JP5446146B2 - 圧電薄膜素子、センサ及びアクチュエータ - Google Patents

圧電薄膜素子、センサ及びアクチュエータ Download PDF

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Description

本発明は、圧電薄膜を用いた圧電薄膜素子、センサ及びアクチュエータに関し、更に詳しくは、基板上にアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の圧電薄膜を有する圧電薄膜素子、センサ及びアクチュエータに関する。
圧電体は種々の目的に応じて様々な圧電素子に加工され、特に圧電素子に電圧を加えて変形を生じさせて動作させるアクチュエータや、逆に圧電素子の変形から発生する電圧から物理量を検知するセンサなどの機能性電子部品として広く利用されている。アクチュエータやセンサの用途に利用されている圧電体としては、優れた圧電特性を有する鉛系材料の誘電体、特にPZTと呼ばれる一般式:Pb(ZrTi)Oで表されるPZT系のペロブスカイト型強誘電体がこれまで広く用いられており、通常個々の元素からなる酸化物を焼結することにより形成されている。
現在、各種電子部品の小型化、高性能化が進むにつれ、圧電素子においても小型化、高性能化が強く求められるようになった。しかしながら、従来からの製法である焼結法を中心とした製造方法により作製した圧電材料は、その厚みを薄くするにつれ、特に厚みが10μm程度の厚さに近づくにつれて、材料を構成する結晶粒の大きさに近づき、その影響が無視できなくなる。そのため、特性のばらつきや劣化が顕著になるといった問題が発生し、それを回避するために、焼結法に変わる薄膜技術等を応用した圧電体の形成法が近年研究されるようになってきた。最近、シリコン基板上にスパッタリング法で形成したPZT薄膜が、高速高精細のインクジェットプリンタヘッド用アクチュエータの圧電薄膜として実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、PZTから成る圧電焼結体や圧電薄膜は、鉛を60〜70重量%程度含有しているので、生態学的見地および公害防止の面から好ましくない。そこで、環境への配慮から鉛を含有しない圧電体の開発が望まれている。
現在、様々な非鉛圧電材料が研究されているが、その中にニオブ酸カリウムナトリウム、一般式:(K1−xNa)NbO(0<x<1)[以降、KNNとも記す]がある。KNNは、ペロブスカイト構造を有する材料であり、非鉛の材料としては比較的良好な圧電特性を示すため、非鉛圧電材料の有力な候補として期待されている。
特開2005−203725号公報
上記KNN薄膜は、スパッタリング法、PLD(レーザーアブレーション)法などの成膜方法でシリコン基板上への成膜が試されているが、現状のKNN薄膜は圧電定数d31がPZT薄膜と比較して小さく、インクジェットプリンタヘッドなどへの応用は実現で
きていない。また、インクジェットプリンタヘッドなどに適用するためには、10億回駆動時の圧電定数d31の劣化率が10%以下である必要がある。しかしながら、現状のKNN薄膜では、この10億回駆動時の劣化率10%以下という耐久性・信頼性は実現できていない。
本発明は、上記課題を解決し、インクジェットプリンタヘッドなどに適用可能な耐久性を有する信頼性の高いKNN圧電薄膜を用いた圧電薄膜素子、センサ及びアクチュエータを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成されている。
本発明の第1の態様は、基板上に、下部電極と、圧電薄膜と、上部電極とを有する圧電薄膜素子において、前記圧電薄膜は、一般式(K1−xNax)NbO(0<x<1)で表されるアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の薄膜を有し、前記(K1−xNa)NbO薄膜は、ヤング率が100〜130GPaの範囲であり、且つ密度が3.98g/cm以上4.30g/cm 以下であることを特徴とする圧電薄膜素子である。
本発明の第2の態様は、第1の態様の圧電薄膜素子において、前記基板が、シリコン基板、酸化マグネシウム基板または石英ガラス基板のいずれかであることを特徴とする。
本発明の第3の態様は、第1の態様又は第2の態様の圧電薄膜素子において、前記(K1−xNa)NbO薄膜の(001)面方位への配向率が80%以上であることを特徴とする。
本発明の第4の態様は、第1の態様ないし第3の態様のいずれかの圧電薄膜素子と、前記下部電極と前記上部電極とに接続される電圧検知手段とを備えることを特徴とするセンサである。
本発明の第5の態様は、第1の態様ないし第3の態様のいずれかの圧電薄膜素子と、前記下部電極と前記上部電極とに接続される電圧印加手段とを備えることを特徴とするアクチュエータである。
本発明によれば、インクジェットプリンタヘッドなどに適用可能な耐久性を有する信頼性の高いKNN圧電薄膜を用いた圧電薄膜素子、センサ及びアクチュエータが得られる。
以下、本発明に係る圧電薄膜素子の実施形態を説明する。
(本実施形態の圧電薄膜素子の構造)
図1は、本実施形態の圧電薄膜素子の概略的な構造を示す断面図である。
圧電薄膜素子は、図1に示すように、基板1上に、下部電極2と、KNN圧電薄膜(KNN薄膜)3と、上部電極4とが順次積層されている。
基板1には、シリコン(Si)基板、酸化マグネシウム(MgO)基板または石英ガラス(SiO)基板のいずれかを用いるのが好ましい。これら基板は、基板上にヤング率100〜130GPaで且つ密度3.98g/cm以上のKNN薄膜の作製を実現でき
、また圧電薄膜素子用の基板として実績があるからである。なお、シリコン基板を用いる場合、シリコン基板の表面に酸化膜(SiO膜)を形成し、シリコン基板と下部電極とを電気的に絶縁するようにしてもよい。
下部電極2は、KNN圧電薄膜3を成膜させる重要な下地層となるので、電極材料にはPt(白金)、またはAu(金)を用いるのが好ましい。本実施形態では、RFマグネトロンスパッタリング法を用いてPt薄膜からなる下部電極2を形成した(なお、Au薄膜からなる下部電極でも、Pt下部電極と同様なKNN圧電薄膜を形成できる)。基板1上に形成したPt膜は、自己配向性のために(111)面方位に配向しやすい。なお、基板1と下部電極2との間に、下部電極2の密着性を高めるために、Ti密着層を設けるようにしても良い。
上部電極4は、KNN圧電薄膜3上に形成する電極であって、下部電極2のように圧電薄膜3の構造に大きな影響を与えるものではないため、上部電極4の材料は特に限定されない。本実施形態では、下部電極2と同様に、RFマグネトロンスパッタリング法によりPt薄膜の上部電極4を形成した。
KNN圧電薄膜3は、一般式(K1−xNa)NbO(0<x<1)で表されるアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の薄膜であり、ヤング率が100〜130GPaの範囲にあり、且つ密度が3.98g/cm以上のKNN圧電薄膜である。KNN圧
電薄膜3の形成方法には、スパッタリング法、CVD法、PLD法、ゾルゲル法などが挙
げられる。本実施形態では、RFマグネトロンスパッタリング法を用いて形成した。
KNN圧電薄膜3のヤング率を100〜130GPa、密度を3.98g/cm以上
とすることで、従来のKNN薄膜と比較して非常に優れた圧電特性の耐久性・信頼性を実現することができる。具体的には、インクジェットプリンタ応用において必要である、10億回駆動時の圧電定数d31の劣化率が10%以下を満足するKNN圧電薄膜が実現できるようになる(図9参照)。
ここで、10億回駆動時の圧電定数d31の劣化率(%)は、{(初期の圧電定数d31)−(10億回駆動後の圧電定数d31)/(初期の圧電定数d31)}×100と定義した。
(KNN薄膜のヤング率及び密度の調整・制御)
ヤング率が100〜130GPaの範囲で、密度が3.98g/cm以上の範囲であ
るKNN薄膜は、その作製に際して、KNN薄膜の成膜温度、KNN薄膜のNa組成(本明細書ではNa/(K+Na)組成のこと)、基板の種類、KNN薄膜の(001)面方位への配向具合を最適化することで得られる。
本発明者が検討した結果から、概略的な傾向として、成膜温度を高くすること、KNN薄膜のNa組成を高くすること、KNN薄膜の(001)面配向率を高くすること、熱膨張係数の大きな基板を用いることなどで、KNN薄膜の密度及びヤング率が大きくなる傾向があることが分かっており(図9参照)、これらのパラメータをうまく制御・調整することで、ヤング率と密度とが上記範囲にあるKNN薄膜を作製することができる。
なお、通常、密度が大きくなればヤング率は大きくなるが、成膜条件によるKNN薄膜の結晶構造の差異(例えば、柱状構造の多結晶間に存在する隙間に起因する)やNa組成が異なったり、KNN薄膜が基板から受ける応力が変わったりなどすることで、密度とヤング率とは、必ずしも比例関係は成り立たなくなる。
KNN薄膜の(001)面方位への配向率を80%以上にすることは、ヤング率及び密度が耐久性に優れた上記範囲内になり易いと共に、圧電定数d31も大きくなることから、好ましい(KNN薄膜の(001)面方位への配向率の測定方法、および圧電定数d31の測定方法は後述する。)。
(001)面方位の配向率が80%以上のKNN圧電薄膜3は、例えば、KNN圧電薄膜3の下地となるPt薄膜の下部電極2を(111)面方位に高配向にすることで実現される。Pt薄膜を(111)面方位に高配向にするには、Pt薄膜の成膜温度を高くすること、Pt薄膜のスパッタ成膜時のO分圧を小さくすること(Arリッチな雰囲気とすること)、Pt薄膜の下のTi密着層を設ける場合にはTi密着層の厚さを薄くすること、などで実現される。また、(001)面方位の配向率が80%以上のKNN圧電薄膜3は、Pt下部電極2とKNN圧電薄膜3との間に、配向制御層(例えば、LaNiO薄膜、NaNbO薄膜など)を挿入することによっても実現できる。
本実施形態のKNN圧電薄膜3(KNN薄膜)は、Pt膜の下部電極2上に形成したが、Pt膜は(111)面方位に自己配向した柱状構造の多結晶となるため、KNN薄膜は、このPt膜の結晶構造を引き継いで、ペロブスカイト構造を有する柱状構造の多結晶薄膜となる。即ち、KNN薄膜は、基板1表面に垂直な方向に(001)面に優勢配向したものとなる。
(KNN薄膜のヤング率と密度の測定)
本発明におけるKNN薄膜のヤング率と密度は、レーザ誘起表面波によって膜(薄膜)のヤング率、密度を測定する表面弾性波法を用いて測定した値とする。以下に表面弾性波法の測定原理を説明する。
図2に示すように、基板上に膜(薄膜)が形成されている試料の表面にパルスレーザー光を照射すると、音波が励起され、励起された音波は試料表面に沿って伝播する。これを
表面弾性波と言う。この表面弾性波をパルスレーザ照射位置から少し離れた場所に設置した検出器(圧電素子を有する)で検出する。パルスレーザ照射位置と検出位置との距離と、時間毎に検出器で検出された表面弾性波の信号から、図3に例示するような、表面弾性波の位相速度(伝播速度)cと周波数fとの依存性のグラフ(周波数―位相速度の分散曲線)を作成する。
一様な物質の場合、表面弾性波の位相速度(伝播速度)cは、次の式(1)の通り、物質のヤング率E、密度ρ、ポアソン比νで決まる。
Figure 0005446146
表面弾性波のうち、低い周波数成分の波は試料表面からの進入深さが深くなり、高い周波数成分の波は進入深さが浅くなるという性質がある。このため、図3に示すような位相速度の周波数依存性グラフにおいて、周波数0の位相速度(グラフの縦軸の切片)は、基板内を伝播する弾性波の音速になる。一方、周波数∞(無限大)の位相速度は、膜(薄膜)内を伝播する弾性波の音速になる。従って、膜が形成されていない基板のみの試料では、図3に示すように、位相速度は周波数に依存せずに、位相速度の周波数依存性グラフはほぼ一定の水平線となり、一方、膜が形成された膜付き基板の試料では、位相速度は周波数に依存し、位相速度の周波数依存性グラフは傾斜した曲線となる。
ここで、膜のポアソン比、膜厚を固定値に定めて、膜のヤング率と密度を変えながら、理論上得られる表面弾性波の位相速度の周波数依存性グラフ(図3の点線で示す理論値の曲線)を作成する。そのグラフと実際に測定で得た位相速度の周波数依存性グラフ(図3の実線で示す測定値の曲線)とをフィットさせ、その時のヤング率と密度を求める。このような方法によって、基板上の膜(薄膜)のヤング率と密度が求められる。
本実施形態では、KNN圧電薄膜3が表面に露出されている状態で、上記表面弾性波法によりKNN圧電薄膜3のヤング率と密度を測定した。もし、図1に示すように、上部電極3がKNN圧電薄膜3上に形成されている試料の場合には、その上部電極3をドライエッチング、ウエットエッチング、研磨などによって除去し、KNN圧電薄膜3の表面を露出させた状態にした後に、表面弾性波法で測定を実施すればよい。上記ドライエッチングとしては、例えば、Ptの上部電極を除去する場合には、Arプラズマによるイオンミリング、ArとCF混合ガス中でのリアクティブイオンエッチングなどがある。
(KNN薄膜の(001)面方位への配向率の測定)
KNN圧電薄膜3の(001)面方位への配向率は、X線回折測定(2θ/θ法)によるX線回折パターンから求めた。
まず、通常のCuKα線を用いた図4に示すX線回折測定(2θ/θ法)でX線回折パターンを測定した。このX線回折測定では、図4に示すθ軸の周りに試料と検出器とをスキャンし、試料面に平行な格子面からの回折を測定した。X線回折測定(2θ/θ法)によるX線回折パターンの一例を図5、図6に示す。図5は後述の比較例18の場合のX線回折パターン、図6は後述の実施例13の場合のX線回折パターンである。X線回折測定は、上部電極を成膜する前の、KNN圧電薄膜が露出した状態の圧電薄膜素子に対して
行った。
本明細書では、KNbOとNaNbOのJCPDS-International Center for Diffraction Dataを基にして、基板上の薄膜ではKNNは擬立方晶であることを考慮することで、X線回折パターンにおける22.011°≦2θ≦22.890°の範囲の回折ピークを、KNN(001)面による回折ピークであると考えている。
また、本明細書では、KNN薄膜の(001)面方位の配向率は、X線回折パターンの20°≦2θ≦38°の範囲におけるKNN結晶に起因する回折ピークに対して、{KNN(001)面の回折ピーク強度/全てのKNN結晶に起因する回折ピーク強度の総和}×100(%)の計算式で算出した値と定義している。KNN薄膜の配向率を求めているので、基板や下部電極に起因する回折ピークは除外している。また、20°≦2θ≦38°の範囲としたのは、KNN(002)面の回折ピークやPt(111)面の回折ピークなどを明確に排除するためである。
(圧電定数d31の測定)
図7に、圧電薄膜3の圧電定数d31の測定方法を示す。
まず、図1の圧電薄膜素子を短冊形に切り出して細長い圧電薄膜素子10を作製した。次に、この圧電薄膜素子10の長手方向の一端をクランプ20で固定することで簡易的なユニモルフカンチレバーを構成した(図7(a))。この状態で上部電極4と下部電極2
との間に電圧を印加し、KNN圧電薄膜3を伸縮させることでカンチレバー(圧電薄膜素子10)全体を屈曲動作させ、カンチレバーの先端(自由端)の上下方向(圧電薄膜3の膜厚方向)の変位量Δをレーザードップラ変位計21で測定した(図7(b))。
圧電定数d31はカンチレバー先端の変位量Δ、カンチレバーの長さ、基板1と圧電薄膜3の厚さとヤング率、印加電界(=印加電圧/膜厚)から算出される。
(圧電薄膜素子の適用例)
上記図1に示す圧電薄膜素子の下部電極2と上部電極4の間に、少なくとも電圧検知手段を接続することでセンサが得られる。このセンサの圧電薄膜素子が何らかの物理量の変化に伴って変形されると、その変形に伴って電圧が発生するので、この電圧を検知することで各種物理量を検知することができる。また、図1に示す圧電薄膜素子の下部電極2と上部電極4の間に、少なくとも電圧印加手段を接続することでアクチュエータが得られる。このアクチュエータの圧電薄膜素子に電圧を印加して、圧電薄膜素子を変形することによって各種部材を動作させることができる。
センサとしては、例えば、ジャイロセンサ、超音波センサ、圧カセンサ、速度・加速度センサなどが挙げられる。また、アクチュエータは、例えば、インクジェットプリンタ、スキャナー、超音波発生装置などに用いることができる。
(他の実施形態)
本発明は、図1に示す上記実施形態のように、下部電極2と上部電極4との間に、単層構造のKNN圧電薄膜3だけがある場合に限定されるものではない。例えば、上下電極間のいずれかの位置に、上記ヤング率(100〜130GPa)及び密度(3.98g/c
以上)を満足しないKNN薄膜、或いは(KNa)NbO(0<x<1)以外の材料からなる薄膜が、単数または複数挿入されていてもよい。
また、図1に示す上記実施形態のKNN圧電薄膜3、或いは上下電極間にNKK薄膜を含む複数の膜構造が存在する場合にはいずれか1つ又は複数の膜に、Ta、Li、Sbのいずれか又はこれらの複数が添加されていてもよい。
次に、本発明の実施例を説明する。
図8に示す構造の実施例および比較例の圧電薄膜素子を作製した。
圧電薄膜素子は、基板11上に、Ti密着層12、Pt下部電極13、KNN圧電薄膜14、およびPt上部電極15を順次形成したものである。
次に、実施例及び比較例の圧電薄膜素子の作製方法を述べる。
基板11には、熱酸化膜付きSi基板((100)面方位、厚さ0.5mm、サイズ2
0mm×20mm、表面に熱酸化によるSiO膜(膜厚0.2μm))と、酸化マグネ
シウム基板((100)面方位、厚さ0.5mm、サイズ20mm×20mm)と、石英
ガラス基板(厚さ0.5mm、サイズ20×20mm)の3種類を用いた。
まず、基板11上にRFマグネトロンスパッタリング法で、Ti密着層(膜厚1〜3nm)12、Pt下部電極((111)面優勢配向、膜厚0.2μm)13を形成した。T
i密着層12とPt下部電極13は、基板温度300℃、放電パワー200W、導入ガスAr雰囲気、圧力2.5Paで、Ti密着層12は成膜時間1〜3分、Pt下部電極13
は成膜時間10分の条件で成膜した。
次に、Pt下部電極13の上に、RFマグネトロンスパッタリング法で(K1−xNa)NbO薄膜14を3μm形成した。(K,Na)NbO圧電薄膜は組成比(K+Na)/Nb=1.0、K/(K+Na)=0.3〜0.6の(K,Na)NbO焼結体
をターゲットに用い、基板温度500〜650℃、放電パワー100W、導入ガスAr雰囲気、圧力0.4Paの条件で成膜した。成膜時間は4時間00分とした。
更に、(KNa)NbO薄膜14の上にPt上部電極(膜厚20nm)15をRFマグネトロンスパッタリング法で形成した。Pt上部電極15は、基板加熱なし、放電パワー200W、導入ガスAr、圧力2.5Pa、成膜時間1分の条件で成膜した。
図9に、上記成膜条件で作製した実施例および比較例の圧電薄膜素子における、KNN薄膜の成膜温度(℃)、Na組成(Na/(K+Na)組成)、基板の種類、KNN薄膜のKNN(001)面方位の配向率(%)、表面弾性波法で測定したKNN薄膜の密度(g/cm)とヤング率(GPa)、圧電定数d31及(−pm/V)び圧電定数d31の劣化率(%)を示す。
KNN薄膜14のNa組成は、KNN薄膜14表面側からエネルギー分散型X線分析装置(EDS)で測定した、K、Naの原子濃度%から算出した。
また、KNN薄膜14のKNN(001)面方位の配向率は、上述した図4に示すCuKα線による一般的なX線回折測定(2θ/θ法)で得られたスペクトル(図5、図6参照)の回折ピークから、上述した方法により算出した。なお、エネルギー分散型X線分析装置による測定、X線回折測定は、Pt上部電極15を形成する前の、KNN薄膜14が露出した状態で行った。
表面弾性波法による密度とヤング率の測定は、最表面がKNN薄膜14の状態の試料を使って、上記実施形態で説明した方法で測定した。測定装置には、東陽テクニカ製のLAWaveシステム(商品名)を用いた。KNN薄膜のポアソン比は0.30を用い、KNN薄膜の膜厚は表面弾性波が伝播する領域の平均膜厚を用いた。また、KNN薄膜の測定に先駆けて、KNN薄膜の下地基板となる、Pt薄膜[0.2μm]/Ti薄膜[2nm]/
基板(Si基板、MgO基板、石英ガラス基板)の位相速度の周波数依存性グラフを測定し、その結果を、基板の情報として用いた。
圧電定数d31の測定は、上述した図7に示す方法を用いた。カンチレバーを構成する圧電薄膜素子には、長さ20mm、幅2.5mmの短冊形の圧電薄膜素子を作製した。K
NN圧電薄膜のヤング率には、表面弾性波法によって測定された各KNN圧電薄膜のヤング率を用いた。圧電定数d31は印加電界30kV/cmの時の値を測定した。圧電定数d31の算出は文献(T.Mino, S. Kuwajima, T.Suzuki, I.Kanno, H.Kotera, and K.Wasa
: Jpn. J. Appl. Phys. 46(2007) 6960)に記載されている方法で行った。
上記初期状態の圧電薄膜素子の圧電定数d31を測定した後、圧電定数d31の劣化率を評価のために、図7に示すように、0〜20Vのユニポーラのsin波(周波数1kHz
)を圧電薄膜素子の上下電極間に印加して10億回連続で圧電動作させ、その後、初期と同様に圧電定数d31を測定した。
図9から明らかなように、KNN薄膜の密度が3.98g/cm以上の範囲で、且つ
ヤング率が100〜130GPaの範囲の両方を満足している場合に、インクジェットプリンタヘッドへの適用条件である、10億回駆動後の圧電定数d31の劣化率が10%以下を実現している。これに対し、KNN薄膜の密度、ヤング率のいずれかが上記範囲外の場合には、10億回駆動後の圧電定数d31の劣化率は非常に大きくなっていることが分かる。また、KNN薄膜の密度は4.00〜4.30g/cmの範囲、KNN薄膜のヤング率は100〜120GPaの範囲がより好ましいと言える。
また、図9の結果から、概ね、成膜温度を高くすること(575℃以上)、KNN薄膜の(001)面配向率を高くすること(80%以上)、熱膨張係数の大きな基板を用いること(上記3種類の基板の中ではSi基板を用いること)などによって、耐久性・圧電特性に優れたKNN薄膜を作製可能なことが分かる。
本発明の実施形態に係る圧電薄膜素子を示す模式断面図である。 表面弾性波法によるKNN薄膜のヤング率と密度の測定原理を説明する説明図である。 表面弾性波法を用いた測定で得られる位相速度の周波数依存性の一例を示すグラフである。 X線回折測定の方法を説明する概略説明図である。 比較例に係る圧電薄膜素子のX線回折パターンの測定結果の一例を示すグラフである。 実施例に係る圧電薄膜素子のX線回折パターンの測定結果の一例を示すグラフである。 圧電薄膜素子の圧電定数d31の測定方法を説明する概略図である。 実施例及び比較例に係る圧電薄膜素子の構造を示す模式断面図である。 実施例及び比較例における、KNN薄膜の成膜温度、Na組成、基板の種類、KNN薄膜の(001)面方位の配向率、表面弾性波法で測定したKNN薄膜の密度とヤング率、圧電定数及びその劣化率の一覧を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 下部電極
3 KNN圧電薄膜(KNN薄膜)
4 上部電極
10 圧電薄膜素子
11 基板
12 Ti密着層
13 Pt下部電極
14 KNN圧電薄膜
15 Pt上部電極

Claims (5)

  1. 基板上に、下部電極と、圧電薄膜と、上部電極とを有する圧電薄膜素子において、
    前記圧電薄膜は、一般式(K1−xNax)NbO(0<x<1)で表されるアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の薄膜を有し、
    前記(K1−xNa)NbO薄膜は、ヤング率が100〜130GPaの範囲であり、且つ密度が3.98g/cm以上4.30g/cm 以下であることを特徴とする圧電薄膜素子。
  2. 請求項1に記載の圧電薄膜素子において、前記基板が、シリコン基板、酸化マグネシウム基板または石英ガラス基板のいずれかであることを特徴とする圧電薄膜素子。
  3. 請求項1または2に記載の圧電薄膜素子において、前記(K1−xNa)NbO薄膜の(001)面方位への配向率が80%以上であることを特徴とする圧電薄膜素子。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電薄膜素子と、前記下部電極と前記上部電極とに接続される電圧検知手段とを備えることを特徴とするセンサ。
  5. 請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電薄膜素子と、前記下部電極と前記上部電極とに接続される電圧印加手段とを備えることを特徴とするアクチュエータ。
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