JP5443585B2 - バルーンカテーテル - Google Patents
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Description
本発明は、バルーンカテーテルに関する。具体的には、本発明は、膨脹させたバルーンの長さ及び形状を生体内現位置で調整し得る迅速交換(ラピッド・エクスチェンジ)式バルーンカテーテルシステムに関する。
迅速交換式(「モノレール式」)カテーテルは、典型的には、先端部分に設けられた比較的短いガイドワイヤルーメンと、カテーテルの先端と基端の間に位置するプロキシマル(近位)ガイドワイヤ出口ポートとを含む。この配置は、作業が簡単でかつ1人の医師によって実行できるように比較的短いガイドワイヤによりカテーテルの交換を可能にする。迅速交換式カテーテルについては、先行技術文献、例えば、特許文献1ないし3に詳述されている。
迅速交換式カテーテルは一般に経皮的冠動脈形成術(PTCA)手技に用いられ、PTCAでは一般的に、カテーテルの先端に装備された遠位バルーンによって閉塞血管が拡張される。血管の拡張領域には、再閉塞を予防するために、ステントが留置されることが多い。拡張バルーンは、典型的には、拡張バルーンとカテーテルの基端の間でカテーテルのシャフト内部に長手方向に延在する膨脹ルーメンを通して膨脹させる。
ガイドワイヤルーメンは、カテーテルのシャフト長さのより小さな部分内を通過し、カテーテルのシャフト上にあるラテラルポートを通してアクセスされる。この配置は、インナーチューブがカテーテルのシャフトにラテラルポートの位置で付けられており、通常、インナーシャフトの操作を必要とする新たな迅速交換式カテーテルの開発を阻んでいる。例えば蛇行血管または小径狭窄を通過しやすくするために患者の動脈にカテーテルを留置する間またはその後にカテーテルの長さを新たな部位に遠位に延ばすため、またはカテーテルの先端において膨脹させたバルーンの生体内現位置での操作を可能にするために、例えば、医師が手技中にカテーテルの長さを長くしたり短くしたりすることがある。
従って、先行技術の迅速交換式カテーテルは、通常は特定の手技を実行するためにデザインされているが、前記システムの基端と先端の間で少なくとも1つのカテーテルシャフトがカテーテルシステムから側方に出て行く必要があるために、その実現が比較的制限されている。従って、上記した制限を克服できかつそのようなカテーテルの適用範囲の拡大を許容することになる迅速交換式カテーテルが必要になる。
従って、本発明の目的は、手技中に変更され得る調整可能なバルーン長さ及び形状を有する迅速交換式カテーテルを提供することである。
本発明の別の目的は、標準的な膨脹したバルーンの形状及び/または体積を手技中に調整することができる迅速交換式バルーンカテーテルを提供することである。
本発明の更なる目的は、身体の治療部位から試料及び/または組織片を回収することができ、治療部位でバルーンの膨脹中に剥落したものであるかもしれない任意の材料が遠位で塞栓を生じさせるリスクを低減することができるような迅速交換式バルーンカテーテルを提供することである。
本発明の他の目的及び利点については、明細書の開示の中で明らかになるであろう。
米国特許第4,762,129号
米国特許第4,748,982号
欧州特許出願公開第0380873号明細書
本発明は、迅速交換式(RX)カテーテルシステムであって、カテーテルの先端部分の長さとカテーテルの遠位バルーンの形状及び/または体積が当該カテーテルシステムを用いて実行される手技中に操作され得るようなカテーテルシステムを提供する。そのようなカテーテルシステムは、理想的には、以下に詳述されるような組織片回収用途で用いるのに適している。しかし、本発明のRX構造は、遠位に留置されたバルーン要素の長さを変える必要があるような任意の他のRX用途に用いられることもある。
従って、本発明は、外管内で内管が軸方向に動くことを可能にする迅速交換式カテーテルであって、a)外管と、b)ガイドワイヤ上を全体的または部分的に通過するのに適し、内管及び外管の長手方向の軸が実質的に平行であるように前記外管のルーメン内に配置され、前記外管に対して長手方向の軸に沿って動かされることができ、近位端が前記外管の壁を貫通するようにある角度に曲げられているような内管と、c)前記外管内で内管が軸方向に動くことを可能にするための手段であって、前記内管の前記ある角度に曲げられた近位部が前記外管を通過しても前記動きが妨げられることがないようにした該手段と、d)外管の近位端に位置する、前記内管を軸方向に押すかまたは引いて動かすための手段とを含む迅速交換式カテーテルを主として対象にしている。
上記で画定した迅速交換式カテーテルの一好適実施形態において、内管が妨げられずに軸方向に動くことを可能にするための手段は、外管の周りに摺動可能に嵌装されたシーリングスリーブによって与えられ、それによって、前記内管のある角度に曲げられた近位部が外管の壁における長寸の開口を先ず通過し、次にシーリングスリーブのしっかりと閉じられた開口を通過し、それによって、内管が軸方向に動くときに、前記シーリングスリーブが、前記長寸の開口を通過して流体を移動させないようにすることができる。シーリングスリーブは、膨脹させるバルーンに適した流体圧力条件下でシーリング効果を与えることができるように製作される。それゆえ、1つの制限的でない好適実施形態において、シーリングスリーブは、最大16気圧のバルーン膨脹圧力で長寸の開口を通過して流体を移動させないようにすることができる。
別の好適実施形態においては、上記の内管が妨げられずに軸方向に動くことを可能にするための手段は、第1近位部が非可動であり、第2遠位部が前記近位部内に摺動可能に配置されているような、2つに分かれている内管構成によって与えられる。
更なる好適実施形態において、上記した内管が妨げられずに軸方向に動くことを可能にするための手段は、第1近位部が非可動であり、第2遠位部が近位部全体に摺動可能に配置されているような、2つに分かれている内管構成によって与えられる。
尚も更なる好適実施形態において、上記した内管が妨げられずに軸方向に動くことを可能にするための手段は、第1近位部が非可動であり、第2中間部が近位部内に配置され、第3遠位部が中間部内に摺動可能に配置されているような、3つに分かれている内管構成によって与えられる。
本発明の迅速交換式カテーテルの別の好適実施形態において、上記した内管を軸方向に動かすための手段は1若しくは複数のワイヤを含み、ワイヤの先端は内管に取り付けられており、ワイヤの基端は外管の近位端を超えて延在している。
別の態様において、本発明はまた、迅速交換式バルーンカテーテルシステムであって、a)外管と、b)ガイドワイヤ上を全体的または部分的に通過するのに適した内管であって、前記内管及び外管の長手方向の軸が実質的に平行であるように前記内管が前記外管のルーメン内に配置され、前記内管が前記外管に対して長手方向の軸に沿って動かされることができ、前記内管の近位端が前記外管の壁を貫通するようにある角度に曲げられており、前記内管の先端チップが前記外管の先端チップを超えて延在しているような該内管と、c)近位端が前記外管の先端チップの外周面に取り付けられ、遠位端が前記外管の先端チップを超えて延在する内管の一部の外周面に取り付けられている血管形成性(angioplastic)バルーンであって、前記バルーンの遠位端及び/または近位端部分が前記外管に対して前記内管が近位に動くときに内部への入り込み(intussusception)ができるような該バルーンと、d)外管の近位端に位置する、前記内管を軸方向に押すかまたは引いて動かすための手段と、e)外管の内表面と内管の外周面の間に形成された環状の空間へ、そしてそこから前記バルーンのルーメンへの膨張流体の導入及び除去のための手段と、f)前記外管に対して前記内管が軸方向に動くときに前記環状の空間内の圧力の変化を最小にするかあるいは変化しないようにするための手段と、g)前記外管を通って内管のある角度に曲げられた近位部の通路によって前記動きが妨げられないように前記外管内で前記内管が軸方向に動くことを可能にするための手段とを含む迅速交換式バルーンカテーテルシステムを提供する。
上記した迅速交換式バルーンカテーテルシステムの好適な一実施形態において、前記システムは、バルーンの遠位端が、アウターチューブに対してインナーチューブが近位に動くときに内部への入り込みができるように製作される。
本発明の好適な一実施形態において、内管を軸方向に動かすための手段は、1若しくは複数のワイヤを含み、ワイヤの先端は前記内管に取り付けられており、ワイヤの基端は外管の近位端を超えて延在している。
本発明のこの態様の別の好適実施形態において、圧力が変化しないようにするための手段は、外管の近位端内に摺動可能に配置されたプランジャを含み、ここで、前記プランジャは、軸方向に押すかまたは引いて動かすための手段に結合され、それによって、押すかまたは引いて動かすための手段の作動時に前記プランジャが遠位にまたは近位にのいずれかに摺動するようにさせられ、それによって外管の体積を変化させる。
上記で画定した迅速交換式バルーンカテーテルシステムにおいて内管が妨げられずに軸方向に動くことを可能にするために任意の適切な手段が用いられることがある。しかし、そのような手段は、本明細書中に開示されている好適実施形態の任意の1つにおいて画定され、特許請求の範囲において特定されるのが好ましい。
本発明の迅速交換式バルーンカテーテルシステムの好適な一実施形態において、内管及び外管は、著しい変形を受けることなく2ないし20ニュートンの範囲で軸方向に向けられた力に耐える能力によって特徴付けられる。本発明の中では、「著しい変形」なる語は、前記管の全長の5%を超えて管の長さが変化することを指す。これらの管は、上記した力に耐えることができる任意の適切な材料で製作されることがあるが、好適実施形態においては、内管及び外管は、生体適合性ポリマー(好適実施形態においては、網状にしたナイロン糸及び延伸処理されたナイロン糸からなる群から選択される)または可撓性ステンレス鋼管のいずれかから製作される。本発明の迅速交換式バルーンカテーテルシステムの好適な一実施形態において、バルーンは、膨脹させた状態で折り畳み前プロファイルを有することを特徴とする。即ち、バルーンは、外管に対して内管が近位に動くときにバルーン遠位端部の内部への入り込みを補助しかつ導くことができる形状を有する。
カテーテルシステムの1つの特に好適な実施形態において、上記したバルーンの折り畳み前プロファイルは、(膨脹させた状態で)遠位端が丸み加工されたテーパー形状を有するようにバルーンを製造することによって達成される。
バルーンは、ナイロン12、ぺバックス(登録商標)またはその混合物から製作されるのが好ましい。しかし、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく当分野で公知の任意の他の適切な材料でバルーンが製作されることもあることを認識されたい。
上に開示及び説明した本発明のカテーテルシステムの各実施形態において、種々の管を相互に滑りやすくするために潤滑剤(シリコーン油や鉱油など)が存在することがあることに留意されたい。
別の態様において、本発明はまた、哺乳動物被検体の内部通路から組織片を回収する方法であって、a)上記で画定したような迅速交換式バルーンカテーテルシステムを内部通路内に挿入し、組織片を回収するのに望ましい部位にカテーテルの先端チップが到達するまでカテーテルを前進させる過程と、b)バルーンを膨張流体内で膨脹させる過程と、c)前記バルーンカテーテルの内管を近位方向に引っ張り、それによって前記バルーンの遠位端及び/または近位端が内部へ入り込むようにする過程と、d)バルーンを収縮させ、それによって、組織片が内部に回収及び閉じ込められるキャビティを形成する過程と、e)被検体の内部通路からバルーンカテーテルを、閉じ込められた組織片とともに、除去する過程とを含む方法を提供する。
ここで開示されている方法の好適な一実施形態において、上記した内部通路は静脈または動脈である。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は全て、以下の好適実施形態の例証となりかつ制限的でない例から、更に理解されよう。
本発明は、手技の実行中にカテーテルの先端部分の長さ及びそのディスタルバルーンの形状及び/または体積が操作され得るような迅速交換式カテーテルを提供することを目標とする。
一般的には、本発明の迅速交換式カテーテルは、アウターカテーテルシャフト及びその内部に与えられるインナーチューブを含み、前記インナーチューブのルーメンがカテーテルのシャフト上に設けられるラテラルポートを通してアクセスされ得る。上記した本発明の好適実施形態のいくつかでは、カテーテルのインナーチューブはカテーテルのアウターシャフトに固定され、カテーテル長さ及びそのバルーンはインナーチューブの独自の構成によって操作される。これらの構成において、カテーテルのインナーチューブは、そこに取り付けられた変位ロッドを通して操作者によってカテーテルのアウターシャフトに対して遠位にまたは近位に動かされ得る摺動可能なディスタルチューブを含むことがある。その代わりに、操作者によってカテーテルのシャフトに対して遠位にまたは近位に動かされ得る摺動可能な中間チューブのルーメン内にインナーチューブが配置されることがある。
本発明の更なる実施形態において、操作者がカテーテルのアウターシャフトに対して遠位にまたは近位にインナーチューブを動かし、それによってその長さ及びバルーンを操作することができるような摺動可能なシーリングスリーブに付けられた可動インナーチューブを提供するために独自のカテーテル構成が開発される。図1は、カテーテルのインナーチューブ14の先端が摺動可能な内部チューブ13を含むような本発明の迅速交換式カテーテル10の第1好適実施形態の縦断面図を示す。カテーテル10は、内部にインナーチューブ14が取り付けられている中空アウターシャフト6と、遠位開口部を経由して遠位に突出するようにインナーチューブ14内に置かれた摺動可能な内部チューブ13とを含む。この構成では、インナーチューブ14と摺動可能な内部チューブ13のインナールーメンはリンクされており、それによって、摺動可能な内部チューブ13の遠位開口部で連続的なインナールーメン末端を与えている。バルーン11aの近位端は、中空アウターシャフト6の遠位部分の外周面の周りに設けられた近位取付点2bにおいて中空アウターシャフト6に取り付けられており、前記バルーンの遠位端は、前記摺動可能な内部チューブの遠位部分の外周面の周りに設けられた遠位取付点2aにおいて摺動可能な内部チューブ13に取り付けられている。
インナーチューブ14のルーメンは、その遠位端と近位端の間において中空アウターシャフト6上に設けられたラテラルポート12を経由してアクセスされ得る。ガイドワイヤ5(または他の適切な付属品)は、ラテラルポート12を通って挿入され、インナーチューブ14及び摺動可能な内部チューブ13のインナールーメンに沿って進められ、摺動可能な内部チューブ13のインナールーメンから内部チューブ13の遠位開口部を通って出て行くことがある。
摺動可能な同軸を有する部材13はインナーチューブ14に嵌装されるように適合され、その直径は、摺動可能な内部チューブ13がインナーチューブ14内を通って遠位または近位に楽々と摺動できる一方でその遠位開口部をシールするように、インナーチューブ14の直径より小さいことが好ましい。変位ロッド18の先端部が摺動可能な内部チューブ13に取り付けられ、それによって、操作者は変位ロッド18の手元チップを押すかまたは引くことによって摺動可能な内部チューブ13をカテーテルのアウターシャフトに対して遠位にまたは近位に動かすことができる。
インナーチューブ14の遠位開口部の更なるシーリングは、その遠位部が摺動可能な内部チューブ13の外周面の環状部分に押し付けられるようにインナーチューブ14の先端チップの表面に取り付けられた環状のガスケット4によって達成されることがある。
中空シャフト6の近位部は、加圧された膨脹流体が通ってバルーン11aを膨脹させるかあるいは収縮させるために用いられる流体ポート17と、放出弁出口15に取り付けられた任意選択の放出弁16と、変位ロッド18を遠位にまたは近位に動かす通り道であるロッド開口19とを有する。
典型的な手技中に、身体の治療部位であってそこでは膨脹流体ポート17を通って加圧される膨脹流体(図1Aにおいて矢印7aで示されている)によってバルーン11aを膨脹させることができるような当該治療部位の中に、前記治療部位における拡張または他の手技を成し遂げるため及び/または前記バルーンを内部に固定するために、カテーテル10が挿入される。加圧流体は、中空シャフト6の中空内部を通過し、前記シャフトの遠位開口部を通ってバルーン11aの内部に到達する。膨脹させた状態で、図1Bに示されているように、中空シャフト6の中空内部及びバルーン11aの内部空間は、加圧膨脹流体で充たされる。インナーチューブ14の遠位開口部は、摺動可能な内部チューブ13によって、そして(任意選択で)ガスケット4によってシールされ、それによって、チューブ内への加圧膨脹流体の漏れを防ぐ。システム内部の膨脹流体の圧力は、ガスケットを押し、ガスケット4によって与えられるシーリングを向上させる。その一方で、膨脹流体の圧力が低下すると、インナーチューブ14の外周面上のガスケットのグリップが減少し、それによりガスケットがその面上で摺動することが容易になる。
必須の手技は、典型的には、バルーンが膨脹した状態で実行される。本発明のカテーテルをそのような手技に用いることによって、操作者は、変位ロッド18bを引っ張ることによってカテーテル長さ及びバルーン11aの形状及び体積を操作し、それによって、摺動可能な内部チューブ13を近位に、更にインナーチューブ14内へ、矢印8aによって示されているように動かすことができる。その結果、図1Cに示されているように、バルーン11aの遠位端は形がくずれ、内向きに折り畳まれるので、膨脹流体の圧力を増大させる。中空アウターシャフト6の中空内部及びバルーン11a内の膨脹流体の圧力が所定のしきい値を超えているときはいつでも、放出弁16の細い通路が拡張されて膨脹流体の一部が放出弁出口15から出て行くことを可能にし、それによって膨脹流体の圧力を前記しきい値以下に低下させる。
圧力放出要素15及び16の使用は、ただ単に1つの可能な例示的な圧力を低下させる手段を構成するに過ぎないことに留意されたい。
中空アウターシャフト6は、ポリマーまたは金属材料、例えばステンレス316、ニチノール、またはナイロンなどから作られるのが好ましく、押出し成形及びレーザ切断などの従来の方法を利用して製造されることがある。中空シャフト6の中空内部の直径は一般的に1〜2mm(ミリメートル)、好適には約1.2mmであり、膨脹流体ポート17の直径は一般的に2〜6mm、好適には約3mmである。放出弁出口15の直径は一般的に2〜6mm、好適には約3mmであり、中空シャフト6の全長は一般的に500〜2000mm、好適には約1200mmである。
インナーチューブ14は、ポリマーまたは金属材料、例えばぺバックス(登録商標)、ナイロン、ステンレス、またはニチノールなどから作られるのが好ましく、押出し成形及びレーザ切断などの従来の方法を利用して製造されることがある。インナーチューブ14のインナールーメンの直径は一般的に0.3〜1mm、好適には約0.8mmであり、その全長は一般的に100〜300mm、好適には約120mmである。摺動可能な内部チューブ13は、ぺバックス(登録商標)、ナイロン、ステンレス、またはニチノールなどのフレキシブルポリマーまたは金属の種類の材料から作られるのが好ましく、ぺバックス(登録商標)、ナイロン、ステンレス、またはニチノールなどの従来の方法を利用して製造されることがある。摺動可能な内部チューブ13のインナールーメンの直径は一般的に0.3〜1mm、好適には約0.5mmであり、その全長は一般的に30〜150mm、好適には約70mmである。
バルーンの拡張・収縮中にインナーチューブ及びアウターチューブに加えられる軸方向に向けられた引張力及び座屈力を考慮して、前記チューブは、変形することなく2ないし20ニュートンの範囲で軸方向に向けられた力に耐えることができるように製作される必要がある。この目的を達成するために、管は、網状材料または画定された分子配向を有する材料で製作されることがある。(2つの異なるバルーンサイズ範囲に対する)インナーチューブ及びアウターチューブが耐える必要があるおよその最大の力は、以下のとおりである。
2.5〜4mmのバルーン:管は最大500gに耐えること;製造工程中に強化されたナイロンまたはぺバックス(登録商標)でできたポリマー管が使用可能である。
4〜5mm(またはそれ以上)のバルーン:管は最大2kgの力に耐えること。この場合、網状チューブ(金属メッシュ強化したポリマーチューブ)を用いることが必要になることになる。
バルーン折り畳み中に発生した力の代表的な試験の結果を、後述の例2に示す。
バルーン11aは、米国のインタフェース・アソシエイツ社製などのノンコンプライアントバルーンまたはセミプライアントバルーンまたは低プライアントバルーンであるのが好ましい。バルーン11aは、ナイロン12PETなどの生体適合性ポリマーの種類の材料からバルーンカテーテル業界で既知の従来の方法を用いて製造されることもある。その長さは一般的に5〜50mm、好適には約20mmであり、直径は一般的に2〜12mm、好適には約3〜5mmである。バルーン11aの近位端及び遠位端は、サーモボンディング、UV接着剤またはロックタイト(Locktight)社製のアクリルなどのロープロファイル型の付着を利用することによって、円周方向の取付点2b及び2aでそれぞれ中空シャフト6の外周面及び摺動可能な内部チューブ13の外周面に付着されるのが好ましい。バルーンは、12〜20気圧の範囲内で破壊圧力を有するのが好ましい。
バルーン11aの形状は、本明細書中に開示され、特許請求の範囲に記載されているカテーテルシステムにおいて前記バルーンが所期の機能を実現するために、重大な意味を持つことが本発明の発明者によって分かっている。即ち、
i.可能な限り低い収縮力を加えることによって内部へ入り込ませたバルーンの遠位端に所望の環状の空間が形成されるように折り畳みを促進するため、
ii.収縮中または収縮後にバルーン内部にキャビティを作り出すため、そして
iii.カテーテルシステム及び身体の通路内/外への収縮したバルーンの導入及び抜去を容易にすることになるロープロファイルを示すために重大な意味を持つということである。
i.可能な限り低い収縮力を加えることによって内部へ入り込ませたバルーンの遠位端に所望の環状の空間が形成されるように折り畳みを促進するため、
ii.収縮中または収縮後にバルーン内部にキャビティを作り出すため、そして
iii.カテーテルシステム及び身体の通路内/外への収縮したバルーンの導入及び抜去を容易にすることになるロープロファイルを示すために重大な意味を持つということである。
バルーンの材料及びデザイン、特にディスタルテーパーの形状及びディスタルとプロキシマルテーパーとの関係は、それゆえに、なめらかにかつ相対的に小さい引張力でバルーンを折り畳ませておく。このことはまた、バルーンが近位端側でのみ折り畳まれることになることを保証する。
本発明の発明者によって行われたモデリング試験から、標準的なテーパー(先細)バルーンまたは丸み加工された末端を有するバルーンと比べたとき、末端が滑らかに丸み加工されたテーパー(先細)バルーンは、最も良好に折り畳まれ、相対的に小さい収縮力を有するようである。特定の好適実施形態において、バルーンは、15〜17°の角度を有するプロキシマルテーパー円錐形状と、テーパーとネックの接合部で約0.5mmの半径を有するような15°の丸み加工された円錐形のディスタルテーパーを有する。上記したモデリング試験の結果については、後述の例1に示す。
変位ロッド18は、概ね0.2〜2mmの範囲、好適には約0.5mmの直径及び概ね50〜150mmの範囲、好適には約100mmの長さを有するステンレス鋼、ニチノール(ニッケルチタニウム)などの金属ワイヤまたはチューブ及び/またはポリマーから製造され得る。変位ロッド18の遠位部は、摺動可能な内部チューブ13の遠位部分に付着されることがある。変位ロッド18の遠位部は、内部チューブ13の壁内に結合され、それによってその剛性及びそれに加えてグリップを高めることができるのが最も好ましい。ロッド開口19は、そこを通って変位ロッド18を動かして好都合であるが、シャフト6の中空内部を適切にシールし、それによって内部から膨脹流体が漏れるのを防ぐことができるように適合される。
膨脹流体は、生理食塩水または異なる比率で放射性の不透明な溶液と混合された生理食塩水であるのが好ましい。膨脹流体をシステムに導入するためにシリンジポンプまたは当分野でよく用いられるような他の適切な膨脹ポンプが用いられることがある。種々の状態でのシステム内の圧力は、典型的には、0ないし25気圧の範囲にある。
異なる放出弁が用いられることがあるが、内部を通過する軸方向の細い通路を有する環状の要素によって放出弁16が実現されることが好ましい。そのように実現されるものでは、放出弁16は、射出成形加工によってPVCなどのエラストマーの種類の材料から製造される。放出弁16の外径は一般的に2〜6mm、好適には約4mmであり、その細い通路は、両端間で約4バールの圧力勾配が生じるときはいつでも拡張するようにデザインされる。
任意選択で、ロッド18の近位部18cは、図1Fに示されているように、中空シャフト6の近位部6b内の空間体積を占めるのに十分に広いように作られる。このピストンの様な構成18cは、近位に収縮させられるときロッド18のシリンジの様な動作を可能にさせ、中空シャフト6のルーメンの近位部6bにおいて十分な空間を空にさせる。この余分な空間は、その後、膨脹流体によって充たされることになり、それによってロッド18の収縮中にカテーテル内に圧力が蓄積することを防ぐ。
図1Cに折り畳まれた状態で示されているように、遠位キャビティ3aはバルーン11aの内向きに折り畳まれた遠位端部分によって得られる。キャビティ3aに含まれる体積は、この折り畳まれた状態でバルーンを(部分的に、または完全に)収縮させることによって拡大され、それによって拡大されたキャビティを治療部位からの試料及び/または組織片で充たすことがある。図1D及び図1Eに例示されているような種々のバルーン操作を与えるために異なるディスタルバルーンがデザインされることがある。
例えば、図1Eに示されているバルーン11bにおいて、バルーンの近位端部分は、摺動可能な内部チューブ13が近位に動かされるのに応じて内向きに形がくずれて折り畳まれ、それによって近位キャビティ3bを形成する。そのような結果は、遠位(先端)側のテーパー加工された末端に対して近位(基端)側のテーパー加工された末端で折り畳みへのより高い抵抗性を有するバルーンを用いて達成されることがある。これは、より急勾配のテーパーが折り畳みを促進するような、遠位側と近位側のテーパーで異なる角度を有するバルーンを用ることによって達成されることができる。
別の例として、図1Dに示されているバルーン11abにおいて、バルーンの近位及び遠位の両部分は、摺動可能な内部チューブ13が近位に動かされるのに応じて折り畳まれ、それによって近位キャビティ3b及び遠位キャビティ3aを形成する。この結果は、例えば対称の形状を有するバルーン11ab、即ち、遠位側と近位側とで同じテーパーを有するバルーンを用いることによって得られることがある。
本発明のバルーンカテーテルの使用手順について以下に簡単に述べる。
1)当技術分野で公知の標準的な迅速交換方法を用いて末梢血管を経てカテーテルを体内に挿入する。
2)図1Aの流体膨脹矢印7aによって示されているように流体ポート17及びアウターシャフト6のインナールーメンを経由して膨脹流体を注入することによってバルーンを挿入する。バルーン11内部の圧力は、一般的に約1〜25気圧、好適には約6気圧であることがある。
3)治療部位でバルーンカテーテル10がしっかりと固定されたこの状態で、インナーチューブ14及び摺動可能な内部チューブ13のインナールーメンは、今や、要求され得るように、異なるインターベンショナル・ツール(図示せず)を用いた治療部位での動作に利用され得る。
4)必要に応じて、近位に変位ロッド18を引っ張り、それによって、図1Bにおいて矢印8aで示されているように、収縮する摺動可能な内部チューブ13を近位に解放することによって、試料または他の液体または固形物(例えば、流体、分泌物及び/または組織片)が治療部位から回収されることがある。操作者が摺動可能な内部チューブ13を収縮する間に、バルーン11の先端チップは形がくずれ、その外周面部分は摺動可能な内部チューブ13の先端チップに対して、そしてその後はバルーンの更なる部分の形がくずれるにつれて自身に対して、図1Cに示されるように内向きに折り畳まれる。
5)摺動可能な内部チューブ13の収縮及び結果的に得られるバルーン11の内向きの折り畳みは、膨脹させたバルーン11の体積を実際に低減するような膨脹させたバルーン11の全長を短くする。従って、膨張する流体によって及ぼされる圧力は増加し、バルーン11及びアウターシャフト6のインナールーメンにおけるかなりの圧力増加をもたらす。バルーン11及びアウターシャフト6のインナールーメンにおける圧力が特定の設定値(例えば5〜20気圧)に到達するや膨脹流体は図1Bの矢印7bによって示されているように放出弁16を経て放出されることができ、それによってバルーン11及びアウターシャフト6のインナールーメンにおける圧力は所定の圧力範囲内(例えば5〜20気圧)に維持される。圧力放出の別の例示的な選択肢は、図1Fに示されているようにシリンジ動作と同じように作動できるようにロッド18の近位部分18cを広げることである。この過程で、操作者は、ロッド18に与えられた目盛を刻んだスケール(図示せず)によって、収縮されたインナーチューブ14の長さを決定し、このようにしてインナーチューブ14の収縮をいつ止めるかを決定することができる。
6)その後、バルーン11は、流体ポート17を通って膨脹流体を収縮させることによって収縮される。その結果、バルーン11内部及びアウターチューブ6のインナールーメン内部の圧力は実質的に減少し、バルーン11は収縮される。バルーン11の体積の減少は、遠位キャビティ3aの拡大をもたらす。
その後、操作者は、近位キャビティ3a内に閉じ込められた流体/分泌物及び組織片の一部がバルーンカテーテル10(図示せず)で吸引されるようにバルーンカテーテル10を近位に収縮させる。回収された組織片、物体または試料は、インナーチューブ14を遠位に押してバルーン11の折り畳まれた部分を展開し、そのようにしてバルーン11の収縮状態を復元する(図1Aを参照)ことによって、バルーンカテーテル10の全長が治療される被検体の身体から出されるときに容易に回収され得る。
図2Aないし図2Cは、本発明の第2好適実施形態による迅速交換式カテーテル20の縦断面図である。ここでは、インナーチューブ24aの遠位部分24bの直径は内部の摺動可能なチューブ13を受容するように適合されている。この好適実施形態において、インナーチューブ24aの遠位部分24bの直径は、インナーチューブ24aの近位部分の直径より相対的に大きくなっている。内部の摺動可能なチューブ13は、近位部分24b内にしっかりと嵌まるように、そしてそれによってその遠位開口部をシールして膨脹流体が内部に漏れることを防止するようにデザインされる。その代わりに、あるいはそれに加えて、シーリングは、摺動可能な内部チューブ13の外周面の環状部分に遠位部が押し付けられるようにインナーチューブ24aの遠位部分24bに取り付けられたガスケット4によって達成されることがある。内部の摺動可能なチューブ13及びインナーチューブ24aの近位部分は、同じ内径を有するように製造されることがあり、それによって、特に内部の摺動可能なチューブ13が遠位部分24b内に行き着くところまで前進させられるとき、それらの間に実質的に同種のインナールーメンを形成する。
カテーテル20の要素の構造及び幾何学的寸法は、図1Aないし図1Cを参照して上記した同じ符号が付された要素とほぼ同じである。それに加えて、この実施形態及び後に続く全ての実施形態において軸方向に向けられた引張力及び座屈力に耐えることができるようにしたカテーテルチューブの構成は、最初に説明した実施形態に関連して上記されている。同様に、バルーン11aは、膨脹流体ポート17を経由して加圧された膨脹流体(7a)によって膨脹させられることがあり、カテーテル20の長さ及びバルーン11aの形状及び体積は、図2Aないし図2Cに例証されているように、変位ロッド18を遠位にまたは近位に動かすことによって操作されることがある。図1D及び図1Eに例示されているような種々のバルーン折り畳み形状を与えるために異なるバルーンがデザインされることがある。この実施形態及びその後に説明した全ての実施形態で用いるための最適なバルーン形状は、最初に説明した実施形態に関連して上記されている。
インナーチューブ24aは、プラストマーまたは金属の種類の材料から、好適にはナイロン、PETまたはステンレス鋼から、押出し成形及びレーザ切断加工によって製造されることがある。インナーチューブ24aの遠位部分の直径は一般的に0.3〜2mm、好適には約0.5mmであり、摺動可能な内部チューブ13の直径は、前記内部チューブがその内部に挿入されるときにインナーチューブ24aの遠位開口部の必要なシーリング及びタイトフィッティングを与えるように適合されている。
図3は、インナーチューブ14の遠位部分が外部の摺動可能なチューブ13aを含むような本発明の第3好適実施形態に基づくカテーテル30の縦断面図を示している。この好適実施形態において、バルーン11aの遠位端は、前記摺動可能な外部チューブの遠位部分の外周面の周りに設けられた遠位取付点2aにおいて摺動可能な外部チューブ13aに取り付けられている。外部の摺動可能なチューブ13aの直径は、インナーチューブ14の直径より相対的に大きくなっている。外部の摺動可能なチューブ13aは、インナーチューブ14の近位部分の外周面の上にしっかりと嵌まるように、そしてそれによってその遠位開口部をシールして膨脹流体が内部に漏れることを防止するようにデザインされる。それに代えてあるいはそれに加えて、シーリングは、インナーチューブ14の外周面の環状部分に近位部が押し付けられるように外部の摺動可能なチューブ13aの近位端部分に取り付けられたガスケット4によって達成されることがある。
カテーテル30内でそのような外部の摺動可能なチューブ13aを用いることにより、比較的短い変位ロッド18aを前記摺動可能なチューブ13aの近位部分に取り付けることが可能になる。その代わりに、あるいはそれに加えて、変位ロッド18aの遠位部が外部の摺動可能なチューブ13aの壁内に長手方向の長さに沿って結合され、それによってその剛性及びそれに加えてグリップを高めることがある。
同じ符号が付されたカテーテル30の要素の構造、幾何学的寸法と、その長さ及びバルーン体積及び形状を操作する方法は、既に上記した要素及び操作方法とほぼ同じであるので、簡略のため、上記要素についてここではもう説明しない。外部の摺動可能なチューブ13aは、プラストマーまたは金属の種類の材料から、好適にはナイロンまたはステンレス鋼から、押出し成形及びレーザ切断加工によって製造されることがある。外部の摺動可能なチューブ13aの直径は、前記外部の摺動可能なチューブがインナーチューブ14の周りに取り付けられるときにインナーチューブ14の遠位開口部の必要なシーリング及びタイトフィッティングを与えるように適合されている。例えば、外部の摺動可能なチューブ13aの直径は一般的に0.3〜2mm、好適には約0.8mmであることがある。
本発明の第4好適実施形態(40)が図4に示されている縦断面図中に説明されており、ここではインナーチューブ44aの遠位部分44bの直径は、外部の摺動可能なチューブ13a内に受容されるように適合されている。この好適実施形態において、バルーン11aの遠位端は、前記摺動可能な外部のチューブの遠位部分の外周面の周りに遠位取付点2aにおいて摺動可能な外部チューブ13aに取り付けられている。インナーチューブ44aの遠位部分44bの直径は、近位部分の直径より相対的に小さくされる。外部の摺動可能なチューブ13aは、近位部分44bの上にしっかりと嵌まり、それによって遠位開口部をシールし、チューブ内への膨脹流体の漏れを防ぐようにデザインされている。その代わりに、あるいはそれに加えて、シーリングは、インナーチューブ44aの遠位部分44bの環状部分に近位部が押し付けられるように外部の摺動可能なチューブ13aの近位端に取り付けられたガスケット4によって達成されることがある。
カテーテル40の外部の摺動可能なチューブ13aは、比較的短い変位ロッド18aを前記摺動可能なチューブ13aの近位部分に取り付けることができるようにする。その代わりに、あるいはそれに加えて、変位ロッド18aの遠位部は、外部の摺動可能なチューブ13aの壁内に長手方向の長さに沿って結合され、それによってその剛性及びそれに加えてグリップを高めることがある。
同じ符号が付されたカテーテル40の要素の構造、幾何学的寸法と、その長さ及びバルーン体積及び形状を操作する方法は、既に上記した要素及び操作方法とほぼ同じであるので、ここではもう説明しない。インナーチューブ44aは、プラストマーまたは金属の種類の材料から、好適にはナイロンまたはステンレス鋼から、押出し成形及びレーザ切断加工によって製造されることがある。インナーチューブ44aの遠位部分44bの直径は、一般的に0.3〜2mm、好適には約0.5mmであり、外部の摺動可能なチューブ13aの直径は、前記外部チューブがインナーチューブ44aの周りに取り付けられるときにインナーチューブ44aの遠位開口部の必要なシーリング及びタイトフィッティングを与えるように適合されている。
図5に縦断面図で示されている本発明の第5好適実施形態において、外部の摺動可能なチューブ13aは、カテーテル50の固定インナーチューブ54aの遠位開口部を通って遠位に突出するインナーチューブ54bの周りに取り付けられる。この好適実施形態において、バルーン11aの遠位端は、前記摺動可能な外部チューブの遠位部分の外周面の周りに設けられた遠位取付点2aにおいて摺動可能な外部のチューブ13aに取り付けられている。インナーチューブ54bの近位端部分が固定インナーチューブ54aの遠位開口部内に嵌装され、それによってインナーチューブは前記遠位開口部をシールし、その長手方向の長さの大部分はそこから中空シャフト6の中空内部へ遠位に突出する。外部の摺動可能なチューブ13aの直径は、インナーチューブ54bの該表面の上にしっかりと嵌まるように適合されるので、その遠位開口部をシールし、一方ではチューブが操作者によってその上に遠位にまたは近位に容易に動かされることができる。
固定インナーチューブ54aの遠位開口部のシーリングを強化するために、インナーチューブ54bの近位端にシーラント4cを適用することができる。インナーチューブ54bの遠位開口部のシーリングは、インナーチューブ54bの外周面の環状部分に近位部が押し付けられるように外部の摺動可能なチューブ13aの手元チップに取り付けられた環状のガスケット4によって達成されることがある。
ガスケット4は、シリコーンやポリウレタンなどの可撓性材料で作られることができる。あるいは、ガスケット4は、チューブ間での摺動を向上させるような追加の鉱油やシリコーン油などの潤滑剤によって実現されることがある。シーリングは、バルーン内の圧力を増加させることによって更に増大されることがある。
チューブ54aがシャフト6に固定されかつチューブ13aがバルーン11aの遠位ネックに固定され、それによってチューブ54bが両チューブ内に摺動できるように、チューブ13a及び54aは固定チューブであり得ることに留意されたい。
同じ符号が付されたカテーテル50の要素の構造、幾何学的寸法と、その長さ及びバルーン体積及び形状を操作する方法は、既に上記した要素及び操作方法とほぼ同じであるので、簡略のため、ここではもう説明しない。固定インナーチューブ54a及び外部の摺動可能なチューブ13aは、プラストマーまたは金属の種類の材料から、好適にはナイロンまたは可撓性の金属から、押出し成形及びレーザ切断加工によって製造されることがある。これらチューブの直径は、固定インナーチューブ54a及びインナーチューブ54bの遠位開口部の必要なシーリング及びタイトフィッティングを与えるように適合されている。図6Aないし図6Cは、カテーテル60のインナーチューブ64が摺動可能な中間チューブ33bに包含されているような本発明の第6好適実施形態の縦断面図を示している。この好適実施形態において、バルーン11aの遠位端は、前記摺動可能な中間チューブの遠位部分の外周面の周りに設けられた遠位取付点2aにおいて摺動可能な中間チューブ33bに取り付けられている。摺動可能な中間チューブ33bの上側面上に水平開口部38が設けられる。インナーチューブ64は、インナーチューブ64が中空シャフト6に固定され、ラテラルポート12を経由してそのルーメンへのアクセスを与える位置で、中空シャフト6の上側に向かって水平開口部38を上向きに通って突出している。
手技中に、バルーン11aは、膨脹流体ポート17を通して供給される加圧流体(図6Aにおいて矢印7aで示されている)によって膨脹させられることがある。図6Bに示されているように、加圧流体は、中空シャフト63の中空内部を通過してバルーン11aの内部空間内へ進む。膨脹させた状態のカテーテル及びそのバルーンが図6Bに示されている。中間チューブ33bの近位端と水平開口部38間の中間チューブ33bの近位部分は、膨脹流体がその中に流入しないようにするためにシーラント66によってシールされることがある。中空シャフト63の中空内部内及びバルーン11a内の圧力が所定のしきい値より高いときはいつでも、放出弁出口15に取り付けられた放出弁16から膨脹流体の一部が放出される。
中間チューブ33bの近位部分は、シャフト63の近位端に設けられた近位開口部65を経由して近位に突出する。近位開口部65は、そこを通って中間チューブ33bが摺動するが、都合よくそこを適切にシールして膨脹流体が漏れ出すことを防ぐことができるようにデザインされる。カテーテル長さ及びそのバルーン形状及び体積の操作は、中間チューブ33bをカテーテルシャフトに対して近位にまたは遠位に摺動させることによって行われる。
例えば、バルーン11aを膨脹させた後、操作者は中間チューブ33bの近位部分(図6Bにおいて矢印8aで示されている)を引っ張り、それによってバルーン11aの遠位端部分の形をくずしてキャビティ3aを内向きに折り畳んで変形させることができる(図6Cを参照)。水平開口部38は、中間チューブ33bを近位に摺動させて取付点2aがシャフト63の先端に届く状態にすることができるように、そして他方ではバルーン11aの全長を伸ばすことを可能にするために中間チューブ33bの十分な遠位摺動を許容するように、調整される。
中間チューブ33bは、ナイロン、テフロン(登録商標)、または可撓性ステンレス鋼などのプラストマーまたは金属の種類の材料から、押出し成形及びレーザ切断加工によって製造されることがある。インナーチューブ64及び中間チューブ33bの直径は、中間チューブ33bのルーメン内にインナーチューブを挿入することができるようにし、一方でチューブを適切にシールし、膨脹流体が内部に漏れることを防ぐように適合されている。例えば、中間チューブ33bの内径は約0.8mm、インナーチューブ64の外径は約0.78mmであることがある。
中間チューブ33bは、押出し成形加工によって製造されることができ、ID(内径)はインナーチューブ64の外径にぴったり合う適切な許容差を有する。ラテラルポート12が中間チューブ33bの水平開口部38に配置されるように、インナーチューブ64及び中間チューブ33bは一緒に組み立てられる。その後、チューブ64及び33bは中空シャフト63内に挿入され、ラテラルポート12は中空シャフト63に取り付けられることができる。
中間チューブ33bは必ずしも完全なチューブである必要がないことに留意されたい。中間チューブ33bの遠位部は管状の形状であるべきであるが、その近位部は半月形状など他の断面形状を有することがある。その代わりに、中間チューブ33bの近位部は、遠位部に取り付けられかつ近位開口部65を経由してカテーテル60から出て行くワイヤによって実現されることがある。
図7Aないし図7Cは、本発明の第7好適実施形態によるカテーテル70の縦断面図である。ここでは、インナーチューブ74は、摺動可能なシーリングスリーブ79にそれを付けることによって、動かされることができるようになっている。この好適実施形態において、バルーン11aの遠位端は、前記インナーチューブの遠位部分の外周面の周りに設けられた遠位取付点2aにおいてインナーチューブ74に取り付けられている。
同じ符号が付されたカテーテル70の要素の構造、幾何学的寸法と、その長さ及びバルーンの体積及び形状を操作する方法は、既に上記した要素及び操作方法とほぼ同じであるので、簡略のため、ここではもう説明しない。
本発明の先の実施形態と同様に、インナーチューブ74はカテーテルの中空アウターシャフト76の中空内部内に配置され、ラテラルポート12を含むインナーチューブ74の曲がり部分37はそこから外向きに突出している。ラテラル開口部9は中空アウターシャフト76上に設けられ、インナーチューブ74の前記曲がり部分37が中空シャフト76から外向きに突出している。ラテラル開口部9は、中空アウターシャフト76の外周面の周りに取り付けられたシーリングスリーブ79によってシールされる。シーリングスリーブ79は、中空アウターシャフト76の外周面の上にしっかりと嵌まるように、そしてシーリングスリーブ79とそこから突出しているインナーチューブ74の曲がり部分37の間の取付領域及びラテラル開口部9をシールするようにデザインされる。更に、シーリングスリーブはまた、ラテラル開口部9によって課される制限内で遠位にまたは近位に動けるように摺動可能に作られる。
このようにして、可動インナーチューブ74が得られる。操作者は、バルーン11aを膨脹させ(図7Aにおいて矢印7aで示されている)、中空シャフト76の上でシーリングスリーブ79を摺動させることによってインナーチューブを遠位にまたは近位に動かすことができる。それに加えて、あるいはその代わりに、この目的のために変位ロッド48が用いられることがある。変位ロッド48は、インナーチューブ74の近位部分に取り付けられることがあり、その近位部分は、中空シャフト76の近位端に設けられた近位開口部75を通して操作者に利用されることができる。近位開口部75は、そこを通って変位ロッド48が都合よく摺動するが、そこを適切にシールして膨脹流体が漏れ出すことを防ぐことができるようにデザインされる。
ラテラル開口部9は、インナーチューブ74を近位に動かして取付点2aが中空シャフト76の先端に届く状態にすることができるように、そして他方ではバルーン11aを最大限の長さまで伸ばすことができるようにするためにインナーチューブ74の十分な遠位運動を許容するように、調整される。
シーリングスリーブ79は、プラストマーまたは金属の種類の材料から、好適にはナイロンまたは可撓性ステンレス鋼から、押出し成形及びレーザ切断加工によって製造されることができる。シーリングスリーブ79及びインナーチューブ74の曲がり部分37のシーリング及び取付けは、両者が一緒に摺動できるように熱圧着または任意の他の接着法によってこれらの部品を結合することによって達成されるのが好ましい。シーリングスリーブ79の直径は、中空シャフト76の幾何学的寸法に照らして調整される。例えば、中空シャフトのOD(外径)が約1.2mmであれば、シーリングスリーブのIDは約1.22mmとなる。
図7Cは、カテーテル70に類似のカテーテル70aの実現例を示しているが、ここではインナーシーリングスリーブ77が中空シャフト76の中空内部に取り付けられるように適合されている。この実現例において、インナーシーリングスリーブ77は、ラテラル開口部9の領域の辺りで中空シャフト76の内壁に押し付けられ、それによってその部分の適切なシーリングを与えるように適合されている。図7Aに示されているカテーテル70にあるように、インナーチューブ74の本質的に垂直な部分は、インナーシーリングスリーブ77を通して外向きに突出し、ラテラルポート12を通して操作者によってアクセスされ得る。インナーチューブ74の垂直部分及びインナーシーリングスリーブ77のシーリング及び取付けは、カテーテル70を参照して上記した同じ手段を用いて得られることがある。
インナーシーリングスリーブ77は、プラストマーまたは金属の種類の材料から、好適にはナイロンまたは可撓性ステンレス鋼から、押出し成形及びレーザ切断加工によって製造されることができる。インナーチューブ74の垂直部分及びインナーシーリングスリーブ77のシーリング及び取付けは、上記したものと類似の方法で達成されるのが好ましい。シーリングスリーブ77の直径は、中空シャフト76の幾何学的寸法に照らして調整される。例えば、中空シャフトの内径が約1mmであれば、インナーシーリングスリーブの外径は約0.98mmとなる。
上記したパラメータはすべて、ほんの一例として与えられたものであり、本発明の種々の実施形態の異なる要求に従って変えられる。それゆえ、上記したパラメータは、多少なりとも本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、上記で説明した異なるチューブ、バルーン、シャフト及び他の部材は、前述の説明で例証したものとは異なる形状(例えば平面図で、卵形、正方形などの形状を有する)及びサイズで製作されることがあることを理解されたい。
上記した本発明の異なるバルーンカテーテル実施形態は、図1D及び図1Eを参照して上記に例証したように、バルーンの近位端部分、バルーンの遠位端部分、またはバルーンの近位端及び遠位端の両部分の折り畳みを可能にする異なる種類のバルーンにより実現され得ることに留意されたい。
さらに、上記した本発明の異なるバルーンカテーテル実施形態は、バルーンに装備されたステントを運ぶため、及び標準的なステント手技において一般に行われているように治療部位に前記ステントを留置するために用いられることがあることに留意されたい。
実施例
例1 本発明で用いられる組織片回収バルーンの有限要素解析(FEA)
FEAは、所望のやり方で折り畳まれた状態になる能力を向上させるためにバルーンデザインを最適化するように用いられたコンピュータ処理ツールである。FEモデルは、膨脹させたバルーンであってその末端が収縮し、それがバルーンの折り畳みをもたらしているようなバルーンについて説明している。バルーン材料の機械的特性を考慮して、異なるバルーンデザイン及び様々な膨脹圧力でシミュレーションを行った。バルーン材料は、ナイロン12またはぺバックス(登録商標)を選んだ。
仮定:
i.バルーンは、同種の等方性材料で作られている。
ii.バルーンの形状は、長手方向の軸に関して対称である。
iii.バルーンの形状は、その中央横軸に関して対称である。
iv.折り畳みはバルーン材料に曲げ応力を生じさせる。それゆえ、FE解析では、曲げられたときの物質の機械的特性(弾性率及びポアソン比)が考慮される。
i.バルーンは、同種の等方性材料で作られている。
ii.バルーンの形状は、長手方向の軸に関して対称である。
iii.バルーンの形状は、その中央横軸に関して対称である。
iv.折り畳みはバルーン材料に曲げ応力を生じさせる。それゆえ、FE解析では、曲げられたときの物質の機械的特性(弾性率及びポアソン比)が考慮される。
方法:
a)非線形有限要素(FEA)プログラムMSC.MARC.を用いて解析を行った。このソフトウエアでは、熱負荷または構造負荷に起因する大きな変形を受けている部分の性能及び構造的完全性のアセスメントができる(www. mscsoftware .com)。
b)大きな変位を仮定し、幾何学的アップデート及び続いて起こる力に起因する剛性の変化を考慮して、解析は非線形であった。
c)モデルは、2次元軸対称であった。
d)モデルは、約1000のノード及び1000の2次元固体元素で構成した。
e)膨脹圧力を反映してバルーンの内部から壁上に一定の圧力を加えた。同時に、軸方向の力を徐々に増加させてバルーンの末端に及ぼし、それを折り畳ませた。加えた力に対して水平(長手方向)軸のバルーン壁の変位を測定した。
f)バルーンの長手方向の軸を固定したままにし、その一方で、バルーン壁が軸方向荷重を受けて自由に動く/折り畳まれるようにした。
g)バルーンの仕様を次表に示す。
h)4つのバルーンデザインを解析した。違いは、これらのテーパーのデザインにある(図8を参照)。
標準的な20°テーパー
末端が滑らかに丸み加工された20°テーパー
丸み加工された末端
頭の部分が引っ込んでいる丸み加工された末端
i)シミュレーションを5つの異なる膨脹圧力、即ち、1気圧、3気圧、6気圧、9気圧、12気圧で行った。
a)非線形有限要素(FEA)プログラムMSC.MARC.を用いて解析を行った。このソフトウエアでは、熱負荷または構造負荷に起因する大きな変形を受けている部分の性能及び構造的完全性のアセスメントができる(www. mscsoftware .com)。
b)大きな変位を仮定し、幾何学的アップデート及び続いて起こる力に起因する剛性の変化を考慮して、解析は非線形であった。
c)モデルは、2次元軸対称であった。
d)モデルは、約1000のノード及び1000の2次元固体元素で構成した。
e)膨脹圧力を反映してバルーンの内部から壁上に一定の圧力を加えた。同時に、軸方向の力を徐々に増加させてバルーンの末端に及ぼし、それを折り畳ませた。加えた力に対して水平(長手方向)軸のバルーン壁の変位を測定した。
f)バルーンの長手方向の軸を固定したままにし、その一方で、バルーン壁が軸方向荷重を受けて自由に動く/折り畳まれるようにした。
g)バルーンの仕様を次表に示す。
標準的な20°テーパー
末端が滑らかに丸み加工された20°テーパー
丸み加工された末端
頭の部分が引っ込んでいる丸み加工された末端
i)シミュレーションを5つの異なる膨脹圧力、即ち、1気圧、3気圧、6気圧、9気圧、12気圧で行った。
結果
図9は、6気圧の膨脹圧力での4つのバルーン形状に対する変位と収縮力との比較を示す。バルーンの形のくずれに必要な最大の力を考えると、末端がテーパー/丸み加工されたバルーンが形のくずれに必要とする力が最も小さいのに対し、末端が丸み加工されたバルーンが必要とする力は最も大きい。末端がテーパー加工されたバルーンは、これらの間のどこかにある。初期段階の末端がテーパー加工されたバルーンの勾配は、他のバルーン形状に比べて相対的に中程度であるように見える。中程度の勾配は、より高い剛性を示す。言い換えれば、所与の変位を引き起こすのにより大きな力を必要とする。末端がテーパー/丸み加工されたバルーンの勾配は、最も急なものであり、折り畳みへのコンプライアンスが比較的高いことを示唆している。
異なる膨脹圧力でのバルーンの収縮した形状と元の形状との比較についても考察した(結果は示さず)。結果は、よりなめらかかつ連続的なように収縮される末端が丸み加工されたバルーンに比べて、末端がテーパー加工されたバルーン群はほとんど収縮されないことを示した。これらを折り畳むのにより大きな力が必要とされるにも拘らずである。
結論:
上記解析から、膨脹圧力及びバルーン形状が、必要な力及び折り畳みスタイルを決定する際に重要な役割を有すると結論づけられた。末端が滑らかに丸み加工されたテーパー(先細)バルーンは、最も良好に折り畳まれかつ標準的なテーパー(先細)バルーンまたは末端が丸み加工されたバルーンと比べて相対的に小さい収縮力を有するようである。
例2 異なる膨脹圧力でバルーンを折り畳むために必要な力の決定
機器及び材料:
3.0mmのナイロン12ベストアミド(vestamid)(登録商標)L2101Fバルーン(Interface Associates 316079-1)。
内径3mmのガラス管。
ガイダント(Guidant)社製のHI-TORQUE CROSS-IT(登録商標)200XTの0.014インチ(0.356mm)ガイドワイヤ。
ハウンズフィールド試験装置モデルTX0927、50Nロードセル。このコンピュータ制御された試験機は、材料の張力、圧縮、せん断、曲げ及びその他の機械及び物理特性の判定を可能にする。本機では、試験速度及び移動方向を選択できる。本機は、力及び変位値を測定することができ、試験結果をグラフ表示することもできる。
アスリーヌ(Assouline)社製の圧縮機1.5HP型。
流体分注装置モデル1500XL。
3.0mmのナイロン12ベストアミド(vestamid)(登録商標)L2101Fバルーン(Interface Associates 316079-1)。
内径3mmのガラス管。
ガイダント(Guidant)社製のHI-TORQUE CROSS-IT(登録商標)200XTの0.014インチ(0.356mm)ガイドワイヤ。
ハウンズフィールド試験装置モデルTX0927、50Nロードセル。このコンピュータ制御された試験機は、材料の張力、圧縮、せん断、曲げ及びその他の機械及び物理特性の判定を可能にする。本機では、試験速度及び移動方向を選択できる。本機は、力及び変位値を測定することができ、試験結果をグラフ表示することもできる。
アスリーヌ(Assouline)社製の圧縮機1.5HP型。
流体分注装置モデル1500XL。
手順:
バルーンを3mmのガラス管にまっすぐにまたは45°傾斜させて挿入した。折り畳み動作を安定させるためにインナーチューブにガイドワイヤを挿入した。圧縮機を用いてバルーンを膨脹させ、分注機によって膨脹圧力を制御した。手順は、3〜7atmの圧力範囲で1atm単位で行った。ハウンズフィールド試験機を用いて、インナーチューブを100mm/分から最大20mmの速度で引っ張り、その後同じ速度でバルーンが完全に展開されるまで押し戻すことによって、バルーンを折り畳んだ。
結果が再現可能であることを確認するために、各圧力で4回の試験を行った。
結果:
各圧力でバルーンの折り畳みに必要な最大の力を図10に示す。最大の力は、両方の位置(まっすぐ及び傾斜位)に対して膨脹圧力とともに増加し、圧力1atmの目盛り当たり0.2〜0.4 N(20〜40gr)の間で変化する増加量で2〜3.5N(200〜350gr)の範囲である。膨脹圧力が高くなれば、バルーンを折り畳むのにより大きな力が必要になる。両者の関係はほぼ線形である(R2=0.98)。最大の力は、傾斜位に対して僅かに小さいが、まっすぐの位置での繰り返し試験は、より小さい力が材料の疲労に起因することを明らかにした。この仮定を支持するために、40回繰り返し後のバルーンの目視検査は、バルーン材料が可撓性を失い、ぺしゃんこになったように見えることを示した。
上記の例及び説明は、当然のことながら説明目的にのみ供されており、本発明を何ら限定することを意図するものではない。当業者であれば理解するであろうが、本発明は、本発明の範囲を超えない限り、上記した以外の2つ以上の技術を用いて多種多様な方法で実行されることができる。
Claims (13)
- 迅速交換式バルーンカテーテルシステムであって、
外管と、
ガイドワイヤ上を全体的または部分的に通過するのに適した内管であって、近位端部と先端部とを有し、前記内管の前記近位端部が前記外管の壁を貫通するようにある角度に曲げられており、前記内管の前記ある角度に曲げられた近位端部は、前記外管の壁にシール状態で固定されて、前記外管に前記内管のルーメンに前記ガイドワイヤを挿入するための横ポートを形成する、該内管と、
前記外管と前記内管の間に摺動可能に配置された中間チューブであって、中間チューブ近位端部および中間チューブ先端部を有し、前記中間チューブ近位端部は、前記外管の前記近位端部に設けられた開口をシール状態で摺動自在に通過し、前記中間チューブ近位端部は前記開口を超えて先端側に延びており、前記中間チューブは長寸開口を有し、前記内管の前記ある角度に曲げられた近位端部は、前記中間チューブの前記長寸開口を通過して延在し、その内部に配置され、それによって、前記中間チューブは、前記内管の前記ある角度に曲げられた近位端部に妨げられることなく前記外管内を先端側および近位側に軸方向に移動可能である、該中間チューブと、
膨張可能かつ内部に入り込み可能なバルーンであって、その近位端が前記外管の前記先端チップの表面に取り付けられ、遠位端が前記中間チューブ先端部の表面にシール状態で取り付けられており、前記中間チューブを近位側方向に摺動させたとき内部に入り込みが生じ、前記バルーンに拡げられた遠位キャビティが形成される、該バルーンと、
前記外管の内表面と前記中間チューブの外周面の間に形成された環状の空間へ、そしてそこから前記バルーンのルーメンへの膨張流体の導入及び除去のための手段とを含むことを特徴とする迅速交換式カテーテルシステム。 - 前記中間チューブの前記近位端は、前記中間チューブの前記近位端を引っ張ったときに前記バルーンの内部への前記入り込みが生じて前記キャビティが形成されるように、前記外管の近位端を超えて延在していることを特徴とする請求項1に記載の迅速交換式カテーテルシステム。
- 1若しくは複数のワイヤをさらに有し、
前記1若しくは複数のワイヤの遠位端は、前記中間チューブの遠位部に取り付けられ、前記1若しくは複数のワイヤの基端は、前記1若しくは複数のワイヤを引っ張ることによって前記バルーン内部への前記入り込みが生じて前記キャビティが形成されるように、シール状態で摺動可能に前記外管の近位端における開口を通して延在していることを特徴とする請求項1若しくは2に記載の迅速交換式カテーテルシステム。 - 前記バルーンは、12〜20気圧の範囲内の破壊圧力を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の迅速交換式カテーテルシステム。
- 前記バルーン内の圧力が設定値に到達したときはいつでも前記外管のルーメン内から過剰な膨張流体を放出するために、前記外管の前記ルーメンと連通している放出弁をさらに有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の迅速交換式カテーテルシステム。
- 前記設定値が、5〜20気圧の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の迅速交換式カテーテルシステム。
- 前記バルーンの膨張時の形状は、前記内管の可動部分が前記外管に対して近位側に移動したとき、前記バルーンの遠位部および/または近位部が内部への入り込みを生ずるように導くことができる形状であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の迅速交換式カテーテルシステム。
- 前記バルーンは、膨張時の形状として、遠位端が丸み加工されたテーパー形状を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の迅速交換式カテーテルシステム。
- 前記中間チューブの前記外管内での摺動を促進する潤滑剤を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の迅速交換式カテーテルシステム。
- 前記中間チューブの前記内管に沿った摺動を促進する潤滑剤を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の迅速交換式カテーテルシステム。
- 前記バルーン上にステントが設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の迅速交換式カテーテルシステム。
- 前記内管及び前記外管が、変形を受けることなく2〜20ニュートンの範囲で軸方向に向けられた力に耐える能力を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の迅速交換式カテーテルシステム。
- 前記膨張流体の導入及び除去のための手段が、前記外管に形成された流体ポートを含むことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の迅速交換式カテーテルシステム。
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