JP5493783B2 - 3相インバータ装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば太陽電池、燃料電池等の直流電源からの直流電力を交流電力に変換するものであって、ヒステリシスコンパレータ方式の制御を採用している3相インバータ装置に関する。この3相インバータ装置は、例えば、変換した交流電力を商用の電力系統に連系させる運転(これを連系運転と呼ぶ。以下同様)を行わせること等に用いることができる。
この種の3相インバータ装置の従来例を図13に示す。この3相インバータ装置は、直流電源2からの直流電力を3相の交流電力に変換して出力する3相インバータ回路4と、この3相インバータ回路4を制御するヒステリシスコンパレータ方式制御回路14とを備えている。符号3は直流の入力端子、符号11は3相交流の出力端子である。この3相インバータ装置は、いわゆる3相3線式の装置である。
3相インバータ回路4は、3相ブリッジ接続された六つのスイッチング素子S1 〜S6 を有している。各スイッチング素子S1 〜S6 は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor )であるが、これに限られるものではない。各スイッチング素子S1 〜S6 には、通常は図示例のように、負荷インダクタンスに蓄えられているエネルギーを直流電源に帰還させるための帰還ダイオード(還流ダイオード、環流ダイオード、フリーホイールダイオードとも呼ぶ)D1 〜D6 が逆向きに並列接続されている。
ヒステリシスコンパレータ方式制御回路14は、PWM(パルス幅変調)制御の一種であるヒステリシスコンパレータ方式によって3相インバータ回路4を制御する。即ち、3相インバータ回路4の各相の出力電流IU 、IV 、IW を、各相用の正弦波の電流指令値に対して所定のヒステリシス幅以内に制御するゲート信号G1 〜G6 を作成して、それを3相インバータ回路4の各スイッチング素子S1 〜S6 に供給する。
ヒステリシスコンパレータ方式は、例えば特許文献1にも記載されているように公知の技術である。その原理を、以下に簡単に説明する。
U相を例に取ると、図14に示すように、ヒステリシスコンパレータ方式は、出力電流IU が、正弦波(図14では拡大しているために直線に見えるが実際は正弦波である)の電流指令値ICUに対して所定のヒステリシス幅±ΔIH 以内に収まるように、U相のスイッチング素子S1 に供給するゲート信号G1 のオン・オフを制御するものである。同じ相の下側のスイッチング素子S2 に供給するゲート信号G2 は、上記ゲート信号G1 とはオン・オフが反対になるように制御される。即ち、電源短絡を避けるために、同じ相のスイッチング素子S1 、S2 はデッドタイムを設けるとともにオン・オフ動作が互いに反対になるように制御される。
V相、W相についても、U相の電流指令値ICUからそれぞれ120度、240度だけ位相の遅れた正弦波の電流指令値を用いて、上記と同様の制御が行われる。
再び図13を参照して、3相インバータ回路4の出力部は、この例では、高調波成分除去用のフィルタを構成する三つのリアクトル8および三つのコンデンサ10を経由して、商用3相の電力系統12に接続されている。各リアクトル8は各相に直列に接続されており、各コンデンサ10は各相間に並列に接続されている。各相の出力電流IU 、IV 、IW は変流器6を用いて計測され、電力系統12の線間電圧VUV、VVW、VWUは図示しない計器用変圧器等を用いて計測されて、それぞれヒステリシスコンパレータ方式制御回路14に供給され、上記制御に供される。
特開2008−167524号公報(段落0093−0106、図12−13)
上記従来の3相インバータ装置においては、U相を例に取ると図15に示す例のように、出力電流IU の正・負のピーク付近においても、ゲート信号G1 がオン・オフを繰り返して(a、b部参照)、スイッチング素子S1 のスイッチングが行われている。同じ相のスイッチング素子S2 についても同様である。また他の相のスイッチング素子S3 〜S6 についても同様である。なお、この図15は、出力電流(振幅)が40A、ヒステリシス幅が±1Aの例である(図16、図6〜図8の例も同様)。
スイッチング素子S1 〜S6 がスイッチングを行うと必ずスイッチング損失が発生し、しかも電流が大きいときのスイッチング損失は大きくなるので、上記のように電流ピーク付近においてスイッチングが行われている分、スイッチング損失が増えて、インバータの効率が低下するという課題がある。
また、出力電流IU 〜IW を制御するための、計測器を含めた制御系(具体的には上記変流器6、ヒステリシスコンパレータ方式制御回路14等を含めた制御系)には、オフセット(残留偏差)が存在する。そのために、出力電流IU 〜IW に直流分が重畳される。これの一例を、U相を例に図16に示す。
図16の例では、上記オフセットによって、出力電流IU に直流分が重畳して、出力電流IU 全体が正側に僅かにシフトしている。このとき、出力電流IU の負のピーク付近(c部参照)では、出力電流IU の絶対値が本来の値より小さくて(即ち正側にあって)、前記ヒステリシスコンパレータ方式の制御におけるヒステリシス幅の上限値+ΔIH を超える頻度が高くなるので、ゲート信号G1 が頻繁にオン・オフを繰り返してスイッチング素子S1 のスイッチングが行われる(d部参照)。同じ相のスイッチング素子S2 についても同様である。上記例とは逆に出力電流IU が負側にシフトしている場合は、出力電流IU の正のピーク付近においてゲート信号G1 が頻繁にオン・オフを繰り返してスイッチング素子S1 のスイッチングが行われる。上記のようなことは他の相のスイッチング素子S3 〜S6 についても同様である。
スイッチング素子S1 〜S6 がオフセットの存在によって上記のように余分なスイッチングを行うと、上述したように、その分スイッチング損失が増えるので、インバータの効率が更に低下する。
そこでこの発明は、ヒステリシスコンパレータ方式制御の3相インバータ装置において、上記のようなスイッチング損失を低減させてインバータの高効率化を可能にすることを主たる目的としている。
この発明に係る3相インバータ装置は、商用3相の電力系統に接続されて当該電力系統と連系運転を行う3相インバータ装置であって、3相ブリッジ接続された六つのスイッチング素子を有していて、直流電力を交流電力に変換する3相インバータ回路と、前記3相インバータ回路の各相の出力電流を、各相用の正弦波の電流指令値に対して所定のヒステリシス幅以内に制御するゲート信号を作成して、それを前記3相インバータ回路の各スイッチング素子に供給するヒステリシスコンパレータ方式制御回路とを備えている3相インバータ装置において、前記各相用の電流指令値の正側のピーク値の時点を含む所定期間だけ、前記ヒステリシスコンパレータ方式制御回路からのゲート信号に依らずに、前記3相インバータ回路の前記電流指令値に対応する各相の上側のスイッチング素子を強制的にオンさせると共に下側のスイッチング素子を強制的にオフさせ、かつ前記各相用の電流指令値の負側のピーク値の時点を含む所定期間だけ、前記ヒステリシスコンパレータ方式制御回路からのゲート信号に依らずに、前記3相インバータ回路の前記電流指令値に対応する各相の下側のスイッチング素子を強制的にオンさせると共に上側のスイッチング素子を強制的にオフさせる制御を行う強制オン制御回路を備えており、前記強制オン制御回路は、(a)前記電力系統の少なくとも1相の相電圧の位相を求めると共に、当該求めた電力系統の相電圧の位相に、当該3相インバータ装置を動作させる所望の力率を加味することにより、当該力率に応じた前記各相用の電流指令値の位相を求め、当該求めた各相用の電流指令値の位相を前記ヒステリシスコンパレータ方式制御回路に指令する位相決定手段と、(b)当該位相決定手段によって求めた前記電力系統の相電圧の位相に基づいて、前記3相インバータ回路のスイッチング素子を前記のとおり強制的にオンおよびオフさせる前記制御を行う強制制御手段とを有している、ことを特徴としている。
この3相インバータ装置においては、強制オン制御回路によって、各相用の電流指令値のピーク値の時点を含む所定期間だけ、当該各相のスイッチング素子を、スイッチングさせずに強制的にオンさせるので、当該所定期間においてスイッチング損失が発生するのを防止することができる。制御系にオフセットが存在している場合も同様であり、上記所定期間においてスイッチング損失が発生するのを防止することができる。
前記所定期間は、例えば、位相の幅で表して60度の期間である。
この発明に係る3相インバータ装置は、(A)前記3相インバータ回路の各スイッチング素子にそれぞれ逆並列接続された帰還ダイオードと、(B)前記3相インバータ回路の各相の出力部にそれぞれ直列に接続されたリアクトルと、(C)前記3相インバータ回路の入力側に設けられていて、前記3相インバータ回路に供給するインバータ入力直流電圧の大きさを変化させる入力電圧可変回路と、(D)(a)前記3相インバータ回路のスイッチング素子を強制的にオンさせている相以外の2相の内のいずれか1相についての前記電力系統の相電圧と前記リアクトルの両端電圧とに基づいて当該1相についての前記3相インバータ回路の出力相電圧の絶対値を算出し、(b)当該出力相電圧の絶対値を√3倍して前記3相インバータ回路の出力線間電圧の絶対値を算出し、(c)当該出力線間電圧の絶対値に、前記帰還ダイオード1個の順電圧降下および前記スイッチング素子1個のオン時の内部電圧降下を加算することによって、前記3相インバータ回路に供給すべき前記インバータ入力直流電圧の指令値を算出し、(d)かつ前記入力電圧可変回路から出力する前記インバータ入力直流電圧が前記指令値になるように前記入力電圧可変回路を制御する入力電圧制御回路と、を更に備えていても良い。
前記入力電圧可変回路は、例えば、DC−DCコンバータである。
請求項1、2に記載の発明によれば、強制オン制御回路によって、各相用の電流指令値のピーク値の時点を含む所定期間だけ、当該各相のスイッチング素子を、スイッチングさせずに強制的にオンさせるので、当該所定期間においてスイッチング損失が発生するのを防止することができる。制御系にオフセットが存在している場合も同様であり、上記所定期間においてスイッチング損失が発生するのを防止することができる。このようにしてスイッチング損失を低減させることができるので、インバータの高効率化が可能になる。
また、従来技術では出力電流のピーク付近ではスイッチング素子のスイッチング周波数が低くなるが、その最低スイッチング周波数の決定は困難であり、従って3相インバータ回路の出力側に設けられる高調波成分除去用のフィルタのカットオフ周波数の設定が難しく、フィルタ設計が難しかった。これに対して、この発明によれば、スイッチング周波数が低くなる出力電流のピーク付近では、即ち出力電流のピーク時点を含む所定期間では、スイッチング素子をスイッチングさせないので、最低スイッチング周波数の決定が容易になり、従ってフィルタのカットオフ周波数の算出が容易になり、フィルタ設計が容易になる。またカットオフ周波数を従来よりも高くすることができるので、フィルタを構成するリアクトルおよびコンデンサの小型化が可能になる。
また、各スイッチング素子の両端には、通常、当該スイッチング素子による電流遮断時にサージ電圧(ターンオフサージ電圧)が発生し、かつ同じアームの反対側のスイッチング素子のオン動作時に流れる逆回復電流の回復時にもサージ電圧(リカバリサージ電圧)が発生し、しかもこれらのサージ電圧は、出力電流の値が大きいときにスイッチングすると大きくなることが従来から知られている。これに対して、この発明によれば、上記のように出力電流の大きいときは、即ち出力電流のピーク時点を含む所定期間は、スイッチング素子をスイッチングさせないので、各スイッチング素子の両端に発生する上記サージ電圧(ターンオフサージ電圧およびリカバリサージ電圧)を小さく抑制することが可能になる。これによって例えば、各スイッチング素子にサージ電圧対策用に付加しているスナバ回路を構成するコンデンサ容量を小さくする、ひいてはコンデンサを削減することができる。
請求項3、4に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、入力電圧制御回路および入力電圧可変回路によってインバータ入力直流電圧を上記のように制御することによって、インバータ入力直流電圧を、連系電力系統の線間電圧に適した値に制御することができるので、各相の出力電流の正・負のピーク付近において、スイッチング素子をスイッチングさせずにオンさせているオン期間を、上記強制オン制御回路によって強制的にオンさせている期間よりも広げることができる。従ってその分、スイッチング損失を更に低減させることができるので、インバータの更なる高効率化が可能になる。
この発明に係る3相インバータ装置の一実施形態を示す回路図である。 図1中のヒステリシスコンパレータ方式制御回路および強制オン制御回路の構成の一例を示すブロック図である。 図1等におけるゲート信号出力回路の構成の一例を示すブロック図である。 スイッチング素子の制御モードの一例を示す図である。 図1等における強制オン制御回路の動作の一例を示す図である。 図1に示す実施形態においてU相上側のスイッチング素子に供給されるゲート信号およびU相出力電流のシミュレーション波形の一例を示す図である。 従来の3相インバータ装置における出力電流指令値とスイッチング素子のスイッチング周波数との関係の一例を示す図である。 図1に示す実施形態における出力電流指令値とスイッチング素子のスイッチング周波数との関係の一例を示す図である。 図1中のヒステリシスコンパレータ方式制御回路および強制オン制御回路の構成の他の例を示すブロック図である。 この発明に係る3相インバータ装置の他の実施形態を示す回路図である。 図10中のヒステリシスコンパレータ方式制御回路、強制オン制御回路および入力電圧制御回路の構成の一例を示すブロック図である。 図10に示す実施形態において各相上側のスイッチング素子に供給されるゲート信号および各相出力電流のシミュレーション波形の一例を示す図である。 従来の3相インバータ装置の一例を示す回路図である。 ヒステリシスコンパレータ方式制御の原理を示す図である。 図13に示す従来装置においてU相上側のスイッチング素子に供給されるゲート信号およびU相出力電流のシミュレーション波形の一例を示す図である。 図13に示す従来装置において、制御系にオフセットが存在する場合に、U相上側のスイッチング素子に供給されるゲート信号およびU相出力電流のシミュレーション波形の一例を示す図である。 図10中の3相インバータ回路周りを抜き出すと共に、各スイッチング素子の状態の一例をスイッチ記号で示す図である。 図17の状態における各電圧及び各電流のベクトルの一例を示す図である。
(1)スイッチング素子を強制オン制御する実施形態
図1に、この発明に係る3相インバータ装置の一実施形態を示す。図13に示した従来例と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては当該従来例との相違点を主に説明する。
この実施形態の3相インバータ装置は、前述した3相インバータ回路4と、前述したヒステリシスコンパレータ方式制御回路14とほぼ同様の機能を有するヒステリシスコンパレータ方式制御回路14aと、このヒステリシスコンパレータ方式制御回路14aと3相インバータ回路4との間に設けられていて、3相インバータ回路4のスイッチング素子S1 〜S6 を強制的にオン・オフさせる制御を行う強制オン制御回路16とを備えている。その他の構成は、図13に示したものと同様である。
詳細は図2を参照して後述するが、ヒステリシスコンパレータ方式制御回路14aは、3相インバータ回路4の各相の出力電流IU 、IV 、IW を、各相用の正弦波の電流指令値に対して所定のヒステリシス幅以内に制御するゲート信号を作成して、それを3相インバータ回路4の各スイッチング素子S1 〜S6 に供給するものである。
強制オン制御回路16は、上記各相用の電流指令値の正側のピーク値の時点を含む所定期間だけ、ヒステリシスコンパレータ方式制御回路14aからのゲート信号に依らずに、3相インバータ回路4の上記電流指令値に対応する各相の上側のスイッチング素子S1 、S3 またはS5 を強制的にオンさせると共に同じ相の下側のスイッチング素子S2 、S4 またはS6 を強制的にオフさせ、かつ上記各相用の電流指令値の負側のピーク値の時点を含む所定期間だけ、ヒステリシスコンパレータ方式制御回路14aからのゲート信号に依らずに、3相インバータ回路4の上記電流指令値に対応する各相の下側のスイッチング素子S2 、S4 またはS6 を強制的にオンさせると共に同じ相の上側のスイッチング素子S1 、S3 またはS5 を強制的にオフさせる制御を行うものである。
上記所定期間は、例えば、位相の幅で表して60度の期間である。この場合の各スイッチング素子S1 〜S6 のオン・オフの状態を表した制御モードM1 〜M6 を図4、表1にまとめて示す。もっとも、上記所定期間は、60度の期間に限られるものではなく、0度よりも大きくかつ60度以下の期間であれば良い。
Figure 0005493783
つまり、強制オン制御回路16によって3相の内の1相のスイッチング素子の強制的なオン・オフ制御を行い、残りの2相のスイッチング素子についてはヒステリシスコンパレータ方式制御回路14aによってスイッチング制御を行う。
上記ヒステリシスコンパレータ方式制御回路14a、強制オン制御回路16の構成の一例を図2に示す。この図2は、3相インバータ回路4の出力部を上記商用3相の電力系統12に接続して連系運転を行う場合の例である。
ヒステリシスコンパレータ方式制御回路14aは、この例では、相電圧変換回路22、電流指令値作成回路24、ヒステリシス幅設定器26、ヒステリシス上限値演算回路28、ヒステリシス下限値演算回路30、比較器32、34およびゲート信号作成回路36を有している。比較器32と34とでヒステリシスコンパレータを構成している。
相電圧変換回路22は、3相の電力系統12の線間電圧VUV、VVW、VWUを計測して、それらを相電圧VU 、VV 、VW に変換する。相電圧の位相情報を電流指令値作成回路24で用いるためである。
電流指令値作成回路24は、相電圧変換回路22から与えられる各相電圧VU 、VV 、VW の位相の情報と、外部から指令される電流振幅IP とに基づいて、3相の出力電流IU 、IV 、IW 用の正弦波の電流指令値ICU、ICV、ICWを作成して出力する。電流振幅IP は3相に共通である。なお、3相交流では周知のようにU相、V相、W相の位相は、それぞれ120度ずつ遅れているだけであるから、1相の相電圧(例えばU相の相電圧VU )の位相を検出し、それより120度ずつ遅らせることでV相とW相の位相を算出するようにしても良い。
ヒステリシス幅設定器26は、前述した(図14参照)ヒステリシス幅ΔIH を設定する。これはこの例では3相に共通である。
ヒステリシス上限値演算回路28は、次式に従って、3相のヒステリシス上限値IHU、IHV、IHWを演算して出力する。
[数1]
HU=ICU+ΔIH
HV=ICV+ΔIH
HW=ICW+ΔIH
ヒステリシス下限値演算回路30は、次式に従って、3相のヒステリシス下限値ILU、ILV、ILWを演算して出力する。
[数2]
LU=ICU−ΔIH
LV=ICV−ΔIH
LW=ICW−ΔIH
比較器32は、変流器6を用いて計測した3相インバータ回路4の出力電流IU 、IV 、IW と、ヒステリシス上限値演算回路28からのヒステリシス上限値IHU、IHV、IHWとをそれぞれ比較して、U相を例に説明すると、出力電流IU がヒステリシス上限値IHUよりも大きくなるとスイッチング素子S1 をオフさせかつスイッチング素子S2 をオンさせるゲート信号GS1 、GS2 をゲート信号作成回路36から出力させるような信号を出力する(図14も参照)。V相、W相についても同様である。
比較器34は、変流器6を用いて計測した3相インバータ回路4の出力電流IU 、IV 、IW と、ヒステリシス下限値演算回路30からのヒステリシス下限値ILU、ILV、ILWとをそれぞれ比較して、U相を例に説明すると、出力電流IU がヒステリシス下限値ILUよりも小さくなるとスイッチング素子S1 をオンさせかつスイッチング素子S2 をオフさせるゲート信号GS1 、GS2 をゲート信号作成回路36から出力させるような信号を出力する(図14も参照)。V相、W相についても同様である。
ゲート信号作成回路36は、比較器32および34からの信号に基づいて、3相インバータ回路4の各スイッチング素子S1 〜S6 をそれぞれオン・オフさせるゲート信号GS1 〜GS6 を作成して出力する。各ゲート信号GS1 〜GS6 は、論理値1または0を取るパルス信号である。この場合、前述したようにU相を例に説明すると、同じU相のスイッチング素子S1 、S2 はオン・オフ動作が互いに逆になるように、ゲート信号GS1 、GS2 の論理値は互いに逆にする。V相、W相についても同様である。
なお、上記ゲート信号GS1 〜GS6 は、後述するゲート信号出力回路44を経由して、ゲート信号G1 〜G6 に変換されて各スイッチング素子S1 〜S6 に供給される。この場合、この実施形態では、ゲート信号出力回路44においてはゲート信号GS2 、GS4 、GS6 のみを用い、それらの逆論理のゲート信号GS1 、GS3 、GS5 に相当するゲート信号はゲート信号出力回路44において作成するようにしているので、即ちヒステリシスコンパレータ方式制御回路14aの機能の一部をゲート信号出力回路44に持たせているので、ゲート信号作成回路36においては上記ゲート信号GS2 、GS4 、GS6 のみを作成するようにしても良い。
上記制御によって、3相インバータ回路4から出力する各相の出力電流IU 、IV 、IW は、各相用の正弦波の電流指令値ICU、ICV、ICWに対して所定のヒステリシス幅±ΔIH 以内に収まるように制御される。これが前述したヒステリシスコンパレータ方式制御の詳細である。
強制オン制御回路16は、この例では、比較器38、カウンタ40、位相決定回路41、強制制御信号作成回路42およびゲート信号出力回路44を有している。
図5も参照して、比較器38は、相電圧変換回路22からの1相の相電圧(この例ではU相電圧VU )を0V(ボルト)の基準値と比較して、相電圧VU が負のときに論理値1を出力し、0V以上のときに論理値0を出力する。
カウンタ40は、相電圧VU の一周期ごとに、即ち比較器38の出力の一周期ごとに、比較器38の出力の立下りエッジ時点から、その立下りエッジ時点のカウント値を0にして、カウントを開始する。
位相決定回路41は、ここでは一例として、予めカウンタ40でカウントした一周期分のカウント値を用いて、その値を360で割って1度当たりのカウント値を算出しておく。そしてカウンタ40の現在のカウント値に上記1度当たりのカウント値を掛けることにより、相電圧VU の現在の位相[度]を求める。更に、当該3相インバータ装置を動作させる所望の力率を加味することにより、当該力率に応じた電流指令値ICUの位相(これは出力電流IU の位相と同じである)を求める。例えば力率1ならば、相電圧VU と電流指令値ICUとは同じ位相になる。V相、W相の位相は、U相の位相からそれぞれ120度ずつ遅らせることにより求める。
強制制御信号作成回路42は、位相決定回路41で求めた位相に基づいて、現在の位相が、3相インバータ回路4のスイッチング素子S1 〜S6 を強制的にオン・オフさせる上記制御モードM1 〜M6 (図4、表1参照)の内のどの制御モードにあるかを判定して、その判定した制御モードでスイッチング素子S1 〜S6 を図4、表1 に示すように強制的にオン・オフさせることを実現する強制制御信号CS1 〜CS6 を作成して出力する。スイッチング素子S1 、S2 用の強制制御信号CS1 、CS2 を例に取ると、図4からも分かるように、強制制御信号CS1 、CS2 は、制御モードM2 ではそれぞれ論理値1、0となり、制御モードM5 ではそれぞれ論理値0、1となり、それ以外の制御モードではそれぞれ論理値0、0となる(表2も参照)。スイッチング素子S3 〜S6 用の強制制御信号CS3 〜CS6 についても同様に図4から分かる。この強制制御信号CS1 〜CS6 の各制御モードM1 〜M6 における論理値の状態を表2にまとめて示す。
Figure 0005493783
ゲート信号出力回路44は、ゲート信号作成回路36からのゲート信号GS1 〜GS6 と、強制制御信号作成回路42からの強制制御信号CS1 〜CS6 とに基づいて、スイッチング素子を強制的にオン・オフさせる制御モードでは強制制御信号CS1 〜CS6 の論理値と同じ論理値のゲート信号G1 〜G6 を出力し、それ以外の制御モードではゲート信号GS1 〜GS6 の論理値と同じ論理値のゲート信号G1 〜G6 を出力する。
このゲート信号出力回路44の構成の一例を図3に示す。このゲート信号出力回路44は、互いに同じ構成の回路45a〜45cをU相、V相、W相用に一つずつ有している。U相を例に説明すると、U相用の回路45aは、強制制御信号CS1 が入力されるNOT回路52と、強制制御信号CS2 およびゲート信号GS2 が入力されるOR回路54と、このNOT回路52、OR回路54の出力が入力されるAND回路56と、このAND回路56の出力が入力されるNOT回路58とを有している。AND回路56の出力がゲート信号G1 であり、NOT回路58の出力がゲート信号G2 である。このU相用の回路45aの論理値の状態を表3にまとめて示す。
Figure 0005493783
この表3からも分かるように、このU相用の回路45aからは、U相のスイッチング素子S1 、S2 を強制的にオン・オフさせる制御モードM2 、M5 では強制制御信号CS1 、CS2 の論理値と同じ論理値のゲート信号G1 、G2 を出力し、それ以外の制御モードではゲート信号GS2 の論理値と同じ論理値のゲート信号G2 およびそれと逆論理のゲート信号G1 を出力する。
ゲート信号出力回路44を構成するV相用およびW相用の回路45b、45cについても同様である。
即ち、V相用の回路45bは、V相のスイッチング素子S3 、S4 を強制的にオン・オフさせる制御モードM1 、M4 では強制制御信号CS3 、CS4 の論理値と同じ論理値のゲート信号G3 、G4 を出力し、それ以外の制御モードではゲート信号GS4 の論理値と同じ論理値のゲート信号G4 およびそれと逆論理のゲート信号G3 を出力する。
W相用の回路45cは、W相のスイッチング素子S5 、S6 を強制的にオン・オフさせる制御モードM3 、M6 では強制制御信号CS5 、CS6 の論理値と同じ論理値のゲート信号G5 、G6 を出力し、それ以外の制御モードではゲート信号GS6 の論理値と同じ論理値のゲート信号G6 およびそれと逆論理のゲート信号G5 を出力する。
以上のように、この3相インバータ装置においては、強制オン制御回路16によって、各相用の電流指令値ICU〜ICWのピーク値の時点を含む所定期間だけ、当該各相のスイッチング素子を、スイッチングさせずに強制的にオンさせるので、当該所定期間においてスイッチング損失が発生するのを防止することができる。
そのシミュレーション結果の一例を図6に示す。これはU相のものである。この例では、U相電流指令値の正側のピーク値の時点を含む所定期間T1 だけゲート信号G1 を論理値1にしてスイッチング素子S1 を強制的にオンさせており(その間は前述したようにスイッチング素子S2 は強制的にオフさせる)、U相電流指令値の負側のピーク値の時点を含む所定期間T2 だけゲート信号G1 を論理値0にしてスイッチング素子S1 を強制的にオフさせている(その間は前述したようにスイッチング素子S2 は強制的にオンさせる)。これが図15に示した従来例と大きく異なる点である。
上記所定期間T1 、T2 以外においては、ヒステリシスコンパレータ方式制御回路14aの制御によってスイッチング素子S1 、S2 のスイッチング制御を行っている。また上記所定期間T1 、T2 中も、残りの2相(V相、W相)においては、ヒステリシスコンパレータ方式制御回路14aの制御によってスイッチング素子S3 〜S6 のスイッチング制御を行っている。
上記のような強制オン制御を行っても、図6に示すように、設定どおりの振幅(この例では40A)の正弦波状の出力電流IU を出力することができている。この点は図15に示した従来例と大差はない。
V相、W相についても上記と同様である。
また、前述したように制御系にオフセットが存在していても、当該オフセットの存在によって従来はスイッチングを行っていたピーク付近の期間(図16中のc、d部参照)において、この発明に係る3相インバータ装置では上記のようにスイッチング素子を強制的にオンさせるので、オフセットの存在によるスイッチングを防止することができる。従って、その分、スイッチング損失が発生するのを防止することができる。
以上のようにして、この発明に係る3相インバータ装置によれば、スイッチング損失を低減させることができるので、インバータの高効率化が可能になる。
また、従来技術では出力電流のピーク付近では、図15に示した例のように、スイッチング素子のスイッチング周波数が低くなるが、その最低スイッチング周波数の決定は困難であった。これを、U相を例にシミュレーション結果を用いて説明すると、図7に示すように、従来技術では電流指令値ICU(これはU相の出力電流に相当する。以下同様)の正・負のピーク付近では、非常に低い周波数領域までスイッチングを行っている。V相、W相についても同様である。そのために最低スイッチング周波数の決定が困難であり、従って3相インバータ回路4の出力側に設けられる高調波成分除去用のフィルタ(これは上記リアクトル8およびコンデンサ10で構成されている)のカットオフ周波数の設定が難しく、フィルタ設計が難しかった。
これに対して、この発明に係る3相インバータ装置によれば、スイッチング周波数が低くなる出力電流のピーク付近では、即ち出力電流のピーク時点を含む所定期間では、スイッチング素子をスイッチングさせないので、最低スイッチング周波数の決定が容易になる。これを、U相を例にシミュレーション結果を用いて説明すると、図8に示すように、電流指令値ICUの正・負のピーク付近では強制的にスイッチングさせないので、スイッチングさせる部分との境界部(図8の例では±30A付近)でのスイッチング周波数(約5kHz)が最低スイッチング周波数となる。V相、W相についても同様である。そのために最低スイッチング周波数の決定が容易であり、従ってフィルタのカットオフ周波数の算出が容易になり、フィルタ設計が容易になる。またカットオフ周波数を従来よりも高くすることができるので、フィルタを構成するリアクトル8およびコンデンサ10の小型化が可能になる。
また、3相インバータ回路4を構成する各スイッチング素子S1 〜S6 の両端には、通常、当該スイッチング素子による電流遮断時にサージ電圧(ターンオフサージ電圧)が発生し、かつ同じアームの反対側のスイッチング素子のオン動作時に流れる逆回復電流の回復時にもサージ電圧(リカバリサージ電圧)が発生し、しかもこれらのサージ電圧は、出力電流の値が大きいときにスイッチングすると大きくなることが従来から知られている。これに対して、この発明に係る3相インバータ装置によれば、上記のように出力電流の大きいときは、即ち出力電流のピーク時点を含む所定期間は、スイッチング素子をスイッチングさせないので、各スイッチング素子S1 〜S6 の両端に発生する上記サージ電圧(ターンオフサージ電圧およびリカバリサージ電圧)を小さく抑制することが可能になる。これによって例えば、各スイッチング素子S1 〜S6 にサージ電圧対策用に付加しているスナバ回路を構成するコンデンサ容量を小さくする、ひいてはコンデンサを削減することができる。
なお、強制オン制御回路16において、スイッチング素子を強制的にオン(同じ相の反対側のスイッチング素子はオフ)させる期間を決定する方法には、図2に示した例以外に、例えば次の方法を採用しても良い。以下の説明は図4を参照すると分かりやすい。
(a)3相の電流指令値ICU、ICV、ICWの絶対値を比較して、他の2相よりも絶対値が大きい相のその絶対値が大きい期間。
(b)3相の電流指令値ICU、ICV、ICWの極性(正・負)を判断し、他の2相と反転している相のその反転している期間。
(c)連系運転を行う場合で、力率1の動作をさせる場合は、電力系統12の相電圧と当該3相インバータ装置の出力電流とが同相であることから、系統相電圧において上記(a)または(b)となる期間。
また、上記3相インバータ装置は、連系運転以外に、電力系統12とは切り離して、構内負荷等に電流供給を行う自立運転を行わせる場合にも適用することができる。自立運転を行わせる場合は、例えば、図9に示す例のように、ヒステリシスコンパレータ方式制御回路14aに系統線間電圧を入力する代わりに、正弦波発振器50を設けておいてそれから系統線間電圧に相当する3相の正弦波電圧を出力してそれをヒステリシスコンパレータ方式制御回路14a(より具体的にはその相電圧変換回路22)に供給すれば良い。ヒステリシスコンパレータ方式制御回路14aに供給する電圧を、系統線間電圧と正弦波発振器50からの正弦波電圧とで切り換えられるようにしておいても良く、そのようにすれば、連系運転と自立運転とを簡単に切り換えることができる。
(2)スイッチング素子の強制オン制御とインバータ入力直流電圧制御とを併用する実施形態
図10に、この発明に係る3相インバータ装置の他の実施形態を示し、図11に、図10中のヒステリシスコンパレータ方式制御回路、強制オン制御回路および入力電圧制御回路の構成の一例を示す。図1、図2等に示した実施形態と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては当該実施形態との相違点を主に説明する。
この実施形態の3相インバータ装置は、商用3相の電力系統12に接続されて当該電力系統12と連系運転を行うものである。
3相インバータ回路4の入力側には、3相インバータ回路4に供給するインバータ入力直流電圧E2 の大きさを変化させる入力電圧可変回路20が設けられている。即ちこの入力電圧可変回路20は、直流電源2から与えられる直流電圧E1 を、大きさが可変のインバータ入力直流電圧E2 に変換して出力する。この入力電圧可変回路20は、例えばDC−DCコンバータであるが、それに限られるものではない。
この実施形態の3相インバータ装置は、入力電圧制御回路18を更に備えており、上記インバータ入力直流電圧E2 は、入力電圧制御回路18から入力電圧可変回路20に与えられる電圧制御信号ESによって、以下に説明する指令値E2Cになるように制御される。入力電圧制御回路18には、入力電圧可変回路20から出力するインバータ入力直流電圧E2 がフィードバックされる。
入力電圧制御回路18は、3相インバータ回路4のスイッチング素子S1 〜S6 を強制的にオンさせている相以外の2相の内のいずれか1相についての電力系統12の相電圧とリアクトル8の両端電圧とに基づいて当該1相についての3相インバータ回路4の出力相電圧の絶対値を算出する機能と、(b)当該出力相電圧の絶対値を√3倍して3相インバータ回路4の出力線間電圧の絶対値を算出する機能と、(c)当該出力線間電圧の絶対値に、帰還ダイオードD1 〜D6 の内の1個の順電圧降下およびスイッチング素子S1 〜S6 の内の1個のオン時の内部電圧降下を加算することによって、3相インバータ回路4に供給すべきインバータ入力直流電圧E2 の指令値E2Cを算出する機能と、(d)入力電圧可変回路20から出力するインバータ入力直流電圧E2 が上記指令値E2Cになるように入力電圧可変回路20を制御する機能とを有している。これを図17、図18を参照して詳述する。
ここでは一例として、図17に示すように、U相のスイッチング素子S1 は前述した強制オン制御によって強制的にオン(従ってスイッチング素子S2 は強制的にオフ)されており、V相およびW相のスイッチング素子S3 〜S6 はスイッチング制御されているが、その内、スイッチング素子S3 およびS6 がオン状態にあり、スイッチング素子S4 およびS5 がオフ状態にある状態を例に説明する。この状態を表4にまとめて示す。従って以下では、スイッチング制御されているV相およびW相を主体に説明する。
Figure 0005493783
電流の向きを、3相インバータ回路4から電力系統12に流れる場合を正とすると、上記状態では、3相インバータ回路4の出力電流IU (=−(IV +IW ))は正、出力電流IV およびIW は負の向きとなる。従って、図17中に示すように、U相の出力電流IU はスイッチング素子S1 、V相の出力電流IV は帰還ダイオードD3 (スイッチング素子S3 には逆方向のために流れない)、W相の出力電流IW はスイッチング素子S6 を通して流れる。
上記の場合の各電圧および各電流のベクトルを図18に示す。この図は、当該3相インバータ装置が力率1の動作を行っている場合の例であり、各出力電流IU 、IV 、IW は電力系統12の相電圧VU 、VV 、VW とそれぞれ同相である。各リアクトル8の両端電圧VLU、VLV、VLWは、各相電圧VU 、VV 、VW に対して90度進みの関係になる。その大きさは次式で表される。ωは角周波数、tは時間、Lは各リアクトル8のインダクタンスである。
[数3]
|VLU|=|ωL・IU
|VLV|=|ωL・IV
|VLW|=|ωL・IW
図18からも分かるように、3相インバータ回路4のV相の出力相電圧VIVの絶対値|VIV|は、電力系統12のV相の相電圧VV とV相のリアクトル8の両端電圧VLVの2乗和の平方根で算出することができる。電力系統12の相電圧VV は、線間電圧VVWから算出することができる。W相の出力相電圧VIWの絶対値|VIW|も同様の考えで算出することができる。これらを式で表すと数4、数5となる。
Figure 0005493783
Figure 0005493783
上記出力相電圧の絶対値|VIV|および|VIW|は、互いに実質的に同じ値になる。これは、対称3相交流であるから各相の電圧の波高値VV 、VW は互いに同じであり、各相の電流の波高値IV 、IW も互いに同じであり、各相のリアクトル8のインダクタンスLも互いに同じであり、位相が異なるだけだからである。従って、いずれか一方のみを算出すれば良い。その演算を入力電圧制御回路18が行う。ここでは、V相の出力電圧VIVの絶対値|VIV|の演算(即ち数4の演算)を行う場合を例に説明する。
3相インバータ回路4の出力線間電圧は、出力相電圧に対して、位相は30度進んでおり、絶対値は√3倍である。従って、3相インバータ回路4のV相W相間の出力線間電圧VIVW の絶対値|VIVW |は、次式で算出することができる。次式の第2行は、|VIV|に数4を代入したものである。この演算を入力電圧制御回路18が行う。
Figure 0005493783
上記帰還ダイオードD1 〜D6 の内の1個の順電圧降下(順電流が流れている時の電圧降下)をVD 、スイッチング素子S1 〜S6 の内の1個のオン時の内部電圧降下(オン時の内部抵抗による電圧降下)をVS とすると、入力電圧制御回路18は次式の演算を行って、3相インバータ回路4に供給すべき上記インバータ入力直流電圧E2 の指令値E2Cを算出する。次式の第2行は|IIVW |に数6を代入したものである。
Figure 0005493783
上記順電圧降下VD は、どの帰還ダイオードD1 〜D6 のものも互いに実質的に同じである。帰還ダイオードD1 〜D6 として、一般的に、実質的に同じ特性の帰還ダイオードを用いるからである。
上記内部電圧降下VS は、スイッチング素子オン時の抵抗値RONに、そこを流れる電流値を掛けることによって求めることができる。オン時の抵抗値RONは、どのスイッチング素子S1 〜S6 のものも互いに実質的に同じである。スイッチング素子S1 〜S6 として、一般的に、実質的に同じ特性のスイッチング素子を用いるからである。従って、スイッチング素子S6 を例に取ると、上記内部電圧降下VS は次式で求めることができる。入力電圧制御回路18はこの演算を行う。
[数8]
|VS |=|IW |×RON
以上は、図17、表4に示したように、U相のスイッチング素子S1 を強制的にオン(従ってスイッチング素子S2 を強制的にオフ)させているときの状態を例に説明したが、V相またはW相のスイッチング素子を上記と同様に強制的にオンさせている状態でも同じ結果になる。対称3相交流を扱っているからである。
上記のような演算および制御を行う入力電圧制御回路18の構成の例を図11に示す。この入力電圧制御回路18は、相電圧演算回路45、指令値演算回路46および電圧制御回路48を有している。図11中の入力電圧制御回路18以外の要素は、図2を参照して説明したとおりである。
相電圧演算回路45は、電力系統12の線間電圧(例えば線間電圧VVW)に基づいて、電力系統12の所要の相電圧、例えば上記V相の相電圧VV を算出する。なお、前述したように相電圧変換回路22も電力系統12の相電圧を求める機能を有しているので、相電圧演算回路45を設ける代わりに相電圧変換回路22を共用しても良い。
指令値演算回路46は、相電圧演算回路45から与えられる上記相電圧と、変流器6(図1参照)を用いて計測した3相インバータ回路4の所要の相の出力電流、例えば上記V相の出力電流IV と、上記順電圧降下VD と、内部電圧降下VS とに基づいて、上記数7に従って上記指令値E2Cを算出する。
電圧制御回路48は、指令値演算回路46から与えられる上記指令値E2Cと、入力電圧可変回路20から出力されるインバータ入力直流電圧E2 とを比較して、インバータ入力直流電圧E2 が指令値E2Cになるように、電圧制御信号ESによって入力電圧可変回路20を制御する。
入力電圧可変回路20から出力するインバータ入力直流電圧E2 が上記指令値E2Cになるように制御することによって、インバータ入力直流電圧E2 を、連系電力系統12の線間電圧に適した値に制御することができるので、3相インバータ回路4の各相の出力電流の正・負のピーク付近において、スイッチング素子をスイッチングさせずにオンさせているオン期間を、上記強制オン制御回路16によって強制的にオンさせている期間よりも広げることができる(オン期間の拡大)。これは、インバータ入力直流電圧E2 が上記制御によって電力系統12の電圧に適した値になって、3相インバータ回路4の入力電圧と出力電圧との差が小さくなり、出力電流のピーク付近において、前述したヒステリシスコンパレータ方式制御によってスイッチングを行わなくて済む期間が拡がる(長くなる)からである。従ってその分、スイッチング損失を更に低減させることができるので、インバータの更なる高効率化が可能になる。
そのシミュレーション結果の一例を図12に示す。これは先の図6に対応するものである。この例では、U相、V相、W相のゲート信号G1 、G3 、G5 が論理値1になってスイッチング素子S1 、S3 、S5 がオンになっているオン期間T10、T30、T50が、図6に示す強制オン期間T1 よりも広がっていることが分かる。ある一つの時刻で見れば、ほぼ1相だけのスイッチングで済んでいると言うこともできる。
上記の場合でも、出力電流としては、図12に示すように、設定どおりの振幅(この例では40A)の正弦波状の出力電流IU 、IV 、IW を出力することができている。この点では図6の場合と大差はない。
4 3相インバータ回路
8 リアクトル
12 電力系統
14a ヒステリシスコンパレータ方式制御回路
16 強制オン制御回路
18 入力電圧制御回路
20 入力電圧可変回路
1 〜S6 スイッチング素子
1 〜D6 帰還ダイオード
2 インバータ入力直流電圧

Claims (4)

  1. 商用3相の電力系統に接続されて当該電力系統と連系運転を行う3相インバータ装置であって、
    3相ブリッジ接続された六つのスイッチング素子を有していて、直流電力を交流電力に変換する3相インバータ回路と、
    前記3相インバータ回路の各相の出力電流を、各相用の正弦波の電流指令値に対して所定のヒステリシス幅以内に制御するゲート信号を作成して、それを前記3相インバータ回路の各スイッチング素子に供給するヒステリシスコンパレータ方式制御回路とを備えている3相インバータ装置において、
    前記各相用の電流指令値の正側のピーク値の時点を含む所定期間だけ、前記ヒステリシスコンパレータ方式制御回路からのゲート信号に依らずに、前記3相インバータ回路の前記電流指令値に対応する各相の上側のスイッチング素子を強制的にオンさせると共に下側のスイッチング素子を強制的にオフさせ、かつ前記各相用の電流指令値の負側のピーク値の時点を含む所定期間だけ、前記ヒステリシスコンパレータ方式制御回路からのゲート信号に依らずに、前記3相インバータ回路の前記電流指令値に対応する各相の下側のスイッチング素子を強制的にオンさせると共に上側のスイッチング素子を強制的にオフさせる制御を行う強制オン制御回路を備えており、
    前記強制オン制御回路は、(a)前記電力系統の少なくとも1相の相電圧の位相を求めると共に、当該求めた電力系統の相電圧の位相に、当該3相インバータ装置を動作させる所望の力率を加味することにより、当該力率に応じた前記各相用の電流指令値の位相を求め、当該求めた各相用の電流指令値の位相を前記ヒステリシスコンパレータ方式制御回路に指令する位相決定手段と、(b)当該位相決定手段によって求めた前記電力系統の相電圧の位相に基づいて、前記3相インバータ回路のスイッチング素子を前記のとおり強制的にオンおよびオフさせる前記制御を行う強制制御手段とを有している、ことを特徴とする3相インバータ装置。
  2. 前記所定期間は、位相の幅で表して0度よりも大きくかつ60度以下の期間である請求項1記載の3相インバータ装置。
  3. A)前記3相インバータ回路の各スイッチング素子にそれぞれ逆並列接続された帰還ダイオードと、
    (B)前記3相インバータ回路の各相の出力部にそれぞれ直列に接続されたリアクトルと、
    (C)前記3相インバータ回路の入力側に設けられていて、前記3相インバータ回路に供給するインバータ入力直流電圧の大きさを変化させる入力電圧可変回路と、
    (D)(a)前記3相インバータ回路のスイッチング素子を強制的にオンさせている相以外の2相の内のいずれか1相についての前記電力系統の相電圧と前記リアクトルの両端電圧とに基づいて当該1相についての前記3相インバータ回路の出力相電圧の絶対値を算出し、(b)当該出力相電圧の絶対値を√3倍して前記3相インバータ回路の出力線間電圧の絶対値を算出し、(c)当該出力線間電圧の絶対値に、前記帰還ダイオード1個の順電圧降下および前記スイッチング素子1個のオン時の内部電圧降下を加算することによって、前記3相インバータ回路に供給すべき前記インバータ入力直流電圧の指令値を算出し、(d)かつ前記入力電圧可変回路から出力する前記インバータ入力直流電圧が前記指令値になるように前記入力電圧可変回路を制御する入力電圧制御回路と、
    を更に備えている請求項1または2記載の3相インバータ装置。
  4. 前記入力電圧可変回路は、DC−DCコンバータである請求項3記載の3相インバータ装置。
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