JP5488322B2 - 鋼板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、直火加熱炉を備えた連続焼鈍設備を用いた鋼板の製造方法に関する。
近年、自動車、家電、建材等の分野において、構造物の軽量化等に寄与可能な高張力鋼(ハイテン材)の需要が高まっている。このハイテン技術では、鋼中にSiを添加すると穴広げ性の良好な高張力鋼板が製造できる可能性があり、また、SiやAlを含有すると残留γが形成されやすくなり、延性の良好な鋼板が提供できる可能性が示されている。
鋼板の連続焼鈍ラインでは、鋼板を横型若しくは竪型の連続焼鈍設備内を通板させて連続焼鈍した後、ガスジェット冷却若しくはウォータークエンチ冷却などを施し、鋼板に機械的特性を付与している。連続焼鈍ライン内を通板する鋼板は、例えば、予熱帯で約450℃程度に予熱された後、加熱帯で直火バーナーにより約680℃に加熱され、さらに還元帯で約800℃に加熱された後、冷却帯で500℃まで冷却されるという一連の工程を経て巻き取られる。
高強度冷延鋼板は、鋼中元素としてSi、Mn等が添加された鋼板であり、特に焼鈍時に表面濃化するSi酸化物が化成処理性を著しく劣化させることが従来から知られており、化成処理性に優れた高強度冷延鋼板の開発が従来から切望されていた。
高強度冷延鋼板の化成処理性を改善する技術として、例えば、特許文献1において、塩酸や硫酸などを用いた酸洗処理により鋼板表面に濃化したSi酸化物を特定の被覆率以下まで除去する技術が開示されている。しかしながら、Si酸化物は塩酸や硫酸などの一般的な酸には溶解しないため、この方法によるSi酸化物の除去は全く現実的ではない。また、特定の被覆率以下であってもSi酸化物の残存は化成処理性に甚大な悪影響を及ぼすため、例えば、厳しい条件下で化成処理を行った場合などにおいては、良好な化成処理性を確保することは極めて困難である。
冷延鋼板の化成処理性と耐型かじり性の改善を目的とした技術として、例えば、特許文献2,3などが開示されている。
特許文献2は、Ni、Mn、Co、Mo、Cuの1種以上を冷延鋼板表面に不連続に析出させる技術である。しかしながら、この技術をSiを含有する冷延鋼板に適用したとしても、鋼板表面上にはSi酸化物がそのまま残存した状態であるため、化成処理性は不良である。さらに、MoやCuなどの元素は化成処理性に悪影響を及ぼすため、化成処理時の溶出により却って化成処理性が劣化するという問題がある。
特許文献3は、冷延鋼板の表面に、下層が0価亜鉛主体の極薄皮膜、上層が2価の亜鉛と第2元素群(P、B、Siの1種以上)の酸化物からなる非晶質皮膜で構成される複層皮膜を形成する技術である。しかしながら、この技術をSiを含有する冷延鋼板に適用したとしても、鋼板表面にはSi酸化物がそのまま残存した状態であるため、化成処理性は不良である。
一方、焼鈍前の冷延鋼板に表面処理を施すことにより化成処理性や耐型かじり性を改善することを目的とした技術が、例えば、特許文献4,5などに開示されている。
特許文献4は、Ni、Co、Al、Zn、Cr、Ti、Sb、Biの1種以上を含む化合物を冷延鋼板表面に塗布した後、焼鈍を行うことにより、冷延鋼板表面に金属酸化化合物または金属を生成させ、これを化成処理反応時の結晶核とすることにより化成処理性を向上させることを狙いとする技術である。しかしながら、上記化合物を焼鈍前のSi含有冷延鋼板の表面に塗布したとしても、焼鈍時のSiの表面濃化を抑制することはできず、焼鈍後の鋼板表面にはSi酸化物が形成されるため、良好な化成処理性を得ることはできない。
特許文献5は、水溶性非金属リン酸塩およびNa、Ca、Mg、Mn、Fe、Sn、Al、Co等の有機酸塩を冷延鋼板の表面に塗布した後、焼鈍を行うことにより、冷延鋼板表面にリン酸塩皮膜を形成して耐型かじり性を向上させることを狙いとする技術である。しかしながら、この技術では、耐型かじり性の多少の改善は認められるものの、良好な化成処理性の確保は全く考慮されておらず、形成されたリン酸塩皮膜の上層には化成処理皮膜はほとんど形成されない。さらに、上記化合物を焼鈍前のSi含有冷延鋼板の表面に塗布したとしても、焼鈍時のSiの表面濃化を抑制することはできず、焼鈍後の鋼板表面にはSi酸化物が形成されるため、化成処理性は不良である。
また、直火加熱炉を用いたSi、Mn等の易酸化元素を有する鋼板の製造方法として、溶融亜鉛めっき鋼板のメッキ性の改善を目的とした技術が特許文献6,7に開示されている。このうち特許文献6には、直火加熱炉出側の温度をSi量との関係で規定することで、溶融亜鉛めっき鋼板のメッキ性改善を図る技術が開示されている。この技術は、比較的安価にメッキ性改善が実現できるため有効な手段ではあるが、鋼板酸化物が炉内ロールの表面に付着し、その付着物が再度鋼板に押し付けられて生じる欠陥(ピックアップ欠陥)が発生する場合があり、それにより生産性が阻害されるという問題がある。
また、特許文献7には、直火加熱炉にて連続加熱を行う際に板幅方向の温度を均一化するために、冷却ガスを噴射して鋼板温度を均一化する技術が開示されている。この方法によれば、板幅が変更された場合でも、板幅方向での冷却量を制御することにより板幅方向で均一な温度分布が得られるが、温度均一化による鋼板への過酸化を防止する技術であり、直火バーナーを用いた酸化量制御についての詳細は明らかにされていない。
一方、直火加熱炉を用いて、Siを0.1質量%以上含有する冷延鋼板の化成処理性の劣化を防止する技術が特許文献8に開示されている。この特許文献8の技術は、直火加熱炉を通過する際の鋼板温度が400℃以上で、鉄の酸化雰囲気下で鋼板表面に酸化皮膜を形成させ、その後、鉄の還元雰囲気下で鋼板表面の酸化膜を還元するものである。具体的には、酸化膜を形成させる際の空気比を0.93以上、1.10以下として加熱し、その後、ラジアントチューブバーナーを備えた還元雰囲気下で酸化膜を還元するものである。しかしながら、この技術を実操業に適用した場合、化成処理性を確保するために必要な内部酸化量を確保することが困難になる場合がある。
特開2004−323969号公報 特開平3−236491号公報 特開平10−158858号公報 特開昭55−14854号公報 特開昭52−63831号公報 特開平7−316762号公報 特開平8−209251号公報 特開2006−45615号公報
以上のように従来においては、Siを含有する冷延鋼板の化成処理性を十分に満足させる技術は確立されておらず、特にSiを含有する高強度冷延鋼板の化成処理性を満足させる技術は存在しなかった。
したがって本発明の目的は、Si含有量が0.2質量%以上の鋼板であって、全長、全幅にわたり良好な化成処理性が得られる鋼板を低コストに製造することができる鋼板の製造方法を提供することにある。
直火加熱炉プロセスは、熱効率が高いため、低コストで鋼板を所定の温度まで加熱できる特徴があるが、直接鋼板に火炎雰囲気が作用し、鋼板表面が酸化や還元されるため、表面品質を維持するのが難しい場合がある。特に、Siを多く含む鋼板の製造時には、内部酸化を利用する必要があるため、バーナー雰囲気を酸化性にすることになるが、そのために均熱帯の炉内ロールへの酸化鉄のピックアップによる欠陥や、均熱帯内での還元不足が発生し、歩留低下を招くことが多い。また、直火加熱炉内でのバーナーの燃焼条件により、化成処理性を確保するために必要な内部酸化量を制御する方法についても、明らかとなっていない。そこで、本発明者らは種々の検討を行い、その結果、直火加熱炉内の通板方向に沿って複数の加熱ゾーンを設け、各加熱ゾーンでの直火バーナーの燃焼条件を最適化することで、内部酸化量の制御を適切に行うことができ、これにより良好な化成処理性が得られることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]直火加熱炉を備えた連続焼鈍設備において、Si含有量が0.2質量%以上の鋼板を連続焼鈍するに際し、
直火加熱炉内の通板方向に沿って、各々が直火バーナー群を備えた3つ以上の加熱ゾーンを設け、最上流側の1つ以上の加熱ゾーン(A)では、直火バーナーの空気比0.60〜0.95で鋼板を400〜600℃に加熱し、その下流側の1つ以上の加熱ゾーン(B)では、直火バーナーの空気比1.05〜1.25で鋼板を600〜750℃に加熱し、最下流側の1つ以上の加熱ゾーン(C)では、直火バーナーの空気比0.60〜0.95で鋼板を650〜800℃に加熱することを特徴とする鋼板の製造方法。
[2]上記[1]の製造方法において、加熱ゾーン(A)では、直火バーナーの空気比0.80〜0.90で鋼板を450〜550℃に加熱することを特徴とする鋼板の製造方法。
[3]上記[1]または[2]の製造方法において、加熱ゾーン(B)では、直火バーナーの空気比1.10〜1.20で鋼板を650〜700℃に加熱することを特徴とする鋼板の製造方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法において、加熱ゾーン(C)では、直火バーナーの空気比0.80〜0.90で鋼板を720〜780℃に加熱することを特徴とする鋼板の製造方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法において、Si含有量が0.5質量%以上の鋼板を連続焼鈍することを特徴とする鋼板の製造方法。
[6]上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法において、Si含有量が1.0質量%以上の鋼板を連続焼鈍することを特徴とする鋼板の製造方法。
本発明によれば、Si含有量が0.2質量%以上の鋼板を連続焼鈍するに際し、直火加熱炉内の通板方向に沿って3つ以上の加熱ゾーンを設け、各加熱ゾーンでの燃焼条件を最適化し、鋼板面での酸化物の生成を制御することにより、全長、全幅にわたり良好な化成処理性が得られる鋼板を低コストに製造することができる。
本発明の実施に供される連続焼鈍設備を模式的に示す説明図 図1の連続焼鈍設備が備える直火加熱炉を模式的に示す側面図 熱力学データから求めたSiOとFeSiOの平衡状態図
本発明の製造方法は、Si含有量が0.2質量%以上の鋼板を製造の対象とする。このような鋼板は、良好な化成処理性が得られにくいためである。また、Si含有量が0.5質量%以上、さらに1.0質量%以上であるようなSi含有量が高い鋼板では、良好な化成処理性がより得られにくいので、本発明はこのような鋼板の製造において特に有用であり、良好な化成処理性を付与することができる。図1は、本発明の実施に供される鋼板の連続焼鈍設備(CAL)を模式的に示すものである。この連続焼鈍設備は、ライン上流側から順に、直火加熱炉からなる加熱帯1、均熱帯2、ガスジェット冷却帯3、急速冷却帯4、浸漬槽5、誘導加熱装置6、過時効帯7、酸洗装置8を備えている。連続搬送される鋼板Sは、加熱帯1と均熱帯2で所定の温度で焼鈍された後、ガスジェット冷却帯3を経て急速冷却帯4で焼入れ処理され、浸漬槽5および誘導加熱装置6を経た後、過時効帯7にて焼き戻し処理され、次いで、急速冷却時に鋼板表面に生成した酸化物を酸洗装置8で除去した後、コイルに巻き取られる。
一般に直火加熱炉(加熱帯1)では、鋼板の温度を制御することが第一に優先される事項であるが、高Si鋼に代表される高張力鋼を焼鈍処理した際には、鋼板表面上にSi酸化物の表面濃化が顕著となり、化成処理性を劣化させるため、同時に雰囲気をコントロールすることで、適切な酸化量を確保し、Si酸化物の内部酸化層を形成させる必要がある。しかしながら、Si酸化物の内部酸化層を形成させるだけでは、酸洗処理した際に鋼板表面に内部酸化層が現れてしまい、内部酸化層がSi酸化物で形成されている場合には、化成処理性の改善が認められなかった。
そこで、本発明では、直火加熱炉内での直火バーナーの燃焼条件を種々変更し、その際に鋼板に形成される内部酸化層厚み、および化成処理性について調査を行った。内部酸化層の厚みは、蛍光X線を用いて酸素強度を測定することにより求めた。その結果、直火加熱炉内の通板方向に沿って複数の加熱ゾーンを設け、各加熱ゾーンでの直火バーナーの燃焼条件を最適化することで、内部酸化量の制御を適切に行うことができ、良好な化成処理性が得られることが判った。すなわち、具体的には、直火加熱炉内の通板方向に沿って、各々が直火バーナー群を備えた3つ以上の加熱ゾーンを設け、最上流側の1つ以上の加熱ゾーンAでは、直火バーナーの空気比0.60〜0.95で鋼板を400〜600℃に加熱し、その下流側の1つ以上の加熱ゾーンBでは、直火バーナーの空気比1.05〜1.25で鋼板を600〜750℃に加熱し、最下流側の1つ以上の加熱ゾーンCでは、直火バーナーの空気比0.60〜0.95で鋼板を650〜800℃に加熱するものである。
このようなプロセスにおいて、加熱ゾーンAと加熱ゾーンCが還元ゾーン、加熱ゾーンBが酸化ゾーンとなり、最下流側の加熱ゾーンCでの還元により、均熱帯の炉内ロールによるピックアップが防止できる。本発明では、この還元−酸化−還元のプロセスにおいて、酸化開始温度を高めにすることが特徴の一つであり、これにより、以下のような理由で優れた化成処理性が得られるものと考えられる。SiOがFeと以下の反応式に従い反応すると仮定した場合、この反応に対する温度と酸素濃度の影響について、平衡論に基づき熱力学的に考察すると、以下のようになる。
3SiO+2Fe=3FeSiO+O
図3は、熱力学データから求めたSiOとFeSiOの平衡状態図であり、これによれば、SiOは高酸素濃度、低温で安定となることが判る。すなわち、低温/酸化雰囲気ではSiOが生成されやすく、高温/還元雰囲気ではFeSiOが生成され易いことになる。ここで、FeSiOは酸に可溶であるが、SiOは酸に不溶であり、酸洗でも除去できないため、良好な化成処理性を得るためには、その生成を極力避ける必要がある。上記の理由より、温度の低い段階から酸化雰囲気にするとSiOが生成され易く、化成処理性が悪化しやすいのに対し、ある程度高い温度になってから酸化雰囲気にするとSiOが生成されにくく、このため優れた化成処理性が得られやすいものと考えられる。したがって、化成処理性を高めるには、酸化ゾーンでの酸化開始温度を高めにすることが有効である。
図2に、本発明を実施するための直火加熱炉(図1の連続焼鈍設備の加熱帯1を構成する直火加熱炉)の一実施形態を示す。この直火加熱炉には、通板方向に沿って複数の直火バーナー9が設置され、通板する鋼板Sを加熱する。図において、11は炉内ロール(搬送ロール)である。
この実施形態では、直火加熱炉内の通板方向に沿って3つの加熱ゾーン10a〜10cが設けられ、これら加熱ゾーン10a〜10cは、それぞれ複数の直火バーナー9からなる直火バーナー群を備えている。
本発明では、3つの加熱ゾーン10a〜10cのうち、最上流側の加熱ゾーン10aと最下流側の加熱ゾーン10cを還元ゾーンとし、中間の加熱ゾーン10bを酸化ゾーンとして鋼板を加熱することで、鋼板表面に鉄の酸化膜を形成する。したがって、さきに述べた加熱ゾーンAが加熱ゾーン10aに、加熱ゾーンBが加熱ゾーン10bに、加熱ゾーンCが加熱ゾーン10cに、それぞれ相当する。
以下、説明の便宜上、加熱ゾーン10a〜10cを、上流側から第1ゾーン10a、第2ゾーン10b、第3ゾーン10cという。
本発明では、還元ゾーンである第1ゾーン10aの鋼板加熱温度を400〜600℃、酸化ゾーンである第2ゾーン10bの鋼板加熱温度を600〜750℃、還元ゾーンである第3ゾーン10cの鋼板加熱温度を650〜800℃とする。但し、本発明の鋼板加熱温度は、第1ゾーン10a≦第2ゾーン10b<第3ゾーン10c、または、第1ゾーン10a<第2ゾーン10b≦第3ゾーン10cである。
第1ゾーン10aでの鋼板加熱温度が400℃未満では、第2ゾーン10bにて低温領域から酸化されてしまい、第2ゾーン10bの酸化時にSi酸化物の発生が顕著となり、Si酸化物が表面に濃化してしまうため十分な酸化量が得られない。一方、鋼板加熱温度が600℃を超えると、第2ゾーン10bでの酸化に必要な加熱時間、加熱温度が十分に得られないため酸化量の確保が困難となる。また、以上の観点からより好ましい鋼板加熱温度は450〜550℃である。
第2ゾーン10bでの鋼板加熱温度が600℃未満では、鋼板温度が低いため鋼板表面における酸化が不活性となり、十分な酸化量が得られない。一方、第3ゾーン10cでの還元はピックアップ防止の観点から不可欠であるが、第2ゾーン10bでの鋼板加熱温度が750℃を超えると、第3ゾーン10cでの昇温分ΔTが小さくなるため、ピックアップ防止に必要な還元量の確保が不十分になる。また、以上の観点からより好ましい鋼板加熱温度は650〜700℃である。
第3ゾーン10cでの鋼板加熱温度が650℃未満では、第2ゾーン10bでの加熱温度が低温となるために十分な酸化量が得られない。一方、鋼板加熱温度が800℃を超えると、鋼板が高温となり板破断が生じる恐れがある。また、以上の観点からより好ましい鋼板加熱温度は720〜780℃であり、また、還元量を十分に確保するために、第2ゾーン10bでの鋼板加熱温度からの昇温分ΔTが50℃以上であることが好ましい。
また、各加熱ゾーンにおいて直火バーナー群を構成する直火バーナー9の空気比は、第1ゾーン10aでは0.60〜0.95、第2ゾーン10bでは1.05〜1.25、第3ゾーン10cでは0.60〜0.95とする。
還元ゾーン(第1ゾーン10a,第3ゾーン10c)における直火バーナー9の空気比が0.95超では、炉内に未燃酸素が存在するため鋼板がわずかであるが酸化してしまう。特に、第1ゾーン10aにて酸化雰囲気となった場合、鋼板表面にSi酸化物が濃化するため化成処理性が劣化してしまう。一方、直火バーナー9の空気比が0.60未満では、バーナー燃焼に必要な空気量が不足してしまうため安定したバーナー火炎が得られない。この還元ゾーンでの空気比は、燃焼効率の面からは高めがよいが、あまり高いと制御バラツキなどで弱酸化する可能性があるため、0.80〜0.90が特に好ましい。
酸化ゾーン(第2ゾーン10b)における直火バーナー9の空気比が1.05未満では、未燃酸素が減少して鋼板表面の鉄分を十分に酸化させることができずに、Si酸化物が鋼板表面に濃化してしまう。一方、直火バーナー9の空気比が1.25超では、酸化ゾーンで過酸化となり、直火加熱炉以降の帯域(均熱帯や冷却帯など)で酸化物の剥離が発生してしまう。この酸化ゾーンでの空気比は、燃焼効率の面からは低めがよいが、酸化量のバラツキを考慮すると、1.10〜1.20が特に好ましい。
なお、図2の実施形態では、還元ゾーンとなる最上流側の加熱ゾーン10a、酸化ゾーンとなる下流側の加熱ゾーン10b、還元ゾーンとなる最下流側の加熱ゾーン10cは、それぞれ1つずつの加熱ゾーンからなるが、それぞれ2以上の加熱ゾーンからなるものでもよい。
表1に示す化学成分を有する冷延鋼板(板厚1.2mm、板幅1200mm)を、図1および図2に示すような連続焼鈍設備で連続焼鈍し、鋼板の製造試験を実施した。ライン速度は90mpm、直火加熱炉出側温度は種々調整し、焼鈍温度は830℃とした。また、直火加熱炉の直火バーナーの燃料ガスとしては、表2の組成のガスを使用した。
製造された鋼板の酸化層の厚みを、蛍光X線を用いて酸素強度を測定することにより測定した。また、鋼板に対して、市販の化成処理薬剤(日本パーカライジング株式会社製「パルボンドPB-L3020システム」)を用いて、浴温42℃、化成処理時間120秒の条件で化成処理を施した後、SEMにより化成処理結晶の均一性を調べ、下記基準により評価した。
◎:化成処理結晶にスケ、ムラが全くない。
○:化成処理結晶にスケはないが、ムラが多少ある。
×:化成処理結晶のスケが著しい。
以上の製造試験の結果を、各加熱ゾーンの出側温度および空気比とともに、表3および表4に示す。
これによれば、本発明例は、内部酸化量の確保が可能となるため、良好な化成処理性が得られている。
これに対して、比較例1〜3では、第1ゾーンにおいて酸化雰囲気で加熱したため低温領域でのSi酸化物の表面濃化が顕著となり、化成処理性を満たすための内部酸化量が得られず、化成処理性は不良である。
比較例4〜6は、第2ゾーンでの酸化が過酸化条件であるため、酸化物の剥離が発生し、化成処理性が不良である。
比較例7〜9は、第1ゾーンにおける還元時の鋼板温度が高すぎるため、酸化ゾーンでの酸化量が十分確保できず、化成処理性が劣る。
比較例10〜12は、第1ゾーンにおける還元時の鋼板温度が低すぎるため、第2ゾーンでの酸化条件の際にSi酸化物の表面濃化が顕著となり、化成処理性を満たすために必要な内部酸化量が得られず、この場合も化成処理性は不良である。
比較例13〜15は、第2ゾーンにおける酸化時の鋼板温度が低すぎるため、酸に不溶なSiOが多く生成されてしまい、また酸化も不十分となるため化成処理性が劣る。
比較例16〜18は、第2ゾーンにおける酸化時の鋼板温度が低すぎ、且つ第3ゾーンにおける還元時の鋼板温度も低すぎるため、酸化ゾーンである第2ゾーンの昇温量が足らず、結果として酸化不足になるため、化成処理性が劣る。
比較例19〜21は、全ゾーン還元雰囲気での加熱であるために酸化不足となり、化成処理性が劣る。
Figure 0005488322
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Figure 0005488322
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1 加熱帯
2 均熱帯
3 ガスジェット冷却帯
4 急速冷却帯
5 浸漬槽
6 誘導加熱装置
7 過時効帯
8 酸洗装置
9 直火バーナー
10a〜10c 加熱ゾーン
11 炉内ロール
S 鋼板

Claims (6)

  1. 直火加熱炉を備えた連続焼鈍設備において、Si含有量が0.2質量%以上の鋼板を連続焼鈍するに際し、
    直火加熱炉内の通板方向に沿って、各々が直火バーナー群を備えた3つ以上の加熱ゾーンを設け、最上流側の1つ以上の加熱ゾーン(A)では、直火バーナーの空気比0.60〜0.95で鋼板を400〜600℃に加熱し、その下流側の1つ以上の加熱ゾーン(B)では、直火バーナーの空気比1.05〜1.25で鋼板を600〜750℃に加熱し、最下流側の1つ以上の加熱ゾーン(C)では、直火バーナーの空気比0.60〜0.95で鋼板を650〜800℃に加熱することを特徴とする鋼板の製造方法。
  2. 加熱ゾーン(A)では、直火バーナーの空気比0.80〜0.90で鋼板を450〜550℃に加熱することを特徴とする請求項1に記載の鋼板の製造方法。
  3. 加熱ゾーン(B)では、直火バーナーの空気比1.10〜1.20で鋼板を650〜700℃に加熱することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼板の製造方法。
  4. 加熱ゾーン(C)では、直火バーナーの空気比0.80〜0.90で鋼板を720〜780℃に加熱することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼板の製造方法。
  5. Si含有量が0.5質量%以上の鋼板を連続焼鈍することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鋼板の製造方法。
  6. Si含有量が1.0質量%以上の鋼板を連続焼鈍することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鋼板の製造方法。
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