JP5467274B2 - 一次枝梗数を制御する遺伝子及びその利用 - Google Patents

一次枝梗数を制御する遺伝子及びその利用 Download PDF

Info

Publication number
JP5467274B2
JP5467274B2 JP2011522876A JP2011522876A JP5467274B2 JP 5467274 B2 JP5467274 B2 JP 5467274B2 JP 2011522876 A JP2011522876 A JP 2011522876A JP 2011522876 A JP2011522876 A JP 2011522876A JP 5467274 B2 JP5467274 B2 JP 5467274B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna
seq
sequence represented
plant
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011522876A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2011007880A1 (ja
Inventor
基行 芦苅
英己 北野
孝太郎 三浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagoya University NUC
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Original Assignee
Nagoya University NUC
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nagoya University NUC, Tokai National Higher Education and Research System NUC filed Critical Nagoya University NUC
Priority to JP2011522876A priority Critical patent/JP5467274B2/ja
Publication of JPWO2011007880A1 publication Critical patent/JPWO2011007880A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5467274B2 publication Critical patent/JP5467274B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/415Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from plants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8241Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology
    • C12N15/8261Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/10Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
    • Y02A40/146Genetically Modified [GMO] plants, e.g. transgenic plants

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Botany (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

本発明は、植物種子や茎葉の収量増大に関連する一次枝梗数を制御する遺伝子の単離、同定並びに該遺伝子を利用した植物の収量を改善する方法等に関する。
人口が増大する一方、環境汚染や温暖化等により、地球規模での食糧危機が問題となってきている。こうした中、主食となる穀物の収量増大の必要性が高まってきている。したがって、多収量性のイネの育種と普及が重要課題となってきている。
イネの栽培品種等の遺伝的特性は、各種の変異遺伝子座の総和によって決定されている。このように、特定の形質に加算的な影響を及ぼす遺伝子座を量的形質遺伝子座(QTL)という。したがって、ある品種が着粒数が多いという遺伝的特性も、量的形質遺伝子座によって決定されているといえる。イネに関しては、子実粒数の増減に関する遺伝子が既に単離・同定されている(特許文献1)。
特開2007−49994号公報
収量の多いイネの品種は他にも各種存在しており、各品種において多収性にどのような形質が貢献しているかによって、同定すべきQTLも相違する。多収性に貢献する異なる形質を組み合わせることで更なる収量の増加も期待される。
そこで、本発明は、植物の一次枝梗数を制御する遺伝子を単離・同定し、その遺伝子を利用することを目的とする。
本発明者らは、イネにおける一次枝梗数を制御する遺伝子を単離同定するために、ポジショナルクローニングを組み合わせたQTL解析を試みた。膨大な実験及び解析の結果、本発明者らは、一次枝梗数を制御する遺伝子を単離同定することに初めて成功した。すなわち、この遺伝子の発現が抑制されると一次枝梗数は減少傾向となり、この遺伝子の発現が増強されると一次枝梗数が増大傾向となることがわかった。さらに同定した遺伝子を当該種以外の品種に導入し、当該遺伝子がコードするタンパク質を発現させることで一次枝梗数増大能力を獲得した形質転換植物を得た。本明細書の開示によれば、これらの知見に基づき、以下の手段が提供される。
本明細書の開示によれば、下記(a)〜(f)のいずれかに記載のタンパク質をコードする遺伝子の発現が増強されている、形質転換植物体が提供される。
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
(d)配列番号1で表される塩基配列を含むDNAによってコードされるタンパク質(e)配列番号1で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによってコードされ、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
(f)配列番号1で表される塩基配列と70%以上の同一性を有するDNAによってコードされ、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
本明細書に開示される形質転換植物体において、前記タンパク質はイネ科植物由来であることが好ましい。また、前記形質転換植物体は、イネ科植物であることが好ましい。
本明細書の開示によれば、前記(a)〜(f)のいずれかに記載のタンパク質をコードする遺伝子の発現を増強するために、前記遺伝子の少なくとも一部を保持する、ベクターも提供される。また、前記開示によれば、前記ベクターが導入された植物細胞も提供される。さらに、前記開示によれば、前記植物細胞を含む形質転換植物体も提供される。さらにまた、前記開示によれば、前記形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体も提供される。前記開示によれば、前記形質転換植物体の繁殖材料も提供される。
本明細書の開示によれば、前記ベクターを用いて、前記遺伝子を植物細胞に導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む、形質転換植物体の製造方法が提供される。
本明細書の開示によれば、有用作物の生産方法であって、前記形質転換植物体を栽培する工程と、前記形質転換植物体又はその一部を収穫する工程と、を備える、生産方法も提供される。
本明細書の開示によれば、植物体において、前記(a)〜(f)のいずれかに記載のタンパク質をコードする遺伝子の発現を調節することを特徴とする、植物体又はその一部の収量の調節方法も提供される。本明細書の開示によれば、前記(a)〜(f)のいずれかに記載のタンパク質をコードする遺伝子を有効成分とする、植物体又はその一部の収量を改変する薬剤が提供される。
本明細書の開示によれば、前記(a)〜(f)のいずれかに記載のタンパク質をコードする第1のDNAと、当該第1のDNAの上流に、以下の(g)又は(h)に記載の第2のDNAと、を含むDNA領域を、前記第1のDNAが本来的に位置される遺伝子座又は当該遺伝子座に相当する位置に保持する植物体が提供される。
(g)配列番号3で表される塩基配列からなるDNA
(h)配列番号3で表される塩基配列において、1又は複数の塩基が、置換、欠失、付加及び/又は挿入された塩基配列を有し、一次桔梗数の増大活性を有するタンパク質の発現増大活性を有するDNA
この植物体は、単子葉植物であることが好ましく、より好ましくはイネ科植物である。この植物体は、交配によって得られる植物体であってもよい。この植物体は、前記遺伝子座において、前記DNA領域をホモで備えていてもよい。
本明細書の開示によれば、上記(a)〜(f)のいずれかに記載のタンパク質をコードする第1のDNAと、当該第1のDNAの上流に、上記(g)又は(h)に記載の第2のDNAと、を含むDNA領域を、前記第1のDNAが本来的に位置される遺伝子座又は当該遺伝子座に相当する位置に保持する元品種植物体と、他植物体を交配して、前記DNA領域を前記第1のDNAが本来的に位置される遺伝子座又は当該遺伝子座に相当する位置に保持する新品種植物体を作製する工程、を備える、植物体の作製方法が提供される。
この植物体の作製方法によれば、上記第2のDNAの少なくとも一部を含むDNAをマーカーとして新品種植物体を選抜することができる。
本明細書の開示によれば、上記第2のDNAの少なくとも一部を含む、育種マーカーが提供される。
本明細書の開示によれば、前記第1のDNAと、当該第1のDNAの上流に、前記第2のDNAと、を含むDNA領域を、備える、育種用のDNA断片が提供される。
本明細書の開示によれば、前記第2のDNAを備える、育種用のDNA断片が提供される。
NP-12と日本晴との穂を対比した図である。 NP-12と日本晴との一次枝梗数のQTL解析結果を示す図である。第1染色体短腕と第8染色体長腕にQTLを検出した。 一次枝梗数を制御する遺伝子としてのWFP遺伝子のクローニング結果を示す図である。OsSPL14遺伝子のプロモーター領域に特定できることを示している。 OsSPL14遺伝子の発現解析結果を示す図である。 SPL14遺伝子の導入により一次枝梗数の増大を示す図である。 日本晴とNP-12から得られた4種のBC22の遺伝子タイプを示す図である。 4種のBC22の主たる円錐花序あたりの一次枝梗数の測定結果を示す図である。 4種のBC22の主たる円錐花序あたりの粒数を示す図である。 4種のBC22の植物体あたりの粒数を示す図である。 8番染色体上のQTLにつき、日本晴とNP-12のヘテロ体及びホモ体に関して、主たる円錐花序あたりの一次枝梗数を評価した結果を示す図である。 日本晴とNP-12について、2.6kb領域のメチル化レベルを評価した結果を示す図である。
本発明は、一次枝梗数を制御する遺伝子及びその利用に関連する。本発明は、本発明者らが一次枝梗数の増加に貢献し、結果として着粒数の増大・収量の増大を得ることができる遺伝子を以下のとおり初めて単離同定に成功したことに基づいている。
本発明者らは、多収性のインド型イネ系統NP-12に着目した。例えば、日本晴は、一穂あたり約150粒の種子をつけるのに対し、国立大学法人名古屋大学の保存系統であるNP-12(当該植物体の種子は、国立大学法人名古屋大学生物機能開発利用研究センターから入手可能である。)は、同約240粒と多く、しかも、一次枝梗(穂軸から出る枝の数)が日本晴の約3倍である(図1参照)。発明者らは、当該保存統の着粒数の多さ・多収性が、一次枝梗数が多いという形態によるものであると推測し、一次枝梗数を制御する遺伝子の単離を試み、成功した。
本発明によれば、本発明者らが新たに単離・同定した遺伝子の発現を増強するように植物を改変することで、一次枝梗数が多く、種子及び茎葉に関し収量が向上した形質転換植物を得ることができる。本発明者らが見出した遺伝子は、イネ科植物に内在する遺伝子であったが、NP-12では発現されているのに対し、日本晴では同様の内在性遺伝子を保持していたが発現していなかった。この内在性遺伝子の不活性化又は発現の抑制が、一次枝梗数を減少させ、逆にこの内在性遺伝子の発現の増強が一次枝梗数の増加に寄与することがわかった。
この遺伝子は、特に農業分野、バイオマスを原料とするエネルギー分野及び化学工業分野に有用である。例えば、一次枝梗数の増大による種子の着粒数の増加は、穀類の収量を増加させることができる。
本発明者らが単離・同定した遺伝子を利用して植物を創出する場合、形質転換によることが好ましい。形質転換に要する期間は交配による遺伝子移入に比較して極めて短期間であり、他の形質の変化を伴わないで一次枝梗数増大能力を付与又は向上させることができる。また、穀類には、ゲノムシンテニー(遺伝子の相同性)が極めてよく保存されているため、本発明者らが単離した遺伝子は、コムギ、オオムギ、トウモロコシなどの穀物育種への応用が期待できる。
本発明者らが見出した遺伝子は、イネのほか、イネ以外の他のイネ科植物(例えば、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、サトウキビ、ソルガム等)を含む植物に利用であると考えられ、広く農業分野、エネルギー分野及び化学工業分野に有用である。
また、本明細書の開示によれば、名古屋大学保存系統イネNP-12の8番染色体における本発明者らが単離・同定した遺伝子の上流の領域も含む当該同定遺伝子のDNA領域を、一次枝梗数の増大又は収量の増大した植物体の作製へ利用することも提供される。
前記DNA領域、なかでも、前記同定遺伝子の上流領域は、染色体上の本来の位置において、その下流に連結される一次枝梗数の増大に関与する同定遺伝子の発現の増強に寄与している。したがって、前記DNA領域(前記同定遺伝子の上流領域を含めてアレルということができる。)あるいは前記同定遺伝子の上流領域を、前記同定遺伝子が本来的に位置する染色体上の位置あるいはその上流に導入することにより、当該同定遺伝子の発現を増強して、一次枝梗数又は収量の増大を図ることができる。こうした染色体上への特定DNAの導入は、いわゆる遺伝子工学技術を用いた遺伝子組換えよりも、交配によってより容易に実現される。
以下、本明細書の開示に関し、一次枝梗数を制御する遺伝子、発現ベクター、形質転換植物体、有用作物の生産方法等について順次説明する。
(一次枝梗数を制御する遺伝子)
一次枝梗数を制御する遺伝子(以下、単に、本遺伝子ともいう。)は、一次枝梗数を誘導するタンパク質(以下、単に、本タンパク質ともいう。)をコードしている。イネ(Oriza sativa)のOsSPL14遺伝子(NM_001068739 REGION: 124..1377)が、インドネシア原産の品種であって名古屋大学の保存系統であるNP-12を用いた一次枝梗数に関するQTL解析及びポジショナルクローニングによって、一次枝梗数制御に関連するとして遺伝子として本発明者らによって初めて同定された。現在までのところ、OsSPL14遺伝子がコードするタンパク質の機能について報告されていない。本遺伝子は、上記のような一次枝梗数増大活性を有するタンパク質をコードする限り、天然から調製されたものでも人工的に調製されたものでもよい。例えば、OsSPL14遺伝子のオーソログ、ホモログ、人工的に変異を導入したものが挙げられる。なお、遺伝子としては、ゲノムDNAのほか、cDNA等であってもよい。本遺伝子及び当該遺伝子によってコードされるタンパク質は、主として植物界、特にイネ科植物に由来するものであってもよい。本遺伝子は、イネから分離したものであるが、同様の一次枝梗数が多い植物であれば存在すると考えられる。本遺伝子は、好ましくは単子葉植物由来であり、より好ましくはイネ科由来である。こうした遺伝子及びタンパク質に関する情報は、当業者であれば、NCBI(National Center for Biotechnology Information;http://www.ncbi.nlm.nih.gov)等のHPにアクセスすることにより適宜入手できる。以下、本タンパク質について説明する。
(本タンパク質)
本タンパク質の一態様として、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質が挙げられる。また、本タンパク質の他の態様は、一次枝梗数の増大活性を有する限りにおいて、配列番号1、2等の公知の配列情報と一定の関係を有するタンパク質であってもよい。
本タンパク質の他の態様としては、配列番号2で表されるアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質が挙げられる。なお、一次枝梗数増大活性とは、本タンパク質の発現又はその促進により、それ以前に比較して一次枝梗数を増加させる特性を意味している。一次枝梗数が増加している限り、その程度を問うものではない。具体的には、そのンパク質をコードするDNAの発現を増強した形質転換植物体を栽培し、一次枝梗数が増大したときには、そのタンパク質及びDNAは、一次枝梗数の増大活性を有するといえる。一次枝梗数が変わらないかほとんど同じときには、そのタンパク質及びDNAは、一次枝梗数増大活性を有しているとはいえない。一次枝梗数の評価は、例えば、実施例に記載の方法により実施することができる。
配列番号2で表されるアミノ酸配列に対するアミノ酸の変異は、すなわち、欠失、置換、付加及び挿入のうちいずれか1種類であってもよいし、2種類以上が組み合わされていてもよい。また、これらの変異の総数は、特に限定されないが、好ましくは、1個以上10個以下程度である。より好ましくは、1個以上5個以下である。
アミノ酸置換の例としては、保存的置換が好ましく、具体的には以下のグループ内での置換が挙げられる。(グリシン、アラニン)(バリン、イソロイシン、ロイシン)(アスパラギン酸、グルタミン酸)(アスパラギン、グルタミン)(セリン、トレオニン)(リジン、アルギニン)(フェニルアラニン、チロシン)。
本タンパク質の他の一態様としては、配列番号2で表されるアミノ酸配列に対して60%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ一次枝梗数増大活性を有するタンパク質が挙げられる。同一性は好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上であり、一層好ましくは、90%以上であり、より一層好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。
本明細書において同一性又は類似性とは、当該技術分野で知られているとおり、配列を比較することにより決定される、2以上のタンパク質あるいは2以上のポリヌクレオチドの間の関係である。当該技術分野で“同一性”とは、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きのそのような配列間のアラインメントによって決定されるような、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間の配列不変性の程度を意味する。また、類似性とは、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きの部分的な配列間のアラインメントによって決定されるような、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間の相関性の程度を意味する。より具体的には、配列の同一性と保存性(配列中の特定アミノ酸又は配列における物理化学特性を維持する置換)によって決定される。なお、類似性は、後述するBLASTの配列相同性検索結果においてSimilarity と称される。同一性及び類似性を決定する方法は、対比する配列間で最も長くアラインメントするように設計される方法であることが好ましい。同一性及び類似性を決定するための方法は、公衆に利用可能なプログラムとして提供されている。例えば、AltschulらによるBLAST (Basic Local Alignment Search Tool) プログラム(たとえば、Altschul SF, Gish W, Miller W, Myers EW, Lipman DJ., J. Mol. Biol., 215: p403-410 (1990), Altschyl SF, Madden TL, Schaffer AA, Zhang J, Miller W, Lipman DJ., Nucleic Acids Res. 25: p3389-3402 (1997))を利用し決定することができる。BLASTのようなソフトウェアを用いる場合の条件は、特に限定するものではないが、デフォルト値を用いるのが好ましい。
なお、配列番号2で表されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列と上記のように一定の関連性のあるアミノ酸配列をコードする塩基配列は、遺伝暗号の縮重に従い、タンパク質のアミノ酸配列を変えることなく所定のアミノ酸配列をコードする塩基配列の少なくとも1つの塩基を他の種類の塩基に置換することができる。従って、本遺伝子は、遺伝暗号の縮重に基づく置換によって変換された塩基配列をコードする遺伝子も包含する。
本タンパク質は、また、配列番号1で表される塩基配列を含むDNAによってコードされるタンパク質でもある。さらに他の一態様として、配列番号1で表される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAによってコードされ、一次枝梗数増大活性を有するタンパク質が挙げられる。
ストリンジェントな条件とは、たとえば、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、塩基配列の同一性が高い核酸、すなわち配列番号1で表わされる塩基配列と60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、一層好ましくは85%以上、より一層好ましくは90%以上、さらに好ましく95%以上、最も好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAの相補鎖がハイブリダイズし、それより相同性が低い核酸の相補鎖がハイブリダイズしない条件が挙げられる。より具体的には、ナトリウム塩濃度が15〜750mM、好ましくは50〜750mM、より好ましくは300〜750mM、温度が25〜70℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは55〜65℃、ホルムアミド濃度が0〜50%、好ましくは20〜50%、より好ましくは35〜45%での条件をいう。さらに、ストリンジェントな条件では、ハイブリダイゼーション後のフィルターの洗浄条件が、通常はナトリウム塩濃度が15〜600mM、好ましくは50〜600mM、より好ましくは300〜600mM、温度が50〜70℃、好ましくは55〜70℃、より好ましくは60〜65℃である。なお、以上のことから、さらなる他の一態様として、配列番号1で表される塩基配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、より一層好ましくは90%以上、さらに好ましく95%以上、最も好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列を有するDNAによってコードされ、一次枝梗数増大活性を有するタンパク質が挙げられる。
上記各種態様のタンパク質をコードする本遺伝子は、例えば、配列番号1等の配列に基づいて設計したプライマーを用いて、イネ科植物等から抽出したDNA、各種cDNAライブラリ又はゲノムDNAライブラリ等由来の核酸を鋳型としたPCR増幅を行うことにより、核酸断片として得ることができる。また、上記ライブラリ等由来の核酸を鋳型とし、本遺伝子の一部であるDNA断片をプローブとしてハイブリダイゼーションを行うことにより、核酸断片として得ることができる。あるいは本遺伝子は、化学合成法等の当技術分野で公知の各種の核酸配列合成法によって、核酸断片として合成してもよい。
また、上記各種態様のタンパク質をコードする本遺伝子は、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸の配列をコードするDNA(たとえば、配列番号1で表される塩基配列からなる)を、慣用の突然変異誘発法、部位特異的変異法、エラープローンPCRを用いた分子進化的手法等によって改変することによって取得することができる。このような手法としては、Kunkel法又は Gapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法が挙げられ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA社製)やMutant-G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異が導入される。
そのほか、当業者であれば、Molecular Cloning(Sambrook, J. et al., Molecular Cloning :a Laboratory Manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 10 Skyline Drive Plainview, NY (1989))等を参照することにより、例えば、配列番号1又は2等の公知配列に基づいて、各種態様のタンパク質をコードする本遺伝子を取得することができる。
(発現ベクター)
本発明の発現ベクターは、植物細胞内で本遺伝子の発現を増強するためのベクターとすることができる。本発明のベクターは、本遺伝子を保持することができる。本ベクターは、宿主細胞(植物細胞)内の染色体上の内在性の本遺伝子の有無に関わらず、本遺伝子を外来性DNAとして導入して、結果として、本遺伝子の発現を増強することを意図することができる。なお、本ベクターが、相同組換え等により、植物細胞内の染色体上の内在性の本遺伝子の発現を増強するように意図されることを排除するものではない。
植物細胞としては特に制限はなく、例えば、シロイヌナズナ、イネ、トウモロコシ、ジャガイモ、タバコなどの細胞が挙げられるが、好ましくは、双子葉植物であり、さらに好ましくはイネ科植物である。イネ科植物としては、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、ソルガム等が挙げられる。また、植物細胞には、懸濁培養細胞等の培養細胞の他、プロトプラスト、カルスも含まれる。また、植物細胞には、苗条原基、多芽体、毛状根などのほか、葉の切片等の植物体中の細胞も含まれる。
本ベクターが、植物細胞に、外来性DNAとして本遺伝子を導入し発現させることを意図するとき、植物細胞で転写可能なプロモーターと当該プロモーターの制御下に作動可能に連結された本遺伝子とを備えることができる。さらに、ポリAを含むターミネーターを含めることもできる。こうしたプロモーターとしては、例えば、本遺伝子を恒常的または誘導的に発現させるためのプロモーターが挙げられる。恒常的に発現させるためのプロモーターとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター(Odell et al. 1985 Nature 313:810)、イネのアクチンプロモーター(Zhang et al.1991 Plant Cell 3:1155)、トウモロコシのユビキチンプロモーター(Cornejo et al. 1993 Plant Mol.Biol. 23:567)などが挙げられる。また、本遺伝子を、誘導的に発現させるためのプロモーターとしては、例えば糸状菌・細菌・ウイルスの感染や侵入、低温、高温、乾燥、紫外線の照射、特定の化合物の散布などの外因によって発現することが知られているプロモーターなどが挙げられる。このようなプロモーターとしては、例えば、イネキチナーゼ遺伝子のプロモーター(Xu et al. 1996 Plant Mol.Biol.30:387)やタバコのPRタンパク質遺伝子のプロモーター(Ohshima et al. 1990 Plant Cell 2:95)、イネの「lip19」遺伝子のプロモーター(Aguan et al. 1993 Mol.GenGenet. 240:1)、イネの「hsp80」遺伝子と「hsp72」遺伝子のプロモーター(Van Breusegem et al. 1994 Planta 193:57)、シロイヌナズナの「rab16」遺伝子のプロモーター(Nundy et al. 1990 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1406)、パセリのカルコン合成酵素遺伝子のプロモーター(Schulze-Lefert et al. 1989 EMBO J. 8:651)、トウモロコシのアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーター(Walker et al. 1987 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:6624)などが挙げられる。
本ベクターは、また、本タンパク質を組換えタンパク質として、大腸菌、酵母、動植物細胞、昆虫細胞等の細胞の宿主細胞に生産させることを意図するものであってもよい。この場合には、本ベクターは、適当な宿主細胞で作動可能なプロモーターの制御下に本遺伝子を備えることができる。
本ベクターは、当業者であれば、例えば、当業者に公知の各種プラスミドなど商業的に入手可能な材料を利用して構築することができる。例えば、プラスミド「pBI121」、「pBI221」、「pBI101」(いずれもClontech社製)などのほか、形質転換植物体作製のために植物細胞内で本遺伝子を発現させるベクターを用いて構築することができる。
本明細書の開示によれば、こうした発現ベクターが導入された植物細胞等の宿主細胞も提供される。また、本遺伝子を有効成分とする、植物体又はその一部の収量を改変する薬剤、より具体的には植物の一次枝梗数及び/又は着粒数を改変する薬剤が提供される。本薬剤においては、本遺伝子として本ベクターを有効成分として含んでいてもよい。
(形質転換植物体)
本明細書に開示される形質転換植物体は、一次枝梗数を制御する遺伝子の発現が増強されている。増強される一次枝梗数を制御する遺伝子は、植物体に内在する遺伝子であってもよいし、外来性の遺伝子であってもよい。これらの双方であってもよい。また、遺伝子の発現が増強されているとは、本遺伝子の発現量(本遺伝子の一次転写産物の量ほか、本遺伝子がコードするタンパク質の生産量)が形質転換前よりも増大しているか、あるいは当該タンパク質の活性が形質転換前よりも増大していることを意味している。本遺伝子の発現の増強の結果、本遺伝子の発現量が増大するとともに本タンパク質の活性自体が増大していてもよい。
本遺伝子の発現の増強の態様は、特に限定されない。例えば、植物細胞で作動可能なプロモーターと当該プロモーターによって作動可能に結合された本遺伝子とが、外来性DNAとして、植物細胞の染色体又は染色体外に保持される態様が挙げられる。プロモーターに連結される本遺伝子は、植物細胞に内在性のものであっても外来性のものであってもよい。なお、内在性の本遺伝子のプロモーターの活性を向上させるために、染色体上のそのプロモーター領域の全体又はその一部を置換等する態様、内在性遺伝子とともにプロモーター領域を置換する態様も挙げられる。
本形質転換植物体は、典型的には、植物細胞に本遺伝子を導入し発現させることを意図する本明細書に開示のベクターが導入された植物細胞を含んでいる。
本形質転換植物体は、本明細書の開示のベクターを導入して形質転換した植物細胞から植物体を再生させることにより得ることができる。
植物細胞へのベクターの導入は、ポリエチレングリコール法、電気穿孔法(エレクトロポーレーション)、アグロバクテリウムを介する方法、パーティクルガン法など当業者に公知の種々の方法を用いることができる。例えば、ポリエチレングリコールによるプロトプラストへ遺伝子導入(Datta,S.K. (1995) In Gene Transfer To Plants(Potrykus I and Spangenberg Eds.) pp66-74)、電気パルスによるプロトプラストへ遺伝子導入(Toki et al. (1992) Plant Physiol. 100, 1503-1507)、パーティクルガン法により細胞へ遺伝子を直接導入(Christou et al. (1991) Bio/technology, 9: 957-962.)およびアグロバクテリウムを介して遺伝子を導入(Hiei et al. (1994) Plant J. 6: 271-282.)等の各種方法が挙げられる。また、転換植物細胞からの植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である(Toki et al. (1995) Plant Physiol. 100:1503-1507参照)。例えば、イネであればFujimuraら(Plant Tissue Culture Lett. 2:74 (1995))の方法が挙げられ、トウモロコシであればShillitoら(Bio/Technology 7:581 (1989))の方法やGorden-Kammら(Plant Cell 2:603(1990))が挙げられ、ジャガイモであればVisserら(Theor.Appl.Genet 78:594 (1989))の方法が挙げられ、タバコであればNagataとTakebe(Planta 99:12(1971))の方法が挙げられ、シロイヌナズナであればAkamaら(Plant Cell Reports12:7-11 (1992))の方法が挙げられる。
形質転換植物細胞からの植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である(Toki et al. (1995) Plant Physiol. 100:1503-1507参照)。例えば、イネにおいては、形質転換植物体を作出する手法については、ポリエチレングリコールによりプロトプラストへ遺伝子導入し、植物体(インド型イネ品種が適している)を再生させる方法(Datta,S.K. (1995) In Gene Transfer To Plants(Potrykus I and Spangenberg Eds.) pp66-74)、電気パルスによりプロトプラストへ遺伝子導入し、植物体(日本型イネ品種が適している)を再生させる方法(Toki et al. (1992) Plant Physiol. 100, 1503-1507)、パーティクルガン法により細胞へ遺伝子を直接導入し、植物体を再生させる方法(Christou et al. (1991) Bio/technology, 9: 957-962.)およびアグロバクテリウムを介して遺伝子を導入し、植物体を再生させる方法(Hiei et al. (1994) Plant J. 6: 271-282.)など、いくつかの技術が既に確立し、本願発明の技術分野において広く用いられている。本発明においては、これらの方法を好適に用いることができる。
ゲノム上に本遺伝子が組み込まれた形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖または無性生殖により子孫を得ることが可能である。また、該植物体やその子孫あるいはクローンから繁殖材料(例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラスト等)を得て、それらを基に該植物体を量産することも可能である。本明細書の開示には、既に説明した(1)本遺伝子が導入された植物細胞、(2)該細胞を含む植物体のほか、(3)該植物体の子孫およびクローン、並びに(4)該植物体、その子孫、およびクローンの繁殖材料が含まれる。
このようにして作出された植物体は、一次枝梗数増大能が付与又は向上され、着粒数や茎葉収量が向上されたものとなっている。
本明細書の開示によれば、配列番号1に記載の塩基配列またはその相補配列に相補的な少なくとも15の連続する塩基を含むポリヌクレオチドを提供する。ここで「相補配列」とは、A:T、G:Cの塩基対からなる2本鎖DNAの一方の鎖の配列に対する他方の鎖の配列を指す。また、「相補的」とは、少なくとも15個の連続したヌクレオチド領域で完全に相補配列である場合に限られず、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは90%、さらに好ましくは95% 以上の塩基配列の同一性を有すればよい。このようなDNAは、本遺伝子の検出や単離を行なうためのプローブとして、また、増幅を行なうためのプライマーとして有用である。
(植物の一次枝梗数の判定方法)
本明細書の開示によれば、植物の一次枝梗数の増減を判定する方法が提供される。すなわち、被検植物体又はその一部における本遺伝子の発現解析を実施する工程を備えることを特徴とする、植物の一次枝梗数の判定方法が提供される。本遺伝子の発現解析は当業者において周知の方法で実施することができる。例えば、被検植物体又はその繁殖材料からRNAを含むRNA試料を調製し、この試料中のRNAから逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、その合成量に基づいて発現量を評価することができる。例えば、発現解析によって得られる本遺伝子の発現量がハウスキーピング遺伝子やNP-12におけるOsSPL14遺伝子よりも少ない場合には、その被検植物体は、一次枝梗数が少ない、あるいは一次枝梗数が抑制されている、と判定できる。また、前記発現量がハウスピーキング遺伝子やNP-12におけるOsSPL14遺伝子と同等かそれ以上である場合には、その被検植物体は、一次枝梗数が多い、あるいは一次枝梗数が増強されている、と判定できる。
発現解析には、例えば、上記したプローブやプライマーを用いたDNAマイクロアレイやリアルタイムPCRなど公知の発現解析手法を適宜用いることができる。本遺伝子は、特に、円錐花序において特異的に発現する傾向があり、なかでも、比較小さい円錐花序(典型的には、10ミリ未満、より好ましくは5ミリ未満、さらに好ましくは2ミリ未満のもの)において、発現量が大きくなる傾向がある。したがって、当該部分について発現解析することによっても、一次枝梗数の増減に関し判定することができる。
なお、本発明において「植物の着粒数の増減を判定」とは、これまでに栽培されていた品種における着粒数の増減の判定のみならず、交配や遺伝子組換え技術による新しい品種における着粒数の増減の判定も含まれる。
本判定方法によれば、例えば、植物の交配による品種改良を行なう場合において利点を有する。例えば、着粒数を少なくしたい場合など一次枝梗数の増加させる形質の導入を望まない場合に、一次枝梗数を増加させる性質を有する品種との交配を避けることができ、逆に、着粒数を増大させたい場合など、一次枝梗数を増加させる形質の導入を望む場合に、一次枝梗数を増加させる性質を有する品種との交配を行うことができる。また交雑後代個体から望ましい個体を選抜する際にも有効である。一次枝梗数の増減を、その表現型により判断することに比して、遺伝子レベルで判断することは簡便で確実であるため、本判定方法は、植物の品種改良において大きく貢献し得る。
(有用作物の生産方法)
本明細書の開示の有用作物の生産方法は、本形質転換植物体を栽培する工程と、前記形質転換植物体又はその一部を収穫する工程を備えている。本発明の生産方法によれば、着粒数及び茎葉収量の多い作物を得ることができ、種子及び茎葉をより多く収穫することができる。栽培工程及び収穫工程は、いずれも、形質転換植物体の種類に応じて適宜設定することができる。本生産方法においては、形質転換植物体が種子を着粒するイネ科植物など種子を有用部分とする植物の場合には、より多く種子を収穫することができる。また、同時に、ワラも収穫することができる。また、形質転換植物体が、茎葉を有用部分とする場合には、より多くの茎葉を収穫することができる。
(収量の調節方法)
本明細書の開示によれば、植物体において、本遺伝子の発現を調節することを特徴とする、植物体又はその一部の収量を調節する方法が提供される。本明細書に開示の調節方法によれば、本遺伝子の発現を増強することで、一次枝梗数を増大させて種子又は茎葉の収量を増大させることができる。また、本遺伝子の発現を抑制することで、一次枝梗数を減少させることができる。植物体において本遺伝子の発現を増強するには、既に説明したように、本明細書に開示のベクターを用いて形質転換植物体を作製することが挙げられる。また、植物体において本遺伝子の発現を抑制するには、例えば、植物体に内在する本遺伝子をアンチセンス法、リボザイム法、共抑制、ドミナントネガティブ等の当業者に公知の植物体における遺伝子の発現抑制方法を用いることが挙げられる。
(他の形態)
(植物体)
本明細書に開示される植物体の他の形態は、本タンパク質をコードする第1のDNAと、当該第1のDNAの上流に、(g)〜(j)に記載の第2のDNAと、を含むDNA領域を、前記第1のDNAの本来的な染色体上の遺伝子座又は当該遺伝子座に相当する位置に保持する植物体である。
(g)配列番号3で表される塩基配列からなるDNA
(h)配列番号3で表される塩基配列において、1又は複数の塩基が、置換、欠失、付加及び/又は挿入された塩基配列を有し、一次桔梗数の増大活性を有するタンパク質の発現増大活性を有するDNA
(i)配列番号3で表される塩基配列からなるDNAの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質の発現増大活性を有するDNA
(j)配列番号3で表される塩基配列と70%以上の同一性(好ましくは、75%以上、より好ましくは、80%以上、さらに好ましくは85%以上、一層好ましくは90%以上、より一層好ましくは95%以上、さらに一層好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上)を有する塩基配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質の発現増大活性を有するDNA
上記(h)のDNAにおいて、塩基の変異(置換、欠失、付加及び/又は挿入)の個数や種類は特に限定されない。また、上記(j)のDNAにおける同一性は、既に説明した。また、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質とは、既に説明した本タンパク質である。上記(h)〜(j)のDNAは、NP-12のように、一次枝梗数が大きいイネなどの植物体の発達段階において、本タンパク質の発現量が増大することが観察されるとき、当該植物体の染色体上の本タンパク質の上流側に存在するDNAが挙げられる。なお、上記(h)〜(j)においては、配列番号3で表される塩基配列において含まれる後述の一塩基多型部位については、置換等の変異を有していないことが好ましい。
本発明者らは、NP-12における一次枝梗数の増大には、本遺伝子が関与していることを見出した。さらに、その上流域にある2.6kbの領域が本遺伝子の発現の増大に関与していることを見出した。NP-12におけるこの2.6kb領域自体は、日本型イネである「日本晴」と同一である。しかし、NP-12においては、この2.6kb領域の上流側と、その下流側において合計5つの一塩基置換(一塩基多型)を有している。NP-12において、一次枝梗数が増大しているのは、当該遺伝子の発現量が植物体の生長期において高発現しているからであると考えられる。したがって、NP-12に由来する当該上流領域、すなわち、2.6kb領域とその両端に隣接する2つの一塩基置換を含む領域を少なくとも含む領域を、NP-12以外のイネ科植物などの植物体の染色体上の本遺伝子の上流側に備えさせることで、NP-12のような一次枝梗数の増大又は収量の増大を実現できる。なお、上記2.6kb領域の前後の上記2つの一塩基置換に3つの一塩基置換を含めた合計5つの一塩基置換を含む領域を本遺伝子の上流上領域に備えさせるようにしてもよい。
第2のDNAを規定する配列番号3で表される塩基配列は、NP-12に由来し、上記2.6kb領域を含み、その5’末端に隣接する1塩基とその3’末端に隣接する1塩基を含む領域である。この塩基配列は、配列番号4で表される2591bpの塩基配列である上記2.6kbの領域の5’末端の2つめの一塩基置換である(C→T)と3つの一塩基置換である(G→A)とからなる2593bpからなる塩基配列である。
さらに、第2のDNAは、上記2.6kbを含み全ての一塩基多型を含む約4kbの塩基配列(配列番号5)からなるDNAであってもよい。なお、2.6kb領域は、配列番号5で表される塩基配列の第30番目から第2620番目に相当している。当該2.6kb領域に対して、5つの一塩基置換がどのように関与しているかは必ずしも明らかではないが、2.6kb領域に最も近い、2番目及び第3番目の一塩基多型がNP-12における一次枝梗数増大に関与していると考えら得る。
なお、配列番号5で表される塩基配列における一塩基置換部位は以下のとおりである。なお置換前の塩基は、Oryza sativa、Japonica Group DNA、chromosome 8、complete sequence, cultivar, Nipponbare(アクセッション番号:NC_008401.2)に開示される配列と、NP-12由来の配列をBlastによりアラインメントした結果から得られたものである。
(1)1:C→T
(2)29:C→T
(3)2621:G→A
(4)3474:C→T
(5)3827:C→T
また、第2のDNAとしては、以下のDNAであってもよい。なお、以下の(l)〜(n)のDNAにおいて、配列番号5で表される塩基配列に含まれる上記5つの一塩基多型部位については、置換等の変異を有していないことが好ましい。
(k)配列番号5で表される塩基配列からなるDNA
(l)配列番号5で表される塩基配列において、1又は複数の塩基が、置換、欠失、付加及び/又は挿入された塩基配列を有し、一次桔梗数の増大活性を有するタンパク質の発現増大活性を有するDNA
(m)配列番号5で表される塩基配列からなるDNAの相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質の発現増大活性を有するDNA
(n)配列番号5で表される塩基配列と70%以上の同一性(好ましくは、75%以上、より好ましくは、80%以上、さらに好ましくは85%以上、一層好ましくは90%以上、より一層好ましくは95%以上、さらに一層好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上)を有する塩基配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質の発現増大活性を有するDNA
第2のDNAを含み、さらに第1のDNAを含むDNA領域としては、例えば、配列番号6及び配列番号7で表される塩基配列からなるDNAが挙げられる。
本植物体は、こうしたDNA領域を、植物体における本遺伝子の本来的な染色体上の遺伝子座又は当該遺伝子座に相当する位置に保持している。ここで本遺伝子の本来的な染色体上の遺伝子座とは、植物体が本遺伝子又はそのホモログを本来的に有する場合において、その遺伝子が内在する染色体上の遺伝子座である。また、本来的な染色体上の遺伝子座に相当する位置とは、遺伝子座に完全に一致はしないが、当該DNA領域の前後の塩基配列から、遺伝子座の近傍に、第2のDNAの本遺伝子の発現増大活性を妨げることなく位置されている場合が該当する。本植物体は、予め、内在性の本遺伝子を染色体上に備える植物体であることが好ましい。例えば、イネにおいては、OsSPL14遺伝子及びそのホモログの遺伝子座は8番染色体上にある。なお、本遺伝子、すなわち、イネにおけるOs SPL14は、ソルガム、小麦、トウモロコシ及びシロイヌナズナに共通して存在していることがわかっている。
本植物体が、こうしたDNA領域を備えているかどうかは、第2のDNAの塩基配列を含むDNA領域に対するPCRを行って増幅産物の有無や、その長さ等を検出することにより確認することができる。また、こうしたDNA領域が、その遺伝子座に位置されているかどうかは、公知の塩基配列決定法により確認できる。
本植物体は、例えば、NP-12のような、すでに固定種として存在する植物体であってもよいし、NP-12以外の植物体であって、NP-12との交配種又はその子孫であってもよい。子孫は、交配による育種によって確立された固定種であってもよい。また、本植物体は、遺伝子操作による育種による形質転換体であってもよいし、当該形質転換体の子孫であってもよい。当該子孫は、形質転換体から交配による育種によって得られる植物体であってもよい。
本植物体は、遺伝子組換えや遺伝子ターゲティングによる方法のほか、交配により取得できる。交配によれば、例えば、NP-12と他の植物体との受精時の相同組換えにより、本遺伝子の本来的な染色体上の位置又は当該位置に相当する位置に、前記DNA領域を保持するF1世代を得ることができる。F2世代や、戻し交配等を利用することにより、本DNA領域(アリル)に関しホモ体を得ることができる。本植物体は、本遺伝子の遺伝子座において、本DNA領域を含むアレルに関しヘテロであってもよいが、ホモであることが好ましい。
本植物体は、イネが属する単子葉植物であってもよいが、イネ及びイネ以外の他のイネ科植物(例えば、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、サトウキビ、ソルガム等)であることが好ましい。
本植物体は、それ自体、一次枝梗数が多い植物体又は植物体あるいはその種子を含めた収量の多い植物体として有用である。また、本植物体は、育種のための親品種としても有用である。
(植物体の作製方法)
本明細書に開示される植物体の作製方法は、上記(a)〜(f)のいずれかに記載のタンパク質をコードする第1のDNAと、当該第1のDNAの上流に、上記(g)〜(j)に記載の第2のDNAと、を含むDNA領域を、前記第1のDNAが本来的な染色体上の遺伝子座に保持する元品種植物体と、他植物体を交配して、前記DNA領域を前記第1のDNAが本来的に位置される遺伝子座又は当該遺伝子座に相当する位置に保持する新品種植物体を作製する工程、を備えることができる。本作製方法によれば、一次枝梗数が増大した、あるいは収量の増大した植物体を得ることができる。元品種植物体は、NP-12のほか、同様の形態を示す他の植物体であってもよい。また、他の植物体としては、上記第2のDNAを有していないが、上記第1のDNA、すなわち、本遺伝子を有している植物体であることが好ましい。他の植物体は、単子葉植物であることが好ましく、イネ科植物であることがより好ましい。さらに、好ましくは、イネである。
当業者であれば、元品種植物体と他植物体との交配を、既に公知の技術に基づき実施することができる。交配によって得られた植物体の選抜は、上記第2のDNAに含まれる5つの一塩基多型から選択される1種又は2種以上を検出することにより実施できる。すなわち、第2のDNAの塩基配列の少なくとも一部、より具体的には、当該塩基配列に含まれる5つの一塩基多型から選択される1種又は2種以上を含む領域を、一次枝梗数が多く、着粒数の多い植物体の育種の良好なマーカーとして用いることができる。かかる領域は、配列番号3、配列番号5、配列番号6及び配列番号7で表される塩基配列中の、5つの一塩基多型を1つ以上含む塩基配列からなるDNAとすることができる。
一塩基多型の検出は、例えば、PCR、ハイブリダイゼーション、配列解析等のほか、これらの組み合わせによって適宜実現できる。プライマーやプローブは、配列番号3〜7のいずれかに記載の配列に基づいて適宜設計することができる。
また、本明細書の開示によれば、前記第1のDNAと、当該第1のDNAの上流に、前記第2のDNAと、を含むDNA領域を、備える、育種用のDNA断片が提供される。こうしたDNA断片、すなわち、NP-12における塩基配列上の特徴を有するOsSPL14アレルは、一次枝梗数や着粒数の増大の関与する重要な育種用アレル(DNA断片)である。
本明細書の開示によれば、前記第2のDNAを備える、育種用のDNA断片が提供される。前記第2のDNA、それ自身が、日本晴の塩基配列が同一であるNP-12のOsSPL14に作用して、一次枝梗数や着粒数の増大に寄与する。したがって、このDNA断片自体が育種に有用なDNA断片であるといえる。
本明細書の開示によれば、上記DNA領域、例えば、名古屋大学保存系統イネNP-12の8番染色体における上記DNA領域の、一次枝梗数の増大又は収量の増大した他の形態の植物体の作製への利用が提供される。したがって、本明細書の開示によれば、こうした他の形態の植物体を栽培する工程と、前記他の形態の植物体又はその一部を収穫する工程を備える、植物体の生産方法が提供される。
以下、本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
(一次枝梗数を制御する遺伝子の同定)
QTL解析を行う雑種集団の親として、一次枝梗数の差が明確であった日本型イネの「日本晴」を栽培種として、インド型イネの「NP-12」(国立大学法人名古屋大学の保存系統)を多収性種として選択した(図1)。なお、植物体は、ペトリ皿内の水中で、30℃、72時間処理して発芽させた後、直径10cm、高さ13cmのポットに移植した。登熟後に、一次枝梗数を測定した。
「日本晴」と「NP-12」とを交雑したF1個体の自植により得られた3200個体のF2集団のQTL解析を行った。この結果、図2に示すように、一次枝梗数を制御する遺伝子座を第1染色体短腕と第8染色体長腕に検出した。これらQTLのうち、第8染色体長腕においてより一次枝梗の増加効果が強かった。
第8染色体上のQTLを特定するために、F2集団の後代F3世代を用いてポジショナルクローニング法を行った。結果を、図3に示す。
図3に示すように、NP-12の持つ一次枝梗数を増加させる遺伝子、Wealthy farmer’s panicle (WFP) 遺伝子の候補領域をOsSPL14遺伝子の遺伝子上流域2.6kbに特定することができた。WFP遺伝子の候補領域がOsSPL14遺伝子上流域に特定されたため、NP-12におけるこの領域の変異がOsSPL14遺伝子の発現量を変化させていると推測した。
図1に示すように、上記2.6kbの上流及び下流には、日本晴における同一の塩基配列に対して5つの一塩基置換を有していた。それぞれの置換部位に付記される数値は、日本晴のOs08g0509600のmRNA(アクセッション番号:NM_001068739)の最初の塩基からの位置を示す。
次に、穂の発達段階別に日本晴とNP-12におけるOsSPL14遺伝子の発現量を比較した。結果を図4に示す。なお、発現解析は、Trizol(invitrogen)を用いてRNAを抽出し、Omniscript(QIAGEN)を用いてcDNAを合成した。このcDNAを蛍光試薬としてCYBR Green RT-PCR kit(QIAGEN)を、検出装置としてLight Cycler(ロシュ製)用いてPCR反応を行い、OsUbiquitinを内部標準遺伝子として発現量を定量した。
図4に示すように、NP-12では日本晴に比べて穂の発達段階初期における発現量が著しく高いことがわかった。この結果から、多収イネNP-12の一次枝梗数を増加させる遺伝子、WFP遺伝子はOsSPL14遺伝子上流域の変異によるOsSPL14遺伝子の高発現アリルが原因遺伝子であると推測した。
これを証明するためにNP-12由来のOsSPL14遺伝子の日本晴への導入を試みた。すなわち、以下に示すようにして形質転換用プラスミドを構築し、形質転換した。得られた形質転換植物体の一次枝梗数を評価した。結果を図5に示す。
(プラスミドの構築及び植物体の形質転換)
NP-12のOsSPL14遺伝子を導入された形質転換体を作製するために、OsSPL14を単離しバイナリーベクターpYLTAC7(理化学研究所より分譲)に導入した。このバイナリベクターを、アグロバクテリウムEHA105株にエレクトロポレーションで導入した。イネを、文献(Hiei, Y., Ohta, S., Komari, T. & Kumashiro, T. Efficient transformation of rice (Oryza sativa L.) mediated by Agrobacterium and sequence analysis of the boundaries of the T-DNA. Plant J. 6, 271-282 (1994).)記載の方法で形質転換した。簡略して説明すると、DNA断片が導入されたアグロバクテリウムEHA105株を日本晴のカルスに感染させて導入し、形質転換植物体を、50 mg/l ハイグロマイシンを含有する培地で選抜した。ハイグロマイシン耐性植物体を土壌に移植し、30℃で16時間光条件/8時間暗条件で栽培した。
図5に示すように、TAC7ベクターのみを形質転換したものが約10本の一次枝梗を形成するのに対し、NP-12由来のOsSPL14遺伝子を導入した個体(NP-12::SPL14)では約17本の一次枝梗を形成した。この結果から、OsSPL14遺伝子が一次枝梗数を増加させる遺伝子WFPであると結論づけた。また、日本晴由来のOsSPL14遺伝子を導入した個体(Nip::SPL14)においても一次枝梗数が増加した。この結果から、OsSPL14遺伝子は遺伝子のコピー数が増加することでもその遺伝子の効果が増強されることが考えられた。
本実施例では、8番染色体上のQTL(2.6kb領域)と1番染色体上のQTLの効果を収穫粒量に関して評価した。日本晴とNP-12とを交配後、さらに日本晴と2回戻し交配した得た4種のBC22の遺伝子型を図6に図示する。NP-12由来の1番染色体上のQTLと8番染色体上のQTLを赤線のサークルで示す。なお、本実施例では、8番染色体上のQTLは、52.6kb領域を含んでいたが、なかでも、5つの一塩基置換を含む領域をマーカーとして用いた。これら4種の植物体につき、主たる円錐花序あたりの一次枝梗数の測定結果、主たる円錐花序あたりの粒数及び植物体あたりの粒数をそれぞれ、図7、図8及び図9に示す。なお、4種の植物体につき、それぞれ40個体を用いた。
図7〜図9に示すように、8番染色体上のOsSPL14は、一次枝梗数及び粒数における約40%の増加に関与していた。さらに、NP-12由来の1番染色体上のQTLと、8番染色体上のOsSPL14を有する植物体は、主たる円錐花序あたりの一次枝梗数が23.8であり、同じく主たる円錐花序あたりの粒数が272.2であり、しかも、植物体あたりの全粒数が3396であった。すなわち、双方のQTLが日本晴に由来する植物体の前記枝梗数は11.8であるのに対して、12.2の増加である。また、双方のQTLが日本晴に由来する植物体の前記全粒数が2232であるのに対して、1164(54%)の増加である。
このように、NP-12に由来する8番染色体上のOsSPL14アレルは強い粒数増大効果を有していた。また、以上の結果から、2.6kb領域及び当該2.6kbの末端に隣接する2つの一塩基置換を含む塩基配列(配列番号3)が強い粒数増大効果を有し、育種のための有用なアレルを特定するものであるとともに、有用なマーカーであることわかった。
また、図10に示すように、8番染色体上のQTLにつき、日本晴とNP-12のヘテロ体に関して、主たる円錐花序あたりの一次枝梗数を評価したところ、このヘテロ体の一次枝梗数は、8番染色体上のQTLに関する2種のホモ体の中間値を示したことから、NP-12由来の8番染色体上のQTL(OsSPL14アレル)は、半優性であることがわかった。
日本晴とNP12におけるこの2.6kbの配列を比較したところ、何ら相違点を見つけることができなかった。この領域の発現解析を行ったが、日本晴にもNP-12にも発現を検出できなかった。また、データベースにおいても、両植物においてこれらの転写の根拠を見出すことはできなかった。
DNA配列の変化に依存しない遺伝子発現における遺伝的な相違は、エピジェネティックアレルとして定義される。エピジェネティックアレルは、シロイヌナズナやイネにおいて報告されている。内在性のOsSPL14プロモーターにおける遺伝性のエピジェネティックなマークが、OsSPL14の発現レベルの相違に関与しているかどうかを確認するために、この領域のバイサルファイト配列解析によりメチル化レベルを評価した。一本鎖DNA上のシトシンはバイサルファイト(重亜硫酸ナトリウム)によりスルホン化,加水脱アミノ化反応し,引き続き脱スルホン化することでウラシル(U)に変換される。一方、メチル化シトシンはメチル化シトシンのまま変換されない.そのためバイサルファイト処理したDNAを鋳型に用いてPCR増幅し塩基配列を読むと,メチル化シトシン部位はC,非メチル化シトシン部位はTとして区別して読まれることになる。
バイサルファイト配列解析は、日本晴とNP-12から抽出してゲノムDNAを、EpiTect Bisulfite Kit(キアゲン59104)を用いてバイサルファイト処理した。2.6kb領域は、バイサルファイト化したプライマーを用いて増幅し、pCr-4ベクターにクローニングした。少なくとも24クローンにつき、増幅産物につきその塩基配列を解析した。用いたバイサルファイト化プライマーの配列を以下に示す。
結果は、日本晴及びNP-12について、2.6kb領域全体において、DNAメチレーションレベルには大きな差がなかった。一方、図11に示すように、2.6kb領域中、1070塩基近傍のいくつかのシトシンについては、両者においてメチル化レベルの相違があった。すなわち、NP-12のメチル化レベルが0〜24%であったのに対し、日本晴では、より高いレベル、すなわち、68〜79%のメチル化レベルが観察された。

Claims (19)

  1. 下記(a)〜(d)及び(f);
    (a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1または10以下のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    (c)配列番号2で表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    (d)配列番号1で表される塩基配列を含むDNAによってコードされるタンパク質
    (f)配列番号1で表される塩基配列と95%以上の同一性を有するDNAによってコードされ、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    のいずれかに記載のタンパク質をコードする第1のDNAと、
    当該第1のDNAの上流に、配列番号3で表される塩基配列からなるDNAを有し、前記第1のDNAに対してプロモーター活性を有する第2のDNAと、を保持するベクター。
  2. 前記第2のDNAは、配列番号5で表される塩基配列からなるDNAにおいて、第29位〜第2621位の塩基配列を維持するとともに、第1位、第3474位及び第3827位における塩基を維持しつつ、配列番号5で表される塩基配列と90%以上の同一性を有し、前記第1のDNAに対してプロモーター活性を有するDNAである、請求項1記載のベクター。
  3. 前記第2のDNAは、配列番号5で表される塩基配列からなるDNAである、請求項1に記載のベクター。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のベクターが導入された植物細胞。
  5. 請求項4に記載の植物細胞を含む形質転換植物体。
  6. 請求項5に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体。
  7. 請求項5又は6に記載の形質転換植物体の繁殖材料。
  8. 交配によって得られる植物体であって、
    下記(a)〜(d)及び(f);
    (a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1または10以下のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    (c)配列番号2で表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    (d)配列番号1で表される塩基配列を含むDNAによってコードされるタンパク質
    (f)配列番号1で表される塩基配列と95%以上の同一性を有するDNAによってコードされ、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    のいずれかに記載のタンパク質をコードする第1のDNAと、
    当該第1のDNAの上流に、配列番号3で表される塩基配列からなるDNAを有し、前記第1のDNAに対してプロモーター活性を有する第2のDNAと、を備え、
    前記第1のDNAと前記第2のDNAを、前記植物体において、前記第1のDNAが本来的に位置される遺伝子座又は当該遺伝子座に相当する位置に保持するとともに前記第2のDNAをこれらの遺伝子座の上流に保持して、前記植物体あたりの一次枝梗数が増大された植物体。
  9. 前記第2のDNAは、配列番号5で表される塩基配列からなるDNAにおいて、第29位〜第2621位の塩基配列を維持するとともに、第1位、第3474位及び第3827位における塩基を維持しつつ、配列番号5で表される塩基配列と90%以上の同一性を有し、前記第1のDNAに対してプロモーター活性を有するDNAである、請求項8に記載の植物体。
  10. 前記第2のDNAは、配列番号5で表される塩基配列からなるDNAである、請求項8に記載の植物体。
  11. 請求項8〜10のいずれかに記載の植物体の繁殖材料。
  12. 請求項1〜3のいずれかに記載のベクターを用いて、前記遺伝子を植物細胞に導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む、形質転換植物体の作製方法。
  13. 下記(a)〜(d)及び(f);
    (a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1または10以下のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    (c)配列番号2で表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    (d)配列番号1で表される塩基配列を含むDNAによってコードされるタンパク質
    (f)配列番号1で表される塩基配列と95%以上の同一性を有するDNAによってコードされ、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    のいずれかに記載のタンパク質をコードする第1のDNAと、
    当該第1のDNAの上流に、配列番号3で表される塩基配列からなるDNAを有し、前記第1のDNAに対してプロモーター活性を有する第2のDNAと、を備える植物体と他の植物体とを交配する工程と、
    前記交配させて得られる前記植物体の種子を栽培して一次枝梗数の増大した植物体を得る工程と、
    を備える、植物体の作製方法。
  14. 有用作物の生産方法であって、
    請求項5又は6に記載の形質転換植物体を栽培する工程と、
    前記形質転換植物体又はその一部を収穫する工程と、
    を備える、生産方法。
  15. 有用作物の生産方法であって、
    請求項8〜10のいずれかに記載の植物体を栽培する工程と、
    前記植物体又はその一部を収穫する工程と、
    を備える、生産方法。
  16. 植物体において、下記(a)〜(d)及び(f)のいずれかに記載のタンパク質をコードする遺伝子の発現量を、配列番号3で表される塩基配列からなるDNAを含むSPL14遺伝子のプロモーター領域を用いて調節することを特徴とする、植物体又はその一部の収量の調節方法。
    (a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1または10以下のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    (c)配列番号2で表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    (d)配列番号1で表される塩基配列を含むDNAによってコードされるタンパク質
    (f)配列番号1で表される塩基配列と95%以上の同一性を有するDNAによってコードされ、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
  17. 下記(a)〜(d)及び(f)のいずれかに記載のタンパク質をコードするDNAと遺伝子を有効成分とする、植物体又はその一部の収量を改変する薬剤。
    (a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1または10以下のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    (c)配列番号2で表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    (d)配列番号1で表される塩基配列を含むDNAによってコードされるタンパク質
    (f)配列番号1で表される塩基配列と95%以上の同一性を有するDNAによってコードされ、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
  18. 以下の(g)に記載のDNAを含む、一次枝梗数増大活性を有する植物体の育種マーカー。
    (g)配列番号3で表される塩基配列からなるDNA
  19. 下記(a)〜(d)及び(f)のいずれかに記載のタンパク質をコードする第1のDNAと、当該第1のDNAの上流に、下記(g)に記載の第2のDNAと、を含む、植物体又はその一部の収量を改変する育種用剤。
    (a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1または10以下のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    (c)配列番号2で表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    (d)配列番号1で表される塩基配列を含むDNAによってコードされるタンパク質
    (f)配列番号1で表される塩基配列と95%以上の同一性を有するDNAによってコードされ、一次枝梗数の増大活性を有するタンパク質
    (g)配列番号3で表される塩基配列からなるDNAを有し、前記第1のDNAに対してプロモーター活性を有するDNA
JP2011522876A 2009-07-16 2010-07-16 一次枝梗数を制御する遺伝子及びその利用 Expired - Fee Related JP5467274B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011522876A JP5467274B2 (ja) 2009-07-16 2010-07-16 一次枝梗数を制御する遺伝子及びその利用

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009167734 2009-07-16
JP2009167734 2009-07-16
JP2011522876A JP5467274B2 (ja) 2009-07-16 2010-07-16 一次枝梗数を制御する遺伝子及びその利用
PCT/JP2010/062119 WO2011007880A1 (ja) 2009-07-16 2010-07-16 一次枝梗数を制御する遺伝子及びその利用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2011007880A1 JPWO2011007880A1 (ja) 2012-12-27
JP5467274B2 true JP5467274B2 (ja) 2014-04-09

Family

ID=43449490

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011522876A Expired - Fee Related JP5467274B2 (ja) 2009-07-16 2010-07-16 一次枝梗数を制御する遺伝子及びその利用

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20120185959A1 (ja)
JP (1) JP5467274B2 (ja)
CN (1) CN102498208B (ja)
WO (1) WO2011007880A1 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005185101A (ja) * 2002-05-30 2005-07-14 National Institute Of Agrobiological Sciences 植物の全長cDNAおよびその利用

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2422480A1 (en) * 2002-03-15 2003-09-15 National Research Council Of Canada Promoters for molecular farming and/or early detection of transgenic plants
CN100429310C (zh) * 2006-03-15 2008-10-29 华中农业大学 控制水稻分蘖的基因及用途
MX2008010669A (es) * 2006-03-31 2008-09-03 Basf Plant Science Gmbh Plantas con caracteristicas mejoradas y un metodo para prepararlas.
CN101415829B (zh) * 2006-03-31 2014-03-12 巴斯福植物科学有限公司 具有增强的产量相关性状的植物和用于产生该植物的方法
CN101921321B (zh) * 2010-04-12 2012-11-14 中国科学院遗传与发育生物学研究所 与植物株型相关的蛋白ipa1及其编码基因与应用

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005185101A (ja) * 2002-05-30 2005-07-14 National Institute Of Agrobiological Sciences 植物の全長cDNAおよびその利用

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6010045422; MIURA, K. et al.: 'OsSPL14 promotes panicle branching and higher grain productivity in rice' Nature Genetics Vol. 42, No. 6, 201006, pp. 545-549 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2011007880A1 (ja) 2011-01-20
JPWO2011007880A1 (ja) 2012-12-27
US20120185959A1 (en) 2012-07-19
CN102498208B (zh) 2015-04-22
CN102498208A (zh) 2012-06-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107164347B (zh) 控制水稻茎秆粗度、分蘖数、穗粒数、千粒重和产量的理想株型基因npt1及其应用
US20190330649A1 (en) Plant Grain Trait-Related Protein, Gene, Promoter and SNPS and Haplotypes
US20040025202A1 (en) Nucleic acid molecules associated with oil in plants
US20210017529A1 (en) Brassica plant resistant to plasmodiophora brassicae (clubroot)
US20160002648A1 (en) Genes for improving nutrient uptake and abiotic stress tolerance in plants
WO2021030242A1 (en) Wox genes
BRPI0709801B1 (pt) Isolated polynucleotyde, expression cassette, method for modular size of plants without plants, method of modular any plant or organ size in a plant, product
JP2016013057A (ja) 植物に多収性を付与する核酸、収量が増加した形質転換植物を作製する方法、植物の収量を増大させる方法
JP3979431B2 (ja) 植物の再分化能を付与する遺伝子、並びにその利用
JP5769341B2 (ja) 植物の開花性/閉花性を支配する遺伝子およびその利用
JP5288608B2 (ja) 穀物の種子を増大させる遺伝子、並びにその利用
JP5339506B2 (ja) 小麦種子休眠性に関与するmft遺伝子及びその利用
CA2572305C (en) Cell number polynucleotides and polypeptides and methods of use thereof
JP5467274B2 (ja) 一次枝梗数を制御する遺伝子及びその利用
JP5776958B2 (ja) 植物の種子休眠性を支配する遺伝子およびその利用
CN118048368B (zh) 一个普通小麦分蘖角度调控基因tata1-6d的克隆和应用
JP5594818B2 (ja) 植物体の子実を増大させる遺伝子、並びにその利用
JP7493802B2 (ja) ナス科植物における可食部への同化産物分配量の調節に関与する遺伝子及びその利用
Tomita et al. Transcription of rice green revolution gene sd1 is clarified by comparative RNA diagnosis using the isogenic background
WO2023145948A1 (ja) 短葯形質を有するムギ、及びその製造方法
JP5092125B2 (ja) ケイ素吸収に関与する遺伝子、およびその利用
CN118345084A (zh) ZmEIL9基因和蛋白及其在调控玉米籽粒发育中的应用
JP2019126339A (ja) 種子のサイズが増大した植物の製造方法
CN116157009A (zh) 大幅增加稻米产量的方式
JP2010081839A (ja) 過剰発現で種子を大きくする遺伝子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130705

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20130705

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20130806

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130903

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131105

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131126

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131220

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5467274

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees