JP5482383B2 - 電動機の固定子及びロータリ圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、冷媒を圧縮して吐出するロータリ圧縮機及びこのロータリ圧縮機に内蔵される電動機の固定子に関する。
従来、ロータと、このロータの径方向外側に配置されたステータとを備え、前記ステータは、ステータコアと、前記ステータコアの軸方向の両端面のそれぞれに組み付けられたインシュレータと、前記ステータコアおよび前記インシュレータに共に巻かれたコイルとを有し、前記ステータコアおよび前記インシュレータには、前記ステータコアの前記両端面に対する前記インシュレータの誤組と、前記ステータコアの前記各端面の周方向位置に対する前記各インシュレータの誤組とを防止する誤組防止機構が、設けられているモータが開示されている。
前記誤組防止機構は、前記ステータコアに設けられた複数の係止穴と、前記インシュレータに設けられ前記複数の係止穴のそれぞれに係止される複数の係止爪とを有しており、前記係止穴および前記係止爪は、それぞれ、少なくとも３つあり、前記全ての係止爪の形状は、互いに異なり、前記全ての係止穴の形状は、前記各係止爪の形状に対応して、互いに異なっているか、または、隣り合う前記係止爪の間の中心角度は、互いに異なり、隣り合う前記係止穴の間の中心角度は、前記隣り合う係止爪の間の中心角度に対応して、互いに異なっている（例えば、特許文献１参照）。
特開２００８−１６７５１６号公報
上記従来の技術によれば、ステータコアに設けられた複数の係止穴と、インシュレータに設けられ前記複数の係止穴のそれぞれに係止される複数の係止爪とを有しているので、巻線機により、ステータコアおよびインシュレータに巻線を巻くときに、巻線機のノズルが１つのスロットを上方または下方に抜けて周方向に移動し、隣のスロットに移ろうとするとき、巻線の張力によりインシュレータに周方向の力が作用しても、インシュレータがステータコアに対して周方向にずれることはない。
しかしながら、上記従来の技術によれば、ステータコアに、係止爪を係止するための専用の複数の係止孔を設けている。そのため、ステータコアの加工コストがその分だけ増大する、という問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コイルの巻線時にインシュレータが周方向にずれることがなく、ステータコアの加工コストが増大することのない電動機の固定子及びこの電動機の固定子を内蔵するロータリ圧縮機を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、環状のヨークと、該ヨークから中心に向かって放射状に突出する複数のティースと、前記ヨークの外周部に軸方向に形成された複数のＵ字溝と、を有し、略筒状に形成された固定子鉄心と、環状の外周壁部と、該外周壁部から中心に向かって放射状に突出する複数の巻胴部と、該巻胴部の内側端から軸方向に立上がる内側鍔部と、前記外周壁部の外側に周方向に互いに離間して配置され前記Ｕ字溝の軸方向端部に外嵌され周方向幅が前記Ｕ字溝の溝幅よりも小さい少なくとも３つの係止爪と、を有し、前記固定子鉄心の軸方向端部を絶縁被覆するインシュレータと、を備え、冷媒を圧縮して吐出するロータリ圧縮機内に内蔵され、前記固定子鉄心のＵ字溝が前記ロータリ圧縮機内の冷凍機油の戻り通路となる電動機の固定子において、前記係止爪の１つを、その周方向一側部が１つの前記Ｕ字溝の一側壁に当接するように配置し、前記係止爪の他の１つを、その周方向他側部が他の１つのＵ字溝の他側壁に当接するように配置したことを特徴とする。
本発明にかかる電動機の固定子は、コイルの巻線時にインシュレータが周方向にずれることがなく、ステータコアの加工コストが増大しない、という効果を奏する。また、２つの係止爪が、Ｕ字溝の中で互いに異なる位置に配置されるので、上下のインシュレータの周方向位置を合わせるときに、電動機の固定子の側方から係止爪を視認することにより合わせることができる。
図１は、本発明にかかる電動機の固定子の実施例を示す分解斜視図である。 図２は、実施例の電動機の固定子の平面図である。 図３は、実施例の電動機の固定子の側面図である。 図４は、実施例の固定子鉄心のＵ字溝とインシュレータの係止爪の係合状態を示す部分拡大図である。 図５は、本発明にかかるロータリ圧縮機を模式的に示す縦断面図である。
以下に、本発明にかかる電動機の固定子の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図１は、本発明にかかる電動機の固定子の実施例を示す分解斜視図であり、図２は、実施例の電動機の固定子の平面図であり、図３は、実施例の電動機の固定子の側面図であり、図４は、実施例の固定子鉄心のＵ字溝とインシュレータの係止爪の係合状態を示す部分拡大図であり、図５は、本発明にかかるロータリ圧縮機を模式的に示す縦断面図である。
図１に示すように、実施例の電動機の固定子９０は、冷媒を圧縮して吐出するロータリ圧縮機１００（図５参照）内に内蔵される電動機の固定子であり、固定子鉄心１０と、固定子鉄心１０のスロット１１内に挿入されてスロット１１とコイル（図示せず）とを絶縁する絶縁フィルム２０と、固定子鉄心１０の軸方向両端部１６、１６に装着されて軸方向端部１６とコイルとを絶縁する上下２つのインシュレータ３０、３０と、を備えている。
固定子鉄心１０は、環状に打抜き形成された電磁鋼板を積層して略筒状に形成され、リング状のヨーク１２と、ヨーク１２から中心に向かって突出するティース１３と、ティース１３の先端から周方向に突出する先端エッジ１４と、ヨーク１２の外周部に軸方向に形成されロータリ圧縮機１００内の冷媒及び冷凍機油の戻り通路となる複数（９つ）の底浅のＵ字溝１７と、を有している。このＵ字溝１７は、軸方向に延在する底部の周方向両端から径方向に立設された側壁１７ｘ、１７ｙを有する。なお、この側壁のうち、図２の固定子平面図で見たときに、Ｕ字溝１７の底部中央から反時計回りの方向に立設された側壁１７ｘを一側壁と言い、時計回りの方向に立設された側壁１７ｙを他側壁と言う。
ヨーク１２、ティース１３及び先端エッジ１４に囲まれるように、扇形の空隙であるスロット１１が形成され、対向する先端エッジ１４間には、空隙であるスロット開口１５が形成されている。
図１に示すように、絶縁フィルム２０は、ポリエステルフィルム等により、スロット１１の内壁に密着するように断面が扇形の筒状に折り曲げ形成される。このとき、周方向両端の折返し部２１が筒の内側に向かって折り曲げられてスロット開口１５の開口幅以上（同一又は大きい）の開口幅を有するフィルム開口２３が形成される。絶縁フィルム２０は、軸方向の長さが、固定子鉄心１０の軸方向長さよりも長く形成されているので、スロット１１に挿入されると、フィルム軸方向端部２２は、固定子鉄心１０の軸方向端部１６から突出した状態になる。
なお、絶縁フィルム２０の材質は、ポリエステルフィルムに限られず、この電動機が用いられる機器に応じて種々変更可能である。例えば、冷媒を圧縮するコンプレッサに用いられる場合は、ポリエステルフィルムに換えて、ポリフェニレンサルファイドフィルムや、アラミド繊維で構成される絶縁フィルムなどの、難燃性のある絶縁フィルムを用いることが好ましい。
図１〜３に示すように、インシュレータ３０は、樹脂モールド成型により、短い筒状に形成され、固定子鉄心１０のヨーク１２上に設置される環状の外周壁部３１と、外周壁部３１の固定子鉄心１０側（下部）から中心に向かって（内側に）放射状に突出し固定子鉄心１０のティース１３を覆う巻胴部３２と、巻胴部３２の先端（内側端）から周方向に突出するインシュレータエッジ３３と、インシュレータエッジ３３の反固定子鉄心側に設けられた（すなわち、巻胴部３２の内側端から軸方向に立上がる）内側鍔部３４と、外周壁部３１の固定子鉄心１０側（下部）の外側に、周方向に互いに離間して配置され、Ｕ字溝１７の軸方向端部に外嵌される３つの係止爪３５ａ、３５ｂ、３５ｃと、を有し、固定子鉄心１０の軸方向端部１６、１６を絶縁被覆する。係止爪は、４つ以上設けてもよい。なお、前記係止爪は、それぞれ周方向に２つの側部３５ｘ、３５ｙを有する。この２つの側部３５ｘ、３５ｙのうち、図２の固定子平面図で見たとき、反時計回りの方向の側部３５ｘを周方向一側部と言い、時計回りの方向の側部３５ｙを周方向他側部と言う。
外周壁３１の固定子鉄心１０側、巻き胴３２及びインシュレータエッジ３３に囲まれるように、固定子鉄心１０のスロット１１及びスロット開口１５と同一形状のインシュレータスロット３７及びインシュレータ開口３６が形成されている。
なお、外周壁部３１に形成されたスリット７５は、コイルの渡り線５０や中性線を通すとともに外周壁部３１の肉抜きを行なうものである。また、図４に示すように、係止爪３５は、その係止爪３５の先端部の外径Ｍが、固定子鉄心１０の外径Ｎ（すなわち、ロータリ圧縮機１００の筺体１１０の内径）よりも小さく、また、周方向幅は、Ｕ字溝１７の溝幅よりも小さくされ、筺体１１０の冷媒、冷凍機油戻り通路（Ｕ字溝１７）内に配置されている。従って、係止爪３５の先端部と筐体１１０の内壁との間、及び、係止爪３５の一側部３５ｘとＵ字溝１７の一側壁１７ｘとの間、又は、係止爪３５の他側壁３５ｙとＵ字溝１７の他側壁１７ｙとの間の少なくとも一方には隙間があるので、冷媒や筐体１１０の内壁を伝って降下する冷凍機油の流れを邪魔することはない。
次に、実施例のインシュレータ３０の特徴的な構成について説明する。インシュレータ３０は、係止爪の１つ、例えば係止爪３５ｂを、その周方向一側部３５ｘが１つのＵ字溝１７の一側壁１７ｘに当接するように配置し、係止爪の他の１つ、例えば係止爪３５ｃを、その周方向他側部３５ｙが他の１つのＵ字溝１７の他側壁１７ｙに当接するように配置し、係止爪のもう１つ、例えば係止爪３５ａを、さらに他のＵ字溝１７の周方向中央に配置している。Ｕ字溝１７の周方向中央に配置した係止爪３５ａを目印として、係止爪３５ａの近傍の巻胴部３２及びティース１３をコイルの巻始めの巻胴部３２及びティース１３として、間違えずに巻線機にセットすることができる。
上記のように、係止爪３５ｂ、３５ｃを配置することにより、巻線機により、インシュレータ３０と絶縁フィルム２０を介して固定子鉄心１０のティース１３に巻線を巻くために、巻線機のノズルが１つのスロット１１を上方または下方に抜けて周方向に移動するとき、又は、隣のスロット１１に移ろうとするとき、巻線の張力によりインシュレータ３０に周方向の力が作用しても、係止爪３５ｂの周方向一側部３５ｘが１つのＵ字溝１７の一側壁１７ｘに当接し、係止爪３５ｃの周方向他側部３５ｙが他の１つのＵ字溝１７の他側壁１７ｙに当接して係止されているので、インシュレータ３０が固定子鉄心１０に対して周方向にずれることはない。
また、２つの係止爪３５ｂ、３５ｃ（又は、３つの係止爪３５ａ、３５ｂ、３５ｃ）が、Ｕ字溝１７の中で、互いに異なる位置に配置されるので、上下のインシュレータ３０、３０の周方向位置を合わせるときに、電動機の固定子９０の側方から係止爪３５ｂ、３５ｃ（３５ａ）を視認することにより位置を合わせることができる。
以上説明したように、実施例の電動機の固定子９０は、コイルの巻線時にインシュレータ３０が周方向にずれないので、絶縁不良を防ぐことができる。また、係止爪３５ｂ、３５ｃの係止部として、既設のＵ字溝１７を利用しているので、固定子鉄心１０の加工コストが増大しない。
図５に示すように、実施例の電動機の固定子９０を備える電動機８０と、この電動機８０によって駆動される冷媒ガス圧縮部１２０と、を筐体１１０内に組込めば、図示しないアキュムレータから低圧連絡管１３０を介して低圧冷媒ガスを吸入し、冷媒ガス圧縮部１２０で圧縮して吐出管１４０から吐出するロータリ圧縮機１００が完成する。実施例の電動機の固定子９０を備えるロータリ圧縮機１００は、固定子鉄心１０のＵ字溝１７が、冷媒ガス圧縮部１２０を潤滑する冷凍機油の戻り通路となっている。
以上のように、本発明にかかる電動機の固定子は、ロータリ圧縮機に内蔵される電動機の固定子として有用である。
１０ 固定子鉄心
１１ スロット
１２ ヨーク
１３ ティース
１４ 先端エッジ
１５ スロット開口
１６ 軸方向端部
１７ Ｕ字溝
１７ｘ 一側壁
１７ｙ 他側壁
２０ 絶縁フィルム
２１ 折返し部
２２ フィルム軸方向端部
２３ フィルム開口
３０ インシュレータ
３１ 外周壁部
３２ 巻胴部
３３ インシュレータエッジ
３４ 内側鍔部
３５ａ、３５ｂ、３５ｃ 係止爪
３５ｘ 周方向一側部
３５ｙ 周方向他側部
３６ インシュレータ開口
３７ インシュレータスロット
５０ 渡り線
７５ スリット
８０ 電動機
９０ 電動機の固定子
１００ ロータリ圧縮機
１１０ 筐体
１２０ 冷媒ガス圧縮部
１３０ 低圧連絡管
１４０ 吐出管

Claims (4)

  1. 環状のヨークと、該ヨークから中心に向かって放射状に突出する複数のティースと、前記ヨークの外周部に軸方向に形成された複数のＵ字溝と、を有し、略筒状に形成された固定子鉄心と、
    環状の外周壁部と、該外周壁部から中心に向かって放射状に突出する複数の巻胴部と、該巻胴部の内側端から軸方向に立上がる内側鍔部と、前記外周壁部の外側に周方向に互いに離間して配置され前記Ｕ字溝の軸方向端部に外嵌され周方向幅が前記Ｕ字溝の溝幅よりも小さい少なくとも３つの係止爪と、を有し、前記固定子鉄心の軸方向端部を絶縁被覆するインシュレータと、を備え、
    冷媒を圧縮して吐出するロータリ圧縮機内に内蔵され、前記固定子鉄心のＵ字溝が前記ロータリ圧縮機内の冷凍機油の戻り通路となる電動機の固定子において、
    前記係止爪の１つを、その周方向一側部が１つの前記Ｕ字溝の一側壁に当接するように配置し、前記係止爪の他の１つを、その周方向他側部が他の１つのＵ字溝の他側壁に当接するように配置したことを特徴とする電動機の固定子。
  2. 前記係止爪のもう１つを、前記Ｕ字溝の周方向中央に配置し、上下のインシュレータの周方向の位置合わせの目印又はコイルの巻始め位置を示す目印としたことを特徴とする請求項１に記載の電動機の固定子。
  3. 請求項１又は２に記載の電動機の固定子を備える電動機と、該電動機によって駆動される冷媒ガス圧縮部と、を筐体内に内蔵することを特徴とするロータリ圧縮機。
  4. 前記係止爪の先端部の外径が、前記筐体の内径より小さいことを特徴とする請求項３に記載のロータリ圧縮機。
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