JP5461463B2 - 電極活物質およびこれを備えた二次電池用正極並びに二次電池 - Google Patents

電極活物質およびこれを備えた二次電池用正極並びに二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、電極活物質およびこれを備えた二次電池用正極並びに二次電池に関する。
近年、大容量かつ高効率な二次電池が期待されている。このような要求に応えうる二次電池の1つとして、リチウムイオン二次電池(以下、「LIB」と略記する。)が知られている。LIBは、鉛蓄電池等の他の二次電池に比べて、高電圧が得られること、エネルギー密度が高いこと、クーロン効率が高いことなどの特長を有している。
LIBは、例えば、電解液を貯蔵する電池容器の内部に、セパレータを介して、正極と負極が離隔されて収容された構造になっている。正極や負極は、集電体に電極活物質が塗工されたものである。電極活物質の1つとして、炭素でコートされたフッ化金属からなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この電極活物質によれば、高性能な二次電池を実現できると考えられるが、二次電池の製造コストを低減する上で改善点があった。
そこで、本発明等は、二次電池を低コストで製造可能とするために、先に、集電体の表面に、フッ化リチウム(LiF)と単体金属の鉄(Fe)とを含有する混合物を塗工し、集電体に対して充電制御することによりフッ化リチウムと鉄とを反応させて、集電体の表面に電極活物質であるLiFe(III)を生成する方法を案出した。
特開2008−130265号公報
しかしながら、上述のフッ化リチウムと鉄を含有する混合物を用いた方法では、鉄やフッ化リチウムの粒径を制御することが難しく、これらの粒子の接触による電導パスの形成が十分とならない。そのため、この電極活物質を用いた電極は内部抵抗が高く、高出力を要求される二次電池の用途には不向きであった。
また、特許文献1に記載の方法では、フッ化鉄(FeF)に対するリチウムのドープ量が十分ではなく、フッ化鉄の理論上の充放電容量に比べて低い容量の電極活物質しか得られていないという問題があった。
本発明は、上述の事情に鑑み成されたものであって、内部抵抗が低く、高容量の二次電池用正極を形成可能とする電極活物質およびこれを備えた二次電池用正極並びに二次電池を提供することを目的とする。
本発明では、前記目的を達成するために以下の手段を採用している。
本発明の電極活物質は、テトラヒドロフランに、多環芳香族炭化水素とともに金属リチウムを溶解し、前記金属リチウムを含む溶液にフッ化鉄を混合し、その混合物を40℃以上に加熱することにより製造されたことを特徴とする。
本発明では、電極活物質において、鉄とフッ化リチウムが原子レベルで均一に分散しているので、鉄とフッ化リチウムの接触による電導パスが十分に形成され、内部抵抗が低い二次電池用正極を形成することができる。また、フッ化鉄(FeF)に十分な量のリチウムがドープされているので、充放電容量を高めることができる。
本発明の電極活物質においては、前記多環芳香族炭化水素は、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、クリセン、トリフェニレン、テトラフェンまたはピレンのいずれか1種であることが好ましい。
多環芳香族炭化水素として、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、クリセン、トリフェニレン、テトラフェンまたはピレンのいずれか1種を用いることにより、これらの多環芳香族炭化水素とリチウムからなるラジカルを形成することが可能となり、容易にフッ化鉄リチウム(LiFe(II))を生成することができる。
本発明の二次電池用正極は、本発明の電極活物質と、導電助剤と、結着剤と、を具備してなることを特徴とする。
このようにすれば、二次電池用正極において、鉄とフッ化リチウムが原子レベルで均一に分散しているので、鉄とフッ化リチウムの接触による電導パスが十分に形成され、内部抵抗が低くなる。
本発明の二次電池は、本発明の二次電池用正極と、負極と、非水電解質と、を具備してなることを特徴とする。
本発明の二次電池用正極を備えているので、高出力化することができる。
本発明の電極活物質によれば、鉄とフッ化リチウムが原子レベルで均一に分散しているので、鉄とフッ化リチウムの接触による電導パスが十分に形成され、内部抵抗が低い二次電池用正極を形成することができる。また、フッ化鉄(FeF)に十分な量のリチウムがドープされているので、充放電容量を高めることができる。
ナフタレンリチウムとフッ化鉄の配合比と、初回充電容量比との関係を示すグラフである。 ナフタレンリチウムとフッ化鉄の混合物を加熱する温度と、初回充電容量比との関係を示すグラフである。 ナフタレンリチウムとフッ化鉄の混合物を加熱する時間と、初回充電容量比との関係を示すグラフである。 ナフタレンリチウムとフッ化鉄との化学反応によって得られた生成物のXRD(X線回折)測定の結果を示すグラフである。 二次電池の構成例を示す分解斜視図である。 二次電池用正極の製造方法および二次電池の製造方法の一実施形態を概略して示すフローチャートである。 本発明の実験例6の二次電池の充放電プロファイルを示すグラフである。 本発明の実験例7の二次電池の充放電プロファイルを示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
説明に用いる図面において、特徴的な部分を分かりやすく示すために、図面中の構造の寸法や縮尺を実際の構造に対して異ならせている場合がある。
「電極活物質」
本発明に係る電極活物質は、フッ化鉄リチウム(LiFe(II))からなり、後述する電極活物質の製造方法によって製造されたものである。
「電極活物質の製造方法」
本発明に係る電極活物質のフッ化鉄リチウム(LiFe(II))を製造するには、テトラヒドロフラン(THF)に、多環芳香族炭化水素とともに金属リチウム(Li)を溶解し、その金属リチウムを含む溶液に、フッ化鉄(FeF)を混合し、その混合物を不活性ガス雰囲気下、40℃以上に加熱する。
多環芳香族炭化水素としては、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、クリセン、トリフェニレン、テトラフェンまたはピレンのいずれか1種が用いられる。
ここでは、多環芳香族炭化水素として、ナフタレンを用いた場合について説明する。
まず、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、このテトラヒドロフランに、ナフタレンとともに金属リチウムを溶解する。これにより、下記の式(1)に示す化学反応により、ラジカルであるナフタレンリチウムが生成し、このナフタレンリチウムを含むテトラヒドロフラン溶液が得られる。
Figure 0005461463
金属リチウムとナフタレンの配合比(金属リチウム/ナフタレン)は、モル比で1/0.5〜1/1.5であることが好ましく、より好ましくは1/0.8〜1/1.2である。
金属リチウムとナフタレンの配合比が、モル比で1/0.5未満では、式(1)で示される化学反応が十分に進行せず、ナフタレンリチウムが生成しないことがある。一方、金属リチウムとナフタレンの配合比が、モル比で1/1.5を超えると、式(1)で示される化学反応以外の化学反応が生じて、ナフタレンリチウム以外の物質(不純物)が多量に生成することがある。
次いで、ナフタレンリチウムを含むテトラヒドロフラン溶液に、フッ化鉄を混合し、その混合物を不活性ガス雰囲気下、40℃以上に加熱する。これにより、下記の式(2)に示す化学反応が生じて、フッ化鉄リチウム(LiFe(II))が生成する。
Figure 0005461463
不活性ガスとしては、窒素(N)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)などが用いられる。
フッ化鉄三水和物としては、例えば、酸化鉄(FeOまたはFe)と、フッ化水素(HF)の水溶液(フッ化水素酸、フッ酸)とを反応させて生成したものが用いられる。酸化鉄(FeO)とフッ化水素は、下記の式(3)に示す化学反応を生じる。また、酸化鉄(Fe)とフッ化水素は、下記の式(4)に示す化学反応を生じる。
Figure 0005461463
Figure 0005461463
ナフタレンリチウムとフッ化鉄の配合比(ナフタレンリチウム/フッ化鉄三水和物)は、モル比で1/1以上であることが好ましく、より好ましくは1.8/1〜2.3/1である。
ナフタレンリチウムとフッ化鉄の配合比が、モル比で1/1未満では、式(2)で示される化学反応が十分に進行せず、フッ化鉄リチウム(LiFe(II))が生成しないことがある。
なお、図1に示すように、ナフタレンリチウムとフッ化鉄の配合比(モル比)が大きくなるに伴って、初回充電容量比が大きくなる。
ここで、初回充電容量比とは、ナフタレンリチウムとフッ化鉄の配合比(モル比)が1:1の場合、最終的に得られた正極を用いた二次電池の初回充電容量[mAh/g]を1として、規格化したものである。
ナフタレンリチウムとフッ化鉄の混合物を加熱する温度は、40℃以上であり、50〜60℃であることが好ましい。
ナフタレンリチウムとフッ化鉄の混合物を加熱する温度が40℃未満では、式(2)で示される化学反応が十分に進行せず、フッ化鉄リチウム(LiFe(II))が十分に生成せずに、不純物が多くなることがある。すなわち、図2に示すように、最終的に得られた正極を用いた二次電池の初回充電容量比が小さくなる。
また、ナフタレンリチウムとフッ化鉄三水和物の混合物を加熱する温度が60℃を超えると、反応が進行し過ぎて、目的とする生成物以外のものが生成することがある。
ナフタレンリチウムとフッ化鉄三水和物の混合物を加熱する時間は、5時間以上であることが好ましく、より好ましくは15時間〜24時間である。
ナフタレンリチウムとフッ化鉄三水和物の混合物を加熱する時間が5時間未満では、式(2)で示される化学反応が十分に進行せず、フッ化鉄リチウム(LiFe(II))が十分に生成せずに、不純物が多くなることがある。一方、ナフタレンリチウムとフッ化鉄の混合物を加熱する時間が40時間を超えても、反応がそれ以上進行しない。
なお、図3に示すように、ナフタレンリチウムとフッ化鉄の混合物を加熱する時間が長くなるに伴って、初回充電容量比が大きくなる。
ここで、初回充電容量比とは、ナフタレンリチウムとフッ化鉄三水和物の配合比(モル比)が1:1の場合、最終的に得られた正極を用いた二次電池の初回充電容量[mAh/g]を1として、規格化したものである。
次いで、テトラヒドロフラン溶液をろ過して、生成したフッ化鉄リチウム(LiFe(II))を回収する。
次いで、回収したフッ化鉄リチウム(LiFe(II))を80〜140℃で減圧乾燥し、粉末状のフッ化鉄リチウム(LiFe(II))を得る。
ここで、得られたフッ化鉄リチウム(LiFe(II))のXRD(X線回折)測定の結果を図4に示す。
図4の結果から、フッ化鉄リチウム(LiFe(II))が生成していることが確認された。
なお、図4において、23°、33°、35°、40°、48°、53°、56°のピークがフッ化鉄リチウム(LiFeF)に起因するものである。
なお、上述のようなナフタレンリチウムとフッ化鉄との化学反応によって得られた生成物は、フッ化鉄リチウム(LiFe(II))を主成分とし、その他の不純物(LiFなど)も含んでいる。
以上のような電極活物質の製造方法にあっては、ナフタレンリチウムとフッ化鉄との化学反応によって、鉄とフッ化リチウムが原子レベルで均一に分散した、電極活物質であるフッ化鉄リチウム(LiFe(II))を生成することができる。また、この電極活物質は、二次電池用正極を形成する際、別途、リチウム源を必要とすることなく、単独で用いることができる。また、フッ化鉄(FeF)に十分な量のリチウムをドープすることができるので、この電極活物質は、二次電池の充放電容量を高めることができる。
また、本実施形態では、多環芳香族炭化水素としてナフタレンを用いた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、多環芳香族炭化水素として、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、クリセン、トリフェニレン、テトラフェンまたはピレンを使用することもできる。これらの多環芳香族炭化水素も、ナフタレンと同様に用いることができる。
「二次電池」
本発明に係る二次電池用正極を説明する前に、本発明に係る二次電池の構成例を説明する。
図5は、二次電池の構成例を示す分解斜視図である。
図5に示すように二次電池1は、内部に電解液を貯留する電池容器10を備えている。
二次電池1は、例えば、リチウムイオン二次電池である。
電池容器10は、例えば、アルミニウム製の中空容器である。本例の電池容器10は、外形が略角柱状(略直方体状)である。電池容器10は、開口部を有する筒状体10aと、筒状体10aの開口部を塞ぐ蓋10bとからなっている。
蓋10bに、電極端子11、12および電解液の注入口13が設けられている。例えば、電極端子11が正極端子であり、電極端子12が負極端子である。
電池容器10の内部に、電極14、15およびセパレータ16が収容されている。
電極14、15は、導体箔や導体薄板などのシート状の集電体(導体)を母材とし、母材の表面に電解液の種類に応じた電極活物質のコーティングがなされたものである。
電極14は、例えば、正極板であり、アルミニウム製の母材の表面にリチウム含有のフッ化鉄からなる電極活物質(正極活物質)を含有する正極活物質層が形成されている。
電極15は、例えば、負極板であり、電解液と接触する部分がグラファイトからなる。
電極14は、電極15と対向して配置されている。電極14、15は、互いに対向する方向に繰り返し配置されている。電極14、15の間にセパレータ16が設けられており、電極14、15が互いに接触しないようになっている。
セパレータ16は、例えば、多孔質の樹脂フィルムなどの絶縁材料からなる。
電極14における電極端子11側の端部には、電極タブ14aが形成されている。繰返し配置された複数の電極14の電極タブ14aが一括して、電極端子11と電気的に接続されている。
電極15における電極端子12側の端部には、電極タブ15aが形成されている。繰返し配置された複数の電極15の電極タブ15aが一括して、電極端子12と電気的に接続されている。
電池容器10の内部には、電解液が電極14、15と接触するように貯留される。
リチウムイオン二次電池の電解液としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸ジエチル、炭酸プロピルなどの有機溶媒に、六フッ化リン酸リチウムや四フッ化ホウ酸リチウムなどのリチウム塩を溶解した溶液などが挙げられる。
また、二次電池1が、ナトリウム二次電池の場合、ナトリウム二次電池の電解液としては、例えば、有機溶媒に過塩素酸ナトリウムなどのナトリウム塩を溶解した溶液などが挙げられる。
「二次電池用正極」
本発明に係る二次電池用正極は、例えば、上記の電極14として用いられ、後述する二次電池用正極の製造方法によって製造されたものであり、フッ化鉄(FeF)にリチウム(Li)がドープされてなるものである。
「二次電池用正極の製造方法および二次電池の製造方法」
図6は、二次電池用正極の製造方法および二次電池の製造方法の一実施形態を概略して示すフローチャートである。
電極14を製造するには、まず、上述のように、フッ化鉄リチウム(LiFe(II))を生成する(ステップS1)。
次いで、ステップS1で得られたフッ化鉄リチウムを含む生成物を電極活物質として用い、この電極活物質を含む混合物を調製し、この混合物を、正極である電極14の母材としてのシート状の集電体の表面に塗工する(ステップS2)。
ステップS2において、フッ化鉄リチウムを含む生成物、導電助剤および結着材を、溶媒に溶解させるか、あるいは、溶媒と混練することによって、フッ化鉄リチウムを含む生成物が均一に分散したスラリーを調製し、このスラリーを混合物として用いる。
導電助剤としては、導電性を有する材料が適宜選択して用いられる。導電助剤の具体例としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、活性炭などが挙げられる。
結着剤としては、上記の混合物によって、集電体の表面に形成される塗工膜の厚さなどに応じて、適宜選択して用いられる。結着剤の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリフッ化ビニルデン(PVDF)などのフッ素ポリマーが挙げられる。
溶媒としては、水または各種有機溶媒が用いられる。
次いで、混合物が塗工された集電体をプレスすることなどにより、集電体に混合物の塗工膜を圧着する(ステップS3)。
ステップS3において、集電体の表面に形成された塗工膜をプレス(加圧)する圧力は特に限定されず、塗工膜を所定の形状かつ厚さとすることができる範囲で適宜調整される。
次いで、集電体の表面に形成された塗工膜を乾燥させる(ステップS4)。
ステップS4において、塗工膜を乾燥させる温度は特に限定されず、塗工膜の厚さや溶媒の種類などに応じて適宜調整される。
次いで、塗工膜を有する集電体を打抜き(型抜き)などにより、所定の電極形状に形状加工し、正極である電極14を形成する(ステップS5)。
なお、ステップS2からステップS5において、シート状の集電体は、例えば、インラインで処理される。
次いで、電極14、セパレータ16、および、負極である電極15を積層して互いに固定し、電極14、セパレータ16および電極15からなる積層体を形成する(ステップS6)。
ステップ6において、電極14における電極端子11側に配される端部に、電極タブ14aを形成する。同様に、電極15における電極端子12側に配される端部に、電極タブ15aを形成する。
なお、電極15は、適宜選択される形成材料や形成方法により形成される。負極の具体例として、少なくとも表面がグラファイト(C)からなる集電体が用いられる。
次いで、電池容器10を構成する筒状体10aおよび蓋10bを用意し、筒状体10a内部に、上記の積層体を収容する(ステップS7)。
蓋10bには、予め電極端子11、12および注入口13を設けておく。
ステップ7において、積層体を構成する電極14に形成された複数の電極タブ14aを、一括して電極端子11と電気的に接続する。また、積層体を構成する電極15に形成された複数の電極タブ15aを一括して電極端子12と電気的に接続する。
そして、筒状体10aの開口部を蓋10bで塞いだ後、筒状体10aに蓋10bを溶接する。
次いで、注入口13から、電池容器10の内部に電解液を注入した後、注入口13を封止し(ステップS8)、二次電池1を得る。
得られた二次電池1において、電極端子11、12を充電器などと電気的に接続し、電極14と電極15との間に電圧を印加する(充電制御する)と、電極14には、下記の式(5)に示す化学反応が起きる。
式(5)に示す化学反応は、電極14(LiFe(II))からリチウムイオンと1電子が放出される1電子反応である。この1電子反応により、電極14の表面にLiFe(III)が形成される。
Figure 0005461463
式(5)に示した1電子反応を経て放電制御すると、下記の式(6)に示す化学反応が起きる。
式(6)に示す化学反応は、式(5)に示した1電子反応の逆反応である。
Figure 0005461463
以後、充放電制御では、LiFeFのインターカレーション反応、すなわち、式(5)と式(6)に示す化学反応が繰り返される。
以上のような二次電池用正極の製造方法および二次電池の製造方法にあっては、ナフタレンリチウムとフッ化鉄との化学反応によって、鉄とフッ化リチウムが原子レベルで均一に分散したフッ化鉄リチウム(LiFe(II))を生成するので、鉄とフッ化リチウムの接触による電導パスが十分に形成され、結果として、内部抵抗が低い二次電池用正極が得られる。したがって、この二次電極用正極を備えた二次電池を、高出力化することができる。また、フッ化鉄(FeF)に十分な量のリチウムをドープされた電極活物質を用いた二次電池用正極を用いるので、二次電池の充放電容量を高めることができる。
すなわち、従来のフッ化リチウムと鉄を含有する混合物を用いた方法と比較して、鉄とフッ化リチウムを均一に分散することができ、これらの粒子の接触による電導パスを十分に形成することができる。
また、上述の電極活物質の製造方法によって生成された電極活物質を用いて、二次電池用正極を作製するので、二次電池を形成する際、別途、リチウム源を必要としない。したがって、製造コストを低減することができる。
また、本実施形態では、電池容器10の外部に電極端子11、12を形成し、電池容器10の内部に電極14、15の中間体を収容した後に、電池容器10に電解液を注入し、次いで電極端子11、12を用いて充電制御するので、二次電池1の構成要素を利用して電極14、15を形成することができる。例えば、電極14、15を電池容器10に収容する前に電極14、15を完成させる手法と比較すると、電極14、15を電解液に接触させるための電解液槽や電極14、15を保持する治具、電極14、15に電力を供給するための治具などを省略することができる。したがって、二次電池の製造に用いる装置のコストを下げることができ、製造コストを低減することができる。
なお、本発明の技術範囲は上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲内で多様な変形が可能である。例えば、電池容器に収容する前に、混合物を反応させて電極活物質を形成するとともに電極を製造し、製造された電極を電池容器に収容して二次電池を製造してもよい。
この場合には、例えば、混合物が塗工されたシート状の集電体を打抜きなどで形状加工するよりも前に、電解液槽などに貯留された電解液に集電体を浸漬しながら集電体に電力を供給する。このような手法によっても電極活物質を形成することができ、電極活物質を有する電極を製造することができる。
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
「実験例1」
溶媒としてテトラヒドロフランを用い、このテトラヒドロフランに、ナフタレンとともに金属リチウムを溶解した。
このとき、金属リチウムとナフタレンの配合比(金属リチウム/ナフタレン)を、モル比で1/1とした。
次いで、ナフタレンリチウムを含むテトラヒドロフラン溶液に、フッ化鉄を混合し、その混合物をアルゴン(Ar)ガス雰囲気下、25℃で24時間加熱し、フッ化鉄リチウムを含む電極活物質を得た。
このとき、ナフタレンリチウムとフッ化鉄三水和物の配合比(ナフタレンリチウム/フッ化鉄三水和物)を、モル比で1/1とした。
得られた電極活物質と、導電助剤および結着材とを含む混合物を調製し、この混合物を、正極である電極の母材としてのシート状の集電体の表面に塗工し、二次電池用正極を作製した。
この二次電池用正極を用いて、二次電池を作製した。
得られた二次電池について、充放電特性を測定した。
充放電特性の測定には、東洋システム社製の充放電装置TOSCAT3100を用いた。
また、測定温度を25℃とし、電圧範囲を2.0〜4.5Vとし、電流密度を0.2mA/cmとした。
その結果、初回充電容量は30mAh/gであった。
「実験例2」
ナフタレンリチウムを含むテトラヒドロフラン溶液に、フッ化鉄を混合し、その混合物をアルゴン(Ar)ガス雰囲気下、25℃で15日間加熱した以外は実験例1と同様にして、フッ化鉄リチウムを含む電極活物質を得た。
また、得られた電極活物質を用いて、二次電池を作製し、実験例1と同様にして、その二次電池の充放電特性を測定した。
その結果、初回充電容量は70mAh/gであった。
「実験例3」
ナフタレンリチウムを含むテトラヒドロフラン溶液に、フッ化鉄を混合し、その混合物をアルゴン(Ar)ガス雰囲気下、25℃で30日間加熱した以外は実験例1と同様にして、フッ化鉄リチウムを含む電極活物質を得た。
また、得られた電極活物質を用いて、二次電池を作製し、実験例1と同様にして、その二次電池の充放電特性を測定した。
その結果、初回充電容量は100mAh/gであった。
「実験例4」
ナフタレンリチウムとフッ化鉄三水和物の配合比(ナフタレンリチウム/フッ化鉄)を、モル比で2/1とした以外は実験例2と同様にして、フッ化鉄リチウムを含む電極活物質を得た。
また、得られた電極活物質を用いて、二次電池を作製し、実験例1と同様にして、その二次電池の充放電特性を測定した。
その結果、初回充電容量は120mAh/gであった。
「実験例5」
ナフタレンリチウムとフッ化鉄三水和物の配合比(ナフタレンリチウム/フッ化鉄)を、モル比で3/1とした以外は実験例2と同様にして、フッ化鉄リチウムを含む電極活物質を得た。
また、得られた電極活物質を用いて、二次電池を作製し、実験例1と同様にして、その二次電池の充放電特性を測定した。
その結果、初回充電容量は130mAh/gであった。
「実験例6」
ナフタレンリチウムを含むテトラヒドロフラン溶液に、フッ化鉄を混合し、その混合物をアルゴン(Ar)ガス雰囲気下、60℃で24時間加熱した以外は実験例1と同様にして、フッ化鉄リチウムを含む電極活物質を得た。
また、得られた電極活物質を用いて、二次電池を作製し、実験例1と同様にして、その二次電池の充放電特性を測定した。
その結果、初回充電容量は90mAh/gであった。
また、実験例6の二次電池の充放電特性の測定結果を図7に示す。
「実験例7」
ナフタレンリチウムとフッ化鉄三水和物の配合比(ナフタレンリチウム/フッ化鉄)がモル比で2/1となるように、ナフタレンリチウムを含むテトラヒドロフラン溶液に、フッ化鉄三水和物を混合し、その混合物を窒素ガス雰囲気下、60℃で24時間加熱した以外は実験例1と同様にして、フッ化鉄リチウムを含む電極活物質を得た。
また、得られた電極活物質を用いて、二次電池を作製し、実験例1と同様にして、その二次電池の充放電特性を測定した。
その結果、初回充電容量は220mAh/gであった。
また、実験例7の二次電池の充放電特性の測定結果を図8に示す。
以上の結果から、実験例7の条件で作製された電極活物質は、フッ化鉄(FeF)に対して、最も多くのリチウムがドープされ、結果として、二次電池の充放電容量を高めることができたと考えられる。
1・・・二次電池、10・・・電池容器、10a・・・筒状体、10b・・・蓋、11,12・・・電極端子、13・・・注入口、14・・・電極(正極)、14a・・・電極タブ、15・・・電極(負極)、15a・・・電極タブ、16・・・セパレータ、S1〜S8・・・ステップ。

Claims (4)

  1. テトラヒドロフランに、多環芳香族炭化水素とともに金属リチウムを溶解し、前記金属リチウムを含む溶液にフッ化鉄を混合し、その混合物を40℃以上に加熱することにより製造されたことを特徴とする電極活物質。
  2. 前記多環芳香族炭化水素は、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、クリセン、トリフェニレン、テトラフェンまたはピレンのいずれか1種であることを特徴とする請求項1に記載の電極活物質。
  3. 請求項1または2に記載の電極活物質と、導電助剤と、結着剤と、を具備してなることを特徴とする二次電池用正極。
  4. 請求項3に記載の二次電池用正極と、負極と、非水電解質と、を具備してなることを特徴とする二次電池。
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