JP5448406B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、及びトナージェット法の如き記録方法に用いられるトナーに関する。
従来、電子写真法においては、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静電荷像を形成し、次いで該静電荷像を、トナーを用いて現像し、必要に応じて紙の如き転写材にトナー画像を転写した後、加熱、加圧、加熱加圧或いは溶剤蒸気により定着し、トナー画像を得る。
近年、地球温暖化問題への対応として、省エネルギー定着技術の要望が高まっており、低い設定温度においても高品位な画像品質を満たす高光沢度や豊かな色再現性を発揮するトナーが望まれている。
その実現のためにはトナーの結着樹脂のガラス転移点(Tg)を下げることや、トナーの結着樹脂の平均分子量を下げることが必要である。しかし、単純にトナーの結着樹脂のTgや平均分子量を下げてしまうとトナーの保存安定性が損なわれたり、定着器にトナーがオフセットし画像を汚染してしまうなどの現象が起き易くなる。また、画像出力を進めると、度重なる現像器内でのストレスによって外添剤がトナー粒子表面へ埋め込まれることによる現像性の低下や、トナー粒子強度そのものの低下による破砕や圧延が増加し、部材汚染が促進され易くなるのが通常である。
以上のようなトナーの低温定着性と多数枚出力時の画像安定性という一見矛盾する性能を両立するためにさまざまな提案がなされている。例えば、トナーの結着樹脂の平均分子量やガラス転移点を低めに制御し、トナー粒子表面近傍に結着樹脂より平均分子量やガラス転移点の高い樹脂成分でプロテクトした、所謂コアシェル構造を有するトナー技術が開示されている(例えば、特許文献1、2及び3参照)。
しかしながら、本発明者らの検討によると、これらのトナーは確かに低温定着性の効果は認められるものの、特に一成分接触現像システムを用いて現像出力操作を繰り返したところ、外添剤の埋没等のトナー劣化に伴う画像品質の低下に改善の余地があることが分かった。
コアシェル構造を有するトナーにおいて、更にシェル層のガラス転移点を高くすることで、保存安定性を高めたトナーも提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、これらのトナーはトナー及び画像の保存安定性は高まるものの、トナー粒子に被覆される無機微粒子等の外添成分が、現像出力に伴って脱離し易い傾向が認められ、使用環境によっては画像品質の低下が避けられないのが現状である。
一方、電子写真技術が広く普及するなかで、より厳しい使用環境においても画像品質を維持する技術の要望も高まっている。環境安定性の改善を目的に、結着樹脂の酸価や水酸基価をコントロールする技術が開示されている(例えば、特許文献5及び6参照)。
しかしながら、本発明者らが結着樹脂の酸価や水酸基価が及ぼす環境依存性への影響を検討した結果、ポリエステル系の樹脂が有する酸価や水酸基価と、ビニル重合系の樹脂が有する酸価や水酸基価では効果が異なり、又メインバインダー組成やその他の添加剤との相互作用によっても効果の発現に影響が認められ、更なる環境安定性に向けた改善の余地が残されていることが分かった。
特開2006−053353号公報 特開平8−314186号公報 特開2006−276307号公報 特開2007−93637号公報 特開2005−91813号公報 特開2006−91318号公報
本発明が解決しようとする課題は、トナーの定着特性の向上、環境差の影響を受け難い帯電安定性の向上及び耐部材汚染性を向上することにより、長期にわたる現像品質の維持を達成することにある。
本発明は、結着樹脂、着色剤、ワックス成分、及び、水酸基を有するビニル系共重合体を含有するトナー粒子と、無機微粉体とを有するトナーであって、前記トナー粒子に含有される前記水酸基を有するビニル系共重合体の水酸基価が、3〜70mgKOH/gであり、前記トナーの示差走査熱量計により測定されるガラス転移温度(TgA)が4060℃であり、前記トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分中におけるシクロヘキサン(CHX)不溶分のガラス転移温度(TgB)が80120℃であり、前記TgAとTgBが、25℃≦(TgB−TgA)≦70℃、の関係を満たし、前記無機微粉体が表面処理剤で表面が処理された無機微粉体であることを特徴とするトナーに関する。
本発明によれば、トナー粒子を構成する樹脂成分の機能を有効に発揮させることによって、省エネルギー定着器に対応した低温定着特性と、高温高湿環境や低温低湿環境での帯電安定性と、トナー劣化の抑制による耐久性が向上し、長期にわたって高品位な画像品質を安定して提供することができる。
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤、ワックス成分、及び水酸基価が3乃至70mgKOH/gのビニル系共重合体を少なくとも含有するトナー粒子と、少なくとも表面処理剤で表面が処理された無機微粉体とを含有するトナーである。また、本発明のトナーは、トナーの示差走査熱量計により測定されるガラス転移温度(Tg)が40℃乃至60℃に少なくとも存在し、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分中におけるシクロヘキサン(CHX)不溶分のガラス転移温度(TgB)が、80乃至120℃に少なくとも存在し、当該TgAとTgBが、25℃≦TgB−TgA≦70℃、の関係を満たすトナーである。
上記構成とすることで、低温定着特性を狙った比較的低強度であるトナー粒子においても、トナー粒子を覆う無機微粉体の多数枚現像出力動作に伴う脱離が抑制され、トナー粒子の保護機能と現像特性の維持機能が働き画像品質の安定化が図られる。
本発明のトナーが上記効果を発現する理由は必ずしも明らかでは無いが、本発明者らは以下の理由によるものと考えている。
即ち、本来流動性と帯電の均一性をトナー粒子に機能付与する目的で外部添加される無機微粉体は、無機微粉体表面に多数存在する水酸基等の極性基をカップリング剤やシリコーンオイル等により表面処理を施して、水分子の吸着サイトを保護している。しかし、実際にはその様な処理剤の効果で疎水化度は高められるものの、ナノメートルオーダーで比表面積の大きな無機微粒子表面の極性基を完全に保護することは難しく、ある程度の水酸基等の極性基が表面に露出することは避けられないのが現状である。
本発明者らの検討によると、トナー粒子に特定の水酸基を有する樹脂を添加した場合、トナー粒子表面に存在する水酸基と、添加した無機微粉体表面に露出している水酸基とが
相互作用を及ぼし親和し、現像器内で受ける攪拌ストレスに対しても親和力が脱離抗力に勝るため、長期に亘って無機微粒子の被覆が維持できることを見いだした。
また、上記構成のトナーは、トナー粒子表面の水酸基と無機微粉体表面の水酸基が互いに親和しているために水分子の吸着をブロックすることができ、優れた環境安定性を発揮できることも見いだした。
従来ポリエステル等の水酸基価を有する樹脂をトナーの結着樹脂に用いた場合、極性を有する水酸基が空気中の水分子を吸着し易い傾向を示すため、特に高湿環境下で現像出力を進めると帯電量の低下が避けられない問題があった。しかし、トナーの構成要素として、本発明の必須成分である水酸基価を有するビニル系共重合体を用いた場合、当該ビニル系共重合体は、主鎖から水酸基を有する機能部位がペンダント状にぶら下がる構造を取るため、トナー粒子表面において、当該水酸基と無機微粉体とが機能的に相互作用を及ぼし、接触点密度をかせげる。結果、トナー粒子と無機微粉体とのアンカー効果が高まり無機微粒子の被覆が長期に亘り維持でき、水分子の吸着による帯電量の低下を克服できるものと考えている。
無機微粉体の脱離は特に低湿環境下で顕著な問題を引き起こす。その理由は、低湿環境下でトナーが攪拌されると摩擦帯電量が過多になり易く、チャージアップしたトナー粒子と無機微粒体が互いに反発することによるからと考えられる。この問題に対しても、トナー粒子表面に存在する水酸基が無機微粉体としっかり親和することで、トナー粒子表面が満遍なく無機微粉体で保護されてトナーと一体になるために、過度にトナー粒子がチャージアップする問題が防止できる。
上述のように、本発明のトナーが含有する特定の水酸基価を有する樹脂は、ビニル系共重合体である。この理由は明らかにはなって無いが、本発明者らは以下のように考えている。(1)ポリエステル系の水酸基価を有する樹脂は、構造上主鎖の末端に極性基を有するため、トナー粒子表面において、水酸基の配置が有効に機能する分布状態ではない。(2)ポリエステル系樹脂は、カルボン酸基が存在し、これは帯電をコントロールする上で不安定な要素を多く含み、ポリエステル系樹脂の使用が本発明の効果を薄める。
上述のように、本発明のトナーに用いられるトナー粒子は、水酸基価が3乃至70mgKOH/gのビニル系共重合体を含有する。
水酸基価が3mgKOH/gに満たない場合、低温低湿下における多数枚の現像出力時に外添剤が脱離傾向を示すため、トナー消費寿命の到達前に部材汚染や現像性の低下が起こりやすい。
一方、水酸基価が70mgKOH/gを超える場合、高温高湿環境における帯電性能が劣るため、多数枚の現像出力時にカブリ等の現像特性が悪化する。
上記ビニル系共重合体の水酸基価は、5乃至34mgKOH/gであることが好ましく、10乃至25mgKOH/gであることがより好ましい。
上記トナー粒子が含有する水酸基価が3乃至70mgKOH/gのビニル系共重合体の含有量は、トナーを構成する全結着樹脂に対して、3乃至30質量%であることが好ましく、10乃至27質量%であることがより好ましい。
上記特定の水酸基価を有するビニル系共重合体の含有量が、3質量%に満たない場合、現像動作を繰り返すにつれて外添剤の脱離が促進され、部材汚染を引き起こす恐れがある。
一方、含有量が30質量%を超える場合、上記特定の水酸基価を有するビニル系共重合体は、ガラス転移温度を高く設定することでトナー構造を強靭にする目的も担うため、低温定着特性が低下する傾向にある。
上記特定の水酸基価を有するビニル系共重合体は、トナーのテトラヒドロフラン(TH
F)可溶分中におけるシクロヘキサン(CHX)不溶分としてその一部が抽出される。当該抽出物の水酸基価は、1乃至70mgKOH/gであることが好ましい。
トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分中におけるシクロヘキサン(CHX)不溶分として抽出された樹脂の水酸基価が1mgKOH/gに満たない場合、特定の水酸
基価を有するビニル系共重合体の極性が低いことを意味し、結着樹脂の主成分に相溶して取り込まれ易くなるため、トナー粒子表面で機能する水酸基の量が不足し現像耐久性が低下する傾向にある。
一方、上記抽出された樹脂の水酸基価が70mgKOH/gを超える場合、特定の水酸
基価を有するビニル系共重合体の極性が強いことを意味し、結着樹脂の主成分との相溶性に若干劣る傾向があり、現像性能が不安定になる恐れがある。
本発明に用いられる無機微粉体は、少なくとも表面処理剤で表面が処理された無機微粉体であることが必須である。本来、無機微粉体の表面を処理剤でコートする目的は、疎水化を高めて環境特性を改善することにある。本発明においては上記目的に加え、表面処理を施した無機微粒子の僅かに露出している表面極性基とトナー粒子表面に存在する水酸基との親和性を利用して、無機微粒子の脱離を防止することを主目的とする。
本発明における無機微粉体の表面処理剤は、シランカップリング剤、チタニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤の如きカップリング剤や、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物等が挙げられる。したがって、上記無機微粉体はこれら表面処理剤から選ばれる少なくとも一種類以上の表面処理剤で表面が処理された無機微粉体である。
これらの中でも、特にシランカップリング剤、シリコーンオイル、シラン化合物(ヘキサメチルジシラザン等)から選ばれる処理剤が、無機微粉体を均一に処理でき、かつトナー粒子表面の水酸基との親和性に優れた表面状態を作り出せるため好ましい。
上記シランカップリング剤及びシラン化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、卜リメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位のSiに水酸基を1つずつ有するジメチルポリシロキサンが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
なお、上記シランカップリング剤及びシラン化合物(表面処理剤)を用いた無機微粉体の処理方法は、乾式処理法でも湿式処理法でも可能である。乾式処理法の例としては、良く撹拌されている無機微粉体の原体に、上記表面処理剤を水または有機溶媒に希釈したものを均一に分散させる方法が用いられる。撹拌機としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、V型ブレンダー、スパルタンリューザー等が使用される。湿式処理法の例としては、上記表面処理剤の希薄溶液中に無機微粉体の原体を含浸させ、スラリー化したものを濾過、遠心分離、デカンテーション等の方法により溶液から分離し、加熱乾燥処理を行う。
上記シリコーンオイルとしては、下記一般式で示される、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、α−メチルスチレ
ン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等を好適に例示できる。また、これらのシリコーンオイルは、2種以上を混合して使用しても良い。
Figure 0005448406
R:炭素数1〜炭素数3のアルキル基
R’:アルキル、ハロゲン変性アルキル、フェニル、変性フェニル、水素等のシリコーンオイル変性基
R”:炭素数1〜炭素数3のアルキル基又はアルコキシ基
上記シリコーンオイルを用いた無機微粉体の処理方法としては、例えば、無機微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合しても良いし、ベースの無機微粉体へシリコーンオイルを噴霧しながら撹拌する方法によっても良い。あるいは適当な溶剤(好ましくは有機酸等でpH4に調整)にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、ベースの無機微粉体を混合した後、溶剤を除去して作製しても良い。また、無機微粉体を反応槽に入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながらアルコール水を添加し、シリコーンオイルを反応槽に導入して表面処理を行い、さらに加熱撹拌して溶剤を除去する方法をとってもよい。
上記シリコーンオイルを用いた無機微粉体の処理方法としては、25℃における粘度が10乃至300cSt(mm2/s)のストレートシリコーンを無機微粉体原体に対して
5乃至40質量%の添加量で表面処理したものが好適に例示できる。
シリコーンオイルの粘度が10cSt(mm2/s)未満の場合、無機微粉体表面に対
するオイルの付着力が十分でなく、確かな効果が認められない。一方、シリコーンオイルの粘度が300cSt(mm2/s)を超える場合には、無機微粉体表面のシリコーンオ
イルの付着状態にムラが発生し、高湿環境下におけるカブリや低湿環境下における無機微粉体の脱離を誘発し、現像性の低下を引き起こし易くなる。
シリコーンオイルの添加量が5質量%未満の場合には、シリコーンオイルの量が少ないため、無機微粉体の表面露出面積が大きくなり、疎水化度が不十分となり環境帯電性が悪化する。一方、シリコーンオイルの量が40質量%を超える場合には、過剰なシリコーンオイルによる凝集塊の発生や、帯電性能の不均一化によるカブリが発生する可能性がある。
本発明のトナーに用いられる無機微粉体は、少なくともカップリング剤で処理した後に、シリコーンオイルで疎水化処理したものも好ましく用いることができる。カップリング処理をすることで、無機微粉体原体の表面の疎水化を確実に高めることができ、更にシリコーンオイルを処理することで過度な帯電を抑える効果が付与できるため、この手順で処理することによってより環境特性に優れたトナーが得られる。
また、本発明のトナーは、無機微粉体の含有量が、トナーに対し、好ましくは0.05〜6.0質量%、より好ましくは0.1〜3.0質量%、さらに好ましくは0.2〜1.
5質量%である。無機微粉体の含有量が上記範囲より少なすぎる場合には、無機微粉体を添加することの効果が十分に得られ難く、また上記範囲より多すぎる場合には、トナー粒
子に対して過剰な無機微粉体が脱離傾向を示すため、現像動作を繰り返すことでこれらの脱離無機微粉体が部材汚染を引き起こすリスクが高まる傾向にある。
さらに、上記無機微粉体は、5乃至80nmの個数平均一次粒径を有する無機微粉体を含有することが好ましい。無機微粉体の個数平均一次粒径が上記範囲内にある場合、特に本発明のトナー粒子との相互作用が好適に働き現像耐久安定性が高く機能する。
無機微粉体の個数平均一次粒径が5nmに満たない場合、現像動作が進むに伴いトナー粒子表面に無機微粉体が物理的に埋め込まれ易い傾向を示すため、現像性の低下に繋がる恐れがある。一方、無機微粉体の個数平均一次粒径が80nmを越える場合、度重なる現像器内での攪拌により、低温低湿環境下や他に外部添加される無機微粉体との相互作用によっては、無機微粉体同士の凝集力が働きトナー粒子から脱離し易い傾向が見られるため、現像安定性に懸念が生じる。
上記無機微粉体の個数平均一次粒径は、FE−SEM S−4800(日立製作所製)により10万倍に拡大したトナー粒子表面の写真を撮影し、当該拡大写真を用いて100個以上の無機微粉体の粒径を測定、算術平均から求めた。尚、無機微粉体の粒径は、形状が球形の場合はその絶対最大長を、長径と短径を有する場合は長径を、粒径としてカウントする。
上記個数平均一次粒径が5〜80nmの無機微粉体は、BET法で測定された窒素吸着による比表面積が40〜300m/gの範囲内のものが好ましく、60〜250m/gのものがより好ましい。比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
本発明で用いられる無機微粉体は、シリカ、酸化チタン、アルミナ、ハイドロタルサイト等の複酸化物の如き無機微粉体が挙げられるが、シリカが特に流動性と帯電特性のバランスが良く、本発明の効果を最も発現し易く好ましい。
上記シリカの例としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカの両者が含まれる。上記無機微粉体としては、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2−の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい
。また乾式シリカは、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能である。シリカはそれらも包含する。
本発明のトナーの示差走査熱量計により測定されるガラス転移温度(TgA)は40乃至60℃に少なくとも存在する。また、TgAは45乃至55℃に少なくとも存在することが好ましい。
上記TgAが40℃に満たない場合、トナーの保管環境や使用条件によってはブロッキングするリスクが高まるため不適である。一方、TgAが60℃を超える場合、省エネルギー定着器では満足な定着特性が発揮できない。
上記TgAは、トナーに含まれる結着樹脂の主成分のガラス転移温度を、40乃至60℃とすることで上記範囲に調整することが可能である。尚、本発明において、トナーに含まれる結着樹脂の主成分とは、トナーを構成する全樹脂成分において50質量%以上含有する結着樹脂成分のことを意味する。
本発明のトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分中におけるシクロヘキサン(CHX)不溶分のガラス転移温度(TgB)は、80乃至120℃に少なくとも存在する。また、TgBは86乃至110℃に少なくとも存在することが好ましい。
上記TgBが80℃に満たない場合、多数枚出力時の繰り返す現像動作に伴って、トナーが現像器内で受けるストレスに耐えきれず、劣化が促進され画像品質が低下する。一方、TgBが120℃を超える場合、現像出力枚数が進むにつれて外添剤の脱離が進行し易く、トナー層厚規制部材や潜像担持体への脱離外添剤汚染や、トナーの現像性能低下による画像品質の悪化を引き起こす。
尚、本発明において、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分中におけるシクロヘキサン(CHX)不溶分に相当する樹脂が、当該樹脂のトナーに対する添加部数が少ない場合、又は、結着樹脂の主成分と相溶し易い性質の樹脂である場合、トナーを示差走査熱量計(DSC)で測定してもそのガラス転移点が観察されないケースが多い。従って、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分を抽出し、その抽出物からシクロヘキサン(CHX)不溶分として回収した樹脂のDSC測定を行うことで、上記トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分中におけるシクロヘキサン(CHX)不溶分に相当する樹脂の特性を明らかにすることができる。
本発明において、上記TgAとTgBは、25℃≦TgB−TgA≦70℃、の関係を満たす。また、上記TgAとTgBは、30℃≦TgB−TgA≦65℃、の関係を満たすことが好ましい。
本発明のトナーにおいて、[TgB−TgA]が25℃に満たない場合、ガラス転移温度の違う2成分の樹脂機能が効果的に発揮されず、定着工程におけるオフセット性能が劣る。一方、[TgB−TgA]が70℃を超える場合、使用環境によっては定着画像が光沢ムラを発生する恐れがあり好ましく無い。
本発明のトナーに用いられるトナー粒子は、懸濁重合法などの手法、すなわち、水系媒体中で製造されたトナー粒子であることが好ましい。水系媒体中でトナー粒子を製造した場合、極性を持つ水酸基は水との界面、つまりトナー粒子表面に一様に偏析する傾向を示すため、トナー粒子表面における無機微粒子の表面極性基との親和効果がより効果的に発揮されると考えられる。
また、懸濁重合法等のように、水系媒体中で重合を行うことで、極性を持たない樹脂、例えば、低いガラス転移温度を示す結着樹脂の主成分をトナー粒子のコア部に、極性を有する樹脂、例えば、水酸基価を有する高いガラス転移温度を示す樹脂をシェル層に存在させることができる。その結果、トナーの構造を制御することができ、堅牢性と水酸基の効果を同時に高めることができる。本発明のトナーは、トナー粒子を構成する樹脂極性を制御することで、より優れた水酸基価の効果を発揮することができる。
本発明において、結着樹脂の主成分がスチレン−アクリル系の共重合体であり、水酸基価を有する樹脂もスチレン−アクリル系の共重合体であるといった両成分の相溶性が高い場合には、両樹脂の相互作用が高く、低温定着特性とトナー粒子の構造的な強度が高まり好ましい。
本発明のトナーにおいて、テトラヒドロフラン(THF)に可溶分中におけるシクロヘキサン(CHX)不溶分は、水酸基を有するビニル系共重合体を含有することが好ましい。
THFに可溶でCHXに不溶な樹脂成分の性質は、一般に溶媒の極性と樹脂の極性が近い場合に樹脂の溶解性が高まる性質があるため、THFには可溶であるがCHXには不溶となる比較的小さな極性を有する樹脂成分であることを示す。THFには可溶でCHXには不溶となる樹脂成分が水酸基を有するビニル重合体である場合、THFに可溶な結着樹脂成分と水酸基価を有するビニル系共重合体との極性が比較的近いことを表し、相溶性が良好で均質なトナー粒子の形成が行われ易く、低温定着性や外添剤の脱離抑制効果をバラツキ無く発揮することができる。
本発明のトナーにおいて、テトラヒドロフラン(THF)に可溶分中におけるシクロヘキサン(CHX)不溶分は、1級または2級の水酸基を有するビニル系共重合体であることが好ましい。より好ましくは、1級の水酸基を有するビニル系共重合体である。
1級または2級の水酸基を有するビニル系共重合体は極性が大きく、本発明の水酸基の効果をより発現し易い。
本発明における水酸基を有するビニル系共重合体としては、特に限定されないが、例えば下記の構造式で示される繰り返し単位(I)を少なくとも有するビニル系共重合体であることが好ましい。
Figure 0005448406
[式(I)中、R は(CH)n(但し、n=1〜4)、或いは炭素数が1〜6のアルキル基であり、繰り返し単位(I)は複数種類であっても良い。]
上記繰り返し単位(I)としては、ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、及びヒドロキシイソブチルメタクリレート等を挙げることができる。
また、上記繰り返し単位(I)を持つ重合体組成物としては、例えばスチレン−ヒドロキシメチルメタクリレート共重合体、α−メチルスチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−n−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸メチル共重合体、及びスチレン−α−メチルスチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体等を挙げることができる。
本発明のトナーを構成する結着樹脂は、ビニル系重合体を主成分として含有することが好ましい。本発明のトナーは、低温定着特性と耐久現像安定性をバランス良く発揮するためのものであり、結着樹脂の主成分は、帯電安定性に優れたビニル系重合体を用いることで、本発明の求める効果をより安定して発揮することができる。なお、本発明において、結着樹脂の主成分とは、結着樹脂の50質量%以上を占める樹脂成分のことを意味する。さらに、結着樹脂におけるビニル系重合体の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
本発明のトナーは、トナーに対する微小圧縮試験において、測定温度25℃で、前記トナー1粒子に負荷速度9.8×10−5N/secで2.94×10−4Nの最大荷重をかけ終えたときに得られる変位量(μm)を変位量X、前記最大荷重をかけ終えた後、前記最大荷重で0.1秒間放置して得られる変位量(μm)を最大変位量X、前記0.1秒間放置後、除荷速度9.8×10−5N/secで除荷し、荷重が0となったときに得られる変位量(μm)を変位量X としたとき、(−X)/X×100で表わされる復元率Z(25)、40≦Z(25)≦80、の関係を満足し、
前記トナーに対する微小圧縮試験における荷重と変位量をプロットした荷重−変位曲線において、原点から前記最大荷重をかけ終えるまでの荷重−変位曲線の傾きを、R(25)[R(25)=2.94×10−4 (N)/変位量X (μm)]としたときに、R(25)は、0.49×10−3≦R(25)≦1.70×10−3、の関係を満足することが好ましい。
上記トナーに対する微小圧縮試験の測定においては、従来の測定法と比較してトナーに対して2.94×10−4Nといった小さな荷重をかけて評価を行うことで、現像器内で受ける抗ストレス特性や、軽負荷定着器で求められるトナーの物理的特性に相関した復元率を求めることができる。
上記トナーに対する微小圧縮試験におけるZ(25)の値は、温度25℃において荷重をかけた後、除荷してどの程度トナーの表層がもとの状態に戻ろうとするかを表す指標である。
Z(25)が40未満の場合、トナーは度重なる現像装置内で受けるストレスによって、トナー粒子そのものが塑性変形しやすくなり、現像出力枚数が増えるに伴って部材へのトナー融着や現像性の低下が起こりやすく、画像品質の維持が難しくなる傾向を示す。
一方、Z(25)の値が80を超えると、トナー表層近傍は変形し難くなるため、軽負荷定着器や省エネルギー定着器においては低温定着性が劣る傾向にある、或いは定着面の平滑性に劣る傾向にある。
上記トナーに対する微小圧縮試験におけるR(25)の値は、温度25℃において2.94×10−4Nといった小さな荷重をかけた時の変位量を表す指標であり、トナー粒子の表層硬さをモニターした値である。
R(25)が0.49×10−3未満の場合、トナー粒子の表層が比較的軟らかい性質を示すため、多数枚の現像動作に伴ってトナーが現像器内で受ける攪拌ストレスに対して無機微粉体がトナー表面に埋め込まれ易く、現像性の低下に繋がる恐れがある。
一方、R(25)の値が1.70×10−3を超える場合、トナー粒子は比較的硬い性質を示すため、現像動作時に受けるストレスに対して無機微粉体が脱離し易い傾向を示し、無機微粉体の部材汚染や現像性能の低下に繋がる傾向を示す。
上記R(25)とZ(25)の値が上記範囲を満足するためには、トナー粒子を、懸濁重合法を用いてコアシェル構造に制御する方法が好適に例示される。R(25)とZ(25)の値が上記関係を満足することで、トナー粒子は最適な硬さのシェル層を有する構造をとるため、現像耐久性が向上すると共に、コア層を十分に柔らかく設計することができ、低温定着性や画像光沢性等の向上も実現することができる。
本発明のトナーは、示差走査熱量計により測定される最大吸熱ピークの温度(P1)が70乃至120℃に存在し、当該最大吸熱ピークの温度(P1)と本発明のトナーの示差走査熱量計により測定されるガラス転移温度(TgA)が、15℃≦P1−TgA≦80℃、の関係を満たすことが好ましい。
本発明のトナーにおける最大吸熱ピークの温度(P1)は、ワックスに代表される定着助剤に相当する吸熱ピークであり、最大吸熱ピークの温度(P1)が、70℃以上120℃以下、より好ましくは70℃以上110℃以下に存在すると、本発明の結着樹脂の特性と相俟ってより良好な低温定着特性を発揮する。
上記P1が70℃未満の場合、本発明の低温定着特性を狙った結着樹脂の構成においては、高温高湿環境に長期間放置されると最大吸熱ピークに相当するワックス成分が含有する低分子の不純物等がトナー粒子表面にブリードし易い傾向があるため、現像耐久性へ悪
影響を及ぼす可能性がある。一方、P1が120℃を超える場合には、定着画像のグロスコントロールが難しくなる場合がある。
本発明において、上記P1とTgが、15℃≦P1−TgA≦80℃、より好ましくは15℃≦P1−TgA≦70℃の関係を満たす場合に、定着時のワックスブリード性が最適化されるため、低温定着性能が向上する。
[P1−TgA]の値が15℃に満たない場合、低いガラス転移温度を示す樹脂においては樹脂の可塑化を促進するため、低温定着時に巻付きが発生し易くなる傾向にある。一方、[P1−TgA]の値が80℃を超える場合、低温定着時における離型効果が働き難くなる傾向にある。
本発明のトナーは、フローテスター昇温法により測定される100℃での粘度が5,000乃至32,000Pa・sであることが好ましく、より好ましくは5,000乃至22,000Pa・sである。100℃での粘度が当該範囲の場合、特に優れた定着特性を発揮する。
100℃での粘度が5,000Pa・sに満たない場合、低温定着における巻き付き性が低下する傾向にある。一方、100℃での粘度が32,000Pa・sを超える場合、低温定着時の定着性が低下する傾向にある。
なお、上記100℃での粘度は、トナーの結着樹脂や、本発明のトナーの必須成分である特定の水酸基価のビニル系共重合体の添加量、分子量及びガラス転移点を制御することで、上記範囲に調整することが可能である。
本発明のトナーは、フロー式粒子像分析装置で測定される平均円形度が0.960乃至1.000であることが好ましい。
当該平均円形度が0.960に満たない場合、トナーが現像器内で受ける攪拌ストレスに対して無機微粉体が脱離し易い傾向があるため、現像耐久性が低下する傾向にある。
上記平均円形度のより好ましい範囲は0.970乃至1.000であり、更に好ましい範囲は0.975乃至1.000である。
本発明のトナーは、フロー式粒子像分析装置で測定される個数基準の円相当径分布に基づく平均円相当径の1/3以下の粒子径を有する粒子数が、測定される全粒子数に対して(以下、小粒子率と記すこともある)、20個数%以下であることが好ましい。
上記平均円相当径の1/3以下の粒子径を有する粒子は、平均円相当径を示す粒子と比べると現像性を制御することが難しい。
現像性に乏しいこれらの小径粒子が繰り返しの現像動作で現像器内に蓄積した場合、トナー残量が少なくなった段階で部材汚染等による著しい画像弊害を引き起こすリスクが高まる。従って、現像耐久安定性を発揮させるためには、平均円相当径の1/3以下の粒子径を有する粒子数が、解析される全粒子数に対して20個数%以下、より好ましくは15個数%以下、更に好ましくは12個数%以下の割合に制御することが好ましい。
本発明のトナーに用いられるトナー粒子は、ワックス成分を含有する結着樹脂が、水酸基価が3乃至70mgKOH/gのビニル系共重合体を含有する樹脂で被覆されたコアシェル構造であることが好ましい。当該構造を採用することで、特に優れた現像耐久特性を示す。
本発明のトナーは、低温定着特性を達成するために結着樹脂の主成分のガラス転移温度を低く制御している。上記ガラス転移温度の低い樹脂は、特に高温高湿環境においては内部に添加しているワックス成分由来の低分子量成分が染み出し易い傾向があり、現像特性の悪化要因に繋がる恐れが高い。従って、本発明のトナーが含有するワックス成分は、トナー粒子内部のコア層に存在する構造が最も環境安定性が高まるために好ましい。
尚、上記平均円形度、及び小粒子率の上記範囲への調整方法、並びに、上記コアシェル構造を達成する方法としては、水系媒体中でトナー粒子を製造する方法が好適に例示できる。水系媒体中でトナー粒子を製造した場合、トナー粒子の各構成材料のSP(溶解パラメーター)値差を利用したコアシェル構造制御や、高い円形度のトナー粒子が得られ易く、粉砕法トナーと比べて粒度分布もシャープで小粒子率の制御も可能である。また、先に説明した微小圧縮試験におけるZ(25)とR(25)についても、上記コアシェル構造を形成することで、所望の範囲に調整することができる。
本発明に用いられるトナー粒子は、スルホン酸基、スルホン酸塩基若しくはスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体(以下、スルホン酸基等を有する重合体等ともいう)を含有することが、更に好ましい形態として挙げられる。
スルホン酸基、スルホン酸塩基若しくはスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体は、帯電量の維持能力が高い。従って、高温高湿環境においてはカブリの抑制等に効果を発揮するが、低温低湿環境においてはトナー粒子のチャージアップを引き起こし易い傾向があり、添加量の調整等工夫が必要であった。しかし、本発明のトナーにおいて、トナー粒子に水酸基を有するビニル系共重合体、及び、スルホン酸基、スルホン酸塩基若しくはスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体を含有する場合、低温低湿環境において樹脂同士の相互作用と思われる帯電量の安定化が図られるため、全環境において安定した帯電特性を示すことが可能となる。
上記スルホン酸基等を有する重合体等を製造するためのスルホン酸基を有する単量体としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸が例示できる。
本発明に用いられるスルホン酸基等を含有する重合体等は、上記単量体の単重合体であっても構わないが、上記単量体と他の単量体との共重合体であっても構わない。上記単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。
そして上記スルホン酸基等を有する重合体等の含有量は、上記結着樹脂を構成するための重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し、0.01乃至5.0質量部であることが好ましい。より好ましくは、0.1乃至3.0質量部である。
上記スルホン酸基等を有する重合体等が0.01乃至5.00質量部の場合には、十分な帯電性がとれ安定した現像特性を得ることができる。さらに、ポジ成分を有する分散安定剤を用いる水系媒体中での造粒工程においては、電気2重層の形成を強めるために、トナー粒子サイズのシャープな分布を得ることが出来る。
本発明のトナーに用いられるトナー粒子は、カルボン酸基を有する重合体または共重合体(以下、カルボン酸基を有する重合体等ともいう)を含有することが更に好ましい形態として挙げられる。
カルボン酸基を有する重合体等は、上記水酸基を有するビニル系共重合体とほぼ同極性を示すため互いの相溶性が極めて良く、本発明の効果を阻害することなく環境特性をより向上させる機能を果す。
本発明に用いることのできるカルボン酸基を有する重合体等は、結着樹脂との相溶性の観点から、結着樹脂と同組成のものを含むことが好ましい。本発明に使用できるカルボン酸基を有する重合体等は、スチレン系のアクリル酸共重合体、スチレン系のメタクリル酸共重合体、スチレン系のマレイン酸共重合体等が好ましく、スチレン−アクリル−アクリル酸系共重合体が帯電量を制御し易く特に好ましい。
尚、カルボン酸基を有する重合体等として、スチレン系の共重合体を使用する場合は、残留スチレンが0乃至300ppmの範囲のものが、カルボン酸基を有する重合体等と結着樹脂との馴染みを良好にするために好ましい。
上記カルボン酸基を有する重合体等は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、メインピーク分子量(Mp)が8,000乃至250,000であり、重量平均分子量(Mw)が8,000乃至260,000であり、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.05乃至5.00であることが好ましい。また、上記カルボン酸基を有する重合体等の示差走査熱量計(DSC)により測定されるガラス転移温度(Tg)が80乃至120℃であり、上記カルボン酸基を有する重合体等の酸価が5乃至40mgKOH/gであることが、最も効果的な機能を果す上で好ましい。
上記カルボン酸基を有する重合体等の含有量は、トナー粒子を構成する全樹脂成分に対して、1乃至30質量%であることが好ましい。
本発明のトナーは、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、メインピークの分子量(MpA)が10,000乃至40,000であることが好ましい。より好ましくは15,000乃至35,000である。
MpAが10,000乃至40,000の場合には、低温定着時に樹脂成分の溶融粘度とワックスのブリード性のバランスが良く、安定した定着性可能温度域が得られる。
MpAが15,000乃至35,000の場合には、上記効果はより向上する。
尚、上記MpAは、結着樹脂製造時或いはトナー製造時の重合条件(温度、開始剤種、及び開始剤量)等を調整することで上記範囲に制御することが可能である。
本発明のトナーにおいて、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分中におけるシクロヘキサン(CHX)不溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、メインピークの分子量(MpB)が10,000乃至250,000であることが好ましい。より好ましくは10,000乃至100,000である。
本発明におけるMpBに相当する樹脂が、水酸基を有するビニル系共重合体であって、80乃至120℃の高いガラス転移温度を有するものであり、メインピークの分子量が10,000乃至250,000の場合には、結着樹脂との相溶性が良好で、トナー粒子の強度を高める効果と現像耐久安定性を高める効果が有効に発揮される。
尚、上記MpBは、水酸基を有するビニル系共重合体の製造時の重合条件(温度、開始剤種、開始剤量等)及びトナー製造時の重合条件(温度、開始剤種、開始剤量等)等を調整することで上記範囲に制御することが可能である。
また、本発明のトナーが、上記カルボン酸基を有する重合体等を含有する場合、当該重合体等もTHF可溶分中におけるCHX不溶分を含むため、上記MpBの調整の際には考慮が必要である。
本発明のトナーは、下記構造式(1)及び(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のエーテル化合物を更に含有していることが好ましい。
Figure 0005448406
〔前記構造式(1)及び(2)中、R乃至R11は、独立して、炭素数1乃至6までのアルキル基である。〕
明確な理由は明らかではないが、上記で示すエーテル化合物は、極性が水分子と樹脂成分の間に位置するものであり、本発明のトナーが含有する結着樹脂成分と水酸基を有するビニル系共重合体との相溶性を高める性質があるために、環境依存性の少ない安定した帯電特性に効果を発揮するものと考える。
上記構造式(1)及び(2)で示される化合物において、式中にあるR乃至R11は、炭素数1乃至6のアルキル基であることが好ましい。より好ましくは、炭素数1乃至4のアルキル基である。
上記R乃至R11が炭素数1乃至6のアルキル基である場合には、疎水性と親水性のバランスが良く、適度な極性が本発明の樹脂成分の相溶効果をより高めることができ、帯電安定化に優れるため好ましい。
一方、上記エーテル化合物は、結着樹脂との相溶性に優れているために、トナーに含有させた場合には、均一に近い状態で分散されて存在すると考えられる。また、酸素原子は電気陰性度が高い元素であるため、トナー中に発生した負電荷を非局在化させる。上記エーテル化合物はこの2つの特徴を有するため、上記エーテル化合物の存在は、トナーの負電荷を安定化させる。そのため、上記エーテル化合物を含有させる効果は、本発明のトナーが負摩擦帯電性トナーである場合に特に顕著となる。また、正摩擦帯電性の場合にもチャージアップを抑制する効果を有する。
さらに、上記エーテル化合物は三級炭素を有しておりバルキーな構造である。三級炭素を中心とする官能基は立体障害として機能するため、水の影響を受けにくく電荷のリークが抑制される。しかし、酸素原子に結合している炭素が回転運動することにより、立体障害となりうる官能基も動くことができ、摩擦帯電のリークに関与する水分子が小さな分子であるため、完全な立体障害とはならない。その結果、三級炭素を中心とする官能基は、適度な立体障害としての機能を果たす。
したがって、上述の極性を有する樹脂と上記エーテル化合物を組み合わせることによって、従来内層樹脂全体の電荷安定化効果に寄与していたものが、外層樹脂中においても電荷安定化効果に寄与するようにできる。その為、高温高湿環境及び低温低湿環境において、トナー全体としての摩擦電荷のバランスが優れたトナーを得ることができる。
上記エーテル化合物は、上記のような効果を十分に発現するためには、5乃至1,000ppmの範囲でトナーに含有されていることが好ましい。より好ましくは10乃至800ppmである。さらに好ましくは10乃至500ppmである。上記エーテル化合物は、上記構造の化合物が1種以上含有されていることが好ましく、別の構造のエーテル化合物が含まれていても構わない。その際の含有量は、含有されているエーテル化合物量の総和とする。また、上記エーテル化合物のトナー中の含有量が5乃至1000ppmの場合には、良好な摩擦帯電量が得られる。
上記エーテル化合物の構造の一例として、以下のような構造が挙げられる。
Figure 0005448406
次に、本発明の効果をより安定して発揮するための好ましい構成について説明する。
本発明のトナーは、重量平均粒径(D4)が4.5μm以上、8.5μm以下であることが好ましい。D4の値が4.5μm未満である場合、微小な粒子の割合が増えるためトナー粒子において構成成分の偏析が起こりやすく、環境によっては帯電安定性の乱れや部材汚染の進行が促進される恐れがある。D4の値が8.5μmを超える場合は、高精細な画像品質を満足する微小な潜像ドットの現像性が劣る恐れがある
以下に、本発明で用いられる材料について説明する。
本発明で用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体等のスチレン系共重合体;アクリル樹脂;メタクリル樹脂;ポリ酢酸ビニール;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;フラン樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は混合して使用される。
上記スチレン共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドジテル、アクリ
ル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸及びその置換体;塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレンのようなエチレン系オレフィン;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテルが挙げられる。これらビニルモノマーが単独もしくは2つ以上用いられる。
本発明のトナーを重合方法で製造する際に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。前記ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンのようなビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、
テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
本発明においては、前記した単官能性重合性単量体を単独で或いは2種以上組み合わせて、又は前記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用することが可能である。多官能性重合性単量体は架橋剤としても作用するため、分岐度を制御する上で有効である。
本発明のトナーは、結着樹脂成分の分子量及び分岐度を制御する手段として、結着樹脂の合成時に架橋剤を用いることが好ましい。
本発明に用いられる架橋剤において、2官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)、及び上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたもの。
多官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテート。これらの架橋剤の添加量は、前記単量体100質量部に対して、好ましくは0.05乃至10質量部、より好ましくは0.1乃至5質量部である。
本発明に用いられる重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が用いられる。好ましくは、重合反応時の反応温度における半減期が0.5乃至30時間のものである。また重合性単量体100質量部に対し0.5乃至20質量部の添加量で重合反応を行うと、通常、分子量1万乃至10万の間に極大を有する重合体が得られ、適当な強度と溶融特性を有するトナーを得ることができる。
重合開始剤としては、以下の、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル如きのアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド如きの過酸化物系重合開始剤等が例示できる。
特に好ましくは、重合反応中の分解時にエーテル化合物を生成するような重合開始剤である。当該エーテル化合物は、上記構造式(1)又は(2)で表される化合物であることが好ましい。
また本発明のトナーを製造する場合においては、本発明のトナーを好ましい分子量分布にするために、低分子量ポリマーを添加することが好ましい。低分子量ポリマーは、粉砕法でトナーを製造する場合には、結着樹脂等と溶融混練する際に添加することができ、ま
た懸濁重合法によってトナーを製造する場合には、重合性単量体組成物中に添加することができる。該低分子量ポリマーとしては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が2,000乃至5,000の範囲で、且つ、Mw/Mnが4.5未満、好ましくは3.0未満のものが好ましい。
低分子量ポリマーの例としては、低分子量ポリスチレン、低分子量スチレン−アクリル酸エステル共重合体、低分子量スチレン−アクリル共重合体が挙げられる。
本発明において、上述の結着樹脂と共にポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂の如き極性樹脂を併用することもできる。
本発明に用いられるワックス成分としては以下のものが挙げられる。
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム如きの石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体。誘導体としては酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物などが挙げられる。さらには、以下のものが挙げられる。高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸の如きの脂肪酸;酸アミドワックス;エステルワックス;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックス。この中で特に、離型性に優れるという観点からエステルワックス及び炭化水素ワックスが好ましい。更に本発明のトナーにおいては、懸濁重合法によりトナーを製造する場合、コアシェル構造の強度維持と苛酷な条件下での現像出力においてもワックスの染み出しによる現像性低下抑制に効力のある炭化水素系ワックスを用いることがより好ましい。
上記ワックス成分は結着樹脂100質量部に対し4乃至25質量部を含有させることが好ましい。ワックス成分が4乃至25質量部の場合には、トナーの加熱加圧時に適度なワックス成分のブリード性を持てることにより、優れた離型効果を発揮する。また、現像器内でトナーが受ける様々なストレスにより、ワックス成分がトナー表面に染み出すことも抑えられ、トナー個々の均一な摩擦帯電性を得ることができる。
本発明のトナーは、着色力を付与するために着色剤を必須成分として含有する。本発明に好ましく使用される着色剤として、以下の有機顔料若しくは染料、又は無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150
、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、及び上記イエロー系、マゼンタ系及びシアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
本発明において重合法を用いてトナー粒子を製造する場合には、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要がある。好ましくは、表面改質、例えば、重合阻害のない物質による疎水化処理を着色剤に施しておいたほうが良い。特に、染料系やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。染料系を表面処理する好ましい方法としては、あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体系に添加する方法が挙げられる。
また、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサンで処理を行っても良い。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。該着色剤は、好ましくは結着樹脂100質量部に対し1乃至20質量部添加して用いられる。
本発明のトナーにおいて、着色剤として磁性材料を含有させ磁性トナーとすることも可能である。この場合、磁性材料は着色剤の役割をかねることもできる。磁性材料としては、以下の、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト如きの酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムの如き金属の合金及びその混合物等が例示できる。
上記磁性体は、より好ましくは、表面改質された磁性体が好ましい。重合法により磁性トナーを調整する場合には、重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものが好ましい。このような表面改質剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤を挙げることができる。
これらの磁性体は個数平均粒径が2μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1乃至0.5μmである。当該磁性体の含有量は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し、20乃至200質量部であることが好ましく、より好ましくは結着樹脂100質量部に対し40乃至150質量部である。
本発明のトナーにおいては、先に説明したスルホン酸基等を側鎖に持つ高分子とは別に、或いは共に、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子と混合して用いることも可能である。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤の例として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、有機金属化合物、キレート化合物が挙げられる。具体的には、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類が挙げられる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
また、荷電制御剤の例として、トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
本発明のトナーは、これら荷電制御剤を単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。これら荷電制御剤の中でも、本発明の効果を十分に発揮するためには、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムが好ましい。最も好ましい荷電制御剤としては、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物である。
荷電制御剤の好ましい配合量は、結着樹脂100質量部に対して0.01乃至20質量部、より好ましくは0.5乃至10質量部である。しかしながら、本発明のトナーには、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層厚規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含ませる必要はない。
本発明のトナーは、十分な構造強度と高い現像耐久特性及び低温定着特性を得るために、水系媒体中で重合反応を行うことで、コアシェル構造を有するトナー粒子を製造することが好ましい。
水系媒体中でトナー粒子を製造する方法としては、以下の方法が挙げられる。トナー必須成分から構成される乳化液を水系媒体中で凝集させる乳化凝集法;有機溶媒中にトナー必須成分を溶解させた後、水系媒体中で造粒後有機溶媒を揮発させる懸濁造粒法;トナー必須成分を溶解させた重合性単量体を直接水系媒体中で造粒後重合する懸濁重合法や乳化重合法;その後シード重合を利用しトナーに外層を設ける方法;界面重縮合や液中乾燥に
代表されるマイクロカプセル法。
これらの中で、本発明の作用効果を発揮しやすいものとして、特に懸濁重合法が好ましい。この懸濁重合法においては、重合性単量体にワックス成分及び着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、帯電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて重合性単量体組成物とする。その後、この重合性単量体組成物を、分散剤を含有する水系媒体中に適当な撹拌器を用いて分散し、そして重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。上記トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、表面処理剤で表面が処理された無機微粉体を混合し表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。
尚、重合反応を効率的に進行させる方法として、反応容器内の溶存酸素を管理することが好ましい。溶存酸素が少なければ重合反応は効率化する。その結果、現像耐久性や定着性に悪影響を及ぼす低分子量成分が抑制でき、安定した性能を発揮できる。
上記水系媒体の調製時に使用する分散剤としては、公知の無機系及び有機系の分散剤を用いることができる。
具体的には、無機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。
また、有機系の分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
また、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。この様な界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム。
本発明のトナーに用いられる水系媒体の調製時に使用する分散剤としては、無機系の難水溶性の分散剤が好ましく、しかも酸に可溶性である難水溶性無機分散剤を用いることが好ましい。
本発明においては、上記分散剤を用い、水系媒体を調製する場合に、これらの分散剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.2乃至2.0質量部であることが好ましい。また、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して300乃至3,000質量部の水を用いて水系媒体を調製することが好ましい。
本発明において、上記のような分散剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散剤をそのまま用いて分散させてもよい。しかし、細かい均一な粒度を有する分散剤粒子を得るために、水の如き液媒体中で、高速撹拌下、上記したような難水溶性無機分散剤を生成させて水系分散媒体を調製してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散剤を得ることができる。
また、本発明のトナーは、上記表面処理剤で表面が処理された無機微粉体に加えて更にシリカ、酸化チタン、アルミナまたはそれらの複酸化物の如き微粉体を併用することができる。
特に、上記表面処理剤で表面が処理された無機微粉体がシリカで有る場合は、粒径の異なるシリカや酸化チタンとの併用が好ましい。
上記表面処理剤で表面が処理された無機微粉体がシリカで有る場合、当該シリカに加えて添加される微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の摩擦帯電の均一化、トナー粒子の現像耐久性向上のために添加される。また、これら微粉体も疎水化処理することによって、トナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上等の機能を付与することができるので、疎水化処理された微粉体を用いることが好ましい。トナーに添加された無機微粉体等が吸湿すると、トナーとしての摩擦帯電量が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。
上記微粉体の疎水化処理の処理剤としては、以下のものが挙げられる。未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物。これらの如き処理剤は単独で或いは併用して用いられても良い。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された微粉体が好ましい。より好ましくは、微粉体をカップリング剤で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したシリコーンオイル処理された疎水化処理微粉体が高湿環境下でもトナー粒子の摩擦帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上でよい。
次に本発明のトナーを用いることのできる画像形成方法の一例を、図2及び図3を用いて説明する。
図3は、本発明のトナーを用いて画像形成を行うのに好適な画像形成装置の一例として、非磁性一成分接触現像方式を採用したタンデム型のカラーLBP(カラーレーザープリンタ)の断面図を示す。また、図2は該画像形成装置に装着することのできるプロセスカートリッジの断面模式図である。
上記画像形成方法についてその一例を、図面を参照しながら以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<プロセスカートリッジ>
図2は、本発明のトナーを用いて画像形成を行うのに好適な画像形成装置に用いることのできる、プロセスカートリッジ7(以下、「カートリッジ」ともいう。)の断面模式図である。
カートリッジ7は、感光体ドラム1と、帯電手段2及びクリーニング手段6を備えたクリーナユニット50と、感光体ドラム1に形成された静電潜像を現像する現像手段を有する現像ユニット4Aとを有する。クリーナユニット50を構成するクリーニング枠体31には、感光体ドラム1が軸受部材(不図示)を介して回転自在に取り付けられている。
感光体ドラム1には、感光体ドラム1の外周面に設けられた感光層を一様に帯電させるための帯電ローラー2、転写後に感光体ドラム1上に残った現像剤(残留トナー)を除去するためのクリーニングブレード60が接触している。クリーニングブレード60によって感光体ドラム1表面から除去されたトナー(除去トナー)は、クリーニング枠体31に設けられた除去トナー収納室35に納められる。
現像ユニット4Aは、トナーを収容する現像枠体45(45a、45b、45e)を有しており、現像ローラー40(矢印Y方向に回転)が軸受部材を介して回転自在に現像枠体45に支持されている。また、現像ローラー40と接触してトナー供給ローラー43(矢印Z方向に回転)とトナー規制部材44がそれぞれ設けられている。さらに現像枠体45には収容されたトナーを撹拌するとともにトナー供給ローラー43に搬送するためのトナー搬送機構42が設けられている。
そして、現像ユニット4Aがクリーナユニット50に対して揺動自在に支持されている。すなわち、現像枠体45の両端に設けた結合穴47、48とクリーナユニット50のクリーニング枠体31両端に設けた支持穴(不図示)を合わせ、クリーナユニット50両端
からピン(不図示)を差し込んでいる。
また、支持穴を回転軸中心として現像ローラー40が感光体ドラム1に接触するように加圧バネ(不図示)によって現像ユニット4Aが常に付勢されている。
現像時には、トナー容器41内に収納されたトナーがトナー攪拌機構42によってトナー供給ローラー43へ搬送される。トナー供給ローラー43が、現像ローラー40との摺擦によって現像ローラー40にトナーを供給し、現像ローラー40上にトナーを付着させる。現像ローラー40上に付着されたトナーは、現像ローラー40の回転にともなってトナー規制部材44のところに至る。そして、トナー規制部材44がトナーを規制して所定のトナー薄層を形成し、所望の帯電電荷量を付与する。現像ローラー40上で薄層化されたトナーは、現像ローラー40の回転につれて、感光体ドラム1と現像ローラー40とが接近した現像部に搬送される。そして、現像部において、電源(不図示)から現像ローラー40に印加した現像バイアスにより、感光体ドラム1の表面に形成されている静電潜像に付着して、潜像を現像化する。静電潜像の現像化に寄与せずに現像ローラー40の表面に残留したトナーは、現像ローラー40の回転にともなって現像枠体45内に戻される。そして、トナー供給ローラー43との摺擦部で現像ローラー40から剥離、回収される。回収されたトナーは、トナー攪拌機構42により残りのトナーと撹拌混合される。
ここで現像ローラー40には弾性ローラーを用い、これを感光体ドラム1表面と接触さ
せる方法を用いることができる。一般にトナー担持体と感光体が接触する現像方式においては、トナーの破損、変形が生じやすくなるが、本発明記載のトナーを用いた場合にはこうした変化を効果的に抑制することが出来るため、好ましい。
トナー担持体と感光体が接触する現像方式では、トナーを介して感光体と感光体表面に対向する弾性ローラー間に働く電界によって現像が行われる。従って弾性ローラー表面或いは表面近傍が電位を持ち、感光体表面とトナー担持体表面の狭い間隙で電界を有する必要性がある。このため、弾性ローラーの弾性ゴムが中抵抗領域に抵抗制御されて感光体表面との導通を防ぎつつ電界を保つか、または導電性ローラーの表面層に薄層の絶縁層を設ける方法が利用できる。さらには、該導電性ローラー上に感光体表面に対向する側を絶縁性物質により被覆した導電性樹脂スリーブ或いは、絶縁性スリーブで感光体に対向しない側に導電層を設けた構成も可能である。また、トナー担持体として剛体ローラーを用い、感光体をベルトの如きフレキシブルな物とした構成も可能である。トナー担持体としてのローラーの抵抗値としては102〜109Ω・cmの範囲が好ましい。
トナー担持体の表面形状としては、その表面粗さRa(μm)を0.1〜3.0となるように設定すると、高画質及び高耐久性を両立できる。該表面粗さRaはトナー搬送能力及びトナー帯電能力と相関する。該トナー担持体の表面粗さRaが3.0を超えると、該トナー担持体上のトナー層の薄層化が困難となるばかりか、トナーの帯電性が改善されないので画質の向上は望めない。3.0以下にすることでトナー担持体表面のトナーの搬送能力を抑制し、該トナー担持体上のトナー層を薄層化すると共に、該トナー担持体とトナーの接触回数が多くなるため、該トナーの帯電性も改善されるので相乗的に画質が向上する。一方、表面粗さRaが0.1よりも小さくなると、トナーコート量の制御が難しくなる。
本発明において、トナー担持体の表面粗さRaは、日本工業規格(JIS)B06014.2.1項(改正年月日2001年1月20日、確認年月日2005年7月20日)に定める算術平均粗さである。本発明においては、表面粗さ測定器(小坂研究所社製サーフコーダSE3500)を用い、トナー担持体表面の任意の1点より、トナー担持体回転軸と平行となる方向に測定を行った。なお、カットオフ値は0.8mm、測定長さは2.5mm、測定速度は0.1mm/秒とした。
図2の画像形成方法においては、トナー担持体は感光体の周速同方向に回転しているが、逆方向に回転していてもよい。その回転が同方向である場合、トナー担持体の周速を感光体の周速に対し1.05〜3.0倍となるように設定することが好ましい。
トナー担持体の周速が、感光体の周速に対し1.05倍未満であると、感光体上のトナ
ーの受ける撹拌効果が不十分となり、良好な画像品質が望めない。また、周速比が3.0を超える場合には、機械的ストレスによるトナーの劣化やトナー担持体へのトナー固着が発生、促進され、好ましくない。
トナー担持体が弾性ローラーである場合、表面に弾性層を有する構造のものが好ましく用いられる。該弾性ローラーに使用される弾性層の材料の硬度としては、30〜60度(ASKER−C/荷重1kg)のものが好適に使用される。
また、トナーコート量はトナー規制部材44により制御されるが、このトナー規制部材44はトナー層を介して現像ローラー40に接触している。この時のトナー規制部材44と現像ローラー40との接触圧は、線圧として0.05N/cm以上0.5N/cm以下が好ましい範囲である。
尚、線圧とはトナー規制部材の長さ当たりに加えられる荷重のことであり、例えば1mの当接長さを有するトナー規制部材に1.2Nの荷重を加えて現像ローラーに接触させた場合、線圧は1.2N/mとなる。線圧が0.05N/cmよりも小さいとトナーコート量の制御に加え均一な摩擦帯電も難しくなり、カブリの悪化等の原因となる。一方、線圧が0.5N/cmよりも大きくなるとトナー粒子が過剰な負荷を受けるため、粒子の変形やトナー規制部材或いは現像ローラーへのトナーの融着等が発生しやすくなり、好ましくない。
トナー規制部材44の自由端部はどのような形状でもよく、例えば断面形状が直線状のもの以外にも、先端近傍で屈曲したL字形状のものや、先端近傍が球状に膨らんだ形状のもの等が好適に用いられる。
トナー規制部材としては、基材としてステンレス、鋼、リン青銅の如き金属弾性体を用い、スリーブ当接部に当る部位に樹脂を接着あるいはコーティング塗布したものが好適に用いられる。
またさらに、トナー規制部材に直流電場及び/または交流電場を印加することによっても、トナーへのほぐし作用のため、均一薄層塗布性、均一帯電性がより向上し、充分な画像濃度の達成及び良質の画像を得ることができる。
<画像形成装置>
図3は、本発明のトナーを用いて画像形成を行うのに好適な画像形成装置の一例を示す断面模式図である。 画像形成装置100は4個の画像形成ステーションPa、Pb、P
c、Pdを縦方向に並設している。そして、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdには、各々、装着手段(不図示)によってプロセスカートリッジ7(7a、7b、7c、7d)が着脱可能に装着される。なお、マゼンタ色、シアン色、イエロー色、ブラック色の各カートリッジ7a、7b、7c、7dは同一構成である。
本模式図では、画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、縦方向に僅かに傾斜して並設されているが、傾斜することなく縦方向に整列して設けてもよい。また、プロセスカートリッジ7は、図2に例示したものと同じであっても良いし、異なっていても良い。
各カートリッジ7(7a、7b、7c、7d)は、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)を備えている。感光体ドラム1は、駆動手段(不図示)によって、同図中、反時計回りに回転駆動される。感光体ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に以下の手段が設けられている。(A)感光体ドラム1表面を均一に帯電する帯電手段2(2a、2b、2c、2d)。(B)画像情報に基づいてレーザービームを照射し感光体ドラム1に静電潜像を形成するスキャナユニット3(3a、3b、3c、3d)。(C)静電潜像に現像剤(以下、「トナー」という。)を付着させてトナー像として現像する現像手段4(4a、4b、4c、4d)。(D)感光体ドラム1上のトナー像を記録媒体Sに転写させる静電転写装置5。(E)転写後の感光体ドラム1表面に残ったトナーを除去するクリーニング手段6(6a、6b、6c、6d)。
ここで、感光体ドラム1と、プロセス手段である、帯電手段2、現像手段4、クリーニング手段6は、カートリッジ枠体により一体的に構成してカートリッジ化されカートリッ
ジ7を構成している。
感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)は、シリンダの外周面に感光層を設けて構成したものである。感光体ドラム1は、その両端部を支持部材によって回転自在に支持されている。そして、一方の端部に駆動モータ(不図示)からの駆動力が伝達されることにより、反時計周りに回転駆動される。
上記感光体としては、a−Se、CdS、ZnO2、OPC、a−Siの様な光導電絶
縁物質層を持つ感光体ドラムが好適に使用される。また、上記OPC感光体における有機系感光層の結着樹脂は、特に限定するものではない。中でもポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が特に、転写性に優れ、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくいため好ましい。
帯電手段2(2a、2b、2c、2d)としては、接触帯電方式のものを使用している。帯電手段2は、ローラー状に形成された導電性ローラーである。このローラーを感光体ドラム1表面に当接させるとともに、このローラーに帯電バイアス電圧を印加する。これにより、感光体ドラム1表面を一様に帯電させる。
帯電ローラーを用いた時の好ましいプロセス条件としては、ローラーの当接圧が線圧として0.05〜5N/cmである。また印加電圧としては、直流電圧或いは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好適に用いられる。直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた時には、交流電圧=0.5〜5dVpp、交流周波数=50Hz〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±1.5kVであることが好ましい。また、直流電圧を用いた時には、直流電圧=±0.2〜±5kVであることが好ましい。
帯電ローラー以外の帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、非接触のコロナ帯電に比べて、高電圧が不必要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。接触帯電手段としての帯電ローラー及び帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜を設けても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
スキャナユニット3(3a、3b、3c、3d)は、レーザーダイオード(不図示)によって画像信号に対応する画像光が、高速回転されるポリゴンミラー(不図示)及び結像レンズ(不図示)を介して帯電済みの感光体ドラム1表面を画像情報に応じ露光する。これによって、感光体ドラムに静電潜像を形成する。
現像手段4(4a、4b、4c、4d)は、マゼンタ色、シアン色、イエロー色、ブラック色の各色のトナーを夫々収納したトナー容器41から構成され、トナー容器41内のトナーをトナー搬送機構42によってトナー供給ローラー43へ送り込む。
前記トナー供給ローラー43は、図示時計方向に回転し、トナー担持体としての現像ローラー40へのトナーの供給、及び、静電潜像の現像化に寄与せず現像ローラー40上に残留したトナーのはぎとりを行う。
現像ローラー40へ供給されたトナーは、現像ローラー40外周に圧接されたトナー規制部材44によって現像ローラー40(時計回り方向に回転)の外周に塗布され、且つ電荷を付与される。そして、潜像が形成された感光体ドラム1と対向した現像ローラー40に現像バイアスを印加する。そして、潜像に応じて感光体ドラム1上にトナー現像を行う。
静電転写装置5には、すべての感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)に対向し、接するように循環移動する静電転写ベルト11が設けられている。この転写ベルト11は、駆動ローラー13、従動ローラー14a、14b、テンションローラー15に張架されていて、図中左側の外周面に記録媒体Sを静電吸着する。そして、転写ベルト11は、感光体ドラム1に記録媒体Sを接触させるべく循環移動する。これにより、記録媒体Sは転写ベルト11により転写位置まで搬送され、感光体ドラム1上のトナー像を転写される。
この転写ベルト11の内側に当接し、4個の感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)に対向した位置に転写ローラー12(12a、12b、12c、12d)が並設される。これら転写ローラー12には、転写時にバイアスが印加されて、電荷が静電転写ベルト
11を介して記録媒体Sに印加される。このとき生じた電界により、感光体ドラム1に接触中の記録媒体Sに、感光体ドラム1上のトナー像が転写される。
給送部16は、画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdに記録媒体Sを給送搬送するものである。給送部16には、複数枚の記録媒体Sがカセット17に収納されている。画像形成時には給送ローラー18(半月ローラー)、レジストローラー19が画像形成動作に応じて駆動回転する。給送ローラー18は、カセット17内の記録媒体Sを1枚毎に分離給送した後、レジストローラー19に記録媒体S先端を突き当てて一旦停止させる。その後レジストローラー19は、転写ベルト11の回転と画像書出し位置の同期をとって、記録媒体Sを静電転写ベルト11へと給送する。
定着部20は、記録媒体Sに転写された複数色のトナー画像を定着させるものである。そして、定着部20は、加熱ローラー21aと、これに圧接して記録媒体Sに熱及び圧力を与える加圧ローラー21bとを有する。即ち、感光体ドラム1に形成されたトナー像を転写された記録媒体Sは定着部20を通過する際に、加圧ローラー21bで搬送されるとともに、加熱ローラー21aによって熱及び圧力を与えられる。これによって複数色のトナー像が記録媒体S表面に定着される。
画像形成の動作としては、カートリッジ7(7a、7b、7c、7d)が、画像形成タイミングに合わせて順次駆動される。そして、その駆動に応じて感光体ドラム1a、1b、1c、1dが、反時計回り方向に回転駆動される。そして、各々のカートリッジ7に対応するスキャナユニット3が順次駆動される。この駆動により、帯電ローラー2は感光体ドラム1の周面に一様な電荷を付与する。そして、スキャナユニット3は、その感光体ドラム1周面に画像信号に応じて露光を行って感光体ドラム1周面に静電潜像を形成する。現像手段4内の現像ローラー40は、静電潜像の低電位部にトナーを転移させて感光体ドラム1周面上にトナー像を形成(現像)する。
最上流の感光体ドラム1の周面上に形成されたトナー像の先端が、転写ベルト11との対向点に回転搬送されてくるタイミングで、その対向点に記録媒体Sの印字開始位置が一致するようにレジストローラー19が回転し記録媒体Sを転写ベルト11へ給送する。
記録媒体Sは吸着ローラー22と転写ベルト11とによって挟み込むようにして転写ベルト11の外周に圧接される。そして、転写ベルト11と吸着ローラー22との間に電圧を印加する。そして、誘電体である記録媒体Sと転写ベルト11の誘電体層に電荷を誘起して、記録媒体Sを転写ベルト11の外周に静電吸着させている。これにより、記録媒体Sは静電転写ベルト11に安定して吸着され、最下流の転写部まで搬送される。
このように搬送されながら記録媒体Sは、各感光体ドラム1と転写ローラー12との間に形成される電界によって、各感光体ドラム1のトナー像を順次転写される。
4色のトナー像を転写された記録媒体Sは、ベルト駆動ローラー13の曲率により静電転写ベルト11から曲率分離され、定着部20に搬入される。記録媒体Sは、定着部20で上記トナー像を熱定着された後、排紙ローラー23によって、排紙部24から画像面を下にした状態で本体外に排出される。
以下に、本発明にかかる物性値の測定方法について説明する。
(1)トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分中におけるシクロヘキサン(CHX)不溶分の抽出方法および含有量の測定方法
本発明のトナーにおけるTHF可溶分中におけるCHX不溶分の抽出方法及び含有量の測定方法は、以下の方法を用いることができる。
測定対象のトナーとTHFとを450mg/mlの濃度で混合し、室温にて10時間、試料の合一体がなくなるまで充分に振とうし、THFと試料を良く混ぜ、更に7日間静置する。その後、上記溶解液を冷却高速遠心機(例えばH−9R(コクサン社製))を用い、10℃環境にて15000r/minで60分間遠心分離することで、上澄み液と沈降物とに分離し上澄み液を採取する。さらに上澄み液を窒素ガスにてバブリングしながら上澄み液を50%減少させ濃縮液[X]を作製する。
その後、シクロヘキサン100ml中に、上記濃縮液5mlを添加し不溶分を生成させ
る。不溶分が生成した液を冷却高速遠心機(例えばH−9R(コクサン社製))を用い、10℃環境にて15000r/minで60分間遠心分離することで、上澄み液と沈降物(シクロヘキサン不溶分)とに分離して、上澄み液を除去する。
除去後の沈殿物を室温にて24時間静置させた後、真空乾燥機(40℃)において24時間脱溶媒をし、THFを除去して、THF可溶分中のシクロヘキサンに対して不溶分となった成分(A)を採取する。
トナーに対するTHF可溶分中のシクロヘキサン不溶分の含有量は、以下のように計算する。
CHX不溶分含有量(質量%)=(A)/トナー質量×100
また、上記手法で抽出した樹脂成分の同定は、IRやNMR等の分析装置を用いることで、ビニル系樹脂かポリエステル系樹脂の判別を行うことが出来る。
なお、本発明において、トナーのTHF可溶分は、上記濃縮液[X]を室温にて24時間風乾させた後、真空乾燥機(40℃)において48時間脱溶媒をし、得られた固形成分である。
(2)上記トナーのTHF可溶分及びCHX不溶分の分子量測定
上記トナーのTHF可溶分及びCHX不溶分の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。試料(固形物)をTHFに分散し溶解後、24時間静置した後、0.2μmフィルターで濾過し、その濾過を試料として用いる。試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
カラムとしては、1×10〜2×10の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせるのが良く、昭和電工社製のshodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連カラムの組合せを用いる。
(3)水酸基価を有するビニル系共重合体、及びCHX不溶分の水酸基価の測定方法
本発明において、水酸基価を有するビニル系共重合体、及びトナーのTHF可溶分中におけるCHX不溶分の水酸基価(JIS水酸基価)は、以下の方法により求める。
水酸基価とは,試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。結着樹脂の水酸基価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(ア)試薬の準備
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム35gを20mlの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1リットル(l)とする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶
液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.5モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.5モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(イ)操作
(A)本試験
粉砕した結着樹脂の試料1.0gを200ml丸底フラスコに精秤し、これに前記のアセチル化試薬5.0mlを、ホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、約97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5mlで漏斗およびフラスコの壁を洗う。
指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
樹脂等の試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(ウ)得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:結着樹脂の酸価(mgKOH/g)である。
(4)トナー及び上記CHX不溶分のガラス転移温度(TgA及びTgB)
本発明におけるトナーのガラス転移温度(TgA)及び最大吸熱ピークの温度(P1)、並びにCHXに不溶分のガラス転移温度(TgB)は、示差走査熱量計(DSC測定装置)Q1000(TAインスツルメンツジャパン社製)を用い、ASTM D3418−82に準じて以下のように測定する。
具体的には、上記示差走査熱量計のモジュレーティッドモードを用い、以下の条件にて測定し、昇温1回目のDSC曲線のピーク位置から求める。測定サンプルは約3mgを精密に秤量する。それをアルミニウム製のパン中に入れ、対照用に空のアルミパンを用い、測定範囲20〜140℃の間で測定を行う。
<測定条件>
・温度20℃で5分間平衡を保つ。
・1.0℃/minのモジュレーションをかけ、温度140℃まで1℃/minで昇温。・温度140℃で5分間平衡を保つ。
・温度20℃まで降温。
ここで、ガラス転移温度は、日本工業規格(JIS)K7121 9.3項(制定年月日1987年10月01日、確認年月日2006年03月25日)に定める中間点ガラス転移温度である。また、最大吸熱ピークの温度(P1)は、日本工業規格(JIS)K7121 9.1項(制定年月日1987年10月01日、確認年月日2006年03月25日)に定める融解ピーク温度のうち、高温側のベースラインからのピーク高さが最大となるピーク温度である。
(5)トナーに対する微小圧縮試験を用いた復元率の測定方法
図1を参照しながら微小圧縮試験を用いた復元率の測定方法について説明する。
図1に、本発明のトナーに対する微小圧縮試験により取得されたプロファイル(変位曲線)を示す。横軸はトナーが変形した変位量、縦軸はトナーにかけている荷重量を表している。
本発明において、微小圧縮試験には、(株)エリオニクス製 超微小硬度計ENT1100を用いた。なお、使用圧子には、20μm×20μm四方の平圧子を用いた。
(1−1)は試験を始める前の最初の状態であり、最大荷重2.94×10−4Nに対
し、9.8×10−5N/secのスピードで荷重を掛ける。最大荷重に到達直後は(1−2)の状態であり、このときの変位量をX(μm)とする。(1−2)の状態で0.1secの間その荷重で放置する。(1−3)は放置終了直後の状態を示しており、このときの最大変位量をX(μm)とする。さらに最大荷重を経て9.8×10−5N/secのスピードで除荷し、荷重が0になったときが(1−4)の状態である。このときの変位量をX(μm)とする。
復元率Z(25)は100×(X−X)/Xとして求めた。
実際の測定はセラミックセル上にトナーを塗布し、トナーがセル上に分散するように微小なエアーを吹き付ける。そのセルを装置にセットして測定する。
また測定の際にはセルを温度制御が可能な状態にし、このセルの温度を測定温度とした。すなわちZ(25)はセルの温度を25℃として測定した。本発明における微小圧縮試験においては、セルの上にトナーを分散させた後、セルを本体に設置する。その後、セルが測定温度に到達してから10分以上放置した後、測定を開始する。
測定は装置付帯の顕微鏡を覗きながら測定用画面(横幅:160μm 縦幅:120μm)にトナーが1粒で存在しているもの選択する。変位量の誤差を極力無くすため、トナーの個数平均粒径(D1)の±0.2μmのものを選択して測定する。なお、測定用画面から任意のトナーを選択するが、測定画面上でのトナー粒子径の測定手段は超微小硬度計ENT1100付帯のソフトを用いてトナー粒子の長径と短径を測定し、それらから求められるアスペクト比[(長径+短径)/2]の値がD1の±0.2μmとなるトナーを選択して測定した。
測定データに関しては任意の粒子100個を選んで測定し、測定結果として得られたZ(25)について、最大値、最小値からそれぞれ10個を除いた残り80個をデータとして使用し、その80個の相加平均値としてZ(25)を求めた。
また、トナーに対する微小圧縮試験における荷重と変位量をプロットした荷重−変位曲線において、原点(1−1)から最大荷重をかけ終えるまでの荷重−変位曲線の傾きを、R(25)[2.94×10−4/変位量X(N/μm)]とした。
(6)トナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの標準測定方法(SOM)を変更画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトのパルスから粒径への変換設定画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(ア)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(イ)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(ウ)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(エ)前記(イ)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(オ)前記(エ)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(カ)サンプルスタンド内に設置した前記(ア)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(オ)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(キ)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、分析/個数統計値(算術平均)画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
(7)トナーの平均円形度及び平均円相当径の測定
本発明におけるトナーの平均円形度及び平均円相当径とは、フロー式粒子像分析装置によって算出されたものである。
本発明の測定は、フロー式粒子像測定装置を用いる。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積や周囲長等が計測される。
画像処理部で画像信号は、A/D変換され、画像データとして取り込まれ、記憶した画像データに対して、粒子の有無を判別するための画像処理が行われる。
次に、粒子像の輪郭を的確に抽出するための前処理として輪郭強調処理が行われる。
次に、画像データをある適当なスレッシュホールドレベルで2値化する。
画像データをある適当なスレッシュホールドレベルで2値化すると各粒子画像は図4に示すような2値化画像となる。次に、2値化された各粒子画像に対してエッジ点(輪郭を表す輪郭画素)かどうかを判定するとともに、着目しているエッジ点に対して隣合うエッジ点がどの方向にあるかの情報、すなわちチェインコードを生成する。
次に、各粒子像の投影面積Sと周囲長Lを求める。上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
Figure 0005448406
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。
各粒子の円形度を算出後、円形度0.2000乃至1.000の範囲を800分割し、その分割点の中心値と測定粒子数を用いて平均円形度の算出を行う。
また、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)も測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、表1に示す通り、粒径0.06乃至400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。
Figure 0005448406
具体的な測定方法としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを容器中に用意し、その中に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料0.02gを加え、均一に分散させる。分散手段としては、超音波分散機UH−50型(エスエムテー製)に振動子として直径5mmのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40度以上にならないように適宜冷却する。
本発明におけるトナーの円形度及び円相当径の測定は、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー濃度が3000〜10000個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナーを1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、平均円形度及び平均円相当径を求める。
また、本発明において、トナーの、フロー式粒子像分析装置で測定される個数基準の円相当径分布に基づく平均円相当径の1/3以下の粒子径を有する粒子数の、解析される全粒子数に対する割合(小粒子率)は、以下方法で求める。
すなわち、前記測定方法により求めたトナーの個数基準の平均円相当径に対して、該平均円相当径の1/3以下の粒子径を有する粒子個数を求め、全粒子数に対する割合を個数%で算出することにより得られる。
(8)エーテル化合物の定量方法
本発明のトナー中に含まれるエーテル化合物量は、マルチプルヘッドスペース抽出方法により定量する。
(装置及び器具)
ヘッドスペースサンプラーは、株式会社パーキンエルマージャパン製、HS40XL、GC/MSはサーモクエスト株式会社製、TRACEGC、TRACE MSを用いる。
また、マルチプルヘッドスペース抽出方法によるピーク面積の計算は、下記近似式を用いて行うものとする。
Figure 0005448406
サンプルバイアルを、ガスクロマトグラフィー(GC)に接続し、マルチプルヘッドスペース抽出方法を使用して分析する。
(ア)ヘッドスペースサンプラー条件
サンプル量 :50mg
バイアル :22ml
サンプル温度 :120℃
ニードル温度 :150℃
トランスファーライン温度:180℃
保持時間 :60min
加圧時間 :0.25min
注入時間 :0.08min
(イ)GC条件
カラム :HP5−MS(0.25mm、60m)
カラム温度 :40℃(3min)、70℃(2.0℃/min)、150℃(5.0℃/min)、300℃(10.0℃/min)
スプリット比: 50:1
(ウ)器具
密閉容器として、株式会社パーキンエルマージャパン製、ヘッドスペース分析用ガラス製バイアル(22ml)を使用した。
(エ)方法
(1)標準試料の作製
まず、該エーテル化合物定量用の標準サンプルとして、エーテル化合物濃度が1000ppmのメタノール溶液を調製し、この液の5μlを、10μl容積のマイクロシリンジを用いて、22mlのガラス製バイアルに入れ、高温分析用セプタムによりすばやく密栓した。
また、エーテル化合物の構造が不明の場合には、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)あるいは液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)等の分析方法により構造を特定し、特定された物質にて前述の方法により定量することが可能である。
(2)トナー試料の作製
トナー50mgを22mlのガラス製バイアルに入れ、高温分析用セプタムにより密栓しサンプルとした。
(オ)解析
まず、該エーテル化合物の標準サンプルを、定量的マルチプルヘッドスペース抽出方法を使用して測定し、エーテル化合物0.005μl当りの総ピーク面積を求めた(なお、GCの感度は日間変動があるため、エーテル化合物0.005μl当りのピーク面積は測
定毎に調べておく必要がある)。
次に、トナーの定量的マルチプルヘッドスペース抽出方法より求めた総ピーク面積と、エーテル化合物標準サンプルの総ピーク面積から比例計算により測定サンプル中のエーテル化合物体積を求め、算出された値にエーテル化合物の比重を乗じて重量換算を行い、トナー中のエーテル化合物濃度を計算した。
(9)トナーのフローテスター昇温法による100℃での粘度の測定方法
トナーのフローテスター昇温法による100℃での粘度は以下のように求められる。
フローテスターCFT−500A型(島津製作所製)を用いる。試料を1.00g秤量する。これを、成形器を使用し、10MPaの加重で1分間加圧する。
この加圧サンプルを下記の条件で、常温常湿下(温度約20〜30℃、湿度30〜70%RH)でフローテスター測定を行い、100℃での粘度を測定した。測定モードは昇温法とした。
RATE TEMP 4.0 D/M(℃/分)
SET TEMP 50.0 DEG(℃)
MAX TEMP 200.0 DEG
INTERVAL 4.0 DEG
PREHEAT 300.0 SEC(秒)
LOAD 10.0 KGF(kg)
DIE(DIA) 1.0 MM(mm)
DIE(LENG) 1.0 MM
PLUNGER 1.0 CM(cm
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。しかし、これは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の記載において「部」および「%」は特に断りがない場合、全て質量基準である。
(トナーの製造例1)
下記の手順によって重合法トナーを製造した。
60℃に加温したイオン交換水1300質量部に、リン酸三カルシウム9質量部、10%塩酸11質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000r/minにて撹拌し、pH5.2の水系媒体を調製した。
また、下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて100r/minで溶解して溶解液を調製した。
・スチレン 70.0質量部
・n−ブチルアクリレート 30.0質量部
・帯電制御剤FCA1001NS(藤倉化成社製) 1.0質量部
・水酸基含有ビニル重合体1(表2に示す) 20.0質量部

次に上記溶解液に
・C.I.ピグメントブルー15:3 7.0質量部
・帯電制御剤ボントロンE-88(オリエント化学社製) 1.0質量部
・ワックスHNP−51(融点77℃:日本精蝋社製) 10.0質量部
・ジ−t−ブチルエーテル(エーテル化合物1) 0.05質量部
・ジビニルベンゼン 0.25質量部
を加え、その後、混合液を温度60℃に加温した後にTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)にて、9,000r/minにて攪拌し、溶解、分散した。
これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物
を投入し、60℃にてTK式ホモミキサーを用いて10,000r/minで 30分間攪拌し、造粒した。
その後、プロペラ式攪拌装置に移して100r/minで攪拌しつつ、70℃で5時間反応させた後、80℃まで昇温し、更に5時間反応を行い、トナー粒子を製造した。重合反応終了後、該粒子を含むスラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してシアントナー粒子を得た。
上記シアントナー粒子100質量部に対して、流動性向上剤として、ジメチルシリコーンオイル(50cs)20質量%で処理された疎水性シリカ微粉体(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.7質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製
)で3000r/minで15分間混合してシアントナーNo.1を得た。シアントナーNo.1の物性を表3に示す。
(トナーの製造例2)
トナーの製造例1において、水酸基含有ビニル重合体1を表2に示す水酸基含有ビニル重合体2に変更し、更にカルボン酸基含有樹脂として、スチレン-α-メチルスチレン‐メタクリル酸-メタクリル酸メチル共重合体(カルボン酸基含有ビニル重合体1)(スチレ
ン/α−メチルスチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル=80.85/15.00/1.65/2.50、Mp=20,000、Mn=7,900、Mw=19,000、Mw/Mn=2.4、Tg=99℃、酸価=11.0mgKOH/g)を10質量部添加することを除いて、トナーの製造例1と同様にしてトナーNo.2を製造した。得られたトナーNo.2の物性を表3に示す。
(トナーの製造例3)
トナーの製造例1において、水酸基価含有ビニル重合体1を表2に示す水酸基含有ビニル重合体3に変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にしてトナーNo.3を製造した。得られたトナーNo.3の物性を表3に示す。
(トナーの製造例4)
トナーの製造例3において、帯電制御剤FCA1001NS(藤倉化成社製)を添加しないことを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.4を製造した。得られたトナーNo.4の物性を表3に示す。
(トナーの製造例5)
トナーの製造例3において、ジ−t−ブチルエーテル(エーテル化合物1)を添加しないことを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.5を製造した。得られたトナーNo.5の物性を表3に示す。
(トナーの製造例6)
トナーの製造例3において、水酸基含有ビニル重合体3を表2に示す水酸基含有ビニル重合体4に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.6を製造した。得られたトナーNo.6の物性を表3に示す。
(トナーの製造例7)
トナーの製造例3において、水酸基含有ビニル重合体3を表2に示す水酸基含有ビニル重合体5に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.7を製造した。得られたトナーNo.7の物性を表3に示す。
(トナーの製造例8)
トナーの製造例3において、水酸基含有ビニル重合体3を表2に示す水酸基含有ビニル重合体6に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.8を製造
した。得られたトナーNo.8の物性を表3に示す。
(トナーの製造例9)
トナーの製造例3において、水酸基含有ビニル重合体3を表2に示す水酸基含有ビニル重合体7に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.9を製造した。得られたトナーNo.9の物性を表3に示す。
(トナーの製造例10)
トナーの製造例3において、水酸基含有ビニル重合体3を表2示す水酸基含有ビニル重合体8に変更し、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の添加量を10質量部に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.10を製造した。得られたトナーNo.10の物性を表3に示す。
(トナーの製造例11)
トナーの製造例3において、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の添加量を5.0質量部に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.11を製造した。得られたトナーNo.11の物性を表3に示す。
(トナーの製造例12)
トナーの製造例3において、水酸基含有ビニル重合体3を表2に示す水酸基価含有ビニル重合体9に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.12を製造した。得られたトナーNo.12の物性を表3に示す。
(トナーの製造例13)
トナーの製造例3において、水酸基含有ビニル重合体3を表2示す水酸基含有ビニル重合体10に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.13を製造した。得られたトナーNo.13の物性を表3に示す。
(トナーの製造例14)
トナーの製造例3において、添加するワックスHNP−51(融点77℃:日本精蝋社製)を融点が68℃のエステルワックスに変更し、トナー粒子に外部添加する無機微粉体として新たにヘキサメチルジシラザン15質量%で処理された疎水性シリカ微粉体(1次粒子径:50nm、BET比表面積:45m/g)0.2質量部を添加することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.14を製造した。得られたトナーNo.14の物性を表3に示す。
(トナーの製造例15)
トナーの製造例3において、スチレンの添加量を72質量部、n−ブチルアクリレートの添加量を28質量部に変更し、添加するワックスHNP−51(融点77℃:日本精蝋社製)を融点が68℃のエステルワックスに変更し、トナー粒子に外部添加する無機微粉体として新たにメチルトリメトキシシラン20質量%で処理された疎水性シリカ微粉体(1次粒子径:50nm、BET比表面積:50m/g)0.2質量部を添加することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.15を製造した。得られたトナーNo.15の物性を表3に示す。
(トナーの製造例16)
トナーの製造例3において、水酸基含有ビニル重合体3を表2に示す水酸基含有ビニル重合体11に変更し、添加するワックスHNP−51(融点77℃:日本精蝋社製)を融点が85℃の炭化水素系ワックスに変更し、トナー粒子に外部添加する疎水性シリカ微粉体をジメチルシリコーンオイル(50cs)30質量%で処理された疎水性シリカ微粉体
(1次粒子径:12nm、BET比表面積:102m/g)に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.16を製造した。得られたトナーNo.16の物性を表3に示す。
(トナーの製造例17)
トナーの製造例3において、スチレンの添加量を67質量部、n−ブチルアクリレートの添加量を33質量部に変更し、水酸基含有ビニル重合体3を表2に示す水酸基含有ビニル重合体12に、添加するワックスHNP−51(融点77℃:日本精蝋社製)をHNPO190(融点90℃:日本精蝋社製)に変更し、トナー粒子に外部添加する無機微粉体として新たにヘキサメチルジシラザン20質量%で処理した後にジメチルシリコーンオイル(100cs)20質量%で処理した疎水性シリカ微粉体(1次粒子径:30nm、BET比表面積:70m/g)を添加することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.17を製造した。得られたトナーNo.17の物性を表3に示す。
(トナーの製造例18)
スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体(質量比80/20) 100質量
(Mp=23,000、Mn=8,500、Mw=25,500、Mw/Mn=3.0、Tg=52℃)
水酸基含有ビニル重合体3(表2に示す) 20質量部
ボントロンE−88(オリエント化学工業(株)製) 3質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 6.5質量部
ポリエチレンワックス (吸熱ピーク=126℃) 5質量部
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社製)で微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級して重量平均粒径7.5μmのトナー粒子(18)を得た。
上記シアントナー粒子(18)100質量部に対して、流動性向上剤として、ジメチルシリコーンオイル(50cs)20質量%で処理された疎水性シリカ微粉体(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m/g)1.7質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で3000r/minで15分間混合してシアントナーNo.18を得た。シアントナーNo.18の物性を表3に示す。
(トナーの製造例19)
ポリエステル樹脂 100質量部
(Mp=20,000、Mn=6,000、Mw=18,000、Mw/Mn=3.0、酸価=18、水酸基価=20、Tg=55℃)
水酸基含有ビニル重合体13(表2に示す) 10質量部
ボントロンE−88(オリエント化学工業(株)製) 1.8質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 6.5質量部
ワックスHNP−51(融点77℃:日本精蝋社製) 4質量部
上記成分をバンバリーミキサーにより溶融混練し、冷却後、混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社製)で微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級機により分級して、平均円形度は0.923、重量平均粒径8.0μmのトナー粒子(19)を得た。
上記シアントナー粒子(19)100質量部に対して、流動性向上剤として、ジメチルシリコーンオイル(50cs)20質量%で処理された疎水性シリカ微粉体(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m/g)1.7質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で3000r/minで15分間混合してシアントナーNo.19を得た。シアントナーNo.19の物性を表3に示す。
(トナーの製造例20)
トナーの製造例3において、スチレンの添加量を64質量部、n−ブチルアクリレートの添加量を36質量部に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.20を製造した。得られたトナーNo.20の物性を表3に示す。
(トナーの製造例21)
トナーの製造例3において、スチレンの添加量を74質量部、n−ブチルアクリレートの添加量を26質量部に変更し、水酸基含有ビニル重合体3を表2に示す水酸基含有ビニル重合体14に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.21を製造した。得られたトナーNo.21の物性を表3に示す。
(トナーの製造例22)
トナーの製造例3において、水酸基含有ビニル重合体3を表2に示す水酸基含有ビニル重合体15に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.22を製造した。得られたトナーNo.22の物性を表3に示す。
(トナーの製造例23)
トナーの製造例3において、スチレンの添加量を69質量部、n−ブチルアクリレートの添加量を31質量部に変更し、水酸基含有ビニル重合体3を表2に示す水酸基含有ビニル重合体16に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.23を製造した。得られたトナーNo.23の物性を表3に示す。
(トナーの製造例24)
トナーの製造例3において、スチレンの添加量を64質量部、n−ブチルアクリレートの添加量を36質量部に変更し、水酸基含有ビニル重合体3を表2に示す水酸基含有ビニル重合体12に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.24を製造した。得られたトナーNo.24の物性を表3に示す。
(トナーの製造例25)
トナーの製造例3において、スチレンの添加量を79質量部、n−ブチルアクリレートの添加量を21質量部に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.25を製造した。得られたトナーNo.25の物性を表3に示す。
(トナーの製造例26)
トナーの製造例3において、スチレンの添加量を72質量部、n−ブチルアクリレートの添加量を28質量部に変更し、水酸基含有ビニル重合体3を表2に示す水酸基含有ビニル重合体17に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.26を製造した。得られたトナーNo.26の物性を表3に示す。
(トナーの製造例27)
トナーの製造例3において、水酸基含有ビニル重合体3を表2に示す水酸基価含有ビニル重合体18に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.27を製造した。得られたトナーNo.27の物性を表3に示す。
(トナーの製造例28)
トナーの製造例3において、水酸基含有ビニル重合体3を表2に示す水酸基含有ビニル重合体19に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.28を製造した。得られたトナーNo.28の物性を表3に示す。
(トナーの製造例29)
トナーの製造例3において、水酸基含有ビニル重合体3を表2に示す水酸基価含有ビニル重合体20に変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.29を製造した。得られたトナーNo.29の物性を表3に示す。
(トナーの製造例30)
トナーの製造例3において、水酸基含有共重合体3の添加部数を31質量部に変更し、トナー粒子に添加するシリカ微粉体の表面処理を無くしたものに変更することを除いて、トナーの製造例3と同様にしてトナーNo.30を製造した。得られたトナーNo.30の物性を表3に示す。
Figure 0005448406
[表2において、Stはスチレン、BAはn−ブチルアクリレート、α−MStはα−メチルスチレン、MMAはメタクリル酸メチル、
MAAはメタクリル酸、2HEMAはメタクリル酸2−ヒドロキシエチル、2HPMAはメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルを表す。
また、OHvは水酸基価(mgKOH/g)を、Avは酸価(mgKOH/g)を表す。
さらに、モノマー組成における数字は組成比(質量基準)を表す。]
Figure 0005448406
<実施例1乃至23、比較例1乃至7>
トナーの製造例1乃至30で製造したトナーを、各々下記項目の基準に即して評価を行った。実施例1乃至23のトナーは低温定着特性と現像耐久特性に優れた効果を発揮したのに対して、比較例1乃至7のトナーは低温定着性と現像耐久特性のバランスに乏しい結果であった。評価結果を表4に示す。
以下に本発明の画像評価方法および評価基準について説明する。
<低温定着特性>
(1)定着性
LBP5400(キヤノン社製)のサーフ定着器を用い、ファーストプリントアウトタイムを20秒に設定し、10mm×10mmのベタ画像(トナー載り量0.50mg/cm)をXerox社製Business4200(75g/m)上に出力し、安定した定着画像が得られる最低定着可能温度を下記基準にて評価した。尚、本発明の安定した定着画像とは、得られた定着画像濃度と、定着画像を50g/cmの荷重をかけたシルボン紙で5回摺擦した後の画像濃度を測定し、濃度低下率が10%以下の定着状態と定義する。
A:最低定着可能温度が150℃以上160℃以下で、安定した定着画像が得られる
B:最低定着可能温度が160℃より高く170℃以下で、安定した定着画像が得られるC:最低定着可能温度が170℃より高く190℃以下で、安定した定着画像が得られるD:最低定着可能温度が190℃より高い、又は定着可能温度を有さない
(2)グロス品質
ベタ全域画像(先端余白:5mm、トナー載り量0.50mg/cm)をXerox社製business4200(75g/m)上に170℃の定着温度で出力し、定着画像内を9等分した各区画の75°グロス(光沢度)を測定し、平均値を求めて下記基準により評価した。なお、本発明に使用した光沢度測定器は、日本電色工業(株)製のPG−3D(入射角θ=75°)を使用し、標準面は光沢度96.9の黒色ガラスを使用した。
A:75°グロス平均値 15.0以上
B:75°グロス平均値 10.0以上15.0未満
C:75°グロス平均値 5.0以上10.0未満
D:75°グロス平均値 5.0未満
(3)画像カブリ
図2及び図3に示す、非磁性一成分接触現像システムのカートリッジと画像形成装置であるLBP5400(キヤノン社製)を用いて耐久試験を行うことによりトナーの耐久性を評価した(プロセススピード200mm/sec、スリーブ周速300mm/secに改造)。
耐久試験の条件は、高温高湿環境(30℃、80%RH[H/H])、常温常湿環境(23℃、50%RH[N/N])、低温低湿環境(15℃、10%RH[L/L])の各環境下において、印字比率が2%のオリジナル画像を20,000枚出力した。なお、評価するトナーは図2に示すカートリッジに詰めた後、図3の装置のシアンステーションCユニット部に装着して、1,000枚おきにべた白画像を出力して、下記評価基準により行った。
「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)を用いて、標準紙とプリントアウト画像の白地部分の反射率を測定して、下記式によりカブリ(反射率;%)を算出した。フィルターは、シアンの場合はアンバー、イエローの場合はブルー、マゼンタ及びブラックではグリーンフィルターをそれぞれ装着して測定した。
カブリ(反射率;%)=(標準紙の反射率;%)−(サンプルの反射率;%)
なお、評価基準は耐久試験を通しての最悪値を以下の基準により判断した。
A:非常に良好 1.0%未満
B:良好 1.0%以上乃至2.0%未満
C:実用上問題なし 2.0%以上乃至3.0%未満
D:実用上問題あり 3.0%以上
(4)画像濃度安定性
20mm四方のベタ黒パッチが現像域内に9箇所配置されたオリジナル画像を出力し、その9点平均濃度の初期画像濃度に対する耐久試験中の画像濃度の最大濃度差を比較することで、濃度安定性を評価した。
尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。
耐久試験条件及びサンプリングのタイミングは、上記(3)画像カブリの評価に従って行った。
A:非常に良好 最大濃度差0.15未満
B:良好 最大濃度差0.15以上、0.25未満
C:実用上問題なし 最大濃度差0.25以上、0.3未満
D:やや難あり 最大濃度差0.3以上
(5)ハーフトーン画像再現性
部材汚染やトナー劣化に起因する、ハーフトーン画像品質の低下度合いの有無を、オリジナルハーフトーン画像による目視評価と、より早期にかつ厳密に欠陥を確認するために、ベタ画像の中間調電位画像を出力して、画像欠陥の有無を目視確認により評価した。尚、耐久試験の条件及びサンプリングのタイミングは、上記(3)画像カブリの評価に従って行った。
A:ハーフトーン画像及びベタの中間調電位画像共に、再現性が良好。
B:オリジナルハーフトーン画像の再現性は良好であるが、ベタの中間調電位画像に関しては、画像の進行方向に沿ったスジや転写性の低下に伴うざらつき感が見られる。
但し画像品質上問題の無いレベル。
C:オリジナルハーフトーン画像において再現性がやや劣るものの実用上問題の無いレベル。中間調電位画像においては、画像進行方向に沿ったスジや転写性の低下が認められる。
D:オリジナルハーフトーン画像においても、欠陥やざらつき等の品質の低下が認められる。
Figure 0005448406
トナーの微小圧縮試験における荷重−変位曲線である。 本発明のトナーを用いて画像形成を行うのに好適なプロセスカートリッジの断面説明図である。 本発明のトナーを用いて画像形成を行うのに好適な画像形成装置の一例の概略構成図である。 フロー式粒子像測定装置における画像データの2値化画像である。
符号の説明
Pa、Pb、Pc、Pd 画像形成ステーション
1(1a〜1d) 感光体ドラム(像担持体)
2(2a〜2d) 帯電手段(帯電ローラー)
3(3a〜3d) スキャナユニット
4(4a〜4d) 現像手段
4A 現像ユニット
5 静電転写装置
6(6a〜6d) クリーニング手段
7(7a〜7d) プロセスカートリッジ
11 静電転写ベルト
12(12a〜12d) 転写ローラー
13 ベルト駆動ローラー
14a、14b 従動ローラー
15 テンションローラー
16 給送部
17 カセット
18 給送ローラー
19 レジストローラー
20 定着部
21a 加熱ローラー
21b 加圧ローラー
22 吸着ローラー
23 排紙ローラー
24 排紙部
31 クリーニング枠体(カートリッジ枠体)
35 除去トナー収納室
40 現像ローラー(トナー担持体)
41 トナー容器(現像剤収納部)
42 トナー搬送機構
43 トナー供給ローラー
44 トナー規制部材(ブレード)
45(45a、45b、45e)現像枠体(カートリッジ枠体)
47、48 結合穴
50 クリーナーユニット
60 クリーニングブレード
100 画像形成装置本体
S 記録媒体(記録材シート)

Claims (16)

  1. 結着樹脂、着色剤、ワックス成分、及び、水酸基を有するビニル系共重合体を含有するトナー粒子と、無機微粉体とを有するトナーであって、
    前記トナー粒子に含有される前記水酸基を有するビニル系共重合体の水酸基価が、3〜70mgKOH/gであり、
    前記トナーの示差走査熱量計により測定されるガラス転移温度(TgA)が4060℃であり、
    前記トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分中におけるシクロヘキサン(CHX)不溶分のガラス転移温度(TgB)が80120℃であり、前記TgAとTgBが、25℃≦(TgB−TgA)≦70℃、の関係を満たし、
    前記無機微粉体が表面処理剤で表面が処理された無機微粉体である
    ことを特徴とするトナー。
  2. 前記トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分中におけるシクロヘキサン(CHX)不溶分、水酸基を有するビニル系共重合体を含有する請求項1に記載のトナー。
  3. 前記水酸基を有するビニル系共重合体が、下記構造式で示される繰り返し単位(I)を有するビニル系共重合体である請求項1又は2に記載のトナー。
    Figure 0005448406

    [式(I)中、R は炭素数が1〜6のアルキレン基であり、繰り返し単位(I)は複数種類であっても良い。]
  4. 前記水酸基を有するビニル系共重合体が、ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、又は、ヒドロキシイソブチルメタクリレート由来の繰り返し単位を有するビニル系共重合体である請求項3に記載のトナー。
  5. 前記水酸基を有するビニル系共重合体が、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、又は、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート由来の繰り返し単位を有するビニル系共重合体である請求項4に記載のトナー。
  6. 前記トナー粒子に含有される前記水酸基を有するビニル系共重合体の含有量前記トナー粒子に含有される前記結着樹脂のすべてに対して3〜30質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 前記トナー粒子に含有される前記結着樹脂が、ビニル系重合体を主成分として含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー。
  8. 記トナーに対する微小圧縮試験において、測定温度25℃で、前記トナー粒1つに負荷速度9.8×10−5N/secで2.94×10−4Nの最大荷重をかけ終えたときに得られる変位量(μm)を変位量X とし、前記最大荷重をかけ終えた後、前記最大荷重で0.1秒間放置して得られる変位量(μm)を最大変位量X とし、前記0.1秒間放置後、除荷速度9.8×10−5N/secで除荷し、荷重が0Nとなったときに得られる変位量(μm)を変位量Xとしたとき、(X−X)/X×100で表わされる復元率Z(25)が、40≦Z(25)≦80、の関係を満足し、
    前記トナーに対する微小圧縮試験における荷重と変位量をプロットした荷重−変位曲線において、原点から前記最大荷重をかけ終えるまでの荷重−変位曲線の傾きを、R(25)[R(25)=2.94×10−4(N)/変位量X(μm)]としたとき、前記R(25)、0.49×10−3≦R(25)≦1.70×10−3、の関係を満足する請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナー。
  9. 前記トナー、示差走査熱量計により測定される最大吸熱ピークの温度(P1)が70120℃に存在し、
    前記最大吸熱ピークの温度(P1)と、前記トナーの示差走査熱量計により測定されるガラス転移温度(TgA)が、15℃≦(P1−TgA)≦80℃、の関係を満た
    求項1〜8のいずれか1項に記載のトナー。
  10. 前記トナーのフローテスター昇温法により測定される100℃での粘度が、5,00032,000Pa・sである請求項1〜9のいずれか1項に記載のトナー。
  11. 前記トナー粒子、スルホン酸基、スルホン酸塩基はスルホン酸エステル基を有する重合体は共重合体を含有する請求項1〜10のいずれか1項に記載のトナー。
  12. 前記トナー粒子、カルボン酸基を有する重合体は共重合体を含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載のトナー。
  13. 前記トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、メインピークの分子量(MpA)が10,00040,000である請求項1〜12のいずれか1項に記載のトナー。
  14. 前記トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分中におけるシクロヘキサン(CHX)不溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、メインピークの分子量(MpB)が10,000250,000である請求項1〜13のいずれか1項に記載のトナー。
  15. 前記トナー、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のエーテル化合物を含有する請求項1〜14のいずれか1項に記載のトナー。
    Figure 0005448406

    〔前記構造式(1)及び(2)中、R 11は、独立して、炭素数16のアルキル基である。〕
  16. 前記トナー粒子
    前記水酸基価が370mgKOH/gのビニル系共重合体を含有するシェル層と、
    前記シェル層で被覆された、前記ワックス成分及び前記結着樹脂を含有するコア部と、を有するコアシェル構造を有する請求項1〜15のいずれか1項に記載のトナー。
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