JP5507256B2 - 酸性成分及び光退色性染料を有する歯科用組成物の使用方法 - Google Patents

酸性成分及び光退色性染料を有する歯科用組成物の使用方法 Download PDF

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Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2006年12月13日に出願された米国特許仮出願第60/869,741号の利益を主張し、その全体を参照として本明細書に組み込む。
色の変化する歯科用組成物は、種々多様な歯科用途及び歯科矯正用途において使用するのに有利である可能性がある。例えば、歯牙構造の色に対して目に見えるコントラストを提供する初期の色を有する硬化性の歯科用組成物は、施術者がその硬化性組成物を適切に配置する又は識別するのを補助することができ、その後、その色は好ましくは無色又は歯の色へと変化して、その組成物の可視性を最小化する。こうした色変化性の歯科用組成物の例として、歯科用シーラントが挙げられ、初期の色は、施術者が組成物を所望のくぼみ及び亀裂中及び/又はそれらの上に正しく配置するのを補助できる。こうした色変化性の歯科用組成物の更なる例として、接着剤(例えば、歯科用及び歯科矯正用接着剤)が挙げられ、初期の色は施術者が過剰の又は不必要な接着剤を歯牙構造から除去するのを補助できる。
光退色性染料を包含する特定の色変化性の硬化性歯科用組成物(好ましくは、光硬化性の歯科用組成物)について、種々の歯科用途及び歯科矯正用途における使用が見出されてきた。例えば、光退色性染料は、組成物に初期の色を付与して、歯牙構造の所望の領域中及び/又は領域上への組成物の配置を補助できる。施術者が、その硬化性の歯科用組成物が適切に配置された又は除去されたと判断した後、(例えば、光硬化性組成物を硬化するための)化学線(actinic radiation)への曝露により、その光退色性染料の色を失わせ(すなわち、退色)、こうして硬化された歯科用組成物の可視性を最小化できる。
セルフエッチング(self-etching)性歯科用組成物は、歯科及び歯科矯正の分野において更なる有用性が見出されつつある。しかしながら、有用な色変化特性を有するセルフエッチング性歯科用組成物に対する必要性が存在する。
セルフエッチング性歯科用組成物には一般に、1つ以上のリン酸官能基、ホスホン酸官能基、及び/又はスルホン酸官能基が挙げられるが、これらに限定されない、酸性の官能基を典型的に有する酸性成分を包含する。従来の(すなわち、セルフエッチング性ではない)色変化性の歯科用組成物中で典型的に使用される光退色性染料のセルフエッチング性歯科用組成物への添加は、予想される色変化特性が、例えば、初期の色の安定性の悪さ及び/又は退色後の望ましくない色の戻りといった欠点を有する、歯科用組成物をもたらすことが今では判明している。特定の光退色性染料は、初期の色安定性が十分であり及び退色後の色の戻りが限られた有用なセルフエッチング性の色変化性歯科用組成物を提供できるということが今では判明している。
特定の実施形態においては、本発明は、酸性成分及び光退色性染料を有する硬化性の歯科用組成物を使用する方法を提供する。硬化性歯科用組成物は、硬化性成分と、硬化性歯科用組成物の硬化を開始するための反応開始剤と、4.5未満の(及び特定の実施形態では4未満の、又は更には3未満の)pKを有する酸性成分(好ましくはリン酸官能基、ホスホン酸官能基、及び/又はスルホン酸官能基を有するもの)と、アミノアントラキノン染料、アゾ染料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される光退色性染料とを包含する。好ましくは、硬化性歯科用組成物はセルフエッチング性である。
一実施形態では、本発明は、口腔表面を処置するための方法を提供する。本方法は、口腔表面(例えば、湿った又は乾いた歯牙構造)に、本発明に開示されるような、酸性成分と光退色性染料とを有する硬化性歯科用組成物を適用する工程と、硬化性歯科用組成物を硬化する工程と、硬化直後の硬化された歯科用組成物の色を観察し、かつ硬化後に体温又は体温付近(例えば、37℃)において少なくとも3日間エイジングした後の、硬化された歯科用組成物のエイジングされた色を観察して、エイジングされた色が硬化直後の色と実質的に同じであることを判定する工程とを包含する。幾つかの実施形態では、硬化性歯科用組成物は硬化前の初期の色、及び硬化後の最終の色を有し、最終の色は初期の色とは異なる。
別の実施形態では、本発明は歯科矯正用装具を歯牙構造に(例えば、直接的又は間接的な方法のいずれかを用いて)固着するための方法を提供する。この方法は、歯科矯正用装具であってこの装具を歯牙構造に固着するための基部を有する歯科矯正用装具を提供する工程と、本明細書に記載される酸性成分と光退色性染料とを包含する硬化性歯科用組成物を提供する工程と、硬化性歯科用組成物を歯牙構造及び歯科矯正用装具の基部と接触させる工程と、硬化性歯科用組成物を硬化させる工程と、硬化直後の硬化された歯科用組成物の色を観察し、かつ硬化後に体温又は体温付近において少なくとも3日間エイジングした後の硬化された歯科用組成物のエイジングされた色を観察して、エイジングされた色が硬化直後の色と実質的に同じであることを判定する工程とを包含する。所望により、歯科矯正用装具の基部は間接的な固着のための特注の基部であることも可能である。種々多様な方法が、硬化性歯科用組成物を歯牙構造に適用するために(例えば、手によって又は、例えば、米国特許第7,186,950号(シナダー(Cinader)ら)に記載されているような移動装置を用いて)、又は歯科矯正用装具の基部に適用するために(例えば、手によって又は、例えば、米国特許出願第11/425,461号及び同第11/425,457号(ともに2006年6月21日出願に記載されている組立品の1つ以上を用いて)使用できる。所望により、歯科矯正用装具の基部はその上に硬化性の歯科用組成物を有することが可能であり、この場合、この装具は好ましくはプレコートされた装具として提供されることが可能である。
特定の好ましい実施形態では、本発明は、歯牙構造を処置するための方法を提供し、この方法は、歯牙構造(例えば、湿った又は乾いた歯牙構造)に、硬化性歯科用組成物であって、化学線に曝露する前の初期の色を有し、かつ酸官能基を有し、4.5未満のpKを有するエチレン性不飽和化合物と、酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物と、硬化性歯科用組成物の硬化を開始するための硬化剤と、アミノアントラキノン染料、アゾ染料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される光退色性染料とを包含する硬化性歯科用組成物を適用する工程と、硬化性歯科用組成物を照射して初期の色とは異なる最終の色を有する硬化された歯科用組成物を提供する工程と、硬化後に体温又は体温付近で(例えば37℃で)少なくとも3日間エイジングした後の硬化された歯科用組成物のエイジングされた色を観察して、エイジングされた色が最終の色と実質的に同じであることを判定する工程とを包含する。好ましくは、硬化された歯科用組成物は、本明細書に記載する試験方法(例えば、試験方法B)を用いた少なくとも6MPaの接着値で歯牙構造(例えば、未切削エナメル質、象牙質、及び/又はセメント質)に接着する。所望により、本方法は更に、好ましくは歯牙構造の表面(例えば、唇側面又は舌側面)の少なくとも一部に適用されている、硬化された及び/又は硬化性の歯科用組成物に、歯科矯正用装具を固着することを包含する。
用語の定義
本明細書で使用するとき、「歯科用組成物」とは、口腔表面に接着(例えば、固着)することのできる未充填の又は充填された(例えば、複合)材料(例えば、歯科用又は歯科矯正用材料)を指す。歯科用組成物としては、例えば、接着剤(例えば、歯科用及び/又は歯科矯正用接着剤)、セメント(例えば、ガラスアイオノマーセメント、樹脂変性ガラスアイオノマーセメント、及び/又は歯科矯正用セメント)、プライマー(例えば、歯科矯正用プライマー)、修復材(例えば、修復用充填材)、ライナー、シーラント(例えば、歯科矯正用シーラント)、並びにコーティングが挙げられる。歯科用組成物は、歯科用物品を歯牙構造に固着させるのに使用できることが多い。
本明細書で使用するとき、「セルフエッチング性」組成物とは、歯構造体の表面をエッチング剤で前処理すること無しに歯構造体に固着する組成物を指す。好ましくは、セルフエッチング性組成物は、個別のエッチング剤又はプライマーが使用されない場合のセルフプライマーとして機能することもできる。
本明細書で使用するとき、「セルフ接着性」組成物とは、歯構造体の表面をプライマー又は固着剤で前処理すること無しに歯構造体表面に固着することができる組成物を指す。好ましくは、セルフ接着性組成物は個別のエッチング剤が使用されない場合のセルフエッチング性組成物でもある。
本明細書で使用するとき、「歯科用物品」とは、口腔表面(例えば、歯牙構造)に接着(例えば、固着)できる物品をいう。歯科用物品としては、例えば、クラウン、ブリッジ、ベニヤ、インレー、オンレー、充填材、歯科矯正用装具及び装置、プロテーゼ(例えば、部分的又は完全義歯)、咬合阻止器、及び整列保持構造体(例えば、米国特許第6,830,450号(クノップ(Knopp)ら)に記載されているようなもの)が挙げられる。
本明細書で使用するとき、「歯科矯正用装具」は、歯科矯正用ブラケット、バッカルチューブ、舌固定装置、歯科矯正用バンド、開口器、ボタン、及びクリートが挙げられるが、これらに限定されない、歯牙構造に固着されることが意図されるあらゆる装置を指す。装具は、接着剤を受け入れる基部を有し、それは金属、プラスチック、セラミック、又はそれらの組み合わせで作られるフランジであることができる。あるいは、基部は、1つ以上の硬化した接着剤層(すなわち、単層若しくは多層接着剤)から形成される特注の基部であることができる。所望により、歯科矯正用装具は、その基部に固着された、圧縮性の材料(例として、例えば、米国特許仮出願第11/551,823号(2006年10月22日出願)に記載されているような、その孔内に少なくとも部分的に硬化性歯科用組成物を有する多孔質材料)を包含することができる。
本明細書で使用するとき、「口腔表面」とは、口腔環境における軟質の又は硬質の表面をいう。硬質表面としては典型的に、例えば、天然の及び人口の歯の表面、骨、歯の模型、象牙質、エナメル質、セメント質等を包含する歯牙構造が挙げられる。
本明細書で使用するとき、「湿った」歯牙構造面とは、その上に水性の液体(例えば、水又は唾液)が存在し、それらが人間の肉眼で見える歯牙構造の表面を指す。
本明細書で使用するとき、「乾いた」歯牙構造面とは、乾燥した(例えば、風乾された)かつ目に見える水が存在しない歯牙構造の表面を指す。
本明細書で使用するとき、「硬化性」は、例えば、(例えば、蒸発及び/又は加熱による)溶媒の除去、重合及び/若しくは架橋を誘導するための加熱、重合及び/若しくは架橋を誘導するための照射により、並びに/又は重合及び/若しくは架橋を誘導するための1つ以上の成分の混合により、硬化(例えば、重合又は架橋)又は固化し得る物質又は組成物を記述するものである。「混合」は、例えば、2つ以上の部分を組み合わせ、混合し、均質な組成物を形成することにより実施できる。あるいは、2つ以上の部分を、接合面で(例えば、自然発生的に又は剪断応力の適用により)相互混合する、個別の層として提供し、重合を開始させることができる。
本明細書で使用するとき、「硬化された」は、硬化(例えば、重合又は架橋)又は固化されている物質又は組成物を指す。
本明細書で使用するとき「硬化剤」は、樹脂の硬化を開始させるものを指す。硬化剤としては、例えば、重合開始剤系、光反応開始剤系、及び/又は酸化還元開始剤系を挙げてよい。
本明細書で使用するとき、「光退色性」は、化学線に曝露した際の色の消失を指す。本明細書で使用するとき、「化学(actinic)」線とは、電磁スペクトルの紫外(UV)及び/又は可視部において発光された、典型的には250〜800ナノメートル(nm)の波長を有する光を指す。本明細書において開示される方法は、好ましくは、400〜800nmの波長を有する可視光線への曝露を包含する。
本明細書で使用するとき、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレート、メタクリレート、又はそれらの組み合わせを略して称したものであり、「(メタ)アクリル」はアクリル、メタクリル、又はそれらの組み合わせを略して称したものである。本明細書で使用するとき、「(メタ)アクリレート官能性化合物」とは、他の物質の中に、(メタ)アクリレート部分を包含する化合物である。
用語「含む」及びこの変形は、明細書及び特許請求の範囲に現れるこれらの用語を制限する意味を有さない。
本明細書で使用するとき、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」は同義的に使用される。
また本明細書において、端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含されるすべての数(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、等)が包含される。
本発明の上述した「課題を解決するための手段」は、本発明の開示されたすべての実施形態又はあらゆる実施を記載しようとは意図していない。以下の説明により、例示的な実施形態をより具体的に例示する。明細書全体にわたって幾つかの箇所で、実施例の一覧を通して説明を提供するが、実施例は各種組み合わせにて使用することが可能である。いずれの場合にも、記載したリストは、代表的な群としてのみ役立つものであり、排他的なリストとして解釈されるべきものではない。
特定の実施形態では、本発明は、酸性成分及び光退色性染料を有する硬化性歯科用組成物の使用方法を提供する。硬化性歯科用組成物は、硬化性成分と、硬化性歯科用組成物の硬化を開始するための反応開始剤と、4.5未満(及び特定の実施形態では4未満又は更には3未満)のpKを有する酸性成分(好ましくは、リン酸官能基、ホスホン酸官能基、及び/又はスルホン酸官能基を有するもの)と、アミノアントラキノン染料、アゾ染料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される光退色性染料とを包含する。好ましくは、硬化性歯科用組成物はセルフエッチング性である。
本発明の方法において有用な歯科用組成物は、好ましくは、組成物の色変化を実行するのに十分な時間、組成物を化学線源に曝露した際に、初期の色から最終の色への色変化を受ける。初期の色と最終の色とは互いに異なる。好ましくは、初期の色は、口腔表面上への組成物の適切な配置を確認するために人間の肉眼によって容易に感知されるものである。本明細書で使用するとき、「初期の色」とは、好ましくは口腔表面に適用された後であって、化学線に曝露する前の、硬化性歯科用組成物の色を指す。「最終の色」とは、本明細書で使用するとき、硬化の直後、例えば、最大でも1時間、好ましくは最大でも15分、より好ましくは最大でも5分、及び時には最大でも1分、又は更にはより短い時間(例えば、15秒以下)後の、硬化された歯科用組成物の色を指す。
最終の色は、周囲環境に厳密に一致するように天然に生ずる生歯の色調を有するか、又は下にある生歯の色を伝えるように十分に透明であることも好ましい。「天然に生ずる生歯の色調」は、周知の、英数字式VITAシェードカラー表記システム(alpha-numeric VITA-shade color designation system)又は生歯の色調を特徴づけする他のシェードシステムに従うものとすることができる。特定の実施形態では、最終の色は、下にある表面の色を伝えることができる。
より定量的には、初期の色から最終の色への色変化は好ましくは、下記の試験方法の項に記載するような比色定量試験によって定量化される。色試験を用いて、3次元色空間における全体の色変化を示すΔEの値が測定される。人間の目は、通常の照明条件においておよそ3ΔE単位の色変化を検出できる。本明細書に開示される歯科用組成物は好ましくは、10よりも大きな色変化、ΔEを有することができ、より好ましくはΔEは15よりも大きく、最も好ましくはΔEは20よりも大きい。
歯科用組成物の色変化は光によって開始できる。好ましくは、色変化は、化学線によって、例えば、可視光線を発光する歯科用硬化ライトを十分な時間の間用いて開始される。歯科用組成物の色変化を開始させる機構は、硬化性歯科用組成物を硬化させる硬化機構とは別個であってもよく、又はほぼ同時に起こってもよい。例えば、硬化性歯科用組成物は、化学的に(例えば、酸化還元的開始)又は熱的に重合が開始されるときに硬化されてもよく、更に初期の色から最終の色への色変化は化学線に曝露した際の硬化プロセスに続いて起こってもよい。
硬化された歯科用組成物のエイジングされた色を、硬化後に体温又は体温付近(例えば、37℃)で少なくとも3日間エイジングした後に観察して、そのエイジングされた色が最終の色とほぼ同じであることを判定する。本明細書で使用するとき、「実質的に同じ」色とは、通常の照明条件下で人間の目により色の変化が感知されないことを意味する。より定量的には、最終の色からエイジングされた色までの色変化は、好ましくは、下記の試験方法の項に記載するような比色定量試験によって定量化される。色試験を用いて、3次元色空間における全体の色変化を示すΔEの値が測定される。通常の照明条件において3ΔE単位以下の色変化の場合、実質的に同じ色であるとみなされる。
したがって、色及び色変化の観察は、人間の目により、好ましくは通常の照明条件下で行うことができる。あるいは、色及び色変化の観察は、下記の試験方法の項に記載するような比色定量試験により検知しまた定量することができる。
光退色性染料
本発明の方法において使用するのに好適な光退色性染料としては、アミノアントラキノン染料、アゾ染料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される染料が挙げられる。4.5未満のpKaを有する酸性成分を包含する硬化性歯科用組成物中におけるアミノアントラキノン染料及び/又はアゾ染料の使用は、例えば、初期の色の安定性の悪さ及び/又は退色後の望ましくない色の戻りを包含する、他の光退色性染料で観察される問題の少なくとも幾つかを克服することが見出されている。
本明細書で使用するとき、用語「アミノアントラキノン染料」とは、アミノアントラキノン基(すなわち、アントラキノン環炭素に直接結合した少なくとも1つのアミノ基)を包含するが、これらに限定されない、染料を指す。それぞれのアミノ基は、独立して、一級アミン(すなわち、−NH)、二級アミン(すなわち、−NHR)、又は三級アミン(すなわち、−NR)であることができ、式中、R、R、及びRは、それぞれ独立して有機基を表す。有用なアミノアントラキノン染料としては、例えば、モノ−、ジ−、トリ−、及びテトラ−アミノアントラキノン染料が挙げられる。好ましいアミノアントラキノン染料としては、例えば、2−アミノアントラキノン染料、1,4−ジアミノアントラキノン染料、1,5−ジアミノアントラキノン染料、1,8−ジアミノアントラキノン染料、1,4,5−トリアミノアントラキノン染料、及び1,4,5,8−テトラアミノアントラキノン染料が挙げられる。
光退色性ジアミノアントラキノン染料の好ましい部類としては、次式(式I)の1,4−ジアミノアントラキノン染料が挙げられ、
式中、R、R、及びRのそれぞれは、独立して水素又は有機基である。特定の実施形態では、R及び各Rのそれぞれは、水素であり、及びそれぞれのRは有機基(及び好ましくは有機部分)である。
式(式I)の染料としては、例えば、ミリキン・リサーチ社(Millikin Research Corp.)(サウスカロライナ州、スパータンバーグ(Spartanburg))から商標名リアクティントブルー染料(REACTINT Blue Dye)X17ABとして入手可能なもの(NMR分光分析に基づくアミノアントラキノン化合物)、ミリキン・リサーチ社(サウスカロライナ州、スパータンバーグ)からのリアクティントブラック染料(REACTINT Black Dye)X95AB(NMR分光分析に基づくモノアゾ化合物とアミノアントラキノン化合物とのブレンド)、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)からのソルベントブルー(Solvent Blue)35(すなわち、1,4−ビス(ブチルアミノ)−9,10−アントラセンジオン、「色素、染料、及び指示薬のシグマアルドリッチハンドブック(The Sigma-Aldrich Handbook of Stains Dyes and Indicators)」(フロイド J.グリーン(Floyd J. Green)、アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Company)、1990年)647頁も参照のこと)、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)からのディスパースブルー(Disperse Blue)3(セリトンファストブルー(Celliton Fast Blue)FFR、メチルアミン及びエタノールアミンをキニザリン及びロイコキニザリンとイソブタノール中で縮合し、その縮合生成物を酸化することにより調製されるアミノアントラキノン染料、「色素、染料、及び指示薬のシグマアルドリッチハンドブック」(フロイド J.グリーン、アルドリッチケミカル社、1990年)284頁も参照のこと)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「アゾ」染料とは、アゾ(すなわち、−N=N−)基を包含するが、これらに限定されない、染料を指す。したがって、典型的なアゾ染料は、式R−N=N−Rを有し、式中、それぞれのRは、独立して有機基(及び好ましくは有機部分)を表す。アゾ染料としては、1つのアゾ基を有するもの(すなわち、モノアゾ染料)、2つのアゾ基を有するもの(すなわち、ジアゾ又はビスアゾ染料)、又は更により多くのアゾ基を有するものが挙げられる。
光退色性アゾ染料の好ましい部類としては、式Ar−N=N−Arを有するものが挙げられ、式中、Ar及びArのそれぞれは、独立してアリール基又はヘテロアリール基を表す。Ar及びArは同じであっても異なっていてもよい。
式Ar−N=N−Arの好適なモノアゾ染料としては、例えば、ミリキン・リサーチ社(Millikin Research Corp.)(サウスカロライナ州、スパータンバーグ(Spartanburg))から商標名リアクティントレッド染料(REACTINT Red Dye)X64として入手可能なもの(NMR分光分析に基づくモノアゾ化合物)、ミリキン・リサーチ社(サウスカロライナ州、スパータンバーグ)からのリアクティントブラック染料(REACTINT Black Dye)X95AB(NMR分光分析に基づくモノアゾ化合物とアミノアントラキノン化合物とのブレンド)、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)からのディスパースレッド(Disperse Red)1(セリトンスカーレット(Celliton Scarlet)B、ジアゾ化された4−ニトロアニリンを2−(N−エチルアニリノ)エタノールとカップリングすることによって調製される赤色モノアゾ染料、「色素、染料、及び指示薬のシグマアルドリッチハンドブック(The Sigma-Aldrich Handbook of Stains Dyes and Indicators)」(フロイド J.グリーン(Floyd J. Green)、アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Company)、1990年)290頁も参照のこと)、シグマ・アルドリッチからのディスパースレッド(Disperse Red)13(セリトンファストルビー(Celliton Fast Ruby)B、ジアゾ化された2−クロロ−4−ニトロアニリンを2−(N−エチルアニリノ)エタノールとカップリングすることによって調製されるモノアゾ染料)、「色素、染料、及び指示薬のシグマアルドリッチハンドブック」(フロイド J.グリーン、アルドリッチケミカル社)1990年)291頁も参照のこと)、シグマ・アルドリッチからのカルコンカルボン酸(Calconcarboxylic Acid)(3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−スルホ−1−ナフチルアゾ)ナフタレン−2−カルボン酸、ジアゾ化された1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸を3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸とカップリングすることによって調製される、「色素、染料、及び指示薬のシグマアルドリッチハンドブック」(フロイド J.グリーン、アルドリッチケミカル社)、1990年)398頁も参照のこと)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
式Ar−N=N−Arの好適なジアゾ染料としては、例えば、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)からのスダンブラック(Sudan Black)B(ファットブラック(Fat Black)HB、ソルベントブラック(Solvent Black)3、最初にジアゾ化されたアニリンを1−ナフチルアミンとカップリングして中間体を形成し、次いでこの中間体をジアゾ化して得られる生成物を2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルペリミジンとカップリングすることにより調製される天然ジアゾ染料、「色素、染料、及び指示薬のシグマアルドリッチハンドブック(The Sigma-Aldrich Handbook of Stains Dyes and Indicators)」(フロイド J.グリーン(Floyd J. Green)、アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Company)、1990年)660頁)も参照のこと)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「有機基」は、この発明の目的のため、脂肪族基、環状基、又は脂肪族族と環状基の組み合わせとして分類される炭化水素基を表わすのに使用される。本発明の文脈の中で、好適な基は、組成物の硬化特性又は色変化特性を妨害しないものである。本発明の文脈の中で、用語「脂肪族基」は、飽和若しくは不飽和直鎖又は分枝鎖炭化水素基を表す。この用語は、例えば、アルキル、アルケニル、及びアルキニル基を包含するのに使用される。用語「アルキル基」は、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、第三級ブチル、アミル、ヘプチル等を包含する飽和直鎖又は分枝鎖一価炭化水素基を表す。用語「アルケニル基」は、ビニル基などの1つ以上のオレフィン性不飽和基(すなわち炭素−炭素二重結合)を有する不飽和直鎖又は分枝鎖一価炭化水素基を表す。用語「アルキニル基」は、1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する不飽和直鎖又は分枝鎖一価炭化水素基を表す。用語「環状基」は、脂環式基、芳香族基、又は複素環式基として分類される閉じた環状炭化水素基を表す。用語「脂環式基」は、脂肪族基のものと類似した性状を有する環状炭化水素基を表す。用語「芳香族基」又は「アリール基」は、モノ−又は多核芳香族炭化水素基を表す。用語「複素環式基」は、環の1つ以上の原子が炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素、硫黄等)である閉じた環状炭化水素を表す。
この明細書全体を通して使用される特定の専門用語の議論及び詳細説明を簡単にする方法として、用語「基」及び「部分」(例えば、「有機基」及び「有機部分」)が使用され、置換ができる又は置換されてもよい化学種とそのように置換ができない又はそのように置換されてはならないものを区別する。したがって、用語「基」が化学置換基を記載するのに使用される場合、記載される化学物質には、非置換基、及びその鎖中に、例えば、非過酸化性のO、N、S、Si、又はF原子を有するその基、並びにカルボニル基又はその他の従来の置換基が包含される。用語「部分」が化学化合物又は置換基を記載するのに使用される場合、非置換化学物質だけが包含されることが意図される。例えば、成語「アルキル基」は、メチル、エチル、プロピル、第三級ブチル等などの純粋な開鎖飽和炭化水素アルキル置換基ばかりではなく、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルフォニル、ハロゲン原子、シアノ、アミノ、カルボキシル等などの当該技術分野において既知の置換基を更に有するアルキル置換基も包含することが意図される。したがって、「アルキル基」は、エーテル基、ハロアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、スルホアルキル等を包含する。他方、成語「アルキル部分」は、メチル、エチル、プロピル、第三級ブチル等などの純粋な開鎖飽和炭化水素アルキル置換基に限定される。
光退色性染料の退色特性は、本明細書に記載するように、酸性成分及び光退色性染料を有する歯科用組成物を照射して色の変化を評価することにより容易に判定できる。好ましくは、少なくとも1つの光退色性染料は、硬化性樹脂に少なくとも部分的に可溶性である。
本発明の方法において使用するための硬化性歯科用組成物は、典型的に、硬化性歯科用組成物の総重量に基づいて少なくとも0.001重量%の光退色性染料、及びより好ましくは少なくとも約0.01重量%の光退色性染料を包含する。硬化性歯科用組成物は、好ましくは、硬化性歯科用組成物の総重量に基づいて最大でも約1重量%の光退色性染料、及びより好ましくは最大でも約0.1重量%の光退色性染料を包含する。光退色性染料の量は、その吸光係数、初期の色を見分ける人間の目の能力、及び所望の色変化に応じて変えることができる。
酸性成分
本発明の方法において使用される硬化性歯科用組成物は、4.5未満、及び特定の実施形態では4未満、又は更には3未満のpKを有する、酸性成分を包含する。酸性成分は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、及び/若しくは硝酸)であることも、又は、例えば、1つ以上の、炭素、イオウ、及び/若しくはリンのオキシ酸を包含する有機酸(例えば、モノマー酸、オリゴマー酸、及び/若しくはポリマー酸)であることも可能である。有機酸は、重合可能であることも、又は重合不可能であることもできる。
硬化性歯科用組成物は、ギ酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、クロロ酢酸、トリブロモ酢酸、ジブロモ酢酸、ブロモ酢酸、酢酸、α−クロロプロピオン酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、ピバル酸、メタクリル酸、アクリル酸、トリヒドロキシ安息香酸、安息香酸、カンファーキノンスルホン酸、カンファースルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、パラ−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、フェノール、及びこれらの組み合わせなどの、種々多様なモノマー有機酸のいずれかを包含することができる。
オリゴマー及び/又はポリマー有機酸としては、例えば、ガラスアイオノマーセメントを調製するために一般に使用されるポリアルケン酸、及び例えば、米国特許第3,655,605号(スミス(Smith))、同第4,016,124号(クリスプ(Crisp)ら)、同第4,089,830号(テヅカ(Tezuka)ら)、同第4,143,018号(クリスプら)、同第4,342,677号(ムラマツ(Muramatsu)ら)、同第4,360,605号(シュミット(Schmitt)ら)、及び同第4,376,835号(シュミットら)に記載されるものが挙げられる。代表的なオリゴマー及び/又はポリマー有機酸としては、不飽和モノ−、ジ−、及び/若しくはトリカルボン酸、並びに/又はそれらの無水物のカルボン酸官能性ポリマー(例えば、ホモポリマー及び/又はコポリマー)が挙げられるが、こられらに限定されず、これらは任意で、1つ以上のエチレン性不飽和基で置換されていることも可能である。このようなオリゴマー及び/又はポリマー有機酸としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸のホモポリマー、(メタ)アクリル酸とイタコン酸とのコポリマー、(メタ)アクリル酸とマレイン酸とのコポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸又はマレイン酸とのコポリマー、エチレンと無水マレイン酸又はマレイン酸とのコポリマー、及びスチレンと無水マレイン酸又はマレイン酸とのコポリマーが挙げられ、これらのそれぞれは、任意で、1つ以上の重合可能なエチレン性不飽和基で置換されていることも可能である。特定の実施形態では、好ましいオリゴマー及び/又はポリマー酸として、例えば、欧州特許第0 323 120 B1号(ミトラ(Mitra))に記載されるようなアクリル酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及びイタコン酸の(メタ)アクリレート官能化コポリマーが挙げられる。オリゴマー及びポリマー有機酸の混合物を所望に応じて使用することができる。種々多様な重合可能な有機酸(例えば、酸性の硬化性成分)について本明細書で更に後述する。
典型的には、酸性成分は、リン酸官能基、ホスホン酸官能基、スルホン酸官能基、又はこれらの組み合わせを包含する。こうした酸性成分に加えて、硬化性歯科用組成物はまた、カルボン酸官能基を有する酸性成分(例えば、クエン酸ジメタクリレート、CDMA)のような他の酸性成分も包含することができる。この酸性成分は、本明細書中に更に記載する酸性の硬化性成分と同じであることも異なることもできる。
4.5未満のpKを有する代表的な酸性成分としては、例えば、グリセロールジメタクリレートホスフェート(GDMA−P)、6−メタクリルオキシヘキシルホスフェート(MHP)、ビス(メタクリルオキシエチル)ホスフェート(日本化薬(Nippon Kayaku)(日本)から商標名カヤマー(KAYAMER)PM−2として入手可能)、10−メタクリルオキシデシルホスフェート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
歯科用組成物
本発明の方法において使用される歯科用組成物は、硬化剤を包含する。特定の実施形態では、硬化剤は、増感化合物(例えば、光増感剤)を包含する。好ましくは、増感化合物は光退色性染料とは異なる。特定の実施形態では、硬化剤は更に、電子供与体及びヨードニウム塩を包含する。
任意に、本明細書に記載される硬化性歯科用組成物は、例えば、反応開始剤系、エチレン性不飽和化合物、及び/又は1つ以上の充填剤を更に包含することができる。本明細書に記載される硬化性及び硬化された歯科用組成物は、歯牙構造に接着(例えば、固着)することができる材料を利用する、様々な歯科用途及び歯科矯正用途に使用することができる。そのような硬化性及び硬化された歯科用組成物における使用としては、例えば、接着剤(例えば、歯科用及び/又は歯科矯正用接着剤)、セメント(例えば、ガラスアイオノマーセメント、樹脂変性ガラスアイオノマーセメント、及び歯科矯正用セメント)、プライマー(例えば、歯科矯正用プライマー)、修復材、ライナー、シーラント(例えば、歯科矯正用シーラント)、コーティング、及びそれらの組み合わせとしての使用が挙げられる。このような硬化性歯科用組成物は、種々多様な方法によって歯牙構造に適用されることが可能である。例えば、シーラントは、手によって(例えば、ブラシ又はシリンジを用いて)適用でき、又はトレイ(例えば、印象用トレイ)を用いることによって、歯牙構造に適用できる。
本明細書に記載されるような硬化性組成物(例えば、硬化性歯科用組成物)は、典型的に、硬化性(例えば、重合可能な)成分を包含し、それによって硬化性(例えば、重合可能な)組成物を形成する。硬化性成分としては、エチレン性不飽和化合物(酸官能基を含む又は含まない)、エポキシ(オキシラン)樹脂、ビニルエーテル、光重合系、酸化還元硬化系、ガラスアイオノマーセメント、ポリエーテル、ポリシロキサンなどのような種々多様な化学物を挙げることができる。幾つかの実施形態では、この組成物は、その硬化された歯科用組成物を適用する前に、硬化(例えば、従来の光重合技術及び/又は化学重合技術によって重合)させることができる。他の実施形態では、歯科用組成物は、歯科用組成物の適用後に硬化する(例えば、従来の光重合及び/又は化学重合技術により重合する)ことができる。
ある実施形態では、組成物は光重合可能である、すなわち、組成物は、化学線を照射する際組成物の重合(又は硬化)を開始する、光開始剤(すなわち、光開始剤系)を含有する。かかる光重合性組成物は、フリーラジカル重合可能であるか、又はカチオン重合可能であることができる。他の実施形態では、組成物は化学的に硬化可能である。すなわち、組成物は、化学線による照射に依存することなく、組成物を重合、硬化、ないしは別の方法で硬化することのできる化学的反応開始剤(すなわち、反応開始剤系)を含有する。このような化学的に硬化可能な組成物は、「セルフ硬化(self-cure)」組成物と呼ばれることもあり、かつガラスアイオノマーセメント(例えば、従来型であり樹脂変性されたガラスアイオノマーセメント)、酸化還元硬化系、及びこれらの組み合わせを包含してよい。
本明細書に開示されるような歯科用組成物に使用することができる、好適な光重合性成分としては、例えば、エポキシ樹脂(カチオン活性のエポキシ基を含有する)、ビニルエーテル樹脂(カチオン活性ビニルエーテル基を含有する)、エチレン性不飽和化合物(フリーラジカル活性の不飽和基、例えば、アクリレート及びメタクリレートを含有する)、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。同様に、単一化合物中にカチオン活性官能基とフリーラジカル活性官能基との両方を含有する重合性物質も好適である。例としては、エポキシ官能性アクリレート、エポキシ官能性メタクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
エチレン性不飽和化合物
本明細書に開示される歯科用組成物は、酸官能基を有する又は有さないエチレン性不飽和化合物の形態の、1つ以上の硬化性成分を包含し、それによって硬化性組成物を形成してよい。
好適な硬化性組成物は、エチレン性不飽和化合物(フリーラジカル活性不飽和基を含有する)を包含する硬化性成分(例えば、光重合可能な化合物)を含んでよい。有用なエチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性アクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性メタクリル酸エステル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
組成物(例えば、光重合可能な組成物)は、1つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーを包含してもよいフリーラジカル活性な官能基を有する化合物を包含してよい。好適な化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を含有し、付加重合を受けることが可能である。そのようなフリーラジカル重合性化合物としては、モノ−、ジ−又はポリ−(メタ)アクリレート(すなわち、アクリレート及びメタクリレート)例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、及びトリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレート、(メタ)アクリルアミド(すなわち、アクリルアミド及びメタクリルアミド)例えば、(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、並びにジアセトン(メタ)アクリルアミド、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールのビス−(メタ)アクリレート(好ましくは、分子量200〜500)、米国特許第4,652,274号(ボッチャー(Boettcher)ら)に記載されているような、アクリレート化されたモノマーの共重合性混合物、米国特許第4,642,126号(ザドール(Zador)ら)に記載されているような、アクリレート化されたオリゴマー、及び米国特許第4,648,843号(ミトラ(Mitra))に開示されているもののような、ポリ(エチレン部が不飽和の)カルバモイルイソシアヌレート、ビニル化合物、例えばスチレン、ジアリルフタレート、ジビニルサクシネート、ジビニルアジパート及びジビニルフタレートが挙げられる。他の好適なフリーラジカル重合化合物としては、例えば、PCT国際公開特許第00/38619号(グーゲンベルガー(Guggenberger)ら)、同第01/92271号(ヴァインマン(Weinmann)ら)、同第01/07444号(グーゲンベルガー(Guggenberger)ら)、同第00/42092号(グーゲンベルガー(Guggenberger)ら)に開示されているようなシロキサン官能性(メタ)アクリレート並びに例えば、米国特許第5,076,844号(フォック(Fock)ら)、米国特許第4,356,296号(グリフィス(Griffith)ら)、欧州特許公開第0373 384号(ヴァーゲンクネヒト(Wagenknecht)ら)、同第0201 031号(ライナーズ(Reiners)ら)、及び同第0201 778号(ライナーズ(Reiners)ら)に開示されているようなフルオロポリマー官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。必要に応じて、2個以上のフリーラジカル重合性化合物の混合物を使用することができる。
硬化性成分は、単一分子内にヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基を含有してもよい。そのような物質の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ−又はジ−(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ−又はジ−(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ−、ジ−、及びトリ−(メタ)アクリレート、ソルビトールモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、又はペンタ−(メタ)アクリレート、及び2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−エタアクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビスGMA)が挙げられる。好適なエチレン性不飽和化合物はまた、多種多様な民間の供給元、例えばシグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich)(セントルイス)から入手可能である。必要であれば、エチレン性不飽和化合物の混合物を使用できる。
特定の実施形態では、硬化性成分としては、PEGDMA(約400の分子量を有するポリエチレングリコールジメタクリレート)、ビスGMA、UDMA(ウレタンジメタクリレート)、GDMA(グリセロールジメタクリレート)、TEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)、米国特許第6,030,606号(ホームズ(Holmes))に記載されるようなビスEMA6、及びNPGDMA(ネオペンチルグリコールジメタクリレート)が挙げられる。所望であれば、この硬化性成分の様々な組み合わせを使用することができる。
好ましくは、本明細書に開示される歯科用組成物は、未充填組成物の総重量を基準として、少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも15重量%のエチレン性不飽和化合物を包含する。好ましくは、本明細書に開示される歯科用組成物は、未充填組成物の総重量を基準として、最大でも95重量%、より好ましくは最大でも90重量%、最も好ましくは最大でも80重量%のエチレン性不飽和化合物を包含する。
好ましくは、本明細書に開示される歯科用組成物は、酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物を包含する。好ましくは、本明細書に開示される歯科用組成物は、未充填組成物の総重量を基準として、少なくとも5重量%(wt−%)、より好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも15重量%の、酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物を包含する。好ましくは、本明細書に開示される歯科用組成物は、未充填組成物の総重量を基準として、最大でも95重量%、より好ましくは最大でも90重量%、最も好ましくは最大でも80重量%の酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物を包含する。
酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物
本明細書に開示される歯科用組成物は、1つ以上の、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物の形態の硬化性成分を包含し、それによって硬化性組成物を形成してよい。
本明細書で使用するとき、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和並びに酸及び/又は酸前駆体官能基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーを包含することを意味する。酸−前駆体官能基としては、例えば、無水物、酸ハロゲン化物、及びピロホスフェートが挙げられる。酸官能基としては、カルボン酸官能基、リン酸官能基、ホスホン酸官能基、スルホン酸官能基、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、α,β−不飽和酸性化合物、例えば、グリセロールホスフェートモノ(メタ)アクリレート、グリセロールホスフェートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(例えば、HEMA)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシエチル)ホスフェート、((メタ)アクリルオキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシ)プロピルオキシホスフェート、(メタ)アクリルオキシヘキシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシヘキシル)ホスフェート、(メタ)アクリルオキシオクチルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシオクチル)ホスフェート、(メタ)アクリルオキシデシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシデシル)ホスフェート、カプロラクトンメタクリレートホスフェート、クエン酸ジ−又はトリ−メタクリレート、ポリ(メタ)アクリレート化オリゴマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリカルボキシル−ポリホスホン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリクロロリン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリスルホネート、ポリ(メタ)アクリレート化ポリホウ酸、などが挙げられ、これらは、硬化可能成分系内の成分として使用してよい。また、不飽和炭酸のモノマー、オリゴマー、及びポリマー、例えば、(メタ)アクリル酸、芳香族(メタ)アクリレート化酸、(例えば、メタクリレート化トリメリット酸)、及びそれらの無水物を使用することが可能である。本発明の好ましい方法に使用される特定の組成物としては、少なくとも1つのP−OH部分を有する、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
これら化合物の特定のものは、例えば、イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートとカルボン酸との間の反応物として得られる。酸官能基及びエチレン性不飽和成分の両方を有するこの種の追加の化合物は、米国特許第4,872,936号(エンゲルブレヒト(Engelbrecht))及び同第5,130,347号(ミトラ(Mitra))に記載されている。エチレン性不飽和部分及び酸部分の両方を含有する多種多様のこのような化合物を使用することが可能である。所望する場合、このような化合物の混合物を使用することが可能である。
酸官能基を有する更なるエチレン性不飽和化合物としては、例えば、米国特許出願公開第2004/0206932号(アブエリアマン(Abuelyaman)ら)に開示されているような重合性二ホスホン酸、AA:ITA:IEM(例えば、米国特許第5,130,347号(ミトラ(Mitra))の実施例11に記載されているような、AA:ITAコポリマーを十分な2−イソシアナトエチルメタクリレートと反応させて、コポリマーの酸性基の一部分を末端メタクリレート基に変換することによって作製した、末端メタクリレートを有するアクリル酸:イタコン酸のコポリマー)、並びに、米国特許第4,259,075号(ヤマウチ(Yamauchi)ら)、同第4,499,251号(オムラ(Omura)ら)、同第4,537,940号(オムラら)、同第4,539,382号(オムラら)、同第5,530,038号(ヤマモト(Yamamoto)ら)、同第6,458,868号(オカダ(Okada)ら)、及び欧州特許出願公開第712,622号(トクヤマ(Tokuyama Corp.))及び同第1,051,961号(クラレ(Kuraray Co., Ltd.))に列挙されているものが挙げられる。
本明細書に開示される歯科用組成物はまた、エチレン性不飽和化合物と酸官能基の組み合わせを包含する組成物を包含できる。好ましくは、上記組成物はセルフ接着性及び非水性である。例えば、このような組成物は、少なくとも1つの(メタ)アクリルオキシ基及び少なくとも1つの−O−P(O)(OH)基を包含する第1化合物で、式中、x=1又は2で、かつ少なくとも1つの−O−P(O)(OH)基及び少なくとも1つの(メタ)アクリルオキシ基が、C1〜C4炭化水素基によって互いに結合しているもの、少なくとも1つの(メタ)アクリルオキシ基及び少なくとも1つの−O−P(O)(OH)基を包含する第2化合物で、式中、x=1又は2で、かつ少なくとも1つの−O−P(O)(OH)基及び少なくとも1つの(メタ)アクリルオキシ基が、C5〜C12炭化水素基によって互いに結合しているもの、酸官能基を持たないエチレン性不飽和化合物、反応開始剤系、並びに充填剤を包含することができる。このような組成物は、例えば、米国特許出願公開第2007/0248927 A1号(ルヒターハント(Luchterhandt)ら)に記載されている。
好ましくは、本明細書に開示される歯科用組成物は、未充填組成物の総重量を基準として、少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも3重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%の、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を包含する。好ましくは、本明細書に開示される歯科用組成物は、未充填組成物の総重量を基準として、最大でも80重量%、より好ましくは最大でも70重量%、最も好ましくは最大でも60重量%の、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を包含する。
ガラスアイオノマー
本明細書に記載される硬化性組成物は、典型的にはその主成分として、エチレン性不飽和カルボン酸(例えば、ポリアクリル酸、コポリ(アクリル、イタコン酸)など)のホモポリマー又はコポリマーを用いる従来のガラスアイオノマーセメント、フルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラス、水、及び酒石酸などのキレート化剤などの、ガラスアイオノマーセメントを包含してもよい。従来のガラスアイオノマー(すなわち、ガラスアイオノマーセメント)は、典型的には、使用直前に混合される典型的に粉末/液体の処方で提供される。ポリカルボン酸の酸性反復単位とガラスから浸出するカチオンとの間におけるイオン性反応に起因して、混合物は暗所でセルフ硬化を行うことになる。
ガラスアイオノマーセメントは、樹脂変性ガラスアイオノマー(「RMGI」)セメントもまた包含してよい。従来のガラスアイオノマーと同様に、RMGIセメントはFASガラスを用いる。しかしながら、RMGIの有機部分は異なる。RMGIの1つの型において、ポリカルボン酸は、酸性反復単位の幾つかが側鎖硬化可能基で置換するか、又はエンドキャップするように変性され、例えば、米国特許第5,130,347号(ミトラ(Mitra))に記載されるような第2硬化機構を提供するために、光反応開始剤が付加される。側鎖硬化可能基としては、通常、アクリレート又はメタクリレート基が用いられる。別の種類のRMGIでは、セメントは、ポリカルボン酸、アクリレート官能性モノマー又はメタクリレート官能性モノマー、及び光反応開始剤を含み、例えば、マチス(Mathis)らの「新規ガラスアイオノマー/コンポジット樹脂ハイブリッド修復材(Properties of a New Glass Ionomer/Composite Resin Hybrid Restorative)」、アブストラクト51番、歯科学術誌(J. Dent Res.)、66:113(1987年)、及び米国特許第5,063,257号(アカハネ(Akahane)ら)、同第5,520,725号(カトウ(Kato)ら)、同第5,859,089号(キアン(Qian))、同第5,925,715号(ミトラ(Mitra))、及び同第5,962,550号(アカハネ(Akahane)ら)に記載されている。別の種類のRMGIでは、セメントは、ポリカルボン酸、アクリレート官能性モノマー、又はメタクリレート官能性モノマー、及び酸化還元硬化系又は他の化学硬化系を含み、例えば、米国特許第5,154,762号(ミトラ(Mitra)ら)、同第5,520,725号(カトウ(Kato)ら)及び同第5,871,360号(カトウ(Kato))に記載される。RMGIの他の型において、セメントには、米国特許第4,872,936号(エンゲルブレヒト(Engelbrecht))、同第5,227,413号(ミトラ(Mitra))、同第5,367,002号(ファン(Huang)他)、及び同第5,965,632号(オルロフスキ(Orlowski))に記載されるような様々なモノマー含有又は樹脂含有成分が挙げられる。RMGIセメントは、好ましくは、粉末/液体又はペースト/ペースト系として処方され、混合及び塗布される水を含有する。本組成物は、ポリカルボン酸の酸性反復単位とガラスから浸出するカチオンとの間のイオン反応に起因して、暗所で硬化可能であり、歯科用硬化ランプからの光にセメントを曝露することにより、商業用RMGI製品も典型的に硬化することができる。酸化還元硬化系を含有し、化学放射線を照射せずに暗所で硬化性RMGIセメントは、米国特許第6,765,038号(ミトラ(Mitra))に記載されている。
光反応開始剤系
特定の実施形態では、本発明の組成物は光重合可能である。すなわち、この組成物は、化学線の照射に際し、組成物の重合(又は硬化)を開始する光重合可能な成分及び光開始剤(すなわち、光開始剤系)を含有する。このような光重合性組成物は、フリーラジカル重合可能であるか、又はカチオン重合可能であることができる。
フリーラジカル光重合性組成物を重合させるための好適な光開始剤(すなわち、1個以上の化合物を包含する光開始剤系)としては、2元系及び3元系が挙げられる。典型的な3元光開始剤は、米国特許第5,545,676号(パラゾット(Palazzotto)ら)に記載されているような、ヨードニウム塩、光増感剤、及び電子供与体化合物を包含する。好ましいヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩、例えば、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロホウ酸塩、及びトリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩である。好ましい光増感剤は、400nm〜520nm(好ましくは、450nm〜500nm)の範囲内のいくらかの光を吸収するモノケトン及びジケトンである。より好ましい化合物は、400nm〜520nm(更により好ましくは、450〜500nm)の範囲内のいくらかの光を吸収するα−ジケトンである。好ましい化合物は、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン及び他の1−アリール−2−アルキル−1,2−エタンジオン、並びに環状α−ジケトンである。最も好ましいのは、カンファーキノンである。好ましい電子供与体化合物としては、置換アミン、例えば、エチルジメチルアミノベンゾエートが挙げられる。カチオン系重合可能樹脂を光重合させるために有用な他の好適な3元光反応開始剤系は、例えば米国特許第6,765,036号(デデ(Dede)他)に記載されている。
フリーラジカル光重合性組成物を重合させるための他の好適な光開始剤としては、典型的に380nm〜1200nmの機能的波長範囲を有するホスフィンオキシドの部類が挙げられる。好ましいホスフィンオキシドフリーラジカル反応開始剤は、380nm〜450nmの機能的波長範囲を有し、米国特許第4,298,738号(レッケン(Lechtken)ら)、同第4,324,744号(レッケンら)、同第4,385,109号(レッケンら)、同第4,710,523号(レッケンら)、及び同第4,737,593号(エルリッチ(Ellrich)ら)、同第6,251,963号(コーラ−(Kohler)ら)、及び欧州特許出願公開第0 173 567 A2号(イング(Ying))に記載されているもののようなアシル及びビスアシルホスフィンオキシドである。
380nm〜450nmの波長範囲の光を照射するとフリーラジカルによる反応開始が可能な市販のホスフィンオキシド光反応開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア(IRGACURE)819、チバスペシャリティーケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)(ニューヨーク州、タリータウン(Tarrytown)))、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド(CGI 403、チバスペシャリティーケミカルズ)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとの25:75重量混合物(イルガキュア1700、チバスペシャリティーケミカルズ)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとの1:1重量混合物(ダロキュア(DAROCUR)4265、チバスペシャリティーケミカルズ)、及びエチル2,4,6−トリメチルベンジルフェニルホスフィネート(ルシリン(LUCIRIN)LR8893X、BASF社(ノースカロライナ州、シャーロット(Charlotte)))が挙げられる。
典型的に、ホスフィンオキシド反応開始剤は、組成物の全重量を基準として0.1重量%〜5.0重量%のような、触媒的に有効な量で、光重合性組成物中に存在する。
三級アミン還元剤を、アシルホスフィンオキシドと組み合わせて使用してもよい。本発明で有用な三級アミンの一例としては、エチル−4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエート及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。存在する場合、アミン還元剤は、光重合可能な組成物中に、組成物の総重量を基準として0.1重量%〜5.0重量%の量で存在する。その他の反応開始剤の有用な量は、当業者には周知である。
カチオン性光重合性組成物の重合に好適な光開始剤は、2元系及び3元系が挙げられる。典型的な3元光開始剤は、欧州特許公開第 0 897 710号(ウェインマン(Weinmann)他)、米国特許第5,856,373号(カイサキ(Kaisaki)他)、同第6,084,004号(ウェインマン(Weinmann)他)、同第6,187,833号(オックスマン(Oxman)他)、同第6,187,836号(オックスマン(Oxman)他)、及び同第6,765,036号(ディディ(Dede)他)に記載されるような、ヨードニウム塩、光増感剤、及び電子供与化合物を包含する。本発明の組成物は、電子供与体として1つ以上のアントラセン系化合物を包含することができる。幾つかの実施形態では、組成物は、多置換アントラセン化合物、又は置換アントラセン化合物と非置換アントラセンとの組み合わせを包含する。光反応開始剤系の一部としてのこれらの混合アントラセン電子供与体を組み合わせることによって、同マトリックスにおける単一供与体光反応開始剤系と比較した際、著しい硬化深さ及び硬化速度及び温度非感受性の向上がもたらされる。アントラセン系電子供与体を有するそのような組成物は、米国特許出願公開第2005/0113477 A1号(オクスマン(Oxman)ら)に記載されている。
好適なヨードニウム塩としては、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル)ボレート、及び、例えば、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、及びジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレートなどのジアリールヨードニウム塩が挙げられる。好適な光増感剤は、450nm〜520nm(好ましくは、450nm〜500nm)の範囲内でいくらかの光を吸収するモノケトン及びジケトンである。より好適な化合物は、450nm〜520nm(更により好ましくは、450nm〜500nm)の範囲内でいくらかの光を吸収するα−ジケトンである。好ましい化合物は、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン及び他の環状αジケトンである。最も好ましいのは、カンファーキノンである。好適な電子供与体化合物としては、置換アミン、例えば、エチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート及び2−ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート並びに多縮合芳香族化合物(例えばアントラセン)が挙げられる。
反応開始剤系は、所望の硬化(例えば、重合及び/又は架橋)速度を提供するために十分な量で存在する。光反応開始剤において、この量は、光源、放射エネルギーに曝露される層の厚さ、及び光反応開始剤の吸光係数に部分的に依存するであろう。好ましくは、反応開始剤系は、組成物の重量を基準として、全量で少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.03重量%、最も好ましくは少なくとも0.05重量%の量で存在する。好ましくは、反応開始剤系は、組成物の重量を基準として、全量で10重量%を超えず、より好ましくは5重量%を超えず、最も好ましくは2.5重量%を超えない量で存在する。
酸化還元反応開始剤系
特定の実施形態では、本発明の組成物は、化学的に硬化可能である。すなわち、この組成物は、化学線による照射に依存せずに、重合、硬化、若しくは別の方法で組成物を硬化できる、化学的に硬化可能な成分及び化学反応開始剤(すなわち、反応開始剤系)を含有する。このような化学的に硬化可能な組成物は、「セルフ硬化」組成物と呼ばれることがあり、ガラスアイオノマーセメント、樹脂変性ガラスアイオノマーセメント、酸化還元硬化系、及びこれらの組み合わせを包含してよい。
化学的に硬化可能な組成物は、硬化性成分(例えば、エチレン性不飽和の重合可能な成分)並びに酸化剤及び還元剤を包含する酸化還元剤を包含する酸化還元硬化系を包含してよい。本発明に有用な好適な硬化性成分、酸化還元剤、任意の酸官能性成分、及び任意の充填剤は、米国特許第6,982,288号(ミトラ(Mitra)ら)及び同第7,173,074号(ミトラら)に記載されている。
樹脂系(例えば、エチレン性不飽和成分)の重合を開始することが可能なフリーラジカルを製造するために、還元剤及び酸化剤は、互いに反応するか、若しくは別の方法で協働すべきである。この種類の硬化は、暗反応である。すなわち、光の存在に依存せずかつ光が存在しない状態で進行可能である。還元剤及び酸化剤は、好ましくは十分に貯蔵安定性があり、望ましくない着色がなく、典型的な歯科条件においての保存及び使用を可能にする。これらは、硬化性組成物の他の成分に容易に溶解する(及び硬化性組成物の他の成分からの分離を阻止する)ことを可能にするために、樹脂系と十分に混和性がある(及び好ましくは水溶性である)べきである。
有用な還元剤類としては、米国特許第5,501,727号(ワング(Wang)ら)に記載されているようなアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及び金属錯体アスコルビン酸化合物、アミン、特に三級アミン、例えば、4−第3ブチルメチルアニリン、芳香族スルフィン酸塩、例えば、p−トルエンスルフィン酸塩及びベンゼンスルフィン酸塩、チオ尿素、例えば、1−エチル−2−チオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、1,1−ジブチルチオ尿素、及び1,3−ジブチルチオ尿素、及びそれらの混合物が挙げられる。他の二級還元剤は、塩化コバルト(II)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン(酸化剤の選択に依存する)、亜ジチオン酸塩又は亜硫酸塩アニオンの塩類、及びそれらの混合物を包含してよい。好ましくは、還元剤はアミンである。
好適な酸化剤はまた、当業者によく知られており、過硫酸及びその混合物、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、セシウム、及びアルキルアンモニウム塩が挙げられるが、それらに限定されない。追加の酸化剤としては、過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイル、ヒドロペルオキシド、例えば、クミルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、及びアミルヒドロペルオキシド、並びに遷移金属の塩類、例えば塩化コバルト(III)及び塩化第二鉄、硫酸セリウム(IV)、過ホウ酸並びにそれらの塩類、過マンガン酸及びその塩類、過リン酸及びその塩類、並びにそれらの混合物が挙げられる。
1種を超える酸化剤又は1種を超える還元剤を使用することが望ましい場合がある。少量の遷移金属化合物を添加して、酸化還元硬化速度を速めることもできる。ある実施形態では、米国特許第6,982,288号(ミトラ(Mitra)ら)に記載されているように、重合性組成物の安定性を増強するために、二次的なイオン性塩を包含することが好ましい場合がある。
還元剤及び酸化剤は、適切なフリーラジカル反応速度を得るのに十分な量で存在する。これは、任意の充填剤以外の、硬化性組成物の全成分を組み合わせ、硬化された塊が得られるかどうかを観察することにより評価できる。
還元剤は、硬化性組成物の成分の全重量(水を包含する)を基準として、好ましくは少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.1重量%の量で存在する。還元剤は、硬化性組成物の成分の全重量(水を包含する)を基準として、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の量で存在する。
酸化剤は、硬化性組成物の成分の全重量(水を包含する)を基準として、好ましくは少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.10重量%の量で存在する。酸化剤は、硬化性組成物の構成要素の全重量(水を包含する)を基準として、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の量で存在する。
還元剤又は酸化剤は、米国特許第5,154,762号(ミトラ(Mitra)ら)に記載されているように、マイクロカプセル化できる。これは、一般に、硬化性組成物の貯蔵安定性を増強し、必要に応じて、還元剤又は酸化剤をともに包装することを可能にする。例えば、カプセル化用材料を適切に選択することにより、酸化剤及び還元剤を酸官能性成分及び任意の充填剤とともに組み合わせ、保管安定性状態に維持できる。同様に、非水溶性カプセル化用材料を適切に選択することにより、酸化剤及び還元剤をFASガラス及び水とともに組み合わせ、安定した保管状態に維持することができる。
酸化還元硬化系は、他の硬化系、例えば、米国特許第5,154,762号(ミトラ(Mitra)ら)に記載されているような硬化性組成物と、組み合わせることができる。
充填剤
本明細書に記載される硬化性組成物は、任意に、充填剤を含有できる。充填剤は、例えば、歯科修復組成物等において現在使用される充填剤のような、歯科用途に使用される組成物への組み込みに好適な広範な物質のうち1種以上から選択できる。
特定の実施形態では、充填剤は好ましくは超微粒子状である。充填剤は、一峰性又は多峰性(例えば、二峰性)の粒径分布を有することができる。一部の実施形態では、充填剤の最大粒径(粒子の最大寸法、典型的には直径)は、50マイクロメートル未満、しばしば20マイクロメートル未満、ときには10又は更には5マイクロメートル未満である。特定の実施形態では、充填剤の平均粒径は0.1マイクロメートル未満、ときには0.075マイクロメータ未満である。
充填剤は、無機物質であり得る。それはまた、樹脂系(すなわち、硬化性成分)に不溶性の架橋型有機物質であり得、所望により無機充填剤で充填することもできる。充填剤は、いかなる場合も非毒性であるべきであり、口内に使用するのに好適であるべきである。充填剤は、放射線不透過性又は放射線透過性であり得る。充填剤は典型的には実質的に水に不溶性である。
好適な無機充填剤の例は、天然起源材料又は合成材料であり、以下が挙げられるが、これらに限定されない:石英(すなわち、シリカ、SiO)、窒化物(例えば、窒化ケイ素)、例えば、Zr、Sr、Ce、Sb、Sn、Ba、Zn、及びAl由来のガラス及び充填剤、長石、ホウケイ酸ガラス、カオリン、タルク、ジルコニア、チタニア、米国特許第4,695,251号(ランドクレブ(Randklev))に記載されているもののような低モース硬度充填剤、並びに、サブミクロンシリカ粒子(例えば、デグサ社(Degussa Corp)(オハイオ州、アクロン(Akron))からの「OX50」、「130」、「150」、及び「200」シリカを包含する商品名称エアロジル(AEROSIL)として入手可能な発熱性シリカ、及びキャボット・コーポレーション(Cabot Corp.)(イリノイ州、タスコラ(Tuscola))からのCAB−O−SIL M5シリカのような発熱性シリカ)。好適な有機充填剤粒子の例としては、充填又は未充填粉砕ポリカーボネート、ポリエポキシドなどが挙げられる。
好ましい非酸反応性充填剤粒子は、石英(すなわち、シリカ)、サブミクロンシリカ、ジルコニア、サブミクロンジルコニア、及び米国特許第4,503,169号(ランドクレブ(Randklev))に記載された種類の非ガラス質微小粒子である。これら非酸反応性充填剤の混合物、並びに有機及び無機物質から作製される混合物充填剤も考えられる。
充填剤は更に、酸反応性充填剤であってもよい。好適な酸反応性充填剤としては、金属酸化物、ガラス、及び金属塩が挙げられる。典型的な金属酸化物としては、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、及び酸化亜鉛が挙げられる。典型的なガラスとしては、ホウ酸ガラス、リン酸ガラス、及びフルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラスが挙げられる。FASガラスが特に好ましい。ガラスが硬化性組成物の構成要素と混合されるとき、硬化された歯科組成物が形成されるように、FASガラスは、典型的に十分な溶出性カチオンを含有する。また、ガラスは、典型的に十分な溶出性フッ化物イオンを含有するので、硬化された組成物は抗う触性を有するであろう。ガラスは、フッ化物、アルミナ、及び他のガラス形成成分を含有する溶融物から、FASガラス製造技術における当業者によく知られている技術を使用して作ることができる。FASガラスは、通常十分に超微粒子状の粒子の形態であるので、他のセメント構成要素と都合よく混合され得、得られた混合物が口内に使用されるとき、よく機能するであろう。
一般に、FASガラスの平均粒径(典型的には、直径)は、例えば、沈殿分析器を使用して測定した場合、12マイクロメートル以下、典型的には10マイクロメートル以下、より典型的には5マイクロメートル以下である。好適なFASガラスは、当業者によく知られており、多種多様な民間の供給元から入手可能であり、多くは、商品名ヴィトレマー(VITREMER)、ヴィトレボンド(VITREBOND)、リリイ・X・ルーティング(RELY X LUTING)・セメント、リリイ・X・ルーティング(RELY X LUTING)・プラス・セメント、フォタック−フィル(PHOTAC-FIL)クイック、ケタック−モラー(KETAC-MOLAR)、ケタック−フィル(KETAC-FIL)プラス(3M ESPE歯科用製品(ミネソタ州、セントポール(St. Paul)))、フジ(Fuji)II LC及びフジ(Fuji)IX(G−Cデンタル工業社(G-C Dental Industrial Corp.)(日本、東京))、及びCHEMFIL・スペリオール(Superior)(デンツプライインターナショナル社(Dentsply International)、(ペンシルベニア州、ヨーク(York)))の市販のものなど、現在利用可能なガラス・アイオノマー・セメント内に見出される。所望する場合、充填剤の混合物を使用することが可能である。
充填剤と樹脂との間の結合を強化するために、充填剤粒子の表面を、カップリング剤で処理してもよい。好適なカップリング剤の使用は、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を包含する。特定の実施形態では、シラン処理ジルコニア−シリカ(ZrO−SiO)充填剤、シラン処理シリカ充填剤、シラン処理ジルコニア充填剤、及びそれらの組み合わせが、特に好ましい。
他の好適な充填剤は、米国特許第6,387,981号(チャン(Zhang)ら)及び同第6,572,693号(ウー(Wu)ら)、並びにPCT国際公開特許第01/30305号(チャン(Zhang)ら)、同第01/30306号(ウィンディッシュ(Windisch)ら)、同第01/30307号(チャン(Zhang)ら)、及び同第03/063804号(ウー(Wu)ら)に開示されている。これらの参考文献に記載されている充填剤成分としては、ナノサイズシリカ粒子、ナノサイズ金属酸化物粒子、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ナノ充填剤も、米国特許第7,090,721号(クレイグ(Craig)ら)及び同第7,090,722号(ブッド(Budd)ら)、並びに米国特許出願公開第2005/0252413 A1号(カンガス(Kangas)ら)及び同第2005/0256223 A1号(コルブ(Kolb)ら)に記載されている。
充填剤(例えば、歯科用接着組成物、歯科矯正用プライマー、歯科矯正用シーラント等)を包含する本発明の一部の実施形態において、組成物は好ましくは、組成物の総重量を基準として、少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも2重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%の充填剤を包含する。こうした実施形態において、本発明の組成物は、組成物の総重量を基準として、好ましくは最大でも40重量%、より好ましくは最大でも20重量%、最も好ましくは最大でも15重量%の充填剤を包含する。
他の実施形態(例えば、組成物が歯科修復材又は歯科矯正用接着剤である実施形態)において、本発明の組成物は、組成物の総重量を基準として、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも45重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%の充填剤を包含する。このような実施形態において、本発明の組成物は、組成物の総重量を基準として、好ましくは最大でも90重量%、より好ましくは最大でも85重量%の充填剤を包含する。
種々の任意の添加物
任意に、本発明の組成物は、溶媒(例えば、アルコール(例えば、プロパノール、エタノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エステル(例えば、酢酸エチル)、他の非水性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロロリジノン))、及び水を含有してもよい。
必要であれば、本発明の組成物は、指示薬、色素、顔料、阻害剤、促進剤、粘度調整剤、湿潤剤、緩衝剤、安定剤、及び当業者に明らかであろう他の類似成分のような添加剤を含有できる。粘度調整剤は、熱感応性粘度調整剤(例えば、BASFワイアンドット社(BASF Wyandotte Corporation)、ニュージャージー州パーシパニー(Parsippany)から入手可能なプルロニック(PLURONIC)F−127及びF−108など)を包含し、調整剤上の重合性部分又は調整剤と異なる重合性成分を任意に包含してもよい。このような熱感応性粘度調整剤は、米国特許第6,669,927号(トロム(Trom)ら)及び米国特許出願公開第2004/0151691号(オクスマン(Oxman)ら)に記載されている。
更に、薬剤又は他の治療用物質を、任意に歯科用組成物に添加することができる。例としては、歯科用組成物に使用されることが多い種類の、フッ化物源、増白剤、抗う歯剤(例えば、キシリトール)、カルシウム源、リン源、無機成分補給剤(例えば、リン酸カルシウム化合物)、酵素、息清涼剤、麻酔剤、凝固剤、酸中和剤、化学療法剤、免疫反応変性剤、チキソトロピー剤、ポリオール、抗炎症剤、抗菌剤(抗菌性脂質成分に加えて)、抗真菌剤、口腔乾燥症治療剤、減感剤などが挙げられるが、これらに限定されない。上述のいずれかの添加剤の組み合わせを用いてもよい。当業者は、所望の結果を達成するために、過度な実験をすることなく、かかる添加剤の任意の1種の選択及び量を選ぶことができる。
本発明を以下の実施例によって例示する。特定の実施例、材料、量、及び手順が本明細書で記載された本発明の範囲及び趣旨により広く解釈されるべきであることが理解されるべきである。特に指示がない限り、全ての部及び百分率は重量基準であり、全ての水は脱イオン水であり、全ての分子量は重量平均分子量である。
試験方法
未切削エナメル質に対する接着性試験方法A
所与の試験サンプルについての未切削エナメル質に対する接着性を以下の手順で評価した。
歯の調製。牛の切歯を地域の屠殺場から得て、歯根を切除し、歯髄を取り除いた。軟組織のない歯を、歯の唇側面が露出するように円形アクリルディスクに埋め込んだ。埋め込まれた歯を室温にて水中に保存した。埋め込まれた歯の露出した唇側面を固着に先立ち予防薬ペーストを用いて清浄化した。
歯の処置。セルフエッチング性シーラント試験サンプルを水で湿らせた歯科用アプリケータブラシを用いて、およそ1mm厚の層がエナメル質表面の露出表面全体を覆うように適用した。1分後、トランスボンドXTライトキュア接着剤(TRANSBOND XT Light Cure Adhesive)(3Mユニテック(3M Unitek))でコーティングされたビクトリーシリーズ上顎中ブラケット(Victory Series upper central bracket)をシーラントでコーティングされた歯の表面上に押し付け、オルソラックスLEDキュアリングライト(ORTHOLUX LED curing light)(3Mユニテック(3M Unitek))を用いて、近心側で5秒間、及び遠心側で5秒間、硬化した。硬化後、得られた組立品を接着剤強度が測定されるまで37℃の水浴中に置いた。
接着剤固着強度試験。接着剤固着強度は歯ブラケット組立品にて次のように測定した。0.50mmのステンレス鋼ラウンドワイヤループ(例えば、品番211−200、3Mユニテック(3M Unitek))をブラケットの咬合する結合ウィングに嵌め込んだ。Qテスト/5テスター(Qtest/5 Tester)(MTSシステムズ(MTS Systems))を用いて、ブラケットが歯から剥離するまで剪断/剥離モードで負荷をかけた。テスターに接続したワイヤを5mm/分の速度で引っ張った。最大の力をブラケットごとの固着強度として記録した。下記の表に報告される値は、歯に固着された10個の異なる接着剤コーティングブラケットを用いて行われた10回の各測定の平均である。この平均値を固着の面積に関して標準化した。メガパスカル(MPa)の単位で報告する。
未切削エナメル質に対する接着性試験方法B
所与の試験サンプルについての未切削エナメル質に対する接着性を以下の手順で評価した。
歯の調製
未切削エナメル質に対する接着性試験方法Aについて記載したのと同様。
歯の処置。セルフエッチング性シーラント試験サンプルを、水で湿らせた歯科用アプリケータブラシを用いて、厚さおよそ1.5mmの層がビクトリーシリーズ上顎中ブラケット(Victory Series upper central bracket)の基部上にコーティングされた歯科矯正用接着剤試験サンプルの表面全体を覆うように適用した。ブラケットを直ちに歯の表面上に配置し、一分後、ブラケットを歯に押し付け、次いでフラッシュクリーニングした。ブラケットを、オルソラックスLEDキュアリングライト(ORTHOLUX LED curing light)(3Mユニテック(3M Unitek))を用いて、5秒間(トランスボンドXTライトキュア接着剤(TRANSBOND XT Light Cure Adhesive)を使用した場合)、又は10秒間(実施例3のセルフ接着性歯科矯正用接着剤を使用した場合)硬化させた。硬化後、得られた組立品を接着剤強度が測定されるまで37℃の水浴中に置いた。
接着剤固着強度試験
接着剤固着強度は歯ブラケット組立品上で次のように測定した。0.50mmのステンレス鋼ラウンドワイヤループ(例えば、品番211−200、3Mユニテック(3M Unitek))をブラケットの咬合する結合ウィングに嵌め込んだ。Qテスト/5テスター(Qtest/5 Tester)(MTSシステムズ(MTS Systems))を用いて、ブラケットが歯から剥離するまで剪断/剥離モードで負荷をかけた。テスターに接続したワイヤを5mm/分の速度で引っ張った。最大の力をブラケットごとの固着強度として記録した。下記の表に報告される値は、歯に固着された10個の異なる接着剤コーティングブラケットを用いて行われた10回の各測定の平均である。この平均値を固着の面積に関して標準化して、メガパスカル(MPa)の単位で報告する。
切削エナメル質に対する接着性試験方法C
所与の試験サンプルについての切削エナメル質に対する接着強度を以下の手順で評価した。
歯の調製。それぞれの試験サンプルに対して、同様の年齢及び外観の5個のウシの歯を、円形アクリルディスクに部分的に埋め込んだ。エナメル質を露出させるために、ラピダリーホイールに取り付けられたグレード120炭化ケイ素紙バッキング接着剤を用いて、それぞれの歯の露出した部分を平坦かつアクリルディスクと平行に研磨した。この及びそれに続く、グライディング及びポリッシング工程の間、歯を連続的に水ですすいだ。更に、ラピダリーホイールに、グレード600炭化ケイ素紙バッキング接着剤を取り付けることによって歯のグライディング及びポリッシングを行った。磨かれた歯を脱イオン水中に保存し、ポリッシング後2時間以内に試験に使用した。磨かれた歯を水から取り出し、接着剤を適用する時点で歯の表面がその表面全体の50%までの目に見える水を有するように吸い取り乾燥した。
歯の処置。それぞれが5mmの直径を有するガラス管にフィルテック(FILTEK)Z100修復用複合材料(3M・ESPE・デンタル・プロダクツ(3M ESPE Dental Products)(ミネソタ州、セントポール(St. Paul))から入手可能)を充填した。充填された管を0.275MPaの圧力に5分間曝し、モデルXL3000歯科用硬化ライト(Model XL 3000 dental curing light)(3M・ESPE・デンタル・プロダクツ(3M ESPE Dental Products))を60秒間照射した。得られた硬化された複合材料を管から取り出し、2mm厚のZ100試験ボタンへと切断した。それぞれのボタンの片側を120グリットのサンドペーパーを用いて粗面化した。24℃及び相対湿度50%の制御された環境において、試験サンプルを調製してから1分以内に、試験サンプルの層をZ100ボタンの粗面化された側にスパチュラを用いて適用した。ボタンを、その適用された試験サンプルが歯に直面する状態で、(歯表面の50%超を脱イオン水を用いてブラッシングされた)歯の表面上に押し付けて組立品を作製した。この組立品を更に1分間置いた。その後、この試験サンプル層にXL3000歯科用硬化ライトを40秒間照射した。組立品全体を相対湿度97%及び温度37℃の湿度室中に20分間置いた。次いでこの組立品を温度37℃で脱イオン水中に24時間置いた。
接着固着強度試験。組立品(上述)を、インストロン(INSTRON)試験機(インストロン(Instron)4505、インストロン社(Instron Corp.)(マサチューセッツ州、カントン(Canton)))のつかみ具に固定されたホルダー中に、研磨された歯表面を引っ張り方向と平行に配向した状態で取り付けることによって、硬化された試験例の接着強度を評価した。歯科矯正用ワイヤ(直径0.44mm)のループを、研磨された歯表面と隣接するZ100ボタンの周りに配置した。歯科矯正用ワイヤの端部をインストロン(INSTRON)装置の引っ張り用つかみ具中に固定し、及びクロスヘッドスピード1分あたり2ミリメートル(2mm/分)で引っ張り、それによって接着剤固着を剪断応力下に置いた。固着が失われた力(キログラム単位で測定)を記録し、この数字をボタンの既知の表面積を用いて単位面積あたりの力に変換した。エナメル質への接着又は象牙質への接着のそれぞれの値は5回の反復の平均を表しており、表にメガパスカル(MPa)の単位で報告する。
切削エナメル質に対する接着性試験方法D
切削エナメル質に対する接着性試験方法Dは、ブラケットにおよそ10ミリグラムの接着剤を適用してからブラケットの表面に広げたこと以外は、試験方法Bと同様である。歯表面上に据え付けた後、接着剤を、オルソラックスLEDキュアリングライト(ORTHOLUX LED curing light)(3Mユニテック(3M Unitek))を用いて、近心側で10秒間、及び遠心側で10秒間硬化させた。その後ブラケットを固着された歯を試験の前に37℃で水中に24時間保存した。ブラケットに取り付けたワイヤを1分あたり2ミリメートルの速度で引っ張った。
圧縮強度(CS)試験方法CS
圧縮強度は、初めに試験サンプルを内径4mmのガラス管中に注入することによって評価した。このガラス管の端部にシリコーン栓で栓をした。この充填された管を0.275メガパスカル(MPa)の圧力に5分間曝し、XL1500硬化用ライト(3Mカンパニー(3M Company))で80秒間照射し、クルザーユニXS(KULZER UniXS)(ドイツ、クルザー社(Kulzer, Inc.))のライトボックス中に180秒間置いた。このように硬化したサンプル5つを8mmの長さに切断し、37℃の水中に1日間入れた。圧縮強度は、ISOスタンダード(ISO Standard)7489により、1分あたり1ミリメートル(1mm/min)のクロスヘッドスピードで運転されるインストロンユニバーサル試験機(INSTRON universal tester)(インストロン社(Instron Corp.)(マサチューセッツ州、カントン(Canton)))を用いて測定した。結果を5回の反復の平均として報告した。
ダイヤメトラル引っ張り強度(DTS)試験方法DTS
ダイヤメトラル引っ張り強度を、本質的にCS手順について上述したように測定したが、サンプルは2mmの長さに切断した。結果を5回の反復の平均として報告した。
色試験方法
初期の色及び最終の色は、ハンターラボウルトラスキャンXE分光色差計(HunterLab Ultrascan XE Spectrocolorimeter)(バージニア州、レストン(Reston))を用いて測定した。分光式差計は、拡散/8°光トラップ(Diffuse/8° light trap)に続く拡散/8°機器標準(Diffuse/8° instrument standard)(U3322)(L:98.99、a:−0.29、b:−0.21)を用いて標準化した。機器標準は、NIST(米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology))に準拠するハンターラボマスタートランスファー標準(HunterLab Master Transfer Standards)と直接比較することによって較正した。この方法では、直径9.5mm(0.375”)のポートサイズの小さな領域視野が使用された。未硬化試験サンプル(一般にはペースト)を円形の型(直径15mm)に入れ、サンプルの厚さ1mmの部分を2枚ポリエステルフィルムの間にはさみ、測定した。硬化サンプルは、試験サンプルを両側でXL1500硬化用ライト(3Mカンパニー(3M Company))を用いて1分間硬化することによって得た。
エイジング実験の一部として、未硬化試験サンプルの色を白色の背景(L:94.00、a:−0.92、b:−0.27)に対して測定し、及び反射率スペクトル及びL色データ(「色技術の原理(Principles of Color Technology)」(ビルメイヤー(Billmeyer)及びザルツマン(Saltzman)、第2版、1981年)に記載)を得た。未硬化試験サンプルに関するデータを、0日目の時点(酸性モノマーが存在する状態及び存在しない状態)で、室温にて(室温:およそ22℃〜24℃)暗所で(「暗所」とは光が存在しないこと、例えば、アルミニウムホイルパウチ中で保存したことを意味する)7日〜6ヶ月間エイジングさせた後に、得た。
硬化した試験サンプルの場合には、反射率スペクトル及びL色データを、0日目の時点で、室温にて暗所で3日〜6ヶ月間エイジングさせた後に、測定した。
更に、光(紫外線、日光、ヘラウス(Heraeus)7011−59000からのISO 4049に従い使用された箱)中で脱イオン(DI)水中で37℃において24時間エイジングされた硬化された試験サンプルに関して、反射率スペクトル及びL色データを収集した。
系は、正のX軸が赤を表し、負のX軸が緑を表し、正のY軸が黄色を表し、負のY軸が青を表し、及びZ軸が50を起点として0(黒)から100(白)まで伸びる3次元色空間に基づく。ΔEは、色の3次元における全色変化の計算値であり、以下の等式によって表され、ΔE=√[(L −L +(a −a +(b −b
式中、添字「1」は初期の状態を示し、「2」は最終の状態を示す。
人の目は、通常の照明条件下でおよそ3ΔE単位の色変化を感知できる。
略称、説明、及び材料供給元
別途注記のない限り、試薬及び溶媒は、シグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corp)(ミズーリ州、セントルイス(St. Louis))から得た。アゾ染料(ディスパースレッド(Disperse Red)1、ディスパースレッド13、及びスダンブラック(Sudan Black)B)、アミノアントラキノン染料(ディスパースブルー(Disperse Blue)3及びソルベントブルー(Solvent Blue)35)、及びキニザリン(1,4−ジヒドロキシアントラキノン)は、シグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corp.)から得た。
本明細書で使用するとき、
「TEGDMA」は、サートマー社(Sartomer Co., Inc.)(ペンシルバニア州、エクストン(Exton))から得られるトリエチレングリコールジメタクリレートを指し、
「UDMA]は、ローム・アメリカLLC(Rohm America LLC)(ニュージャージー州、ピスカタウェイ(Piscataway))から商標「ロハメレ(ROHAMERE)6661−0」で得られる、ジウレタンジメタクリレートを指し、
「SR340」は、サートマー社(Sartomer Co., Inc.)(ペンシルバニア州、エクストン(Exton))から商標名SR340で得られる、2−フェノキシエチルメタクリレートを指し、
「ビスEMA」は、サートマー社(Sartomer Co., Inc.)(ペンシルバニア州、エクストン(Exton))から得られる、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレートを指し、
「GDMA−P」は、ジャーナル・オブ・デンタル・リサーチ(J. Dent. Res.)、35巻、8466頁(1956年)に記載されているように調製した、グリセロールジメタクリレートホスフェートを指し、
「MHP」は、メタクリロイルオキシヘキシルホスフェートを指し、
「PM−2」は、日本化薬(Nippon Kayauku)(日本、東京)から商標名カヤマー(KAYAMER)PM−2で得られる、ビス(メタクリルオキシエチル)ホスフェートを指し、
「RN−50」は、第一工業製薬株式会社(DAI-Ichi Kogyo Seiyaku Co. Ltd.)(日本)から商標名ノイゲン(NOIGEN)RN−50で得られる、重合可能非イオン性界面活性剤を指し、
「BHT」は、ブチル化ヒドロキシトルエンを指し、
「Zr−Si充填剤」は、米国特許第4,503,169号(ランドクレブ(Randklev))に記載されているように調製したシラン処理されたジルコニア−シリカ充填剤を指し、
「R812S」は、キャボット・コーポレーション(Cabot Corp.)(イリノイ州、ツスコラ(Tuscola))から商標名エアロジル(AEROSIL)R812Sで得られる、シラン処理されたヒュームドシリカを指し、
「TS−720」は、キャボット・コーポレーション(Cabot Corp.)(イリノイ州、ツスコラ(Tuscola))から商標名エアロジル(AEROSIL)TS−720で得られる、ジメチルシリコーン処理されたヒュームドシリカを指し、
「S/T TiO」は、ダイカラー・ポープ(Daicolor-Pope)(ニュージャージー州、クリフトン(Clifton))から商標名MT−500HDで得られる、シラン処理された二酸化チタン粉末を指し、
「イルガキュア」は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)(ニューヨーク州、タリータウン(Tarrytown))から商標名イルガキュア(IRGACURE)819で得られる、光開始剤を指し、
「CPQ」は、カンファーキノンを指し、
「EDMAB」は、エチル4−ジメチルアミノベンゾエートを指し、
「EDMOA」は、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセンを指し、
「DPIPF6」は、アルファ・エイサー(Alfa Aesar)(マサチューセッツ州、ワードヒル(Ward Hill))から得られる、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、
「レッドX64」は、ミリケン・ケミカル(Milliken Chemical)(サウスカロライナ州、インマン(Inman))から商標名リアクティントレッド(REACTINT RED)X64で得られる、ポリマー染料を指し、核磁気共鳴分光法による分析によりそれがアゾ染料であることが示され、
「ブルーX17AB」は、ミリケン・ケミカル(Milliken Chemical)(サウスカロライナ州、インマン(Inman))から商標名リアクティントブルー(REACTINT BLUE)X17ABで得られる、ポリマー染料を指し、核磁気共鳴分光法による分析によりそれがアミノアントラキノン染料であることが示され、
「ブラックX95AB」は、ミリケン・ケミカル(Milliken Chemical)(サウスカロライナ州、インマン(Inman))から商標名リアクティントブラック(REACTINT BLACK)X95ABで得られる、ポリマー染料を指し、核磁気共鳴分光法による分析により、それがアゾ染料とアミノアントラキノン染料との混合物であることが示され、
「CCアシッド」は、アゾ染料、3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ナフタレンカルボン酸を指し、
「EE」は、キサンテン染料、エチルエオシンを指し、
「EYB」は、90重量%のエリスロシンBと10重量%のエオシンYのキサンテン染料混合物である、エリスロシンイエロイッシュブレンドを指し、
「MB」は、キサンテン染料、メチレンブルーを指す。
調製例1
MHPの調製
機械的攪拌器及びフラスコ内に乾燥空気を供給する細口注入管を備えた1リットルの三つ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオール(1000.00g)を入れた。フラスコを90℃に加熱し、この温度で全ての化合物が融解した。攪拌を続けながら、p−トルエンスルホン酸(18.95g)、次いでBHT(2.42g)及びメタクリル酸(728.32g)を加えた。混合物を攪拌し、90℃で5時間加熱し、この時間の間、およそ30分ごとの反応時間後に水アスピレータを用いて5〜10分間減圧を適用した。次いで反応混合物を室温に冷却させた。粗粘性液生成物を10重量%炭酸ナトリウム水溶液(2×240mL)、水(2×240mL)、及びNaCl飽和水溶液(100mL)で続けて洗浄した。次いでこの粘性液を無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、次いで減圧濾過によって単離して、1067gの6−ヒドロキシヘキシルメタクリレートを黄色の油として得た。
機械的攪拌器を備えた1リットルフラスコ中でP(178.66g)及び塩化メチレン(500mL)を窒素ガス雰囲気下で混合することによって、スラリーを形成した。フラスコを氷浴中で15分間冷却した。攪拌を続けながら、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート(962.82g)を2時間かけて少しずつフラスコに加えた。添加が完了した後、混合物を氷浴中で1時間、次に室温で2時間攪拌した。BHT(0.5g)をフラスコに加え、次いで温度を上げて45分間還流させた。次いで、混合物を室温に冷却させた。溶媒を真空下で除去し、黄色オイルとして1085gの6−メタクリルオキシヘキシルホスフェート(MHP)を得た。化学的特性測定はNMR分析によった。
調製例2
UDMAを包含する硬化性歯科用組成物
表1に示した組成物を有する樹脂混合物を調製した。表1に列挙された成分を、モデルDAC 150 FVZスピードミキサー(Model DAC 150 FVZ SpeedMixer)(フラックテック社(FlackTek, Inc.)(サウスカロライナ州、ランドラム(Landrum))製)を3000rpmでそれぞれ1分間を2回用いて、組み合わせた。樹脂混合物(19重量%)と、TS−720(1.5重量%)と、米国特許第6,960,079号(ブレナン(Brennan)ら)に記載されているように上述のようなスピードミキサーを用いて調製された、シラン処理された石英(79.5重量%)とを組み合わせることによって、硬化性歯科用組成物を調製した。
調製例3
UDMA及び2重量%のアゾ染料を包含する硬化性歯科用ペースト
モデルDAC 150 FVZスピードミキサー(Model DAC 150 FVZ SpeedMixer)(フラックテック社(FlackTek)(サウスカロライナ州、ランドラム(Landrum))製)を3000rpmでそれぞれ1分を2回使用し、調製例2の組成物(5.0g)をレッドX64(0.1g)と組み合わせて、生成物を得た。
調製例4
UDMA及び2重量%のアミノアントラキノン染料を包含する硬化性歯科用ペースト
モデルDAC 150 FVZスピードミキサー(Model DAC 150 FVZ SpeedMixer)(フラックテック社(FlackTek)(サウスカロライナ州、ランドラム(Landrum))製)を3000rpmでそれぞれ1分を2回使用して、調製例2の組成物(5.0g)をブルーX17AB(0.1g)と組み合わせて、生成物を得た。
実施例1〜8
アゾ染料を含有する歯科用組成物
実施例1〜8の歯科用組成物は、表2に列挙した成分を次の一般的な手順に従って組み合わせることによって調製し、硬化性エチレン性不飽和成分を組み合わせて均一な混合物を形成した。次にこの混合物を反応開始剤系成分と組み合わせた。最後に、充填剤、染料、及び他の成分を加え、完全に分散させて均質な歯科用組成物を得た。実施例1〜8の組成物のそれぞれにアゾ染料を含有させた。実施例1〜3はレッドX64を含有し、実施例4はブラックX95ABを含有し、実施例5はディスパースレッド1を含有し、実施例6はディスパースレッド13を含有し、実施例7はスダンブラックBを含有し、実施例8はCCアシッドを含有した。実施例1の組成物には比較的低い濃度の充填剤を包含させ、それらの濃度は、例えば、セルフエッチング性歯科用接着剤、歯科用シーラント、歯科矯正用プライマー、及び/又は歯科矯正用シーラントに見られ得る濃度に類似する。実施例2〜8の組成物には比較的高い濃度の充填剤を包含させ、それらの濃度は、例えば、セルフエッチング歯科用修復材及び/又は歯科矯正用接着剤に見られ得る濃度に類似する。
実施例9〜11及び比較例1〜5
アミノアントラキノン染料を含有する歯科用組成物
実施例9〜11及び比較例(CE)1〜5の組成物は、表3に列挙された成分を本質的に実施例1〜8について記載されたような手順に従って組み合わせることによって調製した。実施例9〜11の歯科用組成物にはそれぞれ異なるアミノアントラキノン染料を含有させ、一方比較例1〜5の組成物にはそれぞれ、アゾ染料でもなくアントラキノン染料でもない染料を含有させた。実施例9はブルーX17ABを含有し、実施例10はディスパースブルー3を含有し、実施例11はソルベントブルー35を含有し、比較例1はMBを含有し、比較例2及び3はEYBを含有し、比較例4はEEを含有し、比較例5はキニザリンを含有した。実施例9〜11の歯科用組成物には比較的高い濃度の充填剤を包含させ、それらの濃度は、例えば、セルフエッチング性修復材及び/又は歯科矯正用接着剤に見られ得る濃度に類似する。
実施例12〜14
実施例1の組成物の2つのサンプルを、未切削エナメル質に対する接着性(A;試験方法Aを使用)に関して個別に評価し、実施例1及び2の組成物のそれぞれ1つのサンプルを切削エナメル質に対する接着性(C;試験方法Cを使用)、圧縮強度(CS)、及びダイヤメトラル引っ張り強度(DTS)に関して本明細書に記載した試験方法に従い評価した。結果を表4に示す。表4において、「n/a」は試験が実施されなかったことを意味する。
実施例15〜16
実施例3の組成物を、未切削エナメル質に対する接着性に関して評価した(試験方法B)。実施例15については、試験方法Bを上述した通りに行った。この実施例では、実施例3の組成物は3.8MPaの接着値を示した。実施例16に関しては、実施例3の組成物が適用される前に、歯科矯正用ブラケットの固着表面への実施例1の組成物の適用を包含するように試験方法Bを修正した。実施例1の組成物は、この場合本質的に、ブラケットの固着表面と実施例3の接着剤組成物の間のプライマー層として機能した。この実施例では、実施例3の組成物は11.2MPaの接着値を示した。
実施例17
硬化された歯科用組成物の最終の色及びエイジングされた色の測定
実施例1の組成物を、初期の色(すなわち、化学線に曝露する前の組成物の色)と、最終の色(すなわち、化学線に曝露した後の組成物の色)と、エイジングされた色(すなわち、37℃にてエイジングされた組成物の色)の間の違いに関して評価した。実施例1の組成物は、未硬化組成物において容易に目に見える薄い色を与えた。未硬化組成物のディスクの色は、本明細書に記載された色試験方法を用いて測定した。サンプルディスクが歯科矯正用硬化ライト(3Mユニテック(3M Unitek)(カリフォルニア州、モンロビア(Monrovia))から商標名オルソラックスLEDキュアリングライト(ORTHOLUX LED CURING LIGHT)で入手可能)を用いて硬化された場合、色は光退色した。硬化された組成物のディスクの色は、本明細書に記載した色試験方法を用いて測定した。次いで硬化された組成物のディスクを37℃の暗所において水中でエイジングした。この硬化されたディスクの色を、色試験方法を用いて、3日、7日、14日、21日、及び28日の間隔をおいて測定した。データは、硬化されたディスクが約14日のエイジングまでに、サンプルのb値の増加によって証明されるように、より青色が少なく黄色が多くなっていくことを示した。
実施例18
未硬化歯科用組成物の色安定性
未硬化ディスク(厚さ0.020mm)の形態の実施例1の組成物を、色安定性、すなわち、組成物の硬化をもたらさない条件下で周囲の白色光に曝露したときの初期の色の実質的な保持性について評価した。未硬化組成物のディスクを周囲の白色光に曝し、ディスクの色を定期的に、定性的に(すなわち、視覚的に)及び定量的に(すなわち、本明細書に記載した色試験方法を用いて)評価した。周囲光への連続曝露20分間の全時間内に、ディスクは目に見える色の変化を示さず(すなわち、それは光退色したように見えなかった)、かつ平均のb値は実質的に変化しなかった。
実施例19〜22
染料を有する歯科用組成物についての色試験結果
実施例1〜2及び4〜8(アゾ染料を含有)、実施例9〜11(アミノアントラキノン染料を含有)、及び比較例1〜4(アゾ染料でもアミノアントラキノン染料でもない染料を含有)の組成物のそれぞれの色を、本明細書に記載した色試験方法を用いて測定した。それぞれの未硬化組成物の色は、それらを調製した後(「0日目」、実施例19)、及びそれらを暗所において室温で1週間エイジングさせた後(「7日目」、実施例20)に測定した。(歯科用又は歯科矯正用硬化ライトを用いて硬化された)それぞれ硬化された組成物のディスクの色は、硬化の直後(「0日目」、実施例21)、及びそれらを暗所において室温で1週間エイジングさせた後(「7日目」、実施例22)に測定した。それぞれの実施例についてのデータ(L、a、及びb)を表5に示す。表5において、「n/a」は、その組成物に関して値が計算されなかったことを意味する。
実施例23〜24
染料を有する未硬化歯科用組成物の色変化(ΔE)
実施例1〜2及び4〜8(アゾ染料を含有)、実施例9〜11(アミノアントラキノン染料を含有)、及び比較例1〜4(アゾ染料でもアミノアントラキノン染料でもない染料を含有)のそれぞれの未硬化組成物の色変化(ΔE)を、本明細書に記載した色試験方法を用いて測定した。それぞれの未硬化組成物を調製した後のそれらの初期の色、それらを暗所において室温で一週間エイジングさせた後の色(「7日目」、実施例23)、及びそれらを暗所において室温で少なくとも5ヶ月間エイジングさせた後の色(「延長」、実施例24)を用いて、それぞれの未硬化組成物の色変化(ΔE)を測定した。それぞれの実施例についてのデータ(ΔE)を表6に示す。表5において、「延長」エイジング試験の時間をそれぞれのサンプルに対して示す。表6において、「n/a」は、その組成物に関して値が計算されなかったことを意味する。
実施例25〜28
染料を有する硬化された歯科用組成物の色変化(ΔE)
実施例1〜2及び4〜8(アゾ染料を含有)、実施例9〜11(アミノアントラキノン染料を含有)、及び比較例1〜4(アゾ染料でもアミノアントラキノン染料でもない染料を含有)のそれぞれの硬化された組成物の色変化(ΔE)を、本明細書に記載した色試験方法を用いて測定した。それぞれの硬化された組成物の色変化(ΔE)は、硬化後のそれぞれの硬化された組成物の初期の色(「0日目」、実施例25)、それらを37℃において水中の暗所で24時間エイジングさせた後の色(「1日目」、実施例26)、それらを37℃において水中の暗所で1週間エイジングさせた後の色(「1週間目」、実施例26)、及びそれらを37℃において水中の暗所で3ヶ月間又は6ヶ月間エイジングさせた後の色(「延長」、実施例24)を用いて、測定した。それぞれの実施例についてのデータ(ΔE)を表7に示す。表7において、「延長」エイジング試験の時間をそれぞれのサンプルに対して示す。表7において、「n/a」は、その組成物に対して値が計算されなかったことを意味する。
実施例29〜34及び比較例1
UDMAを含有する歯科用組成物
実施例29〜31については、調製例2及び調製例3の組成物の混合物を表8に示した量で、モデルDAC 150 FVZスピードミキサー(Model DAC 150 FVZ SpeedMixer)(フラックテック社(FlackTek)(サウスカロライナ州、ランドラム(Landrum))製)を3000rpmでそれぞれ1分間を2回用いて組み合わせた。実施例29〜31のそれぞれの歯科用組成物には、表8に示した重量パーセントでアゾ染料を含有させた。実施例32〜34については、調製例2及び調製例4の組成物の混合物を表8に示した量で、モデルDAC 150 FVZスピードミキサー(Model DAC 150 FVZ SpeedMixer)を3000rpmでそれぞれ1分を2回用いて組み合わせた。実施例32〜34のそれぞれの歯科用組成物には、表8に示した重量パーセントでアミノアントラキノン染料を含有させた。比較例1については、調製例2の組成物に、調製例3の組成物又は調製例4の組成物のいずれも組み合わせなかった。実施例29、30、32、及び比較例1のそれぞれの組成物の切削エナメル質への接着性は、本明細書に記載した試験方法Dを用いて測定した。接着剤固着強度データを表8に示す。
表8において、「n/a」は、その実施例中に組成物が存在しないことを意味し、及び「−−−」は、データが得られなかったことを意味する。
実施例35〜39
UDMA及びアゾ染料を含有する歯科用組成物についての色試験結果
実施例29〜31のそれぞれの組成物の色は、本明細書に記載した色試験方法を用いて測定した。組成物の色は、それらを調製した後(「未硬化」、実施例32)、それらをオルソラックスLED(ORTHOLUX LED)歯科矯正用硬化ライトを用いて硬化した直後(「硬化後」、実施例33)、及びそれらを37℃の暗所において水中で3日間エイジングした後(「エイジング後」、実施例34)に測定した。それぞれの実施例についてのデータ(L、a、及びb)を表9に示す。実施例29〜31のそれぞれの組成物について、「硬化後」及び「エイジング後」のΔE値、すなわち、初期の色(すなわち、化学線に曝露する前の組成物の色)と最終の色(すなわち、化学線に曝露した後の組成物の色、「硬化後」、実施例35)との差、及び最終の色とエイジングされた色(すなわち、37℃の暗所において水中で3日間エイジングした後の組成物の色、「エイジング後」、実施例36)との差を、それぞれ計算した。サンプルディスクが歯科矯正用硬化ライト(3Mユニテック(3M Unitek)(カリフォルニア州、モンロビア(Monrovia))から商標名オルソラックスLEDキュアリングライト(ORTHOLUX LED CURING LIGHT)で入手可能)を用いて硬化された場合、それぞれのサンプルの色は光退色された。硬化された組成物のディスクの色は、本明細書に記載した色試験方法を用いて測定した。次いで硬化された組成物のディスクを37℃で暗所において水中で3日間エイジングした。データを表9に示す。表9において、「n/a」は、データが得られなかったか、又は計算されなかったことを意味する。この硬化条件下で、実施例32〜34の組成物は高いΔE値を示さなかった。
実施例40〜42及び比較例2
UDMAを含有する歯科用組成物の固着強度
実施例29、30、32及び調製例2のそれぞれの組成物(それぞれ、実施例40〜42及び比較例2)を、試験方法Dを用いて未切削エナメル質への接着性に関して評価した。接着剤固着強度データを表10に示す。
本明細書で引用されたすべての特許、特許出願及び刊行物並びに電子的に入手可能な資料の完全な開示は、参考として組み込まれる。前述の説明及び実施例は理解を明確化するためにのみ提示した。詳細な説明及び実施形態から無用の限定はないと理解すべきである。本発明は、示され記載された厳密な詳細事項に限定されるべきではない。当業者に対して明らかな変形が特許請求の範囲において規定された本発明の範囲に包含されるからである。

本発明は、以下の態様を包含する。
[1]
口腔表面を処置するための方法であって、
硬化性歯科用組成物を前記口腔表面に適用する工程であって、前記硬化性歯科用組成物が、
硬化性成分と、
前記硬化性歯科用組成物の硬化を開始するための反応開始剤と、
4.5未満のpK を有する酸性成分と、
アミノアントラキノン染料、アゾ染料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される光退色性染料と、を含む工程と、
前記硬化性歯科用組成物を硬化する工程と、
硬化直後の前記硬化された歯科用組成物の色を観察し、硬化後に体温又は体温付近で少なくとも3日間エイジングした後の前記硬化された歯科用組成物のエイジングされた色を観察して、前記エイジングされた色が、硬化直後の色と実質的に同じであることを判定する工程とを含む、方法。
[2]
前記酸性成分が、4未満のpK を有する、上記[1]に記載の方法。
[3]
前記酸性成分が、3未満のpK を有する、上記[2]に記載の方法。
[4]
前記酸性成分が、リン酸機能性、ホスホン酸機能性、スルホン酸機能性、又はこれらの組み合わせを備える、上記[1]に記載の方法。
[5]
前記酸性成分が、前記硬化性成分と同一である、上記[1]に記載の方法。
[6]
前記酸性成分が、前記硬化性成分とは異なる、上記[1]に記載の方法。
[7]
前記歯科用組成物が、非光退色性染料を更に含む、上記[1]に記載の方法。
[8]
前記硬化された歯科用組成物をその上に有する歯牙構造に、歯科矯正用装具を接着させることを更に含む、上記[1]に記載する方法。
[9]
前記光退色性染料が、モノアミノアントラキノン染料及びジアミノアントラキノン染料からなる群から選択される、上記[1]に記載の方法。
[10]
前記ジアミノアントラキノン染料が、次式(式I)を有し、

式中、R 、R 、及びR が、それぞれ独立して、水素又は有機基である、上記[9]に記載の方法。
[11]
式中、それぞれのR 及びそれぞれのR は水素であり、それぞれのR は有機基である、上記[10]に記載の方法。
[12]
前記光退色性染料が、式、Ar −N=N−Ar のアゾ染料であり、式中、Ar 及びAr が、それぞれ独立して、アリール基又はヘテロアリール基を表す、上記[1]に記載の方法。
[13]
Ar とAr が、同一である、上記[12]に記載の方法。
[14]
Ar とAr が、異なる、上記[12]に記載の方法。
[15]
前記アゾ染料が、モノアゾ染料である、上記[12]に記載の方法。
[16]
前記アゾ染料が、ジアゾ染料である、上記[12]に記載の方法。
[17]
前記反応開始剤が、光開始剤である、上記[1]に記載の方法。
[18]
前記硬化性歯科用組成物を硬化する工程が、前記硬化性歯科用組成物を化学線に曝露することを含む、上記[17]に記載の方法。
[19]
歯牙構造を処置するための方法であって、
硬化性歯科用組成物を前記歯牙構造に適用する工程であって、前記硬化性歯科用組成物が、硬化前の初期の色を有し、
硬化性成分と、
前記硬化性歯科用組成物の硬化を開始するための反応開始剤と、
4.5未満のpK を有する酸性成分と、
アミノアントラキノン染料、アゾ染料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される光退色性染料とを含む工程と、
前記硬化性歯科用組成物を硬化して、前記初期の色とは異なる硬化直後の最終の色を有する硬化された歯科用組成物を提供する工程と、
硬化後に体温又は体温付近で少なくとも3日間エイジングした後、前記硬化された歯科用組成物のエイジングされた色を観察して、前記エイジングされた色が前記最終の色と実質的に同じであることを判定する工程とを含む、方法。
[20]
前記初期の色から前記最終の色への色の変化が、10よりも大きなΔE を有する、上記[19]に記載の方法。
[21]
前記初期の色から前記最終の色への色の変化が、15よりも大きなΔE を有する、上記[20]に記載の方法。
[22]
前記初期の色から前記最終の色への色の変化が、20よりも大きなΔE を有する、上記[21]に記載の方法。
[23]
前記最終の色が、天然に生ずる生歯の色調である、上記[19]に記載の方法。
[24]
前記最終の色が、その下にある表面の色を伝えることができる、上記[19]に記載の方法。
[25]
前記硬化性歯科用組成物が、充填剤を更に含む、上記[19]に記載の方法。
[26]
前記硬化性歯科用組成物が、接着剤、プライマー、シーラント、修復材、コーティング、ライナー、又はセメントである、上記[19]に記載の方法。
[27]
前記硬化性歯科用組成物が、セルフエッチング性である、上記[19]に記載の方法。
[28]
前記硬化性歯科用組成物が、セルフエッチング性シーラントであり、適用工程が、前記硬化性歯科用組成物をトレイを使用して前記歯牙構造に適用することを含む、上記[27]に記載の方法。
[29]
前記反応開始剤が、光開始剤である、上記[19]に記載の方法。
[30]
前記硬化性歯科用組成物を硬化する工程が、前記硬化性歯科用組成物を化学線に曝露することを含む、上記[29]に記載の方法。
[31]
歯牙構造を処置するための方法であって、
硬化性歯科用組成物を前記歯牙構造に適用する工程であって、前記硬化性歯科用組成物が、化学線に曝露する前の初期の色を有し、
酸機能性を有し、4.5未満のpK を有するエチレン性不飽和化合物と、
酸機能性を有さないエチレン性不飽和化合物と、
前記硬化性歯科用組成物の硬化を開始するための硬化剤と、
アミノアントラキノン染料、アゾ染料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される光退色性染料とを含む、工程と、
前記硬化性歯科用組成物を照射して、前記初期の色とは異なる最終の色を有する硬化された歯科用組成物を提供する工程と、
硬化後に体温又は体温付近で少なくとも3日間エイジングした後の前記硬化された歯科用組成物のエイジングされた色を観察して、前記エイジングされた色が前記最終の色と実質的に同じであることを判定する工程とを含む、方法。
[32]
前記酸機能性を有さないエチレン性不飽和化合物が、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジウレタンジメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、上記[31]に記載の方法。
[33]
前記硬化剤が、前記光退色性染料とは異なる増感化合物を含む、上記[31]に記載の方法。
[34]
前記硬化剤が、増感化合物、電子供与体、及びヨードニウム塩を含む、上記[31]に記載の方法。
[35]
前記増感化合物が、前記光退色性染料と異なる、上記[34]に記載の方法。
[36]
適用工程が、前記硬化性歯科用組成物を湿った歯牙構造に適用することを含む、上記[31]に記載の方法。
[37]
適用工程が、前記硬化性歯科用組成物を乾いた歯牙構造に適用することを含む、上記[31]に記載の方法。
[38]
前記歯牙構造が、未切削エナメル質を含む、上記[31]に記載の方法。
[39]
前記硬化された歯科用組成物が、試験方法Bを用いて、少なくとも6MPaの接着値で前記未切削エナメル質に接着する、上記[38]に記載の方法。
[40]
適用工程が、前記硬化性歯科用組成物を前記歯牙構造の表面の少なくとも一部に適用することを含む、上記[31]に記載の方法。
[41]
前記装具を前記歯牙構造に固着するための基部を有する歯科矯正用装具を提供する工程と、
歯科矯正用接着剤を提供する工程と、
前記歯科矯正用接着剤を、前記歯科矯正用装具の前記基部並びに前記硬化性及び/又は
硬化された歯科用組成物をその上に有する前記歯牙構造の表面と接触させる工程と、
前記歯科矯正用接着剤を照射して前記歯科矯正用装具を前記歯牙構造に固着する工程と
を更に含む、上記[40]に記載の方法。
[42]
前記硬化性歯科用組成物を照射する工程が、前記歯科矯正用接着剤を照射することを更に含む、上記[41]に記載の方法。
[43]
前記歯科矯正用装具が、前記装具の基部上に前記歯科矯正用接着剤を有するプレコートされた歯科矯正用装具として提供される、上記[41]に記載の方法。
[44]
歯科矯正用装具を歯牙構造に固着するための方法であって、
前記装具を前記歯牙構造に固着するための基部を有する歯科矯正用装具を提供する工程と、
硬化性歯科用組成物であって、
硬化性成分と、
前記硬化性歯科用組成物の硬化を開始するための反応開始剤と、
4.5未満のpK を有する酸性成分と、
アミノアントラキノン染料、アゾ染料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される光退色性染料とを含む、硬化性歯科用組成物を提供する工程と、
前記硬化性歯科用組成物を、前記歯牙構造及び前記歯科矯正用装具の前記基部と接触させる工程と、
前記硬化性歯科用組成物を硬化する工程と、
硬化直後の前記硬化された歯科用組成物の色を観察し、硬化後に体温又は体温付近で少なくとも3日間エイジングした後の前記硬化された歯科用組成物のエイジングされた色を観察して、前記エイジングされた色が前記硬化直後の色と実質的に同じであることを判定する工程とを含む、方法。
[45]
前記歯科矯正用装具の前記基部が、間接的固着のための特注の基部である、上記[44]に記載の方法。
[46]
前記硬化性歯科用組成物を、前記歯牙構造及び前記歯科矯正用装具の基部と接触させる工程が、
前記硬化性歯科用組成物を前記歯牙構造に適用する工程と、
前記歯科矯正用装具の前記基部を、前記歯牙構造上の前記硬化性歯科用組成物と接触させる工程とを含む、上記[44]に記載の方法。
[47]
前記硬化性歯科用組成物を、前記歯牙構造及び前記歯科矯正用装具の前記基部と接触させる工程が、
その基部上に前記硬化性歯科用組成物を有する歯科矯正用装具を提供する工程と、
前記硬化性歯科用組成物をその上に有する前記装具の前記基部を前記歯牙構造に適用する工程とを含む、上記[44]に記載の方法。
[48]
前記歯科矯正用装具が、前記装具の前記基部上に前記硬化性歯科用組成物を有するプレコートされた装具として提供される、上記[47]に記載の方法。
[49]
前記歯科矯正用装具が、その基部に固着された圧縮可能な材料を備え、前記圧縮可能な材料が、その孔内に少なくとも部分的に前記硬化性歯科用組成物を有する多孔質材料である、上記[47]に記載の方法。
[50]
その基部上に前記硬化性歯科用組成物を有する前記歯科矯正用装具を提供する工程が、前記硬化性歯科用組成物を歯科矯正用装具の前記基部に適用する工程を更に含む、上記[47]に記載の方法。
[51]
前記反応開始剤が、光開始剤である、上記[44]に記載の方法。
[52]
前記硬化性歯科用組成物を硬化する工程が、前記硬化性歯科用組成物を化学線に曝露することを含む、上記[51]に記載の方法。

Claims (1)

  1. 方法において使用するための硬化性歯科用組成物であって、
    前記硬化性歯科用組成物が、
    (a)少なくとも5重量%から最大でも95重量%の酸官能基を有さないエチレン性不飽和成分と、
    (b)少なくとも0.01重量%から10重量%以下の前記硬化性歯科用組成物の硬化を開始するための反応開始剤と、
    (c)4.5未満のpKを有し、メタクリル酸および1以上のリンのオキシ酸を含む酸性成分と、
    (d) 少なくとも0.001重量%から最大でも1重量%のアミノアントラキノン染料、アゾ染料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される光退色性染料と、を含み、前記方法が、
    前記硬化性歯科用組成物を口腔表面に適用する工程と、
    前記硬化性歯科用組成物を硬化する工程を含む、硬化性歯科用組成物。

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