JP5515341B2 - Iii族窒化物結晶の成長方法 - Google Patents

Iii族窒化物結晶の成長方法 Download PDF

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Description

本発明は、発光デバイス、電子デバイスなどの半導体デバイスの基板として好適に用いられる大型で結晶性の高いIII族窒化物結晶の成長方法に関する。
GaN結晶、AlN結晶などのIII族窒化物結晶は、発光デバイス、電子デバイスなどの半導体デバイスの基板などに好適に用いられる。特性の高い半導体デバイスを効率的に製造するために、大型で結晶性の高いIII族窒化物結晶が求められている。
ここで、III族窒化物結晶は、天然には存在しないため、III族窒化物結晶を成長させるための下地基板としては、III族窒化物とは化学組成が異なる異種下地基板が用いられる。かかる異種下地基板としては、III族窒化物結晶との格子定数の不整合が小さい観点から、サファイア基板、スピネル基板、SiC基板、GaAs基板などが好ましく用いられる。
たとえば、特開2004−91278号公報(以下、特許文献1という)は、異種下地基板(サファイア基板)上にIII族窒化物の低温堆積バッファ層(たとえばAlN低温堆積バッファ層)を形成し、その低温堆積バッファ層上にIII族窒化物結晶(たとえばGaN結晶)を成長させる方法を開示する。また、特開2004−331453号公報(以下、特許文献2という)は、異種下地基板(たとえばサファイア基板、GaAs基板など)上にパターン化された金属膜(たとえば金属Ti膜)を形成し、そのパターン化された金属膜上にIII族窒化物結晶(たとえばGaN結晶、AlN結晶など)を成長させる方法を開示する。また、特許文献2は、異種下地基板(たとえばサファイア基板、GaAs基板など)上にパターン化された金属膜(たとえば金属Ti膜)を形成し、そのパターン化された金属膜上にバッファ膜(たとえばGaNバッファ膜、AlNバッファ膜など)を形成し、そのバッファ膜上にIII族窒化物結晶(たとえばGaN結晶、AlN結晶など)を成長させる方法を開示する。
しかし、特許文献1および2に開示されるような異種下地基板上にパターン化された金属膜および/またはバッファ層を形成し、その金属膜またはバッファ層上にIII族窒化物結晶を成長させる方法では、結晶系の違いおよび格子定数の不整合を完全には緩和することができず、成長したIII族窒化物結晶には歪み応力が発生する。また、異種下地基板とIII族窒化物結晶との熱膨張係数の違いによる歪み応力が発生する。このため、得られたIII族窒化物結晶には、反りの発生、割れの発生、結晶性の低下、結晶成長面における結晶軸のばらつきなどが発生する問題があった。
上記の問題を解決するために、特開2008−133151号公報(以下、特許文献3という)は、複数の種基板を、種基板の側部側にずらして配置する配置工程と、複数の種基板の各々の表面上にIII族窒化物結晶を成長させる工程とを備え、複数の種基板の各々の表面上に成長した結晶の各々が一体化するように成長させる方法を開示する。
しかし、特許文献3に開示されるような複数の種基板上にIII族窒化物結晶を成長させる方法では、少なくとも1つの側部表面が{10−10}面である種基板を複数配置して、その表面(主表面)上にIII族窒化物結晶を成長させると、結晶成長表面に{10−10}面のファセット({10−1f}面(ここで、fは0以外の整数)が現れ、結晶成長表面に凹部が形成され、III族窒化物結晶の歩留まりが低減するとともに、ファセットを結晶成長表面として成長した結晶領域の転位密度が高くなるという問題があった。
特開2004−91278号公報 特開2004−331453号公報 特開2008−133151号公報
本発明は、上記問題を解決して、大型で結晶性が高く結晶成長表面が平坦なIII族窒化物結晶の成長方法を提供することを目的とする。
本発明は、主平面と複数の側平面とを有するIII族窒化物チップ基板であって、主平面の任意の位置における法線がその位置における<0001>方向に対して1.0°以下の傾斜角θを有し、各側平面が{10−10}面以外の{hk−(h+k)0}面(ここで、hおよびkは整数)である、III族窒化物チップ基板を複数準備する工程と、複数のIII族窒化物チップ基板を、各III族窒化物チップ基板の主平面の法線方向が互いに平行でかつ各III族窒化物チップ基板の<10−10>方向以外の<hk−(h+k)0>方向(ここで、hおよびkは整数)が互いに平行になるように、各側平面を互いに隣接させて配置する工程と、配置された複数のIII族窒化物チップ基板の主平面上に、III族窒化物結晶を成長させる工程と、を備えるIII族窒化物結晶の成長方法である。
本発明にかかるIII族窒化物結晶の成長方法において、各側平面の平均粗さRaを5nm以下とすることができる。また、主平面を長方形とすることができる。
本発明にかかるIII族窒化物結晶の成長方法によれば、大型で結晶性が高く結晶成長表面が平坦なIII族窒化物結晶の成長方法を提供することができる。
本発明にかかるIII族窒化物結晶の成長方法において用いられるIII族窒化物チップ基板の一例を示す概略図である。ここで、(a)は概略斜視図を示し、(b)は(a)のIB−IBにおける概略断面図を示し、(c)は(a)のIC−ICにおける概略断面図を示す。 本発明にかかるIII族窒化物結晶の成長方法の一実施形態を示す概略図である。ここで、(a)は概略平面図を示し、(b)は(a)のIIB−IIBにおける概略断面図を示す。 本発明から外れるIII族窒化物結晶の成長方法の一形態を示す概略図である。ここで、(a)は概略平面図を示し、(b)は(a)のIIIB−IIIBにおける概略断面図を示す。 本発明にかかるIII族窒化物結晶の成長方法において、III族窒化物チップ基板の作製に用いられるIII族窒化物母結晶の一例を示す概略断面図である。 本発明から外れるIII族窒化物結晶の成長方法の他の形態を示す概略断面図である。
図1および2を参照して、本発明にかかるIII族窒化物結晶の成長方法は、主平面12mと複数の側平面12s、12tとを有するIII族窒化物チップ基板12であって、主平面12mの任意の位置における法線がその位置における<0001>方向に対して1.0°以下の傾斜角θを有し、各側平面12s、12tが{10−10}面以外の{hk−(h+k)0}面(ここで、hおよびkは整数)である、III族窒化物チップ基板12を複数準備する工程を備える。また、複数のIII族窒化物チップ基板12を、各III族窒化物チップ基板12の主平面12mの法線方向が互いに平行でかつ各III族窒化物チップ基板12の<10−10>方向以外の<hk−(h+k)0>方向(ここで、hおよびkは整数)が互いに平行になるように、各側平面12s、12tを互いに隣接させて配置する工程を備える。また、配置された複数のIII族窒化物チップ基板12の主平面12m上に、III族窒化物結晶20を成長させる工程を備える。これらの工程を備えることにより、大型で結晶性の高いIII族窒化物結晶が得られる。
ここで、図1〜5を参照して、III族窒化物母結晶10、III族窒化物基板11、III族窒化物チップ基板12およびIII族窒化物結晶20は、いずれも六方晶系のウルツ鉱型の結晶構造を有するため、それらの結晶の面を一般的に{hkil}面(ここで、h、k、iおよびlは整数、i=−(h+k))と表すことができ、それらの結晶の方向を一般的に<hkil>方向(ここで、h、k、iおよびlは整数、i=−(h+k))と表すことができる。なお、{hkil}面は、(hkil)面およびそれに結晶幾何学的に等価な結晶面を含む総称的な結晶面を意味する。また、<hkil>方向は、[hkil]方向およびそれに結晶幾何学的に等価な方向を含む総称的な方向を意味する。なお、図1〜5は、現実の寸法を反映したものではなく、理解を容易にするために、特に結晶または基板の厚さ方向の長さを他の方向の長さに比べて大きく描いている。
図4を参照して、上述のように、従来の結晶成長方法、たとえば特許文献1および2に開示された結晶成長方法により、サファイア基板、GaAs基板などの異種下地基板上に成長させたIII族窒化物母結晶10は、結晶成長の際に異種下地基板とIII族窒化物結晶との格子定数および/または熱膨張係数の違いにより発生した歪み応力のために、異種下地基板から分離した後は、その結晶成長表面10gおよび{0001}面10cが湾曲(たとえば、異種下地基板としてのサファイア基板またはGaAs基板上に成長させてその異種下地基板から分離されたIII族窒化物母結晶は(0001)面が凹に湾曲)した反りを有する。かかるIII族窒化物母結晶10から、III族窒化物結晶を成長させるための下地基板として、III族窒化物母結晶10の中央部における<0001>方向に対して垂直な平面を主平面11mとするIII族窒化物基板11を切り出す。こうして得られるIII族窒化物基板11の主平面11mの任意の位置における<0001>方向は、その位置によって大きく異なる。かかるIII族窒化物基板11上にIII族窒化物結晶20を成長させると、III族窒化物結晶20はIII族窒化物基板11の結晶性を受け継ぐエピタキシャル成長をするため、成長するIII族窒化物結晶20はその位置によって<0001>方向が大きく異なる。かかるIII族窒化物結晶20は結晶性が低いため、このIII族窒化物結晶20を基板として用いた半導体デバイスの特性が低下する。
そこで、発明者らは、大型で結晶性の高いIII族窒化物結晶20を成長させるため、図1、2および4を参照して、主平面12mと複数の側平面12s、12tとを有するIII族窒化物チップ基板12であって、主平面12mの任意の位置における法線がその位置における<0001>方向に対して1.0°以下の傾斜角θを有し、各側平面12s、12tが{10−10}面以外の{hk−(h+k)0}面(ここで、hおよびkは整数)である、III族窒化物チップ基板12を複数準備すること、複数のIII族窒化物チップ基板12を、各III族窒化物チップ基板12の主平面12mの法線方向が互いに平行でかつ各III族窒化物チップ基板12の<10−10>方向以外の<hk−(h+k)0>方向(ここで、hおよびkは整数)が互いに平行になるように、各側平面12s、12tを互いに隣接させて配置すること、および、配置された複数のIII族窒化物チップ基板12の主平面12m上に、III族窒化物結晶20を成長させることにより、大型で結晶性の高いIII族窒化物結晶20が成長することを見い出して、本発明を完成させた。以下、詳細に説明する。なお、図1〜3において、<ND>とは、III族窒化物チップ基板12における主平面12mの法線方向を示す。
(III族窒化物チップ基板を複数準備する工程)
図1および4を参照して、本実施形態のIII族窒化物結晶の成長方法は、主平面12mと複数の側平面12s、12tとを有するIII族窒化物チップ基板12であって、主平面12mの任意の位置における法線がその位置における<0001>方向に対して1.0°以下の傾斜角θを有し、各側平面12s、12tが{10−10}面以外の{hk−(h+k)0}面(ここで、hおよびkは整数)である、III族窒化物チップ基板12を複数準備する工程を備える。
本工程で準備されるIII族窒化物チップ基板12は、主平面12mの任意の位置における法線がその位置における<0001>方向に対して1.0°以下の傾斜角θを有する。このため、図2を参照して、かかるIII族窒化物チップ基板12の主平面12m上に、結晶成長表面20g近傍を主平面12mに平行に切断する仮想平面20hの任意の位置における法線がその位置における<0001>方向に対して1.0°程度以下の傾斜角θcを有するIII族窒化物結晶20をエピタキシャル成長させることができ、結晶性の高いIII族窒化物結晶20が得られる。かかる観点から、III族窒化物チップ基板12の主平面12mの任意の位置における法線がその位置における<0001>方向に対して有する傾斜角θは0.5°以下であることが好ましい。
ここで、主平面12mの任意の位置における法線がその位置における<0001>方向に対して有する傾斜角θ(すなわち主平面12mの任意の位置においてその法線と<0001>方向とのなす傾斜角θ)は、その任意の位置において主平面12mと{0001}面12cとのなす傾斜角θと同義であり、(0002)面または(0004)面などに関するX線回折ピークの位置により測定することができる。
また、本工程で準備されるIII族窒化物チップ基板12は、各側平面12s,12tが{10−10}面以外の{hk−(h+k)0}面(ここで、hおよびkは整数)である。ここで、図3を参照して、III族窒化物チップ基板12の少なくとも1つの側平面が{10−10}面であると、{10−10}面は電荷中性面(非極性面)のなかで原子の最密充填面であり最も安定な結晶面であるため、かかるIII族窒化物チップ基板12を複数配置してそれらの主平面12m上にIII族窒化物結晶20を成長させると、結晶成長表面20gに{10−10}面のファセット20fである{10−1f}面(ここで、fは0以外の整数)が現れるため、結晶成長表面20gに凹部が形成され、III族窒化物結晶20の歩留まりが低減するとともに、ファセット20fを結晶成長表面として成長した結晶領域(ファセット成長結晶領域20fc)の転位密度が高くなる。このため、本実施形態のIII族窒化物チップ基板12は、各側平面12s,12tの全てが{10−10}面以外の{hk−(h+k)0}面(ここで、hおよびkは整数)である必要がある。
ここで、本工程において、III族窒化物チップ基板12を複数準備する方法には、特に制限はなく、以下の方法を用いることができる。
サファイア基板(主面は(0001)面)、GaAs基板(主面は(111)A面)などの異種下地基板の主面上に、III族窒化物母結晶を成長させる。これにより、一般的に、異種下地基板から分離した後に、図4に示すような結晶成長表面10gおよび{0001}面10cが湾曲(たとえば、異種下地基板としてサファイア基板またはGaAs基板上に成長させてその異種下地基板から分離されたIII族窒化物母結晶は(0001)面が凹に湾曲)したIII族窒化物母結晶10が得られる。III族窒化物母結晶10の成長方法には、特に制限はなく、HVPE(ハイドライド気相成長)法、MOCVD(有機金属化学気相堆積)法、昇華法などの気相法、または、III族元素の融液に窒素を溶解させた溶液を用いる溶液法などの液相法などが用いられる。
図1および4を参照して、得られたIII族窒化物母結晶10から、主平面12mと複数の側平面12s、12tを有するIII族窒化物チップ基板12を複数切り出す。ここで、各III族窒化物チップ基板12は、主平面12mの任意の位置における法線がその位置における<0001>方向に対して1.0°以下の傾斜角θを有し、各側平面12s,12tが{10−10}面以外の{hk−(h+k)0}面(ここで、hおよびkは整数)となるように切り出す。切り出しの方法には、特に制限はなく、ワイヤーソー、ダイサー、放電加工、スクライブなどにより切り出すことができる。
ここで、III族窒化物チップ基板12の切り出しは、各側平面12s,12tが{10−10}面以外の所定の{hk−(h+k)0}面となるように行うのが理想的ではあるが、実際に切り出された各側平面12s,12tは、{hk−(h+k)0}面に対して3°以下程度の傾斜角を有する場合がある。しかしながら、各側平面12s,12tの傾斜角がこの程度であれば、大型で結晶性が高く結晶成長表面が平坦なIII族窒化物結晶20を成長させる障害とはならない。なお、各側平面12s,12tの法線と<hk−(h+k)0>方向とのなす傾斜角は、(10−10)面または(11−20)面などに関するX線回折ピークの位置によって測定することができる。
図1および2を参照して、結晶性が高いIII族窒化物結晶20を成長させる観点から、III族窒化物チップ基板12の主平面12mは平坦であることが好ましい。具体的には、主平面12mの平均粗さRaは、5nm以下が好ましく、2.5nm以下がより好ましい。主平面12mの5nm以下の面粗さRaは、主平面12mに研削、研磨(機械的研磨、化学機械的研磨を含む)、ドライエッチング、ウエットエッチングなどの処理を施すことによって得られる。
また、図1および2を参照して、複数のIII族窒化物チップ基板12の接合部分上にも転位密度が低く結晶性が高いIII族窒化物結晶20を成長させる観点から、側平面12s,12tは平坦であることが好ましい。具体的には、側平面12s,12tの面粗さRaは、5nm以下が好ましく、2.5nm以下がより好ましい。側平面12s,12tの5nm以下の面粗さRaは、側平面12s,12tに研削、研磨(機械的研磨、化学機械的研磨を含む)、ドライエッチング、ウエットエッチングなどの処理を施すことによって得られる。
ここで、平均粗さRaとは、JIS K 0601に規定する算術平均粗さRaをいい、具体的には、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から粗さ曲線までの距離(偏差の絶対値)を合計し基準長さで平均した値をいう。平均粗さRaの測定は、AFM(原子間力顕微鏡)により行うことができる。
また、図1を参照して、III族窒化物チップ基板12の主平面12mの形状は、平面を隙間無く覆うこと(平面充填)ができる形状であれば特に制限はなく、正方形、長方形、菱形、平行四辺形などの四角形、正六角形、平行六辺形などの六角形が挙げられる。III族窒化物チップ基板の作製の作業性が高い観点から、III族窒化物チップ基板の主平面の形状は、正方形、長方形などの直角四角形が好ましい。さらに、III族窒化物チップ基板の方向性を目視で容易に識別できる観点から、III族窒化物チップ基板の主平面の形状は、直角四角形の中でも長方形がより好ましい。
(III族窒化物チップ基板を配置する工程)
図2を参照して、本実施形態のIII族窒化物結晶の成長方法は、複数のIII族窒化物チップ基板12を、各III族窒化物チップ基板12の主平面12mの法線方向が互いに平行でかつ各III族窒化物チップ基板12の<10−10>方向以外の<hk−(h+k)0>方向(ここで、hおよびkは整数)が互いに平行になるように、各側平面12s、12tを互いに隣接させて配置する工程を備える。
複数のIII族窒化物チップ基板12を上記のように配置することにより、配置された複数のIII族窒化物チップ基板12の全体にわたって、主平面12mの任意の位置における法線がその位置における<0001>方向に対して1.0°以下の傾斜角θを有し、すべての側平面12s、12tが{10−10}面以外の{hk−(h+k)0}面(ここで、hおよびkは整数)となる。このため、複数のIII族窒化物チップ基板12の主面上に、結晶性が高く結晶成長表面20gが平坦なIII族窒化物結晶20を成長させることが可能となる。また、多数のIII族窒化物チップ基板12を上記のように配置することにより、大型で結晶性が高く結晶成長表面20gが平坦なIII族窒化物結晶20を成長させることができる。
(III族窒化物結晶を成長させる工程)
図2を参照して、本実施形態のIII族窒化物結晶の成長方法は、配置された複数のIII族窒化物チップ基板12の主平面12m上に、III族窒化物結晶20を成長させる工程と、を備える。
かかる工程により、複数のIII族窒化物チップ基板12の主面上に、III族窒化物結晶20が複数のIII族窒化物チップ基板12の結晶性を受け継ぐエピタキシャル成長をする。ここで、複数のIII族窒化物チップ基板12の全体にわたって、主平面12mの任意の位置における法線がその位置における<0001>方向に対して1.0°以下の傾斜角θを有していることから、成長したIII族窒化物結晶20は、結晶成長表面20g近傍を主平面12mに平行に切断する仮想平面20hの任意の位置における法線がその位置における<0001>方向に対して有する傾斜角θc(すなわち結晶成長表面20g近傍を主平面12mに平行に切断する仮想平面20hの任意の位置においてその法線と<0001>方向とのなす傾斜角θc)は1.0°程度以下となり、結晶性が高い。
ここで、結晶成長表面20g近傍を主平面12mに平行に切断する仮想平面20hの任意の位置においてその法線と<0001>方向とのなす傾斜角θcは、その任意の位置において結晶成長表面20g近傍を主平面12mに平行に切断する仮想平面20hと{0001}面20cとのなす傾斜角θcと同義であり、(0002)面または(0004)面などに関するX線回折ピークの位置により測定することができる。
また、複数のIII族窒化物チップ基板12のすべての側平面12s,12tが{10−10}面以外の{hk−(h+k)0}面(ここで、hおよびkは整数)であることから、III族窒化物結晶20の結晶成長表面20gには、ファセットが形成されず、平坦になる。
また、多数のIII族窒化物チップ基板12が配置されていると、大型のIII族窒化物結晶20が得られる。このようにして、大型で結晶性が高く結晶成長表面20gが平坦なIII族窒化物結晶20が得られる。
(実施例1)
1.III族窒化物チップ基板を複数準備する工程
(1)III族窒化物母結晶の作製
図4を参照して、III族窒化物母結晶10であるGaN母結晶を以下のようにして作製した。まず、異種下地基板(図示せず)として(111)A面の主平面を有する直径2インチ(50.8mm)で厚さ0.8mmのGaAs基板の主平面上に、スパッタ法によりマスク層として厚さ100nmのSiO2層を形成した。次いで、フォトリソグラフィ法およびエッチングにより、SiO2層(マスク層)に直径が2μmの開口部が4μmのピッチで平面的に六方稠密に配置されたパターンを形成した。ここで、各開口部にはGaAs基板の主平面が露出していた。
次に、主平面に複数の開口部を有するSiO2層(マスク層)が形成されたGaAs基板上に、HVPE法により、500℃の雰囲気温度で厚さ80nmのGaN低温バッファ層を成長させ、GaN低温バッファ層上に厚さ5mmのGaN母結晶(III族窒化物母結晶10)を成長させた。
次に、王水を用いたエッチングにより、GaN母結晶(III族窒化物母結晶10)から、GaAs基板(異種下地基板)を除去して、直径2インチ(50.8mm)で厚さ3mmのGaN母結晶(III族窒化物母結晶10)を得た。
かかるGaN母結晶(III族窒化物母結晶10)は、結晶成長中に発生する反りを保持していた。すなわち、このGaN母結晶(III族窒化物母結晶10)は、{0001}面10cが(0001)面を凹として湾曲しており、その湾曲は、高低差で300μm、曲率半径で1.0mであった。
かかるGaN母結晶(III族窒化物母結晶)から直径2インチ(50.8mm)で厚さ0.4mmのGaN基板(III族窒化物基板11)を切り出すと、GaN基板の主平面11mの任意の位置における法線がその位置における<0001>方向に対して有する傾斜角は、1.5°程度となる。
(2)III族窒化物チップ基板の作製
図1および4を参照して、GaN母結晶(III族窒化物母結晶10)から、GaNチップ基板の全ての側平面12s,12tが{10−10}面を含まないように、複数のGaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)を切り出した。切り出された各GaNチップ基板は、5mm×10mm×厚さ800μmであった。具体的には、各GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)において、5mm×10mmの主表面12mが(0001)面に近い面、5mm×800μmの側平面12sがほぼ(2−310)面、10mm×800μmの側平面12tがほぼ(−2−130)面であった。
切り出された各GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)には、GaN母結晶(III族窒化物母結晶10)の結晶性がそのまま引き継がれる。したがって、5mm×10mmの主平面12mを有する各GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)は、中央傾斜角θ0に対して、5mmの辺に対して平行な方向に0.15°以下、10mmの辺に対して平行な方向に0.3°以下の差分傾斜角θ1を有する。ここで、中央傾斜角θ0とは、III族窒化物チップ基板12の主平面12mの中央においてその法線と<0001>方向とのなす傾斜角と定義する。また、差分傾斜角θ1とは、各III族窒化物チップ基板12において、主平面12mの任意の位置における<0001>方向と主平面12mの中央における<0001>方向とのなす傾斜角と定義する。
各GaN基板(III族窒化物チップ基板12)の主表面12mを、主表面12mの中央における法線が<0001>方向と同一になるように調整しながら、主表面12mの平均粗さが5nmになるように、研磨して平坦化した。
次いで、各GaN基板(III族窒化物チップ基板12)の各側平面12s,12tを、主平面12mに対して垂直になるように調整しながら、各側平面12s,12tの平均粗さRaが5nmになるように、研磨して平坦化した。
上記のように研磨により主平面および側平面を平坦化した各GaN基板(III族窒化物チップ基板12)の中央傾斜角θ0を(0002)面に関するX線回折ピークの位置から測定して、かかる中央傾斜角θ0が0.2°以下のチップ基板を56枚選別した。すなわち、選別された各GaN基板(III族窒化物チップ基板12)について、主平面12mの任意の位置における法線とその位置における<0001>方向とのなす傾斜角θは、θ=|θ0+θ1|で表されることから、0.5°以下と算出された。
2.複数のIII族窒化物チップ基板を配置する工程
図2を参照して、上記のように選別した56枚のGaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)を、各GaNチップ基板の主平面12mの法線方向が互いに平行で、各GaNチップ基板の<2−310>方向が互いに平行で、かつ、各GaNチップ基板の<−2130>方向が互いに平行になるように、各側平面12s,12を互いに隣接させて配置し、周辺部を除去して、直径2インチの円形基板とした。
3.III族窒化物結晶を成長させる工程
図2を参照して、56枚のGaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)が配置されて形成された上記の円形基板の主平面12m上に、HVPE法により、10体積%の塩化ガリウムガス、20体積%のアンモニアガスおよび70体積%の水素ガスのガス雰囲気下、1135℃の雰囲気温度で約3時間GaN結晶(III族窒化物結晶20)を成長させた。
上記基板上に結晶成長表面が平坦な一体化GaN結晶が得られた。かかるGaN結晶の転位密度は、CL(カソードルミネッセンス)による非発光暗点密度の測定を行ったところ、GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の直上の結晶領域では1×106cm-2、GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の各側平面12s,12tの接合部分の直上の結晶領域では6×106cm-2であった。
また、GaN結晶(III族窒化物結晶20)の結晶成長表面20g近傍を主平面12mに平行に切断する仮想平面20hの任意の位置における法線とその位置における<0001>方向とのなす傾斜角θcは、以下のようにして算出した。GaN結晶の中央と中央から互い垂直な4つの方向に20mm離れた4つの位置において、(0002)面に関するX線回折ピークの位置の測定から、得られたGaN結晶は、その中央傾斜角θc0が0.2°以下であり、その差分傾斜角θc1が0.4°以下であった。ここで、中央傾斜角θc0とは、III族窒化物結晶20の結晶成長表面20g近傍を主平面12mに平行に切断する仮想平面20hの中央においてその法線と<0001>方向とのなす傾斜角と定義する。また、差分傾斜角θc1とは、III族窒化物結晶20において、結晶成長表面20g近傍を主平面12mに平行に切断する仮想平面20hの任意の位置における<0001>方向と、結晶成長表面20g近傍を主平面12mに平行に切断する仮想平面20hの中央における<0001>方向とのなす傾斜角と定義する。このとき、傾斜角θcはθc=|θc0+θc1|で表されることから、0.6°以下と算出された。
また、GaN結晶の結晶成長表面の中央における(0002)面に関するロッキングカーブにおけるX線回折ピークの半値幅は、80arcsecと小さく、高い結晶性を有していた。結果を表1にまとめた。
(実施例2)
1.III族窒化物チップ基板を複数準備する工程
図1および2を参照して、各側平面12s,12tの平均粗さRaを2.5nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、複数のGaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)を準備した。
2.複数のIII族窒化物チップ基板を配置する工程
図2を参照して、実施例1と同様にして、56枚のGaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)を配置して、周辺部を除去して、直径2インチの円形基板とした。
3.III族窒化物結晶を成長させる工程
図2を参照して、実施例1と同様にして、56枚のGaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)が配置されて形成された上記の円形基板の主平面12m上に、GaN結晶(III族窒化物結晶20)を成長させた。
上記基板上に結晶成長面が平坦で一体化したGaN結晶が得られた。かかるGaN結晶の転位密度は、GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の直上の結晶領域では1×106cm-2、GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の各側平面12s,12tの接合部分の直上の結晶領域では4×106cm-2であった。また、得られたGaN結晶は、その中央傾斜角θc0が0.2°以下であり、その差分傾斜角θc1が0.3°以下であった。したがって、GaN結晶(III族窒化物結晶20)の結晶成長表面20g近傍を主平面12mに平行に切断する仮想平面20hの任意の位置における法線とその位置における<0001>方向とのなす傾斜角θcは、θc=|θc0+θc1|を用いて、0.5°以下と算出された。また、GaN結晶の結晶成長面の中央における(0002)面に関するロッキングカーブにおけるX線回折ピークの半値幅は、70arcsecと小さく、高い結晶性を有していた。結果を表1にまとめた。
(実施例3)
1.III族窒化物チップ基板を複数準備する工程
図1および2を参照して、各GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の主平面12mの中央における法線と<0001>方向とのなす中央傾斜角θ0が0.5°以下のチップ基板を56枚選別したこと以外は実施例1と同様にして、複数のGaNチップ基板を準備した。かかるGaNチップ基板は、実施例1のGaNチップ基板と同様に、中央傾斜角θ0に対して、5mmの辺に対して平行な方向に0.15°以下、10mmの辺に対して平行な方向に0.3°以下の差分傾斜角θ1を有する。すなわち、選別された各GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)について、主平面12mの任意の位置における法線とその位置における<0001>方向とのなす傾斜角θは、θ=|θ0+θ1|を用いて、0.8°以下と算出された。
2.複数のIII族窒化物チップ基板を配置する工程
図2を参照して、実施例1と同様にして、56枚のGaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)を配置して、周辺部を除去して、直径2インチの円形基板とした。
3.III族窒化物結晶を成長させる工程
図2を参照して、実施例1と同様にして、56枚のGaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)が配置されて形成された上記の円形基板の主平面12m上に、GaN結晶(III族窒化物結晶20)を成長させた。
上記基板上に一体化したGaN結晶が得られた。かかるGaN結晶の転位密度は、GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の直上の結晶領域では1×106cm-2、GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の各側平面12s,12tの接合部分の直上の結晶領域では8×106cm-2であった。また、得られたGaN結晶は、中央傾斜角θc0が0.5°以下であり、差分傾斜角θc1が0.5°以下であった。したがって、GaN結晶(III族窒化物結晶20)の結晶成長表面20g近傍を主平面12mに平行に切断する仮想平面20hの任意の位置における法線とその位置における<0001>方向とのなす傾斜角θcは、θc=|θc0+θc1|を用いて、1.0°以下と算出された。また、GaN結晶の結晶成長面の中央における(0002)面に関するロッキングカーブにおけるX線回折ピークの半値幅は、120arcsecと小さく、高い結晶性を有していた。結果を表1にまとめた。
(比較例1)
1.III族窒化物チップ基板を複数準備する工程
図1および2を参照して、各GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の中央傾斜角θ0が1.2°以下となるように、チップ基板を選別したこと以外は実施例1と同様にして、複数のGaNチップ基板を準備した。かかるGaNチップ基板は、実施例1のGaNチップ基板と同様に、中央傾斜角θ0に対して、5mmの辺に対して平行な方向に0.15°以下、10mmの辺に対して平行な方向に0.3°以下の差分傾斜角θ1を有する。すなわち、選別された各GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)について、主平面12mの任意の位置における法線とその位置における<0001>方向とのなす傾斜角θは、θ=|θ0+θ1|を用いて、1.5°以下と算出された。
2.複数のIII族窒化物チップ基板を配置する工程
図2を参照して、実施例1と同様にして、56枚のGaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)を配置して、周辺部を除去して、直径2インチの円形基板とした。
3.III族窒化物結晶を成長させる工程
図2を参照して、実施例1と同様にして、56枚のGaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)が配置されて形成された上記の円形基板の主平面12m上に、GaN結晶(III族窒化物結晶20)を成長させた。
上記基板上に結晶成長表面が平坦な一体化したGaN結晶が得られた。かかるGaN結晶の転位密度は、GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の直上の結晶領域では1×106cm-2、GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の各側平面12s,12tの接合部分の直上の結晶領域では1×107cm-2であった。また、得られたGaN結晶は、中央傾斜角θc0が1.2°以下であり、差分傾斜角θc1が0.3°以下であった。したがって、GaN結晶(III族窒化物結晶20)の結晶成長表面20g近傍を主平面12mに平行に切断する仮想平面20hの任意の位置における法線とその位置における<0001>方向とのなす傾斜角θcは、θc=|θc0+θc1|を用いて、1.5°以下と算出された。また、GaN結晶の中央における(0002)面に関するロッキングカーブにおけるX線回折ピークの半値幅は、220arcsecと大きく、結晶性が低くなった。このような低い結晶性のGaN結晶は、これを基板として用いた半導体デバイスの特性を低下させる。結果を表1にまとめた。
(比較例2)
1.III族窒化物チップ基板を複数準備する工程
図1および3を参照して、各GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の5mm×800μmの側平面12sが(10−10)面、10mm×800μmの側平面12tが(11−20)面となるように、GaNチップ基板を切り出したこと以外は実施例1と同様にして、複数のGaNチップ基板を準備した。かかるGaNチップ基板は、実施例1のGaNチップ基板と同様に、中央傾斜角θ0は0.2°以下であり、また、中央傾斜角θ0に対して、5mmの辺に対して平行な方向に0.15°以下、10mmの辺に対して平行な方向に0.3°以下の差分傾斜角θ1を有する。すなわち、選別された各GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)について、主平面12mの任意の位置における法線とその位置における<0001>方向とのなす傾斜角θは、θ=|θ0+θ1|を用いて、0.5°以下と算出された。
2.複数のIII族窒化物チップ基板を配置する工程
図3を参照して、実施例1と同様にして、56枚のGaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)を配置して、周辺部を除去して、直径2インチの円形基板とした。
3.III族窒化物結晶を成長させる工程
図3を参照して、実施例1と同様にして、56枚のGaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)が配置されて形成された上記の円形基板の主平面12m上に、GaN結晶(III族窒化物結晶20)を成長させた。
上記基板上に一体化したGaN結晶が得られた。しかし、GaN結晶の結晶成長表面20g上には、10mmのピッチで<11−20>方向と平行な方向に伸びるファセット20fが形成されていた。このため、GaN結晶の歩留まりが低下した。結晶成長表面20gを研磨して円形基板の主平面12mに平行な平坦面を形成した後、CL(カソードルミネッセンス)による非発光暗点密度の測定によりGaN結晶の転位密度を測定した。GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の直上の結晶領域では1×106cm-2と低かったが、GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の各側平面12s,12tの接合部分の直上の結晶領域では2×107cm-2と高くなった。
ここで、GaN結晶(III族窒化物結晶20)について、GaNチップ基板の各側平面12s,12tの接合部分の直上の結晶領域のCL発光強度は、GaNチップ基板の直上の結晶領域のCL発光強度に比べて、365nm付近において、2倍以上であった。このことから、GaNチップ基板の接合部分の直上の結晶領域は、GaNチップ基板の直上の結晶領域に比べて不純物の取り込みが大きかったものと考えられる。
また、得られたGaN結晶は、中央傾斜角θc0が0.2°以下であり、差分傾斜角θc1が0.3°以下であった。したがって、GaN結晶(III族窒化物結晶20)の結晶成長表面20gに平行な面の任意の位置における法線とその位置における<0001>方向とのなす傾斜角θcは、θc=|θc0+θc1|を用いて、0.5°以下と算出された。
また、GaN結晶の中央における(0002)面に関するロッキングカーブにおけるX線回折ピークの半値幅は、80arcsecと小さく、結晶性が高かった。結果を表1にまとめた。
(実施例4)
1.III族窒化物チップ基板を複数準備する工程
図1および2を参照して、実施例1と同様にして複数のGaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)を準備した。かかるGaNチップ基板は、実施例1のGaNチップ基板と同様に、主平面12mの任意の位置における法線とその位置における<0001>方向とのなす傾斜角θは0.5°以下(ここで、θ=|θ0+θ1|であり、中央傾斜角θ0は0.2°以下、差分傾斜角θ1は0.3°以下)であった。
2.複数のIII族窒化物チップ基板を配置する工程
図2を参照して、実施例1と同様にして、56枚のGaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)を配置して、周辺部を除去して、直径2インチの円形基板とした。
3.III族窒化物結晶を成長させる工程
図2を参照して、56枚のGaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)が配置されて形成された上記の円形基板の主平面12m上に、III族元素の融液に窒素を溶解させた溶液を用いる溶液法により、GaN結晶(III族窒化物結晶20)を成長させた。
具体的には、内径80mmのカーボン製の坩堝内に、上記円形基板をその主平面12mを上に向けて配置して、その上に金属Gaを100g配置した。かかる円形基板と金属Gaを配置した坩堝を、窒素ガス雰囲気下、1150℃の雰囲気温度および2000気圧(202.7MPa)の雰囲気圧力で30時間保持することにより、金属Gaが融解したGa融液に窒素が溶解した溶液を円形基板の主平面12mに接触させて、主平面12m上にGaN結晶(III族窒化物結晶20)を成長させた。
上記円形基板上に一体化した結晶成長表面が平坦な厚さ20μmのGaN結晶が得られた。かかるGaN結晶の転位密度は、GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の直上の結晶領域では1×106cm-2、GaNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の各側平面12s,12tの接合部分の直上の結晶領域では3×106cm-2であった。また、得られたGaN結晶は、中央傾斜角θc0が0.2°以下であり、差分傾斜角θc1が0.3°以下であった。したがって、GaN結晶(III族窒化物結晶20)の結晶成長表面20gの任意の位置における法線とその位置における<0001>方向とのなす傾斜角θcは、θc=|θc0+θc1|を用いて、0.5°以下と算出された。また、GaN結晶の中央における(0002)面に関するロッキングカーブにおけるX線回折ピークの半値幅は、80arcsecと小さく、高い結晶性を有していた。結果を表1にまとめた。
(実施例5)
1.III族窒化物チップ基板を複数準備する工程
(1)III族窒化物母結晶の作製
図4を参照して、III族窒化物母結晶10であるAlN母結晶を以下のようにして作製した。まず、異種下地基板(図示せず)として(0001)面の主平面を有する直径2インチ(50.8mm)で厚さ0.5mmのSiC基板の主平面上に、昇華法により、AlN母結晶(III族窒化物母結晶10)を成長させた。
昇華法によるAlN母結晶の成長においては、結晶が0.5mmの厚さに成長するまでは、雰囲気温度を1700℃として、0.1体積%の二酸化炭素(CO2)ガスを供給して、結晶に炭素(C)原子をドーピングした。その後、雰囲気温度を1800℃として、二酸化炭素ガスの供給を止めて、さらに厚さ5mmのAlN母結晶を成長させた。成長したAlN母結晶の結晶成長表面((0001)面に相当する)には、複数のファセットにより形成される六角錐状の凹部が複数形成されていた。
次に、機械的研磨によりAlN母結晶(III族窒化物母結晶10)からSiC基板を除去して、直径2インチ(50.8mm)で厚さ3mmのAlN母結晶を得た。このとき、AlN母結晶のうちAlN炭素原子がドーピングされた厚さ0.5mmmの結晶領域を、SiC基板とともに除去した。
次に、AlN母結晶の結晶成長表面(ほぼ(0001)面)およびその反対側表面(ほぼ(000−1)面)を、平均粗さRaが50nmになるように研磨して平坦化した。ここで、平均粗さRaは、AFMにより測定した。こうして、ほぼ(0001)面である主面とほぼ(000−1)面である主面とを有する厚さ3mmのAlN母結晶(III族窒化物母結晶10)を得た。
(2)III族窒化物チップ基板の作製
AlN母結晶(III族窒化物母結晶10)から、AlNチップ基板の全ての側平面12s,12tが{10−10}面を含まないように、複数のAlNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)を切り出した。切り出された各AlNチップ基板は、5mm×10mm×厚さ800μmであった。各AlNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)において、5mm×10mmの主表面12mがほぼ(0001)面、5mm×800μmの側平面12sがほぼ(2−310)面、10mm×800μmの側平面12tがほぼ(−2−130)面であった。
ここで、切り出したAlNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)は、(0002)面に関するX線回折ピークの位置を測定したところ、中央傾斜角θ0に対して、5mmの辺に対して平行な方向に0.1°以下、10mmの辺に対して平行な方向に0.2°以下の差分傾斜角θ1を有していた。
次に、各AlN基板(III族窒化物チップ基板12)の主表面12mを、主表面12mの中央における法線が<0001>方向と同一になるように調整しながら、主表面12mの平均粗さが5nmになるように、研磨して平坦化した。次いで、各AlN基板(III族窒化物チップ基板12)の各側平面12s,12tを、主平面12mに対して垂直になるように調整しながら、各側平面12s,12tの平均粗さRaが5nmになるように、研磨して平坦化した。
上記のように研磨により主平面および側平面を平坦化した各AlN基板(III族窒化物チップ基板12)の中央傾斜角θ0を(0002)面に関するX線回折ピークの位置から測定して、かかる中央傾斜角θ0が0.5°以下のチップ基板を56枚選別した。すなわち、選別された各AlN基板(III族窒化物チップ基板12)は、主平面12mの任意の位置における法線とその位置における<0001>方向とのなす傾斜角θは、θ=|θ0+θ1|で表されることから、0.7°以下と算出された。
2.複数のIII族窒化物チップ基板を配置する工程
図2を参照して、上記のように選別した56枚のAlNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)を、各AlNチップ基板の主平面12mの法線方向が互いに平行で、各GaNチップ基板の<2−310>方向が互いに平行で、かつ、各AlNチップ基板の<−2130>方向が互いに平行になるように、各側平面12s,12tを互いに隣接させて配置し、周辺部を除去して、直径2インチの円形基板とした。
3.III族窒化物結晶を成長させる工程
図2を参照して、56枚のAlNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)が配置されて形成された上記の円形基板の主平面12m上に、昇華法により、45KPaの雰囲気圧力および2100℃の雰囲気温度で30時間AlN結晶(III族窒化物結晶20)を成長させた。こうして、上記円形基板上に、厚さが約3mmで直径が2インチ(50.8mm)の一体化した結晶成長表面20gが平坦なAlN結晶が得られた。
かかるAlN結晶の転位密度は、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて測定したところ、AlNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の直上の結晶領域では1×106cm-2、AlNチップ基板(III族窒化物チップ基板12)の各側平面12s,12tの接合部分の直上の結晶領域では6×106cm-2であった。
また、得られたAlN結晶は、中央傾斜角θc0が0.5°以下であり、差分傾斜角θc1が0.5°以下であった。したがって、GaN結晶(III族窒化物結晶20)の結晶成長表面20g近傍を主平面12mに平行に切断する仮想平面20hの任意の位置における法線とその位置における<0001>方向とのなす傾斜角θcは、θc=|θc0+θc1|を用いて、1.0°以下と算出された。
また、AlN結晶の中央における(0002)面に関するロッキングカーブにおけるX線回折ピークの半値幅は80arcsecと小さく、このAlN結晶は高い結晶性を有していた。結果を表1にまとめた。
Figure 0005515341
表1を参照して、実施例1〜5に示すように、主平面12mの任意の位置における法線がその位置における<0001>方向に対して1.0°以下の傾斜角θを有し、各側平面12s,12tが{10−10}面以外の{hk−(h+k)0}面(ここで、hおよびkは整数)である、III族窒化物チップ基板12を複数準備して、複数のIII族窒化物チップ基板12を、各III族窒化物チップ基板12の側平面12s,12tの法線方向が互いに平行でかつ各III族窒化物チップ基板12の<10−10>方向以外の<hk−(h+k)0>方向(ここで、hおよびkは整数)が互いに平行になるように、各側平面12s,12tを互いに隣接させて配置して、配置された複数のIII族窒化物チップ基板12の主平面12m上にIII族窒化物結晶20を成長させることにより、大型で結晶性が高く結晶成長表面が平坦なIII族窒化物結晶20が得られた(図2を参照)。
また、実施例1および2を参照して、III族窒化物チップ基板12の各側平面12s,12tの平均粗さRaを5nm以下から2.5nm以下に低減することにより、III族窒化物チップ基板12の各側平面12s,12tの接合部分の直上の結晶領域の転位密度を低減し、結晶成長表面20g近傍を主平面12mに平行に切断する仮想平面20hの任意の位置における法線とその位置における<0001>方向とのなす傾斜角θcを低減し、X線回折ピークの半値幅を低減して、より結晶性の高いIII族窒化物結晶20が得られた(図2を参照)。
一方、比較例2を参照して、III族窒化物チップ基板のいずれかの側平面が{10−10}面であると、一体化したIII族窒化物結晶20は得られるものの、結晶成長表面20gにファセット20fによる凹部が形成されるため、III族窒化物結晶20の歩留まりが低下した(図3を参照)。また、III族窒化物結晶20においてIII族窒化物チップ基板12の側平面12s,12tの接合部分の直上の結晶領域の転位密度が高くなった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
10 III族窒化物母結晶、10c,11c,12c,20c {0001}面、10g,20g 結晶成長表面、11 III族窒化物基板、11m,12m 主平面、12 III族窒化物チップ基板、12s,12t 側平面、20 III族窒化物結晶、20f ファセット、20fc ファセット成長結晶領域、20h 仮想平面。

Claims (3)

  1. 主平面と複数の側平面とを有するIII族窒化物チップ基板であって、
    前記主平面の任意の位置における法線が前記位置における<0001>方向に対して1.0°以下の傾斜角θを有し、各前記側平面が{10−10}面以外の{hk−(h+k)0}面(ここで、hおよびkは整数)である、前記III族窒化物チップ基板を複数準備する工程と、
    複数の前記III族窒化物チップ基板を、各前記III族窒化物チップ基板の前記主平面の法線方向が互いに平行でかつ各前記III族窒化物チップ基板の<10−10>方向以外の<hk−(h+k)0>方向(ここで、hおよびkは整数)が互いに平行になるように、各前記側平面を互いに隣接させて配置する工程と、
    配置された複数の前記III族窒化物チップ基板の前記主平面上に、III族窒化物結晶を成長させる工程と、を備えるIII族窒化物結晶の成長方法。
  2. 各前記側平面の平均粗さRaが5nm以下である請求項1に記載のIII族窒化物結晶の成長方法。
  3. 前記主平面が長方形である請求項1または請求項2に記載のIII族窒化物結晶の成長方法。
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