JP5469474B2 - 単発テラヘルツ波時間波形計測装置 - Google Patents

単発テラヘルツ波時間波形計測装置 Download PDF

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Description

本発明は、測定対象物で発生,透過または反射するテラヘルツ波の時間波形を測定し、その測定対象物の特性を評価する装置に関するものである。
テラヘルツ波は、光波と電波との中間領域に相当する0.01THz〜1000THz程度の周波数を有する電磁波であり、光波と電波との間の中間的な性質を有している。このようなテラヘルツ波の応用として、測定対象物で発生,透過または反射したテラヘルツ波の電場振幅の時間波形を測定することで該測定対象物の情報を取得する技術が研究されている。
テラヘルツ波を用いた測定対象物の情報の測定技術は、一般に以下のようなものである。すなわち、光源(例えば、フェムト秒レーザ光源)から出力された光パルスは、分岐部により2分岐されてポンプ光パルスおよびプローブ光パルスとされる。そのうちポンプ光パルスはテラヘルツ波発生用の非線形光学結晶に入力されて、これにより、この非線形光学結晶からパルステラヘルツ波が発生する。この発生したテラヘルツ波は、測定対象部で透過または反射されることで該測定対象物の情報(例えば、吸収係数、屈折率)を取得し、その後、合波部によりプローブ光パルスと合波され、プローブ光パルスと略同一タイミングでテラヘルツ波検出用の非線形光学結晶に入射される。
テラヘルツ波およびプローブ光パルスが入力された非線形光学結晶では、テラヘルツ波の伝搬に伴い複屈折が誘起され、その複屈折によりプローブ光パルスの偏光状態が変化する。そこで、分岐部と合波部との間のプローブ光パルスの光路上に偏光子が設けられるとともに、非線形光学結晶の出力側に検光子が設けられて、この検光子を透過したプローブ光パルスの強度が検出されることで、非線形光学結晶におけるプローブ光パルスの偏光状態の変化が検出され、ひいては、テラヘルツ波の電場振幅が検出されて、測定対象物の特性が得られる。このように、テラヘルツ波を用いた測定対象物の情報の測定技術は、パルステラヘルツ波がテラヘルツ波検出用の非線形光学結晶上で引き起こす電気光学効果を利用するものである。
また、一般に、テラヘルツ波のパルス幅はピコ秒程度であるのに対して、プローブ光パルスのパルス幅はフェムト秒程度であり、テラヘルツ波と比べてプローブ光パルスのパルス幅は数桁狭い。このことから、テラヘルツ波検出用の非線形光学結晶へのプローブ光パルスの入射タイミングが掃引されることで、パルステラヘルツ波の電場振幅の時間波形が得られる。
しかしながら、上記の測定対象物の情報の測定技術では、パルステラヘルツ波の電場振幅の時間波形を得る為に、光源から多数の光パルスが出力されて、各パルスについて非線形光学結晶へのプローブ光パルスの入射タイミングが設定される必要があることから、所要時間が長い。このような問題点を解決することを意図した発明が特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示された発明は、プローブ光パルスのパルス面を傾斜させて、テラヘルツ波検出用の非線形光学結晶に入力される際のテラヘルツ波およびプローブ光パルスそれぞれのパルス面を互いに非平行とし、この非線形光学結晶から出力されたプローブ光パルスのビーム断面における偏光状態変化の分布を光検出器により検出することで、光源からの単発の光パルスによりパルステラヘルツ波の電場振幅の時間波形を得るものである。このとき、パルステラヘルツ波の電場振幅の時間波形は、光検出器により空間的な像として得られる。
特開2008−096210号公報
特許文献1に開示された発明では、パルステラヘルツ波の電場振幅の時間波形の測定時間範囲を広くするには、プローブ光パルスのビーム径を大きくするとともに、テラヘルツ波検出用の非線形光学結晶として大きなものを用いることが必要である。
しかしながら、プローブ光パルスのビーム径を大きくすると、テラヘルツ波検出用の非線形光学結晶における単位面積当りのプローブ光パルスの強度が低下して、テラヘルツ波の検出感度が低下する。また、プローブ光パルスのビーム径を大きくすると、それに合わせて大きなテラヘルツ波検出用の非線形光学結晶を用いる必要がある。
テラヘルツ波検出用の非線形光学結晶(例えば、ZeTe結晶)の結晶性がよいものは、入手が困難であり且つ高価である。特に、大きく且つ結晶性がよい非線形光学結晶は、尚更、入手が困難であり且つ高価である。また、大きなテラヘルツ波検出用の非線形光学結晶を用いると、結晶性の悪さに起因してテラヘルツ波の検出感度にバラツキが生じ、光検出器により得られる結果が歪んでしまう。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、小さいテラヘルツ波検出用の非線形光学結晶を用いた場合にも単発の光パルスにより得られるパルステラヘルツ波の電場振幅の時間波形の測定時間範囲を広くすることができる単発テラヘルツ波時間波形計測装置を提供することを目的とする。
本発明の単発テラヘルツ波時間波形計測装置は、(1) テラヘルツ波およびプローブ光パルスを入力し、テラヘルツ波の伝搬に伴い複屈折が誘起され、その複屈折によりプローブ光パルスの偏光状態を変化させて、そのプローブ光パルスを出力する非線形光学結晶と、(2) プローブ光パルスのパルス面を傾斜させて、非線形光学結晶に入力される際のテラヘルツ波およびプローブ光パルスそれぞれのパルス面を互いに非平行とするパルス面傾斜部と、(3) パルス面傾斜部と非線形光学結晶との間のプローブ光パルスの光路上に設けられ、パルス面傾斜部によってパルス面を傾斜されたプローブ光パルスのビーム径を縮小するビーム径調整光学系と、(4) 非線形光学結晶から出力されたプローブ光パルスのビーム断面における偏光状態変化の分布を検出する光検出器と、を備えることを特徴とする。
本発明の単発テラヘルツ波時間波形計測装置は、パルス面傾斜部が、光源から出力された後にビーム径を拡大されたプローブ光パルスを入力して、そのプローブ光パルスのパルス面を傾斜させてもよい。
本発明の単発テラヘルツ波時間波形計測装置では、プローブ光パルスは、パルス面傾斜
部によりパルス面が傾斜された後、ビーム径調整光学系によりビーム径が縮小されて、テ
ラヘルツ波とともに非線形光学結晶に入力される。非線形光学結晶に入力される際のテラ
ヘルツ波およびプローブ光パルスそれぞれのパルス面は互いに非平行とされる。テラヘル
ツ波およびプローブ光パルスが入力された非線形光学結晶では、テラヘルツ波の伝搬に伴
い複屈折が誘起され、その複屈折によりプローブ光パルスの偏光状態が変化する。光検出
器により、非線形光学結晶から出力されたプローブ光パルスのビーム断面における偏光状
態変化の分布が検出される。
本発明の単発テラヘルツ波時間波形計測装置は、テラヘルツ波およびプローブ光パルスを互いに同軸となるように合波して非線形光学結晶へ出力する合波部を更に備え、ビーム径調整光学系がパルス面傾斜部と合波部との間のプローブ光パルスの光路上に設けられていてもよい。また、本発明の単発テラヘルツ波時間波形計測装置は、テラヘルツ波およびプローブ光パルスを互いに同軸となるように合波して非線形光学結晶へ出力する合波部を更に備え、ビーム径調整光学系が合波部と非線形光学結晶との間のプローブ光パルスの光路上に設けられていてもよい。後者の場合、ビーム径調整光学系は、合波部から出力されたプローブ光パルスのビーム径を調整することができるだけでなく、合波部から出力されたテラヘルツ波のビーム径をも調整することができる。また、ビーム径調整光学系がパルス面傾斜部と非線形光学結晶との間に結像関係を有していてもよい。
本発明の単発テラヘルツ波時間波形計測装置は、非線形光学結晶と光検出器との間のプローブ光パルスの光路上に設けられ、そのプローブ光パルスのビーム径を変更するプローブ光パルスビーム径変更光学系を更に備えていてもよい。このプローブ光パルスビーム径変更光学系が非線形光学結晶と光検出器との間に結像関係を有していてもよい。
本発明の単発テラヘルツ波時間波形計測装置は、ポンプ光パルスを入力することでテラヘルツ波を発生し出力するテラヘルツ波発生部と、テラヘルツ波発生部から出力されたテラヘルツ波のビーム径を変更するテラヘルツ波ビーム径変更光学系と、を更に備えていてもよい。このテラヘルツ波ビーム径変更光学系が、テラヘルツ波発生部から出力されるテラヘルツ波の光路上に設けられた測定対象物と非線形光学結晶との間に結像関係を有していてもよい。
本発明の単発テラヘルツ波時間波形計測装置は、ポンプ光パルスを入力することでテラヘルツ波を発生し出力するテラヘルツ波発生部と、テラヘルツ波発生部に入力されるポンプ光パルスのビーム径を変更するポンプ光パルスビーム径変更光学系と、を更に備えていてもよい。このポンプ光パルスビーム径変更光学系による像面がテラヘルツ波発生部に位置していてもよい。
本発明の単発テラヘルツ波時間波形計測装置は、(a) 測定対象物に対してポンプ光パルスを集光照射するとともに測定対象物における当該集光照射位置を走査するポンプ光パルス照射部を更に備え、(b) ポンプ光パルス照射部によりポンプ光パルスを測定対象物に集光照射することにより測定対象物でテラヘルツ波を発生させ、(c) 非線形光学結晶にテラヘルツ波とプローブ光パルスとを入力させ、(d) 光検出器が、ポンプ光パルス照射部による測定対象物への各集光照射位置について、非線形光学結晶から出力されたプローブ光パルスのビーム断面における偏光状態変化の分布を検出してもよい。
本発明によれば、小さいテラヘルツ波検出用の非線形光学結晶を用いた場合にも、単発の光パルスにより得られるパルステラヘルツ波の電場振幅の時間波形の測定時間範囲を広くすることができる。
比較例の単発テラヘルツ波時間波形計測装置101の構成図である。 パルス面傾斜部32の一構成例を示す図である。 非線形光学結晶42におけるテラヘルツ波およびプローブ光パルスの伝播の様子を示す図である。 第1実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置1の要部構成図である。 ビーム径調整光学系34によるプローブ光パルスのパルス面の傾斜の変化を説明する図である。 第2実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置2の要部構成図である。 第3実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置3の要部構成図である。 第4実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置4の要部構成図である。 第5実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置5の要部構成図である。 第6実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置6の要部構成図である。 第7実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置7の要部構成図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。以下では、先ず比較例の構成について説明し、その後に、この比較例の構成と対比しつつ実施形態の構成について説明する。
(比較例)
図1は、比較例の単発テラヘルツ波時間波形計測装置101の構成図である。この図に示される単発テラヘルツ波時間波形計測装置101は、テラヘルツ波を用いて測定対象物9の情報を取得するものであって、光源11、ビーム径調整部12、分岐部13、テラヘルツ波発生部21、光路長差調整部31、パルス面傾斜部32、偏光子33、合波部41、非線形光学結晶42、検光子43、光検出器44およびミラーM1〜M8を備える。
光源11は、光パルスを出力するものであり、好適にはパルス幅がフェムト秒程度であるパルスレーザ光を出力するフェムト秒パルスレーザ光源である。ビーム径調整部12は、光源11から出力された光パルスを入力して、その光パルスのビーム径を拡大して出力する。このビーム径拡大調整に際しては、テラヘルツ波およびプローブ光パルスそれぞれのビーム径が互いに等しくなるようにし、或いは、プローブ光パルスのビーム径よりテラヘルツ波のビーム径が大きくなるようにする。また、これらのビーム径は、テラヘルツ波発生部21や非線形光学結晶42の大きさを目安として拡大される。
分岐部13は、例えばビームスプリッタであり、ビーム径調整部12から出力された光パルスを2分岐して、その2分岐した光パルスのうち一方をポンプ光パルスとしてミラーM1へ出力し、他方をプローブ光パルスとしてミラーM4へ出力する。
分岐部13から出力されたポンプ光パルスは、ミラーM1〜M3により順次に反射されて、テラヘルツ波発生部21に入力される。なお、分岐部13からテラヘルツ波発生部21に到るまでのポンプ光パルスの光学系を、以下では「ポンプ光パルス光学系」という。
テラヘルツ波発生部21は、ポンプ光パルスを入力することでパルステラヘルツ波を発生し出力するものであり、例えば、非線形光学結晶、光アンテナ素子、半導体および超伝導体の何れかを含んで構成される。テラヘルツ波発生部21が非線形光学結晶を含む場合、このテラヘルツ波発生部21は、ポンプ光パルス入射に伴って発現する非線形光学現象によりテラヘルツ波を発生することができる。
テラヘルツ波は、光波と電波との中間領域に相当する0.01THz〜1000THz程度の周波数を有する電磁波であり、光波と電波との間の中間的な性質を有している。また、パルステラヘルツ波のパルス幅は数ピコ秒程度である。テラヘルツ波発生部21から出力されたテラヘルツ波は、試料台91上に置かれた測定対象物9を透過することで測定対象物9の情報(例えば、吸収係数、屈折率)を取得し、その後、合波部41に入力される。測定対象物9は、試料台91上に置かれていて、この試料台91の移動によりパルステラヘルツ波入射位置が調整され得る。なお、テラヘルツ波発生部21から合波部41に到るまでのテラヘルツ波の光学系を、以下では「テラヘルツ波光学系」という。
一方、分岐部13から出力されたプローブ光パルスは、ミラーM4〜M8により順次に反射され、パルス面傾斜部32および偏光子33を通過して、合波部41に入力される。偏光子33はパルス面傾斜部32の後段に設けられてもよい。パルス面傾斜部32は、ミラーM8により反射されて到達したプローブ光パルスを入力して、そのプローブ光パルスのパルス面を傾斜させ、非線形光学結晶42に入力される際のテラヘルツ波およびプローブ光パルスそれぞれのパルス面を互いに非平行とする。パルス面とは、ある瞬間において、光パルスのビームライン上の最大出力を示す位置をつないだ面のことである。これに対し、波面とは、光の等位相面をいう。なお、分岐部13から合波部41に到るまでのプローブ光パルスの光学系を、以下では「プローブ光パルス光学系」という。
4個のミラーM4〜M7は光路長差調整部31を構成している。すなわち、ミラーM5およびM6が移動することで、ミラーM4およびM7とミラーM5およびM6との間の光路長が調整され、プローブ光パルス光学系の光路長が調整される。これにより、光路長差調整部31は、分岐部13から合波部41に到るまでのポンプ光パルス光学系およびテラヘルツ波光学系の光路長と、分岐部13から合波部41に到るまでのプローブ光パルス光学系の光路長との差を、調整することができる。
合波部41は、テラヘルツ波発生部21から出力され測定対象物9で透過したテラヘルツ波と、分岐部13から出力されて到達したプローブ光パルスとを入力し、これらテラヘルツ波およびプローブ光パルスを互いに同軸となるように合波して非線形光学結晶42へ出力する。この合波部41はペリクルであるのが好適である。
非線形光学結晶42は、合波部41から出力されたテラヘルツ波およびプローブ光パルスを入力し、テラヘルツ波の伝搬に伴い複屈折が誘起され、その複屈折によりプローブ光パルスの偏光状態を変化させて、そのプローブ光パルスを検光子43へ出力する。光検出器44は、非線形光学結晶42から出力され検光子43を通過したプローブ光パルスを受光して、その受光したプローブ光パルスの強度分布を検出する。偏光子33,検光子43および光検出器44は、非線形光学結晶42から出力されたプローブ光パルスのビーム断面における偏光状態変化の1次元分布または2次元分布を検出する。
図2は、パルス面傾斜部32の一構成例を示す図である。この図に示されるパルス面傾斜部32は、プリズムを含み、プリズムの第1面にプローブ光パルスを入力し、その入力したプローブ光パルスをプリズムの内部で伝播させた後に、プリズムの第2面から外部へ出力する。これにより、プリズムの第1面に入力される前のプローブ光パルスのパルス面が主光線に垂直であったのに対して、プリズムの第2面から出力された後のプローブ光パルスのパルス面は、主光線に垂直な面に対して傾斜することになる。なお、プリズムに替えて、例えば、グリズム,反射型回折格子,透過型回折格子または空間光変調器を用いても、プローブ光パルスのパルス面を傾斜させることができる。
パルス面傾斜部32によるパルス面の時間的な傾斜の程度は、パルステラヘルツ波を検出する際の測定時間範囲となる。したがって、パルステラヘルツ波の時間幅がおよそ数ピコ秒であることから、プローブ光パルスのパルス面は時間的に数ピコ秒以上の傾斜をもたせるのが好ましい。
図3は、非線形光学結晶42におけるテラヘルツ波およびプローブ光パルスの伝播の様子を示す図である。この図に示されるように、テラヘルツ波のパルス幅はピコ秒程度であるのに対して、プローブ光パルスのパルス幅はフェムト秒程度であり、テラヘルツ波と比べてプローブ光パルスのパルス幅は数桁狭く、しかも、テラヘルツ波のパルス面に対してプローブ光パルスのパルス面が傾斜している。
この比較例の単発テラヘルツ波時間波形計測装置101は以下のように動作する。光源11から出力された光パルスは、ビーム径調整部12によりビーム径が拡大された後に分岐部13に入力され、分岐部13により2分岐されてポンプ光パルスおよびプローブ光パルスとされる。分岐部13から出力されたポンプ光パルスは、ミラーM1〜M3により順次に反射されて、テラヘルツ波発生部21に入力される。テラヘルツ波発生部21では、ポンプ光パルスの入力に応じてテラヘルツ波が発生し出力される。テラヘルツ波発生部21から出力されたテラヘルツ波は、測定対象部9を透過して合波部41に入力される。一方、分岐部13から出力されたプローブ光パルスは、ミラーM4〜M8により順次に反射され、パルス面傾斜部32によりパルス面が傾斜され、偏光子33により直線偏光とされ、合波部41に入力される。
合波部41に入力されたテラヘルツ波およびプローブ光パルスは、合波部41により互いに同軸となるように合波されて、略同一タイミングで非線形光学結晶42に入力される。テラヘルツ波およびプローブ光パルスが入力された非線形光学結晶42では、テラヘルツ波の伝搬に伴い複屈折が誘起され、その複屈折によりプローブ光パルスの偏光状態が変化する。そして、この非線形光学結晶42におけるプローブ光パルスの偏光状態は、プローブ光パルス光学系の光路上に設けられた偏光子33、非線形光学結晶42の出力側に設けられた検光子43、および、この検光子43を透過したプローブ光パルスの強度を検出する光検出器44により、光強度として検出される。このようにして、非線形光学結晶42におけるプローブ光パルスの偏光状態の変化が検出され、ひいては、テラヘルツ波の電場振幅が検出されて、測定対象物9の特性が得られる。
この比較例の単発テラヘルツ波時間波形計測装置101では、テラヘルツ波発生部21から出力されたパルステラヘルツ波は、通常、センチメートルからミリメートルのビーム径を持っている。これを検出するプローブ光パルスも同程度のビーム径とする。プローブ光パルスのパルス面がパルステラヘルツ波の時間幅と同程度の傾斜を持っていた場合、図3に示されるように、プローブ光パルスはパルステラヘルツ波と空間的に斜めに重なる。すなわち、プローブ光パルスおよびパルステラヘルツ波の伝播方向(つまり、時間方向)ではパルス面の傾斜によりプローブ光パルスはパルステラヘルツ波の全ての点で重なっているが、伝播方向に対して垂直方向ではビーム径の範囲で位置が異なっている。このことから、1次元または2次元の光強度分布を検出できる光検出器44を用いることにより、パルステラヘルツ波の電場振幅の時間変化(時間情報)をプローブ光パルスのビーム断面での光強度分布(空間情報)に置き換え、この空間情報を検出することができる。
このように、比較例の単発テラヘルツ波時間波形計測装置101は、時間情報を空間情報に変換し、その空間情報を光検出器44により検出して、パルステラヘルツ波の電場振幅の時間変化(時間情報)を測定することができる。
この単発テラヘルツ波時間波形計測装置101では、パルステラヘルツ波の電場振幅の時間波形の測定時間範囲を広くするには、プローブ光パルスのビーム径を大きくするとともに、大きな非線形光学結晶42を用いることが必要である。しかしながら、プローブ光パルスのビーム径を大きくすると、非線形光学結晶42における単位面積当りのプローブ光パルスの強度が低下して、テラヘルツ波の検出感度が低下する。また、プローブ光パルスのビーム径を大きくすると、それに合わせて大きな非線形光学結晶42を用いる必要がある。非線形光学結晶42の結晶性がよいものは、入手が困難であり且つ高価である。特に、大きく且つ結晶性がよい非線形光学結晶42は、尚更、入手が困難であり且つ高価である。また、大きな非線形光学結晶42を用いると、結晶性の悪さに起因してテラヘルツ波の検出感度にバラツキが生じ、光検出器により得られる結果が歪んでしまう。以下に説明する実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置は、このような問題点を解消し得るものである。
(第1実施形態)
図4は、第1実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置1の要部構成図である。この図では、テラヘルツ波についてはテラヘルツ波発生部21より以降の光学系が示され、また、プローブ光パルスについてはパルス面傾斜部32より以降の光学系が示されている。
第1実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置1では、プローブ光パルスとテラヘルツ波とを合波する合波部が設けられていない。プローブ光パルスおよびテラヘルツ波は、非線形光学結晶42に対して互いに異なる面に入射する。
単発テラヘルツ波時間波形計測装置1は、パルス面傾斜部32と非線形光学結晶42との間のプローブ光パルスの光路上に、プローブ光パルスのビーム径を調整するビーム径調整光学系34を備えている。ビーム径調整光学系34は、レンズ34Aおよびレンズ34Bを含む。前段のレンズ34Aの後側焦点位置と後段のレンズ34Bの前側焦点位置とは互いに一致している。前段のレンズ34Aの焦点距離より後段のレンズ34Bの焦点距離を短くすることで、ビーム径調整光学系34に入力されるプローブ光パルスのビーム径より、ビーム径調整光学系34から出力されるプローブ光パルスのビーム径を小さくすることができる。
図5は、ビーム径調整光学系34によるプローブ光パルスのパルス面の傾斜の変化を説明する図である。この図に示されるように、パルス面傾斜部32に入力されるプローブ光パルスのパルス面S1は光軸に垂直であるが、パルス面傾斜部32から出力されるプローブ光パルスのパルス面S2は光軸に垂直な面に対して傾斜する。ビーム径調整光学系34の入力光のビーム径に対して出力光のビーム径が変化すると、ビーム径調整光学系34に入力されるプローブ光パルスのパルス面S2の傾斜角度に対して、ビーム径調整光学系34から出力されるプローブ光パルスのパルス面S3の傾斜角度も変化するが、時間方向は変化しない。ビーム径調整光学系34から出力されるプローブ光パルスによる測定時間範囲T2は、ビーム径調整光学系34に入力されるプローブ光パルスによる測定時間範囲T1と変わらない。すなわち、単発テラヘルツ波時間波形計測におけるテラヘルツ波の測定時間範囲は、プローブ光パルス光学系におけるビーム径調整光学系34の有無によっては変わらない。
したがって、図4に示される構成の単発テラヘルツ波時間波形計測装置1は、ビーム径調整光学系34を備えて、テラヘルツ波検出用の非線形光学結晶42に入力されるプローブ光パルスのビーム径を小さくすることにより、テラヘルツ波の測定時間範囲を保ったまま、より小さな非線形光学結晶42を用いることができる。小さな非線形光学結晶42を用いることで、結晶性の悪さに起因するテラヘルツ波検出感度のバラつきによる単発テラヘルツ波時間波形計測における計測誤差を抑制することができる。また、小さな非線形光学結晶42を用いることで、単発テラヘルツ波時間波形計測を用いた装置を小型かつ安価にすることができる。
ビーム径調整光学系34は、レンズ対により構成されてもよいし、曲面ミラー対により構成されてもよい。偏光子33は、パルス面傾斜部32の前段に設けられてもよいし、パルス面傾斜部32の後段に設けられてもよい。また、プローブ光パルスおよびテラヘルツ波は、非線形光学結晶42の共通の面に非同軸で入射してもよい。
ビーム径調整光学系34は、パルス面傾斜部32と非線形光学結晶42との間に結像関係を有するのが好ましい。ビーム径調整光学系34は、像面歪曲等の収差に因る像の歪みを取り去る光学系となっているのが更に好ましく、その為に例えば4f光学系となっているのが好ましい。
また、ビーム径調整光学系34は、上記結像関係における物面と像面との位置関係を保ったまま拡大率・縮小率を任意に変えることができるズームレンズ型光学系となっているのが好ましい。このようにすることで、テラヘルツ波のビーム径に合わせて、最適なプローブ光パルスのビーム径を設定することができる。
例えば、テラヘルツ波がガウシアン型である場合のように、テラヘルツ波がビーム面内に強度分布を有する状態で非線形光学結晶42に達した場合、テラヘルツ波のビーム径よりプローブ光パルスのビーム径を小さくすることで、テラヘルツ波強度が強い中心部分のみをプローブ光パルスにより検出することができ、感度が高く且つ定量性が高い単発テラヘルツ波時間波形計測が可能となる。
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置2の要部構成図である。この図でも、テラヘルツ波についてはテラヘルツ波発生部21より以降の光学系が示され、また、プローブ光パルスについてはパルス面傾斜部32より以降の光学系が示されている。
第2実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置2では、プローブ光パルスとテラヘルツ波とを互いに同軸となるように合波する合波部41が設けられている。プローブ光パルスおよびテラヘルツ波は、互いに同軸となって非線形光学結晶42に入射する。
単発テラヘルツ波時間波形計測装置2は、パルス面傾斜部32と合波部41との間のプローブ光パルスの光路上に、プローブ光パルスのビーム径を調整するビーム径調整光学系34を備えている。
第2実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置2は、第1実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置1と略同様に動作し同様の効果を奏することができる。第2実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置2においても、ビーム径調整光学系34は、パルス面傾斜部32と非線形光学結晶42との間に結像関係を有するのが好ましい。ビーム径調整光学系34は、像面歪曲等の収差に因る像の歪みを取り去る光学系となっているのが更に好ましい。また、ビーム径調整光学系34は、上記結像関係における物面と像面との位置関係を保ったまま拡大率・縮小率を任意に変えることができるズームレンズ型光学系となっているのが好ましい。
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置3の要部構成図である。この図でも、テラヘルツ波についてはテラヘルツ波発生部21より以降の光学系が示され、また、プローブ光パルスについてはパルス面傾斜部32より以降の光学系が示されている。
この図7に示される第3実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置3は、図6に示された第2実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置2の構成に加えて、プローブ光パルスビーム径変更光学系45を更に備える。
プローブ光パルスビーム径変更光学系45は、非線形光学結晶42と光検出器44との間のプローブ光パルスの光路上に設けられ、そのプローブ光パルスのビーム径を変更(拡大または縮小)する。プローブ光パルスビーム径変更光学系45は、レンズ45Aおよびレンズ45Bを含む。前段のレンズ45Aの後側焦点位置と後段のレンズ45Bの前側焦点位置とは互いに一致している。プローブ光パルスビーム径変更光学系45は、前段のレンズ45Aの焦点距離と後段のレンズ45Bの焦点距離との比に応じて、プローブ光パルスのビーム径を変更することができる。
光検出器44の画素数は、計測するテラヘルツ波時間波形の時間分解能に対応する。光検出器により画素数や画素ピッチが異なるので、プローブ光パルスビーム径変更光学系45を設けることにより、所望の時間分解能で計測することができる。プローブ光パルスビーム径変更光学系45は、プローブ光パルスのビーム断面における垂直方向と水平方向とで独立したビーム径変更であってもよい。検光子43は、プローブ光パルスビーム径変更光学系45の前段に設けられてもよいし、プローブ光パルスビーム径変更光学系45の後段に設けられてもよい。
プローブ光パルスビーム径変更光学系45は、非線形光学結晶42と光検出器44との間に結像関係を有するのが好ましい。プローブ光パルスビーム径変更光学系45は、像面歪曲等の収差に因る像の歪みを取り去る光学系となっているのが更に好ましく、その為に例えば4f光学系となっているのが好ましい。
また、プローブ光パルスビーム径変更光学系45は、上記結像関係における物面と像面との位置関係を保ったまま拡大率・縮小率を任意に変えることができるズームレンズ型光学系となっているのが好ましい。このようにすることで、光検出器44の受光面のサイズに合わせて、最適なプローブ光パルスのビーム径を設定することができる。
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置4の要部構成図である。この図でも、テラヘルツ波についてはテラヘルツ波発生部21より以降の光学系が示され、また、プローブ光パルスについてはパルス面傾斜部32より以降の光学系が示されている。
この図8に示される第4実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置4は、図7に示された第3実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置3の構成に加えて、テラヘルツ波ビーム径変更光学系22を更に備える。
テラヘルツ波ビーム径変更光学系22は、測定対象物9と合波部41との間のテラヘルツ波の光路上に設けられ、テラヘルツ波発生部21から出力されたテラヘルツ波のビーム径を変更する。テラヘルツ波ビーム径変更光学系22は、レンズ22Aおよびレンズ22Bを含む。前段のレンズ22Aの後側焦点位置と後段のレンズ22Bの前側焦点位置とは互いに一致している。テラヘルツ波ビーム径変更光学系22は、前段のレンズ22Aの焦点距離と後段のレンズ22Bの焦点距離との比に応じて、テラヘルツ波のビーム径を変更することができる。
テラヘルツ波ビーム径変更光学系22によりテラヘルツ波のビーム径を縮小すると、非線形光学結晶42上におけるテラヘルツ波の強度が高くなり、検出される信号の強度が増大する。逆に、テラヘルツ波ビーム径変更光学系22によりテラヘルツ波のビーム径を拡大すると、非線形光学結晶42上におけるテラヘルツ波ビーム中の中心部分のみを検出することになり、テラヘルツ波のビーム面内の強度分布の影響を除くことができる。テラヘルツ波ビーム径変更光学系22を縮小光学系とするか拡大光学系とするかは、用途によって決定される。
テラヘルツ波ビーム径変更光学系22は、測定対象物9と非線形光学結晶42との間に結像関係を有するのが好ましい。テラヘルツ波ビーム径変更光学系22は、像面歪曲等の収差に因る像の歪みを取り去る光学系となっているのが更に好ましく、その為に例えば4f光学系となっているのが好ましい。
また、テラヘルツ波ビーム径変更光学系22は、上記結像関係における物面と像面との位置関係を保ったまま拡大率・縮小率を任意に変えることができるズームレンズ型光学系となっているのが好ましい。このようにすることで、プローブ光パルスのビーム径に合わせて最適なテラヘルツ波のビーム径を設定することができる。
(第5実施形態)
図9は、第5実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置5の要部構成図である。この図でも、テラヘルツ波についてはテラヘルツ波発生部21より以降の光学系が示され、また、プローブ光パルスについてはパルス面傾斜部32より以降の光学系が示されている。
この図9に示される第5実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置5は、図7に示された第3実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置3の構成においてビーム径調整光学系34に替えてビーム径調整光学系46を備える。
ビーム径調整光学系46は、合波部41と非線形光学結晶42との間のプローブ光パルスの光路上に設けられていて、合波部41から互いに同軸とされて出力されたプローブ光パルスおよびテラヘルツ波それぞれのビーム径を調整する。ビーム径調整光学系46は、レンズ46Aおよびレンズ46Bを含む。前段のレンズ46Aの後側焦点位置と後段のレンズ46Bの前側焦点位置とは互いに一致している。前段のレンズ46Aの焦点距離より後段のレンズ46Bの焦点距離を短くすることで、ビーム径調整光学系46に入力されるプローブ光パルスのビーム径より、ビーム径調整光学系46から出力されるプローブ光パルスのビーム径を小さくすることができ、また、ビーム径調整光学系46に入力されるテラヘルツ波のビーム径より、ビーム径調整光学系46から出力されるテラヘルツ波のビーム径を小さくすることができる。
ビーム径調整光学系46は、第4実施形態におけるビーム径調整光学系34とテラヘルツ波ビーム径変更光学系22とを兼ねたものに相当する。ビーム径調整光学系46を構成するレンズ46Aおよびレンズ46Bそれぞれは、テラヘルツ波およびプローブ光パルスの双方に対して透明であって、また、双方に対して略同等の屈折率を有する材質からなるのが好ましい。
(第6実施形態)
図10は、第6実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置6の要部構成図である。この図では、テラヘルツ波についてはテラヘルツ波発生部21の前段部分より以降の光学系が示され、また、プローブ光パルスについてはパルス面傾斜部32より以降の光学系が示されている。
この図10に示される第6実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置6は、図7に示された第3実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置3の構成に加えて、ポンプ光パルスビーム径変更光学系23を備える。
ポンプ光パルスビーム径変更光学系23は、分岐部13とテラヘルツ波発生部21との間のポンプ光パルス光学系の途中に設けられ、テラヘルツ波発生部21に入力されるポンプ光パルスのビーム径を変更する。ポンプ光パルスビーム径変更光学系23は、レンズ23Aおよびレンズ23Bを含む。前段のレンズ23Aの後側焦点位置と後段のレンズ23Bの前側焦点位置とは互いに一致している。
ポンプ光パルスビーム径変更光学系23は、前段のレンズ23Aの焦点距離と後段のレンズ23Bの焦点距離との比に応じて、ポンプ光パルスのビーム径を変更することができる。そして、テラヘルツ波発生部21に入力されるポンプ光パルスのビーム径を変更することにより、テラヘルツ波発生部21から出力されるテラヘルツ波のビーム径を変更することができる。
ポンプ光パルスビーム径変更光学系23による像面はテラヘルツ波発生部21に位置するのが好ましい。ポンプ光パルスビーム径変更光学系23は、第4実施形態におけるテラヘルツ波ビーム径変更光学系22と共に用いられてもよい。
(第7実施形態)
図11は、第7実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置7の要部構成図である。この図では、ポンプ光パルスおよびテラヘルツ波についてはテラヘルツ波発生部としての測定対象物9の前段部分より以降の光学系が示され、また、プローブ光パルスについてはパルス面傾斜部32より以降の光学系が示されている。
この図11に示される第7実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置7は、図8に示された第4実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置4の構成において測定対象物9がテラヘルツ波発生部21を兼ねることとし、また、レンズ24,ITO膜付き光学板25および対物レンズ26を備える。
ポンプ光パルス光学系に設けられたレンズ24,ITO膜付き光学板25および対物レンズ26は、測定対象物9に対してポンプ光パルスを集光照射するポンプ光パルス照射部を構成する。その測定対象物9における当該集光照射位置は2次元走査される。集光照射位置の走査は、測定対象物9を走査することにより行われてもよいし、レンズ24に入射されるポンプ光パルスの主光線を走査することにより行われてもよい。
測定対象物9は、例えば半導体デバイスであって、ポンプ光パルスが照射されることによりテラヘルツ波を発生する。そのテラヘルツ波は、対物レンズ26,ITO膜付き光学板25およびテラヘルツ波ビーム径変更光学系22を経て合波部41に入力される。
合波部41は、ポンプ光パルスが測定対象物9に集光照射されることにより測定対象物9で発生したテラヘルツ波と、ビーム径調整光学系34から出力されたプローブ光パルスとを入力し、これらを互いに同軸となるように合波して非線形光学結晶42へ出力する。
非線形光学結晶42は、合波部41から出力されたテラヘルツ波およびプローブ光パルスを入力し、テラヘルツ波の伝搬に伴い複屈折が誘起され、その複屈折によりプローブ光パルスの偏光状態を変化させて、そのプローブ光パルスを検光子43へ出力する。
光検出器44は、非線形光学結晶42から出力され検光子43およびプローブ光パルスビーム径変更光学系45を通過したプローブ光パルスを受光して、その受光したプローブ光パルスの強度分布を検出する。偏光子33,検光子43および光検出器44は、測定対象物9へのポンプ光パルスの各集光照射位置について、非線形光学結晶42から出力されたプローブ光パルスのビーム断面における偏光状態変化の1次元分布または2次元分布を検出する。
この第7実施形態の単発テラヘルツ波時間波形計測装置7は、いわゆるレーザテラヘルツエミッション顕微鏡(LaserTerahertz Emission Microscopy: LTEM)を構成している。LTEMは、例えば半導体デバイスである測定対象物の電界分布を非接触で測定することができる。
本発明をLTEMに適用することができる。これにより、単発テラヘルツ波時間波形計測におけるテラヘルツ波時間波形の歪みを抑制することができ、精度が高いLTEMシステムを構築することができる。
1〜7…単発テラヘルツ波時間波形計測装置、9…測定対象物、11…光源、12…ビーム径調整部、13…分岐部、21…テラヘルツ波発生部、22…テラヘルツ波ビーム径変更光学系、23…ポンプ光パルスビーム径変更光学系、31…光路長差調整部、32…パルス面傾斜部、33…偏光子、34…ビーム径調整光学系、41…合波部、42…非線形光学結晶、43…検光子、44…光検出器、45…プローブ光パルスビーム径変更光学系、46…ビーム径調整光学系、M1〜M8…ミラー。

Claims (12)

  1. テラヘルツ波およびプローブ光パルスを入力し、テラヘルツ波の伝搬に伴い複屈折が誘起され、その複屈折によりプローブ光パルスの偏光状態を変化させて、そのプローブ光パルスを出力する非線形光学結晶と、
    プローブ光パルスのパルス面を傾斜させて、前記非線形光学結晶に入力される際のテラヘルツ波およびプローブ光パルスそれぞれのパルス面を互いに非平行とするパルス面傾斜部と、
    前記パルス面傾斜部と前記非線形光学結晶との間のプローブ光パルスの光路上に設けられ、前記パルス面傾斜部によってパルス面を傾斜されたプローブ光パルスのビーム径を縮小するビーム径調整光学系と、
    前記非線形光学結晶から出力されたプローブ光パルスのビーム断面における偏光状態変化の分布を検出する光検出器と、
    を備えることを特徴とする単発テラヘルツ波時間波形計測装置。
  2. 前記パルス面傾斜部が、光源から出力された後にビーム径を拡大されたプローブ光パルスを入力して、そのプローブ光パルスのパルス面を傾斜させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の単発テラヘルツ波時間波形計測装置。
  3. テラヘルツ波およびプローブ光パルスを互いに同軸となるように合波して前記非線形光
    学結晶へ出力する合波部を更に備え、
    前記ビーム径調整光学系が前記パルス面傾斜部と前記合波部との間のプローブ光パルス
    の光路上に設けられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の単発テラヘルツ波時間波形計測装置。
  4. テラヘルツ波およびプローブ光パルスを互いに同軸となるように合波して前記非線形光
    学結晶へ出力する合波部を更に備え、
    前記ビーム径調整光学系が前記合波部と前記非線形光学結晶との間のプローブ光パルス
    の光路上に設けられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の単発テラヘルツ波時間波形計測装置。
  5. 前記ビーム径調整光学系が前記パルス面傾斜部と前記非線形光学結晶との間に結像関係
    を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の単発テラヘルツ波時間波形計測装置。
  6. 前記非線形光学結晶と前記光検出器との間のプローブ光パルスの光路上に設けられ、そ
    のプローブ光パルスのビーム径を変更するプローブ光パルスビーム径変更光学系を更に備
    える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の単発テラヘルツ波時間波形計測装置。
  7. 前記プローブ光パルスビーム径変更光学系が前記非線形光学結晶と前記光検出器との間
    に結像関係を有する、
    ことを特徴とする請求項に記載の単発テラヘルツ波時間波形計測装置。
  8. ポンプ光パルスを入力することでテラヘルツ波を発生し出力するテラヘルツ波発生部と

    前記テラヘルツ波発生部から出力されたテラヘルツ波のビーム径を変更するテラヘルツ
    波ビーム径変更光学系と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の単発テラヘルツ波時間波形計測装置。
  9. 前記テラヘルツ波ビーム径変更光学系が、前記テラヘルツ波発生部から出力されるテラ
    ヘルツ波の光路上に設けられた測定対象物と前記非線形光学結晶との間に結像関係を有す
    る、
    ことを特徴とする請求項に記載の単発テラヘルツ波時間波形計測装置。
  10. ポンプ光パルスを入力することでテラヘルツ波を発生し出力するテラヘルツ波発生部と

    前記テラヘルツ波発生部に入力されるポンプ光パルスのビーム径を変更するポンプ光パ
    ルスビーム径変更光学系と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の単発テラヘルツ波時間波形計測装置。
  11. 前記ポンプ光パルスビーム径変更光学系による像面が前記テラヘルツ波発生部に位置す
    る、
    ことを特徴とする請求項10に記載の単発テラヘルツ波時間波形計測装置。
  12. 測定対象物に対してポンプ光パルスを集光照射するとともに前記測定対象物における当
    該集光照射位置を走査するポンプ光パルス照射部を更に備え、
    前記ポンプ光パルス照射部によりポンプ光パルスを前記測定対象物に集光照射すること
    により前記測定対象物でテラヘルツ波を発生させ、
    前記非線形光学結晶に前記テラヘルツ波とプローブ光パルスとを入力させ、
    前記光検出器が、前記ポンプ光パルス照射部による前記測定対象物への各集光照射位置
    について、前記非線形光学結晶から出力されたプローブ光パルスのビーム断面における偏
    光状態変化の分布を検出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の単発テラヘルツ波時間波形計測装置。
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