JP5517605B2 - 電子写真用トナー - Google Patents
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Description
〔1〕 式(I):
で表される、1又は複数の芳香族化合物同士の反応生成物と、カルボン酸成分及びアルコール成分の少なくともいずれかを縮重合させて得られる、トナー用ポリエステル系樹脂、
〔2〕 前記〔1〕記載のトナー用ポリエステル系樹脂を含有してなる、トナー用結着樹脂、並びに
〔3〕 前記〔2〕記載のトナー用結着樹脂を含有してなる、電子写真用トナー
に関する。
で表される、1又は複数の芳香族化合物同士の反応生成物とを縮重合反応させて得られた樹脂である点に特徴を有している。
(i) 前記芳香族化合物がカルボキシル基と水酸基とを有する場合に生じる縮合反応、
(ii) 前記芳香族化合物が水酸基を2つ以上有する場合に生じるエーテル反応、
(iii) 前記芳香族化合物が不飽和炭化水素基を有する場合に生じる付加反応
等が含まれる。なお、付加反応では、ジカルボン酸化合物や3価以上の多価アルコール化合物も生成し得る。また、前記芳香族化合物は1種類の化合物だけで反応させてもよく、2種類以上の複数の化合物を同時に反応させてもよい。従って、前記(i)〜(iii)の反応が同時に生じていてもよい。
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物又は脂肪族ジオールが好ましい。
で表される化合物が好ましい。式中、R8の炭化水素基の炭素数は、1〜8が好ましく、反応活性の観点から、炭素数1〜4がより好ましい。式(III)で表される化合物のなかでは、R5及びR7が水素原子、R6が水素原子又は−COOR8である化合物がより好ましい。具体例としては、ピロガロール(R5〜R7:水素原子)、没食子酸(R5及びR7:水素原子、R6:−COOH)、没食子酸エチル(R5及びR7:水素原子、R6:−COOC2H5)、没食子酸プロピル(R5及びR7:水素原子、R6:−COOC3H7)、没食子酸ブチル(R5及びR7:水素原子、R6:−COOC4H9)、没食子酸オクチル(R5及びR7:水素原子、R6:−COOC8H17)、没食子酸ラウリル(R5及びR7:水素原子、R6:−COOC12H25)等の没食子酸エステル等が挙げられる。トナーの保存性の観点からは、没食子酸及び没食子酸エステルが好ましい。
で表される単量体、式(IVb):
で表される単量体、及び式(IVc):
で表される単量体又はその4級化物を含有する単量体混合物の重合により得られる4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系樹脂がより好ましい。予め単量体を4級化してもよく、重合後に4級化してもよい。4級化剤としては、塩化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル、硫酸ジエチル、硫酸ジ-n-プロピル等が挙げられる。
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、重量平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、反応生成物をテトラヒドロフランに、溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業(株)製、FP-200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー社製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー社製)
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
JIS K0070の方法に基づき測定する。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
平均粒径は、個数平均粒径を指し、外添剤の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から測定した、500個の粒子の粒径の平均値をいう。長径と短径がある場合は長径を指す。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
表1に示す芳香族化合物を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃にて溶融させた後、180℃にて8時間反応を行った。その後、得られた反応生成物の重量平均分子量が350以上であることを確認した。
表2〜4に示すアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分、反応生成物及びエステル化触媒を、窒素導入管、98℃の熱水を通した分留管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃から210℃まで10℃/hrで昇温し、その後210℃で反応率が90%に到達するまで縮重合反応させた。その後、無水トリメリット酸を添加して、210℃で1時間常圧にて反応させた後、20kPaにて表2〜4に記載の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。ここで反応率とは、アルコール成分、カルボン酸成分、及び反応生成物のカルボキシ基と水酸基とから計算される理論反応水の排出完了時を100%として換算された値である。
表2に示すアルコール成分、カルボン酸成分及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃で反応率が90%に到達するまで縮重合反応させた。その後、200℃に冷却し、反応生成物を添加し、3時間常圧にて反応させた。その後、無水トリメリット酸を添加して、210℃で1時間、常圧にて反応させた後、20kPaにて表2に記載の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。
表5に示すアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分及びエステル化触媒を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、160℃まで昇温した。その後、表5に示す両反応性モノマー(アクリル酸)、ビニル系樹脂の原料モノマー及び重合開始剤の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を熟成させた。その後、表5に示す反応生成物を添加し、180℃まで昇温し、2時間反応させた後、210℃まで5℃/hにて昇温し、210℃にて反応率が90%に到達するまで反応させた。その後、無水トリメリット酸を添加して、200℃で常圧で1時間反応させ、10kPaにて表5に記載の軟化点に達するまで反応を行って、ハイブリッド樹脂を得た。
表2〜4に示すアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分及びエステル化触媒を、窒素導入管、98℃の熱水を通した分留管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃から210℃まで10℃/hrで昇温し、その後210℃で反応率が90%に到達するまで縮重合反応させた。その後、無水トリメリット酸を添加して、210℃で1時間常圧にて反応させた後、20kPaにて表2〜4に記載の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。
表4に示すアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃で反応率が90%に到達するまで縮重合反応させた。その後、無水トリメリット酸を添加して、210℃で1時間常圧にて反応させた後、20kPaにて表4に記載の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。
表6に示す結着樹脂100重量部、負帯電性荷電制御剤1.0重量部、着色剤5.0重量部、及びポリプロピレンワックス2.0重量部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。得られた混合物を二軸押出機により溶融混練し、冷却後、ハンマーミルを用いて1mm程度に粗粉砕した。得られた粗粉砕物をエアージェット方式の粉砕機(IDS-2型、日本ニューマチック(株)製)により微粉砕後、分級し、体積中位粒径(D50)が7.5μmのトナー粒子を得た。
黒色顔料:「Mogul-L」(キャボット社製)、カーボンブラック
シアン顔料:「ECB-301」(大日精化社製)、ピグメント・ブルー15:3
マゼンタ顔料:「Super Magenta R」(大日本インキ化学工業社製)、ピグメント・レッド122
イエロー顔料:「Paliotol Yellow D1155」(BASF社製)、ピグメント・イエロー185
CCA-A:「ボントロンS-34」(オリエント化学工業社製)、負帯電性荷電制御剤
CCA-B:「ボントロンN-04」(オリエント化学工業社製)、正帯電性荷電制御剤
CCA-C:「LR-147」(日本カーリット社製)、負帯電性荷電制御剤
CCA-D:「ボントロンE-84」(オリエント化学工業社製)、負帯電性荷電制御剤
ワックス-A:「ハイワックスNP-056」(三井化学社製)、ポリプロピレンワックス、融点125℃
ワックス-B:「HNP-9」(日本精鑞社製)、パラフィンワックス、融点75℃
ワックス-C:「カルナバワックス C1」(加藤洋行社製)、融点80℃
CCR-A:「FCA-701PT」(藤倉化成社製)、正帯電性荷電制御樹脂、4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系共重合体、軟化点:123℃
シリカ-A:「R-972」(日本アエロジル社製)、負帯電性疎水性シリカ、平均粒径 16nm、疎水化処理剤 DMDS(ジメチルジクロロシラン)
シリカ-B:「HDK H3050VP」(クラリアント社製)、正帯電性疎水性シリカ、平均粒径 8nm、疎水化処理剤 アミノシラン
シリカ-C:「SI-Y」(日本アエロジル社製)、負帯電性疎水性シリカ、平均粒径 40nm、疎水化処理剤 ジメチルシリコーンオイル
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置(但し、実施例15の評価については、非磁性一成分現像方式プリンター「HL-2040」(ブラザー工業社製)を改造した装置を用いた)にトナーを実装し、未定着画像を得た。その後、総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度390mm/sec)で、100℃から240℃へと10℃ずつ順次上昇させながら、各温度で未定着画像の定着試験を行った。定着画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ-1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前とテープを貼って剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前)が最初に90%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、以下の評価基準に従って、低温定着性を評価した。結果を表6に示す。なお、定着試験に用いた紙は、シャープ(株)製のCopyBond SF-70NA(75g/m2)である。
A:最低定着温度が150℃未満である。
B:最低定着温度が150℃以上、170℃未満である。
C:最低定着温度が170℃以上である。
トナー4gを20ml容の円筒型容器(直径約3cm)に入れ、温度55℃、相対湿度60%の環境下で72時間放置した。放置後、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準より保存性を評価した。結果を表6に示す。
A:72時間後でも凝集は全く認められない。
B:48時間後で凝集は認められないが72時間後では凝集が認められる。
C:48時間で凝集が認められる。
トナー0.6gとシリコーンフェライトキャリア(関東電化工業社製、平均粒子径90μm)19.4g(但し、実施例15については、キャリアを「P-01」(フェライトキャリア:日本画像学会標準品、平均粒子径:70μm)に変更した)とを50mL容のポリ瓶に入れ、ボールミルを用いて250r/minで10分間混合し、1分、10分における帯電量をq/mメーター(EPPING社製)を用いて測定した。
(混合時間1分における帯電量)/(混合時間10分における帯電量)の値が
A:0.95以上
B:0.9以上0.95未満
C:0.9未満
試験例1において、定着ロールの温度を100℃から240℃へと順次上昇させた際に、最初にオフセットが確認される温度を目視により判断し、以下の評価基準により、耐ホットオフセット性を評価した。結果を表6に示す。
〔評価基準〕
A:ホットオフセット発生温度が210℃以上
B:ホットオフセット発生温度が180℃以上、210℃未満
C:ホットオフセット発生温度が180℃未満
Claims (9)
- 反応生成物の重量平均分子量が350〜2000である、請求項1記載のトナー用結着材。
- 縮重合反応に供する反応生成物の量が、カルボン酸成分とアルコール成分の合計量100重量部に対して、2.5〜160重量部である、請求項1又は2記載のトナー用結着材。
- アルコール成分が炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含む、請求項1〜3いずれか記載のトナー用結着材。
- 式(I)で表される芳香族化合物が、フェルラ酸、5-ヒドロキシフェルラ酸、シナピン酸、シリンガ酸及びバニリン酸からなる群より選ばれた少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸である、請求項1〜4いずれか記載のトナー用結着材。
- 式(I)で表される芳香族化合物が、コニフェリルアルコール、5-ヒドロキシコニフェリルアルコール及びシナピルアルコールからなる群より選ばれた少なくとも1種のジオールである、請求項1〜5いずれか記載のトナー用結着材。
- 反応生成物が、式(I)で表される1又は複数の芳香族化合物を、140〜210℃に加熱して得られるものである、請求項1〜6いずれか記載のトナー用結着材。
- 請求項1〜7いずれか記載のトナー用結着材を含有してなる、電子写真用トナー。
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