(第1の実施形態)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明にかかる古紙処理装置の構成概略図である。図1において、古紙再生処理装置100は、再生パルプ製造部1、脱墨パルプ部2、抄紙部3、仕上げ部4、排水処理部5を一体的に備えるものである。再生パルプ製造部1は、古紙原料6を離解して再生パルプを製造するものであり、脱墨パルプ部2は、再生パルプ製造部1において製造された再生パルプを脱墨するものであり、抄紙部3は、脱墨部2において得られた脱墨パルプを抄紙し、抄紙により得られた湿紙の乾燥を行うものであり、仕上げ部4は、抄紙部3において湿紙の乾燥を行ったものを裁断等することにより仕上げを行って再生紙7を得るものである。
(再生パルプ製造部)
図2は、再生パルプ製造部1の構成概略図である。再生パルプ製造部1は、古紙原料6を離解して再生パルプを製造するものであり、再生パルプ製造装置Kにより構成される。図2に示すように、再生パルプ製造装置Kは、古紙原料供給部9、計測部17、パルパー18、制御部(図示省略)を備えている。
古紙原料6としては、所定サイズ以上の大きさを有する古紙原料6である粗紙66と、所定サイズより小さいサイズの古紙原料6である細断紙67との双方を処理可能である。粗紙66にはA4、B5等といった定型紙が含まれ、更に、正方形等の定型紙以外の古紙原料6も含まれる。また、細断紙67にはシュレッダー等の切断機器によって所定サイズより小さいサイズに切断された古紙原料6が含まれ、更に、本実施形態には含まれないが、切断機器により切断を行っていない古紙原料6を利用することも可能である。
古紙原料供給部9は、粗紙66を供給する粗紙供給部11と、細断紙67を供給する細断紙供給部12とを備えている。粗紙供給部11には、粗紙66を載置する粗紙載置台111と、粗紙載置台111を昇降する昇降手段(図示省略)と、粗紙載置台111上に載置された複数の粗紙66のうち最上位の粗紙66を計測部17へと搬送する給紙ローラ112と、粗紙載置台111が最下位置にある状態または他の所定の位置において該粗紙載置台111上に所定量の粗紙66が載置されているか否かを検知する粗紙量検知手段114とを設けている。粗紙量検知手段114はロードセル、光センサ等により構成される。
細断紙供給部12には、細断紙67を貯留するシュレッダータンク121を設けており、該シュレッダータンク121の底部には細断紙67の排出口122が形成されている。排出口122には、図2において二点鎖線で示すように揺動することで開閉自在に構成された開閉部材124を設けており、開閉部材124の上方には、開閉部材124の開放時にシュレッダータンク121内の細断紙67を下方に排出する排出装置125を備えている。排出装置125の構成は、細断紙67を下方に排出可能であればよく、特に限定されないが、図2では一対の回転体127を示しており、該回転体127は、双方の回転体127の間に細断紙67を挟持し、回転することで細断紙67を下方に排出するようになっている。
計測部17は、粗紙供給部11及び細断紙供給部12より供給された古紙原料6の重量を計測するものである。計測部17は、排出口122の下方、且つ、給紙ローラ112による粗紙66の搬送方向下流側のやや低い位置に配設してある。計測部17は、粗紙66および細断紙67を受け止める受皿171を備えている。
受皿171は、一回のバッチ式離解処理において処理を行う古紙原料6の全量を載置可能であってもよいが、古紙原料6の全量のうちの一部を載置可能な大きさとしてもよい。即ち、例えば、一回のバッチ式離解処置で古紙原料6を700g処理するとした場合に、該700gのうちの一部である100gを載置可能な程度の大きさとし、7回の計測及び計測した古紙原料6のパルパー18への投入を繰り返し行うことで、合計700gの古紙原料6を計測するよう構成してもよい。
同様に、計測部17において計測可能な重量に関しても、一回のバッチ式離解処理において処理を行う古紙原料6の全量を計測可能な計測機器を使用してもよいが、古紙原料6の全量のうちの一部のみを計測可能とする小型の計測器を用い、複数回に分割した場合にのみ全量を計測可能な構成としてもよい。
受皿171は、図2において二点鎖線で示すように、水平姿勢からパルパー18へ向けて傾倒する傾倒姿勢にまで傾倒可能に構成され、受皿171を傾動させるモータ等の駆動手段(図示省略)を有する。また、受皿171は傾倒姿勢において、低位置となる側には側壁を設けておらず、受皿171を傾倒するのみで古紙原料6をパルパー18へ投下可能となっている。
パルパー18は、計測部17より投入された古紙原料6を水及び離解促進剤の液体中において、繊維、つまり再生パルプにまで離解するものであり、攪拌槽181、給水部182、離解促進剤供給部183、攪拌手段189を備えている。攪拌槽181は、給水部182から供給された水及び古紙原料6を含む液体を貯留可能な大きさを有する。
給水部182は、水道水等の上水の供給部(図示省略)、及び後述する排液処理部5の白水タンク54に接続され、これら上水または白水タンク54内に貯留する抄紙部3で抄紙することで生じた白水のうち、いずれかの水を攪拌槽181に供給するようになっている。該給水部182は、攪拌槽181の内壁面上部に複数設けられており、給水部182には、前記水を攪拌槽181の内壁面に向けて放出する放出部10を備えている。
放出部10の構成は、前記水を攪拌槽181の内壁面に向けて放出可能であれば、特に限定されないが、図3には、その一例として、放出部10を含む給水部182の拡大斜視図を示している。図3に示す給水部182は、放出部本体15及び下部が屈曲した当て板14を備えており、この放出部本体15及び当て板14は攪拌槽181の内壁面に螺子25により螺着される。
放出部本体15には、攪拌槽181の内壁面に貫通して形成された給水用孔部51に位置合わせして、給水用孔16を設けており、配管52の端部が給水用孔16に螺合することで放出部本体15を攪拌槽181の内壁面に固定している。放出部本体15の給水用孔16に対向する側面は開放しており、当て板14によりこの開放した側面が閉塞されている。放出部本体15の内部には、配管54からの水が流通する空間部13が形成されている。
放出部本体15の底部には、空間部13を流通した水を放出するための放出部10が開口して形成され、屈曲した当て板14の下部により、放出部10から放出された水を攪拌槽181の内壁面に案内し、配管54から空間部13に所定の流速で水が供給されることで、内壁面の広い範囲に放出部10から放出された水が広がりつつ内壁面を伝って下方へと流下し、これにより攪拌槽181の内壁面に付着した細断紙67、粗紙66、離解により得られた再生パルプ、離解促進剤等を洗浄するようになっている。
図2に示すように、離解促進剤供給部183は、攪拌槽181の上方に設けられている。離解促進剤供給部183から供給される離解促進剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、水酸化カリウム、亜硫酸ナトリウムなどのアルカリ類から選ばれる1種以上若しくはその水溶液等を用いることができ、更に、スルファミン酸、塩酸、硫酸、リン酸、硫酸アルミニウムなどの酸類、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素などの酸化剤、界面活性剤、漂白剤、PH安定剤、キレート剤、分散剤などを補助的に用いることもできる。
攪拌手段189は、攪拌槽181の底部に設けられ、古紙原料6を給水部182から給水された水とともに攪拌し離解するための攪拌羽根184と、前記攪拌羽根184を回転駆動するモータ等の駆動手段188とを備えている。
また、図示は省略するが、攪拌槽181には、該攪拌槽181内に貯留する液体を所定温度まで加温するためのヒータおよび温度センサを設けてある。
更に、攪拌槽181の底部には、パルパー18にて古紙原料6を離解することにより製造された再生パルプ、水等を含有する再生パルプ含有液を取り出す再生パルプ含有液取出部187を設けている。再生パルプ含有液取出部187は、開閉弁208a及びポンプ209aを備えた配管207aに接続されており、再生パルプ含有液取出部187からポンプ209aにより取り出した再生パルプ含有液を脱墨部2又は抄紙部3へ送るようになっている。
制御部は、古紙再生処理装置100全体の動作を制御する制御部(図示省略)の一部として構成され、制御部は、攪拌槽181に粗紙供給部11から粗紙66を供給した場合には、細断紙供給部12から細断紙67を供給した場合に比較して、攪拌羽根184の回転数を所定の回転数まで上昇させるまでの時間を長くするよう制御する。一方、粗紙66を攪拌槽181に投入した場合には、細断紙67を投入した場合よりも攪拌羽根184の回転数を所定の回転数まで上昇させるまでの時間を長くするよう制御するとともに、モータの回動を正回転と逆回転とを繰り返すよう制御する。
更に、制御部は、細断紙供給部12及び粗紙供給部11から一回のバッチ式離解処理において処理を行う古紙原料6の一部となる所定量ずつの古紙原料6を複数回に亘って徐々に供給するよう開閉部材124、排出装置125、給紙ローラ112及び受皿171を傾倒する駆動手段を制御する。また、給水部182からの離解用の水を所定量ずつ徐々に攪拌槽181に供給するよう制御する。
また、制御部は、細断紙67及び粗紙66の双方を古紙原料6として離解処理を行う場合には、いずれかから処理を行うよう制御してもよいが、まず細断紙供給部12からの細断紙67を離解処理するよう制御し、その後粗紙供給部11からの粗紙66を攪拌槽181に投入して離解処理するよう制御を行うことが好ましい。
(脱墨パルプ部)
図1に示すように、 脱墨パルプ部2は、脱墨前希釈部21及び脱墨部22を備え、各部の間には配管、ポンプ等からなる移送部(図示省略)を設けている。
脱墨前希釈部21は、再生パルプ製造装置Kから送られた再生パルプ含有液を脱墨に適した繊維濃度に希釈するものであり、希釈用水および脱墨剤としての界面活性剤等を投入する希釈液供給部(図示省略)を備えている。
尚、脱墨部22による脱墨処理は省略することも可能であり、脱墨処理を省略する場合には、再生パルプ製造装置Kから送られた再生パルプ含有液を、脱墨前希釈部21で抄紙に適する繊維濃度に希釈する。
図4(a)に脱墨部22の平面図を、同図(b)に図4(a)のA−A線矢視断面図を示す。脱墨部22は、フローテータと呼ばれ、インク成分、トナー成分等の印刷成分を再生パルプ含有液から分離して脱墨パルプを製造するためのものであり、再生パルプ含有液流通槽221、ブレード222及び気泡排出槽223を備えている。
再生パルプ含有液流通槽221は、脱墨前希釈部21で希釈液の供給により所定濃度に調整された再生パルプ含有液を流通させるものである。再生パルプ含有液流通槽221内は、複数の仕切壁224により複数の脱墨室225に区画されており、図4(b)に示すように、仕切り壁224の左方または右方が交互に開口することで全ての脱墨室225は連通している。
各脱墨室225の底部には、再生パルプ含有液流通槽221内を流通する再生パルプ含有液中に、微細な気泡を供給するための気泡供給部226を設けるとともに、各仕切り壁224の双方の面の高さ方向略中央部に温度センサ227と、ヒータ228とをそれぞれ配置している。また、再生パルプ含有液を再生パルプ含有液流通槽221内に流入させる流入部229aと、脱墨処理後生じた脱墨パルプを含有する脱墨パルプ含有液を再生パルプ含有液流通槽221外に流出させる流出部229bとを設けている。
ブレード222は、再生パルプ含有液流通槽221の上部を浮遊する気泡を、再生パルプ含有液流通槽221の周壁を溢流させ気泡排出槽223側へ掃き出すためのものであり、再生パルプ含有液流通槽221の上方に設けられ、モータ222aの駆動によりガイドレール222bに案内されつつ往復移動するよう構成されている。
図4(a)に示すように、気泡排出槽223は、再生パルプ含有液流通槽221の外周を取り囲むよう平面視ロ字状に設けられ、脱墨の際再生パルプ含有液流通槽221内で生じ、ブレード222により掃き出された気泡を一旦貯留するようになっている。気泡排出槽223には、気泡排出槽223内及びブレード222等に付着した気泡を洗い流すための水などの洗浄液を噴出する洗浄液噴出部223aを設けている。洗浄液噴出部223aは、気泡排出槽内の壁面の上段部及び中段部の全周に亘って複数配備されている。
更に、気泡排出槽223は、生じた気泡を消滅させるための消泡部(図示省略)を備えていることが好ましい。消泡部は気泡を消滅させることができればその構造は限定されないが、例えば、温風や熱風を供給する風供給部(図示省略)等が挙げられ、風供給部から気泡に温風又は熱風を吹き付けて気泡の水分を吹き飛ばすことで気泡を消滅させる。かかる風供給部を設ける場合には、風供給部からの温風や熱風を水分含有量の低い乾燥した温風又は熱風とすることがより好ましい。これにより、気泡の水分をより容易に吹き飛ばすことができるからである。
気泡排出槽223の底部には、該気泡排出槽223内に貯留する洗浄液噴出部223aからの洗浄液及び気泡の消滅により生じた液等を含む脱墨排水を取り出す脱墨排水取出部75を設けており、脱墨排水取出部75から取り出した脱墨排水は、脱墨排水タンク53に送られるようになっている。
(抄紙部)
図5は、抄紙部3及び仕上部4のカレンダー部41の概略斜視図である。抄紙部3は、脱墨部22による脱墨の終了した脱墨パルプ含有液、または脱墨処理を省略した場合には、脱墨前希釈部21で所定濃度に希釈された再生パルプ含有液を抄紙するものであり、抄紙装置Sにより構成される。図5に示すように、抄紙部3は、ヘッドボックス31、ワイヤー部32、脱水部33、ドライヤー部34からなる。
ヘッドボックス31は、脱墨パルプ含有液または再生パルプ含有液をワイヤー部32に均一に供給するためのものであり、ヘッドボックス31の上部は開口しており、下部に脱墨パルプ含有液の供給口31aが形成されている。脱墨パルプ含有液の供給口31aの長手方向両端部には、ワイヤー部32のメッシュベルト323の両側縁部に沿って所定長さを有するガイド部材31bが片持ち支持されている。ガイド部材31bは、ヘッドボックス31からワイヤー部32のメッシュベルト323上に供給された脱墨パルプ含有液がメッシュベルト323の側縁から外方に流れ落ちるのを防止するようになっている。
ワイヤー部32は、 複数の回転ローラ321に掛け渡して展張したメッシュベルト323を有し、メッシュベルト323が往路軌道323aと復路軌道323bからなる無端軌道を形成している。また、往路軌道323aの下方には、往路軌道323aの網目から流下する水を受ける受水部325を設けている。受水部325は後述する排液処理部5の白水タンク54(図1参照)に接続されている。
図5に示すように、 脱水部33は、複数の回転ローラ331の間にそれぞれ掛け渡したフェルトからなる無端状の吸水ベルト332a,332bを上下一対有し、上側の吸水ベルト332aと下側の吸水ベルト332bとが一部当接している。この上側の吸水ベルト332aと下側の吸水ベルト332bとが一部当接した部分において、双方の吸水ベルト332a,332bを挟圧して圧搾する一対の圧搾ローラ334を複数備えている。
上側の吸水ベルト332aと下側の吸水ベルト332bとは設置位置を所定長さだけずらせており、上側の吸水ベルト332aの方が下側の吸水ベルト332bよりも湿紙64の走行方向上流側に配置されている。これにより、メッシュベルト323上を搬送されてきた湿紙64をまず上側の吸水ベルト332aに転移し、その後、圧搾ローラ334による圧搾の直前まで湿紙64を下側の吸水ベルト332bに接触させないようにしている。
ドライヤー部34は、フード(図示省略)内に複数の回転ローラ351及び乾燥ローラ343を配置し、この複数の回転ローラ351及び乾燥ローラ343の間に掛け渡した搬送ベルト342を上下一対備えている。搬送ベルト342の材質は特に限定されず、例えば、布、耐熱樹脂または金属等とし、上下の搬送ベルト342は一部が当接した状態で走行し、上下の搬送ベルト342の当接箇所に複数の乾燥ローラ343が配置されている。乾燥ローラ343は、内部にヒータ345を備えるとともに、外周面に搬送ベルト342を巻回しており、また、乾燥ローラ343の表面の温度を測定する温度センサ(図示省略)を有している。
(仕上げ部)
図1に示すように、仕上げ部4は、カレンダー部41及びカット部42を有しており、図5に示すように、カレンダー部41は紙の平坦度を上げるための複数のプレスローラ411を備え、カット部42は紙を所定のシートサイズにカットする裁断刃(図示省略)を備えている。
(排液処理部)
図1に示すように排液処理部5は、脱墨排水タンク53、白水タンク54の各槽体を有し、汚染の程度が高く再利用が困難な脱墨排水タンク53内の排水は、必要により所定の廃液処理を行って無毒化した後古紙処理装置100の外部に排出するよう構成されている。汚染の程度が低く再利用が可能な白水タンク54内の白水は、フィルターを通してインク、トナー等を除去し、必要により薬剤を添加し中和するなどの処理を施した後、もう一度パルパー18、脱墨前希釈部21等へ供給し再度利用可能に構成されている。
(第1の実施形態の作用)
本実施形態にかかる古紙処理装置100の作用につき以下に説明する。まず、図2に示すように、粗紙66と細断紙67とのいずれかの古紙原料6を計測部17で計測し、計測した古紙原料6をパルパー18に投入する。古紙原料6のうち粗紙66と細断紙67とのいずれの古紙原料6を先に処理してもよく、いずれかに限定されないが、細断紙67を優先して処理することが好ましい。このように細断紙67を優先的に処理することで、粗紙66に比較して離解の容易な細断紙67を短時間で離解処理し、再生紙7の製造時間を短縮可能である。
また、細断紙67を優先的に処理する場合には、シュレッダータンク121内の細断紙67の量が、予め設定した一回分の離解処理を行う古紙原料6の量に満たなかったときに、その不足分を粗紙載置台111上に載置されている粗紙66により補うといった方法がより好ましい。これにより、シュレッダータンク121内の細断紙67の有無を検知する検知手段を設けることなく、粗紙載置台111上に一回分の離解処理を行う量の粗紙66があるかどうかを検知する粗紙量検知手段114を設ければよいこととなる。即ち、シュレッダータンク121内の細断紙67は検知が困難である一方、粗紙載置台111上の粗紙66は検知が容易であり、粗紙載置台111上に所定量の粗紙66があることを粗紙量検知手段114により検知することで、検知結果に基づき離解処理を開始するかどうかを容易に判断できるからである。
細断紙67を古紙原料6として処理する際は、図2において二点鎖線で示すように、開閉部材124を開放し、排出装置125を作動してシュレッダータンク121内の細断紙67を受皿171に徐々に投下し、受皿171上に載置された細断紙67の重量を測定する。古紙原料6の供給を一度に行う場合には、計測部17の測定値が一回のバッチ式離解処理において処理を行う古紙原料6の全重量として、予め設定した所定値に達した時点で排出装置125を停止し、受皿171を傾倒する駆動手段を駆動して受皿171を傾倒し、細断紙67を攪拌槽181へ投入する。
一方、古紙原料6の供給を複数回に分割して行う場合には、計測部17の測定値が一回のバッチ式離解処理において処理を行う古紙原料6の一部として、予め設定した所定値に達した時点で排出装置125を停止し、駆動手段により受皿171を傾倒し、細断紙67を攪拌槽181へ投入する。
その後、駆動手段により受皿171を元に戻し、再度排出装置125を作動してシュレッダータンク121内の細断紙67を受皿171へ投下し、計測部17で細断紙67の計測を行って、細断紙67の重量が所定量に達すると、受皿171を傾倒して攪拌槽181へ投下する。この動作を繰り返し、計測部17で計測する古紙原料6の重量が、一回のバッチ式離解処理において処理を行う古紙原料6の全量に達した時点で攪拌槽181への古紙原料6の投入を終了する。
計測部17で計測を行う量を、一回の離解処理で用いる古紙原料6全量のうちの一部とし、計測部17での計測毎に攪拌槽181に古紙原料6を少量ずつ徐々に投下する動作を複数回繰り返すことで、計測部17において計測する重量を小さくできるので、小型の計測器を設置しても計測が可能となり、コストを抑えることができる。また、細断紙のように嵩張る古紙原料6を計測、投下する場合でも、受皿171の大きさを、古紙原料6全量を一度に計測する場合に比較して小さいものとすることができる。よって、計測部17の占有面積を小さくすることができ、再生パルプ製造装置Kの大きさを小さくすることができる。
また、攪拌槽181への古紙原料6の供給を、一回で全量供給するのでなく、所定量ずつ複数回に分割して徐々に行うよう制御する場合は、供給される古紙原料を水によく馴染ませることができ、離解処理時間の短縮化が可能である。
計測部17で計測したシュレッダータンク121からの細断紙67の量が、予め設定した一回分の離解処理を行う古紙原料6の量に満たなかったときは、粗紙載置台111上の粗紙66を受皿171に供給し、細断紙67に追加して粗紙66の処理を行う。
粗紙載置台111上の粗紙66の供給は、昇降手段により粗紙載置台111を昇降し、積層された複数の粗紙66のうち最上位の粗紙66を給紙ローラ112に当接させるよう位置あわせした後、給紙ローラ112を回転して最上位の粗紙66を一枚ずつ受皿171へと搬送する。計測部17の計測値が予め設定した一回の計測量である所定値となったところで給紙ローラ112による搬送を停止し、受皿171を傾倒しパルパー18へと投入する。
粗紙量検知手段114が、粗紙載置台111上に載置された粗紙66の量が一回の離解処理に必要な古紙原料6の全量である所定量に満たないことを検知した場合には、開閉部材124を開放せず、離解処理を開始しないこととする。このように、粗紙量検知手段114は、シュレッダータンク121内の細断紙67を一切用いることなく、粗紙66のみを古紙原料6として処理するとした場合に、粗紙載置台111上に載置された粗紙66の量が一回のバッチ式離解処理を行うために必要な古紙原料6の全量に満たないときは離解処理を開始しないこととする。
これにより、シュレッダータンク121内の細断紙67の量に関わらず、粗紙量検知手段114によって粗紙載置台111上の粗紙66が一回の離解処理に必要な所定量以上あるかないかを検知し、検知した結果に基づき離解処理を開始するかどうかを決定することができ、シュレッダータンク121内の細断紙67の有無及びその量を検知することなく離解処理を開始することができる。
パルパー18では、古紙原料6の攪拌槽181への投入に伴い、予め設定された離解処理に必要となる量の水を給水部182から給水する。この給水部182からの給水は、古紙原料6の離解処理に必要な水の全量を一度に供給することとしてもよいが、全量のうちの一部を徐々に供給する方が好ましい。即ち、例えば所定量ずつの離解用の水を所定時間経過するごとに攪拌槽181へ徐々に供給するといった方法等により徐々に給水することが好ましい。このように、給水部182から攪拌槽181への給水を、所定量ずつ複数回に分割して行うことで、徐々に供給される水と古紙原料6とをよく馴染ませることができ、離解処理時間の短縮化が可能である。
更に、古紙原料6の投入前に攪拌槽181に供給しておく離解用の水の量については、攪拌槽181に投入される古紙原料6に粗紙66が含まれる場合、即ち、古紙原料6が粗紙66のみのとき及び細断紙67と粗紙66の両方のときには、攪拌槽181に投入される古紙原料6が細断紙67のみである場合に比較して、古紙原料6の投入前に攪拌槽181に供給しておく離解用の水の量を少なくし、古紙原料6の投入中に供給する水の量を多くすることが好ましい。
例えば、粗紙66を含む古紙原料6を攪拌槽181へ投入する際、攪拌槽181に供給される水の全量が8.5Lとした場合に、8.5Lの一部となる4.0Lを古紙原料6の投入前に攪拌槽181へ給水しておき、駆動手段188を作動して、攪拌羽根184を回動し、古紙原料6の投入を開始して離解処理を行う。その後、古紙原料6を100gずつ7回といった少量ずつを複数回に分割して投入するとともに、給水部182から合計4.0Lについて1.0Lずつ4回といった所定量ずつ複数回に分割して給水する。古紙原料6の投入終了後、所定時間かけて離解処理を行い、離解処理が終了した後、残部0.5Lを給水するといった方法により、徐々に給水することとする。
一方、同じく攪拌槽181に供給される水の全量が8.5Lであり、古紙原料6として細断紙67のみを用いる場合には、細断紙67の投入前における給水量を、古紙原料6に粗紙66が含まれる場合より多い6.0Lとする。そして、細断紙67を100gずつ7回といった少量ずつを複数回に分割して投入するとともに、給水部182から合計2.0Lについて、1.0Lずつ2回といった古紙原料6に粗紙66を含む場合より少ない回数で給水する。細断紙67を全て投入した後、所定時間離解処理を行い、離解処理の終了後、残部0.5Lを供給するといった方法により給水する。
このように、古紙原料6に粗紙66を含む場合には、細断紙67のみの場合よりも、古紙原料6の投入前の攪拌槽181への給水量を少なくし、古紙原料6の投入中における給水量を多くすることで、細断紙67に比較して、古紙原料6の投入中に水に馴染みにくい粗紙66を、水とよく馴染ませることができる。よって、粗紙66を含む古紙原料6を処理する場合、古紙原料6の投入前の給水量を、細断紙67のみ処理するときと同程度に多くし、古紙原料6の投入途中の給水量を少なくする場合に比較して離解処理時間を短縮することができる。
攪拌槽181への給水は、放出部10から攪拌槽181の内壁に向けて水を放出することにより行う。これにより、古紙原料6の攪拌槽181への投入時や離解処理中に攪拌槽181の内壁面に付着した未離解または離解途中の古紙原料6を、攪拌槽181の内壁面から除去できる。除去された古紙原料6は、攪拌槽181内で攪拌されている水中に投下され、該水に浸漬されて、離解処理を開始または再開できる。よって、未離解の古紙原料6を残存させることなく、効率よく全ての古紙原料6を離解できる。
攪拌羽根184の回転数に関しては、粗紙66を攪拌槽181へ投入した際は、細断紙67の投入時よりも、該攪拌羽根184の回転数を所定の回転数まで上昇させるのに要する時間を長くするよう制御し、古紙原料6投入後の離解処理時間に対する攪拌羽根184の回転数の上昇割合を小さくする。更に、この粗紙66の投入後に緩やかな上昇割合で回転数を上昇する際の運転は、攪拌羽根184を正回転と逆回転とを繰り返す反転動作とする。
図6に、粗紙66及び細断紙67投入時の攪拌羽根184の上昇割合の一例を示す。図6において、縦軸は攪拌羽根184の回転数を示し、横軸は古紙原料6の投入開始後経過した時間を示す。また、一点差線は粗紙66投入時の攪拌羽根184の上昇割合を示し、実線は細断紙67投入時の上昇割合を示す。同図より、例えば、粗紙66の攪拌槽181への投入後、攪拌羽根184の回転数を所定の回転数r1まで上昇させるのに要する時間がt2であった場合、細断紙67の投入時はt2より短いt1とし、粗紙66の方が細断紙67よりも攪拌羽根184の回転数を緩やかに上昇させるようにする。
このように、粗紙66の攪拌槽181への投入時には、攪拌羽根184の回転数を緩やかに上昇させることで、粗紙66が未だよく水に馴染んでない状態において攪拌羽根184を高速回転した場合に生じる攪拌槽181内の水、千切れた古紙原料6の飛散や、攪拌羽根184の空気を巻き込みながらの回動、及びこの空気を巻き込みながらの回動に伴う騒音や振動等を防止することができる。一方、細断紙67の投入時には、細断紙67は水とすぐに馴染むので、粗紙66のような離解開始直後の上記問題は発生し難い。また、攪拌羽根184の回転数を粗紙66の投入時よりも短時間で上昇させることで、細断紙67を攪拌羽根184により高速で切断することができ、容易に離解を進行させ再生パルプを短時間で製造可能である。
所定量の細断紙67を投入した後、途中から粗紙66を投入する場合においても、粗紙66を投入した時点で、攪拌羽根184の回転数の上昇割合を、細断紙67の投入時の上昇割合から粗紙66の投入時の上昇割合に変更し、緩やかな割合で回転数を上昇させるようにすることが好ましい。また、途中から粗紙66を投入した後は、攪拌羽根184を正回転と逆回転とを繰り返す反転動作とすることが好ましい。
また、粗紙66の投入時、正回転と逆回転とを繰り返す反転動作とすることで、粗紙66と水とを容効率よく易に接触させられ、短時間でよく馴染ませることができ、一方向のみの回転の場合に比較して離解処理に要する時間を短縮可能である。
尚、粗紙66投入後の反転動作は、攪拌羽根184の回転数を予め設定した所定の最大回転数r2に上昇させるまでの時間t3まで行い、回転数がr2に達したt3以降は行わない。この反転動作を行う時間t3の長さは、粗紙66が離解用の水に馴染む程度の時間とし、粗紙66の投入量及び水量によって異なるが、例えば、60秒〜5分程度とする。
離解促進剤供給部183を設けている場合には離解促進剤を攪拌槽181に投入する。この離解促進剤供給部183からの攪拌槽181への離解促進剤の投入は、古紙原料6の投入終了後といった、古紙原料6の投入開始から所定時間経過した後に行うことが好ましい。これにより、まず離解用の水により古紙原料6を十分膨潤させた後、膨潤した古紙原料6の内部に離解促進剤を速やかに浸透させることができ、離解処理の時間を短縮可能である。
そして、このパルパー18での離解処理の間、必要により、温度センサで攪拌槽181内の温度を検出し、温度ヒータを通電することで攪拌槽181内に貯留する古紙原料6及び水等の含む液体を離解処理に適する所定温度に維持する。
離解処理の終了後、開閉弁208aを開放し、パルパー18において製造された再生パルプを含有する再生パルプ含有液を再生パルプ含有液取出部187より取り出し、ポンプ209aの駆動により、図1に示す脱墨前希釈部21へ送る。
脱墨前希釈部21では、再生パルプ含有液を脱墨処理に適した繊維濃度になるよう希釈液供給部から希釈用水および脱墨剤としての界面活性剤を投入して再生パルプ含有液の希釈を行う。次に、所定の繊維濃度に調整された再生パルプ含有液を脱墨部22に送る。尚、脱墨パルプ部22における脱墨処理は省略することも可能であり、脱墨処理を省略する場合には、脱墨前希釈部21において再生パルプ含有液を抄紙に適した繊維濃度に希釈した後、抄紙部3へと送る。
脱墨部22では、図4に示す再生パルプ含有液流通槽221に流入部229aから流入した再生パルプ含有液を、仕切壁224の左方または右方の開口から隣接する脱墨室225へ順次流通させる。各脱墨室225では脱墨剤の存在下、再生パルプ含有液中に気泡供給部226から微細な気泡を吹き込み、脱墨剤の存在によって消失することなく多量に発生した気泡の表面にトナー粒子等の疎水性の異物を付着させて各脱墨室225の上部に浮上させる。また、必要により攪拌翼を作動し、再生パルプ流通槽221内の再生パルプ含有液の円滑な流通を促すようにする。
親水性の繊維は、水とともに脱墨室225を順次流通していく。このようにして再生パルプ含有液からトナー成分等を除去する脱墨を行う。その際、温度センサ227で再生パルプ含有液の温度の検出を行い、ヒータ228で再生パルプ含有液を所定温度に維持するよう加熱する温度制御を行う。
脱墨部22に再生パルプ含有液を導入した後、所定時間経過し、脱墨処理が進行して各脱墨室225の上部に気泡が浮遊した際に、モータ222aを駆動し、ガイドレール222bに案内させつつブレード222を図4(a)において上下方向に往復移動し、再生パルプ含有液流通槽221の上部に浮遊する気泡を気泡排出槽223に掃き出す。気泡排出槽223に掃き出された気泡は、洗浄液噴出部223aから噴出した洗浄液によって洗い流され、気泡排出槽223内に溜まった洗浄液、脱墨剤、トナー成分等を含む脱墨排水は脱墨排水取出部75から取り出され、脱墨排水タンク53に送られる。
再生パルプ含有液流通槽221内の全ての脱墨室225に再生パルプ含有液を流通させ、再生パルプ含有液を脱墨して脱墨パルプを得て、得られた脱墨パルプを含む脱墨パルプ含有液を流出部229bから流出させ、図1に示すように、抄紙部3へ送られる。
抄紙部3では、図5に示すように、ヘッドボックス31から走行するメッシュベルト323上に、脱墨パルプを含む脱墨パルプ含有液をガイド部材31bに案内させつつ均一に供給し、水切りして水分を比較的多く含んだ繊維の層である湿紙64を形成する。メッシュベルト323の下方に流下した水は受水部325に受水され、該受水部325から白水タンク54に送られる。
メッシュベルト323上の湿紙64が往路軌道の終端部に至ると、脱水部33の上側の吸水ベルト332aに転移される。その後下側の吸水ベルト332bとの間に挟まれ、湿紙64に含まれる水分を吸水ベルト332a,332b側に吸収させることで脱水し、更に、圧搾ローラ334で圧搾して脱水する。
脱水部33で脱水された湿紙64は、ドライヤー部34に送られ、走行する上下一対の搬送ベルト342の間に挟持される。そして、ヒータ345により加熱され所定温度に維持された複数の乾燥ローラ343に湿紙64を当接させつつ搬送することで湿紙64の乾燥を行い仕上げ前の再生紙65を得る。
ドライヤー部34を出た仕上げ前の再生紙65はカレンダー部41に送られ、複数のプレスローラ411の間に通される。これにより、仕上げ前の再生紙65の平坦度を向上させ、更に、カット部42で所定のシートサイズに裁断して再生紙7が完成する。
カット部42において裁断された結果不要となった仕上げ前の再生紙65の破材は、図1に示すように再生パルプ製造部1に戻され、再度古紙原料6として利用される。
各工程において排液処理部5へ送られた排水のうち汚染の程度が高く再利用が困難な脱墨排水タンク53内の排水は、必要により所定の廃液処理を施した後古紙処理装置100の外部に排出する。汚染の程度が低く再利用が可能な白水タンク54内の白水は、必要によりフィルターを通してインク成分、トナー成分等を除去し、薬剤を添加し中和するなどの処理を施した後、パルパー18、脱墨前希釈部21等へ供給し再度利用する。
(第2の実施形態)
本発明にかかる再生パルプ製造装置の他の実施形態を以下に示す。上記第1の実施形態では、古紙原料6を短時間で効率よく離解処理するため、攪拌羽根184の回転数の上昇割合等の最適条件を制御部が自動で選択できる構成としたが、本第2の実施形態では、使用者が操作パネル19を操作することで、離解処理の条件を設定可能とし、使用者の設定に応じ離解処理を行うこととした。
第2の実施形態にかかる再生パルプ製造装置には、使用者が離解処理条件を設定するための操作パネル19が設けられている。図7に操作パネル19の一例を示す。操作パネル19には、離解処理における攪拌羽根184の回転数を所定の回転数まで上昇させるのに要する時間について、予め設定された複数の異なる設定時間の中から選択する上昇割合選択手段24と、攪拌羽根184の回転数を予め設定された複数の異なる設定回転数の中から選択する回転数選択手段26と、離解処理を行う際の古紙原料6の濃度を予め設定された複数の異なる設定濃度の中から選択する濃度選択手段27とを設けている。
ここで、本第2の実施形態における設定回転数とは、上記第1の実施形態の図6に示す回転数を徐々に上昇した後の最大回転数r2を意味する。
図7に示すように、上昇割合選択手段24は、離解処理の際に攪拌羽根184の回転数を所定の回転数まで上昇させる際の上昇割合を「高」、「標準」、「低」の三種類の中から選択するボタン35a〜35cをそれぞれ設けている。また、回転数選択手段26は、離解処理の際の攪拌羽根184の最大の回転数を 「高」、「標準」、「低」の三種類の中から選択するボタン28a〜28cをそれぞれ設けている。濃度選択手段27は、離解処理の際の離解用の水に対する古紙原料6の濃度を「高」、「標準」、「低」の三種類の中から選択するボタン29a〜29cをそれぞれ設けている。
図8に、本第2の実施形態にかかる攪拌羽根184の回転数の上昇割合の一例を示す。まず、上昇割合選択手段24を操作して、図8において太実線、一点鎖線及び二点鎖線で示すように、攪拌羽根184の最大回転数をいずれもr2とした場合において、回転数の上昇割合を三種類の異なる上昇割合に設定して離解処理を行う際について説明する。
上昇割合選択手段24のうち「標準」のボタン35bを選択した場合、またはいずれのボタン35a〜35cも選択しなかった場合に、図8において太実線で示すように、離解処理の際に攪拌羽根184の回転数を、最大回転数r2に至る途中の所定の回転数r1まで上昇させるのに要する時間を、t5となるよう制御して、離解処理を行うこととする。
これに対し、上昇割合選択手段24の「高」のボタン35aを選択した場合には、一点鎖線で示すように、攪拌羽根184の回転数をr1まで上昇させるのに要する時間を、t5より短いt4となるようにし回転数の上昇割合を高くするよう制御する。これにより、攪拌羽根184の回転数を最大回転数r2まで短時間のうちに上昇し、古紙原料6を強力な勢いで攪拌し、離解処理を短時間で終わらせ、再製紙7を早く製造することができる。
また、上昇割合選択手段24のうち「低」のボタン35cを選択した場合には、二点鎖線で示すように、攪拌羽根184の回転数をr1まで上昇させるのに要する時間を、t5より長いt6となるようにし、回転数の上昇割合を低くするよう制御する。これにより、古紙原料6の投入直後より、古紙原料6が水に馴染むまでの間に、攪拌羽根184の回動に伴って生じる振動、騒音を低減することができる。
次に、設定回転数については、図8において太実線及び細実線で示すように、使用者の選択により、攪拌羽根184の最大の回転数をr3、r2、r4のいずれかに設定する場合について説明する。使用者が、回転数選択手段26のうち「標準」のボタン28bを選択した場合、またはいずれのボタン28a〜28cも選択しなかった場合、攪拌羽根184の回転数を徐々に上昇して設定回転数r2とし、この設定回転数r2で所定時間に亘って離解処理を行うこととする。
これに対し、回転数選択手段26の「高」のボタン28aを選択すると、攪拌羽根184の最大となる回転数を、設定回転数r2より1割程度といった所定量だけ高い設定回転数であるr3までを上昇し、所定時間離解処理を行うこととする。これにより、攪拌羽根184の回転数の上昇割合を高くした場合と同様に、離解処理を短時間で終わらせ、再製紙7を早く製造できる。
また、回転数選択手段26の「低」のボタン28cを選択すると、設定回転数r2より1割程度といった所定量だけ低い設定回転数であるr4までしか攪拌羽根184の最大回転数を上昇せずに離解処理を行うこととする。これにより、攪拌羽根184の回転数の上昇割合を低くした場合と同様に、攪拌羽根184の回動に伴う振動、騒音を低減できる。また、離解処理の際の消費電力を低く抑えることがき、加えて、設定回転数を抑えることで、離解処理の際に古紙原料6同士又は攪拌羽根184と古紙原料6との摩擦による古紙原料6の損傷を軽減することができ、製造される再生パルプのダメージを抑制可能であり、再生処理を複数回行っても得られる再生紙の品質を維持できる。
古紙原料6として、既に一度、本実施形態にかかるような古紙再生処理装置により再生済みの再製紙を用いた場合には、本実施形態のような古紙再生処理装置によらず製造された場合に比較して、古紙の離解が容易であるので、攪拌羽根184の回転数を低く設定した場合であっても短時間で十分に離解することができる。
各条件において、用いる古紙原料6が粗紙66である場合は必要により、攪拌羽根184を正回転と逆回転とを繰り返す反転動作を行うことも可能であり、これにより、攪拌羽根184の回転に伴う振動、騒音を更に低減可能である。
離解処理の際の古紙原料6の濃度に関し、使用者が、濃度選択手段27のうち「標準」のボタン29bを選択した場合、またはいずれのボタン29a、29cも選択しなかった場合、通常の古紙原料6の濃度で離解処理を行う。一方、使用者が、多量の古紙原料6を短時間で処理したい場合等には、濃度選択手段27のうち「高」のボタン29aを選択する。これにより、予め設定した標準の設定濃度よりも高い設定濃度に調整し、離解処理を行う。
これにより、標準として設定した古紙原料6の水に対する設定濃度のよりも高く設定した設定濃度に調整し、離解処理を行うので、一回のバッチ式離解処理で標準の場合より多くの古紙原料6を処理でき、多量の古紙原料6を標準の場合より短時間で処理可能である。
また、使用者が、古紙原料6を複数回に亘って再生処理したい場合等のように、離解処理によるダメージを抑制したい場合には、濃度選択手段27のうち「低」のボタン29cを選択することで、予め設定した標準の設定濃度よりも低い設定濃度に古紙原料6を調整し、離解処理を行う。
これにより、離解処理の際に古紙原料6同士又は攪拌羽根184と古紙原料6との摩擦による古紙原料6の損傷を軽減することができ、離解の際の古紙のダメージを抑制することで、再生処理を複数回行っても得られる再生紙の品質を維持できる。