この種の定量供給装置、とりわけ樹脂ペレットやグラニュー糖のように流動性の高い粉粒状(バラ状)の被計量物を取り扱う定量供給装置、として、例えば、多量の被計量物が収容された溜めホッパと、この溜めホッパの下方に配置されており当該溜めホッパから被計量物の供給を受ける計量ホッパと、を備えたものがある。計量ホッパには、ロードセル等の荷重センサが付属されており、この荷重センサから出力される計量信号に基づいて、当該計量ホッパに供給された被計量物の重量が逐次求められる。そして、求められた重量測定値が目標重量値よりも小さい所定の供給停止重量値と一致したときに、溜めホッパから計量ホッパへの被計量物の供給が停止される。これにより、目標重量値分の被計量物を供給する、という定量供給が実現される。さらに、この定量供給を高速かつ高精度に実現するために、被計量物の単位時間当たりの供給量が段階的に変えられることがある。
具体的には、溜めホッパから計量ホッパへの被計量物の供給が開始された直後の初期の段階においては、比較的に大きな供給量で当該被計量物の供給が行われる。これにより、被計量物の供給開始から供給停止までに要する時間、言わば供給時間、の短縮化が図られる。そして、被計量物の供給開始から或る程度の時間が経過し、例えば上述した重量測定値が供給停止重量値よりも小さい所定の切換重量値に達した時点で、比較的に小さな供給量に切り換えられる。これにより、時間の経過と共に増大する重量測定値の増大速度が低下し、当該重量測定値が供給停止重量値と一致するタイミング、つまり被計量物の供給を停止させるタイミング、の取得が容易になる。また、このタイミングの取得に多少のズレが生じたとしても、被計量物の供給量が小さいので、当該ズレによる影響(誤差)が軽減される。この結果、目標重量値に対する最終的な供給重量値の精度、言わば供給精度、が向上する。
なお、被計量物の単位時間当たりの供給量は、例えば溜めホッパの底部にある排出口に設けられた開閉ゲートの開度によって制御される。即ち、このゲート開度が大きいほど、被計量物の単位時間当たりの供給量は大きくなり、当該ゲート開度が小さいほど、被計量物の単位時間当たりの供給量は小さくなる。そして、開閉ゲートが閉鎖されることで、溜めホッパから計量ホッパへの被計量物の供給が停止される。ただし、開閉ゲートが閉鎖されても、その後、暫くの間は、被計量物が計量ホッパに供給され続ける。これは、主に、開閉ゲートと計量ホッパとの間に距離があること、いわゆる落差量、に起因する。また、開閉ゲートを閉鎖させるタイミングが到来してから、つまり重量測定値が供給停止重量値と一致するタイミングが到来してから、実際に当該開閉ゲートが閉鎖されるまでに、多少の時間遅れが生じることにも、起因する。これらを考慮して、上述の如く供給停止重量値は目標重量値よりも小さい値とされている。
ところで、このようにゲート開度によって被計量物の単位時間当たりの供給量が制御されるゲート開度制御方式においては、当該ゲート開度が段階的に切り換えられると、その切り換わり前後の被計量物の供給量差により、当該被計量物の供給先である計量ホッパへの衝撃荷重が変化する。すると、計量ホッパを含む秤系が振動し、この秤系の出力である計量信号に当該秤系の固有振動数に応じた周波数の概略正弦波状の振動成分が発生する。この振動成分は、言うまでもなく当該振動成分を含む計量信号に基づいて求められる重量測定値に誤差となって現れる。その一方で、当該振動成分は、時間の経過と共に減衰する。従って、正確な重量測定値を得るには、この振動成分が十分に減衰するのを待つ必要がある。特に、被計量物の供給量が小さめとされる最終の段階、言わば小供給段階、において、被計量物の供給停止タイミングを正確に取得するには、この振動成分が十分に減衰するのを待つための時間を含め、当該小供給段階に掛かる時間を長くする必要がある。しかし、そうすると、供給時間全体が長くなり、定量供給の高速化に反する。この不都合を回避するべく、従来、例えば特許文献1に開示されたものがある。
この従来技術によれば、図13(a)に太実線A1で示すように、時間txがtx=0という時点を基点として、開閉ゲートが開かれる。これにより、溜めホッパから計量ホッパへの被計量物の供給が開始される。この被計量物の供給開始直後のゲート開度Gxは、多少の応答時間を掛けて、Gx=G11という比較的に大きな一定値となる。これに伴い、被計量物の単位時間当たりの供給量もまた、このゲート開度G11に応じた比較的に大きな値となる。この言わば大供給(大投入)段階においては、図13(b)に太実線B1で示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G11に応じた比較的に高い速度(dWx/dtx)で増大する。そして、この重量測定値Wxが供給停止重量値Wcよりも小さい予め設定された第1の切換重量値W11に達すると(Wx≧W11)、その時点t11で、大供給段階から中供給(中投入)段階としての漸減段階に切り換わる。この漸減段階においては、ゲート開度Gxが、時間txの経過と共に、厳密には重量測定値Wxが増大するに連れて、漸減され、さらに詳しくは次の式1に基づいて制御される。
《式1》
Gx=(G11−G12)・{(W12−Wx)/(W12−W11)}α+G12
なお、この式1において、G12は、後述する小供給(小投入)段階におけるゲート開度Gxであり、この小供給段階におけるゲート開度G12は、大供給段階におけるゲート開度G11よりも小さい(G12<G11)。そして、W12は、予め設定された第2の切換重量値であり、この第2切換重量値W12は、上述した第1切換重量値W11よりも大きく、かつ、供給停止重量値Wcよりも小さい(W11<W12<Wc)。さらに、冪指数αは、0.3≦α≦0.7を満足する任意の値であり、この冪指数αの値によって、漸減段階における時間txの経過に対するゲート開度Gxの推移が変わる。例えば、この冪指数αの値が小さいほど、ゲート開度Gxは図13(a)に太実線A1で示したように上方に向かって円弧状(凸状)に大きく膨らむように推移し、冪指数αの値が大きいほど、当該膨らみは小さくなる。
この漸減段階においては、時間txの経過と共に漸減するゲート開度Gxに伴って、被計量物の供給量が漸減するので、重量測定値Wxの増大速度もまた漸減する。そして、重量測定値Wxが第2切換重量値W12に達すると(Wx≧W12)、その時点t12で、漸減段階から小供給段階に切り換わる。なお、この漸減段階から小供給段階に切り換わる時点t12でのゲート開度Gxは、数1からも分かるようにGx=G12となる。そして、小供給段階においては、このG12というゲート開度Gxに維持され、これに伴い、被計量物の供給量は当該ゲート開度G12に応じた比較的に小さな一定値となり、重量測定値Wxの増大速度はさらに低下する。
この小供給段階において、重量測定値Wxが目標重量値Wpよりも小さい供給停止重量値Wcと一致すると(Wx=Wc)、その時点t13で、ゲート開度GxがGx=0とされる。つまり、開閉ゲートが閉鎖される。ただし、上述したように、開閉ゲートが閉鎖されても、その後、暫くの間は、被計量物が計量ホッパに供給され続ける。これに伴い、重量測定値Wxは増大し続け、詳しくは落差量Wd分だけ増大する。そして、最終的に、当該重量測定値Wxは目標重量値Wpに近い値Ws(≒Wp)に収束する。この最終重量値Wsが得られると、詳しくは開閉ゲートが閉鎖された供給停止時点t13から所定の安定待ち時間Tsが経過した時点t14での重量測定値Wxが当該最終重量値Wsとして取得されると、計量ホッパに供給された被計量物は速やかに当該計量ホッパから排出される。これをもって、一連(1回)の定量供給が終了する。
このように、特許文献1に開示された従来技術では、大供給段階と小供給段階との間に中供給段階としての漸減段階が設けられる。そして、この漸減段階において、ゲート開度Gxが、大供給段階におけるのと同じ開度G11から小供給段階におけるのと同じ開度G12まで連続的に漸減される。これにより、各段階間の切り換わり時点t11およびt12前後の被計量物の供給量差が低減され、当該切り換わり時点t11およびt12での振動成分の発生が抑制される。特に、漸減段階から小供給段階への切り換わり時点t12での振動成分の発生が抑制されることで、当該小供給段階に掛かる時間T1(=t13−t12)の短縮化が可能となり、ひいてはこの小供給時間T1を含む供給時間全体の短縮化が可能となる。なお、小供給時間T1の短縮化は、第2切換重量値W12を供給停止重量値Wcに近づけるこで、言い換えればこれら両者W12およびWcの間隔We1(=Wc−W12)を狭めることで、実現される。
ところが、上述の如く各段階間の切り換わり時点t11およびt12における振動成分の発生が抑制されても、被計量物の供給開始直後における当該被計量物の落下衝撃力による振動成分の発生は抑制されない。即ち、図13(b)に太破線B1’で示すように、被計量物の供給開始直後に比較的に振幅の大きい振動成分、言わば初期振動成分、が発生する。この初期振動成分の振幅は、被計量物の落下衝撃力が大きいほど大きく、つまり大供給段階のゲート開度G11が大きいほど大きい。従って、大供給段階のゲート開度G11が大きすぎると、この初期振動成分の振幅が過大となり、極端には、当該初期振動成分を含む重量測定値Wxが上述した第1切換重量値W11を超えてしまう。すると、この重量測定値Wxが第1切換重量値W11を超えた時点t11’で、つまり大供給段階の途中で、漸減段階用の式1が適用されるようになり、これに伴い、図13(a)に太破線A1’で示すように、ゲート開度Gxが当該重量測定値Wxに応じて不本意に低減される。これにより、被計量物の供給量が低減されるので、その分、大供給段階に掛かる時間が長くなり、ひいては供給時間全体が長くなる。これでは、供給時間全体の短縮化を図るために漸減段階を設けた意味が半減し、却って供給時間全体が長引くこともあり得る。
また、初期振動成分の振幅が過大であると、その影響は漸減段階にまで及ぶ。即ち、漸減段階においては、重量測定値Wxを変数とする上述の式1に基づいてゲート開度Gxが制御されるので、この重量測定値Wxに初期振動成分が含まれると、その影響によって、図13(a)に太破線A1’で示したようにゲート開度Gxが不安定となり、これに起因する新たな振動成分が重量測定値Wxに現れる。そして、この新たな振動成分もまたゲート開度Gxに影響するので、当該ゲート開度Gxがさらに不安定となる。この初期振動成分の影響を回避するには、例えば大供給段階のゲート開度G11を小さめに設定すればよいが、そうすると、大供給段階における被計量物の供給量が一様に低減されるので、その分、当該大供給段階の時間が長引き、やはり供給時間全体が長引く。
これとは別に、例えば初期振動成分の1周期分の重量測定値Wxを平均化することによって当該重量測定値Wxから初期振動成分を除去することも考えられるが、特に被計量物の供給開始直後においては、秤系に与えられる衝撃荷重の変化と急激に増大する被計量物の供給済み重量(実重量)の変化とによって、当該初期振動成分の振幅が正弦波に比べて言わば変則的に大きく変化し、併せて、当該初期振動成分の周波数(秤系の固有振動数)もまた大きく変化するので、この平均化処理による有効性は極めて低い。それでもなお、ローパスフィルタ処理等の別の処理を付加しようとすると、これらの処理全体の応答遅れによって、当該処理後の重量測定値と被計量物の真の供給済み重量値とが大きく乖離し、ゲート開度Gxの制御が正しく行われなくなる。
そこで、さらなる別の従来技術として、例えば特許文献2に開示されたものがある。この特許文献2に開示された第2の従来技術によれば、特許文献1に開示された第1の従来技術とは異なり、重量測定値Wxに基づくのではなく、被計量物の供給開始時点(tx=0)を基点とする経過時間txに基づいて、各段階間の切り換えが行われる。即ち、第1従来技術においては、各段階間の切換タイミングの基準として第1切換重量値W11および第2切換重量値W12という2つの重量値が予め設定されたが、第2従来技術においては、当該基準として第1切換時点t21および第2切換時点t22という2つの時点が予め設定される。そして、この第2従来技術では、被計量物の供給開始と同時に経過時間txの測定が開始され、この経過時間txが当該被計量物の供給開始時点から第1切換時点t21に達するまでが、大供給段階とされる。この大供給段階においては、図14(a)に太実線A2で示すように、ゲート開度GxがGx=G21という比較的に大きな一定値とされる。これにより、図14(b)に太実線B2で示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G21に応じた比較的に高い速度で増大する。そして、経過時間txが第1切換時点t21に達すると、大供給段階から漸減段階に切り換わる。この漸減段階においては、経過時間txを変数とする次の式2に基づいてゲート開度Gxが制御される。
《式2》
Gx=(G21−G22)・{(t22−tx)/(t22−t21)}α+G22
なお、この式2において、G22は、次に説明する小供給段階のゲート開度Gxであり、例えば上述の第1従来技術における小供給段階のゲート開度G12と略等価(G22≒G12)である。そして、冪指数αは、0<α≦1を満足する任意の値であり、この冪指数αの値によって、漸減段階におけるゲート開度Gxの推移が変わる。例えば、この冪指数αの値が小さいほど、ゲート開度Gxは図14(a)に太実線A2で示したように上方に向かって円弧状に膨らむように推移する。そして、この冪指数αの値が大きいほど、ゲート開度Gxの推移の膨らみは小さくなり、当該冪指数αがα=1であるとき、ゲート開度Gxは直線状に推移する。
この漸減段階は、経過時間txが第2切換時点t22に達するまで継続され、この間、当該経過時間txに伴って漸減するゲート開度Gxに応じて、重量測定値Wxの増大速度もまた漸減する。そして、経過時間txが第2切換時点t22に達すると、漸減段階から小供給段階に切り換わる。なお、この第2切換時点t22におけるゲート開度Gxは、式2からも分かるようにGx=G22となる。
小供給段階においては、このG22というゲート開度Gxに維持され、これに伴い、被計量物の供給量は、当該ゲート開度G22に応じた比較的に小さな一定値となる。併せて、重量測定値Wxは、より低い一定速度で増大する。そして、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcと一致(Wx=Wc)した時点t23で、ゲート開度GxがGx=0とされ、開閉ゲートが閉鎖される。これにより、重量測定値Wxは、この供給停止時点t23から落差量Wd分だけ増大する。そして、供給停止時点t23から所定の安定待ち時間Tsを経過した時点t24での重量測定値Wxが最終重量値Wsとして取得され、その後、速やかに計量ホッパ内の被計量物が排出され、一連の定量供給が終了する。
このように、第2従来技術では、経過時間txに基づいてゲート開度Gxが制御されるので、たとえ図14(b)に太実線B2’で示すような初期振動成分が発生したとしても、この初期振動成分の影響を全く受けることなく、所期の通りに当該ゲート開度Gxが制御される。例えば、大供給段階の途中で、詳しくは第1切換時点t21よりも前の或る時点t21’において、初期振動成分を含む重量測定値Wxが当該第1切換時点t21における所期の(理想的な)値W21を超えたとしても、これとは全く無関係に、ゲート開度GxはGx=G21という所期の通りに保たれる。従って、この大供給段階のゲート開度G21を第1従来技術のそれよりも大きくする(G21>G11)ことが可能となり、ひいては供給時間全体のさらなる短縮化が可能となる。また、初期振動成分が漸減段階にまで尾を引いたとしても、当該初期振動成分の影響が漸減段階におけるゲート開度Gxの制御に及ぶことはない。即ち、漸減段階においては、経過時間txを変数とする上述の式2に基づいてゲート開度Gxが制御されるので、この式2の構成要素ではない重量測定値Wxに初期振動成分が含まれているとしても、これとは全く無関係に、当該ゲート開度Gxは所期の通りに制御される。
しかしながら、この第2従来技術をもってしても、次のような問題がある。即ち、第2従来技術では、上述の如く経過時間txをいわゆるパラメータとしてゲート開度Gxが制御されるが、これは、ゲート開度Gxと被計量物の供給量とが常に一定の関係にあることを前提とする。ところが、この関係は、被計量物の性状(粒度、見かけ比重、粘度等)や溜めホッパ内における当該被計量物の収容量等の諸状況によって、変わる。つまり、同じゲート開度Gxであっても、被計量物の供給量が変わることがある。そして、このようにゲート開度Gxと被計量物の供給量との関係が変化することによって、供給精度が低下し、或いは供給時間全体が長引くことがある。
例えば、ゲート開度Gxと被計量物の供給量との関係が所期の通りである、とする。この場合、図14の一部拡大図である図15の(b)に太実線B20(図14(b)における太破線B2’に相当)で示すように、第2切換時点t22において、重量測定値Wxが当該第2切換時点t22における所期の値W22に達する(Wx=W22)。そして、この重量測定値Wxが供給停止重量値Wcと一致した時点t23で、図15(a)に太実線A20(図14(a)における太実線A2に相当)で示すように、ゲート開度GxがGx=0となる。その一方で、第2切換時点t22においては、それまで式2に基づいて漸減していたゲート開度Gxが、これ以降、急にG22という一定値になる。つまり、第2切換時点t22の前後の短い期間中に、ゲート開度Gxが急変する。言い換えれば、第2切換時点t22の前後で、被計量物の供給量に多少の差が生じる。これにより、第2切換時点t22において、(漸減段階が設けられない場合に比べて振幅は小さいものの)重量測定値Wxに多少の振動成分が不可避的に発生する(このことは、第1従来技術における時点t12においても同様である)。従って、供給停止時点t23においては、この振動成分が十分に減衰していることが必要であり、そのための待ち時間を含め、第2切換時点t22から当該供給停止時点t23までの小供給時間T2(=t23−t22)が適宜に設定される。言い換えれば、第2切換時点t22における所期の重量値W22が適宜に設定され、さらに言い換えれば、当該重量値W22と供給停止重量値Wcとの間隔We2(=Wc−W22)が適宜に設定される。
ここで、ゲート開度Gxと被計量物の供給量との関係が変化し、例えば当該被計量物の供給量が所期よりも大きくなる、とする。この場合、図15(b)に1点鎖線B20’で示すように、第2切換時点t22における重量測定値Wxは、当該第2切換時点t22における所期値W22よりも大きくなる。すると、所期の供給停止時点t23よりも前の或る時点t23’において、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcと一致し、これに応答して、図15(a)に1点鎖線A20’で示すように、ゲート開度GxがGx=0となる。つまり、小供給時間T2’(=t23’−t22)が所期の時間(T2)よりも短くなる(T2’<T2)。このように小供給時間T2’が短くなると、特に短すぎると、当該小供給時間T2’の始点である第2切換時点t22で発生した振動成分が十分に減衰しないうちに当該小供給時間T2’の終点である供給停止時点t23’が捉えられることになる。この結果、供給精度が低下する。これを回避するには、例えば小供給段階のゲート開度G22を小さくして所期の小供給時間T2が長くなるようにすればよいが、そうすると、当該小供給時間T2を含む供給時間全体が長引き、不都合である。
一方、被計量物の供給量が所期よりも小さくなると、図15(b)に2点鎖線B20”で示すように、第2切換時点t22における重量測定値Wxは、当該第2切換時点t22における所期値W22よりも小さくなる。これに伴い、所期の供給停止時点t23よりも後の或る時点t23”において、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcと一致し、これに応答して、図15(a)に2点鎖線A20”で示すように、ゲート開度GxがGx=0となる。この場合、小供給時間T2”(=t23”−t22)が所期よりも長くなる(T2”>T2)。これは、供給精度を確保する上では好都合であるが、言うまでもなく、供給時間全体の長期化を招く。
本発明の一実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。
本実施形態に係る定量供給装置10は、樹脂ペレットやグラニュー糖のように流動性の高い粉粒状の被計量物100を取り扱うものであり、図1に示すように、当該被計量物100が多量に収容された溜めホッパ12と、この溜めホッパ12の下方に配置されると共に当該溜めホッパ12から被計量物100の供給を受ける計量ホッパ14と、を備えている。溜めホッパ12の底部にある排出口には、開閉ゲート16が設けられており、この開閉ゲート16の開度Gxによって、当該溜めホッパ12から計量ホッパ14への被計量物100の単位時間当たりの供給量(流量)Qxが制御される。なお、ゲート開度Gxと供給量Qxとは、被計量物100の性状(粒度,見かけ比重,粘度等)が一定であることを前提として、互いに相関関係にあり、例えば比例関係にある。従って、供給量Qxは、被計量物100の単位時間当りの質量流量と考えることができる。そして、この関係が維持されるように、溜めホッパ12は計量ホッパ14よりも十分に大きい容積を持つ。併せて、溜めホッパ12内に被計量物100が適宜に補充されることによって、当該溜めホッパ12内の被計量物100の収容高さHは常に一定の範囲内に保たれている。
計量ホッパ14は、荷重センサとしてのロードセル18を備えており、このロードセル18は、自身への印加荷重に応じた電圧値を有するアナログ荷重検出信号Wyを生成する。このアナログ荷重検出信号Wyは、情報出力手段としての例えば液晶型のディスプレイ20を備えた制御装置22に入力される。なお、ロードセル18としては、例えば歪ゲージ式のものが適当であるが、これ以外にも、磁歪式や静電容量式、或いはジャイロ式のもの等が採用可能である。また、ロードセル18以外の荷重センサが採用されてもよい。
制御装置22は、図2に示すように、増幅回路24を有しており、この増幅回路24に、アナログ荷重検出信号Wyが入力される。この増幅回路24に入力されたアナログ荷重検出信号Wyは、ここで増幅された後、A/D変換回路26に入力される。なお、図には示さないが、増幅回路24の前段または後段には、アナログ荷重検出信号Wyに含まれる比較的に高い周波数帯域のノイズ成分、主に電気的な要因によるノイズ成分、を除去するためのローパスフィルタ回路が設けられている。
A/D変換回路26は、増幅回路24経由で入力されたアナログ荷重検出信号Wyを、パルス生成手段としてのクロックパルス生成回路28から与えられるクロックパルスCLKの立ち上がり(または立ち下がり)に合わせてサンプリングする。これにより、アナログ荷重検出信号Wyは、デジタル態様の信号に変換される。なお、A/D変換回路26によるサンプリング周期、つまりクロックパルスCLKの周期ΔTは、計量ホッパ14を含む秤系の固有振動周期Toよりも遥かに短く(ΔT≪To)、例えばΔT=1msとされている。
このA/D変換回路26による変換後のデジタル荷重検出信号Wyは、入出力インタフェース回路30を介して、制御手段としてのCPU(Central
Processing Unit)32に入力され、厳密には、上述のクロックパルスCLKの立ち上がり(または立ち下がり)に合わせて、当該CPU32に取り込まれる。このため、CPU32にも、入出力インタフェース回路30を介して、クロックパルスCLKが与えられる。CPU32は、このデジタル荷重検出信号Wyに基づいて、今現在、計量ホッパ14に供給されている被計量物100の重量値、言わば真の供給済み重量値Wx’、を求め、詳しくは当該真の供給済み重量値Wx’の測定値である重量測定値Wxを求める。そして、この重量測定値Wxに基づいて、ゲート制御信号Sgを生成する。このゲート制御信号Sgは、入出力インタフェース回路30を介して、D/A変換回路34に入力され、ここでアナログ態様の信号に変換された後、上述した開閉ゲート16を駆動するための後述するサーボアンプ回路36に入力される。また、ゲート制御信号Sgとは別に、CPU32は、排出制御信号Scを生成する。この排出制御信号Scは、入出力インタフェース回路30を介して、後述するシリンダ38に与えられる。
このCPU32の動作は、当該CPU32に接続された記憶手段としてのメモリ回路40に記憶されている制御プログラムによって制御される。また、CPU32には、入出力インタフェース回路30を介して、上述したディスプレイ20と、当該CPU32に各種命令を入力するための命令入力手段としての例えば操作キー42と、が接続されている。なお、ディスプレイ20と操作キー42とは、互いに一体化されたものでもよく、例えばタッチスクリーンによって構成されてもよい。
図1に戻って、サーボアンプ回路36は、制御装置22から入力されたゲート制御信号Sgに基づいて、サーボモータ44を駆動するための駆動信号Sdを生成する。サーボモータ44は、この駆動信号Sdに従って駆動され、その駆動力は、駆動ギア46と従動ギア48とを有する駆動力伝達手段としてのギア機構50を介して、開閉ゲート16に与えられる。これにより、開閉ゲート16が開閉し、つまりゲート開度Gxが制御される。さらに、サーボモータ44の回転軸には、その回転角度を検出するための回転角度検出手段としてのロータリ型のポテンショメータ52が結合されており、このポテンショメータ52から出力される回転角度検出信号Spは、サーボアンプ回路36にフィードバックされる。サーボアンプ回路36は、このフィードバックされた回転角度検出信号Spと、上述のゲート制御信号Sgと、を比較し、さらに、この比較結果に基づいて、希望通りのゲート開度Gxとなるように、駆動信号Sdを補正する。
また、計量ホッパ14の底部は、当該計量ホッパ14に供給された被計量物100を排出するための排出口を形成しており、この排出口には、開閉ゲート16とは別のゲート、言わば排出ゲート54、が設けられている。そして、この排出ゲート54を駆動するための駆動手段として、上述したシリンダ38が設けられている。なお、シリンダ38としては、例えば空気圧式のものが適当であるが、油圧式等の当該空気圧式以外のものも採用可能である。また、シリンダ38に代えて、電磁ソレノイドやモータ等の他の駆動手段が採用されてもよい。
このように構成された本実施形態に係る定量供給装置10によれば、次の要領により、被計量物100の定量供給が実現される。
即ち、本実施形態に係る定量供給装置10においても、上述の第1従来技術および第2従来技術と同様、図3に示すように、大供給段階,中供給段階としての漸減段階,ならびに小供給段階という3つの段階に分けて、溜めホッパ12から計量ホッパ14へ被計量物100が供給される。そして、小供給段階では、重量測定値Wxが目標重量値Wpよりも落差量Wd分だけ小さい供給停止重量値Wcと一致したときに、被計量物100の供給が停止され、厳密にはゲート開度GxがGx=0とされる。ただし、大供給段階から漸減段階への切り換えは、後述する重量推定値Wx”が予め設定された第1切換重量値W01に達したとき(Wx”≧W01)に行われる。そして、漸減段階から小供給段階への切り換えは、重量測定値Wxが予め設定された第2切換重量値W02に達したとき(Wx≧W02)に行われる。つまり、重量推定値Wx”および重量測定値Wxという2つのパラメータに基づいて、ゲート開度Gxが制御される。これら2つのパラメータWx”およびWxの切換タイミングを図るため、基準となる2つの重量値Wf1およびWf2が、各切換重量値W01およびW02とは別に、予め設定されている。なお、これら2つの基準重量値Wf1およびWf2のうちの一方、言わば第1パラメータ切換重量値Wf1は、第1切換重量値W01よりも小さい(Wf1<W01)。そして、他方の言わば第2パラメータ切換重量値Wf2は、第1切換重量値W01よりも大きく、かつ、第2切換重量値W02よりも小さい(W01<Wf2<W02)。
このような設定が成された上で、本実施形態によれば、図3の(a)に太実線A0で示すように、時間txがtx=0という時点を基点として、開閉ゲート16が開かれる。これにより、溜めホッパ12から計量ホッパ14への被計量物100の供給が開始される。この被計量物100の供給開始直後は、大供給段階とされ、詳しくはゲート開度GxがGx=G01という比較的に大きな一定値とされる。これに伴い、図3(b)に太実線B0で示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G01に応じた比較的に高い速度で増大する。そして、重量測定値Wxが第1パラメータ切換重量値Wf1に達すると(Wx≧Wf1)、その時点tf1で、上述した重量推定値Wx”を算出するための演算が開始され、厳密に言えば当該重量推定値Wx”を算出するための重量測定値Wxの記憶が開始される。
ここで、重量推定値Wx”とは、今現在(tx)の真の供給済み重量値Wx’の推定値であり、この重量推定値Wx”は、過去の{n+1}(n;1以上の整数)個の重量測定値Wxに基づいて求められる。具体的には、図4に示すように、当該重量推定値Wx”を算出するための真の供給済み重量値Wx’の測定値である重量測定値Wxが、m(m;1以上の整数)個置きに順次記憶され、つまりTd=m・ΔTという周期で順次記憶される。そして、この記憶された重量測定値Wxのうち、kという或るタイミングで記憶された重量測定値Wx[k]を含む過去の{n+1}個の重量測定値Wx[k−n]〜Wx[k]に基づいて、同タイミングkにおける重量推定値Wx”[k]が求められる。要するに、或るタイミングkにおける重量推定値Wx”[k]は、Tc=n・Tdという期間分の重量測定値Wx[k−n]〜Wx[k]に基づいて求められる。
なお、このTcという期間、つまり或るタイミングkにおける重量推定値Wx”[k]を算出するのに必要な{n+1}個の重量測定値Wx[k−n]〜Wx[k]を取得するための言わば推定用重量値取得期間は、少なくとも計量ホッパ14を含む秤系の固有振動周期Toよりも長め(Tc>To)に設定され、詳しくは当該秤系の固有振動周期Toのうち最長の周期Tomaxよりもさらに長め(Tc>Tomax)に設定される。例えば、最長固有振動周期TomaxがTomax=100msecであり、上述の整数mがm=10である、と仮定する。この場合、重量測定値Wxの記憶周期TdはTd=m・ΔT=10msec(∵ΔT=1msec)であるので、整数nがn≧11であれば、推定用重量値取得期間TcはTc=n・Td≧110msecとなり、最長固有振動周期Tomax(=100msec)よりも長くなる。このように推定用重量値取得期間Tcが最長固有振動周期Tomaxよりも長めに設定されることで、重量推定値Wx”を求める際に誤差の要因となる秤系の固有振動による影響が抑制され、ひいてはより正確な重量推定値Wx”を求めることができる。ただし、この推定用重量値取得期間Tcが長すぎると、(特に最初の)重量推定値Wx”が求められるまでに相応の時間が掛かり、いわゆる応答性が悪くなる。従って、推定用重量値取得期間Tcは、最長固有振動周期Tomaxの2倍よりも短い(Tc<2・Tomax)のが好ましく、例えば当該最長固有振動周期Tomaxの1.1倍〜1.3倍程度(1.1・Tomax<Tc<1.3・Tomax)であるのが好ましい。
この或るタイミングkにおける重量推定値Wx”[k]の算出要領について、より具体的に説明すると、当該或るタイミングkにおける重量推定値Wx”[k]は、次の式3の1次関数式(直線式)によって表される。なお、この式3において、a1[k]およびa2[k]は、或るタイミングkにおける定数である。
《式3》
Wx”[k]=a1[k]・k+a2[k]
そして、この式3を構成する2つの定数a1[k]およびa2[k]を求めるために、当該式3に準拠する次の式4が組み立てられる。
《式4》
f[tx]=a1[k]・tx+a2[k]
さらに、この式4において、左辺のf[tx]に、過去の{n+1}個の重量測定値Wx[k−n]〜Wx[k]がそれぞれ代入されると共に、右辺の変数txに、当該重量測定値Wx[k−n]〜Wx[k]に対応するタイミング値{k−n}〜kがそれぞれ代入されることによって、次の式5のような{n+1}個の1次関数式が組み立てられる。
《式5》
Wx[k−n]=a1[k]・{k−n}+a2[k]
Wx[k−n+1]=a1[k]・{k−n+1}+a2[k]
:
Wx[k−1]=a1[k]・{k−1}+a2[k]
Wx[k]=a1[k]・k+a2[k]
そして、この式5で表される{n+1}個の1次関数式を用いた回帰分析法によって、例えば最小2乗法によって、各1次関数式に共通する定数a1[k]およびa2[k]が求められる。なお、最小2乗法以外の回帰分析法や、回帰分析法以外の演算法によって、当該定数a1[k]およびa2[k]が求められてもよい。ただし、最小2乗法等の回帰分析法によれば、概ね(大きな)時間遅れを生ずることなく、当該定数a1[k]およびa2[k]が求められ、ひいては重量推定値Wx”[k]が求められる。
このようにして或るタイミングkにおける定数a1[k]およびa2[k]が求められると、これらの定数a1[k]およびa2[k]が上述の式3に代入されることによって、当該或るタイミングkにおける重量推定値Wx”[k]が求められる。これと同様に、次のタイミング{k+1}以降の重量推定値Wx”[k+1],Wx”[k+2],…が順次求められる。つまり、Tdという周期で重量測定値Wxが記憶されるごとに、言い換えれば当該重量測定値Wxの記憶周期Tdと同じ周期で、重量推定値Wx”が求められる。
従って、例えば、図5に示すように、最初に求められる重量推定値Wx”[1]は、重量測定値Wxの記憶開始時点tf1から推定用重量値取得期間Tcが経過した時点、言い換えれば{n+1}個の重量測定値Wxが記憶された時点ta(厳密にはこの時点taから多少の推定演算時間が経過した時点)、で得られる。そして、2番目以降の重量推定値Wx”[2],Wx”[3],…は、当該時点taを基点として、重量測定値Wxの記憶周期Tdと同じ周期で求められる。なお、図5は、推定用重量値取得期間Tcの決定要素である整数nがn=8の場合を例示している。また、この図5において、L1という符号が付されている直線は、最初の重量推定値Wx”[1]を含む上述の式4に従う直線である。そして、L2およびL3という符号が付されている直線は、それぞれ2番目の重量推定値Wx”[2]および3番目の重量推定値Wx”[3]を含む式4に従う直線である。
この図5からも分かるように、太実線B0で示される重量測定値Wxには、被計量物100の供給開始直後に、比較的に振幅の大きい初期振動成分が現れる。そして、この初期振動成分は、時間txの経過と共に減衰する。従って、最初の重量推定値Wx”[1]を含め比較的に早い時期に得られる重量推定値Wx”については、図5に太破線B0’で示される真の供給済み重量値Wx’と等価ではなく、多少乖離している(Wx”≠Wx’)。ただし、初期振動成分を含む重量測定値Wxと比較すると、当該重量推定値Wx”は、概ね供給済み重量値Wx’に近い値になる。そして、この重量推定値Wx”は、時間txが経過するに連れて供給済み重量値Wx’に近づき、当該重量推定値Wx”が上述の第2パラメータ切換重量値Wf2に達する(Wx≧Wf2)頃には、供給済み重量値Wx’と略等価(Wx”≒Wx’)になる。
図3に戻って、当該図3の(b)に太い1点鎖線B0”で示される重量推定値Wx”が第1切換重量値W01に達すると(Wx”≧W01)、大供給段階から漸減段階に切り換わる。この大供給段階から漸減段階への切り換えが適切に行われるようにするために、第1切換重量値W01は、図5に示したように、少なくとも最初の重量推定値Wx”[1]よりも大きい値(W01>Wx[1])とされる。そして、漸減段階においては、厳密には重量推定値Wx”が第2パラメータ切換重量値Wf2に達する(Wx”≧Wf2)までは、上述の式1に準拠する次の式6に基づいて、ゲート開度Gxが制御される。
《式6》
Gx=(G01−G02)・{(W02−Wx”)/(W02−W01)}α+G02
なお、この式6において、G02は、小供給段階におけるゲート開度Gxであり、この小供給段階におけるゲート開度G02は、大供給段階におけるゲート開度G01よりも小さい(G02<G01)。そして、第2切換重量値W02は、第1切換重量値W01よりも大きく、かつ、供給停止重量値Wcよりも小さい(W01<W02<Wc)。冪指数αの値は、例えば0.1≦α≦1の範囲内で任意に設定される。
この式6に基づくことで、ゲート開度Gxは、図3(a)に太実線A0で示したように、時間txの経過と共に、厳密には重量推定値Wx”が増大するに連れて、漸減する。そして、重量推定値Wx”が第2パラメータ切換重量値Wf2に達すると、その時点tf2で、式6に代えて、重量測定値Wxを変数とする次の式7に基づいて、ゲート開度Gxが制御されるようになる。つまり、ゲート開度Gxを制御するパラメータが、重量推定値Wx”から重量測定値Wxに切り換わる。なお、式7は、式6における重量推定値Wx”を重量測定値Wxに置き換えたものであり、これ以外は、冪指数αの値を含め、当該式6と同じである。
《式7》
Gx=(G01−G02)・{(W02−Wx)/(W02−W01)}α+G02
従って、この式7に基づくことによっても、式6に基づくときと同様に、ゲート開度Gxは、時間txの経過と共に、厳密には重量測定値Wxが増大するに連れて、漸減する。
このように、漸減段階においては、ゲート開度Gxが漸減することで、図3(b)に太実線B0で示したように、重量測定値Wxの増大速度もまた漸減する。その一方で、重量測定値Wxに含まれる初期振動成分は、時間txの経過と共に減衰する。従って、ゲート開度Gxを制御するパラメータが重量推定値Wx”から重量測定値Wxに切り換わる時点tf2で初期振動成分が十分に減衰されていれば、つまりそうなるように第2パラメータ切換重量値Wf2が設定されれば、当該時点tf2でのゲート開度Gxの推移(変化)がスムーズになる。
そして、重量測定値Wxが第2切換重量値W02に達すると(Wx≧W02)、その時点t02で、漸減段階から小供給段階に切り換わる。この切り換わり時点t02でのゲート開度Gxは、式7からも分かるようにGx=G02となる。小供給段階では、このG02というゲート開度Gxに維持され、これに伴い、重量測定値Wxが当該ゲート開度Gxに応じた一定の低速度で増大する。そして、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcと一致(Wx=Wc)した時点t03で、ゲート開度GxはGx=0とされ、つまり開閉ゲート16が閉鎖される。これにより、重量測定値Wxは、当該時点t03から落差量Wd分だけ増大し、目標重量値Wpに近い最終重量値Ws(≒Wp)に収束する。
最終重量値Wsが得られると、詳しくは供給停止時点t03から所定の安定待ち時間Tsが経過した時点t04での重量測定値Wxが当該最終重量値Wsとして取得されると、この最終重量値Wsは、上述したディスプレイ20に表示される。なお、厳密には、最終重量値Wsは、次の式8に基づく移動平均処理によって求められる。この式8において、iは、任意のサンプリング番号である。そして、Jは、タップ数であり、詳しくは1以上の任意の整数である。
《式8》
Ws={ΣWx[i−j]/J} where j=0〜{J−1}
この最終重量値Wsが得られた後、上述したシリンダ38が駆動され、排出ゲート54が開かれる。これにより、計量ホッパ14に供給された被計量物100は、当該排出ゲート54を介して排出され、例えば図示しない包装袋に収容される。そして、この被計量物100の排出が終了した時点、詳しくは最終重量値Wsが取得された時点t04から所定の排出時間Tgを経過した時点t05で、排出ゲート54が閉鎖される。これをもって、一連の定量供給が終了する。そして、この一連の定量供給が終了した時点t05から所定の準備時間Thを経過した時点t06で、次の定量供給が開始される。
以上のように、本実施形態によれば、真の供給済重量値Wx’の推定値である重量推定値Wx”をパラメータとして、大供給段階から漸減段階への切換タイミングt01が図られる。従って、図3(b)に太実線B0で示した如く重量測定値Wxに初期振動成分が含まれているとしても、この初期振動成分の影響を全く受けることなく、所期の通りに当該大供給段階から漸減段階への切換タイミングt01が図られる。
また、漸減段階のうちの時点t01から時点tf2までの期間、言わば前半期間は、重量推定値Wx”を変数とする式6に基づいてゲート開度Gxが制御される。従って、この漸減段階の前半期間にまで初期振動成分が尾を引いたとしても、その影響が当該前半期間におけるゲート開度Gxの制御に及ぶことはない。一方、漸減段階のうちの時点tf2から時点t02までの後半期間は、重量測定値Wxを変数とする式7に基づいてゲート開度Gxが制御されるが、この後半期間においては、初期振動成分が十分に減衰しているので、当該初期振動成分の影響はない。
なお、初期振動成分の振幅は、大供給段階のゲート開度G01に依存するが、本実施形態によれは、上述の如く当該初期振動成分の影響を受けることがない。従って、例えば、当該初期振動成分の影響を受ける上述の第1従来技術に比べて、大供給段階のゲート開度G01の増大(G01>G11)が可能である。これは、供給時間全体のさらなる短縮化に大きく貢献する。
そして、重量測定値Wxが第2切換重量値W02と一致した時点t02で、漸減段階から小供給段階に切り換わる。この切り換わり時点t02においては、それまで式7に基づいて漸減していたゲート開度Gxが、これ以降、急にG02という一定値になることから、重量測定値Wxに多少の振動成分が発生する。従って、小供給段階の終点である供給停止時点t03においては、この振動成分が十分に減衰していることが必要であり、そのための待ち時間を含め、当該小供給段階に掛かる時間T0(=t03−t02)が適宜に設定され、詳しくは第2切換重量値W02と供給停止重量値Wcとの間隔We0(=Wc−W02)が適宜に設定される。ここで、例えば、被計量物100の性状等の諸状況が変化し、これにより、ゲート開度Gxと被計量物100の供給量Qとの関係が変化する、と仮定する。この場合、重量測定値Wxが第2切換重量値W02に到達する時点、つまり漸減段階から小供給段階に切り換わる時点t02、は変化するが、当該切り換わり時点t02での重量測定値Wxは第2切換重量値W02と等価(Wx=W02)であり、言い換えれば小供給段階の上下限重量値である第2切換重量値W02と供給停止重量値Wcとの間隔We0は一定である。加えて、小供給段階のゲート開度G01は比較的に小さく、つまり供給量Qは比較的に小さい。従って、概ね所期の通りの小供給時間T0が確保される。ゆえに、所期の通りの供給精度が得られると共に、当該小供給時間T0を含む供給時間全体が長期化することはない。これに対して、上述の第2従来技術では、被計量物の性状等の諸状況が変化すると、漸減段階から小供給段階に切り換わる第2切換時点t22での重量測定値Wxが変化し、言い換えれば小供給段階の上下限重量値の間隔We2が変化する。これにより、小供給時間T2が変化し、ひいては供給精度が低下し、或いは供給時間全体が長期化する。本実施形態によれば、そのような不都合は生じない。
即ち、本実施形態によれば、第1従来技術および第2従来技術に比べて、より高速かつ高精度な定量供給を実現することができる。
このような高速かつ高精度な定量供給を実現するべく、CPU32は、上述した制御プログラムに従って、次のように動作する。なお、この動作に入る際に、開閉ゲート16は閉鎖されており、溜めホッパ12には所定量(収容高さH)の被計量物100が収容されているものとする。併せて、計量ホッパ14は空の状態であり、排出ゲート54は閉鎖されているものとする。
まず、操作キー42の操作によって自動運転ONの命令が入力されると、CPU32は、図6に示す自動運転タスクのステップS1に進む。そして、このステップS1において、初期設定処理を行う。詳しくは、後述するCm,CsおよびCgという3つのカウンタのカウント値を全てリセットする(0とする)と共に、後述するF1,F2,F3,F4,F5およびF6という6つのフラグのそれぞれに0を設定する。そして、このステップS1の実行後、ステップS3に進み、後述する割込タスクの実行を開始する。
さらに、CPU32は、ステップS5に進み、ゲート開度GxをGx=G01とするための準備を行い、要するに上述したゲート制御信号Sgを生成する準備をする。そして、ステップS7に進み、当該ゲート制御信号Sgを生成し、つまり開閉ゲート16を制御する。これにより、大供給段階が開始される。
ステップS7の実行後、CPU32は、ステップS9に進む。そして、このステップS9において、重量測定値Wxと第1パラメータ切換重量値Wf1とを比較する。なお、重量測定値Wxは、後述する割込タスクにおいて取得される今現在(厳密には最新)の重量測定値Wxである。このステップS9は、重量測定値Wxが第1パラメータ切換重量値Wf1以上(Wx≧Wf1)となるまで繰り返される。そして、当該重量測定値Wxが第1パラメータ切換重量値Wf1以上になると、CPU32は、真の供給済み重量値Wx’の推定を開始するべく、ステップS11に進む。
ステップS11において、CPU32は、F1というフラグに1を設定する。このフラグF1は、供給済み重量値Wx’の推定が開始されたか否かを表す指標であり、厳密には重量推定値Wx”の算出に必要な重量測定値Wxの記憶が開始されたか否かを表す指標である。例えば、この言わば推定開始フラグF1がF1=1であれば、供給済み重量値Wx’の推定が開始されたこと、厳密には重量推定値Wx”の算出に必要な重量測定値Wxの記憶が開始されたこと、を表す。一方、そうでないときは、当該推定開始フラグF1はF1=0とされる。
ステップS11の実行後、CPU32は、ステップS13に進み、重量測定値Wxの記憶数が重量推定値Wx”の算出に必要な{n+1}個に達したか否かを判定し、詳しくは後述するアドレスポインタAPの値がn以上(AP≧n)であるか否かを判定する。なお、アドレスポインタAPの値は、重量測定値Wxの記憶順を表し、割込タスクにより管理される。このステップS13は、アドレスポインタAPの値がn以上になるまで繰り返され、当該アドレスポインタAPの値がn以上になると、つまり重量測定値Wxの記憶数が{n+1}個に達すると、CPU32は、図7のステップS15に進む。
ステップS15において、CPU32は、アドレスポインタAPの値をCpというカウンタのカウント値にコピーする。つまり、このステップS15においては、当該カウント値Cpにnという値が設定される。なお、カウント値Cpは、この後に説明するように、重量推定値Wx”を更新させるのに用いられる。
ステップS15の実行後、CPU32は、ステップS17に進み、アドレスポインタAPの値と上述のカウント値Cpとを比較する。このステップS17は、アドレスポインタAPの値がカウント値Cp以上(AP≧Cp)になるまで繰り返される。そして、アドレスポインタAPの値がカウント値Cp以上になると、CPU32は、重量推定値Wx”を算出するべく、ステップS19に進む。なお、このステップS17が初めて実行されるときは、上述のステップS15が実行された直後であるので、アドレスポインタAPの値とカウント値Cpとはいずれもn(AP=Cp=n)であり、ゆえに、CPU32は、即座にステップS19に進む。
ステップS19において、CPU32は、現時点で記憶されている重量測定値Wxのうち最も直近に記憶された(つまり今現在の)重量測定値Wx[AP]を含む過去の{n+1}個の重量測定値Wx[AP−n]〜Wx[AP]に基づいて、今現在の重量推定値Wx”を求める。具体的には、上述の式5に倣って、次の式9を組み立てる。
《式9》
Wx[AP−n]=a1[AP]・{AP−n}+a2[AP]
Wx[AP−n+1]=a1[AP]・{AP−n+1}+a2[AP]
:
Wx[AP−1]=a1[AP]・{AP−1}+a2[AP]
Wx[AP]=a1[AP]・AP+a2[AP]
そして、CPU32は、この式5で表される{n+1}個の1次関数式を用いた最小2乗法によって、各1次関数式に共通する定数a1[AP]およびa2[AP]を求める。さらに、この定数a1[AP]およびa2[AP]を上述の式3に準拠する次の式10に代入することによって、今現在の重量推定値Wx”を求める。
《式10》
Wx”=a1[AP]・AP+a2[AP]
このようにして今現在の重量推定値Wx”を求めた後、CPU32は、ステップS21に進み、当該重量推定値Wx”と第1切換重量値W01とを比較する。ここで、例えば、重量推定値Wx”が第1切換重量値W01以上(Wx”≧W01)であるとき、CPU32は、ステップS23に進み、上述の式6に基づいてゲート開度Gxを算出する。そして、ステップS25に進み、当該ゲート開度Gxに基づいて開閉ゲート16を制御し、つまりゲート制御信号Sgを生成する。これにより、漸減段階が開始され、詳しくは重量推定値Wx”をパラメータとする当該漸減段階の前半期間に入る。そして、CPU32は、ステップS27に進む。なお、ステップS21において重量推定値Wx”が第1切換重量値W01よりも小さい(Wx”<W01)ときは、CPU32は、ステップS23およびステップS25をスキップして、直接、ステップS27に進む。
ステップS27において、CPU32は、上述した重量推定値Wx”の更新用カウンタのカウント値Cpを1だけインクリメントする。要するに、当該カウント値Cpを、今現在のアドレスポインタAPの値よりも1だけ大きくする。そして、CPU32は、ステップS29に進み、今現在の重量推定値Wx”と第2パラメータ切換重量値Wf2とを比較する。
このステップS29において、例えば、今現在の重量推定値Wx”が第2パラメータ切換重量値Wf2よりも小さい(Wx”<Wf2)とき、CPU32は、新たな(次の)重量推定値Wx”を求めるべく、つまり当該重量推定値Wx”をパラメータとするゲート開度Gxの制御を継続するべく、ステップS17に戻る。一方、今現在の重量推定値Wx”が第2パラメータ切換重量値Wf2以上(Wx”≧Wf2)であるときは、当該重量推定値Wx”に代えて、重量測定値Wxをパラメータとしてゲート開度Gxを制御するべく、ステップS31に進む。
ステップS31において、CPU32は、F2というフラグに1を設定する。このフラグF2は、ゲート開度Gxの制御パラメータが重量推定値Wx”から重量測定値Wxに切り換わったか否かを表す指標である。例えば、この言わばパラメータ切換フラグF2がF2=0であるときは、当該制御パラメータが重量推定値Wx”から重量測定値Wxに切り換わる前であることを表す。一方、当該フラグF2がF2=1であるときは、制御パラメータが重量推定値Wx”から重量測定値Wxに切り換わった(厳密にはこれから切り換えられる)ことを表す。
ステップS31の実行後、CPU32は、ステップS33に進む。そして、このステップS33において、上述の式7に基づいてゲート開度Gxを算出する。さらに、CPU32は、ステップS35に進み、当該ゲート開度Gxに基づいて開閉ゲート16を制御し、つまりゲート制御信号Sgを生成する。これにより、重量測定値Wxをパラメータとする漸減段階の後半期間に入る。そして、CPU32は、ステップS37に進む。
ステップS37において、CPU32は、重量測定値Wxと第2切換重量値W02とを比較する。ここで、例えば、重量測定値Wxが第2切換重量値W02よりも小さい(Wx<W02)ときは、式7に基づくゲート開度Gxの制御を継続するべく、ステップS33に戻る。一方、重量測定値Wxが第2切換重量値W02以上(Wx≧W02)であるときは、図8のステップS39に進む。
ステップS39に進むと、CPU32は、ゲート開度GxをGx=G02とするためのゲート制御信号Sgを生成する準備を行う。そして、ステップS41に進み、当該ゲート制御信号Sgを生成して、開閉ゲート16を制御する。これにより、小供給段階が開始される。
さらに、CPU32は、ステップS43に進み、重量測定値Wxと供給停止重量値Wcとを比較する。このステップS43は、重量測定値Wxが供給停止重量値Wc以上(Wx≧Wc)になるまで繰り返される。そして、当該重量測定値Wxが供給停止重量値Wc以上になると、CPU32は、開閉ゲート16を閉鎖するべく、ステップS45に進む。
ステップS45において、CPU32は、ゲート開度GxをGx=0とするためのゲート制御信号Sgを生成する準備を行う。そして、ステップS47に進み、当該ゲート制御信号Sgを生成して、開閉ゲート16を制御する。これにより、開閉ゲート16が閉鎖される。
そして、CPU32は、ステップS49に進み、F3というフラグに1を設定する。このフラグF3は、上述した最終重量値Wsを得るための安定待ち動作が開始されたか否かを表す指標であり、例えば、当該フラグF3がF3=1であるときは、安定待ち動作が開始されたことを表す。そうでないときは、当該フラグF3はF3=0とされる。
ステップS49の実行後、CPU32は、ステップS51に進む。そして、このステップS51において、F4というフラグがF4=1であるか否かを判定する。このフラグF4は、上述の安定待ち動作が終了したか否かを表す指標であり、割込タスクによって管理される。例えば、この安定待ち終了フラグF4がF4=1であるときは、安定待ち動作が終了したことを表し、当該フラグF4がF4=0であるときは、安定待ち動作が未だ終了していないことを表す。このステップS51は、安定待ち終了フラグF4がF4=1となるまで、つまり安定待ち動作が終了するまで、継続される。そして、安定待ち動作が終了すると、CPU32は、ステップS53に進む。
ステップS53において、CPU32は、上述した式8に基づいて最終重量値Wsを算出する。そして、ステップS55に進み、当該最終重量値Wsをディスプレイ20に表示する。なお、このディスプレイ20への最終重量値Wsの表示は、一定期間にわたって、例えば次の定量供給が開始される直前まで、行われる。また、最終重量値Wsは、図示しない印刷装置や選別装置等の外部装置に出力することも可能である。
ステップS55の実行後、CPU32は、ステップS57に進み、排出ゲート54を開放するようシリンダ38を制御し、つまり排出制御信号Scを生成する。これにより、計量ホッパ14内の被計量物100が当該計量ホッパ14から排出される。
そして、CPU32は、ステップS59に進み、F5というフラグがF5=1であるか否かを判定する。このフラグF5は、計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了したか否かを表す指標であり、これもまた、割込タスクによって管理される。例えば、この排出終了フラグF5がF5=1であるときは、計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了したことを表し、当該フラグF5がF5=0であるときは、被計量物100の排出が終了していないことを表す。このステップS59は、排出終了フラグF5がF5=1となるまで、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了するまで、継続される。そして、被計量物100の排出が終了すると、CPU32は、ステップS61に進み、排出ゲート54を閉鎖するようシリンダ38を制御する。
ステップS61の実行後、CPU32は、ステップS63に進み、F6というフラグがF6=1であるか否かを判定する。このフラグF6は、排出ゲート54が完全に閉鎖されたこと、言い換えれば一連(1回)の定量供給が終了したこと、を表す指標であり、これもまた、割込タスクによって管理される。例えば、この言わば1バッチ終了フラグF6がF6=1であるときは、一連の定量供給が終了したことを表し、当該フラグF6がF6=0であるときは、定量供給が終了していないことを表す。このステップS63は、1バッチ終了フラグF6がF6=1となるまで、つまり一連の定量供給が終了するまで、継続される。そして、一連の定量供給が終了すると、CPU32は、ステップS65に進む。
ステップS65において、CPU32は、全てのフラグF1,F2,F3,F4,F5およびF6に0を設定する。そして、ステップS67に進み、操作キー42の操作によって自動運転OFFの命令が入力された(または入力されている)か否かを判定する。このステップS67において、例えば、自動運転OFFの命令が入力されていない場合、CPU32は、改めて次の定量供給を開始するべく、図6のステップS5に戻る。一方、自動運転OFFの命令が入力された場合は、ステップS69に進み、割込タスクを終了する。これをもって、CPU32は、自動運転タスクを終了する。
続いて、割込タスクについて詳しく説明する。この割込タスクは、クロックパルスCLKの立ち上がり(または立ち下がり)に合わせて行われる。即ち、クロックパルスCLKの立ち上がりが到来すると、CPU32は、図9のステップS101に進む。そして、このステップS101において、上述の1バッチ終了フラグF6がF6=0であるか否か、つまり一連の定量供給が行われている最中であるか否か、を判定する。ここで、例えば、当該1バッチ終了フラグF6がF6=1である場合、つまり一連の定量供給が終了した場合は、一旦、この割込タスクを終了する。一方、1バッチ終了フラグF6がF6=0である場合、つまり一連の定量供給が行われている最中である場合は、ステップS103に進む。
ステップS103において、CPU32は、排出終了フラグF5がF5=0であるか否か、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が未了であるか否か、を判定する。ここで、例えば、当該排出終了フラグF5がF5=0である場合、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が未了である場合は、ステップS105に進む。なお、排出終了フラグF5がF5=1である場合、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了した場合については、後で詳しく説明する。
ステップS105に進むと、CPU32は、安定待ち終了フラグF4がF4=0であるか否か、つまり安定待ち動作が未だ終了していないか否か、を判定する。ここで、例えば、当該安定待ち終了フラグF4がF4=0である場合、つまり安定待ち動作が未了である場合は、ステップS107に進む。なお、安定待ち終了フラグF4がF4=1である場合、つまり安定待ち動作が終了した場合については、後で詳しく説明する。
ステップS107において、CPU32は、A/D変換回路26から入出力インタフェース回路30経由でデジタル荷重検出信号Wyを取得する。そして、ステップS109に進み、当該デジタル荷重検出信号Wyに基づいて重量測定値Wxを求める。
さらに、CPU32は、ステップS111に進み、安定待ち開始フラグF3がF3=0であるか否か、つまり安定待ち動作が未だ開始されていないか否か、を判定する。ここで、例えば、当該安定待ち開始フラグF3がF3=0である場合、つまり安定待ち動作が未開始である場合は、ステップS113に進む。なお、安定待ち開始フラグF3がF3=1である場合、つまり安定待ち動作が開始された(または開始されている)場合については、後で詳しく説明する。
ステップS113において、CPU32は、パラメータ切換フラグF2がF2=0であるか否か、つまり漸減段階におけるゲート開度Gxの制御パラメータが重量推定値Wx”から重量測定値Wxに切り換わる前であるか否か、を判定する。ここで、例えば、当該パラメータ切換フラグF2がF2=0であるとき、つまり漸減段階におけるゲート開度Gxの制御パラメータが重量推定値Wx”から重量測定値Wxに切り換わる前であるときは、ステップS115に進む。一方、パラメータ切換フラグF2がF2=1であるとき、つまり漸減段階におけるゲート開度Gxの制御パラメータが重量推定値Wx”から重量測定値Wxに切り換わった後のときは、一旦、この割込タスクを終了する。
ステップS115に進んだCPU32は、推定開始フラグF1がF1=0であるか否か、つまり供給済み重量値Wx’の推定(厳密には重量推定値Wx”の算出に必要な重量測定値wXの記憶)が開始されていないか否か、を判定する。ここで、例えば、当該推定開始フラグF1がF1=0であるとき、つまり供給済み重量値Wx’の推定が未開始であるときは、ステップS117に進む。そして、このステップS117において、上述のアドレスポインタAPに0という値を設定する。さらに、CPU32は、ステップS119に進み、今現在の重量測定値Wxを当該アドレスポインタAPの値に対応する推定用の重量測定値Wx[AP]として記憶する。そして、一旦、割込タスクを終了する。
一方、ステップS115において、推定開始フラグF1がF1=1であるとき、つまり供給済み重量値Wx’の推定が開始されている(または開始された)ときは、CPU32は、ステップS121に進む。そして、このステップS121において、上述したCmというカウンタのカウント値を1だけインクリメントする。なお、このカウント値Cmは、次に説明するように、重量測定値Wxの記憶周期Tdを測定するのに用いられる。
ステップS121の実行後、CPU32は、ステップS123に進み、上述の記憶周期Td測定用のカウント値Cmと当該記憶周期Tdの決定要素である整数mの値とを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Cmが整数mの値と等価(Cm=m)であるとき、つまり1回の記憶周期Tdが経過したときは、ステップS125に進む。一方、当該カウント値Cmが整数mの値と等価でない(Cm≠m;実際にはCm<m)とき、つまり1回の記憶周期Tdが未だ経過していないときは、一旦、この割込タスクを終了する。
ステップS125において、CPU32は、記憶周期Td測定用のカウント値Cmをリセットする。そして、ステップS127に進み、アドレスポインタAPの値を1だけインクリメントした後、当該アドレスポインタAPの値に対応する推定用重量測定値Wx[AP]を記憶するべく、上述のステップS119に進む。
なお、上述のステップS111において、安定待ち開始フラグF3がF3=1である場合、つまり安定待ち動作が開始された(または開始されている)場合は、CPU32は、図10のステップS129に進む。そして、このステップS129において、上述した式8に基づいて最終重量値Wsを算出するための図示しないシフトレジスタに今現在の重量測定値Wxを記憶する。
ステップS129の実行後、CPU32は、ステップS131に進む。そして、このステップS131において、上述のCsというカウンタのカウント値を1だけインクリメントする。なお、このカウント値Csは、次に説明するように、安定待ち時間Tsを測定するのに用いられる。
ステップS131の実行後、CPU32は、ステップS133に進み、上述の安定待ち時間Ts測定用のカウント値Csと安定待ち時間Ts(厳密には安定待ち時間TsをクロックパルスCLKの周期ΔTの整数倍に換算した値)とを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Csが安定待ち時間Tsの値と等価(Cs=Ts)であるとき、つまり安定待ち時間Tsが経過したときは、ステップS135に進む。一方、当該カウント値Csが安定待ち時間Tsの値と等価でない(Cs≠Ts;実際にはCs<Ts)とき、つまり安定待ち時間Tsが未だ経過していないときは、一旦、割込タスクを終了する。
ステップS135において、CPU32は、安定待ち終了フラグF4に1を設定する。そして、ステップS137に進み、安定待ち時間Ts測定用のカウント値Csをリセットして、一旦、割込タスクを終了する。
また、上述のステップS105において、安定待ち終了フラグF4がF4=1である場合、つまり安定待ち動作が終了した場合は、CPU32は、図10のステップS139に進む。そして、このステップS139において、上述したCgというカウンタのカウント値を1だけインクリメントする。なお、このカウント値Cgは、次に説明するように、排出ゲート54の開閉動作を管理するのに用いられ、詳しくは排出時間Tgおよび準備時間Thを測定するのに用いられる。
ステップS139の実行後、CPU32は、ステップS141に進み、上述の排出ゲート54管理用のカウント値Cgと排出時間Tg(厳密には排出時間TgをクロックパルスCLKの周期ΔTの整数倍に換算した値)とを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Cgが排出時間Tgの値と等価(Cg=Tg)である場合、つまり排出時間Tgが経過した場合は、ステップS143に進む。一方、当該カウント値Cgが排出時間Tgの値と等価でない(Cg≠Tg;実際にはCg<Tg)場合、つまり排出時間Tgが未だ経過していない場合は、一旦、割込タスクを終了する。
ステップS143において、CPU32は、排出終了フラグF5に1を設定する。そして、ステップS145に進み、排出ゲート54管理用のカウント値Cgをリセットして、一旦、割込タスクを終了する。
さらに、上述のステップS103において、排出終了フラグF5がF5=1である場合、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了した場合は、CPU32は、図10のステップS147に進む。そして、このステップS147において、排出ゲート54管理用のカウント値Cgを1だけインクリメントした後、ステップS149に進む。
ステップS149において、CPU32は、排出ゲート54管理用のカウント値Cgと準備時間Th(厳密には準備時間ThをクロックパルスCLKの周期ΔTの整数倍に換算した値)とを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Cgが準備時間Thの値と等価(Cg=Th)である場合、つまり準備時間Thが経過した場合は、ステップS151に進む。一方、当該カウント値Cgが準備時間Thの値と等価でない(Cg≠Th;実際にはCg<Th)場合、つまり準備時間Thが経過していない場合は、一旦、割込タスクを終了する。
ステップS151に進んだCPU32は、ここで、1バッチ終了フラグF6に1を設定する。そして、上述のステップS145に進み、排出ゲート54管理用のカウント値Cgをリセットして、割込タスクを終了する。
このようにCPU32が動作することによって、上述した高速かつ高精度な定量供給が実現される。
なお、本実施形態においては、図5を参照しながら説明したように、重量測定値Wxの記憶開始時点tf1から推定用重量値取得期間Tc(=n・Td)が経過した時点taで初めて重量推定値Wx”が得られる。言い換えれば、当該時点taよりも前には重量推定値Wx”が得られない。そこで、当該時点taよりも前に重量推定値Wx”が得られるようにするべく、次のような対策を講じてもよい。
即ち、図11に示すように、{n+1}個よりもp(p;1≦p<nを満足する整数)個だけ少ない{n+1−p}個の重量測定値Wxが記憶された時点、つまり重量測定値Wxの記憶開始時点tf1から推定用重量値取得期間Tcよりも短いTc’(={n−p}・Td<Tc)という期間が経過した時点ta’で、当該{n+1−p}個の重量測定値Wxに基づいて最初の重量推定値Wx”[1]が求められるようにする。この{n+1−p}個の重量測定値Wxに基づく重量推定値Wx”[1]の算出要領は、上述した{n+1}個の重量測定値Wxに基づく算出要領と同様である。そして、これ以降、{n+2−p}個,{n+3−p}個,…というように重量測定値Wxの数を1つずつ増やして、同様の要領で重量推定値Wx”[2],Wx”[3],…が順次求められるようにする。そして、重量測定値Wxの記憶数が{n+1}に到達した時点ta以降は、当該{n+1}個の重量測定値Wxに基づいて、重量推定値Wx”が求められるようにする。なお、図11は、整数nがn=8であり、減算分の整数pがp=3の場合を例示している。
また、これとは別に、例えば図12に示すように、初期振動成分を含む重量測定値Wxの極値Wxmax1,Wxmin1,…を利用して、最初の重量推定値Wx”[1]が求められるようにしてもよい。即ち、被計量物100の供給開始直後は、当該極値(位相)Wxmax1,Wxmin1,…が明確であるので、まず、このうちの第1極大値Wxmax1と第1極小値Wxmin1とを特定する。そして、これら第1極大値Wxmax1と第1極小値Wxmin1との間を{β:γ}という適当な比率で分割した値が、最初の重量推定値Wx”[1]として求められてもよい。つまり、次の式11に基づいて当該最初の重量推定値Wx”[1]が求められてもよい。
《式11》
Wx”[1]=Wxmin1+{γ/(β+γ)}・(Wxmax1−Wxmin1)
このようにすれば、第1極小値Wxmin1が特定された時点ta”(厳密にはこの時点ta”から多少の演算時間が経過した時点)で最初の重量推定値Wx”[1]が求められる。そして、この時点ta”が推定用重量値取得期間Tcの経過時点taよりも前であれば、当該推定用重量値取得期間Tcの経過時点taよりも前に最初の重量推定値Wx”[1]が得られることになる。なお、時点ta以降は、上述の如く{n+1}個の重量測定値Wxに基づいて重量推定値Wx”が求められるものとする。また、図12においては、当該時点taよりも後に第2極大値Wxmax2以降の極値Wxmax2,Wxmin2,…が現れるが、これらの極値Wxmax2,Wxmin2,…のいくつかが時点taよりも前に現れる場合には、それらのうちの互いに隣り合うものを利用して、2番目以降の重量推定値Wx”[2],Wx”[3],…が求められてもよい。例えば、第1極小値Wxmin1と第2極大値Wxmax2とを利用すれば、次の式12に基づくことで、2番目の重量推定値Wx”[2]が求められる。
《式12》
Wx”[2]=Wxmax2−{β/(β+γ)}・(Wxmax2−Wxmin1)
なお、{β:γ}という比率は、被計量物100の供給開始時点(tx=0)に近いうちは、βの値の方がγの値よりも大きい(β>γ)ものとし、例えば上述の式11においては{β:γ}={3:1}程度とするのが好ましい。そして、時間txが経過するに連れて、当該比率{β:γ}は{β:γ}={1:1}に近づくようにするのが好ましい。
さらに、本実施形態においては、漸減段階にあるとき、特にその前半期間(t01〜tf2)では、上述した式6に基づいてゲート開度Gxが制御されるようにしたが、これに限らない。例えば、当該式6に代えて、次の式13で表される2次関数式に基づいてゲート開度Gxが制御されてもよい。
《式13》
Gx=b1・Wx”2+b2・Wx”+b3
なお、この式13におけるb1,b2およびb3は、いずれも定数であり、次の3つの条件が満足されるように決定される。即ち、第1の条件として、重量推定値Wx”がWx”=W01であるときに、ゲート開度GxがGx=G01であることが、要求される。そして、この重量推定値Wx”がWx”=W01であるときのゲート開度G01が当該ゲート開度Gxの最大値であることが、第2の条件とされる。さらに、第3の条件として、重量推定値Wx”がWx”=W02であるときに、ゲート開度GxがGx=G02であることが、要求される。
そして、漸減段階の後半期間(tf2〜t02)についても、上述の式7に代えて、式6に準拠する次の式14に基づいてゲート開度Gxが制御されてもよい。なお、この式14は、式13における重量推定値Wx”を重量測定値Wxに置き換えたものであり、これ以外は、各定数b1,b2およびb3を含め、当該式13と同じである。
《式14》
Gx=b1・Wx2+b2・Wx+b3
このように、式6および式7に代えて、式13および式14に基づくことによっても、当該式6および式7に基づくときと同様にゲート開度Gxが制御される。
これとは別に、漸減段階の前半期間(t01〜tf2)では、次の式15で表される3次関数式に基づいてゲート開度Gxが制御され、後半期間(tf2〜t02)では、当該式15に準拠する式16に基づいてゲート開度Gxが制御されてもよい。
《式15》
Gx=c1・Wx”3+c2・Wx”2+c3・Wx”+c4
《式16》
Gx=c1・Wx3+c2・Wx2+c3・Wx+c4
なお、これらの式15および式16におけるc1,c2,c3およびc4は、いずれも定数であり、次の4つの条件が満足されるように決定される。即ち、第1の条件として、式15における重量推定値Wx”がWx”=W01であるときに、ゲート開度GxがGx=G01であることが、要求される。そして、この重量推定値Wx”がWx”=W01であるときのゲート開度G01が当該ゲート開度Gxの最大値であることが、第2の条件とされる。さらに、第3の条件として、重量推定値Wx”がWx”=W02であるときに、ゲート開度GxがGx=G02であることが、要求される。そして、この重量推定値Wx”がWx”=W02であるときのゲート開度G02が当該ゲート開度Gxの最小値であることが、第4の条件とされる。式16についても、同じ定数c1,c2,c3およびc4が適用される。
これらの式15および式16に基づく制御によれば、ゲート開度Gxは、時間txの経過に対して概略S字状に推移する。詳しくは、経過時間txに対するゲート開度Gxの変化率、言わば漸減速度dGx/dtxが、最初はまず漸増し、その後、漸減するように、当該ゲート開度Gxが推移する。これにより、特に、漸減段階から小供給段階に切り換わる時点t02でのゲート開度Gxの変化が連続的(スムーズ)になり、当該切り換わり時点t02前後の被計量物100の供給量Q差が低減される。この結果、当該切り換わり時点t02での振動成分の発生が抑制される。これは、小供給時間T0のさらなる短縮化、ひいては当該小供給時間T0を含む供給時間全体のさらなる短縮化、に大きく貢献する。
また、本実施形態においては、樹脂ペレットやグラニュー糖のように流動性の高い粉粒状の被計量物100を取り扱う定量計量装置10を例に挙げたが、これに限らない。例えば、当該樹脂ペレットやグラニュー糖よりも流動性の低い被計量物や、粘性のある被計量物等を取り扱う装置にも、本発明を適用することができる。特に、粘性のある被計量物を取り扱う場合には、当該被計量物がスクリューフィーダによって溜めホッパから計量ホッパへ供給される構成であってもよい。
加えて、本実施形態においては、溜めホッパ12の下方に計量ホッパ14が配置され、この計量ホッパ14に付属されたロードセル18等の荷重センサの出力Wyに基づいて、当該計量ホッパ14内の被計量物100の供給済み重量値Wx’が測定される構成を例に挙げたが、これに限らない。例えば、溜めホッパ12側にロードセル18等の荷重センサが設けられ、この荷重センサの出力に基づいて、当該溜めホッパ12から排出された被計量物100の排出済み重量値が測定される構成に、本発明を適用してもよい。
さらに、開閉ゲート16を駆動する手段として、サーボモータ44を採用したが、これに限らない。例えば、当該サーボモータ44に代えて、ステッピングモータを採用してもよい。この場合、サーボアンプ回路36に代えて、ステッピングモータ用のドライブ回路が用いられる。また、回転角度検出手段としてのポテンショメータ52が不要となる。従って、図1に示した構成に比べて、定量供給装置10全体の構成が簡素化される。ただし、ステッピングモータの脱調を防ぐために、特に、当該ステッピングモータの駆動時における回転速度(ステップ数)を徐々に変化させる等の適宜の工夫が必要になる。そして、ステッピングモータ等のモータ以外にも、上述したシリンダ38のような他の駆動手段を採用してもよい。
また、大供給段階、中供給段階としての漸減段階および小供給段階という3つの段階に分けて被計量物100が供給される場合について説明したが、これに限らない。例えば、漸減段階および小供給段階の2段階で被計量物100が供給されてもよいし、4段階以上のより多くの段階に分けて被計量物100が供給されてもよい。いずれにしても、初期振動成分の影響や、被計量物100の性状等の諸状況が変化することによる影響を受けないように、ゲート開度Gxの制御パラメータを重量推定値Wx”と重量測定値Wxとに適宜に切り換えることが、肝要である。