JP5465497B2 - 圧縮機用インペラの製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、最終製品に近い形状の中間製品をダイカスト又は鍛造にて成形した後、翼部の曲げ加工を行ってインペラを製造する方法が開示されている。
また、特許文献3には、最終製品に近い形状の中間製品を鍛造にて成形した後、機械加工によって切削することによりインペラを製造する方法が開示されている。
また、上記特許文献2の発明では、ダイカストにて中間製品を成形した場合、上記と同様に、鋳巣等の内部欠陥が発生し、強度に影響を与えてしまう。一方、鍛造にて中間製品を成形した場合、鋳巣等の内部欠陥の問題は解消できるものの、通常は圧縮機用インペラのような複雑な形状を精度良く成形することはできず、特に近年の高精度化の要求を満たすことはできない。また、翼部の曲げ加工を一枚ずつ工具等で行うため、生産性も悪い。
また、上記特許文献3の発明では、中間製品から最終製品にするまでにアンダーカット領域を含む多くの部分を切削加工しなければならないため、加工時間が長くなり、生産性が悪い。また、切削加工によって除去する部分も多いため、材料の歩留まりも悪い。
上記インペラの中間製品の形状のキャビティを有する鍛造型を用いて、固体状の素材を型鍛造にて塑性加工して成型することにより、成型後に上記鍛造型を破壊又は変形させることなく型抜き可能な複数の翼部前駆体を形成した上記中間製品を作製する鍛造工程と、
上記翼部前駆体を所定の方向に曲げ加工する曲げ加工工程と、
上記翼部前駆体を所望の形状に切削加工して上記翼部を形成する切削加工工程とを順に行うことを特徴とする圧縮機用インペラの製造方法にある(請求項1)。
また、上記鍛造工程では、素材を型鍛造にて成型するため、比較的短時間でインペラの中間製品を作製することができる。これにより、生産性の向上を図ることができる。
また、上記鍛造工程、上記曲げ加工工程、上記切削加工工程を順に行うことにより、材料の歩留まりを高く、かつ、複雑な形状を高精度に加工することができる。
また、「成型後に上記鍛造型を破壊又は変形させることなく型抜き可能な複数の翼部前駆体」の形状とは、例えば、上記インペラの回転軸に平行な方向に型抜き可能な形状や、上記インペラの回転軸を中心とする周方向にひねって回しながら型抜き可能な形状等がある。
この場合には、複雑な形状の上記インペラを容易に製造することができる。すなわち、熱間鍛造を用いることによって上記素材が変形し易くなるため、上記鍛造工程においては、複雑な形状の上記中間製品を容易に成型することができる。また、上記曲げ加工工程においては、上記翼部前駆体の曲げ加工が容易となり、割れ等の発生を抑制することができる。
また、このとき、上記鍛造工程と上記曲げ加工工程とを350℃以上の温度で連続的に行うことが好ましい。すなわち、上記鍛造工程から上記曲げ加工工程へ移行する間にも、上記中間製品を350℃以上の温度に保つことが好ましい。
この場合には、上記翼部前駆体を上記翼部曲げ型の上記押圧面に沿った形状に加工することができるため、生産性に優れている。また、上記翼部前駆体に対して下型等を用いることなく、すなわち上記翼部曲げ型(上型)のみを用いて上記翼部前駆体の曲げ加工を行うことができる。そのため、上記曲げ加工工程を効率良く行うことができ、生産性の向上を図ることができる。
この場合には、上記曲げ加工工程を効率良く行うことができ、生産性の向上を図ることができる。
この場合には、形状の異なる複数種類の上記翼部を備えた上記インペラを製造する場合であっても、上記曲げ加工工程を効率良く行うことができ、生産性の向上を図ることができる。
もちろんのことながら、同じ種類の上記翼部となる上記翼部前駆体を複数回に分けて曲げ加工することも可能である。
この場合には、上記曲げ加工工程を効率良く行うことができ、生産性の向上を図ることができる。
もちろんのことながら、上記長翼部又は上記短翼部となる上記翼部前駆体を複数回に分けて曲げ加工することも可能である。
この場合には、上記曲げ加工工程において、上記短翼部となる複数の上記翼部前駆体の曲げ加工を行った後に、上記長翼部となる複数の上記翼部前駆体の曲げ加工を行うことが非常に有効となる。
この場合には、上記曲げ加工工程及び上記切削加工工程における上記中間製品の位置ずれを抑制することができる。そのため、曲げ加工及び切削加工の精度をより一層高めることができる。
なお、上記中間製品に形成する上記位置決め部は、その場所、形状、個数等を任意に設定することができる。
例えば、自動車等の過給機(ターボチャージャ等)における圧縮機に用いられるインペラは、高い強度、高い形状精度が要求される。よって、このような要求を満たすインペラを製造する場合には、本発明の製造方法を用いることが非常に有効である。
本例において製造する圧縮機用インペラは、図1に示すごとく、自動車のターボチャージャー(過給機)1におけるコンプレッサ(圧縮機)用のインペラ3である。
複数の翼部5は、インペラ3の回転軸30の方向(以下、回転軸方向Xという)の長さが互いに異なる複数の長翼部51と複数の短翼部52とを有する。長翼部51と短翼部52とは、ハブ部4の外周面40において、インペラ3の回転軸30を中心とする周方向Yに交互に等間隔で配設されている。
短翼部52は、長翼部51の先端よりも後退した位置からインペラ3の後端(吸気出口部22側の端部)にかけて配設されている。短翼部52も、周方向Yに折り曲げて湾曲させた形状を呈している。
本例のインペラ3の製造方法は、図3〜図9に示すごとく、以下の鍛造工程、曲げ加工工程、切削加工工程を順に行う。
鍛造工程では、インペラ3の中間製品3aの形状のキャビティ611を有する鍛造型61を用いて、固体状の素材300aを型鍛造にて成型することにより、成型後に鍛造型61を破壊又は変形させることなく型抜き可能な複数の翼部前駆体5aを形成した中間製品3aを作製する。
曲げ加工工程では、翼部前駆体5aを所定の方向に曲げ加工する。
切削加工工程では、翼部前駆体5aを所望の形状に切削加工して翼部5を形成する。
以下、これを詳説する。
そして、図7(a)、(b)に示すごとく、鍛造型61に対向配置されると共に素材300aを押し込むための押込面621を有する押込型62を用いて、素材300aを鍛造型61のキャビティ611に押し込む。
なお、翼部前駆体5aは、最終製品の翼部5よりも厚みを大きくしてある。例えば、翼部前駆体5aの厚みを最終製品の翼部5の厚みの1.2〜3倍程度にしてある。あるいは、翼部前駆体5aの厚みを最終製品の翼部5の厚みよりも0.3〜2mm厚くしてある。
よって、図4(b)に示すごとく、作製した中間製品3aの基台部31aにおいて、押込型62の押込面621に押し込まれた押込背面311aには、その後の曲げ加工工程及び切削加工工程において中間製品3aの位置決めを行うための凹形状の位置決め部312aが形成される。本例では、位置決め部312は、円形状の凹部313aと凹部313aから四方に延びた溝部314aとにより構成されている。
これにより、図5に示すごとく、中間製品3aにおいて、短翼部前駆体52aは、周方向Y(図2)に折り曲げて湾曲させた形状となる。
これにより、図6に示すごとく、中間製品3aにおいて、長翼部前駆体51aは、周方向Y(図2)に折り曲げて湾曲させた形状となる。
本例では、翼部前駆体5aを最終製品の翼部5の形状に加工する他、基台部31aの除去、貫通孔41の形成等を行う。切削加工は、NC工作機械(数値制御工作機械)を用いて行う。なお、切削加工工程においても、中間製品3aの位置決めに位置決め部321aを利用することができる。
以上により、図2に示すインペラ3の最終製品を得る。
本例のインペラ3の製造方法では、鍛造工程において、固体状の素材300aを型鍛造にて成型し、インペラ3の中間製品3aを作製する。そのため、鋳造で問題となる鋳巣等のような内部欠陥の発生を防止することができる。これにより、インペラ3の最終製品の強度を十分に確保することができる。
また、鍛造工程では、素材300aを型鍛造にて成型するため、比較的短時間でインペラ3の中間製品3aを作製することができる。これにより、生産性の向上を図ることができる。
また、鍛造工程、曲げ加工工程、切削加工工程を順に行うことにより、材料の歩留まりを高く、かつ、複雑な形状を高精度に加工することができる。
2 コンプレッサハウジング
3 インペラ(コンプレッサインペラ)
3a 中間製品
300a 素材
4 ハブ
4a ハブ部前駆体
5 翼部
5a 翼部前駆体
51 長翼部
51a 長翼部前駆体
52 短翼部
52a 短翼部前駆体
Claims (8)
- 複数の翼部を備えた圧縮機用インペラを製造する方法であって、
上記インペラの中間製品の形状のキャビティを有する鍛造型を用いて、固体状の素材を型鍛造にて塑性加工して成型することにより、成型後に上記鍛造型を破壊又は変形させることなく型抜き可能な複数の翼部前駆体を形成した上記中間製品を作製する鍛造工程と、
上記翼部前駆体を所定の方向に曲げ加工する曲げ加工工程と、
上記翼部前駆体を所望の形状に切削加工して上記翼部を形成する切削加工工程とを順に行うことを特徴とする圧縮機用インペラの製造方法。 - 請求項1において、上記鍛造工程及び上記曲げ加工工程は、熱間鍛造にて行うことを特徴とする圧縮機用インペラの製造方法。
- 請求項1又は2において、上記曲げ加工工程では、上記翼部前駆体の曲げ加工形状に対応する押圧面を有する翼部曲げ型を用いて、上記翼部前駆体を上記押圧面により押圧して曲げ加工することを特徴とする圧縮機用インペラの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、上記複数の翼部は、形状の異なる複数種類の翼部により構成されており、上記曲げ加工工程では、同じ種類の上記翼部となる上記翼部前駆体ごとに一度にまとめて曲げ加工することを特徴とする圧縮機用インペラの製造方法。
- 請求項4において、上記複数の翼部には、上記回転軸方向の長さが互いに異なる複数の長翼部と複数の短翼部とが存在し、上記曲げ加工工程では、上記短翼部となる複数の上記翼部前駆体を一度にまとめて曲げ加工した後、上記長翼部となる複数の上記翼部前駆体を一度にまとめて曲げ加工することを特徴とする圧縮機用インペラの製造方法。
- 請求項5において、上記長翼部と上記短翼部とは、上記インペラの上記回転軸を中心とする周方向に交互に配設されていることを特徴とする圧縮機用インペラの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項において、上記鍛造工程では、上記中間製品に対して、その後の上記曲げ加工工程及び上記切削加工工程の少なくとも一方において上記中間製品を位置決めするための位置決め部を形成することを特徴とする圧縮機用インペラの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項において、上記インペラは、過給機における圧縮機に用いられることを特徴とする圧縮機用インペラの製造方法。
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