JP5447554B2 - 溶銑の脱りん処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、上底吹き型転炉を用いて、高能率かつ高効率で溶銑を予備脱りん処理する方法に関する。
近年は製鋼プロセス全体が著しく高能率・高効率化しており、溶銑脱りん処理においても、高能率かつ高脱りん能化が強く求められている。この求めに応えるためには、溶銑脱りん反応は、溶銑中のりんを酸化してスラグに移行させる反応であるから、りんを酸化するための酸素源およびスラグを生成してりんを吸収させるためのCaO源の供給を速くし、かつ、極力短時間でCaO源を滓化してスラグ組成を適切に調整しなければならない。
しかし、短時間でCaO源を十分滓化させることは一般に困難で、脱りん不良が問題になりがちである。また、酸素供給速度を上げるとスロッピングやスピッティングなどが発生し易くなる。
従来から、溶銑脱りん処理では、溶銑温度が1250〜1400℃程度の低温で、10分間程度の酸素供給時間で脱りん率80%以上を達成するなどの効果を上げてきた。しかし、大概の場合、CaO源の滓化促進のために蛍石などの滓化促進剤を多用する必要があった。
近年、溶銑脱りん処理後のスラグを含め、製鋼スラグの有効利用が重視されるようになってきて、その有効利用率を高めるために、スラグを土木材料や路盤材に用いる際の要請に配慮する必要がある。そのため、蛍石の使用は既に実質的にできなくなっている。それ故、蛍石を使用せずにCaO源を滓化し、高脱りん能のスラグを造ることが求められる。
そこで、近年では、例えば特許文献1により開示された発明のように、CaO源を粉状化して上吹きランスから酸素とともに溶銑に吹き付ける方法が多用されるようになっている。さらに、蛍石に代わる滓化促進剤として取鍋スラグなどのAl含有スラグを使用する方法も利用されるようになっている。
しかし、特許文献1により開示された発明では、溶銑1t当たりの上吹き酸素流量が0.5〜2.0Nm/minで、脱りん吹錬時間は7〜10分間である。最近では、この程度の処理時間でも長過ぎて不十分であるとされるようになってきた。この脱りん吹錬時間をさらに短縮するには、上吹き酸素の供給流量をさらに増やし、かつ、CaO源の滓化を合わせて速めなければならない。
その発明方法では、CaO源の滓化を促進するために、CaO源を粉状化して上吹きランスから酸素とともに溶銑に吹き付けている。しかし、一般に酸素供給速度を高めるだけでもスピッティングが増加する方向であるところ、その方法では酸素と同時に粉状CaO源の供給速度も高めることになるので、スピッティングが一層激しくなることが当然に予想される。
そこで、この問題を回避するために上吹きランスから供給する粉状CaO源の比率を減少させ、塊状のCaO源を転炉上から別途投入することにより供給することが考えられるが、そうするとその塊状で別途供給したCaO源の滓化が遅れ、脱燐不良やf.CaOの増加の問題が発生してしまう。その対策として、取鍋スラグなどのAl源の供給量を増やすと、スラグがフォーミングし易くなってスロッピングが発生してしまうなどの問題が現われてくる。
このように、溶銑脱りん処理の高能率かつ高脱りん能化に絡む問題は多く、相互に関係しているので、それらの問題の総合的解決は容易ではない。そこで、特許文献2により開示された発明では、先ず、上底吹き転炉に溶銑を装入し、次に溶銑へCaO源とともにAl分およびFe分の少なくとも一方を添加して酸素を吹き付け、溶銑上にカバースラグを生成させた後、上吹きランスから酸素とともに粉状CaO源を吹き付けることによって、スピッティング量を低減することができる。
ただし、CaO源とAl分やFe分を転炉に入れてからカバースラグ生成処理を3分間要しているので、この方法では、本来の脱りん処理である粉体上吹き吹錬のための時間が制約されてしまい、さらに高能率化するためには工夫の余地が残されていると考えられる。
一方、特許文献3には、溶銑をトーピードから溶銑鍋に払い出す際に脱炭スラグと焼結鉱とを添加して0.05%程度(本明細書では特に断りがない限り濃度に関する「%」は「質量%」を意味するものとする)の溶銑脱珪処理を行い、その際に生成させた低塩基度のスラグをそのまま溶銑とともに転炉へ装入して適当量のカバースラグとする方法が開示されている。この方法により酸素上吹き時間を全部で9分間とし、その内で粉体CaOを伴わないカバースラグ生成処理時間を1分間に短縮した場合に、上吹き酸素流量が溶銑1t当たり1.4Nm/minでスピッティングは全く観察されなかったと説明されている。
しかし、この方法では、高炉スラグがトーピードから転炉内へと持ち込まれることを防止できないので、本発明のように高能率で脱りん処理を行う場合、溶銑を払い出す際に混入する高炉スラグによりスラグ組成の制御が困難になり、スロッピングによる操業阻害が懸念される。
また、溶銑脱硫処理を実施する場合、トーピード内や溶銑の払い出し後に溶銑鍋容器内で実施することが一般的であり、その後に高濃度の硫黄を含んだスラグを機械的に除去する必要がある。そうすると、特許文献3により開示された方法では、この脱硫スラグの除去ができないので、溶銑脱硫処理を行うことができないという問題もある。
さらに、特許文献4には、スラグ塩基度(=質量比[%CaO/%SiO],以下同様)を1.0以上2.5未満にしてCaO源の滓化を促進し、送酸速度を1.5〜5.0Nm/min/tにしてもスピッティングやダストの発生量の増大を防ぐことができる溶銑脱りん方法が開示されている。特許文献4には、単純にスラグ塩基度を低下させると脱りん能力が低下してしまうところ、送酸速度を高めてスラグの酸素ポテンシャルを高めることにより脱りん能力を補うと記載されており、さらに、粉粒状の精錬剤や固体酸素源を気体酸素とともに溶銑に吹き付けることによって脱りん反応を効率的に促進させられると記載されている。つまり、この方法は、スラグの塩基度を下げる代わりにFeO濃度の上昇を図るものと解される。
しかし、この方法では、低塩基度かつ高(T.Fe)スラグが形成されることでスラグのフォーミングを助長し、スロッピング頻度が増加する懸念がある。その上、粉状精錬剤を上吹きランスから酸素をキャリアガスとして溶銑に吹き付けて脱りん処理すると、特許文献2、3に開示されるようにスピッティングが増加する傾向にあり何らかの工夫を必要とすると考えられるところ、特許文献4にはそのような工夫は何も開示されていない。
特許第3557910号明細書 特許第3687433号明細書 特許第4196997号明細書 特開第2008−266666号公報
本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、スピッティング発生の抑制とスロッピング発生の抑制とを両立して高速送酸処理を実現しながら、さらに高脱りん能を得ることができる、上底吹き型転炉を用いた溶銑予備脱りん処理方法を提供することである。
低りん濃度化を要する鋼は、同時に低硫濃度化をも要することが通常であるので、溶銑予備脱りん処理を検討する際には、溶銑予備脱硫処理も併せて検討しなければならない。
また、スピッティングの発生量を抑制しながら送酸速度の増加を実現するためには、添加するCaO源の滓化を促進させるための対策が必要となってくる。特許文献2、3により開示されるように、高速送酸する場合にはスピッティングの発生を抑制するためには、溶銑上にカバースラグを早期に生成させることが効果的であることが分かっている。しかし、特許文献2により開示された方法では、転炉内にCaO源等を添加してからカバースラグ生成のために3分間を要する。また、特許文献3により開示された方法では溶銑鍋内にCaO源等を添加して、その時間を1分間に短縮するが、この方法では溶銑予備脱硫処理を溶銑予備脱燐処理の前に行うことができない。
溶銑予備脱りん処理と溶銑予備脱硫処理との両方を行う場合、溶銑予備脱硫処理を先に行ってからその脱硫スラグを除去し、その後に溶銑予備脱りん処理を行うことが冶金熱力学的に合理的である。そこで、本発明者らは、溶銑鍋で溶銑予備脱硫処理を実施した後に、そのスラグを除去し、その後に上底吹き型転炉で溶銑予備脱燐処理を行うことを基本として、それにカバースラグの早期生成処理を組み合わせることを検討した。
この場合、カバースラグ生成用のCaO源や酸素源の溶銑への添加を、特許文献2のように転炉内で行うよりも、特許文献3に開示されるように溶銑鍋で行ったほうが、転炉でのカバースラグ生成処理時間を短縮する上では有利であると考えられる。しかし、本発明では、溶銑予備脱硫処理を先に行うので、その脱硫スラグを除去した後でないとカバースラグ生成剤を添加することができない。
そこで、除滓を行った溶銑鍋内の溶銑にCaOを含有する精錬剤ならびに固体酸素源を添加して、それらの精錬剤ならびに固体酸素源を溶銑とともに上底吹き転炉に装入し、送酸速度2.5Nm/min/t以上とする方法(以下、「本方法」という)により試験を行った結果、以下に列記する知見A〜Eを得て、本発明を完成した。
(A)特許文献3に開示されるようにトーピードから溶銑鍋への溶銑落下に伴う撹拌を利用することはできないが、本方法では溶銑上にスラグがないために添加したCaOを含有する精錬剤と固体酸素源が溶銑と速やかに反応する。
(B)この反応は、固体酸素源に含まれる酸素量を制限することで、操業に支障のないレベルにコントロールすることができ、かつ、その酸素量の上限値以下でカバースラグ生成用としては十分と言える。
(C)除滓後に添加した精錬剤及び固体酸素源は、添加時以降の溶銑鍋内での反応と転炉装入時に溶銑とともに落下したときの攪拌により、ほぼ完全に溶融し、CaO−SiO−FeO系スラグを形成する。
(D)この転炉への落下時の反応状況は、予め転炉の底に入れておいた固体酸化源の上に溶銑を落とす場合に比較して、転炉内で固体酸素源と溶銑中のCとの反応による溶銑の吹き出しや爆発が起こらず、赤煙を伴うフレームの発生量も少ない。これは、固体酸素源と溶銑との両方が一緒に落下することにより両者が良く混合されるために、固体酸素源中の酸素と溶銑中のSiとの反応率が高くなる一方、その酸素と溶銑中のCとの反応率が低くなったためと考えられる。したがって、本方法は早期にカバースラグを生成させる方法として優れていると言える。
(E)このカバースラグは、脱燐処理初期の比較的低温の転炉内でも溶融しているためにスピッティング抑制用として機能するとともに、高脱りん能を有する塩基度の高いスラグを形成させるための基礎としても適している。また、高炉スラグの混入によるスラグ組成のバラツキもない。したがって、脱りん処理中の上吹き酸素流量とスラグ塩基度を適切に制御することにより、脱りん処理後の溶銑中りん濃度を高能率で低減することができる。
本発明は、上底吹き型転炉を用い、溶銑脱硫処理を施した溶銑に上吹き酸素を該溶銑1t当たり2.5〜4.0Nm/minの供給速度で吹き付けて脱りん処理する溶銑の脱りん処理方法であって、該溶銑を上底吹き型転炉へ装入するための鍋から該溶銑脱硫処理後のスラグを除去した後、該鍋内の溶銑上に該溶銑1t当たり0.4Nm以上2.4Nm以下の酸素を含有する固体酸素源とCaOを含有する精錬剤とを(1)式を満たすように投入し、その後、該固体酸素源と該CaOを含有する精錬剤とを該溶銑とともに上底吹き型転炉へ装入して、該溶銑の脱りん処理後のスラグ塩基度(CaO質量/SiO質量)が1.3〜3.0、かつ、脱りん処理後の溶銑温度が1250〜1400℃になるように前記脱りん処理を行うことを特徴とする溶銑の脱りん処理方法である。
0.5≦T.CaO/(T.SiO+Os×2.68)≦2.0 ・・・(1)
ただし、(1)式において、T.CaO:溶銑脱硫処理を施した溶銑1t当たりの、CaOを含有する精錬剤中のCaO質量の合計(kg/溶銑t),T.SiO:溶銑脱硫処理を施した溶銑1t当たりの、CaOを含有する精錬剤中のSiO質量の合計(kg/溶銑t),Os:溶銑脱硫処理を施した溶銑1t当たりの、固体酸素源中の酸素量(Nm/溶銑t)である。
本発明によれば、上吹き酸素流量2.5〜4.0Nm/min/tとすることで脱りん処理における上吹き酸素の供給時間を3.0〜5.0分間と高能率化しても、スピッティングの発生およびスロッピングの発生を抑制しつつ溶銑脱りん率90%以上であるような、高能率かつ高効率の溶銑脱りん処理を行うことができる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明では、溶銑に、トーピードや溶銑鍋などの容器内で生石灰やカルシウムカーバイドなどの精錬剤を添加し攪拌することで脱硫処理を行った後、そのスラグを除滓し、その後に脱りん処理を行う。
高炉スラグは、一般的に塩基度が低く粘性が高い液状スラグであるために完全に除滓を行うことが困難であり、高炉スラグが脱りん処理に持ち越されることによってスラグ組成の制御性の悪化を引き起こし、スロッピングの発生や脱りん不良の原因となっていた。本発明では、脱硫処理においてスラグ塩基度を高め固相比率の高いスラグとすることにより除滓性を向上し、脱りん処理への持ち越し量を大幅に低減している。
また、本発明では、除滓後にCaOを含有する精錬剤と固体酸素源を溶銑鍋に上記(1)式を満たすように添加して、それを溶銑とともに上底吹き型転炉に装入してカバースラグを形成する。
「CaOを含有する精錬剤」とは、CaOを40%以上含有する物質であって、生石灰や転炉スラグ、取鍋スラグ等が例示されるが、それらの混合物のCaO含有濃度が40%としたものであってもよい。早期に溶融滓化させるために、最大粒径は5mm以下とすることが好ましい。
「固体酸素源」とは、FeやFeO等の酸化鉄を70%以上含有する物質であって、鉄鉱石や焼結鉱の他、製鉄所で発生するダストやスケール等が例示されるが、それらの混合物の酸化鉄含有濃度が70%以上のものであってもよい。溶銑と早期に反応させるために、最大粒径は15mm以下とすることが好ましく、5mm以下とすることが一層好ましい。
固体酸素源中の酸素は、除滓された後の溶銑上に添加された場合、溶銑中に含有されるSiと優先的に反応して、酸素1Nm当たり2.68kgのSiOを生成させる。したがって、「T.CaO/(T.SiO+Os×2.68)」は固体酸素源に含有される酸素が全てSiと反応してSiOを生成させると想定した場合に、CaOを含有する精錬剤と固体酸素源とを添加した際に生成されるスラグの塩基度を表している。本発明では、その塩基度を0.5以上2.0以下の範囲に調整する。
カバースラグの生成量に関しては、本発明では、固体酸素源に含有される酸素量を溶銑1t当たり0.4Nm以上とする。この最少酸素量によって酸化される溶銑中Siは0.05%であり、生成されるSiO量は1.07kgである。それに対して(1)式により少なくとも0.54kgのCaO量を必要とするので、この2成分だけで1.6kgのスラグを生成することになる。さらに、実際には、CaOを含有する精錬剤にも固体酸素源にもSiOやAl等の成分が混じっているし、転炉へ装入した後に酸素ガスを吹き付けると直ちにSiOやFeO等を生成させるので、この一連の操作によって生成される転炉内のカバースラグ量は直ぐに溶銑1t当たり2kg以上となる。
このカバースラグの塩基度の下限値である0.5は、製鋼精錬用スラグとしては塩基度が低いものであって、本発明のように脱硫除滓後の溶銑上に添加される条件(溶銑温度が1250〜1350℃程度)での溶融滓化に適するように設定したものである。
したがって、塩基度0.5のスラグが溶銑1tあたり2kg存在すれば、特許文献3により開示された発明に係る操業経験に照らして、カバースラグとしての機能を十分に果たすことができる。
一方、本発明では、固体酸素源に含有される酸素量を溶銑1t当たり2.4Nm以下とするが、この最多酸素量によって酸化される溶銑中Siは0.30%であり、生成されるSiO量は6.42kgである。それに対して(1)式により9.6〜12.8kgのCaO量を必要とするので、生成される転炉内のカバースラグ量は溶銑1t当たり10〜20kgとなる。
このカバースラグ生成量は、脱燐処理中に成分調整されて、最終的に塩基度1.3〜3.0の脱燐処理スラグとなるので、脱燐反応的には多くて困ることはない。しかし、固体酸素源に含有される酸素量が多くなると、溶銑鍋内で溶銑中のCやFeと反応してフォーミングしたり、赤煙が発生したりし易くなるので、溶銑1t当たり2.4Nm程度までとするのが適当である。また、塩基度が高くなると早期滓化が難しくなるので、カバースラグの塩基度は2.0以下とするのが適当である。
このような条件であれば、溶銑鍋内へ添加してからの溶銑鍋内での反応と合わせて、溶銑鍋から転炉への装入時の位置エネルギーによる攪拌力により、上記固体酸素源の大部分が溶銑中Siと反応してSiOを生成し、精錬剤中CaOと溶融混合することでCaO−SiO−FeO系スラグを形成する。
このスラグは、脱燐反応に必要なCaOとFeOとを含有しており、さらにCaO源を添加して溶銑に上吹き酸素を吹き付けることによって、塩基度が1.3〜3.0の脱りん処理後スラグを生成させる基礎として適している。しかも、カバースラグの役割も果たすことから、スピッティングを防止しつつ、高能率かつ高効率の溶銑脱りん処理が可能となる。
前述のように、本発明では溶銑装入時に高脱りん能のCaO−SiO−FeO系スラグを形成するが、高脱りん能組成を維持するために処理中の上吹き酸素流量とスラグ塩基度を管理する必要がある。本発明のように上吹き酸素を溶銑トン当たり2.5Nm/min〜4.0Nm/minとする高能率操業では、塩基度が0.5〜2.0のカバースラグを溶銑1t当たり2kg以上存在させた条件で、脱りん処理後のスラグ塩基度を1.3〜3.0の範囲にする必要がある。
この脱りん処理後のスラグ塩基度を1.3以上としたのは、従来の操業経験上、この塩基度が1.3以上でないと満足な溶銑脱りん率を得ることができないからである。また、この塩基度が3.0を超えるとCaOの滓化促進が難しくなり、溶融スラグの生成が遅れて却って脱りん率が低下してしまうことがあるからである。
本発明では、上述した諸要件を満足することにより、上吹き酸素の供給開始直後からカバースラグを溶銑上に生成させ、スピッティング・スロッピングの発生を抑制しつつ、3.0〜5.0分間と短い処理時間で溶銑脱燐率90%以上を得ることができるようになる。
次に、本発明を、実施例を参照しながらより具体的に説明する。
高炉から出銑された溶銑約260tを、機械撹拌式溶銑脱硫処理装置(KR)により溶銑脱硫を行い、除滓を行った後、最大粒径5mm以下の塊状生石灰とミルスケールを添加し、スクラップ約30tを上底吹き型転炉に装入した後に、続けてその溶銑をその上底吹き型転炉に装入した。その脱硫処理後の溶銑成分は、上記塊状生石灰とミルスケールの添加前で、C:4.3〜4.8%、Si:0.20〜0.50%、Mn:0.20〜0.40%、P:0.090〜0.130%、S:0.0010〜0.0030%であった。
溶銑を装入後に底吹きガスとしてNを溶銑トン当たり0.20〜0.30Nm/minの範囲で流しつつ上底吹き型転炉を正立させ、直ちに上底吹き型転炉内に上吹きランスを挿設して、上吹き酸素を溶銑トン当たり2.5〜4.0Nm/minの範囲で溶銑への吹付けを開始した。この酸素流量は、この調査ではそれぞれの処理中において一定とした。また、この上吹き酸素の吹付け開始と同時に、最大粒径30mm以下の塊状生石灰の添加を開始し、吹錬開始から1分間までに塊状生石灰の予定量を全量添加した。
この調査においては、転炉での脱りん処理に使用する副原料として、上記した粒径30mm以下の塊状生石灰の他、適宜固体酸素源としてミルスケールを使用しただけであり、それ以外の副原料は使用しなかった。生石灰中のCaO分はいずれも92%であり、副原料中にはCaFは含まれていない。
この調査における各脱りん処理の具体的な条件とその処理結果を、表1に纏めて示す。ただし、表1における「脱りん率」は、次の式により定義される。
脱りん率=100×(脱りん前[P]−脱りん後[P])÷脱りん前[P]
Figure 0005447554
表1におけるNo.1〜10が本発明で規定する条件を全て満足する実施例であり、No.11〜20が本発明で規定する条件を満足しない比較例である。
実施例であるNo.1〜10は、いずれも、安定して脱りん率90%以上を確保しており、スピッティングにも問題がなく、脱りん操業の安定化と脱りん処理の高能率、高効率化を両立することができた。
比較例であるNo.11〜20のうち、比較例No.11〜12は、処理後溶銑温度が1250〜1400℃を外れ、また比較例No.13〜14は、スラグ塩基度が1.3〜3.0を外れ、いずれも脱りん率が90%に満たなかった。
比較例No.15〜16は、固体酸素(ミルスケール)が0.4Nm/t未満であり、脱りん率が90%に満たず、かつスピッティングが大きく炉口部分の地金付着が顕著であった。
さらに、比較例No.17〜20は脱硫除滓後に添加した精錬剤中CaOと固体酸素源とのバランス{T.CaO/(T.SiO+Os×2.68)}が(1)式を満足しておらず、スピッティングが顕著になるかまたは脱りん率が90%に満たなかった。
以上より、実施例では上吹き酸素流量2.5〜4.0Nm/min/tでの溶銑脱りん処理が可能となり、処理時間を短縮しつつ安定した高効率脱りん処理が可能であることが確認された。

Claims (1)

  1. 上底吹き型転炉を用い、溶銑脱硫処理を施した溶銑に上吹き酸素を該溶銑1t当たり2.5〜4.0Nm/minの供給速度で吹き付けて脱りん処理する溶銑の脱りん処理方法であって、
    該溶銑を上底吹き型転炉へ装入するための鍋から該溶銑脱硫処理後のスラグを除去した後、
    該鍋内の溶銑上に該溶銑1t当たり0.4Nm以上2.4Nm以下の酸素を含有する固体酸素源とCaOを含有する精錬剤とを(1)式を満たすように投入し、その後、
    該固体酸素源と該CaOを含有する精錬剤とを該溶銑とともに上底吹き型転炉へ装入して、
    該溶銑の脱りん処理後のスラグ塩基度(CaO質量/SiO質量)が1.3〜3.0、かつ、脱りん処理後の溶銑温度が1250〜1400℃になるように前記脱りん処理を行うこと
    を特徴とする溶銑の脱りん処理方法。
    0.5≦T.CaO/(T.SiO+Os×2.68)≦2.0 ・・・(1)
    ただし、(1)式において、
    T.CaO:溶銑脱硫処理を施した溶銑1t当たりの、CaOを含有する精錬剤中のCaO質量の合計(kg/溶銑t)
    T.SiO:溶銑脱硫処理を施した溶銑1t当たりの、CaOを含有する精錬剤中のSiO質量の合計(kg/溶銑t)
    Os:溶銑脱硫処理を施した溶銑1t当たりの、固体酸素源中の酸素量(Nm/溶銑t)
    である。
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