JP5477028B2 - 車輪用軸受装置の製造方法 - Google Patents
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Description
このような構造の車輪用軸受装置においては、例えば、特許文献1に開示されている。
これにおいては、フランジ付き軸部材(ハブホイール)が円筒管を母材として冷間鍛造により整形されると共に、この冷間鍛造した母材の一方の軸端部の円周方向複数箇所が径方向外向きに切り起こされることにより、複数のフランジ部(切り起こし片)が形成される。さらに、母材の一方の軸端部には、複数のフランジ部の間に軸方向に沿った形状で残存する複数の舌片よりなる嵌合軸部(車輪が嵌込まれて位置決めされる)が設けられる。
これによって、車輪用軸受装置(主にフランジ付き軸部材)の重量軽減を図ることが可能となる。
しかしながら、前記従来の車輪用軸受装置においては、冷間鍛造により鍛造品を製作した後、鍛造品の一方の軸端部に切り起こし片よりなる複数のフランジ部を形成しなければならず、製造コストが高くなる。
冷間鍛造の鍛造型装置によって前記嵌合軸部の中心部端面に鍛造凹部を形成しながら前記軸部と前記嵌合軸部との間の外周面に、側方押出加工によって前記フランジ部を形成する工程を備え、
前記鍛造型装置の成形型に形成されたキャビティのうち、前記フランジ部の両面に対応するフランジ成形部の両内壁面の少なくとも片側内壁面に前記フランジ部との間に隙間を保持する逃がし部が形成された成形型を用いて前記フランジ部を形成することを特徴とする。
なお、フランジ部の根元部近傍の一側を同根元部近傍の反対側よりも厚肉に形成することによって、フランジ部の根元部近傍の強度を高めることが望ましい。
しかも、前記構成によると、成形型のフランジ成形部の材料流入側が広く半径方向外方の奥側へ向かってしだいに狭くなるテーパ状の逃がし部が形成された成形型を用いてフランジ部を形成することによって、冷間鍛造の材料流動時における材料とキャビティのフランジ成形部との間の接触摩擦力の軽減による成形型の型寿命の向上に効果があると共に、逃がし部の先端側ではフランジ部の先端を案内することができる。
成形型に形成されたキャビティのフランジ成形部の両内壁面にそれぞれ対応する部分に、前記フランジ部の両面との間に隙間をそれぞれ保持する両逃がし部が形成された成形型を用いて前記フランジ部を形成することを特徴とする。
成形型に形成されたキャビティのフランジ成形部には、両逃がし部の間の間隔寸法よりも小さい間隔寸法をもって対向し、かつ材料を流動案内する両案内面が形成された成形型を用いて前記フランジ部を形成することを特徴とする。
図1に示すように、車輪用軸受装置としての車輪用ハブユニットは、フランジ付き軸部材(ハブホイール)1と、転がり軸受としての複列のアンギュラ玉軸受41とを一体状に有してユニット化されている。
フランジ付き軸部材1は、外周面に転がり軸受としての複列のアンギュラ玉軸受41が組み付けられる軸部10と、この軸部10の一端側に形成されかつ軸部10よりも大径で車輪(図示しない)の中心孔が嵌込まれる嵌合軸部30と、軸部10と嵌合軸部30との間に位置するフランジ基部20aと、このフランジ基部20aの外周面に外径方向へ放射状に延出されかつ車輪を締め付けるハブボルト27が圧入によって配置されるボルト孔24が先端寄り部分に貫設された複数のフランジ部21とを一体に有する。
また、嵌合軸部30には、フランジ部21側にブレーキロータ用嵌合部31が形成され、先端側にブレーキロータ用嵌合部31よりも若干小径の車輪用嵌合部32が形成されている。
また、この実施例1においては、フランジ付き軸部材1の軸部10は、フランジ部21側が大径で先端側が小径に形成された段軸状に形成され、軸部10の大径部11の外周面に一方の軌道面43が形成されている。
また、軸部10の小径部12の外周面には内輪体42が嵌め込まれ、この内輪体42の外周面に他方の軌道面44が形成されている。
さらに、軸部10の先端部には、小径部12と同径の端軸部15が延出されている。この端軸部15の端面中心部には軸端凹部16が形成され、端軸部15の先端部が径方向外方へかしめられてかしめ部17が形成されることによって小径部12の外周面に内輪体42が固定される。
さらに、厚肉部23はフランジ部21の根元部(基部)側から同フランジ部21のボルト孔24側に向かって漸次減少する傾斜状に形成されている。この厚肉部23の傾斜面23aの傾斜角度(フランジ付き軸部材1の回転中心軸線Sと直交する円環状平坦面23cに対する角度)θ1は、冷間鍛造時の材料流れや成形後の脱型を考慮すると、「20°≦θ1≦45°」の関係に設定されることが望ましい。
また、図3に示すように、各フランジ部21の先端面は、嵌合軸部30のブレーキロータ用嵌合部31の直径寸法の約半分の半径をもつ円弧面21aに形成されている。すなわち、嵌合軸部30のブレーキロータ用嵌合部31の直径寸法をφPとし、フランジ部21の先端の円弧面21aの半径寸法をrQとしたときに、φP/2≒rQとなるように形成されている。
なお、フランジ基部20aの体積Vjは、フランジ基部20aの直径寸法をφYとし、軸長さをH2としたときに、「Vj=(φY/2)2×π×H2」となる。円板部(仮想円板部)の体積Vkは、「Vk=(φZ/2)2×π×H1)」となる。
この場合、図5と図6に示すように、成形型としての第1、第2成形型71、72の型合わせ面71a、72aの面積が充分に確保される。このため、第1、第2成形型71、72の型閉じ状態において、第1、第2成形型71、72の型合わせ面71a、72aに過大な圧力が作用することを回避することができ、成形型の型寿命が向上する。
なお、円板部(仮想円板部)の平面投影面積M1は、「M1=(φZ/2)2×π」となる。複数のフランジ部21及び中間軸部20の平面投影面積をM2は、フランジ部21の個数をNとし、フランジ部21の幅寸法をLとしたときに、「M2=N×L×1/2(φZ−φY)+(φY/2)2×π」となる。
この実施例1において、鍛造凹部33は、嵌合軸部30の車輪用嵌合部32の先端面からフランジ部21のローター支持面22までの距離と略同じ深さで湾曲面(凹湾曲面)35をなす浅底部34と、この浅底部34の中心部に凹設されたかつ浅底部34と中間湾曲面(凸湾曲面)36をもって連続する深底部37とを有する段差状に形成されている。
さらに、鍛造凹部33の深底部37は、中心側に向かって漸次深くなる湾曲面(凹湾曲面)38をなしている。
なお、湾曲面(凹湾曲面)35、中間湾曲面(凸湾曲面)36及び湾曲面(凹湾曲面)38は、円弧面も含む。
さらに、第1面取り部25の面取り深さをT1とし、第2面取り部26の面取り深さをT2としたときに「T1<T2」の関係となるように設定されている。
この実施例1において、側方押出加工によって、フランジ部21が形成される際にフランジ部21の根元部近傍の一側面に厚肉部23が形成されている。
また、冷間鍛造の側方押出加工においては、ファイバーフローに沿う材料流動性によってフランジ部21に、僅かではあるがフランジ部の先端が厚肉部23側寄りに向かって変形する反りが発生しやすい。
このフランジ部21の反りを軽減するため、フランジ部21のボルト孔24の両開口縁のうち、フランジ部21の厚肉部23が形成される側の一側開口縁に、第1面取り部25が形成され、反対側の開口縁に、第2面取り部26が形成されている。
また、図2に示すように、フランジ部21の根元部近傍の一側に厚肉部23を形成することによって、フランジ部21の根元部近傍の強度を良好に高めることができ、耐久性に優れる。
言い換えると、フランジ部21の厚肉部23の傾斜面23aの傾斜角度θ1が45°よりも大きく設定されると冷間鍛造の側方押出の際の材料流れが悪くなったり、成形型に対する脱型性が悪くなる不具合が生じやすくなる。
また、フランジ部21の厚肉部23の傾斜面23aの傾斜角度θ1が20°よりも小さく設定されると、厚肉部23の傾斜面23aがフランジ部21のボルト孔24に向けて長くなり、ボルト座面21cの確保が困難となる等の不具合が生じやすくなる。
しかしながら、前記したようにフランジ部21の厚肉部23の傾斜面23aの傾斜角度θ1を「20°≦θ1≦45°」の関係に設定することによって前記不具合が生じない。
さらに、軸部10の中心と同心上の中心からフランジ部21の先端までの距離、すなわち半径をφZ/2としかつフランジ部21の板厚寸法H1に相当する厚さをもつ円板部(仮想円板部)の体積をVkとし、フランジ付き軸部材1のフランジ基部20aの体積をVjとしたときに、「2.5×Vj≦Vk≦3.5×Vj」の関係になるように設定される。
これによって、重量軽減を効率よく図ることができると共に、フランジ部21の必要強度・剛性を良好に確保することができる。
すなわち、円板部(仮想円板部)の体積Vkがフランジ基部20aの体積Vjの2.5倍未満である場合には、フランジ部21の必要強度・剛性を確保することが困難となる不具合が生じる。
また、円板部(仮想円板部)の体積Vkが中間軸部20の体積Vjの3.5倍を超えると冷間鍛造の側方押出加工によってフランジ部21を形成することが困難となる不具合が生じるが、前記したように「2.5×Vj≦Vk≦3.5×Vj」の関係に設定されることで、前記した不具合が生じない。
この実施例1において、鍛造凹部33は、浅底部34と、深底部37とを有する段差状に形成されるため、強度、剛性を確保しながら軽量化を効率よく図ることができる。
例えば、フランジ付き軸部材1の軸部10のフランジ部21寄り部分の外周面にアンギュラ玉軸受41の一方の軌道面43が形成される場合、軌道面43と鍛造凹部33との間の最小肉厚寸法H4を必要とする大きさに容易に確保することができる。例えば、嵌合軸部30の鍛造凹部33の開口部から底部にわたって同一径の円筒状に形成されると、嵌合軸部30の肉厚が必要以上に厚くなったり、あるいは、フランジ付き軸部材1の各部の肉厚が必要以下に薄くなる不具合が生じやすいが、鍛造凹部33を、浅底部34と、深底部37とを有する段差状に形成することによってこのような不具合が生じない。
これによって、ランジ付き軸部材1の各部の強度、剛性を充分に確保しながら軽量化を効率よく図ることができる。
すなわち、フランジ部21のボルト孔24に、ハブボルト27のセレーション軸部(軸部29の根元部に形成される)29aを圧入した後の状態において、面取り部の深さ寸法が大きい側にフランジ部21が微量ではあるが反り変形する特性をもつ。
このため、冷間鍛造の側方押出加工によってフランジ部21の厚肉部23側へ向かって「反り」が発生すると、その後、フランジ部21のボルト孔24にハブボルト27が圧入されることで、前記したフランジ部21の厚肉部23側への「反り」が軽減される。
このため、フランジ部21の反りによって、例えば、ブレーキロータの取り付けが不安定となる場合が想定されるが、前記したようにフランジ部21の厚肉部23側へ向かう「反り」の発生を軽減することでブレーキロータを安定よく取り付けることが可能となる。 また、フランジ部の「反り」がブレーキロータに影響して、このブレーキロータの制動面が変形し、ブレーキ作動時に異音や振動が生じることを防止できる。
図4に示すように、構造用炭素鋼(例えば、S45C、S50C、S55C等の炭素量0.5%前後の炭素鋼が望ましい)の丸棒材を所要長さに切断して軸状素材60を形成する。
次に、軸状素材60を、例えば800℃前後に加熱した後、冷却し焼鈍する。
その後、冷間鍛造の前方押出加工の鍛造型装置(図示しない)を用いて軸状素材60を前方押出加工し、これによって、軸部(大径部11、小径部12及び端軸部(この状態では軸端凹部16が形成されていない)15を含む)10と、中間軸部(フランジ基部20aと嵌合軸部30の一部を形成する)20と、嵌合軸部(この状態では鍛造凹部33やブレーキロータ用嵌合部31が形成されていない)30を形成し、冷間鍛造の前方押出加工による一次成形品61を製作する。
このフランジ成形部78は、第1、第2の両成形型71、72にそれぞれ形成された成型溝部76、77によって構成されている。
すなわち、第1、第2の両成形型71、72の成型溝部76、77の上下両壁面の案内面80、81の対向間隔がフランジ部21の板厚寸法と同等の大きさに設定され、両側壁面の案内面(図示しない)の対向間隔がフランジ部21の幅寸法と同等の大きさに設定されている。そして、フランジ成形部78の横断面形状は、フランジ部21の横断面形状と同じ形状に形成されている。
一方、この実施例1において、フランジ部21の根元部近傍の厚肉部23側を形成する第1成形型71の成型溝部76の案内面80は、逃がし部がない型構造に形成されている。
また、厚肉部成形用溝部82底面の傾斜面82aの傾斜角度θ2は、フランジ部21の厚肉部23の傾斜面23aの傾斜角度θ1と同じ、すなわち、「20°≦θ2≦45°」の関係に設定される。
また、成型溝部76、77によって構成されるフランジ成形部78の径方向の長さ寸法は、フランジ部21の先端の円弧面21aが当たらない長さ寸法をもって設定されている(図6及び図7参照)。
その後、図6と図7に示すように、パンチ73を一次成形品61の嵌合軸部30の中心部端面に向けて下降し、パンチ73の先端部74によって嵌合軸部30の中心部端面に鍛造凹部33を形成しながら一次成形品61の軸部10と嵌合軸部30との間に位置する中間軸部20の外周面を、第1、第2の両成形型71、72に形成されたキャビティ75のフランジ成形部78に側方押出することによって複数のフランジ部21を形成すると共に、フランジ部21の根元部近傍の一側に厚肉部23を形成し、これによって側方押出加工による二次成形品62を製作する。なお、中間軸部20は冷間鍛造の変形によってフランジ基部20a及び嵌合軸部30の一部をなす。
その後、二次成形品62を焼き入れした後、軸部10の大径部11の軌道面43やフランジ部21のローター支持面22等を旋削加工または研磨加工することで完成品となるフランジ付き軸部材1を製作する。
また、軸状素材60の重量をN1とし、二次成形品62の重量をN2とし、フランジ付き軸部材1の重量をN3としたときに、「N1≒N2」、「0.93×N1≧N3≧0.86×N1」の関係となるように設定されることが望ましい。この場合には、軸状素材60から材料歩留まりよくフランジ付き軸部材1を製造することができる。
すなわち、フランジ部21のボルト孔24に、ハブボルト27のセレーション軸部(軸部29の根元部に形成される)29aを圧入した後の状態において、面取り部の深さ寸法が大きい側にフランジ部21が微量ではあるが反り変形する特性をもつ。
このため、仮に、側方押出加工によってフランジ部21の厚肉部23側へ向かって「反り」が発生したとしも、フランジ部21のボルト孔24にハブボルト27が圧入されることで、前記したフランジ部21の厚肉部23側への「反り」が軽減される。
さらに、ボルト座面21cの領域を越えかつフランジ部21の厚肉部23の傾斜面23aの境界R面23b又は、境界R面23b及び傾斜面23aにわたる範囲(図2のコイニング加工範囲W)にわたってコイニング加工によって表面仕上げすることでフランジ部21の強度をより一層高めことが望ましい。
また、コイニング加工による表面硬さはHRC25以上、表面粗さがRa6.3以下に仕上げられることが望ましい。
そして、軸部10の小径部12の外周面に内輪体42が嵌め込まれた後、端軸部15の先端部が径方向外方へかしめられてかしめ部17が形成されることによって小径部12の外周面に内輪体42が固定される。
また、フランジ付き軸部材1の軸部10の外周面にアンギュラ玉軸受41が組み付けられる前、又は後において、フランジ部21のボルト孔24の第1面取り部25側からハブボルト27の軸部29が挿入され、軸部29のセレーション軸部29aがボルト孔24に圧入されることによってフランジ部21にハブボルト27が固定される。
これをもって車輪用軸受装置が製造される。
すなわち、冷間鍛造においては、ファイバーフローに沿う材料流動性によってフランジ部21に、厚肉部23側へ向かう反りが発生しやすくなる特性がある。このフランジ部21の厚肉部23側へ向かう反りによって、例えば、フランジ部21のローター支持面22の全面を平坦面に仕上げ加工することが困難となる恐れがある。フランジ部21のローター支持面22の全面が平坦面に仕上げ加工されていない場合、例えば、ブレーキロータ55の取り付けが不安定となることが想定される。しかしながら、前述したようにフランジ部21の厚肉部23側へ向かう「反り」の発生を抑制することで、フランジ部21のローター支持面22の全面を平坦面に仕上げ加工すること容易となり、ブレーキロータ55を安定よく取り付けることが可能となる。
そして、この第1成形型71と、これに対応する第2成形型72を用いて、二次成形品62を形成することによって、フランジ部21の根元部近傍の一側面に、フランジ部21の根元部側からボルト孔24側に向かって漸次減少する傾斜状の厚肉部23を有する二次成形品62を容易に形成することができる。
ひいては、二次成形品62よりなるフランジ付き軸部材1を備えた車輪用軸受装置を容易に製造することができ、製造コストの低減に効果が大きい。
また、フランジ部21のボルト孔24の一側開口縁回りのボルト座面21cを不足なく確保しやすくなる。
言い換えると、フランジ部21の厚肉部23の傾斜面23aの傾斜角度θ1が45°よりも大きく設定されると材料流れが悪くなったり、第1成形型71に対する脱型性が悪くなる不具合が生じやすくなる。また、フランジ部21の厚肉部23の傾斜面23aの傾斜角度θ1が20°よりも小さく設定されると、厚肉部23の傾斜面23aがフランジ部21のボルト孔24に向けて長くなり、ボルト座面21cの確保が困難となる等の不具合が生じやすくなる。しかしながら、前記したようにフランジ部21の厚肉部23の傾斜面23aの傾斜角度θ1を「20°≦θ1≦45°」の関係に設定することによって前記不具合が生じない。
さらに、フランジ部21のボルト座面21cをコイニング加工によって平坦面に仕上げ加工することによって、旋削加工する場合と比べ、フランジ部21の強度を良好に高めることができる。
また、冷間鍛造の側方押出加工においては、ファイバーフローに沿う材料流動性によって、厚肉部23側へ向かう反りがフランジ部21に発生することがある。
仮に、厚肉部23側へ向かう反りがフランジ部21に発生が発生した場合、その後、フランジ部21のボルト孔24のボルト座面21cをコイニング加工する際、前記したフランジ部21の反りをコイニング加工によって矯正することができる。
すなわち、フランジ部21の厚肉部23側へ向かう反りによって、例えば、フランジ部21のローター支持面22の全面を平坦面に仕上げ加工することが困難となる恐れがある。フランジ部21のローター支持面22の全面が平坦面に仕上げ加工されていない場合、例えば、ブレーキロータ55の取り付けが不安定となることが想定される。しかしながら、前述したようにフランジ部21の厚肉部23側へ向かう「反り」をコイニング加工によって矯正することで、フランジ部21のローター支持面22の全面を平坦面に仕上げ加工すること容易となり、ブレーキロータ55を安定よく取り付けることが可能となる。
図8に示すように、この実施例2においては、フランジ成形部78を構成する第1、第2の両成形型71、72の成型溝部76、77の両案内面80、81の材料流入側近傍を除く奥側に、フランジ部21との間に隙間S1、S2を保持する逃がし部83、84がそれぞれ形成されている。
また、図8に示すように、第1成形型71の逃がし部83の隙間S1をなす成型溝部76底面とフランジ部21の一側面との隙間寸法をAとし、第2成形型72の逃がし部84の隙間S2をなす成型溝部77の底面とフランジ部21の他側面との隙間寸法をBとしたときに、「0.5mm>A≦B<0.5mm」の関係に設定してフランジ部21の厚肉部23側に向かう反りの発生を抑制することが望ましい。
この実施例2のその他の構成は、実施例1と同様に形成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
また、フランジ部21の根元部近傍の厚肉部23側に位置する第1成形型71の案内面80の外径寸法φCとし、反対側の第2成形型72の案内面81の外径寸法φDとしたときに、「φC>φD」の関係となるように設定することによって、冷間鍛造の材料流動性によるフランジ部21の厚肉部23側へ向かう「反り」の発生を抑制することができる。
図9に示すように、この実施例3においては、フランジ成形部78を構成する第1、第2の両成形型71、72の成型溝部76、77の両案内面80、81の材料流入側近傍を除く奥側に、フランジ部21との間に隙間S3、S4を保持する逃がし部183、184がそれぞれ形成されている。
両逃がし部183、184は、フランジ成形部78の材料流入側が広く、半径方向外方の奥側へ向かってしだいに狭くなるテーパ状に形成され、先端部分は平行面をなしている。
さらに、「1.0mm>E≦G<1.0mm」、及び「0.3mm>F≦H<0.3mm」の関係に設定してフランジ部21の厚肉側に向かう「反り」の発生を抑制することがより望ましい。
この実施例3のその他の構成は、実施例1と同様に形成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
図10に示すように、冷間鍛造によって嵌合軸部30の中心部端面に形成される鍛造凹部333の横断面形状が多角形に形成されている。
すなわち、鍛造凹部333は、フランジ部21の数に対応した多角形で形成され、その多角形の各辺310は、フランジ部21の側方押出方向に直交する方向に平坦状に形成されると共に、これた多角形の各辺310の交差点は、嵌合軸部30の外形に沿った円弧形状の円弧部320に形成されている。これによって、鍛造凹部333におけるフランジ部21の根元部(基部)に対応する部分が、フランジが形成されない他の部分よりも厚肉の鍛造凹部厚肉部300が形成されている。
また、鍛造凹部333におけるフランジ部21が形成されない多角形の隅部の部分には、嵌合軸部30の外形に沿った円弧形状をなす円弧部320が形成されることによって薄肉状に形成されている。
また、この実施例4において、フランジ付き軸部材1に構成されるフランジ部21は、中間軸部20の外周面の外径方向へ放射状に4つ延出されて構成されており、これに対応して、鍛造凹部333は横断面が四角形に形成されている。
また、鍛造凹部333の四隅部に円弧部320が形成されることによって、これら円弧部320に応力が集中して作用することがないようになっている。
また、各円弧部320は、嵌合軸部30のうちブレーキロータ用嵌合部31(図1参照)の直径寸法の半分程度の半径をもって形成されている。
すなわち、嵌合軸部30のブレーキロータ用嵌合部31(図1参照)の直径寸法をφPとし、鍛造凹部333の隅部の円弧部320の半径寸法をrUとしたときに、φP/2≒rUとなるように形成されている。
なお、円弧部320の半径寸法rUは、フランジ部21の先端の円弧面21aの半径寸法rQと略同一となる。
この実施例4のその他の構成は、実施例1と同様に構成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
特に、この実施例4において、鍛造凹部333におけるフランジ部21の根元部に対応する部分には、鍛造凹部厚肉部300が形成され、当該部分の強度が良好に高められる。
このため、車輪側からの繰り返し荷重に伴う繰返し応力に対し充分耐え得る。
また、この鍛造凹部厚肉部300の形成によって、鍛造凹部333におけるフランジ部21の根元部に対応する部分のフランジ部21への素材の流動性を確保することができるため、冷間鍛造の側方押出加工の成形性を確保することができる。
また、鍛造凹部333の隅部においては、フランジ部21が形成されず繰返し応力が作用しにくい部位となるため、これら隅部に円弧部320を形成すると共に、薄肉にすることによって軽量化を良好に図ることができる。
この実施例4に係る車輪用軸受装置の製造方法に用いられる冷間鍛造の側方押出加工の鍛造型装置のパンチ373は、図11に示すように、横断面形状を鍛造凹部333の横断面形状に対応する多角形状に形成される。
すなわち、パンチ373は、フランジ部21の数に相当する多角形に形成され、多角形の各辺310aは、フランジ部21の側方押出方向に直交するように平坦に形成されている。また、各辺310aの交差部の隅部は、嵌合軸部30の外形に沿って円弧状をなす円弧部320aが形成されている。
また、パンチ373の先端部374は、側方押出加工においてフランジ部21を放射状に均一に形成するために、漸次縮径した滑らかな山形形状に形成され、先端が滑らかな曲面をなしている。これは、鍛造凹部333に応力が集中して作用することがないように滑らかな窪み形状を形成するためでもある。
また、実施例4に係る車輪用軸受装置の製造方法に用いられる冷間鍛造の側方押出加工の鍛造型装置のその他の構成は、実施例1又は2又は3と同様にして構成されるため、その説明は省略する。
また、この鍛造凹部厚肉部300の形成と同時に、側方押出加工によってフランジ部21を形成することできる。そのため、車輪用軸受装置のフランジ部21の根元部近傍の強度を良好に高めることができる。また、パンチ373における多角形の隅部は、嵌合軸部30の外形に沿った円弧形状320aで形成されており、鋭角な形状ではないためパンチ373寿命を確保することができる。
この実施例5においては、図12と図13に示すように、フランジ付き軸部材501のフランジ部21の側方押出方向端部の外径寸法(各フランジ部21の先端がなす外径寸法)において、嵌合軸部30側に構成されてブレーキロータを支持する面となるローター支持面22側の端部位置の外径寸法をφKとし、ロータ支持面22の反対側面に構成された外径寸法をφJとしたときに、「φK≧φJ」の関係となるように設定されている。
この実施例5のその他の構成は、実施例1と同様にして構成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
特に、この実施例5においては、フランジ付き軸部材1のフランジ部21の側方押出方向端部の外径寸法(各フランジ部21の先端がなす外径寸法)において、嵌合軸部30側に構成されてブレーキロータを支持する面となるローター支持面22側の端部位置の外径寸法をφKとし、ロータ支持面22の反対側面に構成された外径寸法をφJとしたときに、「φK≧φJ」の関係となるように設定されている。
これにより、ローター支持面22側の面積は、ボルト座面21c側の面積より大きい又は同一の面積で形成されるため剛性を確保することができる。このため、ブレーキロータは、より大きなフランジ面で支持することができ、ブレーキロータをより一層、安定よく取り付けることができる。
このため、フランジ成形部78の横断面形状の角部80b、81bに冷間鍛造の材料流圧が集中して作用することを回避することができる。
この結果、フランジ成形部78の横断面形状の角部80b、81bの早期摩耗を防止して型寿命を向上させることができ、ひいては、車輪用軸受装置の製造コストを軽減することができる。
図15〜図17に示すように、この実施例5に係る車輪用軸受装置の製造方法に用いられる冷間鍛造の側方押出加工の鍛造型装置570においては、第1、第2の両成形型71、72の成型溝部76、77の上下両壁面の案内面80、81の対向間隔がフランジ部21の板厚寸法と同等の大きさに設定され、左右両側壁面の案内面80a、81aの対向間隔がフランジ部21の幅寸法と同等の大きさに設定されている。そして、フランジ成形部78の長手方向に直交する横断面形状は、フランジ部21の横断面形状と同じ形状に形成され、角部80b、81bがR面(例えば、半径3mmのR面)に形成されている。
図17に示すように、拘束面581は、嵌合軸部30側に構成されてブレーキロータを支持する面となるローター支持面22側の端部位置の外径寸法φK及びロータ支持面の反対側面のボルト座面側の端部位置の外径寸法φJにそれぞれ対応して形成されている。
また、第2の成形型72に構成される成型溝部77の側方押出方向端部は、フランジ面に垂直な垂直端面571で形成されている。これは、フランジ付き軸部材1の二次成形品62の離型を可能とするために垂直端面571が形成されている。また、第1の成形型71に構成される成型溝部76の側方押出方向端部は、面取り形状をなすように傾斜する傾斜面561が形成されている。
これにより、冷間鍛造の鍛造型装置570の側方押出形成によって形成されるフランジ部21の側方押出方向端部は、この垂直端面571、傾斜面561によって、側方押出の長さ寸法が拘束されるようになっている。
また、この実施例5に係る車輪用軸受装置の製造方法に用いられる冷間鍛造の側方押出加工の鍛造型装置570のその他の構成は、実施例1に係る車輪用軸受装置の製造方法に用いられる冷間鍛造の側方押出加工の鍛造型装置70と同様にして構成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
図18の斜線部は、冷間鍛造の二次成形において、フランジ部21が延出される外径円の範囲内で第1成形型71と第2成形型72が接触する範囲を示す。言い換えれば、フランジ部21が肉抜きされた部分である。
ここで、フランジ部21の外径をφK、フランジ部21の根元のフランジ基部20aの外径をφY、フランジ部21の周方向の幅をC、フランジ部21の数をNとし、フランジ部21及びフランジ基部20aの軸方向から見た面積(フランジ投影部の面積)をSf、フランジ部21の外径円の面積をSaとすると、
Sf=N×C×(1/2)×(φK−φY)+(φY/2)×(φY/2)×π
Sa=(φK/2)×(φK/2)×π
と表すことができ、実施例1又は5においては、二次成形品62のSf/Saが0.53〜0.56の範囲とされている。
このSf/Saが大きいほど、フランジ投影部の比率が大きくなるため鋼材の流動面積が大きくなり、押出加工による鋼材の流動性が良くなるため成形性が向上する。一方、Sf/Saが大きいほど、第1成形型71と第2成形型72が接触する面積が小さくなり狭い面積で型圧を支えることが必要となるため型に対する負荷が増大する。
また、Sf/Saが小さいほど、フランジ投影部の割合が小さくなるため鋼材の流動面積が狭くなり、押出加工による鋼材の流動性が悪くなるため成形性が低下する。一方、Sf/Saが小さいほど、第1成形型71と第2成形型72が接触する面積が大きくなるため広い面積で型圧を支えればよいので型に対する負荷が減少する。
なお、Sf/Saが異なる構成について試験した結果、Sf/Saが0.6より大きい場合は、金型の接触面積が狭く、狭い面積で型圧を支えることが必要となり型が割れやすくなることがわかった。また、Sf/Saが0.5より小さい場合は、鋼材の流動面積が狭くなり鋼材の流動性が悪くなるためフランジ部の成形性が悪くなり、フランジ部が予定した形状に成形されにくくなることがわかった。よって、Sf/Saは0.5以上かつ0.6以下のとすることが好ましい。
Ss=Sa−Sf
と表すことができる。そして、実施例1では、Ssは5000平方ミリメートル以上かつ、6500平方ミリメートル以下となるように構成されている。なお、この値は1.5リットルクラスの自動車用の車輪用軸受装置の値である。
すなわち、Ssが5000平方ミリメートルよりも小さくなると、第1成形型71と第2成形型72が接触する面積が小さくなり型が割れやすくなる。また、Ssが6500平方ミリメートルよりも大きくなると、鋼材の流動面積が狭くなり鋼材の流動性が悪くなるためフランジ部の成形性が悪くなる不具合が発生する場合があるが、
前記したように、Ss=Sa−Sfの関係に設定されることで、前記不具合を防止することができる。
図19と図20に示すように、この実施例6においては、フランジ付き軸部材601のフランジ部621の長手方向に直交する横断面形状が幅方向中央部621fよりも両側部621gが薄肉にされた段差状に形成されている。
また、フランジ部621の幅方向中央部621fの幅寸法を、ハブボルト27に対応する座面広さに設定することが望ましく、さらに、幅方向中央部621fの肉厚寸法は、ハブボルト27を所望とする強度で圧入固定し得るだけの長さを確保できる大きさに設定することが望ましい。
また、フランジ部621の横断面形状の角部621eがR面取り形状に形成されることが望ましい。
この実施例6のその他の構成は実施例1又は5と同様に構成されるため、その説明は省略する。
言い換えると、フランジ部621の幅方向中央部621fを所要とする板厚に形成し、当該部分にボルト孔624を貫設してハブボルト27に対する座面確保や圧入長さの確保を図りながら、重量軽減を良好に図ることができる。
図21に示すように、この実施例6においては、冷間鍛造の側方押出加工の鍛造型装置670の第1、第2の両成形型671、672の成型溝部676、677によって、フランジ成形部678が形成されている。このフランジ成形部678の横断面形状が前記したフランジ部621の横断面形状に対応して幅方向中央部677aよりも両側部677bが小さく形成されている。
さらに、フランジ成形部678の横断面形状の角部680b、681bがR面に形成されている。
この実施例6に係る車輪用軸受装置の製造方法のその他の構成は実施例5で述べた車輪用軸受装置の製造方法と同様に構成されるためその説明は省略する。
また、フランジ成形部678の横断面形状の角部680b、681bがR面に形成されるため、冷間鍛造の材料流圧が集中して作用することを回避することができる。
この結果、フランジ成形部678の横断面形状の角部680b、681bの早期摩耗を防止して型寿命を向上させることができ、ひいては、車輪用軸受装置の製造コストを軽減することができる。
図22に示すように、この実施例7においては、フランジ成形部78を構成する第1、第2の両成形型71、72の成型溝部76、77の両案内面80、81の材料流入側近傍を除く奥側に、フランジ部21との間に隙間S1、S2を保持する逃がし部83、84がそれぞれ形成されている。
また、図22に示すように、第1成形型71の逃がし部83の隙間S1をなす成型溝部76底面とフランジ部21の一側面との隙間寸法をAとし、第2成形型72の逃がし部84の隙間S2をなす成型溝部77の底面とフランジ部21の他側面との隙間寸法をBとしたときに、「0.5mm>A≦B<0.5mm」の関係に設定してフランジ部21の厚肉部23側に向かう反りの発生を抑制することが望ましい。
この実施例7のその他の構成は、実施例5と同様に形成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
また、フランジ部21の根元部近傍の厚肉部23側に位置する第1成形型71の案内面80の外径寸法φCとし、反対側の第2成形型72の案内面81の外径寸法φDとしたときに、「φC>φD」の関係となるように設定することによって、冷間鍛造の材料流動性によるフランジ部21の厚肉部23側へ向かう「反り」の発生を抑制することができる。
図22に示すように、この実施例8においては、フランジ成形部78を構成する第1、第2の両成形型71、72の成型溝部76、77の両案内面80、81の材料流入側近傍を除く奥側に、フランジ部21との間に隙間S3、S4を保持する逃がし部183、184がそれぞれ形成されている。
両逃がし部183、184は、フランジ成形部78の材料流入側が広く、半径方向外方の奥側へ向かってしだいに狭くなるテーパ状に形成され、先端部分は平行面をなしている。
さらに、「1.0mm>E≦G<1.0mm」、及び「0.3mm>F≦H<0.3mm」の関係に設定してフランジ部21の厚肉側に向かう「反り」の発生を抑制することがより望ましい。
この実施例8のその他の構成は、実施例5と同様に形成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
図24〜図26に示すように、この実施例9において、フランジ付き軸部材701の嵌合軸部730は、隣接するフランジ部21の間に位置して軸方向へ突出されて形成された複数の嵌合突出片730aによって構成され、嵌合突出片730aが形成されていない部分は、フランジ部21のローター支持面22と同一平面をなす平坦面730bに形成されている。
また、複数の嵌合突出片730aの外側面には、フランジ部21側にブレーキロータ用嵌合部731が形成され、先端側にブレーキロータ用嵌合部731よりも若干小径の車輪用嵌合部732が形成されている。
また、隣接する嵌合突出片730aの間の間隔寸法は、フランジ部21の幅寸法と同じ大きさに設定されている。
さらに、嵌合軸部730を構成する複数の嵌合突出片730aは、冷間鍛造の側方押出加工によってフランジ部21が形成されると同時に形成される。
また、この実施例9におけても、実施例1と同様にしてフランジ付き軸部材701に構成されるフランジ部21は、中間軸部20の外周面に外径方向へ放射状に4つ延出されて構成され、こられ各フランジ部21の間に位置して4つの嵌合突出片730aが形成されている。
この実施例9のその他の構成は、実施例1又は5と同様にして構成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
特に、この実施例9において、嵌合軸部730は、隣接するフランジ部21の間に位置して軸方向へ突出されて形成された複数の嵌合突出片730aによって構成されることで、車輪からの繰り返し荷重に伴う繰返し応力がフランジ部21の根元部に集中することを防ぐことができる。
また、嵌合軸部730を構成する複数の嵌合突出片730aの外側面には、ブレーキロータ用嵌合部731と車輪用嵌合部732とがそれぞれ形成されるため、ブレーキロータ及び車輪の中心孔が嵌込まれる機能は損なわれない。
また、複数の嵌合突出片730aの先端面を冷間鍛造の後工程で切削加工して、複数の嵌合突出片730aの先端面を車輪用軸受装置の基準面としたり、アフターサービス時の基準面とすることも可能である。
また、嵌合軸部730を構成する複数の嵌合突出片730aは、フランジ部21が形成される周方向の領域に形成されないため、この分だけ重量軽減を図ることができ、成形後に当該部分を削除するための旋削加工が不要となり、製造コストの低減を図ることができる。さらに、フランジ部21を形成するための素材の流動性を確保することができ、冷間鍛造の側方押出加工の成形性を確保することができる。
図27〜図29に示すように、この実施例9に係る車輪用軸受装置の製造方法に使用される冷間鍛造の側方押出加工の鍛造型装置770において、その鍛造型装置770に用いられるパンチ773と第2成形型72の嵌合部との間には、複数の嵌合突出片730aを形成するための成形空間が構成される。そして、冷間鍛造の側方押出加工によって鍛造凹部733を形成しながら一次成形品61の中間軸部20の外周面に複数のフランジ部21と、フランジ基部20aを放射状に形成すると共に、嵌合軸部730を構成する複数の嵌合突出片730a及び平坦面730bを同時に形成するようになっている。
また、パンチ773の先端部774は、側方押出加工においてフランジ部21を放射状に均一に形成するために、漸次縮径した滑らかな山形形状に形成され且つ先端は滑らかな曲面で形成されている。これは、フランジ付き軸部材701の鍛造凹部733に応力が集中して作用することがないように滑らかな窪み形状を形成するようになっている。
特に、この実施例9において、横断面の外周面に成形凹部が773aと、凸部773bとが周方向に交互に形成されたパンチ773を用いることによって、冷間鍛造の側方押出加工によって鍛造凹部733を形成しながら一次成形品61の中間軸部20の外周面に複数のフランジ部21と、フランジ基部20aを放射状に形成すると共に、嵌合軸部730を構成する複数の嵌合突出片730a及び平坦面730bを同時に形成することができる。これによって、製造コストの低減や重量軽減等を図ることができる。
例えば、フランジ付き軸部材の複数のフランジ部の横断面形状を図30〜図36に示すように変更してもこの発明を実施可能である。
この場合、凹部1022aにハブボルト27が圧入によって配置されるボルト孔1024が貫設される。
また、フランジ部1021の凹部1022aが形成される部分の肉厚寸法は、ハブボルト27を所望とする強度で圧入固定し得る大きさに設定することが望ましい。
前記したように、フランジ部1021を横断面コ字状に形成することによってフランジ部1021の必要とする強度を確保しながら軽量化を図ることができる。
また、ハブボルト27が圧入されるボルト孔102が必要以上に長くなることがないため、ハブボルト27の圧入によるフランジ部1021の変形を抑制することができる。
この場合、凹部1122cにハブボルト27が圧入によって配置されるボルト孔1124が貫設される。
また、フランジ部1121の凹部1122cが形成される部分の肉厚寸法は、ハブボルト27を所望とする強度で圧入固定し得る大きさに設定することが望ましい。
前記したように、フランジ部1121を横断面コ字状に形成することによってフランジ部1121の必要とする強度を確保しながら軽量化を図ることができる。
また、ハブボルト27が圧入されるボルト孔1124が必要以上に長くなることがないため、ハブボルト27の圧入によるフランジ部1121の変形を抑制することができる。
この場合、凹部1222a、1222cにハブボルト27が圧入によって配置されるボルト孔1224が貫設される。
また、フランジ部1221の凹部1222a、1222cが形成される部分の肉厚寸法は、ハブボルト27を所望とする強度で圧入固定し得る大きさに設定することが望ましい。
前記したように、フランジ部1221を横断面H字状に形成することによってフランジ部1221の必要とする強度を確保しながら軽量化をより一層良好に図ることができる。
また、ハブボルト27が圧入されるボルト孔1224が必要以上に長くなることがないため、ハブボルト27の圧入によるフランジ部1221の変形を抑制することができる。
フランジ部1321が横断面台形状に形成されることで、横断面矩形状に形成される場合と比べ重量軽減を図りやすくなる。
また、フランジ部1321のボルト座面側の幅寸法がローター支持面1322側の幅寸法よりも大きく設定されることで、ハブボルト27の座面の確保が容易となる。
フランジ部1421が横断面台形状に形成されることで、横断面矩形状に形成される場合と比べ重量軽減を図りやすくなる。
また、フランジ部1421のローター支持面1422側の幅寸法がボルト座面側の幅寸法よりも大きく設定されることで、ブレーキローターを安定よく支持することが可能となる。
この場合、フランジ部1521の根元部(基部)からボルト孔1524の近傍付近にわたる領域においては、凹部1522aによって重量軽減を図りながらリブ1522bによって強度を確保することができる。
また、フランジ部1521のボルト孔1524周辺近傍から先端にわたる領域を横断面矩形状に形成して、ボルト座面を良好に確保することができる。
この場合には、冷間鍛造の材料流動時における材料(フランジ部1621)とフランジ成形部1678との間の摩擦を転がり摩擦に換えることができ、第1、第2の両成形型1671、1672の型寿命の向上に効果が大きい。また、側方押出しに必要な荷重をより小さくできる。
さらに、フランジ部1621の「反り」の発生も良好に抑制することができる。
10 軸部
20 中間軸部
20a フランジ基部
21 フランジ部
22 ローター支持面
23 厚肉部
24 ボルト孔
27 ハブボルト
30 嵌合軸部
33 鍛造凹部
41 アンギュラ玉軸受(転がり軸受)
45 外輪部材
70 鍛造型装置
71 第1成形型
72 第2成形型
73 パンチ
75 キャビティ
78 フランジ成形部
80、81 案内面
83、84 逃がし部
Claims (3)
- 転がり軸受が組み付けられる軸部と、この軸部の一端側に形成されかつ車輪の中心孔が嵌込まれる嵌合軸部と、前記軸部と前記嵌合軸部との間に位置して外径方向に放射状に延出されかつ前記車輪を締め付けるハブボルトが配置されるボルト孔が貫設された複数のフランジ部とを有するフランジ付き軸部材を備えた車輪用軸受装置を製造する方法であって、
冷間鍛造の鍛造型装置によって前記嵌合軸部の中心部端面に鍛造凹部を形成しながら前記軸部と前記嵌合軸部との間の外周面に、側方押出加工によって前記フランジ部を形成する工程を備え、
前記鍛造型装置の成形型に形成されたキャビティのうち、前記フランジ部の両面に対応するフランジ成形部の両内壁面の少なくとも片側内壁面に前記フランジ部との間に隙間を保持する逃がし部が形成された成形型を用いて前記フランジ部を形成し、
前記逃がし部は、成形型のフランジ成形部の材料流入側が広く半径方向外方の奥側へ向かってしだいに狭くなるテーパ状に形成された成形型を用いて前記フランジ部を形成することを特徴とする車輪用軸受装置の製造方法。 - 請求項1に記載の車輪用軸受装置の製造方法であって、
前記成形型に形成されたキャビティのフランジ成形部の両内壁面にそれぞれ対応する部分に、前記フランジ部の両面との間に隙間をそれぞれ保持する両逃がし部が形成された成形型を用いて前記フランジ部を形成することを特徴とする車輪用軸受装置の製造方法。 - 請求項2に記載の車輪用軸受装置の製造方法であって、
前記成形型に形成されたキャビティのフランジ成形部には、両逃がし部の間の間隔寸法よりも小さい間隔寸法をもって対向し、かつ材料を流動案内する両案内面が形成された成形型を用いて前記フランジ部を形成することを特徴とする車輪用軸受装置の製造方法。
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