JP5468323B2 - シリカ粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオルガノシロキサン粒子を焼成する工程を含むシリカ粒子の製造方法に関する。
近年、例えば液晶表示装置のスペーサ、樹脂用充填剤、セラミックス原料等としてシリカ粒子が用いられている。こうしたシリカ粒子の中でも、ポリオルガノシロキサン粒子から得られるシリカ粒子は、真球状に形成することができるため、上記用途に好適に用いられている。ポリオルガノシロキサン粒子は、例えばアルキル基等の非加水分解性基を有するアルコキシシラン化合物を加水分解及び縮合させることで、所定の粒径分布を有する集合体として得られる。こうして得られたポリオルガノシロキサン粒子集合体を焼成炉内で焼成することで、シリカ粒子集合体が製造される(例えば特許文献1参照)。
特開2001−302227号公報
ところで、ポリオルガノシロキサン粒子集合体の焼成においては、同粒子集合体に含まれる有機成分が燃焼すると、燃焼熱により前記集合体が加熱される。その燃焼熱による加熱は、得られるシリカ粒子に、割れ、亀裂等の不具合を発生させる要因となる。ここで、ポリオルガノシロキサン粒子集合体を焼成炉内にて焼成するに際して、その炉内に前記集合体をより多く仕込むことにより焼成量を増大すれば、例えば生産効率の向上、焼成炉の小型化等を図ることができるようになる。しかしながら、焼成量の増大は、燃焼熱をさらに高めてしまう結果、得られるシリカ粒子について不具合がさらに発生し易くなる。なお、こうした燃焼熱は、例えば炉内の昇温速度を低下させることにより抑制されるものの、焼成炉の稼働時間が長くなる結果、生産効率の低下を招いてしまうことになる。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、焼成量を増大させたとしても、シリカ粒子の不具合を抑制することのできるシリカ粒子の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、ポリオルガノシロキサン粒子を焼成する工程を含むシリカ粒子の製造方法において、焼成炉内にて焼成される焼成炭素量を、前記焼成炉内の容積a(L)と、ポリオルガノシロキサン粒子集合体に含まれる含有炭素量b(g)とにより、焼成炭素量(g/L)=含有炭素量b/容積aで表したとき、同焼成炭素量を5.0以上、16.1以下の範囲とし、かつ、前記焼成炉内の雰囲気を前記焼成炉内に不活性ガスを流入することで7.0体積%〜17.0体積%の酸素濃度範囲にした後に前記焼成炉の昇温を開始することを要旨とする。
この発明では、焼成炭素量を5.0以上に設定することで、シリカ粒子の生産効率を高めることができる。このとき、焼成炉内の雰囲気を7.0体積%〜17.0体積%の酸素濃度範囲にしている。このように酸素濃度を17.0体積%以下とすることで、ポリオルガノシロキサン粒子集合体に含まれる有機成分の燃焼が抑制される結果、燃焼熱の発生が抑制される。一方、酸素濃度を7.0体積%以上の範囲とすることで、焼成炉内に存在する所定量の酸素により、有機成分の酸化分解が促進される結果、焼成の効率を高めることができるようになる。また、例えば不活性ガスの流量、不活性ガスの流入時間等を設定することで、上記酸素濃度を容易に調整することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシリカ粒子の製造方法において、前記焼成炭素量が16.0以下の範囲であることを要旨とする。
この構成によれば、ポリオルガノシロキサン粒子集合体が加熱されるに際して、より均一に加熱されるようになる。このため、焼成炉内の前記集合体について局所的に燃焼熱が高まることを抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のシリカ粒子の製造方法において、前記焼成炭素量が6.0〜15.0の範囲であるとともに、前記酸素濃度が7.0体積%〜16.0体積%であり、かつ、前記ポリオルガノシロキサン粒子に含まれる有機成分の分解温度よりも50℃低い温度から前記分解温度よりも50℃高い温度の温度範囲内で前記焼成炉内の温度を3〜50時間保持し、その後、前記保持した保持温度よりも10℃高い温度を超えるとともに1100℃以下の温度範囲となるように前記焼成炉内を昇温することを要旨とする。
この構成によれば、生産効率の向上、及び、有機成分の燃焼抑制のいずれについても有利であり、しかも高温の焼成に基づく亀裂等の不具合を抑制することができる。なお、本発明における“分解温度”は、示差熱/熱重量同時測定装置を用いて、空気下において、1℃/minの昇温条件で熱重量を測定したとき、ポリオルガノシロキサン粒子に含まれる有機成分の分解による重量減少が確認された温度をいう。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリカ粒子の製造方法において、前記不活性ガスの前記焼成炉内への流入は、前記焼成中において継続されることを要旨とする。
求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリカ粒子の製造方法において、前記ポリオルガノシロキサン粒子がポリメチルシロキサン粒子であることを要旨とする。
この構成によれば、ポリメチルシロキサン粒子に含まれる有機成分はメチル基であるため、例えば炭素数が2以上のアルキル基を有機成分としたポリオルガノシロキサン粒子よりも、シリカ粒子の収率を高めることができるようになる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシリカ粒子の製造方法において、前記焼成炉がバッチ式のマッフル焼成炉であることを要旨とする。
上記バッチ式のマッフル焼成炉では、小型化を図ることにより、設置が容易となるとともに炉内温度が安定化するようになる。炉内温度の安定化は、得られるシリカ粒子について弾性率等の物性が安定化するようになる。このようにバッチ式のマッフル焼成炉では有利な効果が得られるものの、生産効率を向上させるためには、焼成量をできる限り増大させることが重要である。こうした焼成炉において、上記焼成する工程を実施することで、得られるシリカ粒子集合体について不具合の発生を抑制するとともに、生産効率を高めることができるようになる。
本発明によれば、焼成量を増大させたとしても、シリカ粒子の不具合を抑制することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
本実施形態におけるシリカ粒子の製造方法は、ポリオルガノシロキサン粒子を焼成する工程を通じて製造される。
<ポリオルガノシロキサン粒子の原料>
ポリオルガノシロキサン粒子の原料は、アルコキシシラン化合物である。このアルコキシシラン化合物は、下記一般式(A)に示される。
Si(OR ・・・(A)
一般式(A)中、Rは非加水分解性の有機基であって、同Rは炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が2〜20のアルケニル基、炭素数が6〜20のアリール基、又は、炭素数が7〜20のアラルキル基を示し、アルキル基は、(メタ)アクリロイルオキシ基又はエポキシ基を置換基として有するアルキル基を含む。一般式(A)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。なお、Rが複数の場合、各Rは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、ORが複数の場合、各ORは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記Rで示されるアルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。こうしたアルキル基の炭素数は、1〜10であることがより好ましい。炭素数が1〜10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。前記アルキル基のうち、(メタ)アクリロイルオキシ基又はエポキシ基を置換基として有するアルキル基としては、例えばγ−アクリロイルオキシプロピル基、γ−メタクリロイルオキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基等が挙げられる。
で示されるアルケニル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。こうしたアルケニル基の炭素数は、2〜10であることがより好ましい。炭素数が2〜10のアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等が挙げられる。
で示されるアリール基としては、炭素数が6〜10のアリール基がより好ましい。炭素数が6〜10のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
で示されるアラルキル基としては、炭素数が7〜10のアラルキル基がより好ましい。炭素数が7〜10のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
で示されるアルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。このアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
一般式(A)で表されるアルコキシシラン化合物としては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。なお、これらアルコキシシラン化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
<ポリオルガノシロキサン粒子を形成する工程>
次に、ポリオルガノシロキサン粒子を形成する工程について詳細に説明する。
ポリオルガノシロキサン粒子は、上記アルコキシシラン化合物を加水分解及び縮合させる粒子調製工程を通じて形成される。
粒子調製工程では、上記アルコキシシラン化合物を水性溶媒に溶解した後に、触媒を添加してアルコキシシラン化合物を加水分解及び縮合させる。水性溶媒としては、水と水混和性有機溶剤、又は水が挙げられる。水混和性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等のエーテル類などが挙げられる。これら水混和性有機溶剤は、単独で水と混合してもよいし、二種以上を組み合わせて水と混合してもよい。
水性溶媒には、例えばアルコキシシラン化合物の溶解性を高めるという観点から、ノニオン性界面活性剤を必要に応じて含有させることもできる。ノニオン性界面活性剤としては、好ましくはHLB値が8〜20の範囲にあるノニオン性界面活性剤、より好ましくはHLB値が10〜17の範囲にあるノニオン性界面活性剤である。
触媒としては、アンモニア及びアミンの少なくとも一方が挙げられる。アミンとしては、例えばモノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン等が挙げられる。こうした触媒は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。触媒の中でも、毒性が少なく、粒子から除去することが容易であり、かつ安価であるという観点から、アンモニアが好適である。
触媒を用いた加水分解及び縮合の反応形態は、混合均一系反応又は二層系反応が挙げられる。混合均一系反応は、アルコキシシラン化合物及び触媒を水性溶媒中で撹拌しながら、加水分解及び縮合を行う反応である。この混合均一系反応において、反応開始時のpHは、好ましくは9.7〜11.7、より好ましくは9.7〜11.2である。そして、反応開始時のpHよりも例えば0.7〜1.5の範囲で低下するまで、反応を進行させる。反応終了時のpHは、例えば9.0〜11.0の範囲である。混合均一系反応における反応温度は、アルコキシシラン化合物の種類に応じて適宜設定されるが、例えば0〜50℃の範囲が好適である。
二層系反応においては、比重(23℃)が1以下であるアルコキシシラン化合物が原料として用いられる。二層系反応は、アルコキシシラン化合物と、触媒を溶解した水性溶液とから形成される二層の状態を保持しながら、アルコキシシラン化合物と水性溶液との界面においてアルコキシシラン化合物を加水分解及び縮合させる。このとき、二層の状態を維持する範囲で撹拌してもよい。触媒の添加量は、特に制限はないが、下層のpHが例えば9.0〜12.0の範囲になる添加量とすることが好ましい。こうした二層系反応により、上層のアルコキシシラン化合物が加水分解されて下層に移行し、同下層においてポリオルガノシロキサン粒子が生成する。二層系反応における反応温度は、アルコキシシラン化合物の種類に応じて適宜設定されるが、例えば0〜50℃の範囲が好適である。
上記反応形態において、生成したポリオルガノシロキサン粒子を熟成すべく、さらに触媒を添加することが好ましい。熟成は、上記の反応の際と同じ温度で行ってもよいし、若干昇温して行ってもよい。熟成時間は、例えば1〜20時間程度が好適である。
上記反応形態の中でも、粒径の精度を高めることができるという観点から、混合均一系反応であることが好ましい。混合均一系反応では、アルコキシシラン化合物の中でも、水性溶媒に対する溶解性が高いという観点から、メトキシ基を有するアルコキシシラン化合物が好ましい。すなわち、前記一般式(A)中、Rがメチル基であることが好ましい。
なお、上記粒子調製工程を通じて形成されたポリオルガノシロキサン粒子をシード粒子として、さらに粒子成長工程を実施することもできる。この粒子成長工程は、ポリオルガノシロキサン粒子集合体について粒径の精度を高めるとともに、所望の平均粒径に調整することを容易にする。
粒子成長工程では、まず成長用溶液を準備する。成長用溶液は、上述した水性溶媒にアルコキシシラン化合物を溶解することにより調製される。この成長用溶液におけるアルコキシシラン化合物の濃度は、ポリオルガノシロキサン粒子集合体について粒径の精度を高めるという観点から、水性溶媒1リットルに対して、アルコキシシラン化合物の含有量が20モル以下の範囲が好ましい。この成長用溶液を撹拌しながら、上記粒子調製工程により得られたシード粒子分散液を添加することで、シード粒子を成長させる。このときの温度は、成長用溶液中のアルコキシシラン化合物の種類に応じて適宜設定されるが、例えば0〜60℃の範囲が好適である。
次いで、粒子の成長が停止したことを確認した後に、触媒を添加して熟成させる。触媒の添加量は、成長用溶液のpHが9.0〜12.0の範囲となるようにすることが好ましい。熟成温度は、上記成長反応の際と同じ温度で行ってもよいし、昇温して行ってもよい。また、熟成時間は反応温度やpH等に応じて適宜設定されるが、例えば1〜20時間程度が好適である。
次に、ポリオルガノシロキサン粒子の分散液を洗浄する洗浄工程が実施された後に、洗浄された同粒子は乾燥工程が実施されることで、ポリオルガノシロキサン粒子の集合体が得られる。洗浄工程では、常法に従って、メタノール等の低級アルコールを用いて、ポリオルガノシロキサン粒子を洗浄する。乾燥工程は、常法に従って、例えば100〜200℃の範囲の温度条件で行われる。
得られたポリオルガノシロキサン粒子は、ポリオルガノシロキサンからなり、その構造単位は下記一般式(B)で示される。
(SiO)1.5 ・・・(B)
一般式(B)中、Rは一般式(A)中のRと同一である。
ポリオルガノシロキサン粒子集合体における粒径の精度は、例えば下式に示される変動係数(CV値)により評価することができる。
CV値(%)={[粒子径の標準偏差(μm)]/[平均粒径(μm)]}×100
ポリオルガノシロキサン粒子集合体のCV値は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。ポリオルガノシロキサン粒子の平均粒径は、例えば1μm〜50μmの範囲である。
<ポリオルガノシロキサン粒子を焼成する工程>
次に、ポリオルガノシロキサン粒子を焼成する工程について詳細に説明する。
この工程においては、上記ポリオルガノシロキサン粒子集合体を焼成炉で焼成することで、シリカ粒子集合体が得られる。
(ポリオルガノシロキサン粒子集合体の焼成量)
ポリオルガノシロキサン粒子を焼成する工程では、まず、焼成炉内にポリオルガノシロキサン粒子集合体を所定の焼成量となるように投入する。このとき、焼成炉内における前記集合体の焼成量は、焼成炭素量により設定される。焼成炭素量は、焼成炉内の容積a(L)とポリオルガノシロキサン粒子集合体に含まれる含有炭素量b(g)とから下記式(1)により表される。
焼成炭素量(g/L)=含有炭素量b/容積a ・・・(1)
この焼成炭素量が5.0以上の範囲となるように、前記集合体の焼成量は決定される。焼成炭素量の範囲が5.0以上であることで、シリカ粒子の生産効率を高めることができる。一方、この焼成炭素量は、16.0以下の範囲であることが好ましく、6.0〜15.0の範囲であることがより好ましい。これにより、ポリオルガノシロキサン粒子集合体が加熱されるに際して、均一に加熱され易くなるため、焼成炉内の前記集合体について局所的に燃焼熱が高まることを抑制することができる。
上記含有炭素量bは、下記式(2)によって算出される。
含有炭素量b(g)=集合体の焼成量W×合計原子量Cw/分子量Mw ・・・(2)
集合体の焼成量W(g)は、焼成炉内におけるポリオルガノシロキサン粒子集合体の質量である。合計原子量Cwは、一般式(B)中のRに含まれる炭素原子の原子量を合計した値である。分子量Mwは、一般式(B)に示される構造単位の分子量である。
ここで、上記式(1)及び式(2)より、ポリオルガノシロキサン粒子集合体に含まれる有機成分の割合が低いほど、結果として焼成量を増大させることができる。また、ポリオルガノシロキサン粒子集合体に含まれる有機成分の割合が低いほど、シリカ粒子集合体の収率を高めることができる。こうした観点から、一般式(B)で示される構造単位において、Rがメチル基であることが好ましい。すなわち、ポリオルガノシロキサン粒子は、ポリメチルシロキサン粒子であることが好ましい。
(焼成炉内の雰囲気)
次に、焼成炉内の雰囲気を所定の酸素濃度(体積%)となるように調整する。この酸素濃度は、7.0体積%〜17.0体積%の範囲とされる。このように、焼成炉内の雰囲気は、焼成炉の昇温前において所定の酸素濃度範囲とされる。ここで、上記焼成炭素量を増大することで、例えば生産効率の向上、焼成炉の小型化等を図ることができるようになる。しかしながら、焼成の過程において、ポリオルガノシロキサン粒子集合体に含まれる有機成分が燃焼した場合、焼成炭素量の増大に伴って燃焼熱が高まることになる。このように燃焼熱が高まることで、ポリオルガノシロキサン粒子が過剰に加熱されると、得られるシリカ粒子に割れ、亀裂等の不具合が発生し易くなる。なお、こうした燃焼熱は、例えば炉内の昇温速度を低下させることにより抑制されるものの、焼成炉の稼働時間が長くなる結果、生産効率の低下を招いてしまうことになる。この点、酸素濃度を17.0体積%以下とすることで、有機成分の燃焼が抑制される結果、シリカ粒子に割れ、亀裂等の不具合が発生することを抑制することができる。
一方、酸素濃度を7.0体積%以上の範囲とすることで、焼成炉内に存在する所定量の酸素により有機成分の酸化分解が促進される結果、焼成の効率を高めることができるようになる。
この酸素濃度範囲は、上記シリカ粒子の不具合をさらに抑制するという観点から、好ましくは7.0体積%〜16.0体積%、より好ましくは7.0体積%〜15.0体積%である。
酸素濃度の調整は、例えば焼成炉内に不活性ガスを流入する方法、焼成炉内を減圧する方法等が挙げられる。こうした調製方法の中でも、酸素濃度の調整が容易であるという観点から、焼成炉内に不活性ガスを流入する方法が好ましい。すなわち、焼成炉内に充填されている空気の一部を不活性ガスにより置換することで、上記酸素濃度に調整する。この場合、例えば不活性ガスの流量、不活性ガスの流入時間等を設定することで、酸素濃度を容易に調整することができる。不活性ガスとしては、特に限定されず、例えば窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が挙げられる。
(焼成炉の昇温)
酸素濃度を調整した後に、焼成炉を昇温することで、ポリオルガノシロキサン粒子集合体を加熱する。この加熱により、ポリオルガノシロキサン粒子に含まれる有機成分を分解させる。このとき、上述したように昇温前の焼成炉において酸素濃度が上記範囲に調整されているため、燃焼熱の発生が抑制されるとともに焼成の効率が高められる。
焼成炉内は、最終的には所定の焼成温度まで昇温された後、その焼成温度で維持される。焼成温度は、ポリオルガノシロキサン粒子の種類等に応じて適宜設定されるが、その焼成温度は、焼成時間を短縮することで、生産効率を高めるという観点から、前記有機成分の分解温度以上であることが好ましい。具体的には、焼成温度は好ましくは200℃以上、より好ましくは220℃以上である。一方、焼成温度は、得られるシリカ粒子集合体の不具合をさらに抑制するという観点から、好ましくは1100℃未満、より好ましくは1000℃未満、さらに好ましくは900℃未満である。焼成時間は、得られるシリカ粒子の物性に応じて適宜変更することができるが、上記焼成温度の範囲で例えば3〜100時間保持されることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン粒子の中でもポリメチルシロキサン粒子の場合、その焼成温度は分解温度以上であることが好ましい。具体的には、ポリメチルシロキサン粒子の焼成温度は、340℃以上であることが好ましい。一方、ポリメチルシロキサン粒子の焼成温度の上限は、好ましくは1100℃未満、より好ましくは1000℃未満、さらに好ましくは900℃未満である。一方、焼成温度の上限は、好ましくは1100℃未満、より好ましくは1000℃未満、さらに好ましくは900℃未満である。焼成時間は、ポリメチルシロキサン粒子の場合においても、上記同様であることが好ましい。
ここで、焼成炉を昇温するに際して、燃焼熱の発生をさらに抑制するという観点から、上記焼成量及び酸素濃度を所定の範囲にしてポリオルガノシロキサン粒子集合体を焼成する予備焼成処理をした後に本焼成処理を実施することが好ましい。本実施形態の予備焼成処理では、まず、上記ポリオルガノシロキサン粒子集合体の焼成量を6.0〜15.0の範囲とする。次に、上述したように、焼成炉内の雰囲気を7.0体積%〜16.0体積%の酸素濃度範囲とすることで焼成炉内の雰囲気を設定する。続いて、ポリオルガノシロキサン粒子に含まれる有機成分の分解温度よりも50℃低い温度からその分解温度よりも50℃高い温度の範囲となるように焼成炉を昇温する。すなわち、予備焼成処理における焼成炉内の温度T1(℃)は、前記有機成分の分解温度をt(℃)で表すと、“(t−50)≦T1≦(t+50)”の範囲とされる。この温度範囲内とされた状態で、焼成炉を3〜50時間保持する。こうした予備焼成処理の後、本焼成処理では前記予備焼成処理において焼成炉内を保持した保持温度T1(℃)よりも10℃高い温度を超えるとともに1100℃以下の温度範囲となるように焼成炉内を昇温する。すなわち、本焼成処理の焼成温度T2(℃)は、“(T1+10)<T2≦1100”の範囲とされる。この温度範囲内とされた状態で、焼成炉を例えば1〜50時間保持することが好ましい。
なお、上記分解温度(t℃)は、示差熱/熱重量同時測定装置(株式会社島津製作所製、DTG−50)を用いて、空気下において、1℃/minの昇温条件で熱重量を測定したとき、ポリオルガノシロキサン粒子に含まれる有機成分の分解による重量減少が確認された温度をいう。
焼成炉内は、有機成分の分解温度から2.0℃/分を超える昇温速度で所定の焼成温度まで昇温されることが好ましい。このように昇温速度を高めることで、昇温に要する時間を短縮した場合であっても、酸素濃度が上記範囲に調整されているため、燃焼熱の発生が抑制されるようになる。この昇温速度は、2.5℃/分以上であることがさらに好ましい。
昇温開始から焼成終了までの焼成炉内には、不活性ガスを流入させることが好ましい。昇温開始から焼成終了までの焼成炉内における不活性ガスの流入量(L/分)は、焼成炉内の容積a(L)を基準として、(1/40)×a〜(1/4)×aであることが好ましく、(3/40)×a〜(1/5)×aであることがより好ましく、(1/10)×a〜(3/20)×aであることがさらに好ましい。
(焼成炉)
焼成炉としては、例えばバッチ式焼成炉、連続式焼成炉、熱風循環式焼成炉、マッフル焼成炉等が挙げられる。これら焼成炉の中でも、バッチ式のマッフル焼成炉が好ましい。バッチ式のマッフル焼成炉では、小型化を図ることにより、設置が容易となるとともに炉内温度が安定化するようになる。炉内温度の安定化は、得られるシリカ粒子について弾性率等の物性が安定化するようになる。このようにバッチ式のマッフル焼成炉では有利な効果が得られるものの、生産効率を向上させるためには、焼成量をできる限り増大させることが重要である。こうした焼成炉において、上記焼成の工程を適用することで、得られるシリカ粒子集合体について不具合の発生を抑制するとともに、生産効率を高めることができるようになる。焼成炉の炉内容積は、好ましくは5L〜300L、より好ましくは10L〜200L、さらに好ましくは10L〜100Lである。
<シリカ粒子>
このようにして得られたシリカ粒子は、真球状であって、シリカ粒子集合体についての粒径の精度は高められている。このシリカ粒子集合体のCV値は、例えば3%以下であり、平均粒径は、例えば1〜30μmである。このようなシリカ粒子又はその集合体は、液晶表示装置のスペーサ、樹脂用充填剤、セラミックス原料等として好適に用いられる。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)焼成炭素量を5.0以上に設定することで、シリカ粒子の生産効率を高めることができる。このとき、焼成炉内の酸素濃度を17.0体積%以下とすることで、有機成分の燃焼が抑制される結果、燃焼熱の発生が抑制される。一方、焼成炉内の酸素濃度を7.0体積%以上の範囲とすることで、焼成炉内に存在する所定量の酸素により有機成分の酸化分解が促進される結果、焼成の効率を高めることができるようになる。従って、このような焼成の工程を含むシリカ粒子の製造方法によれば、焼成量を増大させたとしても、シリカ粒子の不具合を抑制することができる。その結果、不良品を除去する工程を簡略化することができるとともに、焼成工程の歩留まりを向上することができるようになる。
(2)焼成炭素量が16.0以下の範囲であることで、ポリオルガノシロキサン粒子の集合体が加熱されるに際して、より均一に加熱されるようになる。このため、焼成炉内の前記集合体について局所的に燃焼熱が高まることを抑制することができる。従って、シリカ粒子の不具合を抑制することができる結果、シリカ粒子の歩留まりを向上させることができるとともに、生産効率をより高めることができる。
(3)ポリオルガノシロキサン粒子を焼成する工程では、予備焼成処理を実施した後、本焼成処理を実施することが好ましい。この構成によれば、生産効率の向上、及び、有機成分の燃焼抑制のいずれについても有利であり、しかも高温の焼成に基づく亀裂等の不具合を抑制することができる。
(4)焼成炉内に不活性ガスを流入することで酸素濃度を調整することが好ましい。この構成によれば、例えば不活性ガスの流量、不活性ガスの流入時間等を設定することで、上記酸素濃度を容易に調整することができる。
(5)ポリオルガノシロキサン粒子は、ポリメチルシロキサン粒子であることで、シリカ粒子の収率を高めることができるようになる。
(6)バッチ式のマッフル焼成炉において、上記(1)に述べた焼成を適用することで、シリカ粒子集合体の物性を安定化させることが容易である。しかも、シリカ粒子集合体について不具合の発生を抑制するとともに、生産効率を高めることができるようになる。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(合成−A)ポリメチルシロキサン粒子の合成
イオン交換水10000gにメチルトリメトキシシラン(以下、MTMSと略記する。)1000gを添加し、温度30℃、撹拌速度100rpmの条件で撹拌を開始した。撹拌を開始した直後においては、イオン交換水中においてMTMSは油滴の状態で分散していたが、撹拌を開始してから約3時間後においては、MTMSがイオン交換水に溶解することで、均一な水溶液が得られた。次いで、撹拌速度を30rpmに変更した後、水溶液に1モル/Lの濃度のアンモニア水100mLを添加した。その添加から2分後には、水溶液が白濁したことから、粒子の析出が確認された。アンモニア水の添加から30分後、得られたシード粒子分散液の一部を採取し、同分散液に含まれるシード粒子集合体の平均粒径をベックマンコールター社製のコールターカウンター、商品名“マルチサイザーIII”にて測定した。その結果、シード粒子集合体の平均粒径は3.401μmであった。
次いで、別途準備した撹拌装置付きの反応容器に、イオン交換水66000g、及びMTMS9900gを仕込み、温度30℃、撹拌速度100rpmの条件にて3時間撹拌することで、水溶液を調製した。次に、撹拌速度を20rpmに変更した後、水溶液に上記シード粒子分散液9320gを投入し、温度30℃、撹拌速度20rpmの条件で撹拌を継続した。シード粒子分散液を投入してから3時間後に、25質量%のアンモニア水1000mLを滴下し、温度を室温とするとともに撹拌速度20rpmの条件で撹拌をさらに16時間継続することでポリメチルシロキサン粒子分散液を得た。
次いで、得られたポリメチルシロキサン粒子分散液を遠心分離機により沈降させることでポリメチルシロキサン粒子集合体を分離した。その粒子集合体をメタノールで再分散する操作により洗浄した後、乾燥させた。このときの乾燥条件は、150℃、5時間である。得られたポリメチルシロキサン粒子集合体5120gの平均粒径及びCV値を上記コールターカウンターにて測定した。その結果、平均粒径は8.028μmであり、CV値は1.47%であった。
また、ポリメチルシロキサン粒子集合体の熱重量を示差熱/熱重量同時測定装置(株式会社島津製作所製、DTG−50)を用いて、空気下において、1℃/minの条件で測定した結果、340℃で重量減少が確認された。この結果から、ポリメチルシロキサン粒子集合体の分解温度は340℃であることが示された。
(実施例A1)
実施例A1においては、上記(合成−A)で得られたポリメチルシロキサン粒子の集合体2100gをアルミナ製のるつぼ5個に各420g入れ、焼成炉(マッフル炉、内容積40.5L、光洋サーモシステム社製、型番:KBF728N)内にセットした。焼成炉内の容積に対する前記集合体の仕込み量(焼成量)は、51.9g/Lであるとともに焼成炭素量は9.3g/Lである。次に、室温において焼成炉内に窒素ガスを5L/分の流速で流入させ、30分間放置した。30分後において酸素濃度計(商品名:コスモテクターXP−3180、新コスモス電機社製)にて焼成炉内の酸素濃度を測定したところ、12.0体積(vol)%であった。窒素ガスの流入量を5L/分に維持しながら、焼成炉内の温度を昇温速度2.5℃/分の条件で340℃まで昇温し、同温度で18時間保持することで、予備焼成処理を行った。次に、前記窒素ガスの流入量を変更せずに、昇温速度2.5℃/分の条件で550℃まで昇温し、同温度で13時間保持する焼成を行うことで本焼成処理を行った。その後、室温まで降温することでシリカ粒子集合体を得た。
(実施例A2〜A6)
実施例A2〜A6においては、焼成炉内の酸素濃度等を表1に示した値に変更した以外は実施例A1と同様の操作を行うことでシリカ粒子集合体を得た。
(実施例A7)
実施例A7においては、本焼成処理の温度を550℃から1000℃に変更した以外は実施例A1と同様の操作を行うことでシリカ粒子集合体を得た。
(比較例1及び2)
比較例1及び2においては、焼成炉内の酸素濃度を表1に示した値に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことでシリカ粒子集合体を得た。
(合成−B)ポリメタクロキシプロピルシロキサン粒子の合成
イオン交換水15000gに3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、以下、MPTMSと略記する。)2000gを添加し、温度25℃、撹拌速度150rpmの条件で撹拌した。こうした撹拌を開始した直後においては、イオン交換水中においてMPTMSは油滴の状態で分散していたが、撹拌を開始してから約3時間後においては、MPTMSがイオン交換水に溶解することで、均一な水溶液が得られた。次いで、この水溶液に1モル/Lの濃度のアンモニア水5.0mLを添加した。その添加から2時間後、粒子分散液の一部を採取し、同分散液に含まれるシード粒子の平均粒径をベックマンコールター社製のコールターカウンター、商品名“マルチサイザーIII”にて測定した。その結果、平均粒径は11.36μmであった。
次いで、得られたシード粒子の成長反応について説明する。
このシード粒子分散液に25質量%のアンモニア水200mLを滴下し、温度を室温とするとともに撹拌速度150rpmの条件で撹拌をさらに16時間継続することでポリメタクロキシプロピルシロキサン粒子分散液を得た。
次いで、得られたポリメタクロキシプロピルシロキサン粒子分散液を遠心分離機により沈降させることでポリメタクロキシプロピルシロキサン粒子を分離した。その粒子をメタノールで再分散する操作により洗浄した後、乾燥させることで、1310gのポリメタクロキシプロピルシロキサン粒子を得た。このときの乾燥条件は、120℃、5時間である。
ポリメタクロキシプロピルシロキサン粒子集合体の熱重量を示差熱/熱重量同時測定装置(株式会社島津製作所製、DTG−50)を用いて、空気下において、1℃/minの条件で測定した結果、250℃で重量減少が確認された。この結果から、得られたポリメタクロキシプロピルシロキサン粒子集合体の分解温度は250℃であることが示された。
(実施例B1)
実施例B1においては、上記(合成−B)で得られたポリメタクロキシプロピルシロキサン粒子1310gをアルミナ製のるつぼ5個に各262g入れ、焼成炉(マッフル炉、内容積40.5L、光洋サーモシステム社製、型番:KBF728N)内にセットした。そのときの乾燥粒子の仕込み量は、焼成炉内容積に対して32.3g/Lであった。室温の焼成炉内に窒素ガスを5L/分の流速で流入させ、30分間放置した。30分後において酸素濃度計(商品名:コスモテクターXP−3180、新コスモス電機社製)にて焼成炉内の酸素濃度を測定したところ、12.0体積%であった。窒素ガスの流入量を5L/分に維持しながら、焼成炉内の温度を昇温速度2.5℃/分の条件で240℃まで昇温し、同温度で18時間保持することで予備焼成処理を行った。次に、前記窒素ガスの流速を変更せずに、昇温速度2.5℃/分の条件で800℃まで昇温し、同温度で13時間保持する本焼成処理を行った。その後、室温まで降温することでシリカ粒子集合体を得た。
<不良率の算出>
各例で得られたシリカ粒子の中から、光学顕微鏡にて3000個以上のシリカ粒子について割れ及び亀裂の有無を観察し、割れ発生率(%)及び亀裂発生率(%)を算出した。さらに、割れ発生率と亀裂発生率を合計することで、不良率を算出した。割れ発生率及び亀裂発生率並びに不良率の結果を表1に併記する。
<弾性率の測定>
各例で得られたシリカ粒子を微小圧縮試験機(株式会社島津製作所製、MCTE−200)の試料台上に散布し、その中の試料粒子1個について、粒子の中心方向に一定の負荷速度で荷重を加えることで、荷重−圧縮変位を測定し、粒子径の10%変位時の荷重を求めた。このときの荷重と粒子の圧縮変位及び粒子径を次式に代入し、10%圧縮弾性率E(N/mm)を算出した。なお、負荷速度は、0.284mN/秒にて行った。
圧縮弾性率E=(3×P10×(1−K))/(20.5×S1.5×R0.5
ただし、上記式中において、P10は圧縮加重(N)、Kはシリカ粒子のポアソン比の0.18、Sは圧縮変位(mm)、Rは粒子の半径(mm)を示す。
各例の弾性率の測定結果を表1に併記する。
Figure 0005468323
表1の結果から明らかなように、各実施例では、比較例1よりも不良率が低減されている。この結果から、焼成炭素量を5.0以上まで高めたときに酸素濃度を17.0体積%以下とすることで、シリカ粒子集合体の不具合が抑制されることがわかる。なお、比較例2では、酸素濃度が6.0体積%であるため、有機成分の酸化分解が促進されないため、シリカ粒子が黄変するという不具合が発生した。
(実施例A8〜A11)
実施例A8〜A11においては、焼成炉内の酸素濃度等を表2に示した値に変更した以外は実施例A1と同様の操作を行うことでシリカ粒子集合体を得た。実施例A8〜A11について、上記の不良率の算出及び弾性率の測定を行った結果を表2に併記する。
(実施例A12〜A15)
実施例A12においては、本焼成処理の温度を550℃から600℃に変更した以外は実施例A1と同様の操作を行うことでシリカ粒子集合体を得た。実施例A13においては、本焼成処理の温度を550℃から700℃に変更した以外は実施例A1と同様の操作を行うことでシリカ粒子集合体を得た。実施例A14においては、本焼成処理の温度を550℃から800℃に変更した以外は実施例A1と同様の操作を行うことでシリカ粒子集合体を得た。実施例A15においては、本焼成処理の温度を550℃から900℃に変更した以外は実施例A1と同様の操作を行うことでシリカ粒子集合体を得た。実施例A12〜A15について、上記の不良率の算出及び弾性率の測定を行った結果を表2に併記する。
Figure 0005468323
実施例A8〜A15に示されるように焼成の条件を変更してもシリカ粒子集合体の不具合が抑制されることがわかる。

Claims (6)

  1. ポリオルガノシロキサン粒子を焼成する工程を含むシリカ粒子の製造方法において、
    焼成炉内にて焼成される焼成炭素量を、前記焼成炉内の容積a(L)と、ポリオルガノシロキサン粒子集合体に含まれる含有炭素量b(g)とにより、
    焼成炭素量(g/L)=含有炭素量b/容積a
    で表したとき、同焼成炭素量を5.0以上、16.1以下の範囲とし、かつ、
    前記焼成炉内の雰囲気を前記焼成炉内に不活性ガスを流入することで7.0体積%〜17.0体積%の酸素濃度範囲にした後に前記焼成炉の昇温を開始することを特徴とするシリカ粒子の製造方法。
  2. 前記焼成炭素量が16.0以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のシリカ粒子の製造方法。
  3. 前記焼成炭素量が6.0〜15.0の範囲であるとともに、前記酸素濃度が7.0体積%〜16.0体積%であり、かつ、
    前記ポリオルガノシロキサン粒子に含まれる有機成分の分解温度よりも50℃低い温度から前記分解温度よりも50℃高い温度の温度範囲内で前記焼成炉内の温度を3〜50時間保持し、その後、前記保持した保持温度よりも10℃高い温度を超えるとともに1100℃以下の温度範囲となるように前記焼成炉内を昇温することを特徴とする請求項1に記載のシリカ粒子の製造方法。
  4. 前記不活性ガスの前記焼成炉内への流入は、前記焼成炉の昇温の開始から前記焼成の終了まで継続されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリカ粒子の製造方法。
  5. 前記ポリオルガノシロキサン粒子がポリメチルシロキサン粒子であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリカ粒子の製造方法。
  6. 前記焼成炉がバッチ式のマッフル焼成炉であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシリカ粒子の製造方法。
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