JP5496190B2 - インパクト工具 - Google Patents

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Description

本発明は、動力工具に関し、詳細には衝撃トルクを加える改良型のインパクト工具に関する。
ナット、ボルト、ねじなどの締結具にトルクを加える一般的な動力工具は、連続駆動又は断続駆動の手段を使用する。連続駆動と比較すると、断続駆動に基づく断続的な出力回転を提供するインパクト工具は、より高いピークトルクを締結具に加えることができ、それと同時に、ユーザに与えるトルク(反動)を比較的低くすることができる。また、この種のインパクト工具は、工具サイズがコンパクトであるという利点を有しており、さらに、断続駆動を実現する構成は、一般的に、木材にねじを螺入するなどの用途において、駆動部分(ビット)と被駆動部分(ねじ頭)との間の係合を維持するのに役立つ。これは、駆動部分(ビット)の非駆動期間中に、駆動部分(ビット)と被駆動部分(ねじ頭)とが再係合することによる。
断続駆動を実現する手段としては、一般的に、ハンマ10及びアンビル11から成る回転機構(図16参照)が利用されている。ハンマ10は、入力シャフトにカム機構を介して接続されており、そこから締め付け対象の締結具に接続されたアンビル11に衝突するまで、モータによって回転させられる。衝撃を受けたとき、出力シャフトは、角運動量の伝達によって所定量だけ回転する。アンビル11への衝突によりハンマ10が減速するとカム機構により、ハンマ10はアンビル11から分離され、それにより、ハンマ10は再び加速して衝突動作を繰り返すことができる。
なお、上述したハンマ10等を備えた従来のインパクト工具を開示する先行技術文献として、例えば下記特許文献1等が存在している。
特開2000−42936号公報 米国特許第3424021号明細書
しかしながら、上述した断続駆動の手段を使用するインパクト工具の問題点は、それらの工具が一般的に、高騒音、高振動、高減損及び高摩耗を伴うことである。
本発明は、上記問題点の存在に鑑みて成されたものであって、その目的は、一定の入力回転運動に対して、断続運動及び正逆転運動を含む変化する出力回転運動を可能にする非円形歯車を含む常時噛み合い式のギヤボックスを用いることによって、これらの問題点に対処することにある。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照番号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明に係るインパクト工具は、グラウンドに所与の条件で接続されるように設計された周期的に変化する角速度及び/又はトルクを有する回転運動を提供するインパクト工具であって、前記角速度及び/又はトルクが1回転の期間中実質的に一定である回転運動を提供する入力シャフトと、前記角速度が前記入力シャフトの角度の関数として変化する出力シャフトと、前記入力シャフトの回転運動を前記出力シャフトに伝達する駆動列であって、前記入力シャフトに関連づけられた静止太陽歯車(1)及び被駆動遊星歯車(2)からなる第1の歯車対(1、2)と、前記出力シャフトに関連づけられた駆動遊星歯車(3)及び出力太陽歯車(4)からなる第2の歯車対(3、4)とを含む2対以上の歯車(1、2、3、4)を備えるギヤボックスと、を含み、前記歯車(1、2、3、4)が、それぞれピッチ円の半径r(Θ)、r(Θ)、r(Θ)及びr(Θ)を有し、前記Θが、被駆動遊星歯車(2)駆動遊星歯車(3)とを接続する遊星シャフト(7)の角度位置を表し、前記歯車(1、2、3、4)の半径が、少なくとも0≦Θ≦2πの角度範囲であるとき、下記不等式、
(Θ)・r(Θ)/r(Θ)・r(Θ)>1
を満足するように前記駆動列が構成されることで、駆動サイクルの少なくともある部分の間において前記出力シャフトの回転方向が逆転することを特徴とする。
本発明に係るインパクト工具において、ζを減衰比、wnをインパクト工具とグラウンドへの接続とを含む系の回転固有振動数としたときに、出力サイクル振動数が、
sqrt(2×(1−2ζ))wn
によって定義される計算サイクル振動数よりも大きくなるように設定されることが好適である。なお、上式中の「sqrt」は、平方根(square root)を示している(以下同様)。
また、本発明に係るインパクト工具は、グラウンドに所与の条件で接続されるように設計された周期的に変化する角速度及び/又はトルクを有する回転運動を提供するインパクト工具であって、前記角速度及び/又はトルクが1回転の期間中実質的に一定である回転運動を提供する入力シャフトと、前記角速度が前記入力シャフトの角度の関数として変化する出力シャフトと、前記入力シャフトの回転運動を前記出力シャフトに伝達する駆動列であって、前記入力シャフトに関連づけられた第1の歯車対(1、2)と、前記出力シャフトに関連づけられた第2の歯車対(3、4)とを含む2対以上の歯車(1、2、3、4)を備えるギヤボックスと、を含み、ζを減衰比、wnをインパクト工具とグラウンドへの接続とを含む系の回転固有振動数としたときに、出力サイクル振動数が、
sqrt(2×(1−2ζ))wn
によって定義される計算サイクル振動数よりも大きくなるように設定されることを特徴とする。
本発明に係るインパクト工具では、前記グラウンドへの接続がユーザによって提供され、前記出力サイクル振動数が、14Hzよりも大きい振動数であることが好適である。
また、本発明に係るインパクト工具において、当該インパクト工具は、ねじを締め付けるために使用されるものであり、前記出力シャフトの正転運動(ねじの締め付け方向への回転運動)が工具部材と前記ねじとの分離を引き起こし、その後の逆転運動が、前記工具部材と前記ねじとの再係合を引き起こすように構成することができる。
さらに、本発明に係るインパクト工具では、使用時において、サイクル振動数が系全体の固有振動数よりも実質的に大きくなるように構成されていることが好適である。
またさらに、本発明に係るインパクト工具では、グラウンド(例えば、把持しているユーザ)に作用するトルクを低減するために、前記出力シャフトが回転している時間と前記出力シャフトが停止している時間の比を設定自在とすることができる。
さらにまた、本発明に係るインパクト工具では、入力側のトルクを感知し、そこから既知の歯車比と系の角度位置についての情報とを使用して出力側のトルクを計算するための、出力トルクを間接的に感知する手段をさらに備えることができる。
また、本発明に係るインパクト工具において、当該インパクト工具は、ねじを締め付けるために使用されるものであり、非駆動期間同士の合間の駆動期間中に前記工具部材を前記ねじから分離することを回避するために、前記出力シャフトの回転角が、小さくなるように構成することができる。
また、本発明に係るインパクト工具において、当該インパクト工具は、ねじを締め付けるために使用されるものであり、前記出力シャフトの逆転角度が、駆動期間中における前記工具部材と前記ねじとの分離の後に、前記工具部材と前記ねじとを再係合させるように構成することができる。
さらに、本発明に係るインパクト工具では、前記ギヤボックスに含まれる回転体(186)が、被駆動遊星歯車(2(173))と駆動遊星歯車(3(172))とを接続する遊星シャフト(7(174))とのバランスを取るためのバランスウェイト部(186a)を備えることとすることができる。
本発明によれば、高騒音、高振動、高減損及び高摩耗といった従来の問題点を解消したインパクト工具を提供することができる。
図1は、本実施形態に係る非円形ギヤボックスの構成を説明するための概念図である。 図2は、入力の角度Θの関数として変化する歯車比を示したグラフ図である。 図3は、本実施形態の非円形歯車を遊星ギヤボックス構成で配置した形態を例示する図である。 図4は、一般的なねじ頭とねじ駆動ビットの端面を示す図である。 図5は、本実施形態に係るインパクト工具の構成を例示するブロック図である。 図6は、本実施形態に係る系全体の固有振動数とサイクル振動数との間の関係を示すグラフ図である。 図7は、本発明が取り得る別の実施形態例を示す図である。 図8は、本発明が取り得るさらに別の実施形態例を示す図である。 図9は、本発明を実現する非円形遊星歯車/非円形太陽歯車対の一例を示す図である。 図10は、本実施例に係るインパクト工具の全体構成を示す縦断面右側面図である。 図11は、本実施例に係るインパクト工具の要部構成を説明するための要部分解斜視展開図である。 図12は、本実施例に係る非円形遊星歯車を示す図であり、図中の(a)が後方側面を、図中の(b)が断面を示している。 図13は、本実施例に係る出力シャフト付きの非円形太陽歯車を示す図であり、図中の(a)が後方側面を、図中の(b)が断面を示している。 図14は、騒音測定方法を説明するための図である。 図15は、本発明が取り得るさらにまた別の実施形態例を示す図である。 図16は、断続駆動を実現する手段として一般的に用いられる、ハンマ及びアンビルから成る回転機構を例示する図である。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図5は、本実施形態に係るインパクト工具の構成を例示するブロック図である。本実施形態に係るインパクト工具は、所望の平均トルク特性及び平均速度特性を達成するように、例えば、モータシャフト16によって従来のギヤボックス25に結合されたモータ(電磁気、空気圧又は他の動力を使用するモータ)14を備えている。
ギヤボックス25に設置された入力シャフト26は、非円形歯車を含む非円形ギヤボックス18に駆動力を提供し、次いで、非円形ギヤボックス18が出力シャフト17を駆動する。この非円形ギヤボックス18の入力角速度と出力角速度との比は、入力シャフト26の角度の関数として表すことができる。出力シャフト17は、衝撃トルクを伝達する対象である工具部材22、例えばナット又はねじなどといった機械式締結具に、一般的に分離可能に接続される。
図1は、本実施形態に係る非円形ギヤボックス18の構成を説明するための概念図である。図1に示されているように、非円形ギヤボックス18は、入力歯車23及び出力歯車24を含み、これらの歯車23、24は、それぞれ、それらの全周にわたって変化する半径を有する。ここで、歯車比を以下のように定義する。
ω=Rω
上式で、ωは従来のギヤボックス25に設置された入力シャフト26によって提供される入力角速度であり、Rは歯車比であり、ωは出力シャフト17の出力角速度である。図1にて示されているような2歯車駆動列では、対合した2つの歯車23、24のその時点の接触点における半径の比から、以下のように歯車比を知ることができる。
R=r/r
上式で、rは入力歯車23のピッチ円の半径であり、rは出力歯車24のピッチ円の半径である。角度Θの関数として半径が変化する一対の非円形歯車を有することにより、入力の角度Θの関数として変化する歯車比(図2参照)を達成することが可能であり、したがって、全体としてR、r及びrを、R(Θ)、r(Θ)及びr(Θ)に置き換えることとする。
ここで説明する構成では、一定速度の入力が、入力シャフト26の角度と時間の両方に対して変化する出力速度を与える。そして、トルクは、Tを入力トルク、Tを出力トルクとすると、
=T/R(Θ)
によって与えられるため、この変化する歯車比により、変化するトルク出力を提供することを可能にする。
グラウンド21に伝達されるトルクが、出力によって加えられるトルクよりも低いことを保証するため、出力サイクル振動数は、
sqrt(2×(1−2ζ))wn
(「計算サイクル振動数範囲(Calculated
Cycle Frequency Range)」と呼ばれる)
よりも大きくなるように設定される。上式で、ζは減衰比、wnはインパクト工具とグラウンド21への接続とを含む系の回転固有振動数である。本実施形態に係るインパクト工具のユーザの場合、この計算サイクル振動数範囲は、14Hzよりも大きい振動数であると示すことができる。
本実施形態のさらなる改良点は、上述した非円形歯車23、24を遊星ギヤボックス構成で配置したことである。図3に示すように、一対の円形歯車1、2は、一対の非円形歯車3、4と組み合わせることができる。なお、変形例として、図3で示した構成を逆にし、符号1、2で示した一対の歯車が非円形歯車、符号3、4で示した一対の歯車が円形歯車であるようにすることもできる。さらに、全ての歯車を非円形歯車とすることもできる。
入力シャフト5は、駆動アーム6に剛連結されており、その結果、入力シャフト5が回転したときに、駆動アーム6は同じ量だけ回転する。これにより、遊星シャフト7は、入力シャフト5の軸の周りを一定の半径で周回する。遊星シャフト7は、駆動アーム6によって駆動されたときに、それ自体の軸の周りを自由に回転する。被駆動遊星歯車2は、遊星シャフト7に剛連結される。この遊星シャフト7の角度をΘと呼ぶことにする。被駆動遊星歯車2が静止太陽歯車1の周りを移動すると、それにより、被駆動遊星歯車2がその軸に対して回転し、それによって遊星シャフト7の回転を駆動する。この回転が、遊星シャフト7に剛連結された駆動遊星歯車3を駆動する。次いで、駆動遊星歯車3が、出力太陽歯車4を回転させ、それによって出力シャフト27の回転を駆動する。
図3に示すような歯車配置は、従来技術、例えば上掲した特許文献2によって知られている。
このような系の歯車比は以下のとおりである。
R(Θ)=1−r(Θ)・r(Θ)/r(Θ)・r(Θ)
上式で、Θは遊星シャフト7の角度である。歯車1、2、3及び4が円形であれば、r(Θ)=r=一定、r(Θ)=r=一定、r(Θ)=r=一定、r(Θ)=r=一定であり、したがって、歯車比R(Θ)=R=一定となる。しかしながら、前述のように一対の歯車を非円形とした場合には、R(Θ)は一般にΘの関数として変化する。また、ある時間範囲の間、r(Θ)=r(Θ)及びr(Θ)=r(Θ)である場合には、R(Θ)=0であり、出力は停止し、その一方で入力は回転し続ける。これによって断続的な駆動が得られる。
入力シャフト5に付随する慣性は、非駆動期間中は加速し、駆動期間中は減速する。そのため、出力シャフト27におけるトルクは、例えばモータによって提供される駆動トルクと慣性の減速に対する反作用との組み合せである。したがって、このような構成は、モータによる直接駆動よりも高いトルクを加えることを可能にする。
なお、静止太陽歯車1上の内歯車形式、及び/又は、出力太陽歯車4上の内歯車形式を有する同様のシステムを実現することも可能である。
さらに、歯車ピッチ円半径の依存形式r(Θ)(n=1、2、3、4)は、出力速度の変化率に影響を与える。速度の急変を回避するために、速度が十分にゆっくりと増大するように、歯車ピッチ円半径の依存形式を選択することができる。速度を比較的にゆっくりと増大させることによって、非常に高い加速が回避されるので、その結果として騒音及び振動が低減する。
他に採り得る変更形態としては、サイクル中のΘ=Θrev1からΘ=Θrev2(0≦Θrev1,Θrev2≦2π)のある角度又はある角度範囲で、r(Θ)・r(Θ)>r(Θ)・r(Θ)となり、いくつかの点で、r(Θ)・r(Θ)<r(Θ)・r(Θ)となるように、ピッチ円半径を選択することを含む(すなわち、0≦Θ≦2πの角度範囲であるときに、r(Θ)・r(Θ)/r(Θ)・r(Θ)>1である場合と、r(Θ)・r(Θ)/r(Θ)・r(Θ)<1である場合とを含む。)。こうすると、Θrev1<Θ<Θrev2であるときには、常に回転方向を逆転させる出力が得られる。これを、木材にねじを螺入するなどの用途で利用することができる。ねじの螺入中に、ねじを螺入する連続駆動は、出力シャフト・インタフェース(しばしば、「ビット」と呼ばれる)と被駆動部分(ねじ頭)との間の接続の分離を引き起こすことがあり、これは、当技術分野では「カムアウト(cam-out)」として知られている現象である。本発明では、最初に、それぞれの駆動サイクル中に少量だけ前進させることによって、所与のサイクルでのビットとねじ頭の分離が回避される。さらに、非駆動中に、ある角度にわたって逆転させることによって、ビットとねじ頭は再係合し、複数のサイクルにわたるカムアウトを制限し、又は防ぐ。この様子が、図4に示されている。図4には、一般的なねじ頭8とねじ駆動ビット9の端面図が示されている。これらは最初、十分に位置合わせされており、駆動中にそれらは分離し始め、駆動期間の後、逆転が再係合を容易にする。
モータ14が、ある方法、例えば電磁場又は空気圧によってケース15にトルクを伝達することができる構成を考えてみる。前記モータ14は、ある連結シャフト(モータシャフト16)を介して、前述のタイプのうちの1つのタイプの非円形ギヤボックス18を駆動する。この非円形ギヤボックス18は、機械的に又は他の方式で、ケース15及び出力シャフト17に接続され、そこから、ある工具部材22に接続される。
ある1つの駆動期間の始めから次の駆動期間までにかかる全時間を考えると、グラウンド21に伝達されるピークトルクにおける出力シャフト17の「サイクル周期」(これの逆数が「サイクル振動数」である)の利益を達成することができる。この系が、ねじりばね12及びねじりダンパ13に近似の系、例えば人間の腕によってグラウンド21に固定されているとみなされ、ある回転慣性を有する場合、系全体の固有振動数とサイクル振動数との間の関係が、グラウンド21に加えられるピークトルクを決定する。サイクル振動数が無限である極端なケースでは、グラウンド21は、工具部材22が受けるのと同じピークトルクを受ける。サイクル振動数と系の固有振動数が収束すると、グラウンド21が受けるピークトルクはさらに増大する。しかしながら、サイクル振動数が系全体の固有振動数を超えて増大すると、グラウンド21が受けるトルクは、ピークトルクよりも低くなる。
図6は、固有振動数14Hzでのこの効果を示し、y軸は、入力された力に対する出力された力の比と定義される「伝達率」を示し、dBで示されている。したがって、歯車形式を適当に選択することによって、この有利な振る舞いを達成するように、サイクル振動数を選択することができる。さらに、伝達されるトルクの大きさは、出力シャフト17が回転している時間と出力シャフト17が停止している時間の比によって決定される。全衝撃は、グラウンド21と工具部材22との間で保存されなければならないため、高トルクが短時間の間、工具部材22に加えられる場合には、これを、より長時間にわたってグラウンド21に加えられるはるかに低いトルクと釣り合わせることができる。つまり、本実施形態に係るインパクト工具が、グラウンドに作用するトルクを低減するために、出力シャフト17が回転している時間と出力シャフト17が停止している時間の比を設定自在とする手段を備えることによって、出力側のトルクを制御することができる。
上述した実施形態の他の利点としては、入力と出力の間で常時噛み合いが達成されることである。入力トルクと出力トルクの間に相関関係がない従来のインパクト工具とは違い、本実施形態に基づく構成は、入力トルクと出力トルクとの間に相関関係がある。これによって、入力側のトルクを感知し、そこから既知の歯車比と系の角度位置についての情報とを使用して出力側のトルクを計算することができる。つまり、本実施形態に係るインパクト工具が出力トルクを間接的に感知する手段をさらに備えることによって、出力側のトルクを計算することができる。
上述したこれらの手段は、例えば締結具に加えられるトルクを制御する際に有用である。電磁モータが使用される場合、電流及び電圧についての情報からモータのトルクを得ることができる。したがって、本実施形態の一例として、本発明は電子トルクセンシングを含む。
上述した本実施形態の1つの利点は、インパクト機構の除去及び出力シャフトのより緩やかな加速のため、既存のインパクト工具に比べて低騒音であることである。同様に、本実施形態は、デバイスによって生み出される振動を低減させる。さらに、高減損の衝突及び摺接を、歯車の転がり接触に置き換えることにより、本実施形態は低い減損を有する。これはさらに、低摩耗の利点をもたらし、さらには長寿命をもたらす。
当業者であれば、上述した本実施形態に係るインパクト工具が、ドライバ・ドリル及びインパクト・ドライバを含む動力工具全般に対して利益をもたらすことができることを理解するであろう。さらに、回転往復動作が必要な場合、例えば生垣刈込み機(ヘッジトリマ)の場合に、このようなシステムを使用することができる。
また例えば、ラック・ピニオンを使用して、単純な「回転−直線」変換を実現することにより、本実施形態を他のデバイス、とりわけ往復動鋸デバイスに適用することも可能である。
さらに、本実施形態の他の利点は、本実施形態に基づくデバイスの特性が、モータ及びギヤボックスの所与の組み合せに関して、ドライバ・ドリルなどの従来技術の直接駆動デバイスよりも高い出力トルクを可能にしており、これにより、トルクが等しい場合にはデバイスのサイズを低減させることができることにある。本実施形態の衝撃機構の使用はさらに、ドライバ・ドリルなどの直接駆動デバイスと比較したときに、所与の出力トルクに関して、デバイスによって機械的な「グラウンド(例えばユーザ)」に加えられるトルクを低減させることができる。またさらに、(ビットを使用したねじの螺入など)接触が失われる可能性がある用途では、逆転がビットとねじ頭の間の再係合を可能にするので、これにより、係合が失われることを回避することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、インパクト・ドライバとして知られているタイプの動力工具の代替工具として使用することを含む多くの用途に対して適当な特定の実施形態が、図7に示されている。入力シャフト71は、遊星シャフト74がその中に装着された回転体78を駆動し、遊星シャフト74は、それ自体の軸の周りを自由に回転する。遊星シャフト74には、円形遊星歯車73及び非円形遊星歯車72が装着されている。これらの歯車72、73は互いに接続され、ギヤボックスからの相当なトルク能力が必要な場合には、一体に形成することによって接続されることが好ましい。円形遊星歯車73は、メカニカル・グラウンドに接続された円形太陽歯車76の作用によって回転する。したがって、非円形遊星歯車72は、円形遊星歯車73によって駆動される。その結果、非円形遊星歯車72が非円形太陽歯車75を駆動する。この非円形太陽歯車75は、出力シャフト77に接続されるとともに、出力シャフト77を駆動する。
図7にて示した実施形態は、図3に示された構成に比べて相当の利点を有する。機構の入力シャフト71端ではなく、出力シャフト77端で円形太陽歯車76をグラウンドに接続することは、回転体78内の両端で遊星シャフト74を支持することを可能にする。回転体78内の両端で遊星シャフト74を支持することによって、遊星シャフト74に加わる所与のモーメントに関して、遊星シャフト74の両端の垂直荷重が低減され、より高強度のギヤボックスを形成し、より軽くよりコンパクトなギヤボックス構造を可能にする。さらにこの構成は、これらの歯車72、73の間に軸受を収容する必要なしに、円形遊星歯車73と非円形遊星歯車72を単一部品として形成することを可能にする。これらの歯車72、73間においては、相当のトルクが伝達されるため、かかる構成によって、このユニットの強度が高められる。
入力シャフト上に追加の減速ギヤボックスが必要な場合には、系全体のサイズを低減させる可能性もある。図8に示されたさらに別の実施形態は、回転体86上に直接に構築された追加の減速ギヤボックスを示す。入力シャフト85は太陽歯車81を駆動し、太陽歯車81は1つ又は複数の遊星歯車82に作用し、遊星歯車82は、グラウンドに接続された円形内歯車84内を移動する。遊星歯車82のシャフト83が、回転体86の軸の周りの回転駆動を提供する。また、回転体86には、シャフト83を都合よく設置することができる。このことは、図3に示された構成の入力に追加の別個の減速ギヤボックスを取り付けることに比べて、相当な単純化及びサイズ低減を達成する。
従来技術のインパクト・ドライバで4.5×90mmのねじを乾燥した松材に螺入する場合、螺入の中間点(ねじの約45mmが木材に螺入されたとき)において、一般的にハンマ1回の衝突によってねじが90度回転することがわかっている。1回の衝突に要する時間は、15msなので、このパルス列の振動数は67Hzである。これは、工具/ユーザ系の固有振動数よりもかなり高い。また、ユーザに伝達されるトルクは、ねじに加えられるトルクを時間平均したものになる。したがって、ユーザは、ねじに加えられる高トルク・パルスを受けない。さらに、一般的なインパクト・ドライバの分析は、ワースト・ケース条件であるカムアウト条件下では、ねじに対するビットの10度の逆転が一般的であることがわかった。
適当な非円形歯車形式及び円形歯車サイズを選択することにより、前述の従来技術のインパクト・ドライバの振る舞いを、本発明を使用して、歯が常に係合したままの(衝突のない)ギヤボックス内において、同様の振る舞いとすることが可能である。これを達成する非円形遊星歯車91/非円形太陽歯車92対の一例が、図9に示されている。それぞれの歯車91、92は、実質的に同様のモジュールの14個の歯を有する。これらの歯車91、92を、図7又は図8に示されたタイプのギヤボックス内において、遊星:太陽比=0.765の円形歯車(例えば、ピッチ円径13mmの円形遊星歯車とピッチ円径17mmの円形太陽歯車)と組み合わせることができる。この構成は、出力シャフト(図7の符号77及び図8の符号87)を95度正転させ、その後に、前記出力シャフト77、87を10度逆転させる。
なお、上述した出力シャフト77、87の正転角度と逆転角度については、本発明を構成する歯車群の構成条件等によって変化するものである。例えば、出力シャフト77、87の逆転角度が一般的に10度程度になることは代表的な数値を例示したに過ぎない。本発明の構成部材をその発明思想の範囲内で適宜変更することにより、本発明に係るインパクト工具の振る舞いを種々の設定に変更することが可能である。
これらの形式が図7に示された構成で使用されるとき、入力シャフト71を1,556rpmで駆動すると、出力シャフト77の駆動/逆転サイクルは、34Hzで起こる。この構成は、従来技術のデバイスの衝突なしでこれを達成できるので、操作中のより低い騒音レベルを達成した。
あるいは、図8に示された構成を使用することもできる。円形太陽歯車81のピッチ円径が5mm、円形遊星歯車82のピッチ円径が17.5mm、円形内歯車84のピッチ円径が40mmである場合、入力シャフト85と回転体86の間では、減速比9:1が達成される。したがって、入力シャフト85を14,000rpm(同様の動力工具で用いられる従来技術に係るモータの異常ではない速度)で回転させた場合、駆動/逆転サイクルは、34Hzで起こる。
したがって、ドライバ・ドリルと比べたときに、インパクト・ドライバの有益な特性を達成することが可能である。これらの有益な特性には、同様のねじ螺入時間、少ないカムアウトの発生、ねじに加えられる高いピークトルク及びその一方でユーザに加えられるより低いピークトルク、ならびに所与のトルク出力に対するサイズの低減が含まれる。さらに、インパクト・ドライバに比べ、大幅に低騒音、低振動、高効率及び低摩耗が達成される。
なお、上述した実施形態では、図4等を用いて、複数のサイクルにわたるカムアウト現象を制限及び防止する機構について説明した。すなわち、本実施形態では、最初に、それぞれの駆動サイクル中に少量だけ正転運動させることによって、所与のサイクルでのビットとねじ頭の分離が回避される。さらに、駆動中にそれらが分離し始めても、駆動期間の後、逆転によって再係合を容易にすることができる。また、これらの動作が、非円形ギヤボックス18内に設置された常時噛み合った2歯車駆動列等によって実現されることを説明した。ただし、上述した実施形態には、さらなる好適な改良を加えることが可能であり、例えば、駆動期間中に工具部材をねじから分離することを回避するために、非駆動期間同士の合間の出力シャフトの回転角が、十分に小さくなるように構成することが好ましい。また、別の改良例として、出力シャフトの逆転角度が、駆動期間中における工具部材とねじとのわずかな分離の後に、工具部材とねじとを再係合させるように構成されることも好適である。このような改良によって、カムアウト現象を確実に防止することが可能となる。
また、図7及び図8等で例示した構成は本発明が取り得る一形態を例示したにすぎない。本発明は、上述した基本構成を有し、同様の作用効果を発揮する範囲内において、種々の変形形態を採用することができる。例えば、図7で示した実施形態の変形例として、図15を示す。図15にて示される実施形態は、非円形遊星歯車72及び非円形太陽歯車75を出力シャフト77側に配置し、円形遊星歯車73及び円形太陽歯車76を入力シャフト71側に配置した点で、図7と異なっている。図15に示されている実施形態では、入力シャフト71の先端に回転体78が設置されている。入力シャフト71が回転体78を駆動すると、回転体78に装着された遊星シャフト74が遊星運動を行う。この遊星シャフト74は、それ自体の軸の周りを自由に回転する。また、遊星シャフト74には、非円形遊星歯車72及び円形遊星歯車73が装着されている。これらの歯車72、73は、遊星シャフト74に対して互いに接続固定されている。円形遊星歯車73は、メカニカル・グラウンドに接続された円形太陽歯車76の作用によって回転する。したがって、非円形遊星歯車72は、円形遊星歯車73の回転運動に伴って回転駆動される。その結果、非円形遊星歯車72が非円形太陽歯車75を駆動する。この非円形太陽歯車75には、出力シャフト77が接続されているので、非円形太陽歯車75の回転駆動に伴って出力シャフト77が回転駆動することとなる。なお、図15で示した実施形態は、非円形遊星歯車72が非円形太陽歯車75に対して対称位置となるように複数配置されているので、回転運動のバランスが良いという利点を有している。
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
次に、図7及び図8を用いて例示した実施形態を具体的にインパクト工具に適用した実施例について、図10〜図13を用いて説明することとする。ここで、図10は、本実施例に係るインパクト工具の全体構成を示す縦断面右側面図である。また、図11は、本実施例に係るインパクト工具の要部構成を説明するための要部分解斜視展開図である。さらに、図12は本実施例に係る非円形遊星歯車を、図13は本実施例に係る出力シャフト付きの非円形太陽歯車を示す図であり、それぞれの図中の(a)が後方側面を、図中の(b)が断面を示している。
図10及び図11に示すように、本実施例のインパクト工具100は、バッテリ式のインパクト工具100であって、モータ111等の駆動源を収容するハウジング110と、ハウジング110の下端部に着脱自在に設置されることによって当該モータ111に対する駆動電力の供給を行うバッテリパック130とを備えている。
ハウジング110は、モータ111や上述した本実施形態に係る非円形ギヤボックス18に相当する駆動機構部115を収容するハウジング上部体110aと、ユーザからの把持を受けるハウジング中央体110bと、バッテリパック130との接続機構を備えるハウジング下部体110cとによって構成されている。ハウジング下部体110cからハウジング中央体110bを経由してハウジング上部体110aまで電力配線が施されており、バッテリパック130に充電された駆動電力をモータ111に対して供給できるようになっている。また、ハウジング中央体110bの上方前面側には、操作スイッチ112が設けられており、ハウジング中央体110bを把持したユーザは、この操作スイッチ112を好適に操作できるようになっている。
モータ111の前方に設置された駆動機構部115は、図7及び図8を用いて説明した本発明の機構を具体的に実現したものである。すなわち、本実施例に係る駆動機構部115は、モータ111が備えるモータ軸111aに接続する太陽歯車181と、この太陽歯車181の周りに噛み合い接続する2つの遊星歯車182,182と、2つの遊星歯車182,182のさらに外周を取り囲む円形内歯車184とを備えている。モータ111への電力供給によってモータ軸111aが回転すると、モータ軸111aは太陽歯車181を駆動し、太陽歯車181は2つの遊星歯車182,182に作用し、遊星歯車182,182は、メカニカル・グラウンドとしてのハウジング上部体110aに接続された円形内歯車184内を移動する。
2つの遊星歯車182,182の前方には、回転体186が設置されている。遊星歯車182のシャフト183がこの回転体186と接続しており、回転体186の軸の周りの回転駆動を提供する。
回転体186の回転中心から偏心した位置には、遊星シャフト174が設置されている。この遊星シャフト174は、回転体186の内部に収容される形式にて設置されており、遊星シャフト174の両方の軸端部は、回転体186内に設置されたニードルベアリング等の軸受174a,174bにて軸支されている。
また、遊星シャフト174には、前方側の軸端部に円形遊星歯車173が、後方側の軸端部に非円形遊星歯車172が装着されている。これらの歯車172、173は互いに剛体接続されており、さらに、遊星シャフト174の軸の周りを自由に回転することができるようになっている。
円形遊星歯車173は、メカニカル・グラウンドとしてのハウジング上部体110aに固定接続された円形太陽歯車176と噛み合っている。すなわち、2つの遊星歯車182,182の回転によって回転体186が回転駆動されると、遊星シャフト174が円形太陽歯車176の周りを周回することとなり、その結果、この固定設置された円形太陽歯車176の周りを円形遊星歯車173が自転しながら公転することとなる。
円形遊星歯車173の上記回転駆動に伴って、非円形遊星歯車172も同様に回転駆動される。この非円形遊星歯車172には、出力シャフト177に接続された非円形太陽歯車175が噛み合っているので、非円形遊星歯車172の回転駆動に応じて非円形太陽歯車175が回転駆動され、その結果として出力シャフト177が回転駆動されることとなる。なお、非円形太陽歯車175に接続する出力シャフト177の回転軸中心は、回転体186の回転中心軸と重畳している。また、出力シャフト177の後方側の軸端部は回転体186内に設置された軸受にて支持されており、前方側の軸端部はビットホルダ179に接続されている。したがって、ビットホルダ179に設置されるドライバ等の工具は、出力シャフト177の回転駆動に応じて回転することとなり、外部に対して作業が実施できるようになっている。
なお、上述したように、回転体186は遊星歯車182の遊星運動に伴って回転駆動されることとなるが、その内部に設置される遊星シャフト174は偏心して設置されている。また、遊星シャフト174には、非円形遊星歯車172と円形遊星歯車173という重量部材が設置されている。したがって、回転体186が好適に回転運動をするためには、遊星シャフト174等の重量部材とバランスを取るためのバランスウェイトを設ける必要があった。そこで、本実施例に係る回転体186では、図11に示すように、回転体の胴体中央部分を半割構造とし、遊星シャフト174の設置位置と対向する位置に半割構造からなるバランスウェイト部186aを設ける構成を採用した。このバランスウェイト部186aの設置によって、回転体186は安定した回転運動を行えるようになり、安定した操作性を有するインパクト工具100を実現することが可能となった。
次に、本実施例に係るインパクト工具100の動作について、図10を参照して説明を行う。
本実施例に係るインパクト工具100では、モータ111の駆動によってモータ軸111aが回転駆動し、当該モータ軸111aの回転力が太陽歯車181を回転させる。太陽歯車181が回転すると、太陽歯車181と円形内歯車184との間に設置された2つの遊星歯車182,182が遊星運動を行う。遊星歯車182が有するシャフト183は回転体186と接続しているので、2つの遊星歯車182,182が遊星運動を行うことで回転体186が回転駆動する。
回転体186が回転駆動すると、ハウジング上部体110aに固定接続された円形太陽歯車176の作用によって円形遊星歯車173が回転し、この円形遊星歯車173と剛体接続された非円形遊星歯車172も、円形遊星歯車173と同様に回転駆動する。非円形遊星歯車172と円形遊星歯車173は、回転体186の内部に設置された遊星シャフト174に対して設置されているので、これら2つの歯車172、173は、遊星シャフト174の軸の周りを自由に回転しながら、回転体186の回転中心軸周りを周回運動することとなる。
以上のように遊星運動する非円形遊星歯車172には、非円形太陽歯車175が噛み合っており、さらにこの非円形太陽歯車175には、出力シャフト177が接続している。そして、非円形遊星歯車172の遊星運動に応じて非円形太陽歯車175が回転するので、その回転駆動力が出力シャフト177に伝達され、外部に対して所定のトルクを与えることができるようになっている。
なお、上述した実施形態で説明したように、本実施例に係るインパクト工具100においても、2つの非円形歯車である非円形遊星歯車172及び非円形太陽歯車175の作用によって、出力シャフト177は、正転を行うとともに所定のサイクル期間で逆転動作を行うこととなる。かかる動作によって、カムアウトの防止等といった好適な効果が得られる。
さらに、本実施例に係るインパクト工具100は、ハンマ10等を備えた従来のインパクト工具とは異なり、複数の非円形歯車によってインパクト工具としての機構を実現した構成を備えていることから、負荷使用時において低騒音であるという好適な利点を備えている。かかる利点は、図14及び表1によって示される、従来のインパクト工具と本実施例のインパクト工具100を用いた騒音の比較測定の分析結果によって明らかとなっている。ここで、図14は、騒音測定方法を説明するための図である。
今回実施した騒音測定方法は、乾燥米松(Dry Pine)からなる試験片190に対してφ4.5×90mmの木ねじを締め付けたときに発生する騒音を測定したものである。騒音の測定位置は、インパクト工具の後方向、左方向、上方向及び下方向に対してインパクト工具から1m離れた位置とした。なお、騒音測定に際しては、A特性周波数重み付け音圧レベル(A weighted sound pressure level)を付加して測定を行っている。また、騒音測定に使用したインパクト工具は、図10等を用いて説明した本実施例のインパクト工具100と、上記特許文献1に代表される従来のハンマ10等を備えたインパクト工具である。以上の条件に基づき測定された騒音の測定結果を表1に示す。なお、表1は、負荷時における騒音の測定結果を比較した表である。
Figure 0005496190
表1より明らかな通り、本実施例に係るインパクト工具100の方が、従来技術に係るインパクト工具(インパクト・ドライバ)に比べて全測定位置で低い騒音レベルであることを確認した。また、測定された騒音結果の平均値を比較しても、5.0dB(A)の差で本実施例に係るインパクト工具100の方が低騒音を実現しており、本発明の優位性が確認された。
1 静止太陽歯車、2 被駆動遊星歯車、3 駆動遊星歯車、4 出力太陽歯車、5 入力シャフト、6 駆動アーム、7 遊星シャフト、8 ねじ頭、9 ねじ駆動ビット、10 ハンマ、11 アンビル、12 ねじりばね、13 ねじりダンパ、14 モータ、15 ケース、16 モータシャフト、17 出力シャフト、18 非円形ギヤボックス、21 グラウンド、22 工具部材、23 入力歯車、24 出力歯車、25 (従来の)ギヤボックス、26 入力シャフト、27 出力シャフト、71 入力シャフト、72 非円形遊星歯車、73 円形遊星歯車、74 遊星シャフト、75 非円形太陽歯車、76 円形太陽歯車、77 出力シャフト、78 回転体、81 太陽歯車、82 遊星歯車、83 シャフト、84 円形内歯車、85 入力シャフト、86 回転体、87 出力シャフト、91 非円形遊星歯車、92 非円形太陽歯車、100 インパクト工具、110 ハウジング、110a ハウジング上部体、110b ハウジング中央体、110c ハウジング下部体、111 モータ、111a モータ軸、112 操作スイッチ、115 駆動機構部、130 バッテリパック、172 非円形遊星歯車、173 円形遊星歯車、174 遊星シャフト、174a,174b 軸受、175 非円形太陽歯車、176 円形太陽歯車、177 出力シャフト、179 ビットホルダ、181 太陽歯車、182 遊星歯車、183 シャフト、184 円形内歯車、186 回転体、186a バランスウェイト部、190 試験片。

Claims (11)

  1. グラウンドに所与の条件で接続されるように設計された周期的に変化する角速度及び/又はトルクを有する回転運動を提供するインパクト工具であって、
    前記角速度及び/又はトルクが1回転の期間中実質的に一定である回転運動を提供する入力シャフトと、
    前記角速度が前記入力シャフトの角度の関数として変化する出力シャフトと、
    前記入力シャフトの回転運動を前記出力シャフトに伝達する駆動列であって、前記入力シャフトに関連づけられた静止太陽歯車(1)及び被駆動遊星歯車(2)からなる第1の歯車対(1、2)と、前記出力シャフトに関連づけられた駆動遊星歯車(3)及び出力太陽歯車(4)からなる第2の歯車対(3、4)とを含む2対以上の歯車(1、2、3、4)を備えるギヤボックスと、
    を含み、
    前記歯車(1、2、3、4)が、それぞれピッチ円の半径r(Θ)、r(Θ)、r(Θ)及びr(Θ)を有し、
    前記Θが、被駆動遊星歯車(2)駆動遊星歯車(3)とを接続する遊星シャフト(7)の角度位置を表し、
    前記歯車(1、2、3、4)の半径が、少なくとも0≦Θ≦2πの角度範囲であるとき、下記不等式、
    (Θ)・r(Θ)/r(Θ)・r(Θ)>1
    を満足するように前記駆動列が構成されることで、駆動サイクルの少なくともある部分の間において前記出力シャフトの回転方向が逆転することを特徴とするインパクト工具。
  2. 請求項1に記載のインパクト工具において、
    ζを減衰比、wnをインパクト工具とグラウンドへの接続とを含む系の回転固有振動数としたときに、
    出力サイクル振動数が、
    sqrt(2×(1−2ζ))wn
    によって定義される計算サイクル振動数よりも大きくなるように設定されることを特徴とするインパクト工具。
  3. グラウンドに所与の条件で接続されるように設計された周期的に変化する角速度及び/又はトルクを有する回転運動を提供するインパクト工具であって、
    前記角速度及び/又はトルクが1回転の期間中実質的に一定である回転運動を提供する入力シャフトと、
    前記角速度が前記入力シャフトの角度の関数として変化する出力シャフトと、
    前記入力シャフトの回転運動を前記出力シャフトに伝達する駆動列であって、前記入力シャフトに関連づけられた第1の歯車対(1、2)と、前記出力シャフトに関連づけられた第2の歯車対(3、4)とを含む2対以上の歯車(1、2、3、4)を備えるギヤボックスと、
    を含み、
    ζを減衰比、wnをインパクト工具とグラウンドへの接続とを含む系の回転固有振動数としたときに、
    出力サイクル振動数が、
    sqrt(2×(1−2ζ))wn
    によって定義される計算サイクル振動数よりも大きくなるように設定されることを特徴とするインパクト工具。
  4. 請求項2又は3に記載のインパクト工具において、
    前記グラウンドへの接続がユーザによって提供され、
    前記出力サイクル振動数が、14Hzよりも大きい振動数であることを特徴とするインパクト工具。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインパクト工具において、
    当該インパクト工具は、ねじを締め付けるために使用されるものであり、
    前記出力シャフトの正転運動が工具部材と前記ねじとの分離を引き起こし、その後の逆転運動が、前記工具部材と前記ねじとの再係合を引き起こすことを特徴とするインパクト工具。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインパクト工具において、
    使用時において、サイクル振動数が系全体の固有振動数よりも実質的に大きくなるように構成されていることを特徴とするインパクト工具。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のインパクト工具において、
    グラウンドに作用するトルクを低減するために、前記出力シャフトが回転している時間と前記出力シャフトが停止している時間の比を設定自在であることを特徴とするインパクト工具。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインパクト工具において、
    入力側のトルクを感知し、そこから既知の歯車比と系の角度位置についての情報とを使用して出力側のトルクを計算するための、出力トルクを間接的に感知する手段をさらに備えることを特徴とするインパクト工具。
  9. 請求項5に記載のインパクト工具において、
    当該インパクト工具は、ねじを締め付けるために使用されるものであり、
    非駆動期間同士の合間の駆動期間中に前記工具部材を前記ねじから分離することを回避するために、前記出力シャフトの回転角が、小さくなるように構成されることを特徴とするインパクト工具。
  10. 請求項5に記載のインパクト工具において、
    当該インパクト工具は、ねじを締め付けるために使用されるものであり、
    前記出力シャフトの逆転角度が、駆動期間中における前記工具部材と前記ねじとの分離の後に、前記工具部材と前記ねじとを再係合させるように構成されることを特徴とするインパクト工具。
  11. 請求項1又は2に記載のインパクト工具において、
    前記ギヤボックスに含まれる回転体(186)が、被駆動遊星歯車(2(173))と駆動遊星歯車(3(172))とを接続する遊星シャフト(7(174))とのバランスを取るためのバランスウェイト部(186a)を備えることを特徴とするインパクト工具。
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