JP2013152220A - 表面検査装置及び表面検査方法 - Google Patents

表面検査装置及び表面検査方法 Download PDF

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敬弘 腰原
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貴彦 大重
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Abstract

【課題】金属表面の粗さと同程度の微小凹凸欠陥を、金属表面の粗さの影響を除去して検出し、かつ欠陥の凹凸の大きさを定量的に評価する表面検査装置及び方法を提供することを目的としたものである。
【解決手段】本発明の表面検査装置は、テラヘルツ波7を発生するテラヘルツ波発生装置20と、テラヘルツ波発生装置20から発生されたテラヘルツ波7をコリメートして鋼板8に照射させるレンズ17と、鋼板8の表面で反射されたテラヘルツ波7の進行方向垂直平面上の強度分布を検出するテラヘルツ波検出装置18と、テラヘルツ波7の強度分布に基づいて鋼板8の凹凸欠陥を検出する欠陥判定装置19とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄鋼板などの金属の微小凹凸性表面欠陥を光学的に検出する表面検査装置及び表面検査方法に関する。
薄鋼板の製造プロセスにおいて、ロール疵またはチャタマークなどの周期性凹凸疵が薄鋼板に発生することがある。これらの疵の薄鋼板面上の大きさは、直径は3mm〜30mm程度であるので比較的大きいのだが、疵の凹凸は0.5μm〜50μm程度であるので比較的小さい。その中でも微小凹凸欠陥と呼ばれるものは、凹凸が0.5μm〜10μm程度であり、非常に小さい。
図14は、鋼板の表面の微小凹凸欠陥の断面模式図である。図14に示されるように、この微小凹凸欠陥は、鋼板の表面の表面粗さ(σ=0.5μm〜1.5μm)と同じ程度の凹凸であるため、光が鋼板の表面の粗さにより散乱され、通常状態で観察しても発見することができない。ところが、鋼板の表面が塗装され、表面の粗さが塗料に埋められて滑らかになると、この微小凹凸欠陥が明瞭に認識され得るものとなり、外観上の大きな問題となる。そのため、このような欠陥を有する薄鋼板を出荷しないようにすることは、品質管理上の重要な課題である。
従来より、このような微小凹凸欠陥を見つけるため、鋼板の製造ラインまたは検査ラインにおいて、鋼板を一度停止させ砥石がけを行った後、検査員が目視による検査をしている。砥石がけを行うと、凹部に比べて凸部が凹部よりも強く研磨されて鏡面に近づくので、鋼板の表面の粗さと同程度の凹凸でも目視で確認可能となる。しかしながら、この方法では、製造ラインを一旦停止させるため生産性を阻害し、見逃しが生じる危険性も大きい。
このような微小凹凸欠陥を検出するための技術として、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1に記載の技術は、光を低角に鋼板表面に入射させる、または、長波長の光を利用することにより鋼板表面の粗さの影響を除去した鏡面反射を実現し、いわゆる魔鏡と呼ばれる技術を用い欠陥の凹凸による集光および発散を利用してスクリーン上に欠陥のパターンを投影する技術である。
また、特許文献2には、凹凸数10μmの欠陥を検出するために波長10μm〜1mm程度の電磁波を用いる技術が開示されている。特許文献2に記載の技術は、光源からの光を測定対象に集光して照射し、反射波を集光して検出器で測定するものである。特許文献2に記載の技術は、測定された反射波の強度を観測し、欠陥による高さの違いを信号強度の違いで検出する技術を用いている。
特開2005−003691号公報 特開2005−214758号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、光を鋼板表面に照射する入射角が87度程度となり、光学系の調整が困難という問題を有する。また、特許文献2に記載の技術は、そもそも測定対象が数10μm程度の欠陥を対象としており、微小凹凸欠陥の計測には適用することができないという問題を有する。また、いずれの技術にも、欠陥の凹凸の大きさを定量的には評価できないという共通の課題が存在する。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、金属表面の粗さと同程度の微小凹凸欠陥を、金属表面の粗さの影響を除去して検出し、かつ、欠陥の凹凸の大きさを定量的に評価する表面検査装置及び表面検査方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る表面検査装置は、テラヘルツ波を発生するテラヘルツ波発生手段と、前記テラヘルツ波発生手段から発生されたテラヘルツ波をコリメートして被検体に照射させるテラヘルツ波照射手段と、前記被検体の表面で反射されたテラヘルツ波の進行方向垂直平面上の強度分布を検出するテラヘルツ波検出手段と、前記テラヘルツ波の強度分布に基づいて前記被検体の表面の凹凸欠陥を検出する欠陥判定手段とを備えることを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る表面検査方法は、テラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生ステップと、前記テラヘルツ波発生ステップにて発生されたテラヘルツ波をコリメートして被検体に照射するテラヘルツ波照射ステップと、前記被検体の表面で反射されたテラヘルツ波の進行方向垂直平面上の強度分布を検出するテラヘルツ波検出ステップと、前記テラヘルツ波の強度分布に基づいて前記被検体の表面の凹凸欠陥を検出する欠陥判定ステップとを含むことを特徴とする。
本発明に係る表面検査装置および表面検査方法によれば、金属表面の粗さと同程度の微小凹凸欠陥を、金属表面の粗さの影響を除去して検出し、かつ、欠陥の凹凸の大きさを定量的に評価することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る表面検査装置の概略構成を示す図である。 図2は、励起光と励起光によって発生されるテラヘルツ波と検出光とのタイミングのずれにより検出される観測波形を示す図である。 図3は、テラヘルツ波時間波形マップを作成するための2軸ステージの制御方法を概念的に示す図である。 図4は、鋼板の観察範囲の左上の角にテラヘルツ照射波が照射されている様子を示している図である。 図5は、テラヘルツ波時間波形マップの作成方法のフローチャートである。 図6は、本発明の実施形態に係るテラヘルツ波の最大値画像を作成する方法を概念的に示した図である。 図7は、時間ずれ画像の作成手順を概略的に説明する図である。 図8は、本発明の第2実施形態に係る表面検査装置の概略構成を示す図である。 図9は、検出タイミング毎のテラヘルツ波の電場強度画像を概念的に示す図である。 図10は、時間ずれ画像の作成方法を概略的に説明する図である。 図11は、本発明の第3実施形態に係る表面検査装置の概略構成を示す図である。 図12は、本発明の第4実施形態に係る表面検査装置の概略構成を示す図である。 図13は、冷延鋼板の表面に生成された凸欠陥と凹欠陥とを計測した計測結果の図である。 図14は、図13の最大値画像の破線部における凹凸プロファイルデータである。 図15は、鋼板の表面の微小凹凸欠陥の断面模式図である。
本発明の実施形態を説明する前に、本発明の原理についての説明を行う。
鋼板表面の粗さの影響を除去するには、長波長の光を用いる測定が有効である。参考文献(Beckmann著 The scattering of electromagnetic waves from rough surface (Pergamon Press, 1963))によると、凹凸量の分布が正規分布となるモデルを仮定した場合、下記のパラメータgが小さいほど鏡面性が高いといえる(以下、このパラメータgを鏡面性パラメータと称する)。また、下式においてσ,λ,θ,θのそれぞれの値にかかわらず、鏡面性パラメータgの値が等しければ鏡面性の程度は同等となる。
Figure 2013152220
ただし、σは凹凸量の正規分布の標準偏差、λは照射光の波長、θは入射角、θは出射角である。
ここで、正反射光を受光することを考え、入射角θ及び出射角θがともに等しく、その値をθとすると、鏡面性パラメータgは(式1)となる。
Figure 2013152220
上式によれば、σが大きな被検体であっても、cosθ/λを所定の値以下にすれば、鏡面性を確保できることがわかる。例えばσ=0.025μmの粗面を有する被検体の鏡面性gは、可視光の波長0.5μm、入射角0度の場合g=0.395である。これと同等の鏡面性を、表面粗さがσ=1.5μm程度の鋼板において実現するには、例えば波長30μmかつ入射角0度という条件が必要となる。
一方、測定に用いる波長を長くすると空間分解能が低下する。この点、測定に用いる波長と分解能とが一般に同程度になることが知られている。そして、測定対象とする欠陥の大きさは、径φが3mm〜30mm程度である。したがって、対象とする最小の欠陥である径φが3mmの欠陥を検出するためには、測定に用いる電磁波の波長は3mm以下とする必要がある。
以上より、波長が30μm〜3mmの電磁波を鋼板表面にコリメートして照射することで鋼板表面粗さの影響を除去することができることが解る。よって、本発明に係る表面検査装置及び表面検査方法は、波長30μm〜3mmの電磁波を鋼板表面にコリメートして照射し、その鏡面反射を正反射位置で撮像する光学系を組み電磁波の強度分布を測定するものである。
電磁波を鋼板表面にコリメートして照射すると、鋼板表面の欠陥の凹凸によって電磁波が集束または拡散され、欠陥の凹凸に応じたパターンが撮像される。これを利用して、本発明に係る表面検査装置及び表面検査方法では、金属表面の凹凸を電磁波の強度に変換して測定する方法を用いる。なお、波長30μm〜3mm(周波数10THz〜0.1THz)の電磁波をテラヘルツ波と呼称したり、波長100μm〜1mmの電磁波をテラヘルツ波と呼称したりするようにその定義には幅があるが、本明細書中では波長30μm〜3mmの電磁波をテラヘルツ波と呼称することとする。
以下、上記原理に基づく本発明の表面検査装置および表面検査方法の実施形態について説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。以下では、σ=0.5μm〜1.5μm程度の粗さを持つ金属として鋼板を例として説明するが、鋼板に限らず、テラヘルツ波に対する適度な鏡面性を有する被検体であれば、本発明の効果を損なうことなくを適切に実施することができる。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る表面検査装置の概略構成を示す図である。
図1に示されるように、本発明の第1実施形態に係る表面検査装置は、パルスレーザ光2aを発生するレーザ発生装置16と、テラヘルツ波7を発生するテラヘルツ波発生装置20と、テラヘルツ波7をコリメートして鋼板8に照射するテラヘルツ波照射装置6と、テラヘルツ波7の強度分布を検出するテラヘルツ波検出装置18と、テラヘルツ波7の強度分布に基づいて鋼板8の凹凸欠陥を検出する欠陥判定装置19とを主な構成要素として備える。
レーザ発生装置16内に設置されたレーザ光源1は、パルスレーザ光2aを同一周期で繰り返し発生するものである。例えば、レーザ光源1として、Tiサファイアレーザを用いることができる。他のレーザとしては、ファイバーレーザなどが使用可能であるが、本発明の実施形態には、フェムト秒レーザと呼ばれるようなパルス幅が1psecより短い短パルスレーザ光源を用いることが望ましい。
なお、本発明の実施におけるパルスレーザ光2aの波長は、使用するテラヘルツ波発生装置および検出装置にあわせて選択され得る。本実施形態では、低温成長GaAs基板を用いた光伝導アンテナをテラヘルツ波発生装置20およびテラヘルツ波検出装置18に用いるため、波長780nmのパルスレーザ光2aが用いられている。
レーザ光源1から射出されたパルスレーザ光2aは、ビームスプリッタ3で励起光2bと検出光2cに分離され、励起光2bは、光ファイバ5aを経由して、レーザ発生装置16からテラヘルツ波照射装置6に伝送される。
テラヘルツ波照射装置6は、テラヘルツ波発生装置20として、光伝導アンテナを内部に備える。この光伝導アンテナは、低温成長GaAs基板上に2つの金属線が蒸着されたものである。2つの金属線間は定電圧がかけられているが、中央にギャップが設けられ絶縁されている。このギャップに励起光2bが照射されると、低温成長GaAs基板にキャリア(電子、正孔)が励起され、2つの金属線間にかけられた電圧により過渡電流が流れる。その結果、この過渡電流がパルス状のテラヘルツ波7が発生する。
発生したテラヘルツ波7はテラヘルツ波照射装置6の内部のレンズ17でコリメートされ、テラヘルツ波照射装置6から平行のテラヘルツ波7として外部に放出される。テラヘルツ波照射装置6から放出されたテラヘルツ波7は、2軸ステージ9a上に固定された鋼板8に入射角45度で照射される。
鋼板8は、2軸ステージ9a上に固定され、鋼板8の表面と概平行な面内で直交する2軸の方向に駆動可能に配置される。したがって、本実施形態の表面検査装置は、鋼板8上に指定された検査範囲内を走査しながら欠陥の計測をする構成である。ここでは、検査範囲を鋼板8上の限られた範囲としているが、鋼板8を移動させて複数回の計測で鋼板8全体を計測することが可能である。また、検査範囲を鋼板8の全体とする設計をすることも可能である。検査範囲は想定される欠陥の大きさよりも広い検査範囲を設定すれば、本発明の実施を適切に行うことができるが、例えば、検査範囲を30mm×30mm、50mm×50mm、又は30mm×50mmとすることが好ましい。
鋼板8にて鏡面反射されたテラヘルツ波7は、正反射位置に配置されたテラヘルツ波検出装置18に入射される。テラヘルツ波検出装置18は、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10と2軸ステージ9bとを内部に備える。2軸ステージ9bは、テラヘルツ波7の進行方向と概垂直な面内で直交する2軸の方向にテラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10を駆動可能に構成し、テラヘルツ波検出装置18内でテラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10を走査しながら、鋼板8で鏡面反射されたテラヘルツ波7を測定できるよう構成している。
テラヘルツ検出用光伝導アンテナ10には、レーザ発生装置16内でビームスプリッタ3で分岐されたもう一方のパルスレーザ光2aである検出光2cが導かれる。ビームスプリッタ3で分岐された検出光2cは、光路長可変装置(以下、光路長変更用ステージと呼称する)14上に載せられたミラー4aで反射され、ミラー4bを介して光ファイバ5bに導かれる。そして、検出光2cは、レーザ発生装置16とテラヘルツ波検出装置18を結ぶ光ファイバ5bを介して、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10に照射される。
テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10は、検出光2cが照射されたタイミングにおけるテラヘルツ波7の振幅に応じた電圧を検出し、この電圧をプリアンプ11に出力する。プリアンプ11は、入力された電圧を増幅し、これをロックインアンプ12に送る。ロックインアンプ12では、検出光2cまたは励起光2bの光路に設置された図示しないチョッパーからの参照信号に従い、テラヘルツ波7の検出信号のSN比を向上させる。ロックインアンプ12の出力は、時間波形計測装置13へ送られ光路長変更用ステージ14から取得するミラー位置情報を基にテラヘルツ信号の計測されたタイミングを決定しテラヘルツ時間波形を再生する。このテラヘルツ波時間波形を生成することを以下では、単にテラヘルツ波時間波形を計測すると呼ぶこととする。
計測されたテラヘルツ波時間波形は、テラヘルツ波マップ作成装置15へ送られ、2軸ステージ9a,9bからの位置情報を基に、テラヘルツ波時間波形マップを作成する。欠陥判定装置19は、このテラヘルツ波時間波形マップに基づいて欠陥を判定する。
〔計測方法〕
以下、テラヘルツ波時間波形の計測方法について説明する。発生したテラヘルツ波は時間的に急激な変化をするので、通常の測定方法では時間分解能が足りず、波形を精度よく計測することが困難である。よって、表面検査装置が備える光路長変更用ステージ14(図1参照)を利用してテラヘルツ波の検出タイミングを変動させ、検出値とその検出タイミングから元のテラヘルツ波の波形を再生する手法を用いる。
上述した励起光2bと検出光2cとは、パルスレーザ光2aをビームスプリッタ3で分割したパルス光であるので、同一波形かつ同一のタイミングで繰り返し発生されるパルス光である。光路長変更用ステージ14によりミラー4aの位置を変えると、励起光2bと検出光2cとの光路長が変更され、励起光2bによって発生されるテラヘルツ波7がテラヘルツ波検出装置18へ到達するタイミングと、検出光2cがテラヘルツ波検出装置18へ到達するタイミングとをずらすことができる。図2は、励起光2bと、励起光2bによって発生されるテラヘルツ波7と、検出光2cと、のタイミングのずれにより検出される観測波形を示す図である。
先述のように、テラヘルツ波検出装置18は、検出光が到達した瞬間のテラヘルツ波7の振幅を電圧に変換する。よって、光路長変更用ステージ14の位置を変えてタイミングをずらしながら、テラヘルツ波検出装置18がテラヘルツ波7の振幅を繰り返し計測し、時間波形計測装置13が計測された振幅値をずらしたタイミングの順に並べることで、元のテラヘルツ波時間波形を計測することができる。
しかしながら、この方法で観測された波形は実際のテラヘルツ波形を時間軸方向に引き伸ばしたものとなっている。このため、本発明の実施形態に係る計測方法は、以下の方法で実際のテラヘルツ波形に換算する。
実際の計測では、光路長変更用ステージ14上でミラー4aを一定速度vで移動させながら、テラヘルツ波7の振幅がサンプリング周波数fsでサンプリングされる。よって、1サンプリングあたりの光路長の変位量dlは、dl=(2×v)/fsとなる(なお、この計算は図1のように光路長変更用ステージの光路が1回折りかえしている場合である)。また、実際のテラヘルツ波形の時間軸上での時間ステップは、dt=dl/cとなる。ただし、cは光速。よって、観測された波形は、実際のテラヘルツ波形を時間軸上での倍率は1/fs/dt=c/2v倍したものとなっている。よって、本発明の実施形態に係る計測方法では、時間波形計測装置13が計測した実際の波形において時間軸を2v/c倍したものが真の波形となる。
〔テラヘルツ波時間波形マップの作成方法〕
次に、図3、図4、および図5を参照しながら、テラヘルツ波時間波形マップの作成方法を説明する。
図3は、図1に示される表面検査装置の例に従い、テラヘルツ波時間波形マップを作成するための2軸ステージ9aと2軸ステージ9bとの制御方法を概念的に示す図である。したがって、図3では、図1と対応させて、同一構成要素に同一の符号が付されている。ただし、図1におけるテラヘルツ波7については、テラヘルツ波照射装置6から鋼板8までと鋼板8からテラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10までとを区別し、それぞれ、テラヘルツ照射波7aとテラヘルツ反射波7bとする。なお、座標軸(X1,Y1)および(X2,Y2)は、それぞれ2軸ステージ9aおよび2軸ステージ9bの駆動位置を表現している。
テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10を駆動する2軸ステージ9bとの駆動位置に係る配列は次のように定義される。図3および図4に示されるように、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10の走査範囲(以下これを観察範囲という)は、一つのセルのX1方向のサイズがΔX1かつY1方向のサイズがΔY1であるメッシュに分割される。観察範囲の左上のセルを(0,0)とし、X1方向にi番目かつY1方向にj番目の位置を(i,j)とし、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10の走査位置が配列(i,j)によって表わされる。つまり、配列(i,j)は、観察範囲の左上からX1方向にΔX1×iの位置であり、かつY1方向にΔY1×jの位置を表している。また、観察範囲の大きさはX1方向にaかつY1方向にbである。このときn×ΔX1<aかつm×ΔY1<bとなる最大の整数としてnおよびmを定義した。すなわち、配列の大きさは(n,m)である。
同様に、鋼板8を駆動する2軸ステージ9aとの駆動位置に係る配列は次のように定義される。鋼板8上の走査範囲(以下これを検査範囲という)は、一つのセルのX2方向のサイズがΔX2かつY2方向のサイズがΔY2のメッシュに区分けされる。左上のセルを(0,0)、X2方向にi番目、Y2方向にj番目のメッシュを(i,j)とし、鋼板8の走査位置が配列(i,j)によって表される。つまり、配列(i,j)は、左上からX2方向にΔX2×iかつY2方向にΔY2×jの位置を表している。また、検査範囲の大きさはX2方向にaかつY2方向にbである。このときn×ΔX2<a,m×ΔY2<bとなる最大の整数としてnおよびmを定義した。すなわち、配列の大きさは(n,m)である。
例えば図4(図3(a)−1)は、鋼板8の検査範囲Aの左上の角にテラヘルツ照射波7aが照射されている様子を示している図である。「○」で示されているテラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10の位置が、観察範囲Aの左上に図示されている。ここで、鋼板8の健全部におけるテラヘルツ波の正反射が観察範囲Aの中央部を照射するように観察範囲を設定する。
なお、本発明の実施形態に係る2軸ステージ9aと2軸ステージ9bとの制御方法では、光伝導アンテナ10の走査のステップ幅は、X1方向に関しΔX1であり、Y1方向に関しΔY1である。同様に、鋼板8の移動のステップ幅は、X2方向に関しΔX2であり、Y2方向に関しΔY2である。これらのステップ幅は上記定義したメッシュのサイズに相当する。
このステップ幅は、想定される欠陥の大きさによって決定される。すなわち、ステップ幅が大きすぎると分解能が低く検出困難となる問題があり、ステップ幅が小さすぎると計算量が膨大になるなどの問題がある。よって、想定される欠陥の大きさの1/3〜1/10程度が適当であり、さらには1/5程度が最適である。
図5は、上記説明したテラヘルツ波時間波形マップの作成方法のフローチャートである。
まず、図4(図3(a)−1)に示される例のように、テラヘルツ波マップ作成装置15は、初期設定として鋼板8の位置を配列(i,j)=(0,0)に設定し、かつ光伝導アンテナ10の位置を配列(i,j)=(0,0)に設定する(ステップS1)。
次に、時間波形計測装置13は、光路長変更用ステージ14からの光路長に関する情報と、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10から出力される電圧とに基づいて、テラヘルツ波形を計測する(ステップS2)。なお、このテラヘルツ波形の計測方法は、図2を参照しながら先に説明した方法を用いる。
そして、テラヘルツ波マップ作成装置15は、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10の位置がX1方向に関して終端であるかを判断する(ステップS3)。すなわち、上記定義した配列の言葉で表現すると、i=nであるか否かが判断される。そして、i=nではない場合(ステップS3;No)、テラヘルツ波マップ作成装置15は、テラヘルツ検出用光伝導アンテナ10をX1方向に関して1ステップ走査(2軸ステージ9bをΔX駆動)する(ステップS4)。その後、ステップS2に戻り、移動後の位置にて時間波形計測装置13がテラヘルツ波形を計測する(ステップS2)。
上記ループを繰り返し、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10の位置がX1方向に関して終端となった場合(ステップS3;Yes)、テラヘルツ波マップ作成装置15は、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10の位置がY1方向に関して終端であるかを判断する(ステップS5)。
テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10の位置がY1方向に関して終端ではない場合(ステップS5;No)、テラヘルツ波マップ作成装置15は、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10をY1方向に関して1ステップ走査(2軸ステージ9bをΔY1駆動)する(ステップS6)。その後、ステップS2に戻り、移動後の位置にて時間波形計測装置13がテラヘルツ波形を計測する(ステップS2)。
一方、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10の位置がY1方向に関して終端である場合(ステップS5;Yes)、鋼板8の左上のセル(i,j)=(0,0)にテラヘルツ波が照射される場合についてのテラヘルツ時間波形マップに関するデータが、すべて取得されたことになる。したがって、テラヘルツ波マップ作成装置15は、このデータからテラヘルツ時間波形マップを作成し、欠陥判定装置19へ送信する(ステップS7)。なお、このテラヘルツ時間波形マップは、(i,j,t)の3次元配列に関するテラヘルツ波の振幅を表しているので、fi2,j2(i,j,t)と表現することができる。ここで、tはテラヘルツ時間波形の時間に関するパラメータである。
その後、鋼板8の検査範囲に関する走査を行う。まず、テラヘルツ波マップ作成装置15は、鋼板8の位置がX2方向に関して終端であるかを判断する(ステップS8)。鋼板8の位置がX2方向に関して終端ではない場合(ステップS8;No)、テラヘルツ波マップ作成装置15は、2軸ステージ9aが鋼板8の位置をX2方向に1ステップ動かす(ステップS9)。その後、ステップS2に戻り、移動後の鋼板8の位置について、時間波形計測装置13がテラヘルツ時間波形を計測する(ステップS2)。
一方、鋼板8の位置がX2方向に関して終端である場合(ステップS8;Yes)、テラヘルツ波マップ作成装置15は、鋼板8の位置がY2方向に関して終端であるかを判断する(ステップS10)。鋼板8の位置がY2方向に関して終端ではない場合(ステップS10;No)、テラヘルツ波マップ作成装置15は、2軸ステージ9aが鋼板8の位置をY2方向に1ステップ動かし(ステップS11)、移動後の鋼板8の位置について、時間波形計測装置13がテラヘルツ時間波形を計測する(ステップS2)。また、鋼板8の位置がY2方向に関して終端である場合(ステップS10;Yes)、鋼板8上の観察範囲をすべて走査したことになるので、テラヘルツ波マップ作成装置15は、処理を終了する。
以上により、鋼板8の各位置(i,j)につき、合計n×m個のテラヘルツ時間波形マップが作成される。なお、観察範囲の大きさはあらかじめ、想定される欠陥の大きさよりも大きくなるように、例えば30mm×30mm、50mm×50mmあるいは30mm×50mmのように設定すれば、本発明の実施をすることができるが、検査範囲と同じ大きさにしておくと計算上の都合がよい。
上記の方法で得られたテラヘルツ時間波形マップは、前述したように欠陥判定装置19に送られ、鋼板8の位置(i,j)と、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10の観察位置(i,j)と、テラヘルツ波の強度分布と、テラヘルツ波の位相分布と、を基に欠陥の判定が行われる。以下、図6および図7を参照しながら、本発明の実施形態に係る欠陥判定方法の説明をする。
〔欠陥判定方法〕
図6は、本発明の実施形態に係るテラヘルツ波の最大値画像を作成する方法を概念的に示した図である。図6(a)は、一つの配列(i,j,i,j)におけるテラヘルツ波の時間波形のイメージを示している。図6(a)に示されるように、テラヘルツ波の強度を代表する数値として、最大値、最小値、およびピークトゥーピークなどがある。ここでは、最大値Max(i,j,i,j)を用いて説明を行う。
図6(b)は、最大値Max(i,j,i,j)から作成されるテラヘルツ波の最大値アレイを示す図である。具体的には、各配列(i,j,i,j)につき定義された最大値Max(i,j,i,j)を二乗し強度に変換した後、光伝導アンテナ10の観察位置(i,j)に対応させて並べた最大値アレイAmaxi2,j2(i,j)を、鋼板8の各検査位置(i、j)につき作製する。
次に、最大値アレイAmaxi2,j2(i,j)の鋼板の位置(i,j)=(0,1,…n,0,1…m)のデータを足し合わせて最大値画像Max_Image(i,j)を(式2)に従い作成する。図6(c)は、この最大値画像を示す図である。
Figure 2013152220
本発明の実施形態に係る欠陥判定方法では、テラヘルツ波の強度分布としてこの最大値画像Max_Image(i,j)を用いる。凹欠陥ではテラヘルツ波が集束するためテラヘルツ波の強度が大きくなり、凸欠陥ではテラヘルツ波が拡散するためテラヘルツ波の強度が小さくなるので、本発明の実施形態に係る欠陥判定方法では、この最大値の大きい部分を凹欠陥と判定し、小さい部分を凸欠陥と判定する。具体的には、あらかじめ健全部を測定しておき健全部の最大値画像の最大値の平均値を計算しておき、その値を実際に測定された最大値画像から減算し、この値が正で大きいもの(例えば健全部におけるこの値の標準偏差をノイズとしてSN比が3を越えるもの)を凹欠陥、負で大きいもの(同様にその絶対値のSN比が3を越えるもの)を凸欠陥と判定する方法が考えられる。
次に、図7を参照しながら、時間ずれ画像の作成手順を説明する。時間ずれ画像は、各配列(i,j,i,j)に対して定義される時間ずれDelay(i,j,i,j)から算出される。この時間ずれDelay(i,j,i,j)とは、標準波形と、配列(i,j,i,j)における波形fi2,j2(i,j,t)との時間ずれを意味する。
この時間ずれDelay(i,j,i,j)の例として、図6(a)のように、標準波形と波形fi2,j2(i,j,t)の最大値をとるタイミングの時間差が利用される。その他、最小値を取るタイミングの時間差、最大値と最小値を取るタイミングの中間点の時間差、最大値と最小値の間で0点を横切るタイミングの時間差など、テラヘルツ波のパルスの到達時間を代表する値の時間差を採用することも可能である。なお、この時間ずれDelay(i,j,i,j)は、凹欠陥の場合に遅延し、凸欠陥の場合に先行することになる。
時間ずれ画像Delay_Image(i,j)は、正反射光が照射される位置(i1mirror,j1mirror)における時間ずれの値を各鋼板の位置に対応させて並べて作成される。図7(a)は、この正反射光が照射される位置(i1mirror,j1mirror)を示す図である。図7(a)に示されるように、この位置(i1mirror,j1mirror)は、テラヘルツ照射波7aが鋼板8の健全部に照射されているときに、鋼板8で正反射したテラヘルツ反射波7bが検出される位置として定義される。なお、本実施形態では、正反射が検出範囲の中心になるように検出範囲を設定しているため、i1mirror=n/2,j1mirror=m/2である(ただし、n,mが奇数の場合は予め1を加えてから処理する)。
図7(b)は、各配列(i,j,i,j)に対して定義される時間ずれDelay(i,j,i,j)から、時間ずれ画像Delay_Image(i,j)を算出する方法を概念的に説明する図である。図7(b)に示されるように、時間ずれ画像Delay_Image(i,j)は、Delay(i,j,i,j)にi=i1mirror,j=j1mirrorを代入して算出されるDelay(i1mirror,j1mirror,i,j)を、鋼板8の観察位置(i,j)に関して配列したものである。
この時間ずれ画像は、テラヘルツ波の位相分布を画像化したものである。したがって、時間ずれ画像の各値は、下記(式3)により、鋼板8の凹凸量dに変換され得る。
Figure 2013152220
ただし、c:光速、n:空気の屈折率、θ:テラヘルツ波の鋼板への入射角である。
図7(c)は、時間ずれ画像を鋼板8の凹凸量dに変換した図である。図7(c)に示されるように、(式3)に従い変換した凹凸量と、鋼板表面での位置(X2,Y2)を表現する2軸とあわせて3次元表示することで、時間ずれ画像が鋼板8の表面形状に変換される。つまり、図7(c)に示されるような3次元表示は、その欠陥形状および欠陥体積などを理解するのに好適な表示である。この欠陥形状および欠陥体積などから、より詳細な欠陥の種別、有害度、有害無害の区別が判定される。
以上のように、本発明の第1実施形態に係る表面検査装置および表面検査方法は、テラヘルツ波の検査範囲全体からの反射波の情報を利用したテラヘルツ波の強度分布から欠陥の有無と概略の大きさ凹凸を1次判定し、テラヘルツ波の正反射成分のみの時間ずれの情報であるテラヘルツ波の位相分布から欠陥の種別、有害度、および有害無害の区別を最終判定する。
本発明の第1実施形態に係る表面検査装置および表面検査方法は、テラヘルツ波の強度分布のみを用いる場合より正確に有害無害を判定可能になり、また、テラヘルツ波の位相分布のみを用いる場合と比較すると、テラヘルツ波の強度分布で1次判定を行うことで、欠陥候補の数を絞ることができるため、計算量が大幅に低下するという効果を有する。
上記説明した本発明の第1実施形態に係る表面検査装置および表面検査方法と同様の計算手順で、最小値のマップである最小値マップ、ピークトゥーピークのマップであるピークトゥーピークマップや振幅を二乗して強度に変換した後の最大値をとった強度最大値画像を作成することができる。そして、テラヘルツ波の強度分布として、上記最小値マップなどを用いても本発明を適切に実施することが可能である。また、本発明の実施形態に係る表面検査装置および表面検査方法では、振幅を二乗して強度に変換したが、最大値画像、最小値マップ、ピークトゥーピークマップでは、振幅を二乗して強度に変換してからマップにしても、振幅をそのままマップしても、同様にテラヘルツ波の強度分布として利用することができる。
本発明の第1実施形態に係る表面検査装置および表面検査方法では、テラヘルツ波発生装置として光伝導アンテナを用いたが、GaAsなどの半導体基板の表面にレーザを照射した際に発生するテラヘルツ波を利用する「半導体表面発光」を用いることもできる。また、発生用および検出用の光伝導アンテナとして低温成長GaAs基板上のアンテナを用いたが、例えばInGaAsなどのほかの半導体基板を用いることも可能である。InGaAs基板の場合、励起光、プローブ光の波長は1560nmが適している。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る表面検査装置および表面検査方法について説明する。
上述の第1実施形態に係る表面検査装置および表面検査方法では、2つの2軸ステージで、検出対象である鋼板8および検出器であるテラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10をそれぞれ2次元スキャンさせることで、比較的光量が弱い代わりに取り扱いが容易な光伝導アンテナ又は半導体表面発光を光源として利用する。一方で、2つの2次元スキャンをする必要があることから、計測時間が長くなる問題がある。以下で説明する発明の第2実施形態に係る表面検査装置および表面検査方法は、第1実施形態に係る表面検査装置および表面検査方法よりも計測時間を短縮することが可能である。
本発明の第2実施形態に係る表面検査装置および表面検査方法は、電気光学結晶(EO結晶)とCCDカメラの組み合わせを検出器に用いた実施形態である。特にここでは、電気光学結晶としてZnTe結晶を用いている。図8は、本発明の第2実施形態に係る表面検査装置の概略構成を示す図である。図8では、図1に示された構成要素と同一のものについては同一の符号を付与し、その説明を省略する。
図8に示されるように、本発明の第2実施形態に係る表面検査装置は、パルスレーザ光2aを発生するレーザ光源1と、テラヘルツ波7を発生するテラヘルツ波発生装置20と、テラヘルツ波7をコリメートして鋼板8に照射する放物面鏡21と、テラヘルツ波の強度分布を検出するテラヘルツ波検出装置29と、テラヘルツ波の強度分布に基づいて鋼板8の凹凸欠陥を検出する欠陥判定装置30とを主な構成要素として備える。
レーザ光源1は、パルスレーザ光2aを同一周期で繰り返し発生するものである。例えば、レーザ光源1として、Nd:YAGレーザ光源が用いられる。レーザ光源1から射出されたパルスレーザ光2aは、ビームスプリッタ3で励起光2bと検出光2cに分離され、励起光2bは、ミラー4cを経由して、テラヘルツ波発生装置20に照射される。
本発明の第2実施形態に係るテラヘルツ波発生装置20には非線形光学結晶が用いられ、励起光を受けて非線形光学結晶の光パラメトリック発生、光パラメトリック発振、光注入型の光パラメトリック発生、差周波発生などの非線形光学効果によりテラヘルツ波が発生される。
テラヘルツ波発生装置20により発生したテラヘルツ波7は、放物面鏡21などでコリメートされ、テラヘルツ波用ミラー22aで反射され鋼板8の観察範囲全体に照射される。
鋼板8に照射されたのち、鋼板8で正反射されたテラヘルツ波7は、テラヘルツ波用ミラー22bを介してハーフミラー23を透過して、テラヘルツ波検出用のEO結晶利用型のテラヘルツ波検出装置29に導かれる。
一方、前段のビームスプリッタ3で分離された検出光2cは、ミラー4a,4b,4dで反射され、レンズ24a,24bによりビーム径を広げられ、偏光板25aにより直線偏光に整えられ、上記ハーフミラー23において、鋼板8で反射されたテラヘルツ波7と同一の光軸で合成され、EO結晶利用型のテラヘルツ波検出装置29に入射される。
このうちミラー4aは、光路長変更用ステージ14によって位置を変更し、ビームスプリッタ3からテラヘルツ波検出装置29までの光路長を変えることができるようになっている。なお、この光路長の情報は、後述する欠陥判定装置30に送られる。
テラヘルツ波検出装置29は、ZnTeで構成される電気光学結晶(EO結晶)26とλ/4波長板27と偏光板25bとテラヘルツ波検出器28を備える。
EO結晶26は、ポッケルズ効果により、鋼板8で反射されたのちに入射されるテラヘルツ波7の電場強度に応じて複屈折が発生する。一方、入射された検出光2cは、偏光板25aを調整することにより、鋼板8で反射されたのちに入射されるテラヘルツ波7が存在しない場合に、λ/4波長板27を透過後の偏光状態が円偏光となるように設定される。すると、テラヘルツ波7が存在する場合には、テラヘルツ波7の電場によって生じたEO結晶26の複屈折により検出光2cに位相変化が生じるため、EO結晶26を透過後の検出光2cが楕円偏光となる。
偏光板25bを偏光状態の変化が大きいものを透過する向きに設置しておくと、偏光板を透過したプローブ光の強度は、テラヘルツ波7の電場強度に応じた値となっている。このプローブ光をCCDカメラ(テラヘルツ波検出器)28を用いて2次元画像として撮像することにより、テラヘルツ波7の電場強度の分布を計測することが可能となる。テラヘルツ波7の電場強度分布データは、画像の形式で欠陥判定装置30へ送られる。これをテラヘルツ波7の電場強度画像と呼ぶ。欠陥判定装置30では、テラヘルツ波7の電場強度画像と光路長変更用ステージ14の位置の情報とを合わせて欠陥判定がされる。
〔欠陥判定装置での処理〕
次に、図9および図10を参照しながら、欠陥判定装置30における判定処理について説明する。
欠陥判定装置30には、テラヘルツ波検出器28により取得されたテラヘルツ波7の電場強度画像が、検出光によって定められる検出タイミング毎に蓄積される。図9は、欠陥判定装置30に蓄積される、検出タイミング毎のテラヘルツ波7の電場強度画像を概念的に示す図である。図9に示されるように、一枚のテラヘルツ波7の電場強度画像は、X1座標とY1座標とにより定まる2次元画像であり、各画素にテラヘルツ波7の電場強度のデータが格納されている。したがって、X1座標およびY1座標を固定した画素の値を各検出タイミングでつなげた場合、そのX1座標およびY1座標におけるテラヘルツ波7の波形が再生できるデータ構造となっている。
次に、欠陥判定装置30は、上述のように検出タイミング毎に蓄積されたテラヘルツ波7の電場強度画像から最大値画像を作成する。この最大値画像の作成方法は、先述した第1実施形態と同様である。すなわち、欠陥判定装置30は、テラヘルツ波7の電場強度画像の各画素について(つまり、各X1座標およびY1座標を固定して)、テラヘルツ波形の時間方向(検出タイミング方向;図中t座標)に関する最大値を算出し、その最大値を当該画素の値とする画像を作成する。
上記のように作成された最大値画像は、テラヘルツ波7の強度分布を表している。鋼板8の凹欠陥に対応する画素では、凹欠陥の凹形状によりテラヘルツ波7が当該画素に集束するためテラヘルツ波7の検出強度が大きくなり、凸欠陥に対応する画素では、凸欠陥の凸形状によりテラヘルツ波7が当該画素から拡散するためテラヘルツ波7の検出強度が小さくなる。このことから、この最大値の大きい部分を凹欠陥、小さい部分を凸欠陥と判定することができる。
一方、欠陥判定装置30は、最大値画像の作成と並行して、最大値を取る検出タイミングtを画素毎に並べて時間ずれ画像を作成する。この時間ずれ画像の作成方法は、先述した第1実施形態と同様である。図10は、この時間ずれ画像の作成方法を概略的に説明する図である。図10に示されるように、この時間ずれ画像における時間ずれ量tは、先述した(式3)に従い高さdに換算され、すなわち、鋼板8の凹凸形状へと変換され、欠陥形状および欠陥体積などを求めることが可能になる。この欠陥形状および欠陥体積などからより詳細な欠陥の種別、有害度、有害無害の区別が判定される。
本発明の第2実施形態における欠陥判定装置30の処理においても、この最大値画像および時間ずれ画像をそれぞれテラヘルツ波7の強度分布およびテラヘルツ波7の位相分布として用いて、第1実施形態と同様の方法で欠陥を検出し、欠陥の大きさ、形状、種類などを判定する。
なお、本発明の第2実施形態における欠陥判定装置30では、テラヘルツ波7の強度分布として、テラヘルツ波7の電場強度画像から各画素毎に最大値をとった分布である最大値画像を使用したが、最大値の代わりに最小値をとってもよいし、ピークトゥーピーク値などのほかのテラヘルツ波電場強度を代表する値を用いてもよい。
また、本発明の第2実施形態における欠陥判定装置30では、テラヘルツ波7の位相分布として時間ずれ画像を用いた。このとき時間ずれとしては、基準信号に対する最大値のタイミングのずれを用いたが、最小値を取るタイミングのずれ、最大値と最小値を取るタイミングの中間点、最大値と最小値の間で0点を横切るタイミングなど、各テラヘルツ波パルスのテラヘルツ波発生装置から検出装置への伝達時間を代表する値であればよい。
以上より、本発明の第2実施形態に係る表面検査装置および表面検査方法によれば、光伝導アンテナおよび被検体である鋼板8の走査を必要としないので、短時間で鋼板8の欠陥計測を行うことができる。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る表面検査装置および表面検査方法について説明する。
図11は、本発明の第3実施形態に係る表面検査装置の概略構成を示す図である。図11では、図1または図8に示された構成要素と同一のものについては同一の符号を付与し、その説明を省略する。
図11に示されるように、本発明の第3実施形態に係る表面検査装置は、パルスレーザ光2aを発生するレーザ光源1と、テラヘルツ波7を発生するテラヘルツ波発生装置20と、テラヘルツ波7をコリメートして鋼板8に照射する放物面鏡21と、テラヘルツ波7の強度分布を検出するテラヘルツ波検出装置31と、テラヘルツ波7の強度分布に基づいて鋼板8の凹凸欠陥を検出する欠陥判定装置30とを主な構成要素として備える。
レーザ光源1は、パルスレーザ光2aを同一周期で繰り返し発生しするものである。例えば、レーザ光源1として、Tiサファイアレーザ光源が用いられる。レーザ光源1から射出されたパルスレーザ光2aは、ビームスプリッタ3で励起光2bと検出光2cに分けられ、励起光2bはミラー4cで反射されテラヘルツ波発生装置20に伝送される。
テラヘルツ波発生装置20には低温成長GaAs基板上に作られた光伝導アンテナが用いられ、この光伝導アンテナは励起光2bを受けてテラヘルツ波7を発生する。テラヘルツ波発生装置20により発生したテラヘルツ波7は、放物面鏡21などでコリメートされ、テラヘルツ波用ミラー22aで反射され鋼板8の観察範囲全体に照射される。
鋼板8で正反射されたテラヘルツ波7は、テラヘルツ波用ミラー22b、22cで反射されテラヘルツ波検出装置31に導かれる。テラヘルツ波検出装置31の内部には、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10が、紙面の水平方向及び垂直方向(すなわちテラヘルツ波7の進行方向と垂直な平面)に2次元配置されている。
一方、前段のビームスプリッタ3で分離された検出光2cは、ミラー4a,4bで反射され、連続プリズム型ビームスプリッタ32に導かれる。連続プリズム型ビームスプリッタ32は、半透明の材質で作られたプリズム型のビームスプリッタを連続配置したものであり、1本の検出光2cを複数のレーザに分けることができる。この分岐されたプローブ光は、テラヘルツ波検出装置31の内部にアレイ状に複数配置されたテラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10の各々のギャップ部に照射される。
また、検出光2cの光路上に配置されたミラー4aは、光路長変更用ステージ14によって位置を変更し、ビームスプリッタ3からテラヘルツ波検出装置31までの光路長を変えることができる。このミラー位置の情報は、後述する時間波形計測装置13に送られ、テラヘルツ波7の再生に用いられる。
テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ10は、検出光2cが照射されたタイミングにおけるテラヘルツ波7の振幅に応じた電圧を検出し、この電圧をプリアンプ11に出力する。プリアンプ11は、入力された電圧を増幅し、これをロックインアンプ12に送る。ロックインアンプ12は、検出光2cないしは励起光2bの光路のいずれかの場所に設置された図示しないチョッパーからの参照信号に従い、テラヘルツ波7の検出信号のSN比を向上させるものである。ロックインアンプ12の出力は時間波形計測装置13へ送られ、時間波形計測装置13が、光路長変更用ステージ14から取得するミラー位置情報を元にテラヘルツ信号の計測されたタイミングを決定し、テラヘルツ波検出装置31に入射されたテラヘルツ時間波形を再生する。
上記のように計測されたテラヘルツ時間波形は、テラヘルツ波マップ作成装置15へ送られ、テラヘルツ波マップ作成装置15がテラヘルツ波7の電場強度画像を作成する。その後、このテラヘルツ波7の電場強度画像に基づいて欠陥判定装置30が欠陥を判定する。これらの電場強度画像の作成および欠陥判定の方法については、先述した第2実施形態と同様なので、ここではその説明を省略する。
本発明の第3実施形態に係る表面検査装置は、各光伝導アンテナ10からの出力を並べることにより当該出力を画像化し、CCDカメラの出力と同様に考えることができるので、光伝導アンテナ10の観測タイミング毎にテラヘルツ波7の電場強度画像が得られる。このため、本発明の第3実施形態に係る表面検査装置は、電場強度画像が得られた後、第2の実施例と同様の手順によってテラヘルツ波7の強度分布およびテラヘルツ波7の位相分布を求めて欠陥の検出および判定を行う。
上記実施形態では、光伝導アンテナ10を2次元に配列したが、光伝導アンテナ10を1次元に配列して、被検体又はアンテナを光伝導アンテナ10の配列と垂直方向に走査させて画像を形成しても同様の計測が可能である。また、一つのアンテナを2次元に走査させても本発明を適切に実施することができる。
本実施形態は、第1実施形態に比較して、いずれの光伝導アンテナの形態をとっても、被検体である鋼板8の走査を必要としないのて、鋼板8の欠陥の計測時間を短縮できる。また、アンテナが1次元配列または2次元配列の場合、光伝導アンテナの走査も不要または少なくてよいので、鋼板8の欠陥の計測時間をさらに短縮できる。
上記第1〜3実施形態において、レーザ光源からの光をビームスプリッタで二つに分けて励起光およびプローブ光として使用したが、2つのレーザ光源を同期させて一方を励起光として用い、もう一方をプローブ光として用いることでも、計測時間を短縮する効果がある。
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態に係る表面検査装置および表面検査方法について説明する。
図12は、本発明の第4実施形態に係る表面検査装置の概略構成を示す図である。図12に示されるように、本発明の第4実施形態に係る表面検査装置は、パルスレーザ光2aを発生するレーザ光源1と、テラヘルツ波7を発生するテラヘルツ波発生装置20と、テラヘルツ波7をコリメートして鋼板8に照射するテラヘルツ波照射装置6と、テラヘルツ波7の強度分布を検出するテラヘルツ波検出装置18と、検出されたテラヘルツ波7の電場強度画像を作成するテラヘルツ波マップ作成装置15と、テラヘルツ波7の電場強度画像に基づいて鋼板8の凹凸欠陥を検出する欠陥判定装置19とを主な構成要素として備える。
レーザ光源1は、パルスレーザ光2aを同一周期で繰り返し発生するものである。例えば、レーザ光源1として、Tiサファイアレーザ光源が用いられる。レーザ光源1から射出されたパルスレーザ光2aは、ミラー4a,4bにより反射されテラヘルツ波発生装置20に伝送される。
テラヘルツ波発生装置20は、低温成長GaAs基板上に作られた光伝導アンテナ10を備え、この光伝導アンテナ10が、励起光としてパルスレーザ光2aを受光して、テラヘルツ波7を発生する。光伝導アンテナ10により発生したテラヘルツ波7は、レンズ17などでコリメートされ、2軸ステージ9a上に固定された鋼板8に入射角45度で照射される。
鋼板8にて鏡面反射されたテラヘルツ波7は、正反射位置に配置されたテラヘルツ波検出装置18に入射される。テラヘルツ波検出装置18は、テラヘルツ波を吸収体に吸収した際の温度変化をテラヘルツ波の強度として検出する検出器と2軸ステージ9bとを内部に備える。
例えば、テラヘルツ波を吸収体に吸収した際の温度変化をテラヘルツ波の強度として検出する検出器は、テラヘルツ波検出用ボロメータ33とすることができる。テラヘルツ波検出用ボロメータ33にテラヘルツ波7が照射されると、テラヘルツ波検出用ボロメータ33内のテラヘルツ波吸収体がテラヘルツ波7を吸収し温度変化が発生する。テラヘルツ波検出用ボロメータ33は、この温度変化によって半導体の電気抵抗を変化させ、この電気抵抗変化を計測することでテラヘルツ波7の強度を検出する。
テラヘルツ波を吸収体に吸収した際の温度変化をテラヘルツ波の強度として検出する検出器は、テラヘルツ波検出用ボロメータ33の代わりにゴーレイセルとすることができる。ゴーレイセルは、テラヘルツ波吸収体としてガスチャンバー内のガスを用い、当該ガスの熱膨張をガスチャンバーの変形により検出する検出器である。または、テラヘルツ波を吸収体に吸収した際の温度変化をサーモパイルを用いて検出する構成の検出器をテラヘルツ波検出用ボロメータ33の代わりに用いることも可能である。
2軸ステージ9bは、テラヘルツ波7の進行方向と概垂直な面内で直交する2軸の方向にテラヘルツ波検出用ボロメータ33を駆動可能に構成し、テラヘルツ波検出装置18内でテラヘルツ波検出用ボロメータ33を走査しながら、鋼板8で鏡面反射されたテラヘルツ波7を検出する。
テラヘルツ波検出用ボロメータ33の信号は、テラヘルツ波マップ作成装置15に送られ、2軸ステージ9a,9bからの位置情報を基に、テラヘルツ波信号強度マップを作成する。テラヘルツ波マップ作成装置15が行うマップ作成処理は、先述の実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
欠陥判定装置19は、テラヘルツ波マップ作成装置15が作成するテラヘルツ波7の電場強度画像に基づいて欠陥を判定する装置である。欠陥判定装置19は、この電場強度画像において、信号強度が所定の閾値以上となる領域の面積が一定面積(すなわち一定体積)より大きい場合に欠陥が存在すると判定する。
本実施形態に係る表面検査装置は、テラヘルツ波の検出器として熱的検出器を用いることにより、パルスレーザ光2aを励起光と検出光とに分離する必要がない。結果、本実施形態に係る表面検査装置は、第1〜3実施形態に係る表面検査装置のように光路長変更用ステージ14の走査を必要としないので、第1〜3実施形態と比べて簡易な構成かつ短時間で表面検査をすることが可能になる。
〔計測例〕
以下、上記説明した本発明の実施形態に係る表面検査装置および表面検査方法による、欠陥の計測例について説明する。
図13は、本発明の第1実施形態に示した表面検査装置および表面検査方法を用いて計測した、冷延鋼板の表面に生成された径φ5mmかつ凹凸量2μmの凸欠陥および凹欠陥の計測結果の図である。図13に示された測定例は、観察範囲50mm×50mm、検査範囲50mm×50mmに対する上記の2種類の欠陥の最大値画像をテラヘルツ波7の強度分布としてとり、そのうち25mm×25mmの範囲を表示したものである。
テラヘルツ波7は、冷延鋼板の表面で鏡面反射されている。冷延鋼板に凸欠陥が存在する場合は、テラヘルツ波7は欠陥の凸部の各所でその凸部の傾きに応じた方向に鏡面反射される。この凸部における反射方向は広がる方向に反射されるため、テラヘルツ波7の強度分布は周辺の健全部よりも強度が小さくなる。すなわち、画像で表示した場合に暗く表示される。
冷延鋼板に凹欠陥が存在する場合も同様に、テラヘルツ波7は欠陥の凹部の各所でその凹部の傾きに応じた方向に鏡面反射される。この凹部における反射方向は集まる方向に反射されるため、テラヘルツ波7の強度分布は周辺の健全部よりも強度が大きくなる。すなわち、画像で表示した場合に明るく表示される。以上のように、凹凸量2μmの小さい欠陥が検出できた。
また、図14は、図13の最大値画像の破線部における凹凸を位相画像から(式3)により計算した凹凸プロファイルデータである。凹凸プロファイルデータから欠陥のより正確な形状、欠陥の有害度、発生原因などが推定可能となった。凹凸プロファイルデータのみでは、粗さの情報との識別が困難であり欠陥の誤検出が増える。テラヘルツ波7の強度分布により欠陥の有無を判定し、凹凸プロファイルデータから欠陥のより正確な形状などを判定している。
なお、この例でテラヘルツ波7の鋼板への入射角を45度とし、反射角45度の位置に検出器を配置した。これは、角度を寝かせると検出感度が上がる一方で輝度画像情報がゆがんで実際の形と異なるものになる問題があるため、90度から60度程度の値にとることが望ましい。なお、90度に投光するためにはハーフミラーを活用して入射、検出の光軸を同軸にするとよい。
以上により、金属表面の粗面中にある凹凸が0.5μm〜10μmの微小凹凸欠陥を検出し、さらに欠陥の大きさを定量的に評価することが可能になることが実際に確認できた。すなわち、本発明の実施形態に係る表面検査装置および表面検査方法は、様々な形態の異常をその有害度合いに応じて的確に判別することができる。
1 レーザ光源
2a パルスレーザ光
2b 励起光
2c 検出光
3 ビームスプリッタ
4a〜d ミラー
5a,5b 光ファイバ
6 テラヘルツ波照射装置
7 テラヘルツ波
7a テラヘルツ照射波
7b テラヘルツ反射波
8 鋼板
9a,9b 2軸ステージ
10 光伝導アンテナ
11 プリアンプ
12 ロックインアンプ
13 時間波形計測装置
14 光路長変更用ステージ
15 テラヘルツ波マップ作成装置
16 レーザ発生装置
17 レンズ
18 テラヘルツ波検出装置
19 欠陥判定装置
20 テラヘルツ波発生装置
21 放物面鏡
22a,22b テラヘルツ波用ミラー
23 ハーフミラー
24a,24b レンズ
25a,25b 偏光板
26 電気光学結晶(EO結晶)
27 λ/4波長板
28 テラヘルツ波検出器
29 テラヘルツ波検出装置
30 欠陥判定装置
31 テラヘルツ波検出装置
32 連続プリズム型ビームスプリッタ
33 テラヘルツ波検出用ボロメータ

Claims (18)

  1. テラヘルツ波を発生するテラヘルツ波発生手段と、
    前記テラヘルツ波発生手段から発生されたテラヘルツ波をコリメートして被検体に照射させるテラヘルツ波照射手段と、
    前記被検体の表面で反射されたテラヘルツ波の進行方向垂直平面上の強度分布を検出するテラヘルツ波検出手段と、
    前記テラヘルツ波の強度分布に基づいて前記被検体の表面の凹凸欠陥を検出する欠陥判定手段とを備えることを特徴とする表面検査装置。
  2. 前記テラヘルツ波発生手段および前記テラヘルツ波検出手段には、短パルスレーザを発生する同一のレーザ光源から分離された励起光と検出光とがそれぞれ入射され、
    前記テラヘルツ波発生手段は、前記励起光が入射されたタイミングでテラヘルツ波を発生し、
    前記テラヘルツ波検出手段は、前記検出光が入射されたタイミングでテラヘルツ波を検出することを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
  3. 前記レーザ光源から前記テラヘルツ波発生手段までの光路、又は、前記レーザ光源から前記テラヘルツ波検出手段までの光路に、前記励起光と前記検出光との光路長差を可変とする光路長可変手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の表面検査装置。
  4. 前記欠陥判定手段は、前記被検体の表面に存在する欠陥で反射されたテラヘルツ波の集束または拡散によって生じるテラヘルツ波の強度分布に基づいて前記欠陥の凹凸形状を判定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の表面検査装置。
  5. 前記テラヘルツ波検出手段は、光伝導アンテナを前記進行方向垂直平面内で互いに平行でない2つ以上の方向に走査することにより強度分布を検出することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の表面検査装置。
  6. 前記テラヘルツ波検出手段は、前記テラヘルツ波を吸収体に吸収した際の温度変化を前記テラヘルツ波の強度として検出する検出器を前記進行方向垂直平面内で互いに平行でない2つ以上の方向に走査することにより強度分布を検出することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の表面検査装置。
  7. 前記テラヘルツ波を吸収体に吸収した際の温度変化を前記テラヘルツ波の強度として検出する検出器は、テラヘルツ波検出用ボロメータであることを請求項6に記載の表面検査装置。
  8. 前記テラヘルツ波を吸収体に吸収した際の温度変化を前記テラヘルツ波の強度として検出する検出器は、ゴーレイセルであることを請求項6に記載の表面検査装置。
  9. 前記テラヘルツ波発生手段は、光伝導アンテナに対して、被検体をその表面に平行な面内で互いに平行でない2つ以上の方向に走査することにより、テラヘルツ波を発生することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の表面検査装置。
  10. 前記テラヘルツ波発生手段は、半導体の表面発光に対して、前記被検体をその表面に平行な面内で互いに平行でない2つ以上の方向に走査することにより、テラヘルツ波を発生することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の表面検査装置。
  11. 前記欠陥判定手段は、
    前記被検体の走査範囲全体からのテラヘルツ波の反射強度を積算した強度分布と、
    正反射方向へのテラヘルツ波を基準とした、前記被検体からのテラヘルツ波の遅延時間と、に基づいて欠陥を判定することを特徴とする請求項9または10に記載の表面検査装置。
  12. 前記テラヘルツ波検出手段としてEO結晶の複屈折率の変化をカメラで観察するテラヘルツ波検出装置を用いることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
  13. 前記テラヘルツ波検出手段としてアレイ状に並べた光伝導アンテナを用いることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
  14. 励起光と検出光として同期された2つのレーザ光源からのレーザ光を用いることを特徴とした請求項1に記載の表面検査装置。
  15. テラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生ステップと、
    前記テラヘルツ波発生ステップにて発生されたテラヘルツ波をコリメートして被検体に照射するテラヘルツ波照射ステップと、
    前記被検体の表面で反射されたテラヘルツ波の進行方向垂直平面上の強度分布を検出するテラヘルツ波検出ステップと、
    前記テラヘルツ波の強度分布に基づいて前記被検体の表面の凹凸欠陥を検出する欠陥判定ステップとを含むことを特徴とする表面検査方法。
  16. 前記テラヘルツ波検出ステップは、光伝導アンテナを前記進行方向垂直平面内で互いに平行でない2つ以上の方向に走査するステップを含むことを特徴とする請求項15に記載の表面検査方法。
  17. 前記テラヘルツ波発生ステップは、前記被検体をその表面に平行な面内で互いに平行でない2つ以上の方向に走査するステップを含むことを特徴とする請求項15または請求項16に記載の表面検査方法。
  18. 前記欠陥判定ステップは、
    前記被検体の走査範囲全体からのテラヘルツ波の反射強度を積算した強度分布と、
    正反射方向へのテラヘルツ波を基準とした、前記被検体からのテラヘルツ波の遅延時間と、に基づいて欠陥を判定することを特徴とする請求項17に記載の表面検査方法。
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