JP5494158B2 - レーザ・アークろう付け方法 - Google Patents
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Description
これらのろう付け法により、鉄系材料とアルミニウム合金材料との異材同士をろう付けする際には、鉄系材料及びアルミニウム合金材料の表面の酸化皮膜がろう材のぬれ性を阻害する。そこで、当該材料の表面の酸化物を除去して、当該鉄系材料及びアルミニウム合金材料の表面を清浄し、当該鉄系材料及びアルミニウム合金材料に対するろう材のぬれ性を改善するために、一般に、フラックスが含まれるろう材が用いられる(特許文献1を参照)。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、ろう材にフラックスが含まれていなくても、表面領域の材料が異なる2種の金属板を良好にろう付けできるようにすることを目的とする。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
[レーザ・アークろう付け装置の全体構成]
図1は、レーザ・アークろう付け装置の構成の一例を示す図である。本実施形態では、表面領域の材料が異なる2種の金属板105、106を接合して重ね隅肉継手を形成する場合を例に挙げて説明する。
図1において、レーザ・アークろう付け装置は、制御装置101と、レーザ照射装置102と、ワイヤ供給装置103と、電源104と、を有する。
制御装置101は、レーザ・アークろう付け装置の全体の動作を制御するためのものであり、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種のインターフェースを備えている。制御装置101のHDDには、後述するようにして2種の金属板105、106を接合するための動作を規定したコンピュータプログラムが記憶されている。具体的に、このコンピュータプログラムは、レーザ照射装置102のレーザトーチ112をろう付け進行方向Aに移動させながらレーザ光107、108を照射する動作と、ワイヤ供給装置103のろう付けトーチ113をろう付け進行方向Aに移動させながらワイヤ状のフラックスレスのろう材109の送給と不活性ガスの供給とを行う動作と、電源104によりろう材109と金属板105、106との間にアーク110を発生させるための電力を供給する動作とのそれぞれの動作タイミングと動作内容とが規定されている。本実施形態では、CPUが、このコンピュータプログラムを実行することにより、レーザ照射装置102と、ワイヤ供給装置103と、電源104の動作が制御される。
図2は、レーザ光107、108を照射するための構成の第1の例を示す図である。図2は、金属板105、106の側面(板厚部分)を、ろう付け進行方向Aに沿う方向から見た図である。
本実施形態では、金属板105の接合予定箇所(ろう付け予定箇所)と、金属板106の接合予定箇所(ろう付け予定箇所)に、レーザ光107、108を個別に照射するようにしている。このようにするために、図2に示す例では、レーザ光107を照射するための「集光光学系(集光レンズ201等)及び光源」と、レーザ光108を照射するための「集光光学系(集光レンズ202等)及び光源」とをそれぞれレーザトーチ112内に配置する。このようにすることによって、金属板105、106の表面領域の材料の種類に応じた出力(パワー)を有するレーザ光107、108を生成することができる。
図3に示す例では、集光レンズ301等の集光光学系と、レーザ光の進行方向を変えるためのプリズム302と、単一の光源とをそれぞれレーザトーチ112内に配置する。このように単一の光源からのレーザ光を分割し、その際、プリズム302の面積を変えることによっても金属板105、106の表面領域の材料の種類に応じた出力(パワー)を有するレーザ光107、108を生成することができる。
尚、レーザの種類は、特に限定されるものではない。例えば、半導体レーザ、Nd:YAGレーザ、ファイバレーザ、CO2レーザ等を用いることができる。
また、レーザ光107、108を生成する方法は、公知の技術で実現することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
図4は、レーザ光107、108の第1の向きを説明する図である。図4も、図2及び図3と同様に、金属板105、106の側面(板厚部分)を、ろう付け進行方向Aに沿う方向から見た図である。
図4に示すように、本実施形態では、「『レーザ光107の光軸107a』と『接合線(溶接進行方向Aの線)』とを含む面401」と、「金属板に垂直な面402」と、のなす角度α1[°]を、レーザ光107の第1の方向として規定する。また、「『レーザ光108の光軸108a』と『接合線(溶接進行方向Aの線)』とを含む面403」と、「接合線を含む金属板に垂直な面402」と、のなす角度α2[°]を、レーザ光108の第1の向きとして規定する。ここで、例えば、α1を、0[°]以上、60[°]以下の範囲にすることができ、α2を、0[°]以上、60[°]以下の範囲にすることができる。ただし、ここでは、α1、α2は、接合線を含む金属板に垂直な面402を基準として、図4に向かって時計周りの方向を正の方向とする。
図5に示すように、本実施形態では、「『レーザ光107の光軸107a』と『接合線に垂直な板面方向の線』とを含む面501」と、「接合線に垂直な面502」と、のなす角度β1[°]を、レーザ光107の第2の方向として規定する。また、「『レーザ光108の光軸108a』と『接合線に垂直な板面方向の線』とを含む面503」と、「接合線に垂直な面502」と、のなす角度β2[°]を、レーザ光108の第2の方向として規定する。ここで、例えば、β1を、0[°]以上、60[°]以下の範囲にすることができ、β2を、0[°]以上、60[°]以下の範囲にすることができる。ただし、ここでは、β1、β2は、接合線に垂直な面502を基準として、図5に向かって半時計周りの方向を正の方向とする。
(1) 基材として鉄系材料を使用した金属板と、アルミニウム合金板とを金属板105、106として用いる。具体的には、「亜鉛めっき鋼板とアルミニウム合金板」、「裸鋼板とアルミニウム合金板」を金属板105、106として用いる。
(2) 基材は共に鋼板であるが、その表面領域の材料が異なる金属板を金属板105、106として用いる。具体的には、「亜鉛めっき鋼板と裸鋼板」、「亜鉛めっき鋼板とアルミめっき鋼板」、「錫−亜鉛めっき鋼板と裸鋼板」、「裸鋼板とアルミめっき鋼板」、「錫−亜鉛めっき鋼板と亜鉛めっき鋼板」を金属板105、106として用いる。
金属板105、106の一方が、アルミニウム合金板、又はアルミめっき鋼板である場合、レーザ光107又は108が照射される領域における金属板105、106の法線601と、レーザ光107又は108の光軸107a又は108aとのなす角度γ[°]が0[°]≦γ<10[°]であると、アルミの反射率が高いために、レーザ光107又は108を集光する集光光学系(集光レンズ201、202、301)に反射光が戻る可能性がある。そのため、この角度γを、10[°]以上、60[°]以下とするのが好ましい。ただし、レーザ光107又は108を斜めから照射した場合には、照射したレーザ光のエネルギー密度が低下し、反射率が上がるため、この角度γを、10[°]以上、30[°]以下とするのがより好ましい。
図1の説明に戻り、ワイヤ供給装置103は、ワイヤ状のフラックスレスのろう材109を送給するろう材送給装置と、レーザ光107、108が照射された接合予定箇所に不活性ガスを供給し、当該接合予定箇所に不活性雰囲気を形成するガス供給装置と、アークろう付けトーチ113と、を有している。
ろう材送給装置は、ろう付けトーチ113の先端よりも、予め決められた長さのろう材109が突出されるように、ろう材109を所定の速度で自動的に送給する。尚、ろう材109の融点が金属板105、106の融点よりも低いということは勿論である。また、ろう材送給装置は、ろう付け進行方向において先行するレーザトーチ112と一定の間隔を保った状態で、ろう付けトーチ113をろう付け進行方向に所定の速度で移動させる。ガス供給装置は、レーザ光107、108が照射された領域に酸化物が生成される(又は付着する)ことを防止したり、ろう付け予定箇所に窒素が入るのを防止したりするためのものである。
図7は、レーザ・アーク間距離を説明する図である。図7は、レーザ光107、108が金属板105、106に照射され、その後方でろう材109が送給されている様子を、レーザ光107、108が照射されている側から見たときの図を概念的に示したものである。
図7において、レーザ・アーク間距離L[mm]は、2つのレーザ光107、108のスポット107b、108bの中心が、金属板105、106と交わる点b1、b2を結ぶ直線の中点cと、ろう材109の延長線701が金属板105又は106と交わる点aとを結ぶ距離である。尚、図7において、φ1、φ2は、それぞれ、レーザ光107、108のスポット107b、108bの直径(スポット径)である。尚、図7では、レーザ光107、108のスポット107b、108bの形状(スポット形状)が円である場合を例に挙げて示しているが、その他の形状であっても、レーザ・アーク間距離Lを同様に定義することができる。尚、スポット形状によっては、「スポットの中心」の代わりに「スポットの重心」を用いてもよい。
電源104は、ろう材109と金属板105、106との間に、所定の直流又は交流電力(溶接電流、アーク電圧)を供給する。この電力は、ろう材109と金属板105、106との間にアーク110を発生させるために必要な大きさを有する。
以上のようにしてレーザ・アークろう付け装置を構成することにより、金属板105、106をろう付けすると、ろう付けビード111が形成され、重ね隅肉継手が形成される。
図8は、レーザ・アークろう付け装置により、金属板105、106がろう付けされる過程の第1の例を概念的に示す図である。図8は、金属板105、106の側面(板厚部分)を、ろう付け進行方向Aに沿う方向から見た図である。具体的に図8(a)は、レーザ光107、108が照射される前の接合予定箇所の状態を示す図であり、図8(b)は、レーザ光107、108が照射された後の接合予定箇所の状態を示す図であり、図8(c)は、レーザ光107、108が照射された接合予定箇所にろう付けがされた状態を示す図である。
図8に示す例では、金属板105として、アルミニウム合金板を用いると共に、金属板106として、基材である鋼板106aの表面に、めっき106b(亜鉛めっき)が施されためっき鋼板を用いている。尚、図8に示す例は、前述した(1)の例に対応する。
また、図8(a)において、接合予定箇所802に、アルミニウム合金板の表面を清浄化し、且つ、アルミニウム合金板105の表面をアルミニウム合金板105の融点以下の温度で予熱するのに必要な出力を有するレーザ光108を照射する。ここで、清浄化とは、金属板の表層領域に付着している酸化皮膜を含む異物を除去することをいう。そうすると、図8(b)に示すように、接合予定箇所802に対応する領域804の表面が清浄化され、アルミニウム合金板105の融点以下の温度で予熱される。
以上のようにした後、接合予定箇所801、802に対してろう付けが行われ、ろう付けビード119aが形成される。尚、ここでは、Al−Si系のワイヤ109を用いることができる。
また、レーザ光107、108によって、接合予定箇所(母材側)に予め熱エネルギーを付与しておくので、後続するろう材109によるアークろう付け時の入熱の不足を補うことができる。これにより、従来のアークろう付けやレーザろう付けよりも高速度でろう付けを行うことができる。
また、図9(a)において、接合予定箇所902に、めっき105bを蒸発させ、且つ、鋼板105aの表面を鋼板105aの融点以下の温度で予熱するのに必要な出力を有するレーザ光108を照射する。そうすると、図9(b)に示すように、接合予定箇所902に対応する領域904のめっき105bが除去され、これにより露出した鋼板105aの表面が、鋼板105aの融点以下の温度で予熱される。
以上のようにした後、接合予定箇所901、902に対してろう付けが行われ、ろう付けビード119bが形成される。
また、レーザ光107、108によって、接合予定箇所(母材側)に予め熱エネルギーを付与しておくので、後続するろう材109によるアークろう付け時の入熱の不足を補うことができる。これにより、従来のアークろう付けやレーザろう付けよりも高速度でろう付けを行うことができる。
また、図10(a)において、接合予定箇所1002に、アルミニウム合金板105の表面を清浄化し、且つ、アルミニウム合金板105の表面をアルミニウム合金板105の融点以下の温度で予熱するのに必要な出力を有するレーザ光108を照射する。そうすると、図10(b)に示すように、接合予定箇所1002に対応する領域1004の表面が清浄化され予熱される。
以上のようにした後、接合予定箇所1001、1002に対してろう付けが行われ、ろう付けビード119cが形成される。
以上のように、金属板105、106毎に、それらの表面を清浄化及び予熱することにより、金属板105、106の表面領域の材料に応じて、ろう材109のぬれ性を向上させることができる。したがって、ろう材109にフラックスを含ませなくても、ろう材109のぬれ性を向上させることができ、ろう材109のぬれ幅を増加させることができ、継手強度を向上させることができる。
また、レーザ光107、108によって、接合予定箇所(母材側)に予め熱エネルギーを付与しておくので、後続するろう材109によるアークろう付け時の入熱の不足を補うことができる。これにより、従来のアークろう付けやレーザろう付けよりも高速度でろう付けを行うことができる。
また、図11(a)において、接合予定箇所1102に、アルミめっき105dの表面を清浄化し、且つ、めっき105dの表面をアルミめっき105dの融点以下の温度で予熱するのに必要な出力を有するレーザ光108を照射する。そうすると、図11(b)に示すように、接合予定箇所1102に対応する領域1104の表面が清浄化され予熱される。このようにするのは、アルミめっき105dの沸点は、基材である鋼板105cの融点よりも高いため、アルミめっき105dを除去すると(蒸発させると)、鋼板105cが溶けてしまうからである。
以上のようにした後、接合予定箇所1101、1102に対してろう付けが行われ、ろう付けビード119dが形成される。尚、ここでも、Al−Si系のワイヤ109を用いることができる。
また、レーザ光107、108によって、接合予定箇所(母材側)に予め熱エネルギーを付与しておくので、後続するろう材109によるアークろう付け時の入熱の不足を補うことができる。これにより、従来のアークろう付けやレーザろう付けよりも高速度でろう付けを行うことができる。
また、図12(a)において、接合予定箇所1202に、亜鉛めっき105fを蒸発させ、且つ、鋼板105eの表面を鋼板105eの融点以下の温度で予熱するのに必要な出力を有するレーザ光108を照射する。そうすると、図12(b)に示すように、接合予定箇所1202に対応する領域1204の亜鉛めっき105fが除去され、これにより露出した鋼板105eの表面が、鋼板105eの融点以下の温度で予熱される。
以上のようにした後、接合予定箇所1201、1202に対してろう付けが行われ、ろう付けビード119eが形成される。
また、レーザ光107、108によって、接合予定箇所(母材側)に予め熱エネルギーを付与しておくので、後続するろう材109によるアークろう付け時の入熱の不足を補うことができる。これにより、従来のアークろう付けやレーザろう付けよりも高速度でろう付けを行うことができる。
また、図13(a)において、接合予定箇所1302に、鋼板106の表面を清浄化し、且つ、鋼板106の表面を鋼板106の融点以下の温度で予熱するのに必要な出力を有するレーザ光108を照射する。そうすると、図13(b)に示すように、接合予定箇所1302に対応する領域1304の表面が清浄化され予熱される。
以上のようにした後、接合予定箇所1301、1302に対してろう付けが行われ、ろう付けビード119fが形成される。尚、ここでは、Cu系のワイヤ109を用いることができる。
また、レーザ光107、108によって、接合予定箇所(母材側)に予め熱エネルギーを付与しておくので、後続するろう材109によるアークろう付け時の入熱の不足を補うことができる。これにより、従来のアークろう付けやレーザろう付けよりも高速度でろう付けを行うことができる。
また、図14(a)において、接合予定箇所1402に、めっき105h(に含まれる亜鉛)を蒸発させ、且つ、鋼板105gの表面を鋼板105gの融点以下の温度で予熱するのに必要な出力を有するレーザ光108を照射する。そうすると、図14(b)に示すように、接合予定箇所1402に対応する領域1404のめっき105hが除去され、これにより露出した鋼板105gの表面が、鋼板105gの融点以下の温度で予熱される。また、ここでも、錫−亜鉛めっきを用いた場合には、ろう材109としてCu系のものを使用するのが好ましい。理由は前述した通り、めっき中の亜鉛が先に蒸発し、残った溶融錫をCu系のろう材109に溶かし込む(ろう材109(ワイヤ)が銅と錫との合金となる)ことができるからである。
以上のようにした後、接合予定箇所1401、1402に対してろう付けが行われ、ろう付けビード119gが形成される。
また、レーザ光107、108によって、接合予定箇所(母材側)に予め熱エネルギーを付与しておくので、後続するろう材109によるアークろう付け時の入熱の不足を補うことができる。これにより、従来のアークろう付けやレーザろう付けよりも高速度でろう付けを行うことができる。
また、図15(a)において、接合予定箇所1502に、めっき105j(に含まれる亜鉛)を蒸発させ、且つ、鋼板105iの表面を鋼板105iの融点以下の温度で予熱するのに必要な出力を有するレーザ光108を照射する。そうすると、図15(b)に示すように、接合予定箇所1502に対応する領域1504のめっき105jが除去され、これにより露出した鋼板105iの表面が、鋼板105iの融点以下の温度で予熱される。
このときも、ろう材109としてCu系のものを使用するのが好ましい。理由は、前述した通り、めっき中の亜鉛が先に蒸発し、残った溶融錫をCu系のろう材109に溶かし込む(ろう材109(ワイヤ)が銅と錫との合金となる)ことができるからである。
以上のようにした後、接合予定箇所1501、1502に対してろう付けが行われ、ろう付けビード119hが形成される。
また、レーザ光107、108によって、接合予定箇所(母材側)に予め熱エネルギーを付与しておくので、後続するろう材109によるアークろう付け時の入熱の不足を補うことができる。これにより、従来のアークろう付けやレーザろう付けよりも高速度でろう付けを行うことができる。
また、本実施形態では、ワイヤ供給装置103から不活性ガスを供給する場合を例に挙げて説明したが、不活性ガスを供給する専用の装置を用いるようにしてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態では、表面領域の材料が異なる2種の金属板105、106を接合して重ね隅肉継手を形成する場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、表面領域の材料が異なる2種の金属板1601、1602を接合して拝み継手を形成する場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態と前述した第1の実施形態とは、形成する継手が異なり、これに伴う構成が異なるだけである。したがって、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図15に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図16は、レーザ・アークろう付け装置の構成の一例を示す図である。本実施形態においても、図1に示した第1の実施形態のものと同様に、レーザ・アークろう付け装置は、制御装置101と、レーザ照射装置102と、ワイヤ供給装置103と、電源104と、を有する。これらの構成は、第1の実施形態と同じであるが、ろう付けする対象となる金属板1601、1602の継手形状が異なるので、レーザ照射装置102により照射するレーザ光107、108の場所が第1の実施形態と異なる。尚、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、金属板1601、1602として、前記(1)、(2)のものを用いる。
図17は、レーザ光107、108の第1の向きを説明する図である。図17は、金属板1601、1602の側面(板厚部分)を、ろう付け進行方向Aに沿う方向から見た図である。
図17に示すように、本実施形態でも、図4と同様に、「『レーザ光107の光軸107a』と『接合線(溶接進行方向Aの線)』とを含む面1701」と、「接合線を含む金属板(の接合相手の金属板と合わさっていない水平面)に垂直な面1702」と、のなす角度α1[°]を、レーザ光107の第1の方向として規定する。また、「『レーザ光108の光軸108a』と『接合線(溶接進行方向Aの線)』とを含む面1703」と、「接合線を含む金属板(の接合相手の金属板と合わさっていない水平面)に垂直な面1702」と、のなす角度α2[°]を、レーザ光108の第1の向きとして規定する。ここで、例えば、α1を、−60[°]以上、0[°]以下の範囲にすることができ、α2を、0[°]以上、60[°]以下の範囲にすることができる。ただし、ここでも、図4と同様に、α1、α2は、接合線を含む金属板(の接合相手の金属板と合わさっていない水平面)に垂直な面1702を基準として、図17に向かって時計周りの方向を正の方向とする。
図18に示すように、本実施形態でも、図5と同様に、「『レーザ光107の光軸107a』と『接合線に垂直な板面方向(接合相手の金属板と合わさっていない面の方向)の線』とを含む面1801」と、「接合線に垂直な面1802」と、のなす角度β1[°]を、レーザ光107の第2の方向として規定する。また、「『レーザ光108の光軸108a』と『接合線に垂直な板面方向(接合相手の金属板と合わさっていない面の方向)の線』とを含む面1803」と、「接合線に垂直な面1802」と、のなす角度β2[°]を、レーザ光108の第2の方向として規定する。ここで、例えば、β1を、0[°]以上、60[°]以下の範囲にすることができ、β2を、0[°]以上、60[°]以下の範囲にすることができる。ただし、ここでは、β1、β2は、接合線に垂直な面1802を基準として、図18に向かって反時計周りの方向を正の方向とする。
この他、レーザ光の出力を、金属板105、106の表面領域の材料に応じて異ならせることは、図8〜図15を参照しながら説明したのと同じである。
以上のように、拝み継手を形成する場合でも、第1の実施形態で説明したのと同様の効果を得ることができる。特に、拝み継手の谷の部分をアークにより適切に熱することは困難であるが、レーザ光を用いれば、この部分に適切な熱を与えることを容易に行うことができる。尚、本実施形態においても、第1の実施形態で説明した変形例を採用することができる。
次に、前述した本発明の実施形態の実施例について説明する。
詳細は後述するが、図20〜図40は、実施例及び比較例の結果を示す図である。
図20〜図40において、接合性が「○」であるものは、溶け落ちや、接合不可とならずに、接合線方向に均一なろう付け部が形成されたことを示す。一方、「×」であるものは、溶け落ちが生じたり、接合が不可であったり、ろう付け部が不均一であったことを示す。
金属板105、106、1601、1602;6000系アルミニウム合金板(幅;60[mm]、長さ;130[mm]、厚み;1.2[mm])、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(幅;60[mm]、長さ;130[mm]、厚み;0.8[mm]、引張強度;445[MPa]、めっきの目付量45[g/m2])、アルミめっき鋼板(幅;60[mm]、長さ;130[mm]、厚み;0.8[mm])、裸鋼板(幅;60[mm]、長さ;130[mm]、厚み;0.8[mm])錫−亜鉛めっき鋼板(幅;60[mm]、長さ;130[mm]、厚み;0.8[mm])
重ね隅肉継手における金属板の重なり長さW;20[mm](図19を参照)
ろう材109;フラックスレスのAl−Si系のワイヤ状のろう材(直径0.8[mm])又はフラックスレスのCu系のワイヤ状のろう材(直径0.8[mm])
レーザ;YAGレーザ
レーザ光107の向き;
重ね隅肉継手;α1=10[°]、β1=0[°]
拝み継手;α1=25[°]、β1=0[°]
レーザ光108の向き;
重ね隅肉継手;α2=40[°]、β2=0[°]
拝み継手;α2=25[°]、β2=0[°]
レーザ光107、108のスポット径;3[mm]
焦点はずし距離;0[mm]
また、比較例として示されているレーザろう付け法は、従来のレーザろう付け法で(ろう材をレーザ光で熱して)金属板105、106、1601、1602をろう付け(接合)したことを示す。
図20〜図40に示されているもの以外の比較例(レーザろう付け法)の条件は、以下の通りである。
レーザ;YAGレーザ
レーザ光107、108のスポット径;3[mm]
焦点はずし距離;0[mm]
図20〜図40に示されているもの以外の比較例(アークろう付け法)の条件は、以下の通りである。
ろう材109;フラックスレスのAl−Si系のワイヤ状のろう材(直径0.8[mm])又はフラックスレスのCu系のワイヤ状のろう材(直径0.8[mm])
図20は、実施例1〜3、比較例1〜7の結果を示す図である。実施例1〜3、比較例1〜7は、第1の実施形態の実施例、比較例である。すなわち、継手を、重ね隅肉継手とした。また、金属板105を、6000系アルミニウム合金板とし、金属板106を、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とした。また、ろう材109を、フラックスレスのAl−Si系のワイヤ状のろう材とした。
図21は、実施例4〜6、比較例8〜14の結果を示す図である。実施例4〜6、比較例8〜14は、第1の実施形態の実施例、比較例であり、実施例1〜3、比較例1〜7に対し、金属板105、106を入れ替えたものである。すなわち、実施例4〜6、比較例8〜14では、金属板105を、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とし、金属板106を、6000系アルミニウム合金板とした。
実施例1〜6と、比較例1〜14の結果から、アルミニウム合金板と亜鉛めっき鋼板とで重ね隅肉継手を形成する場合には、レーザ・アーク間距離Lを2[mm]以上、10[mm]以下にすると、良好な接合部が得られることが分かる。
図22は、実施例7〜9、比較例15〜21の結果を示す図である。実施例7〜9、比較例15〜21は、第1の実施形態の実施例、比較例である。すなわち、継手を、重ね隅肉継手とした。また、金属板105を、6000系アルミニウム合金板とし、金属板106を、裸鋼板とした。また、ろう材109を、フラックスレスのAl−Si系のワイヤ状のろう材とした。
図23は、実施例10〜12、比較例22〜28の結果を示す図である。実施例10〜12、比較例22〜28は、第1の実施形態の実施例、比較例であり、実施例7〜9、比較例15〜21に対し、金属板105、106を入れ替えたものである。すなわち、実施例10〜12、比較例22〜28では、金属板105を、裸鋼板とし、金属板106を、6000系アルミニウム合金板とした。
実施例7〜12と、比較例15〜28の結果から、アルミニウム合金板と裸鋼板とで重ね隅肉継手を形成する場合にも、レーザ・アーク間距離Lを2[mm]以上、10[mm]以下にすると、良好な接合部が得られることが分かる。
図24は、実施例13〜15、比較例29〜35の結果を示す図である。実施例13〜15、比較例29〜35は、第1の実施形態の実施例、比較例である。すなわち、継手を、重ね隅肉継手とした。また、金属板105を、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とし、金属板106を、裸鋼板とした。また、ろう材109を、フラックスレスのCu系のワイヤ状のろう材とした。
図25は、実施例16〜18、比較例36〜42の結果を示す図である。実施例16〜18、比較例36〜42は、第1の実施形態の実施例、比較例であり、実施例13〜15、比較例29〜35に対し、金属板105、106を入れ替えたものである。すなわち、実施例16〜18、比較例36〜42では、金属板105を、裸鋼板とし、金属板106を、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とした。
実施例16〜18と、比較例36〜42の結果から、亜鉛めっき鋼板と裸鋼板とで重ね隅肉継手を形成する場合にも、レーザ・アーク間距離Lを2[mm]以上、10[mm]以下にすると、良好な接合部が得られることが分かる。
図26は、実施例19〜21、比較例43〜49の結果を示す図である。実施例19〜21、比較例43〜49は、第1の実施形態の実施例、比較例である。すなわち、継手を、重ね隅肉継手とした。また、金属板105を、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とし、金属板106を、アルミめっき鋼板とした。また、ろう材109を、フラックスレスのAl−Si系のワイヤ状のろう材とした。
図27は、実施例22〜24、比較例50〜56の結果を示す図である。実施例22〜24、比較例50〜56は、第1の実施形態の実施例、比較例であり、実施例19〜21、比較例43〜49に対し、金属板105、106を入れ替えたものである。すなわち、実施例22〜24、比較例50〜56では、金属板105を、アルミめっき鋼板とし、金属板106を、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とした。
実施例19〜24と、比較例43〜56の結果から、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とアルミめっき鋼板とで重ね隅肉継手を形成する場合にも、レーザ・アーク間距離Lを2[mm]以上、10[mm]以下にすると、良好な接合部が得られることが分かる。
図28は、実施例25〜27、比較例57〜63の結果を示す図である。実施例25〜27、比較例57〜63は、第1の実施形態の実施例、比較例である。すなわち、継手を、重ね隅肉継手とした。また、金属板105を、錫−亜鉛めっき鋼板とし、金属板106を、裸鋼板とした。また、ろう材109を、フラックスレスのCu系のワイヤ状のろう材とした。
図29は、実施例28〜30、比較例64〜70の結果を示す図である。実施例28〜30、比較例64〜70は、第1の実施形態の実施例、比較例であり、実施例25〜27、比較例57〜63に対し、金属板105、106を入れ替えたものである。すなわち、実施例28〜30、比較例64〜70では、金属板105を、裸鋼板とし、金属板106を、錫−亜鉛めっき鋼板とした。
実施例25〜30と、比較例57〜70の結果から、錫−亜鉛めっき鋼板と裸鋼板とで重ね隅肉継手を形成する場合にも、レーザ・アーク間距離Lを2[mm]以上、10[mm]以下にすると、良好な接合部が得られることが分かる。
図30は、実施例31〜33、比較例71〜77の結果を示す図である。実施例31〜33、比較例71〜77は、第1の実施形態の実施例、比較例である。すなわち、継手を、重ね隅肉継手とした。また、金属板105を、錫−亜鉛めっき鋼板とし、金属板106を、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とした。また、ろう材109を、フラックスレスのCu系のワイヤ状のろう材とした。
図31は、実施例34〜36、比較例78〜84の結果を示す図である。実施例34〜36、比較例78〜84は、第1の実施形態の実施例、比較例であり、実施例31〜33、比較例71〜77に対し、金属板105、106を入れ替えたものである。すなわち、実施例34〜36、比較例78〜84では、金属板105を、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とし、金属板106を、錫−亜鉛めっき鋼板とした。
実施例31〜36と、比較例71〜84の結果から、錫−亜鉛めっき鋼板と亜鉛めっき鋼板とで重ね隅肉継手を形成する場合にも、レーザ・アーク間距離Lを2[mm]以上、10[mm]以下にすると、良好な接合部が得られることが分かる。
図32は、実施例37〜39、比較例85〜91の結果を示す図である。実施例37〜39、比較例85〜91は、第1の実施形態の実施例、比較例である。すなわち、継手を、重ね隅肉継手とした。また、金属板105を、アルミめっき鋼板とし、金属板106を、裸鋼板とした。また、ろう材109を、フラックスレスのAl−Si系のワイヤ状のろう材とした。
図33は、実施例40〜42、比較例92〜98の結果を示す図である。実施例40〜42、比較例92〜98は、第1の実施形態の実施例、比較例であり、実施例37〜39、比較例85〜91に対し、金属板105、106を入れ替えたものである。すなわち、実施例40〜42、比較例92〜98では、金属板105を、裸鋼板とし、金属板106を、アルミめっき鋼板とした。
実施例37〜42と、比較例85〜98の結果から、アルミめっき鋼板と裸鋼板とで重ね隅肉継手を形成する場合にも、レーザ・アーク間距離Lを2[mm]以上、10[mm]以下にすると、良好な接合部が得られることが分かる。
図34は、実施例43〜45、比較例99〜105の結果を示す図である。実施例43〜45、比較例99〜105は、第2の実施形態の実施例、比較例である。すなわち、継手を、拝み継手とした。また、金属板1601、1602を、アルミニウム合金板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とした。また、ろう材109を、フラックスレスのAl−Si系のワイヤ状のろう材とした。
実施例43〜45と、比較例99〜105の結果から、アルミニウム合金板と亜鉛めっき鋼板とで拝み継手を形成する場合にも、レーザ・アーク間距離Lを2[mm]以上、10[mm]以下にすると、良好な接合部が得られることが分かる。
図35は、実施例46〜48、比較例106〜112の結果を示す図である。実施例46〜48、比較例106〜112は、第2の実施形態の実施例、比較例である。すなわち、継手を、拝み継手とした。また、金属板1601、1602を、アルミニウム合金板、裸鋼板とした。また、ろう材109を、フラックスレスのAl−Si系のワイヤ状のろう材とした。
実施例46〜48と、比較例106〜112の結果から、アルミニウム合金板と裸鋼板とで拝み継手を形成する場合にも、レーザ・アーク間距離Lを2[mm]以上、10[mm]以下にすると、良好な接合部が得られることが分かる。
図36は、実施例49〜51、比較例113〜119の結果を示す図である。実施例49〜51、比較例113〜119は、第2の実施形態の実施例、比較例である。すなわち、継手を、拝み継手とした。また、金属板1601、1602を、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、裸鋼板とした。また、ろう材109を、フラックスレスのCu系のワイヤ状のろう材とした。
実施例49〜51、比較例113〜119の結果から、合金化溶融亜鉛めっき鋼板と裸鋼板とで拝み継手を形成する場合にも、レーザ・アーク間距離Lを2[mm]以上、10[mm]以下にすると、良好な接合部が得られることが分かる。
図37は、実施例52〜54、比較例120〜126の結果を示す図である。実施例52〜54、比較例120〜126は、第2の実施形態の実施例、比較例である。すなわち、継手を、拝み継手とした。また、金属板1601、1602を、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、アルミめっき鋼板とした。また、ろう材109を、フラックスレスのAl−Si系のワイヤ状のろう材とした。
実施例52〜54、比較例120〜126の結果から、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とアルミめっき鋼板とで拝み継手を形成する場合にも、レーザ・アーク間距離Lを2[mm]以上、10[mm]以下にすると、良好な接合部が得られることが分かる。
図38は、実施例55〜57、比較例127〜133の結果を示す図である。実施例55〜57、比較例127〜133は、第2の実施形態の実施例、比較例である。すなわち、継手を、拝み継手とした。また、金属板1601、1602を、錫−亜鉛めっき鋼板、裸鋼板とした。また、ろう材109を、フラックスレスのCu系のワイヤ状のろう材とした。
実施例55〜57、比較例127〜133の結果から、錫−亜鉛めっきと裸鋼板とで拝み継手を形成する場合にも、レーザ・アーク間距離Lを2[mm]以上、10[mm]以下にすると、良好な接合部が得られることが分かる。
図39は、実施例58〜60、比較例134〜140の結果を示す図である。実施例58〜60、比較例134〜140は、第2の実施形態の実施例、比較例である。すなわち、継手を、拝み継手とした。また、金属板1601、1602を、錫−亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とした。また、ろう材109を、フラックスレスのCu系のワイヤ状のろう材とした。
実施例58〜60、比較例134〜140の結果から、錫−亜鉛めっきと亜鉛めっき鋼板とで拝み継手を形成する場合にも、レーザ・アーク間距離Lを2[mm]以上、10[mm]以下にすると、良好な接合部が得られることが分かる。
図40は、実施例61〜63、比較例141〜147の結果を示す図である。実施例61〜63、比較例141〜147は、第2の実施形態の実施例、比較例である。すなわち、継手を、拝み継手とした。また、金属板1601、1602を、アルミめっき鋼板、裸鋼板とした。また、ろう材109を、フラックスレスのAl−Si系のワイヤ状のろう材とした。
実施例61〜63、比較例141〜147の結果から、アルミめっきと裸鋼板とで拝み継手を形成する場合にも、レーザ・アーク間距離Lを2[mm]以上、10[mm]以下にすると、良好な接合部が得られることが分かる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
102 レーザ照射装置
103 ワイヤ供給装置
104 電源
105、106、1601、1602 金属板
107、108 レーザ光
109 ろう材
110 アーク
111 ろう付けビード
112 レーザトーチ
113 ろう付けトーチ
Claims (2)
- 表面領域の材料が異なる2種の金属板をろう付けして、拝み継手または重ね隅肉継手を形成するレーザ・アークろう付け方法であって、
前記2種の金属板の接合予定箇所に不活性ガスを供給して、当該接合予定箇所に不活性雰囲気を形成する不活性雰囲気形成工程と、
前記金属板に対して、レーザ光を、ろう付け進行方向に相対的に移動させながら、前記接合予定箇所にレーザ光を照射するレーザ照射工程であって、前記金属板の表層領域の酸化皮膜又はめっき層を清浄化又は蒸発させ、且つ、当該清浄化した領域又は当該蒸発により露出した金属板の領域を、当該領域の材料の融点以下の温度で予熱するのに必要な出力を有するレーザ光を、前記2種の異なる金属板のそれぞれに個別に照射するレーザ照射工程と、
前記レーザ光よりも、前記ろう付け進行方向の後方側の領域において、前記金属板に対して、フラックスレスのろう材を、ろう付け進行方向に相対的に移動させながら、当該ろう材を、前記レーザ光が照射された後の前記接合予定箇所の方向に送給し、当該ろう材と、当該接合予定箇所との間の不活性雰囲気中にアークを発生させて、前記金属板をろう付けするろう付け工程と、を有し、
前記金属板の一方は、錫−亜鉛めっき鋼板であり、
前記ろう材は、Cu系のろう材であり、
前記レーザ照射工程は、前記錫−亜鉛めっき鋼板に対して、当該錫−亜鉛めっき鋼板の表層領域のめっきに含まれる亜鉛を蒸発させる出力を有するレーザ光を照射し、当該亜鉛が蒸発することにより露出した鋼板の表面を、当該鋼板の融点以下の温度で予熱し、
前記レーザ照射工程により照射される2つのレーザ光のスポットの中心又は重心が、前記金属板と交わる点を結ぶ直線の中点と、前記ろう付け工程により送給されるろう材の延長線が前記金属板と交わる点とを結ぶ距離であるレーザ・アーク間距離が、2[mm]以上、10[mm]以下であることを特徴とするレーザ・アークろう付け方法。 - 前記金属板の一方は、アルミニウム合金板、又はアルミめっき鋼板であり、
前記レーザ照射工程は、前記レーザ光が照射される領域における前記金属板の法線と、前記レーザ光の光軸とのなす角度γが、10[°]以上、60[°]以下となるように、前記アルミニウム合金板、又は前記アルミめっき鋼板に対して、当該アルミニウム合金板、又は当該アルミめっき鋼板の表層領域の酸化皮膜又はめっき層を清浄化する出力を有するレーザ光を照射し、当該アルミニウム合金板、又は当該アルミめっき鋼板の表層領域を、当該アルミニウム合金板、又は当該アルミめっき鋼板の融点以下の温度で予熱することを特徴とする請求項1に記載のレーザ・アークろう付け方法。
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