JP2007138112A - 導電性ポリマー組成物およびそれを用いた電子写真機器用導電性部材 - Google Patents

導電性ポリマー組成物およびそれを用いた電子写真機器用導電性部材 Download PDF

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博樹 杉浦
Atsuhiro Kouno
淳洋 河野
Naoki Yamaguchi
直樹 山口
Takanori Ito
貴則 伊藤
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Abstract

【課題】優れた導電性を有し、それ自体の柔軟性も良好な導電性ポリマー組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)成分および(B)成分を必須成分とし、かつ、下記の(C)成分および(D)成分の少なくとも一方を含有する導電性ポリマー組成物である。
(A)π電子共役系ポリマー。
(B)電子導電性充填剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性ポリマー組成物およびそれを用いた電子写真機器用導電性部材に関するものであり、詳しくは帯電ロール等の電子写真機器部材に用いられる、導電性ポリマー組成物およびそれを用いた電子写真機器用導電性部材に関するものである。
一般に、現像ロール等の電子写真機器部材に用いられる導電性組成物は、好適に使用するためには電気抵抗の制御が必須である。そのため、従来は、樹脂やゴム等のバインダーポリマーに、第四級アンモニウム塩等のイオン導電剤や、カーボンブラック等の電子導電剤を配合することにより、電気抵抗の制御を行っていた。
上記導電剤のうち、イオン導電剤は、通常、バインダーポリマーに溶解するため、導電性のばらつきが小さく、また電圧を変化させた時の電気抵抗の変動が小さく、電気抵抗の電圧依存性に優れるという利点がある。しかし、イオン導電剤は水分等の影響を受けやすく、高温高湿と低温低湿の条件下では電気抵抗が2桁以上変動するため、電気抵抗の環境依存性に劣り、電子写真機器部材としての使用には制約が多い。一方、カーボンブラック等の電子導電剤は、水分等の影響を受けにくく、高温高湿と低温低湿の条件下での電気抵抗の変動が小さいため、電気抵抗の環境依存性に優れているという利点がある。しかし、電子導電剤は、一般に、凝集性が強いため、バインダーポリマー中での均一分散が困難であり、したがって、電気抵抗のばらつきが大きく、導電性の制御が困難である。また、比較的均一に分散している場合でも、導電性発現のメカニズムが、バインダーポリマー中のカーボン間を、電子が高電圧により伝わるトンネル効果もしくはホッピング現象によるものであるため、電圧を変化させた時の電気抵抗の変動が大きく、電気抵抗の電圧依存性に劣る。
これらの問題を解決するため、本発明者らは、界面活性剤構造を有する導電性ポリマーと、バインダーポリマーとを必須成分とし、上記界面活性剤構造を形成するために用いられる界面活性剤が、分子構造中にスルホン酸基を有するとともに、上記バインダーポリマーが、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方を有する電子写真機器部材用半導電性組成物について、先に特許出願を行っている(特許文献1参照)。
特開2004−184512号公報
しかしながら、上記特許文献1の半導電性組成物についてさらに導電性の向上を図るため導電性ポリマーの使用量の増加等について検討を重ねた結果、導電性ポリマーを構成するπ電子共役系ポリマーと、バインダーポリマーとなる非共役系ポリマーとの相溶状態ならびに導電性ポリマーの使用量の増加にもとづく、導電性ポリマー組成物自体の柔軟性の低下について改善の余地があることを突き止めた。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、優れた導電性を有し、導電性ポリマー組成物自体の柔軟性も良好な導電性ポリマー組成物およびそれを用いた電子写真機器用導電性部材の提供を目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、下記の(A)成分および(B)成分を必須成分とし、かつ、下記の(C)成分および(D)成分の少なくとも一方を含有する導電性ポリマー組成物を第1の要旨とし、また、上記導電性ポリマー組成物を、導電性部材の少なくとも一部に用いた電子写真機器用導電性部材を第2の要旨とする。
(A)π電子共役系ポリマー。
(B)電子導電性充填剤。
(C)分子構造中にスルホン酸基およびスルホン酸塩基の少なくとも一方を有するスルホン酸化合物からなるか、もしくはその化合物を含有するスルホン酸組成物からなるスルホン酸系材料。
(D)2,3,6,7−テトラシアノ−1,4,5,8−テトラアザナフタレン。
すなわち、本発明者らは、導電性ポリマー組成物自体の柔軟性が良好で、しかも優れた導電性を有する導電性ポリマー組成物を得るため、鋭意研究を重ねた。その結果、π電子共役系ポリマーまたはそれを、スルホン酸化合物等でドーピングし導電性ポリマー化したものとともに、電子導電性充填剤を併用すると、導電性ポリマー組成物自体の柔軟性が損なわれず良好で、しかも優れた導電性を有する導電性ポリマー組成物が得られることを見いだし本発明に到達した。また、バインダーポリマーとなる非共役系ポリマーを用いた場合には、非共役系ポリマー中にπ電子共役系ポリマーが微分散する程度の相溶状態ではなく、ほぼ完全な相溶状態になることも見いだした。
本発明において、上記相溶状態とは、つぎのような状態をいう。すなわち、導電性ポリマー組成物をテトラヒドロフラン(THF)等の溶剤に混合し、超音波処理した後、遠心分離して上澄液を取り出し、これをアプリケーターを用いステンレススチール(SUS)板上にキャスティングし乾燥(100℃×30分)して塗膜(厚み5μm)を形成する。そして、この塗膜を光学顕微鏡3000倍で観察したときに、共役系ポリマーからなるマトリックス中にπ電子共役系ポリマーの粒子が平均粒径で0.2μm以下の状態で分布していることをいう。ただし、π電子共役系ポリマーの粒径が0.2μmを越えるものが多少混在していても差し支えない。通常その量は、本発明の導電性ポリマー組成物中の10重量%(以下「%」という)以下であり、通常は5%以下となる。
本発明の導電性ポリマー組成物では、π電子共役系ポリマーまたはそれを、スルホン酸化合物等でドーピングし導電性ポリマー化したものとともに、電子導電性充填剤を併用している。この電子導電性充填剤の併用によって、剛直性の高いπ電子共役系ポリマーの使用割合を高めて導電性ポリマー組成物の柔軟性を損なうというようなことなく、導電性等を高めて電気特性等を向上させることができる。その結果、電子写真機器用導電性部材等の用途に最適となる。また、バインダーポリマーとなる非共役ポリマーを用いた場合には、非共役系ポリマー中にπ電子共役系ポリマーが微分散する程度の相溶状態ではなく、ほぼ完全な相溶状態になる。
また、上記π電子共役系ポリマーを構成するものが、アニリン,ピロール,チオフェンおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一つである場合には、上記効果がより適格に得られるようになる。
さらに、上記電子導電性充填剤が、カーボンブラック,カーボンナノチューブ,グラファイト,金属酸化物および金属ナノ粒子からなる群から選ばれた少なくとも一つである場合にも、上記効果がより適格に現れるようになる。
また、上記スルホン酸化合物(C成分)が、分子構造中にフェニル基およびナフチル基の少なくとも一つを有するものであるときには、導電性ポリマーとの親和性が増し、分子レベルで均一に混合するという効果が得られる。
さらに、上記スルホン酸系材料(C成分)が、下記の(a)および(b)の少なくとも一方であるときには、親油性が増し、バインダーポリマーとの相溶性に優れるという効果が得られる。
(a)少なくとも一つのアルキル置換基を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩。
(b)分子構造中に、炭素数5以上のアルキル基および炭素数5以上のアルコキシル基の少なくとも一方を置換基として有するか、もしくは有しないジフェニルエーテルスルホン酸またはその塩。
さらにまた、上記π電子共役系ポリマー(A成分)が、上記スルホン酸系材料(C成分)によってドーピングされ導電性ポリマー化されているときには、π電子共役系ポリマー(A成分)の電子を引き抜き、π電子共鳴による導電性を与えるという効果が得られる。
本発明の電子写真機器用導電性部材は、上記特殊な導電性ポリマー組成物を導電性部材の少なくとも一部(全部もしくは一部)に用いているため、帯電ロール等の電子写真機器用部材に上記特性を付与することができる。例えば、帯電ロール等の電子写真機器用部材の表層(コート層)に上記特殊な導電性ポリマー組成物を用いた場合には、表層の薄膜化等により目的を達成できるため、材料費の節約等を実現にしたうえで、良好な電気特性が得られ、鮮明な複写画像を得ることができるようになる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の導電性ポリマー組成物は、π電子共役系ポリマー(A成分)と、電子導電性充填剤(B成分)とを必須成分(構成上必ず含有される成分)とし、かつ、分子構造中にスルホン酸基およびスルホン酸塩基の少なくとも一方を有するスルホン酸化合物からなるか、もしくはその化合物を含有するスルホン酸組成物からなるスルホン酸系材料(C成分)、および2,3,6,7−テトラシアノ−1,4,5,8−テトラアザナフタレン(D成分)の少なくとも一方を用いて得ることができる。
本発明では、π電子共役系ポリマー(A成分)それ自体、ないしは、これにスルホン酸系材料をドーピングし導電性ポリマー化したものとともに、電子導電性充填剤(B成分)を用いるのであって、これが最大の特徴である。
本発明において、上記π電子共役系ポリマー(A成分)とは、単結合と多重結合とが交互に連なったポリマーを意味する。
上記π電子共役系ポリマー(A成分)を構成するモノマーとしては、アニリン、ピロール、チオフェン、o−トルイジンおよびこれらの誘導体があげられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。また、これらは、炭素数1〜4のアルキル置換基またはアルコキシル置換基を有していてもよい。このような置換基を有するものは、溶剤への溶解性,バインダーポリマーとなる非共役系ポリマーとの相溶性の点で好ましい。このようなモノマーは、過硫酸アンモニウム(APS)、過酸化水素水、過塩素酸、塩化第二鉄等の酸化剤の存在下に、水中で酸化重合させる化学酸化重合法によるか、または電解重合法によって高分子化されπ電子共役系ポリマー(A成分)となる。
このπ電子共役系ポリマー(A成分)の数平均分子量(Mn)は、1,000〜100,000の範囲内が好ましく、特に好ましくは3,000〜50,000の範囲内である。
上記π電子共役系ポリマー(A成分)は、それ自体多少の導電性を有するが、必要に応じてその導電性を高めて導電性ポリマー化するために、本発明では、分子構造中にスルホン酸基、スルホン酸塩基を有するスルホン酸化合物からなるか、もしくはその化合物を含有するスルホン酸組成物からなるスルホン酸系材料(C成分),および2,3,6,7−テトラシアノ−1,4,5,8−テトラアザナフタレン(D成分)の少なくとも一方をドーパントとして用いる。
上記分子構造中にスルホン酸基(−SO3 H)およびスルホン酸塩基(−SO3 M)の少なくとも一方を有するスルホン酸化合物(C成分)としては、特に限定はないが、分散性等の効果の点から、下記のドーパント(α)が好適に用いられる。
(α)分子構造中にフェニル基およびナフチル基の少なくとも一つを有するスルホン酸化合物。
上記ドーパント(α)としては、例えば、下記の一般式(1)で表わされるものがあげられる。
上記一般式(1)において、Mで表される金属原子としては、例えば、ナトリウム,カルシウム,バリウム等のアルカリ金属ないしアルカリ土類金属等があげられる。
また、上記一般式(1)において、R1 〜R5 は水素原子,アルキル基,アルコキシル基,アルキルカルボン酸基またはフェニルエーテル基であるが、特にR1 〜R5 のうちの少なくとも一つがアルキル基、フェニルエーテル基であることが効果の点で好ましい。
つぎに、上記スルホン酸化合物を含有するスルホン酸組成物からなるスルホン酸系材料(C成分)としては、特に限定はないが、親油性が増し、バインダーポリマーとの相溶性に優れるという効果が得られる点から、下記のドーパント(a)および(b)の少なくとも一方が好適に用いられる。
(a)少なくとも一つのアルキル置換基を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩。
(b)分子構造中に、炭素数5以上のアルキル基および炭素数5以上のアルコキシル基の少なくとも一方を置換基として有するか、もしくは有しないフェニルエーテルスルホン酸またはその塩。
上記ドーパント(a)としては、アルキル置換基の炭素数の合計が10〜37であるものが好適に用いられる。アルキル置換基の炭素数が10未満であると、溶解性の点で好ましくなく、逆に37を越えると、導電性の点で好ましくないからである。特にアルキル置換基の炭素数の合計が16〜30であるアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩が好適に用いられる。
上記ドーパント(a)におけるアルキル置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基等があげられる。これらのアルキル置換基は分岐を有していてもよいが、効果の点から、直鎖の方が好ましい。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
また、上記アルキルベンゼンスルホン酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩,カルシウム塩,バリウム塩等の金属塩の他、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等があげられる。これらのなかでも、金属塩が好適に用いられる。
上記ドーパント(a)は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、ベンゼンまたはアルキルベンゼンに、炭素数2〜24のオレフィンをフリーデルクラフツ反応によりアルキル置換基化した後、未反応物を蒸留して取り除き、ついで三酸化硫黄ガスを一定流速で加えることにより、特定のアルキルベンゼンスルホン酸を得ることができる。また、得られたアルキルベンゼンスルホン酸に、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等を反応させることにより、特定のアルキルベンゼンスルホン酸の塩を得ることができる。また、上記ドーパント(a)は、石油の留分を原料にして、スルホン化することにより得ることもできる。
また、上記ドーパント(b)としては、例えば、下記の式(2)で表されるドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、下記の式(3)で表されるペンタデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、下記の一般式(4)で表されるポリフェニルエーテルスルホン酸カリウム、ならびに、ドデシルブタデシルフェニルスルホン酸等があげられる。これらのものは、溶剤への溶解性の点で好適である。
また、本発明においては、上記スルホン酸化合物(C成分)として、前記ドーパント(α)以外に、下記のドーパント(β)が用いられる。
(β)スルホン酸基またはスルホン酸塩基を有する非共役系ポリマー。
上記ドーパント(β)としては、例えば、スルホン酸ナトリウム塩基を有するポリエステルウレタンがあげられる。なお、スルホン酸基またはスルホン酸塩基を有する非共役系ポリマー〔ドーパント(β)〕によりドーピングされたπ電子共役系ポリマー(A成分)を用いる場合は、ドーパント(β)自身がバインダーポリマーの特性を持っているため、バインダーポリマー成分は必須ではない。
また、本発明では、前記C成分に代えて、もしくはC成分とともに、下記の構造式(5)で表される2,3,6,7−テトラシアノ−1,4,5,8−テトラアザナフタレン(D成分)をドーパントとして用いても差し支えない。
上記π電子共役系ポリマー(A成分)を、上記のようなドーパントでドーピングすることは、つぎのようにして行われる。すなわち、π電子共役系ポリマー(A成分)を構成するモノマーと、特定のドーパントとを、酸化剤の存在下に、水中で酸化重合させる等の化学酸化重合法等によってモノマーを重合し、ドーピングされたπ電子共役系ポリマー(導電性ポリマー化品)を得るということによって行うことができる。その他、電解重合法によっても行うことができる。また、π電子共役系ポリマー(A成分)を構成するモノマーを重合した後、ドーピングすることによっても行うことができる。さらに、有機溶剤と水との混合液中で、π電子共役系ポリマー(A成分)を構成するモノマーと、特定のドーパントとを乳化させ、モノマーにドーパントを導入した後、そのモノマーを重合すること等によっても行うことができる。また、π電子共役系ポリマー(A成分)を脱ドープ状態にした後、特定のドーパントにより、ドーピングすることによっても行うことができる。
上記酸化剤としては、特に限定はないが、先に述べたように、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)、過酸化水素水等の過酸化物、塩化第二鉄等があげられる。
上記π電子共役系ポリマーを構成するモノマーと、ドーパントとの混合比は、モル比で、モノマー/ドーパント=1/0.03〜1/3の範囲内が好ましく、特に好ましくはモノマー/ドーパント=1/0.05〜1/2の範囲内である。すなわち、ドーパントのモル比が低くなると、π電子共役系ポリマーとドーパントとの相溶性や分散性が低下する傾向がみられ、逆にドーパントのモル比が高くなると、反応性が悪化したり、イオン導電性への寄与効果が強くなりすぎ、導電性ポリマーの電子導電性を減らす傾向がみられるからである。
このようにして、得られた導電性ポリマーにおける導電性とは、電気抵抗が1×10-1〜1×108 Ω・cmの範囲内の導電性領域にあることを言い、好ましくは1×101 〜1×105 Ω・cmの範囲内である。
この電気抵抗は、例えばつぎのようにして測定される。すなわち、導電性ポリマーをTHF等の溶剤に混合し、超音波処理した後、遠心分離して上澄みを取り出す。そして、この上澄みをアプリケータを用いてSUS板上にキャスティングし、乾燥(例えば、100℃×30分)して塗膜(厚み5μm)を形成する。そして、この塗膜の電気抵抗を、25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加し、SRIS 2304に準じて測定する。
上記のように、π電子共役系ポリマー(A成分)をドーピングして得られた導電性ポリマーは、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、m−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエン等の溶剤に可溶である。
つぎに、上記π電子共役系ポリマー(A成分)とともに、必要に応じて用いられるバインダーポリマーとしての、非共役系ポリマーについて説明する。この非共役系ポリマーとしては、特に限定はないが、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレア系樹脂、ゴム系ポリマー、熱可塑性エラストマー等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、π電子共役系ポリマー(A成分)との相溶性に優れる点で、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系ポリマー、熱可塑性エラストマーが好適に用いられる。
また、上記非共役系ポリマーは、上記π電子共役系ポリマー(A成分)との相溶性の点で、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造(スルホン酸塩基)を有するものが好ましい。このスルホン酸塩構造としては、前述のようなスルホン酸金属塩構造、スルホン酸アンモニウム塩構造、スルホン酸ピリジニウム塩構造等があげられる。
この場合、非共役系ポリマー中における、スルホン酸基やスルホン酸塩構造(スルホン酸塩基)の含有量(スルホン酸基量)は、0.001〜1mmol/gの範囲内が好ましく、特に好ましくは0.01〜0.2mmol/gの範囲内である。すなわち、このスルホン酸基やその酸塩基量が0.001mmol/g未満であると、π電子共役系ポリマー(A成分)との相溶性が悪くなる傾向がみられ、逆に1mmol/gを超えると、含水による物性の低下やイオン導電性の発現がみられるからである。
上記非共役系ポリマーにおけるアクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリヒドロキシメタクリレート、アクリルシリコーン系樹脂、アクリルフッ素系樹脂、公知のアクリルモノマーを共重合したものや、光架橋用のアクリルオリゴマー等があげられ、単独でもしくは併せて用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。このようなスルホン酸基導入の方法としては、例えば、スルホン酸基やスルホン酸塩を有するビニルモノマーと、アクリル系樹脂のモノマーとをラジカル,アニオン,カチオン共重合する方法等があげられる。
また、ウレタン系樹脂としては、例えば、エーテル系,エステル系,カーボネート系,アクリル系,脂肪族系等のウレタン系樹脂や、それにシリコーン系ポリオールまたはフッ素系ポリオールを共重合させたもの等があげられ、単独でもしくは併せて用いられる。なお、ウレタン系樹脂は、分子構造中にウレア結合またはイミド結合を有するものであってもよい。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。このようなスルホン酸基導入の方法としては、例えば、スルホン酸基を有するジオールモノマーを、ウレタン反応,エステル交換反応で導入する方法等があげられる。
また、フッ素系樹脂としては、例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体等があげられ、単独でもしくは併せて用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
また、ポリイミド系樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミック酸、シリコーンイミド等があげられ、単独でもしくは併せて用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
また、エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、臭素化型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、ポリアミド併用型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アミノ樹脂併用型エポキシ樹脂、アルキッド樹脂併用型エポキシ樹脂等があげられ、単独でもしくは併せて用いられる。これらも、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
また、ウレア系樹脂としては、分子構造中にウレア結合を有する樹脂であれば特に限定はなく、ウレタンウレアエラストマー、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等があげられ単独でもしくは併せて用いらる。これらも、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
また、ゴム系ポリマーとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加NBR(H−NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム、クロロプレンゴム(CR)、塩素化ポリエチレン(Cl−PE)、エピクロロヒドリンゴム(ECO,CO)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム等があげられ、単独でもしくは併せて用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
また、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS),スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、合成プロセスの簡便さ、溶剤との溶解性の点で、TPUが好適に用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
このような非共役系ポリマーの数平均分子量(Mn)は、500〜2,000,000の範囲内が好ましく、特に好ましくは2,000〜800,000の範囲内である。
上記非共役系ポリマーと上記π電子共役系ポリマー(A成分)とは後記のようにして混合され、組成物化されるが、上記非共役系ポリマーとπ電子共役系ポリマーとの混合比は重量比で、π電子共役系ポリマー(A成分)/非共役系ポリマー=1/99〜60/40の範囲が好ましく、特に好ましいのは、π電子共役系ポリマー(A成分)/非共役系ポリマー=4/96〜45/55である。すなわち、π電子共役系ポリマーの割合が高くなり過ぎると、得られる導電性ポリマー組成物が硬くなり過ぎ、柔軟性が損なわれるようになり、逆にπ電子共役系ポリマーの割合が低くなり過ぎると目的とする導電性が得られにくくなるからである。
上記π電子共役系ポリマー(A成分)とともに用いる電子導電性充填剤(B成分)としては、電子導電性を有するものであれば特に限定はないが、たとえば、カーボンブラック,カーボンナノチューブ,グラファイト,金属酸化物および金属ナノ粒子があげられる。これらの電子導電性充填剤は単独で用いてもよいし併用してもよい。電子導電性充填剤の具体例としては、導電性カーボンブラック,導電性カーボンナノチューブ,c−ZnO(導電性酸化亜鉛)、c−TiO2 (導電性酸化チタン)、c−SnO2 (導電性酸化錫),銀ナノ粒子等があげられる。
このような、電子導電性充填剤(B成分)の配合割合は、導電性および、導電性ポリマー組成物の物性の観点からπ電子共役系ポリマー(A成分)と非共役系ポリマーの合計100重量部(以下「部」と略す)に対して1〜80部の範囲内が好ましく、特に好ましくは、3〜60部の範囲内である。
本発明の導電性ポリマー組成物には、上記π電子共役系ポリマー(A成分),電子導電性充填剤(B成分)に加え、場合によって非共役系ポリマー,イオン導電剤,架橋剤等を適宜配合しても差し支えない。
このイオン導電剤としては、例えば、過塩素酸リチウム,第四級アンモニウム塩,ホウ酸塩等の、ポリマー中でイオン解離する化合物があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
このようなイオン導電剤の配合割合は、物性や電気特性の点から、π電子共役系ポリマー(A成分)の原料と、非共役系ポリマーとの合計100部に対して、0.01〜5部の範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜2部の範囲内である。
また、架橋剤としては、例えば、硫黄、イソシアネート、ブロックイソシアネート、メラミン等の尿素樹脂、エポキシ硬化剤、ポリアミン硬化剤、ヒドロシリル硬化剤、パーオキサイド等があげられ、単独でもしくは併せて用いられる。なお、上記架橋剤とともに、紫外線や電子線等のエネルギーによって架橋する光開始剤を併用しても差し支えない。
このような、架橋剤の配合割合は、物性,粘着性,液保管性の点からπ電子共役系ポリマー(A成分)と非共役系ポリマーとの合計100部に対して1〜30部の範囲内が好ましく、特に好ましくは3〜10部の範囲内である。
なお、本発明の導電性ポリマー組成物には、場合によって架橋促進剤を用いてもよい。この架橋促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系架橋促進剤、白金化合物、アミン触媒、ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤等の公知のものがあげられる。
本発明の導電性ポリマー組成物は、例えば、つぎのようにして作製することができる。まず、ドーピングされて導電性ポリマー化されたπ電子共役系ポリマーないしはドーピングされていないπ電子共役系ポリマー(A成分)と、電子導電性充填剤(B成分)と、を配合するとともに必要に応じて、非共役系ポリマー,イオン導電剤,架橋剤等を配合する。そして、これらを1種類の溶剤ないしは数種類の溶剤の混合溶液に添加し、その後、ビーズミルや三本ロールを用いて混合する等によって溶液化し、π電子共役系ポリマー(A成分)と非共役系ポリマーとを相溶状態とする。このようにして得られた液状導電性ポリマー組成物は、コーティング液等として用いられる。また、溶剤を用いず、上記各成分を、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練することによっても目的とする固形状の導電性ポリマー組成物を得ることができる。
上記溶剤としては、例えば、m−クレゾール、メタノール、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶剤等があげられる。
本発明の導電性ポリマー組成物は、上記のようにπ電子共役系ポリマー(A成分),バインダーポリマーとなる非共役系ポリマーおよび電子導電性充填剤(B成分)等と溶剤とからなるコーティング液をコーティングして成膜化することができるが、これに限定するものではなく、溶剤を用いず上記成分を、ロール等を用いて混練して得た固形状の導電性ポリマー組成物を押出成形法、インジェクション成形法、インフレーション成形法等により、成膜化ないし製品化することも可能である。
このような、本発明の導電性ポリマー組成物の電気抵抗は、導電性ポリマー組成物をテトラヒドロフラン(THF)等の溶剤に混合し、超音波処理した後、遠心分離して上澄液を取り出す。ついでこの上澄液をアプリケーターを用いてSUS板上にキャスティングして乾燥(たとえば、100℃×30分)して、塗膜(厚み5μm)を形成する。そして、この塗膜の電気抵抗を、25℃×50%RHの環境下、10Vの電圧を印加し、SRIS 2304に準じて測定する。このようにして測定した本発明の導電性ポリマー組成物の電気抵抗は、1×104 〜1×1011Ω・cmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは1×105 〜1×1010Ω・cmの範囲内である。すなわち、電気抵抗が1×104 Ω・cm未満であると、電気抵抗が低すぎるため、トナーへの電荷供給や感光体への帯電性等の点で、電子写真機器部材としての画像への利点が少なくなる傾向がみられ、逆に1×1011Ω・cmを超えると、電気抵抗が高すぎるためチャージアップ等が起こり電子写真機器用導電性部材としての制御が困難となる傾向がみられるからである。
つぎに本発明の導電性ポリマー組成物を用いた電子写真機器用導電性部材について説明する。
本発明の電子写真機器用導電性部材は、上述の導電性ポリマー組成物を導電性部材の少なくとも一部(全部もしくは一部)に用いることにより得ることができる。この電子写真機器用導電性部材としては、例えば、現像ロール,帯電ロール,転写ロール,トナー供給ロール等の導電性ロール、中間転写ベルト,紙送りベルト等の導電性ベルト等があげられ、これらの構成層の少なくとも一部に用いられる。すなわち、本発明の導電性ポリマー組成物を、電子写真機器用導電性部材の構成層の少なくとも一部に用いると、本発明の導電性ポリマー組成物は高い導電性を有し、しかもそれ自体の柔軟性も良好であることから、この導電性ポリマー組成物を用いて形成した構成層の特性が良好となり、その結果、濃度むらや画質むらのない良好な複写画像が得られ、しかも連続使用における耐久性にも優れた電子写真機器用導電性部材が得られるようになる。
つぎに実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、π電子共役系ポリマー(A成分)に対し、ドーパントをドーピングして導電性ポリマーを作製した。
[導電性ポリマー1の作製]
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるアニリン1モルと、ドーパントaである、下記の式(6)で表されるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(3つのアルキル置換基を有し、アルキル置換基の炭素数の合計が20)1モルと、1N塩酸とメチルイソブチルケトン(MIBK)との混合溶媒(混合比:塩酸/MIBK=2/1)2000mlとをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、酸化剤である過硫酸アンモニウム1モルを1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンでそれぞれ洗浄して、精製し、導電性ポリマー1を得た。
[導電性ポリマー2の作製]
アニリンに代えてo−トルイジン1モルを用いる以外は、上記導電性ポリマー1と同様にして導電性ポリマー2を作製した。
[導電性ポリマー3の作製]
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるピロール1モルとドーパントaである上記一般式(6)で表わされるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム1モルと、クロロホルム1500mlとをフラスコ中に入れ5〜10℃に制御しながら、酸化剤である塩化第二鉄3モルを1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて、導電性ポリマー3を作製した。
[導電性ポリマー4の作製]
ピロール1モルに代えて、チオフェン1モルを用いる以外は導電性ポリマー3の作製と同様にして導電性ポリマー4を作製した。
[導電性ポリマー5の作製]
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるo−トルイジン1モルと、ドーパントbとして前記の式(2)のドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム1モルと、1N塩酸とメチルイソブチルケトン(MIBK)との混合溶媒(混合比:塩酸/MIBK=2/1)2000mlと、をフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、酸化剤である過硫酸アンモニウム1モルを1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて、重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンでそれぞれ洗浄して、精製し、導電性ポリマー5を作製した。
[導電性ポリマー6の作製]
ドーパントとして式(6)で表わされるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムに代えて、ドーパントcとして、前記構造式(5)で表される2,3,6,7−テトラシアノ−1,4,5,8−テトラアザナフタレン(三谷産業社製、TCNA)を1モル用いた。それ以外は導電性ポリマー3の作製と同様にして導電性ポリマー6を作製した。
[導電性ポリマー7の作製]
下記のようにしてドーパントdをつくり、これを用い下記のようにして導電性ポリマー7を作製した。
(ドーパントd《エラストマードーパント》の作製)
温度計、攪拌機および部分還流式冷却器を備えた反応器に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸178部、1,6−ヘキサンジオール155.8部、およびネオペンチルグリコール321.7部を加え、200℃で5時間エステル交換反応を行った。つづいて、アジピン酸480.8部を加え、200℃で10時間反応させた後、反応系を3時間かけて200mmHgまで減圧し、さらに5〜20mmHg、210℃で2時間重縮合反応を行い、ポリエステルジオール(Mn:2000)を得た。つぎに、このポリエステルジオール100部を、MEKに固形分重量が30重量%となるように溶解し、触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.02部加え、80℃に保ち攪拌しながら、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを12.5部添加して、スルホン酸官能基を有するウレタンエラストマー(Mn:20,000、スルホン酸官能基量:0.5mmol/g)を得た。これをTHFで希釈し、陽イオン交換樹脂(アンバーリスト15DRY)を用いてプロント酸をもつスルホン酸基にイオン交換を行いエラストマードーパント(ドーパントd)を得た。
(導電性ポリマーの作製)
o−トルイジン〔π電子共役系ポリマー(A成分)のモノマー〕1モル(107g)を1000mlの1N塩酸に添加し、500mlの1N塩酸に溶解した過硫酸アンモニウム(酸化剤)1モル(228.21g)を10時間、15℃で継続的に攪拌して重合し、ポリo−トルイジン〔π電子共役系ポリマー(A成分)〕を得た。これをメタノールと水で洗浄した後、0.1N水酸化ナトリウム溶液に添加し、脱ドープ反応を行った。これを再度、水とメタノールで洗浄し、THFに溶解した。このポリo−トルイジンと、先のドーパントdを、ドーパントdのスルホン酸官能基0.4モル相当となるようTHF中で混合して(イオン交換法)、目的とする導電性ポリマー7を得た。
[導電性ポリマー8の作製]
ドーパントdの使用割合を、スルホン酸官能基0.4モルに代えて0.2モルに減少した。それ以外は導電性ポリマー7の作製と同様にして導電性ポリマー8を作製した。
[導電性ポリマー9の作製]
ドーパントとしてドデシルベンゼンスルホン酸(ドーパントe)1モルを用いた。それ以外は導電性ポリマー2の作製と同様にして導電性ポリマー9を作製した。
以上をまとめて後記の表1および表2に示すとともに、その得られた導電性ポリマー1〜9の特性評価を下記の基準で行いその結果を同表に併せて示した。
〔溶解度〕
各導電性ポリマーのTHF、ジエチルエーテル、m−クレゾールおよびNMPに対する溶解度を測定した。
〔電気抵抗〕
(初期)
各導電性ポリマーをTHFに混合し、超音波処理した後、遠心分離(20000rpm)して上澄みを取り出した。この上澄みをアプリケータを用いてSUS板上にキャスティングし、乾燥(100℃×30分)して塗膜(厚み5μm)を形成した。そして、この塗膜の電気抵抗を、25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加し、SRIS 2304に準じて測定した。
(オゾン後の変動桁数)
上記塗膜を50℃×80pphmのオゾン環境下に3ヶ月放置し、その後の電気抵抗を上記と同様にして測定した。そして、電気抵抗の変動桁数を求めた。
(湿熱後の変動桁数)
上記塗膜を50℃×95%RHの湿熱環境下に3ヶ月放置し、その後の電気抵抗を上記と同様にして測定した。そして、電気抵抗の変動桁数を求めた。
つぎに、上記導電性ポリマー1〜9とともに、下記に示す材料を準備した。
[非共役系ポリマー]
(1)ウレタン系熱可塑性エラストマー
TPU(日本ミラクトラン社製、E980)
(2)ポリメチルメタクリレイト
PMMA(住友化学社製、LG6A)
(3)ウレタンシリコーン
(信越化学工業社製、X22−2756)
(4)アクリルフッ素樹脂
(綜研化学社製、LFB4015)
(5)TPUスルホン酸ナトリウム
(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン3312)
(6)スルホン化ウレタンシリコーン
アジピン酸/5−ナトリウムスルホイソフタル酸=4/1(重量比)と、エチレングリコールとを共重合して得たポリオール〔重量平均分子量(Mw):2000〕と、ポリエチレンアジペートポリオール(Mw:2000)と、シリコーンポリオール(Mw:2000)と、MDIとを反応させてスルホン化ウレタンシリコーン(スルホン酸ナトリウム基0.01mmol/g、シリコーン成分10%、Mw:8万)を作製した。
(7)スルホン化アクリルフッ素樹脂
メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/パーフルオロオクチルエチレン=8/1/1(重量比)と、スルホエチルメタクリレートとを共重合してスルホン化アクリルフッ素樹脂(スルホン酸アンモニウム基0.02mmol/g、Mw:4万)を作製した。
[電子導電充填剤(B成分)]
カーボンブラックa(三菱化学社製、♯5110B)
カーボンブラックb(キャンカーブ社製、サーマックスN990)
カーボンブラックc(東海カーボン社製、シーストS)
カーボンナノチューブ(NTR社製、NT−5)
銀ナノ粒子(日本ペンイント社製、ファインスフエアSVE102)
前記導電性ポリマーおよび上記材料を用い、つぎのようにして導電性ポリマー組成物を作製した。
〔実施例1〕
非共役系ポリマーであるTPU90部をTHF300部とMEK150部とトルエン100部の混合溶媒に溶解させた後、前記のようにして作製された導電性ポリマー(1)10部をTHF溶液(5%)にて加え、さらにカーボンブラックa10部を加えたのち三本ロールを用いて混練して導電性ポリマー組成物(液状)を作製した。
〔実施例2〜20、比較例1〜6〕
非共役系ポリマーである、ドーピングされたπ電子共役系ポリマーある導電性ポリマー(A成分)、電子導電性充填剤(B成分)の種類や配合量等を後記の表3〜表6に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様にして導電性ポリマー組成物を得た。
以上をまとめて後記の表3〜表6に示すとともに、得られた各導電性ポリマー組成物を対象とし、下記の基準に従い各特性の評価を行いその結果を同表にあわせて示した。
〔電気抵抗、電気抵抗の電圧依存性〕
各導電性ポリマー組成物をSUS304板上に塗布して、120℃×30分乾燥し、厚み30μmの導電性塗膜を作製した。つぎに、この導電性塗膜について、25℃×50%RHの環境下、10Vの電圧を印加した時の電気抵抗(Rv=10V)と、100Vの電圧を印加した時の電気抵抗(Rv=100V)を、SRIS 2304に準じてそれぞれ測定した。そして、Log(Rv=10V/Rv=100V)により、電気抵抗の電圧依存性を変動桁数で表示した。
〔電気抵抗の環境依存性〕
各導電性ポリマー組成物を用い、上記と同様にして、導電性塗膜を作製し、この導電性塗膜について、印加電圧10Vの条件下、低温低湿(15℃×10%RH)時の電気抵抗(Rv=15℃×10%RH)と、高温高湿(35℃×85%RH)時の電気抵抗(Rv=35℃×85%RH)を、SRIS 2304に準じてそれぞれ測定した。そして、Log(Rv=15℃×10%RH/Rv=35℃×85%RH)により、電気抵抗の環境依存性を変動桁数で表示した。
〔湿熱による電気抵抗変動桁数〕
各導電性ポリマー組成物を用い、上記と同様にして、導電性塗膜を作製し、この導電性塗膜について、50℃×95%RHの環境下で100日間放置前後の電気抵抗を、25℃×50%RH、10V印加の条件下で、SRIS 2304に準じてそれぞれ測定した。そして、Log(Rv=100日/Rv=0日)により、湿熱による電気抵抗変動桁数を求めた。
〔高電圧領域での電気抵抗変動(チャージアップ)〕
各導電性ポリマー組成物を用い、上記と同様にして、導電性塗膜を作製し、この導電性塗膜について、25℃×50%RHの環境下、100Vの電圧を印加した時の電気抵抗(Rv=0秒)と、25℃×50%RHの環境下、100Vの電圧を10分間印加した時の電気抵抗(Rv=600秒)とを、SRIS 2304に準じてそれぞれ測定した。そして、Log(Rv=600秒/Rv=0秒)により、高電圧領域での電気抵抗変動を変動桁数で表示した。
〔弾性率〕
非共役系ポリマー、ドーピングされたπ電子共役系ポリマーである導電性ポリマー(A成分)およびカーボンブラック(B成分)を表3〜表6に示す割合で混合し、二本ロールを用いて混練することにより、固形弾性状の導電性ポリマー組成物を作製した。
つぎに、この固形弾性状の導電性エラストマー組成物を用いて所定のテストピースをつくり、これをJIS K 7161に規定される方法によって測定した。
〔破断応力〕
上記弾性率の測定に用いたのと同様の固形弾性状の導電性エラストマー組成物を作製し、これを用いて所定のテストピースをつくりJIS K 7161に従って測定した。
〔破断伸び〕
弾性率の測定と同様にして、同様の固形弾性状の導電性エラストマー組成物を作製し、この導電性エラストマー組成物を用いて所定寸法のテストピースをつくり、JIS K 7161に規定される試験方法によって測定した。
上記の結果から実施例品は、いずれも導電性,電気抵抗の電圧依存性,電気抵抗の環境依存性,湿熱による電気抵抗変動桁数,チャージアップ等の電気特性に優れ、しかも弾性率,破断応力,破断伸びの値から示されるように、適正な弾性(柔軟性)を備えている。これに対して、比較例品1は弾性率等であらわされる柔軟性等の特性が悪い。また、比較例品2は電気抵抗が大きく導電性に劣っている。比較例品3も比較例品2と同様電気抵抗が高く、導電性に劣っている。比較例品4および比較例品5は、電子導電剤のみを用いているため、電気抵抗の電圧依存性が劣っていた。比較例6品は比較例1品と同様、電気抵抗が高く、導電性に劣っていた。これは、電気抵抗等の電気特性において、実施例品1は、図1の塗膜の断面図で示すように、非共役系ポリマーからなるマトリックスポリマー中に、線状の導電性ポリマー2が分布し、かつカーボンブラックのような導電性充填剤粒子1が分散していて、導電路Aの形成に、導電性ポリマー2とカーボンブラック1が共働している。また、カーボンブラック1が分布していない個所でも、導電性ポリマー2により通電路Bが形成され、塗膜の全体に通電路が形成されうる。したがって、導電性ポリマー2の分散量を多くしなくても、適正で、全体に略均一な導電性が得られる。これに対し、比較例品1は、適正な導電性を得るためには、図2に示すように導電性ポリマー2の含有量を多くしなければならず、そのポリマー2の剛性により塗膜全体が硬質化し柔軟性に欠ける。また、図3に示すように、比較例品4はカーボンブラック1のみで通電路を形成するため、カーボンブラックのないところでは、矢印Bのように、通電路が形成されないことになる。
つぎに、上記導電性ポリマー組成物を用いて次のようにして導電性ロールを作製した。
[I 現像ロールの作製]
〔実施例21〕
(ベース層用材料)
カーボンブラックを分散させたシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE1350AB)を準備した。
(表層用材料)
実施例2と同様にして導電性ポリマー組成物(液状)を作製した。
(現像ロールの作製)
軸体である芯金(直径10mm SUS304製)をセットした成形用金型内に、上記べース層用材料を注型し、150℃×45分の条件せ加熱した後、脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層を形成した。つぎに、このベース層の外周面に、上記表層用材料を塗布し乾燥して、軸体の外周面にベース層(厚み4mm)が形成され、その外周面に表層(厚み45μm)が形成されてなる、現像ロールを作製した。
〔実施例22〕
(表層用材料)
実施例9と同様にして、導電性ポリマー組成物(液状)を作製した。
(現像ロールの作製)
上記表層用材料を用いる以外は、実施例21と同様にして現像ロールを作製した。
〔実施例23〕
(表層用材料)
実施例13と同様にして、導電性ポリマー組成物(液状)を作製した。
(現像ロールの作製)
上記表層用材料を用いる以外は、実施例21と同様にして現像ロールを作製した。
〔実施例24〕
(ベース層用材料)
カーボンブラックを分散させたシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE1350AB)を準備した。
(中間層用材料)
実施例4と同様にして、導電性ポリマー組成物(液状)を作製した。
(表層用材料)
実施例16と同様にして、導電性ポリマー組成物(液状)を作製した。
(現像ロールの作製)
上記ベース層用材料,中間層用材料および表層用材料を用い、次のようにして現像ロールを作製した。すなわち、軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした成形用金型内に、上記ベース層用材料を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して軸体の外周面に沿ってベース層を形成した。つぎに、このベース層の外周面に上記中間層用材料を塗布して、乾燥させた後、その中間層の外周面に表層用材料を塗布し、軸体の外周面にベース層(厚み4mm)が形成され、その外周面に中間層(厚み45μm)が形成され、さらにその外周面に表層(厚み45μm)が形成されてなる、3層構造の現像ロールを作製した。
〔比較例7〜9〕
表層用材料として、それぞれ、比較例1,比較例2,比較例4と同様にして調製された導電性ポリマー組成物を用いた。それ以外は実施例21と同様にして現像ロールを作製した。
以上をまとめて後記の表7および表8に示すとともに、得られた現像ロールを対象とし、下記の基準に従い各特性の評価を行い、その結果を同表に併せて示した。
[現像ロール特性]
(電気抵抗)
現像ロールの表面をSUS板に押し当てた状態で、現像ロールの両端に各1kgの荷重をかけ、現像ロールの芯金と、SUS板に押し当てた現像ロール表面との間の電気抵抗を、SRIS 2304に準じて測定した。なお、電気抵抗は、25℃×50%RHの環境下において、10Vの電圧を印加した時と、100Vの電圧を印加した時のそれぞれを測定した。
(電圧依存性)
上記電気抵抗の評価に準じて、25℃×50%RHの環境下、10Vの電圧を印加した時の電気抵抗と、100Vの電圧を印加した時の電気抵抗をそれぞれ測定し、Log(10V/100V)により、電気抵抗の差を変動桁数で示した。
(環境依存性)
上記電気抵抗の評価に準じて、低温低湿(15℃×10%RH)の時の電気抵抗と、高温高湿(35℃×85%RH)の時の電気抵抗をそれぞれ測定し、電気抵抗の差を変動桁数で示した。なお、この時の印加電圧は10Vである。
(湿熱による電気抵抗変動桁数)
各導電性ポリマー組成物を用いて、上記と同様にして、導電性塗膜を作製し、この現像ロールについて、50℃×95%RHの環境下で100日間放置前後の電気抵抗を、25℃×50%RH、10V印加の条件下で、SRIS 2304に準じてそれぞれ測定した。そして、Log(Rv=100日/Rv=0日)により、湿熱による電気抵抗変動桁数を求めた。
(画像濃度)
各現像ロールを市販のカラープリンターに組み込み、20℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計での測定値が1.40以上のものを○、1.40未満のものを×とした。
(画像むら)
各現像ロールを市販のカラープリンターに組み込み、20℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、ハーフトーン画像での濃度むらがなく、細線のとぎれや色むらがなかったものを○、濃度むらが生じたものを×とした。
(環境による画質の変化)
各現像ロールを市販のカラープリンターに組み込み、15℃×10%RHの環境下において画像出しを行った時と、35℃×85%RHの環境下において画像出しを行った時の、環境による画質の変動の評価を行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計で変化が0.1以下の時を○、0.1を超える時を×とした。
(チャージアップによる濃度変動) 各現像ロールを市販のカラープリンターに組み込み、25℃×50%RHの環境下、1万枚画像出しを行った。評価は、ハーフトーン画像での濃度差がなかったもの(マクベス濃度計で0.1未満)を○、濃度差が生じたもの(マクベス濃度計で0.1以上)を×とした。
(実機耐久性[連続画出し後の製品状態])
各現像ロールを市販のカラープリンターに組み込み、25℃×50%RHの環境下、1万枚画像出しを行った。評価は、画像出し後の現像ロール表面に損傷がないものを○、損傷があったものを×とした。
[II 帯電ロールの作製]
〔実施例25〕
(ベース層用材料)
カーボンブラックを分散させたシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE1350AB)を準備した。
(表層用材料)
実施例15と同様にして、導電性ポリマー組成物(液状)を作製した。
(帯電ロールの作製)
軸体である芯金(直径10mm SUS304製)をセットした成形用金型内に、上記べース層用材料を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層を形成した。つぎに、このベース層の外周面に、上記表層用材料を塗布し乾燥して、軸体の外周面にベース層(厚み3mm)が形成され、その外周面に表層(厚み50μm)が形成されてなる、2層構造の帯電ロールを作製した。
〔実施例26〕
(ベース層用材料)
カーボンブラックを分散させたシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE1350AB)を準備した。
(中間層用材料)
実施例2と同様にして、導電性ポリマー組成物(液状)を作製した。
(表層用材料)
実施例15と同様にして、導電性ポリマー組成物(液状)を作製した。
(帯電ロールの作製)
実施例25と同様にして軸体の外周面にベース層(厚み3mm)を形成した。そして、このベース層の外周面に、中間層用材料を塗布し乾燥して、中間層(厚み45μm)を形成し、この中間層の外周面に表層用材料を塗布し乾燥して、軸体の外周面にベース層(厚み3mm)が形成され、その外周面に中間層(厚み45μm)が形成され、さらにその外周面に表層(厚み5μm)が形成されてなる3層構造の帯電ロールを作製した。
〔比較例10〕
表層用材料として、比較例5と同様にして作製した導電性ポリマー組成物を用いた。それ以外は実施例25と同様にして帯電ロールを作製した。
以上を後記の表9に示すとともに、下記の基準で特性を評価し、その評価結果を同表に併せて示した。
[帯電ロールの特性評価]
電気抵抗,電気抵抗の電圧依存性,電気抵抗の環境依存性,湿熱による電気抵抗変動桁数の評価については現像ロールの特性評価に準じて行った。
帯電ロール特性について、濃度,画像むら,環境による画質の変化,チャージアップによる濃度変動,実機耐久性についても、現像ロールの特性評価に準じて行った。
[III 転写ロールの作製]
〔実施例27〕
(ベース層用材料)
カーボンブラックを分散させたシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE1350AB)を準備した。
(表層用材料)
実施例3と同様にして、導電性ポリマー組成物(液状)を作製した。
(転写ロールの作製)
上記各層の形成材料を用いる以外は、実施例25の帯電ロールの作製に準じて、軸体の外周面にベース層(厚み6mm)が形成され、その外周面に表層(厚み50μm)が形成されてなる、2層構造の転写ロールを作製した。
〔比較例11〕
表層用材料として、比較例1と同様にして作製した導電性ポリマー組成物(液状)を用いた。それ以外は実施例27と同様にして2層構造の転写ロールを作製した。
以上を後記の表10に示すとともに、下記の基準で特性を評価しその評価結果を同表に併せて示した。
[転写ロールの特性評価]
電気抵抗,電気抵抗の電圧依存性,電気抵抗の環境依存性,湿熱のよる電気抵抗変動桁数の測定は、前記現像ロールの評価に準じて行った。
また、転写ロール特性、画像の濃度,画像むら,環境による画質の変化,チャージアップによる濃度変動,実機耐久性についても現像ロールの特性評価に準じて行った。
[IV転写ベルトの作製]
〔実施例28〕
(ベース層用材料)
アミドイミド(東洋紡績社製、バイロマックスHR16NN)100部に、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラックHS100)15部を配合して、ベース層用材料を調製した。
(表層用材料)
実施例4と同様にして導電性ポリマー組成物(液状)を作製した。
(転写ベルトの作製)
円形ドラム状の型の外周にベース層用材料を塗布し、乾燥させてベース層を形成し、このベース層の外周面に表層用材料を塗布し、乾燥させて表層を形成した。ついで、これを上記型から脱型し、ベース層(厚み0.3mm)の外周面に表層(厚み50μm)が形成されてなる2層構造の転写ベルト(無端ベルト)を作製した。
〔比較例12〕
表層用材料として、比較例1と同様にして作製した導電性ポリマー組成物(液状)を用いた。それ以外は実施例28と同様にして同様の転写ベルトを作製した。
以上を後記の表11に示すとともに、下記の基準で特性を評価しその評価結果を同表に併せて示した。
[転写ベルトの特性評価]
電気抵抗,電気抵抗の電圧依存性,電気抵抗の環境依存性,湿熱のよる電気抵抗変動桁数は、前記現像ロールの評価に準じて行った。なお、転写ベルトの電気抵抗は、転写ベルトの内部に直径10mm、重さ1kgのSUS棒をのせSUS板上に置き、このSUS棒に接する部分とSUS板との間の電気抵抗をSRIS 2304に準じて測定した。
また、転写ベルト特性の画像の濃度,画像むら,環境による画質の変化,チャージアップによる濃度変動,実機耐久性については現像ロールの特性評価に準じて行った。
上記の結果からすべての実施例品21〜28は、現像ロール特性,帯電ロール特性,転写ロール特性および転写ベルト特性に優れていることがわかる。これは各ロール,ベルトに用いられている導電性ポリマー組成物ではドーピングされ導電性ポリマー化されたπ電子共役系ポリマー(A成分)と、非共役系ポリマーとが相溶状態にあり、かつA成分の導電特性と、電子導電性充填剤(B成分)の導電特性とが相まって適正な導電性を奏するようになっている。したがって、剛性の強いπ電子共役系ポリマー(A成分)の使用量を軽減でき、それによって適正な弾性が得られることにもとづくためと推察される。
これに対して比較例品7〜12は、その導電性ポリマー組成物が電気特性および弾性率等の物理的な特性のいずれかにおいて劣るため、現像ロール特性,帯電ロール特性,転写ロール特性,転写ベルト特性に劣ることがわかる。
実施例1の導電性ポリマー組成物を用いた塗膜において、一面側から他面側に電圧を印加した場合における電液の流れを示したものである。 比較例1の導電性ポリマー組成物を用いた塗膜において、一面側から他面側に電圧を印加した場合における電液の流れを示したものである。 比較例4の導電性ポリマー組成物を用いた塗膜において、一面側から他面側に電圧を印加した場合における電液の流れを示したものである。
符号の説明
1 電子導電性充填剤粒子
2 導電性ポリマー
A,B 通電路

Claims (9)

  1. 下記の(A)成分および(B)成分を必須成分とし、かつ、下記の(C)成分および(D)成分の少なくとも一方を含有することを特徴とする導電性ポリマー組成物。
    (A)π電子共役系ポリマー。
    (B)電子導電性充填剤。
    (C)分子構造中にスルホン酸基およびスルホン酸塩基の少なくとも一方を有するスルホン酸化合物からなるか、もしくはその化合物を含有するスルホン酸組成物からなるスルホン酸系材料。
    (D)2,3,6,7−テトラシアノ−1,4,5,8−テトラアザナフタレン。
  2. 上記(A)成分のπ電子共役系ポリマーを構成するモノマーが、アニリン,ピロール,チオフェンおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1記載の導電性ポリマー組成物。
  3. 上記(B)成分の電子導電性充填剤が、カーボンブラック,カーボンナノチューブ,グラファイト,金属酸化物および金属ナノ粒子からなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1または2記載の導電性ポリマー組成物。
  4. 上記(C)成分のスルホン酸化合物が、下記の(α)である請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性ポリマー組成物。
    (α)分子構造中にフェニル基およびナフチル基の少なくとも一方を有するスルホン酸化合物。
  5. 上記(C)成分のスルホン酸系材料が、下記の(a)および(b)の少なくとも一方である請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性ポリマー組成物。
    (a)少なくとも一つのアルキル置換基を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩。
    (b)分子構造中に、炭素数5以上のアルキル基および炭素数5以上のアルコキシル基の少なくとも一方を置換基として有するか、もしくは有しないフェニルエーテルスルホン酸またはその塩。
  6. 上記(C)成分のスルホン酸化合物が、下記の(β)である請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性ポリマー組成物。
    (β)スルホン酸基またはスルホン酸塩基を有する非共役系ポリマー。
  7. 上記(α)のスルホン酸化合物とともに、非共役系ポリマーを含有する請求項4または5記載の導電性ポリマー組成物。
  8. 上記(A)成分のπ電子共役系ポリマーが、上記(C)成分のスルホン酸系材料によってドーピングされている請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電性ポリマー組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電性ポリマー組成物を、導電性部材の少なくとも一部に用いたことを特徴とする電子写真機器用導電性部材。
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