JP5464834B2 - 研磨用シリカゾル、研磨用組成物および研磨用シリカゾルの製造方法 - Google Patents

研磨用シリカゾル、研磨用組成物および研磨用シリカゾルの製造方法 Download PDF

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本発明は、研磨用組成物として好適なシリカゾルおよびその製造方法に関するものであり、特には、被研磨面でのスクラッチ(線状痕)発生を抑制できる研磨用シリカゾル、その製造方法および研磨用組成物に関するものである。
研磨用組成物の分野においては、半導体の集積回路付基板の製造において、シリコンウェーハ上に銅などの金属で回路を形成する際に凹凸あるいは段差が生じるので、これを研磨して表面の段差がなくなるように回路の金属部分を優先的に除去することが行われている。また、シリコンウェーハ上にアルミ配線を形成し、この上に絶縁膜としてシリカ等の酸化膜を設けると配線による凹凸が生じるので、この酸化膜を研磨して平坦化することが行われている。このような基板の研磨においては、研磨後の表面は段差や凹凸がなく平坦で、さらにミクロな傷等もなく平滑であることが求められており、また研磨速度が速いことも必要である。
さらに、半導体材料は電気・電子製品の小型化や高性能化に伴い高集積化が進展しているが、例えばトランジスタ分離層にNaやK等の不純物等が残存した場合、性能が発揮されず、不具合の原因となることがある。特に研磨した半導体基板や酸化膜表面にNaが付着すると、Naは拡散性が高く、酸化膜中の欠陥などに捕獲され、半導体基板に回路を形成しても、絶縁不良が生じて、回路が短絡することがあり、また誘電率が低下することがあった。このため使用条件によって、或いは使用が長期にわたった場合に前記不具合を生じることがあるので、NaやKなどの不純物を殆ど含まない研磨用粒子が求められている。 研磨用粒子としては、従来、シリカゾルやヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナなどが用いられている。
CMPで使用される研磨材は、通常、シリカ、アルミナ等の金属シリカからなる平均粒子径が200nm程度の球状の研磨用粒子と、配線・回路用金属の研磨速度を早めるための酸化剤、有機酸等の添加剤及び純水などの溶媒から構成されているが、被研磨材の表面には下地の絶縁膜に形成した配線用の溝パターンに起因した段差(凹凸)が存在するので、主に凸部を研磨除去しながら共面まで研磨し、平坦な研磨面とすることが求められている。しかしながら、従来の球状の研磨用粒子では共面より上の部分を研磨した際に、凹部の下部にあった配線溝内の回路用金属が共面以下まで研磨される問題(ディッシングと呼ばれている。)があった。
このようなディッシング(過研磨)が起きると配線の厚みが減少することにより、配線抵抗が増加する傾向が増大する。また、この上に形成される絶縁膜の平坦性が低下する等の問題が生じるので、ディッシングを抑制することが求められていた。近年は、研磨速度の向上、被研磨面でのスクラッチ(線状痕)発生の抑制および被研磨面の表面粗さの抑制(表面精度向上)の各特性について、優れた効果を発揮する研磨材が求められている。
特許文献1(特開2002−338951号公報)には、単分散コロイダルシリカと活性珪酸をSiO2とを重量比で1:0.03〜1:0.3の割合で混合し、pH8〜11
の条件で水熱処理(120〜180℃、0.5〜3時間)することを特徴とする研磨剤用コロイダルシリカ及びその製造方法に関する技術が開示されている。このコロイダルシリカは、単分散のシリカ粒子に活性珪酸を高温高圧下で沈着させることにより表面状態が変化したもので、得られる単分散コロイダルシリカは、半導体素子等の電子材料に対する表面研磨加工時の研磨特性が優れていると記載されている。
特許文献2(特開2003−109921号公報)には、平均粒子径が5〜300nmの範囲にあるシリカ粒子が分散した研磨用シリカ粒子分散液であって、該シリカ粒子中のNaイオン含有量が100ppm以下であり、Naイオン以外のイオン含有量が300ppm〜2重量%の範囲にあることを特徴とする研磨用シリカ粒子分散液に関する発明が開示されている。また、この研磨用シリカ粒子分散液の製造方法の一部として、シリカ粒子分散液をオートクレーブにて150℃で11時間水熱処理する例が記載されている。
特許文献1の研磨剤用コロイダルシリカまたは特許文献2の研磨用シリカ粒子分散液によれば、研磨速度および被研磨基材の表面粗さについては、実用的なレベルが見られたものの、被研磨基材上の線状痕の抑制については、充分なレベルに達していなかった。
特開2002−338951号公報 特開2003−109921号公報
本発明は、研磨用途に適用して、優れた研磨特性を示すことができる研磨用シリカゾルおよびそれを含む研磨用組成物を提供することを課題とする。具体的には、研磨速度および被研磨面での線状痕の発生の抑止に優れた研磨用シリカゾルおよび研磨用組成物を提供することを課題とする。また、本発明は前記研磨用シリカゾルの製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための第1の発明は、窒素吸着法により測定される比表面積から換算される平均粒子径が3〜100nmであるシリカ微粒子がシリカ濃度1〜50質量%の範囲で溶媒に分散してなるシリカゾルであって、該シリカゾル中に存在する全シリカ成分の質量を(S1)、溶媒中に溶存してなる溶存シリカ成分の質量を(S2)としたとき、(S2)/(S1)[ppm]の値が1000ppm以下であることを特徴とする研磨用シリカゾルである。
前記課題を解決するための第2の発明は、シリカゾルのシリカ濃度が1質量%のときの動的光散乱法により測定される平均粒子径を(D1)とし、同じく30質量%のときの平
均粒子径を(D30)としたときに、(D1)/(D30)で与えられる平均粒子径の濃度依
存係数が、2.0〜2.8の範囲にあることを特徴とする研磨用シリカゾルである。
前記課題を解決するための第3の発明は、前記研磨用シリカゾルと、(a)研磨促進剤、(b)界面活性剤、(c)親水性化合物、(d)複素環化合物、(e)pH調整剤および(f)pH緩衝剤からなる群より選ばれる少なくとも1種とを含む研磨用組成物である。
前記課題を解決するための第4の発明は、シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルを、正のゼータ電位を有するフィルタに通過させることを特徴とする研磨用シリカゾルの製造方法である。
本発明に係る研磨用シリカゾルの製造方法によって得られる研磨用シリカゾルおよび研磨用組成物は、従来の同等の研磨用シリカゾルおよび研磨用組成物に比べ、少なくとも同等の研磨速度を示し、より効果的に線状痕の発生を抑制することができる。
研磨用シリカゾル
本発明に係る研磨用シリカゾルは、窒素吸着法により測定される比表面積から換算される平均粒子径が3〜100nmであるシリカ微粒子が1〜50質量%の範囲で溶媒に分散してなるシリカゾルであって、該シリカゾル中に存在する全シリカ成分の質量を(S1)、溶存シリカ成分の質量を(S2)としたとき、(S1)に占める(S2)の割合[(S2)/(S1)]が1000ppm以下であることを特徴とする。
前記溶存シリカ成分とは、前記平均粒子径範囲の粒子として溶媒中に存在しているシリカ成分以外のシリカ成分を意味する。具体的には、前記溶存シリカ成分とは、分画分子量
が10,000である分離膜を有する分離膜付遠沈管を用いて、遠心力4500Gにて90分間シリカゾルを遠心処理したときに、分離膜を通過して遠沈管下部に移行した分散媒中に存在するシリカ成分を指すものであり、シリカオリゴマーがこれに該当するものと推察される。
一般にシリカゾル中には、所定の粒径範囲のシリカ微粒子以外に、粒子径が500〜3000nm程度の粗大粒子が存在することが知られている。この粗大粒子は、シリカゾルを研磨用途に適用した場合、線状痕発生の原因となることが知られている。
本発明の発明者らは、前記粗大粒子以外に、前記溶存シリカ成分が線状痕発生の原因となっていることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、前記溶存シリカ成分を一定濃度以下にすることにより、線状痕の発生が顕著に低減されるという効果を奏するものである。
前記溶存シリカ成分がいかなる理由で線状痕発生の原因となっているかは必ずしも明らかではないが、シリカオリゴマーなどの溶存シリカ成分が経時的に凝集することにより、シリカ微粒子の均一性を低下させ、その結果、このシリカゾルを研磨用途に適用した場合に、線状痕発生の原因になると推察される。
本発明に係る研磨用シリカゾルにおいては、シリカゾル中に存在する全シリカ成分の質量(S1)に占める溶存シリカ成分の質量(S2)の割合が1000ppm以下である。(S1)に占める(S2)の割合[(S2)/(S1)]が1000ppm以下であると、この研磨用シリカゾルを用いて研磨処理を行ったとき、発生する線状痕の数が顕著に少なくなる。(S1)に占める(S2)の割合[(S2)/(S1)]としては、より好ましくは900ppm以下であり、さらに好ましくは850ppm以下である。なお、本発明に係る研磨用シリカゾルにおいては、前記粗大粒子の含有量が少ない方が好ましいのは当然のことである。
前記シリカ微粒子の、窒素吸着法(BET法)により測定される比表面積から換算される平均粒子径は3〜100nmであり、好ましくは5〜50nmであり、さらに好ましくは5〜40nmである。前記平均粒子径が3nmより小さい場合には、研磨レートが低いために研磨材としては不適当となり、100nmより大きい場合は、研磨レートが高い一方でスクラッチ(線状痕)が増加するため研磨基材の表面粗度低下を招く傾向が大きくなる。なお、前記窒素吸着法(BET法)に代えてナトリウム滴定法より測定される比表面積から換算される平均粒子径を使用しても構わない。ナトリウム滴定法よる平均粒子径の測定は、たとえば以下のようにして行うことができる。
1)SiO2として1.5gに相当する試料をビーカーに採取してから、恒温反応槽(2
5℃)に移し、純水を加えて液量を90mlにする。以下の操作は、25℃に保持した恒温反応槽中にて行う。
2)pH3.6〜3.7になるように0.1モル/L塩酸溶液を加える。
3)塩化ナトリウムを30g加え、純水で150mlに希釈し、10分間攪拌する。
4)pH電極をセットし、攪拌しながら0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液を滴下して、pH4.0に調整する。
5)pH4.0に調整した試料を0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し、pH8.7〜9.3の範囲での滴定量とpH値を4点以上記録して、0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量をX、その時のpH値をYとし、検量線を作る。
6)次の式(2)からSiO21.5g当たりのpH4.0〜9.0までに要する0.1
モル/L水酸化ナトリウム溶液の消費量V(ml)を求め、次の〔a〕または〔b〕に従って比表面積SA[m2/g]を求める。
〔a〕 実験式(3)にて、SAの値を求め、その値が80〜350m2/gの範囲にあ
る場合は、その値をSA1とする。
〔b〕 実験式(3)によるSAの値が350m2/gを超える場合は、改めて実験式(
4)にて、SAを求め、その値をSAとする。 また、平均粒子径D(nm)は、式(5)から求める。
V=(A×f×100×1.5)/(W×C) ・・・ (2)
SA=29.0V−28 ・・・ (3)
SA=31.8V−28 ・・・ (4)
D=6000/(ρ×SA) ・・・ (5) (ρ:試料の密度、シリカでは2.2を用いた。)
但し、上記式(2)における記号の意味は次の通りである。
A:SiO21.5g当たりpH4.0〜9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナト
リウム溶液の滴定量(ml)
f :0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の力価
C :試料のSiO2濃度(%)
W :試料採取量(g)
前記シリカ微粒子の形状としては、本発明の目的とする研磨が可能である限り特に制限はなく、例えば、球形、回転楕円形、鎖状、金平糖状、異形状等を挙げることができる。
本発明に係る研磨用シリカゾルにおけるシリカ微粒子の濃度は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、20〜40質量%の範囲が推奨される。前記シリカ微粒子の濃度が1質量%未満の場合には、生産性が低いうえに、研磨用組成物(スラリー)を調製するうえでも濃縮工程を必要とするものとなる。50質量%より大きい場合は、粒子の安定性が低下し、凝集する傾向が大きくなる。
前記溶媒としては、前記微シリカ微粒子を分散でき、研磨処理に供することができれば特に制限はなく、例えば、水、可溶性有機物のアルコ―ル、グリコール等を挙げることができる。
本発明に係る研磨用シリカゾルにおいては、シリカゾルのシリカ濃度が1質量%のときの動的光散乱法により測定される平均粒子径を(D1)とし、同じく30質量%のときの
平均粒子径を(D30)としたときに、(D1)/(D30)で与えられる平均粒子径の濃度
依存係数が、2.0〜2.8の範囲にある傾向がある。これについては、直接的には溶存シリカ成分が動的光散乱法による測定に影響するものと言える。濃度依存係数がこの範囲にあるシリカゾルは、研磨用途に好適であり、特に線状痕の発生が抑制される。濃度依存係数が2.0未満のシリカゾルを研磨用途に適用した場合、線状痕の発生が顕著となる。実用的なシリカゾルの濃度依存係数は、通常は2.8を超えるものではない。濃度依存係数の好適な範囲としては、2.1〜2.5の範囲が推奨される。
上記研磨用シリカゾルは、その製造方法には特に制限はなく、例えば後述の研磨用シリカゾルの製造方法によって製造することができる。
研磨用シリカゾルの製造方法
本発明の研磨用シリカゾルの製造方法は、シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルを、正のゼータ電位を有するフィルタに通過させることにより調製される。
シリカゾル
前記シリカゾルは、シリカ微粒子が水および/または有機溶媒等の溶媒に分散してなる
。本発明の研磨用シリカゾルの製造方法においては、原料として、公知のシリカゾルを使用することができる。市販品の使用についても何ら問題はない。なお、このシリカゾルは、アルミナ、ジルコニア、セリアまたはチタニアを含有していても構わない。
前記シリカゾルの製造方法としては、次の(1)〜(4)の製造方法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)珪酸液をアルカリ存在下で加熱することにより珪酸を重合する工程を含むシリカゾルの製造方法
この製造方法は、アルカリ金属珪酸塩、第3級アンモニウム珪酸塩、第4級アンモニウム珪酸塩またはグアニジン珪酸塩から選ばれる水溶性珪酸塩を、脱アルカリすることにより得られる珪酸液をアルカリ存在下で加熱することにより珪酸を重合する工程を含むものである。この製造方法の例としては、珪酸アルカリ水溶液をシリカ濃度3〜10質量%に水で希釈し、次いでH型強酸性陽イオン交換樹脂に接触させて脱アルカリし、必要に応じてOH型強塩基性陰イオン交換樹脂に接触させて脱アニオンし、活性珪酸を調製する。pHが8以上となるようアルカリ物質を加え、50℃以上に加熱することにより平均粒子径60nm以下のシリカゾルを製造する方法を挙げることができる。
(2)核粒子分散液に酸性珪酸液を添加することにより、核粒子の粒子成長を行うシリカゾルの製造方法
この製造方法において、核粒子分散液としては、核粒子として機能すれば特に制限はなく従来公知のシリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニア、シリカ−セリア、シリカ−チタニア等の微粒子の分散液を用いることができる。なかでも、本願出願人による特開平5−132309号公報、特開平7−105522号公報等に開示したシリカゾル、シリカ複合酸化物ゾルは粒子径分布が均一であり、均一な粒子径分布の研磨用シリカ粒子が得られるので好ましい。ここで、核粒子分散液には酸性珪酸液の添加前に珪酸アルカリが加えられていることが好ましい。珪酸アルカリが添加されていると、次に粒子成長用の酸性珪酸液を加える際に、溶媒中に溶解したSiO2 濃度が予め高くされているので核粒子への珪酸の析出が早く起こり、また分散液のpHを概ね8〜12、好ましくは9.5〜11. 5に調整することができる。此処で用いる
珪酸アルカリとしては、ケイ酸カリウム(カリ水硝子)等、ケイ酸ナトリウム(ナトリウム水硝子)以外の珪酸アルカリあるいは4級アミンなど有機塩基にシリカを溶解した溶液を用いることが好ましい。また、必要に応じてNaOH以外のアルカリ金属水酸化物、アンモニウム、4級アンモニウムハイドライドを添加することができる。さらにMg(OH)2 、Ca(OH)2 、Sr(OH)2 、Ba(OH)2 等のアルカリ金属水酸化物なども好適に用いることができる。予め核粒子が分散していなくても、珪酸アルカリ水溶液に後述する酸性珪酸液を加えていくとシリカ濃度が高くなったところで核粒子が発生するので、このような核粒子分散液も好適に用いることができる。核粒子分散液の濃度は核粒子の大きさによっても異なるが、SiO2 として0. 005〜20質量%、さらには0. 01〜10質量%の範囲にあることが好ましい。
核粒子の濃度が0. 005質量%未満の場合は、粒子成長を行うために温度を高めた場合核粒子の一部または全部が溶解することがあり、核粒子の全部が溶解すると核粒子分散液を用いる効果が得られず、核粒子の一部が溶解した場合は得られるシリカ粒子の粒子径が不均一になる傾向があり、同様に核粒子分散液を用いる効果が得られないことがある。一方、核粒子の濃度が20質量%を越えると、核粒子当たりの酸性珪酸液の添加割合を低濃度の場合と同一にするには珪酸液の添加速度を速めることになるが、この場合、酸性珪
酸液の核粒子表面への析出が追随できず、酸性珪酸液がゲル化することがある。核粒子の平均粒子径は前記したシリカ粒子が得られれば、特に制限はない。
(3)シリカヒドロゲルを解膠する工程を含むシリカゾルの製造方法
この製造方法は、珪酸塩を酸で中和して得られるシリカヒドロゲルを洗浄して、塩類を除去し、アルカリを添加した後、加熱することによりシリカヒドロゲルを解膠する工程を含むものである。
この製造方法は解膠法と呼ばれるもので、通常は、珪酸塩の水溶液を酸で中和して、シリカヒドロゲルを調製し、化学的手段または機械的な手段にて、シリカヒドロゲルをスラリー状ないしは分散溶液にする方法として知られている。 ここで、化学的手段としては、シリカヒドロゲルにアルカリを添加し、所望により加熱する方法が挙げられる。また、機械的手段としては、攪拌器などの装置を使用する方法を挙げることができる。これらの化学的手段と機械的な手段は併用されても差し支えない。具体的には、珪酸塩を酸で中和して得られるシリカヒドロゲルを洗浄して、塩類を除去し、アルカリを添加し、60〜200℃の範囲に加熱することにより、シリカヒドロゲルを解膠して、シリカゾルを調製する。この製造方法で原料として使用する珪酸塩としては、アルカリ金属珪酸塩、アンモニウム珪酸塩および有機塩基の珪酸塩から選ばれる1種または2種以上の珪酸塩が好ましい。アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水ガラス)や珪酸カリウムを、有機塩基としては、テトラエチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類を挙げることができ、アンモニウムの珪酸塩または有機塩基の珪酸塩には、珪酸液にアンモニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン化合物などを添加したアルカリ性溶液も含まれる。
(4)加水分解性珪素化合物を加水分解し、得られた珪酸を重合してなる製造方法
この製造方法は、加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解して、得られた珪酸を重合する工程を含むものである。この製造方法の例としては、シ−ド粒子が分散された水−有機溶媒系分散液にテトラエトキシシランを添加して該テトラエトキシシランを加水分解し、前記シ−ド粒子上にシリカを付着させて粒子成長を行わせて単分散したシリカ粒子の製造方法などが知られている。
前記(1)〜(4)の何れの製造方法により調製されたシリカゾルも本発明に係る研磨用シリカゾルの製造方法に、原料(シリカゾル)として適用することが可能である。
本発明に係る研磨用シリカゾルの製造方法に原料として使用するシリカゾルのシリカ濃度については、通常、1〜50質量%の範囲のものが使用される。また、シリカ微粒子については、窒素吸着法[BET法](またはナトリウム滴定法)により測定された比表面積から換算された平均粒子径が1〜100nmの範囲のシリカ微粒子が好適に用いられる。平均粒子径が1nm未満のシリカ微粒子の調製は、可能であるものの、コスト面で実用的とはいえない。また、研磨用途においては、平均粒子径100nm以下が実用的である。正のゼータ電位を有するフィルタ
本発明者らは、正のゼータ電位を有するフィルタを通過したシリカゾルからなる研磨用シリカゾルを研磨用途に適用した場合、従来の遠心分離処理工程または限外濾過を経て調製されたシリカゾルと比べて、少なくとも同等の研磨速度を確保しながら、より効果的に線状痕の発生が抑制されることを見出し、本発明を完成させた。
前述のとおり、線状痕発生の原因物質としては、前記粗大粒子および溶存シリカ成分等が挙げられる。これらの原因物質のうち、粗大粒子は、従来の遠心分離処理工程または限外濾過等により除去することは可能である。しかし、溶存シリカ成分は、質量または外径がきわめて小さいなどの理由により、従来の遠心分離処理工程等により除去することは困難であった。
これに対して、シリカゾルを、正のゼータ電位を有するフィルタを通過させる本発明に
係る製造方法によると、前記粗大粒子だけでなく、溶存シリカ成分も簡易に、かつ効率良く除去される。このことは、通常の濾過作用によって粗大粒子が分離され、さらに比較的大きいマイナスのゼータ電位を有する溶存シリカ成分を、正のゼータ電位を有するフィルタが吸着することに起因するものと推定される。この結果、シリカゾルを、正のゼータ電位を有するフィルタを通過させて得られた研磨用シリカゾルまたはこれを含む研磨用組成物を研磨用途に適用した場合、遠心分離処理等を行っただけのシリカゾルを研磨用途に適用した場合に比べて、線状痕の発生を抑止しやすい。
フィルタのゼータ電位は、次のように測定される。フィルタの膜を15mm×35mmの長方形状に切り取り、測定用セルに密着させてゼータ電位・粒径測定システム(大塚電子製 ELSZ-1)および平板試料用セルユニットに設置して測定する。なお、本装置では、セル内に電気泳動させるモニター粒子(ゼータ電位をほぼゼロにしたポリスチレンラテックス粒子)を注入し、セル深さ方向の各レベルでモニター粒子の電気泳動を行い、得られたセル内部の見かけの速度分布を森・岡本式で解析してサンプル表面のゼータ電位を求めるものである。
フィルタが有する正のゼータ電位の大きさとしては、前記溶存シリカ成分を吸着できる限り特に制限はないが、好ましくは+3〜+60mVであり、さらに好ましくは+5〜+50mVである。フィルタが有するゼータ電位が前記範囲内であると、溶存シリカ成分を効率的に吸着しやすい。なお、正のゼータ電位を有するフィルタは、正の電荷を有するものと言える。
このような正のゼータ電位を有するフィルタは、例えば、表面ゼータ電位が負の範囲にあるポリウレタンにアクリレートをグラフトさせてなる濾材をカチオン化剤により処理することにより、表面ゼータ電位を正にして、正のゼータ電位を有するフィルタを製造することができる。カチオン化剤としては、中性の溶液中でカチオン性電荷をもつ物質であれば、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化アルミニウム、アミノ基を有する塩基性物質等が好ましい。アミノ基を有する塩基性物資の具体例としては、第4級アンモニウムハイドロオキサイド、第3級アミン化合物、第2級アミン化合物などを挙げることができる。具体的な製造方法としては、例えば、ポリ塩化アルミニウムを純水に溶解させた水溶液をカプセルフィルタに満たし、純水で通液して、ポリ塩化アルミニウムを排出した後、フィルタを乾燥させることによって製造することができる。
フィルタの材質については、基材をカチオン化処理して正のゼータ電位を有するフィルタを製造する場合は、カチオン化剤を安定して表面に定着させるために、基材がアニオン性の樹脂または不織布などであることが好ましい。
正のゼータ電位を有するフィルタのフィルタ孔径については、0.01〜10μmの範囲が好適である。この範囲であれば、研磨用途において問題となる粗大粒子の除去が可能である。なお、フィルタの孔径については、処理対象となるシリカゾルの平均粒子径等に応じて適宜選択される。
正のゼータ電位を有するフィルタによる処理
本発明に係る研磨用シリカゾルの製造方法においては、各種製造方法で製造されたシリカゾルを正のゼータ電位を有するフィルタに通過させる。フィルタ処理の態様については、格別に制限されるものではなく、被処理液であるシリカゾルがフィルタにより濾過される操作が行われればよい。また、正のゼータ電位を有するフィルタによる処理は、反復して行っても構わない。
また、被処理液であるシリカゾルについては、正のゼータ電位を有するフィルタに通過
させる処理の他に、所望の処理を加えても構わない。この例としては、遠心分離処理を挙げることができる。遠心分離処理によりシリカゾルから粗大粒子を除去し、その後、正のゼータ電位を有するフィルタに通過させる処理を行って得られたシリカゾルを研磨用途に適用した場合、線状痕発生をより効果的に抑制することが可能となる。
前述の本発明に係る研磨用シリカゾルを製造するには、例えば、窒素吸着法(またはナトリウム滴定法)により測定される比表面積から換算される平均粒子径が3〜100nmであるシリカ微粒子が1〜50質量%の範囲で分散媒に分散してなるシリカゾルを、上記正のゼータ電位を有するフィルタに通過させればよい。フィルタのゼータ電位の大きさは、シリカゾルに含まれるシリカ微粒子が有するゼータ電位等に応じて適宜決定することができる。フィルタ孔径も、シリカゾルに含まれる粗大粒子の大きさおよびシリカゾルの平均粒子径等に応じて適宜決定することができる。また、フィルタによる処理回数についても、所望の結果が得られるように適宜調整すればよい。
前記研磨用シリカゾルの製造方法により前述の本発明に係る研磨用シリカゾルを製造した場合、この研磨用シリカゾルにおいては、シリカゾルのシリカ濃度が1質量%のときの動的光散乱法により測定される平均粒子径を(D1)とし、同じく30質量%のときの平
均粒子径を(D30)としたときに、(D1)/(D30)で与えられる平均粒子径の濃度依
存係数が、2.0〜2.8の範囲にある傾向がある。
動的光散乱法により測定される平均粒子径は、一般に測定対象であるシリカゾルの濃度により変動する傾向がある。したがって、測定対象であるシリカゾルの濃度が1質量%の場合と30質量%の場合では、通常得られる平均粒子径が異なる。通常のシリカゾルにおいては、前記濃度依存係数は1.5以上、2.0未満の範囲である。つまり、前記研磨用シリカゾルの製造方法により製造された本発明に係る研磨用シリカゾルは、通常のシリカゾルよりも大きい濃度依存係数を有するという特徴がある。
研磨用組成物
本発明に係る研磨用粒子分散液は、それ自体で研摩剤として使用可能なものであるが、所望により、添加剤として、研磨促進剤、界面活性剤、複素環化合物、pH調整剤およびpH緩衝剤からなる群より選ばれる1種以上を添加して使用しても構わない。前記研磨用粒子分散液にこれらの成分を添加して得られる混合物を本発明においては、「研磨用組成物」と呼称する。
研磨促進剤
本発明に係る研磨用組成物には、被研磨材の種類によっても異なるが、必要に応じて従来公知の研磨促進剤を使用することができる。この様な例としては、過酸化水素、過酢酸、過酸化尿素などおよびこれらの混合物を挙げることができる。このような過酸化水素等の研磨促進剤を含む研磨剤組成物を用いると、被研磨材が金属の場合には効果的に研磨速度を向上させることができる。
研磨促進剤の別の例としては、硫酸、硝酸、リン酸、シュウ酸、フッ酸等の酸、あるいはこれら酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびこれらの混合物などを挙げることができる。これらの研磨促進剤を含む研磨用組成物の場合、複合成分からなる被研磨材を研磨する際に、被研磨材の特定の成分についての研磨速度を促進することにより、最終的に平坦な研磨面を得ることができる。
本発明に係る研磨用組成物が研磨促進剤を含有する場合、その含有量としては、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
界面活性剤及び/又は親水性化合物
研磨用組成物の分散性や安定性を向上させるためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系の界面活性剤または親水性化合物を添加することができる。界面活性剤と親水
性化合物は、いずれも被研磨面への接触角を低下させる作用を有し、均一な研磨を促す作用を有する。界面活性剤及び/又は親水性化合物としては、例えば、以下の群から選ばれるものを使用することができる。
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられ、カルボン酸塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩を挙げることができる。
陽イオン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩;両性界面活性剤として、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられ、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示され、その他にフッ素系界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤としては陰イオン界面活性剤もしくはノ非イオン系界面活性剤が好ましく、また、塩としては、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられ、特にアンモニウム塩およびカリウム塩が好ましい。
さらに、その他の界面活性剤、親水性化合物等としては、グリセリンエステル、ソルビタンエステルおよびアラニンエチルエステル等のエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール等のエーテル;アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードラン及びプルラン等の多糖類;グリシンアンモニウム塩及びグリシンナトリウム塩等のアミノ酸塩;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム
塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩及びポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸及びその塩;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等のビニル系ポリマ;メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1−アリルスルホン酸ナトリウム塩、2−アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩等のスルホン酸及びその塩;プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミド及びスルファニルアミド等のアミド等を挙げることができる。
なお、適用する被研磨基材がガラス基板等である場合は何れの界面活性剤であっても好適に使用できるが、半導体集積回路用シリコン基板などの場合であって、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはハロゲン化物等による汚染の影響を嫌う場合にあっては、酸もしくはそのアンモニウム塩系の界面活性剤を使用することが望ましい。
本発明に係る研磨用組成物が界面活性剤及び/又は親水性化合物を含有する場合、その含有量は、総量として、研磨用組成物の1L中、0.001〜10gとすることが好ましく、0.01〜5gとすることがより好ましく0.1〜3gとすることが特に好ましい。
界面活性剤及び/又は親水性化合物の含有量は、充分な効果を得る上で、研磨用組成物の1L中、0.001g以上が好ましく、研磨速度低下防止の点から10g以下が好ましい。
界面活性剤または親水性化合物は1種のみでもよいし、2種以上を使用してもよく、異なる種類のものを併用することもできる。
環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。複素環化合物の例として、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、テトラゾールなどを用いることができる。より具体的には、1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1,2,3,4−テトラゾール、5−メチル−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジアミノ−1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾールなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明に係る研磨用組成物に複素環化合物を配合する場合の含有量については、0.001〜1.0質量%であることが好ましく、0.001〜0.7質量%であることがより好ましく、0.002〜0.4質量%であることがさらに好ましい。
pH調整剤
上記各添加剤の効果を高めるためなどに必要に応じて酸または塩基を添加して研磨用組成物のpHを調節することができる。
研磨用組成物をpH7以上に調整するときは、pH調整剤として、アルカリ性のものを使用する。望ましくは、水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸アンモニウム、エチルア
ミン、メチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルアミンなどのアミンが使用される。
研磨用組成物をpH7未満に調整するときは、pH調整剤として、酸性のものが使用される。例えば、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリセリン酸などのヒドロキシ酸類が使用される。
pH緩衝剤
研磨用組成物のpH値を一定に保持するために、pH緩衝剤を使用しても構わない。pH緩衝剤としては、例えば、リン酸2水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、4ホウ酸アンモ四水和水まどのリン酸塩及びホウ酸塩または有機酸などを使用することができる。
溶媒
本発明に係る研磨用組成物については、必要に応じて溶媒を用いることができる。溶媒としては通常、水を用いるが、必要に応じてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類を用いることができ、他にエーテル類、エステル類、ケトン類など水溶性の有機溶媒を用いることができる。また、水と有機溶媒からなる混合溶媒であっても構わない。
研磨用粒子の濃度
研磨用組成物中のシリカ微粒子の濃度は、2〜50重量%、さらには5〜30重量%の範囲にあることが好ましい。濃度が2重量%未満の場合は、基材や絶縁膜の種類によっては濃度が低すぎて研磨速度が遅く生産性が問題となることがある。シリカ粒子の濃度が50重量%を越えると研磨材の安定性が不充分となり、研磨速度や研磨効率がさらに向上することもなく、また研磨処理のために分散液を供給する工程で乾燥物が生成して付着することがあり傷(スクラッチ)発生の原因となることがある。
〔実施例〕
実施例および比較例で使用した測定方法等について以下に記す。
[動的光散乱法による平均粒子径の測定方法]
シリカ微粒子の平均粒子径については、シリカゾルを0.58%アンモニア水にて希釈して、シリカ濃度1質量%または30質量%に調整し、下記粒径測定装置を用いて平均粒子径を測定した。
[粒径測定装置]
レーザーパーティクルアナライザー(大塚電子株式会社製、レーザー粒径解析システム:LP−510モデルPAR−III、測定原理:動的光散乱法、測定角度90°、受光素子:光電子倍増管2インチ、測定範囲:3nm〜5μm、光源:He-Neレーザー(5
mW、632.8nm)、温度調整範囲:5〜90℃、温度調整方式:ペルチェ素子(冷
却)、セラミックヒーター(加熱)、セル:10mm角のプラスチックセル、測定対象:コ
ロイド粒子)
[正のゼータ電位を有するフィルタの作製]
ポリ塩化アルミニウムを純水に溶解させた水溶液(ポリ塩化アルミニウム5質量%)を日本ポール株式会社製カプセルフィルタ(品番:DFA4201J012F、ポリプロピレン製、フィルタ孔径1.2μm)に満たし、1時間放置した。
そして、カプセルフィルタ中の電導度が10μs以下になるまで純水で通液し、残存するポリ塩化アルミニウムを排出させた。ここで、電気伝導度の測定には、電気伝導度計(株式会社堀場製作所製ES-51)を使用した。
純水で洗浄後、カプセルを解体し、フィルタを純水中から取り出し、80℃にて一晩乾燥させた。続いて、フィルタの一部(15mm×35mmの長方形状)を採取し、ゼータ電位・粒径測定システムELSZ-1(大塚電子株式会社製)および平板試料用セルユニ
ット(大塚電子株式会社製)にて、フィルタ表面のゼータ電位を測定したところ、+8m
Vであり、表面がカチオン化されていることを確認した。
以下の実施例では、この方法で作成した正のゼータ電位を有するフィルタ(以下、「カチオン化フィルタ」と称する。)を使用した。なお、上記カチオン化処理をする前のフィルタのゼータ電位は−18mVだった。
[シリカゾル中のシリカ含有量測定]
試料シリカゾル10gに50%硫酸水溶液2mlを加え、白金皿上にて蒸発乾固し、得られた固形物を1000℃にて1時間焼成後、冷却して秤量した。次に、秤量した固形物を微量の50%硫酸水溶液に溶かし、更にフッ化水素酸20mlを加えてから、白金皿上にて蒸発乾固し、1000℃にて15分焼成後、冷却して秤量した。これらの重量差より多孔質シリカ粒子中のシリカ含有量を求めた。
[溶存シリカ成分の定量方法]
分離膜付遠沈管(Sartorius Biolab製 VIVASPIN VS200
1:分離膜分画分子量10000)に試料(研磨用シリカゾル)を入れ蓋をした。この遠沈管を遠心分離装置(久保田製作所 KUBOTA6930)に取り付け、遠心力4500Gにて90分遠心処理した。この遠心処理により、溶媒(溶媒に溶解した成分を含む)が、分離膜を通過して遠沈管下部に回収され、シリカゾルから溶媒が分離された。回収された溶媒について、溶存シリカ成分量をモリブデン反応にて定量し、GPCによりその分子量を測定した。また、Na2O量は、後記の原子吸光法にて定量した。
[モリブデン反応による溶存シリカ成分の定量方法]
1)300mlビーカーに水200mlを取りHClでpH=1に合わせた。
2)試料として、前記溶存シリカ成分の定量方法において遠心分離によりシリカゾルから分離された溶媒1gをはかりとり、300mlビーカーに移した。
3)再度pH=1に合わせた。
4)10%モリブデン酸アンモニウム10mlを加えて混合した。
5)250mlメスフラスコに移し、250mlに合わせた。
6)20分放置後、420nm波長にて透過率を測定した。
7)透過率を吸光度に換算し、検量線よりSiO2濃度を求めた。計算式は以下の通りで
ある。
溶存シリカ(SiO2)=SiO2(mg)×1000/試料(g)×1000000(ppm)
8)同様に空試験(試料液に10%モリブデン酸アンモニウムを添加していないもの)を行い、補正した。
[Na2Oの定量方法(原子吸光法)]
1)試料シリカゾル約10gを白金皿に採取し、0.1mgまで秤量した。
2)硝酸5mlと弗化水素酸20mlを加えて、サンドバス上で加熱し、蒸発乾固した。3)液量が少なくなったら、更に弗化水素酸20mlを加えてサンドバス上で加熱し、蒸発乾固した。
4)室温まで冷却後、硝酸2mlと水を約50ml加えて、サンドバス上で加熱溶解した。5)室温まで冷却後、フラスコ(100ml)に入れ、水で100mlに希釈して試料溶液とした。
6)原子吸光分光光度計(株式会社日立製作所製、Z-5300、測定モード:原子吸光、測定波長:190〜900nm、シリカ試料の場合におけるNaの検出波長は589.0nm)にて、試料溶液中に存在する各金属の含有量を測定した。この原子吸光分光光度計は、フレームにより試料を原子蒸気化し、その原子蒸気層に適当な波長の光を照射し、その際の原子によって吸収された光の強さを測定し、これにより試料中の元素濃度を定量するものである。
[窒素吸着法による比表面積測定と平均粒子径の測定]
シリカゾル50mlをHNO3でpH3.5に調整し、1−プロパノール40mlを加
え、110℃で16時間乾燥した試料について、乳鉢で粉砕後、マッフル炉にて500℃、1時間焼成し、測定用試料とした。そして、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)を用いて、窒素の吸着量から、BET1点法により比表面積を算出した。
具体的には、試料0.5gを測定セルに取り、窒素30v%/ヘリウム70v%混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行い、その上で試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、シリカゾルの比表面積を算出した。また、平均粒子径(D)[nm]は、前記式(5)から求める。
[研磨特性の評価方法]
被研磨基板
被研磨基板として、アルミニウムディスク用基板を使用した。このアルミニウムディスク用基板は、アルミニウム基板にNi−Pを10μmの厚さに無電解メッキ(Ni88%とP12%の組成の硬質Ni−Pメッキ層)をした基板(95mmΦ/25mmΦ−1.27mmt)を使用した。なお、この基板は一次研磨済みで、表面粗さ(Ra)は0.17nmであった。
研磨試験
上記被研磨基板を、研磨装置(ナノファクター(株)製:NF300)にセットし、研磨パッド(ロデール社製「アポロン」)を使用し、基板荷重0.05MPa、テーブル回転速度30rpmで研磨用スラリーを20g/分の速度で5分間供給して研磨を行った。研磨前後の被研磨基材の重量変化を求めて研磨速度を計算した。
線状痕の発生
スクラッチの発生については、アルミニウムディスク用基板を上記と同様に研磨処理した後、超微細欠陥・可視化マクロ装置(VISION PSYTEC社製:Micro-MAX)を使用し、Zoom15にて全面観察し、65.97cm2に相当する研磨処理された基板表面の線状痕
(スクラッチ)の個数を数えて合計し、(線状痕)本数/枚で表示した。
研磨速度
研磨前後の基板の重量差(g)を比重(8.4g/cm3)で割り、さらに基板の表面積(65.97cm2)と研磨時間で割ることにより、単位時間当たりの研磨量(nm/min)を算出し
た。
濃縮安定性
シリカゾル200g(シリカ濃度30質量%)を500mlナスフラスコにいれ、ロータリーエバポレーターに設置した。バス温度60℃に設定した後、真空度−740mmHgにて濃縮を行った。ナスフラスコ内壁面にゲル状物が見られた時点で濃縮を止めてシリカゾルを回収し、そのSiO2濃度を測定した。(濃縮安定性の良いものほど高濃度化が可能であり、高濃度になってもゲル状物の発生がない。)
〔珪酸液の調製〕
7%濃度の珪酸ナトリウム(3号水硝子)の7,000gを限外モジュール(旭化成社製SIP−1013)に通液し濾水を回収し精製水硝子を得た。この精製水硝子のシリカ濃度
が5%になるように純水を添加した。そして、このシリカ濃度5%の水硝子6,500g
を強酸性陽イオン交換樹脂SK1BH(三菱化学社製)2.2Lに空間速度3.1で通液させることで珪酸液6,650gを得た。
得られた珪酸液のシリカ濃度は4.7%であった。
〔シリカゾルの調製〕
珪酸ナトリウム(3号水硝子SiO2 濃度24.31重量%)80.1gに純水1217
.8gを添加してシリカ濃度1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液を1297.9g調製
した。ついでシリカ濃度4.7質量%の珪酸液20.1gを添加して攪拌した後、82℃に昇温した。この温度のまま82℃で30分保持し、さらにシリカ濃度4.7重量%の珪酸液11064.8gを15時間かけて添加した。添加終了後さらに82℃のまま1時間保ち、その後室温まで冷却した。得られたシリカゾルを限外濾過膜(SIP−1013、旭
化成(株)製)により、シリカ濃度が12%になるまで濃縮し、水酸化ナトリウムの5質量%水溶液を加えて、pH10に調整した。ついで、ロータリーエバポレーターでシリカ濃度30重量%まで濃縮した。
〔カチオン化フィルタを用いた濾過〕
前記カチオン化フィルタを加圧式装置に取り付け、上記で得られたシリカゾルを0.16MPaの加圧条件で、1回通液した。
得られた研磨用シリカゾルAは、窒素吸着法により測定された比表面積が103m2/gであった。
また、研磨用シリカゾルAにおける(S2)/(S1)[ppm]は、839ppmであった。
その他の測定結果(研磨用シリカゾルのシリカ濃度、Na2O濃度、シリカゾル中に存在
する全シリカ成分質量(S1)、溶存シリカ成分の質量(S2)、平均粒子径の濃度依存係数、比表面積から換算された平均粒子径等)を表1に記す(以下の実施例および比較例も同様)。
〔研磨用組成物の調製〕
研磨用シリカゾルAに、H22、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジス
ルホン酸)および超純水を加えて、シリカ9質量%、H220.5質量%、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジスルホン酸0.5質量%の研磨用スラリーを調製し、HNO3
を加えて、pH2に調整した研磨用スラリーすなわち研磨用組成物Aを調製した。
この研磨用組成物Aを用いて前記研磨特性の評価を行い、研磨速度、線状痕の個数および濃縮安定性を求めた。これらの結果を表2に示した。
〔シリカゾルの調製〕
珪酸ナトリウム(3号水硝子SiO2 濃度24.31重量%)80.1gに純水1217
.8gを添加してシリカ濃度1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液を1297.9g調製した。ついで実施例1で調製したものと同様なシリカ濃度4.7質量%の珪酸液20.1
gを添加して攪拌した後、82℃に昇温した。この温度のまま82℃で30分保持し、さらにシリカ濃度4.7重量%の珪酸液11064.8gを15時間かけて添加した。添加終了後さらに82℃のまま1時間保ち、その後室温まで冷却した。得られたシリカゾルを限外ろ過膜(SIP−1013、旭化成(株)製)により、シリカ濃度が12%になるまで
濃縮し、水酸化ナトリウムの5質量%水溶液を加えて、pH10に調整した。ついで、ロータリーエバポレーターでシリカ濃度30重量%まで濃縮した。
〔カチオン化フィルタを用いた濾過〕
前項に示した処理により得られたカチオン化フィルタを加圧式装置に取り付け、上記で得られたシリカゾルを2回通液した。得られた研磨用シリカゾルBは、窒素吸着法により測定された比表面積が101m2/gであった。
また、研磨用シリカゾルBにおける(S2)/(S1)[ppm]は、762ppmであった。
〔研磨用組成物の調製〕
研磨用シリカゾルAの代わりに研磨用シリカゾルBを使用した以外は、実施例1と同様
にして研磨用スラリーすなわち研磨用組成物Bを調製した。
この研磨用組成物Bを用いて前記研磨特性の評価を行い、研磨速度、線状痕の個数およ
び濃縮安定性を求めた。これらの結果を表2に示した。
〔シリカゾルの調製〕
珪酸ナトリウム(3号水硝子SiO2 濃度24.31重量%)80.1gに純水1217
.8gを添加してシリカ濃度1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液を1297.9g調製した。ついで実施例1で調製したものと同様なシリカ濃度4.7質量%の珪酸液20.1
gを添加して攪拌した後、82℃に昇温した。この温度のまま82℃で30分保持し、さらにシリカ濃度4.7重量%の珪酸液11064.8gを15時間かけて添加した。添加終了後さらに82℃のまま1時間保ち、その後室温まで冷却した。得られたシリカゾルを限外ろ過膜(SIP−1013、旭化成(株)製)により、シリカ濃度が12%になるまで
濃縮し、水酸化ナトリウムの5質量%水溶液を加えて、pH10に調整した。ついで、ロータリーエバポレーターでシリカ濃度30重量%まで濃縮した。
〔カチオン化フィルタを用いたろ過〕
前項に示した処理により得られたカチオン化フィルタを加圧式装置に取り付け、上記で得られたシリカゾルを3回通液した。得られた研磨用シリカゾルCは、窒素吸着法により測定された比表面積が102m2/g、実施例1と同様にして分離した溶媒のNa2Oは0.137質量%であった。
また、研磨用シリカゾルCにおける(S2)/(S1)[ppm]は、740ppmであった。
〔研磨用組成物の調製〕
研磨用シリカゾルAの代わりに研磨用シリカゾルCを使用した以外は、実施例1と同様に
して研磨用スラリーすなわち研磨用組成物Cを調製した。
この研磨用組成物Cを用いて前記研磨特性の評価を行い、研磨速度、線状痕の個数および濃縮安定性を求めた。これらの結果を表2に示した。
〔シリカゾルの調製〕
珪酸ナトリウム(3号水硝子SiO2 濃度24.31重量%)80.1gに純水1217
.8gを添加してシリカ濃度1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液を1297.9g調製した。ついで実施例1で調製したものと同様なシリカ濃度4.7質量%の珪酸液17.4gを添加して攪拌した後、82℃に昇温した。この温度のまま82℃で30分保持し、さらにシリカ濃度4.7重量%の珪酸液11064.8gを15時間かけて添加した。添加終了後さらに82℃のまま1時間保ち、その後室温まで冷却した。得られたシリカゾルを限外ろ過膜(SIP−1013、旭化成(株)製)により、シリカ濃度が12%になるまで
濃縮し、水酸化ナトリウムの5質量%水溶液を加えて、pH10に調整した。ついで、ロータリーエバポレーターでシリカ濃度30重量%まで濃縮した。
〔カチオン化フィルタを用いたろ過〕
前項に示した処理により得られたカチオン化フィルタを加圧式装置に取り付け、上記で得られたシリカゾルを1回通液した。得られた研磨用シリカゾルDは、窒素吸着法により測定された比表面積が101m2/gであった。
また、研磨用シリカゾルDにおける(S2)/(S1)[ppm]は、811ppmであった。
〔研磨用組成物の調製〕
研磨用シリカゾルAの代わりに研磨用シリカゾルDを使用した以外は、実施例1と同様にして研磨用スラリーすなわち研磨用組成物Dを調製した。
この研磨用組成物Dを用いて前記研磨特性の評価を行い、研磨速度、線状痕の個数お
よび濃縮安定性を求めた。これらの結果を表2に示した。
〔シリカゾルの調製〕
珪酸ナトリウム(3号水硝子SiO2 濃度24.31重量%)80.1gに純水1217
.8gを添加してシリカ濃度1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液を1297.9g調製した。ついで実施例1で調製したものと同様なシリカ濃度4.7質量%の珪酸液22.7gを添加して攪拌した後、82℃に昇温した。この温度のまま82℃で30分保持し、さらにシリカ濃度4.7重量%の珪酸液11064.8gを15時間かけて添加した。添加終了後さらに82℃のまま1時間保ち、その後室温まで冷却した。得られたシリカゾルを限外ろ過膜(SIP−1013、旭化成(株)製)により、シリカ濃度が12%になるまで
濃縮し、水酸化ナトリウムの5質量%水溶液を加えて、pH10に調整した。ついで、ロータリーエバポレーターでシリカ濃度30重量%まで濃縮した。
〔カチオン化フィルタを用いた濾過〕
前項に示した処理により得られたカチオン化フィルタを加圧式装置に取り付け、上記で得られたシリカゾルを1回通液した。得られた研磨用シリカゾルEは、窒素吸着法により測定された比表面積が104m2/gだった。
また、研磨用シリカゾルEにおける(S2)/(S1)[ppm]は、928ppmであった。
〔研磨用組成物の調製〕
研磨用シリカゾルAの代わりに研磨用シリカゾルEを使用した以外は、実施例1と同様にして研磨用スラリーEすなわち研磨用組成物Eを調製した。
この研磨用組成物Eを用いて前記研磨特性の評価を行い、研磨速度、線状痕の個数および濃縮安定性を求めた。これらの結果を表2に示した。
[比較例1]
〔シリカゾルの調製〕
珪酸ナトリウム(3号水硝子SiO2 濃度24.31重量%)80.1gに純水1217
.8gを添加してシリカ濃度1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液を1297.9g調製した。ついで実施例1で調製したものと同様なシリカ濃度4.7質量%の珪酸液20.1
gを添加して攪拌した後、82℃に昇温した。この温度のまま82℃で30分保持し、さらにシリカ濃度4.7重量%の珪酸液11064.8gを15時間かけて添加した。添加終了後さらに82℃のまま1時間保ち、その後室温まで冷却した。得られたシリカゾルを限外ろ過膜(SIP−1013、旭化成(株)製)により、シリカ濃度が12%になるまで
濃縮し、水酸化ナトリウムの5質量%水溶液を加えて、pH10に調整した。ついでロータリーエバポレーターでシリカ濃度30重量%まで濃縮した。
得られたシリカゾルFは、窒素吸着法により測定された表面積が106m2/gだった。
また、シリカゾルFにおける(S2)/(S1)[ppm]は、1153ppmであった。
〔研磨用組成物の調製〕
研磨用シリカゾルAの代わりにシリカゾルFを使用した以外は、実施例1と同様にして
研磨用スラリーすなわち研磨用組成物Fを調製した。
この研磨用組成物Fを用いて前記研磨特性の評価を行い、研磨速度、線状痕の個数および濃縮安定性を求めた。これらの結果を表2に示した。
[比較例2]
〔シリカゾルの調製〕
珪酸ナトリウム(3号水硝子SiO2 濃度24.31重量%)80.1gに純水1217
.8gを添加してシリカ濃度1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液を1297.9g調製した。ついで実施例1で調製したものと同様なシリカ濃度4.7質量%の珪酸液17.4
gを添加して攪拌した後、82℃に昇温した。この温度のまま82℃で30分保持し、さらにシリカ濃度4.7重量%の珪酸液11064.8gを15時間かけて添加した。添加終了後さらに82℃のまま1時間保ち、その後室温まで冷却した。得られたシリカゾルを限外ろ過膜(SIP−1013、旭化成(株)製)により、シリカ濃度が12%になるまで
濃縮し、水酸化ナトリウムの5質量%水溶液を加えて、pH10に調整した。ついで、ロータリーエバポレーターでシリカ濃度30重量%まで濃縮した。
得られたシリカゾルGは、窒素吸着法により測定された比表面積が104m2/gだった。
また、シリカゾルGにおける(S2)/(S1)[ppm]は、1095ppmであった。
〔研磨用組成物の調製〕
研磨用シリカゾルAの代わりにシリカゾルGを使用した以外は、実施例1と同様にして研磨用スラリーすなわち研磨用組成物Gを調製した。
この研磨用組成物Gを用いて前記研磨特性の評価を行い、研磨速度、線状痕の個数および濃縮安定性を求めた。これらの結果を表2に示した。
Figure 0005464834
Figure 0005464834
本発明の研磨用シリカゾルの製造方法によって得られた研磨用シリカゾルまたは研磨用組成物は、研磨速度、被研磨基材の表面粗さまたは被研磨基材上における線状痕の発生抑止などにおいて優れた効果を示すので、特にアルミニウム基板、ガラス基板、銅基板またはシリコン基板等に対する研磨材として適用可能である。また、その他にインク受容層用の添加剤、撥水性に基づく抗菌性のある添加剤、塗料添加剤、トナー成分など広範な用途に適用可能である。

Claims (4)

  1. 窒素吸着法により測定される比表面積から換算される平均粒子径が3〜100nmであるシリカ微粒子がシリカ濃度1〜50質量%の範囲で溶媒に分散してなるシリカゾルであって、該シリカゾル中に存在する全シリカ成分の質量を(S1)、溶媒中に溶存してなる溶存シリカ成分の質量を(S2)としたとき、(S2)/(S1)[ppm]の値が1000ppm以下であることを特徴とする研磨用シリカゾル。
  2. シリカゾルのシリカ濃度が1質量%のときの動的光散乱法により測定される平均粒子径を(D1)とし、同じく30質量%のときの平均粒子径を(D30)としたときに、(D1)/(D30)で与えられる平均粒子径の濃度依存係数が、2.0〜2.8の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の研磨用シリカゾル。
  3. 請求項1または請求項2記載の研磨用シリカゾルと、(a)研磨促進剤、(b)界面活性剤、(c)親水性化合物、(d)複素環化合物、(e)pH調整剤および(f)pH緩衝剤からなる群より選ばれる少なくとも1種とを含む研磨用組成物。
  4. シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルを、正のゼータ電位を有するフィルタに通過させることを特徴とする研磨用シリカゾルの製造方法。
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