JP5477643B2 - カーボンナノチューブ、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体及びポリマーから構成される電極膜、固体電解質膜、アクチュエータ素子 - Google Patents

カーボンナノチューブ、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体及びポリマーから構成される電極膜、固体電解質膜、アクチュエータ素子 Download PDF

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本発明は、導電性及び高キャパシターを有する電極膜、高導電性を有する固体電解質膜及びアクチュエータ素子に関する並びにその製造法に関する。ここでアクチュエータ素子は、電気化学反応や電気二重層の充放電などの電気化学プロセスを駆動力とするアクチュエータ素子である。
空気中、あるいは真空中で作動可能なアクチュエータ素子として、カーボンナノチューブとイオン液体とのゲルを導電性があり、かつ伸縮性のある活性層として用いるアクチュエータが提案されている(特許文献1)。
しかし、アクチュエータの高速応答性や伸縮率に問題があり、高キャパシタンスの電極膜、高導電率の固体電解質膜を作製する技術が必要であった。
特開2005−176428
本発明は、さらに性能の向上したアクチュエータを提供することを目的とする。
本発明は以上の問題点を解決するものであって、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を用いることにより、キャスト法という簡便な方法でカーボンナノチューブ、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体及びポリマーから構成される高キャパシタンスの電極膜を得ることが可能なことを発見し、またキャスト法という簡便な方法でアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体及びポリマーから構成される固体電解質膜を得ることが可能なことを発見し、さらにアクチュエータの伸縮率が飛躍的に大きくなり、高速応答性が向上することを見出した。
本発明は、以下の電極膜、固体電解質膜、アクチュエータ素子、またはその製造法を提供するものである。
項1. カーボンナノチューブ、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体及びポリマーから構成される電極膜。
項2. アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体及びポリマーから構成される固体電解質膜。
項3. 前記アルカリ金属塩がリチウム塩であり、前記アルカリ土類金属塩がカルシウム塩および/またはマグネシウム塩である、項1に記載の電極膜または項2に記載の固体電解質膜。
項4. 項1に記載の電極膜層と項2に記載の固体電解質膜層を有する積層体。
項5. 項4に記載の積層体を含むアクチュエータ素子。
項6. 項2に記載の固体電解質膜層の表面に、項1に記載の電極膜層が互いに絶縁状態で少なくとも2個形成され、当該電極膜層に電位差を与えることにより変形可能に構成されている項5に記載のアクチュエータ素子
項7. 以下の工程を含むことを特徴とするアクチュエータ素子の製造方法:
工程1:カーボンナノチューブ、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イ
オン液体、ポリマーおよび溶媒を含む分散液を調製する工程;
工程2:ポリマーおよび溶媒、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、必要に応じてさらにイオン液体を含む溶液を調製する工程;
工程3:工程1の分散液を用いる電極膜の形成と工程2の溶液を用いる固体電解質膜の形成を同時にあるいは順次行い、電極膜と固体電解質膜の積層体を形成する工程。
項8. 以下の工程を含むことを特徴とするアクチュエータ素子の製造方法:
工程1:カーボンナノチューブ、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体、ポリマーおよび溶媒を含む分散液を調製する工程;
工程2:ポリマーおよび溶媒、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、必要に応じてさらにイオン液体を含む溶液を調製する工程;
工程3:工程1の分散液を用いキャスト、印刷、塗布、押し出しまたは射出により、電極膜を形成、その後、必要に応じて、作製した電極膜の熱厚密化を行い、密度を大きくする工程、あるいは数枚の電極膜を熱圧着すると同時に厚密化し、密度を大きくする工程
工程4:工程2の分散液を用いキャスト、印刷、塗布、押し出しまたは射出により、固体電解質膜を形成する工程;
工程5:工程3で形成した電極膜と工程4で形成した固体電解質膜を、圧着により積層し、積層体を形成する工程。
項9. 以下の工程を含むことを特徴とするアクチュエータ素子の製造方法:
工程1:カーボンナノチューブ、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体、ポリマーおよび溶媒を含む分散液を調製する工程;
工程2:ポリマーおよび溶媒、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、必要に応じてさらにイオン液体を含む溶液を調製する工程;
工程3:工程1の分散液を用いキャスト後加熱により、電極膜を形成する工程
工程4:工程2の分散液を用いキャスト後加熱により、固体電解質膜を形成する工程;
工程5:工程3で形成した電極膜と工程4で形成した固体電解質膜を、圧着により積層し、積層体を形成する工程。
本発明によれば、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を用いることにより従来よりすぐれた高キャパシタンスの電極膜、高導電率の固体電解質膜を得ることができるため、キャパシタンス、イオン伝導性が向上し、応答が速やかになるとともに、素子の軽量化、あるいは素子の変形をより容易に行なうことができ、効率のよい変形応答のアクチュエータ素子を提供することができるようになった。
本発明の実施例でアクチュエータ素子変位評価法に用いたレーザー変位計を示す。 図1(A)は、本発明のアクチュエータ素子(3層構造)の一例の構成の概略を示す図であり、図1(B)は、本発明のアクチュエータ素子(5層構造)の一例の構成の概略を示す図である。 本発明のアクチュエータ素子の作動原理を示す図である。 本発明のアクチュエータ素子の他の例の概略を示す図である。
本発明において、アクチュエータ素子の電極膜層に使用する電極膜には、カーボンナノチューブ、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体及びポリマーが使用される。
本発明に用いられるカーボンナノチューブは、グラフェンシートが筒形に巻いた形状から成る炭素系材料であり、その周壁の構成数から単層ナノチューブ(SWNT)と多層ナ
ノチューブ(MWNT)とに大別され、また、グラフェンシートの構造の違いからカイラル(らせん)型、ジグザグ型、およびアームチェア型に分けられるなど、各種のものが知られている。本発明には、このような所謂カーボンナノチューブと称されるものであれば、いずれのタイプのカーボンナノチューブも用いることができる。
本発明で使用するカーボンナノチューブのアスペクト比は、10以上が好ましい。アスペクト比は大きければ大きいほど好ましいが、上限は、例えば10程度、10程度或いは10程度、である。カーボンナノチューブの長さは、通常1μm以上、好ましく
は50μm以上、さらに好ましくは200μm以上、特に500μm以上である。カーボンナノチューブの長さの上限は、特に限定されないが、例えば3mm程度である。
実用に供されるカーボンナノチューブの好適な例として、一酸化炭素を原料として比較的量産が可能なHiPco(カーボン・ナノテクノロジー・インコーポレーテッド社製)が挙げられるが、勿論、これに限定されるものではない。
本発明の電極膜は、カーボンナノチューブ、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体及びポリマーから基本的に構成されるが、活性炭素繊維や補強材などを導電性などの特性をあまり損なわない範囲で加えることもできる。
本発明で使用するアルカリ金属塩は、アルカリ金属とアニオンとの塩が挙げられ、アルカリ土類金属塩は、アルカリ土類金属とアニオンとの塩が挙げられる。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどが挙げられ、リチウムが特に好ましい。アルカリ金属塩は単独でも2種以上を混合して用いてもよい。アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられ、カルシウム、マグネシウムが好ましい。アルカリ土類金属塩は単独でも2種以上を混合して用いてもよい。また、アルカリ金属とアルカリ土類金属は、一方のみを用いてもよく、カチオンおよび/またはアニオンが異なる2種以上のアルカリ金属/アルカリ土類金属を混合して用いてもよい。アルカリ金属塩とアルカリ土類金属塩のアニオン成分は、イオン液体と同一であるか、或いは、イオン液体を形成し得るアニオンが好ましい。アルカリ金属塩とアルカリ土類金属塩のアニオン成分としては、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 -)、BF3CF3 -、BF3C2F5 -、BF3C3F7 -、BF3C4F9 -、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 -)、
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン((CF3SO2)2N-)、ビス(フルオロメタンスルホニル)イミドイオン((FSO2)2N-)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン((CF3CF2SO2)2N-)、過塩素酸イオン(ClO4 -)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン(CF3SO2)3C-)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン
(CF3SO3 -)、ジシアンアミドイオン((CN)2N-)、トリフルオロ酢酸イオン(CF3COO-
、有機カルボン酸イオンおよびハロゲンイオンが例示できる。
本発明に用いられるイオン液体(ionic liquid)とは、常温溶融塩または単に溶融塩などとも称されるものであり、常温(室温)を含む幅広い温度域で溶融状態を呈する塩であり、例えば0℃、好ましくは−20℃、さらに好ましくは−40℃で溶融状態を呈する塩である。また、本発明で使用するイオン液体はイオン導電性が高いものが好ましい。
本発明においては、各種公知のイオン液体を使用することができるが、常温(室温)または常温に近い温度において液体状態を呈する安定なものが好ましい。本発明において用いられる好適なイオン液体としては、下記の一般式(I)〜(IV)で表わされるカチオン(好ましくは、イミダゾリウムイオン、第4級アンモニウムイオン)と、アニオン(X)より成るものが挙げられる。
Figure 0005477643
[NR4−x (III)
[PR4−x (IV)
上記の式(I)〜(IV)において、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分枝を有するアルキル基またはエーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が3〜12の直鎖又は分枝を有するアルキル基を示し、式(I)においてRは炭素数1〜4の直鎖又は分枝を有するアルキル基または水素原子を示す。式(I)において、RとRは同一ではないことが好ましい。式(III)および(IV)において、xはそれぞれ1〜4の整数である。式(III)および(IV)において、2つのR基は一緒になって3〜8員環、好ましくは5員環又は6員環の脂肪族飽和環式基を形成してもよい。
炭素数1〜12の直鎖又は分枝を有するアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどの基が挙げられる。炭素数は好ましくは1〜8,より好ましくは1〜6である。
炭素数1〜4の直鎖又は分枝を有するアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチルが挙げられる。
エーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が3〜12の直鎖又は分枝を有するアルキル基としては、CH2OCH3、CH2CH2OCH3、CH2OCH2CH3、CH2CH2OCH2CH3、(CH2)p(OCH2CH2)qOR2
ここで、pは1〜4の整数、qは1〜4の整数、R2はCH3又はC2H5を表す)が挙げられる
アニオン(X)としては、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 -)、BF3CF3 -、BF3C2F5 -、BF3C3F7 -、BF3C4F9 -、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 -)、ビス(トリフルオロメ
タンスルホニル)イミドイオン((CF3SO2)2N-)、ビス(フルオロメタンスルホニル)イミドイオン((FSO2)2N-)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン((CF3CF2SO2)2N-)、過塩素酸イオン(ClO4 -)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン(CF3SO2)3C-)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3 -)、ジシアンアミドイオン((CN)2N-)、トリフルオロ酢酸イオン(CF3COO-)、有機カルボン酸イオンおよびハロゲンイオンが例示できる。
これらのうち、イオン液体としては、例えば、カチオンが1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、[N(CH3)(CH3)(C2H5)(C2H4OC2H4OCH3)]+、[N(CH3)(C2H5)(C2H5)(C2H4OCH3)]+、アニオンがハロゲンイオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン((CF3SO2)2N-)のものが、具体的に例示でき、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオンとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン((CF3SO2)2N-)からなるイオン液体が特に好ましい。なお、カチオン及び/又はアニオンを2種以上使用し、融点をさらに下げることも可能である。
ただし、これらの組み合わせに限らず、イオン液体であって、導電率が0.1Sm-1以上の
ものであれば、使用可能である。
本発明の電極膜は、カーボンナノチューブ、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体、ポリマー及び溶媒を含む溶液を調製し、得られた溶液をキャスト、印刷、塗布、押し出しまたは射出により行うことができる。必要に応じて、作製した電極膜の熱厚密化を行い、密度を大きくするか、あるいは数枚の電極膜を熱圧着すると同時に厚密化し、密度を大きくしてもよい。
固体電解質膜の形成は、ポリマーおよび溶媒、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、必要に応じてさらにイオン液体を含む分散液を用いキャスト、印刷、塗布、押し出しまたは射出により行うことができる。
ここで、電極膜及び固体電解質膜の形成に使用する前記溶媒は親水性溶媒と疎水性溶媒の混合溶媒を用いてもよい。
親水性溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどのカーボネート類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、メタノール、エタノールなどの炭素数1〜3の低級アルコール、アセトニトリル等が挙げられる。疎水性溶媒としては、4−メチルペンタン−2−オンなどの炭素数5〜10のケトン類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素類が挙げられる。
本発明において、電極膜、固体電解質膜に用いられるポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[PVDF(HFP)]などの水素原子を有するフッ素化オレフィンとパーフッ素化オレフィンの共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの水素原子を有するフッ素化オレフィンのホモポリマー、パーフルオロスルホン酸(Nafion,ナフィオン)、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート(poly-HEMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのポリ(メタ)アクリ
レート類、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)などが挙げられる。
アクチュエータ素子の電極膜層に使用される電極膜は、カーボンナノチューブ、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体ポリマー及びから構成される。電極膜層中のこれらの成分の好ましい配合割合は:
カーボンナノチューブ:
1〜98重量部、好ましくは33〜66重量部、より好ましくは17〜50重量部;
イオン液体:
1〜98重量部、好ましくは17〜50重量部、より好ましくは17〜50重量部;
アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩:
1〜98重量部、好ましくは33〜66重量部、より好ましくは5〜30重量部;
ポリマー:1〜98重量部、好ましくは33〜66重量部、より好ましくは17〜50重量部;
である。
電極膜の調製は、カーボンナノチューブ(CNT)、アルカリ金属塩および/またはアル
カリ土類金属塩、イオン液体、ポリマーを任意の割合で混合して実施することが可能である。得られた電極膜の強度の問題から、CNTは一定以上含まれるのがよい。
CNTとアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体とポリマーを任
意の割合で攪拌などにより混合し、超音波処理を行うのが好ましい。超音波処理時間は、30分から15時間程度、好ましくは1時間〜7時間程度が挙げられる。
本発明の方法で製造するアクチュエータ素子としては、例えば、固体電解質膜層1を、
その両側から、カーボンナノチューブとイオン液体とポリマー及びアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を含む電極膜層(電極膜)2,2で挟んだ3層構造のものが挙
げられる(図2A) 。また、電極の表面伝導性を増すために、電極膜層2,2の外側にさらに固体電解質膜層3,3が形成された5層構造のアクチュエータ素子であってもよい(図2B) 。
固体電解質膜層の表面に電極膜層を形成してアクチュエータ素子を得るには、固体電解質膜層の表面に電極膜を熱圧着すればよい。
固体電解質膜層の厚さは、5〜200μmであるのが好ましく、10〜100μmであるのがより
好ましい。電極膜層の厚さは、10〜500μmであるのが好ましく、50〜300μmであるのがより好ましい。また、各層の製膜にあたっては、スピンコート、印刷、スプレー等も用いることができる。さらに、押し出し法、射出法等も用いることができる。
電極膜層の厚さは、10〜50nmであるのが好ましい。電極膜層は、CNT、アルカリ金属塩
および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体、ポリマーを構成される複数の薄膜を熱圧着などにより積層することもでき、1枚の薄膜からなっていてもよい。
このようにして得られたアクチュエータ素子は、電極間(電極は導電性薄膜層に接続されている)に0.5〜4Vの直流電圧を加えると、数秒以内に素子長の0.5〜1倍程度の変位を得ることができる。また、このアクチュエータ素子は、空気中あるいは真空中で、柔軟に作動することができる。
このようなアクチュエータ素子の作動原理は、図3に示すように、固体電解質膜層1の表面に相互に絶縁状態で形成された電極膜層2,2に電位差がかかると、電極膜層2,2内のカーボンナノチューブ相とイオン液体相の界面に電気二重層が形成され、それによる界面応力によって、電極膜層2,2が伸縮するためである。図3に示すように、プラス極
側に曲がるのは、量子化学的効果により、カーボンナノチューブがマイナス極側でより大きくのびる効果があることと、現在よく用いられるイオン液体では、カチオン4のイオン半径が大きく、その立体効果によりマイナス極側がより大きくのびるからであると考えられる。図3において、4はイオン液体のカチオンを示し、5はイオン液体のアニオンを示
す。
上記の方法で得ることのできるアクチュエータ素子によれば、カーボンナノチューブとイオン液体とのゲルの界面有効面積が極めて大きくなることから、界面電気二重層におけるインピーダンスが小さくなり、カーボンナノチューブの電気伸縮効果が有効に利用される効果に寄与する。また、機械的には、界面の接合の密着性が良好となり、素子の耐久性が大きくなる。その結果、空気中、真空中で、応答性がよく変位量の大きい、且つ耐久性
のある素子を得ることができる。しかも、構造が簡単で、小型化が容易であり、小電力で作動することができる。
本発明のアクチュエータ素子は、空気中、真空中で耐久性良く作動し、しかも低電圧で柔軟に作動することから、安全性が必要な人と接するロボットのアクチュエータ(例えば、ホームロボット、ペットロボット、アミューズメントロボットなどのパーソナルロボットのアクチュエータ)、また、宇宙環境用、真空チェンバー内用、レスキュー用などの特殊環境下で働くロボット、また、手術デバイスやマッスルスーツなどの医療、福祉用ロボット、さらにはマイクロマシーンなどのためのアクチュエータとして最適である。
特に、純度の高い製品を得るために、真空環境下、超クリーンな環境下での材料製造において、純度の高い製品を得るために、試料の運搬や位置決め等のためのアクチュエータの要求が高まっており、全く蒸発しないイオン液体を用いた本発明のアクチュエータ素子は、汚染の心配のないアクチュエータとして、真空環境下でのプロセス用アクチュエータとして有効に用いることができる。
なお、イオン伝導層表面への導電性薄膜層の形成は少なくとも2層必要であるが、図4
に示すように、平面状の固体電解質膜層1の表面に多数の電極膜層2を配置することにより、複雑な動きをさせることも可能である。このような素子により、蠕動運動による運搬や、マイクロマニピュレータなどを実現可能である。また、本発明のアクチュエータ素子の形状は、平面状とは限らず、任意の形状の素子が容易に製造可能である。例えば、図4に示すものは、径が1mm程度の固体電解質膜層1のロッドの周囲に4本の電極膜層2を形成したものである。この素子により、細管内に挿入できるようなアクチュエータが実現可能である。
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことは言うまでもない。
<実験法の共通の説明>
1. 使用した薬品、材料
エチルメチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMITFSI)エチルメチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(EMIBF4
Figure 0005477643
使用したカーボンナノチューブ:
実施例および比較例で用いたカーボンナノチューブは、一酸化炭素を原料として比較的量産が可能なHiPco(カーボン・ナノテクノロジー・インコーポレーテッド社製)も使
用した。
使用したイオン伝導体用ベースポリマー:ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF(HFP)) (III)
Figure 0005477643
使用した溶媒
N,N’-ジメチルアセトアミド(DMAc)
プロピレンカーボネート(PC)
メチルペンタノン(MP)
アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩:
Li[BF4], Li[TFSI], Mg[TFSI], Ca[TFSI]
2.電極膜/固体電解質膜/電極膜の3層構造からなるアクチュエータ素子の変位測定方
図1に示す様にレーザー変位計を用い、素子を1mmx10mmの短冊状に切り取り、電圧を
加えた時の5mmの位置の変位を測定した。また伸縮率(ε)は
Figure 0005477643
L :電圧を印加しない時の素子長
D:素子の厚さ
δ:変位
3.固体電解質導電率測定法
作成した固体電解質膜を直径7mmに切り取り、ステンレス製の電極で挟み込んで、インピーダンス測定を行った。
4.キャパシタンス測定
作成した電極フィルムを直径7mmに切り取り、ステンレス製の電極で挟み込んで、サイクリックボルタンメトリ法により、±0.5V、0.001V/sの条件で測定を行った。測定値は
電極フィルム中のカーボンナノチューブのグラム当りの容量値として(Fg-1)表した。
5.電極、固体電解質、アクチュエータ素子フィルム厚測定
作成した電極フィルム、固体電解質膜、およびそれらの積層体からなるアクチュエータ素子フィルムの厚みは、マイクロメーターを用いて測定した。
実施例1
電極膜の作製
CNT50mg、 PVdF(HFP) 80 mg EMIBF4 120 mg LiBF45.68mgを試料瓶にとり、溶媒DMAc 4mlを入れマグネティックスターラーで撹拌を3日間行う。さらに試料瓶を超音波分散(20KHz)1時間、その後、溶媒DMAc 5mlを入れマグネティックスターラーで撹拌を1日間行
い、超音波分散(20KHz)4時間してキャスト液を得た。その後、試料瓶を逆さまにしても
流れない程度に固化した。CNTが分散し、ネットワークを作ることによってゲル状になり
、固化したものと思われる。25mm角のテフロン(登録商標)型に上記キャスト液をそれぞれ2.4mlキャストし、温度55℃で一昼夜乾燥した。その後、温度を80℃にして減圧乾燥一
昼夜行い、電極膜を得た。
固体電解質膜の作製
PVdF(HFP) 200 mg EMIBF4 200 mg, LiBF4 9.47mgを試料瓶にとり、溶媒PC 500mg, MP 6mlを入れ、80℃で、撹拌を3時間行い、キャスト液を得た。25mm角のテフロン(
登録商標)型に上記キャスト液をそれぞれ0.5mlキャストし、室温で一昼夜乾燥した。そ
の後、温度を80℃にして減圧乾燥一昼夜行い、電解質膜を得た。共通実験法に従い測定した。この膜の特性を表1に示す。固体電解質膜は比較例1と比べて、導電率が飛躍的に上昇していることがわかる。
また2枚の電極膜と1枚の固体電解質膜を用い、共通実験法2による方法により作成したゲル電解質膜をサンドイッチにして70℃、60Nの圧力で1分間プレスすることによ
り、電極/固体電解質/電極複合体素子を作成した。電極間に周波数の異なる±2.0Vの三角波電圧を加えた時に観測された変位を表2に示す。また素子のキャパシタンスの結果を表1に示す。素子のキャパシタンス及び応答性能(高速応答)は比較例1と比べて飛躍的に上昇していることがわかる。
Figure 0005477643
Figure 0005477643
実施例2
電極膜の作製
実施例1のうち、LiBF4 5.68mgを28.4mgに変更して行った。
固体電解質膜の作製
実施例1のうち、LiBF4 9.47mgを47.4mgに変更して行った。この膜の特性を表3に示す。固体電解質膜の導電率は比較例1と比べて、飛躍的に大きくなっていることがわかる。
電極間に周波数の異なる±2.0Vの三角波電圧を加えた時に観測された変位を表4に示す。また素子のキャパシタンスの結果を表3に示す。素子のキャパシタンス及び応答性能(高速応答)が比較例1と比べて飛躍的に上昇していることがわかる。
Figure 0005477643
Figure 0005477643
実施例3
電極膜の作製
実施例1のうち、LiBF4 5.68mgを56.8mgに変更して行った。
固体電解質膜の作製
実施例1のうち、LiBF4 9.47mgを94.7mgに変更して行った。
電極間に周波数の異なる±2.0Vの三角波電圧を加えた時に観測された変位を表6に示す。また素子のキャパシタンスの結果を表5に示す。素子のキャパシタンス及び応答性能が比較例1と比べて飛躍的に上昇していることがわかる。
Figure 0005477643
Figure 0005477643
比較例 1
電極膜の作製
実施例1のうち、LiBF4 5.68mgを0mgに変更して行った。
固体電解質膜の作製
実施例1のうち、LiBF4 9.47mgを0mgに変更して行った。この膜の特性を表7に示
す。実施例1―2の結果から、比較例1と比べ導電率が飛躍的も大きくなっていることがわかる。
電極間に周波数の異なる±2.0Vの三角波電圧を加えた時に観測された変位を表8に示す。また素子のキャパシタンスの結果を表7に示す。実施例1―2の結果から、素子のキャパシタンス及び応答性能(高速応答)が飛躍的に上昇していることがわかる。また実施例3の結果から、比較例1と比べて素子のキャパシタンス及び応答性能が飛躍的に上昇していることがわかる。
Figure 0005477643
Figure 0005477643
実施例4
電極膜の作製
CNT50mg、 PVdF(HFP) 80 mg EMITFSI 237.2 mg LiTFSI 17.4mgを試料瓶にとり、
溶媒DMAc4mlを入れマグネティックスターラーで撹拌を3日間行った。さらに試料瓶を超音波分散(20KHz)1時間、その後、溶媒DMAc5mlを入れマグネティックスターラーで撹拌を1
日間行い、超音波分散(20KHz)4時間してキャスト液を得た。その後、試料瓶を逆さまに
しても流れない程度に固化した。CNTが分散し、ネットワークを作ることによってゲル状
になり、固化したものと思われる。25mm角のテフロン(登録商標)型に上記キャスト液をそれぞれ2.4mlキャストし、温度55℃で一昼夜乾燥した。その後、温度を80℃にして減圧
乾燥一昼夜行い、電極膜を得た。
固体電解質膜の作製
PVdF(HFP) 200 mg EMITFSI 395.3 mg LiTFSI 29.0mgを試料瓶にとり、溶媒PC 500mg, MP 6mlを入れ、80℃で、撹拌を3時間行い、キャスト液を得た。25mm角のテフロン(登録
商標)型に上記キャスト液をそれぞれ0.5mlキャストし、室温で一昼夜乾燥した。その後
、温度を80℃にして減圧乾燥一昼夜行い、電解質膜を得た。共通実験法に従い測定した、この膜の特性を表9に示す。固体電解質膜は比較例2と比べて、導電率が飛躍的に大きく
なっていることがわかる。
また2枚の電極膜及び1枚の固体電解質膜を用い、共通実験法2による方法により作成した固体電解質膜をサンドイッチにして70℃、60Nの圧力で1分間プレスすることに
より、電極/固体電解質/電極複合体素子を作成した。電極間に周波数の異なる±2.0Vの三角波電圧を加えた時に観測された変位を表10に示す。また素子のキャパシタンスの結果を表9に示す。また素子のキャパシタンス及び応答性能(高速応答)が比較例2と比べて飛躍的に上昇していることがわかる。
Figure 0005477643
Figure 0005477643
実施例5
電極膜の作製
実施例4のうち、LiTFSI 17.4mgを52.2mgに変更して行った。
固体電解質膜の作製
実施例4のうち、LiTFSI 29.0mgを87.0mgに変更して行った。この膜の特性を表11に
示す。電解質膜は比較例2と比べて、導電率が飛躍的に大きくなっていることがわかる。電極間に周波数の異なる±2.0Vの三角波電圧を加えた時に観測された変位を表12に示す。また素子のキャパシタンスの結果を表11に示す。素子のキャパシタンス及び応答性能(高速応答)が飛躍的に上昇していることがわかる。
Figure 0005477643
Figure 0005477643
実施例6
電極膜の作製
実施例4のうち、LiTFSI 17.4mgを87.0mgに変更して行った。
固体電解質膜の作製
実施例4のうち、LiTFSI 29.0mgを145.0mgに変更して行った。
電極間に周波数の異なる±2.0Vの三角波電圧を加えた時に観測された変位を表14に示す。また素子のキャパシタンスの結果を表13に示す。素子のキャパシタンス及び応答性能が比較例2と比べて飛躍的に上昇していることがわかる。
Figure 0005477643
Figure 0005477643
実施例7
電極膜の作製
実施例4のうち、LiTFSI 17.4mgを174.0mgに変更して行った。
固体電解質膜の作製
実施例4のうち、LiTFSI 29.0mgを290.0mgに変更して行った。
電極間に周波数の異なる±2.0Vの三角波電圧を加えた時に観測された変位を表16に示す。また素子のキャパシタンスの結果を表15に示す。素子のキャパシタンス及び応答性能が比較例2と比べて飛躍的に上昇していることがわかる。
Figure 0005477643
Figure 0005477643
比較例 2
電極膜の作製
実施例2のうち、LiTFSI 17.4mgを0mgに変更して行った。
固体電解質膜の作製
実施例2のうち、LiTFSI 29.0mgを0mgに変更して行った。
この膜の特性を表17に示す。実施例4―5の結果から、固体電解質導電率が飛躍的も大きくなっていることがわかる。
電極間に周波数の異なる±2.0Vの三角波電圧を加えた時に観測された変位を表18に示す。また素子のキャパシタンスの結果を表17に示す。
実施例5の結果から、素子のキャパシタンス及び応答性能(高速応答)が飛躍的に上昇していることがわかる。また実施例6−7の結果から、素子のキャパシタンス及び応答性能が飛躍的に上昇していることがわかる。
Figure 0005477643
Figure 0005477643
実施例8
電極膜の作製
CNT50mg、 PVdF(HFP) 80 mg EMITFSI 237.2 mg MgTFSI 35.4mgを試料瓶にとり、
溶媒DMAc4mlを入れマグネティックスターラーで撹拌を3日間行った。さらに試料瓶を超音波分散(20KHz)1時間、その後、溶媒DMAc5mlを入れマグネティックスターラーで撹拌を1
日間行い、超音波分散(20KHz)4時間してキャスト液を得た。その後、試料瓶を逆さまに
しても流れない程度に固化した。CNTが分散し、ネットワークを作ることによってゲル状
になり、固化したものと思われる。25mm角のテフロン(登録商標)型に上記キャスト液をそれぞれ2.4mlキャストし、温度55℃で一昼夜乾燥した。その後、温度を80℃にして減圧
乾燥一昼夜行い、電極膜を得た。
固体電解質膜の作製
PVdF(HFP) 200 mg EMITFSI 395.3 mg MgTFSI 59.1mgを試料瓶にとり、溶媒PC 500mg, MP 6mlを入れ、80℃で、撹拌を3時間行い、キャスト液を得た。25mm角のテフロン(登録
商標)型に上記キャスト液をそれぞれ0.5mlキャストし、室温で一昼夜乾燥した。その後
、温度を80℃にして減圧乾燥一昼夜行い、固体電解質膜を得た。共通実験法に従い測定した、この膜の特性を表19にまとめる。固体電解質膜は比較例2と比べて、導電率が飛躍
的も大きくなっていることがわかる。
また2枚の電極膜及び1枚の固体電解質膜を用い、共通実験法2による方法により作成した固体電解質膜をサンドイッチにして70℃、60Nの圧力で1分間プレスすることに
より、電極/電解質/電極複合体素子を作成した。電極間に周波数の異なる±2.0Vの三角波電圧を加えた時に観測された変位を表20にまとめる。また素子のキャパシタンス及び応答性能(高速応答を含む)が比較例2と比べて飛躍的に上昇していることわかる。
Figure 0005477643
Figure 0005477643
実施例9
電極膜の作製
CNT50mg、 PVdF(HFP) 80 mg EMITFSI 237.2 mg CaTFSI 18.2mgを試料瓶にとり、
溶媒DMAc4mlを入れマグネティックスターラーで撹拌を3日間行った。さらに試料瓶を超音波分散(20KHz)1時間、その後、溶媒DMAc5mlを入れマグネティックスターラーで撹拌を1
日間行い、超音波分散(20KHz)4時間してキャスト液を得た。その後、試料瓶を逆さまに
しても流れない程度に固化した。CNTが分散し、ネットワークを作ることによってゲル状
になり、固化したものと思われる。25mm角のテフロン(登録商標)型に上記キャスト液をそれぞれ2.4mlキャストし、温度55℃で一昼夜乾燥した。その後、温度を80℃にして減圧
乾燥一昼夜行い、電極膜を得た。
固体電解質膜の作製
PVdF(HFP) 200 mg EMITFSI 395.3 mg CaTFSI 30.3mgを試料瓶にとり、溶媒PC 500mg, MP 6mlを入れ、80℃で、撹拌を3時間行い、キャスト液を得た。25mm角のテフロン(登録
商標)型に上記キャスト液をそれぞれ0.5mlキャストし、室温で一昼夜乾燥した。その後
、温度を80℃にして減圧乾燥一昼夜行い、固体電解質膜を得た。共通実験法に従い測定した。この膜の特性を表21にまとめる。固体電解質膜は比較例2と比べて、導電率が飛躍
的も大きくなっていることがわかる。
また2枚の電極膜を用い、共通実験法3による方法により作成したゲル電解質膜をサンドイッチにして70℃、60Nの圧力で1分間プレスすることにより、電極/電解質/電
極複合体素子を作成した。電極間に周波数の異なる±2.0Vの方形波電圧を加えた時に観測された変位を表22にまとめる。また素子のキャパシタンスの結果を表21に示す。素子のキャパシタンス及び応答性能(高速応答を含む)が比較例2と比べて飛躍的に上昇していることがわかる。
Figure 0005477643
Figure 0005477643
実施例10
電極膜の作製
実施例9のうち、CaTFSI 18.2mgを36.4mgに変更して行った。
電解質膜の作製
実施例9のうち、CaTFSI 30.3mgを60.6mgに変更して行った。この膜の特性を表23に
まとめる。電解質膜は比較例2と比べて、導電率が飛躍的に大きくなっていることがわかる。
電極間に周波数の異なる±2.0Vの方形波電圧を加えた時に観測された変位を表24にまとめる。また素子のキャパシタンスの結果を表23に示す。素子のキャパシタンス及び応答性能(高速応答を含む)が比較例2と比べて飛躍的に上昇していることがわかる。
Figure 0005477643
Figure 0005477643

Claims (7)

  1. カーボンナノチューブ、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体及びポリマーから構成される電極膜であって、前記アルカリ金属塩がリチウム塩であり、前記アルカリ土類金属塩がカルシウム塩および/またはマグネシウム塩であり、イオン液体のアニオン成分とアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のアニオン成分は同一であり、前記アニオン成分は、BF 4 - 、BF 3 CF 3 - 、BF 3 C 2 F 5 - 、BF 3 C 3 F 7 - 、BF 3 C 4 F 9 - 、PF 6 - 、(CF 3 SO 2 ) 2 N - 、(FSO 2 ) 2 N - 、(CF 3 CF 2 SO 2 ) 2 N - 、ClO 4 - 、CF 3 SO 2 ) 3 C - 、CF 3 SO 3 - 、(CN) 2 N - 、CF 3 COO - 及びハロゲンイオンからなる群から選ばれる、電極膜
  2. 請求項1に記載の電極膜層とアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体及びポリマーから構成される固体電解質膜を有する積層体であって、前記アルカリ土類金属塩がカルシウム塩および/またはマグネシウム塩であり、イオン液体のアニオン成分とアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のアニオン成分は同一であり、前記アニオン成分は、BF 4 - 、BF 3 CF 3 - 、BF 3 C 2 F 5 - 、BF 3 C 3 F 7 - 、BF 3 C 4 F 9 - 、PF 6 - 、(CF 3 SO 2 ) 2 N - 、(FSO 2 ) 2 N - 、(CF 3 CF 2 SO 2 ) 2 N - 、ClO 4 - 、CF 3 SO 2 ) 3 C - 、CF 3 SO 3 - 、(CN) 2 N - 、CF 3 COO - 及びハロゲンイオンからなる群から選ばれる、積層体
  3. 請求項に記載の積層体を含むアクチュエータ素子。
  4. 請求項2に記載の固体電解質膜層の表面に、請求項1に記載の電極膜層が互いに絶縁状態で少なくとも2個形成され、当該電極膜層に電位差を与えることにより変形可能に構成されている、請求項に記載のアクチュエータ素子。
  5. 以下の工程:
    工程1:カーボンナノチューブ、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体、ポリマーおよび溶媒を含む分散液を調製する工程;
    工程2:ポリマーおよび溶媒、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、必要に応じてさらにイオン液体を含む溶液を調製する工程;
    工程3:工程1の分散液を用いる電極膜の形成と工程2の溶液を用いる固体電解質膜の形成を同時にあるいは順次行い、電極膜と固体電解質膜の積層体を形成する工程、
    を含むことを特徴とするアクチュエータ素子の製造方法であって、前記アルカリ金属塩がリチウム塩であり、前記アルカリ土類金属塩がカルシウム塩および/またはマグネシウム塩であり、イオン液体のアニオン成分とアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のアニオン
    成分は同一であり、前記アニオン成分は、BF 4 - 、BF 3 CF 3 - 、BF 3 C 2 F 5 - 、BF 3 C 3 F 7 - 、BF 3 C 4 F 9 - 、PF 6 - 、(CF 3 SO 2 ) 2 N - 、(FSO 2 ) 2 N - 、(CF 3 CF 2 SO 2 ) 2 N - 、ClO 4 - 、CF 3 SO 2 ) 3 C - 、CF 3 SO 3 - 、(CN) 2 N - 、CF 3 COO - 及びハロゲンイオンからなる群から選ばれる、アクチュエータ素子の製造方法
  6. 以下の工程:
    工程1:カーボンナノチューブ、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体、ポリマーおよび溶媒を含む分散液を調製する工程;
    工程2:ポリマーおよび溶媒、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、必要に応じてさらにイオン液体を含む溶液を調製する工程;
    工程3:工程1の分散液を用いキャスト、印刷、塗布、押し出しまたは射出により、電極膜を形成、その後、必要に応じて、作製した電極膜の熱厚密化を行い、密度を大きくする工程、あるいは数枚の電極膜を熱圧着すると同時に厚密化し、密度を大きくする工程
    工程4:工程2の分散液を用いキャスト、印刷、塗布、押し出しまたは射出により、固体電解質膜を形成する工程;
    工程5:工程3で形成した電極膜と工程4で形成した固体電解質膜を、圧着により積層し、積層体を形成する工程、
    を含むことを特徴とするアクチュエータ素子の製造方法であって、前記アルカリ金属塩がリチウム塩であり、前記アルカリ土類金属塩がカルシウム塩および/またはマグネシウム塩であり、イオン液体のアニオン成分とアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のアニオン成分は同一であり、前記アニオン成分は、BF 4 - 、BF 3 CF 3 - 、BF 3 C 2 F 5 - 、BF 3 C 3 F 7 - 、BF 3 C 4 F 9 - 、PF 6 - 、(CF 3 SO 2 ) 2 N - 、(FSO 2 ) 2 N - 、(CF 3 CF 2 SO 2 ) 2 N - 、ClO 4 - 、CF 3 SO 2 ) 3 C - 、CF 3 SO 3 - 、(CN) 2 N - 、CF 3 COO - 及びハロゲンイオンからなる群から選ばれる、アクチュエータ素子の製造方法。
  7. 以下の工程:
    工程1:カーボンナノチューブ、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、イオン液体、ポリマーおよび溶媒を含む分散液を調製する工程;
    工程2:ポリマーおよび溶媒、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、必要に応じてさらにイオン液体を含む溶液を調製する工程;
    工程3:工程1の分散液を用いキャスト後加熱により、電極膜を形成する工程
    工程4:工程2の分散液を用いキャスト後加熱により、固体電解質膜を形成する工程;
    工程5:工程3で形成した電極膜と工程4で形成した固体電解質膜を、圧着により積層し、積層体を形成する工程、
    を含むことを特徴とするアクチュエータ素子の製造方法であって、前記アルカリ金属塩がリチウム塩であり、前記アルカリ土類金属塩がカルシウム塩および/またはマグネシウム塩であり、イオン液体のアニオン成分とアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のアニオン成分は同一であり、前記アニオン成分は、BF 4 - 、BF 3 CF 3 - 、BF 3 C 2 F 5 - 、BF 3 C 3 F 7 - 、BF 3 C 4 F 9 - 、PF 6 - 、(CF 3 SO 2 ) 2 N - 、(FSO 2 ) 2 N - 、(CF 3 CF 2 SO 2 ) 2 N - 、ClO 4 - 、CF 3 SO 2 ) 3 C - 、CF 3 SO 3 - 、(CN) 2 N - 、CF 3 COO - 及びハロゲンイオンからなる群から選ばれる、アクチュエータ素子の製造方法
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