以下、添付図面に従って本発明に係るノズル面清掃装置及び液滴吐出装置の好ましい実施の形態について詳説する。
なお、ここでは、液滴吐出装置として、枚葉紙に画像を記録するインクジェット記録装置を例に説明する。
≪インクジェット記録装置の画像記録部の構成≫
図1は、インクジェット記録装置の画像記録部の概略構成を示す側面図である。
同図に示すように、本実施の形態のインクジェット記録装置の画像記録部10は、メディア(枚葉紙)12を画像記録ドラム14によってドラム搬送する。そして、その画像記録ドラム14による搬送過程でC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロ)、K(クロ)の各色のインクの液滴を画像記録ドラム14の周囲に配設されたインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kから吐出させて、メディア12の表面にカラー画像を画像記録する。
画像記録ドラム14は、その回転軸18の両端部を一対の軸受22に軸支されて回転自在に設けられている(図2参照)。一対の軸受22は、インクジェット記録装置の本体フレーム20に設けられており、この一対の軸受22に回転軸18の両端部が軸支されることにより、画像記録ドラム14は水平に取り付けられる(水平な設置面に対して回転軸18が平行に取り付けられる。)。
画像記録ドラム14の回転軸18には、図示しない回転伝達機構を介してモータが連結されている。画像記録ドラム14は、このモータに駆動されて回転する。
また、画像記録ドラム14の周面には、メディア12の先端部を把持するグリッパ24が設けられている(本例では、外周面上の2カ所に設置されている。)。メディア12は、このグリッパ24に先端部を把持されて、画像記録ドラム14の外周面上に保持される。
また、この画像記録ドラム14には、図示しない吸着保持機構(たとえば、静電吸着、真空吸着)が備えられている。先端部をグリッパ24に把持されて、画像記録ドラム14の外周面上に巻き掛けられたメディア12は、その裏面部を吸着保持機構によって吸着されて、画像記録ドラム14の外周面上に保持される。
なお、本実施の形態のインクジェット記録装置において、メディア12は、前段の工程から搬送ドラム26を介して、画像記録ドラム14に受け渡される。搬送ドラム26は、画像記録ドラム14に並列して配置されており、タイミングを合わせて、画像記録ドラム14にメディア12を受け渡す。
また、画像記録後のメディア12は、搬送ドラム28を介して、後段の工程に受け渡される。搬送ドラム28は、画像記録ドラム14に並列して配置されており、タイミングを合わせて、画像記録ドラム14からメディア12を受け取る。
4本のインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、メディア幅に対応したラインヘッドで構成されており、画像記録ドラム14の回転軸18を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置されている。
なお、本例では、4本のインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、画像記録ドラム14を挟んで左右対称になるように配置されている。すなわち、画像記録ドラム14の中心を通る鉛直な線分に対してシアンのインクジェットヘッド16Cとクロのインクジェットヘッド16Kとが左右対称に配置されるとともに、マゼンタのインクジェットヘッド16Mとイエロのインクジェットヘッド16Yとが左右対称に配置されている。
このように配置された各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、それぞれその下端部に形成されたノズル面30C、30M、30Y、30Kが、画像記録ドラム14の外周面に対向して配置されるとともに、それぞれそのノズル面30C、30M、30Y、30Kが、画像記録ドラム14の外周面から所定高さの位置に位置する(画像記録ドラム14の外周面とノズル面30C、30M、30Y、30Kとの間に同じ量のギャップが形成される。)。また、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kに形成されたノズル列が、メディア12の搬送方向と直交して配置される。
そして、このように配置された各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kからは、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kに形成されたノズルから画像記録ドラム14の外周面に向けて垂直にインクの液滴が吐出される。
図3は、インクジェットヘッドのノズル面の平面透視図である。また、図4は、インクジェットヘッドの下端領域の側面図である。
なお、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの構成は共通しているので、ここではインクジェットヘッド16として、そのノズル面30(30C、30M、30Y、30K)の構成を説明する。
同図に示すように、ノズル面30は、長方形状に形成され、その幅方向(メディア搬送方向)の中央部に一定幅を有するノズル形成領域30Aが形成され、そのノズル形成領域30Aを挟んでノズル保護領域30Bが対称に形成される。
ノズル形成領域30Aは、ノズルが形成される領域であり、その表面には所定の撥液処理が施されている(撥液膜が被覆されている)。
ここで、図3に示すように、本実施の形態のインクジェットヘッド16は、いわゆるマトリックスヘッドで構成され、ノズルNがノズル形成領域30Aに二次元マトリクス状に配置される。より具体的には、メディア12の搬送方向に対して所定角度傾斜した方向に複数のノズルNが一定ピッチで配置されたノズルの列が形成されるとともに、そのノズルの列がメディア12の搬送方向と直交する方向(ヘッドの長手方向)に一定ピッチで多数配列される。このようなノズルの配置構成とすることにより、ヘッドの長手方向(メディア12の搬送方向と直交する方向)に投影される実質的なノズルNの間隔を狭めることができ、ノズルNの高密度化を図ることができる。
なお、マトリックスヘッドでは、このヘッドの長手方向に投影されるノズルの列が実質的なノズル列とされる。
ノズル形成領域30Aの両側に配置されるノズル保護領域30Bは、ノズル形成領域30Aを保護するための領域であり、ノズル形成領域30Aは、このノズル保護領域30Bから所定量退避して凹状に形成されている(0.2mm程度)。
なお、本実施の形態のインクジェットヘッド16は、ノズル形成領域30Aにのみ撥液処理が施される(ノズル保護領域30Bには撥液処理は施されない)。この場合、ノズル保護領域30Bに液体が付着すると、液体はノズル保護領域30Bに濡れ広がる。
また、本実施の形態のインクジェットヘッド16は、いわゆるピエゾ方式でノズルNからインクの液滴を吐出させる。すなわち、ノズル面30に形成された各ノズルNは、それぞれ圧力室Pに連通されており、この圧力室Pの壁面をピエゾ素子で振動させることにより、圧力室Pの容積を拡縮させて、ノズルNからインクの液滴を吐出させる。
なお、インクの吐出方式は、これに限らずサーマル方式で吐出させる構成とすることもできる。
画像記録部10は、以上のように構成される。この画像記録部10において、メディア12は、前段の工程から搬送ドラム26を介して画像記録ドラム14に受け渡され、画像記録ドラム14の周面に吸着保持されて回転搬送される。そして、その搬送過程で各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの下を通過し、その通過時に各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kから吐出されたインクの液滴が記録面に打滴されて、記録面にカラー画像が形成される。画像が記録されたメディア12は、画像記録ドラム14から搬送ドラム28に受け渡され、後段の工程へと搬送される。
さて、以上のように構成される画像記録部10において、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、図2に示すように、ヘッド支持フレーム40に取り付けられて、画像記録ドラム14の周囲に配置される。
ヘッド支持フレーム40は、画像記録ドラム14の回転軸18と直交して設けられた一対のサイドプレート42L、42Rと、その一対のサイドプレート42L、42Rを上端部で連結する連結フレーム44とで構成されている。
一対のサイドプレート42L、42Rは、板状に形成されており、画像記録ドラム14を挟んで互いに対向するように配置されている。この一対のサイドプレート42L、42Rの内側には、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kを取り付けるための取付部46C、46M、46Y、46Kが設けられている(図2では、便宜上、取付部46Yのみ図示)。
取付部46C、46M、46Y、46Kは、画像記録ドラム14の回転軸18を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置されている。各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その両端に形成された被取付部48C、48M、48Y、48K(図2では、便宜上、被取付部48Yのみ図示)を取付部46C、46M、46Y、46Kに固定することにより、ヘッド支持フレーム40に取り付けられる。そして、このヘッド支持フレーム40に取り付けられることにより、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、画像記録ドラム14の回転軸18を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置される。
ヘッド支持フレーム40は、図示しないガイドレールにガイドされて、画像記録ドラム14の回転軸18と平行にスライド移動自在に設けられている。そして、図示しないリニア駆動機構(たとえば、送りネジ機構など)に駆動されて、図2に実線で示す「画像記録位置」と図2に破線で示す「メンテナンス位置」との間を移動する。
各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、ヘッド支持フレーム40を画像記録位置に位置させると、画像記録ドラム14の周囲に配置され、画像記録可能な状態になる。
メンテナンス位置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが画像記録ドラム14から退避する位置に設定される。このメンテナンス位置には、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kを保湿するための保湿ユニット50が設けられる。
保湿ユニット50には、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面を覆うキャップ52C、52M、52Y、52K(図2では、便宜上、キャップ52Yのみ図示)が備えられている。装置を長時間停止する場合などは、このキャップ52C、52M、52Y、52Kでノズル面が覆われる。これにより、乾燥による不吐出が防止される。
なお、このキャップ52C、52M、52Y、52Kには、図示しない加圧・吸引機構が備えられており、ノズル内を加圧・吸引できるように構成されている。
また、このキャップ52C、52M、52Y、52Kには、図示しない洗浄液供給機構が備えられており、内部に洗浄液を供給できるように構成されている。
キャップ52C、52M、52Y、52Kの下方位置には廃液トレイ54が配置されている。キャップ52C、52M、52Y、52Kに供給された洗浄液は、この廃液トレイ54に廃棄され、廃液回収配管56を介して廃液タンク58に回収される。
画像記録位置とメンテナンス位置との間には、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを清掃するためのノズル面清掃装置60が設けられている。各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、メンテナンス位置から画像記録位置に移動する過程で、このノズル面清掃装置60によってノズル面30C、30M、30Y、30Kが清掃される。
以下、このノズル面清掃装置60の構成について説明する。
≪ノズル面清掃装置の構成≫
≪第1の実施の形態≫
図2に示すように、ノズル面清掃装置60は、洗浄液付与装置62と払拭装置(液体除去装置)64とを備えて構成されている。
洗浄液付与装置62は、メンテナンス位置から画像記録位置に向かって移動する各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を付与する。
払拭装置64は、洗浄液が付与された各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブを押圧当接させて、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭する払拭装置64する。
洗浄液付与装置62と払拭装置64は、ヘッド支持フレーム40の移動経路上に配置される。この際、洗浄液付与装置62が払拭装置64に対してメンテナンス位置側に配置される。これにより、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kをメンテナンス位置から画像記録位置に移動させた際、洗浄液の付与後に払拭ウェブでノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することが可能になる。
≪洗浄液付与装置の構成≫
図5は、洗浄液付与装置をメンテナンス位置側から見た側面図である。
洗浄液付与装置62は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kに対応して設けられた洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kと、その洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kが搭載されるベース72とで構成され、保湿ユニット50に備えられた廃液トレイ54の内側に設置される(図2参照)。
〈ベースの構成〉
ベース72は、水平に設置されており、図示しない昇降装置によって昇降自在に設けられている。このベース72の上面部分には、洗浄液付与ユニット取付部72C、72M、72Y、72Kが形成されている。各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kは、このベース72に形成された洗浄液付与ユニット取付部72C、72M、72Y、72Kにボルト等で固定されて、所定位置に取り付けられる。そして、このベース72に取り付けられることにより、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kは、対応するインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動経路上に配置される(画像記録位置からメンテナンス位置への移動経路上に配置される。)。
〈洗浄液付与ユニットの構成〉
次に、洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kの構成について説明する。
なお、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kの基本構成は共通しているので、ここでは洗浄液付与ユニット70として、その構成を説明する。
図6、図7は、それぞれ洗浄液付与ユニットの正面図と側面図である。
同図に示すように、洗浄液付与ユニット70は、ノズル面30に洗浄液を付与する洗浄液付与ヘッド74と、ノズル面30から落ちる洗浄液を回収する洗浄液回収皿76とを備えて構成されている。
洗浄液回収皿76は、上部が開口した矩形の箱状に形成されている。洗浄液付与ヘッド74は、この洗浄液回収皿76の内部に垂直に立設される。
洗浄液付与ヘッド74は、上面が傾斜した四角いブロック状に形成されており、その上部に傾斜した洗浄液保持面74Aを有している。この洗浄液保持面74Aは、清掃対象とするヘッドのノズル面30と同じ傾斜角度で形成されており、ノズル面30の幅(メディア搬送方向の幅)よりも若干広い幅をもって形成されている。
洗浄液保持面74Aの上部近傍には、洗浄液噴出口78が形成されており、この洗浄液噴出口78から洗浄液が流れ出る。洗浄液噴出口78から流れ出た洗浄液は、傾斜した洗浄液保持面74Aを流れ落ちる。これにより、洗浄液保持面74Aの上に洗浄液の層(膜)が形成される。インクジェットヘッド16は、この洗浄液保持面74Aの上に形成される洗浄液の層にノズル面30を接触させることにより、ノズル面30に洗浄液が付与される。
洗浄液付与ヘッド74の内部には、洗浄液噴出口78に連通する供給流路80が形成されている。この供給流路80は、洗浄液回収皿76に形成された連通流路76Aに連通されており、連通流路76Aは、洗浄液回収皿76に形成された洗浄液供給口76Bに連通されている。洗浄液付与ヘッド74は、この洗浄液供給口76Bに洗浄液が供給されることにより、洗浄液噴出口78から洗浄液が流れ出る。
なお、この洗浄液付与ヘッド74への洗浄液の供給系については、後に詳述する。
洗浄液回収皿76は、上記のように上部が開口した矩形の箱状に形成されている。この洗浄液回収皿76の底部は、傾斜して形成されており、その傾斜方向の下端部に回収穴88が形成されている。この回収穴88は、洗浄液回収皿76の内部に形成された回収流路76Cを介して、洗浄液回収皿76の側面部に形成された洗浄液排出口76Dに連通されている。
洗浄液付与ヘッド74の洗浄液噴出口78から噴出させた洗浄液は、洗浄液保持面74Aから流れ落ちて洗浄液回収皿76に回収される。この洗浄液回収皿76で回収された洗浄液は、払拭装置64へと導かれ、廃液のフラッシングに供される。この点については、のちに詳述する。
洗浄液付与ユニット70(70C、70M、70Y、70K)は、以上のように構成される。そして、この洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kが、ベース72に形成された洗浄液付与ユニット取付部72C、72M、72Y、72Kに取り付けられることにより、洗浄液付与装置62が構成される。
なお、洗浄液付与装置62の動作は、図示しない制御装置によって制御される。制御装置は、昇降装置、洗浄液供給ポンプ312等の駆動を制御して、洗浄液付与装置62による洗浄液の付与動作を制御する。
また、洗浄液としては、たとえば、ジエチレンモノブチルエーテルを主成分とする洗浄液が用いられる。この種の洗浄液をノズル面30に付与することで、ノズル面30に付着したインク由来の固着物を溶解し除去しやすくすることができる。
〈洗浄液付与装置の作用〉
次に、以上のように構成された洗浄液付与装置62による洗浄液の付与動作について説明する。
洗浄液付与装置62は、インクジェットヘッド16(16C、16M、16Y、16K)がメンテナンス位置から画像記録位置に移動する過程でヘッドのノズル面30(30C、30M、30Y、30K)に洗浄液を付与する。具体的には、次のように洗浄液を付与する。
洗浄液付与装置62は、全体が昇降自在に設けられている。清掃時以外、洗浄液付与装置62は、所定の待機位置に位置している。清掃時、洗浄液付与装置62は、待機位置から所定量上昇して、所定の作動位置に移動する。
洗浄液付与装置62が、作動位置に移動すると、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kが、所定の洗浄液付与位置にセットされる。これにより、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kに備えられた洗浄液付与ヘッド74によって各ヘッドのノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を付与することが可能になる。すなわち、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kが、洗浄液付与位置にセットされると、洗浄液付与ヘッド74の洗浄液保持面74Aを流れる洗浄液が、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに接触する位置(洗浄液保持面74Aとノズル面30C、30M、30Y、30Kとのギャップが所定範囲になる位置)に各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kがセットされる。
各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kが、所定の洗浄液付与位置にセットされると、制御装置は、リニア駆動機構を駆動して、ヘッド支持フレーム40をメンテナンス位置から画像記録位置に向けて所定の移動速度で移動させる。
その一方で制御装置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kの洗浄液付与ヘッド74に到達するタイミングに合わせて、洗浄液供給ポンプ312を駆動する。これにより、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kに備えられた洗浄液付与ヘッド74の洗浄液噴出口78から洗浄液が所定の流量で流れ出る。洗浄液噴出口78から流れ出た洗浄液は、洗浄液保持面74Aを流れ落ちる。これにより、洗浄液保持面74Aの上に洗浄液の層(膜)が形成される。
画像記録位置に向かうインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、この洗浄液付与ヘッド74を通過する際、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kが、洗浄液付与ヘッド74の洗浄液保持面74Aの上に形成された洗浄液の層に接触する。これにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液が付与される。
≪払拭装置の構成≫
図8は、払拭装置をメンテナンス位置側から見た側面図である。
同図に示すように、払拭装置64は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kに対応して設けられた払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kと、その払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kがセットされるラック102とで構成されている。
〈ラックの構成〉
ラック102は、水平に設置されており、図示しない昇降装置によって昇降自在に設けられている。このラック102は、上端部が開口した箱状に形成されており、その内部に各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを装着するための装着部104C、104M、104Y、104Kが形成されている。各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kは、各装着部104C、104M、104Y、104Kの上端開口部から鉛直下向きに差し込むことにより、各装着部104C、104M、104Y、104Kにセットされる。
〈払拭ユニットの構成〉
次に、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの構成について説明する。
なお、各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの基本構成は共通しているので、ここでは払拭ユニット100として、その構成を説明する。
図9は払拭ユニットの平面図、図10は払拭ユニットを画像記録位置側から見た側面図、図11は払拭ユニットの側面部分断面図、図12は払拭ユニットの正面部分断面図、図13は払拭ユニットの背面図である。
図9〜図13に示すように、払拭ユニット100は、傾斜して設置された押圧ローラ118に帯状に形成された払拭ウェブ110を巻き掛け、この押圧ローラ118に巻き掛けた払拭ウェブ110をインクジェットヘッドのノズル面に押圧当接させることにより、インクジェットヘッドのノズル面を払拭清掃する。
この払拭ユニット100は、ケース112と、払拭ウェブ110を繰り出す繰出軸114と、払拭ウェブ110を巻き取る巻取軸116と、繰出軸114から繰り出された払拭ウェブ110が押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする前段ガイド120と、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が巻取軸116に巻き取られるようにガイドする後段ガイド122と、払拭ウェブ110を駆動する駆動ローラ124とを備えて構成されている。
ケース112は、ケース本体126と蓋128とで構成されている。ケース本体126は、縦方向に長い長方形の箱状に形成されており、上端部と前面部とが開口して形成されている。蓋128は、ヒンジ130を介して、ケース本体126の前面部に取り付けられている。ケース本体126は、この蓋128によって前面部が開閉される。
なお、蓋128には弾性変形可能なロック爪132が設けられており、このロック爪132をケース本体126に形成された爪受部134に弾性変形させて係合させることにより、ケース本体126に固定される。
繰出軸114は、水平に配設されており、その基端部をケース本体126に設けられた軸受部136に回動自在に支持されている。この繰出軸114には、基端部にフランジ138aを有する繰出リール138が装着されている。繰出リール138は、繰出軸114に固定して取り付けられており、繰出軸114と一体的に回転する。
後述するように、巻芯110Aにロール状に巻回された払拭ウェブ110は、この繰出リール138に巻芯110Aを嵌め込むことにより、繰出軸114に装着される。
払拭ウェブ110には、たとえば、PET、PE、NY等で形成された極微細な編み又は織りからなる帯状の払拭ウェブ110が用いられる。
巻取軸116は、繰出軸114の下方位置に水平に配設されている。すなわち、巻取軸116と繰出軸114とは、上下に並列して配置されている。この巻取軸116は、その基端部近傍をケース本体126に設けられた軸受部140に回動自在に支持されている。
巻取軸116には、基端部にフランジ142aを有する巻取リール142が取り付けられている。この巻取リール142は、軸部の内周に滑り部材144が取り付けられており、回転方向に一定以上の負荷が掛かると、巻取軸116に対して滑るように構成されている。後述するように、払拭ウェブ110の先端に取り付けられた巻芯110Bは、この巻取リール142に嵌め込むことにより、巻取軸116に装着される。また、この巻取軸116は、基端部がケース本体126の外側に突出して設けられている。そして、その突出した基端部に巻取ギア158が固着されている。巻取軸116は、この巻取ギア158が回転駆動されることにより回転する。なお、この駆動システムについては後述する。
押圧ローラ118は、繰出軸114の上方に配置されており(本例では、押圧ローラ118と繰出軸114と巻取軸116とが同一直線上に配置されている。)、水平面に対して所定角度傾斜して配置されている。すなわち、この押圧ローラ118は、払拭ウェブ110をインクジェットヘッド16のノズル面30に押圧当接させるものであるため、清掃の対象とするインクジェットヘッド16のノズル面30の傾きに合わせて配置されている(ノズル面と平行に配置されている)。
また、押圧ローラ118は、清掃の対称とするインクジェットヘッド16のノズル面30の断面形状に倣って中央部が拡径して形成されている(図14参照)。すなわち、本実施の形態のインクジェットヘッド16は、ノズル面30の中央部(ノズル形成領域30A)が凹状に退避して形成されているので、この凹状に形成されたノズル面30に対応して中央部が凸状に突出して形成されている。より具体的には、凹状に退避したノズル形成領域30Aに対応する領域(払拭時に当接する領域)が、その退避量に対応して突出(拡大)して形成されている。これにより、凹状に退避して形成されたノズル形成領域30Aに適切に払拭ウェブ110を当接させることができる。
押圧ローラ118は、その両端部に軸部118L、118Rが突出して設けられており、この軸部118L、118Rを一対の軸支持部146L、146Rに軸支されて、回動自在かつ揺動自在に支持されている。
図14は、押圧ローラ118の軸部を支持する軸支持部の構成を示す正面部分断面図であり、図15は、その15−15断面図である。
同図に示すように、軸支持部146L、146Rは、水平に設けられた昇降ステージ170の上に設けられている。この軸支持部146L、146Rは、ともに昇降ステージ170に垂直に立設された柱部150L、150Rと、その柱部150L、150Rの先端に屈曲して設けられた支持部152L、152Rとで構成されている。
支持部152L、152Rは、押圧ローラ118の軸と直交するように設けられており、その内側に凹部154L、154Rが形成されている。凹部154L、154Rは、押圧ローラ118の軸部118L、118Rの幅とほぼ同じ幅を有する長方形状に形成されており、清掃の対象とするインクジェットヘッドのノズル面に対して直交して形成されている(図15参照)。押圧ローラ118は、その両端の軸部118L、118Rが、この支持部152L、152Rの凹部154L、154Rに遊嵌されている。この結果、押圧ローラ118は、清掃の対象とするインクジェットヘッドのノズル面に対して直交する面内で揺動自在に支持される。
凹部154L、154Rの内側には、バネ156L、156Rが収容されており、凹部154L、154R内に遊嵌された押圧ローラ118の軸部118L、118Rは、このバネ156L、156Rによって上方に付勢されている。これにより、清掃の対象とするインクジェットヘッドのノズル面に倣って、押圧ローラ118の周面をノズル面に密着させることができる。
前段ガイド120は、第1前段ガイド160と、第2前段ガイド162とで構成され、繰出軸114から繰り出された払拭ウェブ110が、傾斜して設置された押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする。
一方、後段ガイド122は、第1後段ガイド164と、第2後段ガイド166とで構成され、傾斜して設置された押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が、水平に設置された巻取軸116に巻き取れるようにガイドする。
この前段ガイド120と後段ガイド122は、押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。すなわち、第1前段ガイド160と第1後段ガイド164とが押圧ローラ118を挟んで対称に配置されるとともに、第2前段ガイド162と第2後段ガイド166とが押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。
第1前段ガイド160は、所定の幅を有する板状に形成されており、昇降ステージ170の上に垂直に立設されている。この第1前段ガイド160は、上縁部160Aが、払拭ウェブ110の巻き掛け部として形成されており、その表面が円弧状に形成されている。また、この上縁部160Aは、水平面に対して所定角度傾斜して形成されており、これにより、払拭ウェブ110の走行方向が変換される。
第1後段ガイド164は、第1前段ガイド160と同じ構成である。すなわち、所定の幅を有する板状に形成されており、昇降ステージ170の上に垂直に立設されている。そして、その上縁部164Aが、払拭ウェブ110の巻き掛け部として形成され、円弧状に形成されるとともに、水平面に対して所定角度傾斜して形成されている。
この第1前段ガイド160と第1後段ガイド164とが、押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。繰出軸114から繰り出された払拭ウェブ110は、第1前段ガイド160に巻き掛けられることにより、繰出軸114と直交する方向から押圧ローラ118と略直交する方向に方向転換される。また、後述する第2後段ガイド166に巻き掛けられた払拭ウェブ110は、第1後段ガイド164に巻き掛けられることにより、巻取軸116と直交する方向に方向転換される。
第2前段ガイド162は、両端部にフランジ162L、162Rを有するガイドローラとして構成されている。この第2前段ガイド162は、第1前段ガイド160と押圧ローラ118との間に配置され、第1前段ガイド160に巻き掛けられた払拭ウェブ110が、押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする。すなわち、第1前段ガイド160によって押圧ローラ118と略直交する方向に方向転換された払拭ウェブ110が、押圧ローラ118と直交する方向に走行するように、払拭ウェブ110の走行方向を微調整する。また、両端のフランジ162L、162Rによって、払拭ウェブ110の斜行を防止する。
この第2前段ガイド162は、一端をブラケット168Aに片持ち支持されて、所定角度傾斜して設けられている。ブラケット168Aは、図13及び図16に示すように、先端が屈曲したプレート状に形成されており、その基端部がケース本体126の背面上端部に固定されている。そして、そのケース本体126の上端部から上方に向けて垂直に突出して設けられている。第2前段ガイド162は、このブラケット168Aの先端の屈曲部に片持ち支持されて回動自在に支持されている。
第2後段ガイド166は、第2前段ガイド162と同じ構成である。すなわち、両端部にフランジ166L、166Rを有するガイドローラとして構成され、一端をブラケット168Bに片持ち支持されて、所定角度傾斜して設けられている。ブラケット168Bは、先端が屈曲したプレート状に形成されており、その基端部がケース本体126の背面上端部に固定されている。第2後段ガイド166は、このブラケット168Bの先端の屈曲部に片持ち支持されて回動自在に支持されている。
この第2後段ガイド166は、押圧ローラ118と第1後段ガイド164との間に配置され、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が、第1後段ガイド164に巻き掛けられるようにガイドする。
この第2前段ガイド162と第2後段ガイド166とが、押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。第1前段ガイド160によって押圧ローラ118と略直交する方向に方向転換された払拭ウェブ110は、第2前段ガイド162に巻き掛けられることにより、押圧ローラ118と直交する方向に走行するように、走行方向が微調整される。また、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110は、第1後段ガイド164に巻き掛けられるように、第2後段ガイド166によって走行方向が微調整される。そして、第1後段ガイド164に巻き掛けられることにより、巻取軸116と直交する方向に方向転換される。
このように、前段ガイド120と後段ガイド122は、段階的に払拭ウェブ110の走行方向を切り換えることにより、払拭ウェブ110が、無理なく押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする。
このため、第1前段ガイド160の傾斜角度に比べて第2前段ガイド162の傾斜角度は押圧ローラ118の傾斜角度に近い角度となっており、同様に、第1後段ガイド164の傾斜角度に比べて第2後段ガイド166の傾斜角度は押圧ローラ118の傾斜角度に近い角度となっている。
ところで、上記のように、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164(第1構造体:第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164とで構成)は、それぞれ昇降ステージ170の上に設けられている。この昇降ステージ170は、水平面に対して垂直方向に昇降移動自在に設けられている。
図11に示すように、昇降ステージ170には、その下部にガイド軸172が一体的に取り付けられている。ガイド軸172は、昇降ステージ170の下面部から鉛直下向きに延びており、ケース本体126内に配置されたガイドブッシュ174に嵌合されている。ガイドブッシュ174は、支持部材176を介してケース本体126の内壁面に固定されており、ガイド軸172を水平面に対して垂直にガイドする。
このように、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164が設けられた昇降ステージ170は、水平面に対して垂直に昇降自在に設けられている。このため、図17に示すように、この昇降ステージ170を昇降移動させることにより、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164とを、固定して設置された第2前段ガイド162と第2後段ガイド166(第2構造体:第2前段ガイド162と第2後段ガイド166とで構成)に対して、進退移動させることができる。これにより、払拭ウェブ110の交換を簡単に行うことができる。
すなわち、昇降ステージ170を下降させることにより、図17(b)に示すように、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164を、第2前段ガイド162と第2後段ガイド166とに対して下方へ退避させることができ、その間のスペースを大きく確保することができる。これにより、各部への払拭ウェブ110の巻き掛け作業を簡単に行うことができる。また、各部に払拭ウェブ110を巻き掛ける場合は、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164を下方に退避させた状態で、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164に払拭ウェブ110を巻き掛け、その後、昇降ステージ170を上昇させるだけで済む。すなわち、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164に払拭ウェブ110を巻き掛け、その後、昇降ステージ170を上昇させると、図17(a)に示すように、自動的に第2前段ガイド162と第2後段ガイド166とに払拭ウェブ110が巻き掛けられる。
このように、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164を、第2前段ガイド162と第2後段ガイド166に対して、進退可能とすることにより、払拭ウェブ110の交換作業を簡単に行うことができる。
なお、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164は、使用に際して、所定の使用位置(図17(a)の位置)に位置させる必要があるが、この第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164の使用位置への移動は、ラック102への払拭ユニット100の装着に連動して行われる。
ここで、この連動機構について説明する。図11及び図13に示すように、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164とが設けられた昇降ステージ170には、背部に昇降レバー(係合部)178が設けられている。この昇降レバー178は、ケース本体126の背面に形成された切欠き部180を介してケース本体126の背面から突出して設けられている。昇降ステージ170は、この昇降レバー178をスライドさせることにより、昇降移動する。
一方、図18に示すように、払拭ユニット100がセットされるラック102の装着部104C、104M、104Y、104Kには、その内側にピン(被係合部)182が突出して設けられている。このピン182は、払拭ユニット100が、装着部104に装着されると、払拭ユニット100に設けられた昇降レバー178に係合するように設けられている。
以上の構成により、図18に示すように、払拭ユニット100をラック102の装着部104に差し込むと、昇降レバー178がピン182に係合し、強制的に所定位置まで上昇させられる。この結果、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164とが、所定の使用位置に位置決めされる。
このように、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164の使用位置への移動は、ラック102への払拭ユニット100の装着に連動して行われる。
駆動ローラ124は、第1後段ガイド164の下方位置であって、ケース本体126の底部近傍に配置されている。この駆動ローラ124は、第1後段ガイド164によって巻取軸116と直交する方向に方向転換された払拭ウェブ110が、巻取軸116に巻き取られるように駆動力を与えながらガイドする。
この駆動ローラ124は、巻取軸116と平行(=水平面と平行)に設けられており、その回転軸をケース本体126に設けられた軸受部184に回動自在に支持されている。回転軸は、基端部がケース本体126の外側に突出して設けられており、その突出した基端部には、ローラ駆動ギア186が固着されている。駆動ローラ124は、このローラ駆動ギア186が回転駆動されることにより回転する。
ここで、この駆動ローラ124を含む払拭ユニット100の駆動系について説明する。
本実施の形態の払拭ユニット100では、巻取軸116を回転駆動するとともに、駆動ローラ124を回転駆動することにより、払拭ウェブ110を繰出軸114から巻取軸116に向けて走行させる。
上記のように、巻取軸116の基端部には巻取ギア158が固着されており、駆動ローラ124の回転軸の基端部にはローラ駆動ギア186が固着されている。この巻取ギア158とローラ駆動ギア186は、図13に示すように、アイドルギア188に噛み合わされている。
アイドルギア188は、その回転軸が水平に設けられており、ケース本体126に設けられた軸受部190に回動自在に支持されている。巻取ギア158とローラ駆動ギア186は、このアイドルギア188を回転させることにより、ともに同じ方向に回転する。このアイドルギア188は、払拭ユニット100をラック102の装着部104に装着すると、装着部104内に設けられた駆動ギア192に噛み合わされる。すなわち、図18に示すように、装着部104には、その底部に駆動源となるモータ194が設けられており、アイドルギア188は、払拭ユニット100をラック102の装着部104に装着すると、このモータ194の出力軸に固着された駆動ギア192に噛み合わされる。
このように、払拭ユニット100は、ラック102の装着部104に装着すると、そのアイドルギア188が、装着部104に設けられた駆動ギア192に噛み合わされる。そして、この駆動ギア192をモータ194で回転させることにより、アイドルギア188が回転し、このアイドルギア188の回転が、巻取ギア158とローラ駆動ギア186とに伝達されて、巻取軸116と駆動ローラ124が回転する。そして、この巻取軸116と駆動ローラ124が回転することにより、繰出軸114から払拭ウェブ110が繰り出され、所定の走行経路を通って巻取軸116に巻き取られる。
なお、上記のように、巻取軸116に装着された巻取リール142は、その軸部の内周に滑り部材144が取り付けられており、回転方向に一定以上の負荷が掛かると、巻取軸116に対して滑るように構成されている。したがって、巻取軸116と駆動ローラ124との間に速度差が生じる場合は、この滑り部材144が滑るので、常に一定速度で払拭ウェブ110を走行させることができる。
図19及び図20に示すように、駆動ローラ124は、払拭ユニット100をラック102の装着部104に装着すると、その外周部にニップローラ200が押圧当接される。このニップローラ200は、装着部104に設けられており、ケース本体126の底部に形成された開口部126Aを介して駆動ローラ124の外周部に押圧当接される。
ニップローラ200は、駆動ローラ124とほぼ同じ幅をもって形成されており、その外周部はゴム等の弾性体が被覆されている。払拭ウェブ110が装填された払拭ユニット100を装着部104に装着すると、駆動ローラ124に巻き掛けられた払拭ウェブ110は、このニップローラ200と駆動ローラ124との間にニップされる。
ニップローラ200は、装着部104の内側に設置された廃液受け202に水平に取り付けられている。
廃液受け202は、上部が開口した矩形の箱状に形成されており、その内部にニップローラ200を支持する軸受204が設けられている。ニップローラ200は、この軸受204に軸支されて、廃液受け202内に回動自在に支持されている。
廃液受け202は、内側の底面部が傾斜して形成されており、その傾斜方向の下端部に廃液口206が形成されている。
払拭することにより液体を吸収した払拭ウェブ110は、駆動ローラ124とニップローラ200との間を通過する際、駆動ローラ124とニップローラ200とでニップされ、吸収した液体が廃液として除去される。すなわち、この駆動ローラ124とニップローラ200とが、払拭ウェブ110から液体成分を除去する手段(液体成分除去手段)として機能する。
払拭ウェブ110から除去された廃液は、廃液受け202に落下し、廃液口206を介して排出される。なお、この廃液の排出系については、後に詳述する。
また、廃液受け202には、底面部の傾斜方向の上側に廃液受け用洗浄液供給口210が形成されている。この廃液受け用洗浄液供給口210には、上述した洗浄液付与ユニット70の洗浄液回収皿76で回収された洗浄液が供給される。すなわち、廃液受け202には、洗浄液回収皿76で回収された洗浄液が供給されるようになっている。
廃液受け202に供給された洗浄液は、廃液受け202の底部を流れ、廃液口206から排出される。この洗浄液を流すことにより、廃液受け202を洗浄液で濯ぎ洗浄(フラッシング)することができ、廃液受け202内で固化するのを防止することができる。
図21は、洗浄液の給排系の構成を示す概略図である。なお、同図は1つのヘッドに対する洗浄液の給排系の構成を示している。したがって、実際には、同じ構成の給排系がヘッドごとに設けられる(本例では、C、M、Y、Kのヘッドごとに設けられる。)。
同図に示すように、洗浄液は洗浄液タンク300(300C、300M、300Y、300K)に貯留されており、この洗浄液タンク300から各部に洗浄液が供給される。
洗浄液タンク300には、メイン供給配管302(302C、300M、300Y、300K)が接続されている。このメイン供給配管302は、途中でキャップ用洗浄液供給配管304(304C、304M、304Y、304K)と洗浄液付与ユニット用洗浄液供給配管306(306C、306M、306Y、306K)とに分岐して形成されている。
キャップ用洗浄液供給配管304は、キャップ52(52C、52M、52Y、52K)に接続されている。また、その途中にはキャップ用バルブ308(308C、308M、308Y、308K)が設けられている。
一方、洗浄液付与ユニット用洗浄液供給配管306は、洗浄液付与ユニット70(70C、70M、70Y、70K)に接続されている(洗浄液付与ユニット70に設けられた洗浄液供給口76Bに接続されている。)。また、その途中には洗浄液付与ユニット用バルブ310(310C、310M、310Y、310K)が設けられている。
メイン供給配管302の途中には、洗浄液供給ポンプ312(312C、312M、312Y、312K)が設けられている。
キャップ用バルブ308を閉じ、洗浄液付与ユニット用バルブ310を開けた状態で洗浄液供給ポンプ312を駆動すると、洗浄液付与ユニット70に洗浄液が供給される。これにより、洗浄液付与ユニット70に設けられた洗浄液付与ヘッド74の洗浄液噴出口78から洗浄液が噴出される。
一方、洗浄液付与ユニット用バルブ310を閉じ、キャップ用バルブ308を開けた状態で洗浄液供給ポンプ312を駆動すると、キャップ52内に洗浄液が供給される。
このキャップ用バルブ308と、洗浄液付与ユニット用バルブ310と、洗浄液供給ポンプ312の駆動は、図示しない制御装置によって制御される。
さて、上記のように、洗浄液付与ヘッド74の洗浄液噴出口78から洗浄液を噴出させると、洗浄液は洗浄液付与ヘッド74の洗浄液保持面74Aを流れて、洗浄液回収皿76で回収される。この洗浄液回収皿76には、廃液受け用洗浄液供給配管314(314C、314M、314Y、314K)が接続されている(洗浄液排出口76Dに接続)。そして、この廃液受け用洗浄液供給配管314は、払拭装置64に設けられた廃液受け202(202C、202M、202Y、202K)に接続されている(廃液受け用洗浄液供給口210に接続)。
したがって、洗浄液回収皿76で洗浄液が回収されると、回収された洗浄液は、廃液受け用洗浄液供給配管314を介して廃液受け202に供給される。このように洗浄液回収皿76で回収した未使用の洗浄液を廃液受け202に流すことにより、廃液受け202を洗浄液で濯ぎ洗浄(フラッシング)することができ、廃液受け202や廃液受け用洗浄液供給配管314で廃液が固化するのを防止することができる。
廃液受け202に供給された洗浄液は、廃液受け202の底部を流れ、廃液口206から排出される。この廃液受け202の廃液口206には、廃液受け用廃液回収配管316(316C、316M、316Y、316K)が接続されている。廃液受け用廃液回収配管316は、廃液回収配管56に接続されている。したがって、廃液口206から排出された廃液は、廃液受け用廃液回収配管316及び廃液回収配管56を介して廃液タンク58に回収される。
払拭ユニット100(100C、100M、100Y、100K)は、以上のように構成される。
払拭装置64は、この払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kがラックに装着されることにより構成される。
なお、払拭装置64の動作は、図示しない制御装置によって制御される。制御装置は、昇降装置、モータ194、キャップ用バルブ308、洗浄液付与ユニット用バルブ310、洗浄液供給ポンプ312等の駆動を制御して、払拭装置64による付与動作を制御する。
〈払拭装置の作用〉
次に、以上のように構成された本実施の形態の払拭装置64の作用について説明する。
<払拭ウェブの装着>
まず、払拭ユニット100への払拭ウェブ110の装着方法について説明する。
払拭ウェブ110は、所定の幅をもって帯状に形成されており、その両端部に巻芯110A、110Bが取り付けられている。払拭ウェブ110は、一方の巻芯110Aにロール状に巻回された状態で提供される。
まず、払拭ユニット100をラック102から取り出し、ケース112の蓋128を開ける。蓋128を開けると、繰出軸114に装着された繰出リール138と、巻取軸116に装着された巻取リール142とが露出するので、この繰出リール138と巻取リール142に払拭ウェブ110の巻芯110A、110Bを装着する。この際、払拭ウェブ110を第1前段ガイド160、押圧ローラ118、第1後段ガイド164、駆動ローラ124に巻き掛けながら、払拭ウェブ110の巻芯110A、110Bを繰出リール138と巻取リール142に装着する。
具体的には、まず、払拭ウェブ110がロール状に巻回された巻芯110Aを繰出リール138に装着する。
次いで、払拭ウェブ110を巻芯110Aから所定量引き出し、第2前段ガイド162と第2後段ガイド166の下を通して、払拭ウェブ110を第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164の上に巻き掛ける。この際、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164への払拭ウェブ110の巻き掛けは、昇降ステージ170を下降させた状態、すなわち、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164を下方に退避させた状態で行う。これにより、第2前段ガイド162と第2後段ガイド166との間に十分なスペースを確保することができ、その第2前段ガイド162と第2後段ガイド166の下を通して、払拭ウェブ110を第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164に巻き掛けやすくすることができる。
第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164に巻き掛けた払拭ウェブ110は、さらに駆動ローラ124に巻き掛け、最後に先端の巻芯110Bを巻取リール142に装着する。これにより、払拭ウェブ110の装着が完了する。この後、必要に応じて払拭ウェブ110を巻芯110Aに巻き戻し、払拭ウェブ110の弛みを取り除き、ケース112の蓋128を閉める。
<ラックへのセッティング>
次に、払拭ウェブ110が装着された払拭ユニット100をラック102にセットする。
ラック102への払拭ユニット100のセッティングは、ラック102に形成された装着部104に払拭ユニット100を垂直に差し込むことにより行われる。
そして、このラック102の装着部104に払拭ユニット100がセットされると、図18(b)に示すように、払拭ユニット100のアイドルギア188が、装着部104に設けられた駆動ギア192に噛み合わされ、その駆動ギア192に連結されたモータ194で回転駆動可能になる。
また、このラック102の装着部104に払拭ユニット100がセットされると、昇降ステージ170に設けられた昇降レバー178が、装着部104に設けられたピン182に係合し、昇降ステージ170が強制的に所定位置まで上昇させられる。この結果、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164とが、所定の使用位置に位置決めされる。そして、この第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164とが、所定の使用位置に位置決めされることにより、第1前段ガイド160と押圧ローラ118との間に配置された第2前段ガイド162に払拭ウェブ110が巻き掛けられるとともに、押圧ローラ118と第1後段ガイド164との間に配置された第2後段ガイド166に払拭ウェブ110が巻き掛けられる。これにより、押圧ローラ118の周面に弛みなく払拭ウェブ110が巻き掛けられる。
さらに、このラック102の装着部104に払拭ユニット100がセットされると、図19及び図20に示すように、装着部104に設けられたニップローラ200が駆動ローラ124に押圧当接される。これにより、駆動ローラ124に巻き掛けられた払拭ウェブ110が、ニップローラ200と駆動ローラ124との間にニップされる。
以上により、ラック102への払拭ユニット100のセッティングが完了する。
このようにして、ラック102にセットされた払拭ユニット100は、モータ194を駆動することにより、繰出軸114から払拭ウェブ110が繰り出され、所定の走行経路を通って巻取軸116に巻き取られる。
また、図8に示すように、水平面に対してノズル面30C、30M、30Y、30Kが傾斜して設けられたインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kに対して、対応する払拭ユニット100C、100M、100Y、100Yの押圧ローラ118が、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに対して平行に位置する。これにより、各押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110を対応するノズル面30C、30M、30Y、30Kに密着させることができる。
また、押圧ローラ118は、ノズル面30の断面形状に対応して、その中央部が拡径して形成されているため、ノズル保護領域30Bから退避して形成されたノズル形成領域30Aにも払拭ウェブ110を密着させることができる。
<払拭動作>
洗浄液付与装置62と同様に、払拭装置64は、インクジェットヘッド16(16C、16M、16Y、16K)がメンテナンス位置から画像記録位置に移動する過程でヘッドのノズル面30(30C、30M、30Y、30K)を払拭清掃する。具体的には、次のようにノズル面を払拭する。
払拭装置64は、全体が昇降自在に設けられている。清掃時以外、払拭装置64は、所定の待機位置に位置している。清掃時、払拭装置64は、待機位置から所定量上昇して、所定の作動位置に移動する。
払拭装置64が作動位置に移動すると、各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kによってヘッドのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することが可能になる。すなわち、インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを通過する際、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110を押圧当接することが可能になる。
この際、上記のように、押圧ローラ118は、ノズル形成領域30Aに対応した中央部が拡径して形成されているため、ノズル形成領域30Aにも払拭ウェブ110を密着させることができる。
洗浄液付与装置62によってノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液が付与された各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、そのまま画像記録位置に向かって移動すると、その移動過程で各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kによってノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。
制御装置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kに到達するタイミングに合わせて、モータ194を駆動し、払拭ウェブ110を走行させる。これにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに走行する払拭ウェブ110が押圧当接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。また、常に新しい面をノズル面30C、30M、30Y、30Kに当てて払拭することができる。
ここで、払拭を終えた払拭ウェブ110は、巻取軸116に巻き取られるが、その前段位置で駆動ローラ124とニップローラ200とにニップされる。これにより、吸収した液体(洗浄液、インク等)は、廃液として払拭ウェブ110から除去される。
払拭ウェブ110から除去された廃液は、自重で落下し、廃液受け202に回収される。廃液受け202に回収された廃液は、廃液口206から廃液受け用廃液回収配管316、廃液回収配管56を介して廃液タンク58に回収される。
このように、払拭ウェブ110に吸収された液体は、駆動ローラ124とニップローラ200とニップ部で払拭ウェブ110から除去され、廃液受け202に回収されるが、廃液受け202に回収された廃液が放置されると、固化して廃液口206を詰まらせる原因となる。
そこで、制御装置は、ヘッドの払拭が終了すると(ヘッドが押圧ローラ118の設置部を通過すると)、洗浄液付与ユニット70に一定時間、一定量の洗浄液を供給し、廃液受け202に洗浄液が供給されるようにする。すなわち、上記のように、洗浄液付与ユニット70に洗浄液を供給すると、洗浄液保持面74Aから流れ落ちた洗浄液が、洗浄液回収皿76で回収され、廃液受け202に供給されるので、洗浄液付与ユニット70に一定時間、一定量の洗浄液を供給する。これにより、廃液受け202に洗浄液が供給され、廃液受け202を濯ぎ洗浄することができる。
≪ノズル面清掃装置の作用≫
本実施の形態のノズル面清掃装置60は、以上のように構成される。
次に、本実施の形態のノズル面清掃装置60によるノズル面の清掃動作について説明する。
ノズル面の清掃は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kをメンテナンス位置から画像記録位置に移動させる過程で行われる。
ノズル面の清掃指令が制御装置に入力されると、制御装置は、洗浄液付与装置62と払拭装置64とを所定の作動位置に移動させる。これにより、洗浄液付与装置62による洗浄液の付与と、払拭装置64による払拭が可能になる。
洗浄液付与装置62と払拭装置64とを所定の作動位置に移動させた後、制御装置は、ヘッド支持フレーム40をメンテナンス位置から画像記録位置に向けて所定の移動速度で移動させる。
その一方で制御装置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kの洗浄液付与ヘッド74に到達するタイミングに合わせて、洗浄液供給ポンプ312を駆動する。これにより、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kに備えられた洗浄液付与ヘッド74の洗浄液噴出口78から洗浄液が所定の流量で流れ出る。洗浄液噴出口78から流れ出た洗浄液は、洗浄液保持面74Aを流れ落ちる。
メンテナンス位置に向かうインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、この洗浄液付与ヘッド74を通過する際、その洗浄液付与ヘッド74の洗浄液保持面74Aを流れる洗浄液がノズル面30C、30M、30Y、30Kに接触し、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液が付与される。
洗浄液が付与されたノズル面30C、30M、30Y、30Kは、そのままメンテナンス位置に向かって移動する。そして、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを通過する際、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。
制御装置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kに到達するタイミングに合わせて、モータ194を駆動し、払拭ウェブ110を走行させる。これにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに走行する払拭ウェブ110が押圧当接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。
制御装置は、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが、洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kを通過し終えると、洗浄液供給ポンプ312の駆動を停止し、洗浄液の供給を停止する。そして、洗浄液付与装置62を待機位置に退避させる。
また、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを通過し終えると、モータ194の駆動を停止し、払拭ウェブ110の走行を停止する。そして、払拭装置64を待機位置に退避させる。
ところで、上記のように、ノズル面30の払拭は払拭ウェブ110を走行させながら行われる。払拭を終えた払拭ウェブ110は、巻取軸116に巻き取られるが、その巻取軸116に巻き取られる前に駆動ローラ124とニップローラ200とにニップされ、吸収した液体(洗浄液、インク等)が除去される。除去された廃液は自重で落下し、廃液受け202で回収される。
廃液受け202で回収された廃液は、廃液口206から廃液受け用廃液回収配管316、廃液回収配管56を介して廃液タンク58に回収されるが、放置すると固化して廃液口206を詰まらせる原因となる。
そこで、制御装置は、払拭装置64を待機位置に退避させた後、洗浄液付与ユニット70に一定時間、一定量の洗浄液を供給する。洗浄液付与ユニット70に洗浄液を供給すると、洗浄液噴出口78から洗浄液が吹き出され、洗浄液保持面74Aから洗浄液が流れ落ちる。洗浄液保持面74Aを流れ落ちた洗浄液は、洗浄液回収皿76で回収され、廃液受け用洗浄液供給配管314を介して廃液受け202に供給される。これにより、廃液受け202や廃液受け用廃液回収配管316を未使用の洗浄液で濯ぎ洗浄することができ、廃液受け202内等で廃液が固化するのを防止することができる。
以上一連の工程でインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kの清掃が終了する。
以上説明したように、本実施の形態のノズル面清掃装置60によれば、ノズル面30の払拭後、廃液受け202に未使用の洗浄液を供給して、廃液受け202等を濯ぎ洗浄(フラッシング)する。これにより、廃液受け202内で廃液が固化するのを防止でき、常時安定した廃液の回収を行うことができる。これにより、メンテナンスを容易にすることができる。
なお、上記実施の形態では、洗浄液回収皿76で回収した洗浄液を自重で廃液受け202に流す構成としているが、自重で洗浄液を送液できない場合などは、廃液受け用洗浄液供給配管314の途中にポンプを設置し、当該ポンプを用いて、洗浄液回収皿76で回収した洗浄液を廃液受け202に送液する構成とすることもできる。
同様に、上記実施の形態では、廃液受け202で回収した廃液を自重で廃液タンク58に流す構成としているが、自重で廃液を送液できない場合などは、廃液受け用廃液回収配管316の途中にポンプを設置し、当該ポンプによって、廃液受け202で回収した洗浄液を廃液タンク58に送液する構成とすることもできる。
また、上記実施の形態では、廃液の廃棄先を廃液タンク58としているが、廃液トレイ54に廃棄する構成としてもよい。すなわち、廃液受け用廃液回収配管316の接続先を廃液トレイ54とすることもできる。
≪第2の実施の形態≫
図22は、ノズル面清掃装置の第2の実施の形態の洗浄液の給排系の構成を示す概略図である。
同図に示すように、本実施の形態のノズル面清掃装置では、廃液受け用廃液回収配管316(316C、316M、316Y、316K)の途中に廃液回収用ポンプ320(320C、320M、320Y、320K)が設置されている点、及び、廃液受け202に液量検出センサ322(322C、322M、322Y、322K)が設置されている点で上述した第1の実施の形態のノズル面清掃装置と相違している。
なお、上記以外の構成は、第1の実施の形態のノズル面清掃装置と同じなので、ここでは上記相違点についてのみ説明する。
廃液回収用ポンプ320は、廃液受け用廃液回収配管316の途中に設置されている。廃液受け202で回収された廃液は、この廃液回収用ポンプ320を駆動することにより、廃液タンク58に送液される。
液量検出センサ322は、廃液受け202に規定液量(本例では満タン)の液体が貯留されているか否かを検出する。この液量検出センサ322は、たとえば、廃液受け202に規定液量の液体が貯留されているとONし、規定液量の液体が貯留されなくなるとOFFするセンサで構成される。
液量検出センサ322の検出結果は、制御装置に出力される。制御装置は、この液量検出センサ322の検出結果に基づいて、廃液回収用ポンプ320の駆動を制御し、廃液受け202からの廃液の排出を制御する。また、この液量検出センサ322の検出結果に基づいて、廃液受け202への洗浄液の供給を制御する。
以下、この廃液受け202への洗浄液の供排出について説明する。
図23は、インクジェット記録装置の電源投入時における洗浄液の給排出処理の手順を示すフローチャートである。
制御装置は、インクジェット記録装置の電源をOFFする際、廃液受け202内に洗浄液を規定液量(本例では満タン)して、電源をOFFする。これは廃液受け202に洗浄液を貯留しておくことにより、廃液受け202内に残留した廃液が固化するのを防止するためである。この点については、後に詳述する。
インクジェット記録装置の電源がONされると、制御装置は、液量検出センサ322から廃液受け202内の液量の検出結果を取得し、廃液受け202に洗浄液が規定液量貯留されているか否かを判定する(ステップS10)。
洗浄液が規定液量貯留されていないと判定すると、制御装置は、洗浄液付与ユニット70に洗浄液を供給して、未使用の洗浄液を廃液受け202に供給する(ステップS11)。
制御装置は、液量検出センサ322によって廃液受け202内の液量をモニタし、洗浄液が規定液量貯留されたか否かを判定する(ステップS12)。そして、洗浄液が規定液量貯留されたと判定すると、洗浄液付与ユニット70への洗浄液の供給を停止する(ステップS13)。これにより、廃液受け202に洗浄液が規定液量(満タン)貯留される。
図24は、インクジェット記録装置の電源投入後における洗浄液の給排出処理の手順を示すフローチャートである。
まず、制御装置は、液量検出センサ322から廃液受け202内の液量の検出結果を取得し、廃液受け202に洗浄液が規定液量貯留されているか否かを判定する(ステップS20)。
洗浄液が規定液量貯留されていると判定すると、制御装置は、廃液回収用ポンプ320を駆動し、廃液受け202内の液体(廃液、洗浄液)を廃液タンク58に排出する(ステップS21)。
制御装置は、液量検出センサ322によって廃液受け202内の液体の液量をモニタし、廃液受け202内の液体が、規定液量未満になったか否かを判定する(ステップS22)。そして、廃液受け202内の液体が、規定液量未満になったと判定すると、制御装置は内蔵するタイマ(タイマ1)を動作させ(ステップS23)、タイマ1で設定された時間の経過後、廃液回収用ポンプ320の駆動を停止する(ステップS24)。
ここで、タイマ1は、廃液受け202内の液量を調整するタイマであり、廃液受け202内に所定量の液体が貯留されるように設定される。これは、廃液回収用ポンプ320の能力に応じて設定される。すなわち、廃液受け202内の液体は、廃液回収用ポンプ320を駆動することにより排出されるので、廃液回収用ポンプ320の駆動時間を制御することにより、廃液受け202内の液体の量を制御することができる。タイマ1は、廃液受け202内の液体が、規定液量から所定液量に達するまでの時間に設定される。たとえば、規定液量の半分の液量になる時間に設定される。したがって、たとえば、規定液量(満タンの液量)を80mlとすると、40mlになる時間に設定される。
これにより、所定液量(ここでは規定液量の半分)の液体が廃液受け202に貯留される。そして、この状態でインクジェット記録装置の運転が行われる。
上記のように、ノズル面30の清掃が行われると、ノズル面上の液体が払拭ウェブ110に吸収される。払拭ウェブ110に吸収された液体は、駆動ローラ124とニップローラ200とのニップ部で除去され、廃液として廃液受け202に回収される。
廃液受け202に廃液が回収されることにより、廃液受け202内の液体の量が増加する。
制御装置は、液量検出センサ322によって廃液受け202内の液体の量をモニタし、廃液受け202内に規定液量の液体が貯留されたか否かを判定する(ステップS20)。そして、廃液受け202内の液体の量が、規定液量に達したと判定すると、廃液回収用ポンプ320を駆動し、廃液受け202内の液体を廃液タンク58に排出する(ステップS21)。そして、液量検出センサ322によって廃液受け202内の液体が、規定液量未満になったか否かを判定し(ステップS22)、廃液受け202内の液体が、規定液量未満になったと判定すると、内蔵するタイマ(タイマ1)を動作させ(ステップS23)、タイマ1で設定された時間の経過後、廃液回収用ポンプ320の駆動を停止する(ステップS24)。これにより、廃液受け202内の液体の量が所定液量になる。
このように、インクジェット記録装置の運転中(電源ON中)、制御装置は、液量検出センサ322によって廃液受け202内の液量をモニタし、廃液受け202内の液量が、規定液量になると、廃液受け202内の液体を所定量廃棄する。
一方、上記のように、廃液受け202内には、インクジェット記録装置の電源投入時に未使用の洗浄液が一定量貯留されているので、廃液受け202に受けられた廃液は、この洗浄液によって希釈化される。これにより、運転中も廃液の固化を効果的に防止することができる。
図25は、インクジェット記録装置の電源OFF時における洗浄液の給排出処理の手順を示すフローチャートである。
インクジェット記録装置の電源がOFFされたと判定すると(図24、ステップS25)、廃液回収用ポンプ320を駆動し、廃液受け202内の液体(廃液、洗浄液)を廃液タンク58に排出する(ステップS30)。
そして、内蔵するタイマ(タイマ2)を動作させ(ステップS31)、タイマ2で設定された時間の経過後、廃液回収用ポンプ320の駆動を停止する(ステップS32)。
ここで、タイマ2は、上記のタイマ1と同様に廃液受け202内の液量を調整するタイマであり、廃液受け202内の液体が、廃液受け202内から完全に排出される時間に設定される。
これにより、廃液受け202内の液体を完全に排出することができる。この際、廃液受け202内の廃液は、洗浄液で希釈化されているため、容易に排出することができる。
廃液回収用ポンプ320の駆動停止後、制御装置は、洗浄液付与ユニット70に洗浄液を供給して、未使用の洗浄液を廃液受け202に供給する(ステップS33)。
制御装置は、液量検出センサ322によって廃液受け202内の液量をモニタし、洗浄液が規定液量貯留されたか否かを判定する(ステップS34)。そして、洗浄液が規定液量貯留されたと判定すると、洗浄液付与ユニット70への洗浄液の供給を停止する(ステップS35)。これにより、廃液受け202に洗浄液が規定液量(満タン)貯留される。
インクジェット記録装置の運転停止中(電源OFF中)、廃液受け202は、このように未使用の洗浄液が貯留された状態で放置される。これにより、廃液受け202に残留した廃液が固化するのを効果的に防止することができる。
以上説明したように本実施の形態のノズル面清掃装置では、廃液受け202内の液体の量をモニタし、洗浄液を一定量貯留した状態で廃液の回収を行う。これにより、廃液の固化をより効果的に防止することができる。
なお、上記実施の形態では、電源投入時にのみ廃液受け202に洗浄液を溜める構成としているが、長時間運転していると、廃液受け202に溜まる廃液の濃度が高くなり、廃液が固化するおそれがある。
したがって、定期的に廃液受け202内の液体を完全に廃棄し、洗浄液を入れ換える処理を行うことが好ましい(たとえば、定期的(一定時間おき)に電源OFF時の処理を実行する)。これにより、廃液受け202に溜まる廃液の濃度が高くなるのを防止することができる。また、たとえば、オペレータの指示によって、廃液受け202内の液体を廃棄し、未使用の洗浄液を廃液受け202に所定液量溜める処理を行うことができるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、電源OFF時に未使用の洗浄液を廃液受け202に溜める際、廃液回収用ポンプ320の駆動を停止した後、廃液受け202に洗浄液を供給する構成としているが、一定時間、廃液回収用ポンプ320を駆動しながら、洗浄液を供給するようにしてもよい。これにより、廃液受け202及び廃液受け用廃液回収配管316を濯ぎ洗浄したのち、廃液受け202に洗浄液を溜めることができる。
なお、上記実施の形態では、廃液受け202内の液体を廃液回収用ポンプ320で排出する構成としているが、廃液受け202内の液体を自重で廃液タンク58に流すことができる場合は、廃液回収用ポンプ320に代えてバルブを設置することもできる。
また、上記実施の形態では、廃液受け202に規定液量の液体が貯留されているとONし、規定液量の液体が貯留されなくなるとOFFするセンサで液量検出センサ322を構成しているが、液量検出センサ322の構成は、これに限定されるものではない。廃液受け202内の液量を直接計測できる構成のセンサを用いることもできる。また、廃液受け202内に貯留された廃液の液面の高さを計測して、廃液受け202内の液体の量を計測するセンサを用いることもできる。
≪第3の実施の形態≫
図26は、ノズル面清掃装置の第3の実施の形態の洗浄液の給排系の構成を示す概略図である。
上述した第1及び第2の実施の形態のノズル面清掃装置では、洗浄液回収皿76で回収した洗浄液を廃液受け202に送液する構成とされていた。
本実施の形態のノズル面清掃装置では、洗浄液タンク300(300C、300M、300Y、300K)から廃液受け202に直接洗浄液が供給される。
すなわち、図26に示すように、廃液受け202の廃液受け用洗浄液供給口210には、メイン供給配管302(302C、302M、302Y、302K)から分岐した洗浄液供給配管330(330C、330M、330Y、330K)が接続されており、洗浄液タンク300から直接廃液受け202に洗浄液を供給できるように構成されている。
洗浄液供給配管330には、廃液受け用バルブ332(332C、332M、332Y、332K)が設けられており、この廃液受け用バルブ332の開閉を制御することにより、洗浄液タンク300から直接廃液受け202に洗浄液を供給することができる。すなわち、キャップ用バルブ308及び洗浄液付与ユニット用バルブ310を閉じ、廃液受け用バルブ332を開けた状態で洗浄液供給ポンプ312を駆動することにより、廃液受け202に洗浄液を供給することができる。制御装置は、このキャップ用バルブ308と洗浄液付与ユニット用バルブ310と廃液受け用バルブ332と洗浄液供給ポンプ312の駆動を制御して、廃液受け202への洗浄液の供給を制御する。
なお、この場合、洗浄液回収皿76で回収した洗浄液は、廃液トレイ54に排出される。
≪第4の実施の形態≫
図27は、ノズル面清掃装置の第4の実施の形態の構成を示す概略図である。
本実施の形態のノズル面清掃装置は、ブレードでノズル面を払拭して、ノズル面上に付着した液体を除去する点で上述した実施の形態のノズル面清掃装置と相違する。すなわち、上述した実施の形態のノズル面清掃装置と払拭装置の構成が相違している。
したがって、ここでは、払拭装置の構成についてのみ説明する。
図28は、本実施の形態の払拭装置64Aをメンテナンス位置側から見た側面図である。
同図に示すように、本実施の形態の払拭装置64Aは、各インクジェットヘッド16(16C、16M、16Y、16K)に対応して設けられたブレードユニット400(400C、400M、400Y、400K)と、そのブレードユニット400によってノズル面30(30C、30M、30Y、30K)から除去された液体を廃液として受ける廃液受け402とで構成されている。
ブレードユニット400は、インクジェットヘッド16のノズル面30に押圧当接されてノズル面30に付着する液体を除去するブレード404(404C、404M、404Y、404K)と、そのブレード404によって除去された液体を廃液受け402にガイドする導管406(406C、406M、406Y、406K)とで構成されている。
ブレード404は、柔軟性を有する素材(シリコンゴム、EPDM、NBR、ウレタン等の素材であって使用する洗浄液に犯されないもの)によって薄板状に形成されており、インクジェットヘッド16の長手方向に直交するように取り付けられている。
なお、本例では、ノズル面30が傾斜して設けられていることから、ブレード404もこれに対応してノズル面30と同じ角度で傾斜して設けられている。
導管406は、ブレード404によってノズル面30から掻き取られた液体を回収し、廃液受け402に排出する。ブレード404は、この導管406の上端部に取り付けられている。
本例において、導管406は、中空のプレート状に形成されており、その上端部は、ブレード404に対応して、拡径して形成されている。一方、下端部は、漏斗状に縮径して形成されており、廃液受け402の内側に配置されている。
廃液受け402は、上部が開口した矩形の箱状に形成されている。導管406は、この廃液受け402の内側に取り付けられて、垂直に立設されている。この廃液受け402は、内側の底面部が傾斜して形成されており、その傾斜方向下端部に廃液口402Aが形成されている。
廃液口402Aには、図27に示すように、廃液受け用廃液回収配管316(316C、316M、316Y、316K)が接続されており、廃液回収配管56に接続されている。
ブレード404によってノズル面30から掻き取られた液体は、導管406を伝って廃液受け402に落ち、廃液として廃液受け402に回収される。廃液受け402に落ちた廃液は、底面の斜面を流れ落ちて、廃液口402Aから排出される。そして、廃液口402Aから排出された廃液は、廃液受け用廃液回収配管316及び廃液回収配管56を介して廃液タンク58に回収される。
廃液受け402の側面(底面の傾斜方向上側に位置する側面)には、廃液受け用洗浄液供給口402Bが形成されている。この廃液受け用洗浄液供給口402Bには、図27に示すように、廃液受け用洗浄液供給配管314(314C、314M、314Y、314K)が接続されている。したがって、洗浄液回収皿76で洗浄液が回収されると、回収された洗浄液は、廃液受け用洗浄液供給配管314を介して廃液受け402に供給される。廃液受け402に供給された洗浄液は、廃液受け402の底部を流れ、廃液口402Aから排出される。この洗浄液を流すことにより、廃液受け402を洗浄液で濯ぎ洗浄(フラッシング)することができ、廃液受け402内で廃液が固化するのを防止することができる。
本実施の形態の払拭装置64Aは、以上のように構成される。なお、払拭装置64Aは、図示しない昇降機構によって全体が昇降自在に設けられている。したがって、昇降させることにより、ノズル面30に対してブレード404を接触/非接触させることができる。
<払拭動作>
上記第1の実施の形態の払拭装置64と同様にインクジェットヘッド16がメンテナンス位置から画像記録位置に移動する過程でヘッドのノズル面30がブレードによって払拭清掃される。具体的には、次のようにノズル面がブレードで払拭される。
非清掃時、払拭装置64Aは、所定の待機位置に位置している。清掃時、払拭装置64Aは、待機位置から所定量上昇して、所定の作動位置に移動する。
払拭装置64Aが作動位置に移動すると、各ブレード404によってヘッドのノズル面30を払拭することが可能になる。すなわち、インクジェットヘッド16が、払拭装置64Aの設置位置を通過する際、そのノズル面30にブレード404を押圧当接することが可能になる。
洗浄液付与装置62によってノズル面30に洗浄液が付与された各インクジェットヘッド16は、そのまま画像記録位置に向かって移動すると、その移動過程でノズル面30にブレード404が当接する。これにより、ノズル面30に付着した液体がブレード404によって掻き落とされる。
ブレード404によって掻き落とされた液体は、導管406を伝って落下し、廃液として廃液受け402に受けられる。廃液受け402で受けられた廃液は、廃液受け402の廃液口402Aから廃液受け用廃液回収配管316及び廃液回収配管56を介して廃液タンク58に回収される。
このように、廃液受け402で受けた廃液は、廃液口402Aから廃液タンク58に排出されるが、廃液口402Aから廃棄しきれずに、廃液受け402内に廃液が残存していると、それが固化して廃液口402Aを塞ぐことがある。
そこで、制御装置は、ブレード404によるヘッドの払拭が終了すると(ヘッドがブレード404の設置部を通過すると)、洗浄液付与ユニット70に一定時間、一定量の洗浄液を供給する。
洗浄液付与ユニット70に洗浄液が供給されると、洗浄液保持面74Aから流れ落ちた洗浄液が、洗浄液回収皿76で回収され、廃液受け用洗浄液供給配管314を介して廃液受け402に供給される。この洗浄液が、廃液受け402に供給されることにより、廃液受け402が洗浄液で濯ぎ洗浄(フラッシング)され、廃液受け402内で廃液が固化するのが防止される。
≪第5の実施の形態≫
図29、30は、払拭ユニットの他の実施の形態の構成を示す側面図と正面断面図である。
同図に示すように、本実施の形態の払拭ユニット500は、払拭ウェブ110による払拭まえにノズル面30の傾斜方向下端部を払拭するブレード600を備えている。
ブレード600を有する点以外は、上述した第1の実施の形態の払拭ユニット100の構成と同じなので、ここでは、ブレード600に関する事項についてのみ説明する。
ブレード600は、ケース本体126の洗浄液付与装置62側の側面に導管602を介して取り付けられている。
ブレード600は、上記第4の実施の形態のブレード404と同様に柔軟性を有する素材(シリコンゴム、EPDM、NBR、ウレタン等であって使用する洗浄液に犯されないもの)によって薄板状に形成されており、インクジェットヘッド16の長手方向に直交するように取り付けられている。
また、ブレード600は、押圧ローラ118によって払拭ウェブ110をインクジェットヘッド16のノズル面30に当接させたときに、ノズル面30の傾斜方向下側に位置するノズル保護領域30Bに当接するように取り付けられている。すなわち、ブレード600は、ノズル面30の傾斜方向下側に位置するノズル保護領域30Bの幅とほぼ同じ幅で形成されるとともに、そのノズル保護領域30Bの傾斜角度と同じ角度で傾斜して設けられている。
導管602は、ブレード600でノズル面30から掻き取った液体を回収する部材であり、ケース本体126の洗浄液付与装置62側の側面に取り付けられている。この導管602は、上端部が開口した中空のプレート状に形成されており、その開口した上面部は、清掃対象とインクジェットヘッド16のノズル面30に対応して傾斜して形成されている。ブレード600は、この導管602の内部に取り付けられており、開口した上端部から突出して形成されている。
導管602は、ケース本体126に沿って鉛直下向きに延びており、その下端部は、ケース本体126の下端部から所定量突出して設けられている。導管602は、払拭ユニット500をラック102の装着部104に装着すると、その下端部が廃液受け202の内側に収容される。すなわち、ブレード600によってノズル面30から掻き取られた液体は、導管602を通って廃液受け202に排出される。
なお、このように本例の払拭ユニット500は、ブレード600で掻き取った液体を導管602で廃液受け202に導く構成のため、装着部104に設置される廃液受け202は、導管602を接続可能な形状に形成される。
〈払拭動作〉
次に、以上のように構成された払拭ユニット500によるノズル面30の払拭動作について説明する。
<ラックへのセッティング>
まず、払拭ユニット500をラック102にセットする。
ラック102への払拭ユニット500のセッティングは、ラック102に形成された装着部104に払拭ユニット100を垂直に差し込むことにより行われる。
ラック102の装着部104に払拭ユニット500がセットされると、払拭ユニット500のアイドルギア188が、装着部104に設けられた駆動ギア192に噛み合わされ、その駆動ギア192に連結されたモータ194で回転駆動可能になる。
また、第2前段ガイド162に払拭ウェブ110が巻き掛けられるとともに、第2後段ガイド166に払拭ウェブ110が巻き掛けられ、押圧ローラ118の周面に弛みなく払拭ウェブ110が巻き掛けられる。
さらに、装着部104に設けられたニップローラ200が駆動ローラ124に押圧当接され、駆動ローラ124に巻き掛けられた払拭ウェブ110が、ニップローラ200と駆動ローラ124との間にニップされる。
また、払拭ユニット500に設けられた導管602の下端が、装着部104に設けられた廃液受け202の内側に収容配置される。
以上により、ラック102への払拭ユニット500のセッティングが完了する。
<払拭動作>
非清掃時、払拭装置64は、所定の待機位置に位置している。清掃時、払拭装置64は、待機位置から所定量上昇して、所定の作動位置に移動する。
払拭装置64が作動位置に移動すると、各払拭ユニット500によってヘッドのノズル面30を払拭することが可能になる。すなわち、インクジェットヘッド16が、各払拭ユニット500を通過する際、そのノズル面30に押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110を押圧当接することが可能になる。
また、払拭装置64が作動位置に移動すると、各払拭ユニット500に設けられたブレード600によって、ノズル面30の傾斜方向下側に位置するノズル保護領域30Bを払拭することが可能になる。すなわち、インクジェットヘッド16が、各払拭ユニット500を通過する際、そのノズル面30の傾斜方向下側に位置するノズル保護領域30Bにブレード600を押圧当接することが可能になる。
洗浄液付与装置62によってノズル面30に洗浄液が付与された各インクジェットヘッド16は、そのまま画像記録位置に向かって移動すると、その移動過程で各払拭ユニット500によってノズル面30が払拭清掃される。
この際、ノズル面30は、まず、その傾斜方向下側に位置するノズル保護領域30Bがブレード600によって払拭されたのち、全体が払拭ウェブ110によって払拭される。これにより、払拭ウェブ110の吸収能力を損なうことなく、ノズル面30を確実に払拭することができる。すなわち、本実施の形態のインクジェットヘッド16は、ノズル面30が傾斜して設置され、かつ、その傾斜方向下側に位置するノズル保護領域30Bに撥液処理が施されていないことから、前段の洗浄液付与装置62で付与した洗浄液が、傾斜方向下側に位置するノズル保護領域30Bに大量に付着する場合がある。そして、このように洗浄液が大量に付着したまま払拭ウェブ110でノズル面30を払拭すると、ノズル保護領域30Bに付着した洗浄液が払拭ウェブ110に吸収されて、払拭ウェブ110の吸収能力が低下してしまう。これに対して、本実施の形態の払拭ユニット500では、事前に傾斜方向下側のノズル保護領域30Bをブレード600で払拭しているので、払拭ウェブ110で払拭する前に不要な洗浄液を除去することができ、払拭ウェブ110の払拭能力を損なうことなく、ノズル面30を払拭することができる。また、ブレード600は、ノズル形成領域30Aには当接しないので、ブレード600で汚染されたインクをノズル内に押し込んだり、撥液処理面がブレード600で擦られて、磨耗したりするという問題も生じることがない。
制御装置は、各インクジェットヘッド16が、払拭ユニット500に到達するタイミングに合わせて、モータ194を駆動し、払拭ウェブ110を走行させる。これにより、ノズル面30に走行する払拭ウェブ110が押圧当接され、ノズル面30が払拭清掃される。また、常に新しい面をノズル面30に当てて払拭することができる。
なお、上記の例では、ノズル保護領域30Bに付着した液体をブレード600で掻き取る構成としているが、ノズル保護領域30Bに付着した液体を掻き取る手段は、これに限定されるものではない。この他、ノズル保護領域30Bにローラを当接させて、不要な液体を掻き取るようにしてもよい。
また、上記の例では、ブレードが払拭ユニットのケース本体に取り付けられた構成としているが、ブレードは払拭ユニットと別体で構成することもできる。
また、上記の例では、ブレード600でノズル面30から除去した液体を導管602によって廃液受け202に流す構成としているが、別の廃液受けに流す構成とすることもできる。この場合、たとえば、ブレード用の廃液受け(第2の廃液受け)を別に設置する(図27参照)。また、この場合、払拭ユニットごとにブレード用の廃液受けを設けて、ブレードごとに廃液を受けるようにしてもよいし、共通の廃液受けを1つ設けて、1つの廃液受けに各ブレードで掻き取った液体を流すようにしてもよい。
また、ブレード用の廃液受け(第2の廃液受け)を設置した場合には、このブレード用の廃液受けにも洗浄液を供給できるようにすることが好ましい。すなわち、ブレード用の廃液受けも洗浄液で濯ぎ洗浄できるように構成することが好ましい。この場合、たとえば、廃液受け用洗浄液供給配管を分岐して、双方の廃液受け(払拭ウェブから除去した廃液を受ける廃液受けと、ブレードで掻き取った廃液を受ける廃液受け(第2の廃液受け))に洗浄液が供給されるように構成する。
≪その他の実施の形態≫
上記実施の形態では、PETで形成された極微細な編み又は織りからなる払拭ウェブ110を用いたが、払拭ウェブの構成は、これに限定されるものではない。吸収性を有するものであれば、他の構成の払拭ウェブを用いることもできる。なお、極微細な編み又は織りからなる払拭ウェブを用いることにより、表面の凹凸によって付着物を効果的に除去することができる。また、本例のように吸収性を有する払拭ウェブを用いることにより、ノズル内に入った洗浄液や、ノズル穴表層の増粘したインクをノズル穴から引き出すことができる。
また、上記実施の形態では、ノズル面30の走行方向と反対方向に払拭ウェブ110を走行させて、ノズル面30を払拭する構成としているが、ノズル面30の走行方向に対する払拭ウェブ110の走行方向(ノズル面30に接触する位置での走行方向)は、同方向でもよい。なお、本実施の形態のように、ノズル面30の走行方向に対して反対方向に払拭ウェブ110を走行させることにより、より効率よくノズル面30を払拭することができる。
また、上記実施の形態では、インクジェットヘッド側を移動させて、そのノズル面30に洗浄液を付与する構成としているが、洗浄液付与装置62を移動させて、そのノズル面30に洗浄液を付与する構成とすることもできる。また、インクジェットヘッド16と洗浄液付与装置62の双方を移動させて、ノズル面30に洗浄液を付与する構成とすることもできる。同様に、払拭装置64を移動させて、そのノズル面30を払拭する構成とすることもできる。また、インクジェットヘッド16と払拭装置64の双方を移動させて、ノズル面30を払拭する構成とすることもできる。
また、上記実施の形態では、インクジェットヘッド16をメンテナンス位置から画像記録位置に移動させる工程でノズル面を清掃する構成としているが、インクジェットヘッド16を画像記録位置からメンテナンス位置に移動させる工程でノズル面を清掃する構成とすることもできる。この場合、払拭装置64に対して画像記録位置側に洗浄液付与装置62が配置される。
また、上記実施の形態では、洗浄液付与装置62によってノズル面に洗浄液を付与する構成としているが、ノズル面に洗浄液を付与する構成(ノズル面をウェット化する構成)は、これに限定されるものではない。たとえば、ノズル面をキャップ52で覆い、吸引してノズル面をウェット化させる構成とすることもできる。また、洗浄液を付与せずに払拭ウェブで払拭する構成とすることもできる。
また、上記実施の形態では、傾斜して設置されたノズル面を清掃する場合を例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではない。水平に設置されたノズル面を清掃する場合にも同様に適用することができる。
また、上記実施の形態では、ノズル形成領域30Aが凹状に退避して形成された場合を例に説明したが、ノズル形成領域30Aは、ノズル保護領域30Bと同じ高さで形成するようにしてもよい。すなわち、ノズル面はフラットに形成されていてもよい。
また、上記実施の形態では、ノズル形成領域30Aにのみ撥液処理が施されている場合を例に説明したが、ノズル保護領域30Bにも撥液処理を施すようにしてもよい。