JP5512168B2 - ターボチャージャのためのスラスト軸受シール - Google Patents

Description

本発明は、請求項１のおいて書き部分に記載された、ローターシャフトを有するターボチャージャのためのスラスト軸受シールに関する。当該ローターシャフトでは、タービンハウジング内に配設された一方の先端が、ハウジングの開口部内へ案内され、タービン翼車を支承している。一方、コンプレッサーハウジング内に配設された他方の先端は、ハウジングの開口部内へ案内され、コンプレッサ翼車を支承している。

従来技術においては、前記ローターシャフトは、適切な潤滑システムも含めて、ラジアル軸受及びスラスト軸受によって支承されている。当該ラジアル軸受及びスラスト軸受は、前記タービンハウジングと前記コンプレッサーハウジングとの中間に接続された軸受ハウジングの内部に設置されている。

このとき、ローターシャフトのためのスラスト軸受は、少なくともコンプレッサ翼車の領域又はコンプレッサーハウジングの領域に設けられている。当該スラスト軸受は、シール装置を備えており、例えばフローティングディスク、又は固定側部分若しくは回転側部分を含むオイルシールアセンブリと相互作用下にある。

従来技術では、オイルは、オイル吸込口を経由して、エンジンのオイルシステムから軸受ハウジングへ流入し、油路を介して、軸受アセンブリに供給される。

例えば、特許文献１には、シール装置がハウジングの内壁及びスラスト軸受によって構成されているタイプのターボチャージャが開示されている。この場合、軸方向に支承するために、固定式、すなわち定置式軸受部が、ローターシャフトに連結された２つの回転部のうち１つの回転部に係合している。

固定セグメント軸受が、一般にスラスト軸受として使用される。当該固定セグメント軸受は、軸受ハウジングに堅固に連結された軸受ハウジングと、いわゆる軸受フランジの、シャフトと共に回転するスライド面とから構成されている。

例えば、特許文献２からは、ターボチャージャのためのスラスト軸受が知られている。当該軸受においては、固定側の軸受ハウジングと、回転する軸受フランジと、の間に配置されたフローティングディスクが、ローターシャフト上に案内される。

つまり、スラスト軸受の軸受ハウジングは、軸受ハウジングに定置されており、それによって、ターボチャージャのハウジングに固定されている一方で、さらなる軸受ハウジングである軸受フランジは、ローターシャフトとともに回転する。固定側の軸受ハウジングと、回転する軸受フランジとの間には、フローティングディスクが配置可能であり、それによって、フローティングディスクの両側に、それぞれ潤滑間隙が形成されうる。

固定側の軸受ハウジングは、ローターシャフトの軸方向において、フローティングディスクに背を向ける側で、コンプレッサーハウジングの、シール部を支持し、かつ、回転を行うリングに回転可能に接続されており、それによって、コンプレッサーハウジングの回転するシールリングと、固定側の軸受ハウジングとの間に、密封間隙が、軸の遊びとして形成されうる。

軸受フランジの外表面と、固定側の軸受ハウジングの軸方向の穴との間には、オイルチャンバが、回転する液体トロイドとして設けられており、当該オイルチャンバは、油路を介して、固定側の軸受ハウジングと、コンプレッサーハウジングの回転するシールリングと、の間の密封間隙、及び、その他の軸受構成部品間の潤滑間隙に通じている。

前記回転する液体トロイドには、オイル吸込口を経由して、固定側の軸受ハウジングにおいて、潤滑油が供給される。

また、コンプレッサーハウジングのシールリングが回転する場合は、多くの適用例において、当該リングはさらに、ラビリンスリングとしても構成可能であるということが知られている。すなわち、当該リングは、コンプレッサーチャンバを密封するためのラビリンスシールの一部として、ラビリンスを含んでいる。

この種のターボチャージャの場合、スラスト軸受の回転する液体トロイドにおける遠心力によって、圧力勾配が生じることがある。当該圧力勾配は、固定側の軸受ハウジングのオイル吸込口におけるオイルの吸込圧力を上回るため、オイルは当該圧力勾配に抗して、惰力で進行することは不可能である。

したがって、作動中におこりやすい傾向としては、給気圧が比較的高い場合、すなわち、ターボチャージャの回転数が比較的大きい場合に、コンプレッサーハウジングのコンプレッサーチャンバから吸い込まれた空気が、前記コンプレッサ側のシール、例えばラビリンスシールを介して、軸受ハウジング内、特に回転する液体トロイド内、すなわち固定側の軸受ハウジングのオイルチャンバ内に流入し、それによって、例えばフローティングディスクを使用した場合でも、当該フローティングディスクが乾いた状態に置かれる恐れがある。

従来技術によるシールのみを用いた密封は、スラスト軸受、すなわち回転する液体トロイド内が、ある程度低圧である場合にのみ可能である。

欧州特許出願公開第１３９４３６５号明細書 独国特許第１９６４１６７３号明細書

したがって、本発明の課題は、上述したスラスト軸受において、ターボチャージャの回転数が比較的大きい場合でも、オイル吸込口を経由する潤滑油の搬送が中断され、それによって、スラスト軸受において低圧が生じた場合でも、空気の混入が防止され、スラスト軸受の機能が維持されることを保障することにある。

本発明に係る、同属のスラスト軸受シールにおいて、前記課題は、コンプレッサーハウジングの回転するシールリングと、固定側の軸受ハウジングとの間に、ローターシャフトに関して径方向に、密封間隙が形成されるとともに、当該間隙内に存在するオイルの圧力が、ターボチャージャの作動中に、軸受ハウジングとスラスト軸受との間且つスラスト軸受と軸受フランジとの間における、その時々の空気圧よりも、常に大きい状態であるように、当該間隙が、外側に向かって延在していることによって解決される。

前記密封間隙は、特に有利な方法においては、固定側の軸受ハウジングのオイルチャンバ、すなわち液体トロイドの径方向高さがその軸方向幅よりも明らかに小さいこと、有利な方法においては、当該高さが最大でオイルチャンバの軸方向幅の３分の１であることによって、かつ、回転するシールリングのシール部がローターシャフトの軸方向に作用し、当該シール部がオイルチャンバの外径に密封間隙の径方向長さを加えた直径を有し、シールリングの周囲に設けられていることによって構成されている。

コンプレッサーチャンバ内の空気に対して、スラスト軸受を密封するための、シールリングのシール部の直径を、オイルチャンバの外径及び密封間隙の外径に対して、上記のように構成することによって、コンプレッサーチャンバ方向における潤滑油の搬送効果が得られる。

本発明のさらなる詳細については、概略的に図示された好適な実施例に基づいて以下に説明する。

図１は、ターボチャージャのための、本発明に係るスラスト軸受シール部分の部分縦断面図である。

本発明に係るスラスト軸受シールは、ターボチャージャのハウジングに固定され、ローターシャフト１に関して定置されている軸受ハウジング２と、ローターシャフト１と共に回転する軸受フランジ３と、ローターシャフト１の軸方向におけるコンプレッサーハウジングに対向する側で、固定側の軸受ハウジング２に回転可能に接続されたコンプレッサーハウジングのシールリング５とを備えている。固定側の軸受ハウジング２と回転する軸受フランジ３との間には、フローティングディスク４が介挿されている。

シールリング５と固定側の軸受ハウジング２との間には、密封された間隙６が形成されている。このとき、図示された実施例では、シールリング５はラビリンスシール７をさらに備えている。言うまでもなく、他のシール構成であっても良い。

ローターシャフト１の表面と固定側の軸受ハウジング２の軸方向に形成された穴との間には、オイルチャンバ８が、回転する液体トロイド（液体を収容するトロイド状のチャンバ）として設けられている。オイル又は潤滑剤は、エンジンのオイルシステムからオイル吸込口９を経由して当該オイルチャンバに搬送される。それによって、フローティングディスク４の両側端面それぞれに潤滑された間隙が形成され、密封された間隙６においてコンプレッサのコンプレッサーチャンバの給気に対応して当該密封された間隙へ搬送されるオイルによって、密封効果が得られる。

オイルチャンバ８は、固定側の軸受ハウジング２の穴が設けられた箇所に周状の溝として構成されている。

シールリング５と固定側の軸受ハウジング２との間に形成された密封された間隙６は、ローターシャフト１の径方向に方向付けられており、当該密閉された間隙内に存在するオイルの圧力が、スラスト軸受を囲むハウジング内における空気圧よりも常に大きい状態であるように、当該密閉された間隙は、外側に向かって延在している。

密封された間隙６によるオイルの搬送効果は、ターボチャージャの回転数と、シール部、当該実施例ではラビリンスシール７が設けられている部分の直径の大きさとに依存する。

このとき、オイルチャンバ８又は回転する液体トロイドの径方向における高さ１０は、その軸方向における幅よりも明らかに小さくなるように構成されている。有利には、当該径方向における高さ１０の最大値は、オイルチャンバ８の軸方向における幅の３分の１である。

シールリング５のラビリンスシール７は、ローターシャフト１の軸方向に延在しており、軸受フランジ３と固定側の軸受ハウジング２との間の密封された間隙６の径方向長さ１２をオイルチャンバ８の外径１１に加えた大きさである直径１３を有しており、シールリング５の周囲に配設されている。

オイル吸込口９を経由して密封された間隙６に搬送されるオイルの搬送効果が改善されることによって、給気の潤滑油への混入が完全に回避される。当該搬送効果は、ターボチャージャの回転数が大きくなるにつれて高まる。このことは、駆動室すなわちコンプレッサーチャンバ内の空気圧がスラスト軸受シール前の潤滑油の圧力よりも高い場合であっても同様である。

駆動室又はコンプレッサーチャンバに向かう、すなわち密封された間隙６を経由するオイルの搬送効果は、ターボチャージャの回転数と、密封された間隙６の高さ１３、すなわちシールリング５のシール部、当該実施例ではラビリンスシール７が設けられている部分におけるローターシャフト１の直径１３の大きさとに依存する。従って、前記搬送効果は、ターボチャージャの回転数や密閉された間隙の高さによって調整可能である。

１ ローターシャフト
２ 軸受ハウジング
３ 軸受フランジ
４ フローティングディスク
５ シールリング
６ 密封間隙
７ ラビリンスシール
８ オイルチャンバ
９ オイル吸込口
１０ 径方向高さ
１１ 外径
１２ 径方向長さ
１３ 拡大された直径

Claims (3)

1. ローターシャフト（１）を備えたターボチャージャのためのスラスト軸受シールであって、
   タービンハウジング内に配設された前記ローターシャフト（１）の一方の先端が、前記タービンハウジングの開口部内へ案内され、タービン翼車を支承する一方で、コンプレッサーハウジング内に配設された前記ローターシャフト（１）の他方の先端は、前記コンプレッサーハウジングの開口部内へ案内され、コンプレッサ翼車を支承しており、
   スラスト軸受の軸受ハウジング（２）は、前記ターボチャージャの前記ハウジングに固定的に配置されており、
   軸受フランジ（３）の外表面と、前記ロータシャフト（１）の軸方向と同一方向である、固定側の前記軸受ハウジング（２）の軸方向に形成された穴の内表面との間には、オイルチャンバ（８）が形成され、
   前記軸受ハウジング（２）は、前記ローターシャフト（１）と共に回転する前記軸受フランジ（３）と協働する一方で、前記ローターシャフト（１）の軸方向における前記コンプレッサーハウジングに対向する側で、前記コンプレッサーハウジングの回転するシールリング（５）に回転可能に接続されており、
   回転するシールリング（５）が、前記ロータシャフト（１）を受容するように構成されている円筒状の形態とされ、前記シールリング（５）を受容するように構成されている凹所が、前記軸受ハウジング（２）に形成されており、前記シールリング（５）の軸方向の端面と前記凹所の軸方向の端面との間に、間隙（６）が前記ロータシャフト（１）の径方向に形成されており、前記軸受ハウジング（２）に受容されている前記シールリング（５）の外面には、軸方向において密封作用を発揮する補足的なシール部（７）が形成されている、スラスト軸受シールにおいて、
   シールリング（５）と固定側の軸受ハウジング（２）との間には、前記間隙（６）が前記ローターシャフト（１）の径方向に形成されており、前記間隙内に存在するオイルの圧力が、前記ターボチャージャの作動中において、前記軸受ハウジング（２）と前記スラスト軸受（４）との間且つ前記スラスト軸受（４）と前記軸受フランジ（３）との間における空気圧よりも常に大きい状態であるように、前記間隙が、前記シール部（７）と接していることを特徴とするスラスト軸受シール。
2. 前記オイルチャンバ（８）、すなわち液体トロイドの径方向高さ（１０）が、その軸方向幅よりも小さく、有利には、最大で前記オイルチャンバの軸方向幅の３分の１であり、かつ、前記シールリング（５）の前記補足的シール部（７）は、前記オイルチャンバ（８）の外径（１１）に前記密封間隙（６）の長さを加えた直径（１３）を有し、前記ローターシャフトの周りに位置していることを特徴とする請求項１に記載のスラスト軸受シール。
3. 前記補足的シール部（７）が、ラビリンスシールとして構成されていることを特徴とする請求項１又は２に記載のスラスト軸受シール。