JP5459210B2 - ワイヤグリッド型偏光子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
吸収型偏光子は、たとえば、ヨウ素等の二色性色素を樹脂フィルム中に配向させた偏光子である。しかし、吸収型偏光子は、一方の偏光を吸収するため、光の利用効率が低い。
反射型偏光子としては、複屈折樹脂積層体からなる直線偏光子、コレステリック液晶からなる円偏光子、ワイヤグリッド型偏光子がある。
しかし、直線偏光子および円偏光子は、偏光分離能が低い。そのため、高い偏光分離能を示すワイヤグリッド型偏光子が注目されている。
(1)光透過性基板上に所定のピッチで金属細線が形成されたワイヤグリッド型偏光子(特許文献1)。
(2)光透過性基板の表面に所定のピッチで形成された複数の凸条の上面および側面が、金属または金属化合物からなる材料膜で被覆されて金属細線をなしているワイヤグリッド型偏光子(特許文献2)。
しかし、(1)、(2)のワイヤグリッド型偏光子ともには、偏光分離能がいまだ不充分である。
(3)光透過性基板上に所定のピッチで金属細線および低反射率部材(SiO2等。)が形成されたワイヤグリッド型偏光子(特許文献3)。
しかし、(3)のワイヤグリッド型偏光子は、短波長領域での透過率が不充分である。
金属層は、さらに凸条の側面の全面に存在していてもよい。
下地層は、さらに、凸条間の光透過性基板表面に存在していてもよい。
金属細線の幅(Da)、凸条のピッチ(Pp)および凸条の幅(Dp)は、下式(5)を満足することが好ましい。
Da−Dp≦0.4×(Pp−Dp) ・・・(5)。
前記下地層の凸条の頂部における高さは1〜20nmであることが好ましい。
前記金属層の凸条の頂部における高さは、30nm以上であることが好ましい。
さらに、金属細線のピッチ(Pa)は、50〜200nmであり、金属細線の幅(Da)とピッチ(Pa)の比(Da/Pa)は、0.1〜0.6であることが好ましい。
前記下地層は、真空蒸着法を使用した斜方蒸着法で凸条の少なくとも頂部に形成されることが好ましい。
金属層は、凸条の側面の全面および凸条の頂部に形成に形成されることが好ましい。
金属細線の幅(Da)、凸条のピッチ(Pp)および凸条の幅(Dp)は、下式(5)を満足することが好ましい。
Da−Dp≦0.4×(Pp−Dp) ・・・(5)。
前記金属層が真空蒸着法を使用した斜方蒸着法で形成される場合は、下記の条件で形成されることが好ましい。
(A)凸条の長さ方向に対して略直交し、かつ凸条の高さ方向に対して角度θRをなす方向から金属を蒸着する。
(B)凸条の長さ方向に対して略直交し、かつ凸条の高さ方向に対して前記角度θRとは反対側に角度θLをなす方向から金属を蒸着する。
(C)前記条件(A)による蒸着および前記条件(B)による蒸着を交互に、前記条件(A)による蒸着をm回(ただし、mは1以上である。)、前記条件(B)による蒸着をn回(ただし、nは1以上である。)、合計(m+n)で3回以上行う。
(D)前記条件(A)によるm回の蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θRは、下式(IV)を満足し、前記条件(B)によるn回の蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θLは、下式(V)を満足する。
15゜≦θR≦45゜ ・・・(IV)、
15゜≦θL≦45゜ ・・・(V)。
(E)前記mが2以上の場合、i回目(ただし、i=2〜mである。)のθR iと(i−1)回目のθR (i−1)とは、下式(VI)を満足し、前記nが2以上の場合、j回目(ただし、j=2〜nである。)のθL jと(j−1)回目のθL (j−1)とは、下式(VII)を満足する。
θR i≦θR (i−1) ・・・(VI)、
θL j≦θL (j−1) ・・・(VII)。
本発明のワイヤグリッド型偏光子の製造方法によれば、可視光領域において高い偏光分離能を示し、かつ短波長領域の透過率が向上したワイヤグリッド型偏光子を容易に製造できる。
本発明のワイヤグリッド型偏光子は、表面に複数の凸条が互いに平行にかつ所定のピッチで形成されている光透過性基板と、凸条の少なくとも頂部に存在する金属酸化物からなる下地層と、下地層表面上でかつ凸条の少なくとも頂部に存在する金属層からなる金属細線とを有するものである。凸条の少なくとも頂部に存在する金属層は凸条の長さ方向に伸びた線状をなしていることより、ワイヤグリッド型偏光子を構成する金属細線に相当する。
なお、本発明における凸条、下地層および金属層の各寸法は、ワイヤグリッド型偏光子の断面の走査型電子顕微鏡像または透過型電子顕微鏡像において測定したものをいう。
光透過性基板は、ワイヤグリッド型偏光子の使用波長範囲において光透過性を有する基板である。光透過性とは、光を透過することを意味し、使用波長範囲は、具体的には、400nm〜800nmの範囲である。
下地層は、金属酸化物からなる層である。金属層が下地層の表面上に存在している必要があることより、下地層は凸条の少なくとも頂部に存在し、さらに、金属層が凸条の頂部以外にさらに凸条の側面にも存在している場合は、その金属層が存在する側面にも存在する。また、下地層は金属層が存在しない凸条の側面に存在していてもよく、さらに凸条間の光透過性基板の表面に存在していてもよい。下地層は、凸条の全面に存在することが好ましく、さらには凸条の全面と凸条間の光透過性基板の表面とに存在することがより好ましい。すなわち、凸条が存在する光透過性基板表面の全面に下地層が存在していることがより好ましい。
本発明のワイヤグリッド型偏光子において、金属細線は凸条の表面上の金属層から構成されている。金属層は、下地層の表面上でかつ凸条の少なくとも頂部に存在する。金属層は凸条の頂部とさらに凸条の側面に存在していてもよく、この場合、凸条の頂部と凸条の側面に存在する金属層は連続しているのが通例である。金属層が側面に存在する場合、片方の側面に存在してもよく、両方の側面に存在してもよい。凸条の側面の金属層は凸条の所定の高さよりも上方に存在していてもよく、側面の全面に存在していてもよい。金属層は凸条間の光透過性基板の表面には存在しないが、側面の全面に金属層が存在する場合には光透過性基板の表面と凸条の側面が接する部分(凸条の立ち上がり部)に多少の側面の金属層のはみ出しがあってもよい。
また、金属層が下地層の表面に形成されることより、金属層の形成時に金属材料が結晶化することによる微小金属粒子の生成が抑制される。これにより、微小金属粒子の存在を原因とする光の吸収が低減されてワイヤグリッド型偏光子の透過率が向上する。
凸条の側面を被覆する金属層は、凸条の側面の面積の50%以上において存在することが好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、100%が特に好ましい。側面を被覆している金属層の面積が広くなり、ワイヤグリッド型偏光子の裏面側から入射するs偏光が効率よく吸収されるため、裏面側から入射する光に対してさらに低いs偏光反射率を示す。また、金属層が凸条の側面の面積の100%を占める場合には、光透過性基板の表面から入射するs偏光が効率よく反射され、ワイヤグリッド型偏光子が高い偏光分離能を示す。
金属細線の幅(Da)は、10〜120nmであることがさらに好ましく、さらに蒸着による金属層形成の容易さを考慮すると30〜100nmが特に好ましい。なお、下地層を含めた凸条の最大幅は、金属細線の幅(Da)と等しいかそれ以下であることが好ましい。
金属細線の幅や厚さは非常に微細であるため、金属細線がわずかに傷ついただけでもワイヤグリッド型偏光子の性能に影響する。また、酸化等の化学変化(錆の生成等)により金属細線の導電率が低下し、ワイヤグリッド型偏光子の性能が低下する場合がある。よって、金属細線の傷付きおよび化学変化等を抑えるために、金属細線を保護層で被覆してもよい。保護層は、金属層の表面を被覆するばかりでなく、さらに、露出した(すなわち、その上に金属層がない)下地層の表面や露出した(すなわち、その上に下地層がない)光透過性基板の表面を被覆していてもよい。さらに、凸条間の溝を埋め金属細線が存在する面を平坦にする保護層を形成してもよい。
保護層は、ワイヤグリッド型偏光子の最表面に存在するため、鉛筆硬度H以上の硬さを有するものが好ましく、防汚性も有することが好ましい。また、保護層の表面に反射防止構造(たとえば、反射防止膜等)を設けてもよい。なお、光透過性基板の裏面にも硬質表面層や反射防止構造を設けることもできる。
ワイヤグリッド型偏光子は、表面に複数の凸条が互いに平行にかつ所定のピッチで形成された光透過性基板を作製した後、下地層を形成し、ついで金属層を形成することによって製造される。
光透過性基板の作製方法としては、インプリント法(光インプリント法、熱インプリント法。)、リソグラフィ法等が挙げられ、凸条を生産性よく形成できる点および光透過性基板を大面積化できる点から、インプリント法が好ましく、凸条をより生産性よく形成できる点およびモールドの溝を精度よく転写できる点から、光インプリント法が特に好ましい。
(i)光硬化性組成物を基材の表面に塗布する工程。
(ii)複数の溝が互いに平行にかつ所定のピッチで形成されたモールドを、溝が光硬化性組成物に接するように、光硬化性組成物に押しつける工程。
(iii)モールドを光硬化性組成物に押しつけた状態で放射線(紫外線、電子線等。)を照射して光硬化性組成物を硬化させて、モールドの溝に対応する複数の凸条を有する光透過性基板を作製する工程。
(iv)光透過性基板からモールドを分離する工程。
なお、得られた、基材上の光透過性基板は、基材と一体のまま後述の下地層および金属層の形成を行うことができる。また必要により金属層の形成後に光透過性基板と基材を分離することができる。さらに、基材上に作製された光透過性基板を基材から分離した後、後述の下地層および金属層の形成を行うことができる。
(i)基材の表面に熱可塑性樹脂の被転写膜を形成する工程、または熱可塑性樹脂の被転写フィルムを作製する工程。
(ii)複数の溝が互いに平行にかつ一定のピッチで形成されたモールドを、溝が被転写膜または被転写フィルムに接するように、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)または融点(Tm)以上に加熱した被転写膜または被転写フィルムに押しつけ、モールドの溝に対応する複数の凸条を有する光透過性基板を作製する工程。
(iii)光透過性基板をTgまたはTmより低い温度に冷却して光透過性基板からモールドを分離する工程。
なお、得られた、基材上の光透過性基板は、基材と一体のまま後述の下地層および金属層の形成を行うことができる。また必要により金属層形成後に光透過性基板と基材を分離することができる。さらに、基材上に作製された光透過性基板を基材から分離した後、後述の下地層および金属層の形成を行うことができる。
本発明のワイヤグリッド型偏光子は、表面に複数の凸条が互いに平行にかつ所定のピッチで形成されている光透過性基板の凸条の表面に金属酸化物を蒸着して該凸条の少なくとも頂部に金属酸化物からなる下地層を形成し、ついで、前記下地層の表面上でかつ凸条の少なくとも頂部に金属を蒸着して金属層を形成して金属細線とする方法で製造されることが好ましい。前記のように、下地層は、真空蒸着法を使用した斜方蒸着法で凸条の少なくとも頂部に形成されることが好ましい。また、下地層を凸条の全表面および凸条間の光透過性基板表面に形成する場合は、下地層はスパッタ法で形成されることが好ましい。金属層は、凸条の側面の少なくとも一部および凸条の頂部に形成されることが好ましく、側面の全部および凸条の頂部に形成されることがより好ましい。金属層をこのような特定の表面に選択的に形成するために、金属層は真空蒸着法を使用した斜方蒸着法で形成されることが好ましい。
(A)凸条の長さ方向に対して略直交し、かつ凸条の高さ方向に対して角度θRをなす方向から金属を蒸着する。
(B)凸条の長さ方向に対して略直交し、かつ凸条の高さ方向に対して前記角度θRとは反対側に角度θLをなす方向から金属を蒸着する。
(C)前記条件(A)による蒸着および前記条件(B)による蒸着を交互に、前記条件(A)による蒸着をm回(ただし、mは1以上である。)、前記条件(B)による蒸着をn回(ただし、nは1以上である。)、合計(m+n)で3回以上、好ましくは6回以下、さらに好ましくは4〜5回行う。
(D)前記条件(A)によるm回の蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θRは、下式(IV)を満足し、前記条件(B)によるn回の蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θLは、下式(V)を満足する。
15゜≦θR≦45゜ ・・・(IV)、
15゜≦θL≦45゜ ・・・(V)。
(E)前記mが2以上の場合、i回目(ただし、i=2〜mである。)のθR iと(i−1)回目のθR (i−1)とは、下式(VI)を満足し、前記nが2以上の場合、j回目(ただし、j=2〜nである。)のθL jと(j−1)回目のθL (j−1)とは、下式(VII)を満足する。
θR i≦θR (i−1) ・・・(VI)、
θL j≦θL (j−1) ・・・(VII)。
以下に本発明のワイヤグリッド型偏光子を、図を用いて説明する。以下の図は模式図であり、実際のワイヤグリッド型偏光子は図示したような理論的かつ理想的形状を有するものではない。たとえば、凸条等の形状の崩れは少なくなく、下地層や金属層の厚さの不均一も少なからず生じている。図示した光透過性基板の表面の凸条は矩形の断面形状を有するが、前記のように実際に製造されたワイヤグリッド型偏光子においては頂部が丸まった形状や幅が上方に狭まった形状を有していることが少なくない。
図1は、本発明のワイヤグリッド型偏光子の第1の実施形態を示す斜視図である。ワイヤグリッド型偏光子10は、表面に複数の凸条12が互いに平行にかつ所定のピッチ(Pp)で形成された光透過性基板14と、該凸条12の上面16、および凸条12の長さ方向に延びる2つの側面である側面18と側面20の上縁部を被覆する下地層22と、下地層22の上面に形成された金属材料からなる金属層24とを有する。金属層24は凸条の長さ方向に伸びて金属細線を構成する。以下、凸条間の光透過性基板の表面を溝26という。
DpとPpの比(Dp/Pp)は、0.1〜0.55が好ましく、0.25〜0.45が好ましい。
また、Dpは、蒸着によって金属層を形成しやすい点から、30〜80nmが好ましい。
凸条12の高さHpは、50〜300nmが好ましい。
光透過性基板14の厚さHsは、1〜40μmが好ましい。
凸条の頂部における下地層22の高さHxは、凸条12の上面16を被覆している部分の下地層の厚さである。Hxは、2〜15nmが好ましい。
Da−Dp≦0.4×(Pp−Dp) ・・・(5)。
Da−Dpが0.4×(Pp−Dp)以下であれば、溝26の開口が確保され、ワイヤグリッド型偏光子10のp偏光透過率が向上する。
図2は、本発明のワイヤグリッド型偏光子の第2の実施形態を示す斜視図である。ワイヤグリッド型偏光子10は、表面に複数の凸条12が互いに平行にかつ所定のピッチ(Pp)で形成された光透過性基板14と、該凸条12の上面16、凸条12の長さ方向に延びる2つの側面である側面18と側面20の表面および溝26の底面を被覆する下地層22と、下地層22の上面に形成された金属層24とを有する。
第2の実施形態におけるDx1およびDx2は、下地層22が凸条12の側面18または側面20よりも外側に突出した部分の幅でもあり、凸条12の側面18または側面20を被覆する下地層22の厚さでもある。
図3は、本発明のワイヤグリッド型偏光子の第3の実施形態を示す斜視図である。ワイヤグリッド型偏光子10は、表面に複数の凸条12が互いに平行にかつ所定のピッチ(Pp)で形成された光透過性基板14と、該凸条12の上面16、凸条12の長さ方向に延びる2つの側面である側面18と側面20の表面および溝26の底面を被覆する下地層22と、該凸条12の上面16、側面18および側面20の下地層22表面を被覆する金属層24とを有する。
第3の実施形態におけるDa1およびDa2は、金属層24が凸条12の側面18または側面20よりも外側に突出した部分の幅でもあり、凸条12の側面18または側面20を被覆している下地層22の表面に形成された金属層24の厚さでもある。
Ha1≧0.5×Hp ・・・(6−1)、
Ha2≧0.5×Hp ・・・(7−1)、
Ha1≧0.6×Hp ・・・(6−2)、
Ha2≧0.6×Hp ・・・(7−2)、
Ha1=Hp ・・・(6−3)、
Ha2=Hp ・・・(7−3)。
〔第1の実施形態のワイヤグリッド型偏光子の製造方法〕
第1の実施形態のワイヤグリッド型偏光子10は、光透過性基板14の凸条12の上面16を被覆する下地層22と、該下地層22の上面に形成される金属層24とを、下記の条件(A1)〜(J1)を満足する蒸着法で形成する方法で製造できる。
下地層22は、光透過性基板14の凸条12が形成された面の斜め上方から金属酸化物を蒸着させる斜方蒸着法により形成される。
(A1)図4に示すように、凸条12の長さ方向Lに対して略直交し、かつ凸条12の高さ方向Hに対して側面18の側に角度θRをなす方向V1から凸条12の上面16または下記条件(B1)の蒸着で形成された下地層22の上面に金属酸化物を蒸着する。
(B1)図4に示すように、凸条12の長さ方向Lに対して略直交し、かつ凸条12の高さ方向Hに対して側面20の側に角度θLをなす方向V2から凸条12の上面16または前記条件(A1)の蒸着で形成された下地層22の上面に金属酸化物を蒸着する。
(C1)前記条件(A1)による蒸着を1回行い、前記条件(B1)による蒸着を1回行う。
(D1)前記条件(A1)の蒸着における角度θRは、下式(1−I)を満足し、前記条件(B1)の蒸着における角度θLは、下式(1−II)を満足することが好ましい。
45゜≦θR<90゜ ・・・(1−I)、
45゜≦θL<90゜ ・・・(1−II)。
(E1)前記条件(A1)の蒸着で形成される下地層22の高さおよび前記条件(B1)の蒸着で形成される下地層22の高さは、下式(1−III)を満足することが好ましい。
0.5nm≦Hx’≦15nm ・・・(1−III)。
ただし、Hx’は、凸条の頂部における、1回の蒸着で形成される下地層22の高さである。
金属層24は、光透過性基板14の凸条12が形成された面の斜め上方から金属を蒸着させることにより形成される。
(F1)凸条12の長さ方向Lに対して略直交し、かつ凸条12の高さ方向Hに対して側面18の側に角度θRをなす方向V1から下地層22の上面または下記条件(G1)の蒸着で形成された金属層24の上面に金属を蒸着する。
(G1)凸条12の長さ方向Lに対して略直交し、かつ凸条12の高さ方向Hに対して側面20の側に角度θLをなす方向V2から下地層22の上面または前記条件(F1)の蒸着で形成された金属層24の上面に金属を蒸着する。
(H1)前記条件(F1)による蒸着および前記条件(G1)による蒸着を交互に、前記条件(F1)による蒸着をm回(ただし、mは1以上である。)、前記条件(G1)による蒸着をn回(ただし、nは1以上である。)、合計(m+n)で3回以上行う。
(I1)前記条件(F1)によるm回の蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θRは、下式(1−IV)を満足し、前記条件(G1)によるn回の蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θLは、下式(1−V)を満足する。
10゜≦θR≦45゜ ・・・(1−IV)、
10゜≦θL≦45゜ ・・・(1−V)。
(J1)前記mが2以上の場合、i回目(ただし、i=2〜mである。)のθR iと(i−1)回目のθR (i−1)とは、下式(1−VI)を満足し、前記nが2以上の場合、j回目(ただし、j=2〜nである。)のθL jと(j−1)回目のθL (j−1)とは、下式(1−VII)を満足する。
θR i≦θR (i−1) ・・・(1−VI)、
θL j≦θL (j−1) ・・・(1−VII)。
第2の実施形態のワイヤグリッド型偏光子10は、光透過性基板14の凸条12の上面16、側面18、側面20および溝26の底面を被覆する下地層22を、スパッタ法で形成し、凸条12の上面16を被覆する下地層22の上面に形成される金属層24を、下記の条件(A2)〜(H2)を満足する蒸着法で形成する方法で製造できる。
下地層22は、光透過性基板14の凸条12が形成された面の全面に金属酸化物を付着させるスパッタ法により形成される。
金属層24は、光透過性基板14の凸条12が形成された面の斜め上方から金属を蒸着させることにより形成される。スパッタ法で形成される下地層22は、凸条12の側面18または側面20よりも外側に突出した部分が充分に形成されないため、金属層24を形成する際に、側面18および側面20に金属が蒸着しやすくなる。このため、側面に金属層24が存在せず、金属層24の幅が凸条12の上面16よりも幅広の金属層24を形成するためには、具体的には、下記の条件(A2)〜(H2)を満足する斜方蒸着法で形成されることが好ましい。
(B2)図4に示すように、凸条12の長さ方向Lに対して略直交し、かつ凸条12の高さ方向Hに対して側面20の側に角度θLをなす方向V2から下地層22の表面および/または前記条件(A2)の蒸着で形成された金属層24の表面に金属を少なくとも1回蒸着する。
(C2)前記条件(A2)による蒸着および前記条件(B2)による蒸着を交互に、前記条件(A2)による蒸着をm回(ただし、mは2以上である。)、前記条件(B2)による蒸着をn回(ただし、nは2以上である。)、合計(m+n)で5回以上行う。
(D2)前記条件(A2)によるm回の蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θRは、下式(2−I)を満足し、前記条件(B2)によるn回の蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θLは、下式(2−II)を満足する。
45゜≦θR<90゜ ・・・(2−I)、
45゜≦θL<90゜ ・・・(2−II)。
(E2)前記条件(A2)によるm回の蒸着のうちの1回目の蒸着で形成される金属層24の高さおよび前記条件(B2)によるn回の蒸着のうちの1回目で形成される金属層24の高さは、下式(2−III)を満足する。
0.5nm≦Ha’≦10nm ・・・(2−III)。
ただし、Ha’は、1回の蒸着で形成される金属層24の高さである。
(F2)前記条件(A2)によるm回の蒸着のうちの2回目の蒸着における角度θRは、下式(2−IV)を満足し、前記条件(B2)によるn回の蒸着のうちの2回目の蒸着における角度θLは、下式(2−V)を満足する。
10゜≦θR≦45゜ ・・・(2−IV)、
10゜≦θL≦45゜ ・・・(2−V)。
(G2)前記条件(A2)によるm回の蒸着のうちの2回目の蒸着で形成される金属層24の高さおよび前記条件(B2)によるn回の蒸着のうちの2回目で形成される金属層24の高さは、下式(2−III)を満足する。
1nm≦Ha’≦15nm ・・・(2−III)。
ただし、Ha’は、1回の蒸着で形成される金属層24の高さである。
(H2)前記mが3以上の場合、i回目(ただし、i=3〜mである。)のθR iと(i−1)回目のθR (i−1)とは、下式(2−VI)を満足し、前記nが3以上の場合、j回目(ただし、j=3〜nである。)のθL jと(j−1)回目のθL (j−1)とは、下式(2−VII)を満足する。
θR i≦θR (i−1) ・・・(2−VI)、
θL j≦θL (j−1) ・・・(2−VII)。
第3の実施形態のワイヤグリッド型偏光子10は、光透過性基板14の凸条12の上面16、側面18、側面20および溝26の底面を被覆する下地層22を、スパッタ法で形成し、凸条12の上面16、側面18および側面20を被覆する下地層22の表面に形成される金属層24を、下記の条件(A3)〜(E3)を満足する斜方蒸着法で形成する方法で製造することが好ましい。
下地層22は、光透過性基板14の凸条12が形成された面の全面に金属酸化物を付着させるスパッタ法により形成される。
金属層24は、光透過性基板14の凸条12が形成された面の斜め上方から金属を蒸着させることにより形成される。
(A3)図4に示すように、凸条12の長さ方向Lに対して略直交し、かつ凸条12の高さ方向Hに対して側面18の側に角度θRをなす方向V1から下地層22の表面および/または下記条件(B3)の蒸着で形成された金属層24の表面に金属を少なくとも1回蒸着する。
(B3)図4に示すように、凸条12の長さ方向Lに対して略直交し、かつ凸条12の高さ方向Hに対して側面20の側に角度θLをなす方向V2から下地層22の表面および/または前記条件(A3)の蒸着で形成された金属層24の表面に金属を少なくとも1回蒸着する。
(C3)前記条件(A3)による蒸着および前記条件(B3)による蒸着を交互に、前記条件(A3)による蒸着をm回(ただし、mは1以上である。)、前記条件(B3)による蒸着をn回(ただし、nは1以上である。)、合計(m+n)で3回以上、好ましくは6回以下、さらに好ましくは4〜5回行う。
(D3)前記条件(A3)によるm回の蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θRは、下式(3−IV)を満足し、前記条件(B3)によるn回の蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θLは、下式(3−V)を満足する。
15゜≦θR≦45゜ ・・・(3−IV)、
15゜≦θL≦45゜ ・・・(3−V)。
(E3)前記mが2以上の場合、i回目(ただし、i=2〜mである。)のθR iと(i−1)回目のθR (i−1)とは、下式(3−VI)を満足し、前記nが2以上の場合、j回目(ただし、j=2〜nである。)のθL jと(j−1)回目のθL (j−1)とは、下式(3−VII)を満足する。
θR i≦θR (i−1) ・・・(3−VI)、
θL j≦θL (j−1) ・・・(3−VII)。
(F3)前記条件(A3)によるm回の蒸着のうちの1回目の蒸着で形成される金属層24の高さおよび前記条件(B3)によるn回の蒸着のうちの1回目で形成される金属層24の高さは、下式(3−III)を満足する。
0.5nm≦Ha’≦10nm ・・・(3−III)。
ただし、Ha’は、凸条の頂部における1回の蒸着で形成される金属層24の高さである。
角度θR(またはθL)は、たとえば、下記の蒸着装置を用いることによって調整できる。
凸条12の長さ方向Lに対して略直交し、かつ凸条12の高さ方向Hに対して側面18の側に角度θRをなす方向V1または凸条12の高さ方向Hに対して側面20の側に角度θLをなす方向V2の延長線上に蒸着源が位置するように、蒸着源に対向して配置された光透過性基板14の傾きを変更できる蒸着装置。
例1〜13は実施例であり、例14〜16は比較例である。
下地層および金属層(金属細線)の各寸法は、ワイヤグリッド型偏光子の断面の透過型電子顕微鏡像または走査型電子顕微鏡像において5箇所の下地層および金属層における各寸法の最大値を測定し、5箇所の該値を平均して求めた。
ワイヤグリッド型偏光子の表面側(金属層が形成された面側)から波長405nmの固体レーザー光および波長635nmの半導体レーザー光を、ワイヤグリッド型偏光子の表面に対して垂直に入射し、p偏光透過率およびs偏光透過率を測定した。
波長400nmまたは700nmのp偏光透過率が、78%以上をSとし、75%以上78%未満をAとし、75%未満をXとした。
ワイヤグリッド型偏光子の表面側または裏面側(金属細線が形成されていない面側)から波長405nmの固体レーザー光および波長635nmの半導体レーザー光を、ワイヤグリッド型偏光子の表面または裏面に対して5°の角度で入射し、s偏光反射率を測定した。
表面側の波長400nmまたは700nmのs偏光反射率が、82%以上をSとし、80%以上82%未満をAとし、80%未満をXとした。
裏面側の波長400nmまたは700nmのs偏光反射率が、40%未満をAとし、40%以上をXとした。
偏光度は、下式から計算した。
偏光度=((Tp−Ts)/(Tp+Ts))0.5
ただし、Tpは、p偏光透過率であり、Tsは、s偏光透過率である。
波長400nmまたは700nmの偏光度が99.7以上をSとし、99.5%以上99.7%未満をAとし、99.5%未満をXとした。
撹拌機および冷却管を装着した1000mLの4つ口フラスコに、
単量体1(新中村化学工業社製、NK エステル A−DPH、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)の60g、
単量体2(新中村化学工業社製、NK エステル A−NPG、ネオペンチルグリコールジアクリレート)の40g、
光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、IRGACURE907)の4.0g、
含フッ素界面活性剤(旭硝子社製、フルオロアクリレート(CH2=CHCOO(CH2)2(CF2)8F)とブチルアクリレートとのコオリゴマー、フッ素含有量:約30質量%、質量平均分子量:約3000)の0.1g、
重合禁止剤(和光純薬社製、Q1301)の1.0g、および
シクロヘキサノンの65.0gを入れた。
(光透過性基板の作製)
厚さ100μmの高透過ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポン社製、帝人テトロンO3、100mm×100mm)の表面に、光硬化性組成物1をスピンコート法により塗布し、厚さ1μmの光硬化性組成物1の塗膜を形成した。
光透過性基板から石英製モールドをゆっくり分離した。
蒸着源に対向する光透過性基板の傾きを変更可能な真空蒸着装置(昭和真空社製、SEC−16CM)を用い、光透過性基板の凸条に金属酸化物および金属を蒸着させ、図1に示すような下地層および金属層を形成し、裏面にPETフィルムが貼着されたワイヤグリッド型偏光子を得た。この際、凸条の長さ方向Lに対して略直交し、かつ凸条の高さ方向Hに対して一方の側面の側に角度θRをなす方向V1(すなわち側面18の側)からの蒸着と、凸条の長さ方向Lに対して略直交し、かつ凸条の高さ方向Hに対して他方の側面の側に角度θLをなす方向V2(すなわち側面20の側)からの蒸着とを交互に行い、かつ各回の蒸着における蒸着源、角度θRまたはθL、および1回の蒸着で形成される下地層の高さHx’または金属層の高さHa’を表1、2に示す材料、角度および高さとした。なお、Hx’およびHa’は、水晶振動子を膜厚センサーとする膜厚モニターにより測定した。
また、得られたワイヤグリッド型偏光子について、透過率、反射率、偏光度を測定した。結果を表4に示す。
(光透過性基板の作製)
例1と同様にして光透過性基板を作製した。
ロードロック機構を備えたインライン型スパッタ装置(日真精機社製)を用い、光透過性基板の凸条が形成された面の全面に金属酸化物を蒸着させ、図2に示すような下地層を形成した。
金属酸化物の種類、スパッタ法で形成される下地層の高さHx’を表1に示す材料および高さとした。
蒸着源に対向する光透過性基板の傾きを変更可能な真空蒸着装置(昭和真空社製、SEC−16CM)を用い、光透過性基板の凸条に金属を蒸着させ、図2に示すような金属層を形成し、裏面にPETフィルムが貼着されたワイヤグリッド型偏光子を得た。この際、凸条の長さ方向Lに対して略直交し、かつ凸条の高さ方向Hに対して一方の側面の側に角度θRをなす方向V1(すなわち側面18の側)からの蒸着と、凸条の長さ方向Lに対して略直交し、かつ凸条の高さ方向Hに対して他方の側面の側に角度θLをなす方向V2(すなわち側面20の側)からの蒸着とを交互に行い、かつ各回の蒸着における蒸着源、角度θRまたはθL、および1回の蒸着で形成される金属層の高さHa’を表2に示す材料、角度および高さとした。
また、得られたワイヤグリッド型偏光子について、透過率、反射率、偏光度を測定した。結果を表4に示す。
例1と同様にして光透過性基板を作製した後、金属酸化物の種類、スパッタ法で形成される下地層の高さHx’を表1に示す材料および高さとした以外は、例2と同様にして図3に示すような下地層を形成した。
ついで、蒸着の回数、各回の蒸着における蒸着源、角度θRまたはθLおよび1回の蒸着で形成される金属層の高さHa’を表2に示す材料、角度および高さとした以外は、例2と同様にして図3に示すような金属層を形成し、ワイヤグリッド型偏光子を得た。
また、得られたワイヤグリッド型偏光子について、透過率、反射率、偏光度を測定した。結果を表4に示す。
例1と同様にして光透過性基板を作製した後、蒸着の回数、各回の蒸着における蒸着源、角度θRまたはθLおよび1回の蒸着で形成される下地層の高さHx’または金属層の高さHa’を表1、2に示す材料、角度および高さとした以外は、例1と同様にして図1に示すような下地層および金属層を形成し、ワイヤグリッド型偏光子を得た。
また、得られたワイヤグリッド型偏光子について、透過率、反射率、偏光度を測定した。結果を表4に示す。
例1と同様にして光透過性基板を作製した後、金属酸化物の種類、スパッタ法で形成される下地層の高さHx’を表1に示す材料および高さとした以外は、例2と同様にして図2に示すような下地層を形成した。
ついで、蒸着の回数、各回の蒸着における蒸着源、角度θRまたはθLおよび1回の蒸着で形成される金属層の高さHa’を表2に示す材料、角度および高さとした以外は、例2と同様にして図2に示すような金属層を形成し、ワイヤグリッド型偏光子を得た。
また、得られたワイヤグリッド型偏光子について、透過率、反射率、偏光度を測定した。結果を表4に示す。
例1と同様にして光透過性基板を作製した後、金属酸化物の種類、スパッタ法で形成される下地層の高さHx’を表1に示す材料および高さとした以外は、例2と同様にして図3に示すような下地層を形成した。
ついで、蒸着の回数、各回の蒸着における蒸着源、角度θRまたはθLおよび1回の蒸着で形成される金属層の高さHa’を表2に示す材料、角度および高さとした以外は、例2と同様にして図3に示すような金属層を形成し、ワイヤグリッド型偏光子を得た。
また、得られたワイヤグリッド型偏光子について、透過率、反射率、偏光度を測定した。結果を表4に示す。
例1と同様にして光透過性基板を作製した後、蒸着の回数、各回の蒸着における蒸着源、角度θRまたはθLおよび1回の蒸着で形成される金属層の高さHa’を表2に示す材料、角度および高さとした以外は、例1と同様にして下地層のないワイヤグリッド型偏光子を得た。
また、得られたワイヤグリッド型偏光子について、透過率、反射率、偏光度を測定した。結果を表4に示す。
(光透過性基板の作製)
モールドとして、複数の溝が互いに平行にかつ所定のピッチで形成されたシリコン製モールド(20mm×20mm、溝のピッチ:200nm、溝の幅:60nm、溝の深さ:100nm、溝の長さ:10mm、溝の断面形状:矩形。)を用いた以外は、例1と同様にしてシリコン製モールドの溝に対応する複数の凸条を有する光透過性基板(凸条のピッチPp:200nm、凸条の幅Dp:60nm、凸条の高さHp:100nm。)を作製した。
蒸着の回数、各回の蒸着における蒸着源、角度θRまたはθLおよび1回の蒸着で形成される金属層の高さHa’を表2に示す材料、角度および高さとした以外は、例1と同様にして下地層のないワイヤグリッド型偏光子を得た。
得られたワイヤグリッド型偏光子について、下地層および金属層の各寸法を測定した。結果を表3に示す。
また、得られたワイヤグリッド型偏光子について、透過率、反射率、偏光度を測定した。結果を表4に示す。
厚さ100μmの高透過ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポン社製、帝人テトロンO3、100mm×100mm)の表面に、厚さ100nmのSiO2膜をスパッタ法により形成した。
ついで、SiO2膜の上に、厚さ100nmのAl膜をスパッタ法により形成し、PETフィルム上にSiO2膜、Al膜が積層された多層膜を作製した。
ついで、プラズマエッチング装置(サムコ社製、RIE−140iPC)を用い、SF6によりエッチングを行い、特許文献3の図3に示すようなワイヤグリッド型偏光子を作製した。
また、得られたワイヤグリッド型偏光子について、透過率、反射率、偏光度を測定した。結果を表4に示す。
例14は、下地層がないためp偏光の透過率が低下した。
例15は、特許文献2の実施例1に相当する例であり、下地層がないためp偏光の透過率が低下した。
例16は、特許文献3に相当する例であり、樹脂グリッドがないため、短波長のp偏光透過率が低下した。
なお、2008年7月10日に出願された日本特許出願2008−180448号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
12 凸条
14 光透過性基板
16 凸条の上面
18 凸条の一方の側面
20 凸条の他方の側面
22 下地層
24 金属層
26 凸条間の溝
Claims (16)
- 表面に複数の凸条が互いに平行にかつ所定のピッチで形成されている光透過性基板と、
前記凸条の少なくとも頂部とさらに凸条の側面の全面に存在する、金属酸化物からなる下地層と、
前記下地層の表面上でかつ凸条の少なくとも頂部とさらに凸条の側面の面積の70%以上において存在する金属層からなる金属細線と
を有する、ワイヤグリッド型偏光子。 - 金属細線の幅(Da)、凸条のピッチ(Pp)および凸条の幅(Dp)が、下式(5)を満足する、請求項1に記載のワイヤグリッド型偏光子。
Da−Dp≦0.4×(Pp−Dp) ・・・(5)。 - 金属層がさらに凸条の側面の全面に存在する、請求項1または2に記載のワイヤグリッド型偏光子。
- 下地層がさらに凸条間の光透過性基板の表面に存在する、請求項1〜3のいずれかに記載のワイヤグリッド型偏光子。
- 金属酸化物が、SiO2またはTiO2である、請求項1〜4のいずれかに記載のワイヤグリッド型偏光子。
- 下地層の凸条の頂部における高さが1〜20nmである、請求項1〜5のいずれかに記載のワイヤグリッド型偏光子。
- 金属層の凸条の頂部における高さが30nm以上である、請求項1〜6のいずれかに記載のワイヤグリッド型偏光子。
- 金属細線のピッチ(Pa)が50〜200nmであり、金属細線の幅(Da)とピッチ(Pa)の比(Da/Pa)が0.1〜0.6である、請求項1〜7のいずれかに記載のワイヤグリッド型偏光子。
- ワイヤグリッド型偏光子を製造する方法であって、
表面に複数の凸条が互いに平行にかつ所定のピッチで形成されている光透過性基板の凸条の少なくとも頂部とさらに凸条の側面の全面に金属酸化物を蒸着して金属酸化物からなる下地層を形成し、
ついで、前記下地層の表面上でかつ凸条の少なくとも頂部とさらに凸条の側面の面積の70%以上に金属を蒸着して金属層を形成して金属細線とする
ことを特徴とするワイヤグリッド型偏光子の製造方法。 - 真空蒸着法を使用した斜方蒸着法で凸条の少なくとも頂部に下地層を形成する、請求項9に記載の製造方法。
- 凸条の全表面および凸条間の光透過性基板表面に下地層を形成する、請求項9に記載の製造方法。
- 下地層をスパッタ法で形成する、請求項11に記載の製造方法。
- 金属細線の幅(Da)、凸条のピッチ(Pp)および凸条の幅(Dp)が、下式(5)を満足する、請求項9〜12のいずれかに記載の製造方法。
Da−Dp≦0.4×(Pp−Dp) ・・・(5)。 - 金属層を凸条の側面の全面および凸条の頂部に形成する、請求項9〜13のいずれかに記載の製造方法。
- 真空蒸着法を使用した斜方蒸着法で金属層を形成する、請求項9〜14のいずれかに記載の製造方法。
- 斜方蒸着法を使用した金属層を下記の条件で形成する、請求項15に記載の製造方法。
(A)凸条の長さ方向に対して略直交し、かつ凸条の高さ方向に対して角度θRをなす方向から金属を蒸着する。
(B)凸条の長さ方向に対して略直交し、かつ凸条の高さ方向に対して前記角度θRとは反対側に角度θLをなす方向から金属を蒸着する。
(C)前記条件(A)による蒸着および前記条件(B)による蒸着を交互に、前記条件(A)による蒸着をm回(ただし、mは1以上である。)、前記条件(B)による蒸着をn回(ただし、nは1以上である。)、合計(m+n)で3回以上行う。
(D)前記条件(A)によるm回の蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θRは、下式(IV)を満足し、前記条件(B)によるn回の蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θLは、下式(V)を満足する。
15゜≦θR≦45゜ ・・・(IV)、
15゜≦θL≦45゜ ・・・(V)。
(E)前記mが2以上の場合、i回目(ただし、i=2〜mである。)のθR iと(i−1)回目のθR (i−1)とは、下式(VI)を満足し、前記nが2以上の場合、j回目(ただし、j=2〜nである。)のθL jと(j−1)回目のθL (j−1)とは、下式(VII)を満足する。
θR i≦θR (i−1) ・・・(VI)、
θL j≦θL (j−1) ・・・(VII)。
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