JP5471527B2 - リチウム二次電池及びリチウム二次電池用電極 - Google Patents

リチウム二次電池及びリチウム二次電池用電極 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム二次電池及びリチウム二次電池用電極に関する。
従来、リチウム二次電池としては、正極活物質及び負極活物質のいずれかの上に、アルミナからなる無機酸化物フィラーと樹脂バインダーとを含む多孔質絶縁層を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このリチウム二次電池では、多孔質絶縁層の孔を介してリチウムイオンが伝導し、また、内部短絡が起きるような場合においては、この多孔質絶縁層により正負極間の直接の短絡を抑制可能であるため、安全性を高めることができる。
特開2005−174792号公報
しかしながら、上述の特許文献1のリチウム二次電池では、正極と負極との間に無機酸化物の多孔質絶縁層が存在することから、電池の内部抵抗の上昇が避けられなかった。この内部抵抗の上昇を更に抑制しようとすると、絶縁層の多孔度を高め空隙を多くするなどしなければならず、一方、空隙率を高めると絶縁性が低下してしまうということがあった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、安全性を高めると共により安定な充放電を行うことができるリチウム二次電池及びリチウム二次電池用電極を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、Zrを含有しリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物により形成された絶縁層を正極と負極との間に設けるものとすると、安全性を高めると共により安定な充放電を行うことができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のリチウム二次電池は、リチウムを吸蔵・放出する正極活物質を有する正極と、リチウムを吸蔵・放出する負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在しリチウムを伝導する電解液と、前記正極の表面、前記負極の表面及び前記電解液中のうち少なくとも1以上に存在し、Zrを含有しリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物により形成された絶縁層と、を備えたものである。
本発明のリチウム二次電池用電極は、リチウムを吸蔵・放出する活物質層と、Zrを含有しリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物により前記活物質層の表面に形成された絶縁層と、を備えたものである。
本発明は、安全性を高めると共により安定な充放電を行うことができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推察される。本発明では、絶縁層が電子伝導度を有さないZrを含有したガーネット型酸化物であるため、例えばプラスチックフィルム製のセパレータなどに比して熱的安定性が高く、正極と負極とが短絡してしまうのをより防止しやすい。また、絶縁層がリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物であるため、リチウムイオン伝導性を有さないものに比して活物質によるリチウムイオンの吸蔵・放出の妨げになりにくい。したがって、安全性を高めると共により安定な充放電を行うことができるものと推察される。
リチウム二次電池10の構造の一例を示す説明図である。 リチウム二次電池10B〜10Dの構造の一例を示す説明図である。 実験例1,3,5,7のXRDパターンを示すグラフである。 実験例1〜7(4を除く)の格子定数のX値依存性を示すグラフである。 実験例1〜7のリチウムイオン伝導度のX値依存性を示すグラフである。 ガーネット型酸化物の結晶構造に含まれる部分構造の説明図である。 ガーネット型酸化物の結晶構造の説明図であり、(a)は全体像、(b)は八面体のLiO6(II)を露出させた様子を示す。 実験例1,3,5〜7のLiO4(I)結晶構造のX値依存性を示すグラフであり、(a)は酸素イオンが形成する三角形の辺a,bのX値依存性を示し、(b)は該三角形の面積のX値依存性を示す。 実験例1,3,5〜7の各回折強度を(220)回折強度で規格化したときの規格化後強度のX値依存性を示すグラフである。 実験例1,3,5〜7の(024)の規格化後強度のX値依存性を示すグラフである。 実験例1〜7のアレニウスプロットのグラフである。 実験例1〜7の活性化エネルギーのX値依存性を示すグラフである。 実験例5の室温大気中での化学的安定性を示すグラフである。 実験例5の電位窓の測定結果を示すグラフである。
本発明のリチウム二次電池は、リチウムを吸蔵・放出する正極活物質を有する正極と、リチウムを吸蔵・放出する負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に介在しリチウムを伝導する電解液と、正極の表面、負極の表面及び電解液中のうち少なくとも1以上に存在し、Zrを含有しリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物により形成された絶縁層と、を備えている。リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、電子伝導度が低く、電位窓が広く、リチウムイオン伝導度が高く、高温でも安定であり、絶縁層として好ましい。例えば、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物によって形成された絶縁層は、正極活物質層の表面に形成されているものとしてもよいし、負極活物質層の表面に形成されているものとしてもよいし、電解液に層状体(板状体)で存在しているものとしてもよい。更に、本発明のリチウム二次電池は、正極と負極との間にセパレータを備え、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物によって形成された絶縁層は、このセパレータと電極との間のいずれかの位置に形成されているものとしてもよい。このように、絶縁層が正極と負極との間のいずれかの位置に形成されているものとすればよい。こうすれば、熱的及び化学的に安定なガーネット型酸化物により、電極の短絡を防止することができる。本実施形態では、説明の便宜のため、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物によって形成された絶縁層を負極活物質層の表面に形成したものを主として説明する。
本発明のリチウム二次電池の正極は、例えば正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。正極活物質としては、遷移金属元素を含む硫化物や、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物などを用いることができる。具体的には、TiS2、TiS3、MoS3、FeS2などの遷移金属硫化物、Li(1-x)MnO2(0<x<1など、以下同じ)、Li(1-x)Mn24などのリチウムマンガン複合酸化物、Li(1-x)CoO2などのリチウムコバルト複合酸化物、Li(1-x)NiO2などのリチウムニッケル複合酸化物、LiV23などのリチウムバナジウム複合酸化物、V25などの遷移金属酸化物などを用いることができる。これらのうち、リチウムの遷移金属複合酸化物、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiV23などが好ましい。導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
本発明のリチウム二次電池の負極は、例えば負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質としては、リチウム、リチウム合金、スズ化合物などの無機化合物、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素質材料、導電性ポリマーなどが挙げられるが、このうち炭素質材料が安全性の面から見て好ましい。この炭素質材料は、特に限定されるものではないが、コークス類、ガラス状炭素類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維などが挙げられる。このうち、人造黒鉛、天然黒鉛などのグラファイト類が、金属リチウムに近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電が可能であり電解質塩としてリチウム塩を使用した場合に自己放電を抑え、且つ充電時おける不可逆容量を少なくできるため、好ましい。また、負極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、正極と同様のものを用いることができる。
本発明のリチウム二次電池の絶縁層は、負極活物質層の表面に形成されていてもよい。この絶縁層に含まれるリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、少なくともZrを含有していることが好ましく、少なくともZr及びNbを含有していることがより好ましく、少なくともZr、Nb及びLaを含有していることが更に好ましい。こうすれば、リチウムイオンの伝導性をより高めることができる。このリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、組成式Li5+XLa3(ZrX,A2-X)O12(式中、AはSc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素、Xは1.4≦X<2)で表されるものとしてもよい。ここで用いるガーネット型酸化物は、Xが1.4≦X<2を満たすため、公知のガーネット型酸化物Li7La3Zr212(つまりX=2)と比べて、リチウムイオン伝導度が高くなり且つ活性化エネルギーも小さくなる。例えば、AがNbの場合、リチウムイオン伝導度が2.5×10-4Scm-1以上、活性化エネルギーが0.34eV以下になる。したがって、この酸化物を含むリチウム二次電池によれば、リチウムイオンが伝導しやすく、抵抗が低くなり、電池の出力が向上する。また、活性化エネルギーが小さい、つまり温度に対するリチウムイオン伝導度の変化の割合が小さいため、電池の出力が安定する。また、Xが1.6≦X≦1.95を満たせば、リチウムイオン伝導度がより高く、活性化エネルギーがより低くなるため、より好ましい。更に、Xが1.65≦X≦1.9を満たせば、リチウムイオン伝導度がほぼ極大、活性化エネルギーがほぼ極小となるため、一層好ましい。なお、Aとしては、NbやNbとイオン半径が同等のTaが好ましい。
あるいは、本発明の絶縁層に含まれるリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、組成式Li7La3Zr212のZrサイトがZrとはイオン半径の異なる元素で置換され、XRDにおける(220)回折の強度を1に規格化したときの(024)回折の規格化後の強度が9.2以上であるものとしてもよい。(024)回折の規格化後の強度が9.2を超えると、LiO4(I)の四面体の酸素イオンが形成する三角形が正三角形に近づき、その三角形の面積が大きくなるため、公知のガーネット型酸化物Li7La3Zr212(つまりX=2)と比べて、リチウムイオン伝導度が高くなり且つ活性化エネルギーも小さくなる。例えば、AがNbの場合、リチウムイオン伝導度が2.5×10-4Scm-1以上、活性化エネルギーが0.34eV以下になる。したがって、この酸化物をリチウム二次電池に用いた場合、リチウムイオンが伝導しやすくなるため、電池の出力が向上する。また、活性化エネルギーが小さい、つまり温度に対するリチウムイオン伝導度の変化の割合が小さいため、電池の出力が安定する。また、(024)回折の規格化後の強度が10.0以上であれば、リチウムイオン伝導度がより高く、活性化エネルギーがより低くなるため、より好ましい。更に、(024)回折の規格化後の強度が10.2以上であれば、リチウムイオン伝導度がほぼ極大、活性化エネルギーがほぼ極小となるため、一層好ましい。なお、Zrとはイオン半径の異なる元素としては、Sc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素が挙げられ、このうち、NbやNbとイオン半径が同等のTaが好ましい。
ここで、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、主としてガーネット型の構造を有していればよく、例えば、他の構造が一部含まれていたり、例えばX線回折のピーク位置がシフトしているなどガーネットからみて歪んだ構造を含むものとしてもよい。また、組成式で示しているが、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物には他の元素や構造などが一部含まれていてもよい。
本発明のリチウム二次電池の絶縁層は、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物の粒子を固着した層としてもよいし、この固着層を焼成した焼成層としてもよいし、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物を成形して焼成し活物質層の表面に圧着した板状体層としてもよい。絶縁層を固着層とする場合には、焼結法やゾルゲル法、静電塗装法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、スラリーキャスト法、粉体の圧着などにより作製することができる。絶縁層を焼成体とする場合には、ガーネット型酸化物の粉体を加圧成形して焼成してもよいし、ガーネット型酸化物の粉体をスラリーとして鋳込み成形して焼成してもよい。絶縁層を焼成体とすると、より強固であり、正極と負極との短絡を防止しやすく好ましい。この絶縁層の厚さは、リチウム二次電池の大きさにもよるが、活物質層の厚さT以下とすることが好ましく、この厚さTの5%以上とするのが好ましく、例えば、0.1μm以上5mm以下の厚さとしてもよい。絶縁層の厚さは、リチウム二次電池の安全性や安定性に合わせて経験的に設定するものとしてもよい。
本発明のリチウム二次電池の絶縁層は、多孔質である多孔質絶縁層とすることが好ましい。こうすれば、多孔質絶縁層に形成されている孔を介してリチウムイオンの移動を図ることができる。この絶縁層の多孔質性は、例えば、ガーネット型酸化物のリチウムイオン伝導度が低いときには絶縁層の多孔性が高いものとし、リチウムイオンの移動を多孔質の孔に依存させるものとしてもよい。あるいは、ガーネット型酸化物のリチウムイオン伝導度が高いときには絶縁層の多孔性が低いものとし、リチウムイオンの移動をガーネット型酸化物自体に依存させるものとしてもよい。絶縁層の多孔化は、例えば、孔を形成する多孔化材料を絶縁層の形成時に加え、のちにこの多孔化材料を除去することにより行うことができる。例えば、炭素粒子などを多孔化材料として加えて、焼成時にこれを除去するものとしてもよいし、有機溶媒に溶解する多孔化材料を加えてのちに有機溶媒により溶解させてこれを除去するものとしてもよい。多孔質とした絶縁層の気孔率は、例えば、5体積%以上80体積%以下が好ましく、10体積%以上50体積%以下がより好ましい。この気孔率が5体積%以上では電解液を含み易いため好ましく、80体積%以下では絶縁性をより確保することができる。
本発明のリチウム二次電池の電解液としては、支持塩を含む非水系電解液や水溶液系電解液などを用いることができる。非水電解液の溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。具体的には、カーボネート類としてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチルなどの鎖状エステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、などのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。このうち、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましい。この組み合わせによると、充放電の繰り返しでの電池特性を表すサイクル特性が優れているばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量、電池出力などをバランスの取れたものとすることができる。
本発明のリチウム二次電池に含まれている支持塩は、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この支持塩は、非水電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。支持塩の濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。また、この非水電解液には、リン系、ハロゲン系などの難燃剤を添加してもよい。
本発明のリチウム二次電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウム二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。例えば、樹脂系のセパレータを絶縁層と併用すると、例えば、温度上昇時にはセパレータの融解によるイオン伝導の遮断(シャットダウン効果)を得ることができ、より安全性を高めることができる。
本発明のリチウム二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図1は、本発明のリチウム二次電池10の一例を示す模式図である。このリチウム二次電池10は、集電体11に正極活物質層12を形成した正極13と、集電体14の表面に負極活物質層17を形成した負極18と、負極活物質層17の表面に形成された絶縁層19と、正極13と負極18との間に介在する非水電解液20と、を備えたものである。この絶縁層19は、Zrを含有しリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物により形成されている。こうすれば、絶縁層19によって、安全性を高めると共により安定な充放電を行うことができる。
以上詳述した本実施形態のリチウム二次電池では、絶縁層が電子伝導度を有さないZrを含有したガーネット型酸化物であるため、例えばプラスチックフィルム製のセパレータに比して熱的安定性が高く、正極と負極とが短絡してしまうのをより防止しやすい。また、絶縁層がリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物であるため、リチウムイオン伝導性を有さないものに比して活物質のリチウムイオンの吸蔵・放出の妨げになりにくい。また、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、電位窓が広く、リチウムイオン伝導度が高く、高温でも安定であり、好ましい。したがって、安全性を高めると共により安定な充放電を行うことができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、絶縁層が負極活物質層の表面に形成されているものとしたが、図2に示すように、絶縁層は正極と負極との間に形成されていればよい。図2は、リチウム二次電池10B〜10Dの構造の一例を示す説明図である。リチウム二次電池10Bは、負極活物質層17の表面の代わりに、正極活物質層12の表面に形成された絶縁層19Bを備えたものである。こうしても、安全性を高めると共により安定な充放電を行うことができる。また、リチウム二次電池10Cは、正極活物質層17の表面に形成された絶縁層19Cと、負極活物質層17の表面に形成された絶縁層19とを備えたものである。こうしても、安全性を高めると共により安定な充放電を行うことができる。また、リチウム二次電池10Dは、集電体11に正極活物質層12を形成した正極13と、集電体14の表面に負極活物質層17を形成した負極18と、負極活物質層17の表面に形成された絶縁層19と正極13との間にセパレータ21を備えたものである。こうしても、安全性を高めると共により安定な充放電を行うことができる。
上述した実施形態では、リチウム二次電池として本発明を説明したが、例えば、活物質層の表面に形成された絶縁層を有するリチウム二次電池用電極としてもよい。こうしても、リチウム二次電池として用いた場合には、安全性を高めると共により安定な充放電を行うことができる。
以下には、本発明のリチウム二次電池を具体的に作製した例を実験例として説明する。
[ガーネット型酸化物の作製]
ガーネット型酸化物Li5+XLa3(ZrX,Nb2-X)O12(X=0〜2)は、Li2CO3、La(OH)3、ZrO2、およびNb25を出発原料に用いて合成を行った。ここで、実験例1〜7のXの値は、それぞれX=0,1.0,1.5,1.625,1.75,1.875,2.0とした(表1参照)。はじめに、出発原料を化学量論比になるように秤量し、エタノール中にて遊星ボールミル(300rpm/ジルコニアボール)で1時間、混合・粉砕を行った。出発原料の混合粉末をボールとエタノールから分離したのち、Al23製のるつぼ中にて、950℃、10時間大気雰囲気で仮焼を行った。その後、本焼結でのLiの欠損を補う目的で、仮焼した粉末に、Li5+XLa3(ZrX,Nb2-X)O12(X=0〜2)の組成中のLi量に対して Li換算で10at.%になるようにLi2CO3を過剰添加した。この混合粉末を、混合のためエタノール中にて遊星ボールミル(300rpm/ジルコニアボール)で1時間処理した。得られた粉末を再び950℃、10時間大気雰囲気の条件下で再度仮焼して仮焼体を得た。その後、この仮焼体を成型したのち、1200℃、36時間大気中の条件下で本焼結を行い、ガーネット型酸化物(実験例1〜7)を作製した。
[ガーネット酸化物の物性の測定及び結果]
1.相対密度
電子天秤にて測定した乾燥重量をノギスを用いて測定した実寸から求めた体積で除算することにより、各試料の測定密度を算出した。また、理論密度を算出し、測定密度を理論密度で除算し100を乗算した値を相対密度(%)とした。実験例1〜7の相対密度は、88〜92%であった。
2.相及び格子定数
各試料の相及び格子定数は、XRDの測定結果から求めた。XRDの測定は、XRD測定器(ブルカー(Bruker)製、D8ADVANCE)を用いて、試料粉末をCuKα、2θ:10〜120°,0.01°step/1sec.の条件で測定した。結晶構造解析は、結晶構造解析用プログラム:Rietan−2000(Mater. Sci. Forum, p321−324(2000),198)を用いて解析を行った。代表例として実験例1,3,5,7つまりLi5+XLa3(ZrX,Nb2-X)O12(X=0,1.5,1.75,2)のXRDパターンを図3に示す。図3から、各試料は不純物を含まず単相であることがわかる。また、実験例1〜3,5〜7につき、XRDパターンより求めた格子定数のX値依存性を図4に示す。図4から、Zrの割合が増えるほど格子定数が増大することがわかる。これは、Zr4+のイオン半径(rZr4+=0.79Å)がNb5+のイオン半径(rNb5+=0.69Å)よりも大きいためである。格子定数が連続的に変化していることから、NbはZrサイトに置換されていると考えられる(全率固溶が可能と考えられる)。
3.リチウムイオン伝導度
リチウムイオン伝導度は、恒温槽中にてACインピーダンスアナライザーを用い(周波数:0.1Hz〜1MHz、振幅電圧:100mV)、ナイキストプロットの円弧より抵抗値を求め、この抵抗値から算出した。ACインピーダンスアナライザーで測定する際のブロッキング電極にはAu電極を用いた。Au電極は市販のAuペーストを850℃、30分の条件で焼き付けることで形成した。実験例1〜7つまりLi5+XLa3(ZrX,Nb2-X)O12(X=0〜2)の25℃でのリチウムイオン伝導度のX値依存性を図5に示す。図5から、リチウムイオン伝導度は、Xが1.4≦X<2のとき、公知のLi7La3Zr212(つまりX=2、実験例7)に比べて高くなり、Xが1.6≦X≦1.95のとき、実験例7に比べて一段と高くなり、Xが1.65≦X≦1.9の範囲のとき、ほぼ極大値(6×10-4Scm-1以上)を取ることがわかる。上記1.で述べたとおり、各試料の相対密度は88〜92%であったことから、リチウムイオン伝導度がX値に応じて変化するのは、密度による影響ではないと考えられる。
ここで、ニオブを適量添加することで、リチウムイオン伝導度が向上した理由について考察する。ガーネット型酸化物の結晶構造には、図6に示すように、リチウムイオンが酸素イオンと4配位してなる四面体のLiO4(I)と、リチウムイオンが酸素イオンと6配位してなる八面体のLiO6(II)と、ランタンイオンが酸素イオンと8配位してなる十二面体のLaO8(I)と、ジルコニウムイオンが酸素イオンと6配位してなる八面体のZrO6とが含まれている。この結晶構造の全体像を図7(a)に示す。この図7(a)の結晶構造では、八面体のLiO6(II)は八面体のZrO6と十二面体のLaO8とによって囲まれているため見えない状態となっている。図7(b)は、図7(a)の結晶構造からLaO8(I)を削除して八面体のLiO6(II)を露出させた様子を示す。このように、6配位しているリチウムイオンは、6個の酸素イオンと、3個のランタンイオンと、2個のジルコニウムイオンに囲まれた位置にあり、恐らく、リチウムイオン伝導度にはほとんど寄与していないと考えられる。一方、4配位しているリチウムイオンは、酸素イオンを頂点とする四面体を形成している。リートベルド(Rietveld)構造解析より求めたLiO4(I)四面体構造の変化を図8に示す。LiO4(I)四面体を形成する酸素イオン間距離は二つの長さがある。ここでは長尺の二辺をa、短尺の一辺をbとする。図8(a)に示すように、長尺の辺aは、Nbの置換量によらずほとんど一定の値を示すのに対し、短尺の辺bは、Nbを適量置換することで長くなっている。つまり、酸素イオンが形成する三角形はNbを適量置換することで、正三角形に近付きつつ面積は増大している(図8(b)参照)。このことから、適量のNbをZrと置換すると、伝導するリチウムイオン周りの構造(酸素イオンが形成している四面体)が最適となり、リチウムイオンの移動を容易にする効果があると考えられる。なお、Zrと置換する元素は、Nb以外の元素、たとえばSc,Ti,V,Y,Hf,Taなどであっても、同様の構造変化が見込まれることから、同様の効果が得られる。
ここで、XRDの回折ピークの強度は、LiO4(I)四面体構造を反映して変化する。すなわち、ZrサイトをNbで置換することによりLiO4(I)四面体をなす三角形が上述したように変化するため、当然、XRDの各回折ピークの強度比も変化するのである。実験例1〜3,5,7の各試料の(220)回折の強度を1に規格化したときの各回折の規格化後強度のX値依存性を図9に示す。代表的なピークとして(024)回折の規格化後強度に注目する(図10参照)。(024)回折に関して言えば、公知のLi7La3Zr212(つまりX=2、実験例7)に比べてリチウムイオン伝導度が高くなる1.4≦X<2に対応する規格化後強度は9.2以上であり、一段とリチウムイオン伝導度が高くなる1.6≦X≦1.95に対応する規格化後強度は10.0以上であり、リチウムイオン伝導度がほぼ極大値を取る1.65≦X≦1.9に対応する規格化後強度は10.2以上であることがわかる。
4.活性化エネルギー(Ea)
活性化エネルギー(Ea)はアレニウス(Arrhenius)の式:σ=Aexp(−Ea/kT)(σ:伝導度、A:頻度因子、k:ボルツマン定数、T:絶対温度)を用い、アレニウスプロットの傾きより求めた。代表例として実験例1〜7のLi5+XLa3(ZrX,Nb2-X)O12(X=0〜2)のリチウムイオン伝導度の温度依存性(アレニウスプロット)を図11に示す。図11には、併せてLiイオン伝導性酸化物の中でも特に高いリチウムイオン伝導度を示すガラスセラミックスLi1+XTi2SiX3-X12・AlPO4(オハラ電解質、X=0.4)とLi1.5Al0.5Ge1.5(PO43(LAGP)のリチウムイオン伝導度の温度依存性(いずれも文献値)を示す。実験例1〜7につき、アレニウスプロットより求めた活性化エネルギーEa(25℃)のX値依存性を図12に示す。図12から、Xが1.4≦X<2のとき、Li7La3Zr212(つまりX=2、実験例7)より低い活性化エネルギーEa(つまり0.34eV未満)を示すことから、広い温度域でリチウムイオン伝導度が安定した値をとるといえる。また、Xが1.5≦X≦1.9のときには活性化エネルギーが0.32eV以下となり、特にXが1.75のときに極小値0.3eVとなった。0.3eVという値は既存のLiイオン伝導性酸化物中で最も低い値と同等の値である(オハラ電解質:0.3eV、LAGP:0.31eV)。
5.化学的安定性
ガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512(つまりX=1.75、実験例5)の室温大気中での化学的安定性を調べた。具体的には、大気中に放置したLi6.75La3Zr1.75Nb0.2512のリチウムイオン伝導度の経時変化(0〜7日)の有無を確認することで行った。その結果を図13に示す。バルクの抵抗成分が大気中に放置していた時間によらず一定であることから、ガーネット型酸化物は室温大気中でも安定といえる。
6.電位窓
ガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512(つまりX=1.75、実験例5)の電位窓を調べた。電位窓は、Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512のバルクペレットの片面に金を、もう片面にLiメタルを貼り付け、0〜5.5V(対Li+)および−0.5V〜9.5V(対Li+)の範囲で電位をスイープ(1mV/sec.)させることで調べた。その測定結果を図14に示す。電位を0〜5.5Vの範囲で走査しても、電流は全く流れなかった。このことからLi6.75La3Zr1.75Nb0.2512は0〜5.5Vの範囲で安定といえる。走査する電位を−0.5 〜9Vに広げると、0Vを境にして、酸化・還元電流が流れた。これはリチウムの酸化・還元に起因すると思われる。また、約7V以上でわずかに酸化電流が流れ始めた。しかし、流れる酸化電流量が非常に微弱であること、目視で色に変化が無いことなどから、流れる酸化電流は電解質の分解ではなく、セラミックス中に含まれている微量の不純物や粒界の分解が原因だと考えている。
[実験例8]
上記作製したリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物を用いて絶縁層を形成したリチウム二次電池を作製した。正極活物質として、層状Ni系活物質である、平均粒径が10μm程度であるLiNi0.80Co0.15Al0.052を用いた。この正極活物質を85重量%、導電材としてのカーボンブラックを10重量%、結着材としてのポリフッ化ビニリデンを5重量%混合し、正極合材を作製した。この正極合材をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)で分散させてペーストとし、この正極合材ペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔に塗工乾燥させ、ロールプレスして高密度化し、正極電極とした。なお、正極電極は30mm×30mmとし、正極活物質の付着量は片面あたり7mg/cm2程度とした。次に、人造黒鉛を負極活物質とした。この負極活物質を95重量%、結着材としてのポリフッ化ビニリデンを5重量%混合し、負極合材を作製した。この負極合材をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)で分散させてペーストとした。この負極合材ペーストを厚さ10μmの銅箔集電体に塗工乾燥させ、ロールプレスして高密度化し、負極電極とした。なお、負極電極は30mm×30mmとし、負極活物質の付着量は片面あたり5mg/cm2程度とした。次に、上記ガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512(つまりX=1.75、実験例5)を用いて板状体の多孔質絶縁層を作製した。上記ガーネット型酸化物の本焼結前の仮焼体を平均粒径が0.6μm程度になるよう粉砕した。この平均粒径は、電子顕微鏡を用いて観察した領域内にある各粒子の短径と長径とを計測し、この短径と長径との平均値を1つの粒径とし、全粒子の平均値を算出することにより求めた。このガーネット型酸化物の仮焼体粒子を用い、カーボン粒子(平均粒径40nm)をガーネット型酸化物に対して1重量%となるよう配合して、平板状(30mm×30mm)の成形型により成形した。この成形体を1200℃、36時間大気中の条件下で本焼結を行い、ガーネット型酸化物により形成された多孔質絶縁体を作製した。この多孔質絶縁体を負極電極表面(負極活物質層の表面)に圧着し、本発明のリチウム二次電池用電極を作製した。そして、負極電極、絶縁層、セパレータ(東燃タピルス製、PE25μm厚)、正極電極の順に積層し、電解液を満たして実験例8のリチウム二次電池を作製した。電解液は、LiPF6を、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒(体積比3:7)に1mol/L濃度で溶解したものを用いた。
[実験例9]
上記作製したリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物を含むスラリーを用い、絶縁層を負極活物質層の表面に塗布して形成した以外は、実験例8と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を実験例9とした。絶縁層の形成では、まず、平均粒径0.6μmのリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物を72重量部、ポリフッ化ビニリデンを3重量部、NMPを25重量部混合し、スラリーを調製した。このスラリーを負極活物質層の表面に厚さ20μmとなるように塗布し、乾燥することにより、負極活物質層の表面に絶縁層を形成した、本発明のリチウム二次電池用電極を作製した。
[実験例10]
上記作製したリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物を含むスラリーを用い、負極活物質層の表面に静電塗装して6μmの絶縁層を形成した以外は、実験例8と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を実験例10とした。
(充放電試験)
作製した電池について、0.2C(100mA)の電流で、上限4.1V、下限3.0Vとして充放電を5サイクル実行するコンディショニングを行った。次に、20℃の温度条件下で電流密度0.2mA/cm2の定電流・低電圧充電方式で充電上限電圧である4.1Vまで7時間かけて充電した。次いで、電流密度0.1mA/cm2の定電流で放電下限電圧である3.0Vまで放電を実施した。実験例8〜10の電池は、いずれも良好に充放電し、良好な電池特性を有することがわかった。
10,10B,10C,10D リチウム二次電池、11,14 集電体、12 正極活物質層、13,33 正極、17 負極活物質層、18 負極、19,19B,19C 絶縁層、20 非水電解液、21 セパレータ。

Claims (5)

  1. リチウムを吸蔵・放出する正極活物質を有する正極と、
    リチウムを吸蔵・放出する負極活物質を有する負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在しリチウムを伝導する電解液と、
    前記正極の表面、前記負極の表面及び前記電解液中のうち少なくとも1以上に存在し、Zrを含有しリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物により形成された絶縁層と、を備え、
    前記絶縁層は、組成式Li5+XLa3(ZrX,A2-X)O12(式中、AはSc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素、Xは1.4≦X≦1.875)で表されるガーネット型酸化物により形成されている、
    リチウム二次電池。
  2. 前記絶縁層は、前記AがNbである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記絶縁層は、多孔質絶縁層である、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池。
  4. リチウムを吸蔵・放出する活物質層と、Zrを含有しリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物により前記活物質層の表面に形成された絶縁層と、を備え、
    前記絶縁層は、組成式Li5+XLa3(ZrX,A2-X)O12(式中、AはSc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素、Xは1.4≦X≦1.875)で表されるガーネット型酸化物により形成されている、
    リチウム二次電池用電極。
  5. 前記絶縁層は、多孔質絶縁層である、請求項4に記載のリチウム二次電池用電極。
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