JP5482070B2 - 熱延鋼板の冷却方法及び冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は、熱間圧延工程の仕上げ圧延後の熱延鋼板をランアウトテーブル上に通板させながら冷却する方法及び冷却装置に関する。
加熱炉から排出された鋼材は、粗圧延機を経て仕上げ圧延機に送られる。図11は、仕上げ圧延機2以降の熱間圧延工程を行う熱延設備のレイアウトの一例である。図11に示すように、複数スタンドF1〜F7からなる仕上げ圧延機2で鋼材を連続圧延し、最終スタンドで所望の板厚・板幅に熱間圧延された鋼板3を、多数の搬送ロール4aからなるランアウトテーブル4で搬送する。ランアウトテーブル4は、仕上げ圧延機2の下流側に配置された冷却装置5内に設置され、上方に設けられた各種冷却機6で、鋼板3を冷却する。その後、鋼板3は、コイラー直前ピンチロール7を介してコイラー8に巻き取られる。コイラー直前ピンチロール7は、鋼板3のコイラー8への誘導および鋼板3の尾端が仕上げ圧延機2の最終スタンドF7を抜けた後のバックテンション保持の役割をする。
このような熱延設備を用いて、熱間圧延の仕上げ圧延後の熱延鋼板(以下、「熱延鋼板」もしくは単に「鋼板」という。)は、仕上げ圧延機からコイラーまでをランアウトテーブルによって搬送される間に、ランアウトテーブルの上下に設けられている冷却装置(冷却機)によって所定の温度まで冷却された後、コイラーに巻き取られる。鋼板の熱間圧延においては、この仕上げ圧延後の冷却の様態が鋼板の機械的特性を決定する重要な因子となっており、鋼板を均一に所定の温度に冷却することが重要となっている。
この仕上げ圧延後の冷却工程では、冷却媒体として例えば水(以下、「冷却水」という。)を用いて鋼板を冷却することが多い。かかる場合、例えば鋼板の上面に冷却水を噴射して当該鋼板を冷却するが、鋼板の上面温度により鋼板上の冷却水の沸騰形態が変動する。一般的に用いられているラミナー冷却においては、図12に示すように、鋼板の上面温度Tが約600℃以上の高温の場合には、当該領域は膜沸騰領域Aとなる。また、上面温度Tが350℃以下の低温の場合には、当該領域は核沸騰領域Bとなる。さらに、膜沸騰領域Aと核沸騰領域Bとの間では、当該領域は遷移沸騰領域Cとなる。
なお、ここでは、鋼板の上面温度Tと冷却時の熱流束Qとの関係を示した図13において、冷却開始から、熱流束Qと鋼板の上面温度Tの関係の傾きが大きな逆勾配となる前の温度域を膜沸騰領域A、当該傾きが大きな逆勾配の領域を遷移沸騰領域C、当該傾きが大きな逆勾配より低い温度域の正勾配の領域を核沸騰領域Bと称する。
膜沸騰領域Aでは、鋼板の上面に冷却水を噴射した際、ラミナー流は鋼板に到達するが、その後即座に蒸発し、鋼板の上面は蒸気膜に覆われる状態となる。この冷却では、鋼板上面の蒸気膜が熱の伝達を阻害するため、図12に示すように鋼板の熱伝達率(冷却能力)hは低くなる。しかしながら、鋼板の上面温度Tが約600℃以上では、熱伝達率hは概ね一定であり、図13に示すように上面温度Tの低下と共に熱流束Qが低くなる。したがって、鋼板の上面温度Tに局所的なバラツキが発生しても、上面温度Tが高いところは冷え易いが、上面温度Tが低いところは冷え難くなる。そうすると、膜沸騰領域Aを通過する前に鋼板内の温度偏差(以下、「温度偏差」という。)が生じた場合でも、膜沸騰領域Aを通過後の温度偏差を、通過前の鋼板の温度偏差よりも小さくすることができる。なお、熱流束Qは、熱伝達率h、鋼板の上面温度T、及び鋼板に噴射される冷却水の温度Wを用いて下記式(2)により算出される。
Q=h×(T−W)・・・・(2)
核沸騰領域Bでは、鋼板の上面に冷却水を噴射した際、鋼板上面に蒸気膜が発生せず、冷却水が鋼板上面に直接接触する。このため、核沸騰領域Bでは、図12に示すように膜沸騰領域Aにある鋼板の冷却に比べて、鋼板の熱伝達率hが高くなる。また、図13に示すように鋼板の上面温度Tの低下と共に熱流束Qが低くなる。したがって、核沸騰領域Bを通過する前に鋼板の温度偏差が生じた場合、核沸騰領域Bを通過後の温度偏差を、通過前の鋼板の温度偏差よりも小さくすることができる。
しかしながら、遷移沸騰領域Cでは、鋼板の上面に冷却水を噴射した際、鋼板上面に蒸気膜と冷却水が鋼板上面に直接接触する場所が混在するようになる。この遷移沸騰領域Cでは、熱伝達率h、熱流束Qは鋼板の上面温度Tの低下と共に上昇している。これは、鋼板の温度の低下とともに、冷却水と鋼板の接触領域が増加するためである。このため、図13に示すように鋼板の上面温度Tが高いところは冷え難く、上面温度Tが低いところは急激に冷えるため、鋼板の上面温度Tに局所的なバラツキが発生すると、この温度バラツキは発散的に大きくなる。すなわち、遷移沸騰領域Cを通過後の鋼板の温度偏差は、遷移沸騰領域Cを通過前の鋼板の温度偏差よりも大きくなる。そして、このように温度偏差が大きくなると、鋼板を均一に冷却することができない。
そこで、遷移沸騰開始温度よりも高い温度で冷却を停止し、続いて核沸騰となる水量密度の冷却水により鋼板を冷却する方法が提案されている(特許文献1)。この冷却方法は、鋼板に噴射する冷却水の水量密度が高いほど、遷移沸騰開始温度及び核沸騰開始温度が高温側にシフトするという事実に着目し、膜沸騰領域で鋼板を冷却した後、続いて冷却水の水量密度を大きくして核沸騰領域で鋼板を冷却することで、鋼板が遷移沸騰領域を通過するのを回避しようとするものである。
しかしながら、特許文献1に示した方法では、3m/m/min以下の水量密度の冷却水を棒状に鋼板に噴射しており、発明者らが調べたところ、かかる冷却方法では、鋼板が遷移沸騰領域を通過するのを回避することができないことが分かった。
上述したように、膜沸騰領域と核沸騰領域では鋼板の温度偏差は小さくなる。そうすると、遷移沸騰領域を回避して膜沸騰領域と核沸騰領域のみで鋼板を冷却した場合、核沸騰領域での冷却後の鋼板の温度偏差は、膜沸騰領域での冷却後の鋼板の温度偏差よりも小さくなるはずである。
しかしながら、特許文献1に記載された表1及び表2を参照すると、後段ランナウト(核沸騰領域)出側での鋼板の温度偏差は、前段ランナウト(膜沸騰領域)出側での鋼板の温度偏差よりも大きくなっている。このことは、特許文献1の冷却方法を用いた場合、鋼板が遷移沸騰領域を通過し、この遷移沸騰領域での冷却により鋼板の温度偏差が大きくなったことを示している。したがって、この場合、鋼板を均一に冷却することができない。
一方、板形状が平坦ではない状態、あるいは鋼板が振動している状態で冷却水が散布されると、鋼板の位置によって冷却水のかかり方にばらつきが生じ、温度差が生じる。そのため、安定した品質の鋼板を製造することができなくなる。
特に、鋼板に張力がかけられていない状態では、仕上げ圧延機を通過する鋼板の幅方向に伸び差分布が存在すると伸びの大きい部分が座屈してうねり変形が生じ、板形状を平坦に維持することができない場合がある。また、鋼板の振動に関しては、鋼板に張力が与えられていても、通板時に鋼板が振動する場合がある。このように板形状が平坦でない、あるいは振動している鋼板を冷却すると、鋼板の位置によって冷却状態にばらつきが生じ、品質のばらつきがさらに拡大する。
板形状が平坦でない状態(うねり)には次の3つが考えられる。1)張力がないことによって発生する弛み。2)鋼板の反り。3)圧延方向伸び差によって生じる端伸び、中伸び等のいわゆる板形状。
これらのうねりがあると、進行方向の前面になる斜面では強く冷却水が当たり、後面になる斜面では弱く冷却水が当たり、冷却に強弱が生じる。また、うねりの谷の部分では冷却水が溜まり、山の部分よりも強く冷却される。したがって、うねりの無い方が均一に冷却されやすく、温度偏差もつきにくい。これはとくに膜沸騰領域でも核沸騰段階でも言えることであるが、うねりがあると遷移沸騰領域での温度偏差の拡大が助長されることになる。
本出願人は、特許文献2において、ランアウトテーブルに1セット以上のピンチロールを設置した圧延設備を提案している。
特許文献2は、板幅方向のネッキングを低減させることが目的であって、ピンチロールの設置は、少なくとも1セット以上であり、鋼板の温度が650℃以下になる位置と開示されている。しかしながら、通常、仕上げ圧延機を通過直後の鋼板の温度は約840℃以上1000℃以下であり、上記特許文献2に開示された650℃になるまでには、仕上げ圧延機を通過後の冷却工程に多くの距離を要する。そのため、鋼板の先端が、仕上げ圧延機から離れた位置のピンチロールに達するまでの間は、鋼板の先端部が挟持されない。また、鋼板にかける張力に関しては記載されておらず、上記問題点である鋼板の先尾端部の板形状の改善可否に関しての言及はない。さらに鋼板の振動の抑制に関する言及はない。
特開2008−110353号公報 特開2001−321816号公報
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、熱間圧延の仕上げ圧延後に行われる熱延鋼板の冷却において、冷却後の熱延鋼板の温度偏差を従来の温度偏差未満にして、熱延鋼板を均一に冷却し、従来のものに比べて品質のばらつきの小さい熱延鋼板を得ることを目的とする。
前記の目的を達成するため、発明者らが鋭意研究を重ねた結果、遷移沸騰領域を含む熱延鋼板の冷却を行った場合でも、強冷却するときの上面の水量を3.5 /m /min超とする場合、全冷却工程後の熱延鋼板の温度偏差を、全冷却工程前の温度偏差以下にできることを見出した。このことは、前記強冷却を行えば、全冷却工程前に生じていた温度偏差を全冷却工程後に冷却工程前よりも小さくすることができることを意味している。
図14は従来の熱延鋼板の降温曲線の模式図を示す。この図で、実線は参照している部位の降温曲線であり、破線はこれに対して初期に温度偏差を持っている場合の降温曲線である。図14でAの部分は膜沸騰領域であり、Bの部分は核沸騰領域であり、Cの部分は遷移沸騰領域である。A及びBの部分は曲線が下に凸であるが、Cの領域では上に凸である。下に凸の領域では初期に温度偏差がついていてもこの偏差が縮小していくが、上に凸の領域では、温度偏差が拡大していってしまう。
図15に600℃付近から3.5 /m /min超である、6 /m /minで、3mm厚さの熱延鋼板を冷却したときの冷却曲線を示す。この図から下に凸ではあるが実際の降温曲線は直線に近く3.5 /m /min超で核沸騰領域での冷却を行っても温度偏差の縮小はあまり大きくないことがわかる。したがって、膜沸騰領域終了時点の温度偏差を小さくできれば、遷移沸騰領域の温度偏差を拡大させない3.5 /m /min超の水量による冷却を行うことにより、全冷却行程終了時の温度偏差を小さくすることができる。
一方、冷却中はうねり形状や鋼板の振動によって膜沸騰領域、核沸騰領域であっても温度偏差が生じやすいことは先に述べたとおりである。発明者らは、このうねり形状の解消のために仕上げ圧延機の直後から張力を付与することが効果的であることを見出した。また、冷却時の温度偏差に影響する鋼板の振動を効果的に抑制するための手法として、遷移沸騰領域における鋼板振動をピンチロールの設置により抑制することが効果的であることも見出した。したがって、全冷却行程終了時の温度偏差を小さくするためには、3.5 /m /min超の強冷却を行う前に張力を付与してうねり形状を解消するとともに、鋼板の振動を冷却全領域で抑制して温度偏差を小さくすればよいことになる。
本発明は、上記の知見を基になされたものであって、その要旨は以下のとおりである。
(1)熱間圧延工程の仕上げ圧延後の熱延鋼板をその下流側で通板速度3m/sec以上で通板させながら冷却する冷却方法であって、
前記熱延鋼板の上面温度が850℃から650℃までのときに、圧延形状矯正用ピンチロールを用いて0.4kgf/mm(3.92MPa)以上の張力を前記仕上げ圧延機側に付与して前記熱延鋼板を挟持し、
前記熱延鋼板の上面温度が650℃から350℃までの範囲内で前記熱延鋼板を冷却する際に、前記熱延鋼板の上面に対して水量密度を3.5m/m/min超の冷却水を使用して冷却することを特徴とする、熱延鋼板の冷却方法。
(2)前記冷却水の前記熱延鋼板の上面に対する衝突速度を20m/sec以上とし、前記冷却水で当該熱延鋼板の上面の80%以上の面積を覆うことを特徴とする前記(1)に記載の熱延鋼板の冷却方法。
(3)前記冷却水の前記熱延鋼板の上面に対する衝突圧力を2kPa以上とし、前記冷却水で当該熱延鋼板の上面の80%以上の面積を覆うことを特徴とする、前記(1)に記載の熱延鋼板の冷却方法。
(4)前記冷却水の水流は円錐状であって、熱延鋼板の上面に対する前記冷却水の衝突角度が水平方向から75度以上であることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却方法。
(5)前記熱延鋼板の上面温度が650℃から550℃までになる位置に第一の中間ピンチロールを、450℃から350℃までになる位置に第二の中間ピンチロールをそれぞれを配置して、前記第一及び第二の中間ピンチロール間の前記熱延鋼板に0.4kgf/mm(3.92MPa)以上の張力を付与することを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却方法。
(6)前記熱延鋼板の上面に噴射された冷却水が当該冷却工程の開始前及び終了後の熱延鋼板に流れるのを抑制する水切りが行われることを特徴とする、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却方法。
(7)前記熱延鋼板の上面のみを冷却することを特徴とする、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却方法。
(8)下記式(1)で冷却能力dを定義し、前記熱延鋼板上面の冷却能力dを下面の冷却能力dに比して0.8倍以上1.2倍以下として冷却することを特徴とする、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却方法。
d=f(q、p、t) ・・・(1)
d:冷却能力、u:上面側、l:下面側
q:冷却水量[m/m/min]、p:衝突圧力[kPa]、t:水温
(9)熱間圧延工程の仕上げ圧延後の熱延鋼板をその下流側で通板速度3m/sec以上で通板させながら冷却する冷却装置であって、
前記熱延鋼板の上面温度が650℃以上850℃以下になる位置に、0.4kgf/mm(3.92MPa)以上の張力を前記仕上げ圧延機側にかけて前記熱延鋼板を挟持する圧延形状矯正用ピンチロールが配置され、
650℃から350℃の範囲内で前記熱延鋼板の上面に対して水量密度3.5m/m/min超の冷却水を使用して遷移沸騰領域と核沸騰領域で当該熱延鋼板の冷却を行う冷却機を有することを特徴とする熱延鋼板の冷却装置。
(10)前記冷却機は複数のノズルを有し、当該複数のノズルから噴射される冷却水は、熱延鋼板の上面に対する衝突速度が20m/sec以上であり、前記複数のノズルは、当該熱延鋼板の上面の80%以上の面積を覆うように冷却水を噴射するように配置されたことを特徴とする、前記(9)に記載の熱延鋼板の冷却装置。
(11)前記冷却機は複数のノズルを有し、当該複数のノズルは、熱延鋼板の上面に対する衝突圧力が2kPa以上の冷却水で、当該熱延鋼板の上面の80%以上の面積を覆うように冷却水を噴射する能力を有することを特徴とする、前記(9)に記載の熱延鋼板の冷却装置。
(12)前記冷却機の複数のノズルは、円錐状の水流の冷却水を噴射し、熱延鋼板の上面に対する前記冷却水の衝突角度が水平方向から75度以上であることを特徴とする、前記(10)又は(11)に記載の熱延鋼板の冷却装置。
(13)前記熱延鋼板の上面温度が650℃から550℃までになる位置及び、450℃から350℃までになる位置に、それぞれ第一、第二の中間ピンチロールを配置し、前記第一及び第二の中間ピンチロール間の前記熱延鋼板に0.4kgf/mm(3.92MPa)以上の張力付与機能を有することを特徴とする、前記(9)〜(12)のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却装置。
(14)前記冷却機の上流側及び下流側には、水切り機が設けられていることを特徴とする、前記(9)〜(13)のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却装置。
(15)前記水切り機は、前記熱延鋼板に対して水切り水を噴射するノズルを有することを特徴とする、前記(14)に記載の熱延鋼板の冷却装置。
(16)さらに前記水切り機は、前記熱延鋼板に接するように設けられた水切りロールを有することを特徴とする、(15)に記載の熱延鋼板の冷却装置。
(17)前記冷却機は、熱延鋼板の上面のみを冷却することを特徴とする、前記(9)〜(16)のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却装置。
(18)前記冷却機は、下記式(1)で定義された冷却能力dを用い、前記熱延鋼板上面の冷却能力dを下面の冷却能力dに比して0.8倍以上1.2倍以下として冷却する能力を有することを特徴とする、前記(9)〜(16)のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却装置。
d=f(q、p、t) ・・・(1)
d:冷却能力、u:上面側、l:下面側
q:冷却水量[m/m/min]、p:衝突圧力[kPa]、t:水温
本発明により、熱間圧延の仕上げ圧延後に行われる熱延鋼板の冷却において、冷却後の熱延鋼板の温度偏差を従来の温度偏差未満にして、熱延鋼板を均一に冷却し、従来のものに比べて品質のばらつきの小さい熱延鋼板を得ることができる。
本発明の冷却装置を備えた熱延設備の概要を示す斜視図である。 本発明にかかる圧延形状矯正用ピンチロールの有無および張力による鋼板のうねりを示す説明図であり、(A)は張力とうねり比率との関係を示すグラフ、(B)は圧延形状矯正用ピンチロールが無い場合の模式図、(C)は圧延形状矯正用ピンチロールを設けた場合の模式図である。 うねりの大きさと温度ばらつきとの関係を示すグラフである。 仕上げ圧延機、冷却機及び他の水切り機の構成の概略を示す側面図である。 冷却機等の構成の概略を示す側面図である。 冷却機によって噴射された冷却水の鋼板の上面における噴流衝突面を示した説明図である。 本実施の形態にかかる鋼板上面温度と熱伝達率の関係を示したグラフである。 本実施の形態にかかる鋼板上面温度と熱流速の関係を示したグラフである。 本発明を用いて冷却した際の冷却時間と熱流束の関係を示したグラフである。 本発明の冷却装置を備えた熱延設備の異なる実施形態の概要を示す斜視図である。 従来の熱延設備の概要を示す斜視図である。 従来の鋼板上面温度と熱伝達率の関係を示したグラフである。 従来の鋼板上面温度と熱流束の関係を示したグラフである。 従来の熱延鋼板の降温曲線の模式図である。 600℃付近から熱延鋼板を強冷却したときの冷却曲線である。
以下、本発明の実施の形態を、図を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
加熱炉から排出された鋼材は、粗圧延機により厚さ40mm程度に圧延された後、仕上げ圧延機で連続圧延され、厚さ1〜4mm程度に圧延される。図1は、本発明にかかる冷却装置5を有する熱延設備において、仕上げ圧延機2以降の構成の概要を示す。仕上げ圧延機2は複数、例えば図示するように7台のスタンドF1〜F7からなり、最終スタンドで所望の板厚・板幅の鋼板3に熱間圧延される。仕上げ圧延機2を通過した直後の鋼板3の温度は、840℃以上1000℃以下である。鋼板3は、複数の搬送ロール4aからなるランアウトテーブル4を備えた冷却装置5内を通板速度3m/sec以上で搬送される。ランアウトテーブル4上には各種冷却機6が配置され、鋼板3は、ランアウトテーブル4上を搬送される際、水等により冷却されて、所望される材質の金属組織が形成される。冷却機6は、例えば4つのゾーンに分割され、それぞれ制御部30によって制御される。冷却機6のうち6cは3.5 /m /min超の冷却水量を噴射する能力を有している。所定温度、例えば350℃に冷却された鋼板3は、コイラー8に巻き取られる。コイラー8の上流側には、上下一対のロールからなるコイラー直前ピンチロール7が設けられている。鋼板3は、コイラー直前ピンチロール7に誘導され、コイラー8に対して適宜張力をかけられた状態で巻き形状を整えながらコイラー8に巻き取られる。
仕上げ圧延機2の最終スタンドよりも下流の、鋼板3の上面温度が650℃以上850℃以下になる位置に、上下一対のロールからなり、幅方向うねりを矯正できる圧延形状矯正用ピンチロール10が配置されている。圧延形状矯正用ピンチロール10は、鋼板3を、仕上げ圧延機2と圧延形状矯正用ピンチロール10の間に0.4kgf/mm(3.92MPa)以上の張力をかけて挟持しながら回転し、下流に向けて搬送する。圧延形状矯正用ピンチロール10の設置位置は、最終スタンドF7からなるべく近い位置が好ましいが、鋼板3の温度が850℃を超える位置では、圧延形状矯正用ピンチロールにより鋼板3の板厚が変化することが懸念されるため、好ましくない。従って、圧延形状矯正用ピンチロール10は、鋼板上面が850℃以下になる直後か、少なくとも遷移沸騰領域に入る前の650℃以上となる位置に配置される。また、ピンチロール径、圧下力などは、鋼板3の板厚が変化しないように定められる。仕上げ圧延機2の下流側に隣接して直後急冷帯6aが設けられている場合には、直後急冷帯6aの後面に圧延形状矯正用ピンチロール10を設けても良い。直後急冷帯6aを設けることによって、鋼板3の上面温度が850℃以下になる位置が仕上げ圧延機2に近くなり、圧延形状矯正用ピンチロール10と仕上げ圧延機2との距離を短くすることができる。
鋼板3の先端が仕上げ圧延機2の最終スタンドを通過して圧延形状矯正用ピンチロール10の位置に到達すると、鋼板3は、圧延形状矯正用ピンチロール10により挟持される。鋼板3の尾端側は仕上げ圧延機2の各スタンドに支持されているため、先端が圧延形状矯正用ピンチロール10から0.4fkg/mm(3.92MPa)以上の張力をかけて挟持されることにより、鋼板3はうねりを解消しつつ従来のものより平坦な板形状を保持しながら搬送される。
図2は、仕上げ圧延機2の最終スタンドを通過する鋼板3において、張力の有無による正弦波状のうねりが低減する様子を示すものである。(A)は、張力が無いときのうねりを1として、張力によるうねりの比率を示すグラフ、(B)および(C)は鋼板3のうねりの様子を示す模式図であり、(B)は圧延形状矯正用ピンチロールを設けない場合、(C)は本発明の圧延形状矯正用ピンチロール10を設けて張力をかけた場合である。最終スタンドの圧延前の鋼板3の厚さが3.3mm、圧延後の厚さが3mmとし、シミュレーション計算を行った結果、圧延後のうねりの高さが30mmの場合、圧延形状矯正用ピンチロール10を設けて、最終スタンドに向けて0.4kgf/mm(3.92MPa)の張力をかけた場合には、圧延後のうねりの高さは、図2(A)に示すように約1/3に低減した。さらに、図2(C)に示すように、張力を解除したとき、即ち圧延形状矯正用ピンチロール10を通過した後も、うねりが低減したままであった。従って、張力をかけて仕上げ圧延を行うと、圧延形状矯正用ピンチロール10を通過した後も、うねりを生じることなく搬送されることが判明した。すなわち、張力は0.4kgf/mm(3.92MPa)以上あれば、すでに述べた弛み、反り、及び端伸びもしくは中伸び等の板形状をすべて含むうねりが1/3以下になる。
また、張力を1.5kgf/mm(14.7MPa)とした場合のうねりの低減量は、図2(A)に示すように1/8程度であった。張力が0.4kgf/mm(3.92MPa)以上の領域では、図2(A)に示すようにうねりの低減の仕方は小さくなっている。なお、付与張力は高くても2kgf/mm2(19.6MPa)程度である。
このように、圧延形状矯正用ピンチロール10によって、仕上げ圧延機2を通過する鋼板3にうねりが発生しても板形状を平坦にすることができる。鋼板3が平坦な板形状を保って冷却装置5を通過することにより、冷却機6から散水された冷却水が、鋼板3の上面に均等にかかり、均一な条件で冷却され、各種金属組織が安定して形成される。なお、うねりの大きさと温度ばらつきには、図3に示すように良い相関があり、うねりを1/3以下にすることで温度ばらつきを1/2〜1/3にすることができる。
なお、張力は0.4kgf/mm(3.92MPa)以上あればうねり低減の効果が大きいが、張力を0.5kgf/mm(4.90MPa)以上にするなどしてうねりをさらに低減すれば、材質均一性もさらに向上する。
冷却装置5内の最上流側、すなわち仕上げ圧延機2の直近の下流には、仕上げ圧延機2を通過した直後の鋼板3を冷却する冷却機6a及び冷却機6bが圧延形状矯正用ピンチロール10を挟んで設けられている。冷却機6a及び冷却機6bは、図4に示すように、例えば鋼板3の上面に冷却水を噴射するラミナーノズル11を複数有している。ラミナーノズル11は、鋼板3の幅方向及び搬送方向にそれぞれ整列して複数設けられている。このラミナーノズル11から鋼板3の上面に噴射される冷却水の水量密度は、例えば1m/m/min程度である。そして、仕上げ圧延機2を通過した直後に上面温度が840〜1000℃になっている鋼板3は、ラミナーノズル11から噴射された冷却水によって、その上面温度が650℃以下になるまで冷却される。なお、この650℃という上面温度は、ラミナーノズル11による冷却が遷移沸騰を開始する温度よりも高い温度である。すなわち、本実施の形態に限定されず、適用されている冷却機の遷移沸騰を開始する温度域以上であればよい。例えば、ラミナー冷却時の水量密度が前記の1m/m/minより少ない場合、650℃を600℃という低い温度域まで冷却することも可能である。
なお、ラミナーノズル11での冷却で温度偏差がつかないようにその配置に配慮する必要があり、必要に応じてスプレーノズルで代替してもよい。また、冷却機での冷却は冷却水のみでなくてもよく、ガス冷却や気水混合冷却(ミスト冷却)が混合されていてもかまわない。
冷却機6a及び冷却機6bの下流側には、図1に示すように、冷却機6a及び冷却機6bで冷却された鋼板3を冷却する冷却機6cが設けられている。冷却機6cは、図5に示すように、鋼板3の上面上方に、例えば鋼板3の上面に円錐状に冷却水を噴射するスプレーノズル21を複数有している。スプレーノズル21は、その先端と鋼板3の上面からの高さEが700mm以上の位置に配置されている。このように、鋼板3の上面からの距離を700mm以上としたのは、搬送される鋼板3の先端部がスプレーノズル21などの設備に当たらないようにするためである。このことは、スプレーノズル21などの設備の保護と、鋼板3が設備に当たった際の疵などの欠陥防止という2つの意味がある。したがって、例えば、スプレーノズル21の先端位置を高くせずに、たとえば300mm程度とし、設備の上流側に鋼板3をピンチして通板高さを抑制する装置を設けることもできるが、この場合には、このピンチ装置による鋼板3の疵の発生の可能性を皆無にすることは困難である。なお、ここでは、鋼板3の疵の発生可能性を極力低下させるために、高さEを700mm以上、例えば1000mmとしている。
スプレーノズル21は、図6に示すように、スプレーノズル21から噴射される冷却水の鋼板3の上面の噴流衝突面21aが当該鋼板3の80%以上の面積を覆うように配置されている。鋼板3の冷却に際して、冷却水の噴流の衝突部と非衝突部では冷却能力が大きく異なる。このため、冷却能力の大きい噴流衝突部と冷却能力の小さい噴流非衝突部が混在すると、噴流衝突部で鋼板3の上面温度が低下しても、噴流非衝突部のところで冷却能力が低下したために生じる鋼板3の内部からの復熱により鋼板3の上面温度の低下が停滞してしまう。鋼板3の上面温度と熱流束の関係が正の勾配である膜沸騰領域又は核沸騰領域においては、鋼板3の温度偏差の縮小に対して大きな差は生じないが、遷移沸騰領域においては、この鋼板3の上面温度低下の停滞により、遷移沸騰領域滞在時間が増加して、温度偏差を拡大させてしまう。したがって、噴流衝突面21aは鋼板3の100%を覆うのが望ましい。なお、噴流衝突部が連続しない場合には、噴流衝突面21aは当該鋼板3の上面の80%以上の面積を覆うことにより、十分な水量があれば冷却機6cによる強冷却工程中の時間の80%を核沸騰領域にすることができる。また、各スプレーノズル21からの噴流衝突面21aは隣り合う噴流衝突面21aとあまり干渉させすぎないことが望ましい。
スプレーノズル21から鋼板3の上面に噴射される冷却水の水量密度は、4m/m/min以上であって10m/m/min以下である。水量密度を4m/m/min以上とすることにより、強冷却工程中の時間の80%を核沸騰領域にすることができる。水量密度の10m/m/minは、通常の操業時における水量密度の上限である。すなわち、鋼板3の上面に噴射される冷却水の水量密度は、4m/m/min以上であって10m/m/min以下であることが望ましい。
また、図5に示すように、この冷却水の噴射角度αは、例えば3度以上かつ30度以下であって、当該冷却水の鋼板3の上面に対する衝突角度βは水平方向から75度以上であることが望ましい。冷却水の衝突角度βは鋼板3に対して垂直に近い方が、衝突圧力を上げやすいことや、噴射範囲内の均一性が向上すること等により、冷却能力および均一性の向上の両面での効果を上げるので望ましい。ただし、完全に垂直にしてしまうと、噴流衝突面で鋼板の80%以上の面積を覆うことが設備レイアウト上で困難となるので望ましくない。さらに、この冷却水の鋼板3の上面に対する衝突速度は20m/sec以上で、衝突圧力が2kPa以上であることが望ましい。このような衝突速度又は衝突圧力であることにより、大容量の水量密度で冷却する際に、冷却水噴流を鋼板3の上面に届かせることができる。冷却水噴流が鋼板3の上面に届かないと鋼板3の上面の蒸気膜の排除が十分に行えず、遷移沸騰領域の時間が長くなってしまう。
また、冷却機6cは、図5に示すように、鋼板3の下面下方に、例えば鋼板3の下面に冷却水を噴射するスプレーノズル22を複数有していてもよい。スプレーノズル22から鋼板3の下面に噴射される冷却水の水量密度、衝突速度あるいは衝突圧力は、上記スプレーノズル21とほぼ同一である。すなわち、鋼板3の下面側のスプレーノズル22の冷却能力は、板上水と重力の影響を除けば上面側のスプレーノズル21の冷却能力と同等である。また、板上水と重力の影響を考慮して、鋼板3の下面に噴射される冷却水の水量密度、衝突速度あるいは衝突圧力を調整してもよい。そして、冷却機6a及び冷却機6bで上面温度が650℃以下まで冷却された鋼板3は、スプレーノズル21、22から噴射された冷却水によって、その上面温度がたとえば350℃程度になるまで冷却される。なお、下面からの冷却は必須ではないので、冷却機6cには、上面側のスプレーノズル21のみが設けられていてもよいが、鋼板3をできるだけ急速に冷却し、遷移沸騰領域での冷却時間を短くするため、本実施の形態のように鋼板3の下面側にスプレーノズル22が設けられるのが好ましい。
冷却機6cの直近の下流側には、図1では省略したが、冷却機6cで鋼板3の上面に噴射された冷却水が、冷却機6cの下流側に流れるのを防止するための水切り機23が設けられていることが望ましい。水切り機23は、図5に示すように、鋼板3の上面に水切り水を噴射するスプレーノズル25を有している。なお、さらに鋼板3の上面には水切りロール24が設置されてもよい。水切りロール24は、冷却水が下流側に流れるのを確実に防止するためのものである。このように、鋼板3の上面上を流れる冷却水は水切りされる。水切りを適切に行わないと、鋼板3上に不均一な水流が発生し、温度バラツキを発生させる原因となり得る。
冷却機6cの直近の上流側(冷却機6bの下流側)にも、図1では省略したが、冷却水が冷却機6b側に流れるのを防止するための他の水切り機26が設けられていることが望ましい。他の水切り機26は、図5に示すように、水切り機23と同一の構成を有し、スプレーノズル28を有している。なお、下流側と同様に水切りロール27を設置してもよい。そして、水切り機26によって、鋼板3の上面を流れる冷却水が水切りされる。水切りを適切に行わないと、鋼板3上に不均一な水流が発生し、温度バラツキを発生させる原因となる。
冷却装置5には、図1に示すように、冷却機6a及び冷却機6bのラミナーノズル11、冷却機6cのスプレーノズル21、22のそれぞれのノズルから噴射される冷却水の水量密度、噴射時間等を制御して、鋼板3の温度を制御する制御部30が設けられている。なお、冷却水の噴射時間は、冷却機6a、冷却機6b及び冷却機6cの鋼板3の搬送方向の長さを調節することによって制御してもよい。このとき、それぞれの冷却機の長さは、テーブルロール4aの単位で変化させるのが好ましい。
本実施の形態にかかる冷却装置5は以上のように構成されている。次に、この冷却装置5を用いた鋼板3の冷却方法について、図7及び図8に基づいて説明する。図7は、鋼板3の上面温度Tと熱伝達率(冷却能力)hの関係を示したグラフであり、図8は、鋼板3の上面温度Tと熱流束Qの関係を示したグラフである。
仕上げ圧延機2で連続圧延され、上面温度Tが940℃程度になっている鋼板3は、冷却機6a及び冷却機6bに搬送される。冷却機6a及び冷却機6bでは、制御部30によって制御された約1m/m/minの水量密度の冷却水が鋼板3の上面に噴射される。この程度の冷却水であれば、鋼板3は膜沸騰領域A内で冷却されることになる。冷却機6a及び冷却機6bでの冷却は冷却水のみでなくてもよく、ガス冷却や気水混合冷却であっても構わない。そして、図7に示すように、冷却機6a及び冷却機6bによって、鋼板3はその上面温度Tが650℃前後になるまで冷却される。この650℃は、1m/m/min程度以下の水量密度で鋼板3を冷却した場合に鋼板3の上面が膜沸騰領域Aから遷移沸騰領域Cに変わるとされる温度以上の温度である。すなわち、鋼板3は、冷却機6a及び冷却機6bによって、一定の低い熱伝達率hの膜沸騰状態で冷却される。また、図8に示すように鋼板3の上面温度Tの低下と共に熱流束Qが低くなる。したがって、膜沸騰領域Aを通過後の鋼板3の温度偏差を、膜沸騰領域Aを通過前の鋼板3の温度偏差よりも小さくすることができる。
次に、上面温度Tが650℃以下まで冷却された鋼板3は、冷却機6cに搬送される。冷却機6cでは、制御部30によって制御された4m/m/min以上であって10m/m/min以下の水量密度の冷却水が鋼板3の上面に噴射され、図7に示すように、鋼板3はその上面温度Tが最低350℃になるまで冷却される。以下では例えば冷却機6cで650℃から350℃まで冷却される例で説明する。
この冷却機6cでの冷却において、鋼板3に噴射される冷却水の水量密度は、冷却機6a及び冷却機6bにおける冷却水の水量密度よりも大きいため、鋼板3の遷移沸騰領域Cは、冷却機6a及び冷却機6bで冷却中の鋼板3の遷移沸騰領域C’よりも高温側に移動する。冷却機6cでの冷却において、当初、鋼板3は遷移沸騰領域Cにおいてその上面温度Tが590℃になるあたりまで冷却される。その後、引き続いて鋼板3の冷却は核沸騰領域Bに入り、鋼板3の上面温度Tが350℃なるまで冷却される。冷却機6cでの水量密度が大きいため、鋼板3の遷移沸騰領域Cでの冷却時間は、冷却機6cによる鋼板3の冷却時間の20%未満となる。この核沸騰領域Bにおいては、鋼板3は一定の高い熱伝達率hの核沸騰状態で冷却される。
また、図8に示すように、核沸騰領域Bにおいては、膜沸騰領域Aと同様に、上面温度Tの低下と共に熱流束Qが低くなり、鋼板3の温度偏差は小さくなる。また、遷移沸騰領域Cにおいては、鋼板3の上面温度Tの低下と共に熱流束Qが高くなるが、上述したように遷移沸騰領域Cの冷却時間は冷却機6cによる鋼板3の冷却時間の20%未満と短時間であるため、遷移沸騰領域Cにおいて鋼板3の温度偏差が大きくなっても、冷却装置5全体での鋼板3の冷却に対する影響は小さい。したがって、冷却装置5で冷却される前の鋼板3の温度偏差を、冷却装置5で冷却された後の鋼板3の温度偏差以下にすることができる。
図9は、冷却時間と熱流束の関係を示している。この図9のように、熱流束が増加する時間域が遷移沸騰領域Cによる冷却であり、熱流束が減少する領域が核沸騰領域Bによる冷却である。
以上の実施の形態によれば、冷却機6cにおいて、4m/m/min以上の水量密度の冷却水を鋼板3の上面に噴射し、遷移沸騰領域Cでの鋼板3の冷却を冷却機6cによる冷却時間の20%未満に抑え、核沸騰領域Bでの鋼板の冷却をその冷却時間が当該冷却時間の80%以上になるようにすることができた。かかる場合、発明者らの知見によれば、冷却装置5における冷却前の鋼板3の温度偏差を、冷却装置5における冷却後の鋼板3の温度偏差以下にできる。したがって、鋼板3の温度に局所的なバラツキが発生しても、温度が高いところは冷え易いが、温度が低いところは冷え難く、鋼板3の温度分布は均一になっていき、その結果、鋼板3を均一に冷却することができる。すなわち、強冷却工程では核沸騰領域Bでの鋼板3の冷却を当該強冷却工程の冷却時間の80%以上の時間行うことが望ましい。
また、冷却機6cにおいて、冷却水の水量密度を3.5m/m/min超、望ましくは4m/m/min以上と大きくしているので、核沸騰領域Bでの鋼板3の冷却時間を短くすることができる。これによって冷却装置5を小型化することもできる。
また、冷却機6cによって、鋼板3の上面に対する衝突圧力が2kPa以上の冷却水で、当該鋼板3の上面の80%以上の面積を覆うように冷却水が噴射されるので、鋼板3上の冷却水の分布や流動を鋼板3の上面で均一に制御でき、また、冷却水を直接、鋼板3に衝突させ、鋼板3の上面の蒸気膜を排除できるので、鋼板3をより均一に冷却することができる。
また、形状の悪化の原因の多くは温度の局所的バラツキ(温度偏差)にあることが多く、本発明のように遷移沸騰領域Cでの冷却時間を抑えることにより温度偏差を抑えることができるので、形状悪化の抑制もされることになる。
また、冷却機6cにおいて、鋼板3の上面に噴射される冷却水の衝突角度βが水平方向から75度以上である場合、鋼板3の上面における冷却水の噴流衝突面21aが比較的小さい面積になり、噴流衝突面21a内の冷却水の衝突圧力を均一にするとともに、冷却水衝突時の垂直方向速度成分を大きくすることができる。これによって、鋼板3の上面全体の衝突圧力を均一にかつ大きくすることができ、鋼板3を均一にかつ強冷却することができる。
また、冷却機6cの下面側に、上面側のスプレーノズル21と同等の冷却能力を有するスプレーノズル22を設けた場合、すなわち冷却水の水量密度、衝突速度あるいは衝突圧力がスプレーノズル21とほぼ同一のスプレーノズル22を設けた場合、鋼板3の上面と同時に下面も冷却することができる。これによって、鋼板3の冷却を短時間で効率よく行うことができる。また、鋼板3の上面と下面の温度差を小さくでき、熱応力による鋼板3の変形を抑制することができる。鋼板3の上面と下面の温度差が大きい場合、鋼種によっては、熱応力等による反りが発生し、通板性を阻害する要因となる。ここで、上面の冷却能力が下面の冷却能力に比して0.8倍以上1.2倍以下であれば、反りが発生しやすい鋼種であっても、これを発生させることなく、均一冷却性を実現できる。なお、冷却能力を調整するため、制御部30により冷却水の供給量を調整することができる。なお、上面のみを冷却する場合、下面からの冷却水吹き上がりによる、下面側冷却水の飛散を解消でき、電気系統等への冷却水飛散防止対策が不要となるなどの利点がある。
また、冷却機6cの下流側と上流側に、水切り機23と他の水切り機26をそれぞれ設けたので、冷却機6cによって鋼板3の上面に噴射された冷却水が、冷却機6cの上流側及び下流側に流れることがない。これによって、鋼板3上を不均一に流れる可能性のある板上水流れを抑制でき、冷却を均一化できる。また、水切り機23と他の水切り機26は、スプレーノズル25、28に加え、水切りロール24、27を有しているので、水切りロール24、27によって、より確実に水切りを行うことができる。
その後、所定の温度まで均一に冷却された鋼板3は、コイラー8に巻き取られる。図1では冷却機6cの後面にコイラー8で巻き取る前に冷却ができるように冷却機6dを設けているが、これを使用するかどうかは任意である。
以上の実施の形態では、冷却機6a及び冷却機6bは、ラミナーノズル11を有していたが、これに代えて、スプレーノズル(図示せず)を有していてもよい。かかるスプレーノズルは、冷却機6cのスプレーノズル21よりも広い間隔で設けられる。また、冷却機6a及び冷却機6bのスプレーノズルから噴射される冷却水の水量密度は、冷却機6cのスプレーノズル21からの冷却水の水量密度よりも小さい。
冷却機6dは冷却機6a及び冷却機6bと同様にラミナーノズル11を有していてもよく、これに代えて、スプレーノズル(図示せず)を有していてもよい。
以上の実施の形態では、冷却機6a及び冷却機6bでは、鋼板3に冷却水を噴射していたが、これに代えて、又はこれと併用して、鋼板3にガス、例えば空気を噴射して、鋼板3を冷却してもよい。さらに、冷却水を使用せずに鋼板3を放冷してもよい。
冷却機6dも冷却機6a及び冷却機6bと同様にガスでも冷却水でも必要に応じて適当な冷却媒体を使ってよい。
図10は、本発明の異なる実施の形態であり、冷却装置5内に、図1の実施形態の構成に加えて、第一、第二の中間ピンチロール27、24が設けられたものである。鋼板3の上面温度が650〜550℃になる位置に第一の中間ピンチロール27が配置され、450〜350℃になる位置に第二の中間ピンチロール24が設置されている。本実施の形態においては、第一、第二のピンチロール27、24は、前記実施の形態における水切りロール27、24を兼ねて配置されている。第一、第二の中間ピンチロール27、24は、いずれも上下一対のロールからなり、鋼板3の、第一の中間ピンチロール27に挟持された位置と第二の中間ピンチロール24に挟持された位置とは、0.4kgf/mm(3.92MPa)以上の張力をかけて挟持されている。
第一、第二の中間ピンチロール27、24は、鋼板3が図7に示す強冷却と冷却の境界あたりと強冷却の終了時あたりとなる位置に配置され、これらを設けることにより、遷移沸騰領域内の鋼板3に適宜張力をかけながら挟持し、鋼板3の板形状を平坦な状態に保つとともに、通板時の板振動を抑制する。従って、圧延形状矯正用ピンチロール10に加えて第一、第二の中間ピンチロール27、24を配置することにより、遷移沸騰領域C内においてさらに均一な条件で冷却できるため、位置による温度差が生じることなく、さらに高品質な鋼板を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、圧延形状矯正用ピンチロール10が、鋼板の上面温度が650℃となる位置に設けられ、第一の中間ピンチロール27を兼用してもよい。ただし、このとき、当該ピンチロールの両側の張力を制御しなければならなくなり、制御は複雑化する。さらに、第一及び第二のピンチロール27、24は、水切りロールの役目を有効に果たすので、張力を付与しない稼働でも効果がある。
以下、図1に示した冷却装置5が冷却機6a〜6d及び冷却機6c前後の水切り機からなる場合についての実施例1〜7と比較例1〜7について説明する。これら実施例1〜7と比較例1〜7においては、仕上げ圧延機2、冷却装置5、コイラー8が順に設けられており、冷却装置5が仕上げ圧延後の鋼板Hを所定温度まで冷却する実験を行った。
実施例1〜7と比較例1〜7において、仕上げ圧延機2と冷却装置5の共通の条件は、表1〜3に示したとおりである。また、実施例1〜7と比較例1〜7において、表4に示すように種々の条件で実験を行った。鋼板3の冷却効果の評価として、強冷却する冷却機6cにおける鋼板3の冷却前の温度偏差と冷却後の温度偏差とを比較した。評価基準は、冷却機6dの冷却後温度偏差で10℃未満が◎:非常に良好、10℃以上15℃未満が○:良好、15℃以上30℃未満が△:可、30℃以上が×:不良とした。
なお、冷却機6dでは温度降下が少ないので、冷却機6c出側の温度偏差にほぼ等しい。また、表4中の冷却水量密度は上面のものであり、上下面を冷却するものは上下からほぼ等量の水量が噴射されるので、上下面で冷却するものは合計でこの倍の水量が供給されている。
Figure 0005482070
Figure 0005482070
Figure 0005482070
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表4において実施例1〜7は、本願発明に基づいて、熱延鋼板の上面温度が850℃から650℃までのときに、圧延形状矯正用ピンチロールを用いて0.4kgf/mm(3.92MPa)以上の張力を前記仕上げ圧延機側に付与して前記熱延鋼板を挟持し、前記熱延鋼板の上面温度が650℃から350℃までの範囲内で前記熱延鋼板を冷却する際に、前記熱延鋼板の上面に対して水量密度を3.5m/m/min超の冷却水を使用して冷却したものである。これらの実施例1〜7のすべてにおいて、冷却後の温度偏差は15℃未満にまで抑えることができた。
実施例1と2を比較すると中間ピンチロールによる温度偏差の縮小が見られることがわかる。実施例1と3または実施例4と実施例5を比較することにより、冷却水量を増やすことにより温度偏差が縮小することがわかる。実施例1と4または3と5を比較することにより、圧延形状矯正用ピンチロールにより張力を高くすることによって温度偏差が小さくなることがわかる。実施例4と実施例7とを比較すると上面のみの片面冷却でも両面冷却に近い温度偏差に抑えられることがわかる。
比較例1〜3は、実施例1〜3に対して、圧延形状矯正用ピンチロールによる張力付与を省略したものである。比較例1〜3では温度偏差を30℃以内に抑えることができたが、15℃未満には抑えることができなかった。
比較例4〜6は、実施例1〜3に対して、冷却機6cでの冷却水量密度を落としたものである。比較例4〜6では温度偏差を30℃以内に抑えることができたが、15℃未満には抑えることができなかった。
比較例7は、実施例1に対して、圧延形状矯正用ピンチロールによる張力付与を省略し、冷却機6cでの冷却水量密度を落としたものである。このような条件ではもはや温度偏差を30℃以内にはできず、これを大きく上回り、材質的にも均質なものはできなかった。
上記実施例1〜7においては冷却機6cの冷却水の水切りのあるものである。
このように述べた実施例および形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明は、熱間圧延工程の仕上げ圧延後の熱延鋼板を冷却する方法及び冷却装置に有用である。
2 仕上げ圧延機
3 鋼板
4 ランアウトテーブル
4a 搬送ロール
5 冷却装置
6 冷却機
6a 仕上げ圧延機出側冷却機(圧延形状矯正用ピンチロールの上流側)
6b 仕上げ圧延機出側冷却機(圧延形状矯正用ピンチロールの下流側)
6c 水量密度3.5m/m/min超の噴射能力を持つ冷却機
6d コイラー前側の冷却機
7 コイラー直前ピンチロール
8 コイラー
10 圧延形状矯正用ピンチロール
11 ラミナーノズル
21 (上面側)スプレーノズル
21a 噴流衝突面
22 (下面側)スプレーノズル
23 水切り機
24 水切りロール(第二中間ピンチロール)
25 スプレーノズル
26 他の水切り機
27 水切りロール(第一中間ピンチロール)
28 スプレーノズル
30 制御部
A 膜沸騰領域
B 核沸騰領域
C 遷移沸騰領域
α 冷却水の噴射角度
β 冷却水の衝突角度
E スプレーノズルの高さ

Claims (18)

  1. 熱間圧延工程の仕上げ圧延後の熱延鋼板をその下流側で通板速度3m/sec以上で通板させながら冷却する冷却方法であって、
    前記熱延鋼板の上面温度が850℃から650℃までのときに、圧延形状矯正用ピンチロールを用いて0.4kgf/mm(3.92MPa)以上の張力を前記仕上げ圧延機側に付与して前記熱延鋼板を挟持し、
    前記熱延鋼板の上面温度が650℃から350℃までの範囲内で前記熱延鋼板を冷却する際に、前記熱延鋼板の上面に対して水量密度を3.5m/m/min超の冷却水を使用して冷却することを特徴とする、熱延鋼板の冷却方法。
  2. 前記冷却水の前記熱延鋼板の上面に対する衝突速度を20m/sec以上とし、前記冷却水で当該熱延鋼板の上面の80%以上の面積を覆うことを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の冷却方法。
  3. 前記冷却水の前記熱延鋼板の上面に対する衝突圧力を2kPa以上とし、前記冷却水で当該熱延鋼板の上面の80%以上の面積を覆うことを特徴とする、請求項1に記載の熱延鋼板の冷却方法。
  4. 前記冷却水の水流は円錐状であって、熱延鋼板の上面に対する前記冷却水の衝突角度が水平方向から75度以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却方法。
  5. 前記熱延鋼板の上面温度が650℃から550℃までになる位置に第一の中間ピンチロールを、450℃から350℃までになる位置に第二の中間ピンチロールをそれぞれを配置して、前記第一及び第二の中間ピンチロール間の前記熱延鋼板に0.4kgf/mm(3.92MPa)以上の張力を付与することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却方法。
  6. 前記熱延鋼板の上面に噴射された冷却水が当該冷却工程の開始前及び終了後の熱延鋼板に流れるのを抑制する水切りが行われることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却方法。
  7. 前記熱延鋼板の上面のみを冷却することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却方法。
  8. 下記式(1)で冷却能力dを定義し、前記熱延鋼板上面の冷却能力dを下面の冷却能力dに比して0.8倍以上1.2倍以下として冷却することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却方法。
    d=f(q、p、t) ・・・(1)
    d:冷却能力、u:上面側、l:下面側
    q:冷却水量[m/m/min]、p:衝突圧力[kPa]、t:水温
  9. 熱間圧延工程の仕上げ圧延後の熱延鋼板をその下流側で通板速度3m/sec以上で通板させながら冷却する冷却装置であって、
    前記熱延鋼板の上面温度が650℃以上850℃以下になる位置に、0.4kgf/mm(3.92MPa)以上の張力を前記仕上げ圧延機側にかけて前記熱延鋼板を挟持する圧延形状矯正用ピンチロールが配置され、
    650℃から350℃の範囲内で前記熱延鋼板の上面に対して水量密度3.5m/m/min超の冷却水を使用して遷移沸騰領域と核沸騰領域で当該熱延鋼板の冷却を行う冷却機を有することを特徴とする熱延鋼板の冷却装置。
  10. 前記冷却機は複数のノズルを有し、当該複数のノズルから噴射される冷却水は、熱延鋼板の上面に対する衝突速度が20m/sec以上であり、前記複数のノズルは、当該熱延鋼板の上面の80%以上の面積を覆うように冷却水を噴射するように配置されたことを特徴とする、請求項9に記載の熱延鋼板の冷却装置。
  11. 前記冷却機は複数のノズルを有し、当該複数のノズルは、熱延鋼板の上面に対する衝突圧力が2kPa以上の冷却水で、当該熱延鋼板の上面の80%以上の面積を覆うように冷却水を噴射する能力を有することを特徴とする、請求項9に記載の熱延鋼板の冷却装置。
  12. 前記冷却機の複数のノズルは、円錐状の水流の冷却水を噴射し、熱延鋼板の上面に対する前記冷却水の衝突角度が水平方向から75度以上であることを特徴とする、請求項10又は11に記載の熱延鋼板の冷却装置。
  13. 前記熱延鋼板の上面温度が650℃から550℃までになる位置及び、450℃から350℃までになる位置に、それぞれ第一、第二の中間ピンチロールを配置し、前記第一及び第二の中間ピンチロール間の前記熱延鋼板に0.4kgf/mm(3.92MPa)以上の張力付与機能を有することを特徴とする、請求項9〜12のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却装置。
  14. 前記冷却機の上流側及び下流側には、水切り機が設けられていることを特徴とする、請求項9〜13のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却装置。
  15. 前記水切り機は、前記熱延鋼板に対して水切り水を噴射するノズルを有することを特徴とする、請求項14に記載の熱延鋼板の冷却装置。
  16. さらに前記水切り機は、前記熱延鋼板に接するように設けられた水切りロールを有することを特徴とする、請求項15に記載の熱延鋼板の冷却装置。
  17. 前記冷却機は、熱延鋼板の上面のみを冷却することを特徴とする、請求項9〜16のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却装置。
  18. 前記冷却機は、下記式(1)で定義された冷却能力dを用い、前記熱延鋼板上面の冷却能力dを下面の冷却能力dに比して0.8倍以上1.2倍以下として冷却する能力を有することを特徴とする、請求項9〜16のいずれかに記載の熱延鋼板の冷却装置。
    d=f(q、p、t) ・・・(1)
    d:冷却能力、u:上面側、l:下面側
    q:冷却水量[m/m/min]、p:衝突圧力[kPa]、t:水温
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