JP5461298B2 - ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法及びこれを用いた成形体 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法及びこれを用いた成形体 Download PDF

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本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法及びこれを用いた成形体に関する。
ポリフェニレンエーテル(以下、「PPE」ともいう)樹脂とスチレン系樹脂とをベースとする混合樹脂(以下、「変性PPE樹脂」ともいう)は、PPE樹脂とスチレン系樹脂との混合比率に応じて、スチレン系樹脂単独からPPE樹脂単独までの全範囲に亘り、所定の耐熱性を発揮し、さらには電気特性、寸法安定性、耐衝撃性、耐酸性、耐アルカリ性、低吸水性及び低比重などにも優れる。
また、変性PPE樹脂は、有害なハロゲン系化合物や三酸化アンチモンを用いずに難燃化を図ることができるため、環境面や安全衛生面にも優れる。そのため、かような変性PPE樹脂は、各種の電気・電子部品、事務機器部品、外装材や工業用品などに利用されている。
特に近年では、テレビ等の家電製品において、高い光沢性を有する外装部材を用いて、商品を高付加価値化しようという試みがなされている。一般的には、通常の樹脂材料を用いて外装材料を成形した後、その表面にクリア塗装を施すことで、高光沢性を有する外装材が得られる。
最近の傾向として、高光沢性を有する樹脂材料を用いることにより、無塗装で高光沢性を有する外装材を得ようとする試みがなされている。
無塗装で高光沢性を有する外装材料は、その成形体の外観が重要な品質管理項目であり、例えば成形時の微小な不具合が品質に大きく影響する。こういった不具合を起こさない樹脂材料への期待は高まってきている。
こういった市場の動向に対応するため、例えば、特許文献1には、樹脂組成物に特定の有機染料を配合することにより、高光沢性を有する樹脂組成物が開示されている。
特開2005−132970号公報
しかしながら、従来の製造方法を用いたとしても、上記の要求に応えられる特徴や特性を具備した材料(樹脂組成物)を得ることは困難である。すなわち、従来の製造方法を用いた場合に、外装材の成形時に金型汚染(モールドデポジット、樹脂染顔料の金型への移行)や、得られる成形体の不具合(曇りの発生による光沢不良,色調の異方性、色むら)等が発生する材料しか得られていない。
そこで、本発明は、成形時に発生する不具合、及び得られる成形体の不具合を解決し、さらには、押出時の作業環境にも優れるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法及びこれを用いた成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂を単独で、又は前記(A)の成分に加えて(B)スチレン系樹脂を所定の比率で、溶融混練することにより中間組成物を製造し、真空吸引後、この中間組成物、並びに残余の前記(A)及び前記(B)を含む成分を溶融混練するという、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法を採用することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂を単独で溶融混練することにより、又は(A)ポリフェニレンエーテル樹脂及び(B)スチレン系樹脂を、(A)ポリフェニレンエーテル100質量部に対して(B)スチレン系樹脂50質量部以下の比率で溶融混練することにより、中間組成物を製造する第一工程と、前記中間組成物、並びに残余の(A)ポリフェニレンエーテル、残余の(B)スチレン系樹脂、(C)リン系難燃剤及び(D)染顔料含有成分を用いて溶融混練を行う第二工程とを含み、前記第一工程における溶融混練後に真空吸引する段階を含む、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法である。
本発明によれば、成形時に発生する不具合、及び得られる成形体の不具合を解決し、さらには、押出時の作業環境にも優れるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法及びこれを用いた成形体が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態に係るポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法は、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂を単独で溶融混練することにより、又は(A)ポリフェニレンエーテル樹脂及び(B)スチレン系樹脂を、(A)ポリフェニレンエーテル100質量部に対して(B)スチレン系樹脂50質量部以下の比率で溶融混練することにより、中間組成物を製造する第一工程と、前記中間組成物、並びに残余の(A)ポリフェニレンエーテル、残余の(B)スチレン系樹脂、(C)リン系難燃剤及び(D)染顔料含有成分を用いて溶融混練を行う第二工程とを含み、前記第一工程における溶融混練後に真空吸引する段階を含む。
以下、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法に用いる各構成成分について、詳細に説明する。
1.原材料
[(A)ポリフェニレンエーテル樹脂]
(A)ポリフェニレンエーテル樹脂は、下記式(III)及び/又は(IV)で表される構造単位が繰り返されてなる重合体である。(A)ポリフェニレンエーテル樹脂は、単独重合体(ホモポリマー)又は共重合体(コポリマー)でありうる。
上記の式(III)及び式(IV)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基である。
ポリフェニレンエーテルの単独重合体として、以下に制限されないが、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテルポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、及びポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテルが挙げられる。入手の容易性及び価格の観点から、好ましくは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルである。
ここでいう単独重合体には、繰り返し単位構造中の一部の構造単位が、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテル構造単位及び/又は2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテル構造単位で置換された構造を有するものも含まれる。
加工時の分子量調整の容易性の観点から、最も好ましくは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルの一部の構造単位が、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテル構造単位及び/又は2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテル構造単位で置換された共重合体である。
一方、ポリフェニレンエーテルの共重合体とは、フェニレンエーテル構造を主たる構造単位とする共重合体であり、前記共重合体として、以下に制限されないが、例えば、上記した式(III)及び/又は(IV)で表される構造単位からなるものが挙げられる。
前記共重合体の具体例として、以下に制限されないが、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、及び2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとo−クレゾールとの(3元)共重合体が挙げられる。
実用上の観点から、30℃のクロロホルム溶液で測定した還元粘度(ηsp/c)が好ましくは0.3〜0.7であり、より好ましくは0.4〜0.6であるとともに、重量平均分子量と数平均分子量との比[重量平均分子量/数平均分子量]が好ましくは1.8〜5.0であり、より好ましくは2.2〜3.5であるような、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好適に使用可能である。かかる物性・特性を具備するポリフェニレンエーテルは、成形流動性の観点からも好適である。なお、本明細書における重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算の分子量を基準として算出された値である。
さらに、本実施の形態においては、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂として、ポリフェニレンエーテルの一部又は全部を不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した、変性ポリフェニレンエーテルを用いることもできる。
このような変性ポリフェニレンエーテルは、特開平2−276823号公報、特開昭63−108059号公報や特開昭59−59724号公報などに記載されており、例えばラジカル開始剤の存在下又は非存在下で、ポリフェニレンエーテルに不飽和カルボン酸やその誘導体を溶融混練し、これらを反応させることによって得られる。また、上記変性ポリフェニレンエーテルは、ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸又はその誘導体とを、ラジカル開始剤の存在下又は非存在下で有機溶剤に溶解し、かかる溶液中で反応させることによっても得られる。
ポリフェニレンエーテルを変性する不飽和カルボン酸又はその誘導体として、以下に制限されないが、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハロゲン化マレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びエンド−シス−ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、並びにこれらのモノカルボン酸のエステル化合物及びアミド化合物や、これらのジカルボン酸の酸無水物、エステル化合物、アミド化合物及びイミド化合物が挙げられ、さらにはアクリル酸及びメタクリル酸も挙げられる。
また、飽和カルボン酸であるが、変性ポリフェニレンエーテルを製造する際の反応温度でそれ自身が熱分解し、不飽和カルボン酸やその誘導体となり得る化合物も用いることができる。かかる化合物として、以下に制限されないが、例えば、リンゴ酸やクエン酸が挙げられる。
上記のポリフェニレンエーテル樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[(B)スチレン系樹脂]
(B)スチレン系樹脂は、スチレン系化合物と、スチレン系化合物と共重合可能な化合物とを、ゴム質重合体存在下で重合して得られる重合体を意味する。なお、最も汎用的に用いられている前記スチレン系樹脂としては、ゴム変性ポリスチレン(以下、「HIPS」ともいう)及び/又はホモポリスチレン(以下、「GPPS」ともいう)が挙げられるが、これに制限されることはない。
上記のスチレン系化合物として、以下に制限されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレンが挙げられる。中でもスチレンが好ましい。
また、上記のスチレン系化合物と共重合可能な化合物として、以下に制限されないが、例えば、メチルメタクリレートやエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリルやメタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸などの酸無水物が挙げられる。これらの化合物は、上述の通り、上記のスチレン系化合物とともに使用される。前記スチレン系化合物と共重合可能な化合物の使用量は、上記スチレン系化合物との合計量に対して、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下である。
上記のゴム質重合体として、以下に制限されないが、例えば、共役ジエン系ゴム、共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体、エチレン−プロピレン共重合体系ゴムが挙げられる。具体例として、以下に制限されないが、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体及びスチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらを部分的に又はほぼ完全に水素添加したゴム成分が挙げられる。HIPSを構成するゴム質重合体としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体が好適である。
ゴム質重合体のゴム粒子の形態として、複数細胞構造、単一細胞構造が挙げられる。「複数細胞構造」とは、ポリスチレンマトリックス中に、ゴム粒子(サラミソーセージ断面状)が分散しており、薄肉の外郭層を有する当該ゴム粒子相の中に複数のポリスチレン粒子が蜂の巣状に内蔵された構造である。「単一細胞構造」とは、ポリスチレンマトリックス中に1個のポリスチレンコアからなるゴム粒子が分散したコアシェル構造である。
中でも好ましくは、HIPSを構成するゴム質重合体のゴム粒子の形態が、コアシェル構造を有するゴム質重合体である。
上記したコアシェル構造を有するHIPSで構成されたゴム変性ポリスチレン(B)成分を用いることにより、得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、光沢度が80以上であり、色むらやフローマークの少ない、優れた着色性及び表面特性を有し、さらにはセルフタッピング性及び表面硬度にも優れる。
さらには、好ましくは光沢度90以上、より好ましくは光沢度95以上の場合、色むらやフローマークが極めて少なくなるため、得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は装飾品の用途に対し一層有用なものとなる。光沢度をより高めるためには、PPEとスチレン系樹脂との混合物中のHIPSの量を35質量%以下とする方法が好適である。
ここで、本明細書における光沢度は、JIS−Z−8741に基づき、本実施の形態の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を用いて成形品を作製し、この成形品に対して入射角60度の条件下で測定を行うことにより求めることができる。
また、光沢度80以上で、且つ上記の諸特性に優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を得るためには、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物中のゴム粒子の平均粒子径(以下、「ゴム粒子径」ともいう)とゴム含量とを制御することが重要である。
ゴム粒子径については、ゴム粒子径の小さいHIPSとゴム粒子径の大きいHIPSとを組み合わせることにより、所望のゴム粒子径の範囲に制御できる。ここでいうゴム粒子径の小さいHIPSとは、重量平均粒子径が0.02μm以上1.0μm未満のものを指し、ゴム粒子径の大きいHIPSとは、重量平均粒子径が1.0μm以上10μm以下のものを指す。ゴム粒子径の小さいHIPSのより好ましい重量平均粒子径は、0.05μm〜0.8μmの範囲内であり、さらに好ましくは0.1μm〜0.5μmの範囲内である。ゴム粒子径の大きいHIPSのより好ましい重量平均粒子径は、1.1μm〜8μmの範囲内であり、さらに好ましくは、1.5μm〜4μmの範囲内である。
ここでいうHIPSのゴム粒子径は、レーザー粒度計を用いて測定された値である。
また、ゴム含量は、(B)スチレン系樹脂中のHIPSのゴム含量を調節すること、及びHIPSとGPPSとを併用することによって制御できる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を構成する、(B)スチレン系樹脂(例えば、HIPS及びGPPS)の合計量中のゴム含量は、1〜15質量%が好ましく、4〜10質量%がより好ましい。
本実施の形態に係る製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物において、(B)スチレン系樹脂の含有量は、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂、(B)ゴム変性ポリスチレン及び(C)難燃剤の合計を100質量部とした場合に、90〜10質量部であることが好ましい。薄型テレビジョン筐体等の難燃性及び成形流動性が重要となる大型の成形用途にあっては、より好ましくは、80〜20質量部、さらに好ましくは、60〜30質量部である。
なお、本実施の形態に係る製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物において、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂の含有量は、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂、(B)ゴム変性ポリスチレン及び(C)難燃剤の合計を100質量部とした場合に、10〜90質量部であることが好ましい。薄型テレビジョン筐体等の難燃性及び成形流動性が重要となる大型の成形用途にあっては、より好ましくは、20〜80質量部、さらに好ましくは、30〜60質量部である。
(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と(B)スチレン系樹脂との比率は、目的物であるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の耐熱性及び難燃性に影響する。具体的に、耐熱性と難燃性とをバランス良く具備するためには(A)ポリフェニレンエーテル樹脂の含有量が比較的多いことが好ましく、優れた成形流動性を得るためには(B)スチレン系樹脂の含有量が比較的多いことが好ましい。そのため、目的物であるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の要求される特性に応じて任意にこれらの含有量を設定すればよい。
[(C)リン系難燃剤]
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を構成する(C)リン系難燃剤として、以下に制限されないが、例えば、有機リン酸エステル化合物、ホスフィン酸塩類、ホスフォン酸塩類及びホスホルアミド化合物が挙げられる。
(有機リン酸エステル化合物)
有機リン酸エステル化合物として、以下に制限されないが、例えば、トリフェニルホスフェート、フェニルビスドデシルホスフェート、フェニルビスネオペンチルホスフェート、フェニルビス(3,5,5'−トリメチル−ヘキシルホスフェート)、エチルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジ(p−トリル)ホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)p−トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス−(2−エチルヘ
キシル)フェニルホスフェート、トリ−(ノニルフェニル)ホスフェート、ジ(ドデシル)p−トリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2−クロロエチルジフェニルホスフェート、p−トリルビス(2,5,5'−トリメチルヘキシル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジフェニルホスフェート)、ジフェニル−(3−ヒドロキシフェニル)ホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジキシレニルホスフェート)、2−ナフチルジフェニルホスフェート、1−ナフチルジフェニルホスフェート及びジ(2−ナフチル)フェニル、並びにホスフェートレゾルシノール及びビスフェノールA等のフェノール類(2官能フェノールや多官能フェノール等)を原料とした(芳香族)縮合リン酸エステル化合物が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記した(C)リン系難燃剤の中でも、耐熱性に優れ、射出成形時の発煙や金型への難燃剤の付着を有意に抑制できる観点から、好ましくは芳香族縮合リン酸エステル化合物であり、より好ましくは下記の式(I)又は式(II)で表される(芳香族)縮合リン酸エステル化合物を主成分とする芳香族縮合リン酸エステル化合物である。
上記の式(I)及び式(II)中、Q1、Q2、Q3及びQ4は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、nは1以上の整数であり、n1及びn2は、それぞれ独立して0〜2の整数であり、並びにm1、m2、m3及びm4は、それぞれ独立して1〜3の整数である。また、上記の式(I)及び式(II)中、フェニル基におけるQ1〜Q4以外の置換基は、水素原子であり、フェニレン基におけるR1及びR2以外の置換基は、水素原子である。
または、下記式(III)または下記式(III)'で表されるリン系難燃剤であることが好ましい。
上記式(III)または上記式(III)'中、Nは、1〜30であり、1〜10であることが好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
上記一般式(III)または上記式(III)'で表されるリン難燃剤は、一般にはNの異なるリン化合物の混合物である。この場合、Nは平均値として表し、当該平均値が上記範囲内であればよい。したがって、Nが上記範囲外であるリン化合物が不純物として含まれることを排除するものではない。N=0の場合は、モノリン化合物を表す。
これらのリン系難燃剤は、特許公報WO2003−089442A1号および特開2008−202009号に記載の方法で製造できる。
(C)リン系難燃剤としては、市販品を使用してもよく、以下に制限されないが、例えば、大八化学(株)製の商品名CR−741、CR−747、CR733S、PX−200、ADEKA(株)の商品名アデカスタブFP800、FP600が挙げられる。
上記式(I)及び式(II)の中でも、式(I)で表される縮合リン酸エステルは、式(II)で表される縮合リン酸エステルに比して、樹脂組成物の製造工程における溶融混練において、分解や脱水反応による黒色異物が一層発生し難くなり、得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の吸水性も有意に低くなるため、さらに好ましい。
また、上記式(I)で表される縮合リン酸エステルは、その他のリン酸エステルを使用した場合に比して、得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の表面硬度やセルフタッピング特性に有意に優れるため、さらに好ましい。
さらにより好ましくは、上記式(I)におけるQ1、Q2、Q3及びQ4が水素原子またはメチル基であり、R1及びR2が水素原子であり、R3及びR4がメチル基であり、nが1〜3(中でも特に1)である縮合リン酸エステルを50質量%以上含むものである。
また、縮合リン酸エステル化合物の酸価については、0.1未満が好ましい。ここで、前記酸価とは、JIS K2501に準拠し、試料1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表される値である。縮合リン酸エステル化合物の酸価が上記範囲内の場合、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の成形時に金型が一層腐食されにくく、縮合リン酸エステル化合物が易分解性に起因する加工時のガス発生を有意に抑制でき、さらにポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の電気特性を一層向上させることができる。
(ホスフィン酸塩類)
ホスフィン酸塩類としては、下記式(V)で表されるホスフィン酸塩及び/又は下記式(VI)で表されるジホスフィン酸塩、並びに/又はこれらの縮合物(本明細書中では、「ホスフィン酸塩類」と略記する)が挙げられる。
上記式(V)、(VI)中の、R1及びR2は、それぞれ独立して、直鎖状若しくは分岐状のC1−C6のアルキル基、及び/又はアリール基若しくはフェニル基である。
3は、直鎖状又は分岐状である、C1−C10のアルキレン、C6−C10のアリーレン、C6−C10のアルキルアリーレン、又はC6−C10のアリールアルキレンである。Mは、カルシウム(イオン)、マグネシウム(イオン)、アルミニウム(イオン)、亜鉛(イオン)、ビスマス(イオン)、マンガン(イオン)、ナトリウム(イオン)、カリウム(イオン)及びプロトン化された窒素塩基よりなる群から選択される1種以上である。また、mは2又は3であり、nは1〜3であり、xは1又は2である。
ホスフィン酸塩類は、欧州特許出願公開第699708号公報や特開平08−73720号公報に記載されている公知の方法によって製造できる。
例えば、ホスフィン酸塩は、水溶液中でホスフィン酸を金属炭酸塩、金属水酸化物又は金属酸化物と反応させることにより製造できるが、この方法に限定されるものではなく、ゾル−ゲル法などによって製造してもよい。
ホスフィン酸塩類は、一般にモノマー性化合物であるが、反応条件に依存し、環境によっては縮合度が1〜3の縮合物であるポリマー性ホスフィン酸塩も含まれうる。
前記ホスフィン酸塩類を構成するホスフィン酸として、以下に制限されないが、例えば、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、メタンジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)、メチルフェニルホスフィン酸及びジフェニルホスフィン酸、並びにこれらの混合物が挙げられる。
前記ホスフィン酸塩類を構成する金属成分として、以下に制限されないが、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、ビスマスイオン、マンガンイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオン、並びにプロトン化された窒素塩基よりなる群から選択される1種以上が挙げられる。中でも、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及び亜鉛イオンよりなる群から選択される1種以上が好ましい。
ホスフィン酸塩類の具体例としては、以下に制限されないが、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル−n−プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸亜鉛、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛が挙げられる。
中でも、樹脂組成物において優れた難燃性を確保し、モールドデポジット(成形の際に難燃剤が金型表面に付着する現象)の抑制を図る観点から、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛が好ましい。
ホスフィン酸塩類の平均粒子径(d50)は、0.2μm以上40μm未満が好ましく、0.5μmを超えて30μm以下がより好ましく、0.5μmを超えて20μm以下がさらに好ましく、1.0μmを超えて10μm以下がさらにより好ましい。
上記した範囲の平均粒子径を有するホスフィン酸塩類を得るための手法は、以下に制限されないが、例えば、上記範囲の平均粒子径以上のホスフィン酸塩類の塊を溶剤中に分散して湿式粉砕し、分級させる方法が挙げられる。
中でも、平均粒子径が0.5μmを超えて20μm以下であるホスフィン酸塩類の微粉末を用いることにより、得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物において、有意に高い難燃性が発揮され、成形品の耐衝撃性が一層向上し、一層良好な流動性や成形加工性が確保でき、さらには外観特性が一層改善する。
上記ホスフィン酸塩類の平均粒子径の分布としては、粒子径の小さい方から計算して、25%の粒子径(d25)と75%の粒子径(d75)との比(d75/d25)が、1.0を超えて5.0以下であることが好ましく、1.2〜4.0であることがより好ましく、1.5〜3.0であることがさらに好ましい。d75/d25の値が1.0を超えて5.0以下であるホスフィン酸塩類を使用することにより、得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の面衝撃強度の顕著な向上を図ることができる。
上記の平均粒子径(d50)及び平均粒子径分布は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した体積基準の粒子径算出値に基いて、ホスフィン酸塩類の分散媒として、3%イソプロパノール水溶液を用いて測定される値である。
具体的には、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910(堀場製作所(株)製)を用いて、3%イソプロパノール水溶液の分散媒でブランク測定を行った後、測定試料を規定の透過率(95%〜70%)になるように導入して測定することにより求めることができる。なお、分散媒中への試料の分散は、超音波を1分間照射することにより行う。
また、ホスフィン酸塩類には、本実施の形態の効果を損なわない限度で、未反応物や副生成物が残存していてもよい。
本実施の形態に係るポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法において、(C)リン系難燃剤としてホスフィン酸塩類を使用する場合は、これを単独で使用することが、射出成形時のモールドデポジットを抑制する観点から好ましい。しかし、本実施の形態の目的を損なわない範囲内で、メラミンとリン酸とから形成される付加物を併用してもよい。
本実施の形態に係るポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法においては、(C)リン系難燃剤としてのリン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(C)リン系難燃剤は、求められる難燃性のレベルに応じて添加され、上記(A)成分及び(B)成分と(C)難燃剤との合計量(100質量部)に対して40質量部以下で用いられることが好ましい。より好ましくは1〜35質量部、さらに好ましくは3〜30質量部である。1質量部以上添加することにより難燃効果が得られる。一方、40質量部以下とすることにより樹脂組成物の機械的強度や耐熱性の低下を実用上十分な程度に抑制でき、35質量部以下とすることにより樹脂組成物の機械的強度や耐熱性の低下を実用上、一層十分な程度まで抑制できる。なお、上記した有利な効果を十分発揮させるために、上記式(I)又は(II)で表される縮合リン酸エステルを主成分とする(C)リン系難燃剤を1〜35質量部含有するように、目的物のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造することが好ましい。
[(D)染顔料含有成分]
本実施の形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法において、(D)染顔料含有成分を用いる。
熱可塑性樹脂を黒色に着色する場合の材料として、一般にカーボンブラックが知られているが、ピアノに代表されるような深みのある黒色を発現することは困難である。一方、着色性及び表面特性に優れた樹脂として、例えば、AS樹脂、MMA樹脂、ABS樹脂、MAS樹脂やそれらのポリマーアロイが挙げられ、これらを着色材料とし、有機染料を用いて着色する方法が知られている。しかし、深みのある黒色に着色するためには多量に添加する必要がある。また、有機染料は熱安定性が悪く揮発しやすいために、加工温度の高い変性PPE樹脂に用いた場合には、加工時に有機染料がブリードアウトしたり、多量のガスが発生するため、作業環境にとって好ましいものとはいえない。又は、成形体の成形時には金型汚染の問題もあるばかりではなく、色調が安定性せず成形体に微妙な色むらが起こりやすい。
これに対し、本実施の形態における(D)染顔料含有成分としては、以下に制限されないが、プラスチックの着色剤として一般的に用いられる染顔料を適用でき、これらの染顔料を組み合わせにより所望の着色が可能である。具体的には、(D)染顔料含有成分として、無機染顔料及び/又は有機染顔料が使用可能である。無機染顔料、有機染顔料の成分としては、従来公知のものが適用可能である。有機染顔料の成分についても同様である。
中でも、着色性の観点より、好ましくは有機染料であり、より好ましくは有機染料のうち、赤色染料、燈色染料、黄色染料、緑色染料、青色染料、藍色染料、紫色染料又は黒色染料である。また、有機染料の成分を1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。好ましくは、色調に深みを与える観点より、2種以上を併用し、より好ましくは3種以上を併用する。このような、好ましい有機染料として、以下に制限されないが、2種類の有機染料の組み合わせとして、緑色染料及び紫色染料、3種類の染料として緑色染料、紫色染料及び黒色染料、4種類の染料として黄色染料、緑色染料、紫色染料及び黒色染料が挙げられる。
有機染料は、例えば、赤色系染料としてSOLVENT RED 179、 黄色系染料としてDISPERSE YELLOW 160、緑色系染料としてSOLVENT GREEN 3、紫色系染料としてSOLVENT VIOLET 13などが挙げられる。
有機顔料の具体例としては、アゾ系顔料、多環系フタロシアニン系などが挙げられる。
無機染顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、コバルトブルー、ニッケルチタンイエロー、ウルトラマリンバイオレットなどが挙げられる。また、(D)染顔料含有成分は、400℃及び窒素雰囲気下での加熱減量が20%以下である染顔料(好ましくは有機染料)を、30質量%以上含むことが好ましく、40質量%以上含むことがより好ましく、50質量%以上含むことがさらに好ましい。上記した範囲内の場合、染顔料含有成分に由来するガスの発生を抑制できるとともに、色調を安定させることができる。
なお、本実施の形態における加熱減量は、窒素雰囲気下、20℃/minの速度で室温から400℃まで加熱した場合に減じる量とする。
(D)染顔料含有成分は、染顔料を分散剤と予めブレンドしたマスターバッチを使用することにより、色調が安定性して、得られる成形体に微妙な色むらが抑制でき、好ましい。特に、(D)染顔料含有成分が無機染顔料を構成主成分として含有する場合、マスターバッチを使用することが好ましい。
(D)染顔料含有成分は、10質量%より多くの染顔料を含むマスターバッチであることが好ましく、30質量%より多くの染顔料を含むマスターバッチであることがより好ましい。前記マスターバッチにおける染顔料の含有量は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることが好ましい。
(D)染顔料含有成分は、30〜70質量%のカーボンブラックを含むマスターバッチであることが特に好ましい。
また、(D)染顔料含有成分は、10質量%より多くの染顔料を含むマスターバッチを30質量%以上含むことが好ましく、40質量%以上含むことがより好ましく、50質量%以上含むことがさらに好ましい。
前記分散剤としては、上記スチレン系樹脂、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド及び/又はビスアミド、高級脂肪酸エステル、パラフィンワックス、並びにポリオレフィンなどが挙げられる。
高級脂肪酸の金属塩とは、高級脂肪酸と金属水酸化物との塩であり、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等が好ましく用いられる。
高級脂肪酸アミド及び/又はビスアミドとは、高級脂肪酸のモノアミド、ビスアミド等であり、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等が好ましい。
染顔料を分散剤とブレンドする方法は、特に限定されるものではないが、一般的には、ヘンシェルミキサー、タンブラー、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等を用いる方法を挙げることができる。
染顔料および分散剤の合計100質量部に対して、染顔料の含有量は、10〜90質量部とすることが好ましく、30〜80質量部とすることがより好ましく、35〜70質量部とすることが更に好ましい。分散剤が少なすぎるとポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の色調安定性が悪くなる場合があり、分散剤が多すぎるとポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の機械物性の影響があり好ましくない。
本実施の形態の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、着色性、特に黒着色性に優れる。三原色及び補色染顔料を適宜組み合わせることにより、黒着色とすることができる。
本実施の形態において、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂、(B)スチレン系樹脂及び(C)リン系難燃剤の合計100質量部に対して、(D)染顔料含有成分を0.1質量部以上含有(添加)することが好ましく、0.2質量部以上含有(添加)することがより好ましく、0.3質量部以上含有(添加)することがさらに好ましく、0.5質量部以上含有(添加)することがさらにより好ましい。
(D)染顔料含有成分の含有量(添加量)を0.1質量部以上とすることにより着色性に優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が得られる。一方、経済性及び組成物特性に対する影響の観点から、染料の含有量(添加量)の上限は、3質量部とすることが好ましく、2質量部とすることがより好ましく、1質量部程度とすることがさらに好ましい。顔料の有量(添加量)の上限は、5質量部とすることが好ましく、3質量部とすることがより好ましく、2質量部程度とすることがさらに好ましい。
黒(青)系染料として、ニグロシンが使用可能である。ニグロシンとは、COLOR INDEXに、C.I.SOLVENT BLACK 5及びC.I.SOLVENT BLACK 7として記載されているような、黒色のトリフェナジンオキサジンやフェナジンアジン等のアジン系縮合混合物である。市販されているニグロシンの例として以下に制限されないが、ヌビアンブラックPC−0850、ヌビアンブラックPA−9801及びヌビアンブラックPA2800(いずれも、オリエント化学工業社製)が挙げられる。
中でも、本実施の形態により得られる樹脂組成物の発色性の観点より、ヌビアンブラックPA−9801が好ましい。
また、黒系顔料として、一般的なカーボンブラックが使用可能である。市販されているカーボンブラックの例として以下に制限されないが、三菱カーボンブラック:三菱化学社製、Black Pearls:Cabot社製が挙げられる。
(D)染顔料含有成分としては、上記したカーボンブラックを単独で用いてもよいが、上記したカーボンブラックに染顔料を適宜組み合わせて用いることもできる。その際には、カーボンブラックと染顔料0.1質量部以上とを併用することにより、黒色度に優れ、且つウェルド部の色むらや目立ちの少ない黒着色の成形体を形成可能なポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が得られるため好適である。
上記した、優れた黒色度を有し、且つウェルド部の色むらや目立ちが少ない黒着色性のレベルについては、CIE(国際照明委員会)基準表色系によって定めることができる。
本実施の形態の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を射出成形してなる成形体は、CIE基準表色系のL*値が29以下であることが好ましい。また、より好ましくはL*値が28以下であり、a*値が−1.0以上0.5以下であり、且つb*値が−3.0以上0.5以下である。さらに好ましくはL*値が28以下であり、a*値が−0.3以上0.2以下であり、且つb*値が−2.0以上−0.5以下である。さらにより好ましくはL*値が27.4以下であり、a*値が−0.3以上0.2以下であり、且つb*値が−2.0以上−0.3以下である。
なお、本実施の形態において、上記CIE基準表色系の各値は、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を射出成形して得られた平板について、分光光度計(MS2020型、マクベス社製)を用い、キセノンランプD65光源、d/8受光、SCI(全反射測定)で色調を測定することにより得られた値である。
[ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に含まれうる他の成分]
<ポリオレフィン系樹脂>
本実施の形態の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂を含有していてもよい。
ポリオレフィンとは、エチレンの単独重合体(ホモポリマー)又は共重合体(コポリマー)である。本実施の形態において使用可能なポリオレフィン系樹脂として、以下に制限されないが、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、並びにエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体及びエチレン−オクテン共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体、並びにエチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体及びエチレン−エチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体などのエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体が挙げられる。
中でも、衝撃性向上及び離型性向上の観点より、線状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体及びエチレン−エチルアクリレート共重合体が好ましく、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、及びエチレン−オクテン共重合体がより好ましい。これらのポリオレフィンは、一般に非晶性又は低結晶性の共重合体であるため、好ましいものといえる。
また、上記ポリオレフィン系樹脂として、メルトマスフローレイト(MFR)が好ましくは0.1〜50g/10分、より好ましくは0.2〜20g/10分である樹脂を用いる。なお、本明細書におけるメルトマスフローレイトは、ISO1133に準拠し、230℃、10kgfの条件で測定したものを採用する。
上記したポリオレフィン系樹脂に含まれる共重合体には、さらに性能に影響を与えない範囲でその他の成分が共重合されていてもよい。
エチレンとα−オレフィンとの成分比率については、以下に制限されないが、α−オレフィン成分が5〜50モル%を採るような比率が一般的である。これらは一般に市販されているものを入手でき、例えば三井化学(株)製のタフマー(商品名)を適用できる。
ポリオレフィンは、本実施の形態の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の成形加工時に優れた離型効果を発揮する。
ポリオレフィンの含有量は、(A)ポリフェニレンエーテル、(B)スチレン系樹脂及び(C)リン系難燃剤の合計100質量部に対して、0〜3質量部が好ましく、0.2〜2質量部がより好ましく、0.3〜1質量部がさらに好ましい。
<水添ブロック共重合体>
本実施の形態の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、水添ブロック共重合体を含有してもよい。水添ブロック共重合体とは、ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体とのブロック共重合体を水素添加して得られる共重合体である。以下に制限されないが、例えば、ビニル芳香族単量体単位の重合体ブロックと共役ジエン単量体単位の重合体ブロックとを水素添加して得られる、ランダム共重合体部分を含有しないか又はほとんど含有しないブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体が挙げられる。市販品としては、クレイトンポリマー社のクレイトンG(商品名)、旭化成社のタフテック(商品名)、クラレ社のセプトン(商品名)が知られている。
その他の非ランダム水添ブロック共重合体として、以下に制限されないが、例えば、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる(非水添)ランダム共重合体ブロックを水添して得られる水添共重合体が挙げられる。市販品としては、旭化成社のSOE(商品名)が知られている。
本実施の形態において、水添ブロック共重合体は、PPE及びスチレン系樹脂との相溶性を向上させるという観点より、ビニル芳香族単量体単位を40質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは50〜85質量%、さらに好ましくは55〜80質量%含有する。すなわち、前記水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロックを40質量%以上と、共役ジエン単量体単位を含む重合体ブロックを60質量%未満と、を有する水添ブロック共重合体であることが好ましい。
ビニル芳香族単量体単位の重合体ブロック含有量が上記範囲内にあることにより、本実施の形態の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は一層優れた外観特性を有するとともに、機械的強度と成形加工性とのバランスにも一層優れたものとなる。より優れた着色性及び成形加工性を確保する観点から、ビニル芳香族単量体単位成分をブロック共重合体に対して60〜80質量%とすることが好ましい。
水添ブロック共重合体の重量平均分子量は3万〜100万であることが好ましい。これにより、本実施の形態の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は機械的強度と成形加工性とのバランスが良好なものとなる。
本実施の形態において、より高い機械的強度を確保するとともに、衝撃吸収性と成形加工性とのバランスを一層優れたものとする観点から、水添ブロック共重合体の重量平均分子量は、4万〜50万が好ましく、5万〜30万がより好ましく、7万〜20万がさらに好ましい。
また、前記水添ブロック共重合体は、上記のポリオレフィン系樹脂との併用により、一層優れた効果を発揮する。
本実施の形態の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物において、優れた着色性や表面特性を確保し、成形時における離型効果及び耐衝撃性改良効果を発揮する観点から、水添ブロック共重合体の含有量は、(A)ポリフェニレンエーテル、(B)スチレン系樹脂及び(C)リン系難燃剤の合計100質量部に対して、0〜5質量部が好ましく、0.5〜4質量部がより好ましく、1〜3質量部がさらに好ましい。
上記の(E)ポリオレフィン系樹脂と(F)水添ブロック共重合体とを併用する場合、これらの併用比は、(E)/(F)の質量比として、1/10〜2/1、好ましくは1/5〜1/1、より好ましくは1/3〜2/3である。
本実施の形態の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、本実施の形態に所望の効果を損なわない範囲で、所定の添加剤、以下に制限されないが、例えば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、離型剤、滑剤、その他の樹脂を含有してもよい。
特に、より優れた成形性を確保する観点から、離型剤の添加が好適である。離型剤として、以下に制限されないが、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド及び/又はビスアミド、高級脂肪酸エステル、パラフィンワックスなどが挙げられる。
高級脂肪酸の金属塩とは、高級脂肪酸と金属水酸化物との塩であり、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等が好ましく用いられる。
高級脂肪酸アミド及び/又はビスアミドとは、高級脂肪酸のモノアミド、ビスアミド等であり、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等が好ましい。
高級脂肪酸エステルとは、高級脂肪酸と、炭素数1〜20の一価アルコール、二価アルコール及び三価以上の多価アルコールとから得られる高級脂肪酸エステルである。このような高級脂肪酸エステルとして、例えば、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、ベヘン酸メチル、モンタン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、ラウリル酸ラウリル、ステアリン酸ステアリル、エチレングリコールジラウレート、エチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジモンタネート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノステアレート、1,3−プロパンジオールジラウレート、1,3−プロパンジオールジステアレート、1,3−プロパンジオールジモンタネート、1,4−ブタンジオールジラウレート、1,4−ブタンジオールジステアレート、1,4−ブタンジオールジモンタネート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノモンタネート、グリセリンジパルミテート、グリセリンジステアレート、グリセリンジオレエート、グリセリントリステアレート、グリセリントリオレエート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジパルミテート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリパルミテート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
上記の高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、カプリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、モンタン酸、ヤシ油系脂肪酸、パーム油系脂肪酸、牛脂系脂肪酸等の炭素数が4〜30の高級脂肪酸が挙げられる。
パラフィンワックスとは、直鎖の飽和炭化水素を主成分とする常温で固体であり、主成分としてn−パラフィンを含有し、少量のi−パラフィン、ナフテンを含有する、炭素数20〜48のワックスである。これらは一般に市販されているものを使用できる。
良好な成形性を確保する観点から、高級脂肪酸の金属塩と高級脂肪酸アミド及び/又はビスアミドが好ましく、更にステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、エチレンビスステアリン酸アミドが特に好ましい。
本実施形態の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物における離型剤の含有量は、(A)ポリフェニレンエーテル、(B)スチレン系樹脂及び(C)リン系難燃剤の合計100質量部に対して、0〜3.0質量部が好ましく、0.05〜2.0質量部がより好ましく、0.1〜1.0質量部がさらに好ましく、0.2〜1.0質量部が特に好ましい。
また、公知の各種難燃剤及び難燃助剤、例えばテトラフロロエチレンの単独重合体(ポリテトラフロロエチレン)、テトラフロロエチレンを含む共重合体、シリコンオイル及びシリコンレジンを添加することにより、さらに難燃性が向上しうる。
2.ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法
本実施の形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法は、2つの工程を含む。第一工程では、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂を単独で溶融混練することにより、又は(A)ポリフェニレンエーテル樹脂及び(B)スチレン系樹脂を、(A)ポリフェニレンエーテル100質量部に対して(B)スチレン系樹脂50質量部以下の比率で溶融混練することにより、中間組成物を製造する。次いで、第二工程では、前記中間組成物、並びに残余の(A)ポリフェニレンエーテル、残余の(B)スチレン系樹脂、(C)リン系難燃剤及び(D)染顔料含有成分を用いて溶融混練を行う。そして、真空吸引は、第一工程における溶融混練がなされた後に行われる。
以下、本実施の形態に係る製造方法の各工程について詳細に説明する。
[第一工程]
<(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と(B)スチレン系樹脂との比率>
第一工程における(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と(B)スチレン系樹脂との質量比は、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂100質量部に対して(B)スチレン系樹脂が50質量部以下であり、20質量部以下が好ましく、19質量部以下がより好ましく、5質量部以下がさらに好ましく、4質量部以下が特に好ましく、極めて好ましくは0質量部(すなわち、(B)スチレン系樹脂は存在しない。)である。
(A)ポリフェニレンエーテル樹脂に対して(B)スチレン系樹脂が多いと、第一工程で熱履歴により分解するスチレン系樹脂が多くなり、その結果、スチレンモノマーやエチルベンゼン等の分解ガスが多くなりうる。そのため、スチレン系樹脂はより少ない方が好適である。また、第一工程での(B)スチレン系樹脂の量を少なくすることにより、相対的に、第二工程での(B)スチレン系樹脂の量が多くなるため、第一工程における溶融混練時に高くなった樹脂の温度を下げることができる。
<溶融混練>
溶融混練を行うための装置として減圧ベント付二軸押出機を使用できる。
第一工程の溶融混練の際の前記押出機のシリンダー(加熱筒)設定温度は、製造する中間組成物にとって好適な加工温度に設定するという観点から、好ましい上限温度は350℃以下であり、より好ましくは320℃以下であり、さらに好ましくは300℃以下である。下限温度としては、生産性を著しく落とさない範囲であれば特に制限はないが、250℃以上であることが好ましい。より好ましくは260℃以上である。
第一工程と後述の第二工程とにおける溶融混練の方法として、例えば以下の2通りの方法が挙げられる。1つの方法として、第一工程及び第二工程と通じて1台の押出機で連続的に溶融混練する方法(1段連続押出法)が挙げられる。もう1つの方法として、第一工程で溶融混練し、中間組成物のペレットを得、後述の第二工程で中間組成物と第一工程からの残余の成分などとを溶融混練し、目的物質であるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を得る方法(2段分割押出法)が挙げられる。中でも、生産コスト低減の観点から、1段連続押出法がより好ましい。1段連続押出法を採用する場合、サイドフィーダー付きの二軸押出機を用いることが好適である。
また、第一工程において、ポリフェニレンエーテルを第1供給口からフィードする際には、第1供給口の入り口は不活性ガス雰囲気(例えば、窒素ガス雰囲気)とすることが好ましい。なぜなら、溶融後のポリフェニレンエーテルの炭化物の発生を効果的に抑制でき、予備混練物中の黒色の異物(炭化物)量が少なくなるからである。特に、装飾性に優れた外観特性が強く求められる用途において好適である。
また、PPE中の残存する溶媒成分を効率的に除去する観点より、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を構成する(A)ポリフェニレンエーテル樹脂の実質的に全量が、第一工程で溶融混練されることが好ましい。換言すれば、後述の第二工程において、残余の(A)ポリフェニレンエーテル樹脂が実質的に存在しないことが好ましいといえる。
<真空吸引>
真空吸引は、第一工程における溶融混練後に行われる。なお、本明細書では、第一工程における真空吸引を、後述する第二工程の溶融混練後の真空吸引と区別するために、「第一工程における真空吸引」ということとする。
変性PPE樹脂には、トルエン、キシレンやスチレンモノマー等の溶媒が残留する。これらは、射出成形時に成形体表面に現れるシルバーストリークスや、成形体変色の低下の原因となる。また、縮合リン酸エステル系難燃剤には、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェートやトリクレジルホスフェート等の低分子成分が不純物として含まれうるが、これらの成分は、モールドデポジットの原因となりうる。
そこで、第一工程における真空吸引は、原材料である樹脂などの中に不純物として含まれる残留溶媒及び低分子揮発成分など、並びに溶融混練により発生する分解ガス及び低分子揮発成分などを、溶融混練後に減圧ベント口を設けることによって除去する機能を果たす。そして、かかる除去の結果、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に残留するトルエン、キシレン、及びスチレンモノマーの量は、それぞれ100質量ppm以下となるようにすることが好ましい。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に不純物として残留するトリフェニルホスフェートの量は、5,000質量ppm以下となるようにすることが好ましい。
前記減圧ベント口は、第一工程における真空吸引後に設ける。減圧ベント口は、第一工程における(A)ポリフェニレンエーテル樹脂及び(B)スチレン系樹脂を溶融混練した直後の位置に設けることが好ましい(以下、「第一のベント口」ともいう)。
また本実施の形態においては、第二工程に、さらに減圧ベント口を設けることが好ましい。(以下、「第二のベント口」ともいう。)第二のベント口から真空吸引する目的は、前出のトリフェニルホスフェートを組成物中から除去すること、並びに、第二工程で添加される原材料などの中に不純物として含まれる残留溶媒及び低分子揮発成分など、並びに溶融混練により発生する分解ガス及び低分子揮発成分などを、溶融混練後に減圧ベント口を設けることによって除去することである。
前記減圧ベント口は、不純物などを除去する量によっては、2箇所以上設けて真空吸引することがより好ましい。このような観点から、より好ましくは、上記した、第一工程における溶融混練後の位置に第一のベント口として設けるとともに、第二工程ラインで中間組成物と第一工程からの残余の成分などとを供給した後の位置に第二のベント口として設けることがより好ましい。
特に揮発性の高い成分を添加する場合、かかる成分の大半が吸引されてしまうため、ベント口より真空吸引した後にかかる揮発性の高い成分を添加することが好ましい。
第一工程でベント口を設けず、第二工程で原材料[残余の(A)ポリフェニレンエーテル樹脂、残余の(B)スチレン系樹脂、(C)リン系難燃剤及び(D)染顔料含有成分]を全て溶融混練した後にベント口(第二のベント口)を設け真空吸引した場合に比較して、第一工程の溶融混練後にベント口(第一のベント口)を設け真空吸引する本実施形態の製造方法の方が、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂に不純物として含まれる残留溶媒や低分子揮発成分などを除去できる効率が一層高くなる。
また、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂に不純物として含まれる残留溶媒や低分子揮発成分などを除去する効率を高くするためには、第一工程における(B)スチレン系樹脂の添加量を、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましく、5質量部以下とすることがより好ましく、さらに好ましくは0質量部(すなわち、(B)スチレン系樹脂が存在しない)とすることである。
[第二工程]
第二工程は、上記第一工程で得られた中間組成物と、第一工程からの残余の(A)ポリフェニレンエーテル樹脂及び(B)スチレン系樹脂と、(D)染顔料含有成分とを溶融混練する段階と、前記溶融混練物に(C)リン系難燃剤を添加する(さらに、これらを溶融混練する)段階とを含むことが好ましい。
<(C)リン系難燃剤のフィード方法>
(C)リン系難燃剤は、取り扱い性を高め、樹脂温度の急激な低下を抑制し、樹脂中への速やかに相溶させるため、第二工程において、50℃以上に加熱した液体状態で添加(フィード)することが好ましい。かかる場合の具体的なフィード手段として、以下に制限されないが、例えば、後述する溶融混練用の押出機の下流側に設けた一箇所以上の供給口より液体を添加することができる。
(C)リン系難燃剤を液体状態で添加する具体的な手段として、以下に制限されないが、例えば、第二工程に設置した注入ノズルから、ギアポンプやプランジャーポンプ等を使って圧入する方法が挙げられる。
(C)リン系難燃剤の添加は、第一工程で得られた中間組成物と、第一工程からの残余の(A)ポリフェニレンエーテル樹脂及び(B)スチレン系樹脂と、(D)染顔料含有成分とを溶融混練した後で添加する方法が好ましい。
(C)リン系難燃剤を添加(フィード)する際、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と(B)スチレン系樹脂との合計100質量部に対して、(C)リン系難燃剤の配合量が25質量部を下回る場合、(C)リン系難燃剤の分散性がより良好となり、ブリードアウト等を一層効果的に回避できる。そのため、上記の(C)リン系難燃剤の配合量が25質量部以上となるような場合には、(C)リン系難燃剤を2回以上に分けてフィードすることが好ましい。
<溶融混練>
上記第一工程で得られた中間組成物と、残余の(A)ポリフェニレンエーテル、残余の(B)スチレン系樹脂、(C)リン系難燃剤及び(D)染顔料含有成分とを溶融混練する際の押出機のシリンダー(加熱筒)設定温度は、好ましくは300℃以下であり、より好ましくは280℃以下であり、さらに好ましくは260℃以下であり、さらにより好ましくは240〜260℃である。
<真空吸引>
第二工程は、当該工程中の溶融混練の後に、真空吸引することをさらに含むことが好ましい。さらには、当該工程中の溶融混練の後にリン系難燃剤を添加した後に真空吸引することを含むことがより好ましい。なぜなら、かような方法をとることにより、上述したように、トリフェニルフォスフェート成分や、加工時に生じた低分子量の成分(例えば、スチレンモノマー成分)を効率的に除去できるからである。なお、前記真空吸引に関する事項は、上記の第一工程の真空吸引の場合と基本的に同様であるため、ここでは説明を省略する。
3.ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物
本実施の形態に係る製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂及び(B)スチレン系樹脂100質量部に対し、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂10〜90質量部と、(B)スチレン系樹脂90〜10質量部と、(C)リン系難燃剤40質量部以下と、(D)染顔料含有成分とを含む。ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の各構成要素における上記の組成比については、好ましい範囲なども含めて上述したため、ここでは説明を省略する。
また、本実施の形態に係る成形体は、上記の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を射出成形してなり、JIS−Z−8741に基づく光沢度が80%以上である。そして、前記光沢度は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。上記した範囲内の場合、装飾性を重視する外装材として有利な効果が得られる。
本実施の形態に係る成形体は、上記の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を用いてなるため、上述したように、従来の製造技術では十分とはいえないような、環境面や安全衛生面、外観特性(着色性や表面特性など)、実用レベルの機械的特性(強度や耐衝撃性など)、離型性(射出成形時に金型への付着物など)、成形加工性及び難燃性に優れる。さらに、成形時における、成形体の表面の曇り(光沢度の低下)、白化やフローマークの発生を顕著に防止できるため、所望の成形品を得ることができる。その結果、装飾性や、光沢度の高い外観特性が特に要求される用途(例えば、テレビ外装用成形体)においても、本実施の形態に係る成形体であれば好適に使用可能である。
以下、本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに制限されるものではない。
[ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の構成成分]
以下のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造するため、以下の原材料(構成成分)を用意した。
(A)ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂
ポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル(ザイロン S201A、旭化成プラスチックス シンガポール社製)を用いた。
(B)ゴム変性ポリスチレン(HIPS)及びホモポリスチレン(GPPS)
HIPSとして、ゴム粒子の95%以上が1個のポリスチレンコア(単細胞構造)からなり、ゴム粒子の平均粒子径が0.4μmであり、且つスチレン−ブタジエンブロック共重合体を15質量%含有するHIPS(PSJポリスチレン EXG11、PSジャパン社製)を用いた。
GPPSとして、ホモポリスチレン(PSJポリスチレン 680、PSジャパン社製)を用いた。
(C)リン系難燃剤
ビスフェノールAのビスジフェニルホスフェート(BDP)を主成分とする酸価=0.05の縮合リン酸エステル(CR−741、大八化学(株)製)を用いた。
(D)染顔料含有成分(着色剤として)
・有機染料及びニグロシン
赤色系染料としてSOLVENT RED 179、 黄色系染料としてDISPERSE YELLOW 160、緑色系染料としてSOLVENT GREEN 3、紫色系染料としてSOLVENT VIOLET 13(以上を纏めて、下記表1では「有機染料」とする)、黒(青)系染料としてSOLVENT BLACK 7(ニグロシン)をそれぞれ用いた。
・マスターバッチ
(ア)MB−1(CB:50%)
三菱カーボンブラック#960(三菱化学(株)製)50質量部をGPPS(PSJポリスチレン 680、PSジャパン社製)50質量部に分散処理したマスターバッチ。
(イ)MB−2(CB:25%)
三菱カーボンブラック#960(三菱化学(株)製)25質量部をGPPS(PSJポリスチレン 680、PSジャパン社製)75質量部に分散処理したマスターバッチ。
(ウ)MB−3(CB:75%)
三菱カーボンブラック#960(三菱化学(株)製)75質量部をステアリン酸マグネシウム(ダイワックスM、大日化学工業社製)25質量部に分散処理したマスターバッチ。
・カーボンブラック
三菱カーボンブラック#960(三菱化学(株)製)を用いた。
[樹脂組成物の評価方法]
1.色調
分光光度計(MS2020型、マクベス社製)を用い、キセノンランプD65光源、d/8受光、SCI(全反射測定)で色調を測定し、国際照明委員会(CIE)表色系に基づき、L*値で表した。
鏡面光沢を有し、90mm×50mm×2.5mmの平板作製用の金型を用い、加熱シリンダー温度240℃、金型温度60℃の条件下で射出成形して平板を作製し、平板の中央部を測定した。
2.色調安定性(色調異方性)
鏡面光沢を有する150mm×150mm×2mmの平板の中央部にウェルドラインができる2点ピンゲートの平板金型を用い、加熱シリンダー温度260℃、金型温度60℃の条件下で射出成形して平板を作製し、目視により色調異方性(ウェルドラインの色調)を判定した。
異方性の確認できないものを○(良い)、やや目立つものを△(普通)、及び明らかに目立つものを×(悪い)とする3段階で評価した(表1及び2中の色調異方性)。
3.成形体の曇り
鏡面光沢を有する150mm×150mm×3mmの平板に、肉厚3mm、内径3.6mmφのボスがついた金型を用い、加熱シリンダー温度260℃、金型温度60℃の条件下で樹脂組成物を射出成形して成形品を作製し、先頭から20枚を廃棄し、続いて作成した3枚について、ボス部と反対の面(ボスのついていない面)のボス部付近の光沢度を測定し、平均値で評価した。前記光沢度は、JIS−Z−8741に基づき、上記成形品に対して入射角60度の条件下で測定した。
4.色調安定性(ボス部色むら)
鏡面光沢を有する150mm×150mm×3mmの平板に、肉厚3mm、内径3.6mmφのボスがついた金型を用い、加熱シリンダー温度260℃、金型温度60℃の条件下で樹脂組成物を射出成形して成形品を作製し、先頭から20枚を廃棄し、続いて作成した3枚について、ボス部と反対の面(ボスのついていない面)のボス部付近の色調の色むらを目視により判定した。
色むらを確認できないものを○(良い)、やや目立つものを△(普通)、及び明らかに目立つものを×(悪い)とする3段階で評価した。
5.白化
鏡面光沢を有する150mm×150mm×3mmの平板に、肉厚3mm、内径3.6mmφのボスがついた金型を用い、加熱シリンダー温度260℃、金型温度60℃の条件下で樹脂組成物を射出成形して成形品を作製し、先頭から20枚を廃棄し、続いて作成した3枚について、目視によりゲート近辺部分、その他平板全体の白化を評価した。
平板表面に白化による外観不良がほとんど発生しないものを○(良い)、平板表面に白化による外観不良が少し発生するのを△(普通)、平板表面に白化による外観不良の発生量の多いものを×(悪い)の3段階で評価した。
6.金型汚染
鏡面光沢を有する50mm×90mm×2.5mmの平板を用い、加熱シリンダー温度260℃、金型温度60℃の条件下で、平板をフル充填させずに10〜20mmショートする条件で30枚作製後、金型の鏡面光沢の状態を目視評価した。次に、金型の鏡面を白いガーゼでふき取り、ガーゼの着色の程度を目視評価した。
金型表面への付着物(モールドデポジット;MD)は、ショートさせた部分の金型の鏡面光沢曇りがほとんど目立たないものを○(良い)、やや目立つものを△(普通)、及び明らかに目立つものを×(悪い)とする3段階で評価した。
ガーゼ変色度は、ふき取ったガーゼの着色の程度が少し変色するものを○(良い)、やや変色するものを△(普通)、及び明らかに変色するものを×(悪い)とする3段階で評価した。
7.押出時の作業環境
押出加工時に押出機のダイス部及びストランドより発生するガスの量を目視評価した。
発生するガスの量が少なく白色のものを○(良い)、ガスの量多くやや変色するものを△(普通)、及びガスの量が非常に多く明らかに変色するものを×(悪い)とする3段階で評価した。
8.残留揮発分
得られたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物ペレット中の残留揮発分をガスクロマトグラフィー(GC)により定量した。
[実施例1]
まず、第一工程では、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂、及び(B)スチレン系樹脂であるGPPSの一部を、下記表1に示す割合で、2軸押出機(TEM58SS、東芝機械製)に供給した。供給は、当該押出機の流れ方向に対して上流側の第1供給口から行い、その後340℃(加熱筒の設定温度)で溶融混練して中間組成物を得た(押出レート:吐出量500kg/時)。ここで、第1供給口からフィードする際に、供給口の入り口を窒素ガス雰囲気とした。
続いて、第二工程では、上記の中間組成物と、残余の(B)スチレン系樹脂であるGPPS及びHIPSと、(D)染顔料含有成分(有機染料及びニグロシン)と、安定剤としてのトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(0.2質量部)と、離形剤としてのステアリン酸亜鉛(0.3質量部)とを、下記表1に示した割合で供給した後、270℃(加熱筒の設定温度)で溶融混練した。その後、(C)リン系難燃剤であるBDPを、ギアポンプを使用して押出機のサイドの注入ノズルからフィードした(押出レート:吐出量500kg/時)。すなわち、第二工程では、(C)リン系難燃剤以外の原材料を溶融混練した後に、(C)リン系難燃剤をフィードした。
また、第一工程の溶融混練後に、第一の減圧ベント口を設けて真空吸引し、さらに、第二工程で残りの原材料全てを供給した後に第二の減圧ベント口を設けて真空吸引を行った。
ここで、第一工程及び第二工程に共通して、2軸押出機による押出は、押出後のストランドの表面にざらつきが無く、PPE未溶融でリン系難燃剤のブリードアウトがなくなるようにスクリュー回転数をコントロールしながら実施した。なお、実施したスクリュー回転数は表1に記載した。
その後、ストランドを押し出し、これを冷却し裁断して樹脂組成物のペレットを得た。
得られた樹脂組成物のペレットを用いて、上述の評価(1〜7)を行った。評価結果を下記表1に示す。
[実施例2]
下記表1に示すように、第一工程及び第二工程におけるGPPSの添加の割合を変更した点以外は、実施例1の場合と同様にして実験・評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
[実施例3]
下記表1に示すように、第一工程でGPPSを添加せず、第二工程でGPPSを全量添加した点以外は、実施例1の場合と同様にして実験・評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
[比較例1]
下記表1に示すように、第一工程でGPPSの全量及びHIPSの一部を添加し、第二工程で残余のHIPSを添加した点以外は、実施例1の場合と同様にして実験・評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
[比較例2]
下記表1に示すように、第一工程でGPPSの全量及びHIPSの全量を添加し、第二工程ではGPPSもHIPSも添加しなかった点以外は、実施例1の場合と同様にして実験・評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
[実施例4〜6、比較例3]
第一工程の加熱筒の温度を290℃に設定した点以外は、実施例4は実施例1の場合、実施例5は実施例2の場合、実施例6は実施例3の場合、比較例3は比較例2の場合とそれぞれ同じ条件で実施した。評価結果を下記表1に示す。
比較例13
(C)リン系難燃剤(BDP)のフィード位置を第二の減圧ベント口の後に設けて押出した点以外は実施例3の場合と同じ条件で実施した。すなわち、第二工程では、(C)リン系難燃剤以外の原材料を溶融混練し、さらに真空吸引まで行った後に、(C)リン系難燃剤をフィードした。そして、第二の減圧ベント口は、第二工程で(C)リン系難燃剤を液体状態で添加する前に位置していた。評価結果を下記表1に示す。
比較例14
第二の減圧ベント口を設けずに押出した点以外は、実施例1の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表1に示す。
比較例15
第二の減圧ベント口を設けずに押出した点以外は、実施例3の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表1に示す。
[実施例10]
第一工程の加熱筒の温度を290℃に設定し、下表1に示すように、(D)染顔料含有成分を有機染料だけからなるように変更した点以外は、実施例3と同じ条件で実施した。評価結果を下記表1に示す。
[比較例4]
(C)リン系難燃剤(BDP)のフィード位置を第二の減圧ベント口の後に設け押出した点以外は比較例2の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表1に示す。
[比較例5]
第二の減圧ベント口を設けずに押出した点以外は、比較例2の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表1に示す。
[比較例6]
第一の減圧ベント口を真空吸引せずに開放として押出した点以外は、比較例2の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表1に示す。
[比較例7]
第一の減圧ベント口を真空吸引せずに開放として押出した点以外は、実施例1の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表1に示す。
[比較例8]
第一の減圧ベント口を真空吸引せずに開放として押出した点以外は、実施例3の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表1に示す。
[実施例11〜13、比較例9]
下表2に示すとおり、(D)染顔料含有成分(着色剤)を、MB−1(CB:50%)3質量部に変更した点および下表2に示すスクリュー回転数に変更した以外は、実施例11は実施例4の場合、実施例12は実施例5の場合、実施例13は実施例6の場合、比較例9は比較例3の場合とそれぞれ同じ条件で実施した。評価結果を下記表2に示す。
[実施例14]
下表2に示すとおり、(D)染顔料含有成分(着色剤)を、MB−2(CB:25%)6質量部に変更した点以外は、実施例13の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表2に示す。
[実施例15]
下表2に示すとおり、(D)染顔料含有成分(着色剤)を、MB−3(CB:75%)2質量部に変更した点以外は、実施例13の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表2に示す。
[実施例16]
下表2に示すとおり、(D)染顔料含有成分(着色剤)を、カーボンブラック1.5質量部に変更した点以外は、実施例13の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表2に示す。
[実施例17]
下表2に示すとおり、(D)染顔料含有成分(着色剤)を、MB−1(CB:50%)の添加量を1.5質量部に変更した点以外は、実施例13の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表2に示す。
[実施例18]
下表2に示すとおり、(D)染顔料含有成分(着色剤)を、MB−1(CB:50%)6質量部に変更した点以外は、実施例13の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表2に示す。
[実施例19]
下表2に示すとおり、(D)染顔料含有成分(着色剤)として、ニグロシン0.5質量部を追加した点以外は、実施例13の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表2に示す。
比較例16
(C)リン系難燃剤(BDP)のフィード位置を第二の減圧ベント口の後に設けて押出した点以外は実施例13の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表2に示す。
[比較例10]
第二の減圧ベント口を設けずに押出した点以外は、比較例9の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表2に示す。
[比較例11]
第一の減圧ベント口を真空吸引せずに開放として押出した点以外は、比較例9の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表2に示す。
[比較例12]
(C)リン系難燃剤(BDP)のフィード位置を第二の減圧ベント口の後に設け押出した点以外は比較例9の場合と同じ条件で実施した。評価結果を下記表2に示す。
表1及び2中、空欄部は「0」又は「無」を意味する。また、難燃剤の添加位置の欄に記載されている「1」とは、第二工程では(C)リン系難燃剤以外の原材料を溶融混練した後に(C)リン系難燃剤をフィードしたこと[第二工程で残りの成分(難燃剤以外)を溶融後に真空吸引後に難燃剤を添加したこと]を意味し、「2」とは、第二工程では(C)リン系難燃剤以外の原材料を溶融混練し、C)リン系難燃剤をフィードした後に真空吸引を行ったこと[第二工程で残りの成分(難燃剤以外)を溶融後に真空吸引より上流側で添加したこと]を意味する。また、真空ベント位置の欄に記載されている「A」とは、第一工程ラインと第二工程ラインとの間に設けられた第一の減圧ベント口を意味し、「B」とは、第二工程で残りの原材料を供給した後に設けられた第二の減圧ベント口を意味し、「C」とは、第二工程でリン系難燃剤を液体状態で添加する前に設けられた第二の減圧ベント口を意味する。
表1及び2より、実施例と比較例とを対比すると、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂100質量部に対して(B)スチレン系樹脂50質量部以下の比率で溶融混練することにより、少なくとも、押出時の作業環境、MD(金型表面への付着物)の発生、及び色調安定性(色調異方性、ボス部色むら)の点で、有意に優れたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造することができることを確認した。
本発明によれば、環境面や安全衛生面、外観特性、実用レベルの機械的特性、離型性、成形加工性及び難燃性に優れるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物やこれを用いた成形体が得られ、装飾性、光沢度の高い外観特性が特に要求される用途における産業上の利用可能性を有する。

Claims (18)

  1. (A)ポリフェニレンエーテル樹脂、(B)スチレン系樹脂、(C)リン系難燃剤、及び(D)染顔料含有成分を含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法であって、
    前記(A)ポリフェニレンエーテル樹脂の全量若しくは一部を単独で溶融混練することにより、又は前記(A)ポリフェニレンエーテル樹脂の全量若しくは一部及び前記(B)スチレン系樹脂の全量若しくは一部を、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂100質量部に対して(B)スチレン系樹脂50質量部以下の比率で溶融混練することにより、中間組成物を製造する第一工程と、
    前記中間組成物、並びに前記第一工程で溶融混練した(A)ポリフェニレンエーテル樹脂が一部の場合は全量から該一部を除いた残余の(A)ポリフェニレンエーテル樹脂、前記第一工程で溶融混練した(B)スチレン系樹脂が一部の場合は全量から該一部を除いた残余の(B)スチレン系樹脂、(C)リン系難燃剤及び(D)染顔料含有成分を用いて溶融混練を行う第二工程と、を含み、
    前記第一工程、溶融混練後に真空吸引する段階を含
    前記第二工程は、前記中間組成物と、前記第一工程で溶融混練した(A)ポリフェニレンエーテル樹脂が一部の場合は全量から該一部を除いた残余の(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と、前記第一工程で溶融混練した(B)スチレン系樹脂が一部の場合は全量から該一部を除いた残余の(B)スチレン系樹脂と、(D)染顔料含有成分とを溶融混練する段階と、前記溶融混練する段階後に(C)リン系難燃剤を添加する段階と、前記(C)リン系難燃剤を添加する段階後に真空吸引する段階を含み、
    前記(C)リン系難燃剤が、芳香族縮合リン酸エステル化合物である、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記第一工程における(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と(B)スチレン系樹脂との質量比は、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂100質量部に対して(B)スチレン系樹脂19質量部以下である、請求項1に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記第一工程における(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と(B)スチレン系樹脂との質量比は、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂100質量部に対して(B)スチレン系樹脂4質量部以下である、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記第二工程において、(C)リン系難燃剤を50℃以上に加熱した液体状態で添加する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  5. ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を構成する(A)ポリフェニレンエーテル樹脂の全量が、前記第一工程で溶融混練される、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記第一工程において、シリンダー設定温度300℃以下で溶融混練される、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記第二工程において、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂、(B)スチレン系樹及び(C)リン系難燃剤の合計100質量部に対して、
    下記式(I):
    又は下記式(II):
    (上記の式(I)及び式(II)中、Q1、Q2、Q3及びQ4は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、nは1以上の整数であり、n1及びn2は、それぞれ独立して0〜2の整数であり、並びにm1、m2、m3及びm4は、それぞれ独立して1〜3の整数である。また、上記の式(I)及び式(II)中、フェニル基におけるQ1〜Q4以外の置換基は、水素原子であり、フェニレン基におけるR1及びR2以外の置換基は、水素原子である。)
    で表される縮合リン酸エステルを主成分とする(C)リン系難燃剤を1〜35質量部添加する、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  8. ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に残留するトルエン、キシレン、及びスチレンモノマーの量が、それぞれ100質量ppm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  9. ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に残留するトリフェニルホスフェートの量が、5,000質量ppm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  10. 前記第二工程において、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂、(B)スチレン系樹脂及び(C)リン系難燃剤の合計100質量部に対して、(D)染顔料含有成分を0.1質量部以上添加し、
    ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を射出成形してなる成形体のCIE基準表色系のL*値が29以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法
  11. (D)染顔料含有成分は、400℃及び窒素雰囲気下での加熱減量が20%以下である染顔料を30質量%以上含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  12. (D)染顔料含有成分が、10質量%より多くの染顔料を含むマスターバッチである、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  13. (D)染顔料含有成分が、30質量%より多くの染顔料を含むマスターバッチである、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  14. (D)染顔料含有成分が、10質量%より多くの染顔料を含むマスターバッチを30質量%以上含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  15. (D)染顔料含有成分が、30〜70質量%のカーボンブラックを含むマスターバッチである、請求項1〜14のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が、
    (A)ポリフェニレンエーテル樹脂及び(B)スチレン系樹脂100質量部に対し、
    (A)ポリフェニレンエーテル樹脂10〜90質量部と、
    (B)スチレン系樹脂90〜10質量部と、
    (C)リン系難燃剤40質量部以下と、
    (D)染顔料含有成分と、
    を含む、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を射出成形してなり、
    JIS−Z−8741に基づく光沢度が80%以上である、成形体。
  18. テレビ外装用成形体である、請求項17に記載の成形体。
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