JP5448293B2 - アクチュエータまたはセンサー - Google Patents

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Description

本発明は、アクチュエータまたはセンサーに関するものである。
一般に、現像ロール等の電子写真機器部材に用いられる導電性組成物は、好適に使用するためには電気抵抗の制御が必須である。そのため、従来は、樹脂やゴム等のバインダーポリマーに、第四級アンモニウム塩等のイオン導電剤や、カーボンブラック等の電子導電剤を配合することにより、電気抵抗の制御を行っていた。
上記導電剤のうち、このイオン導電剤は、通常、バインダーポリマーに溶解するため、導電性のばらつきが小さく、また電圧を変化させた時の電気抵抗の変動が小さく、電気抵抗の電圧依存性に優れているという利点がある。しかし、イオン導電剤は水分等の影響を受けやすく、高温高湿と低温低湿の条件下では電気抵抗が2桁以上変動するため、電気抵抗の環境依存性に劣り、電子写真機器部材としての使用には制約が多い。一方、カーボンブラック等の電子導電剤は、水分等の影響を受けにくく、高温高湿と低温低湿の条件下での電気抵抗の変動が小さいため、電気抵抗の環境依存性に優れているという利点がある。しかし、電子導電剤は、一般に、凝集性が強いため、バインダーポリマー中での均一分散が困難であり、したがって、電気抵抗のばらつきが大きく、導電性の制御が困難である。また、比較的均一に分散している場合でも、導電性発現のメカニズムが、バインダーポリマー中のカーボン間を、電子が高電圧により伝わるトンネル効果もしくはホッピング現象によるものであるため、電圧を変化させた時の電気抵抗の変動が大きく、電気抵抗の電圧依存性に劣る。
これらの問題を解決するため、本発明者らは、界面活性剤構造を有する導電性ポリマーと、バインダーポリマーとを必須成分とし、上記界面活性剤構造を形成するために用いられる界面活性剤が、分子構造中にスルホン酸基を有するとともに、上記バインダーポリマーが、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方を有する電子写真機器部材用半導電性組成物について、先に特許出願を行っている(特許文献1参照)。
特開2004−184512号公報
しかしながら、上記特許文献1に半導電性組成物について、さらに改良を図るため検討を重ねた結果、導電性ポリマーの溶剤に対する溶解性や、導電性ポリマーとバインダーポリマーとの相溶性について、改善の余地があることを突き止めた。また、このような半導電性組成物について、電子写真機器(導電性ロール等)以外の用途への拡張、例えば、アクチュエータ等の非電子写真機器用の導電性部材への適用が期待されている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、導電性ポリマーとバインダーポリマーとの相溶性に優れた導電性ポリマー組成物を用いた、アクチュエータまたはセンサーの提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明のアクチュエータまたはセンサーは、アクチュエータまたはセンサーの少なくとも一部が、下記の(A)および(B)成分を含有する導電性ポリマー組成物を用いて形成されているという構成をとる。
(A)アニリン,ピロール,チオフェン,およびこれらの炭素数1〜4の短鎖アルキル置換基またはアルコキシル置換基を有する誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一つのモノマーから構成されるπ電子共役系ポリマーを、下記のドーパント(a)によりドーピングしてなる溶剤可溶な導電性ポリマー。
(a)下記の式(2)で表されるドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、下記の式(3)で表されるペンタデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、および下記の一般式(4)で表されるポリフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つのドーパント。
Figure 0005448293
(B)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレア系樹脂、ゴム系ポリマーおよび熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも一つのバインダーポリマー。
すなわち、本発明者らは、導電性ポリマーとバインダーポリマーとの相溶性に優れた導電性ポリマー組成物を用いた、アクチュエータまたはセンサーを得るため、導電性ポリマーのドーパントを中心に研究を重ねた。その結果、ドーパントとして、特定構造のフェニルエーテルスルホン酸またはその塩を用い、これにより、π電子共役系ポリマーをドーピングすると、導電性ポリマー中にドーピングされたエーテルスルホン酸基またはエーテルスルホン酸塩構造により、溶剤に対する溶解性が向上するとともに、バインダーポリマーとの相溶性も向上することを突き止めた。そして、このような導電性ポリマー組成物を、アクチュエータまたはセンサーの少なくとも一部(全部もしくは一部)に用いると優れた効果が得られることを見いだし、本発明に到達した。すなわち、上記導電性ポリマー組成物を少なくとも一部に用いたアクチュエータ(導電性部材)は、電圧を印加すると変形し、その印加電圧の周波数に応じて振幅が変化するとともに、湿熱後の応答性も大きく変更せず良好である
本発明のアクチュエータまたはセンサーに用いる導電性ポリマー組成物は、ドーパントとして、前記式(2),(3),(4)で表される化合物を用い、これにより、π電子共役系ポリマーをドーピングしているため、導電性ポリマー中に、エーテルスルホン酸基またはエーテルスルホン酸塩構造を形成することができる。そのため、このエーテルスルホン酸塩構造により、溶剤に対する溶解性が向上するとともに、導電性ポリマーとバインダーポリマーとの静電的相互作用が増し、相溶性が向上する。その結果、このような導電性ポリマー組成物を、アクチュエータまたはセンサーの少なくとも一部に用いると、前述のような優れた効果が得られる。
また、上記π電子共役系ポリマーを構成するモノマーが、アニリン,ピロール,チオフェン,およびこれらの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一つであると、モノマーの重合反応が容易で、かつ、重合された導電性ポリマー(A成分)は、バインダーポリマー(B成分)との相溶性に優れるという効果が得られる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明のアクチュエータまたはセンサーは、少なくとも一部(全部もしくは一部)が、特殊な導電性ポリマー組成物を用いて形成されている。
上記特殊な導電性ポリマー組成物は、π電子共役系ポリマーを、特定のドーパント(a)によりドーピングしてなる溶剤可溶な導電性ポリマー(A成分)と、バインダーポリマー(B成分)とを用いて得ることができる。
上記導電性ポリマー(A成分)は、π電子共役系ポリマーを、上記ドーパント(a)によりドーピングしてなる溶剤可溶なポリマーである。
ここで、本発明において、π電子共役系ポリマーとは、単結合と多重結合とを有するポリマーを意味する。
上記π電子共役系ポリマーを構成するモノマーとしては、アニリン,ピロール,チオフェン,およびこれらの炭素数1〜4の短鎖アルキル置換基またはアルコキシル置換基を有する誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一つが用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。また、これら、炭素数1〜4の短鎖アルキル置換基またはアルコキシル置換基を有すると、溶剤への溶解性、バインダーポリマー(B成分)との相溶性の点で好ましい。これらのなかでも、溶解性、重合時の反応性の点で、アニリンの誘導体が好適に用いられる。
つぎに、上記特定のドーパント(a)としては、下記の式(2)で表されるドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、下記の式(3)で表されるペンタデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、および下記の一般式(4)で表されるポリフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つが用いられる。
Figure 0005448293
なお、上記導電性ポリマー(A成分)に用いるドーパントとしては、前記特定のドーパント(a)とともに、公知のドーパントを併用しても差し支えない。この場合、公知のドーパントの使用量は、ドーパント全体の50モル%以内の割合にするのが好ましい。
上記公知のドーパントとしては、例えば、ハロゲン,ルイス酸,プロトン酸、遷移金属,ハロゲン化物,遷移金属の塩,有機化合物,アクセプター型イオン(ClO4 - ,BF4 - ) 等や、それらを官能基として含む化合物が用いられる。
上記導電性ポリマー(A成分)は、例えば、つぎのようにして得ることができる。すなわち、π電子共役系ポリマーを構成するモノマーと、特定のドーパント(a)とを、酸化剤の存在下に、水中で酸化重合させる等の化学酸化重合法等によって得ることができる他、電解重合法によっても得ることができる。また、上記導電性ポリマー(A成分)は、π電子共役系ポリマーを構成するモノマーを重合した後、ドーピングすることによっても得ることができる。また、有機溶剤と水との混合液中で、π電子共役系ポリマーを構成するモノマーと、特定のドーパント(a)とを乳化させ、モノマーにドーパントを導入した後、そのモノマーを重合すること等によっても得ることができる。また、π電子共役系ポリマーを脱ドープ状態にした後、特定のドーパント(a)により、ドーピングを行うことによっても得ることができる。
上記酸化剤としては、特に限定はないが、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)、過酸化水素水等の過酸化物、塩化第二鉄等があげられる。
上記π電子共役系ポリマーを構成するモノマーと、特定のドーパント(a)との混合比は、モル比で、モノマー/(a)=1/0.03〜1/3の範囲内が好ましく、特に好ましくはモノマー/(a)=1/0.05〜1/2の範囲内である。すなわち、特定のドーパント(a)のモル比が低くなると、π電子共役系ポリマーとの相溶性や分散性が低下する傾向がみられ、逆に特定のドーパント(a)のモル比が高くなると、反応性が悪化したり、イオン導電性への寄与効果が強くなりすぎ、導電性ポリマー(A成分)の電子導電性を減らす傾向がみられるからである。
上記導電性ポリマー(A成分)の数平均分子量(Mn)は、1,000〜100,000の範囲内が好ましく、特に好ましくは3,000〜50,000の範囲内である。
上記導電性ポリマー(A成分)は、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、m−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエン等の有機溶剤に可溶である。
上記導電性ポリマー(A成分)は、沸点100℃以下の溶剤に対する溶解度が、1.5%以上であることが好ましく、特に好ましくは3%以上である。このような溶解度であれば、塗工性、他ポリマーとのブレンド時の膜厚制御性の点で好ましい。なお、上記沸点100℃以下の溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジプロピルエーテル、テトラヒドロピラン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等があげられる。
上記導電性ポリマー(A成分)は、電気抵抗が10-4〜108 Ω・cmの範囲内にあることが好ましく、特に好ましくは10-4〜105 Ω・cmの範囲内である。すなわち、電気抵抗が10-4Ω・cm未満であると、中抵抗領域(104 〜1012Ω・cm)での電気抵抗の制御が難しくなる傾向がみられ、逆に108 Ω・cmを超えると、導電性への効果が少なくなる傾向がみられるからである。上記導電性ポリマー(A成分)を電極に応用する場合は、電気抵抗が10-4〜104 Ω・cmの範囲内にあることが好ましい。
なお、上記電気抵抗は、例えば、つぎのようにして測定することができる。すなわち、導電性ポリマー(A成分)をTHF等の有機溶剤に混合し、超音波処理した後、遠心分離して上澄みを取り出す。そして、この上澄みをアプリケータを用いてSUS板上にキャスティングし、乾燥(例えば、100℃×30分)して塗膜(厚み5μm)を形成する。そして、この塗膜の電気抵抗を、25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加し、SRIS 2304に準じて測定する。
つぎに、上記導電性ポリマー(A成分)とともに用いられるバインダーポリマー(B成分)としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレア系樹脂、ゴム系ポリマーおよび熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも一つが用いられる。これらのなかでも、導電性ポリマー(A成分)との相溶性に優れる点で、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系ポリマー、熱可塑性エラストマーが好適に用いられる。
また、上記バインダーポリマー(B成分)は、上記導電性ポリマー(A成分)との相溶性の点で、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造を有するものが好ましい。このスルホン酸塩構造としては、前述のような、スルホン酸金属塩構造、スルホン酸アンモニウム塩構造、スルホン酸ピリジニウム塩構造等があげられる。
この場合、バインダーポリマー(B成分)中における、スルホン酸基やスルホン酸塩構造の含有量(スルホン酸基量)は、0.001〜1mmol/gの範囲内が好ましく、特に好ましくは0.01〜0.2mmol/gの範囲内である。すなわち、このスルホン酸基量が0.001mmol/g未満であると、導電性ポリマー(A成分)との相溶性が悪くなる傾向がみられ、逆に1mmol/gを超えると、含水による物性の低下やイオン導電性の発現がみられるからである。
上記アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリヒドロキシメタクリレート、アクリルシリコーン系樹脂、アクリルフッ素系樹脂、公知のアクリルモノマーを共重合したものや、光架橋用のアクリルオリゴマー等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。このようなスルホン酸基導入の方法としては、例えば、スルホン酸基やスルホン酸塩を有するビニルモノマーと、ラジカル,アニオン,カチオン共重合する方法や、B成分(特に芳香環を有するもの)の芳香環に三酸化硫黄ガスを反応させることにより後からスルホン化する方法等があげられる。
また、ウレタン系樹脂としては、例えば、エーテル系,エステル系,カーボネート系,アクリル系,脂肪族系等のウレタン系樹脂や、それにシリコーン系ポリオールまたはフッ素系ポリオールを共重合させたもの等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、ウレタン系樹脂は、分子構造中にウレア結合またはイミド結合を有するものであってもよい。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。このようなスルホン酸基導入の方法としては、例えば、スルホン酸基を有するジオールモノマーを、ウレタン反応,エステル交換反応で導入する方法等があげられる。
また、フッ素系樹脂としては、例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
また、ポリイミド系樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミック酸、シリコーンイミド等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
また、エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、臭素化型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、ポリアミド併用型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アミノ樹脂併用型エポキシ樹脂、アルキッド樹脂併用型エポキシ樹脂等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
また、ウレア系樹脂としては、分子構造中にウレア結合を有する樹脂であれば特に限定はなく、ウレタンウレアエラストマー、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
また、ゴム系ポリマーとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加NBR(H−NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム、クロロプレンゴム(CR)、塩素化ポリエチレン(Cl−PE)、エピクロロヒドリンゴム(ECO,CO)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンポリマー(EPDM)、フッ素ゴム等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
また、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS),スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、合成プロセスの簡便さ、溶剤との溶解性の点で、TPUが好適に用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
このようなバインダーポリマー(B成分)の数平均分子量(Mn)は、500〜2,000,000の範囲内が好ましく、特に好ましくは2,000〜800,000の範囲内である。
上記バインダーポリマー(B成分)と、上記導電性ポリマー(A成分)とは、後記のようにして混合され組成物化されるが、上記導電性ポリマー(A成分)の原料〔π電子共役系ポリマーと、特定のドーパント(a)との合計量〕と、バインダーポリマー(B成分)との混合比は、重量比で、導電性ポリマー(A成分)の原料/バインダーポリマー(B成分)=1/99〜60/40の範囲が好ましく、特に好ましくは導電性ポリマー(A成分)の原料/バインダーポリマー(B成分)=4/96〜45/55である。すなわち、導電性ポリマー(A成分)の原料の重量比が1未満であると、導電性への効果が少なくなる傾向がみられ、逆に導電性ポリマー(A成分)の原料の重量比が60を超えると、得られる組成物が固くて脆くなりやすく、組成物としての物性が低下する傾向がみられるからである。
なお、本発明に用いる導電性ポリマー組成物には、上記導電性ポリマー(A成分)およびバインダーポリマー(B成分)に加え、場合によって、イオン導電剤、電子導電剤、架橋剤等を適宜配合しても差し支えない。
このイオン導電剤としては、例えば、過塩素酸リチウム,第四級アンモニウム塩,ホウ酸塩等のポリマー中でイオン解離する化合物があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
このようなイオン導電剤の配合割合は、物性や電気特性の点から、導電性ポリマー(A成分)の原料と、バインダーポリマー(B成分)との合計100重量部(以下「部」と略す)に対して、0.01〜5部の範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜2部の範囲内である。
また、電子導電剤としては、例えば、導電性カーボンブラック、c−ZnO(導電性酸化亜鉛)、c−TiO2 (導電性酸化チタン)、c−SnO2 (導電性酸化錫)、グラファイト、これらの粒子、これらをファイバー状,ナノチューブ状にしたもの等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
このような電子導電剤の配合割合は、物性や電気特性の点から、導電性ポリマー(A成分)の原料と、バインダーポリマー(B成分)との合計100部に対して、5〜30部の範囲内が好ましく、特に好ましくは8〜20部の範囲内である。
また、架橋剤としては、例えば、硫黄、イソシアネート、ブロックイソシアネート、メラミン等の尿素樹脂、エポキシ硬化剤、ポリアミン硬化剤、ヒドロシリル硬化剤、パーオキサイド等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、上記架橋剤とともに、紫外線や電子線等のエネルギーによって架橋する光開始剤を併用しても差し支えない。
このような架橋剤の配合割合は、物性、粘着、液保管性の点から、導電性ポリマー(A成分)の原料と、バインダーポリマー(B成分)との合計100部に対して、1〜30部の範囲内が好ましく、特に好ましくは3〜10部の範囲内である。
なお、本発明に用いる導電性ポリマー組成物には、前記各成分に加えて、架橋促進剤、老化防止剤等を必要に応じて配合しても差し支えない。
この架橋促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系架橋促進剤、白金化合物、アミン触媒、ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
本発明に用いる導電性ポリマー組成物は、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、まず、前述の方法に従い、導電性ポリマー(A成分)を作製する。つぎに、この導電性ポリマー(A成分)に、バインダーポリマー(B成分)を配合するとともに、必要に応じて、イオン導電剤、電子導電剤、架橋剤等を配合する。そして、これらをロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練することや、溶剤に溶かして溶液化し、ビーズミルや三本ロールを用いて分散することにより、導電性ポリマー組成物を得ることができる。
この溶剤としては、例えば、m−クレゾール、メタノール、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶剤等が、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
本発明に用いる導電性ポリマー組成物は、上記のように、導電性ポリマー(A成分)や、バインダーポリマー(B成分)等を溶剤に溶解したコーティング液をコーティングすることにより成膜化できるが、これに限定するものではなく、押出成形法、インジェクション成形法、インフレーション成形法等により、成膜化することも可能である。
本発明のアクチュエータまたはセンサー(導電性部材に用いる導電性ポリマー組成物は、導電性部材の用途に応じて異なるが、25℃×50%RHの環境下、10Vの電圧を印加した時の電気抵抗が10-3〜1011Ω・cmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは10-3〜109 Ω・cmの範囲内である。例えば、電極(導電性部材)に用いる場合には、上記導電性ポリマー組成物の電気抵抗(25℃×50%RHの環境下、10Vの電圧を印加)が10-3〜105 Ω・cmの範囲内であることが好ましい。すなわち、電気抵抗が10-3Ω・cm未満であると、電気抵抗を下げるための導電性ポリマーの量が多くなるため、電極としての柔軟性が損なわれる傾向がみられ、逆に105 Ω・cmを超えると、電荷を蓄える能力が小さくなる傾向がみられるからである。なお、上記電気抵抗の測定は、前述の測定方法に準じる。
つぎに、本発明のアクチュエータまたはセンサー(導電性部材について説明する。例えば、本発明のアクチュエータ(導電性部材)は、前記と同様の方法により調製した導電性ポリマー組成物を用いて、つぎのようにして作製することができる。すなわち、まず、離型処理されたPETフィルムの離型処理面に、前記と同様の方法により調製した導電性ポリマー組成物(コーティング液)を塗布し、所定の条件〔例えば、一晩常温(25℃)〕で乾燥した後、さらに所定の条件(例えば、120℃で30分)で乾燥する。つぎに、PETフィルムを剥がし、所望の厚み(厚み10μm程度)の導電性ポリマーフィルムを作製する。つぎに、図1に示すように、上記導電性ポリマーフィルムを短冊状に切り取った導電性ポリマーフィルム11の両面に、イオンスパッタ型真空蒸着器等を用いて、所望の厚み(厚み30nm程度)の電極(例えば、白金層)12を蒸着する。そして、各電極12の一端部に銅線(例えば、直径100μm,長さ3cm)を接続することにより、アクチュエータ(導電性高分子アクチュエータ)を作製することができる。
本発明のアクチュエータ(導電性部材)は、先に述べたように、電圧を印加すると変形し、その印加電圧の周波数に応じて振幅が変化するとともに、湿熱後の応答性も大きく変更せず良好である。このような特性を利用することにより、本発明のアクチュエータ(導電性部材)は、例えば、人工アーム、液送ポンプ、マイクロモーター等に応用することができる。
また、本発明の電極(導電性部材)は、上記図1において、導電性ポリマーフィルム11の両面に、イオンスパッタ型真空蒸着器等を用いて電極(例えば、白金層)12を蒸着する代わりに、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、上記導電性ポリマーフィルム11の両面に、前記と同様の方法により調製した導電性ポリマー組成物を塗布等することにより、導電性ポリマー組成物からなる電極12(本発明の導電性部材)を作製することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、つぎのようにして導電性ポリマー組成物を調製した。
〔導電性ポリマー組成物Aの調製〕
まず、π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるアニリン1molと、ドーパントである、前記式(2)で表されるドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム(Mn:636、スルホン酸基当量:1.6mmol/g)1molと、1N塩酸1333mlおよびメチルイソブチルケトン(MIBK)667mlの混合溶媒とをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、酸化剤である過硫酸アンモニウム1molを1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて、重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンでそれぞれ洗浄して、精製し、導電性ポリマーAを調製した。
つぎに、バインダーポリマーであるTPU(日本ミラクトラン社製、E980)60部を、THF300部とMEK150部とトルエン100部に溶解させた後、上記導電性ポリマーA40部をTHF溶液(5%)にして加え、3本ロールを用いて混練して、導電性ポリマー組成物(コーティング液)Aを調製した。
〔導電性ポリマー組成物Bの調製〕
まず、π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるo−トルイジン1molと、ドーパントである、前記式(3)で表されるペンタデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム(Mn:482、スルホン酸基当量:2.1mmol/g)1molと、1N塩酸1333mlおよびメチルイソブチルケトン(MIBK)667mlの混合溶媒とをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、酸化剤である過硫酸アンモニウム1molを1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて、重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンでそれぞれ洗浄して、精製し、導電性ポリマーBを調製した。
つぎに、バインダーポリマーであるTPU(日本ミラクトラン社製、E980)60部を、THF300部とMEK150部とトルエン100部に溶解させた後、上記導電性ポリマーB40部をTHF溶液(5%)にして加え、3本ロールを用いて混練して、導電性ポリマー組成物(コーティング液)Bを調製した。
〔導電性ポリマー組成物Cの調製〕
まず、π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるo−トルイジン1molと、ドーパントである、前記式(4)で表されるポリフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム(Mn:2200、スルホン酸基当量:0.46mmol/g)1molと、1N塩酸1333mlおよびメチルイソブチルケトン(MIBK)667mlの混合溶媒とをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、酸化剤である過硫酸アンモニウム1molを1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて、重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンでそれぞれ洗浄して、精製し、導電性ポリマーCを調製した。
つぎに、バインダーポリマーであるTPU(日本ミラクトラン社製、E980)70部を、THF300部とMEK150部とトルエン100部に溶解させた後、上記導電性ポリマーC30部をTHF溶液(5%)にして加え、3本ロールを用いて混練して、導電性ポリマー組成物(コーティング液)Cを調製した。
〔導電性ポリマー組成物Dの調製〕
まず、π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるo−トルイジン1molと、ドーパントである、前記式(2)で表されるドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム(Mn:636、スルホン酸基当量:1.6mmol/g)1molと、1N塩酸1333mlおよびメチルイソブチルケトン(MIBK)667mlの混合溶媒とをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、酸化剤である過硫酸アンモニウム1molを1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて、重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンでそれぞれ洗浄して、精製し、導電性ポリマーDを調製した。
つぎに、上記導電性ポリマーD30部と、バインダーポリマーであるTPU(日本ミラクトラン社製、E980)70部と、電子導電剤であるカーボンナノチューブ(直径1mmの単層カーボンナノチューブ)(シンセン・ナノテクポート社製、SWCNT−2)10部と、メチルエチルケトン200mlと、THF200mlとを配合し、2本ロールもしくは3本ロールを用いて、導電性ポリマー組成物(コーティング液)Dを調製した。
〔導電性ポリマー組成物aの調製〕
まず、π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるo−トルイジン1molと、ドーパントであるドデシルベンゼンスルホン酸(Mn:326、スルホン酸基当量:3.1mmol/g)1molと、1N塩酸1333mlおよびメチルイソブチルケトン(MIBK)667mlの混合溶媒とをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、酸化剤である過硫酸アンモニウム1molを1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて、重合物を得た。つぎに、この重合物を水で洗浄し、トルエンに混合した後、フィルターにより沈殿物を除去することにより、導電性ポリマー(トルエン溶液)aを得た。
つぎに、バインダーポリマーであるTPU(日本ミラクトラン社製、E980)70部を、THF300部とMEK150部とトルエン100部に溶解させた後、上記導電性ポリマー(トルエン溶液)a30部をTHF溶液(5%)にして加え、3本ロールを用いて混練して、導電性ポリマー組成物(コーティング液)aを調製した。
このようにして得られた各導電性ポリマー組成物を用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、下記の表1に併せて示した。
Figure 0005448293
〔電気抵抗、電気抵抗の電圧依存性〕
各導電性ポリマー組成物をSUS304板上に塗布して、120℃×30分乾燥し、厚み30μmの導電性塗膜を作製した。つぎに、この導電性塗膜について、25℃×50%RHの環境下、10Vの電圧を印加した時の電気抵抗(Rv=10V)と、100Vの電圧を印加した時の電気抵抗(Rv=100V)を、SRIS 2304に準じてそれぞれ測定した。そして、Log(Rv=10V/Rv=100V)により、電気抵抗の電圧依存性を変動桁数で表示した。
〔電気抵抗の環境依存性〕
各導電性ポリマー組成物を用いて、上記と同様にして、導電性塗膜を作製し、この導電性塗膜について、印加電圧10Vの条件下、低温低湿(15℃×10%RH)時の電気抵抗(Rv=15℃×10%RH)と、高温高湿(35℃×85%RH)時の電気抵抗(Rv=35℃×85%RH)を、SRIS 2304に準じてそれぞれ測定した。そして、Log(Rv=15℃×10%RH/Rv=35℃×85%RH)により、電気抵抗の環境依存性を変動桁数で表示した。
〔環境による電気抵抗変動桁数〕
各導電性ポリマー組成物を用いて、上記と同様にして、導電性塗膜を作製し、この導電性塗膜について、50℃×95%RHの環境下で180日間放置前後の電気抵抗を、25℃×50%RH、10V印加の条件下で、SRIS 2304に準じてそれぞれ測定した。そして、Log(Rv=180日/Rv=0日)により、環境による電気抵抗変動桁数を求めた。
〔高電圧領域での電気抵抗変動(チャージアップ)〕
各導電性ポリマー組成物を用いて、上記と同様にして、導電性塗膜を作製し、この導電性塗膜について、25℃×50%RHの環境下、100Vの電圧を印加した時の電気抵抗(Rv=0秒)と、25℃×50%RHの環境下、100Vの電圧を10分間印加した時の電気抵抗(Rv=600秒)とを、SRIS 2304に準じてそれぞれ測定した。そして、Log(Rv=600秒/Rv=0秒)により、高電圧領域での電気抵抗変動を変動桁数で表示した。
上記結果から、導電性ポリマー組成物A〜Dは、電気抵抗の電圧依存性および電気抵抗の環境依存性の双方の特性に優れ、環境による電気抵抗変動も小さかった。また、高電圧領域での電気抵抗の上昇(チャージアップ)も小さかった。これに対して、導電性ポリマー組成物aは、環境による電気抵抗変動桁数が大きかった。
つぎに、上記導電性ポリマー組成物を用いて、アクチュエータ(導電性部材)を作製した。
〔実施例1〕
離型処理されたPETフィルムの離型処理面に、上記導電性ポリマー組成物(コーティング液)Aを塗布した。そして、一晩常温(25℃)で乾燥した後、さらに120℃で30分乾燥した。つぎに、PETフィルムを剥がし、厚み10μmの導電性ポリマーフィルムを作製した。
つぎに、図1に示すように、上記導電性ポリマーフィルムを短冊状に切り取った導電性ポリマーフィルム11(1cm×3cm×厚み10μm)の両面に、イオンスパッタ型真空蒸着器を用いて、厚み30nmの電極(白金層)12を蒸着した。そして、各電極12の一端部に銅線(直径100μm,長さ3cm)を接続することにより、アクチュエータ(導電性高分子アクチュエータ)を作製した。
〔実施例2〕
上記導電性ポリマー組成物(コーティング液)Aに代えて、導電性ポリマー組成物(コーティング液)Bを用いる以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの導電性ポリマーフィルムを作製した。つぎに、この導電性ポリマーフィルムを用いる以外は、実施例1と同様にして、アクチュエータを作製した。
〔実施例3〕
上記導電性ポリマー組成物(コーティング液)Aに代えて、導電性ポリマー組成物(コーティング液)Cを用いる以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの導電性ポリマーフィルムを作製した。つぎに、この導電性ポリマーフィルムを用いる以外は、実施例1と同様にして、アクチュエータを作製した。
〔比較例1〕
上記導電性ポリマー組成物(コーティング液)Aに代えて、導電性ポリマー組成物(コーティング液)aを用いる以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの導電性ポリマーフィルムを作製した。つぎに、この導電性ポリマーフィルムを用いる以外は、実施例1と同様にして、アクチュエータを作製した。
このようにして得られた実施例および比較例のアクチュエータを用いて、下記の基準に従い、周波数による応答変位振幅を測定した。その結果を、下記の表2に併せて示した。
Figure 0005448293
〔周波数による応答変位振幅〕
図1に示すように、上記アクチュエータのうち、銅線13が接続された一端部をPETフィルム(絶縁フィルム)(図示せず)を介してクランプ(図示せず)で挟持し、長手方向を鉛直方向に合わせて設置した。つぎに、上記銅線13を任意波形発生装置(電源)14に接続し、アクチュエータにパルス状の電圧(0〜10V)を印加し、周波数(1〜5Hz)による応答変位振幅を、レーザ変位計15を用いて測定した。また、湿熱後(80℃×95%RHの湿熱環境下に14日放置後)についても、同様に応答変位振幅を測定した。
上記表2の結果から、アクチュエータは、パルス状の電圧(0〜10V)を印加すると変形し、その印加電圧の周波数に応じて振幅が変化した。この理由は、つぎのように考えられる。すなわち、印加電圧に応じて組成物内のイオンが移動することで材料が変形,運動を起こすが、周波数の増加に伴って、変形,運動が電気信号に追従できなくなるため、振幅が小さくなると考えられる。また、実施例品は、湿熱後の応答性も大きく変化せず、この結果から、低電圧(10V程度)で作動するアクチュエータは、マイクロモーター等にも利用できることがわかる。これに対して、比較例品は、湿熱後の応答性が著しく悪化した。
つぎに、下記のようにして、アクチュエータ(導電性部材)を作製した。
〔実施例4〕
(導電性ポリマー組成物の調製)
アニリン1モル(93g)と、ジノニルナフタレンスルホン酸(スルホン酸官能基量:2.17mmol/g)0.5モルと、メチルエチルケトン1000ml、トルエン1500ml、および水1000mlをフラスコ中に入れ、5℃に制御し攪拌しながら、水500mlに溶解した過硫酸アンモニウム(酸化剤)1モル(228.2g)を1時間かけて滴下し、20時間酸化重合させて重合物を得た(重合ドープ法)。つぎに、この重合物を水とメタノールで遠心分離(8000rpm×30分)を繰り返して洗浄し、20℃で10Torrの減圧乾燥をして導電性ポリマーを調製した。
つぎに、上記導電性ポリマー30部と、ウレタンエラストマー(TPU)(東洋紡社製、バイロンUR5537)70部と、メチルエチルケトン200mlと、THF200mlとを配合し、2本ロールもしくは3本ロールを用いて、導電性ポリマー組成物(コーティング液)を作製した。
(アクチュエータの作製)
まず、離型処理されたPETフィルムの離型処理面に、上記導電性組成物(コーティング液)を塗布し、一晩常温(25℃)で乾燥した後、さらに120℃で30分乾燥した。つぎに、PETフィルムを剥がし、厚み10μmの導電性ポリマーフィルムを作製した。この導電性ポリマーフィルムの電気抵抗(25℃×50%RHの環境下、10Vの電圧を印加)は、6.5×105 Ω・cmであった。
つぎに、図1に示すように、上記導電性ポリマーフィルムを短冊状に切り取った導電性ポリマーフィルム11(1cm×3cm×厚み10μm)の両面に、前述と同様の方法にて調製した導電性ポリマー組成物Dを塗布して厚み1μmの電極12を形成した。そして、各電極12の一端部に銅線(直径100μm,長さ3cm)を接続することにより、アクチュエータを作製した。
〔比較例2〕
導電性ポリマーフィルム11の両面に、導電性ポリマー組成物Dを塗布して電極12を形成する代わりに、導電性ポリマーフィルム11の両面に、イオンスパッタ型真空蒸着器を用いて、厚み30nmの電極(白金層)12を蒸着した。それ以外は、実施例4と同様にして、アクチュエータを作製した。
このようにして得られた実施例および比較例のアクチュエータを用いて、下記の基準に従い、周波数による応答変位振幅を測定した。その結果を、下記の表3に併せて示した。
Figure 0005448293
〔周波数による応答変位振幅〕
図1に示すように、上記アクチュエータのうち、銅線13が接続された一端部をPETフィルム(絶縁フィルム)(図示せず)を介してクランプ(図示せず)で挟持し、長手方向を鉛直方向に合わせて設置した。つぎに、上記銅線13を任意波形発生装置(電源)14に接続し、アクチュエータにパルス状の電圧(0〜10V)を印加し、周波数(1〜5Hz)による応答変位振幅を、レーザ変位計15を用いて測定した。
上記表3の結果から、実施例4のアクチュエータは、柔軟な電極(導電性ポリマー組成物からなる電極)を用いているため、スパッタした白金電極を用いた比較例2のアクチュエータに比べて、大きな変位を保つことができた(電気的応答性に優れていた)。
つぎに、上記導電性ポリマー組成物を用いて、センサー(導電性部材)を作製した。
〔実施例5〕
前記実施1と同様にして、導電性ポリマーフィルムを作製した。すなわち、離型処理されたPETフィルムの離型処理面に、上記導電性ポリマー組成物(コーティング液)Aを塗布した。そして、一晩常温(25℃)で乾燥した後、さらに120℃で30分乾燥した。つぎに、PETフィルムを剥がし、厚み10μmの導電性ポリマーフィルムを作製した。
つぎに、上記導電性ポリマーフィルムを短冊状に切り取った導電性ポリマーフィルム(1cm×3cm×厚み10μm)の両面に、イオンスパッタ型真空蒸着器を用いて、厚み30nmの電極(白金層)を蒸着した。そして、各電極の一端部に銅線(直径100μm,長さ3cm)を接続することにより、センサーを作製した。
〔実施例6〕
上記導電性ポリマー組成物(コーティング液)Aに代えて、導電性ポリマー組成物(コーティング液)Bを用いる以外は、実施例5と同様にして、厚み10μmの導電性ポリマーフィルムを作製した。つぎに、この導電性ポリマーフィルムを用いる以外は、実施例5と同様にして、センサーを作製した。
〔実施例7〕
上記導電性ポリマー組成物(コーティング液)Aに代えて、導電性ポリマー組成物(コーティング液)Cを用いる以外は、実施例5と同様にして、厚み10μmの導電性ポリマーフィルムを作製した。つぎに、この導電性ポリマーフィルムを用いる以外は、実施例5と同様にして、センサーを作製した。
〔比較例3〕
上記導電性ポリマー組成物(コーティング液)Aに代えて、導電性ポリマー組成物(コーティング液)aを用いる以外は、実施例5と同様にして、厚み10μmの導電性ポリマーフィルムを作製した。つぎに、この導電性ポリマーフィルムを用いる以外は、実施例5と同様にして、センサーを作製した。
このようにして得られた実施例および比較例のセンサーを用いて、下記の基準に従い、周波数による応答変位振幅を測定した。その結果を、下記の表4に併せて示した。
Figure 0005448293
〔周波数による応答変位振幅〕
前述のアクチュエータの周波数による応答変位振幅の測定方法(図1参照)に準じて、センサーの周波数による応答変位振幅を測定した。すなわち、上記センサーのうち、銅線が接続された一端部をPETフィルム(絶縁フィルム)を介してクランプで挟持し、長手方向を鉛直方向に合わせて設置した。つぎに、上記銅線を任意波形発生装置(電源)に接続し、センサーにパルス状の電圧(0〜10V)を印加し、周波数(1〜5Hz)による応答変位振幅を、レーザ変位計を用いて測定した。また、湿熱後(80℃×95%RHの湿熱環境下に14日放置後)についても、同様に応答変位振幅を測定した。
上記表4の結果から、センサーはパルス状の電圧(0〜10V)を印加すると変形し、その印加電圧の周波数に応じて振幅が変化した。また、実施例品は、湿熱後の応答性も大きく変化せず、この結果から、低電圧(10V以下)で作動するセンサーは、微電流感知センサー等にも利用できることがわかる。これに対して、比較例品は、湿熱後の応答性が著しく悪化した。
本発明の導電性部材は、アクチュエータまたはセンサーとして用いられる。
アクチュエータの周波数による応答変位振幅の測定方法を示す説明図である。

Claims (1)

  1. アクチュエータまたはセンサーの少なくとも一部が、下記の(A)および(B)成分を含有する導電性ポリマー組成物を用いて形成されていることを特徴とするアクチュエータまたはセンサー
    (A)アニリン,ピロール,チオフェン,およびこれらの炭素数1〜4の短鎖アルキル置換基またはアルコキシル置換基を有する誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一つのモノマーから構成されるπ電子共役系ポリマーを、下記のドーパント(a)によりドーピングしてなる溶剤可溶な導電性ポリマー。
    (a)下記の式(2)で表されるドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、下記の式(3)で表されるペンタデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、および下記の一般式(4)で表されるポリフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つのドーパント。
    Figure 0005448293
    (B)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレア系樹脂、ゴム系ポリマーおよび熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも一つのバインダーポリマー。
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