JP5512065B2 - 圧電セラミック素子 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電セラミック層と電極層とを有する圧電セラミック素子に関するものである。
従来の圧電セラミック素子としては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。この圧電セラミック素子は、圧電セラミック層と内部電極層とを交互に積層されてなる積層体を備え、この積層体には、積層方向に貫通し複数本の細いアクチュエータ部を形成する複数のスリット状の孔部が設けられている。
特開平8−279631号公報
近年では、圧電セラミック素子の小型化や高密度化が要求されており、1つの圧電セラミック素子に対して多数の個別電極を設ける必要性が高まってきている。この場合、上記従来技術のようにスリット状の孔部(スリット孔)を有する圧電セラミック素子では、スリット孔をどのように構成するかが重要になってくるが、上記従来技術においては、そのようなスリット孔については何らの考慮が全くなされていない。従って、スリット孔の機能を発揮させることが困難になると共に、圧電セラミック素子の機械的強度が低下してしまう可能性がある。
本発明の目的は、複数の個別電極を高密度に配列する場合でも、所望の機械的強度を確保しつつ、スリット孔の機能を確実に発揮させることができる圧電セラミック素子を提供することである。
本発明は、複数の圧電セラミック層と各圧電セラミック層を挟んで対向するように形成された個別電極及びコモン電極とを有する素子本体を備えた圧電セラミック素子であって、個別電極は、素子本体の積層方向に対して垂直な列方向に複数配列されていると共に、コモン電極と重なり合う活性領域を有し、コモン電極は、列方向に複数配列された個別電極にそれぞれ対応する位置に形成された複数の電極パターン部を含み、コモン電極が形成されている面には、列方向に対して垂直な行方向で複数の電極パターン部にそれぞれ隣接する複数の個別電極中継パターンが形成され、積層方向で重なり合う複数の個別電極は、圧電セラミック層に形成されたスルーホールと個別電極中継パターンとを介して互いに接続されると共に、素子本体の積層方向の端面に設けられた端子電極にスルーホールを介して接続され、素子本体には、列方向で隣り合う個別電極の間にそれぞれ位置し、積層方向に貫通し、積層方向にのみ開放され、積層方向に対して垂直な方向には開放端を有さず、内壁面に機械的表面加工がなされていない複数のスリット孔が、個別電極及びコモン電極を露出させないように設けられており、各スリット孔の幅は、列方向に沿った活性領域の寸法の1/2以下であり、素子本体における活性領域とスリット孔との間には、個別電極とコモン電極とが重なり合わないように形成された圧電不活性部が設けられており、各スリット孔は、列方向で隣り合う電極パターン部の間に位置していることを特徴とするものである。
このような圧電セラミック素子において、個別電極とコモン電極との間に電圧を印加すると、個別電極とコモン電極とが重なり合う部分(圧電活性部)の圧電セラミック層が変位する。このとき、素子本体における各個別電極間の部位にスリット孔を設けることにより、圧電活性部の圧電セラミック層の変位量が増大すると共に、隣り合う圧電活性部の圧電セラミック層同士が互いに干渉することが防止されるようになる。ここで、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、複数の個別電極を高密度に配列すべく各個別電極間の間隔を狭くした場合には、スリット孔の寸法と個別電極の活性領域の寸法との関係が適切に規定されていないと、上記のようなスリット孔を設けた効果が十分に得られず、或いは圧電活性部の機械的強度が弱くなることが明らかになった。具体的には、シミュレーション等によって、スリット孔の幅が個別電極の活性領域の幅に対して大きすぎる(1/2を越える)と、圧電活性部の機械的強度が弱くなり、圧電セラミック層の変位動作に大きな影響を与えてしまうことが分かった。そこで、スリット孔の幅をスリット孔の幅方向に沿った活性領域の寸法の1/2以下にすることにより、各個別電極間の間隔を狭くした場合でも、圧電活性部の所望な機械的強度を確保しつつ、スリット孔の機能を確実に発揮させることができる。
また、素子本体における活性領域とスリット孔との間には、個別電極とコモン電極とが重なり合わないように形成された圧電不活性部が設けられているため、圧電活性部の圧電セラミック層の変位動作がスリット孔により直接影響を受けることが無い。スリット孔の幅を上記のように規定することは、素子本体における活性領域とスリット孔との間に圧電不活性部が設けられている場合に特に効果的である。
また、好ましくは、スリット孔の長さは、スリット孔の長さ方向に沿った活性領域の寸法の0.7〜1.5倍である。これにより、スリット孔の機能が十分に発揮されると共に、圧電活性部の所望な機械的強度が十分に確保される。また、複数の個別電極をマトリクス状に配列する場合には、複数の個別電極をスリット孔の長さ方向に対しても高密度に配列することができる。
さらに、好ましくは、素子本体は、焼成によって形成されたものであり、スリット孔を形成する素子本体の内壁面は、焼成を行った後に機械的表面加工が施されていない状態の焼成面である。これにより、素子本体の焼成後に機械的表面加工を施した場合と異なり、素子本体の内壁面には微細クラックや圧電セラミック層の粒子脱落等が殆ど生じないので、圧電セラミック素子の信頼性が向上する。
また、好ましくは、素子本体は、複数の個別電極を有すると共に、各個別電極間にスリット孔の一部を作り出すための第1孔部が形成された第1セラミックシートと、コモン電極を有すると共に、スリット孔の一部を作り出すための第2孔部が形成された第2セラミックシートとを積層してなり、第1孔部及び第2孔部は、第1セラミックシート及び第2セラミックシートにそれぞれレーザ光を照射して形成されたものである。このように素子本体を作り上げる前に、第1セラミックシートに第1孔部を形成し、第2セラミックシートに第2孔部を形成することにより、各個別電極間の間隔が狭い場合であっても、素子本体における各個別電極間の部位に容易にスリット孔を形成することができる。また、第1孔部及び第2孔部の形成にレーザ光を用いることにより、第1セラミックシート及び第2セラミックシートに微細クラック等が生じにくくなると共に、所望形状の第1孔部及び第2孔部を精度良く形成することができる。
本発明によれば、複数の個別電極間の間隔を狭くした場合でも、圧電セラミック素子の所望な機械的強度を確保しつつ、スリット孔の機能を確実に発揮させることができる。これにより、近年要求されている圧電セラミック素子の小型化や高密度化に十分対処することが可能となる。
以下、本発明に係わる圧電セラミック素子の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる圧電セラミック素子の一実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1のII−II線断面図である。各図において、本実施形態の圧電セラミック素子1は、素子本体である積層体2を備えている。
積層体2は、複数の圧電セラミック層3と、この圧電セラミック層3を挟んで対向する複数の内部個別電極4及び内部コモン電極5とを有している。各層の内部個別電極4は、積層体2の積層方向(内部個別電極4と内部コモン電極5との対向方向)に対して垂直な方向にマトリクス状に配列されている。例えば各層の内部個別電極4は、積層体2の横方向に75個、積層体2の縦方向に4個といった75行4列に配列されている。内部コモン電極5は、各内部個別電極4と重なり合う部分を含んでいる。複数の内部個別電極4と内部コモン電極5とは、圧電セラミック層3を介して交互に積層されている。
積層体2の上面には、複数の内部個別電極4と電気的に接続された複数の外部個別電極6と、内部コモン電極5と電気的に接続された外部コモン電極7とが設けられている。外部個別電極6は、各層の内部個別電極4に対応するように配列されている。
積層体2において列方向(積層体2の横方向)に隣り合う各内部個別電極4間の部位には、積層体2の積層方向に貫通するスリット孔8が形成されている。このスリット孔8は、積層体2の積層方向にのみ開放され、積層体2の積層方向に対して垂直な方向には開放端を有していない。スリット孔8の開口は、例えば長方形状や長円形状等を有している。また、スリット孔8を形成する積層体2の内壁面8a(図9参照)は、焼成(後述)後に機械的表面加工がなされていない焼成面(自然面)となっている。このため、機械的表面加工に起因した微細欠陥、例えば微細クラックや圧電セラミック層3の粒子脱落等が発生することは無い。
このような圧電セラミック素子1は、図3に示すように、長方形状の圧電体9〜13を積層してなる構造を有している。圧電体9〜13の寸法は、例えば縦10mm×横30mm×厚さ30μm程度である。
圧電体9の上面には、図4に示すように、複数の個別電極パターン14とコモン電極中継パターン15とが形成されている。複数の個別電極パターン14は、マトリクス状(例えば75行4列)に配列されている。個別電極パターン14は、長方形状を有すると共に、その短辺が圧電体9の横方向に沿うように配列されている。コモン電極中継パターン15は、圧電体9の一端部に形成されている。また、圧電体9には、各個別電極パターン14と電気的に接続された複数のスルーホール16と、コモン電極中継パターン15と電気的に接続されたスルーホール17とが形成されている。
圧電体9において、列方向(圧電体9の横方向)に隣り合う各個別電極パターン14間には、上記スリット孔8の一部を作り出すためのスリット孔部18がそれぞれ形成されている。このスリット孔部18は、個別電極パターン14の長手方向に沿って延在している。
圧電体10の上面には、図5に示すように、複数の個別電極パターン19とコモン電極中継パターン20とが形成されている。個別電極パターン19は、圧電体9上の個別電極パターン14と対応するようにマトリクス状に配列されている。コモン電極中継パターン20は、圧電体9上のコモン電極中継パターン15と対応する位置に形成されている。また、圧電体10には、コモン電極中継パターン15と電気的に接続されたスルーホール21が形成されている。
圧電体10において、列方向(圧電体10の横方向)に隣り合う各個別電極パターン19間には、スリット孔部18と同じ形状を有し、上記スリット孔8の一部を作り出すためのスリット孔部22がそれぞれ形成されている。
圧電体11の上面には、図6に示すように、コモン電極パターン23と複数の個別電極中継パターン24とが形成されている。コモン電極パターン23は、圧電体9上の各個別電極パターン14に対応する位置に形成された複数の電極パターン部23aと、圧電体9上のコモン電極パターン15に対応する位置に形成された電極パターン部23bとを含んでいる。個別電極中継パターン24は、個別電極パターン14に対応する位置において、行方向(圧電体11の縦方向)に対して電極パターン部23aに隣接するように形成されている。また、圧電体11には、各個別電極中継パターン24と電気的に接続された複数のスルーホール25と、コモン電極パターン23と電気的に接続されたスルーホール26とが形成されている。スルーホール26は、圧電体9のスルーホール17に対応して電極パターン部23bの領域内に設けられている。
圧電体11において、列方向(圧電体11の横方向)に対して隣り合う各電極パターン部23a間には、スリット孔部18と同じ形状を有し、上記スリット孔8の一部を作り出すためのスリット孔部27がそれぞれ形成されている。
圧電体12の上面には、図7に示すように、コモン電極パターン28が形成されている。コモン電極パターン28は、圧電体11上の各電極パターン部23aに対応する複数の電極パターン部28aと、電極パターン部23bに対応する電極パターン部28bとを含んでいる。また、圧電体12において、列方向(圧電体12の横方向)に隣り合う各電極パターン部28a間には、スリット孔部18と同じ形状を有し、上記スリット孔8の一部を作り出すためのスリット孔部29がそれぞれ形成されている。
圧電体13の上面には、図8に示すように、複数の個別端子電極パターン30とコモン端子電極パターン31とが形成されている。個別端子電極パターン30は、圧電体11上の個別電極中継パターン24に対応する位置に形成されている。コモン端子電極パターン31は、圧電体9上のコモン電極中継パターン15に対応する位置に形成されている。また、圧電体13には、各個別端子電極パターン30と電気的に接続された複数のスルーホール32と、コモン端子電極パターン31と電気的に接続されたスルーホール33とが形成されている。さらに、圧電体13には、スリット孔部18と同じ形状を有し、上記スリット孔8の一部を作り出すための複数のスリット孔部34がマトリクス状に形成されている。
圧電体9〜13自体は、上記の圧電セラミック層3を構成するものであり、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を主成分とした圧電セラミック材料で形成されている。個別電極パターン14,19は、上記の内部個別電極4を構成し、コモン電極パターン23,28は、上記の内部コモン電極5を構成する。個別端子電極パターン30は、上記の外部個別電極6を構成し、コモン端子電極パターン31は、上記の外部コモン電極7を構成する。個別電極パターン14,19、コモン電極パターン23,28、個別電極中継パターン24及びコモン電極中継パターン15,20は、例えばAg/Pd等で形成されている。個別端子電極パターン30及びコモン端子電極パターン31は、例えばAg、Au、Cu等で形成されている。
なお、圧電体11の上面に形成されるコモン電極パターン23としては、複数の電極パターン部23aに分けずに、例えば圧電体11の横方向に延びる長方形のベタ状であっても良い。この場合には、圧電体11におけるコモン電極パターン23のベタ状部分の領域内にスリット孔部27を形成する。圧電体12の上面に形成されるコモン電極パターン28についても同様である。
圧電セラミック素子1は、図3に示すように、上から圧電体13、圧電体11、圧電体9、圧電体11、圧電体9、圧電体11、圧電体9、圧電体11、圧電体10及び圧電体12を重ねた構造をなしている。そして、最上層の圧電体13上に設けられた個別端子電極パターン30は、スルーホール32、個別電極中継パターン24、スルーホール25、個別電極パターン14及びスルーホール16を介して、下から2層目の圧電体10上に設けられた個別電極パターン19と電気的に接続されている。また、最上層の圧電体13上に設けられたコモン端子電極パターン31は、スルーホール33、コモン電極パターン23、スルーホール26、コモン電極中継パターン15、スルーホール17、コモン電極中継パターン20及びスルーホール21を介して、最下層の圧電体12上に設けられたコモン電極パターン28と電気的に接続されている。
図2に示すように、積層体2において、内部個別電極4と内部コモン電極5とが重なり合う部分は、両者間に電圧を印加した時に変位する圧電活性部2aを構成し、それ以外の部分つまり内部個別電極4と内部コモン電極5とが重なり合わない部分は圧電不活性部2bを構成している。このとき、図9に示すように、内部個別電極4(個別電極パターン14,19)において、内部コモン電極5(電極パターン部23a,28a)と重なり合う領域は活性領域4aとなっている。
また、積層体2には、圧電体9〜13のスリット孔部18,22,27,29,34によって、圧電体9〜13の積層方向に貫通するスリット孔8が形成されている。積層体2において圧電活性部2a(内部個別電極4及び内部コモン電極5)とスリット孔8との間の部分は、圧電不活性部2bとなっている。
次に、上述した圧電セラミック素子1を製造する方法について説明する。まず、例えばPZT(粉体密度8000kg/m3)を主成分とした圧電セラミックを用意し、これに有機バインダ・有機溶剤等を混合したペーストを作製する。そして、例えばドクターブレード法によって上記ペーストをPETフィルム等のキャリアフィルム上に塗布することで、セラミックグリーンシートを形成する。
続いて、YAGレーザを用いてグリーンシートに多数のスリット孔部を形成する。具体的には、グリーンシートにYAGレーザの第3次高調波(波長355nm)または第2次高調波(波長532nm)のレーザ光を照射して、スリット孔部を形成する。これにより、幅狭のスリット孔部を容易に且つ精度良く形成することができる。また、パンチング加工等によりスリット孔部を形成した場合と異なり、グリーンシートと一緒にキャリアフィルムを打ち抜いたり、その時にキャリアフィルムから出る屑がグリーンシートに付着・堆積することが無い。
このとき、第3次高調波または第2次高調波のレーザ光をQスイッチングにより繰り返し発振させて照射するのが好ましい。この場合には、レーザ光として大きな尖頭出力が得られるため、加工によりグリーンシートから発生する切削屑がスリット孔部の周辺に付着・堆積することを抑制できる。また、テーパー状の広がりが極めて小さいスリット孔部を形成することができる。
続いて、例えば上記と同様にYAGレーザのレーザ光を照射して、グリーンシートにスルーホールを形成する。そして、例えばAg:Pd=7:3の比率で構成された導電材料と有機バインダ・有機溶剤等とを混合したペーストを作製し、例えばスクリーン印刷法によりスルーホール内に導電ペーストを充填する。続いて、例えば同様の導電ペーストを用いて、例えばスクリーン印刷法によりグリーンシートの上面に電極パターンを形成する。なお、この時に得られる電極付きのグリーンシートのうち、上記の内部個別電極4となる電極パターン及びスリット孔部を有するグリーンシートは第1セラミックシートを構成し、上記の内部コモン電極5及びスリット孔部を有するグリーンシートは第2セラミックシートを構成している。
続いて、電極付きのグリーンシートを所定の枚数だけ所定の順序で積層する。このとき、例えば各グリーンシートの所定の複数箇所にアライメントマークを形成しておき、各グリーンシートのアライメントマーク同士を合わせながら積層を行うことにより、積層方向に対する電極パターン同士及びスリット孔部同士の位置合わせが容易に行える。そして、そのグリーン積層体に対し、例えば60℃程度の熱を加えながら100MPa程度の圧力でプレス加工を行い、各層のグリーンシートを圧着させる。その後、グリーン積層体を所定の寸法に切断する。
続いて、グリーン積層体をセッターに載せ、グリーン積層体の脱脂(脱バインダ)を例えば400℃前後の温度で10時間程度行う。その後、グリーン積層体が載置されたセッターをこう鉢内に入れ、グリーン積層体の焼成を例えば1100℃程度の温度で2時間程度行い、焼結体を得る。
続いて、焼成後の積層体の上面に、例えばAgからなる端子電極パターンを形成する。この端子電極パターンの形成手法としては、焼付け、スパッタリング、無電解メッキ法などが用いられる。そして、例えば温度120℃の環境下で、圧電セラミック層の厚みに対する電界強度が3kV/mmとなるように所定の電圧を例えば3分間印加することにより、分極処理を行う。これにより、積層型圧電素子1が完成する。
このような圧電セラミック素子1において、任意の外部個別電極6と外部コモン電極7との間に電圧を印加すると、選択された外部個別電極6の直下に位置する内部個別電極4と内部コモン電極5との間にも電圧が印加されることになる。これにより、該当する内部個別電極4と内部コモン電極5とに挟まれる領域を含む圧電活性部2aの圧電セラミック層3に電界が生じ、この圧電セラミック層3が変位するようになる。このとき、積層体2における各内部個別電極4間の部位にはスリット孔8が形成されているので、圧電活性部2aの圧電セラミック層3の変位が圧電不活性部2bの圧電セラミック層3に拘束されることが抑えられる。これにより、圧電活性部2aの圧電セラミック層3の変位量が大きくなると共に、隣り合う圧電活性部2aの圧電セラミック層3同士の変位による機械的干渉や電界強度等の電気的干渉を防止することができる。
ここで、一つの圧電セラミック素子1に対して多数の内部個別電極4を高密度に形成するためには、列方向に隣り合う各内部個別電極4間の間隔Dは0.1〜0.5mmであることが望ましい。各内部個別電極4間の間隔Dが0.5mmよりも大きくなると、内部個別電極4の高密度化が困難になり、各内部個別電極4間の間隔Dが0.1mmよりも小さくなると、スリット孔8があるにも拘らず、隣り合う圧電活性部2aの圧電セラミック層3同士の干渉を防止できなくなるからである。また、内部個別電極4の活性領域4aの幅(ここでは内部個別電極4の幅)Wは、0.08〜0.3mmであるのが好ましく、内部個別電極4の活性領域4aの長さLは、0.5〜4.0mmであるのが好ましい。活性領域4aの幅W及び長さLがそのような範囲内であれば、内部個別電極4の高密度化が可能となると共に、圧電セラミック層3の所望な変位が得られるようになる。
このとき、スリット孔8の幅Pは、内部個別電極4の活性領域4aの幅(スリット孔8の幅方向に沿った活性領域4aの寸法)Wの1/2以下、好ましくは1/3以下となっている。また、スリット孔8の長さQは、内部個別電極4の活性領域4aの長さ(スリット孔8の長さ方向に沿った活性領域4aの寸法)Lの0.7〜1.5倍であるのが好ましく、0.8〜1.2倍であるのがより好ましい。
スリット孔8の寸法をそのように規定することにより、各内部個別電極4間の間隔Dを0.1〜0.5mmと狭くした場合であっても、積層体2の圧電活性部2aの所望な機械的強度が確保されるようになる。このため、圧電セラミック素子1を変位動作させる時の取り扱いが容易になると共に、圧電セラミック素子1の駆動耐久性の劣化が防止される。また、圧電セラミック素子1を製造する際、複数の電極付きのセラミックグリーンシートを積層して圧着したときに、グリーン積層体が歪むこと等を防止することもできる。また、スリット孔8は最低限の寸法を有するので、圧電活性部2aの圧電セラミック層3の変位量増大や隣り合う圧電活性部2aの圧電セラミック層3同士の変位による干渉防止といった、スリット孔8を設けた効果が確実に発揮されるようになる。
従って、本実施形態によれば、一つの圧電セラミック素子1に対して多くの内部個別電極4を形成し、圧電セラミック素子1の高密度化・高集積化を図ることができる。
また、圧電セラミック素子を製造する際、グリーン積層体を焼成した後に、超音波砥粒加工等を用いて積層体2における狭い各内部個別電極4間の部位にスリット孔8を形成するのは極めて困難である。これに対し本実施形態では、レーザ光により各セラミックグリーンシートにスリット孔部を形成してから、各グリーンシートを積層することにより、スリット孔8を有する積層体2を作り上げるので、各内部個別電極4間の間隔Dが十分狭い場合でも、スリット孔8を容易に形成することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態の圧電セラミック素子1では、積層体2における内部個別電極4及び内部コモン電極5とスリット孔8との間の部分が圧電不活性部2bとなっているが、内部個別電極4及び内部コモン電極5とスリット孔8との間に、そのような圧電不活性部2bが存在しない構成としても良い。
また、上記実施形態の圧電セラミック素子1は、複数の内部個別電極4がマトリクス状に配列された構造を有しているが、本発明は、複数の内部個別電極4を一列に配列した構造を有する圧電セラミック素子にも適用可能である。
さらに、上記実施形態の圧電セラミック素子1は、複数の圧電セラミック層3を有する積層型であるが、例えば大きな変位を必要としない場合には、圧電セラミック層3を1層のみとしても構わない。
また、上記実施形態の圧電セラミック素子1では、各層の対応する内部個別電極4同士及び各層の内部コモン電極5同士がスルーホールを介して電気的に接続される構成となっているが、スルーホールの代わりに、例えば対応する内部個別電極4同士を接続する外部電極と内部コモン電極5同士を接続する外部電極とを積層体2の側面に設けても良い。
本発明に係わる圧電セラミック素子の一実施形態を示す斜視図である。 図1のII−II線断面図である。 図1に示した圧電セラミック素子の分解斜視図である。 図3に示した圧電体の一つを示す平面図である。 図3に示した圧電体の他の一つを示す平面図である。 図3に示した圧電体の更に他の一つを示す平面図である。 図3に示した圧電体の更に他の一つを示す平面図である。 図3に示した圧電体の更に他の一つを示す平面図である。 図1に示した積層体の部分拡大断面図である。
符号の説明
1…圧電セラミック素子、2…積層体(素子本体)、2a…圧電活性部、2b…圧電不活性部、3…圧電セラミック層、4…内部個別電極、4a…活性領域、5…内部コモン電極、6…外部個別電極、7…外部コモン電極、8…スリット孔、8a…内壁面、9〜13…圧電体、14…個別電極パターン、18…スリット孔部(第1孔部)、19…個別電極パターン、22…スリット孔部(第1孔部)、23…コモン電極パターン、27…スリット孔部(第2孔部)、28…コモン電極パターン、29…スリット孔部(第2孔部)、30…個別端子電極パターン、31…コモン端子電極パターン、34…スリット孔部(第1孔部)。

Claims (4)

  1. 複数の圧電セラミック層と、前記各圧電セラミック層を挟んで対向するように形成された個別電極及びコモン電極とを有する素子本体を備えた圧電セラミック素子であって、
    前記個別電極は、前記素子本体の積層方向に対して垂直な列方向に複数配列されていると共に、前記コモン電極と重なり合う活性領域を有し、
    前記コモン電極は、前記列方向に複数配列された前記個別電極にそれぞれ対応する位置に形成された複数の電極パターン部を含み、
    前記コモン電極が形成されている面には、前記列方向に対して垂直な行方向で前記複数の電極パターン部にそれぞれ隣接する複数の個別電極中継パターンが形成され、
    前記積層方向で重なり合う複数の前記個別電極は、前記圧電セラミック層に形成されたスルーホールと前記個別電極中継パターンとを介して互いに接続されると共に、前記素子本体の前記積層方向の端面に設けられた端子電極に前記スルーホールを介して接続され、
    前記素子本体には、前記列方向で隣り合う前記個別電極の間にそれぞれ位置し、前記積層方向に貫通し、前記積層方向にのみ開放され、前記積層方向に対して垂直な方向には開放端を有さず、内壁面に機械的表面加工がなされていない複数のスリット孔が、前記個別電極及び前記コモン電極を露出させないように設けられており、
    前記各スリット孔の幅は、前記列方向に沿った前記活性領域の寸法の1/2以下であり、
    前記素子本体における前記活性領域と前記スリット孔との間には、前記個別電極と前記コモン電極とが重なり合わないように形成された圧電不活性部が設けられており、
    前記各スリット孔は、前記列方向で隣り合う前記電極パターン部の間に位置していることを特徴とする圧電セラミック素子。
  2. 前記スリット孔の長さは、前記スリット孔の長さ方向に沿った前記活性領域の寸法の0.7〜1.5倍であることを特徴とする請求項1記載の圧電セラミック素子。
  3. 前記素子本体は、焼成によって形成されたものであり、
    前記スリット孔を形成する前記素子本体の内壁面は、前記焼成を行った後に機械的表面加工が施されていない状態の焼成面であることを特徴とする請求項1又は2記載の圧電セラミック素子。
  4. 前記素子本体は、前記複数の個別電極を有すると共に、前記各個別電極間に前記スリット孔の一部を作り出すための第1孔部が形成された第1セラミックシートと、前記コモン電極を有すると共に、前記スリット孔の一部を作り出すための第2孔部が形成された第2セラミックシートとを積層してなり、
    前記第1孔部及び前記第2孔部は、前記第1セラミックシート及び前記第2セラミックシートにそれぞれレーザ光を照射して形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の圧電セラミック素子。
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