JP5503474B2 - 放熱部材、半導体装置、放熱部材の製造方法 - Google Patents

放熱部材、半導体装置、放熱部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、マグネシウム(いわゆる純マグネシウム)又はマグネシウム合金とSiCといった非金属無機材料とが複合された複合部材、この複合部材から構成される放熱部材、この放熱部材を具える半導体装置、及び複合部材の製造方法に関するものである。特に、熱特性に優れ、半導体素子の放熱部材に適した複合部材に関するものである。
半導体素子の放熱部材(ヒートスプレッダ)の構成材料として、銅といった金属材料のみからなるものの他、Al-SiCといった、金属と非金属無機材料(代表的にはセラミックス)との複合材料が利用されている。近年、放熱部材の軽量化を主目的として、アルミニウム(Al)よりも軽量であるマグネシウム(Mg)やその合金を母材とする複合材料が検討されている(特許文献1参照)。
特開2006-299304号公報
半導体素子の放熱部材には、熱伝導性に優れると共に、半導体素子やその周辺部品の熱膨張係数(4ppm/K(4×10-6/K)〜8ppm/K(8×10-6/K)程度)との整合性に優れることが望まれる。即ち、特許文献1に開示される複合材料と同等以上の高い熱伝導性を有し、かつ半導体素子やその周辺部品の熱膨張係数に更に近い値、例えば、絶縁基板:約4.5ppm/Kやシリコンパッケージ:3.5ppm/Kに近い値を有する複合材料の開発が望まれる。
上記複合材料の熱膨張係数を更に小さくするには、複合材料中の非金属無機材料の含有量を高めることが効果的である。しかし、例えば、非金属無機材料の粉末を鋳型に入れてタッピングをしたり(振動を与えたり)、鋳型に入れた後押圧したりして充填し、非金属無機材料の粒子間の隙間に溶融金属を溶浸させる製造方法では、鋳型に充填可能な粉末量に限界がある(特許文献1の明細書段落0015参照)。そのため、上記製造方法により得られた複合材料中の非金属無機材料の含有量は、高々70体積%である。
そこで、本発明の目的の一つは、半導体素子の放熱部材に適した熱特性を有する複合部材を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記複合部材の製造に適した複合部材の製造方法を提供することにある。更に、本発明の他の目的は、上記複合部材からなる放熱部材、及びこの放熱部材を具える半導体装置を提供することにある。
本発明者らは、特定の方法により形成したSiC集合体を利用して、複合材料中のSiCの含有量を高めること、及びSiC集合体としてSiC同士を結合するネットワーク部を有するものを利用するなどして、上記ネットワーク部を有する複合材料とすることの少なくとも一方を満たすことで、複合材料の熱特性を向上することができるとの知見を得た。本発明は、上記知見に基づくものである。
本発明の複合部材は、マグネシウム又はマグネシウム合金とSiCとが複合された複合部材であり、その熱膨張係数(線熱膨張係数)が4ppm/K以上8ppm/K以下である。特に、本発明複合部材は、以下の(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす。
(1)上記SiCを70体積%超含有する。
(2)上記SiCを50体積%以上含有し、かつ上記SiC同士を結合するネットワーク部を有する。
本発明複合部材は、70体積%超といった非常に多くのSiCを含有したり、当該複合部材中のSiC集合体が上記ネットワーク部を有することで、従来の複合材料に比較して熱膨張係数が小さく、半導体素子やその周辺部品の熱膨張係数(4ppm/K〜8ppm/K程度)と同等程度の熱膨張係数を有することができる。特に、本発明複合部材は、SiCといったMgよりも熱伝導率が高い材質を主たる構成材料とすることで、熱伝導率が高い上に、マグネシウムといった金属により、熱伝導のための連続した経路(パス)が形成されるため、放熱性に優れる。このようにSiCといった非金属無機材料と金属材料との複合物である本発明複合部材は、半導体素子などに適合した低い熱膨張係数を有しながら放熱性にも優れ、半導体素子の放熱部材に好適に利用することができる。
一方、非金属無機材料だけで構成される部材では、通常、非金属無機材料間の隙間に気孔(空気)が存在し、上記熱伝導のための連続したパスが少ない。これに対し、本発明複合部材では、空気よりも熱伝導率が高いマグネシウムといった金属が上記隙間を埋めるため、複合部材の全体が熱伝導のための連続したパスとなり、熱伝導性に優れる。また、非金属無機材料から構成される部材には、相対密度が約99%といった緻密な焼結体が存在する。しかし、このような緻密な焼結体と本発明複合部材とを比較した場合であっても、マグネシウムといった金属を具える本発明複合部材は、上述のように(1)熱伝導のための連続したパスが多く、熱伝導率が高い、(2)マグネシウムなどの含有量や組成を調整することで熱膨張係数の調整が可能、(3)平滑な表面を得易いことから、Niなどのめっきを施したり、欠けを防止したりし易い、その他、(4)製造コストが低い、といった利点を有する。
また、本発明複合部材は、半導体素子やその周辺部品との熱膨張係数の整合性に優れることで、半導体素子などとの接合箇所に生じる熱応力が少なく、所定の接合強度を維持することができるため、放熱部材を含めた半導体装置の信頼性を高められる。更に、本発明複合部材は、上述のように熱伝導性に優れることから、放熱部材としての信頼性を高められる上に、放熱部材を小型にすることができ、引いては半導体装置の小型化にも寄与することができる。
上記本発明複合部材は、例えば、以下の本発明複合部材の製造方法により製造することができる。本発明の複合部材の製造方法は、マグネシウム又はマグネシウム合金とSiCとが複合された複合部材を製造するための方法であって、以下の成形工程及び複合工程を具える。以下、この製造方法をSiC高充填方法と呼ぶ。
成形工程:スリップキャスト、加圧成形、及びドクターブレード法のいずれか一つを用いてSiC集合体を形成する工程。
複合工程:鋳型に収納された上記SiC集合体に溶融したマグネシウム又はマグネシウム合金を大気圧以下の雰囲気で溶浸させ、上記SiCを70体積%超含有する複合部材を形成する工程。
或いは、本発明の複合部材の製造方法として、マグネシウム又はマグネシウム合金とSiCとが複合された複合部材を製造するための方法であって、以下の成形工程、焼結工程、及び複合工程を具える方法が挙げられる。以下、この製造方法を焼結方法と呼ぶ。
成形工程:SiCの粉末成形体を形成する工程。
焼結工程:上記粉末成形体を焼結して、SiC同士を結合するネットワーク部を有するSiC集合体を形成する工程。
複合工程:鋳型に収納された上記SiC集合体に溶融したマグネシウム又はマグネシウム合金を大気圧以下の雰囲気で溶浸させ、上記ネットワーク部を有すると共に、上記SiCを50体積%以上含有する複合部材を形成する工程。
或いは、本発明の複合部材の製造方法として、マグネシウム又はマグネシウム合金とSiCとが複合された複合部材を製造するための方法であって、以下の成形工程、結合工程、及び複合工程を具える方法が挙げられる。以下、この製造方法をゾルゲル方法と呼ぶ。
成形工程:SiCの粉末成形体を形成する工程。
結合工程:非金属無機材料の前駆体の溶液を上記粉末成形体に含浸させた後加熱して、上記前駆体に基づく非金属無機材料を生成し、この生成された非金属無機材料から構成されるネットワーク部により上記SiC同士が結合されたSiC集合体を形成する工程。
複合工程:鋳型に収納された上記SiC集合体に溶融したマグネシウム又はマグネシウム合金を大気圧以下の雰囲気で溶浸させ、上記ネットワーク部を有すると共に、上記SiCを50体積%以上含有する複合部材を形成する工程。
或いは、上記複合部材の別の製造方法として、マグネシウム又はマグネシウム合金とSiCとが複合された複合部材を製造するための方法であって、以下の成形工程、及び複合工程を具える方法が挙げられる。以下、この製造方法を反応結合方法と呼ぶ。
成形工程:SiC粉末と、ホウ素及び酸素の少なくとも1種を含有する反応用粉末との混合粉末を用いて、粉末成形体を形成する工程。
複合工程:鋳型に収納された上記粉末成形体に溶融したマグネシウム又はマグネシウム合金を大気圧以下の雰囲気で溶浸させる。かつ、上記反応用粉末と溶融したマグネシウム成分との反応により、新たな非金属無機材料からなる生成物を生成して上記SiC同士を結合する。そして、この新たな生成物から構成されるネットワーク部を有すると共に、上記SiCを50体積%以上含有する複合部材を形成する工程。
或いは、上記複合部材の別の製造方法として、マグネシウム又はマグネシウム合金とSiCとが複合された複合部材を製造するための方法であって、以下の成形工程、焼結工程、及び複合工程を具える方法が挙げられる。以下、この製造方法を反応焼結方法と呼ぶ。
成形工程:SiC粉末と、窒素又は酸素と反応して酸化物又は窒化物を生成する前駆体粉末との混合粉末を用いて、粉末成形体を形成する工程。
焼結工程:窒素雰囲気又は酸素雰囲気で上記粉末成形体を焼結し、上記前駆体粉末と窒素又は酸素との反応により上記窒化物又は酸化物を生成する。そして、この生成物から構成されるネットワーク部により上記SiC同士が結合されたSiC集合体を形成する工程。
複合工程:鋳型に収納された上記SiC集合体に溶融したマグネシウム又はマグネシウム合金を大気圧以下の雰囲気で溶浸させ、上記ネットワーク部を有すると共に、上記SiCを50体積%以上含有する複合部材を形成する工程。
上記製造方法によれば、SiC集合体を特定の方法により形成したり、SiCの充填率を高めたSiC集合体、例えば焼結体を形成したりすることで、高密度なSiC集合体を容易に製造することができる。そして、このような高密度なSiC集合体と溶融したマグネシウム又はマグネシウム合金(以下、溶融Mgと呼ぶ)とを複合することで、SiCを70体積%超含有する本発明複合部材を容易に製造することができる。また、SiC同士を結合するネットワーク部を有するSiC集合体を形成したり、溶浸中に上記ネットワーク部を形成したりすることで、複合部材中に上記ネットワーク部が存在する本発明複合部材を容易に製造することができる。得られた複合部材は、熱膨張係数が4ppm/K〜8ppm/Kを満たす。
特に、上記焼結方法やゾルゲル方法によれば、上記SiC高充填方法と比較して、(1)上記ネットワーク部を有する複合部材が得られることで、熱膨張係数が小さく、かつ熱伝導率が高い複合部材が得られる、(2)SiCの含有量が更に多い複合部材を容易に製造できる、(3)上記ネットワーク部を有するSiC集合体は強度が高く、鋳型への配置などが容易である、といった利点を有する。また、上記焼結方法やゾルゲル方法において粉末成形体の形成を上記SiC高充填方法に定する方法により行うことで、緻密なSiC集合体が得られ、このようなSiC集合体を利用することで、SiCの含有量が更に高く、熱特性に優れる複合部材が得られる。
特に、上記焼結方法では、SiC同士が直接結合されるように焼結する、即ちネットワーク部がSiCにより構成されるようにすると、複合部材中に存在する非金属無機材料が実質的にSiCのみとなる。SiCは、熱伝導率が特に高いことから、この複合部材は、熱伝導率が高い。
特に、上記ゾルゲル方法では、前駆体の溶液が必要であるものの、上記焼結方法における焼結温度に比較して低温の加熱により、或いは溶液の種類によっては全く加熱することなく室温でネットワーク部を形成することができる。また、非金属無機材料の中でも熱伝導率が特に高いSiCが生成される前駆体を利用し、ネットワーク部がSiCにより構成されるようにすると、上述のように熱伝導率が高い複合部材が得られる。
一方、上記反応結合方法では、焼結や別途加熱する工程を有することなく上記ネットワーク部を有する複合部材を容易に製造できる上に、SiC集合体と溶融Mgとの複合と同時にネットワーク部を生成できるため、複合部材の製造性にも優れる。上記反応焼結方法では、SiC同士を直接結合するように焼結する場合に比較して、焼結温度を低くしてもネットワーク部を生成することができる。なお、反応結合方法や反応焼結方法では、ネットワーク部がSiCよりも熱伝導率が低い非金属無機材料により構成されることがある。従って、熱伝導率の向上を考慮すると、上記焼結方法やゾルゲル方法が好ましい。
その他、市販のSiC焼結体を用意し、このSiC焼結体に溶融Mgを溶浸させることでも、本発明複合部材を形成することができる。上記SiC焼結体は、複合部材中のSiCの含有量が50体積%以上となるものであって、複合部材中に存在し得るネットワーク部を有し、かつ溶融Mgが溶浸するための開気孔を有するものを適宜選択するとよい。
以下、本発明をより詳細に説明する。
[複合部材]
本発明複合部材の形態として、マグネシウム又はマグネシウム合金と、非金属無機材料(主としてSiC)とが複合された複合材料からなる基板のみの形態と、上記基板と、この基板の少なくとも一面を覆う金属被覆層とを具える形態とが挙げられる。まず、上記基板を説明する。
<金属成分>
上記基板中の金属成分は、99.8質量%以上のMg及び不純物からなるいわゆる純マグネシウム、又は添加元素と残部がMg及び不純物からなるマグネシウム合金とする。上記金属成分が純マグネシウムである場合、合金である場合と比較して、(1)複合部材の熱伝導性を高められる、(2)凝固時に晶出物が不均一に析出するなどの不具合が生じ難いため、均一的な組織を有する複合部材を得易い、といった利点を有する。上記金属成分がマグネシウム合金であると、液相線温度が低下するため、溶融する際の温度を低下できる上に、複合部材の耐食性や機械的特性(強度など)を高められる。添加元素は、Li,Ag,Ni,Ca,Al,Zn,Mn,Si,Cu,及びZrの少なくとも1種が挙げられる。これらの元素は、含有量が多くなると熱伝導率の低下を招くため、合計で20質量%以下(当該金属成分を100質量%とする。以下、添加元素の含有量について同様)が好ましい。特に、Alは3質量%以下、Znは5質量%以下、その他の元素はそれぞれ10質量%以下が好ましい。Liを添加すると、複合部材の軽量化、及び加工性の向上の効果がある。公知のマグネシウム合金、例えば、AZ系,AS系,AM系,ZK系,ZC系,LA系などでもよい。所望の組成となるように金属原料を用意する。
<非金属無機材料>
《組成》
上記基板中の非金属無機材料は、熱膨張係数がMgよりも小さく、熱伝導性に優れ、かつMgと反応し難いものが挙げられる。このような非金属無機材料として、SiCなどのセラミックスが代表的である。その他、Si3N4、Si、MgO、Mg3N2、Mg2Si、MgB2、MgCl2、Al2O3、AlN、CaO、CaCl2、ZrO2、ダイヤモンド、グラファイト、h-BN、c-BN、B4C、Y2O3、NaClの少なくとも1種が挙げられる。特に、SiCは、(1)熱膨張係数が3ppm/K〜4ppm/K程度であり半導体素子やその周辺部品の熱膨張係数に近い、(2)非金属無機材料の中でも熱伝導率が特に高い(単結晶:390W/m・K〜490W/m・K程度)、(3)種々の形状、大きさの粉末や焼結体が市販されている、(4)機械的強度が高い、といった点から、本発明では、SiCを採用する。本発明では、SiC以外の上記列記した非金属無機材料を含有することを許容する。即ち、上記複数種の非金属無機材料を含有していてもよい。SiC以外の非金属無機材料は、例えば、ネットワーク部として存在する。
《形状》
本発明複合部材中のSiCは、代表的には、マグネシウムやマグネシウム合金中にばらばらに分散した形態(以下、分散形態と呼ぶ)、ネットワーク部により結合された形態(以下、結合形態と呼ぶ)で存在する。特に、ネットワーク部を有する結合形態では、SiCの全体がネットワーク部により連結されて連続し、SiC間にマグネシウムやマグネシウム合金が充填された形態、即ち、マグネシウムやマグシウム合金を除去した場合、開気孔を有する多孔質体であることが好ましい。特に、この多孔質体は、閉気孔が少ない、具体的には複合部材中の非金属無機材料の全体積に対して10体積%以下、好ましくは3体積%以下であることが好ましい。複合部材中の非金属無機材料は、原料に用いた非金属無機材料がほぼそのままの状態で存在する。従って、原料のSiC集合体として、上述のような閉気孔が少ない多孔質体を利用すると、溶融Mgが含浸するための経路を十分に有することができ、かつ、上記開気孔に溶融Mgが充填されることで、得られた複合部材自体も気孔が少なくなる。気孔が少ないことで、この複合部材は、熱伝導率が高くなる。複合部材(基板)が所定の形状となるように、原料の粉末を充填する金型の形状や、原料に利用する上記多孔質体の全体形状を適宜選択するとよい。複合部材中のネットワーク部の存在や閉気孔の割合は、例えば、当該複合部材の断面を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することで確認したり、測定したりすることができる。
《含有量》
上記複合材料からなる基板中のSiCの含有量は、この基板を100体積%とするとき、ネットワーク部を有する結合形態では、50体積%以上とし、ネットワーク部を有さない分散形態では、70体積%超とする。基板中のSiCの含有量が多いほど熱伝導率κが高まる上、熱膨張係数αが小さくなり易く、半導体素子(4ppm/K〜8ppm/K程度(例えば、Si:4.2ppm/K、GaAs:6.5ppm/K))やその周辺部品(絶縁基板:約4.5ppm/K、シリコンパッケージ:約3ppm/K、アルミナパッケージ:6.5ppm/K)の熱膨張係数に整合し易い。従って、SiCの含有量は、上記結合形態及び分散形態のいずれの形態においても、75体積%以上、特に80体積%以上、更に85体積%以上が好ましく、特に上限を設けない。SiCの含有量が90体積%を超えると、原料に用いる高密度のSiC集合体を形成するにあたり、大きな加圧力を必要としたり、その後の焼結などの工程で閉気孔ができ易くなり、閉気孔が10体積%超のSiC集合体となる恐れがある。従って、工業的な生産性、溶融Mgの溶浸性を考慮すると、SiCの含有量は、80体積%〜90体積%程度が実用的であると考えられる。
上記範囲でSiCを含有する複合部材(基板)は、熱伝導率κが高く、180W/m・K以上を満たす。SiCの含有量やネットワーク部の形態、金属成分の組成などにもよるが、200W/m・K以上、特に250W/m・K以上、更に300W/m・K以上の熱伝導率κを有する複合部材とすることができる。
複合部材中の非金属無機材料の含有量は、原料の量に実質的に等しいため、複合部材(基板)が所望の熱特性となるように、原料の量を適宜選択するとよい。
《ネットワーク部の材質》
複合部材中のネットワーク部の構成材料は、SiCといった非金属無機材料の他、Moといった金属材料が挙げられる。ネットワーク部をもSiCで構成される場合、この複合部材は、実質的にSiCとマグネシウム(又はマグネシウム合金)とで構成され、上述のように放熱性に優れる。ネットワーク部を構成するその他の非金属無機材料は、シリコン窒化物(Si3N4)、マグネシウム化合物(例えば、MgB2,MgO,Mg3N2)、その他の窒化物(例えば、BN,AlN)、酸化物(例えば、CaO)が挙げられる。特に、Si3N4は、熱膨張係数が小さく、熱膨張係数が小さい複合部材とすることができる。
《ネットワーク部の太さ》
本発明者らが調べたところ、複合部材中のSiCの含有量が同等であっても、熱的特性が異なっていた。この原因を調べたところ、複合部材中のネットワーク部の形態が異なっていた。具体的には、複合部材の断面において所定の長さの線分を任意にとり、SiCとネットワーク部とから構成されるSiC集合体の輪郭線が上記線分を横断する箇所の長さ、つまり、上記輪郭線において上記線分との交点であって、隣り合う交点間の長さが異なっていた。上記交点間の長さが長いもの、即ち、ネットワーク部が太いものは、熱特性に優れ、特に熱膨張係数が小さくなる傾向にあり、上記交点間の長さが短いもの、即ち、ネットワーク部が細いものは、機械的特性に優れ、特に引張強度や曲げ強度が高い傾向にあった。そこで、熱特性に優れる構成として、ネットワーク部が太いことを規定する。具体的には、ネットワーク部が太くなると、上記線分における交点数が少なくなることから、複合部材の断面において、当該複合部材の実寸に対して長さ1mmの線分を任意にとり、上記SiCと上記ネットワーク部とから構成されるSiC集合体の輪郭線と上記線分との交点の数が50以下を満たすものを提案する。上記交点の数が少ないほど、熱特性に更に優れると期待されることから、上記交点の数の下限は特に設けない。一方、上記交点の数が50超、特に100以上であると、機械的特性に更に優れると期待される。上記ネットワーク部の太さを変化させるには、例えば、後述する製造条件などを調整することが挙げられる。
<基板の厚さ>
上記基板の厚さは、適宜選択することができるが、半導体素子の放熱部材として利用する場合、10mm以下、特に5mm以下が好ましい。後述する金属被覆層を具えていない場合、当該基板は、SiCを多く含有していたり、ネットワーク部を有することで、熱膨張係数を4ppm/K〜6ppm/K程度にすることができる。
<金属被覆層>
《組成、組織》
放熱部材と半導体素子や半導体素子を冷却するための冷却装置とを半田により接合することがある。非金属無機材料からなる焼結体や、上記複合材料からなる基板は、半田との濡れ性が良くなく、Niなどのめっきを施して半田との濡れ性を向上する必要がある。上記めっきは、生産性を考慮すると電気めっきが好ましいが、非金属無機材料は電気絶縁性が高いものが多いため、電気めっきを行うことが難しい。そこで、上記基板の少なくとも一面に金属被覆層を具え、この金属被覆層を上記電気めっきの下地として利用することで、上記複合材料からなる基板にNiなどのめっきを容易に施すことができる。
金属被覆層の構成金属は、電気めっきに必要な導通が取れる程度の導電率を有する金属であればよく、上記複合材料からなる基板の金属成分と異なる組成でも、同一組成でもよい。特に、同一組成とする場合、上述した製造方法の複合工程において、複合化と同時に金属被覆層の形成を行うと、金属被覆層を有する複合部材を生産性よく製造することができる。この場合、得られた複合部材において、上記基板中の金属成分と上記金属被覆層を構成する金属とは、連続する組織(鋳造組織)を有する。
上記基板の金属成分と上記金属被覆層の構成金属とが異なる組成である場合、金属被覆層の構成金属は、例えば、上記基板の金属成分と異なる組成のMg合金や、Mg及びMg合金以外の金属、例えば、純度が99%以上のAl,Cu,Ni、及びAl,Cu,Niを主成分とする合金(Al,Cu,Niを50質量%超含有する合金)からなる群から選択される1種の金属が挙げられる。
《形成箇所》
上記金属被覆層は、上記基板を構成する面のうち、少なくともめっきが必要とされる面に存在していればよい。具体的には、半導体素子が実装される実装面、この実装面と対向し、冷却装置に接触する冷却面の少なくとも一方に金属被覆層を具える。上記基板の端面(上記実装面及び冷却面を連結する面)を含む全面に金属被覆層を具えていてもよい。金属被覆層を具える複合部材は、電気めっきを施せることに加えて、耐食性を高めたり、表面が平滑で外観に優れることから複合部材の商品価値を高めたりすることができる。
《厚さ》
上記各金属被覆層の厚さは、厚過ぎると、熱膨張係数の増加や複合部材の熱伝導率の低下を招くことから、2.5mm以下、特に1mm以下、更に0.5mm以下が好ましく、1μm以上、特に0.05mm(50μm)以上0.1mm(100μm)以下であれば、めっきの下地としての機能を十分に果たす上に、複合部材の搬送時や実装時などで金属被覆層を破損し難いと考えられる。本発明複合部材に具える基板は、上述のように熱膨張係数が小さく、熱伝導性にも優れることから、当該基板の対向する二面にそれぞれ金属被覆層を具える場合、二層の金属被覆層の厚さの総和は、ネットワーク部を有する結合形態では2.5mm以下、分散形態では0.5mm以下であれば、基板と金属被覆層とを具える複合部材全体の熱膨張係数を8ppm/K以下することができる。金属被覆層は、厚く形成しておき、研磨などにより所望の厚さにしてもよく、研磨により、複合部材の外観をより良好にすることができる。なお、金属被覆層を具える複合部材の熱膨張係数は、当該複合部材から試験片を作製して、市販の装置により測定すると簡単に求められる。或いは、金属被覆層を具える複合部材の熱膨張係数は、当該複合部材を構成する各材料の剛性などを考慮して複合則により算出してもよい。
<用途>
上記複合部材は、放熱部材に好適に利用することができる。この放熱部材は、半導体素子及びその周辺部品との熱膨張係数の整合性に優れる上に、熱伝導性が高いため、半導体素子の放熱部材に好適に利用することができる。また、上記放熱部材と、この放熱部材に搭載される半導体素子とを具える半導体装置は、各種の電子機器の部品に好適に利用することができる。
[製造方法]
本発明複合部材は、上述のようにSiC集合体を形成し、このSiC集合体と溶融Mgとを複合する(溶浸→凝固)ことで製造することができる。また、ネットワーク部を有する結合形態の複合部材を製造する場合、適宜な方法でネットワーク部を形成する。
《原料》
上記SiC集合体の原料には、主として、SiC粉末を利用する。上述した焼結方法において焼結時にシリコン窒化物を生成させる形態とする場合、SiC粉末に加えて、Si粉末やSiを含有する化合物の粉末を用意して、これらの混合粉末を利用することができる。上述した反応焼結方法では、SiC粉末に加えて、上述した前駆体粉末(例えば、SiCl4,有機Si化合物)を用意して、これらの混合粉末を利用することができる。上述した反応結合方法では、SiC粉末に加えて、上述した反応用粉末(例えば、ホウ素,BN,TiB2,ホウ酸(B2O3)、四ホウ酸ナトリウム(Na2B4O5(OH)4・8H2O)といった単体元素の粉末、酸化物や硼化物、ホウ酸化物の粉末)を用意して、これらの混合粉末を利用することができる。これらの粉末は、粒子状や繊維状のいずれでもよく、平均粒径(繊維状の場合、平均短径)が1μm以上3000μm以下、特に、10μm以上200μm以下であると、SiC集合体を製造し易く好ましい。また、平均粒径が異なる複数種の粉末を組み合わせて用いると、SiCなどの充填率を更に高め易い。
《成形工程:粉末成形体の形成》
上述したSiC高充填方法では、後述するスリップキャスト、加圧成形、及びドクターブレード法のいずれか一つにより、ネットワーク部を有していない粉末成形体を形成する。これらの方法により得られた粉末成形体は、ハンドリングが可能な強度を持つ。上述した焼結方法、ゾルゲル方法、反応焼結方法、反応結合方法では、上述の方法の他、タッピングなどにより、粉末成形体を形成する。
〈スリップキャスト〉
上述した原料の粉末と、水及び分散剤とを用いてスラリーを作製し、このスラリーを成形後、乾燥させることでスリップキャストにより粉末成形体を形成することができる。分散剤には、一般的な界面活性剤が利用できる。スリップキャストでは、複雑な形状の成形体を容易に成形することができる、微細な粉末を使用した場合であっても充填率(密度)が高い成形体が得られる、大型な成形体であっても容易に成形することができ、設備コストの増大が少ない、といった利点を有する。
〈加圧成形〉
加圧成形には、乾式プレス、湿式プレス、一軸加圧成形、CIP(静水圧プレス)、押出成形が挙げられる。乾式プレス成形の場合、上述した原料の粉末を加圧成形することで、湿式プレス成形の場合、原料の粉末と水などの液体とを混合した混合粉末を加圧成形して液体を押し出すことで、粉末成形体を形成することができる。加圧成形時の圧力(成形圧)は、適宜選択するとよい。乾式、湿式のいずれの場合も、粉末成形に利用されているバインダを適宜利用することができる。加圧成形では、原料の粉末の粒度を均一的にし易い、スリップキャストと比較して工程数が少なく生産性に優れる、といった利点を有する。
〈ドクターブレード法〉
上述した原料の粉末と、溶媒、消泡剤、樹脂などを用いてスラリーを作製し、このスラリーをドクターブレードの受け口に流し込み、シート状体を形成後、溶媒を蒸発させることで粉末成形体を形成することができる。ドクターブレード法は、板状の成形体を形成する場合に好適に利用することができる。
上述したSiC高充填方法では、上述のスリップキャストなどで形成した粉末成形体をSiC集合体としてもよいし、この粉末成形体を更に焼結して得られた焼結体をSiC集合体として、溶融Mgと複合させてもよい。このときの焼結条件は、例えば、(1)真空雰囲気、加熱温度:800〜1300℃未満、保持時間:2時間程度、(2)大気雰囲気、加熱温度:800〜1500℃、保持時間:2時間程度が挙げられる。上記焼結条件により焼結を行うことで、(1)上記粉末成形体よりも強度が高く、鋳型に収納する際などで欠けなどが生じ難く、扱い易い、(2)多孔質体を容易に作製することができる、(3)焼結温度や保持時間を調節することで、焼結体を緻密化させてSiCの充填率を向上させることができ、SiCの含有量が70体積%以上である複合部材を得易い、といった利点がある。また、焼結時の加熱により、粉末成形体の作製に用いたバインダなどを蒸発させて除去することができる。これらの焼結体の利点は、後述するネットワーク部を有する焼結体も同様である。但し、上記焼結条件(1),(2)では、ネットワーク部を有していない分散形態の複合部材が得られる傾向にある。従って、ネットワーク部を有して、熱膨張係数が小さい複合部材を得る場合、後述する焼結条件で焼結することが好ましい。
〈タッピング〉
上述した原料の粉末を成形型に充填して一定の振動を加えることで、成形型に沿った形状の粉末成形体を容易に形成することができる。タッピングでは、高密度なSiC集合体を形成することが難しく、複合部材におけるSiCの含有量を50〜70体積%程度とする場合に利用することができる。70体積%を超える場合は、上述のスリップキャストなどの方法が好ましい。
なお、上述したSiや前駆体、ホウ酸などの成分を含む粉末成形体は、上述した混合粉末を用いて、上記種々の方法により形成する他、SiC粉末のみのSiC粉末成形体を作製した後、別途用意した上記Si粉末や、前駆体粉末、反応用粉末(ホウ酸や四ホウ酸ナトリウム)などを水などの溶媒に混合した混合液(例えば、水溶液)にSiC粉末成形体を含浸させた後、上記溶媒を乾燥させることで作製することができる。上記混合液を利用することで、Siなどの所望の物質を粉末成形体に均一的に分散させ易い上に、SiC粉末以外の粉末を用いて粉末成形体を形成しないため、SiC粉末の添加量が低減されることが無く、粉末成形体におけるSiCの充填率を高め易い。
《焼結工程:焼結体の形成》
上述した焼結方法では、上記成形工程により得られた粉末成形体を焼結して一体化したSiC集合体(焼結体)を作製すると共に、ネットワーク部を生成する。特に、上述した焼結方法では、上記ネットワーク部として、焼結体中のネットワーク部が複合部材中にも存在し得るものを積極的に形成する。
上記焼結の条件は、真空雰囲気、加熱温度:1300℃以上2500℃以下、保持時間:2時間程度が挙げられる。この条件で焼結すると、SiC同士を直接結合させることができる。即ち、ネットワーク部をSiCにより形成することができる。SiC同士を直接結合させることで、焼結体の強度がより高くなる上に、この焼結体を用いると、熱膨張係数が小さく、熱伝導率が高い複合部材が得られ易い。また、上述のように焼結条件によって緻密な焼結体が得られ、複合部材中のSiCの含有量(充填率)を向上させることができる。特に、焼結温度を2000℃以上とすると、ネットワーク部を太くすることができ(上述した交点の数が50以下を満たし)、2000℃未満とすると、ネットワーク部が細くなる傾向にある。上記加熱温度や保持時間は、ネットワーク部の形態に応じて適宜選択するとよい。
上述したSi成分を含有する粉末成形体を形成した場合、焼結工程では、上記粉末成形体を窒素雰囲気下で焼結してSi3N4を生成し、上記ネットワーク部を上記Si3N4により形成することができる。このようにしてネットワーク部を形成する場合、焼結時の加熱温度を800〜1800℃程度に低くしても、SiC同士を十分に結合できる上に、ネットワーク部を太くする(上述した交点の数が50以下を満たす)ことができる。
上記Siを含有する粉末成形体は、Siを含有する酸化物、例えば、SiO2、H2SiO3、Na2SiO3といったセラミックスからなる添加剤を利用し、この酸化物を還元することでも形成することができる。具体的には、例えば、SiC粉末と上記酸化物の粉末との混合粉末により粉末成形体を形成し、炭素粉末、又は炭素含有ガスを用いて上記粉末成形体を還元することで、Siを含有する粉末成形体が得られる。或いは、SiC粉末からなる粉末成形体と、上記Siを含有する酸化物の水溶液とを用意し、当該粉末成形体に当該水溶液を含浸させた後、上述のように還元することで、Siを含有する粉末成形体が得られる。この場合、上述した混合液を利用する場合と同様に、Siを均一的に分散させ易い上に、SiCの充填率を高め易い。上記炭素粉末には、市販のカーボン粉末、上記炭素含有ガスには、還元能力が高い一酸化炭素(CO)やメタン(CH4)などの炭化水素を好適に利用することができる。
なお、原料にSiを含有する化合物を利用した場合、Siを除く元素は、溶浸中に気化したり、Mgとの化合物やその他の化合物となって複合部材中に残存すると考えられる。
《結合工程》
上述したゾルゲル方法では、上記成形工程により得られた粉末成形体に上述した前駆体の溶液を含浸させてから加熱することで当該前駆体から非金属無機材料(例えばSiC,MgO,CaO)を生成し、この非金属無機材料によりネットワーク部を形成すると共に、一体化したSiC集合体を作製する。上記前駆体は、例えば、ポリカルボシラン、金属アルコキシドなどが挙げられる。加熱温度は、上記前駆体に応じて適宜選択するとよい。ゾルゲル方法では、上述した焼結を行う場合と比較して加熱温度を低くしてネットワーク部を形成でき、SiC集合体の製造性に優れる。また、ポリカルボシランを利用した場合、SiCを新生することができるため、SiCの密度を高められ、SiCの含有量が高い複合部材が得られる。
〈酸化膜の形成〉
更に、溶融Mgに供するSiC集合体として、その表面に酸化膜を具えるものを利用すると、SiC集合体と溶融Mgとの濡れ性が高められて好ましい。酸化膜を具えるSiC集合体とすることで、SiCの含有量が多く、SiC間の隙間が非常に小さい場合であっても、毛管現象により溶融Mgが浸透し易い。ネットワーク部を有する複合部材を得る場合、焼結体などのSiC集合体を作製した後に酸化膜を形成する酸化工程を具えることが好ましく、ネットワーク部を有しない複合部材を得る場合、代表的にはSiCの粉末成形体を溶融Mgに供する場合、SiC粉末といった原料粉末に酸化膜を形成しておき、酸化膜を具える粉末を利用してSiC集合体(粉末成形体)を形成するとよい。
上記酸化膜を形成するための条件は、粉末の場合も焼結体などの場合も同様であり、加熱温度は、700℃以上、特に750℃以上、更に800℃以上が好ましく、とりわけ850℃以上、更に875℃以上1000℃以下が好ましい。また、上記原料のSiCに対する質量割合が0.4%以上1.5%以下(酸化膜の厚さ:50nm〜300nm程度)、特に1.0%以下を満たすように酸化膜を形成することが好ましい。酸化膜を形成した場合、複合部材中のSiCの近傍(SiC集合体の輪郭線から100〜300nm以内の領域)は、当該近傍以外の箇所よりも酸素濃度が高い傾向にある。
《複合工程:基板の形成》
上述のようにして得られたSiC集合体を鋳型に収納して、溶融Mgを溶浸させた後、溶融Mgを凝固させることで、複合部材(基板)が得られる。上述した反応結合方法では、上記SiC集合体(粉末成形体)と溶融Mgとの複合と同時に、上記粉末成形体中のホウ素や酸素と溶融Mgとを反応させて、新たな生成物(硼化物や酸化物)を生成し、この生成物によりネットワーク部を形成することができる。
上記SiC集合体に溶融Mgを溶浸させる複合工程は、大気圧(概ね0.1MPa(1atm))以下の雰囲気で行うと、雰囲気中のガスを取り込み難く、ガスの取り込みに伴う気孔が生じ難い。但し、Mgは蒸気圧が高いため、高真空状態とすると溶融Mgを取り扱い難くなる。従って、上記複合工程の雰囲気圧力を大気圧未満とする場合、0.1×10-5MPa以上が好ましい。また、上記複合工程は、Arといった不活性雰囲気で行うと、特にMg成分と雰囲気ガスとの反応を防止でき、反応生成物の存在に伴う熱特性の劣化を抑制できる。溶浸温度は、650℃以上が好ましく、溶浸温度が高いほど濡れ性が高まるため、700℃以上、特に800℃以上、更に850℃以上が好ましい。但し、1000℃超とすると、引け巣やガスホールといった欠陥が生じたり、Mgが沸騰する恐れがあるため、溶浸温度は1000℃以下が好ましい。また、過剰な酸化膜の生成や晶出物の生成を抑制するために900℃以下が好ましい。
《金属被覆層の形成》
上記複合材料からなる基板の表面に金属被覆層を形成する場合、種々の方法を利用することができる。例えば、上記基板を形成した後に金属被覆層を別途形成してもよい。具体的には、適宜な金属板を用意し、例えば、ロウ付け、超音波接合、鋳ぐるみ、圧延(クラッド圧延)、ホットプレス、酸化物ソルダー法、無機接着剤による接合の少なくとも1つの手法を利用することで、金属被覆層を形成することができる。金属板を利用することで、基板中の金属成分と異なる組成の金属被覆層を容易に形成することができる。
ネットワーク部を有するSiC集合体では、上述のように比較的強度に優れ、鋳型内で自立可能である。そのため、上記SiC集合体と鋳型との間に所定の隙間を有する状態を維持し、この隙間に溶融Mgが流入される構成とすると、複合化と同時に、上記隙間の大きさに応じた厚さの金属被覆層を簡単に形成することができる。上記隙間を確実に維持できるようにスペーサを配置してもよい。スペーサの構成材料は、ナフタレンなどのように昇華により除去できるものや、カーボン、鉄、ステンレス鋼(SUS430)といった耐熱性に優れるものが利用できる。後者の場合、スペーサを金属被覆層に埋設させたままにしてもよいし、スペーサ部分を切削などにより除去してもよい。スペーサの形態は、板状体や線状体(ワイヤ)が挙げられる。例えば、形成する金属被覆層よりも若干細径の線状体を用意し、この線状体によりSiC集合体を鋳型に固定するなどして、SiC集合体と鋳型との間に隙間を設けてもよい。この場合、線状体の大部分が金属被覆層に埋設されるため、線状体を残存させていても、良好な外観の複合部材が得られる。
本発明複合部材及びこの複合部材から構成される本発明放熱部材は、半導体素子などとの熱膨張係数の整合性に優れる上に、熱伝導性に優れる。本発明複合部材の製造方法は、上記本発明複合部材を生産性よく製造することができる。本発明半導体装置は、上記放熱部材を具えることで熱特性に優れる。
図1は、実施形態1の複合部材の断面の顕微鏡写真(50倍又は500倍)であり、図1(I)は、ネットワーク部が太い例(50倍)、図1(II)は、ネットワーク部が細い例(500倍)を示す。 図2は、実施形態2の複合部材の断面の顕微鏡写真(50倍)である。
(実施形態1)
[試験例1]
純マグネシウムとSiCとを複合した複合材料からなる基板(複合部材)を作製し、熱特性を調べた。
原料として、99.8質量%以上のMg及び不純物からなる純マグネシウムのインゴット(市販品)、及び市販のSiC焼結体(相対密度80%、長さ200mm×幅100mm×厚さ5mm)を用意した。
用意したSiC焼結体に875℃×2時間の酸化処理を施して酸化膜を形成し、溶融した純マグネシウムとの濡れ性を高めた。上記酸化処理の工程は、省略してもよい。
上記SiC焼結体を鋳型に収納して、溶融した純マグネシウムを焼結体に溶浸させ、純マグネシウムを凝固させることで複合部材を形成した。
上記鋳型は、カーボン製であり、一方が開口した直方体状の箱体であり、複数の分割片を組み合わせて一体に形成される。この鋳型の内部空間が焼結体の収納空間として利用される。ここでは、鋳型の内部空間は、上記焼結体に応じた大きさとし、焼結体を鋳型に収納したとき、焼結体と鋳型との間に実質的に隙間が設けられないようにした。なお、分割片を組み合わせた構成とせず、一体成形された鋳型を利用してもよい。
また、ここでは、鋳型の内周面において焼結体と接触する箇所には、市販の離型剤を塗布してから上記焼結体を鋳型に収納した。離型剤を塗布することで、複合部材を取り出し易くすることができる。この離型剤の塗布工程は、省略してもよい。この離型剤に関する事項は、後述する実施形態2についても同様である。
上記鋳型は、開口部の周縁に連結されるインゴット載置部を有しており、このインゴット載置部に用意した上記インゴットを配置し、この鋳型を所定の温度に加熱することで当該インゴットを溶融する。鋳型の加熱は、加熱可能な雰囲気炉に鋳型を装入することで行う。
ここでは、溶浸温度:775℃、Ar雰囲気、雰囲気圧力:大気圧となるように上記雰囲気炉を調整した。溶融した純マグネシウムは、鋳型の開口部から鋳型の内部空間に流入して、当該内部空間に配置された焼結体に溶浸される。溶浸後、鋳型を冷却して純マグネシウムを凝固した。ここでは、鋳型の底部から開口部に向かって一方向に冷却されるように、底部側を積極的に冷却した。このような冷却を行うことで、大型な複合部材であっても内部欠陥を低減することができ、高品質な複合部材が得られる。なお、小型な複合部材である場合、上述のような一方向の冷却を行わなくても、高品質な複合部材が得られる。
上記鋳型を用いて、長さ200mm×幅100mm×厚さ5mmの複合部材が得られた。得られた複合部材の成分をEDX装置により調べたところ、Mg及びSiC、残部:不可避的不純物であり、用いた原料と同様であった。また、得られた複合部材にCP(Cross-section Polisher)加工を施して断面を出し、SEM観察によりこの断面を調べたところ、SiC同士が直接結合されていた。即ち、ネットワーク部がSiCで形成された多孔質体であり、用いた原料の焼結体と同様であった。更に、得られた複合部材の断面を光学顕微鏡(50倍、又は500倍)で観察したところ、図1(I),(II)に示すようにSiC間の隙間に純マグネシウムが溶浸されていることが確認できた。図1(I)において連続した網目状を構成する部分がSiCであり、粒状に固まった部分が純マグネシウムである。この複合部材は、ネットワーク部が太いことがわかる。図1(II)において色が薄い部分(大きな塊を含む)がSiCであり、色が濃い部分が純マグネシウムである。この複合部材は、ネットワーク部が細いことがわかる。
得られた各複合部材についてSiCの含有量を測定したところ、いずれも80体積%であった。SiCの含有量は、複合部材の任意の断面を光学顕微鏡(50倍)で観察し、この観察像を市販の画像解析装置で画像処理して、この断面中のSiCの合計面積を求め、この合計面積を体積割合に換算した値をこの断面に基づく体積割合とし(面積割合≒体積割合)、n=3の断面の体積割合を求め、これらの平均値とした。
得られた各複合部材について熱膨張係数α(ppm/K)及び熱伝導率κ(W/m・K)を測定したところ、ネットワーク部が太い複合部材は、熱膨張係数α:4.0ppm/K、熱伝導率κ:301W/m・Kであり、ネットワーク部が細い複合部材は、熱膨張係数α:4.4ppm/K、熱伝導率κ:270W/m・Kであった。熱膨張係数及び熱伝導率は、得られた複合部材から試験片を切り出し、市販の測定器を用いて測定した。熱膨張係数は、30℃〜150℃の範囲について測定した。
以上から、得られた複合部材は、熱膨張係数が4ppm/K程度の半導体素子やその周辺部品との整合性に優れる上に、熱伝導率も高い。従って、上記半導体素子の放熱部材の構成材料に好適に利用できると期待される。
[試験例2]
種々の条件でSiC集合体を作製して、純マグネシウムを溶浸して複合部材を作製し、得られた複合部材の熱特性を調べた。
原料として、99.8質量%以上のMg及び不純物からなる純マグネシウムのインゴット(市販品)、及び市販のSiC粉末(粒径10〜170μm、平均粒径:120μm)を用意した。そして、表1に記載する条件でSiC集合体(長さ:200mm×幅100mm×厚さ5mm)をそれぞれ作製し、試験例1と同様の条件で、溶融した純マグネシウムをSiC集合体に溶浸した後凝固した。
成形方法が「タッピング」の試料は、上記SiC粉末を用いて粉末成形体を作製した。上記試料のうち、「酸化処理:有り」の試料は、上記SiC粉末に1000℃×2時間の酸化処理を施し、酸化膜を具えるSiC粉末を用いて、SiC集合体を作製した。
成形方法が「CIP」、「乾式プレス」の試料では、上記SiC粉末を用い、公知の条件で粉末成形体を作製した。成形方法が「湿式プレス」、「ドクターブレード」の試料では、上記SiC粉末に加えて、湿式プレスでは水、ドクターブレード法では有機溶媒を用い、公知の条件で粉末成形体を作製した。
成形方法が「スリップキャスト」の試料では、SiC粉末、界面活性剤及び水を用意し、体積割合で水:SiC粉末≒5:5とし、界面活性剤を添加してスラリーを作製した。ここでは、尿素20質量%水溶液(スラリー全体を100質量%とする)を用いたスラリーを用意した。その他、市販のポリカルボン酸系水溶液を用いたスラリーなどを利用してもよい。作製したスラリーを成形型に流し込んだ後空気乾燥して、粉末成形体を作製した。
ネットワーク部の形成方法が「焼結」の試料は、作製した上記粉末成形体を表1の条件で焼結した。ネットワーク部の形成方法が「焼結(Si)」の試料は、SiC粉末とSi粉末(平均粒径:0.1μm)とを混合した混合粉末により粉末成形体を作製し、この粉末成形体を表1の条件で焼結した。
ネットワーク部の形成方法が「ゾルゲル」の試料は、ポリカルボシランの溶液を用意して、作製した粉末成形体に含浸させた後、800℃に加熱した。
得られた各複合部材の成分をEDX装置により調べたところ、試料No.16,17を除く試料は、Mg及びSiC、残部:不可避的不純物であり、用いた原料と同様であった。試料No.16,17は、SiC同士の間にSi4N3が介在していた。また、得られた複合部材を試験例1と同様にしてSEM観察したところ、1800℃以上で焼結した試料、窒素雰囲気で焼結した試料、ゾルゲル方法を利用した試料は、いずれも、SiC同士を結合するネットワーク部が存在しており、多孔質体となっていた。一方、焼結を行っていなかったり、ゾルゲル方法を採用しなかった試料は、いずれも、純マグネシウムの母材中にSiCの粒子がばらばらに分散した状態となっていた。
得られた各複合部材についてSiCの含有量、熱膨張係数α(ppm/K)、熱伝導率κ(W/m・K)を試験例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
表1に示すようにSiCの含有量が70体積%超の試料はいずれも、熱膨張係数が小さく、4ppm/K〜8ppm/Kを満たすことが分かる。また、SiCの含有量が50体積%〜70体積%であっても、ネットワーク部を有する試料は、熱膨張係数が小さく、4ppm/K〜8ppm/Kを満たすことが分かる。更に、SiCの含有量が増加するにつれて、熱膨張係数が小さくなることが分かる。加えて、熱膨張係数が4ppm/K〜8ppm/Kを満たす試料は、いずれも熱伝導率も高く、180W/m・K以上であることが分かる。
また、表1から、SiCの含有量が同程度である試料を比較することで、以下のことが分かる。
(1) 焼結を行った試料の方が、熱膨張係数が小さく、熱伝導率が高くなる。
(2) 酸化膜を具えるSiC集合体を利用することで、熱伝導率を向上できる。
(3) SiC同士が直接結合された試料、即ち、ネットワーク部がSiCで構成されている試料の方が、ネットワーク部がSiC以外の非金属無機材料で構成されている試料よりも熱伝導率が高い。
また、スリップキャスト、加圧成形、及びドクターブレード法のいずれか一つを用いることで、SiCの含有量が70体積%超の複合部材が得られることが分かる。
更に、ネットワーク部を有する試料は、図1(I)に示すようにネットワーク部が太い試料と、図1(II)に示すようにネットワーク部が細い試料とが得られた。そこで、ネットワーク部を有する試料に対して、CP加工を施して断面を出し、この断面をSEMで観察し(ここでは50倍)、この断面に、各試料の実寸に対して1mmの線分を任意にとり、複合部材中のSiC集合体の輪郭線と上記線分との交点の数を数える。ここでは、n=5の平均をとり(n:線分の数)、平均の交点の数が50以下のものをネットワーク部が太いとし、50超のものをネットワーク部が細いとする。その結果を表1に示す。なお、断面の倍率は、観察し易いように適宜調整することができる。
表1に示すように、焼結温度が2000℃以上であると、ネットワーク部が太くなる傾向にあることが分かる。例えば、焼結温度が異なる点以外は、同じ条件で製造した試料No.5と試料No.7とを比較すると、焼結温度が2000℃未満である試料No.5では、上記交点の数が224であり(n=1〜5の値:130〜320)、焼結温度が2000℃以上である試料No.7では、上記交点の数が11であった(n=1〜5の値:8〜14)。
また、表1に示すように、SiCの含有量が同程度である場合、ネットワーク部が太い試料の方が、細い試料よりも熱膨張係数が小さく、熱伝導率が高く、熱特性に優れることが分かる。一方、ネットワーク部が細い試料は、機械的特性に優れる。例えば、上記試料No.5と試料No.7とを比較すると、ネットワーク部が細い試料No.5は、弾性率が270GPa、引張強度が180MPaであるのに対し、ネットワーク部が太い試料No.7は、弾性率が250GPa、引張強度が60MPaであった。なお、弾性率及び引張強度は、市販の測定装置により測定した。
更に、表1に示すようにSiを含有したSiC集合体を作製し、かつ窒素雰囲気下で焼結を行った場合、焼結温度が2000℃未満でもネットワーク部が太くなる傾向にあることが分かる。
試験例2において熱膨張係数が4ppm/K〜8ppm/Kを満たす複合部材は、熱膨張係数が4ppm/K程度の半導体素子やその周辺部品との整合性に優れる上に、熱伝導率も高い。従って、これらの複合部材も、上記半導体素子の放熱部材の構成材料に好適に利用できると期待される。
(実施形態2)
純マグネシウムとSiCとを複合した複合材料からなる基板と、基板の対向する二面をそれぞれ覆う金属被覆層とを具える複合部材を作製し、得られた複合部材の熱特性を調べた。
原料として、実施形態1の試験例1と同様の純マグネシウムのインゴット及びSiC焼結体を用意した。また、SiC焼結体には、実施形態1の試験例1と同様の酸化処理を施した。更に、長さ10mm×幅100mm×厚さ0.5mmで、カーボン製の板状のスペーサを一対用意した。
ここでは、SiC焼結体と鋳型との間に上記スペーサが配置可能な大きさを有する鋳型を利用する。適宜離型剤を塗布した鋳型にSiC焼結体及び一対のスペーサを収納し、一対のスペーサによりSiC焼結体を挟持した状態とする。上記スペーサに挟まれることで焼結体は、鋳型内に安定して配置されると共に、SiC焼結体と鋳型との間にスペーサの厚さに応じた隙間(ここでは0.5mmの隙間)が設けられる。この鋳型を実施形態1と同様に雰囲気炉に装入した。そして、実施形態1と同様の条件で、SiC焼結体と溶融した純マグネシウムとを複合した。この複合工程では、スペーサにより設けられた鋳型とSiC焼結体との間の隙間に溶融した純マグネシウムが流れ込むことで、複合された基板の対向する二面にそれぞれ純マグネシウムからなる金属被覆層を形成した。
上述のようにして、SiCと純マグネシウムとが複合された複合材料からなる基板と、基板の対向する二面に純マグネシウムからなる金属被覆層とを具える複合部材が得られた。得られた複合部材の断面を光学顕微鏡(50倍)で観察したところ、図2に示すようにSiCが網目状となっており、即ち、ネットワーク部を有することが確認できた。また、SiC間の隙間に純マグネシウムが溶浸されており、上記基板の表面に純マグネシウムからなる金属被覆層を具えていることが確認できた。この基板及び金属被覆層の構成金属の組成をEDX装置により調べたところ、同一組成(純マグネシウム)であった。また、上記断面の観察像から、各金属被覆層は、上記基板中の純マグネシウムと連続した組織を有していることが確認できた。更に、上記断面の観察像を用いて各金属被覆層の厚さを測定したところ、概ね0.5mm(500μm)であり、上記スペーサの厚さに実質的に一致していることが確認できた。
得られた複合部材において、純マグネシウムとSiCとが複合された部分、即ち、金属被覆層を除く部分のSiCの含有量を測定したところ、80体積%であった。SiCの含有量は、実施形態1と同様にして測定した。
また、得られた複合部材について熱膨張係数α(ppm/K)と熱伝導率κ(W/m・K)とを測定したところ、熱膨張係数α:5.1ppm/K、熱伝導率κ:250W/m・Kであった。熱膨張係数及び熱伝導率は、実施形態1と同様にして測定した。
以上から、得られた複合部材は、熱膨張係数が4ppm/K程度の半導体素子やその周辺部品との整合性に優れる上に、熱伝導率も高い。従って、上記半導体素子の放熱部材の構成材料に好適に利用できると期待される。また、実施形態2の複合部材は、基材の両面に金属被覆層を具えることで、電気めっきによりNiめっきなどを施すことができる。Niめっきなどを施すことで、半田との濡れ性を高められ、半田が望まれる半導体装置に利用される場合であっても、十分に対応することができる。更に、実施形態2の複合部材は、スペーサの厚さや形状を適宜選択することで、金属被覆層の厚さや形成領域を容易に変更することができる。
上記実施形態2では、複合材料からなる基板の両面に金属被覆層を形成する構成を説明したが、いずれか一面にのみ金属被覆層を形成してもよい。この場合、スペーサをSiC集合体の一面にのみ配置するとよい。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、複合部材中のSiCの含有量、ネットワーク部の構成材料、金属成分の組成(例えば、マグネシウム合金)、複合部材の大きさ、金属被覆層の厚さ、複合時の条件などを適宜変更することができる。
本発明複合部材は、半導体素子やその周辺部品との熱膨張係数の整合性に優れる上に熱伝導性が高いことから、半導体素子のヒートスプレッダ(本発明放熱部材)に好適に利用することができる。本発明複合部材の製造方法は、上記複合部材の製造に好適に利用することができる。本発明半導体装置は、各種の電子機器の部品に好適に利用することができる。

Claims (15)

  1. マグネシウム又はマグネシウム合金とSiCとが複合された複合部材により構成される放熱部材であって、
    前記SiCを70体積%超含有し、
    前記複合部材の熱膨張係数が3.7ppm/K以上8ppm/K以下
    前記複合部材の熱伝導率が180W/m・K以上であり、
    前記複合部材の少なくとも一部にめっきを具える放熱部材。
  2. 記SiC同士を結合するネットワーク部を有する請求項1に記載の放熱部材。
  3. 前記ネットワーク部は、非金属無機材料から構成されている請求項2に記載の放熱部材。
  4. 前記ネットワーク部は、SiC又はSi 3 N 4 から構成されている請求項2又は3に記載の放熱部材。
  5. 前記複合部材の断面において、当該複合部材の実寸に対して長さ1mmの線分を任意にとり、前記SiCと前記ネットワーク部とから構成されるSiC集合体の輪郭線と前記線分との交点の数が50以下である請求項2〜4のいずれか1項に記載の放熱部材。
  6. 前記複合部材の断面において、当該複合部材の実寸に対して長さ1mmの線分を任意にとり、前記SiCと前記ネットワーク部とから構成されるSiC集合体の輪郭線と前記線分との交点の数が50超である請求項2〜4のいずれか1項に記載の放熱部材。
  7. 前記複合部材は、前記マグネシウム又は前記マグネシウム合金と前記SiCとが複合された複合材料からなる基板と、
    前記基板の少なくとも一面を覆い、前記めっきの下地に用いられる金属被覆層とを具える請求項1〜6のいずれか1項に記載の放熱部材。
  8. 前記基板中のマグネシウム又はマグネシウム合金と前記金属被覆層を構成する金属とが連続する組織からなる請求項7に記載の放熱部材。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の放熱部材と、この放熱部材に搭載される半導体素子とを具える半導体装置。
  10. マグネシウム又はマグネシウム合金とSiCとが複合された複合部材により構成される放熱部材を製造する放熱部材の製造方法であって、
    スリップキャスト、加圧成形、及びドクターブレード法のいずれか一つを用いて、SiC集合体を形成する成形工程と、
    鋳型に収納された前記SiC集合体に溶融したマグネシウム又はマグネシウム合金を大気圧以下の雰囲気で溶浸させ、前記SiCを70体積%超含有する複合部材を形成する複合工程と、
    前記複合部材の少なくとも一部にめっきを施すめっき工程とを具える放熱部材の製造方法。
  11. マグネシウム又はマグネシウム合金とSiCとが複合された複合部材により構成される放熱部材を製造する放熱部材の製造方法であって、
    SiCの粉末成形体を形成する成形工程と、
    前記粉末成形体を焼結して、SiC同士を結合するネットワーク部を有するSiC集合体を形成する焼結工程と、
    鋳型に収納された前記SiC集合体に溶融したマグネシウム又はマグネシウム合金を大気圧以下の雰囲気で溶浸させ、前記ネットワーク部を有すると共に、前記SiCを70体積%超含有する複合部材を形成する複合工程と、
    前記複合部材の少なくとも一部にめっきを施すめっき工程とを具える放熱部材の製造方法。
  12. 前記焼結工程において前記ネットワーク部は、焼結により前記SiC同士を直接結合して形成する請求項11に記載の放熱部材の製造方法。
  13. 前記成形工程では、SiC粉末と、Si粉末又はSiを含有する化合物からなる粉末との混合粉末を用いて、前記粉末成形体を形成し、
    前記焼結工程では、前記粉末成形体を窒素雰囲気下で焼結してシリコン窒化物を生成し、前記ネットワーク部を前記シリコン窒化物により形成する請求項11に記載の放熱部材の製造方法。
  14. マグネシウム又はマグネシウム合金とSiCとが複合された複合部材により構成される放熱部材を製造する放熱部材の製造方法であって、
    SiCの粉末成形体を形成する成形工程と、
    非金属無機材料の前駆体の溶液を前記粉末成形体に含浸させた後加熱して、前記前駆体に基づく非金属無機材料を生成し、この生成された非金属無機材料から構成されるネットワーク部により前記SiC同士が結合されたSiC集合体を形成する結合工程と、
    鋳型に収納された前記SiC集合体に溶融したマグネシウム又はマグネシウム合金を大気圧以下の雰囲気で溶浸させ、前記ネットワーク部を有すると共に、前記SiCを70体積%超含有する複合部材を形成する複合工程と、
    前記複合部材の少なくとも一部にめっきを施すめっき工程とを具える放熱部材の製造方法。
  15. 前記複合工程には、前記SiC集合体として、その表面に酸化膜を具えるものを用いる請求項10〜14のいずれか1項に記載の放熱部材の製造方法。
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