JP5512332B2 - 二次電池用負極の設計方法、二次電池用負極の製造方法、二次電池用負極、及び二次電池用負極銅箔 - Google Patents

二次電池用負極の設計方法、二次電池用負極の製造方法、二次電池用負極、及び二次電池用負極銅箔 Download PDF

Info

Publication number
JP5512332B2
JP5512332B2 JP2010048661A JP2010048661A JP5512332B2 JP 5512332 B2 JP5512332 B2 JP 5512332B2 JP 2010048661 A JP2010048661 A JP 2010048661A JP 2010048661 A JP2010048661 A JP 2010048661A JP 5512332 B2 JP5512332 B2 JP 5512332B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper foil
negative electrode
secondary battery
thickness
active material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010048661A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011187195A (ja
Inventor
宗男 小平
雅宏 清藤
Original Assignee
株式会社Shカッパープロダクツ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社Shカッパープロダクツ filed Critical 株式会社Shカッパープロダクツ
Priority to JP2010048661A priority Critical patent/JP5512332B2/ja
Publication of JP2011187195A publication Critical patent/JP2011187195A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5512332B2 publication Critical patent/JP5512332B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Cell Electrode Carriers And Collectors (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本発明は、二次電池用負極の製造方法、二次電池用負極、及び二次電池用負極銅箔に関する。特に、本発明は、リチウムイオン二次電池用負極の製造方法、二次電池用負極、及び二次電池用負極銅箔に関する。
携帯電話等の通信機器、ノート型パソコン、電動工具等、ハイブリッドカー、電気自動車、大規模な電力貯蔵等に用いられるリチウムイオン二次電池には、集電体と、カーボンやグラファイト等の活物質、アセチレンブラック等の導電助剤、ポリビニリデンフロライド(PVDF)及び、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、並びにポリイミド(PI)等の結着剤を有する層とを備えるリチウムイオン二次電池用負極が用いられている。
そして、リチウムイオン二次電池の負極の活物質には、上記の通り、主として炭素系材料が使用されている。しかしながら、炭素系材料からなる活物質を用いたリチウムイオン二次電池の充放電容量は、理論値372mAh/gにほぼ達している。そこで、更なる高容量化を目的として、充放電容量が990mAh/gであるSn、又は4200mAh/gであるSi等から主として構成される負極の活物質の実用化が検討されている。
従来、リチウムイオン二次電池用負極として、集電体と、カーボン又はグラファイト材料からなり、集電体上に設けられる活物質及び熱可塑性樹脂からなるバインダーを含む層とを備え、活物質はSnを含む合金粉末からなると共に、バインダーは3.0GPa以上の弾性率を有する樹脂からなるリチウムイオン二次電池用負極が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のリチウムイオン二次電池用負極は、活物質としてSnを含む合金粉末を用いたので、良好な充放電サイクル特性を示すことができるリチウムイオン二次電池を提供できる。
特開2007−149604号公報
しかし、特許文献1に記載のリチウムイオン二次電池用負極は、活物質に炭素系材料を用いた場合に比べて充放電に伴う体積変化が大きいので、充放電サイクルによる集電体からの活物質の剥離、脱落が発生しやすい。これにより、特許文献1に記載のリチウムイオン二次電池用負極においては、活物質の剥離、脱落により、集電体と活物質との電気的な接続の低減に起因する電池容量の低下が発生する場合があり、又、リチウムイオン二次電池の寿命が短くなる場合がある。
したがって、本発明の目的は、充放電サイクル特性に優れた二次電池用負極の製造方法、二次電池用負極、及び二次電池用負極銅箔を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、銅箔を準備する銅箔準備工程と、銅箔の表面に活物質層を形成する活物質層形成工程とを備え、tAM×σAM≦0.5×tCu×σCu(ただし、tAMは活物質層の厚さ、σAMは充電時に活物質層に発生する応力、tCuは銅箔の厚さ、σCuは銅箔の0.2%耐力)を満たす二次電池用負極の製造方法が提供される。
また、上記二次電池用負極の製造方法においては、銅箔が、200℃、30分間の加熱を施した後に350MPa以上の0.2%耐力を有することが好ましい。
また、上記二次電池用負極の製造方法においては、活物質層が、Sn若しくはSiから主として形成されることが好ましい。
また、本発明は上記目的を達成するため、銅箔と、銅箔の表面に設けられる活物質層とを備え、tAM×σAM≦0.5×tCu×σCu(ただし、tAMは活物質層の厚さ、σAMは充電時に活物質層に発生する応力、tCuは銅箔の厚さ、σCuは銅箔の0.2%耐力)を満たす二次電池用負極が提供される。
また、上記二次電池用負極において、活物質層が、Sn若しくはSiから主として形成されることが好ましい。
また、本発明は上記目的を達成するため、活物質層が設けられることにより二次電池用負極として機能する二次電池用負極銅箔であって、表面に活物質層が設けられる領域を有する銅箔を備え、tAM×σAM≦0.5×tCu×σCu(ただし、tAMは活物質層の厚さ、σAMは充電時に活物質層に発生する応力、tCuは銅箔の厚さ、σCuは銅箔の0.2%耐力)を満たす二次電池用負極銅箔が提供される。
また、上記二次電池用負極銅箔において、銅箔が、200℃、30分間の加熱を施した後に350MPa以上の0.2%耐力を有することが好ましい。
また、上記二次電池用負極銅箔において、活物質層が、Sn若しくはSiから主として形成されることが好ましい。
本発明に係る二次電池用負極の製造方法、二次電池用負極、及び二次電池用負極銅箔によれば、充放電サイクル特性に優れた二次電池用負極の製造方法、二次電池用負極、及び二次電池用負極銅箔を提供できる。
本発明の実施の形態に係る二次電池用負極の製造工程を示す図である。 本実施の形態に係る二次電池用負極銅箔において、反りが発生した二次電池用負極銅箔の断面図である。 本実施の形態に係る二次電池用負極銅箔において、反りが発生した二次電池用負極銅箔の応力の分布を示す図である。 各銅合金の熱処理温度に対する引張り強さの関係を示した図である。 銅箔の0.2%耐力と銅箔の厚さとの積(tCu×σCu)を横軸にとり、活物質層であるNi−Sn合金めっきの厚さ(tNiSn)を縦軸にとり、プロットしたグラフである。 Ni−Sn合金めっきの充電時の0.2%耐力として897MPaを採用した場合のグラフである。
[実施の形態の要約]
活物質層を有する銅箔を備える二次電池用負極の製造方法において、前記銅箔を準備する銅箔準備工程と、前記銅箔の表面に前記活物質層を形成する活物質層形成工程とを備え、tAM×σAM≦0.5×tCu×σCu(ただし、tAMは前記活物質層の厚さ、σAMは充電時に前記活物質層に発生する応力、tCuは前記銅箔の厚さ、σCuは前記銅箔の0.2%耐力)を満たす二次電池用負極の製造方法が提供される。
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る二次電池用負極の製造工程の一例を示す。
まず、通常、充電時に活物質層に発生する応力の算出は困難である。そこで、初めに銅箔の「片面」に活物質層を形成し、充放電させて銅箔が塑性変形するか、弾性変形するかを調べる。このとき、厚さ及び/又は0.2%耐力を変えた銅箔を用意するか、あるいは活物質層の厚さを変えることを要する。この結果に基づき、使用する活物質層の充電時の発生応力を算出する。以下に詳細を述べる。
本実施の形態に係る二次電池用負極1は、二次電池用負極銅箔としての銅箔10と、銅箔10の表面に設けられる活物質層12とを備える。斯かる二次電池用負極1は、以下のようにして製造する。まず、所定の厚さを有する銅箔10が準備される(銅箔準備工程、図1(a))。ここで、銅箔準備工程においては、200℃、30分間の加熱を施した後に350MPa以上の0.2%耐力を有する銅箔10を準備する。そして、銅箔10の表面に洗浄処理が施される。洗浄処理は、例えば、陰極電解脱脂、陽極電解酸洗、及び/又は、酸化剤を用いた浸漬処理により実行される。
次に、活物質層12を合金めっきにより形成する場合、銅箔10の表面に粗化めっきを施すことが好ましい。銅箔10の表面を粗化めっきにより粗面化することにより、銅箔10と活物質層12との密着性を向上させることができる(すなわち、アンカー効果により銅箔10と活物質層12との密着性が向上する)。なお、活物質層12をポリビニリデンフロライド(PVDF)、ポリイミド(PI)等を含むバインダーを用いて銅箔10の表面に設ける場合、バインダーに添加するPVDF及び/又はPIの配合割合によっては、銅箔10の表面に粗化めっきを施さなくてもよい。
続いて、銅箔10の表面に活物質層12を形成する(活物質層形成工程、図1(b))。活物質層12は、Sn若しくはSiから主として形成される。例えば、活物質層12は、Ni−Sn合金からなるNi−Snめっき膜から形成することができる。なお、活物質層は、前述のめっき法による形成以外に、SiあるいはSnを主体とした微粉末をバインダー及び/又は導電剤と共に混錬して塗工する方法や、スパッタや電子ビーム蒸着等で製膜する方法により形成することもできる。
図2は、本実施の形態に係る二次電池用負極銅箔において、反りが発生した二次電池用負極銅箔の断面の概要を示し、図3は、本実施の形態に係る二次電池用負極銅箔において、反りが発生した二次電池用負極銅箔の応力の分布を示す図である。
まず、薄膜の応力とたわみとの関係として、Stoneyの式(1)が知られている。
σNiSn=EtCu /6rtNiSn・・・・式(1)
ここで、tNiSn<<tCuである場合、中立軸10aはNi−Snめっき層14側から2/3の位置になり、幾何学的な相似条件を示す以下の式(2)及び図2から、以下の式(3)を導くことができる。
d/r=Δd/(2tCu/3)・・・・式(2)
NiSnσNiSn=0.25σCuCu・・・・式(3)
なお、tNiSnはNi−Snめっき層14の厚さを示し、σNiSnは充電で活物質と銅箔10との界面に生じる応力の大きさを示す。また、tCuは銅箔10の厚さ、σCuは銅箔10の0.2%耐力、Eは銅箔10のヤング率(ただし、110×10N/m)である。更に、rは反りの曲率半径、dは中立軸における周長、ΔdはNi−Snめっき層14の外側面における変位量である。
式(3)は、tNiSnσNiSn>0.25σCuCuの時に銅箔10に塑性変形が起こり、tNiSnσNiSn≦0.25σCuCuの時に銅箔10が弾性変形することを示す。したがって、銅箔10の表面に設ける活物質層の種類と活物質層の厚さとに応じて、銅箔10に要求される0.2%耐力と厚さとが決定されることになる。ここで、活物質層の種類を決定することにより、本実施の形態に係る二次電池用負極銅箔を備える二次電池に充電した時の、活物質層に発生する応力も決定される。
次に、実際のリチウムイオン二次電池では、銅箔の両面に活物質層が形成されるので関係式が異なる。この場合は、弾性変形する限界の条件は、以下のようになると考えられる。
2×tAM×σAM=tCu×σCu・・・・式(4)
すなわち、下記の式(5)を満たす場合、銅箔は塑性変形を起こさないと考えられる。
AM×σAM≦0.5×tCu×σCu・・・・式(5)
ここで、σAMは、前述した銅箔の片面に活物質層を形成した実験から求めた値を用いる。
このようにして製造される二次電池用負極1において、銅箔10は、活物質層12の厚さと、二次電池用負極1を備える二次電池が充電された時に活物質層12に発生する応力とから決定される厚さ及び耐力値を有する。具体的に、銅箔10は、tAM×σAM≦0.5×tCu×σCu(ただし、tAMは活物質層12の厚さ、σAMは充電時に活物質層12に発生する応力、tCuは銅箔10の厚さ、σCuは銅箔10の0.2%耐力)で表される関係式を満たす。なお、仮に、銅箔10が塑性変形した場合、塑性変形が発生した後における銅箔10においては、活物質の体積変化に銅箔10の変形が追従しなくなる。この場合、銅箔10から活物質層が剥離し、二次電池の寿命が低下する。しかしながら、本実施の形態に係る二次電池用負極銅箔は、tAM×σAM≦0.5×tCu×σCuuを満たすので、銅箔10は弾性変形する。
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る二次電池用負極銅箔は、銅箔10と活物質層12とを備え、銅箔10が、tAM×σAM≦0.5×tCu×σCu(ただし、tAMは活物質層12の厚さ、σAMは充電時に活物質層12に発生する応力、tCuは銅箔10の厚さ、σCuは銅箔10の0.2%耐力)で表される関係式を満たすので、充放電特性を改善することができる。
表1に示した各銅箔の片面に活物質層としてのNi−Sn合金めっきを施すことにより、二次電池用負極銅箔を作製した。なお、各銅箔のそれぞれにおいて、Ni−Sn合金めっきの厚さが、0.1μmの二次電池用負極銅箔と、1.0μmの二次電池用負極銅箔と、3.0μmの二次電池用負極銅箔とを作製した。すなわち、表1に示した各銅箔のそれぞれについて3種類の二次電池用負極銅箔を作製した。
Figure 0005512332
なお、表1において、TPCはタフピッチ銅を示す。TPCは純度が99.5%程度、かつ、酸素濃度が0.01wt%〜0.06wt%の銅であり、約200℃の温度が約30分間加わると軟化し、0.2%耐力値が70N/mm程度まで低減する。また、HCL02ZはCu−Zr合金で、ZrがCu中に固溶した固溶型合金である。これにより0.2%耐力はTPCより若干高くなる。HCL64TはCu−Cr−Sn−Zn合金でCr粒子がCu中に析出した析出型合金である。HCL305はCu−Ni−Si合金で、NiSi粒子がCu中に析出した析出型合金である。
上記に一例を示したが、同じ固溶型銅合金の場合、材料の組成が相違すると0.2%耐力の値も変化する。例えば、HCL01Z系の銅合金の場合、CuとZrとの合計が99.96質量%以上、かつ、Zrが0.015質量%以上0.03質量%以下である場合、70N/mm程度の0.2%耐力値を示す。また、HCL305系の銅合金の場合、Niが2.2質量%以上2.8質量%以下、Siが0.3質量%以上0.7質量%以下、Znが1.5質量%以上2.0質量%以下、Pが0.015質量%以上0.06質量%以下、残部がCuである場合、70N/mm程度の0.2%耐力値を示す。更に、HCL64Tの銅合金の場合、Crが0.20質量%以上0.30質量%以下、Snが0.23質量%以上0.27質量%以下、Znが0.18質量%以上0.26質量%以下、残部がCuである場合、70N/mm程度の0.2%耐力値を示す。用いる活物質が決定されれば、上記の組成以外のCu箔であっても、0.2%耐力を計測し、後述するように、銅箔の厚みの最小値を決定することができる。したがって、表1の銅箔はあくまでも例示であり、本実施の形態において用いることのできる銅箔は、これらの材料に限定されない。
図4は、各銅合金の熱処理温度に対する引張り強さの関係を示した図である。
図4で確認できるとおり、HCL02Z、HCL64T、及びHCL305は、耐熱性が高く、200℃×30分程度の熱履歴では軟化しない。なお、いずれも日立電線株式会社製の銅合金である。
また、Ni−Sn合金めっきの条件を表2に示す。
Figure 0005512332
Ni−Sn合金めっきは、表2に示すように、銅箔の陰極電解脱脂(第1工程)、陽極電解酸洗(第2工程)、銅粗化めっき1(第3工程)、銅粗化めっき2(第4工程)、及びNiSnめっき(第5工程)の各工程をこの順に実施して作製した。表2においては、第2工程において電解酸洗を採用した。なお、第2工程における洗浄は、過酸化水素水、又は過硫酸カリウム等の酸化剤を用いた浸漬処理を採用することもできる。
また、Ni−Sn合金めっきの厚さは、めっき時間の調整により制御した。そして、Ni−Sn合金めっきの厚さは、蛍光X線膜厚計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製のSFT9450を使用)により確認した。更に、Ni−Sn合金めっきの結晶構造をX線回折装置(Rigaku社製のRint2000を使用)により確認した。そして、Ni−Sn合金めっきの組成を、Ni−Sn合金めっきを硝酸に溶解させた溶液をICP発光分光分析(ICP−OES、Shimazu社製のICPS7510を使用)することにより確認した。その結果、形成したNi−Sn合金めっきはNiSnであることを確認した。
作製した二次電池用負極銅箔を作用極、金属リチウムを参照極及び対極にし、充放電サイクル試験を実施した。測定装置は北斗電工株式会社製 HJ1001SM8Aを用い、電解液は富山薬品工業株式会社製 LIPASTER−EDMC/PF1(1mol/LのLiPFを溶解させたエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶液、ただし、混合比率は1:1である)を用いた。そして、充放電サイクル試験は、高純度のArガス(ただし、99.9999%の純度のArガス)雰囲気のグローブボックス中において、作製した二次電池用負極銅箔からなる作用極、金属リチウムからなる参照極及び対極を電解液で満たしたビーカー内に保持して実施した。充放電サイクル試験は、電位範囲を0.01vsLi/Li+から1.0vsLi/Li+に設定し、電流密度を0.4mA/cmに設定し、充電と放電との間の休止時間を10分間に設定して実施した。
充放電サイクル試験において、充電を開始すると、銅箔の片面に設けた活物質層であるNi−Sn合金めっきが体積膨張した。そして、活物質層の体積膨張に伴い、すべての電極が活物質層側を外側にして湾曲した。続いて放電したところ、実施例に係る二次電池用負極銅箔は、充電開始前のまっすぐな状態に復帰し、続く2サイクル目以降においても湾曲と復帰とを繰り返した。一方、比較例に係る二次電池用負極銅箔は、放電したところ、湾曲したまま初期のまっすぐな状態には戻らず、そのまま2サイクル目の充放電を続けても湾曲したままの形状であった。この結果を表3に示す。なお、表3では、弾性変形したサンプルを「○」、塑性変形したサンプルを「△」で表し、弾性変形したサンプルが実施例に係る二次電池用負極銅箔であり、塑性変形したサンプルが比較例に係る二次電池用負極銅箔である。
Figure 0005512332
比較例に係る二次電池用負極銅箔においては、充電時に集電銅箔としての銅箔が塑性変形したことにより、放電により活物質層が収縮して応力が消滅しても、元の形状に戻らなかったと考えられる。一方、実施例に係る二次電池用負極銅箔においては、充電時の活物質層の膨張により銅箔に発生した応力が、銅箔の0.2%耐力以下であったことから湾曲と復帰とを繰り返したと考えられる。すなわち、実施例に係る二次電池用負極銅箔においては、銅箔に発生する応力が銅箔の0.2%耐力以下であったことにより銅箔が弾性変形したので、放電による活物質層の収縮により銅箔がスプリングバックし、初期の形状に復帰したと考えられる。
ここで、まず図5、表3に示す結果から、銅箔の0.2%耐力と銅箔の厚さとの積(tCu×σCu)を横軸にとり、活物質層であるNi−Sn合金めっきの厚さ(tNiSn)を縦軸にとり、プロットした。
図5を参照すると、弾性変形と塑性変形との境界は、弾性変形した実施例に係るサンプル中のサンプルNo.3と、塑性変形した比較例に係るサンプル中のサンプルNo.7との間にあると考えられる。
そこで、表3に示す結果と式(3)とから、活物質層であるNi−Sn合金めっきに充電時に発生する応力を計算した。弾性変形した実施例に係るサンプル中のサンプルNo.3(ただし、Ni−Sn合金めっきの厚さが3μm)においては、0.25×tCu×σCu/tNiSn=897(MPa)であり、σNiSnの最大値が得られた。
一方、塑性変形した比較例に係るサンプル中のサンプルNo.7(ただし、Ni−Sn合金めっきの厚さが1μm)においては、0.25×tCu×σCu/tNiSn=829(MPa)であり、σNiSnの最小値が得られた。
以上より、Ni−Sn合金めっきに充電時に発生する応力は、829MPaより大きく、897MPa以下であることが示された。したがって、実施例においては、より厳しい値である応力の値897MPaを、充電時におけるNi−Sn合金めっきに発生する応力の値と規定する。(なお、図6に、Ni−Sn合金めっきの充電時の0.2%耐力として897MPaを採用した場合のグラフを示す。)
すなわち、σNiSnの値として897MPaの値を式(5)に代入し、活物質層の厚さtNiSnが3μmである場合に各種の銅箔に要求される厚さを算出した。その結果を表4に示す。
Figure 0005512332
表4から、活物質層としてNi−Sn合金めっき(より詳しくは、NiSnからなるめっきであり、3μmの厚さを有する)を用いる場合、電解銅箔から銅箔を形成する場合、少なくとも20μm以上の厚さを有する銅箔を用いることが要求され、コルソン系合金(例えば、HCL305)から銅箔を形成する場合、8μmの厚さを有する銅箔を用いることができる。
更に、本発明の実施例及び比較例の充放電容量、容量維持率を比較するため、評価する面積を一定にした試料電極としての二次電池用負極銅箔を製造した。具体的に、表1に示した各銅箔の片面に活物質層としてのNi−Sn合金めっきを施し、更に、活物質層が形成された銅箔を2cmの面積を有する円形に打ち抜いて二次電池用負極銅箔を作製した。そして、金属リチウムを対極とする試験セルを作製し、充放電特性を評価した。なお、測定セルは、株式会社 宝泉製のHSセルを改造した改造測定セルを用い、測定装置は北斗電工株式会社製のHJ1001SM8Aを、セパレータはセルガード株式会社製の#2400を、電解液は富山薬品工業株式会社製 LIPASTER−EDMC/PF1(1mol/LのLiPFを溶解させたエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶液、ただし、混合比率は1:1である)を用いた。充放電サイクル試験は、電位範囲を0.01vsLi/Li+から1.0vsLi/Li+に設定し、電流密度を0.25mA/cmに設定して実施した。
また、改造測定セルにおいては、試料電極の両面に約0.5mmの空隙が形成されるように試料電極を保持した。これにより、試料電極の両面がセルに堅牢に固定されないようにし、試料電極の変形が許容される構成にした。なお、試料電極に直径1mmの貫通孔を設け、空隙に満たされている電解液が、試料電極の変形に応じて貫通孔を移動できるようにした。このようにして構成した試験セルは、改造を施さない測定セルを用いる場合に比べ、実際の二次電池の内部環境に近い。
このようにして作製した試験セルを用い、試料電極を評価した。評価結果を表5に示す。
Figure 0005512332
表5を参照すると、20サイクル後の容量維持率は、実施例に係る二次電池用負極銅箔において75%から80%以上であった。一方、比較例に係る二次電池用負極銅箔においては45%から55%であった。これにより、実施例に係る二次電池用負極銅箔を用いることにより、二次電池の充放電特性が改善されることが示された。なお、表5において20サイクル後の放電容量維持率の値が斜体で表されているサンプルが比較例に係る二次電池用負極銅箔であり、その他が実施例に係る二次電池用負極銅箔である。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1 二次電池用負極
10 銅箔
10a 中立軸
12 活物質層
14 Ni−Snめっき層

Claims (9)

  1. 0.2%耐力σ Cu 、厚さt Cu の銅箔のそれぞれ、厚さt AM のNi−Sn合金層からなる活物質層(ただし、t AM <<t Cu である。)を備た二次電池用負極の設計方法であって
    前記銅箔の0.2%耐力σ Cu と、前記銅箔の厚さt Cu と、前記Ni−Sn合金層の厚さt NiSn の(ただし、t NiSn <<t Cu である。)うち、少なくとも1つが異なると共に、前記銅箔の片面に前記Ni−Sn合金層が形成されてなるサンプルを複数種類準備する工程と、
    それぞれの前記サンプルに対して充放電サイクル試験を行い、充放電サイクル試験後に、初期のまっすぐな状態に戻った弾性変形サンプルを選別する工程と、
    前記銅箔の厚さと前記銅箔の0.2%耐力との積t Cu ×σ Cu を横軸にとり、前記Ni−Sn合金層の厚さt NiSn を縦軸にとったグラフに、前記弾性変形サンプルの各条件をプロットする工程と、
    前記プロットのうち、前記グラフの原点を通る直線の傾きが一番大きくなるプロットを選別する工程と、
    前記原点を通る直線の傾きが一番大きくなるプロットの条件を式(6)に代入し、充電時に前記Ni−Sn合金層に発生する応力の最大値σ AM を計算する工程と、
    σ AM =0.25×t Cu ×σ Cu /t NiSn 式(6)
    前記σ AM を式(7)に代入し、該式(7)を満たすような前記Ni−Sn合金層の厚さt AM 、前記銅箔の厚さt Cu 及び前記銅箔の0.2%耐力σ Cu の組合せを決定する工程と、
    AM ×σ AM ≦0.5×t Cu ×σ Cu 式(7)
    を備える二次電池用負極の設計方法。
  2. 請求項1に記載の二次電池用負極の設計方法によって求められた前記Ni−Sn合金層の厚さt AM 、前記銅箔の厚さt Cu 及び前記銅箔の0.2%耐力σ Cu を用い、
    0.2%耐力σ Cu 、厚さt Cu の前記銅箔の両面それぞれに、厚さt AM の前記Ni−Sn合金層からなる活物質層を形成する二次電池用負極の製造方法。
  3. 前記銅箔が、200℃、30分間の加熱を施した後に350MPa以上の0.2%耐力を有する請求項に記載の二次電池用負極の製造方法。
  4. 銅箔と、
    前記銅箔の面に設けられ、Ni−Sn合金層からなる活物質層と
    を備え、
    AM×σAM≦0.5×tCu×σCu
    (ただし、tAMは前記活物質層の厚さ、σAMは充電時に前記活物質層に発生する応力、tCuは前記銅箔の厚さ、σCuは前記銅箔の0.2%耐力、かつt AM <<t Cu
    を満たす二次電池用負極。
  5. 前記銅箔が、200℃、30分間の加熱を施した後に350MPa以上の0.2%耐力を有する請求項4に記載の二次電池用負極。
  6. 前記Ni−Sn合金層は、Ni−Sn合金めっきからなり、
    前記σ AM は897Mpaである請求項4または5に記載の二次電池用負極。
  7. Ni−Sn合金層からなる活物質層が設けられることにより二次電池用負極として機能する二次電池用負極銅箔であって、
    面に前記活物質層が設けられる領域を有する銅箔
    を備え、
    AM×σAM≦0.5×tCu×σCu
    (ただし、tAMは前記活物質層の厚さ、σAMは充電時に前記活物質層に発生する応力、tCuは前記銅箔の厚さ、σCuは前記銅箔の0.2%耐力、かつt AM <<t Cu )を満たす二次電池用負極銅箔。
  8. 前記銅箔が、200℃、30分間の加熱を施した後に350MPa以上の0.2%耐力を有する請求項に記載の二次電池用負極銅箔。
  9. 前記Ni−Sn合金層は、Ni−Sn合金めっきからなり、
    前記σ AM は897Mpaである請求項7または8に記載の二次電池用負極銅箔。
JP2010048661A 2010-03-05 2010-03-05 二次電池用負極の設計方法、二次電池用負極の製造方法、二次電池用負極、及び二次電池用負極銅箔 Active JP5512332B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010048661A JP5512332B2 (ja) 2010-03-05 2010-03-05 二次電池用負極の設計方法、二次電池用負極の製造方法、二次電池用負極、及び二次電池用負極銅箔

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010048661A JP5512332B2 (ja) 2010-03-05 2010-03-05 二次電池用負極の設計方法、二次電池用負極の製造方法、二次電池用負極、及び二次電池用負極銅箔

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011187195A JP2011187195A (ja) 2011-09-22
JP5512332B2 true JP5512332B2 (ja) 2014-06-04

Family

ID=44793270

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010048661A Active JP5512332B2 (ja) 2010-03-05 2010-03-05 二次電池用負極の設計方法、二次電池用負極の製造方法、二次電池用負極、及び二次電池用負極銅箔

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5512332B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013047432A1 (ja) * 2011-09-27 2013-04-04 三洋電機株式会社 リチウム二次電池
JP2013235713A (ja) * 2012-05-09 2013-11-21 Sh Copper Products Corp リチウムイオン二次電池に使用される集電用銅箔およびそれを使用したリチウムイオン二次電池

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1536499B1 (en) * 2002-06-26 2012-02-29 Sanyo Electric Co., Ltd. Negative electrode for lithium secondary cell and lithium secondary cell
JP2005135856A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Mitsubishi Chemicals Corp リチウム二次電池用電極及びその製造方法、並びにリチウム二次電池
JP2006049237A (ja) * 2004-08-09 2006-02-16 Hitachi Cable Ltd リチウムイオン電池用負極材
WO2008132987A1 (ja) * 2007-04-20 2008-11-06 Nippon Mining & Metals Co., Ltd. リチウム二次電池用電解銅箔及び該銅箔の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011187195A (ja) 2011-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5722813B2 (ja) 電解銅箔及び二次電池用負極集電体
JP5276158B2 (ja) リチウムイオン二次電池、該電池用負極電極、該電池負極集電体用電解銅箔
JP5488857B1 (ja) 保護膜を作製するための組成物および保護膜、ならびに蓄電デバイス
WO2015041348A1 (ja) 銅合金箔
WO2012066980A1 (ja) リチウムイオン二次電池負極集電体用の銅箔、リチウムイオン二次電池負極材及びリチウムイオン二次電池負極集電体選定方法
JP5437536B2 (ja) 電極用集電体、非水電解質二次電池用負極、非水電解質二次電池
US20160285077A1 (en) Negative electrode for electric device and electric device using the same
JP2007095568A (ja) リチウム二次電池及びその製造方法
EP2717357A1 (en) Negative electrode active material for electrical device, negative electrode for electrical device and electrical device
JP6040995B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極、及びこれを用いたリチウムイオン二次電池
US20150303464A1 (en) Negative electrode for electrical device, and electrical device using the same
KR20140051278A (ko) 리튬 이온 이차 전지의 부극재 제조 방법 및 리튬 이온 이차 전지용 부극재
JP6119857B2 (ja) リチウムイオン二次電池用正極集電体およびリチウムイオン二次電池用正極
JP5345974B2 (ja) 圧延銅合金箔、並びにこれを用いた負極集電体、負極板及び二次電池
JP6067256B2 (ja) 電解銅箔、リチウムイオン二次電池用負極電極及びリチウムイオン二次電池
US20150311500A1 (en) Negative electrode for electric device and electric device using the same
JP5512332B2 (ja) 二次電池用負極の設計方法、二次電池用負極の製造方法、二次電池用負極、及び二次電池用負極銅箔
JP6127289B2 (ja) リチウムイオン電池用負極材料およびその製造方法
JP5058381B1 (ja) 集電体及び電極、これを用いた蓄電素子
JP2018045779A (ja) 全固体リチウムイオン二次電池
JP2013097969A (ja) 全固体電池用電極、及び当該電極を含む全固体電池
JP6002141B2 (ja) 溶融塩電池及びその稼働方法
JP2009295470A (ja) リチウムイオン二次電池
JP2012178309A (ja) リチウムイオン二次電池用負極と、これを用いたリチウムイオン二次電池
WO2014199781A1 (ja) 電気デバイス用負極活物質、およびこれを用いた電気デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120518

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20130628

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131002

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140304

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140326

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5512332

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250