JP5441168B2 - デテント脱進機と機械式時計 - Google Patents

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Description

本発明は、デテント脱進機と、デテント脱進機を組み込んだ時計に関するものである。特に、本発明は、脱進機誤差を低減させるように構成したデテント脱進機と、そのように構成したデテント脱進機を組み込んだ機械式時計に関する。
古くから機械式時計の脱進機の1つのタイプとして「デテント脱進機」(クロノメータ脱進機)が知られている。デテント脱進機の代表的な機構形態として、スプリング型デテント脱進機(Spring Detent Escapement)と、ピボット型デテント脱進機(Pivoted Detent Escapement)とが従来から広く知られている(例えば、下記非特許文献1参照)。
図20を参照すると、従来のスプリング型デテント脱進機800は、がんぎ車810と、てんぷ820と、デテントレバー840と、板状ばねで構成された復帰ばね830とを備えている。振り石812が、てんぷ820の大つばに固定されている。止め石832が、デテントレバー840に固定されている。外し石824は、大つば816に固定される。振り石812および外し石824は、がんぎ車110の歯部112と接触可能なように構成される。
図21を参照すると、従来のピボット型デテント脱進機900は、がんぎ車910と、てんぷ920と、デテントレバー930と、螺旋ばね(渦巻きばね)で構成された復帰ばね940とを備えている。振り石912が、てんぷ920の大つばに固定されている。止め石932が、デテントレバー930に固定されている。外し石924は、大つば916に固定される。
図20および図21に示すタイプの脱進機に共通する特徴として、現在広く普及しているクラブツースレバー型脱進機と異なり、がんぎ車から直接的に、てんぷに動力を伝達するため、脱進機における動力(伝達トルク)の損失を小さくすることができるという利点を挙げることができる。
さらに、従来のデテント脱進機において、ガンギ車(1)と、テンプと、停止つめ(21)を支持するデテント(11)と、テンプに固定された制限プレート(5)を備えている。このデテント脱進機は、内端がデテント(11)と統合されたテンプばね(12)を備える構造が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
特表2009−510425号公報(第5〜7頁、図1)
ジョージ・ダニエル著、「The Practical Watch Escapement」、Premier Print Limited、1994年(第1版発行)、第39〜47頁
機械式時計においては、等時性(計時精度)を乱す原因の1つとして脱進機誤差があり、クラブツースレバー型脱進機や、上記のデテント脱進機に代表されるダイレクトインパルス方式の脱進機においても同様である。脱進機誤差は、脱進機がエアリーの定理にもとづき、てんぷにエネルギーを伝達する際に、てんぷの自由振動に対して衝撃や抵抗として作用することにより生じている。
ひげぜんまいのばね力により、てんぷが自由振動する際に、脱進機による衝撃と抵抗は、「死点前の衝撃」、「死点前の抵抗」、「死点後の衝撃」、「死点後の抵抗」の4つに分類することができる。ここで、「死点」は、てんぷが自由振動する際における「てんぷの振動中心」を意味する。すなわち、「振動中心」は、てんぷが第1の方向(例えば、時計回り方向:右回転)に最大に回転したときの回転位置と、てんぷが、前記第1の方向と反対方向である第2の方向(例えば、反時計回り方向:左回転)に最大に回転したときの回転位置との間の正に中心にある位置を意味する。
「死点前の抵抗」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過する前に、てんぷの進行方向とは逆方向に力を加えることを意味する。すなわち、「死点前の抵抗」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過する前に、作動ばねの先端部が、てんぷの外し石に接触して、てんぷに抵抗を加えることを意味する。
「死点前の衝撃」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過する前に、てんぷの進行方向に対して力を加えることを意味する。すなわち、「死点前の衝撃」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過する前に、がんぎ車の歯部が、てんぷの振り石に接触して、てんぷの進行方向に対して力を加えることを意味する。
「死点後の衝撃」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過した後に、てんぷの進行方向に対して力を加えることを意味する。すなわち、「死点後の衝撃」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過した後に、がんぎ車の歯部が、てんぷの振り石を押して、てんぷの進行方向に対して力を加えることを意味する。
「死点後の抵抗」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過した後に、てんぷの進行方向とは逆方向に力を加えることを意味する。すなわち、「死点後の抵抗」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過して、さらに前記死点(てんぷの振動中心)に向かって戻るときに、作動ばねの先端部が、てんぷの外し石に接触して、てんぷに抵抗を加えることを意味する。また、「死点後の抵抗」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過して、前記死点(てんぷの振動中心)に向かって戻って、さらに、てんぷが前記死点(てんぷの振動中心)を通過したときに、片作動ばねの先端部が、てんぷの外し石に接触して、てんぷに抵抗を加えることを意味する。
一般に、外乱が無い場合、「振り子の等時性」により、てんぷの振り幅(振幅)によらず、てんぷの振動周期は一定であることがわかっている。これに対して、てんぷが死点(振動中心)から離れた位置にあるときは、外乱がてんぷの振動周期に与える影響は大きい。また、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過するときにおける衝撃は、てんぷの振動周期に影響を及ぼすことはない。また、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過するときにおける抵抗は、てんぷの振動周期に影響を及ぼすことはない。
次に、「エアリーの定理」を説明する。図22を参照すると、てんぷに外乱が加えられない場合は、「振り子の等時性」により、てんぷの振り幅(振幅)によらず、てんぷの振動周期は一定である。「死点前の衝撃(振動中心通過前の衝撃)」は、振動の周期を短縮させるものであり、時計の歩度(秒/日:sec/day)をプラス方向(進み)にシフトさせるものである。また、「死点後の抵抗(振動中心通過後の抵抗)」も、時計の歩度(秒/日:sec/day)をプラス方向(進み)にシフトさせるものである。これに対して、「死点前の抵抗(振動中心通過前の抵抗)」は、時計の歩度(秒/日:sec/day)をマイナス方向(遅れ)にシフトさせるものである。また、「死点後の衝撃(振動中心通過後の衝撃)」も、時計の歩度(秒/日:sec/day)をマイナス方向(遅れ)にシフトさせるものである。
また、外乱が加えられる位置が、てんぷの振動中心から離れれば離れるほど、外乱によるてんぷの振動周期への影響は大きい。また、てんぷの振動中心において外乱が加えられたときは、その外乱により、てんぷの振動周期へ影響を与えることはない。さらに、脱進機誤差は、てんぷの振り角(すなわち、てんぷへの入力トルク)に依存して変動するものである。基本的に、脱進機の伝達効率が良く、てんぷの振動中心付近の狭い振り角の範囲において運動エネルギーの受け渡しが可能な脱進機構をそなえることにより、機械式時計の歩度等の基本性能を向上させることができる。
したがって、てんぷの振り角変動に伴う歩度の変化を抑えることが課題となっている。
本発明の目的は、従来技術のデテント脱進機よりも脱進機誤差が小さくなるように構成したデテント脱進機を提供することにある。
一般に、脱進機誤差(静的脱進機誤差)は、以下の数式で示される。
SEE=Rd−Rn
ここで、
SEE:静的脱進機誤差〔秒/日:sec/day〕;
Rd:脱進機駆動時の一定振り角(任意の定トルク)における歩度〔秒/日:sec/day〕;
Rn:てんぷの自由振動における歩度〔秒/日:sec/day〕。
本発明は、てんぷの振動中心位置を補正することにより、「死点前の衝撃」により生じる歩度への影響と、「死点前の抵抗」により生じる歩度への影響と、「死点後の衝撃」により生じる歩度への影響と、「死点後の抵抗」により生じる歩度への影響との総和が、従来技術のデテント脱進機よりも小さくなるように構成している。すなわち、本発明は、てんぷの振動中心の位置を補正することにより、てんぷの自由減衰振動における周期に対して、脱進機が作用している場合の周期の変動を抑えるように構成している。
例えば、てんぷの振動中心位置の補正は、シミュレーションにより、ある程度異なるように補正量を設定して、近似式(線形近似式)を作成し、てんぷの振動中心位置の補正量(角度)を算出することのより求めることができる。或いは、てんぷの振動中心位置の補正は、等倍或いは拡大モデルの実験用の脱進機装置を製造して、ある程度異なるように補正量を設定して、その実験結果から適当な補正量(角度)を求めることができる。このようにして、てんぷの振動中心位置の補正を行うことにより、従来技術のデテント脱進機と比較して、脱進機誤差を非常に小さくすることができる。さらに、このようにして、てんぷの振動中心位置の補正を行うことにより、従来技術のデテント脱進機と比較して、等時性曲線の改善を図ることができる。
本発明は、がんぎ車と、がんぎ車の歯部と接触可能な振り石および外し石を有するてんぷと、がんぎ車の歯部と接触可能な止め石を有する作動レバーとを含む時計用のデテント脱進機において、
てんぷが振動中心を通過する前に、作動ばねの先端部が、てんぷの外し石に接触して、てんぷに抵抗を加えることを「死点前の抵抗」と定義し、
てんぷが振動中心を通過する前に、がんぎ車の歯部が、てんぷの振り石に接触して、てんぷの進行方向に対して力を加えることを「死点前の衝撃」と定義し、
てんぷが振動中心を通過した後に、がんぎ車の歯部が、てんぷの振り石を押して、てんぷの進行方向に対して力を加えることを「死点後の衝撃」と定義し、
てんぷが振動中心を通過して、さらに振動中心に向かって戻るときに、作動ばねの先端部が、てんぷの外し石に接触して、てんぷに抵抗を加えることと、てんぷが振動中心を通過して、前記振動中心に向かって戻って、さらに、てんぷが前記振動中心を通過したときに、作動ばねの先端部が、てんぷの外し石に接触して、てんぷに抵抗を加えることを「死点後の抵抗」と定義し、
てんぷが振動中心にある状態において、てんぷの回転中心を原点として、前記作動レバーの回転中心を通る直線を回転基準線と定義している。
本発明のデテント脱進機においては、前記「死点前の衝撃」により生じるてんぷの回転運動への影響、および、前記「死点後の抵抗」により生じるてんぷの回転運動への影響の合計により構成される時計の歩度を進ませる影響の総和と、前記「死点前の抵抗」により生じるてんぷの回転運動への影響、および、前記「死点後の衝撃」により生じるてんぷの回転運動への影響の合計により構成される時計の歩度を遅らせる影響の総和とが釣り合うように、前記外し石は、前記回転基準線を基準として、前記がんぎ車から遠い方向に向かった位置に固定されるようになっている。この構成により、従来のスプリング型デテント脱進機と比較して、脱進機誤差を小さくすることができる。また、この構成により、従来技術のデテント脱進機と比較して、等時性曲線の改善を図ることができる。
本発明のデテント脱進機においては、前記外し石は、前記がんぎ車から遠い方向に向かって、前記回転基準線から10度回転した位置と、前記回転基準線から50度回転した位置との間に固定されるのが好ましい。この構成により、従来のスプリング型デテント脱進機と比較して、脱進機誤差を一層小さくすることができる。
また、本発明のデテント脱進機においては、前記外し石は、前記がんぎ車から遠い方向に向かって、前記回転基準線から、20度から30度回転した位置に固定されるのが一層好ましい。この構成により、従来のスプリング型デテント脱進機と比較して、脱進機誤差を非常に小さくすることができる。
また、本発明は、機械式時計の動力源を構成するぜんまいと、前記ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列と、前記表輪列の回転を制御するための脱進機とを備えるように構成された機械式時計において、前記脱進機が、上記の本発明のデテント脱進機で構成されるようにしている。
本発明の機械式時計においては、前記てんぷは、ひげぜんまいを含み、前記ひげぜんまいの外端部は、てんぷ受に対して回転可能なように設けられたひげ持ちに固定され、前記てんぷ受に対して前記ひげ持ちを回転させることにより、前記回転基準線に対する前記外し石の位置と、振り石の位置を変えることができるように構成されるのが好ましい。また、本発明の機械式時計においては、前記ひげ持ちを回転させることができる範囲を指示するための回転可能範囲指示手段を備えるように構成されるのが好ましい。
この構成により、従来のスプリング型デテント脱進機と比較して、薄型で調整が容易な機械式時計を実現することができる。また、本発明の機械式時計は、従来技術のデテント脱進機と比較して、脱進機誤差を小さくすることができる。
本発明のデテント脱進機は、てんぷが死点(振動中心)を通過するところ付近の狭い振り角の範囲で、がんぎ車からてんぷへのエネルギーの付与を行うように構成しているので、従来のスプリング型デテント脱進機と比較して、機械式時計の脱進機誤差を小さくすることができる。また、本発明のデテント脱進機は、従来技術のデテント脱進機と比較して、等時性曲線の改善を図ることができる。また、本発明の機械式時計は、従来技術のデテント脱進機と比較して、脱進機誤差を小さくすることができる。
本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の構造を示す平面図である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、片作動ばね固定ピン、片作動ばね偏心ピンを示す断面図である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、復帰ばね固定ピン、復帰ばね偏心ピンを示す断面図である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、復帰ばね固定ピン、復帰ばね横ねじを示す断面図である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、調整偏心ピンを示す断面図である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、復帰ばねを受入れるための受入れ凹部を示す部分断面図である。 本発明のデテント脱進機を用いた機械式時計の実施形態において、表輪列、脱進機などの構造を示す平面図である。 本発明のデテント脱進機を用いた機械式時計の実施形態において、表輪列、脱進機などの構造を示す斜視図である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、がんぎ車と、てんぷの部分を示す平面図である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その1)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その2)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その3)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その4)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その5)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その6)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の作動状態を示す平面図(その7)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、脱進機の10倍モデルでの実験結果を示すグラフである。 本発明のデテント脱進機の実施形態において、シミュレーション結果を示すグラフである。 デテント脱進機における死点位置調整による衝撃・抵抗の位置変化を示すトルクのグラフとてんぷの平面図である。 デテント脱進機における死点位置調整による衝撃・抵抗の位置変化を示すグラフである。 従来のスプリング型デテント脱進機の構造を示す斜視図である。 従来のピボット型デテント脱進機の構造を示す斜視図である。 エアリーの定理を説明するための原理図である。 従来のデテント脱進機において、歩度が遅れになる死点位置における脱進機の作動状態を示す平面図(その1)である。 従来のデテント脱進機において、歩度が遅れになる死点位置における脱進機の作動状態を示す平面図(その2)である。 従来のデテント脱進機において、歩度が遅れになる死点位置における脱進機の作動状態を示す平面図(その3)である。 従来のデテント脱進機において、歩度が遅れになる死点位置における脱進機の作動状態を示す平面図(その4)である。 従来のデテント脱進機において、歩度が遅れになる死点位置における脱進機の作動状態を示す平面図(その5)である。 従来のデテント脱進機において、歩度が遅れになる死点位置における脱進機の作動状態を示す平面図(その6)である。 従来のデテント脱進機において、歩度が遅れになる死点位置における脱進機の作動状態を示す平面図(その7)である。 従来のデテント脱進機において、歩度が遅れになる死点位置における脱進機の作動状態を示す平面図(その8)である。 歩度が遅れになる死点位置における脱進機の作動状態を示す平面図(その1)である。 歩度が遅れになる死点位置における脱進機の作動状態を示す平面図(その2)である。 従来のデテント脱進機において、歩度が遅れになる死点位置における脱進機の作動状態を示す平面図(その3)である。 従来のデテント脱進機において、歩度が遅れになる死点位置における脱進機の作動状態を示す平面図(その4)である。 従来のデテント脱進機において、歩度が遅れになる死点位置における脱進機の作動状態を示す平面図(その5)である。 従来のデテント脱進機において、歩度が遅れになる死点位置における脱進機の作動状態を示す平面図(その6)である。 従来のデテント脱進機において、歩度が遅れになる死点位置における脱進機の作動状態を示す平面図(その7)である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。ムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうちで、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」又は「ガラス側」又は「文字板側」と称する。地板の両側のうちで、時計ケースの裏蓋のある方の側、すなわち、文字板と反対の側をムーブメントの「表側」又は「裏蓋側」と称する。ムーブメントの「表側」に組み込まれる輪列を「表輪列」と称する。ムーブメントの「裏側」に組み込まれる輪列を「裏輪列」と称する。
(1)本発明のデテント脱進機の構成:
図1、図7および図8を参照すると、時計のムーブメント300は、本発明のデテント脱進機100を備えることができるようになっている。本発明のデテント脱進機100は、がんぎ車110と、てんぷ120と、がんぎ車110の歯部112と接触可能な接触平面132Bを含む止め石132を有する作動レバー130とを含む。
てんぷ120は、てん真114と、てん輪115と、大つば116と、ひげぜんまい118とを含む。振り石122は、大つば116に固定される。てんぷ120は、てん真114と、てん輪115と、大つば116と、ひげぜんまい118とを含む。外し石124は、大つば116に固定される。振り石122および外し石124は、がんぎ車110の歯部112と接触可能なように構成される。
図1および図9(c)を参照すると、てんぷ120が振動中心にある状態において、てんぷ120の回転中心120Cを原点として、作動レバー130の回転中心130Aを通る直線を回転基準線120Dと定義する。「死点前の衝撃」により生じるてんぷ120の回転運動への影響、および、「死点後の抵抗」により生じるてんぷ120の回転運動への影響の合計からなる時計の歩度を進ませる影響の総和と、「死点前の抵抗」により生じるてんぷ120の回転運動への影響、および、「死点後の衝撃」により生じるてんぷ120の回転運動への影響の合計からなる時計の歩度を遅らせる影響の総和とが釣り合うように、外し石124は、前記回転基準線120Dを基準として、がんぎ車110から遠い方向に向かった位置に固定されるように構成される。
外し石124は、がんぎ車110から遠い方向に向かって、前記回転基準線120Dから10度回転した位置と、回転基準線120Dから50度回転した位置との間に固定されるのが好ましい。また、外し石124は、がんぎ車110から遠い方向に向かって、前記回転基準線120Dから、20度から30度回転した位置に固定されるのが一層好ましい。即ち、図1において、てんぷ120の回転中心と外し石124の接触面とを結ぶ直線120Fと、前記回転基準線120Dとの間の角度DTNは、10度から50度であるのが好ましく、20度から30度となるのが更に好ましい。これに対して、従来技術のデテント脱進機においては、外し石124は、回転基準線の上にある(角度DTNが0度)ように固定されている。
外し石124と接触可能な片作動ばね140が作動レバー130に設けられる。片作動ばね140は、ステンレス鋼などの弾性材料の板ばねで構成されるのがよい。片作動ばね140は、ベース部140Bと、変形ばね部140Dと、外し石接触部140Gとを含む。片作動ばね140の変形ばね部140Dの板厚方向は、作動レバー130の回転中心軸線130Aに対して垂直な方向であるのが好ましい。
図1、図7、図7Aおよび図8を参照すると、がんぎ車110は、がんぎ歯車109と、がんぎかな111とを含む。歯部112は、がんぎ歯車109の外周部に形成される。例えば、図1に示すように、15個の歯部112が、がんぎ歯車109の外周部に形成される。がんぎ車110は、地板170と輪列受(図示せず)に対して回転可能なようにムーブメントに組み込まれる。がんぎかな111の上軸部は、輪列受(図示せず)に対して回転可能なように支持される。がんぎかな111の下軸部は、地板170に対して回転可能なように支持される。
てんぷ120は、地板170とてんぷ受180に対して回転可能なようにムーブメントに組み込まれる。てん真114の上軸部は、てんぷ受180に対して回転可能なように支持される。てん真114の下軸部は、地板170に対して回転可能なように支持される。ひげぜんまい118の内端部は、てん真114に固定されたひげ玉172に固定される。ひげぜんまい118の外端部は、ひげ持ち受174に固定されたひげ持ち175に固定される。ひげ持ち受174は、てんぷ受180に対して一定の角度だけ回転可能なように支持される。ひげ持ち受174と、ひげ持ち175を一体で回転させることにより、回転基準線120Dに対する外し石124の前記てんぷ受に対して前記ひげ持ちを回転させることにより、前記回転基準線に対する前記外し石の位置と、振り石122の位置を変えることができるように構成される。すなわち、この構成により、てんぷ120の振動中心の位置に対する外し石124の位置を調整し、かつ、振り石122の位置を調整して、てんぷ120の振動中心位置の補正を行うことができる。
さらに、可動のひげ持ち受175を回転させることができる範囲を指示するための回転可能範囲指示手段を備えるのが好ましい。例えば、回転可能範囲指示手段は、てんぷ受180に設けられたマーキング183で構成することができる。マーキング183は、複数の位置に形成するのが良い。例えば、図7に示すように、マーキング183は、遅れ側の短い刻印と、遅れ側の中間の長さの丸い刻印と、基準を示す長い刻印と、進み側の中間の長さの丸い刻印と、進み側の短い刻印からなるように構成することができる。マーキング183は、てんぷ受180に設けることもできるし、或いは、輪列受や香箱受などの他の部品に設けることもできる。マーキング183は、刻印であってもよいし、印刷であってもよいし、てんぷ受180や輪列受などの輪郭形状や、掘り込み形状で構成することもできる。
時計の歩度を調整するための緩急針176が、てんぷ受180に対して一定の角度だけ回転可能なように支持される。緩急針176に固定されたひげ棒177がひげぜんまい118の外端部の付近に接触している。緩急針176を回転させて、ひげ棒177がひげぜんまい118に接触する位置を変えることによって、時計の歩度を調整することができる。
作動レバー130は、地板170と輪列受(図示せず)に対して回転可能なようにムーブメントに組み込まれる。作動レバー130は、作動レバー体134と、作動レバー真136とを含む。作動レバー真136の上軸部は、輪列受(図示せず)に対して回転可能なように支持される。作動レバー真136の下軸部は、地板170に対して回転可能なように支持される。或いは、作動レバー130は、地板170と作動レバー受(図示せず)に対して回転可能なようにムーブメント300に組み込むこともできる。この構成では、作動レバー真136の上軸部は、作動レバー受(図示せず)に対して回転可能なように支持される。作動レバー130のてんぷ120に近い方の先端には、ばね受突起部130Dが設けられる。片作動ばね140の外し石接触部140Gは、ばね受突起部130Dに接触可能なように配置される。
作動レバー130は、止め石132が、がんぎ車110に近づく方向と、止め石132が、がんぎ車110から遠ざかる方向の2つの方向に回転可能なように構成されている。止め石132ががんぎ車110に近づく方向に作動レバー130を回転させる力を作動レバー130に加えるための復帰ばね150が設けられる。復帰ばね150は、ステンレス鋼などの弾性材料の板ばねで構成されるのがよい。復帰ばね150は、ベース部150Bと、変形ばね部150Dとを含む。復帰ばね150の変形ばね部150Dの板厚方向は、作動レバー130の回転中心軸線130Aに対して垂直な方向であるのが好ましい。
復帰ばね150は、がんぎ車110の回転中心軸線110Aに対して垂直な平面内で、作動レバー130に力を加えるように構成されている。片作動ばね140と、復帰ばね150は、作動レバー130の回転中心130Aに対して対称方向の位置に配置されている。復帰ばね150が作動レバー130に力を加える方向は、作動レバー130の止め石132を設けた部分が、がんぎ車110に近づく方向に回転するような方向となるように構成されている。
この構成により、復帰ばね150が常に作動レバー130に力を加えるので、作動レバー130は、すぐに、図1に示す初期位置に戻ることができる。また、本発明のデテント脱進機においては、クラブツースレバー型脱進機における「引き」の作用に相当する初期位置に戻る力を復帰ばね150により作動レバー130に加えるように構成されている。したがって、本発明のデテント脱進機は、従来のスプリング型デテント脱進機と比較して、外乱の影響を受けにくい特徴がある。
本発明のデテント脱進機100において、片作動ばね140と、復帰ばね150は、がんぎ車110の回転中心軸線110Aに対して垂直な1つの平面内に位置する部分を含むように構成するのがよい。この構成により、従来のスプリング型デテント脱進機と比較して、薄型のデテント脱進機を実現することができる。
図1および図2を参照すると、片作動ばね140は、片作動ばね固定ピン137により作動レバー体134に固定される。片作動ばね140の先端部の位置を調整するための片作動ばね偏心ピン138が、作動レバー体134に固定される。片作動ばね偏心ピン138は、偏心軸部138Fと、ヘッド部138Hと、固定部138Kとを含む。固定部138Kは地板170の固定孔に回転可能なように挿入される。偏心軸部138Fの偏心量は、例えば、0.1mmから2mm程度に設定することができる。ドライバ溝138Mがヘッド部138Hに設けられる。片作動ばね偏心ピン138の偏心軸部138Fは、片作動ばね140の窓部140Jの中に配置される。片作動ばね偏心ピン138の偏心軸部138Fを回転させることにより、片作動ばね140は、片作動ばね固定ピン137の中心軸線を回転中心として、作動レバー体134の上面にそって回転することができる。
変形例として、図4を参照すると、片作動ばね140の先端部の位置を調整するための片作動ばね横ねじ146を設けるように構成してもよい。片作動ばね140の支持孔部140Eは、片作動ばね横ねじ146と、片作動ばね保持ナット147との間に支持される。片作動ばね横ねじ146のねじ部は、作動レバー130の垂直壁部130Vに設けられた雌ねじ部にねじ込まれるように構成される。この構成により、片作動ばね140を作動レバー130の先端部に当てる力の調整を容易に調整することができる。
図1および図3を参照すると、復帰ばね150は、復帰ばね固定ピン157により地板170に固定される。復帰ばね150の先端部の位置を調整するための復帰ばね偏心ピン158が、地板170(すなわち、基板)に固定される。復帰ばね偏心ピン158は、偏心軸部158Fと、ヘッド部158Hと、固定部158Kとを含む。固定部158Kは地板170の固定孔に挿入固定される。偏心軸部158Fの偏心量は、例えば、0.1mmから2mm程度に設定することができる。ドライバ溝158Mがヘッド部158Hに設けられる。復帰ばね偏心ピン158の偏心軸部158Fは、復帰ばね150の窓部150Jの中に配置される。復帰ばね偏心ピン158の偏心軸部158Fを回転させることにより、復帰ばね150は、復帰ばね固定ピン157の中心軸線を回転中心として、地板170の上面にそって回転することができる。
変形例として、復帰ばね固定横ねじ(図示せず)を用いて、復帰ばね150は地板170(すなわち、基板)に対して固定されるように構成してもよい。復帰ばね固定横ねじは、図4に示す片作動ばね横ねじ146の構造と同様に構成することができる。この構成により、作動レバー130に加えられる力の大きさを容易に調整することができる。また、この構成により、てんぷ120に付加される抵抗を制御することができるので、てんぷ120の振り角の制御が可能になる。
図1および図5を参照すると、作動レバー130の初期位置を調整するための調整偏心ピン162が地板170(すなわち、基板)に回転可能なように設けられる。調整偏心ピン162は、偏心軸部162Fと、ヘッド部162Hと、固定部162Kとを含む。固定部162Kは地板170の固定孔に回転可能なように挿入される。偏心軸部162Fの偏心量は、例えば、0.1mmから2mm程度に設定することができる。ドライバ溝158Mがヘッド部162Hに設けられる。調整偏心ピン162の偏心軸部162Fは、作動レバー130の側面部に接触するように配置される。調整偏心ピン162の偏心軸部162Fを回転させることにより、作動レバー130の初期位置を容易に調整することができる。
図1を参照すると、作動レバー130の外れを防止するための外れ防止偏心ピン164が地板170(すなわち、基板)に設けられる。外れ防止偏心ピン164は、図5に示す調整偏心ピン162の構造と同様に構成することができる。外れ防止偏心ピン164の偏心軸部の偏心量は、例えば、0.1mmから2mm程度に設定することができる。この構成により、外乱により作動レバーが基板表面と平行に大きく動いたときでも、復帰ばねが作動レバーから外れることを効果的に阻止することができる。外れ防止偏心ピン164の偏心軸部を回転させることにより、作動レバー130の移動範囲を容易に調整することができる。
図1および図2を参照すると、復帰ばね150を受入れるための受入れ凹部130Gが作動レバー130の側面に設けられる。復帰ばね150の作動レバー接触部は、受入れ凹部130Gの中に受入れられる。この構成により、復帰ばね150が地板170(すなわち、基板)の表面から上下方向に大きく動いたときでも、復帰ばね150が作動レバー130から外れることを効果的に阻止することができる。
図1を参照すると、外れ防止偏心ピン164を設けることにより、外乱により作動レバー130が地板170表面と平行に大きく動いたときでも、復帰ばね150が作動レバー130から外れることを効果的に阻止することができる。
(2)本発明のデテント脱進機の作動:
次に、図9から図15を参照して、本発明のデテント脱進機の作動について説明する。図9から図15において、図中の(a)は、デテント脱進機の作動状態を示す平面図であり、図中の(b)は、4つの脱進機による衝撃(トルク)および抵抗(トルク)、すなわち、「死点前の衝撃」、「死点前の抵抗」、「死点後の衝撃」、「死点後の抵抗」による歩度の進みへの影響と、歩度の遅れへの影響を示す図である。図9(c)は、外し石124が、前記回転基準線120Dを基準として、がんぎ車110から遠い方向に向かった位置に固定される構成を示す部分平面図である。図9(b)から図15(b)において、横軸は、てんぷ120の回転角度を示し、縦軸は、てんぷ120に加えられる衝撃(トルク)および抵抗(トルク)を示している。ここで、歩度の進みへの影響は右上がりのハッチングにより示されており、歩度の遅れへの影響右下がりのハッチングにより示されている。また、図9(b)から図15(b)において、てんぷ120の振動の「死点」(てんぷの振動中心)は、垂直線(実線)により示されている。図9(b)から図15(b)において、てんぷ120の最大振幅位置は、白丸により示されている。図9(b)から図15(b)において、てんぷ120の現在の位置は、垂直線(太い実線)により示されている。
(2・1)作動その1:
図9(a)を参照すると、てんぷ120が自由振動することにより、大つば116が矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転する。図9(b)を参照すると、てんぷ120は、図9(a)に示す位置から死点(振動中心)に向かって反時計回り方向に回転する。
(2・2)作動その2:
図10(a)を参照すると、大つば116に固定された外し石124が矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転して、片作動ばね140の外し石接触部140Gに接触する。次いで、外し石124が矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転し、片作動ばね140が、外し石124に押されて、ばね受突起部130Dを押す。すると、作動レバー130は、矢印A2の方向(時計回り方向)に回転する。がんぎ車110の歯部112の先端部は、止め石132の接触平面132Bの上を摺動する。作動レバー130が矢印A2の方向(時計回り方向)に回転する作動に伴い、作動レバー体134は調整偏心ピン162から離れる。図10(b)を参照すると、てんぷ120が「死点前の抵抗」を受けることにより、歩度が遅れる影響を受ける。図10(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値は、その後に発生する図11(a)に示す状態における「死点後の衝撃」による歩度が遅れる影響の値より小さい値になっている。
(2・3)作動その3:
図11(a)を参照すると、がんぎ車110の歯部112の先端部は、止め石132の接触平面132Bに接触している。ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列により、がんぎ車110は回転され、がんぎ車110は駆動される。がんぎ車110が矢印A4の方向(時計回り方向)に回転することにより、がんぎ車110の歯部112の先端部は振り石122に接触し、てんぷ120に回転力を伝える。大つば116が矢印A1の方向(反時計回り方向)に所定の角度まで回転すると、外し石124は、片作動ばね140の外し石接触部140Gから離れる。復帰ばね150のばね力により、作動レバー130は、矢印A3の方向(反時計回り方向)に回転して、当初の位置に戻ろうとする。止め石132の接触平面132Bに接触していた、がんぎ車110の歯部112の先端部は止め石132から外れる(がんぎ車110は解除される)。復帰ばね150のばね力により、作動レバー130は、矢印A3の方向(反時計回り方向)に回転して、作動レバー体134は調整偏心ピン162に向かって押し戻される。てんぷ120が「死点前の衝撃」を受けることにより歩度が進む影響を受ける。図11(a)に示す状態における歩度が進む影響の値は、図10(a)に示す状態における「死点後の衝撃」による歩度が遅れる影響の値より大きい値になっている。
(2・4)作動その4:
図12(a)を参照すると、引き続き、がんぎ車110の歯部112の先端部は振り石122に接触し、てんぷ120に回転力を伝え、てんぷ120は死点(振動中心)を通過して回転する。復帰ばね150のばね力により、作動レバー130の作動レバー体134は調整偏心ピン162に接触する。てんぷ120が「死点後の衝撃」を受けることにより歩度が遅れる影響を受ける。図12(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値は、前述した図11(a)に示す状態における「死点後の衝撃」による歩度が進む影響の値と釣り合うようになっている。
(2・5)作動その5:
図13(a)を参照すると、てんぷ120が矢印A1の方向(反時計回り方向)に自由振動することにより、がんぎ車110の次の歯部112の先端部は止め石132の接触平面132Bに落下する。図13(b)を参照すると、さらにてんぷ120が自由振動することにより、てんぷ120は、てんぷ120の最大振幅位置を越える。すると、大つば116が矢印A1の方向と反対の方向(時計回り方向)に回転するようになる。
(2・6)作動その6:
図14(a)を参照すると、大つば116に固定された外し石124が矢印A5の方向(時計回り方向)に回転して、片作動ばね140の外し石接触部140Gに接触する。外し石124が矢印A5の方向(時計回り方向)に回転し、片作動ばね140が、外し石124に押される。このとき、作動ばね140は、作動レバー130のばね受突起部130Dから離れる。したがって、作動レバー130が静止した状態で、片作動ばね140のみが、外し石124により矢印A6の方向(反時計回り方向)に押しだされる。図14(b)を参照すると、てんぷ120が「死点後の抵抗」を受けることにより、歩度が進む影響を受ける。図14(a)に示す状態における歩度が進む影響の値は、前述した図10(a)に示す状態における「死点後の衝撃」による歩度が遅れる影響の値と釣り合うようになっている。
(2・7)作動その7:
図15(a)を参照すると、大つば116が矢印A5の方向(時計回り方向)に所定の角度まで回転すると、外し石124は、片作動ばね140の外し石接触部140Gから離れる。すると、片作動ばね140は、当初の位置に戻り、てんぷ120は自由振動する。図15(b)を参照すると、さらにてんぷ120が自由振動することにより、てんぷ120は、次の最大振幅位置に向かって回転する。
(2・8)作動の繰り返し:
以下同様に、図9に示す状態から図15に示す状態に至る作動を繰り返すことができる。前述したように、図12(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値は、図11(a)に示す状態における「死点後の衝撃」による歩度が進む影響の値と釣り合うようになっている。また、図14(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値は、前述した図10(a)に示す状態における「死点後の衝撃」による歩度が進む影響の値と釣り合うようになっている。さらに、図12(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値と、図14(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値の総和は、図11(a)に示す状態における歩度が進む影響の値と、図14(a)に示す状態における歩度が進む影響の値と、前述した図10(a)に示す状態における歩度が進む影響の値の総和と釣り合うように構成するのが特に好ましい。このように構成することにより、本発明のデテント脱進機は、従来のデテント脱進機と比較して、脱進機誤差が非常に小さくなるように構成することができる。
(2・9)本発明のデテント脱進機の好ましい構成:
本発明のデテント脱進機において、外し石124は、前記回転基準線120Dを基準として、がんぎ車110から遠い方向に向かった位置に固定されるのが好ましい。また、本発明のデテント脱進機において、外し石124は、がんぎ車110から遠い方向に向かって、前記回転基準線120Dから10度回転した位置と、前記回転基準線120Dから50度回転した位置との間に固定されるのが更に好ましい。また、本発明のデテント脱進機において、外し石124は、がんぎ車110から遠い方向に向かって、前記回転基準線120Dから、ほぼ30度回転した位置に固定される更に一層好ましいことがわかっている。
(3)比較例1のデテント脱進機の作動:
次に、図23から図30を参照して、比較例1のデテント脱進機の作動について説明する。比較例1のデテント脱進機の構成は、従来のデテント脱進機の構成に対応するものであり、歩度が遅れになる死点位置に構成されたてんぷを含むものである。図23から図30において、図中の(a)は、デテント脱進機の作動状態を示す平面図であり、図中の(b)は、4つの脱進機による衝撃(トルク)および抵抗(トルク)、すなわち、「死点前の衝撃」、「死点前の抵抗」、「死点後の衝撃」、「死点後の抵抗」による歩度の進みへの影響と、歩度の遅れへの影響を示す図である。
図23(c)を参照して、てんぷ120Gが振動中心にある状態において、てんぷ120Gの回転中心120CGを原点として、作動レバー130Gの回転中心130CGを通る直線を回転基準線120DGと定義する。図23(c)は、外し石124Gが、回転基準線120DGの上の位置に固定される構成を示す部分平面図である。図23(b)から図30(b)において、横軸は、てんぷ120Gの回転角度を示し、縦軸は、てんぷ120Gに加えられる衝撃(トルク)および抵抗(トルク)を示している。ここで、歩度の進みへの影響は右上がりのハッチングにより示されており、歩度の遅れへの影響右下がりのハッチングにより示されている。また、図23(b)から図30(b)において、てんぷ120Gの振動の「死点」(てんぷの振動中心)は、垂直線(実線)により示されている。図23(b)から図30(b)において、てんぷ120Gの最大振幅位置は、白丸により示されている。図23(b)から図30(b)において、てんぷ120Gの現在の位置は、垂直線(太い実線)により示されている。
(3・1)作動その1:
図23(a)を参照すると、てんぷ820が自由振動することにより、大つば116Gが矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転する。図23(b)を参照すると、てんぷ120Gは、図9(a)に示す位置から死点(振動中心)に向かって反時計回り方向に回転する。
(3・2)作動その2:
図24(a)を参照すると、大つば116Gに固定された外し石124Gが矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転して、片作動ばね140Gの外し石接触部に接触する。
(3・3)作動その3:
図25(a)を参照すると、次いで、外し石124Gが矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転し、片作動ばね140Gが、外し石124Gに押されて、ばね受突起部を押す。すると、作動レバー130Gは、矢印A2の方向(時計回り方向)に回転する。がんぎ車110Gの歯部の先端部は、止め石112Gの接触平面の上を摺動する。作動レバー130Gが矢印A2の方向(時計回り方向)に回転する作動に伴い、作動レバー体は調整偏心ピンから離れる。図25(b)を参照すると、てんぷ120Gが「死点後の抵抗」を受けることにより、歩度が進む影響を受ける。図25(a)に示す状態における歩度が進む影響の値は、その後に発生する図26(a)に示す状態における「死点後の衝撃」による歩度が遅れる影響の値より小さい値になっている。
(3・4)作動その4:
図26(a)を参照すると、がんぎ車110Gの歯部の先端部は、止め石112Gの接触平面に接触している。ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列により、がんぎ車110Gは回転され、がんぎ車110Gは駆動される。がんぎ車110Gが矢印A4の方向(時計回り方向)に回転することにより、がんぎ車110Gの歯部の先端部は振り石112Gに接触し、てんぷ120Gに回転力を伝える。大つば116Gが矢印A1の方向(反時計回り方向)に所定の角度まで回転すると、外し石124Gは、片作動ばね140Gの外し石接触部から離れる。復帰ばね150Gのばね力により、作動レバー130Gは、矢印A3の方向(反時計回り方向)に回転して、当初の位置に戻ろうとする。止め石112Gの接触平面Bに接触していた、がんぎ車110Gの歯部の先端部は止め石112Gから外れる(がんぎ車110Gは解除される)。復帰ばね150Gのばね力により、作動レバー130Gは、矢印A3の方向(反時計回り方向)に回転して、作動レバー体は調整偏心ピンに向かって押し戻される。てんぷ120Gが「死点後の衝撃」を受けることにより歩度が遅れる影響を受ける。図26(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値は、図25(a)に示す状態における「死点後の抵抗」による歩度が進む影響の値より大きい値になっている。
(3・5)作動その5:
図27(a)を参照すると、てんぷ120Gが矢印A1の方向(反時計回り方向)に自由振動することにより、てんぷ120Gは、てんぷ120Gの最大振幅位置に向かって回転する。
(3・6)作動その6:
図28(a)を参照すると、さらに、てんぷ120Gが自由振動することにより、てんぷ120Gは、てんぷ120Gの最大振幅位置を越える。すると、大つば116Gが矢印A5の方向(時計回り方向)に回転するようになる。大つば116Gに固定された外し石124Gが矢印A5の方向(時計回り方向)に回転して、片作動ばね140Gの外し石接触部に接触する。外し石124Gが矢印A5の方向(時計回り方向)に回転し、片作動ばね140Gが、外し石124Gに押される。このとき、作動ばね140Gは、作動レバー130Gのばね受突起部から離れる。したがって、作動レバー130Gが静止した状態で、片作動ばね140Gのみが、外し石124Gにより矢印A6の方向(反時計回り方向)に押しだされる。図28(b)を参照すると、てんぷ120Gが「死点前の抵抗」を受けることにより、歩度が遅れる影響を受ける。
(3・7)作動その7:
図29(a)を参照すると、てんぷ120Gが矢印A5の方向(時計回り方向)に自由振動することにより、がんぎ車110Gの次の歯部の先端部は止め石112Gの接触平面に落下する。がんぎ車110Gの歯部の先端部は振り石112Gに接触し、てんぷ120Gに回転力を伝え、てんぷ120Gは死点(振動中心)を通過して回転する。復帰ばね150Gのばね力により、作動レバー130Gの作動レバー体は調整偏心ピンに接触する。てんぷ120Gが「死点後の抵抗」を受けることにより歩度が進む影響を受ける。図29(a)に示す状態における歩度が進む影響の値は、前述した図26(a)に示す状態における「死点後の衝撃」による歩度が進む影響の値より小さい値になっている。
(3・8)作動その8:
図30(a)を参照すると、さらに、てんぷ120Gが自由振動することにより、てんぷ120Gは、次の死点に向かって回転する。
(3・9)作動の繰り返し:
以下同様に、図23に示す状態から図30に示す状態に至る作動を繰り返すようになってい。前述したように、図26(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値は、図25(a)に示す状態における「死点後の抵抗」による歩度が進む影響の値より大きい値になっている。また、前述したように、図26(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値は、図28(a)に示す状態における「死点後の抵抗」による歩度が進む影響の値より大きい値になっている。そして、図26(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値と、図28(a)に示す状態における「死点前の抵抗」による歩度が遅れる影響の値を合計した値は、図25(a)に示す状態における「死点後の抵抗」による歩度が進む影響の値と、図29(a)に示す状態における「死点後の抵抗」による歩度が進む影響の値を合計した値より大きい値になっている。したがって、この比較例1のデテント脱進機は、歩度が遅れる影響が大きいものであり、本発明のデテント脱進機と比較して、脱進機誤差が大きいものである。
(4)比較例2のデテント脱進機の作動:
次に、図31から図37を参照して、比較例2のデテント脱進機の作動について説明する。比較例2のデテント脱進機の構成は、歩度が進みになる死点位置に構成されたてんぷを含むものである。図31から図37において、図中の(a)は、比較例のデテント脱進機の作動状態を示す平面図であり、図中の(b)は、4つの脱進機による衝撃(トルク)および抵抗(トルク)、すなわち、「死点前の衝撃」、「死点前の抵抗」、「死点後の衝撃」、「死点後の抵抗」による歩度の進みへの影響と、歩度の遅れへの影響を示す図である。図31(c)は、外し石124Hが、回転基準線120DHを基準として、がんぎ車110Hから遠い方向に向かった位置であって、回転基準線120DHから反時計回り方向に60度の位置に固定されている構成を示す部分平面図である。図31(b)から図37(b)において、横軸は、てんぷ120Hの回転角度を示し、縦軸は、てんぷ120Hに加えられる衝撃(トルク)および抵抗(トルク)を示している。ここで、歩度の進みへの影響は右上がりのハッチングにより示されており、歩度の遅れへの影響右下がりのハッチングにより示されている。また、図31(b)から図37(b)において、てんぷ120Hの振動の「死点」(てんぷの振動中心)は、垂直線(実線)により示されている。図31(b)から図37(b)において、てんぷ120Hの最大振幅位置は、白丸により示されている。図31(b)から図37(b)において、てんぷ120Hの現在の位置は、垂直線(太い実線)により示されている。
(4・1)作動その1:
図31(a)を参照すると、てんぷ120Hが自由振動することにより、大つば116Hが矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転する。図31(b)を参照すると、てんぷ120Hは、図31(a)に示す位置から死点(振動中心)に向かって反時計回り方向に回転する。
(4・2)作動その2:
図32(a)を参照すると、大つば116Hに固定された外し石124Hが矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転して、片作動ばね140Hの外し石接触部に接触する。次いで、外し石124Hが矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転し、片作動ばね140Hが、外し石124Hに押されて、ばね受突起部を押す。すると、作動レバー130Hは、矢印A2の方向(時計回り方向)に回転する。がんぎ車110Hの歯部の先端部は、止め石132Hの接触平面の上を摺動する。作動レバー130Hが矢印A2の方向(時計回り方向)に回転する作動に伴い、作動レバー体は調整偏心ピンから離れる。図32(b)を参照すると、てんぷ120Hが「死点前の抵抗」を受けることにより、歩度が遅れる影響を受ける。図32(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値は、その後に発生する図33(a)に示す状態における「死点前の衝撃」による歩度が進む影響の値より小さい値になっている。
(4・3)作動その3:
図33(a)を参照すると、がんぎ車110Hの歯部の先端部は、止め石132Hの接触平面に接触している。ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列により、がんぎ車110Hは回転され、がんぎ車110Hは駆動される。がんぎ車110Hが矢印A4の方向(時計回り方向)に回転することにより、がんぎ車110Hの歯部の先端部は振り石122Hに接触し、てんぷ120Hに回転力を伝える。大つば116Hが矢印A1の方向(反時計回り方向)に所定の角度まで回転すると、外し石124Hは、片作動ばね140Hの外し石接触部から離れる。復帰ばね150Hのばね力により、作動レバー130Hは、矢印A3の方向(反時計回り方向)に回転して、当初の位置に戻ろうとする。止め石132Hの接触平面に接触していた、がんぎ車110Hの歯部の先端部は止め石132Hから外れる(がんぎ車110は解除される)。復帰ばね150Hのばね力により、作動レバー130Hは、矢印A3の方向(反時計回り方向)に回転して、作動レバー体は調整偏心ピンに向かって押し戻される。てんぷ120Hが「死点前の衝撃」を受けることにより歩度が進む影響を受ける。図33(a)に示す状態における歩度が進む影響の値は、図32(a)に示す状態における「死点前の抵抗」による歩度が遅れる影響の値より大きい値になっている。
(4・4)作動その4:
図34(a)を参照すると、引き続き、がんぎ車110Hの歯部の先端部は振り石122Hに接触し、てんぷ120Hに回転力を伝え、てんぷ120Hは死点(振動中心)を通過して回転する。復帰ばね150Hのばね力により、作動レバー130Hの作動レバー体は調整偏心ピンに接触する。
(4・5)作動その5:
図35(a)を参照すると、てんぷ120Hが矢印A1の方向(反時計回り方向)に自由振動することにより、がんぎ車110Hの次の歯部の先端部は止め石132Hの接触平面に落下する。
(4・6)作動その6:
図36(a)を参照すると、さらに、てんぷ120Hが自由振動することにより、てんぷ120Hは、てんぷ120Hの最大振幅位置を越える。すると、大つば116Hが矢印A1の方向と反対の方向(時計回り方向)に回転するようになる。大つば116Hに固定された外し石124Hが矢印A5の方向(時計回り方向)に回転して、片作動ばね140Hの外し石接触部に接触する。外し石124Hが矢印A5の方向(時計回り方向)に回転し、片作動ばね140Hが、外し石124Hに押される。このとき、作動ばね140Hは、作動レバー130Hのばね受突起部から離れる。したがって、作動レバー130Hが静止した状態で、片作動ばね140Hのみが、外し石124Hにより矢印A6の方向(反時計回り方向)に押しだされる。図36(b)を参照すると、てんぷ120Hが「死点後の抵抗」を受けることにより、歩度が進む影響を受ける。図36(a)に示す状態における歩度が進む影響の値は、前述した図33(a)に示す状態における「死点前の衝撃」による歩度が進む影響の値より小さい値になっている。
(4・7)作動その7:
図37(a)を参照すると、大つば116Hが矢印A5の方向(時計回り方向)に所定の角度まで回転すると、外し石124Hは、片作動ばね140Hの外し石接触部から離れる。すると、片作動ばね140Hは、当初の位置に戻り、てんぷ120Hは自由振動する。図37(b)を参照すると、さらに、てんぷ120Hが自由振動することにより、てんぷ120Hは、次の最大振幅位置に向かって回転する。
(4・8)作動の繰り返し:
以下同様に、図31に示す状態から図37に示す状態に至る作動を繰り返すことができる。前述したように、図33(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値は、図32(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値より大きい値になっている。また、図33(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値は、図36(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値より大きい値になっている。さらに、図33(a)に示す状態における歩度が進む影響の値は、図32(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値と、図36(a)に示す状態における歩度が遅れる影響の値の合計より大きい値になっている。したがって、この比較例2のデテント脱進機は、歩度が進む影響が大きいものであり、本発明のデテント脱進機と比較して、脱進機誤差は大きいものである。
(5)本発明のデテント脱進機の作動と比較例との作動の比較検討結果:
図18(a)および図19(a)を参照すると、従来のデテント脱進機の構成に対応する比較例1のデテント脱進機は、歩度が遅れになる影響が、歩度が進みになる影響より大きいものである。この比較例1の構成において、一般的に、歩度の大幅な遅れが生じる場合は、てんぷが死点位置を越えた後に作動レバーの解除によりてんぷに加えられる抵抗(トルク)と、がんぎ車からてんぷに加えられる衝撃(トルク)とが生じて終了する。一方、この比較例1の構成において、片作動ばねの解除によりてんぷに加えられる抵抗(トルク)は、てんぷが死点位置を越える前に発生する。
図18(b)および図19(b)を参照すると、本発明のデテント脱進機の1つの実施形態(補正例)は、歩度が遅れになる影響が、歩度が進みになる影響と等しくなるように構成されているものである。すなわち、この本発明の実施形態において、一般的に、歩度が遅れになる影響と、歩度が進みになる影響とは完全に相殺されている。この本発明の実施形態において、作動レバーの解除によりてんぷに加えられる抵抗(トルク)が生じ、てんぷが死点位置を通過する前に終了する。がんぎ車からてんぷに加えられる衝撃(トルク)は、この衝撃(トルク)が生じている範囲内で、てんぷは死点位置を通過する。一方、この本発明の実施形態において、片作動ばねの解除によりてんぷに加えられる抵抗(トルク)は、てんぷが死点位置を越えた後に発生する。
図18(c)および図19(c)を参照すると、外し石が、回転基準線を基準として、がんぎ車から遠い方向に向かった位置であって、回転基準線から反時計回り方向に60度の位置に固定されたてんぷを含む比較例2のデテント脱進機は、歩度が遅れになる影響が、歩度が進みになる影響より小さいものである。この比較例2の構成において、一般的に、歩度の大幅な進みが生じる場合は、てんぷが死点位置を越える前に作動レバーの解除によりてんぷに加えられる抵抗(トルク)と、がんぎ車からてんぷに加えられる衝撃(トルク)とが生じて終了する。一方、この比較例2の構成において、片作動ばねの解除によりてんぷに加えられる抵抗(トルク)は、てんぷが死点位置を越えた後に発生する。
(6)拡大モデルでの実験結果:
本発明のデテント脱進機に関して、通常の腕時計のサイズと比較して拡大したサイズで構成した脱進機部分の拡大モデルを作成して比較実験を行った。
(6・1)拡大モデルの寸法:
この拡大モデルにおける主要構成部品の寸法は以下のとおりである。
・がんぎ車の直径:41(mm);
・てんぷの慣性モーメント:5.329*10-5 (kg・m2 );
・外し石の先端部の軌跡の直径:7.19(mm);
・振り石の先端部の軌跡の直径:27.39(mm);
・がんぎ車の回転中心とてんぷの回転中心との間の中心距離:33.2(mm);
・てんぷの回転中心と作動レバーの回転中心との間の中心距離:56.32(mm);
・片作動ばねのばね部の直線部の長さ:32.15(mm);
・衝撃角:34(度);
・作動レバー又は片作動ばねから外し石が抵抗を受ける位置のてんぷ回転中心からの距離:7.07(mm)。
(6・2)実験結果を示すグラフ:
図16を参照すると、脱進機の拡大モデルでの実験結果を示すグラフが示されている。図16は、上記条件において、てんぷの死点位置を0度(従来技術に対応する位置)、+20度(本発明の実施形態における1つの補正例に対応する位置)、−20度(本発明の実施形態における1つの補正例と逆方向に設定した比較例)の3パラメータに変化させて、各々の死点位置において、てんぷが、がんぎ車から受ける衝撃トルクを0.403〔mN・m〕、0.3628〔mN・m〕、0.3225〔mN・m〕、0.282〔mN・m〕、0.2419〔mN・m〕、0.202〔mN・m〕、0.1613〔mN・m〕、0.1209〔mN・m〕の8点に変化させたときの、がんぎ車から受ける衝撃トルクと、てんぷの周期変化を示した図である。図16において、横軸は、がんぎ車のトルク(mN・m)を示し、縦軸は、てんぷの平均周期(sec)を示している。
(6・3)拡大モデル実験の評価基準:
この拡大モデルでの実験において、てんぷが、がんぎ車から受ける衝撃トルクの各々の値において、てんぷの自由減衰振動周期に対して死点位置の補正を行った場合、てんぷの振動周期の変化を小さく抑えることができるかどうかを確認している。
(6・4)拡大モデル実験の評価結果:
この拡大モデルでの実験を行った結果、てんぷの死点位置を+20度に補正を行うことにより、てんぷの自由減衰振動周期に対して、てんぷの振動周期の変化を小さく抑えることができることを確認することができた。また、てんぷの死点位置を+20度に補正を行うことにより、トルク変化に伴うてんぷの振動周期の変動を抑制する効果があることを確認することができた。
これに対して、てんぷの死点位置を−20度に設定すると、てんぷの自由減衰振動周期に対して、てんぷの振動周期の変化が大きくなり、かつ、トルク変化に伴うてんぷの振動周期の変動も大きくなることが確認された。
(7)シミュレーション結果:
本発明のデテント脱進機に関して、シミュレーションモデルを設計して比較検討を行った。
(7・1)運動方程式:
1自由度摩擦系及び粘性系の自由振動を示す運動方程式は、以下の数式(1)で示される。

Figure 0005441168

θ:てんぷの回転角(rad);
I:てんぷの慣性モーメント(kg・mm2 );
F:粘性係数(kg・m2 /s);
k:ひげぜんまいのばね定数(kg・m2 /s2 );
R:固体摩擦抵抗(kg・m2 /s2 );
T:1周期の間にてんぷに加えられる、がんぎ車からの衝撃トルクと、てんぷが受ける作動レバー解除、及び、片作動ばね解除時の抵抗トルクの総和(kg・m2 /s2 )。
Tをθの関数として与え、1周期の中で、(死点前後の抵抗/衝撃の各成分)が発生するタイミングを変化させたシミュレーションモデルを作成し、脱進機の作動のシミュレーションを行った。
(7・2)シミュレーションモデルの寸法:
各構成部品の寸法は、通常の腕時計の部品寸法に概略対応するように設定している。
・がんぎ車の歯数:15枚;
・作動レバー解除時にてんぷが受ける抵抗トルク:0.252*10-6 N・m;
・片作動ばね解除時にてんぷが受ける抵抗トルク:0.044*10-6 N・m。
(7・3)シミュレーション結果を示すグラフ:
図17を参照すると、脱進機のシミュレーションモデルでのシミュレーション結果を示すグラフが示されている。図17は、上記条件において、てんぷの補正された死点位置を+10度、+30度、+50度の3パラメータに変化させて、てんぷの振り角が200度以上のときにおける、時計の歩度(1日において時計が遅れるか進む秒数:sec/day)が50秒/日(sec/day)の値をシミュレーションした結果を示した図である。図17において、横軸は、てんぷの振り角(deg)を示し、縦軸は、時計の歩度(sec/day)を示している。
(7・4)シミュレーションの評価基準:
このシミュレーションにおいて、てんぷの振り角が200度以上のとき、時計の歩度(1日において時計が遅れるか進む秒数:sec/day)が50秒/日(sec/day)以内に収まるかどうかを確認している。
(7・5)シミュレーションの評価結果:
このシミュレーションを行った結果、てんぷの死点位置を+10度から+50度の間に設定するように補正を行うことにより、てんぷの振り角が200度以上のときに、時計の歩度を50秒/日(sec/day)以内に収めることができることを確認することができた。
(7・6)実験結果とシミュレーション結果のまとめ:
上記実験結果と上記シミュレーション結果から、一般的な実用歩度(てんぷの振り角が200度以上のときに、時計の歩度を50秒/日(sec/day)以内に収める)を満たす範囲として、てんぷの死点位置の補正量として、+10度から+50度に設定することができることが確認された。また、上記実験結果と上記シミュレーション結果から、一般的なてんぷの死点位置の補正量としては+20度から+30度が適性範囲であることが確認された。また、てんぷが受ける抵抗トルクが上述した値以外の値において同様なシミュレーションを実施した結果からも、てんぷの死点位置の補正量として、+20度から+30度が適性範囲であることが確認されている。
(8)本発明のデテント脱進機を備えた機械式時計:
さらに、本発明は、機械式時計の動力源を構成するぜんまいと、前記ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列と、前記表輪列の回転を制御するための脱進機とを備えるように構成された機械式時計において、前記脱進機が、上記のデテント脱進機で構成されることを特徴としている。この構成により、脱進機誤差が非常に小さく、脱進機の力の伝達効率がよい機械式時計を実現することができる。また、本発明の機械式時計は、ぜんまいを小さくすることができ、或いは、同じサイズの香箱を用いたときには長時間持続の機械式時計を達成することができる。
図7および図7Aを参照すると、ムーブメント(機械体)300は、ムーブメント300の基板を構成する地板170を有する。ムーブメント300の「3時方向」には、巻真310が配置されている。巻真110が、地板170の巻真案内穴に回転可能に組み込まれる。てんぷ120、がんぎ車110、作動レバー130を含むデテント脱進機と、四番車327、三番車326、二番車325、香箱車320を含む表輪列は、ムーブメント100の「表側」に配置される。おしどり、かんぬき、かんぬき押さえを含む切換装置(図示せず)は、ムーブメント300の「裏側」に配置される。さらに、香箱車320の上軸部を回転可能なように支持する香箱受(図示せず)と、三番車326の上軸部、四番車327の上軸部、がんぎ車110の上軸部を回転可能なように支持する輪列受(図示せず)と、作動レバー130の上軸部を回転可能なように支持する作動レバー受(図示せず)と、てんぷ120の上軸部を回転可能なように支持するてんぷ受180とが、ムーブメント300の「表側」に配置される。
二番車325が、香箱車320の回転により回転するように構成される。二番車325は二番歯車と、二番かなとを含む。香箱歯車は二番かなと噛み合うように構成される。三番車326が二番車325の回転により回転するように構成される。三番車326は三番歯車と、三番かなとを含む。四番車327が、三番車326の回転により1分間に1回転するように構成される。四番車327は四番歯車と、四番かなとを含む。三番歯車は四番かなと噛み合うように構成される。四番車327の回転により、がんぎ車110は、作動レバー130に制御されながら回転するように構成される。がんぎ車110は、がんぎ歯車と、がんぎかなとを含む。四番歯車は、がんぎかなと噛み合うように構成される。分車329が、香箱車320の回転により回転するように構成される。香箱車320、二番車325、三番車326、四番車327、分車329は表輪列を構成する。
二番車325に取り付けられた筒かな329の回転に基づいて日の裏車340が回転するように構成される。日の裏車340の回転に基づいて筒車(図示せず)が回転するように構成される。二番車325の回転により、三番車326が回転するように構成される。三番車326の回転により、四番車327は1分間に1回転するように構成される。筒車は12時間に1回転するように構成される。スリップ機構が二番車325と筒かな329との間に設けられる。二番車325は1時間に1回転するように構成される。
本発明のデテント脱進機は、脱進機誤差が非常に小さくなるように構成することができる。さらに、本発明の機械式時計は、外乱の影響を受けにくい。したがって、本発明のデテント脱進機は、機械式の腕時計、マリンクロノメータ、機械式の置時計、機械式の壁掛け時計、大型の機械式の街頭時計、及び、本発明を搭載したトゥールビヨン脱進機、及び、本発明のデテント脱進機を有する腕時計などに広く適用することができる。
100 デテント脱進機
110 がんぎ車
118 ひげぜんまい
120 てんぷ
122 振り石
124 外し石
130 作動レバー
132 止め石
140 片作動ばね
150 復帰ばね
170 地板
300 ムーブメント(機械体)
320 香箱車
325 二番車
326 三番車
327 四番車

Claims (6)

  1. がんぎ車(110)と、がんぎ車(110)の歯部と接触可能な振り石(122)および外し石(124)を有するてんぷ(120)と、がんぎ車(110)の歯部と接触可能な止め石(132)を有する作動レバー(130)とを含む時計用のデテント脱進機(100)において、
    てんぷが振動中心を通過する前に、作動ばねの先端部が、てんぷの外し石に接触して、てんぷに抵抗を加えることを「死点前の抵抗」と定義し、
    てんぷが振動中心を通過する前に、がんぎ車の歯部が、てんぷの振り石に接触して、てんぷの進行方向に対して力を加えることを「死点前の衝撃」と定義し、
    てんぷが振動中心を通過した後に、がんぎ車の歯部が、てんぷの振り石を押して、てんぷの進行方向に対して力を加えることを「死点後の衝撃」と定義し、
    てんぷが振動中心を通過して、さらに振動中心に向かって戻るときに、作動ばねの先端部が、てんぷの外し石に接触して、てんぷに抵抗を加えることと、てんぷが振動中心を通過して、前記振動中心に向かって戻って、さらに、てんぷが前記振動中心を通過したときに、作動ばねの先端部が、てんぷの外し石に接触して、てんぷに抵抗を加えることを「死点後の抵抗」と定義し、
    てんぷ(120)が振動中心にある状態において、てんぷ(120)の回転中心(120C)を原点として、前記作動レバー(130)の回転中心(130A)を通る直線を回転基準線(120D)と定義したときに、
    前記「死点前の衝撃」により生じるてんぷの回転運動への影響、および、前記「死点後の抵抗」により生じるてんぷの回転運動への影響の合計により構成される時計の歩度を進ませる影響の総和と、前記「死点前の抵抗」により生じるてんぷの回転運動への影響、および、前記「死点後の衝撃」により生じるてんぷの回転運動への影響の合計により構成される時計の歩度を遅らせる影響の総和とが釣り合うように、前記外し石(124)は、前記回転基準線(120D)を基準として、前記がんぎ車(110)から遠い方向に向かった位置に固定される、
    ことを特徴とするデテント脱進機。
  2. 前記外し石(124)は、前記がんぎ車(110)から遠い方向に向かって、前記回転基準線(120D)から10度回転した位置と、前記回転基準線(120D)から50度回転した位置との間に固定されることを特徴とする、請求項1に記載のデテント脱進機。
  3. 前記外し石(124)は、前記がんぎ車(110)から遠い方向に向かって、前記回転基準線(120D)から、20度から30度回転した位置に固定されることを特徴とする、請求項1に記載のデテント脱進機。
  4. 機械式時計の動力源を構成するぜんまいと、前記ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列と、前記表輪列の回転を制御するための脱進機とを備えるように構成された機械式時計において、前記脱進機が、請求項1から3のいずれか1項に記載のデテント脱進機で構成されることを特徴とする機械式時計。
  5. 前記てんぷ(120)は、ひげぜんまい(118)を含み、前記ひげぜんまい(118)の外端部は、てんぷ受に対して回転可能なように設けられたひげ持ち(175)に固定され、前記てんぷ受に対して前記ひげ持ち(175)を回転させることにより、前記回転基準線(120D)に対する前記外し石(124)の位置と、振り石(122)の位置を変えることができるように構成されることを特徴とする、請求項4に記載の機械式時計。
  6. 前記ひげ持ちを回転させることができる範囲を指示するための回転可能範囲指示手段を備えることを特徴とする、請求項5に記載の機械式時計。
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