以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された車両用充電システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す車両用充電システム100は、車載充電制御装置10および屋内装置20を含んでいる。
車載充電制御装置10は、電動機(モータ)を走行駆動源として用いる電動車両のうちの、車両外部から供給される電力によって車載バッテリ40に充電を行う外部充電車両2に搭載される。そして、車両外部から供給される電力を用いた車載バッテリ40への充電の制御等を行う。なお、車載充電制御装置10は、請求項の車両側装置に相当する。
なお、車載バッテリ40は、外部充電車両2の走行駆動源として用いられるモータへ電力を供給するための走行用のバッテリである。また、外部充電車両2としては、モータのみを走行駆動源として用いる電気自動車(EV)やモータと内燃機関(エンジン)とを走行駆動源として併用するプラグインハイブリッド車(PHV)等がある。
屋内装置20は、外部充電車両2の充電場所に近接した建物内、例えば、外部充電車両2の所有者が住んでいる家屋3の屋内コンセント4に差し込んで使用される。なお、屋内コンセント4は、家屋3における商用電源の配電盤5に繋がった商用電力線6の屋内に向けた接続場所であって、周知のコンセントと同様のものである。よって、屋内装置20は、屋内コンセント4に差し込まれることによって商用電力線6と電気的に接続されることになる。なお、屋外コンセント7は、上記商用電力線6の屋外に向けた接続場所であって、周知のコンセントと同様のものである。また、屋内装置20は、車載充電制御装置10から送信されてくる情報を用いて認証を行い、この認証結果を車載充電制御装置10に送信するものである。
車両用充電システム100において、車載充電制御装置10は、屋外コンセント7にプラグが差し込まれた充電ケーブル8を介して屋外コンセント7と電気的に接続することが可能となっている。そして、車載充電制御装置10は、この充電ケーブル8を介して商用電力線6から電力の供給を受け、この電力を車載バッテリ40に与えることが可能となるものとする。なお、充電ケーブル8は、周知の電力供給線(電力線)である。
ここで、図2を用いて、車載充電制御装置10の概略的な構成についての説明を行う。なお、図2は車載充電制御装置10の概略的な構成を示すブロック図である。車載充電制御装置10は、図2に示すように固有ID記憶部11、車両側PLCモデム12、位置情報取得部13、充電切り替え部14、および車両側充電管理部15を備えている。
固有ID記憶部11は、電動車両を個別に識別する情報である車両固有コード(以下、固有IDとする)を記憶するメモリである。なお、固有ID記憶部11としては、EEPROM等の電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを用いる構成とすればよい。よって、固有ID記憶部11は、請求項の車両側記憶装置に相当する。また、固有IDは、請求項の車両特定情報に相当する。
車両側PLCモデム12は、電力線を使って通信を行う電力線搬送通信(PLC)に用いる通信装置である。車両側PLCモデム12は、車両側充電管理部15の指示に従って、車両側充電管理部15が固有ID記憶部11から読み出した固有IDや後述の位置情報取得部13から得た位置情報などを、充電ケーブル8および商用電力線6を介して、屋内コンセント4に差し込まれた屋内装置20へ送信する。また、車両側PLCモデム12は、屋内装置20から後述の認証結果の情報などが送信されてきた場合に、これらの情報を受信して車両側充電管理部15に送る。よって、車両側PLCモデム12は、請求項の車両側送信部に相当する
位置情報取得部13は、外部充電車両2の現在の位置情報を取得する。例えば、位置情報取得部13は、外部充電車両2に搭載された車載ナビゲーション装置の位置検出器から外部充電車両2の現在の位置情報を取得する構成とすればよい。
なお、この位置検出器は、例えば、周知の地磁気センサ、ジャイロスコープ、距離センサ、および衛星からの電波に基づいて車両の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機等を有しており、これらのセンサを利用して外部充電車両2の現在の位置を検出するものとする。また、これらのセンサは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては上述した内の一部のセンサで位置検出器を構成してもよく、さらにステアリングの回転センサ、各転動輪の回転速度から速度を検出する車速センサ等を位置検出器に用いる構成であってもよい。また、位置情報としては、例えば緯度・経度の情報を用いる構成とすればよい。
なお、ここでは、外部充電車両2に搭載された車載ナビゲーション装置の位置検出器から外部充電車両2の現在の位置情報を取得する構成を一例として示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、外部充電車両2の車室内に存在するGPS機能付き携帯電話機から位置情報取得部13が、外部充電車両2の現在の位置情報を取得する構成としてもよい。
なお、この場合には、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、ZigBee(登録商標)などの近距離無線通信によって位置情報取得部13がGPS機能付き携帯電話機から位置情報を取得する構成であってもよいし、USB通信、16芯のシリアル通信などの有線通信によって位置情報取得部13がGPS機能付き携帯電話機から位置情報を取得する構成であってもよい。
また、ここでは、位置情報として緯度・経度の情報を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、位置情報としては、携帯電話機から得られる基地局のエリアの情報など、外部充電車両2が存在する大まかなエリアを特定する情報を用いる構成としてもよい。
充電切り替え部14は、車両側充電管理部15に制御されることにより、電気的な接続状態を切り替え、充電ケーブル8を介して商用電力線6から与えられる電力の車載バッテリ40への供給を行ったり、遮断させたりするものである。なお、車載バッテリ40への電力の供給が可能となっている状態を電力供給許可状態とし、車載バッテリ40への電力の供給が可能となっていない状態を電力遮断状態とする。よって、充電切り替え部14は、請求項の切替え装置に相当する。なお、充電切り替え部14での電気的な接続状態を切り替える機構は、スイッチやリレーを用いて実現する構成とすればよい。以下では、充電切り替え部14での電気的な接続状態を切り替える機構として、リレーを用いる場合を例に挙げて説明を行う。
また、車載充電制御装置10は、図示しないAC/DC変換部も備えており、商用電力線6から供給される交流電力を直流電力に変換して車載バッテリ40に与えるようになっている。
車両側充電管理部15は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等(いずれも図示せず)よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行するものである。なお、車両側充電管理部15で行う各種の処理の詳細については後述する。
なお、固有ID記憶部11、車両側PLCモデム12、位置情報取得部13、および車両側充電管理部15は、屋外コンセント7に充電ケーブル8のプラグが差し込まれた(つまり、プラグインされた)ときに充電ケーブル8を介して商用電力線6から与えられる電力によって作動する構成とすればよい。また、固有ID記憶部11、車両側PLCモデム12、位置情報取得部13、および車両側充電管理部15は、例えば図示しないACC電源等から得られる電力によって作動する構成としてもよい。
続いて、図3および図4を用いて、屋内装置20の構成についての説明を行う。なお、図3は屋内装置20の概略的な構成を示すブロック図であり、図4は屋内装置20の概略的な外観を示す図である。屋内装置20は、図3に示すように、コンセント差込部21、屋内側PLCモデム22、認証IDデータベース23、位置情報記憶部24、持ち運び検知部25、操作スイッチ群26、外部ツール接続部27、コンセント差込口28、屋内側充電管理部29、および電池30を備えている。
コンセント差込部21は、屋内コンセント4に差込可能な形状を有しており、商用電力線6と電気的に接続するための2本の端子を有している(図4参照)。このコンセント差込部21が屋内コンセント4に差し込まれることで、屋内装置20は商用電力線6から電力の供給を受けることが可能になるとともに、商用電力線6を介した電力線搬送通信によって情報の送受信を行うことが可能となる。
屋内側PLCモデム22は、電力線搬送通信に用いる通信装置である。屋内側PLCモデム22は、後述する屋内側充電管理部29の指示に従って、屋内側充電管理部29での後述する認証結果の情報などを、商用電力線6および屋外コンセント7に差し込まれた充電ケーブル8を介して、車載充電制御装置10へ送信する。また、屋内側PLCモデム22は、車載充電制御装置10から前述の固有IDや位置情報などが送信されてきた場合に、これらの情報を受信して屋内側充電管理部29に送る。よって、屋内側PLCモデム22は、請求項の屋内側受信部に相当する。
認証IDデータベース23は、予め登録の行われた固有IDを記憶するメモリである。なお、認証IDデータベース23への固有IDの登録については後に詳述する。また、認証IDデータベース23としては、EEPROM等の電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを用いる構成とすればよい。
また、位置情報記憶部24は、予め登録の行われた位置情報を記憶するメモリである。なお、位置情報記憶部24への位置情報の登録については後に詳述する。また、位置情報記憶部24としては、EEPROM等の電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを用いる構成とすればよい。よって、認証IDデータベース23および位置情報記憶部24は、請求項の登録部に相当する。
なお、ここでは、認証IDデータベース23と位置情報記憶部24とを別々の部材として屋内装置20に備える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、認証IDデータベース23と位置情報記憶部24とを1つの部材として屋内装置20に備える構成としてもよい。この場合、1つのメモリの中に認証IDデータベース23としての機能を担う領域と位置情報記憶部24としての機能を担う領域とを設ける構成とすればよい。
持ち運び検知部25は、屋内装置20の持ち運びが行われたことを検知するものである。なお、持ち運び検知部25は、屋内装置20が移動中から静止状態へと移行する際の物理量の変化をセンサによって計測することによって、屋内装置20の持ち運びが行われたことを検知する。
例えば、持ち運び検知部25は、地磁気センサを有し、この地磁気センサが屋内装置20の一定量以上の方位の変化を計測したことをもとに、屋内装置20の持ち運びが行われたことを検知する構成としてもよい。なお、ここで言うところの一定量以上の方位の変化とは、例えば誤差範囲を超える程度の変化であって、任意に設定可能な量であるものとする。
また、例えば、持ち運び検知部25は、振動センサを有し、この振動センサが屋内装置20の一定量以上の振動を計測したことをもとに、屋内装置20の持ち運びが行われたことを検知する構成としてもよい。なお、ここで言うところの一定量以上の振動とは、例えば屋内コンセント4に差し込まれた屋内装置20に日常生活において生じる程度の振動の範囲を越える振動であって、任意に設定可能な量であるものとする。
さらに、例えば、持ち運び検知部25は、傾斜センサを有し、この傾斜センサが屋内装置20の一定量以上の傾斜の変化を計測したことをもとに、屋内装置20の持ち運びが行われたことを検知する構成としてもよい。傾斜センサとしては、例えば液体の傾斜に伴う静電容量の変化を角度変化として捉えるセンサを用いる構成としてもよいし、2軸や3軸の加速度センサを用いる構成としてもよい。なお、ここで言うところの一定量以上の傾斜の変化とは、例えば誤差範囲を超える程度の変化であって、任意に設定可能な量であるものとする。
なお、持ち運び検知部25は、上述したセンサ以外の物理量の変化を計測するセンサを利用して屋内装置20の持ち運びが行われたことを検知する構成としてもよい。また、持ち運び検知部25は、上述したセンサを組み合わせることによって、より精度良く屋内装置20の持ち運びが行われたことを検知する構成としてもよい。
操作スイッチ群26は、例えば表示装置と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等(図4参照)が用いられ、スイッチ操作により屋内装置20へ各種機能(例えば、固有ID・位置情報の初期登録、固有IDの追加登録、屋内装置20の作動・停止等)の操作指示を行う。なお、図4に示すように、固有ID・位置情報の初期登録や固有IDの追加登録の操作指示を行うためのスイッチ26aと屋内装置20の作動・停止の操作指示を行うためのスイッチ26bとを別部材として設ける構成としてもよい。
なお、操作スイッチ群26のスイッチ操作による屋内装置20の物理量の変化が、屋内装置20の持ち運びが行われたこととして持ち運び検知部25によって検知されないように、操作スイッチ群26としてはタッチセンサを用いる構成とすることがより好ましい。また、タッチセンサとしては、静電容量方式のタッチセンサを用いてもよいし、抵抗膜方式のタッチセンサを用いてもよい。
外部ツール接続部27は、屋内装置20以外の機器(以下、外部機器)を電気的に接続するための例えばUSBポート等のインターフェース(図4参照)であって、外部機器から送られてくる制御信号等を屋内側充電管理部29に伝える。一例としては、PCや携帯電話機といった外部機器と屋内装置20とのインターフェースとして働くことによって、PCや携帯電話機を操作スイッチ群26の代わりに用いることを可能にしたりする。
また、他にも、外部充電車両2のディーラー専用の外部機器と屋内装置20とのインターフェースとして働くことによって、ディーラー専用の外部機器からの屋内側充電管理部29の強制的な制御を受け付けることを可能にしたりする。ディーラー専用の外部機器からの屋内側充電管理部29の強制的な制御の一例としては、認証IDデータベース23および位置情報記憶部24に登録されている情報の初期化等がある。また、外部機器からの屋内側充電管理部29の強制的な制御は、例えばディーラーからの許可を受け取った携帯電話機等から行う構成であってもよい。
以上のように、外部ツール接続部27を備えることによって、外部機器からも屋内装置20を操作することが可能となり、ユーザの利便性が増すので、屋内装置20に外部ツール接続部27を備える構成がより好ましい。
コンセント差込口28は、家電製品等の電気器具のプラグとして一般的な規格のプラグの差し込みが可能なコンセントの差し込み口である(図4参照)。また、コンセント差込口28は、コンセント差込部21と電力線で接続されており、コンセント差込部21によって屋内装置20に引き込まれた電力を、コンセント差込口28に差し込まれたプラグに供給できるようになっている。
以上のように、コンセント差込口28を備えることによって、屋内装置20が使用している屋内コンセント4の差込口の代わりの差込口を提供することが可能になるので、屋内装置20を使用する場合にも利用可能なコンセントの差込口を減少させることなく、ユーザの利便性を確保することができる。よって、屋内装置20にコンセント差込口28を備える構成がより好ましい。
屋内側充電管理部29は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等(いずれも図示せず)よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行するものである。なお、屋内側充電管理部29で行う各種の処理の詳細については後述する。
電池30は、持ち運び検知部25や屋内側充電管理部29に電力を供給するものである。なお、電池30としては、屋内装置20から取り出して交換可能な一次電池であっても、二次電池であってもよい。また、屋内装置20に内蔵され、コンセント差込部21を介して商用電力線6から供給される電力をもとに充電を行うことが可能な二次電池であってもよい。
なお、電池30は、屋内装置20の持ち運び時に電池30を抜き取って持ち運び検知部25への電力供給を停止させ、持ち運び検知部25での持ち運びの検知を行うことができないようにする不正な利用を防ぐため、屋内装置20に内蔵し、取り出しを困難にすることが好ましい。
また、屋内側PLCモデム22、認証IDデータベース23、位置情報記憶部24、タッチセンサを用いた場合の操作スイッチ群26は、コンセント差込部21が屋内コンセント4に差し込まれているときに商用電力線6から得られる電力によって作動する構成とすればよい。さらに、屋内側充電管理部29は、例えばコンセント差込部21が屋内コンセント4に差し込まれている間は、商用電力線6から得られる電力によって作動する構成としてもよい。
次に、図5〜図7を用いて、車両用充電システム100での処理の流れについての説明を行う。まず、図5を用いて、車両用充電システム100において固有ID・位置情報の初期登録が行われる場合の処理の流れについて説明を行う。なお、図5は、車両用充電システム100において固有ID・位置情報の初期登録が行われる場合のシーケンス図である。
また、本例では、屋内装置20が未初期化の状態であるものとする。なお、未初期化の状態とは、認証IDデータベース23に固有IDが登録されていないとともに、位置情報記憶部24に位置情報が登録されていない状態を示す。また、本例では、屋内装置20は、屋内コンセント4に差し込まれているものとして以下の説明を続ける。
まず、外部充電車両2の車載充電制御装置10に接続された充電ケーブル8のプラグを屋外コンセント7に指し込むことによって、商用電力線6に充電ケーブル8を接続する(S1参照)。車両側充電管理部15は、車両側PLCモデム12を制御してPLCの確立を試みており、屋内側充電管理部29は屋内側PLCモデム22を制御してPLCの確立を試みている。よって、屋外コンセント7に充電ケーブル8が接続され、車載充電制御装置10と屋内装置20とが電気的に接続されると、PLCが確立する(S2参照)。
PLCが確立した後は、車両側充電管理部15は、固有ID記憶部11からの外部充電車両2の固有IDの読み込み、および位置情報取得部13からの外部充電車両2の現在の位置情報の読み込みを行う(S3参照)。そして、車両側充電管理部15は、固有ID記憶部11から外部充電車両2の固有IDを取得する(S4参照)とともに、位置情報取得部13から外部充電車両2の現在の位置情報を取得する(S5参照)。
また、車両側充電管理部15は、取得した固有IDおよび位置情報の暗号化を行い(S6参照)、暗号化を行った固有IDおよび位置情報をPLCによって車両側PLCモデム12から屋内側PLCモデム22へと送信を行わせる(S7参照)。そして、屋内側充電管理部29は、屋内側PLCモデム22で受信した上述の固有IDおよび位置情報を受け取って復号化を行う(S8参照)。
続いて、屋内側充電管理部29は初期化判定を行う(S9参照)。初期化判定では、認証IDデータベース23に固有IDが登録されているとともに、位置情報記憶部24に位置情報が登録されている場合には、屋内装置20の初期化が行われているものと屋内側充電管理部29が判定する。一方、認証IDデータベース23に固有IDが登録されていないとともに、位置情報記憶部24に位置情報が登録されていない場合には、屋内装置20の初期化が行われていない未初期化の状態であるものと屋内側充電管理部29が判定する。
本例では、屋内装置20は未初期化の状態であるので、屋内装置20が未初期化の状態であるものと屋内側充電管理部29が判定し、屋内装置20が未初期化であることが屋内側充電管理部29で確認される(S10参照)。
屋内装置20が未初期化であることが確認された後は、復号化した固有IDを屋内側充電管理部29が認証IDデータベース23に書き込みを行う(S11参照)ことによって登録を行うとともに、復号化した位置情報を屋内側充電管理部29が位置情報記憶部24に書き込みを行う(S12参照)ことによって登録を行う。
書き込みが完了(S13参照)した後は、屋内装置20の初期化が完了したことを示す回答(以下、初期化完了回答)を、屋内側充電管理部29が、PLCによって屋内側PLCモデム22から車両側PLCモデム12へと送信させる(S14参照)。そして、車両側PLCモデム12から車両側充電管理部15が初期化完了回答を受け取って、初期登録が完了する。
続いて、図6を用いて、車両用充電システム100において認証が成立する場合の処理の流れについて説明を行う。なお、図6は、車両用充電システム100において認証が成立する場合のシーケンス図である。
また、本例では、屋内装置20が初期化済の状態であり、外部充電車両2の固有IDも現在の位置情報も屋内装置20に登録済であるものとする。なお、本例では、屋内装置20は、屋内コンセント4に差し込まれているものとして以下の説明を続ける。また、図6中のS21〜S29までは、図5中のS1〜S9の処理と同様であるため、S21〜S28までの処理の説明は省略し、以下ではS29の処理から説明を開始する。
屋内側充電管理部29は、屋内側PLCモデム22で受信した固有IDおよび位置情報を受け取って復号化を行った後、初期化判定を行う(S29参照)。本例では、屋内装置20は初期化済の状態であるので、屋内装置20が初期化済の状態であるものと屋内側充電管理部29が判定し、屋内装置20が初期化済であることが屋内側充電管理部29で確認される(S30参照)。
屋内装置20が初期化済であることが確認された後は、屋内側充電管理部29は、認証IDデータベース23からの登録済の固有IDの読み込み、および位置情報記憶部24からの登録済の位置情報の読み込みを行う(S31参照)。そして、屋内側充電管理部29は、認証IDデータベース23から登録済の固有IDを取得する(S32参照)とともに、位置情報記憶部24から登録済の位置情報を取得する(S33参照)。
続いて、屋内側充電管理部29は、復号化した固有IDおよび位置情報(つまり、屋内側PLCモデム22で受信した固有IDおよび位置情報)と認証IDデータベース23および位置情報記憶部24から取得した登録済の固有IDおよび位置情報とを照合する(S34参照)。本例では、外部充電車両2の固有IDも現在の位置情報も屋内装置20に登録済であるので、復号化した固有IDおよび位置情報と登録済の固有IDおよび位置情報との一致が確認される(S35参照)。
上記一致が確認された後は、認証が成立したことを示す回答(認証成立回答)を、屋内側充電管理部29が、PLCによって屋内側PLCモデム22から車両側PLCモデム12へと送信させる(S36参照)。そして、車両側PLCモデム12から車両側充電管理部15が認証成立回答を受け取ると、車両側充電管理部15が充電切り替え部14に充電許可を与える(S37参照)。詳しくは、充電切り替え部14での電気的な接続状態をオンにする制御信号を送る。なお、認証成立回答については、送信時には屋内側充電管理部29で暗号化して屋内側PLCモデム22から送信が行われ、車両側PLCモデム12で受信した後に車両側充電管理部15で復号化が行われるものとする。
車両側充電管理部15から充電許可を受けた充電切り替え部14では、リレーをONにする(S38参照)ことによって、車載バッテリ40への電力の供給が可能な電力供給許可状態へと移行させる。そして、電力供給許可状態へと移行した後は、充電ケーブル8を介して商用電力線6から与えられる電力を、充電切り替え部14を介して車載バッテリ40へ供給し、車載バッテリ40の充電を行う(S39参照)。
なお、復号化した固有IDおよび位置情報と登録済の固有IDおよび位置情報との一致が確認されなかった場合には、認証が不成立となり、認証成立回答が屋内側充電管理部29に送られない。よって、充電切り替え部14ではリレーがOFFのままであり、電力遮断状態が維持されたままとなるので、充電ケーブル8を介して商用電力線6から与えられる電力を、充電切り替え部14を介して車載バッテリ40へ供給することができず、車載バッテリ40への充電を行うことはできない。よって、屋内側充電管理部29は請求項の認証部に相当する。
続いて、図7を用いて、車両用充電システム100において持ち運びを検知した場合の処理の流れについて説明を行う。なお、図7は、車両用充電システム100において持ち運びが行われた場合のシーケンス図である。
また、本例では、自宅である家屋3の充電場所に外部充電車両2を停車させた状態で初期登録が行われ、屋内装置20には、家屋3の充電場所の位置情報と外部充電車両2の固有IDとが登録されているものとする。また、本例では、外部充電車両2と屋内装置20とを自宅から持ち出し、自宅以外の建物の屋外コンセントに充電ケーブル8および屋内装置20を不正に接続する場合を例に挙げて説明を行う。
なお、自宅以外の建物の屋外コンセントに充電ケーブル8および屋内装置20を不正に接続する場合の一例として、屋外コンセントに拡張コンセントを取り付け、この拡張コンセントに充電ケーブル8および屋内装置20を接続することによって行う場合をここでは想定する。
まず、自宅である家屋3から自宅以外の建物の屋外コンセントが存在する場所(以下、盗電場所)まで屋内装置20の持ち運びが行われる(S41参照)。屋内装置20は、盗電場所において、屋外コンセントに取り付けられた拡張コンセントにコンセント差込部21を差し込んで設置される。そして、屋内装置20が盗電場所に設置されると、屋内装置20の持ち運び検知部25が、移動中から静止状態へと移行する際の物理量の変化を計測して、屋内装置20の持ち運びが行われたことを検知する(S42参照)。また、持ち運び検知部25は、屋内装置20の持ち運びが行われたことを検知したことを示す検知結果を屋内側充電管理部29に送る(S43参照)。
屋内装置20の持ち運びが行われたことを持ち運び検知部25で検知した後には、屋内側充電管理部29がタイマーを作動させ、所定時間が経過するまでは前述の認証を行うことをできないようにする(S44参照)。なお、ここで言うところの所定時間とは、盗電場所に留まっていた場合に盗電場所の建物の住人や就労者等に見つかる可能性が高い程度の時間であって、任意に設定可能な時間である。例えば、所定時間として、数十分〜数時間を設定する構成とすればよい。また、上述のタイマーは、屋内側充電管理部29にタイマー回路を備えることによって実現する構成とすればよい。
続いて、外部充電車両2の車載充電制御装置10に接続された充電ケーブル8のプラグを盗電場所の屋外コンセントに取り付けられた拡張コンセントに指し込むことによって、屋外コンセント7に充電ケーブル8を接続する(S45参照)。このとき、屋内装置20も拡張コンセントに指し込まれているため、車載充電制御装置10と屋内装置20とが電気的に接続され、PLCが確立する。
PLCが確立した後は、車両側充電管理部15から屋内側充電管理部29に向けて認証問い合わせを行う(S46参照)。認証問い合わせでは、例えば前述のS3〜S7と同様の一連の処理を行い、暗号化を行った固有IDおよび位置情報を、PLCによって車両側PLCモデム12から屋内側PLCモデム22へと送信する。
屋内側充電管理部29は、屋内側PLCモデム22で受信した固有IDおよび位置情報を受け取ることになるが、前述の所定時間が経過するまでは認証を行わず、認証が成立しない(S47参照)。また、認証が成立しないため、車両側充電管理部15は充電切り替え部14に充電許可を与えることができず、待機状態となる(S48参照)。
以上の構成によれば、車載バッテリ40への電力供給許可状態と電力遮断状態との切り替えは車載充電制御装置10に備えられる充電切り替え部14によって行うので、電力供給を禁止するための機構を設けるための電力配線の改造を家屋3側で行う必要がない。また、以上の構成によれば、商用電力線6を介したPLCによってやり取りする情報によって、屋内装置20で外部充電車両2への電力供給の認証(つまり、許可判定)を行うことになるので、上記許可判定に用いる情報をやり取りするための通信線を家屋3側に新たに設ける必要がない。
さらに、この屋内装置20は、商用電力線6の家屋3内に向けた屋内コンセント4に差し込むことによって商用電力線6と電気的に接続されるコンセント差込式であり、着脱自在であるので、外部充電車両2への電力供給の許可判定を行う認証装置である屋内装置20を、家屋3の壁面の内側に設ける改造が必要なく、取り付けが容易である。また、屋内装置20の故障時に容易に交換を行うことができる。従って、以上の構成によれば、盗電の防犯者側である家屋3側での防犯コストをより抑えることができる。
また、以上の構成によれば、より高い盗電防止性を確保することができる。以下では、本発明における盗電防止性に関する効果について、図8〜図12を用いて説明を行う。図8〜図12は、盗電防止性についての説明を行うための模式図である。なお、以下では、盗電行為を行う側を盗電人、盗電行為を受ける側を他人として説明を行う。
まず、図8で示す例は、屋内装置20を非設置の他人の家屋3(図8中では他人宅A)の屋外コンセント7から盗電人が所有する外部充電車両2の車載バッテリ40に充電を行おうとした場合の例である。なお、外部充電車両2には車載充電制御装置10が搭載されているものとする。
図8の例では、他人宅Aには屋内装置20が非設置であるため、車載充電制御装置10のPLCが確立せず、認証を行うことができないので、外部充電車両2の車載バッテリ40に充電を行うことができない。よって、本発明によれば、屋内装置20を非設置の他人の家屋3の屋外コンセント7からの盗電を防止することが可能となり、より高い盗電防止性を確保することができる。
続いて、図9で示す例は、屋内装置20を設置している他人の家屋3(図9中では他人宅B)の屋外コンセント7から盗電人が所有する外部充電車両2の車載バッテリ40に充電を行おうとした場合の例である。
なお、外部充電車両2には車載充電制御装置10が搭載されているものとし、車載充電制御装置10の固有ID記憶部11には、固有ID「1111」が記憶されているものとする。また、他人の屋内装置20の認証IDデータベース23には、固有ID「1234」(図9中では、許可ID「1234」)が登録されているものとする。
図9の例では、他人の屋内装置20に登録されている固有IDと外部充電車両2が保有する固有IDとが一致しないため、屋内装置20の屋内側充電管理部29での認証が成立せず、外部充電車両2の車載バッテリ40に充電を行うことができない。よって、本発明によれば、屋内装置20を設置した他人の家屋3の屋外コンセント7からの盗電を防止することが可能となり、より高い盗電防止性を確保することができる。
続いて、図10で示す例は、他人の家屋3(図10中では他人宅C)の屋外コンセント7に拡張コンセントを取り付け、この拡張コンセントに盗電人の自宅から持ち出してきた屋内装置20と充電ケーブル8を差込むことで、盗電人が所有する外部充電車両2の車載バッテリ40に充電を行おうとした場合の例である。
なお、外部充電車両2には車載充電制御装置10が搭載されているものとし、車載充電制御装置10の固有ID記憶部11には固有ID「1111」が記憶されているものとする。また、盗電人の屋内装置20の認証IDデータベース23には固有ID「1111」が、位置情報記憶部24には盗電人の自宅の充電場所の位置情報である「aaaa.aaaa」が登録されているものとする。なお、図10の例における盗電場所の位置情報は、「aaaa.bbbb」であるものとする。
図10の例では、拡張コンセントによって車載充電制御装置10と盗電人の屋内装置20とのPLCが確立し、車載充電制御装置10と盗電人の屋内装置20との間で固有IDおよび位置情報の照合が行われてしまう。ここで、盗電人の屋内装置20に登録されている固有IDと外部充電車両2が保有する固有IDとは一致するものの、盗電人の屋内装置20に登録されている位置情報と盗電場所の位置情報とが一致しないため、屋内装置20の屋内側充電管理部29での認証が成立せず、外部充電車両2の車載バッテリ40に充電を行うことができない。よって、本発明によれば、拡張コンセントなどで不正な接続を行った屋内装置20が用いられる場合であっても、他人の家屋3の屋外コンセント7からの盗電を防止することが可能となり、より高い盗電防止性を確保することができる。
つまり、以上の構成によれば、充電を許可する車両を限定するだけでなく、充電を許可する場所までを限定することができるので、固有IDだけを上記照合に用いる場合に比べて、より高い盗電防止性を確保することができる。
続いて、図11で示す例は、他人の家屋3(図11中では他人宅D)の屋外コンセント7に拡張コンセントを取り付け、この拡張コンセントに盗電人の屋内装置20と充電ケーブル8を差込み、盗電場所で固有ID・位置情報の初期登録を行うことで、盗電人が所有する外部充電車両2の車載バッテリ40に充電を行おうとした場合の例である。
なお、外部充電車両2には車載充電制御装置10が搭載されているものとし、車載充電制御装置10の固有ID記憶部11には固有ID「1111」が記憶されているものとする。また、盗電人の屋内装置20の認証IDデータベース23および位置情報記憶部24は未初期化の状態であるものとする。なお、図11の例における盗電場所の位置情報は、「aaaa.bbbb」であるものとする。
図11の例では、拡張コンセントによって車載充電制御装置10と盗電人の屋内装置20とのPLCが確立し、盗難場所で固有ID・位置情報の初期登録が行われるので、盗電人の屋内装置20の認証IDデータベース23には固有ID「1111」が、位置情報記憶部24には盗電場所の位置情報である「aaaa.bbbb」が登録される。また、上記初期登録が行われたときには、拡張コンセントによって車載充電制御装置10と盗電人の屋内装置20とのPLCが確立しているので、車載充電制御装置10と盗電人の屋内装置20との間で固有IDおよび位置情報の照合が行われてしまう。
ここで、上記初期登録が行われたときの照合においては、盗電人の屋内装置20に登録されている固有IDと外部充電車両2が保有する固有IDとが一致するとともに、盗電人の屋内装置20に登録されている位置情報と盗電場所の位置情報とも一致してしまうため、屋内装置20の屋内側充電管理部29での認証が成立し、外部充電車両2の車載バッテリ40に不正に充電を行うことができてしまう。
しかしながら、盗電人の屋内装置20を一旦盗電人の自宅に持ち帰った後は、盗電場所に盗電人の屋内装置20を持ち運ぶたびに、屋内装置20の持ち運びが行われたことを持ち運び検知部25が検知し、盗電場所での盗電人の屋内装置20での認証を受けて行う充電をしばらくの間行うことができなくすることが可能になる。盗電場所に長くとどまるほど盗電行為が見つかり易くなるため、以上の構成によれば、屋内装置を不正に利用した盗電が行いにくくなる。よって、本発明によれば、固有ID・位置情報の不正な初期登録を行った屋内装置20が用いられる場合であっても、他人の家屋3の屋外コンセント7からの盗電を防止することが可能となり、より高い盗電防止性を確保することができる。
続いて、図12は、車載充電制御装置10と屋内装置20との情報のやり取りが、仮に無線通信で行われるとした場合の例である。図12で示す例では、盗電人の屋内装置20を盗電人の家屋3(図12中では自宅E)に設置しており、他人の家屋3(図12中では他人宅F)の屋外コンセント7から盗電人が所有する外部充電車両2の車載バッテリ40に充電を行おうとした場合の例である。
なお、外部充電車両2には車載充電制御装置10が搭載されているものとし、車載充電制御装置10の固有ID記憶部11には固有ID「1111」が記憶されているものとする。また、盗電人の屋内装置20の認証IDデータベース23には固有ID「1111」が、位置情報記憶部24には盗電人の自宅の充電場所の位置情報である「aaaa.aaaa」が記憶されているものとする。なお、盗電人の自宅の充電場所からは、外部充電車両2に搭載された車載充電制御装置10に接続された充電ケーブル8を他人の家屋3の屋外コンセント7にも差込むことができるものとし、図10の例における盗電場所の位置情報は、「aaaa.aaaa」であるものとする。
図12の例では、車載充電制御装置10と盗電人の屋内装置20との無線通信が確立し、盗難場所で固有IDおよび位置情報の照合が行われてしまう。ここで、盗電人の屋内装置20に登録されている固有IDと外部充電車両2が保有する固有IDとが一致するとともに、盗電人の屋内装置20に登録されている位置情報と盗電場所の位置情報とも一致してしまうため、屋内装置20の屋内側充電管理部29での認証が成立し、外部充電車両2の車載バッテリ40に他人の家屋3の屋外コンセント7から不正に充電を行うことができてしまう。
これに対して、本発明の構成によれば、車載充電制御装置10と屋内装置20との間での通信にPLCを用いているので、他人の家屋3の屋外コンセント7に電気的に接続されていない屋内装置20との間で通信が確立することはない。よって、車載充電制御装置10と屋内装置20との間での通信に無線通信を用いた場合に生じる前述したような不都合を生じさせることがなく、より高い盗電防止性を確保することができる。
また、屋内装置20は、屋内装置20の持ち運びが行われたことを持ち運び検知部25で所定回数以上検知した場合に、屋内側充電管理部29での認証を行うことができなくすることによって屋内装置20を機能停止させる構成としてもよい。この場合には、持ち運び検知部25で検知が行われた積算回数をカウントするカウンタを屋内側充電管理部29に備え、このカウンタでカウントした積算回数が上記所定回数に達したときに、認証に関する処理を行うことを屋内側充電管理部29が停止するようにすればよい。よって、屋内側充電管理部29は、請求項の使用禁止部にも相当する。
なお、ここで言うところの所定回数とは、屋内コンセント4に取り付けっぱなしの屋内装置20における持ち運び検知部25で不測の事態や誤作動によって検知が行われてしまう回数を越える程度の回数であって、任意に設定可能な値である。
以上の構成によれば、屋内装置20を頻繁に持ち運ぶことをできなくすることが可能になる。屋内装置20を不正に利用して盗電を行う場合には、屋内装置20を盗電場所まで持ち運ぶ必要があるため、以上の構成によれば、屋内装置20を不正に利用した盗電が行いにくくなる。従って、以上の構成によれば、さらに高い盗電防止性を確保することができる。
また、屋内装置20が機能停止した場合には、例えば外部ツール接続部27を介して外部充電車両2のディーラー専用の外部機器から機能停止を解除する解除コードを屋内側充電管理部29に送り、機能停止を解除する構成とすればよい。また、他にも、外部充電車両2のディーラーから外部充電車両2の所有者の携帯電話機に機能停止の解除コードを送信する構成としてもよい。この場合には、上記解除コードを受信した携帯電話機を、外部ツール接続部27を介して屋内装置20に接続し、上記解除コードを屋内側充電管理部29に送ることによって、機能停止を解除する構成とすればよい。
なお、盗電の防犯者側での盗電防止策として、車載充電制御装置10の充電切り替え部14を電力供給許可状態にすることを妨げる充電禁止装置50を車両用充電システム100に追加する構成としてもよい。以下では、この構成について図13を用いて説明を行う。
なお、図13は、充電禁止装置50の概略的な構成を示すブロック図である。また、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
充電禁止装置50は、図13に示すように、コンセント差込部21、屋内側PLCモデム22、コンセント差込口28、および充電禁止処理部51を備えている。また、充電禁止装置50は、コンセント差込部21を屋内コンセント4に差し込んだ状態で使用される。
充電禁止処理部51は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等(いずれも図示せず)よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行するものである。
また、充電禁止処理部51は、あらゆる外部充電車両2のどの固有IDにも一致しない全車認証不可IDをROM等のメモリに保持している。そして、充電禁止装置50のコンセント差込部21が屋内コンセント4に差し込まれ、商用電力線6に電気的に接続されている間は、この全車認証不可IDを屋内側PLCモデム22から商用電力線6に出力している。なお、全車認証不可IDは、固有IDの照合において車載充電制御装置10から送信される固有IDに優先して照合に用いられるIDであるものとする。
以上の構成によれば、充電禁止装置50のコンセント差込部21が屋内コンセント4に差し込まれている間(つまり、充電禁止装置50が設置されている間)は、あらゆる外部充電車両2のどの固有IDにも一致しない全車認証不可IDが、固有IDの照合において、車載充電制御装置10から送信される固有IDに優先して照合に用いられることになるので、屋内装置20での認証が成立することがなくなる。
ここで、充電禁止装置50を用いる場合の盗電防止性に関する効果について、図14を用いて説明を行う。図14は、盗電防止性についての説明を行うための模式図である。なお、以下では、盗電行為を行う側を盗電人、盗電行為を受ける側を防犯者として説明を行う。
図14で示す例は、防犯者の家屋3(図14中では防犯者宅G)の屋外コンセント7に拡張コンセントを取り付け、この拡張コンセントに盗電人の屋内装置20と充電ケーブル8を差込み、盗電場所で固有ID・位置情報の初期登録を行うことで、盗電人が所有する外部充電車両2の車載バッテリ40に充電を行おうとした場合の例である。
なお、外部充電車両2には車載充電制御装置10が搭載されているものとし、車載充電制御装置10の固有ID記憶部11には固有ID「1111」が記憶されているものとする。また、盗電人の屋内装置20の認証IDデータベース23および位置情報記憶部24は未初期化の状態であるものとする。なお、図14の例における盗電場所の位置情報は、「aaaa.bbbb」であるものとする。
図14の例では、拡張コンセントによって車載充電制御装置10と盗電人の屋内装置20とのPLCが確立し、盗難場所で固有ID・位置情報の初期登録が行われるので、盗電人の屋内装置20の認証IDデータベース23には固有ID「1111」が、位置情報記憶部24には盗電場所の位置情報である「aaaa.bbbb」が登録される。また、上記初期登録が行われたときには、拡張コンセントによって車載充電制御装置10と盗電人の屋内装置20とのPLCが確立しているので、車載充電制御装置10と盗電人の屋内装置20との間で固有IDおよび位置情報の照合が行われてしまう。
しかしながら、充電禁止装置50が設置されていることにより、固有IDの照合においては、車載充電制御装置10から送信される固有ID「1111」に優先して全車認証不可IDが照合に用いられる。そして、盗電人の屋内装置20に登録されている固有ID「1111」と全車認証不可IDとは一致しないため、屋内装置20の屋内側充電管理部29での認証が成立せず、外部充電車両2の車載バッテリ40に充電を行うことができない。
つまり、以上の構成によれば、充電禁止装置50が商用電力線6と電気的に接続されている間は、充電切り替え部14を電力供給許可状態にすることを妨げる情報が充電禁止装置50から商用電力線6に出力されているので、不正に車載バッテリ40に充電を行うことができなくなる。従って、以上の構成によれば、さらに高い盗電防止性を確保することができる。
また、以上の構成によれば、充電禁止装置50は、商用電力線6と電気的に接続されている間、充電切り替え部14を電力供給許可状態にすることを妨げる情報を商用電力線6に出力する処理を行うだけでよいので、認証に用いる情報を記憶する機構や認証の処理など複雑な処理を行うための機構を備える必要がなく、安価に実現することが可能である。よって、盗電の防犯者側が、より安価な手段で確実に盗電を防止することが可能になる。
なお、ここでは、充電切り替え部14を電力供給許可状態にすることを妨げる情報として全車認証不可IDを用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、充電禁止装置50が商用電力線6に電気的に接続されている間、充電切り替え部14を電力遮断状態とすることを命令する制御信号を屋内側PLCモデム22から商用電力線6に出力する構成としてもよい。この場合、この制御信号を受け取った屋内側充電管理部29で充電切り替え部14を電力遮断状態にする制御を行わせ、充電切り替え部14を電力供給許可状態にすることを妨げる構成とすればよい。
図14では、防犯者の家屋3に屋内装置20が設置されていない構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、防犯者の家屋3に屋内装置20と充電禁止装置50とが設置されている構成であってもよい。この場合であっても、防犯者が外部充電車両2の車載バッテリ40の充電を行いたいときには、充電禁止装置50のコンセント差込部21を屋内コンセント4から抜いて行えばよい。
また、屋内装置20と充電禁止装置50とが一体に形成されている構成としてもよい。この場合には、コンセント差込部21は1つとし、スイッチ操作等によって屋内装置20と充電禁止装置50との使用を切り替え可能な構成とすればよい。これによれば、屋内装置20と充電禁止装置50とを設置しながらも、1つの屋内コンセント4しか使用せずに済む。
また、盗電の防犯者側での盗電防止策として、外部充電車両2の車載バッテリ40への充電回数を制限する充電制限装置70を車両用充電システム100に追加する構成としてもよい。以下では、この構成について図15を用いて説明を行う。なお、図15は、充電制限装置70の概略的な構成を示すブロック図である。また、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
充電制限装置70は、図15に示すように、コンセント差込部21、屋内側PLCモデム22、コンセント差込口28、および充電制限処理部71を備えている。また、充電禁止装置50は、コンセント差込部21を屋内コンセント4に差し込んだ状態で使用される。
充電制限処理部71は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM、カウンタ等(いずれも図示せず)よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行するものである。
充電制限処理部71は、外部充電車両2の車載バッテリ40への充電回数を、カウンタを用いてカウントする。よって、充電制御処理部71は、請求項の充電回数カウント部に相当する。そして、カウント値(つまり、充電回数の積算値)が規定回数に達するまでは、コンセント差込部21が屋内コンセント4に差し込まれて商用電力線6と電気的に接続されている間(つまり、充電制限装置70が設置されている間)、充電切り替え部14を電力供給許可状態にする情報(以下、充電許可情報)を商用電力線6に出力する。
なお、ここで言うところの規定回数とは、任意に設定可能な値である。また、充電許可情報としては、例えば前述の認証成立回答であってもよいし、充電切り替え部14を電力供給許可状態とすることを命令する制御信号であってもよい。さらに、充電許可情報は、車載充電制御装置10と充電制限装置70との間でPLCが確立し、車載充電制御装置10から送信された固有IDや位置情報を充電制限装置70で受信したことをトリガとして商用電力線6に出力する構成としてもよいし、カウント値が規定回数に達するまでは、商用電力線6に逐次出力する構成としてもよい。
また、充電制限処理部71での充電回数のカウントは、例えば車載充電制御装置10と充電制限装置70との間でPLCが確立し、車載充電制御装置10から送信された固有IDや位置情報を充電制限装置70で受信する一連の処理が行われるごとにカウントを行う構成としてもよいし、充電許可情報を商用電力線6に出力するごとにカウントを行う構成としてもよい。他にも、車載充電制御装置10と充電制限装置70との間でPLCが確立して解消するまでの一連の処理が行われるごとにカウントを行う構成としてもよい。
一方、カウント値が規定回数に達した後は、充電制限装置70が設置されている間、充電切り替え部14を電力供給許可状態にすることを妨げる情報を商用電力線6に出力する。なお、充電切り替え部14を電力供給許可状態にすることを妨げる情報としては、例えば前述の全車認証不可IDであってもよいし、充電切り替え部14を電力遮断状態とすることを命令する制御信号であってもよい。
以上の構成によれば、充電制限装置70は、商用電力線6から外部充電車両2への積算された充電回数が規定回数に達するまでは、商用電力線6と電気的に接続されている間、充電切り替え部14を電力供給許可状態にする情報を商用電力線6に出力するので、外部充電車両2は認証なしに車載バッテリ40に充電を行うことが可能になる。よって、以上の構成によれば、屋内装置20によって制限される場所以外の別荘、友人宅、旅行先などでも車載バッテリ40に充電を行うことが可能となり、利便性を向上させることが可能になる。
一方、以上の構成によれば、充電制限装置70は、商用電力線6から外部充電車両2への積算された充電回数が規定回数に達した後は、商用電力線6と電気的に接続されている間、充電切り替え部14を電力供給許可状態にすることを妨げる情報を商用電力線6に出力するので、外部充電車両2の車載バッテリ40への充電を行うことができなくなる。よって、以上の構成によれば、必要以上の回数の車載バッテリ40への充電を制限し、盗電防止性も確保することが可能になる。
また、充電制限装置70のカウント値をゼロクリアしたい場合には、例えば外部ツール接続部27を介して外部充電車両2のディーラー専用の外部機器から、カウント値をゼロクリアするクリア信号を生成する回路に制御信号を送り、クリア信号を生成させてカウント値をゼロクリアする構成などとすればよい。
なお、前述の実施形態では、商用電力線6から外部充電車両2の車載バッテリ40への充電は、充電ケーブル8を介した接触式充電によって行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。商用電力線6を少なくとも経由して充電を行う構成であればよく、例えば、商用電力線6から外部充電車両2の車載バッテリ40への充電を、電磁誘導を利用した非接触式充電によって行う構成としてもよい。この場合にも、電流に通信用の信号を重畳させるので、非接触式であっても車載充電制御装置10と屋内装置20との間での情報のやり取りは可能である。
また、前述の実施形態では、屋内装置20に持ち運び検知部25を備える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、屋内装置20に持ち運び検知部25を備えない構成としてもよい。この場合には、屋内装置20に電池30も備えない構成とすればよい。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。