JP5515033B2 - 液晶の加熱測定方法及びこれに用いるサンプルの加熱機構 - Google Patents
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Description
液晶のサンプルを所定温度に加熱して測定を行う方法としては、ヒータブロックにサンプルを支持し、ヒータブロックを加熱してサンプルを加熱する方法(たとえば、特許文献1)、サンプルの周囲に電気炉等の加熱装置を配置して加熱する方法、フィルムヒータを用いてサンプルを加熱する方法(たとえば、特許文献2)等がある。
従来のヒータブロック等の比較的熱容量が大きなホルダにサンプルを保持して測定を行う方法は、サンプルの温度を安定化できるという利点はあるものの、サンプルの温度を安定化させるまでに時間がかかるため、設定温度を変えながら何点も測定を行う場合には、測定に長時間を要し、効率的な測定ができないという問題がある。
また、ヒータブロックを使用せず、熱容量の小さな支持プレートにサンプルを支持して測定する場合は、サンプルを所定の設定温度まで加熱することは容易であるものの、温度センサ等を用いてサンプル温度を制御する方法は、サンプル部分の温度を精度よく反映しているとは限らないという問題がある。
また、前記サンプルの加熱温度をキャリブレーションする工程においては、液晶となる温度が異なる複数種の液晶材料を前記サンプルプレートに供給し、前記ヒータ板によりサンプルプレートを加熱して、これら複数種の液晶材料についての転移点を検知する方法によってキャリブレーションすることを特徴とする。
また、前記サンプルの加熱部が、前記サンプルプレートと前記ヒータ板との間に介装され、ヒータ板からの熱をサンプルプレートに伝導させる熱伝導板を備えることにより、サンプルをより効率的に加熱することができる。
また、前記サンプルの加熱部が、該加熱部における温度を検知する温度センサを備え、前記温度センサに接続される温度検知装置と、前記ヒータ板への通電を制御してサンプルの温度を制御する制御装置とを備えることにより、サンプルの加熱温度を高精度に制御して測定することができる。
また、液晶の測定装置であって、前記サンプルの加熱機構を備える測定用ホルダと、前記加熱機構に送風して冷却する冷却機構とを備えることにより、前記加熱機構の熱により測定装置が損傷することを防止し、的確な測定を可能にする。
本発明に係る加熱機構の実施の形態として、加熱機構を液晶の光学測定装置(UV装置)に適用した例について説明する。
この測定用ホルダ5は、測定装置の筐体の上部に設けられたホルダの装着部に、上方から挿入するようにしてセットして用いる。図6の破線は、凹部状に形成された筐体のホルダの装着部を示したもので、装着部に測定用ホルダ5をセットした状態を示す。
この測定用ホルダ10は、矩形の平板体に形成された金属製のベース11上に、サンプルホルダ20とレファレンスホルダ50とを起立形状に取り付けて形成されている。
ケーシング21は、ベース11上に起立して固定支持された支持蓋22と、支持蓋22の側部にヒンジを介して開閉可能に取り付けられた開閉蓋23とからなる。図1は、開閉蓋23を閉じて液晶のサンプルをケーシング21内に収納した状態である。開閉蓋23を閉じた状態で、ケーシング21は前面下部を除いて箱形に閉止した形態となる。サンプルホルダ20の前面下部からは、加熱用のヒータに接続される配線24と、温度検知用のセンサに接続されるリード線25とが延出する。
本実施形態においては、透孔23a及び支持蓋22に設ける透孔を、開口径4.7mmの円形としたが、開閉蓋23と支持蓋22に透孔の位置、開口径、形状は測定装置、測定対象物に応じて適宜選択することができる。
レファレンス板52は、必要に応じてレファレンス用のガラス板等を取り付けて使用する。
ヒータ板31は、正面形状が長方形となる平板状の発熱体であり、ステンレスからなる吊りワイヤ29を用いて、4点支持により支持プレート28a、28bに吊持される。本実施形態においては、吊りワイヤ29にステンレスワイヤを用いている。
ヒータ板31の下縁部に通電用の配線24が接続され、ヒータ板31は配線24を介してヒータ板31への通電を制御する制御装置(不図示)に接続される。
吊りワイヤ29に用いる素材や、吊りワイヤ29による支持位置、支持本数等は適宜選択可能である。
ヒータ板31を支持プレート28a、28bに支持する際に、ヒータ板31に設けた透孔31aの位置が測定光の光路に一致するように組み立てる。
ヒータ板31は、ヒータ電流を制御する制御装置35に接続され、温度センサ33は温度検知装置36に接続される。
液晶材料は室温で粉体となっているものが多い。これらの液晶材料は弱い粘着性を有するから、サンプルをセットする際に、セット部40aの表面に液晶材料を押さえつけるようにすることでセット部40aに容易にサンプルを付着させてセットすることができる。
サンプルをセットしたサンプルプレート40は、起立状態(面を鉛直向き)としてもサンプルがセット部40aから剥離したりすることはない。また、サンプルを加熱して液晶状態になった場合でも、サンプルはセット部40a内に止まり、そのまま測定を行うことができる。
図3において、ヒータ板31、熱伝導板32、サンプルプレート40がサンプルの加熱部30を構成する。サンプルの加熱部30は狭い意味でのサンプルの加熱機構であり、ヒータ板31を吊持する吊りワイヤ29、支持プレート28a、28b、ケーシング21等を備えるサンプルホルダ20の構成を含めて加熱機構としてとらえることもでき、さらに温度センサ33、制御装置35、温度検知装置36等の制御機構を含めてサンプルの加熱機構ととらえることもできる。
サンプルの温度を制御する方法として温度センサを使用する方法は常法である。本実施形態においても温度センサ33を用いてサンプルの温度を制御するが、本実施形態においては、制御装置35を制御してサンプルを加熱した際における実際のサンプル部分の加熱温度をあらかじめキャリブレーションし、このキャリブレーションの結果に基づき制御装置35を制御してサンプルを所定の温度に加熱する。
液晶になる温度が既知で、液晶になる温度が異なる液晶材料は多種ある。室温から250℃程度の温度範囲にわたってキャリブレーションするために使用する材料として、以下の1〜4の液晶材料がある。
このキャリブレーション結果に基づけば、サンプルを所定温度に加熱する場合、この希望温度に対応する温度センサの温度となるように制御装置35を制御すればよい。たとえば、サンプルの温度を100℃(希望温度)に設定する場合は、温度センサによる温度が104.90℃となるように制御すればよい。
なお、制御装置35を制御する操作は、温度センサ33による出力値に基づいて制御する場合に限らず、たとえばヒータ板31を加熱する制御装置の電流値をモニターして制御するといったことも可能である。このように、制御装置35を制御してサンプルの温度をキャリブレーションするときの指標は、温度センサ33の出力値に限るものではない。
温度センサ33は、サンプルのセット位置とは離間した位置にあるが、そのセッティング下において上述したキャリブレーションを行っているから、温度センサ33とサンプル位置とが離間していてもなんら問題はない。
このように、サンプルプレート40上の限られた領域にサンプルをセットして測定する場合に、サンプルの位置における実際の温度を制御して測定できることは、きわめて有効である。
また、サンプルホルダ20は、ケーシング21の内部にサンプルや加熱機構を包囲して収納する構造となっているから、加熱機構から外部に熱が放散されることを抑制し、効率的にサンプルを加熱することができ、測定用ホルダ10の周囲に配置されている測定器の光学系等を熱から防護することができるという利点がある。
上述した測定用ホルダ10は、サンプルを加熱する機構を備えているから、サンプルを200℃もしくはそれ以上といった高温に加熱した場合に、測定装置の光学系等を損傷するおそれがある。このような場合は、測定用ホルダ10を冷却する冷却機構を付設する方法が有効である。
筐体の装着部には、測定用ホルダ10を装着した状態で外光が入らないように蓋を被せる構造となっている。この蓋のかわりに冷却機構60を装着すればよい。装着部に支持ベース61を装着した状態で、支持ベース61と装着部との間に若干の隙間が生じるように設計し、装着部内でエア流が通流するようにするとよい。
液晶の測定実験では、サンプルの温度を200℃以上の高温に加熱する場合がある。このような場合でも、上述した冷却機構60を使用すれば、測定装置を損傷させたり、測定に影響を与えずに測定することができる。
上述したサンプルの加熱機構は、UV測定装置のような光学測定装置に限らず、サンプルの加熱温度を適宜設定しながら測定するX線回折装置などの他の測定装置に利用することができる。
図5は、X線回折装置に用いる加熱機構の例を示す。この加熱機構は、ヒータ板72と、熱伝導板74と、サンプルプレート70とを重ね合わせ、一体に接合して形成したものである。サンプルプレート70はガラス製であり、この例では他の部材よりも大きく形成され(80×35mm)ている。サンプルプレート70の表面を浅い凹部状(10×10×0.5mm)に形成してサンプルのセット部70aが形成されている。
X線回折装置では、サンプルにX線を反射させて測定するから、ヒータ板72と熱伝導板74に透孔を形成する必要はない。
ヒータ板72は配線72aを介して制御装置に接続され、温度センサ75はリード線75aを介して温度検知装置に接続される。
図8は、図1に示す測定用ホルダ10を用いて、下記の液晶材料(サンプル)について吸収スペクトルを測定した結果を示す。
本測定においては、前述した加熱機構を利用したことにより、およそ3分間でサンプルの温度を変えて1回の測定を行うことができ、およそ39分で、25℃〜200℃の間で13回の測定を行うことができた。
従来の銅ブロックを備える加熱機構を使用して測定する場合には、サンプルの温度を変えて1回の吸収測定を行うのに、少なくとも数十分を要することと比較して、本実施形態の測定方法によれば、きわめて効率的な測定が可能であることがわかる。
これらの各種測定においては、サンプルのホルダ部分の構成(サンプルの支持方法、レファレンスホルダの有無等)はさまざまであるから、それぞれの測定装置に応じて、サンプルの加熱機構を構成する各部材の材質、大きさ等について適宜選択して設計すればよい。前述した加熱機構の実施形態においては、ヒータ板とサンプルプレートとの間に熱伝導板を介在させたが、場合によっては、ヒータ板にサンプルプレートをじか接合して、熱伝導板を省略する構成とするといった変形も可能である。
10 測定用ホルダ
20 サンプルホルダ
21 ケーシング
22 支持蓋
23 開閉蓋
23a 透孔
28a、28b 支持プレート
29 吊りワイヤ
30 加熱機構
31 ヒータ板
31a、32a 透孔
32 熱伝導板
33 温度センサ
35 制御装置
36 温度検知装置
40 サンプルプレート
40a セット部
42 粘着テープ
50 レファレンスホルダ
52 レファレンス板
52a 透孔
60 冷却機構
64 送気ファン
70 サンプルプレート
70a セット部
72 ヒータ板
74 熱伝導板
75 温度センサ
Claims (8)
- サンプルを付着させて支持するセット部が形成されたサンプルプレートと、該サンプルプレートの裏面に配されるヒータ板とを備え、
前記ヒータ板を加熱し、前記サンプルプレートに支持されたサンプルを所定の設定温度に加熱して測定を行う液晶の加熱測定方法であって、
前記サンプルを所定の設定温度に制御する方法として、
前記サンプルプレートのセット部に、液晶となる温度が既知の液晶材料を供給し、前記ヒータ板により前記サンプルプレートを加熱しながら前記液晶材料の転移点を検知する方法により、前記ヒータ板によるサンプルの加熱温度をあらかじめキャリブレーションする工程を備え、
前記キャリブレーションの結果にしたがって前記ヒータ板による加熱を制御して、前記サンプルプレートにセットされたサンプルの温度を制御することを特徴とする液晶の加熱測定方法。 - 前記サンプルの加熱温度をキャリブレーションする工程においては、
液晶となる温度が異なる複数種の液晶材料を前記サンプルプレートに供給し、前記ヒータ板によりサンプルプレートを加熱して、これら複数種の液晶材料についての転移点を検知する方法によってキャリブレーションすることを特徴とする請求項1記載の液晶の加熱測定方法。 - 請求項1または2記載の液晶の加熱測定方法に使用するサンプルの加熱機構であって、
液晶のサンプルを付着させて支持するセット部としての凹部が表面に形成されたサンプルプレートと、
該サンプルプレートの裏面に接して、少なくとも前記セット部が形成された領域を含む範囲に配されるヒータ板とを有するサンプルの加熱部を備えることを特徴とするサンプルの加熱機構。 - 前記サンプルの加熱部が、前記サンプルプレートと前記ヒータ板との間に介装され、ヒータ板からの熱をサンプルプレートに伝導させる熱伝導板を備えることを特徴とする請求項3記載のサンプルの加熱機構。
- 前記サンプルの加熱部が、該加熱部における温度を検知する温度センサを備え、
前記温度センサに接続される温度検知装置と、前記ヒータ板への通電を制御してサンプルの温度を制御する制御装置とを備えることを特徴とする請求項3または4記載のサンプルの加熱機構。 - 前記サンプルの加熱部が、ケーシング内に収納されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項記載のサンプルの加熱機構。
- 前記ケーシング内において、支持プレートに吊りワイヤを介して前記サンプルの加熱部が吊持されていることを特徴とする請求項6記載のサンプルの加熱機構。
- 請求項3〜7のいずれか一項記載のサンプルの加熱機構を備える測定用ホルダと、前記加熱機構に送風して冷却する冷却機構とを備えることを特徴とする液晶の測定装置。
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