部もしくは、幅0.1mm以下の内部電極印刷部より、グリーンシートの1/30以上薄く印刷される部分までの距離を、2mm以下とする内部電極印刷パターンする。これは、幅0.1mm以内でグリーンシートの1/30以上薄い印刷部は積層されるシートと密着せず、空間が形成される。このため、脱脂時に内部電極から発生するガスが抜けるパスができ、内部電極から発生するガスによるデラミネーションが発生しにくくなる。幅が0.1mm以上の場合、または薄く印刷されている部分の印刷厚が周囲の印刷厚より、グリーンシートの1/30未満で薄い場合、シートの可塑性によって薄く印刷されている部分が埋まりやすく、空間が形成されにくくなるからである。
本発明によると、積層セラミック圧電素子などの電子部品を製造する際に、焼成後に内部電極層を形成することとなる焼成前電極膜に、連続空隙が生ずるため、焼成におけるバインダーの脱脂段階で、ガス化したバインダーの通り道が、焼成前電極膜に形成できる。そこで、電子部品を薄層化した場合においても、焼成後の内部電極層の電極面積を広くしても、脱バインダー処理時におけるクラックの発生等によるデラミネーションの防止された電極構造を有する電子部品を提供することができる。
本願発明に用いる内部電極の脱脂前後のグリーンシートの変形を示す模式図である。 本願発明に係る内部電極印刷パターンを図示する平面図である。 本願発明に係る別の内部電極印刷パターンを図示する平面図である。 従来の印刷パターンを図示する平面図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミック圧電素子の断面図であり、内部電極の脱脂前後のグリーンシートの変形を示す模式図である
まず、本発明に係る方法により製造される電子部品の一実施形態として、積層セラミック圧電素子の全体構成について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミック圧電素子のグリーンシートの積層体は、圧電素子部10と、外部電極に接続するために積層体の一方の端面に、端部を有する内部電極層20を交互に積層した。
本実施形態では、内部電極層は、後で詳細に説明するように、グリーンシート上に、焼成後に内部電極層を形成することとなる焼成前電極膜を所定のパターンで形成することにより、製造される。
誘電体層10の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸ジルコン酸鉛などが用いられる。
外部電極の材質も特に限定されないが、通常、銅や銅合金、銀や銀とパラジウムの合金などが用いられる。端子電極の厚みも特に限定されないが、通常3〜30μm程度である。
積層セラミック圧電素子2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。積層セラミック圧電素子2が直方体形状の場合は、通常、縦(2〜10mm)×横(2〜10mm)×厚み(3〜20mm)程度である。
次に、本実施形態に係る積層セラミック圧電素子の内部電極の製造方法の一例を説明する。まず、焼成後に図1に示す誘電体層10を構成することになるセラミックグリーンシートを製造するために、誘電体スラリーを準備する。誘電体スラリーは、通常、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系スラリー、または水系スラリーで構成される。
セラミック粉末としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。セラミック粉末は、通常、平均粒子径が1μm以下、好ましくは0.5μm以下の粉末として用いられる。
有機ビヒクルとは、バインダーを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いられるバインダーとしては、特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などの通常の各種バインダーが例示される。
また、有機ビヒクルに用いられる有機溶剤も特に限定されず、アルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ステアリン酸ブチル、ターピネオール、ブチルカルビトール、イソボニルアセテートなどの通常の有機溶剤が例示される。
また、水系スラリーにおけるビヒクルは、水に水溶性バインダーを溶解させたものである。水溶性バインダーとしては特に限定されず、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性アクリル樹脂、酢酸ビニルエマルジョンなどが用いられる。誘電体ペースト中の各成分の含有量は特に限定されず、通常の含有量、たとえばバインダーは1〜10質量%程度、溶剤(または水)は10〜50質量%程度とすればよい。
誘電体スラリー中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、ガラスフリット、帯電助剤、消泡剤などから選択される添加物が含有されても良い。ただし、これらの総含有量は、10質量%以下とすることが望ましい。可塑剤としては、フタル酸ジオクチルやフタル酸ベンジルブチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。例えば、バインダー樹脂として、ブチラール系樹脂を用いる場合には、可塑剤の量は、ブチラール系樹脂の量を超えない範囲で、任意に選択することができるが、可塑剤が少なすぎると、グリーンシートが脆くなる傾向にあり、多すぎると、可塑剤が滲み出し、取り扱いが困難となることがある。
そして、この誘電体スラリーを用いて、ドクターブレード法により、図1(A)に示すように、キャリアシート上に、80μm程度の厚みで、グリーンシートを形成する。グリーンシートをこのような厚みで形成することにより、焼成後の誘電体層の厚みを、60μm程度にすることができる。
グリーンシート10は、キャリアシート上に形成された後に乾燥される。グリーンシートの乾燥温度は、好ましくは50〜150℃であり、乾燥時間は、好ましくは1〜20分である。乾燥後のグリーンシートの厚みは、乾燥前に比較して、5〜25%の厚みに収縮する。
キャリアシートとしては、たとえばPETフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、シリコンなどがコーティングしてあるものが好ましい。これらのキャリアシートの厚みは、特に限定されないが、好ましくは、5〜100μmである。
次いで、形成したグリーンシートの表面に、所定パターンの焼成前電極膜20を形成し、焼成前電極膜の厚みは、5μm以下とすることが好ましく、より好ましくは3〜4μm程度とする。焼成前電極膜20をこのような厚みで形成することにより、焼成後の内部電極層20の厚みを、所望の厚みとすることができる。
焼成前電極膜20は、内部電極用ペーストを用いる印刷法などの厚膜形成方法により、グリーンシート10の表面に形成することが好ましい。厚膜法の1種であるスクリーン印刷法により、グリーンシート10の表面に焼成前電極膜20を形成する場合には、次のようにして行う。
まず、内部電極用ペーストを準備する。内部電極用ペーストは、導電体粉末と、共材としての無機酸化物粉末と、有機ビヒクルと、を混練して調製する。
導電体粉末としては、特に限定されないが、銀、パラジウムもしくは銅および銅合金から選ばれる少なくとも1種で構成してあることが好ましい
このような導電体粉末は、球状、リン片状等、その形状に特に制限はなく、また、これらの形状のものが混合したものであってもよい。導電体粉末としては、平均粒子径が、0.1〜1μmのものを使用する。平均粒子の大きな導電体粉末を使用すると、焼成前電極膜20の厚みの薄層化が困難となり、結果として、焼成後の内部電極層20の薄層化が困難となる。一方、平均粒子径の小さな導電体粉末を使用すると、適正な粘性をもつペーストが得られなくなる。
内部電極用ペースト中には、無機酸化物粉末が共材として含まれている。このような無機酸化物粉末としては、上述のグリーンシートに含まれるセラミック粉末と同じ組成のセラミック粉末が好ましい。共材は、焼成過程において導電体粉末の焼結を抑制する作用を奏する。共材として用いる無機酸化物粉末としては、平均粒子径が、0.1〜1μmのものを使用する。
共材としての無機酸化物粉末の内部電極用ペースト中における含有量は、導電体粉末100重量部に対して、好ましくは5〜40重量部、より好ましくは5〜30重量部とする。共材の含有量が少なすぎると、内部電極の焼結が低温から始まってしまい、内部電極層と誘電体層10との焼結温度の差が大きくなるため、焼成クラックが発生してしまう。多すぎると内部電極の導電性が低下し特性が低下する。
有機ビヒクルは、バインダーと溶剤とを含有する。バインダーとしては、特に限定されず、エチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体などが例示されるが、これらのなかでも、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールを用いることが好ましい。
溶剤としては、特に限定されず、ターピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン、アセトン、イソボニルアセテートなどが例示されるが、本実施形態では特にターピネオール、ジヒドロターピネオール、ターピネオールアセテートまたはジヒドロターピネオールアセテートを用いる。溶剤は、内部電極用ペースト中に、好ましくは20〜60重量%、より好ましくは25〜55重量%で含まれる。
内部電極用ペーストには、グリーンシートとの接着性を改善する目的で、可塑剤または粘着剤が含まれることが好ましい。可塑剤としては、フタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。可塑剤は、有機ビヒクル中のバインダー100重量部に対して、好ましくは10〜300重量部、より好ましくは50〜250重量部で含有される。可塑剤の含有量が少なすぎると添加効果がなく、多すぎると形成される焼成前電極膜20の強度が著しく低下し、しかも焼成前電極膜から過剰な可塑剤が滲み出す傾向がある。
さらに、内部電極用ペーストには、導電体粉末および共材の分散性の向上と塗料の安定性(経時変化)を改善する目的で、分散剤が含まれていることが好ましい。分散剤としては、特に限定されないが、ポリエチレングリコール系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤、多価アルコール部分エステル系分散剤、エステル系分散剤、エーテル系分散剤などが例示される。その他、ブロックポリマー型分散剤やグラフトポリマー型分散剤もある。分散剤は、導電体粉末と共材粉末の合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部で含有される。分散剤の含有量が少なすぎると、添加効果が不十分となり、多すぎるとミセル形成や再凝集による分散性低下の不都合を生じることがある。
内部電極用ペーストは、上記各成分を、ボールミルや3本ロールミルなどで混合し、スラリー化することにより形成することができる。
そして、この内部電極を誘電体層となるグリーンシートに印刷法により塗布し、その後、乾燥することにより焼成前電極を得た。
本実施形態の焼成前電極膜20は、図2に示すような平面パターンとした。
なお、従来においては、塗布・乾燥後の焼成前電極膜20を図4に示すような平面パターンとしていた。
しかしながら、このような構造とした場合においては、脱バインダー処理時に発生するバインダー分解ガスの抜け道を確保することが困難となり、結果として、クラック(脱バイクラック)が発生するという問題があった。
これに対して、本実施形態では、焼成前電極膜20のパターンを上記所定のものとすると、これらの問題を有効に解決することができた。
本実施形態において、焼成前電極膜20のパターンを、図2の通り、非印刷部までの距離を、2mm以下とする内部電極印刷パターンとして、誘電体層となるグリーンシートに印刷することにより、脱脂時に内部電極から発生するガスが抜けるパスが短くなり、内部電極から発生するガスによるデラミネーションが発生しにくくすることができた。2mmより非印刷部までの距離が遠いと、内部電極から発生するガスが内部電極とシート間を押し広げデラミネーションが発生しやすくなる。図2から図4までの図中の数字は、寸法(単位:mm)である。
また、図3の通り、内部電極用ペースト印刷部から、非印刷部もしくは、幅0.1mm以下の内部電極印刷部より、シートの1/30以上薄く印刷される部分までの距離を、2mm以下とする内部電極印刷パターンした。これは、幅0.1mm以内で2μm以上薄い印刷部は積層されるシートと密着せず、空間が形成される。このため、脱脂時に内部電極から発生するガスが抜けるパスができ、内部電極から発生するガスによるデラミネーションが発生しにくくなった。
次いで、プレス後の積層体を所定サイズに切断して、グリーンチップとし、その後、このグリーンチップについて、脱バインダー処理を施した。
本実施形態においては、脱バインダー処理後におけるグリーンチップ中の焼成前電極となるように、脱バインダー処理を行う。次いで、脱バインダー処理を行ったグリーンチップについて、焼成および熱処理を施した。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。たとえば、本発明の方法は、積層セラミック圧電素子の製造方法に限らず、その他の電子部品の製造方法としても適用することが可能である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実験例
以下に示す誘電体スラリー、内部電極用ペーストを調製した。
誘電体スラリーはまず、チタン酸ジルコン酸鉛粉末100重量部に対し、水20重量部、分散剤2重量部、消泡剤0.2重量部を秤量し、ボールミルで16h混合した。その後、アクリル系バインダーを固形分比10重量部添加しさらに4h混合した。得られたスラリーは真空中で攪拌しながら熟成した。
次いで、得られた誘電体スラリーをドクターブレード法によりシート成型して、誘電体グリーンシートを得た。得られたシート厚みは約65μmであった。
内部電極用ペースト材料は、導電体粉末として、銀とパラジウムの重量比が7:3の共沈粉末を使用した。共材には前記誘電体スラリーで使用したチタン酸ジルコン酸鉛を用いた。バインダーはエチルセルロース、可塑剤にフタル酸ジオクチルを使用した。また、溶剤としてブチルカルビトールを用いた。
試作に使用した配合は、前記銀パラジウム共沈粉100重量部に対し、共材のチタン酸ジルコン酸鉛粉末15重量部、エチルセルロース6.5重量部、フタル酸ジオクチル12.5重量部、ブチルカルビトール40ないし45重量部とした。
表1に、実験に用いた電極ペーストの電極粉末等の種類、調合組成、体積等、を示した。
次に、あらかじめ上記配合でブチルカルビトールに溶解させておいたエチルセルロースに、上記にて準備した原料を時計皿上で混合し、さらに3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極用ペーストを得た。
次に誘電体グリーンシート上にスクリーン印刷法を用いて、内部電極ペーストを印刷した。その後乾燥して焼成前内部電極を得た。得られた焼成前内部電極の厚みは約4μmであった。図4は比較例の電極パターンを、図2は実施例1の電極パターンを、図3は実施例2の電極パターンを示した。実施例1は内部電極パターンの中心から放射線状に幅0.1mmの非印刷部を設けたものである。実施例2は、スクリーン印刷のマスク上で0.05mmの非印刷部を設けて印刷している。
このとき、内部電極ペーストにはブチルカルビトール45重量部のものを使用している。ブチルカルビトール40重量部のものに比べて粘度が低く印刷の縁にダレが生じ非印刷部が繋がった状態になった。ダレによって内部電極ペーストが塗布された非印刷部の焼成前内部電極の厚みは約2μmであり、印刷部に比べて2μm(シートに比べて約1/30)薄くなった。
こうして得られた焼成前内部電極つき誘電体グリーンシートを170枚積層し、その上下に内部電極を印刷していないグリーンシートを25枚ずつ加え、熱プレスにて加熱圧着して、積層体を得た。得られた積層体は所定の大きさに切断した。このようにして得られた各サンプルのサイズは、9mm×9mm×14mmであり、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は169、その厚さは50μmであり、内部電極層の厚さは3μmであった。
作製した圧着体の断面を観察したところ、実施例1の幅0.1mmの非印刷部および実施例2のダレによって内部電極ペーストが塗布された非印刷部は、シートが密着せず、空間が形成されていることが確認された。
脱バインダーは、昇温速度:5℃/時間、保持温度:500℃、保持時間:5時間、雰囲気ガス:大気、で行った。次いで、得られた各圧電素子サンプルについて、脱バインダー時のクラック発生率を評価した。
脱バインダー時に発生するクラックは、図1(A)に示すに、積層体の積層面に沿って入ることが特徴である。
脱バインダー時にクラックが発生する割合は、実施例1が3%、実施例2が0%、比較例1が50%となった。
焼成におけるバインダーの脱脂段階で、ガス化したバインダーの通り道が、焼成前電極膜に形成できる。そこで、電子部品を薄層化した場合においても、焼成後の内部電極層の電極面積を広くしても、脱バインダー処理時におけるクラックの発生等によるデラミネーションの防止された電極構造を有する電子部品を提供することができる。
10:圧電素子部又は、そのグリーンシート
20:内部電極層の印刷層

Claims (2)

  1. 内部電極層を有する電子部品を製造する方法であって、
    導電体粉末と共材を含有する粉末成分と、溶媒などの揮発性有機成分と、バインダーや可塑剤などの不揮発性有機成分と、を含有する内部電極用ペースト誘電体層となるグリーンシートに印刷部および非印刷部を有する印刷パターンにより印刷する工程と
    前記グリーンシートを積層して脱バインダー処理を行うことで揮発性溶剤を揮発させ、焼成して、前記内部電極層を形成することになる焼成前電極膜を形成する工程と、を有し、
    前記内部電極用ペーストの印刷面上には、前記非印刷部が前記印刷面の中心から放射状に形成され、脱脂前の成型体表面まで繋がっており、前記印刷部のいずれの場所からでも前記非印刷部までの印刷面上の距離が2mm以下であり、前記非印刷部は印刷後にシート厚の1/30以上の厚さ分薄く形成された電極となることを特徴とする内部電極を有する電子部品の製造方法。
  2. 内部電極層を有する電子部品を製造する方法であって、
    導電体粉末と共材を含有する粉末成分と、溶媒などの揮発性有機成分と、バインダーや可塑剤などの不揮発性有機成分と、を含有する内部電極用ペースト誘電体層となるグリーンシートに印刷部および非印刷部を有する印刷パターンにより印刷する工程と
    前記グリーンシートを積層して脱バインダー処理を行うことで揮発性溶剤を揮発させ、焼成して、前記内部電極層を形成することになる焼成前電極膜を形成する工程と、を有し、
    前記内部電極用ペーストの印刷面上には、前記非印刷部が碁盤の目状に形成され、脱脂前の成型体表面まで繋がっており、前記印刷部のいずれの場所からでも前記非印刷部までの印刷面上の距離が2mm以下であり、前記非印刷部は印刷後にシート厚の1/30以上の厚さ分薄く形成された電極となることを特徴とする内部電極を有する電子部品の製造方法。
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