JP5442715B2 - トリクロロシラン製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、テトラクロロシランと水素とを反応させてトリクロロシランに転換するトリクロロシラン製造装置であって、特に、熱膨張による歪みや破損を生じにくく、トリクロロシランの回収効率に優れ、しかも転換効率にも優れたトリクロロシラン製造装置に関する。
トリクロロシラン(SiHCl)は、半導体、液晶パネル、太陽電池等の製造に用いられる特殊材料ガスである。近年、需要は順調に拡大し、エレクトロニクス分野で広く使用されるCVD材料として、今後も伸びが期待されている。
トリクロロシランは、テトラクロロシラン(SiCl)と水素(H)とを接触させ、以下の熱平衡状態を達成することによって生成される。
SiCl+H⇔SiHCl+HCl (1)
この反応は、ガス化したテトラクロロシランと水素からなる原料ガスを反応容器において800℃〜1300℃に加熱することによって行われる。
反応容器から排出される高温の反応生成ガスには、生成されたトリクロロシランおよび塩化水素の他、多量の未反応テトラクロロシランおよび水素が含まれている。反応生成ガスからトリクロロシランを取り出すには、テトラクロロシランとトリクロロシランの沸点の相違を利用して蒸留塔で凝縮する方法が用いられる。具体的には、コンデンサーにおいて、凝縮分であるクロロシランと、未凝縮分である塩化水素、水素、未凝縮クロロシランとに分け、さらに、深冷分離により−70℃程度まで冷却して凝縮分からトリクロロシランを分離する。
反応生成ガスから目的とするトリクロロシランを分離するにあたり、反応容器から導出されたばかりの高温の反応生成ガスをいきなり蒸留塔に導入してしまうと蒸留塔に過度の負荷がかかるため、典型的には、反応生成ガスを蒸留塔に導入する前に急冷塔において予備的に冷却しておく必要がある。
しかし、予備的冷却とはいっても、冷却力が不十分であると平衡がテトラクロロシラン側に傾き、一旦は生成したトリクロロシランが再びテトラクロロシランへと戻ってしまう。そこで、トリクロロシランの回収効率の向上を図るために、平衡が十分にトリクロロシラン側に達した時点で反応生成ガスを可能な限り瞬時に所定温度まで冷却して平衡を凍結する必要がある。上記平衡状態を瞬時に凍結するには、典型的には、反応生成ガスを1秒未満のうちに600℃程度にまで急冷する必要がある。
テトラクロロシランと水素とを反応させてトリクロロシランに転換し、さらに反応生成ガスを冷却する機構を備えた反応容器としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。この文献に記載される反応器によれば、反応器の底部に熱交換器が接続されており、熱交換器において予熱された水素とクロロシランからなる原料ガスが反応器へ供給される。供給された原料ガスは反応器内に設けられた外室を上にすすみ、その際に反応器内に設置された発熱体によって加熱される。加熱によって生成したガスは、反応器の上部に設けられたダイバータによって進行方向を変えられ、反応器内の内室を底部に向かって進み、再び熱交換器へと流入し、熱交換器において、加熱された反応生成ガスから反応器内に供給される原料ガスへと熱の受け渡しが行われる。これによって、反応生成ガスは冷却され、原料ガスは予備加熱される。
さらに別の例としては、特許文献2に記載されたものがある。この文献には、テトラクロロシランと水素とを含む供給ガスが内部に供給されてトリクロロシランと塩化水素とを含む反応生成ガスが生成される反応容器と、反応容器の内部を加熱する加熱機構と、反応容器及び加熱機構を収納する収納容器と、反応容器内に供給ガスを供給するガス供給内筒と、ガス供給内筒の外側にほぼ同軸で配されガス供給内筒の外周面と自己の内周面との間に反応生成ガスの排気流路が形成されたガス排気外筒と、ガス排気外筒を内側で支持し内部に冷媒を流通させる冷媒路が形成された冷却筒とを備えるトリクロロシラン製造装置が提案されている。このトリクロロシラン製造装置では、高温状態の反応生成ガスが、排気流路を流れて排出される際に、ガス排気外筒の外側に設けられた冷却筒を流れる冷媒によって外側から冷却されると同時に、ガス排気外筒の内側に設けられたガス供給内筒を反応容器内部に向かって流入する供給ガスと熱交換して冷却される。すなわち、ガス排気外筒の内外から同時に冷却することにより、冷却効率の向上を図っている。
しかしながら、特許文献1に記載されている反応器では、反応生成ガスの冷却が、隣接して走行する原料ガスとの熱交換のみに任されているため、1000℃以上に達している反応生成ガスを瞬時に600℃程度まで冷却することは困難である。そのため、反応生成ガスが排出されるまでの間に、上記平衡が徐々にテトラクロロシラン側に傾き、折角生成したトリクロロシランの一部を失うことになる。また、特許文献2に記載されている装置では、ガス排気外筒の周りに冷媒路が形成された冷却筒が設けられているものの、この場合も、反応生成ガスの冷却はガス排気外筒の内壁および外壁を介した熱交換に委ねられているため、冷却速度および能力の点で必ずしも十分とは言えない。
さらに、特許文献2記載の装置では、反応容器の底部は下部支持円板で閉じられ、さらに、この下部支持円板は、その中央部のみにおいて、収納容器の底板を構成している底部支持部材の中央から上向きに突出した支持柱部材によって支えられているため、反応容器を構成する反応筒壁が熱膨張しても、下部支持円板が支持柱部材を中心として撓み変形することができ、その応力を吸収できるとされている。しかし、反応容器の上部では、高温の反応生成ガスが通過するガス排気外筒やガス排気管が配置されるにも関わらず、反応容器の上部が、上部支持円板とガス供給内筒並びに上部円環板とガス排気外筒によって収納容器と接触して支持・固定されている。すなわち、高温ガスが流れるガス排気外筒およびガス排気管は、収納容器、天板部、冷却筒、供給ガス導入部等に支持・固定されているため、部材の熱膨張による応力の集中を緩和することができず、歪みや破損を招きやすい。また、ガス排気外筒の外側に低温の冷却筒が隣接して設けられているため、冷却能力を上げすぎると、当該部位を構成する各部材に局所的に過度の温度差を生じ、応力の集中により破損に至るおそれがある。
そこで、このような排気管の内壁や外壁を介した冷却方法より強力かつ瞬時に反応生成ガスを冷却する方法として、反応生成ガスを高温の反応容器から急冷塔へと導出し、そこで反応生成ガスに冷却液を直接接触させ、冷却液が気化する際の蒸発潜熱を利用して反応生成ガスから熱を奪う方法が提案されている。
例えば特許文献3には、テトラクロロシランと水素を反応室に導入して600℃〜1200℃の温度で転換反応させることによってトリクロロシランと塩化水素とを含む反応生成ガスを得た後、反応室から導出された反応生成ガスに室温に冷却されたクロロシラン混合物を噴霧により接触させ、1秒以内に300℃以下にまで急冷する冷却手段を備えた装置が提案されている。
特開平6−293511号公報 特開2008−133175号公報 特公昭57−38524号公報
発明の概要
ところで、特許文献3に記載の装置では、反応炉と急冷塔とが急冷塔の側方に設けられた接続管を介して接続されており、接続管と反応炉との接合部には閉じた端部が形成されている。そしてこの閉じた端部にゾンデを貫通させ、当該ゾンデを介して反応炉で生成した反応ガスを急冷室へと導出している。
しかし、高温に達している反応炉と低温の急冷室とは、接続管と反応炉との接合部における閉じた端部壁面によって遮られているため、急冷塔と反応炉とを遮る端部壁面とその近傍には局所的に大きな温度差が生じる。その結果、当該部位に熱膨張による応力が集中し、歪みや破損を生じる場合がある。また、端部壁面に貫通して固定されているゾンデが熱膨張しても、ゾンデと端部壁面との接合部に応力が集中し、歪みや破損に至る場合がある。
すなわち、冷却液を反応生成ガスに直接吹き付けて瞬時に冷却するシステムでは、急冷効率に優れる一方、装置には局所的に大きな温度差がかかるため、熱膨張による応力の集中を如何に回避するかが問題となる。それにも関わらず、特許文献3には当該応力を吸収または緩和するための手段について何ら触れられていない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、熱膨張による歪みや破損を生じにくく、トリクロロシランの回収効率に優れ、さらにはトリクロロシランの転換効率にも優れたトリクロロシラン製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のトリクロロシラン製造装置は、
テトラクロロシランと水素とを含む原料ガスからトリクロロシランと塩化水素とを含む反応生成ガスを生成する略円筒状の反応容器と、前記反応容器を加熱するヒータと、前記反応容器およびヒータを収容し前記反応容器とは反応容器底部のみで接触する外筒容器とを備える反応炉と、
前記反応生成ガスを冷却する急冷塔と、
前記反応炉と急冷塔との間を連結する連結筒と、
前記反応容器の外周面に略垂直に接続され前記連結筒内部を通って前記急冷塔に至るように配され前記反応生成ガスを反応炉から急冷塔に導出する抜出管と、
前記連結筒内部において前記抜出管を覆うように略同軸に配され、一端が連結筒の内周に接合され、他端が抜出管の外周に接合されたベローズ管と
を備えていることを特徴とする。
<熱膨張による破損防止>
本発明に係るこのトリクロロシラン製造装置では、反応容器がその底部のみを外筒容器の底部と接触させた状態で安定に反応炉内に収容されている。ここで、反応容器はその外周面に抜出管の一端が接続されているが、抜出管は連結筒の内部において伸縮可能なベローズ管で保持されているため反応容器の固定に実質的に寄与するものではなく、反応容器に過度の押圧力をかけることもない。すなわち、反応容器は、その底部のみを外筒容器と接触させた状態で外筒容器内に収容され、しかも何ら固定手段を用いることなく、その自重のみによって外筒容器底部に安定に固定されているに過ぎないため、加熱による熱膨張が生じても応力の集中を招くことがない。
また、抜出管は、連結筒内において抜出管と連結筒との間にこれらとほぼ同軸に配されたベローズ管によって伸縮自在に保持されているため、反応生成ガスの通過によって加熱され熱膨張しても、ベローズ管がこれに追従して伸縮することにより、応力の集中を回避することができる。
しかも、抜出管の一端をベローズ管で伸縮自在に保持すると共に、反応容器をその底部で自重のみによって支える構成としたことにより、ベローズ管は、抜出管の熱膨張のみならず、反応容器の熱膨張に対しても追従して変形できる。このため、反応容器および抜出管の両方の熱膨張に対しても適宜変形して応力を吸収することができ、装置全体を歪みや破損から保護することができる。
また、ベローズ管は、反応炉内部の空間と急冷塔内部の空間とを遮断する遮断部材としての役割も兼ねているが、自在に変形可能であるため両塔間の気密状態をより安定に維持することができる。
また、このトリクロロシラン製造装置では、反応炉内の反応容器で生成された反応生成ガスを、反応容器の外周面に略垂直に接続された抜出管を介して急冷塔へと導出するため、反応容器から急冷塔までを直線的に最短距離で繋ぐことができる。そのため、抜出管は略直線状の中空管でよく、複雑な形状とする必要がないため耐熱強度にも優れている。すなわち、抜出管をベローズ管で保持する場合であっても、抜出管が屈曲している場合には、ベローズ管の伸縮強度等によっては抜出管の屈曲部や反応容器との接続部に却って大きな応力を負荷しかねないが、このトリクロロシラン製造装置では、抜出管を単純な略直線状とすることができるため、抜出管に局所的な過度の応力を負荷することもない。
さらに、ベローズ管が連結筒内部において抜出管を覆うように配されていることから、当該領域に両空間の中間的な温度帯域を形成できる。すなわち、連結筒内に、外筒容器側から急冷塔側にかけて緩やかに下降する中間的な温度帯域が形成され、抜出管にかかる熱的負荷を分散できる。そのため、抜出管に局所的に大きな応力が発生することを防止することができる。
このように、抜出管の一端をベローズ管で伸縮自在に保持すると共に、反応容器をその底部で自重のみによって支える構成としたことにより、高温に晒される反応容器および抜出管のいずれもが自由に膨張または収縮して応力の集中を回避することができ、装置全体を歪みや破損から保護することができる。
<回収効率の向上>
上述したように、本発明に係るトリクロロシラン製造装置は、応力の発生に対して極めて優れた耐性を備えているため、冷却効率の高い急冷システムと併用することができる。従って、例えば、急冷塔の内部に取り込んだ反応生成ガスに対して冷却液を直接噴霧し、冷却液が気化する際の蒸発潜熱を利用して瞬時に熱を奪うタイプの急冷システムにも特に適している。この場合には、冷却液の気化に伴う蒸発潜熱を利用するため、反応生成ガスの排気流路を形成する壁を介して冷媒や供給ガスと熱交換させる場合と比べて、遙かに効率よくかつ経済的に冷却を行うことができる。
また、抜出管を反応容器の外周面に対して略垂直に接続し、そのまま直線的に急冷塔に至るように配置することにより、反応容器から急冷塔までの距離を最小限にすることができる。このため、平衡がトリクロロシラン側に傾いた状態のまま短時間で急冷塔に供給でき、反応生成ガスが抜出管を流れる間に冷却されて失われるトリクロロシラン量を低減できる。
さらに、このような構成とすることにより、抜出管が急冷塔に略水平に挿入されるため、反応生成ガスも同様に略水平に噴出される。一般に、反応生成ガスに冷却液を噴霧する方法では、急冷塔の上方から下方に向けて冷却液を噴霧し、重力によって急冷塔の下部に溜まった冷却液を冷却装置に送って冷却した後、ポンプで冷却塔上部へと送って再度噴霧に供する循環システムが用いられる。このトリクロロシラン製造装置では、冷却塔の上方から下方に向けて冷却液が噴霧されているところに反応生成ガスを略水平に噴出させることができるため、反応生成ガスと冷却液とを略垂直に衝突させることができる。その結果、両者を確実に混合でき、効率よく冷却を行うことができる。また、抜出管の軸方向に対して冷却液の噴霧方向が略垂直となることから、噴霧された冷却液が抜出管の内部に流入するおそれが低く、抜出管や反応容器の内部を腐食から保護することもできる。
このように、平衡がトリクロロシランに傾いた状態の反応生成ガスを瞬時に効率よく冷却することができるため、トリクロロシランの回収効率を大幅に改善することができる。
<転換効率の向上>
また、上記式(1)でテトラクロロシランおよび水素からトリクロロシランが生成する反応は吸熱反応であるため、トリクロロシランの転換効率を向上させるためには、少しでも反応容器内部の熱が外に逃げないようにする必要がある。
本発明に係るトリクロロシラン製造装置では、トリクロロシランの転換反応が行われる反応容器が反応容器底部だけで外筒容器と接していることから、反応容器と外筒容器との接触面積を小さく抑えることができる。その結果、反応容器から外筒容器への熱の伝達が抑えられ、外部に熱が逃げてしまうことを抑制することができる。このため、テトラクロロシランからトリクロロシランへの転換効率を向上させることができる。
このように、本発明に係るトリクロロシラン製造装置によれば、抜出管の一端をベローズ管で伸縮自在に保持すると共に、反応容器をその底部で自重のみによって支える構成としたことにより、反応容器および抜出管が自由に膨張または収縮して応力の集中を回避することができ、装置全体を歪みや破損から保護することができる。
そのため、当該耐熱性向上に伴って冷却効率の高い急冷システムと併用することが可能となり、設備を傷めることなく従来よりも遙かに効率よくトリクロロシランを回収することができる。さらに、上記構成とすることにより、反応容器から外部への熱漏れが抑制されるため、トリクロロシランの転換効率を向上させることができる。
かくして、上記耐熱安定性、回収効率および転換効率を同時に向上させることで、トリクロロシランの生産性を改善することができる。
本発明の実施形態であるトリクロロシラン製造装置の説明図である。 本発明の実施形態であるトリクロロシラン製造装置の連結筒周辺の概略縦断面図である。 本発明で使用可能な反応容器の一実施態様を示す概略縦断面図である。
符号の説明
1:反応炉
2:抜出管
3:連結筒
4:急冷塔
10:反応容器
11:ヒータ
12:外筒容器
13:原料ガス導入口
14:反応生成ガス抜出口
15:発熱体
16:電極
17:原料ガス導入開口部
18:反応生成ガス抜出開口部
19:管状突出部
21:第一部材
22:第二部材
23:第三部材
24:反応生成ガス吹き出し部
25:突出部
30:ベローズ管
31:板材
40:金属製容器
41:スプレーノズル
42:反応生成ガス導入開口部
51:略円筒体
52:リング
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図1は、本発明に係るトリクロロシラン製造装置の一実施形態を概略的に示したものである。また、図2は当該トリクロロシラン製造装置の連結筒周辺の断面を概略的に示したものである。
本実施形態のトリクロロシラン製造装置は、図1および図2に示すように、
テトラクロロシランと水素とを含む原料ガスからトリクロロシランと塩化水素とを含む反応生成ガスを生成する略円筒状の反応容器10と、前記反応容器10を加熱するヒータ11と、前記反応容器10およびヒータ11を収容し前記反応容器10とは反応容器10の底部のみで接触する外筒容器12とを備える反応炉1と、
前記反応生成ガスを冷却する急冷塔4と、
前記反応炉1と急冷塔4との間を連結する連結筒3と、
前記反応容器10の外周面に略垂直に接続され前記連結筒3内部を通って前記急冷塔4に至るように配され前記反応生成ガスを反応炉1から急冷塔4に導出する抜出管2と、
前記連結筒3内部において前記抜出管2を覆うように略同軸に配され、一端が連結筒3の内周に接合され、他端が抜出管2の外周に接合されたベローズ管30と
を備えている。
<反応炉>
反応炉1は、反応容器10と、当該反応容器10の外側を囲むように配される長尺のヒータ11と、前記反応容器10およびヒータ11を収容する外筒容器12とを備える。断熱された外筒容器12内部においてヒータ11で反応容器10の外壁を加熱することにより反応容器10内部を約800℃から約1300℃の高温に保ち、反応容器10の底部に設けられた原料ガス導入口13から供給されるテトラクロロシランと水素との混合ガスを反応容器10内部で反応させ、トリクロロシランと塩化水素を含む反応生成ガスを生成する。
<反応容器>
反応容器10は、テトラクロロシランと水素とを高温環境下で反応させるための略円筒形状の容器であり、原料ガスを取り込むための原料ガス導入口13と、後述する抜出管2に接続されて反応生成ガスを導出するための反応生成ガス抜出口14とを有する。本実施形態では、原料ガス導入口13が反応容器10の底部中央に設けられ、反応生成ガス抜出口14が反応容器10の上方の外周面に設けられている。
原料ガス導入口13は、開口の周囲が底部から略垂直に延伸して管状突出部19を形成し、後述する外筒容器12底部に設けられた原料ガス導入開口部17に嵌合する構成とされている。
反応容器10の内周面および/または外周面は炭化ケイ素被膜処理されていることが好ましい。炭化ケイ素被膜は化学的分解に対して極めて高い耐性を有するため、カーボン組織の化学的浸食を防止できる。そのため、炭化ケイ素被膜処理を施すことにより、反応容器10の表面を腐食から保護することができる。
<ヒータ>
ヒータ11は、上下方向に延びる複数の長尺のカーボン製発熱体15と、当該発熱体15の一端に接続され発熱体15に電力を供給するための電極16とを備える。ヒータ11は、反応容器10の周囲を複数で取り囲むように配され、供給電力量を制御することにより反応容器10内部の温度を反応容器10の外側から調節する。
<外筒容器>
外筒容器12は、外側がステンレス等の金属からなり、内側がカーボンボード、耐火レンガ、断熱レンガ等の断熱材で被覆された略円筒形状の容器である。外筒容器12は、前記反応容器10および前記ヒータ11を収容し、これらを外界から断熱する。外筒容器12には、反応容器10を収容した際に、その原料ガス導入口13および反応生成ガス抜出口14に対応する位置にそれぞれ原料ガス導入開口部17および反応生成ガス抜出開口部18が設けられている。反応生成ガス抜出開口部18にはフランジ等の継手手段が設けられており、後述する連結筒3と接続可能とされている。
原料ガス導入開口部17は、上記反応容器10の底部に原料ガス導入口13として形成された管状突出部19が嵌合するよう、その口径は管状突出部19の外径とほぼ同一とされる。
外筒容器12に反応容器10を収容する際に、外筒容器12底部に設けられた原料ガス導入開口部17に、反応容器10の底部に設けられた管状突出部19を嵌合させることにより、反応容器10が原料ガスの流入路を確保するように位置付けられると同時に、反応容器10の自重により外筒容器12の底部に安定に固定される。
<連結筒>
連結筒3は、一端に反応炉1に接続される継手手段を有し、他端に急冷塔4に接続される継手手段を有する。本実施形態に係る連結筒3は、ステンレスなどの金属からなり、図2に示すように一端に外筒容器12の反応生成ガス抜出開口部18に接続可能なフランジを有し、他端には後述する急冷塔4の反応生成ガス導入開口部42に接続するためのフランジを有する。
<急冷塔>
急冷塔4は、円筒状の金属製容器40と、当該容器内に設置され容器内に冷却液を噴霧するスプレーノズル41と、前記容器の底に溜まった冷却液を取り出してスプレーノズル41に循環させるポンプ(図示略)と、冷却液を冷却するための冷却装置(図示略)と、急冷塔4の頂部から冷却後の反応生成ガスを取り出すための導管(図示略)とを備える。急冷塔4の側壁には前記連結筒3を接続するための反応生成ガス導入開口部42が設けられており、当該反応生成ガス導入開口部42には連結筒3と接続するためのフランジ等の継手手段が設けられている。スプレーノズル41は、急冷塔4に導入される反応生成ガスに対して、上方から下方に向けて冷却液を噴霧できるよう、反応生成ガス導入開口部42の上部近傍に設置される。
反応生成ガスの冷却に用いられる冷却液は、例えば、トリクロロシランとテトラクロロシランとの混合液で構成され、テトラクロロシランとトリクロロシランの全体量に対するテトラクロロシランの比は1〜0.5とすることができる。温度は、60℃以下とすることが好ましい。例えば、テトラクロロシラン:トリクロロシランの組成比が85:15、温度が40℃程度のものを好適に使用することができる。
急冷塔4の頂部から取り出された冷却後の反応生成ガスは、導管を経てさらに蒸留塔へと送られ、目的とするトリクロロシランの分離が行われる。
<抜出管>
抜出管2は、連結筒3内部を介して反応容器10内部と急冷塔4内部とを繋ぐカーボン製の直線的な管状部材であり、反応容器10内の反応生成ガスを急冷塔4に導出する。
抜出管2を構成する材質は、気密性に優れた黒鉛材であり、特に、微粒子構造のため強度が高く、熱膨張等の特性がどの方向に対しても同一であることから耐熱性および耐食性にも優れている等方性高純度黒鉛を用いることが好ましい。
特に、抜出管2の内周面および/または外周面が炭化ケイ素被膜処理されていること、当該炭化ケイ素被膜がCVD法により10〜500μmの厚みで形成されていることが好ましい。炭化ケイ素被膜は化学的分解に対して極めて高い耐性を有するため、カーボン組織の化学的浸食を防止できる。そのため、炭化ケイ素被膜処理を施すことにより、抜出管2の表面を腐食から保護することができる。
本実施形態の抜出管2は、複数の部材から構成され、装置を組み立てた際に、主に反応炉1内に位置する第一部材21、主に連結筒3内に位置する第二部材22、および主に冷却塔内に位置する第三部材23とからなる。すなわち、第一部材21は、一端に反応容器10の反応生成ガス抜出口14との接続部を有し他端に第二部材22を連結するための継手手段を有し、第二部材22は、両端に第一部材21または第三部材23を連結するための継手手段を有し、第三部材23は、一端に第二部材22を連結するための継手手段を有し他端に反応生成ガス吹き出し部24を有する。
抜出管2の継手手段は、後述するベローズ管30が接合できるように抜出管2の外周側に突出部25を形成している。このような突出部25を形成する継手手段としては、典型的にはフランジを用いることができる。また、略円筒状の管状部材を用い、突き合わせ端部を外側からリングで螺合締結するものでもよい。この場合には、リングがベローズ管30を接合するための突出部25を形成する。
<ベローズ管>
ベローズ管30は、金属から構成された蛇腹構造の部材であり、軸心方向に伸縮可能であるとともに、径方向にも変形可能となっている。ベローズ管30は金属製であればよいが、ステンレス鋼製であればより好適でありオーステナイト系ステンレス鋼製でもフェライト系ステンレス鋼製でもよい。
ベローズ管30は、山の高さが入口径の2〜10%程度、山と山との間隔が全長の2〜8%程度であるものが好ましい。さらに、軸方向の変位量が入口径の3〜10%、軸と垂直方向の変位量が全長の2〜5%程度であるものが好ましい。また、山の間隔や高さは均一であっても不均一であってもよい。
ベローズ管30は、連結筒3内部において抜出管2の外側にこれを覆うようにほぼ同軸で配され、一端が連結筒3の内周に接合され、他端が抜出管2の外周に接合される。
本実施形態では、ベローズ管30と連結筒3内周との接続は、外筒容器12の反応生成ガス抜出開口部18に設けられた継手手段と連結筒3に設けられた継手手段との間にドーナツ状の板材31を挟み込み、当該板材31の連結筒3内に張り出した部分にベローズ管30の一端を固定することによって行われる。また、ベローズ管30と抜出管2外周との接続は、抜出管2を構成する第二部材22と第三部材23との連結に使用されるフランジにベローズ管30の一端を固定することによって行われる。
ベローズ管30は、抜出管2を伸縮自在に保持すると共に、反応炉1内部の高温空間と急冷塔4内部の低温空間とを気密に遮断する。
<トリクロロシランの生成・回収>
本実施形態のトリクロロシラン製造装置では、テトラクロロシランと水素とからなる原料ガスが反応炉1の底部に位置する原料ガス導入口13を介して反応容器10に供給され、そこで約800〜1300℃程度に加熱されてトリクロロシランと塩化水素へと転換される。トリクロロシランを含む反応生成ガスは、反応容器10の反応生成ガス抜出口14に接続された抜出管2を経て急冷塔4に導出され、急冷塔4の上方から噴霧される冷却液と直接接触・混合されて、冷却液の蒸発に伴う蒸発潜熱を奪われ、瞬時に600℃程度にまで冷却される。その後、反応生成ガスは、必要に応じてさらに冷却された後、急冷塔4の塔頭から取り出されてトリクロロシランの分離に供される。
本実施形態では、反応容器10は、その底部のみを外筒容器12と接触させた状態で外筒容器12内に収容され、その自重のみによって外筒容器12の底部に固定されているため、規制を受けることなく自由に熱膨張することができる。また、抜出管2は、連結筒3内において抜出管2と連結筒3との間にこれらとほぼ同軸に配されたベローズ管30によって伸縮自在に保持されているため、自由に熱膨張することができる。
さらに、抜出管2の一端をベローズ管30で伸縮自在に保持すると共に、反応容器10をその底部で自重のみによって支える構成としたことにより、ベローズ管30は、抜出管2だけでなく、反応容器10の熱膨張に対しても追従して伸縮することができる。このため、ベローズ管30は反応容器10および抜出管2に生じるいずれの応力をも吸収することができ、装置全体を歪みや破損から保護することができる。
また、ベローズ管30が反応炉1内部の空間と急冷塔4内部の空間とを遮断しているため、遮断部材に熱膨張による歪みや破損がなく、両塔間の気密状態をより安定に維持することができる。
そしてさらに、ベローズ管30は連結筒3内部において抜出管2を覆うように配されており、高温の外筒容器12内の空間と低温の急冷塔4内の空間とがベローズ管30を介して熱交換するため、ベローズ管30に沿って連結筒3内に中間的な温度帯域を形成できる。そのため、抜出管2にかかる熱的負荷を分散でき、抜出管2に局所的に大きな応力が発生することを防止することができる。
また、本実施形態では、上述の通り、応力の発生に対して極めて優れた耐性を備えているため、冷却効率の高い急冷システムと併用しても装置を傷めにくい。また、抜出管2が反応容器10から急冷塔4までを直線的に最短距離で結んでいるため、平衡がトリクロロシラン側に傾いた状態のまま反応生成ガスを急冷塔4に送り込むことができ、トリクロロシランの消失を抑えることができる。特に、噴霧される冷却液に対して反応生成ガスを略垂直に当てることができるため、反応生成ガスを瞬時に効率よく冷却することができる。
また、トリクロロシランの転換反応が行われる反応容器10が反応容器10底部だけで外筒容器12と接していることから、反応容器10と外筒容器12との接触面積を小さく抑えることができる。このため、反応容器10から外筒容器12への熱の伝達が抑えられ、外部に熱が逃げてしまうことを抑制することができ、テトラクロロシランからトリクロロシランへの転換効率を向上させることができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、反応容器10は、優れた耐久性や伝熱効率を実現するために本来は一体成形されていることが好ましいが、製造技術上の問題から、複数の略円筒体を連結一体化させたものを用いてもよい。略円筒体を複数連結一体化させた反応容器10としては、特に、図3に示すように複数の略円筒体51を、端部同士を突き合わせて略同軸に上下に配し、突き合わせ端部を外側からリング52で螺合締結するものが好ましい。このような構造とすることにより、略円筒体51の構造を単純なものとすることができ、肉厚の薄い部位が形成されないため、物理的衝撃に対して優れた耐性を有する。また、連結部において一方の略円筒体51の端部が他方の略円筒体51の端部に嵌合するような構成ではないため、高温環境下で使用することにより略円筒体51が熱膨張しても、個々の略円筒体51の熱膨張係数の相違により発生する連結部の割れやひび割れを抑制することができる。そのため、反応容器10の構成部材を交換する頻度が低減され、装置の作業能率を改善することができる。
また、上記実施態様では、ベローズ管30の反応炉1側端部を連結筒3に接続し、急冷塔4側端部を抜出管2に接続するように構成したが、これを逆に接続しても構わない。すなわち、ベローズ管30と連結筒3内側との接続を、急冷塔4の反応生成ガス導入開口部42に設けられた継手手段と連結筒3に設けられた継手手段との間にドーナツ状の板材31を挟み込み、当該板材31の連結筒3内に張り出した部分にベローズ管30の一端を固定することによって行い、ベローズ管30と抜出管2外側との接続を、抜出管2を構成する第一部材21と第二部材22との連結部に形成された突出部25にベローズ管30の一端を固定することによって行ってもよい。
さらに、上記実施態様では、抜出管2が3つの部材から構成されているが、単一の部材からなるものであれば耐熱性や物理的強度に優れるため好ましい。また、装置の規模等によっては、さらに多くの部材から構成されるものであってもよい。
また、反応炉1と急冷塔4とを連結する連結筒3が蛇腹構造を有するベローズ管を備えていることが好ましい。この場合には、連結筒3に生じる応力をベローズ管30の形状が変化することで吸収することができる。そのため、連結筒3の熱膨張による破損を防ぐことができ、装置の安定性、安全性をさらに高めることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
図1〜3によって示されるトリクロロシラン製造装置を使用してトリクロロシランの製造を行い、反応容器および抜出管における歪みや破損の有無を調べた。
<装置説明>
この装置には以下の部材を用いた。
反応容器:
外径15cm、高さ10cm、厚さ3cmの等方性黒鉛からなる直円筒状のカーボン製略円筒体であって、上端から3.5cmにわたる外周面および下端から3.5cmにわたる外周面に雄ネジ部が設けられたカーボン製略円筒体を複数準備した。また、反応容器の天蓋部を構成する上端側略円筒体、並びに反応容器の底板部を構成する下端側略円筒体についても同様に、連結側の端部外周面に雄ネジ部を設けた。
さらに、下端側略円筒体の底板の中央には口径2.5cm、開口周りの管状突出部の高さ10cmの原料ガス導入口を設け、反応容器の胴体部上方に配置される一つの略円筒体の外周面に口径1.6cmの反応生成ガス抜出口を設けた。
次いで、これらのカーボン製略円筒体の内周面および外周面に炭化ケイ素被膜を形成するために、カーボン製略円筒体をCVD反応装置内に設置し、装置内部をアルゴンガスで置換したのち、1200℃に加熱した。CVD反応装置内にトリクロロメチルシランと水素の混合ガス(モル比1:5)を導入し、CVD法により、カーボン製略円筒体の全表面に200μmの厚みの炭化ケイ素被膜を形成した。
次に、内径15cm、上下方向の幅7.5cm、径方向の厚み3.6cmの等方性黒鉛からなるカーボン製リングであって、内周面に前記カーボン製略円筒体に形成された雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成されたカーボン製リングを複数準備し、上記と同様にその全表面に炭化ケイ素被膜を施した。
これらのカーボン製略円筒体およびカーボン製リングを用いて反応容器を構成した。
抜出管:
連結端部にフランジを有する3つの中空管を直線状に連結することによって構成されるカーボン製抜出管を用いた。カーボン製抜出管についても、上記と同様に全表面に炭化ケイ素被膜を施した。
組み立てた抜出管は、全長40cm、外径3cmであった。
ベローズ管:
全長11cm、入口径4cmで、軸方向の変位量が5%、軸と垂直方向の変位量が4%である、ステンレス鋼製のベローズ管を使用した。
<装置の組み立て>
内部にヒータを備え底部および外周面に原料ガス導入開口部および反応ガス抜出開口部をそれぞれ備える外筒容器に、反応容器の原料ガス導入口の管状突出部を外筒容器の原料ガス導入開口部に嵌合させると共に反応容器の反応生成ガス抜出口と外筒容器の反応ガス抜出開口部とを一致させるように反応容器を収容した。次いで、抜出管の一端を外筒容器の反応ガス抜出開口部から挿入して反応容器の反応生成ガス抜出口に接続し、ベローズ管の一端を抜出管の外周に接合し他端を連結筒の内周に接合し、連結筒の一端を外筒容器の反応ガス抜出開口部に接続し他端を急冷塔の反応生成ガス導入開口部に接続した。
<実験条件>
上記の装置を用いて、反応炉においてテトラクロロシランと水素(モル=1:1)の原料ガスを、常圧、反応温度1100℃にて反応させ、反応生成ガスを抜出管を介して急冷塔に取り出し、20℃に温度調節した冷却液(トリクロロシラン濃度20%)を吹き付けて急冷した。急冷塔から導出された冷却後の反応生成ガスの温度は30℃であった。
<実験結果>
このトリクロロシラン製造装置を連続的に2000時間運転した後、装置を解体して反応容器、抜出管および連結筒を観察したところ、いずれの部材にも歪みや破損は観察されなかった。
比較例1
ベローズ管の代わりに蛇腹構造を有しない筒状部材(厚み:2mm)を配設したこと以外は、上記実施例1と同様にトリクロロシラン製造装置を整えた。この筒状部材は、実施例1で使用したベローズ管と同じ材質からなり、連結筒または抜出管との接合方法も実施例1と同様とした。
このトリクロロシラン製造装置を、実施例1と同様に運転し、装置を解体して反応容器、抜出管、連結筒および筒状部材を観察したところ、抜出管と筒状部材とに歪みが認められた。
比較例2
ベローズ管の代わりに、抜出管が貫通可能な開口を有する平面板状部材(厚み:2mm)を用いて反応炉側の空間と急冷塔側の空間とを連結筒の中央付近で遮断したこと以外は、上記実施例1と同様にトリクロロシラン製造装置を整えた。この平面板状部材は、実施例1で使用したベローズ管と同じ材質からなる。
このトリクロロシラン製造装置を、実施例1と同様に運転し、装置を解体して反応容器、抜出管、連結筒および平面板状部材を観察したところ、板状部材と接合した部位において抜出管に歪みが認められた。
比較例3
反応容器の天蓋部が外筒容器の天井に接触して固定されるように、外筒容器天井部の断熱材を厚く配設したこと以外は、上記実施例1と同様にトリクロロシラン製造装置を整えた。
このトリクロロシラン製造装置を実施例1と同様に運転したところ、外筒容器天井部の外表面の温度が実施例1の場合と比べて30%も上昇しており、反応容器の熱が外部に漏れていることが確認された。また、反応容器にひび割れが認められ、2000時間到達前に運転不可能になった。
<実験の考察>
以上の比較実験から明らかなように、抜出管の一端をベローズ管で伸縮自在に保持すると共に、反応容器をその底部で自重のみによって支える構成としたことにより、装置全体を歪みや破損から保護することができた。また、反応容器と外筒容器との接触面積が少なくなるため、反応容器から外部への熱漏れを抑制でき、トリクロロシランの生産効率の向上を図ることができた。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。

Claims (4)

  1. テトラクロロシランと水素とを含む原料ガスからトリクロロシランと塩化水素とを含む反応生成ガスを生成する略円筒状の反応容器と、反応容器を加熱するヒータと、反応容器およびヒータを収容し反応容器とは反応容器底部のみで接触する外筒容器とを備える反応炉と、
    反応生成ガスを冷却する急冷塔と、
    反応炉と急冷塔との間を連結する連結筒と、
    反応容器の外周面に略垂直に接続され連結筒内部を通って急冷塔に至るように配され反応生成ガスを反応炉から急冷塔に導出する抜出管と、
    連結筒内部において抜出管を覆うように略同軸に配され、一端が連結筒の内周に接合され、他端が抜出管の外周に接合されたベローズ管と
    を備えるトリクロロシラン製造装置。
  2. 急冷塔において反応生成ガスに冷却液が噴霧される請求項1記載のトリクロロシラン製造装置。
  3. 冷却液が反応生成ガスに対して略垂直に噴霧される請求項2記載のトリクロロシラン製造装置。
  4. 抜出管が略直線状である請求項1ないし3記載のトリクロロシラン製造装置。
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