JP5494545B2 - 火花点火式ガソリンエンジン - Google Patents

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Description

本発明は、燃焼室内に臨む状態で当該燃焼室天井に配設されて、前記燃焼室に形成された少なくとも一部がガソリンからなる燃料と空気との混合気に点火エネルギーを供給可能な点火プラグを備えた火花点火式ガソリンエンジンに関する。
従来、ガソリンエンジンの分野では、点火プラグからの火花放電により強制的に混合気を着火させる燃焼形態が一般的であったが、近年、このような火花点火による燃焼に代えて、いわゆる圧縮自己着火燃焼をガソリンエンジンに適用する研究が進められている。圧縮自己着火燃焼とは、燃焼室に生成された混合気をピストンで圧縮し、高温・高圧の環境下で、火花点火によらず混合気を自着火させるというものである。圧縮自己着火燃焼は、燃焼室の各所で同時多発的に自着火する燃焼であり、火花点火による燃焼に比べて燃焼期間が短く、より高い熱効率が得られると言われている。
ここで、前記圧縮自己着火燃焼を安定して実現するためには、燃焼室内の混合気の温度をより確実に高温とする必要がある。これに対して、例えば、特許文献1に開示されているように、内部EGR量を増大させてこれにより混合気の温度を高める方法や、特許文献2に開示されているように混合気に点火エネルギーを供給して混合気の一部を燃焼させることにより混合気の温度を高めるいわゆる着火アシストを行う方法が検討されている。
特開2007−85241号公報 特開2011−021553号公報
前記着火アシストを行う場合において、点火エネルギーが加えられる混合気に含まれる燃料が十分に霧化していない場合は、混合気が適正に燃焼しないあるいは排気性能が悪化するという問題が生じる。
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、点火エネルギーを十分に霧化した燃料に供給することができ、これにより、適正な圧縮自己着火燃焼を実現することができるガソリンエンジンを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、燃焼室内に臨む状態で当該燃焼室天井に配設されて、前記燃焼室に形成された少なくとも一部がガソリンからなる燃料と空気との混合気に点火エネルギーを供給可能な点火プラグを備えた火花点火式ガソリンエンジンであって、前記燃料を燃焼室内に噴射する複数の噴口が先端部に形成されているとともに、当該先端部が前記燃焼室天井の径方向中央部分において前記燃焼室内に臨む状態で配設されたインジェクタと、前記インジェクタによる燃料の噴射動作および前記点火プラグによる点火動作を制御する制御手段とを備え、前記インジェクタの各噴口の軸線は、当該各噴口を通じて燃料が前記ピストンの冠面に近づくほど径方向外側に拡がって放射状に噴射される方向に傾斜しており、前記燃焼室天井の径方向中央部分には、前記ピストンの冠面から離間する方向に凹むとともに当該ピストンの冠面に近づくほど径方向外側に広がる内周面を有し、内側に前記インジェクタの先端部が格納されるインジェクタ格納部が形成されており、前記ピストンの冠面の径方向中央部分には、前記燃焼室天井から離間する方向に凹む凹状のキャビティが形成されており、前記キャビティの開口縁は前記インジェクタ格納部の開口縁よりも径方向外側に位置しており、前記点火プラグは、その点火点が、前記インジェクタ格納部の開口縁よりも径方向外側、かつ、前記キャビティの開口縁よりも径方向内側となる位置に配置されており、前記制御手段は、少なくともエンジンの特定運転領域において、前記インジェクタから前記燃焼室内に燃料を噴射させ、かつ、当該噴射された燃料と空気の混合気の自着火を促進するために前記混合気に前記点火プラグから点火エネルギーを供給する着火アシストを圧縮行程後期に実行することにより、前記混合気を自着火により燃焼させるとともに、前記特定領域において、前記着火アシストを実行するタイミングよりも前かつ前記燃焼室のうち前記キャビティよりも径方向外側の部分に混合気が偏在するようなタイミングで前記燃焼室内に燃料を噴射する前段噴射と、当該前段噴射のタイミングと前記混合気に前記点火プラグから点火エネルギーを供給するタイミングとの間のタイミングで前記燃焼室内に燃料を噴射する着火アシスト用噴射と、当該着火アシスト用噴射よりも後でかつ前記前段噴射に基づく混合気の燃焼の終了前であって前記キャビティ内に混合気が偏在するようなタイミングで前記燃焼室内に燃料を噴射する後段噴射とを、前記インジェクタに実行させるとともに、前記着火アシスト用噴射において、前記インジェクタに、前記前段噴射および後段噴射時よりも少量の燃料を噴射させることを特徴とする火花点火式ガソリンエンジンを提供する(請求項1)。
本発明によれば、点火点に十分に霧化された燃料が供給されるため、SOOTの発生等を抑制して排気性能を高めつつ適正な圧縮自己着火燃焼を実現することができる。
具体的には、本発明では、前記インジェクタの先端部が燃焼室天井に形成されてピストンの冠面から離間する方向に凹むインジェクタ格納部内に格納されているとともに、点火点が、インジェクタ格納部の開口縁よりも径方向外側に位置しており、インジェクタの先端部の各噴口から点火点までの距離が長くされている。そのため、点火点に到達するまでに、より多くの燃料を霧化させることができる。
また、本発明では、インジェクタ格納部の開口縁よりも径方向外側に開口縁が位置するキャビティが、ピストンの冠面に形成されているとともに、前記点火点が、前記インジェクタ格納部の開口縁よりも径方向外側、かつ、前記キャビティの開口縁よりも径方向内側に配置されている。そのため、インジェクタ先端部から噴出された燃料は、直接点火点に到達せず、点火点には、コアンダ効果によって吸い寄せられ、これに伴って霧化された燃料が到達する。また、前記燃料を、インジェクタ格納部から前記キャビティ内に流入する際に径方向外側に拡散させて霧化を促進することができ、点火点近傍に、より霧化された燃料を供給することができる。さらに、前記着火アシストが圧縮行程後期に実行されており、ピストンの上昇(燃焼室天井面に近接する方向の移動)に伴って、燃焼室内に噴射された燃料が拡散しつつ上方に巻き上げられるため、前記点火点近傍により霧化された燃料を到達させることができる。
そして、このように、十分に霧化された燃料を点火点に供給することができるため、本発明では、圧縮行程後期で少量の燃料を着火アシスト用噴射させた場合において、この燃料をより確実に燃焼させることができ、この少量の着火アシスト用噴射によって燃焼室内の全体の混合気が燃焼してしまうのを回避することができる。すなわち、着火アシスト用噴射による燃焼を、燃焼室内の温度を混合気が自着火可能な温度に上げるだけの燃焼にとどめつつ、その後の圧縮自己着火を誘発させることができる。
さらに、本発明では、着火アシストを実行するタイミングよりも前かつ燃焼室のうちキャビティよりも径方向外側の部分に混合気が偏在するようなタイミングで燃焼室内に燃料を噴射する前段噴射と、前段噴射のタイミングと混合気に点火プラグから点火エネルギーを供給するタイミングとの間のタイミングで燃焼室内に燃料を噴射する着火アシスト用噴射と、着火アシスト用噴射よりも後でかつ前段噴射に基づく混合気の燃焼の終了前であってキャビティ内に混合気が偏在するようなタイミングで燃焼室内に燃料を噴射する後段噴射とを実施しており、各噴射に基づく混合気の形成場所が構造的に明確に分離され、それぞれの混合気の燃焼独立性が十分に担保されるため、燃焼室内の混合気が同時に燃焼することで燃焼騒音が増大するといった事態、あるいは、SOOTが多量に発生するという事態をより確実に回避することができる。
前記インジェクタ格納部およびインジェクタの具体的構成としては、インジェクタ格納部の内周面が、前記燃焼室天井の径方向中央部分を頂部とする略円錐面状を有し、この頂部に前記インジェクタの先端部が配置されているものが挙げられる(請求項2)。
本発明において、前記キャビティの径方向中央部分には、前記燃焼室天井に近接する方向に突出して、頂部が前記インジェクタ格納部の径方向中央と対向する***部が形成されているのが好ましい(請求項3)。
この構成によれば、燃焼室天井面とキャビティの内周面とで囲まれる部分の容積ひいてはこの部分の混合気の当量比を径方向にほぼ均一として当量比の不均一に伴う異常燃焼の発生を回避することができる。
また、本発明において、前記点火プラグの点火点は、前記インジェクタ格納部の開口縁よりも径方向外側において、前記燃焼室天井とほぼ同じ高さ位置に位置しているのが好ましい(請求項4)。
この構成では、インジェクタから噴射された燃料が点火点に直接あたるのをより確実に回避することができるため、燃料の液滴が点火点に付着することに伴う点火性能の悪化を抑制することができる。
また、本発明において、前記燃焼室と連通する吸気ポートおよび排気ポートと、互いに隣接する位置に配置されて前記吸気ポートを開閉可能な複数の吸気バルブと、互いに隣接する位置に配置されて前記排気ポートを開閉可能な複数の排気バルブとを備え、前記点火プラグは、互いに隣接する排気バルブ間に配置されているのが好ましい(請求項5)。
この構成によれば、点火プラグの取り付け位置を確保しつつ、吸気バルブのバルブ面積を大きくして燃焼室に流入する吸気量ひいてはエンジントルクを確保することができる。
前記点火プラグのうち点火点近傍の部分は、点火エネルギーの供給が停止されている場合であっても比較的高温を維持している。そのため、点火エネルギーの供給を停止させて燃焼室内の混合気を自着火により燃焼させる場合において、燃料と点火点とが接触して点火点から燃料に熱エネルギーが供給されると、早期着火等の異常燃焼が生じるおそれがある。これに対して、本発明では、前記のように、点火点がインジェクタ格納部の開口縁よりも径方向外側に配置されて、燃料が直接点火点に当たるのが抑制されているので、点火エネルギーの供給停止時において点火点から燃料に加えられる熱エネルギーを抑制して異常燃焼をより確実に回避することができる。
そのため、本発明は、前記制御手段は、前記特定運転領域を除く運転領域のうち少なくとも一部の限定領域において、前記インジェクタから前記燃焼室内に燃料を噴射させる一方、前記点火プラグによる前記燃焼室内の混合気への点火エネルギーの供給を停止させて、当該燃焼室内の混合気を自着火により燃焼させるものに適用されるのが好ましい(請求項)。
以上説明したように、本発明によれば、排気性能を向上させつつ適正な圧縮自己着火燃焼を実現することができる。
本発明の一実施形態に係るガソリンエンジンの全体構成を示す図である。 図1に示すガソリンエンジンのシリンダヘッドの概略平面図である。 図1に示す燃焼室周辺を拡大して示す概略断面図である。 前記エンジンの制御系を示すブロック図である。 エンジンの運転状態に応じた燃焼形態を選択するための制御マップの一例を示す図である。 図5の第1運転領域(A1)における制御内容を説明するためのタイムチャートである。 図5の第2運転領域(A2)における制御内容を説明するためのタイムチャートである。 図5の第3運転領域(A3)における制御内容を説明するためのタイムチャートである。 図5の第4運転領域(A4)における制御内容を説明するためのタイムチャートである。 (a)〜(f)は、前記第2運転領域(A2)で行われる燃料噴射とそれに基づく混合気の燃焼を模式的に説明するための図である。 (a)〜(f)は、前記第3運転領域(A3)で行われる燃料噴射とそれに基づく混合気の燃焼を模式的に説明するための図である。 前記第3運転領域(A3)で行われる複数段の燃料噴射がそれぞれどのような領域で燃焼するかを模式的に説明するための図である。 本発明の他の実施形態に係るガソリンエンジンの燃焼室周辺を示した図である。 本発明の他の実施形態に係るガソリンエンジンの燃焼室周辺を示した図である。 本発明の他の実施形態に係るガソリンエンジンの燃焼室周辺を示した図である。 図14に示す実施形態に係るガソリンエンジンの点火点の位置を説明するための概略図である。
(1)エンジンの全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかるエンジンの全体構成を示す図である。本図に示されるエンジンは、走行駆動用の動力源として車両に搭載される往復ピストン型の多気筒ガソリンエンジンである。このエンジンのエンジン本体1は、紙面に直交する方向に並ぶ複数の気筒2(図中ではそのうちの1つのみを示す)を有するシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上面に設けられたシリンダヘッド4と、各気筒2に往復摺動可能に挿入されたピストン5とを有している。エンジン本体1に供給される燃料は、ガソリンを主成分とするものである。なお、この燃料はガソリンが主成分であればよく、その中身は、全てガソリンであってもよいし、ガソリンにエタノール(エチルアルコール)等を含有させたものでもよい。以下、適宜、前記ピストン5の軸方向であってその摺動方向を上下方向といい、シリンダヘッド4側を上側、シリンダブロック3側を下側という。
前記エンジン本体1すなわち気筒2の幾何学的圧縮比は、理論熱効率の向上や、後述する圧縮自己着火燃焼の安定化等を目的として、14以上という高い値に設定されている。なお、この幾何学的圧縮比は、実用上の観点等から20程度が限界であると考えられる。そのため、前記幾何学的圧縮比は、14以上20以下の範囲の適宜の値に設定される。
前記ピストン5は、コネクティングロッド8を介してクランク軸7と連結されている。前記ピストン5の往復運動に応じて、前記クランク軸7はその中心軸回りに回転する。
前記ピストン5の上方には燃焼室6が形成されている。燃焼室6には、吸気ポート9および排気ポート10が開口している。前記シリンダヘッド4には、各ポート9,10を開閉する吸気弁11および排気弁12がそれぞれ設けられている。なお、図例のエンジンはいわゆるダブルオーバーヘッドカムシャフト式(DOHC)エンジンである。各気筒につき前記吸気ポート9および排気ポート10が2つずつ設けられるとともに、前記吸気弁11および排気弁12も2つずつ設けられている。
図2に示すように、2つの吸気弁11と2つの排気弁12とは、燃焼室6の中心線Lを挟んでそれぞれ両側に設けられている。すなわち、図2において、2つの吸気弁11は、燃焼室6の中心線Lよりも下側部分に設けられており、この部分において中心線Lと略平行な方向に並んでいる。また、図2において、2つの排気弁12は、燃焼室6の中心線Lよりも上側部分に設けられており、この部分において中心線Lと略平行な方向に並んでいる。
ここで、「燃焼室」とは、狭義には、ピストン5が上死点にあるときにその上方に形成される空間のことを指すが、ここでいう燃焼室6とは、ピストン5の上下位置にかかわらずその上方に形成される空間のことを指す(広義の燃焼室)。
前記吸気弁11および排気弁12は、それぞれ、シリンダヘッド4に配設された一対のカムシャフト(図示省略)等を含む動弁機構13,14によりクランク軸7の回転に連動して開閉駆動される。
前記吸気弁11用の動弁機構13には、CVVL15が組み込まれている。CVVL15は、連続可変バルブリフト機構(Continuous Variable Valve Lift Mechanism)と呼ばれるものであり、吸気弁11のリフト量を連続的に(無段階で)変更するものである。CVVL15は、エンジンの全ての吸気弁11のリフト量を変更できるように設けられており、このCVVL15が駆動されると、各気筒2において一対の吸気弁11のリフト量が同時に変更されるようになっている。
このような構成のCVVL15は既に公知であり、その具体例として、吸気弁11駆動用のカムをカムシャフトの回転と連動して往復揺動運動させるリンク機構と、リンク機構の配置(レバー比)を可変的に設定するコントロールアームと、コントロールアームを電気的に駆動することによって前記カムの揺動量(吸気弁11を押し下げる量)を変更するステッピングモータとを備えたものを挙げることができる(例えば特開2007−85241号公報参照)。
前記排気弁12用の動弁機構14には、吸気行程中に排気弁12を押し下げる機能を有効または無効にするON/OFFタイプの可変バルブリフト機構(Variable Valve Lift Mechanism)であるVVL16が組み込まれている。すなわち、VVL16は、排気弁12を排気行程だけでなく吸気行程でも開弁可能にするとともに、この吸気行程中の排気弁12の開弁動作を実行するか停止するかを切り替える機能を有している。VVL16は、エンジンの全ての排気弁12に対応して設けられており、かつ、各気筒2の一対の排気弁12に対し、それぞれ個別に、吸気行程中の開弁動作を実行または停止できる。
このような構成のVVL16は既に公知であり、その具体例として、排気弁12駆動用の通常のカム(排気行程中に排気弁12を押し下げるカム)とは別に吸気行程中に排気弁12を押し下げるサブカムと、このサブカムの駆動力が排気弁12に伝達されるのを有効または無効にするいわゆるロストモーション機構とを備えたものを挙げることができる(例えば特開2007−85241号公報参照)。
このVVL16の作用により、排気弁12が排気行程中に加えて吸気行程中に開弁した場合には、排気行程において高温の排気が排気ポート10から燃焼室6に逆流して、燃焼室6内に大量の排気が残留する。すなわち内部EGRガス量が多く確保される。一方、排気弁12が排気行程中にのみ開弁した場合には、内部EGRガス量は少量あるいはない状態に抑えられる。
前記エンジン本体1の吸気ポート9および排気ポート10には、吸気通路28および排気通路29がそれぞれ接続されている。
前記吸気通路28は、単一の通路からなる共通通路部28cと、共通通路部28cの下流側端部に設けられたサージタンク28bと、気筒2ごとに分岐して設けられ、前記サージタンク28bと各気筒2の吸気ポート9とを接続する分岐通路部28aとを有している。
前記排気通路29は、単一の通路からなる共通通路部29cと、気筒2ごとに分岐して設けられ、前記共通通路部29cの上流側端部と各気筒2の排気ポート10とを接続する分岐通路部29aとを有している。
前記吸気通路28および排気通路29の間には、排気通路29を通過する排気ガスの一部を吸気通路28に還流させる外部EGR装置30が設けられている。外部EGR装置30は、吸気通路28および排気通路29の各共通通路部28c,29cどうしを連通するEGR通路31と、EGR通路31の途中部に設けられてEGR通路31を通過する排気の流量を制御するEGRバルブ32と、EGR通路31を通過する排気を冷却する水冷式のEGRクーラ33とを有している。
前記吸気通路28の共通通路部28cには、吸気通路28を通過する吸入空気の量を調節するスロットル弁25が設けられている。ただし、本実施形態では、前記CVVL15により吸気弁11のリフト量が調整され、また、VVL16により燃焼室6の内部EGRガスの量が調整され、さらには、外部EGR装置30により吸気通路28に還流される排気ガスの量が調整される。したがって、これらの操作に基づいて、スロットル弁25を操作することなく、燃焼室6に導入される空気(新気)の量を調整することが可能である。このため、スロットル弁25は、エンジンの停止時等を除いて、全開もしくはそれに近い値に維持される。
前記排気通路29の共通通路部29cには、排気ガス浄化用の触媒コンバータ35が設けられている。触媒コンバータ35には例えば三元触媒が内蔵されており、排気通路29を通過する排気ガス中の有害成分は、前記三元触媒の作用により浄化される。
また、エンジン本体には、各種センサが取り付けられている。例えば、エンジン冷却水の温度を検出するための水温センサSW1、クランク軸7の回転角度(クランク角)ひいてはエンジン回転数を検出するためのクランク角センサSW2、前記カムシャフトの角度を検出して気筒判別(各気筒が吸気、圧縮、膨張、排気のいずれの行程にあるかの判別)用の信号を出力するカム角センサSW3が、エンジン本体に取り付けられている。
図3は、前記燃焼室6周辺を示した図である。この図3等に示すように、燃焼室6の内周面の一部を構成するピストン5の冠面の径方向中央部分には、下方(燃焼室天井面60から離間する方向)に凹む凹状のキャビティ40が設けられている。
前記キャビティ40の径方向中央部分には、上方(燃焼室天井面60に近接する方向)に突出する***部40bが形成されている。この***部40bは、キャビティ40の径方向中央を通り上下に延びる線すなわちピストン5の軸線u1を中心軸とする略円錐状を有している。キャビティ40の内周面40aのうちこの***部40bよりも径方向外側の部分40cは、径方向外側に向かうに従って上方に向かうように湾曲した後、上方に向かうに従って径方向内側に向かうように湾曲している。すなわち、本実施形態では、キャビティ40は、その上端の開口部40dから所定深さまでの範囲において、上方に至るほど内径が狭くなるように上窄まり状になっている。
前記キャビティ40よりも径方向外側に位置するピストン5の冠面には、平面視円環状の環状凹部41が、キャビティ40の周囲を取り囲むように設けられている。この環状凹部41は、径方向外側に至るほど高さが低くなるように形成されている。この環状凹部41の最大深さ(最外周部の深さ)は、キャビティ40の深さよりも浅く設定されている。
また、前記環状凹部41よりもさらに径方向外側に位置するピストン5の最外周部には、前記環状凹部41よりも上方に突出した円環状の立壁部42が設けられている。この立壁部42の突出高さは、前記キャビティ40上端の開口部40dを囲む部分(リップ部)と同一に設定されている。
前記シリンダヘッド4の底面で構成される燃焼室6の天井面60の径方向中央部分には、ピストン5の冠面から離間する方向に凹むインジェクタ格納部62が設けられている。前記燃焼室6の天井面60のうち前記インジェクタ格納部62よりも径方向外側の部分63は、ピストン5の軸線u1と直交する平面となっている。すなわち、前記燃焼室6の天井面60は、いわゆるフラットヘッドの径方向中央部分に上方に凹む前記インジェクタ格納部62が形成された形状を有している。
前記インジェクタ格納部62は、燃焼室6の天井面60の径方向中央部分を頂部とする略円錐状を有している。このインジェクタ格納部62の頂部と前記***部40bの頂部とは対向している。詳細には、このインジェクタ格納部62の径方向中央部分には、シリンダヘッド4の内部に形成されて前記インジェクタ21が取り付けられる取り付け部66が開口しており、インジェクタ格納部62の内周面62aはこの開口部66aから下方に向かって円錐台状に延びている。
前記インジェクタ格納部62の下端の開口縁62bは、前記キャビティ40の上端の開口縁40eよりも径方向内側に位置している。本実施形態では、このインジェクタ格納部62の下端の開口縁62bは、前記***部40bの径方向外側端よりも内側に位置している。すなわち、図2に示すように、インジェクタ格納部62は、ピストン5の軸線u1の一方向から見た平面視で、キャビティ40の内側に位置しており、キャビティ40のうちの径方向外側部分は燃焼室天井面60のうちインジェクタ格納部62よりも径方向外側の部分63(以下、適宜、この燃焼室天井面60のうちインジェクタ格納部62よりも径方向外側の部分をフラットヘッド面63という)と対向している。
ここで、前記***部40bが形成されることで、この***部40bがない場合に比べてキャビティ40の径方向中央部分の容積は減少する。しかしながら、前記燃焼室天井60の径方向中央部分には、上方に凹むインジェクタ格納部62が形成されている。そのため、燃焼室天井面60とキャビティ40の内周面40aとで囲まれる部分の容積は、ほぼ均一とされる。
前記シリンダヘッド4には、点火プラグ20およびインジェクタ21が、各気筒2につき1組ずつ設けられている。
前記インジェクタ21には燃料供給管23(図1参照)が接続されており、この燃料供給管23を通じて供給される燃料(ガソリンを主成分とする燃料)が前記インジェクタ21の先端部I1から噴射される。
前記燃料供給管23の上流側には、クランク軸7と連動連結されたプランジャー式のポンプ等からなる高圧燃料ポンプが接続されているとともに、この高圧燃料ポンプと前記燃料供給管23との間には、全気筒に共通の蓄圧用のコモンレールが設けられている。そして、このコモンレール内で蓄圧された燃料が各気筒2のインジェクタ21に供給されることにより、各インジェクタ21からは、30MPa以上の高い圧力の燃料が噴射されるようになっている。なお、燃料噴射圧力の上限値は、実用上の観点等から120MPa程度であると考えられるため、前記インジェクタ21からの噴射圧力は、30MPa以上120MPa以下の範囲の適宜の値に設定される。
前記インジェクタ21は、いわゆる多噴口型のインジェクタである。本実施形態では、前記インジェクタ21は、その先端部I1に12個の噴口を有している。前記インジェクタ21は、その先端部I1が前記インジェクタ格納部62の頂部すなわち前記取り付け部66の開口部66aに位置し、その軸線u1がインジェクタ格納部62の頂部すなわち燃焼室6の天井面60の径方向中央を通り、このインジェクタ格納部62の頂部からインジェクタ格納部62内に臨む姿勢で、前記取り付け部66に取り付けられている。前記各噴口21aは、インジェクタ21の軸線u1を中心とする円周上に互いに等間隔に形成されており、各噴口21aの軸線u2すなわち各噴口21aの開口方向は、径方向外側に向かって斜め下方(ピストン4の冠面側)を向いている。前記インジェクタ21の各噴口21aから燃料が噴射された場合、その燃料は、ピストン5の冠面に近づくほど径方向外側に拡がるように放射状に噴射される。本実施形態では、各噴口21aの軸線u2は、インジェクタ21の軸線u1に対して45度傾斜している。すなわち、図3における角度α1は、45度に設定されている。
前記インジェクタ格納部62の内周面62aは、前記インジェクタ21から噴射された燃料がこの内周面62aに衝突しないように、この燃料の通過領域F1よりも径方向外側に位置している。本実施形態では、前記インジェクタ格納部62の内周面62aは、側面視で、前記燃料の通過領域F1よりも径方向外側においてインジェクタ21の噴口21aの軸線u2と平行に延びている。燃料の通過領域F1とは、各噴口21aから噴射された燃料が燃焼室6の壁面に到達する前に通過する領域であり、各噴口21aを頂点として各噴口21aの軸線u2を中心軸とした各噴口21aの噴霧角度α2を頂角とする円錐状の領域である。例えば、噴霧角度α2は、15度に設定されている。
ここで、前述のように、前記インジェクタ格納部62の下端の開口縁62bは、前記キャビティ40の上端の開口縁40eよりも径方向内側に位置しており、インジェクタ格納部62内の空間よりもキャビティ40内の空間の方が径方向に広がっている。そのため、インジェクタ21から噴射された燃料は、前記インジェクタ格納部62内を通過した後、前記キャビティ40の径方向外側部分に流入し、この流入時に径方向に拡散し、霧化される。
前記点火プラグ20は、図外の点火回路からの給電に応じてその先端から火花を放電して燃焼室6内の混合気に点火エネルギーを供給し、この混合気に点火する。本実施形態では、前記点火プラグ20は、前記燃焼室6の天井面60のうちの前記フラットヘッド面63から燃焼室6内を臨む状態で、取り付けられている。より詳細には、シリンダヘッド4のうち前記フラットヘッド面63と前記インジェクタ格納部62との境界部分に、上方に凹む点火プラグ退避部62cが形成されており、点火プラグ20は、この点火プラグ退避部62cから燃焼室6内を臨んでいる。
前記取り付け状態において、前記点火プラグ20の先端に設けられた外側電極と内側電極との中間部分すなわち点火点S1は、前記インジェクタ格納部62の下側開口縁62bよりも径方向外側であって、前記燃料の通過領域F1と重複しない位置に配置されている。本実施形態では、前記点火点S1は、側面視で、前記フラットヘッド面63と同じ高さ位置に配置されており、前記燃料の通過領域F1よりも径方向外側に位置している。
このように、前記点火点SIは、インジェクタ格納部62の頂部に位置するインジェクタ21の先端部I1から離間した位置に配置されており、、インジェクタ21の先端部I1から噴射された燃料は、点火点SI付近に到達するまでの間に霧化する。また、点火点SIは、前記インジェクタ格納部62の下側開口縁62bよりも径方向外側であって前記燃料の通過領域F1よりも径方向外側に位置しているため、点火点SI近傍には、前記インジェクタ格納部62からキャビティ40内に流入するのに伴って拡散、霧化された燃料が到達する。ここで、点火点SIは、前記燃料の通過領域F1よりも径方向外側に位置しているが、高速で通過する流体の周囲に物体を配置すると流体がこの物体に吸い寄せられるというコアンダ効果によって、図3のQcで示したように、燃料は、拡散しつつ点火点SI側に吸い寄せられるため、点火点SIには、十分に霧化された燃料が供給される。
(2)制御系
図4は、エンジンの制御系を示すブロック図である。本図に示されるECU50は、エンジンの各部を統括的に制御するための装置であり、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されている。
前記ECU50には、エンジン本体に設けられた前記水温センサSW1、クランク角センサSW2、およびカム角センサSW3等の各種センサから種々の情報が入力される。また、ECU50には、車両に設けられた各種センサからの情報も入力される。例えば、運転者により踏み込み操作される図外のアクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサSW4から、アクセル開度の情報がECU50に入力される。
前記ECU50は、その主な機能的要素として、判定手段51、インジェクタ制御手段52、吸気制御手段53、内部EGR制御手段54、外部EGR制御手段55、および点火制御手段56を有している。
前記判定手段51は、クランク角センサSW2およびアクセル開度センサSW4の各検出値から特定されるエンジンの回転数Neおよび負荷T(目標トルク)に基づいて、現在のエンジンの運転領域が図5の制御マップにおけるいずれの運転領域であるかを判定する。
前記図5の制御マップにおいて、エンジン負荷Tが比較的低い領域(低負荷域)には、全ての回転速度域にわたって第1運転領域(限定領域)A1が設定されている。また、この第1運転領域A1よりも負荷Tが高い中負荷域には、低回転側から順に第2運転領域(限定領域)A2および第3運転領域(特定領域)A3が設定されている。つまり、エンジンの中負荷域において、回転速度Neが所定値(例えば2000〜3000rpm程度)よりも低い領域に第2運転領域A2が設定されるとともに、この第2運転領域A2よりも回転速度Neの高い領域に第3運転領域A3が設定されている。さらに、前記第2、第3運転領域A2,A3よりも負荷Tが高い高負荷域には、全ての回転速度域にわたって第4運転領域A4が設定されている。
エンジンの運転中においては、エンジンの運転点(負荷Tおよび回転速度Neの各値から特定される制御マップ上でのポイント)が前記図5中のどの運転領域(A1〜A4)に該当するかが都度判断され、各運転領域に応じた適切な制御が実行されるようになっている。
前記図5の制御マップに基づく制御の中身について簡単に説明しておく。この制御マップのうち、最も高負荷側に設定された第4運転領域A4を除く部分負荷の領域、つまり第1運転領域A1、第2運転領域A2、および第3運転領域A3は、そのいずれもが、ピストン5の圧縮作用により混合気を自着火させるCI燃焼(圧縮自己着火燃焼)の実行領域として規定されている。ただし、各領域A1〜A3では、インジェクタ21からの燃料噴射の形態や、点火プラグ20を利用した着火アシストの有無、さらには内部EGRまたは外部EGRの有無等が異なる(その詳細については後述する)。ここでは、前記各領域A1〜A3で実行されるCI燃焼用の制御のことを、それぞれ「リーンHCCIモード」「多段CIモード」「SA−多段CIモード」と称する。
一方、前記第1〜第3運転領域A1〜A3よりも高負荷側に設定された第4運転領域A4では、CI燃焼ではなく、点火プラグ20を用いた火花点火(Spark Ignition)をきっかけに混合気を火炎伝播により燃焼させる燃焼形態(以下、SI燃焼と略称する)が選択される。ただし、前記第4運転領域A4でのSI燃焼は、一般的なSI燃焼とは異なり、燃料の噴射時期および点火時期を遅めに設定しつつ混合気を急速な火炎伝播により燃焼させるものであり(その詳細については後述する)、このような燃焼を実現するための前記第4運転領域A4での制御のことを、ここでは「急速リタードSIモード」と称する。
なお、これら第1〜第4運転領域A1〜A4からなる制御マップは、基本的に、エンジン水温センサSW1により検出された冷却水温が所定値(例えば80℃)以上となる温間状態のときのものである。エンジンが冷間状態にあるときの制御マップについては、ここでは説明を省略する。
再び図4に戻って、前記インジェクタ制御手段52は、前記インジェクタ21から燃焼室6に噴射される燃料の噴射量や噴射時期を制御するものである。具体的に、このインジェクタ制御手段52は、負荷Tやエンジン回転数Ne等に基づいて、目標とする燃料の噴射量および噴射時期を演算し、その演算結果に基づいてインジェクタ21を駆動する。
前記吸気制御手段53は、前記CVVL15を駆動して吸気弁11のリフト量(開弁量)を変更する。例えば、吸気制御手段53は、エンジンの負荷Tが高い場合には、燃焼室6に多量の空気(新気)を導入すべく、吸気弁11のリフト量を増大させる。一方、吸気制御手段53は、エンジンの負荷Tが低い場合には、吸気弁11のリフト量を低減する。
前記内部EGR制御手段54は、前記VVL16を駆動して排気弁12の吸気行程中の開弁を実行または停止することにより、燃焼室6に残留する内部EGRガス量を調整する。なお、本実施形態において、VVL16付きの排気弁12が1気筒あたり2つ設けられているので、吸気行程中に開弁する排気弁12の数を0,1,2の間で切り替えることにより、内部EGRガス量を段階的に変化させることが可能である。
前記外部EGR制御手段55は、前記EGR通路31に設けられたEGRバルブ32の開度を変更して、排気通路29から吸気通路28に還流する排気ガス量すなわち外部EGR量を調整する。
前記点火制御手段56は、前記点火プラグ20が火花放電を行うタイミング(点火時期)等を制御する。
(3)各運転領域の具体的制御手順
次に、前記ECU50が、前記第1運転領域A1〜第4運転領域A4で、それぞれどのような制御を実施するのかを具体的に説明する。
まず、ECU50は、エンジンの運転が開始されると、前記クランク角センサSW2およびアクセル開度センサSW4の各検出値に基づいて、エンジンの運転点(負荷Tおよび回転数Ne)が図5の制御マップにおけるどの運転領域に該当するかを逐次判定する。そして、判定された運転領域に応じて、それぞれ以下のような制御を実行する。
なお、この説明の前提として、エンジンの冷却水温は充分に暖まっている(つまり温間時の運転である)ものとする。そして、本実施形態では、ECU50は、温間時において、エンジンの運転点が前記運転領域A1〜A3のいずれにあっても、圧縮自己着火燃焼が実現される制御を実施する。ただし、適切な圧縮自己着火燃焼を行わせるには、インジェクタ21からの燃料噴射時期や、内部EGRまたは外部EGRの有無や、点火プラグ20からの点火の有無等を、運転領域A1〜A3によって変化させる必要がある。そのため、ECU50は、前記インジェクタ21、点火プラグ20、CVVL15、VVL16、およびEGRバルブ32等を、エンジンの運転点を逐次判定しながら制御する。
(i)第1運転領域A1
図6は、エンジンが第1運転領域A1で運転されている場合の燃料噴射時期と吸排気弁11,12のリフト特性、およびそれに基づく燃焼により生じる熱発生率(J/deg)を示す図である。本図に示すように、第1運転領域A1では、圧縮行程の前に噴射された燃料と空気との混合気をピストン5の圧縮作用によって自着火させる、一般的な予混合圧縮自己着火燃焼が実行される。具体的に、この第1運転領域A1では、吸気行程中の所定時期にインジェクタ21から燃焼室6に燃料が噴射(P)され、この燃料噴射Pにより噴射された燃料と、吸気通路28から燃焼室6に導入される空気(新気)との混合気が、ピストン5の圧縮作用により高温、高圧化し、圧縮上死点(圧縮行程と膨張行程の間のTDC)付近で自着火する。すると、このような自着火に基づき、波形Qaに示すような熱発生を伴う燃焼が生じることになる。
ただし、第1運転領域A1は、負荷Tが比較的低く、インジェクタ21から噴射される燃料の量が少ないため、筒内温度を意図的に上昇させないと、失火が起きるおそれがある。そこで、前記第1運転領域A1では、VVL16を駆動して排気弁12を吸気行程中に開弁させることにより、燃焼室6で生成された排気ガスを燃焼室6に逆流させて、燃焼室6内の内部EGRを多量に確保する。すなわち、排気弁12は、排気行程に加えて(図6のリフトカーブEX)、吸気行程でも開弁する(リフトカーブEX’)。このように、高温の内部EGRガス量が多く確保されると、燃焼室6内の混合気の温度は高温となり、混合気の自着火が促進される。なお、内部EGRガス量は、低負荷側ほど多く、高負荷側ほど少なく設定される。そのための制御として、例えば、第1運転領域A1における低負荷域(無負荷に近い領域)では、吸気行程中に開弁する排気弁12の数が2つとされ、それよりも負荷が高くなると、開弁数が1つに減らされる。
前記のように、第1運転領域A1では、排気弁12の再開弁(吸気行程中の開弁)に基づく内部EGRガス量が増大されるのに伴い、外部EGRガスの導入は停止される。すなわち、EGR通路31に設けられたEGRバルブ32の開度が全閉に設定されることにより、排気通路29から吸気通路28への排気ガスの還流が停止される。また、点火プラグ20による混合気への点火は停止される。
ここで、後述するように、第3運転領域A3では、混合気の自着火を促進する着火アシストとして点火プラグ20により混合気に点火が行われる。そのため、点火プラグ20のうち点火点SI近傍の部分は、この第3運転領域A3での運転が一旦行われると、点火を停止している場合であっても高温となっている。一方、前述のように、点火プラグ20の点火点SIは、前記燃料の通過領域F1と重複しない位置に配置されている。そのため、高温の点火点SI近傍の部分により混合気が昇温されるのは回避され、この点火を停止する第1運転領域A1において、前記混合気が自着火する前に燃焼する、すなわち、過早着火するのは回避され、適正な圧縮自己着火燃焼が実現される。
なお、前記第1運転領域A1では、燃焼室6内の混合気の空燃比(実空燃比)を理論空燃比(14.7)で割った値である空気過剰率λが、λ=2以上という大幅にリーンな値に設定される。そのため、CVVL15の駆動により吸気弁11(リフトカーブIN)のリフト量を増減する制御が実行され、燃焼室6に導入される新気の量が、前記インジェクタ21からの燃料噴射量に対しかなり過剰になるように制御される。このように大幅にリーンに設定された混合気を燃焼させた場合、燃焼温度が大幅に低下するため、冷却損失を低減して熱効率(燃費)を向上させることができる。なお、λ=2以上までリーンになると、三元触媒によるNOxの浄化作用はほとんど期待できなくなるが、λ=2以上であれば、燃焼により生じるNOx量(生のNOx量)が大幅に少なくなるため、三元触媒以外に特別な触媒(例えばNOxトラップ触媒)を設けなくても、排気ガス中に含まれるNOxの量を十分に小さい値に抑制することができる。
(ii)第2運転領域A2
前記第1運転領域A1よりも負荷Tが高く、かつ回転速度Neが比較的低い領域に設定された第2運転領域A2では、図7に示すような制御が実行される。すなわち、第2運転領域A2では、圧縮上死点を挟んだ2回(P1,P2)に分けてインジェクタ21から燃料を噴射させる分割噴射が実行される。以下では、圧縮行程中に実行される1回目の燃料噴射P1を前段噴射、それより後の圧縮上死点付近(図例では膨張行程のごく初期)に実行される2回目の燃料噴射P2を後段噴射と称する。また、点火プラグ20による混合気への点火は停止される。
なお、当明細書において、ある行程の「後期」とか「初期」とかいう場合は、その行程を初期、中期、後期に3分割したときの後期あるいは初期を指すものとする。例えば、圧縮行程の後期であれば、圧縮上死点前(BTDC)60〜0°CAの範囲を指し、膨張行程の初期であれば、圧縮上死点後(ATDC)0〜60°CAの範囲を指すことになる。
具体的に、当実施形態において、前記多段CIモードのときの前段噴射P1のタイミング(より正確には開始タイミング)は、シリンダブロック3の壁面(燃焼室6の側面)に燃料が直撃して燃料がこの壁面に付着しないタイミングである圧縮上死点前(BTDC)60℃A(CAはクランク角を表す)前後から、キャビティ40の中に燃料が多く進入せずにキャビティ40内の混合気の空燃比が超リーン状態となるタイミングである圧縮上死点前(BTDC)50℃A前後までの間に設定される。
前記前段噴射P1および後段噴射P2によるトータルの噴射量は、第2運転領域A2に対応する高い負荷に合わせて、第1運転領域A1のとき(燃料噴射Pによる噴射量)よりも増大される。また、このように増大設定される燃料噴射量に応じた多量の新気を燃焼室6に導入すべく、CVVL15が駆動されて吸気弁11のリフト量が増大される(リフトカーブIN)。そして、前記のように分割噴射された燃料と空気(新気)との混合気が圧縮上死点付近で自着火することにより、図7の波形Qbに示すように、時期の異なる2つのピークを有するような熱発生を伴う燃焼が生じる。なお、このような波形Qbの形状はあくまで概念的なものであり、実際には2つのピークが明確に現れない場合も当然にあり得る。
前記のように前段噴射P1および後段噴射P2に分けて燃料を噴射するようにしたのは、燃焼騒音等の問題を考慮してのものである。すなわち、燃料噴射量の多い前記第2運転領域A2では、燃料を1回で噴射してしまうと、噴射された多量の燃料が短時間で全て燃焼する急激な燃焼が起きることにより、筒内圧力が急上昇し、燃焼騒音が著しく増大する等の事態を招くおそれがある。そこで、前記のように燃料を分割噴射することにより、比較的マイルドな燃焼が継続的に起きるようにして、前記のような燃焼騒音の増大等を回避するようにしている。
ただし、たとえ燃料噴射を複数回に分割しても、インジェクタ21の配置やピストン5の形状によっては、各回に噴射された燃料どうしが混じり合い、その混じり合った燃料がほとんど同時に燃焼することがある。このように、噴射タイミングが異なる燃料どうしが混じり合った状態で燃焼が起きると、燃焼騒音が過大になるばかりでなく、燃焼時に必要な酸素が局所的に著しく不足し、多量のスート(炭素質粒子)が発生するおそれがある。
このような問題に対し、当実施形態では、インジェクタ21が燃焼室6天井の径方向中央部分に配置されるとともに、ピストン5の冠面がキャビティ40等を有する特殊な形状に形成されているため、分割噴射された燃料が同時に燃焼してしまうことがなく、前記のような燃焼騒音の増大やスートの大量発生を回避することが可能である(その詳細なメカニズムについては後述する)。
また、前記第2運転領域A2では、前記のような燃料の分割噴射制御に加えて、吸気行程中に排気弁12を押し下げる機能を無効にするようにVVL16が駆動され、排気弁12の吸気行程中の開弁が停止される。これにより、排気ガスが燃焼室6に逆流することがほとんどなくなり、内部EGRが禁止される。
一方、第2運転領域A2では、前記のように禁止された内部EGRに代わり、外部EGRが実行される。すなわち、EGR通路31に設けられたEGRバルブ32が所定開度まで開かれることにより、排気通路29から吸気通路28へ排気ガスを還流させる操作が実行される。
このように、内部EGRから外部EGRへと切り替えるのは、燃焼室6内の新気の量を確保するため、および、異常燃焼を回避するためである。すなわち、第2運転領域A2は、第1運転領域A1よりもエンジン負荷Tが高く、より多くの新気量が必要になるとともに、噴射されるトータルの燃料が多いことに伴ってプリイグニッションやノッキング等の異常燃焼が起きるおそれがある。そこで、内部EGRから外部EGRに切り替えて、EGRクーラ33付きのEGR通路31を通過した(つまりEGRクーラ33により冷却された)排気ガスを吸気通路28に還流させることにより、EGRガスの体積を減少させて燃焼室6内の新気の量を確保するとともに、燃焼室6の高温化を防ぎ、前記のような異常燃焼を回避するようにしている。ただし、第2運転領域A2であっても、エンジンの全負荷近傍では、多量の新気を確保するために、外部EGRは停止される。
ここで、以上のような制御に基づき実現される第2運転領域A2での燃焼形態について、図10(a)〜(f)を参照しつつより具体的に説明する。図10(a)は、インジェクタ21から前段噴射P1が行われたときの状態を示している。このときのピストン5は、上述したように、圧縮上死点前(BTDC)50〜60°CA程度に位置している。このような位置にあるピストン5の冠面に向けて、前記インジェクタ21の先端部I1に備わる複数(12個)の噴口から放射状に燃料が噴射されると、その燃料の噴霧は、ピストン5の冠面の径方向外側寄りに設けられた環状凹部41に向かうことになる。
前記ピストン5の環状凹部41に向けて噴射された燃料(噴霧)は、その後、ピストン5の最外周部に設けられた立壁部42により上方にガイドされながら分散し、その分散した燃料に基づき、図10(b)に示すように、燃焼室6の外周部(主に環状凹部41の内部およびその上方空間)に混合気X1が形成される。ここで形成される混合気X1の空燃比は、燃焼室6の外周部だけの局所的な空燃比として、理論空燃比(空気過剰率λ=1)程度に設定される。すなわち、理論空燃比程度の濃さの混合気X1が燃焼室6の外周部に局所的に形成されるように、前記前段噴射P1の噴射時期および噴射量が設定されている。
もちろん、前記前段噴射P1によって、燃焼室6の外周部以外(例えばキャビティ40の内部)にも微量の燃料が存在し得るが、その燃料の濃度は、前記燃焼室6の外周部に比べれば極めて薄いものである。言い換えれば、前段噴射P1が実行された時点で、燃焼室6の外周部には、キャビティ40の内部より極めてリッチな混合気X1が形成されていることになる。
前記のように燃焼室6の外周部に形成された混合気X1は、ピストン5の上昇により圧縮されて高温・高圧化し、圧縮上死点付近までピストン5が達したところで、図10(c)に示すように自着火により燃焼する(圧縮自己着火)。なお、同図では、混合気X1が燃焼している領域を黒またはグレーに着色して示している。この混合気X1が燃焼する領域Y2は、前記混合気X1が形成された領域に対応して、燃焼室6の外周部分に限られる。
前記のような前段噴射P1に基づく燃焼が始まると、それとほぼ同時、もしくはわずかな期間をあけて、図10(d)に示すような後段噴射P2が実行される。この後段噴射P2のタイミングは、上述したように、ピストン5が降下を始めて間もない上死点後(ATDC)0〜10°CA程度である。このようにピストン5が上死点に近いタイミングでインジェクタ21から燃料が噴射されると、その燃料の噴霧は、ピストン5の冠面の径方向中央部分に設けられたキャビティ40の内部へと向かうことになる。すると、このキャビティ40の内部に向けて噴射された燃料(噴霧)は、キャビティ40の周壁に沿って上方にガイドされながら分散し、その分散した燃料に基づき、図10(e)に示すように、燃焼室6の径方向中央部分(主にキャビティ40の内部)に混合気X2が形成される。この混合気X2の局所的な空燃比も、上述した前段噴射P1に基づく混合気X1と同様、理論空燃比(空気過剰率λ=1)程度に設定される。言い換えれば、前記後段噴射P2により、キャビティ40の内部には、前段噴射P1の実行時よりもリッチな混合気X2が形成されていることになる。
前記のような後段噴射P2に基づく混合気X2は、ピストン5が圧縮上死点に近く、しかも前段噴射P1に基づく混合気X1の燃焼が既に起きている状態で形成されるものである。このため、前記混合気X2は、図10(f)に示すように、後段噴射P2の後、ごく短時間で自着火に至り、燃焼する。この混合気X2が燃焼する領域Y2は、前記混合気X2が形成された領域に対応して、燃焼室6の径方向中央部分に限られる。すなわち、上述した前段噴射P1に基づく混合気X1が、環状凹部41の設置部に対応する燃焼室6の外周部分(燃料領域Y1)で燃焼するのに対し、後段噴射P2に基づく混合気X2は、キャビティ40の設置部に対応する燃焼室6の径方向中央部分(燃焼領域Y2)で燃焼することになる。
以上のように、第2運転領域A2では、負荷Tに応じた比較的多量の燃料を複数回(前段噴射P1および後段噴射P2)に分けて噴射することで、別々の空間に混合気(X1,X2)を形成し、それらを独立して自着火、燃焼させるようにしている。このような制御が行われる前記第2運転領域A2では、分割噴射された燃料が混じり合って同時に燃焼してしまうことがないため、筒内圧力の急上昇による燃焼騒音の増大や、局所的な酸素不足によるスートの大量発生が起きる心配がない。しかも、前段噴射P1および後段噴射P2に基づく混合気X1,X2は、それぞれ局所的にλ=1程度の空気過剰率に設定されるので、そのような環境下の燃焼により生成された排気ガスであれば、三元触媒のみによって十分に有害成分の浄化が可能である。
特に、キャビティ40よりも径方向外側に位置するピストン5の冠面に、径方向外側に至るほど高さが低くなる平面視円環状の環状凹部41が形成されている。そのため、前記前段噴射P1によって噴射された燃料が前記環状凹部41に受け入れられることにより、その環状凹部41の設置部に対応する燃焼室6の外周部に、前記前段噴射P1に基づく混合気X1を確実に留めておくことができる。この結果、当該前段噴射P1に基づく混合気X1を、その後の後段噴射P2に基づきキャビティ40内に形成される混合気X2から明確に分離することができ、それらの混合気X1,X2の燃焼独立性をより確実に担保することができる。
また、前記環状凹部41よりもさらに径方向外側に、前記前段噴射P1により噴射された燃料を上方にガイドする立壁部42が設けられている。そのため、前記環状凹部41に向けて噴射された前段噴射P1の燃料を立壁部42に沿って上方に巻き上げることにより、燃料を十分に分散および気化・霧化させ、燃焼室6の外周部における混合気X1の形成を効果的に促進することができる。
また、キャビティ40が上窄まり状に形成され、その上端の開口部40aの面積がキャビティ40内部の最大断面積よりも小さく設定されている。そのため、後段噴射P2により噴射された燃料に基づく混合気X2を、前記キャビティ40の内部に確実に留めておくことができ、当該後段噴射P2に基づく混合気X2を、それ以前の前段噴射P1に基づく混合気X1から明確に分離して形成することができる。
また、前記第1運転領域A1で述べたのと同様、この第2運転領域A2においても、点火プラグ20の点火点SIが、前記燃料の通過領域F1と重複しない位置に配置されておりインジェクタ21から噴射された燃料が点火点SIに直接当たるのが回避されていることで、高温の点火点SI近傍の部分により混合気が昇温されるのは回避され、この第2運転領域A2において過早着火等の異常燃焼は回避される。すなわち、適正な圧縮自己着火燃焼が実現される。
(iii)第3運転領域A3
前記第1運転領域A1よりも負荷Tが高く、かつ前記第2運転領域A2よりも回転速度Neが高い第3運転領域A3では、図8に示すような制御が実行される。すなわち、第3運転領域A3では、前記第2運転領域A2のときと同様、インジェクタ21からの燃料が複数回に分けて噴射されるが、前記第2運転領域A2のときとは異なり、前段噴射P1および後段噴射P2との間に、自着火を促進するための着火アシストが実行される。なお、図5の制御マップでは、このような分割噴射および着火アシスト(Spark Asist)に基づく圧縮自己着火燃焼が実行されることを指して、第3運転領域A3内に「SA+多段CI」と表記している。
具体的に、前記着火アシストとしては、圧縮行程中に実行される前段噴射P1と、圧縮上死点付近に実行される後段噴射P2との間の所定時期に、これら前段および後段噴射P1,P2の各噴射量よりも少量の燃料がインジェクタ21から噴射されるとともに(Pa)、その噴射Paの直後でかつ後段噴射P2よりも前の圧縮行程後期に、点火プラグ20による火花点火Sが実行される。すると、このような着火アシストにより図8の波形Qc’のような少量の熱発生を伴う燃焼が生じるとともに、当該燃焼により燃焼室6が高温化するのをきっかけにして、続く波形Qcに示すように、前記前段噴射P1および後段噴射P2に基づく混合気が自着火により燃焼する。なお、以下では、着火アシストのために実行される少量の燃料噴射Pa(着火アシスト用の燃料噴射)のことをアシスト用噴射Pa、着火アシストのために実行される火花点火S(着火アシスト用の火花点火)のことをアシスト用点火Sと称する。
前記アシスト用点火Sは、インジェクタ21の先端部(噴口)からアシスト用噴射Paとして噴射された燃料(噴霧)の先端が、インジェクタ格納部62の下端の開口縁62bを通過した直後のタイミングで実行される。
ここで、前述のように、前記点火点SIは、インジェクタ格納部62の頂部に位置するインジェクタ21の先端部から離間した位置に配置されており、点火点SI付近に到達するまでの間に、インジェクタ21の先端部I1から噴射された燃料は霧化する。また、点火点SIは、前記インジェクタ格納部62の下側開口縁62bよりも径方向外側であって前記燃料の通過領域F1よりも径方向外側に位置しており、点火点SIには、前記インジェクタ格納部62からキャビティ40内に流入するのに伴って拡散、霧化された燃料が、コアンダ効果によって到達する。また、噴射された燃料はピストン5の上昇に伴い上方に巻き上げられるため、より霧化された燃料が点火点SIに到達する。このようにして、点火点SIには、十分に霧化された燃料が供給され、点火点SIの周囲では、SOOT等の発生が抑制されつつ確実に燃焼が開始する。
なお、第3運転領域A3では、前記のような着火アシストに関する制御を除けば、第2運転領域A2のときとほぼ同様の制御が実行される。例えば、第3運転領域A3では、排気弁12を吸気行程中に開弁させる(排気ガスを燃焼室6に逆流させる)内部EGRが禁止されるとともに、EGR通路31を通じて排気ガスを吸気通路28に還流させる外部EGRが実行される。ただし、エンジンの全負荷近傍では、多量の新気を確保するために、外部EGRは禁止される。
図11(a)〜(h)は、以上のような着火アシストに基づく圧縮自己着火燃焼が行われる第3運転領域A3での燃焼の様子を模式的に示す図である。図11(a)に示すように、第3運転領域A3では、上述した第2運転領域A2での前段噴射P1(図10(a))のタイミング(BTDC50〜60°CA程度)とほぼ同じタイミングで前段噴射P1が実行され、この前段噴射P1により、燃焼室6の外周部に、理論空燃比(λ=1)程度の空燃比をもった混合気X1が形成される。ただし、前記前段噴射P1のタイミングは、厳密には、前記第2運転領域A2での前段噴射P1のタイミングよりもわずかに早い時期に設定される。これは、第3運転領域A3では、第2運転領域A2のときよりもエンジン回転速度Neが高く、ピストンスピードが速いからである。つまり、ピストンスピードが速いと、インジェクタ21からの噴射燃料がピストン5の冠面付近に達するまでの間にピストン5が比較的大きく移動するため、ピストン5上の同様の位置に燃料(噴霧)を届かせようとすれば、インジェクタ21からの噴射タイミングをわずかにでも早める必要がある。このことは、後述する後段噴射P2の場合でも同様である。
前記前段噴射P1の後は、図11(c)に示す着火アシストが実行される。すなわち、前記前段噴射P1の後、ピストン5がある程度上昇した時点(例えばBTDC40〜0°CA程度)で、着火アシスト用の燃料噴射であるアシスト用噴射Paが実行されるとともに、その直後に、アシストの火花点火であるアシスト用点火Sが実行される。すると、前記アシスト用噴射Paにより噴射された燃料に基づいて、点火プラグ20の電極周りに十分に霧化された燃料を含む混合気が形成されるとともに、その混合気が前記アシスト用点火Sを火種として火炎を形成することにより、図11(d)に示すように、点火プラグ20の電極周りに混合気の燃焼領域Yaが局所的に形成される。
前記のようにして着火アシストによる火炎(燃焼領域Ya)が生じると、その火炎による燃焼室6の高温化と、ピストン5の上昇による圧縮作用とが相俟って、燃焼室6の外周部に形成されていた前記前段噴射P1に基づく混合気X1が、図11(e)に示すように、圧縮上死点付近で自着火により燃焼する。この混合気X1の燃焼領域Y1は、燃焼室6の外周部分に限られ、点火プラグ20の電極からは径方向外側に離間した領域となる。
前記のような前段噴射P1に基づく燃焼が始まると、それ以降は、前記第2運転領域A2のときと同様にして燃焼が進行していく。すなわち、前記前段噴射P1に基づく燃焼の開始とほぼ同時、もしくはわずかな期間をあけて、図11(f)に示すような後段噴射P2が実行され、その後段噴射P2に基づき、燃焼室6の径方向中央部分(主にキャビティ40の内部)に、理論空燃比(λ=1)程度の空燃比をもった混合気X2が形成される。すると、この混合気X2は、ごく短い時間で自着火に至り、燃焼室の径方向中央部分に、前記混合気X2の燃料領域Y2を形成する。
以上のように、第3運転領域A3では、前段噴射P1および後段噴射P2の間に、点火プラグ20を用いて着火アシストを実行し、その着火アシストにより燃焼室6を高温化することにより、前記着火アシストに引き続いて前記前段噴射P1および後段噴射P2に基づく混合気X1,X2をそれぞれ自着火により燃焼させるようにした。このように、着火アシストにより混合気の自着火を促進するようにした第3運転領域A3では、上述した第2運転領域A2のときよりもエンジン回転速度Neが高く、燃料の受熱期間が短くなる状況であるにもかかわらず、混合気が確実に自着火により燃焼し、失火が起きることが回避される。しかも、前記第2運転領域A2のときと同様、前段噴射P1および後段噴射P2に基づく混合気X1,X2が別々の空間で独立して自着火、燃焼するため、燃焼騒音の増大やスートの発生についても回避される。
図12は、前記第3運転領域A3で、着火アシストに基づく混合気の燃焼領域Yaと、前段噴射P1および後段噴射P2に基づく混合気の燃焼領域Y1,Y2との位置関係を模式的に示すための平面図である。上述した第3運転領域A3での燃焼形態によれば、図12のように、まず着火アシストに基づく燃焼領域Yaが点火プラグ20の周辺に限って形成され、これとほぼ重ならない燃焼室6の外周部に、前段噴射P1に基づく燃焼領域Y1が形成され、さらに、後段噴射P2に基づく燃焼領域Y2が、前記燃焼領域Y1よりも径方向内側に形成される。これら各燃焼領域は、Ya→Y1→Y2の順に形成され、その発生位置または発生時期は、ほとんど重なり合うことがない。
(iV)第4運転領域A4
高負荷域に設定された前記第4運転領域A4では、多量の燃料が噴射されるため、圧縮自己着火燃焼を行わせようとすると、燃焼騒音が著しく増大する、また、ノッキングが生じるという問題がある。そこで、この第4運転領域A4では、圧縮自己着火燃焼に代わり、混合気に点火して火炎伝播させる火花点火燃焼(SI燃焼)を実施する。
ここで、SI燃焼においても、燃焼室6内の温度が過度に高い場合には、ノッキングが生じる。特に、本ガソリンエンジンでは圧縮比が非常に高い値に設定されている。そのため、燃焼室6内の温度は高くなりやすい。
そこで、本ガソリンエンジンでは、この第4運転領域A4において、ノッキング等の異常燃焼をより確実に回避するべく、圧縮上死点よりもかなり前(例えば吸気行程中)に燃料を噴射して圧縮上死点付近で火花点火を行わせる通常のSI燃焼ではなく、図9に示すように、圧縮行程中にインジェクタ21から燃料を噴射させ(P3,P4)、この燃料噴射P3,P4の後に点火プラグ20に火花点火を行わせて、圧縮上死点を過ぎたタイミング(膨張行程の初期)から短時間で火炎伝播により混合気を燃焼させる急速リタードSI燃焼モードを実行する。図9は、前記急速リタードSI燃焼モードが実行された際の、燃料噴射時期と吸排気弁11,12のリフト特性、およびそれに基づく燃焼により生じる熱発生率(J/deg)を示す図である。
具体的には、この図9に示すように、この急速リタードSI燃焼モードでは、圧縮行程の後期に設定された2回の噴射時期(P3,P4)に分けてインジェクタ21から、30MPa以上の高圧で燃料が噴射される。各燃料噴射P3,P4のタイミングとしては、例えば、エンジンの回転速度が1000rpm程度の低速域では圧縮上死点前(BTDC)20〜0℃A程度、6000rpm程度の高速域では圧縮上死点前(BTDC)360〜300℃Aおよび60℃A〜40℃A程度に設定される。
このような噴射制御が実施されるこの急速リタードSI燃焼モードでは、前記のように30MPa以上(例えば40MPa)という非常に高い噴射圧力で燃料が噴射されることで、噴射期間を短くすることができるとともに燃料噴霧を微粒化することができ、短時間で多量の燃料を十分に気化霧化させて比較的均質な(もしくは弱成層化した)混合気を形成することができる。また、噴射圧力が高いために、燃焼室6が最も高温・高圧化する圧縮上死点をある程度過ぎるまで大きな乱流エネルギーを維持することができる。従って、燃料が噴射されてから短時間であって、燃料噴射に伴う乱流エネルギーの減衰が小さい間に(乱流エネルギーが大きい状態で)火花点火による燃焼を開始させることができ、この比較的大きな乱流エネルギーによって燃焼期間を短くすることができる。そして、この燃焼期間の短縮化に伴って、燃焼が引き起こされる前に適正な火炎伝播によって混合気を燃焼し切ることができる。すなわち、ノッキング等の異常燃焼を回避しつつ、熱効率およびエンジントルクを高く維持することができる。また、燃焼温度が過度に上昇せず、燃料の気化霧化が不十分なまま燃焼が開始されることもないため、NOxやスートの増大が回避され、エミッション性についても良好に維持される。
さらに、燃料が2回に分けて噴射されて2回目の燃料噴射の後に点火が行われており、1回目の燃料噴射P3によって燃料を霧化させつつ、2回目の燃料噴射P4により点火時点での乱流エネルギーを大きくすることができる。また、12個という多数の噴口から噴射されることによっても乱流エネルギーは増大される。
また、前述のように、本ガソリンエンジンでは、前記点火点SIがインジェクタ21の先端部から離間していること、点火点SIが前記インジェクタ格納部62の下側開口縁62bよりも径方向外側であって前記燃料の通過領域F1よりも径方向外側に位置していることに伴い、点火点SIに十分に霧化した燃料を到達させることができる。
ここで、点火時期を図9の例よりもさらに進角させれば、これに伴って燃焼開始時期θigが圧縮上死点により近づくため、熱効率および出力トルクのさらなる向上が期待できるが、点火時期を早めるとノッキングが起き易くなるため、点火時期は、ノッキングを起こさないという制約の下、できるだけ進角側に設定される。このような事情から、ノッキングが特に懸念されるエンジン回転速度が1000rpm程度の低速域では、点火時期は、例えば0〜10°CA程度の範囲内に設定される。
なお、前記急速リタードSI燃焼モードでは、前記燃料噴射P3,P4によるトータルの噴射量に対して燃焼室6全体の平均の空燃比が理論空燃比(空気過剰率λ=1)となるように新気量が制御される。具体的には、この第4運転領域A4では、負荷Tの増大に応じてCVVL15が駆動され、吸気弁11のリフト量が増大され、これに伴って燃料噴射量に応じた新気が導入される(図9のリフトカーブIN)。なお、本実施形態では、吸気弁11のリフトピーク位置を固定したままリフト量が増大される。
また、前記急速リタードSI燃焼モードのときは、EGR通路31を通じて排気ガスを吸気通路28に還流させる外部EGRが実行される。なお、エンジンの全負荷近傍では、より多量の新気を確保するために、外部EGRは禁止される。
(5)作用効果等
以上説明したように、当実施形態のガソリンエンジンでは、燃焼室天井面60に形成されたインジェクタ格納部62の頂部にインジェクタ21の先端部I1が位置し、点火点SIが、このインジェクタ格納部62よりも径方向外側の前記フラットヘッド面63に設けられている。そのため、インジェクタ21の先端部I1から噴射された燃料は、点火点SIに到達するまでの間に霧化される。また、前記インジェクタ格納部62の下端の開口縁62bは、前記キャビティ40の上端の開口縁40dよりも径方向内側に位置しており、キャビティ40に流入する際の容積の拡大に伴って燃料が拡散・霧化されるとともに、コアンダ効果によって霧化された燃料が、前記点火点SIに到達する。また、点火点SIは、前記燃料の通過領域F1よりも径方向外側に位置しており、燃料の通過領域F1内の液状の燃料に点火エネルギーが加えられるのが回避される。このようにして、点火点SIにおいて点火エネルギーは十分に霧化された燃料に供給されるため、SOOTの生成が抑制されつつ混合気が確実に燃焼する。また、燃料が圧縮行程中(特に圧縮行程後期)に噴射された場合には、ピストン5の上昇に伴って燃料が上方に巻き上げられることによっても燃料霧化は促進され、点火点SIには十分に霧化された燃料が到達する。
また、前記点火点SIが前記燃料の通過領域F1から離間しているため、点火を実施しない前記第1運転領域A1等において、点火プラグ20の点火点SI近傍の高温部分により混合気が昇温されるのが回避され、過早着火等の異常燃焼が確実に抑制される。
ここで、前記キャビティ40は、下方に凹み、その上端の開口縁40eがインジェクタ格納部62の下端の開口縁62bよりも径方向外側に位置する形状であれば、その具体的形状は、前記に限らない。
例えば、図13に示すように、キャビティ40のうち点火プラグ20と対向する部分に、この点火プラグ20の先端部分を格納してこの先端部分とピストン5との衝突を回避するための退避部40fが形成されていてもよい。具体的には、この構成では、前記***部40bの径方向外側部分の一部がキャビティ40の開口縁40eよりも下方の所定位置から径方向外側に膨出して、退避部40fが形成されている。また、前記シリンダヘッドに形成された前記点火プラグ退避部62cは、シリンダヘッドのうち前記フラットヘッド面63と前記インジェクタ格納部62との境界部分よりも径方向外側に位置している。そして、このより径方向外側に設けられた退避部40fに点火プラグ20の先端部が配置されることで、点火点SIは、図3に示す前記実施形態に比べてより径方向外側に位置している。この構成では、前記点火点SIが燃料の通過領域よりもより離間するため、より霧化された燃料が点火点SIに到達する。
また、この図13に示す例では、燃料が***部40bの径方向外側、かつ、下方に向かう傾斜面に到達しており、この傾斜面に沿って燃料は径方向外側かつ上方に巻き上げられる。そのため、この例では、点火点SIに霧化されたより多くの燃料を供給することができる。
また、図14に示すように、前記***部40cを、前記インジェクタ格納部62の下側開口縁62bとほぼ同じ位置から径方向中央に向かって突出させるようにしてもよい。
また、前記点火点SIは、図15に示すように、燃料の通過領域F1と同じ高さ位置に設けられてもよい。この場合には、図16に示すように、隣接する燃料の通過領域F1の間に点火点SIを配置して、これにより、燃料の通過領域F1と点火点SIとが重複しないようにすればよい。ただし、前記のように、点火点SIの高さ位置を前記フラットヘッド面63とほぼ同じ高さ位置とすれば、点火点SIの位置が燃料の通過領域からより離間させることができ、点火点SIにより確実に霧化された燃料を到達させることができる。
また、点火プラグ20による点火を実行して混合気の自着火をアシストする着火アシストを行う運転領域は、前記に限らない。また、着火アシストを行う運転領域において実施される燃料噴射の制御は前記に限らない。例えば、燃料が1回だけ噴射される前記運転領域A1のうち、燃焼室内の温度が比較的低い、エンジン回転数が低く、かつ、エンジン負荷が小さい低負荷低速領域において点火アシストを実施してもよい。
また、燃焼室6の天井面60は、インジェクタ格納部62よりも径方向外側の面が水平面であるものに限らない。例えば、燃焼室6の天井面60は、インジェクタ格納部62の外周縁から径方向外側に向かうに従って下方(ピストン冠面に近づく方向)に傾斜する形状を有していてもよい。この場合には、インジェクタ格納部62はこの傾斜面からさらに上方に凹む。
また、インジェクタ21の噴口の数は12個に限られず、12個より多くても少なくてもよい。ただし、噴口の数があまりに少ないと、インジェクタ21から噴射された燃料の濃度が周方向に大きくばらつくことになる。このため、噴口の数は8個以上とすることが望ましい。噴口の数が8個以上であれば、前記前段噴射P1および後段噴射P2を実行した後、ごく短時間で、周方向にほぼ均一な空燃比をもった混合気を形成することができ、その後の自着火による燃焼(圧縮自己着火燃焼)を適正に行わせることができる。
5 ピストン
6 燃焼室
20 点火プラグ
21 インジェクタ
40 キャビティ
50 ECU(制御手段)
60 天井面
62 インジェクタ格納部
A1 第1運転領域(限定領域)
A2 第2運転領域(限定領域)
A3 第3運転領域(特定運転領域)
I1 インジェクタの先端部
S1 点火点

Claims (6)

  1. 燃焼室内に臨む状態で当該燃焼室天井に配設されて、前記燃焼室に形成された少なくとも一部がガソリンからなる燃料と空気との混合気に点火エネルギーを供給可能な点火プラグを備えた火花点火式ガソリンエンジンであって、
    前記燃料を燃焼室内に噴射する複数の噴口が先端部に形成されているとともに、当該先端部が前記燃焼室天井の径方向中央部分において前記燃焼室内に臨む状態で配設されたインジェクタと、
    前記インジェクタによる燃料の噴射動作および前記点火プラグによる点火動作を制御する制御手段とを備え
    記インジェクタの各噴口の軸線は、当該各噴口を通じて燃料が前記ピストンの冠面に近づくほど径方向外側に拡がって放射状に噴射される方向に傾斜しており、
    前記燃焼室天井の径方向中央部分には、前記ピストンの冠面から離間する方向に凹むとともに当該ピストンの冠面に近づくほど径方向外側に広がる内周面を有し、内側に前記インジェクタの先端部が格納されるインジェクタ格納部が形成されており、
    前記ピストンの冠面の径方向中央部分には、前記燃焼室天井から離間する方向に凹む凹状のキャビティが形成されており、
    前記キャビティの開口縁は前記インジェクタ格納部の開口縁よりも径方向外側に位置しており、
    前記点火プラグは、その点火点が、前記インジェクタ格納部の開口縁よりも径方向外側、かつ、前記キャビティの開口縁よりも径方向内側となる位置に配置されており、
    前記制御手段は、
    少なくともエンジンの特定運転領域において、前記インジェクタから前記燃焼室内に燃料を噴射させ、かつ、当該噴射された燃料と空気の混合気の自着火を促進するために前記混合気に前記点火プラグから点火エネルギーを供給する着火アシストを圧縮行程後期に実行することにより、前記混合気を自着火により燃焼させるとともに、
    前記特定領域において、前記着火アシストを実行するタイミングよりも前かつ前記燃焼室のうち前記キャビティよりも径方向外側の部分に混合気が偏在するようなタイミングで前記燃焼室内に燃料を噴射する前段噴射と、当該前段噴射のタイミングと前記混合気に前記点火プラグから点火エネルギーを供給するタイミングとの間のタイミングで前記燃焼室内に燃料を噴射する着火アシスト用噴射と、当該着火アシスト用噴射よりも後でかつ前記前段噴射に基づく混合気の燃焼の終了前であって前記キャビティ内に混合気が偏在するようなタイミングで前記燃焼室内に燃料を噴射する後段噴射とを、前記インジェクタに実行させるとともに、前記着火アシスト用噴射において、前記インジェクタに、前記前段噴射および後段噴射時よりも少量の燃料を噴射させることを特徴とする火花点火式ガソリンエンジン。
  2. 請求項1に記載の火花点火式ガソリンエンジンにおいて、
    前記インジェクタ格納部の内周面は、前記燃焼室天井の径方向中央部分を頂部とする略円錐面状を有しており、
    前記インジェクタの先端部は、前記頂部に位置していることを特徴とする火花点火式ガソリンエンジン。
  3. 請求項1または2に記載の火花点火式ガソリンエンジンにおいて、
    前記キャビティの径方向中央部分には、前記燃焼室天井に近接する方向に突出して、頂部が前記インジェクタ格納部の径方向中央と対向する***部が形成されていることを特徴とする火花点火式ガソリンエンジン。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の火花点火式ガソリンエンジンにおいて、
    前記点火プラグの点火点は、前記インジェクタ格納部の開口縁よりも径方向外側において、前記燃焼室天井とほぼ同じ高さ位置に位置していることを特徴とする火花点火式ガソリンエンジン。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の火花点火式ガソリンエンジンにおいて、
    前記燃焼室と連通する吸気ポートおよび排気ポートと、互いに隣接する位置に配置されて前記吸気ポートを開閉可能な複数の吸気バルブと、互いに隣接する位置に配置されて前記排気ポートを開閉可能な複数の排気バルブとを備え、
    前記点火プラグは、互いに隣接する排気バルブ間に配置されていることを特徴とする火花点火式ガソリンエンジン。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の火花点火式ガソリンエンジンにおいて、
    前記制御手段は、前記特定運転領域を除く運転領域のうち少なくとも一部の限定領域において、前記インジェクタから前記燃焼室内に燃料を噴射させる一方、前記点火プラグによる前記燃焼室内の混合気への点火エネルギーの供給を停止させて、当該燃焼室内の混合気を自着火により燃焼させることを特徴とする火花点火式ガソリンエンジン。
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