JP5485859B2 - アンクル脱進機及びこれを備えた機械式時計 - Google Patents

アンクル脱進機及びこれを備えた機械式時計 Download PDF

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Description

本発明は、アンクル脱進機及びこれを備えた機械式時計に係る。
がんぎ車と、該がんぎ車のがんぎ歯車にアンクルベースの両端の入つめ石および出つめ石で係脱され、アンクルベースのアンクルさおの先端にあるフォーク状のアンクル先端部及び剣先で振り座に対して係脱可能なアンクルと、アンクルさおに当たってアンクルの回動範囲を規定するアンクル受とを有するアンクル脱進機自体は、周知である。
アンクル脱進機において、アンクルのつめ石によるがんぎ車のロックないし停止(係止)状態の解除の開始から該解除の完了を経てがんぎ歯によるつめ石へのトルクの供給に伴うアンクルさおのフォーク状先端部(ハコ先)及び振り石を介したてんぷに対する回転駆動が完了した後アンクルさおが受ドテに当たるまでの間は、てんぷの振り石がアンクルのフォーク状のアンクル先端部(ハコ先)と係合してアンクルによって拘束されている角度範囲(拘束角)にあたり、ひげぜんまいによるてんぷの往復振動に対して外力が働く強制振動区間になることから、これに伴っててんぷの往復振動周期が変動する(脱進機誤差が生じる)のを避け難い(非特許文献1)。
この強制振動区間(てんぷの拘束角)が一定である場合には、てんぷの振幅(最大振り角)が小さくなる程、てんぷの自由振動区間に対して強制振動区間の割合が大きくなっててんぷの往復振動周期が変動し易くなる。
これに対して、てんぷの振幅(最大振り角)が大きくなる程強制振動区間が長くなるようにすべく、アンクルさおを受けるドテピンが弾性変形するようにドテピンを細くすると共に可塑性物質の如き緩衝用物質で該ドテピンを支えるようにする技術が提案されたことがある(特許文献1)
本発明者が、この特許文献1の技術を検証しようとしたところ、特許文献1の提案は、発想はいいものの、具体的に提示されている解決策は、現在の腕時計のような携帯式の時計のサイズ(厚さや径等)を考慮すると、残念ながら、実際上ほとんど効果が得られないことがわかった。
すなわち、腕時計のような携帯式の時計、例えば8振動の紳士向け腕時計の場合、アンクルに作用する力は、例えば、0.17mN(ミリニュートン)程度であって、弾性変形を生じさせるためにはドテピンの径が極めて小さくなければならず、ピンそのものが実際上折れてしまう虞れがあり、現実的ではない。逆に、ドテピンが折れないようにドテピンをある程度大きな径にすると、てんぷの振幅(最大振り角)が300度から180度に変わるような状況(機械式時計として一般的に頻用される最大振り角範囲)を想定しても、該振幅変動をもたらすようなトルク変動による拘束角の増加に伴う振り角の脱進機誤差の変動は、0.02秒/日程度にしかならず、機械式時計においては±数秒/日程度であれば精度が良好とされるものあると評価されることを考慮すると、脱進機誤差の変動量が誤差の範囲に留まることになる。
以上の通り、特許文献1の提案は、実際には、机上の空論に等しく、現実的な解決策にはなっていない。
特公昭44−2754号公報
スイス時計大学編「時計学理論(The Theory of Horology)」英語版第2版,2003年4月,p149及びp112
本発明は、前記諸点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、てんぷの拘束角がてんぷの振幅(最大振り角)に応じて実質的に変化し得るようにしたアンクル脱進機並びにこれを備えた調速脱進機構及び機械式時計を提供することにある。
本発明のアンクル脱進機は、前記目的を達成すべく、がんぎ歯車を備えたがんぎ車と、アンクル真のまわりで回動自在に支持され、がんぎ歯車にアンクルベースの両端の入つめ石および出つめ石で係脱され、両側にドテ係合部を備えたアンクルさおの先端にあるフォーク状のアンクル先端部で振り座の振り石に対して係脱可能なアンクルと、ドテ係合部に一対のアンクル係合部で係合してアンクルの回動範囲を規定するアンクル受とを有するアンクル脱進機であって、アンクルさお及びアンクル受のうちのいずれか一方の部材が、基端部において該一方の部材の側壁につながり該基端部から先端部まで該側壁に沿って延びた弾性腕部を備え、該弾性腕部の先端部が、前記一方の部材の前記係合部になっており、アンクルがトルクに抗してがんぎ歯車をつめ石で係止した状態において、弾性腕部が弾性変形されて該弾性腕部の先端の係合部が前記アンクルさお及びアンクル受のうちの他方の部材の前記係合部に係合するように構成される。
本発明のアンクル脱進機では、「アンクルさお及びアンクル受のうちのいずれか一方の部材が、基端部において該一方の部材の側壁につながり該基端部から先端部まで該側壁に沿って延びた弾性腕部を備え、該弾性腕部の先端部が、前記一方の部材の前記係合部になっており、アンクルがトルクに抗してがんぎ車をつめ石で係止した状態において、弾性腕部が弾性変形されて該弾性腕部の先端の係合部が前記アンクルさお及びアンクル受のうちの他方の部材の前記係合部に係合するように構成される」ので、弾性腕部の該弾性変形状態を解消するに要する回転角分だけ、てんぷの拘束角が増大する。ここで、弾性腕部の弾性変形の大きさは、がんぎ車に加われるトルクが大きくなる程大きくなるから、てんぷの拘束角もがんぎ車に加われるトルクが大きくなる程大きくなる。すなわち、がんぎ車に加われるトルクが大きくなる程、弾性腕部が大きく弾性変形された状態でつめ石ががんぎ車を係止(停止)ないしロックしていることになるから、がんぎ車に加われるトルクが大きくなる程、弾性腕部の該弾性変形状態を解消するに要する回転角分だけてんぷの拘束角が増大する。一方、がんぎ車に加わるトルクが大きくなると、アンクルを介しててんぷに伝えられるエネルギーも大きくなり、てんぷの振幅(最大振り角)も大きくなる。
従って、がんぎ車に加えられるトルクが大きくなっててんぷの振幅(最大振り角)が大きくなる程、てんぷの振り石がアンクルのフォーク状のアンクル先端部(ハコ先)と係合してアンクルによって拘束されている角度範囲(拘束角)が大きくなる。すなわち、本発明のアンクル脱進機では、弾性腕部のない従来の通常のアンクル脱進機の場合と異なり、てんぷの振幅(最大振り角)が大きくなる程てんぷの拘束角が大きくなるので、てんぷの振幅変動に伴う脱進機の周期性のズレないし脱進機誤差が低減され得る。
しかも、本発明のアンクル脱進機では、拘束角の増減は、「アンクルさお及びアンクル受のうちのいずれか一方の部材が、基端部において該一方の部材の側壁につながり該基端部から先端部まで該側壁に沿って延びた弾性腕部」の弾性変形の大きさの増減によって実現されるので、ドテピンを弾性的に曲げることを想定した特許文献1の場合と異なり、時計の地板の如き支持基板の延在面の拡がる方向に延びた時計部品の側壁に沿って形成されることから、弾性腕部を長く(所望ならば更に薄く細く)し易く、弾性腕部をたわみ易くし得る。従って、がんぎ車に加わるトルクが変動しててんぷの振幅が変動した場合に、がんぎ車に加わるトルク変動に応じててんぷの拘束角も大きく変動され得、トルク変動(振幅変動)による脱進機誤差の変動を低減させ得る。なお、ここで、「(弾性腕部が)側壁に『沿って』延びた』とは、弾性腕部が全体として側壁の延在方向に延びていることをいい、弾性腕部と対向側壁との間隔は、典型的には、概ね一定であるけれども、所望ならば、変動していてもよい(例えば、弾性腕部の実効長が長くなるように弾性腕部が蛇行していてもよい)。
本発明のアンクル脱進機では、例えば、前記一方の部材の前記側壁と該側壁につながった弾性腕部との間に振動を吸収する緩衝材が設けられている。
その場合、変形された弾性腕部がそれ自体の弾性力で復帰してしまったり弾性振動するのを最低限に抑え得るから、拘束角の制御が確実に行われ得る。ここで、緩衝材は、例えば、可塑性のある材料からなる。なお、緩衝材は、弾性腕部の変形を妨げないように、典型的には、該弾性腕部の基端部と該弾性腕部が取り付けられた側壁との間に設けられる。但し、場合によっては、基端部から多少はなれたところに設けられてもよい。なお、弾性腕部の弾性力を実際上無視し得るような場合には、緩衝材がなくてもよい。
本発明のアンクル脱進機では、典型的には、前記弾性腕部がアンクルさおの両側部に形成されている。
その場合、アンクルさおの(本体の)側壁に沿って弾性腕部を形成し得るので、アンクルさおの長さを生かして弾性腕部を形成することが可能になる。すなわち、アンクルさおの長さを利用して、弾性腕部を長くして弾性腕部が弱い力で変形されるようにし得るから、てんぷの拘束角を比較的大きく変更し得、脱進機誤差を比較的大きく調整し得る。
なお、上記の場合、本発明のアンクル脱進機では、典型的には、前記弾性腕部がアンクルさおの各側部のうちアンクル真に近い端部から該アンクルさおの両側部に沿って該アンクルさおの先端部の方に延び、各弾性腕部とアンクルさおの該弾性腕部に対面する側部との間には、間隙が形成されおり、前記アンクルは、アンクル真のまわりでの回動に際して、回動方向前方に位置する各弾性腕部が弾性変形されつつ該弾性腕部の先端に近い部分の外側面においてアンクル受の隣接するアンクル係合部に係合するように構成されている。
その場合、弾性腕部を撓み易いように長くし易い。
上記の場合、本発明のアンクル脱進機において、
(1)アンクル受が、受ドテを有していても、
(2)アンクル受が、ドテピンからなっていても
よい。
本発明のアンクル脱進機では、前者(1)の場合、弾性腕部の形状や長さの調整が容易に行われ易い。
本発明のアンクル脱進機では、後者(2)の場合、ドテピン自体を弾性変形させる必要がないのでドテピンを十分太くし得、特許文献1の場合と比較して、てんぷ拘束角の調整が容易勝つ確実に行われ得る。また、ドテピンが偏心構造を有する場合、ドテピンの偏心方向を変えることにより、拘束の開始角度位置自体を調整し得る。その場合、ドテピンの本体が偏心した緩衝材によって支持されるようにしてもよい。
前述の通り、本発明のアンクル脱進機において、弾性腕部がアンクルさおの両側部に形成される代わりに、アンクル受が受ドテを有し、弾性腕部が受ドテの凹部の両側壁部に形成されていてもよい。
その場合、形状の自由度が比較的高いアンクル受が受ドテのところに弾性腕部を備えればよいので、所望の特性の弾性腕部が容易且つ確実に形成され易い。なお、この場合、典型的には、弾性腕部は、アンクルさおの基端部から先端部への延在方向とは概ね逆向きに延びるように、形成される。その場合、アンクルさおとの干渉の虞れを最低限に抑え得る。
本発明のアンクル脱進機では、例えば、弾性腕部が、UV−LIGA、反応性イオンエッチング又はレーザ加工によって形成されている。
その場合、微細加工が正確に行われ易く、薄くて細くて長くて剛性の比較的低い腕部が形成され易い。なお、弾性腕部と該弾性腕部が基端部でつながった側壁とが、同一材料からなっていても、異なる材料からなっていてもよい。後者の場合、例えば、弾性腕部がUV−LIGAによる電鋳等によって形成される。
本発明の調速脱進機構は、前記目的を達成すべく、上述のようなアンクル脱進機を備える。また、本発明の機械式時計は、前記目的を達成すべく、上述のようなアンクル脱進機を備える。
本発明の好ましい一実施例の機械式時計の調速脱進機構のアンクル脱進機を示した平面説明図。 図1のアンクル脱進機を備えた調速脱進機構において振り石の角度位置とてんぷの状態との関係を示す説明図。 従来の同様な装置よりも拘束角が8度だけ大きくなった、本発明の好ましい一実施例のアンクル脱進機を備えた本発明の好ましい一実施例の調速脱進機構において、停止解除開始状態を示した図1と同様な平面説明図。 図3の調速脱進機構において、停止解除途中の状態であって、弾性腕部の撓みがなくなった状態についての図3と同様な平面説明図(図4は図1と同じ状態を示す)。 図3の調速脱進機構において、停止解除が丁度終了した状態を示す、図3と同様な、平面説明図。 図3の調速脱進機構において、衝撃開始状態を示す、図3と同様な、平面説明図。 図3の調速脱進機構において、弾性腕部の押付開始状態を示す、図3と同様な、平面説明図。 図3の調速脱進機構において、弾性腕部の押付が丁度終了した状態を示す、図3と同様な、平面説明図。 3の調速脱進機構において、てんぷが自由振動状態にある状態を示す、図3と同様な、平面説明図。 図3のアンクル脱進機の一部を拡大して示した平面説明図。 図1のアンクル脱進機を備えた調速脱進機構において、弾性腕部のないアンクル脱進機と比較して弾性腕部により拘束角が4度増大した場合の状態を示した図1と同様な平面説明図。 てんぷの振幅とてんぷ拘束角との関係を示すグラフ。 てんぷの振幅と脱進機誤差との関係を示すグラフ。 受ドテに弾性腕部がある本発明の別の一実施例のアンクル脱進機を備えた本発明の別の一実施例の調速脱進機構についての図1と同様な平面説明図。 ドテがドテピンからなる本発明の更に別の一実施例のアンクル脱進機を備えた本発明の更に別の一実施例の調速脱進機構についての図1と同様な平面説明図。
本発明の好ましい一実施の形態を添付図面に示した好ましい実施例に基づいて説明する。
図1には、本発明の好ましい一実施例のアンクル脱進機1を備えた調速脱進機構2が示されている。図1では、該調速脱進機構2を備えた機械式時計3のうち、調速脱進機構2の部分だけが示されている。調速脱進機構2は、がんぎ車5と、アンクル6と、てんぷ7とを有する。てんぷ7は、中心軸線CrのまわりでCr1,Cr2方向に往復回転ないし往復回動可能である。
がんぎ車5は、中心軸線CwまわりでCw1,Cw2方向に回転可能ながんぎ歯車10及びがんぎかな12を有する。がんぎ歯車10は、多数の歯14を有し、各歯(以下では「がんぎ歯」という)14は、衝撃面15及び係止面ないしロック面16を備える。がんぎ車5は、がんぎかな12で輪列を介して香箱車(図示せず)に結合され、香箱車のぜんまい(図示せず)によって常時Cw1方向のトルクを受けている。
アンクル6は、アンクルベース20及びアンクルさお30並びにアンクル真21を備え、アンクル真21の中心軸線Cpの周りでCp1,Cp2方向に回動自在である。アンクルベース20の端部22及び23には、入つめ石40及び出つめ石50が取り付けられている。入つめ石40及び出つめ石50は、夫々、衝撃受面41,51及びロック面すなわち係止面ないし停止面42,52を備える。アンクルさお30の先端には、アンクル箱31を形成するフォーク状のアンクル先端部ないしハコ先32,33及び剣先34が形成されている。
アンクルさお30は、さお本体35の両側部36A,36B(両者を区別しないとき又は総称するときは符号36であらわす)に弾性腕部60A,60Bを備える(両者を区別しないとき又は総称するときは符号60であらわす)。各弾性腕部60A,60Bは、アンクル真21に近接した基端部61A,61B(両者を区別しないとき又は総称するときは符号61であらわす)においてさお本体35に一体的に繋がり、該基端部61A,61Bから先端部62A,62B(両者を区別しないとき又は総称するときは符号62であらわす)まで、幅WgA,WgB(両者を区別しないとき又は総称するときは符号Wgであらわす)が概ね一定の間隙GA,GB(両者を区別しないとき又は総称するときは符号Gであらわす)を介してアンクルさお本体35の側部36A,36Bに対面するように間に間隙GA,GBをおいて該側部36A,36Bに沿って延びている。なお、弾性腕部60A,60Bは、アンクルさお本体35の側部36A,36Bとの間の間隔が概ね一定になるように図示の通り平行に延在する代わりに、例えば、バネ長さが大きくなるように蛇行する状態で(即ち、アンクルさお本体35の側部36A,36Bとの間隔が変動する状態で)延在していてもよい。
アンクルさお30のところには、該アンクルさお30の先端部の両側にアンクル6のCp1,Cp2方向の回動範囲を規制する受ドテ70A,70Bを備えたアンクル受8が設けられ、取付穴85,85に取付けられる止めネジ等により地板の如き支持基板に固定されている。
弾性腕部60A,60Bの先端部62A,62Bの近傍には、受ドテ70A,70Bに当接するドテ係合部としてのドテ当接部63A,63B(両者を区別しないとき又は総称するときは符号63であらわす)が形成されていて、がんぎ車5のトルクの作用下でアンクル6がアンクル真21のまわりでCp2,Cp1方向に回動されるとアンクル6の弾性腕部60A,60Bが対応するアンクル係合部としての受ドテ70A,70Bに当接し押付けられる。
アンクル6は、アンクル箱31又は該アンクル箱31を形成するフォーク状アンクル先端部ないしハコ先32,33でてんぷ7に、より詳しくはてんぷ7の振り座80の振り石81に係合する。
アンクル6のアンクルさお30の両側にある弾性腕部60A,60Bは、細く薄く且つ長くて小さな力で撓み得るものであって、アンクル6のつめ石40又は50のロック面42又は52とがんぎ車5のがんぎ歯14のロック面16とが係合している状態において、アンクル6のアンクル受係合部63A又は63Bがアンクル受8のアンクル係合部(受ドテ)70A又は70Bに押付けられてがんぎ車5のがんぎ歯14にかかるぜんまい(図示せず)のトルクと弾性変形された状態の弾性腕部60A又は60Bのトルクとが釣合う。弾性腕部60A,60Bの夫々は、例えば、幅が0.06mm程度、厚さが0.03mm程度、長さが1.4mm程度である。このような弾性腕部60A,60Bを備えたアンクル6のアンクルさお30の部分は、例えば、LIGAを用いた電鋳やシリコンウエーハの加工プロセスで用いられるエッチング(例えば、反応性イオンエッチング)等や、レーザビームによる加工(レーザ加工)によって形成され得る。弾性腕部60A,60Bの剛性が十分に小さくなるように弾性腕部60A,60Bが薄く細く且つ長く形成され得る限り、弾性腕部60A,60Bは、アンクルさお本体35に対して電鋳等で付加されることによって形成されても、アンクルさお本体35との間の部分をエッチングその他の手段で除去することによって形成されてもよい。
例えば、電鋳の如き付加によって形成される場合には、例えば、アンクルさお本体35等をNi(ニッケル)で形成し弾性腕部60A,60BをP−Ni(リン・ニッケル合金)で形成する等の如く、アンクルさお30の本体35と弾性腕部60A,60Bとを異なる材料で形成してもよい。
アンクル脱進機1を備えた調速脱進機構2では、関連部品の形状や相対位置は、例えば、図2に示した角度関係を実現するような形状や位置である。
図2では、てんぷ7の振り座80の振り石81の中心軸線Crのまわりでの振り角θの変化を示している。
中立位置Pmを採る際に基準位置にあって振り角θが0(θ=0)であるとして、夫々の角度θ1,θ2,θ4は、次の通りである。
角度位置Pie(θ=θ1)は、アンクル6のつめ石40又は50によるがんぎ車5のがんぎ歯14のロック解除ないし停止解除が始められる角度位置である。(この状態では、つめ石40又は50を介してがんぎ車5のがんぎ歯14から加えられるトルクに応じて関連する弾性腕部60A又は60Bがアンクルさお30の対応する側部36A又は36Bに押付けられ弾性変形されている)
角度位置Pir(θ=θ2)は、ロック解除ないし停止解除の進行に伴い弾性腕部60A又は60Bの弾性変形が丁度なくなった状態である。この状態ないし位置は、弾性腕部60A,60Bとアンクルさお30の本体35の関連側部36A,36Bとの間隙GA,GBが概ね一定WgA,WgBに戻った状態で、間隙GA,GBのない状態の従来のアンクルさお30の側部表面の位置にある弾性腕部36A,36Bの外表面が対応するアンクル係合部としての受ドテ70A,70Bに当接する位置に一致している。
角度位置Pc(θ=θ4)は、ロック解除ないし停止解除(係止状態から離脱)が完了した経た後がんぎ車5のがんぎ歯14によるアンクル6のつめ石40又は50への衝撃(外力の付与)が開始される角度位置である。
角度位置Pm(θ=θ0)は、上述の通り、中立位置である。
角度位置Pcx(θ=θ5)は、がんぎ車5のがんぎ歯14によるアンクル6のつめ石40又は50に対する衝撃が終了する角度位置である。なお、中立位置Pmの反対側に位置するθ3=θ5の位置が角度位置Pveである。
角度位置Pfr(θ=θ6)は、アンクル6のアンクルさお30の側部36B又は36Aに沿って延びる弾性腕部60B又は60Aのドテ係合部63B又は63Aが対応するアンクル係合部としての受ドテ70B又は70Aに当接し始める角度位置である。アンクル6は実際上回転自在であって中立位置Pmを越えるとひげぜんまいによる戻り方向の力を受けるてんぷ7よりも回転し易いので、てんぷ7の振り石81が角度位置Pfr(θ=θ6)に達するまでは、アンクル箱31のアンクル先端部ないしハコ先32又は33がてんぷ7の振り石81に対して力を及ぼし続けていて、拘束角θc=θ1+θ6=(θ2+θ6)+Δθである。ここで、θ6=θ2である。
なお、(θ2+θ6)は、弾性腕部60のない従来のアンクル脱進機を備えた従来の調速脱進機構における拘束角θc0であることから、拘束角θcは、「θc0+Δθ」、即ち、従来の拘束角θc0に拘束角の増分Δθ(=θ1−θ2)を加えたものになる。
角度位置Pfe(θ=θ7)は、がんぎ車5のがんぎ歯14がロック面16でアンクル6のもう一つのつめ石50又は40のロック面52又は42を押し付けるトルクに釣り合うところまで弾性腕部60B又は60Aのドテ係合部63B又は63Aを対応するアンクル係合部としての受ドテ70B又は70Aに押し付けることによって、押し付けが完了する角度位置である。ここで、実際上、θ7=θ1である。
以上の如く構成されたアンクル脱進機1を備えた調速脱進機構2の動作について、図3から図9に基づいて、より詳しく説明する。
この例では、弾性腕部60が弾性変形することによりアンクルさお30のドテ係合部63とアンクル係合部としての受ドテ70とが当接状態に保たれるてんぷ7の回転角すなわち拘束角θcの増分Δθ(=θ1−θ2)は、8度である。
図3は、てんぷ7の振り石81が自由振動状態からアンクル箱31に入ってがんぎ車5によるアンクル6のロックの解除(停止解除)を開始させようとする状態で、図2の停止解除開始位置Pieに対応する。この図3では、ぜんまい(図示せず)からのトルクの作用下でCw1方向に間欠回転されるがんぎ車5ががんぎ歯14のロック面16で入つめ石40と係合している状態において、てんぷ7の振り石81がCr1方向に回転してアンクル箱31のアンクル先端部33に当たってアンクルさお30に対してCp1方向の回転を与え始める状態すなわち停止解除開始状態S1を示す。
アンクル脱進機1を含む調速脱進機構2は、この状停止解除開始状態S1では、図3に示したように、アンクルさお30が中心軸線Cpのまわりで角度β=β1だけCp2方向に傾いた傾斜位置にあり、てんぷ7の振り座80の振り石81は、Cr1方向に回転している途中であって中立位置Pmと比較して角度θ=θ1だけCr2方向にずれた位置に達している。
なお、この状態では、図3及びその一部を拡大した図10からわかるように、がんぎ車5から入つめ石40が受けるCp2方向トルクの作用下で、弾性腕部60Aが先端のドテ係合部63Aで受ドテ70Aに押付けられて変位量δ=δ1だけ変位するように角度α=α1だけ撓んでいる。すなわち、ぜんまい(図示せず)からがんぎ車5に伝えられるトルクが大きくなる程、弾性腕部60Aの撓み量(α)ないし変位量(δ)が大きくなり、それに応じて、図2の位置Pie,Pir間の角度Δθ(=θ1−θ2)が増大している。すなわち、ぜんまい(図示せず)のトルクが大きいほど、弾性腕部60Aの撓み量(αないしδ)が大きくなり、てんぷ7がアンクル6のアンクル箱31と係合して該アンクル6によって拘束されるタイミングが早くなり、拘束角θcの増分Δθ(=θ1−θ2)が大きくなっている。
例えば、図3において、θ1=31度,β1=約7.5度,α1=約3度、δ1=約6×10-2mmであり、上述の通り、Δθ(=θ1−θ2)=8度である。
てんぷ7の振り石81がCr1方向に回転して、図4に示したように、角度θ=θ2の角度位置Pirに達すると、アンクル6のアンクルさお30の弾性腕部60Aの撓みが丁度なくなって、弾性腕部60Aの先端のドテ係合部63Aが受ドテ70Aに軽く接触した状態S2になる。このとき、アンクルさお30の傾斜角度βは、β2になる。この例では、例えば、θ2=23度,β2=約5.8度である。
状態S1(θ=θ1)から状態S2(θ=θ2)に達するまでの角度Δθ(=θ1−θ2=31−23=8(度))の間のてんぷ7の振り石81のCr1方向の回転に際しては、アンクルさお30に弾性腕部60Aがあるがために、アンクルさお30がΔβ=(β1−β2=約7.5−約5.8=約1.7(度))だけ余分に傾斜していて、てんぷ7の振り石81がΔθ=8度だけ余分にアンクルさお30の先端のアンクル箱31のアンクル先端部33に係合して拘束されることになる。すなわち、このアンクル脱進機1では、ぜんまいのトルクが増大して弾性腕部60の弾性変形量α1が増してアンクルさお30の傾斜角度範囲Δβが増大する程、てんぷ7のCr1,Cr2方向の往復回動に際して振り石81がアンクル先端部33に拘束される期間ないし角度Δθが増大する。
なお、この停止解除途中の状態S2は、弾性腕部60とアンクルさお30との間に間隙Gがなく弾性腕部60がアンクルさお30と一体的な剛性部になっている従来の通常のアンクルさおを備えたアンクル脱進機の場合には、停止解除が開始される状態に対応する。すなわち、弾性腕部のない従来の通常のアンクルさおを備えた従来の通常のアンクル脱進機の場合、停止解除はこの状態S2から始まり、てんぷ7の拘束もこの状態S2すなわち角度位置Pirにある角度θ2から始まり、この角度位置Pirにある角度θ2に達するまでは、振り石が拘束されることなく自由振動していた。
てんぷ7の振り石81が更にCr1方向に回動されて、図5に示したように、角度位置Pcすなわち角度θ=θ4に達すると、振り石81によってCp1方向に回動されたアンクル6の入つめ石40のロック面42とがんぎ車5のがんぎ歯14のロック面16との係合ないし係止が終了する。ここで、例えば、θ4=約12.6度、β4=約3.4度である。
振り石81が、角度位置Pie(θ=θ1)にある状態S1から角度位置Pc(θ=θ4)にある状態S3に達するまでの間、停止解除のために、てんぷ7が振り石81によってアンクル6を介してがんぎ車5を多少なりともCr2方向に押し戻すので、てんぷ7は、その分だけエネルギーを失うことになる。すなわち、てんぷ7がエネルギーを失う期間は、このアンクル脱進機1を備えた調速脱進機構2では、角度位置Pir(θ=θ2)の状態S2から角度位置Pc(θ=θ4)の状態S3に達するまでの間だけでなく、角度位置Pie(θ=θ1)の状態S1から角度位置Pir(θ=θ2)の状態S2に達するまでの間においても、停止解除のために、てんぷ7がアンクル6を介してがんぎ車5をCr2方向に押し戻し、てんぷ7は、その分だけエネルギーを失うことになる。
がんぎ歯14のロック面16での係合が解除されると、がんぎ車5は、がんぎ歯14の衝撃面15で入つめ石40の衝撃面41に当たるようになり、がんぎ車5に加えられたぜんまい(図示せず)からのトルクによりがんぎ車5がCw1方向に回動されるに伴ってアンクル6がアンクル真21のまわりでCp1方向に回動され、これにより、アンクルさお30の先端のアンクル箱31のアンクル先端部ないしハコ先32とてんぷ7の振り石81との間のガタがなくなってアンクル先端部(ハコ先)32が振り石81に当たる。図6に示した状態S4は、衝撃が開始される状態S4であって、アンクル6を介したがんぎ車5のてんぷ7に対するCr1方向の回転駆動ないしエネルギー供給が開始される。この衝撃開始状態S4においては、振り石81は、状態S2と同様に、角度位置Pc(θ=θ4)にあって、例えば、θ4=約12.6度であるのに対して、アンクル箱31の一方のアンクル先端部33の代わりに他方のアンクル先端部ないしハコ先32が振り石81に係合したアンクルさお30の傾斜角度β=β4a=約2.9度である。
アンクル6を介したがんぎ車5のてんぷ7に対するCr1方向の回転駆動ないしエネルギー供給は、アンクル6のCp1方向回動に伴いがんぎ歯14の衝撃面15とアンクル6の入つめ石40の衝撃面41との係合が外れる状態になるまで続く。この状態になるとき、アンクル6のアンクル箱31のアンクル先端部32によってCr1方向に回転駆動されたてんぷ7の振り石81は、図2において、符号Pcxで示した角度位置Pcx(θ=θ5)を採る。ここで、実質的にθ5=θ3である。
すなわち、振り石81が角度θ=θ5となる角度位置Pcxに達するまで、がんぎ車5がアンクル6を介しててんぷ7にエネルギーを供給する。
がんぎ車5のがんぎ歯14の衝撃面15が入つめ石40の衝撃面41から離れてがんぎ車5からてんぷ7へのエネルギー供給が終了すると、がんぎ車5がぜんまい(図示せず)のトルクの作用下で自由回転して、がんぎ車5の回転方向Cw1の前方(図示した例では三つ前方)にある別のがんぎ歯14がロック面16で出つめ石50のロック面52に当接係合すると共に、図7に示したように、がんぎ車5によってCp1方向に回動されていたアンクル6が、アンクルさお30の弾性腕部60Bのドテ係合部63Bで受ドテ70Bに当接して押し付けが開始される状態S5に達する。この押付け開始状態S5では、振り石81は、角度位置Pfrすなわち角度θ=θ6の状態になる。この角度位置Pfr(即ち、θ=θ6)は、弾性腕部60A,60Bのない従来の通常のアンクルさおの場合には、剛性のアンクルさお自体のドテ係合部が受ドテ70Bに当接する状態であって、角度位置Pirに対応し、θ=θ6=θ2であってβ=β2である。
その後、がんぎ車14のがんぎ歯14の出つめ石50に対するCp1方向のトルクの作用下において、該トルクの大きさに応じて、アンクル6のアンクルさお30の弾性腕部60Bの先端のドテ係合部63Bが受ドテ70Bに押付けられて弾性腕部60Bが撓められ、てんぷ7の振り石81が弾性腕部60Bの該撓みに応じた角度位置Pfe(角度θ=θ7)に達する。すなわち、がんぎ車5の回転トルクと弾性腕部60Bの弾性変形(撓み)によるトルクとが釣合う状態に達する。すなわち、ここで、実際上、角度θ=θ7=θ1であり、角度β=β1であり、てんぷ7の逆方向回動が上述の正方向回動と丁度対称に生じ得ることになる。
図8の釣合い状態S6に達するとアンクル6のCp1方向回動が停止するので、てんぷ7の振り石81がアンクル箱31のアンクル先端部ないしハコ先32から離れて自由なCr1方向回転に入る。図9は、てんぷ7の自由振動状態S7のうち振り石81が180度回転した位置にある(θ=180度)状態を示している。例えば、最大振り角θmaxが180度である場合には、この後、てんぷ7は逆方向回転Cr2に入ることになる。最大振り角が180度よりも大きい場合には、てんぷ7は図9に示した振り角180度の状態S7を越えて最大振り角になるまでCr1方向に回転した後、反転して、Cr2方向に回転することになる。
なお、てんぷ7が反転した後におけるアンクル脱進機1の調速脱進機構2の動作は、入つめ石40の代わりに出つめ石50ががんぎ歯14に対するロックを解除してその後がんぎ歯14が(入つめ石40の代わりに)出つめ石50に衝撃を及ぼすことにより、てんぷ7(の振り石81)の拘束及びその解除がCr1方向の代わりにCr2方向に行われる点を除いて、上述の動作と実際上同様な動作が行われて、図3の状態S1に戻る。
この逆向きの動作に際しても、ぜんまい(図示せず)のトルクに応じてがんぎ車5からアンクル6に与えられるトルクの大きさに応じて弾性腕部60Bが撓んでいて、該撓みを戻す際の角度分(この例では、Δθ=θ1−θ2)だけ拘束状態が長くなることも、同様である。すなわち、拘束角θcの増分Δθ(=θ1−θ2)がである。
図3においては、θ1=θ2+8度=31度の例について示した。この図3に示したアンクル脱進機1を備えた調速脱進機構2において、ぜんまい(図示せず)のトルクが変動して、がんぎ車5に加わるトルクが変動した場合について、図3に加えて図11に基づいて説明する。
次に、がんぎ車5に加わるトルクTが小さくなった場合を例にとって説明する。
一方、がんぎ車5に加わるトルクが比較的小さいと、例えば、図11に示したように、θ1=θ2+4度=27度の状態S1−2になる。この状態S1−2では、弾性腕部60Aが多少撓んでアンクルさお30の傾斜角度β1=約6.5度で、弾性腕部60Aの撓み角度α1=約1.5度になって、弾性腕部60Aのドテ係合部63Aは撓みのない場合の位置に対してδ1=約3×10-2mm程度ずれる。
この状態S1−2では、図3の状態S1と比較して、アンクルさお30の傾斜角度β1は約7.5度から約6.5度へと約1度小さくなり、弾性腕部60Aの撓み角度α1は約3.5度から約1.5度へと約2度小さくなり、撓みのない場合からの弾性腕部60Aの位置ズレ量δ1は約6×10-2mmから約3×10-2mmへと約3×10-2mm小さくなり、その結果、拘束角θcの増分Δθ(=θ1−θ2)は8度から4度へと4度小さくなる。
以上の通り、このアンクル脱進機1を備えた調速脱進機構2では、トルクTの増減に応じて弾性腕部60の撓みが増減し、てんぷ7の拘束角Δθが増減する。従って、トルクTの増減に伴って振り角が増減しても、自由振動期間の割合の増減を抑制し得る。その結果、トルクTの変動による脱進機誤差を最低限に抑え得ることになる。
従って、てんぷ7の振幅すなわち振り角θmaxとてんぷの拘束角θcとの関係は、図12のグラフで示したようになる。図12において、てんぷ7の振幅γはがんぎ車5に加わるトルクTに概ね対応する。てんぷ拘束角θcは、前述の通り、「θc0+Δθ」である。
弾性腕部のない従来の通常のアンクル脱進機を備えた調速脱進機構では、図12において想像線Liで示したように、てんぷ拘束角θc0は、がんぎ車に加えられるトルクに依存せず、従って、てんぷの振幅ないし振り角θmaxに依存せず一定である。一方、図3及び図11で説明した通り、アンクル脱進機1を備えた調速脱進機構2では、てんぷ拘束角θcは、「θc0+Δθ」であって、がんぎ車5に加えられるトルクTの増減に応じて換言すればてんぷの振幅ないし振り角θmaxの増減に応じて弾性腕部60の撓み量が増減し、増分Δθが増減する。従って、アンクル脱進機1を備えた調速脱進機構2の場合には、てんぷ拘束角θcは、図12において実線Lで示したように、トルクTの増減に応じて換言すればてんぷの振幅ないし振り角θmaxの増減に応じて、概ね、直線的に増減する。
例えば、図3の例のように拘束角θcの増分Δθ=8度になる状態S1を採るのは、図12の例の場合、最大振り角ないし振幅θmaxが約225度のときである。従って、この例ではいえば、例えば、図9のような自由振動状態であって振り角θが180度の状態は、最大振り角θmax=225度に達する前のCr1方向回転の途中の状態であることになる。また、例えば、図12の線Lで示したような特性(拘束角θcの振幅θmax依存性)の場合には、振幅θmax=約170度のときに、図11のように拘束角θcの増分Δθ=4度になる状態S1−2を採り、振幅θmax=約250度のときに、拘束角θcの増分Δθ=10度になる状態を採るように、最大振り角ないし振幅θmaxに応じて拘束角θcの増分Δθが変化することになる。図12で示した例では、Δθ/θcは最大で30%程度変化され得、振幅θmaxが過度に小さい範囲を避けるとすると、Δθ/θcが10%程度〜30%程度の範囲で変化され得る。
図13は、てんぷの振り角ないし振幅θmaxと脱進機誤差Dとの関係を示したグラフである。
図13において、破線Miは、弾性腕部のない従来の通常のアンクル脱進機を備えた調速脱進機構における脱進機誤差Dの振幅θmaxに対する依存性を示している。曲線Miからわかるように、振幅θmaxが小さくなる程脱進機誤差Dが大きくなる。すなわち、弾性腕部のない従来の通常のアンクル脱進機を備えた調速脱進機構では、てんぷ拘束角θc0はてんぷの最大振れ角(振幅)θmaxによらず一定であるから、この種の従来の調速脱進機構では、てんぷの振れ角θmaxが小さくなる程てんぷの往復回動(振動)の際にてんぷが拘束される割合が高くなり、脱進機誤差Dが大きくなる。従って、曲線Miは左下がりの線になる。しかも、振れ角θmaxが小さくなるとてんぷの往復回動(振動)の際にてんぷが拘束される割合が急激に高くなるので、振れ角θmaxが小さくなる程曲線Miの(負の)傾きが大きくなり、曲線Miは、上に凸の右上がりの曲線になる。
これに対して、図13において、実線Mは、弾性腕部60のあるアンクル脱進機1を備えた調速脱進機構2における脱進機誤差Dの振幅θmaxに対する依存性を示している。
例えば、振れ角(振幅)θmaxが100度程度とがんぎ車5にかかるトルクTが小さい場合には、弾性腕部60が実際上撓まないとする。その場合、弾性腕部60がないのと同じことであるから、曲線D,Diは実際上一致する(交わる)。
一方、がんぎ車5にかかるトルクTがより大きくなると振幅θmaxも大きくなり、トルクTの増大に伴い弾性腕部60が撓み量が増大するので、てんぷ拘束角θcが、Δθだけ増す。その結果、振幅θmaxに対するてんぷ拘束角θcの割合の低下が抑制される。従って、脱進機誤差Dの変動が、従来のアンクル脱進機を備えた従来の調速脱進機構についての曲線Miと比較して、振幅θmaxの変動に伴う脱進機誤差Dの変動が低減されることになる(振幅θmaxが大きい状態から振幅を小さくすると、脱進機誤差Dの増加が低減される)。
なお、図13では、脱進機誤差Dの絶対値が示されている。例えば、振幅θmaxが300度の場合と100度の場合との脱進機誤差Dの差ΔDを、脱進機誤差Dの振幅θmaxに対する依存性ΔDとしてみると、弾性腕部60のあるアンクル脱進機1を備えた調速脱進機構2における脱進機誤差Dの振幅依存性ΔDでは、弾性腕部のない従来の通常のアンクル脱進機を備えた従来の調速脱進機構の場合の脱進機誤差の振幅依存性ΔDiよりも小さくなり、改善されている。即ち、振幅θmaxが100度と300度との間の所望の状態を基準状態として、当該基準状態よりも振幅が多少大きい状態(例えば、ぜんまいが最大限までいっぱいに巻き上げられた状態)から当該基準状態よりも振幅が小さい状態(ぜんまいが実際上完全にほどけた状態)までぜんまいの状態が変化するに際してがんぎ車5に加わるトルクが変動する場合における脱進機誤差Dの変動ΔDは、弾性腕部のない従来の通常のアンクル脱進機を備えた従来の調速脱進機構の場合よりも、弾性腕部60のあるアンクル脱進機1を備えた調速脱進機構2の場合の方が、小さくなることになる。ここで、脱進機誤差Dの変動ΔDの低減は、トルクTの増減に伴う弾性腕部60の撓みの増減によって実現されている。例えば、てんぷの振り角ないし振幅θmaxが300度から180度に変わる場合、拘束角が一定のときと比較して、脱進機誤差が3秒程度変化する。この変化の絶対値自体はそれ程大きくないとしても、このアンクル脱進機1を備えた調速脱進機構2では、振幅依存性が実質的に低減せしめられ得る点で、従来とは全く異なるものであることがわかる。
なお、アンクル脱進機1において、弾性腕部60A,60Bが振動するのを避けるべく、図10の拡大図において、想像線90で示したように、弾性腕部60A,60Bの基端部61A,61Bとアンクルさお30の本体35の側部36A,36Bとの間に、緩衝材を設けてもよい。この緩衝材90は、振動を吸収し得る可塑性のある材料からなる。
弾性腕部は、がんぎ車5に加わるトルクと釣合うように撓む限り、アンクルさおに形成される代わりに、図14に示したように、受ドテに形成されてもよい。
図14には、本発明の別の一実施例のアンクル脱進機1Hを備えた本発明の別の一実施例の調速脱進機構2Hが示されている。図17のアンクル脱進機1Hや調速脱進機構2Hにおいて、図1から図11に示したアンクル脱進機1や調速脱進機構2の要素と同一の要素には同一の符号が付され、アンクル脱進機1や調速脱進機構2の要素に概ね対応するけれども異なるところのある要素には、同一の符号の後に添字Hが付されている。
機械式時計3Hの調速脱進機構2Hのアンクル脱進機1Hでは、弾性腕部60Hが、アンクルさお30Hの代わりにアンクル受8Hに形成されている。
すなわち、アンクル脱進機1Hのアンクル6Hでは、アンクルさお30Hは弾性腕部を欠き、さお本体35Hがそのままアンクルさお30Hになっている。なお、アンクルさお30Hの幅は、例えば、アンクル脱進機1のアンクル6のアンクルさお30の弾性腕部60A,60Bが撓んでいない状態における該弾性腕部60A,60B間の幅と一致する。但し、この幅はより大きくてもより小さくてもよい。アンクルさお30Hのうちアンクル箱31に近接した部位の両側が、ドテ係合部63HA,63HB(区別しないとき又は総称するときは符号63Hで表す)になっている。
調速脱進機構2Hのアンクル脱進機1Hでは、アンクル受8Hは、地板のような支持基板に固定されたアンクル受本体71を含む。アンクル受本体71は、開口ないし凹部72を備えると共に、該開口ないし凹部72の周壁73の一側部74から概ね周壁73に沿って延びた弾性腕部60HA,60HB(区別しないとき又は総称するときは符号60Hで表す)を備える。弾性腕部60HA,60HBは、弾性腕本体部65HA,65HB(区別しないとき又は総称するときは符号65Hで表す)と内向きに丸く突出してアンクルさお30Hのドテ係合部63HA,63HBに対面したアンクル係合部としての受ドテないし肥大突部70HA,70HB(区別しないとき又は総称するときは符号70Hで表す)を備える。
この例では、アンクル受本体71の開口ないし凹部72の中心にてんぷ7の回転中心軸線Crが位置し、弾性腕部60HA,60HBは、てんぷ7の回転中心軸線Crに関してアンクル6Hの回転中心軸線Cpの反対側に位置する。これにより、弾性腕部60HA,60HBを長くして撓み易くし得るだけでなく、弾性腕部60HA,60HBが撓む際にアンクル受8Hの弾性腕部60HA,60HBとアンクルさお30Hとが干渉するのを避け易い。
アンクル脱進機1Hを備えた調速脱進機構2Hでは、がんぎ車5のがんぎ歯14とアンクル6Hのつめ石40又は50とがロック面16,42又は16,52で係合している際がんぎ車5にかかっているトルクの大きさに応じて弾性腕部60HA又は60HBが撓む。すなわち、アンクル脱進機1を備えた調速脱進機構2においてアンクル受8のアンクル係合部70A,70Bとアンクル6のアンクルさお30の両側の弾性腕部60A,60Bのドテ係合部63A,63Bとが係合しての弾性腕部60A,60Bの弾性的な撓みが生じる代わりに、アンクル受8Hの弾性腕部60HA,60HBのアンクル係合部70HA,70HBとアンクル6Hのアンクルさお30Hのドテ係合部63HA,63HBとが係合しての弾性腕部60HA,60HBの弾性的な撓みが生じる点を除き、アンクル脱進機1を備えた調速脱進機構2と同様に機能する。従って、ここでは、詳細な説明は省く。なお、このアンクル脱進機6Hにおいても、想像線90Hで示したように、緩衝材90Hが設けられていてもよい。
なお、図1や図3に示した調速脱進機構2のアンクル脱進機1ではアンクルさお30のところに弾性腕部60A,60Bがあることにより、てんぷ7の振幅θmaxの増大に応じて拘束角θcが増大するようになっているから、図15に示したように、受ドテの代わりに撓まないドテピンを用いるようにしてもよい。
図15には、本発明の更に別の一実施例のアンクル脱進機1Jを備えた本発明の別の一実施例の調速脱進機構2Jが示されている。図15のアンクル脱進機1Jや調速脱進機構2Jにおいて、図1から図11に示したアンクル脱進機1や調速脱進機構2の要素と同一の要素には同一の符号が付され、アンクル脱進機1や調速脱進機構2の要素に概ね対応するけれども異なるところのある要素には、同一の符号の後に添字Jが付されている。
機械式時計3Jの調速脱進機構2Jのアンクル脱進機1Jでは、アンクル受ドテがドテピン8JA,8JB(区別しないとき又は総称するときは符号8Jで表す)からなり、ドテピン8JA,8JBのうちアンクルさお30Jの両側の弾性腕部60JA,60JB(区別しないとき又は総称するときは符号60Jで表す)に対面する部位70JA,70JB(区別しないとき又は総称するときは符号70Jで表す)がアンクル係合部になっている。
なお、各ドテピン8JA,8JBすなわちドテピン8Jは、偏心筒77と下端部で該偏心筒77に嵌着された中心側ピン状部76とを備え、偏心筒77は円筒状外周面75と該外周面75に対して偏心した円筒面を規定する円柱状穴78とを備える。偏心筒77は、外周面75の中心軸線Ceのまわりで回転可能に地板の如き支持基板に取り付けられている。従って、偏心筒77をその中心軸線Ceのまわりでまわすと、円柱状の中心側ピン状部76は偏心した回転中心軸線Ceのまわりで回動され、中心側ピン状部76の外周面のうちアンクル6Jのアンクルさお30Jに対面する部位であるアンクル係合部70Jとアンクルさお30Jとの距離(換言すれば、アンクル係合部70Jと中心軸線Ceとの距離が変動する。これにより、トルクTとは独立に拘束角θcを調整可能である。偏心筒77と中心側ピン状部76とは一体物であってもよい。
アンクル脱進機1Jのアンクル6Jでは、アンクルさお30Jが弾性腕部60JA,60JBを備える点ではアンクル脱進機1のアンクル6と同様である。但し、アンクル脱進機1のアンクル6では弾性腕部60が受ドテをなすアンクル係合部70A,70Bに係合するのに対して、アンクル脱進機1Jのアンクル6Jでは弾性腕部60Jがドテピン8Jのアンクル係合部70JA,70JBに係合するので、この例では、弾性腕部60Jの形状は弾性腕部60の形状とは多少異なる。すなわち、この例では、弾性腕部60JA,60JBは直線状に延びた弾性腕部60JA,60JBの先端部に位置するドテ係合部63JA,63JB(区別しないとき又は総称するときは符号63Jで表す)でアンクル係合部63JA,63JBをなすドテピン60JA,60JBの周面部に当接ないし係合する。
その他の点では、調速脱進機構2Jのアンクル脱進機1Jは、調速脱進機構2のアンクル脱進機1と同様に動作する。従って、ここでも、詳細な説明は省く。なお、このアンクル脱進機6Jにおいても、想像線90Jで示したように、緩衝材90Jが設けられていてもよい。
1,1H,1J アンクル脱進機
2,2H,2J 調速脱進機構
3,3H,3J 機械式時計
5 がんぎ車
6,6H,6J アンクル
7 てんぷ
8,8H,8J,8JA,8JB アンクル受
10 がんぎ歯車
14 歯(がんぎ歯)
15 衝撃面
16 係止面(ロック面)
20 アンクルベース
21 アンクル真
22,23 端部
30,30H,30J アンクルさお
31 アンクル箱
32,33 アンクル先端部(ハコ先)
34 剣先
35,35H アンクルさお本体
36,36A,36B 側部
40 入つめ石
41 衝撃受面(衝撃面)
42 係止面(ロック面)
50 出つめ石
51 衝撃受面(衝撃面)
52 係止面(ロック面)
60,60A,60B,60H,60HA,60HB,60J,60JA,60JB 弾性腕部
61,61A,61B 基端部
62,62A,62B 先端部
63,63A,63B,63H,63HA,63HB,63J,63JA,63JB ドテ当接部(ドテ係合部)
65H,65HA,65HB 弾性腕本体部
70,70A,70B 受ドテ(アンクル係合部)
70H,70HB,70HB 受ドテ(アンクル係合部)
70J,70JA,70JB 周面の係合部位(アンクル係合部)
71 アンクル受本体
72 開口ないし凹部
75 外周面
76 中心側ピン状部
77 偏心筒
78 円柱状穴
80 振り座
81 振り石
85 取付穴
90,90H,90J 緩衝材
Ce,Cp,Cr,Cw 中心軸線
Cp1,Cp2,Cr1,Cr2,Cw1,Cw2 回転(回動)方向
D 脱進機誤差
G,GA,GB 間隙
L てんぷ拘束角の振幅に対する依存の仕方を示す線
M 脱進機誤差の振幅に対する依存の仕方を示す線
Pie,Pir,Pve,Pc,Pm,Pcx,Pfr,Pfe 角度位置
S1 停止解除開始状態
S1−2 異なるトルクの下で異なる撓み位置にある停止解除開始状態
S2 停止解除途中状態(弾性腕部の撓みがなくなった状態)
S3 停止解除終了状態
S4 衝撃開始状態
S5 押付け開始状態
S6 釣合い状態
S7 自由振動状態
T トルク
Wg,WgA,WgB 間隙の幅
β,β1,β2,β4、β4a アンクルさおの傾斜角度
α,α1 弾性腕部の撓み量(撓み角)
δ,δ1 弾性腕部の撓み量(ドテ係合部の変位量)
θ,θ1,θ2,θ3,θ4,θ5,θ6,θ7 振り角
θc 拘束角
θmax 最大振れ角(振幅)
ΔD 脱進機誤差の差(脱進機誤差の振幅依存性)
Δθ 拘束角の増分(θ1−θ2)

Claims (10)

  1. がんぎ歯車を備えたがんぎ車と、
    アンクル真のまわりで回動自在に支持され、がんぎ歯車にアンクルベースの両端の入つめ石および出つめ石で係脱され、両側にドテ係合部を備えたアンクルさおの先端にあるフォーク状のアンクル先端部で振り座の振り石に対して係脱可能なアンクルと、
    ドテ係合部に一対のアンクル係合部で係合してアンクルの回動範囲を規定するアンクル受と
    を有するアンクル脱進機であって、
    アンクルさお及びアンクル受のうちのいずれか一方の部材が、基端部において該一方の部材の側壁につながり該基端部から先端部まで該側壁に沿って延びた弾性腕部を備え、該弾性腕部の先端部が、前記一方の部材の前記係合部になっており、
    アンクルがトルクに抗してがんぎ歯車をつめ石で係止した状態において、弾性腕部が弾性変形されて該弾性腕部の先端の係合部が前記アンクルさお及びアンクル受のうちの他方の部材の前記係合部に係合するように構成されているアンクル脱進機。
  2. 前記一方の部材の前記側壁と該側壁につながった弾性腕部との間に振動を吸収する緩衝材が設けられている請求項1に記載のアンクル脱進機。
  3. 前記弾性腕部がアンクルさおの両側部に形成されている請求項1又は2に記載のアンクル脱進機。
  4. 前記弾性腕部がアンクルさおの各側部のうちアンクル真に近い端部から該アンクルさおの両側部に沿って該アンクルさおの先端部の方に延び、
    各弾性腕部とアンクルさおの該弾性腕部に対面する側部との間には、間隙が形成されおり、
    アンクル真のまわりでの回動に際して、回動方向前側に位置する弾性腕部が弾性変形されつつ該弾性腕部の先端に近い部分の外側面においてアンクル受の隣接するアンクル係合部に係合するように構成されている請求項3に記載のアンクル脱進機。
  5. アンクル受が、ドテピンからなる請求項3又は4に記載のアンクル脱進機。
  6. アンクル受が、受ドテを有する請求項1から4までのいずれか一つの項に記載のアンクル脱進機。
  7. アンクル受が受ドテを有し、前記弾性腕部が受ドテの凹部の両側壁部に形成されている請求項1又は2に記載のアンクル脱進機。
  8. 弾性腕部が、UV−LIGA、反応性イオンエッチング又はレーザ加工によって形成されている請求項1から7までのいずれか一つの項に記載のアンクル脱進機。
  9. 請求項1から8までのいずれか一つの項に記載のアンクル脱進機を備えた調速脱進機構
  10. 請求項1から8までのいずれか一つの項に記載のアンクル脱進機を備えた機械式時計。
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