JP5440172B2 - 工程剥離シートおよび合成皮革の製造方法 - Google Patents

工程剥離シートおよび合成皮革の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、合成皮革の製造に使用される工程剥離シート、工程剥離シートに用いられる工程剥離シート用基材シートおよび工程剥離シートを用いる合成皮革の製造方法に関する。
本願は、2007年10月17日に、日本に出願された特願2007−270432号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ポリウレタンレザー、塩化ビニルレザー等の合成皮革は、天然皮革に比べて一定品質のものを大量に製造でき、形状の制約が少ないため、衣類や靴、鞄、ソファー等の幅広い分野で使用されている。
合成皮革の製造方法としては、例えば、工程剥離シートの上に、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、アミド樹脂、アミノ樹脂などを含む合成皮革製造用塗料を塗工し、乾燥硬化させ、次いで、塗工した合成皮革製造用塗料に、接着剤を介して織布等を貼り合わせた後、冷却ロール間を通過させ、その後、工程剥離シートを剥離する方法が挙げられる。
このような工程剥離シートを用いる合成皮革の製造方法では、工程剥離シートの表面状態が合成皮革に転写されるため、工程剥離シートの表面状態を変えることによって、風合いの異なる各種合成皮革を得ることができる。
上記合成皮革の製造方法で使用される工程剥離シートとしては、基材シート上に、合成皮革製造用塗料が塗工される剥離層が形成されているものが一般的に使用される。基材シートとしては、例えば、バインダと顔料とを主成分として含むキャスト塗工層が設けられたキャスト塗工紙が使用されることがある(特許文献1参照)。
特開2001−98495号公報
しかしながら、特許文献1に記載の工程剥離シートを用いて合成皮革を製造すると、工程剥離シートから合成皮革が剥離しにくくなることがあった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、工程剥離シートに用いた際に、工程剥離シートからの合成皮革の剥離性を向上させることができる基材シートを提供することを目的とする。さらには、合成皮革の剥離性を向上させることができる工程剥離シートを提供することを目的とする。
[1] 工程剥離シート用基材シートと剥離層とを有する工程剥離シートであって、
工程剥離シート用基材シートは、支持体と、バインダおよび塗工層用顔料を含有するキャスト塗工層とを有するキャスト塗工紙からなり、バインダは、ブタジエン単位を50質量%以上且つゲル分率が90〜100質量%のスチレン・ブタジエン共重合体を含有し、
剥離層は、前記基材シートのキャスト塗工層の、支持体と反対側の面に形成され、剥離剤成分と、シリカを含む剥離層用顔料とを含有し、剥離層用顔料に含まれるシリカは、平均粒子径が1〜3μmかつ最大粒子径が10μm以下であることを特徴とする工程剥離シート。
[2] バインダにおけるスチレン・ブタジエン共重合体の含有量は、バインダ全体を100質量%とした際の50質量%以上である[1]に記載の工程剥離シート。
[3] バインダがカゼインを含有する[1]または[2]に記載の工程剥離シート。
[4] 剥離剤成分は、ホルマリン吸着剤を添加したアルキド樹脂である[1]〜[3]のいずれかに記載の工程剥離シート。
[5] 剥離層における工程剥離シート用基材シートと反対側の表面は、JIS Z 8741に準じて測定した75度光沢度が30〜90%である[1]〜[4]のいずれかに記載の工程剥離シート。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の工程剥離シート上に、合成皮革用樹脂塗料を塗工して皮革層を形成する工程と、前記工程剥離シートを合成皮革の皮革層から剥離する工程とを有することを特徴とする合成皮革の製造方法。
本発明の基材シートを工程剥離シートに用いた際には、工程剥離シートからの合成皮革の剥離性を向上させることができる。
本発明の工程剥離シートによれば、合成皮革の剥離性を向上させることができる。
本発明の基材シートの一実施形態を示す断面図である。 本発明の工程剥離シートの一実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1 工程剥離シート
10 基材シート(工程剥離シート用基材シート)
11 支持体
12 キャスト塗工層
13 バリア層
20 剥離層
<工程剥離シート用基材シート>
本発明の工程剥離シート用基材シート(以下、基材シートと略す。)の一実施形態について説明する。
図1に、本実施形態の基材シートを示す。本実施形態の基材シート10は、支持体11とキャスト塗工層12とがバリア層13を介して積層されたキャスト塗工紙からなる。
(支持体)
支持体11としては、紙類またはフィルム類等が使用される。
紙類としては、例えば、上質紙、中質紙、更紙、アート紙用基材、コート紙用基材、キャストコート紙用基材、クラフト紙、グラシン紙等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル等の各種高分子フィルムが挙げられる。また、蒸着紙、合成紙、布、不織布、金属ホイル等も使用できる。さらに、これらの積層体などを適宜採用することもできる。これらの中でも、漆黒性に優れた合成皮革が得られる工程剥離シートを容易に形成できることから、アート紙用基材、コート紙用基材、キャストコート紙用基材が好ましい。さらに、合成皮革のエンボス加工適性に優れる等の理由から、キャストコート紙用基材がより好ましい。
支持体11の坪量は50〜400g/mであることが好ましい。支持体11の坪量が50g/m以上であれば、繰り返し再利用できる工程剥離シートを容易に製造でき、400g/m以下であれば、取り扱い性に優れた工程剥離シートを製造できる。
(キャスト塗工層)
キャスト塗工層12は、バインダおよび塗工層用顔料を含み、キャストドラム等、通常適用される方法によって鏡面仕上げされた塗工層である。
キャスト塗工層12に含まれるバインダは、スチレン単位およびブタジエン単位を必須成分として含むスチレン・ブタジエン共重合体を含有する。
[バインダ]
バインダに含まれるスチレン・ブタジエン共重合体は、ブタジエン単位を40質量%より多く、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上含むものである。スチレン・ブタジエン共重合体のブタジエン単位が40質量%以下であると、前記基材シート10を用いた工程剥離シートによって合成皮革を製造する際に、工程剥離シートから合成皮革が剥離しにくくなる。また、合成皮革の表面の外観に不良が生じやすくなる。
また、スチレン・ブタジエン共重合体のブタジエン単位は、塗工適性に優れる等の理由から、60質量%以下であることが好ましく、58質量%以下であることがより好ましく、55質量%以下であることが特に好ましい。
また、スチレン・ブタジエン共重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単位、シアン化ビニル単位等の他の単量体単位を含有してもよい。
スチレン・ブタジエン共重合体のゲル分率は90〜100質量%であることが好ましい。スチレン・ブタジエン共重合体のゲル分率が90質量%以上であれば、前記基材シート10を用いた工程剥離シートによって合成皮革を製造する際に、合成皮革の剥離性がより高くなる。また、合成皮革の表面の外観不良がより生じにくくなる。
ここで、ゲル分率とは、以下の方法により得られる値である。
すなわち、ポリ四フッ化エチレンのシートの上に、スチレン・ブタジエン共重合体のラテックスを塗布し、50℃で24時間乾燥して、膜厚が0.3〜0.5mm(乾燥後)の皮膜を形成する。次いで、前記皮膜を3cm角に切り、その質量を測定した後、トルエンに24時間浸漬する。その後、105℃で3時間以上乾燥してトルエンを完全に揮散させ、得られた固形物の質量を測定する。そして、式(1)により、ゲル分率を求める。
式(1) ゲル分率=(トルエン浸漬後の質量/トルエン浸漬前の質量)×100(%)
スチレン・ブタジエン共重合体のゲル分率は、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体のブタジエン単位、スチレン・ブタジエン共重合体の重合条件(重合温度、重合圧力、架橋剤の添加量など)を変えることによって調整される。
具体的には、スチレン・ブタジエン共重合体のブタジエン単位を多くする程、ゲル分率が高くなる。
重合温度を高くする程、ゲル分率が高くなる。
架橋剤を添加し、その添加量を多くする程、ゲル分率が高くなる。
また、キャスト塗工層12には、スチレン・ブタジエン共重合体以外のその他のバインダが含まれてもよい。その他のバインダとしては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、酵素変性澱粉や酸化変性澱粉、カチオン化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。これらの中でも、工程剥離シートの繰り返し使用適性を向上させることができることから、カゼインが好ましい。
バインダにおけるスチレン・ブタジエン共重合体の含有量は、バインダ全体を100質量%とした際の50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。スチレン・ブタジエン共重合体の含有量が50質量%以上であれば、前記基材シート10を用いた工程剥離シートによって合成皮革を製造した際に、合成皮革の表面外観が良好になる。
また、スチレン・ブタジエン共重合体の含有量は、キャスト適性が良好であることから、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが特に好ましい。
キャスト塗工層12におけるバインダ含有量は、塗工層用顔料100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。バインダ含有量が5質量部以上であれば、キャスト塗工層12の強度が向上し、50質量部以下であれば、キャスト塗工層12上に工程剥離シートに適した剥離層を容易に形成できる。
[塗工層用顔料]
塗工層用顔料としては、例えば、クレー、カオリン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、二酸化チタン、サチンホワイト、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、プラスチックピグメント等が挙げられる。
これらの中でも、塗工面が平滑になることから、カオリン、軽質炭酸カルシウムが好ましい。さらには、カオリンと軽質炭酸カルシウムを併用することがより好ましい。
塗工層用顔料は1次粒子、2次粒子のいずれであってもよいが、2次粒子であれば、キャスト塗工層12上に工程剥離シートに適した剥離層を容易に形成できる。
塗工層用顔料の平均粒子径は0.01〜10μmであることが好ましい。塗工層用顔料の平均粒子径が0.01μm以上であれば、塗膜の乾燥性に優れ、10μm以下であれば、塗膜の表面平滑性に優れる。
塗工層用顔料の平均粒子径は、顔料が1次粒子である場合には1次粒子の平均粒子径であり、2次粒子である場合には2次粒子の平均粒子径である。また、塗工層用顔料の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定された50%体積積算値の粒子径である。
[厚さ]
キャスト塗工層12の厚さは5〜50μmであることが好ましい。キャスト塗工層12の厚さが5μm以上であれば、キャスト塗工層12上に工程剥離シートに適した剥離層を容易に形成でき、50μm以下であれば、キャスト塗工層12を容易に形成できる。
キャスト塗工層12は、支持体11と反対側の表面12aの75度光沢度が80〜99%であることが好ましい。ここで、75度光沢度はJIS Z 8741に準じて測定した値である。キャスト塗工層12の光沢度が80%以上であれば、キャスト塗工層12上に工程剥離シートに適した剥離層を容易に形成できるが、99%を超えるものは製造が簡便でない。
(バリア層)
バリア層13を形成する材料としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、デキストリン、澱粉、変性澱粉、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられる。
これらの中でも、溶剤に対するバリア性に優れ、また、キャスト塗工層12との相性が良いことから、澱粉、変性澱粉、ポリビニルアルコールが好ましい。
バリア層13が形成されていることにより、基材シート10製造時に、キャスト塗工層12を形成するバインダおよび塗工層用顔料が支持体11に染み込むことを防止できる。
バリア層13の厚さは1〜10μmであることが好ましい。バリア層13の厚さが1μm以上であれば、染み込みをより防止でき、10μm以下であれば、コストを抑えることができる。
(坪量)
基材シート10全体の坪量は50〜500g/mであることが好ましい。合成皮革を製造する際には150℃以上の高温で乾燥される場合があるため、基材シート10には耐熱性が要求され、また工程剥離シートは繰り返し使用されるため、基材シート10にはある程度の強度が求められる。基材シート10全体の坪量が50〜500g/mであれば、耐熱性および強度を確保することができる。
(基材シートの製造方法)
基材シート10になるキャスト塗工紙の製造方法としては、代表的なものとして、以下の3つの方法が挙げられる。
(1)湿潤状態にあるキャスト塗工層を、加熱された鏡面仕上げドラム(キャストドラム)の表面に圧接し、乾燥させた後、離型して光沢仕上げするウェットキャスト法。
(2)湿潤状態の塗工層を一旦乾燥した後、再湿潤液により再び湿潤させ、可塑化させた後、加熱されたキャストドラムの表面に圧接し、乾燥させた後、離型して光沢仕上げするリウェットキャスト法。
(3)湿潤状態の塗工層をゲル化させた後、加熱されたキャストドラムの表面に圧接し、乾燥させた後、離型して光沢仕上げするゲル化キャスト法。
これらキャスト仕上げ方法は、いずれも、湿潤、可塑化状態にある塗工層を、加熱されたキャストドラムの表面に圧接し、乾燥させた後、離型して、キャストドラムの鏡面を転写させる点で共通している。
(1)〜(3)の中でも、工程剥離シート用基材シートとして優れた品質が得られることから、(2)の製造方法が好ましい。以下に、(2)の製造方法の一例について説明する。
まず、支持体11の片面に、バリア層13を形成する成分を含む塗工液を塗布してバリア層13を形成する。次いで、バリア層13の表面に、バインダおよび塗工層用顔料を含むキャスト塗工層形成用塗工液を塗工・乾燥して塗工層を形成する。その後、塗工層に再湿潤液を塗布し、加熱したキャストドラムの鏡面状金属面に圧接することで乾燥し、キャスト塗工層12を形成して、基材シート10を得る。
バリア層を形成する成分を含む塗工液を塗工する際には、ロールコーター、ナイフコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、リップコーター、ダイコーター等の公知の塗工機を適用できる。
バリア層13の塗工量は、乾燥塗工量で1〜20g/mであることが好ましい。バリア層13の乾燥塗工量が1g/m以上であれば、バインダおよび塗工層用顔料を含む塗工液の支持体11への染み込みをより防止でき、20g/m以下であれば、基材シート10を薄くできる。
キャスト塗工層12の塗工量は、乾燥塗工量で5〜50g/mであることが好ましい。キャスト塗工層12の乾燥塗工量が5g/m以上であれば、工程剥離シートにより適したキャスト塗工紙を得ることができ、50g/m以下であれば、基材シート10を薄くできる。
再湿潤液によってキャスト塗工層12の表面を再湿潤した後、下記温度でキャストドラムに圧接、乾燥し、キャストドラムから剥離することによって、キャスト仕上げする。
再湿潤液としては特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレンエマルジョン、脂肪酸石鹸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アンモニウム、マイクロクリスタリンワックス、界面活性剤、ロート油等の離型剤を0.01〜3.0質量%含有する水溶液、硫酸亜鉛、リン酸カルシウム、ポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸アンモニウム、酒石酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の無機塩類または有機塩類を0.01〜3.0質量%含有する水溶液などが挙げられる。
再湿潤した塗工層をキャストドラムに圧接する際の温度は50〜150℃であることが好ましい。圧接の際の温度が50℃以上であれば、再湿潤した塗工層を充分にかつ速やかに乾燥させることができ、150℃以下であれば、キャスト塗工層12の表面状態をより良好にできる。
さらに、スーパーカレンダーを用いてカレンダー処理をしてもよい。
以上説明した基材シート10はキャスト塗工紙からなるため、厚みがあり、紙力が高い。そのため、合成皮革製造用の工程剥離シートに適している。
また、キャスト塗工層12のバインダが、ブタジエン単位を40質量%より多く含むスチレン・ブタジエン共重合体を含有するため、キャスト塗工層12の耐溶剤性に優れる。そのため、工程剥離シートを得るために、キャスト塗工層12に剥離剤塗工液を塗工した際にキャスト塗工層12の溶解を防止できる。その結果、キャスト塗工層12の成分が剥離層に混じりにくい上に、キャスト塗工層12の表面状態が良好になるため、基材シート10を工程剥離シートに用いた際に、工程剥離シートから合成皮革を容易に剥離できる。さらに、ブタジエン単位を50質量%以上含むスチレン・ブタジエン共重合体を含有することにより、剥離後の風合いに良い傾向があると推測される。
なお、本発明の基材シートは上記実施形態に限定されない。例えば、本発明の基材シートは、支持体11とキャスト塗工層12の間にバリア層13が形成されていなくてもよい。
<工程剥離シート>
本発明の工程剥離シートの一実施形態について説明する。
図2に、本実施形態の工程剥離シートを示す。本実施形態の工程剥離シート1は、上記基材シート10と、基材シート10のキャスト塗工層12の、支持体11と反対側の面に形成された剥離層20とを有するものである。
(剥離層)
剥離層20は、剥離剤成分と、シリカを含む剥離層用顔料とを含有する。
剥離剤成分としては、例えば、シリコーン、アルキド樹脂、アルキド・シリコーン共重合体、シリコーン変性アミノアルキド樹脂、シリコーン変性アミノアクリル樹脂、及びこれらの混合物等を使用できる。
これらの中でも、合成皮革製造用の工程剥離シートとしての耐熱性、塗工面の均一性に優れることから、アルキド樹脂が好ましい。さらに樹脂を重合する際、ホルマリンと化学反応を起こす物質をホルマリン吸着剤として添加するのが好ましい。吸着剤としては例えば、アミノ基、アミド基、イミド基、イミノ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、ヒドラゾン基を含有する化合物である。これにより副生成物として発生するホルマリンを除去することができるとともに、剥離層20の表面20aの光沢度を下げることができるため、剥離層用顔料の含有量を減らして、塗工適性を改善することができるので、好ましい態様である。
剥離層用顔料に含まれるシリカは、平均粒子径が1〜3μmかつ最大粒子径が10μm以下であることが好ましい。シリカの平均粒子径が1μm以上であれば、所望の光沢値を調整することが容易になり、シリカの平均粒子径が3μm以下であれば、安定した均一な塗工面が得られる。また、最大粒子径が10μm以下であれば、合成皮革の表面外観が良好になる。
シリカの平均粒子径は1.5〜2.5μmであることがより好ましく、1.7〜2.2μmであることが特に好ましい。また、シリカの最大粒子径は8μm以下であることがより好ましい。
シリカの平均粒子径は、シリカが1次粒子である場合には1次粒子の平均粒子径であり、2次粒子である場合には2次粒子の平均粒子径である。また、シリカの平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定された50%体積積算値の粒子径である。
シリカは1次粒子、2次粒子のいずれであってもよいが、2次粒子であれば、エンボス加工した際に剥離層20の表面光沢の調整が容易になる。
剥離層20における剥離層用顔料の含有量は、剥離剤成分100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、3〜15質量部であることがより好ましい。剥離層用顔料含有量が1質量部以上であれば、光沢を容易に90%以下にでき、20質量部以下であれば、均一な塗工面が容易に得られる。
剥離層用顔料には、必要に応じて、シリカ以外の顔料が含まれてもよい。シリカ以外の顔料としては、例えば、カオリン、タルク、石膏、バライト粉、アルミナホワイト、二酸化チタン、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
シリカ以外の顔料の含有量は、剥離層用顔料全体を100質量%とした際の5〜50質量%であることが好ましい。シリカ以外の顔料の含有量が5質量%以上であれば、シリカ以外の顔料によって剥離層20の特性を容易に調整でき、50質量%以下であれば、シリカ以外の顔料が本発明の効果を阻害することを防止できる。
剥離層20には、本発明の効果を妨げない範囲で、染料、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤等の各種助剤が含まれてもよい。
剥離層20においては、基材シート10と反対側の表面20aの75度光沢度が30〜90%であることが好ましい。ここで、75度光沢度はJIS Z 8741に準じて測定した値である。
剥離層20の表面20aの光沢度が30〜90%であれば、光沢を適度に抑えた高級感のある合成皮革を得ることができる。
(使用方法)
本発明の合成皮革の製造方法は、上記工程剥離シート上に、合成皮革用樹脂塗料を塗工して皮革層を形成する工程と、前記工程剥離シートを合成皮革の皮革層から剥離する工程とを有する方法である。
ここで、合成皮革用樹脂塗料に含まれる樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、アミド樹脂、アミノ酸樹脂などが挙げられる。合成皮革用樹脂塗料を塗工する際には、上記剥離剤塗料の塗工で用いる装置と同じものを適用することができる。
例えば、ロールコーター、ナイフコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、リップコーター、ダイコーター等の公知の塗工機が使用できる。また、印刷機を用いてもよく、これらに限定されない。
(合成皮革の製造方法)
本発明の合成皮革の製造方法においては、皮革層を形成した後、皮革層に織布や不織布などの基布を貼り合わせてもよい。その際には、皮革層と基布との間に周知の各種接着剤を介在させてもよい。
このような製造方法により得られた合成皮革は、中間光沢調の上記工程剥離シートの表面が転写されたものであるから、均一な中間光沢調の風合いを有している。また、上記工程剥離シートの剥離性は高く、工程剥離シートから容易に合成皮革を剥離することができるため、合成皮革を簡便に製造できる。
(工程剥離シートの製造方法)
工程剥離シート1の製造方法の一例を説明する。
本例の工程剥離シート1の製造方法は、上記基材シート10のキャスト塗工層12の表面12aに、剥離剤塗工液を塗工し、乾燥して剥離層20を形成し、必要に応じて、剥離層20をエンボス加工する方法である。
剥離剤塗工液は、上記剥離剤成分が溶剤に溶解または分散したものである。溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソブタノール、ノルマルブタノール、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
剥離剤塗工液の固形分濃度は、生産性および塗工性の両立の点から、10〜60質量%であることが好ましい。
剥離剤塗工液を塗工する装置としては、合成皮革製造の際に合成皮革用樹脂塗料の塗工で用いる装置と同じものを適用することができる。
剥離剤塗工液の塗工量としては、乾燥塗工量で1〜10g/mであることが好ましい。剥離剤塗工液の塗工量が1g/m以上であれば、得られた工程剥離シート1の剥離性が十分であり、一方、10g/m以下であれば剥離性が飽和しないため経済性に優れる。
塗工後の乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥、赤外線乾燥などが適用される。乾燥温度は使用する溶剤に応じて適宜選択されるが、80〜250℃であることが好ましい。乾燥温度が80℃以上であれば、速やかに乾燥でき、250℃以下であれば、剥離層20の熱劣化を抑制できる。
以上説明した工程剥離シート1によれば、合成皮革を容易に剥離できる。これは、基材シート10のキャスト塗工層12の耐溶剤性が優れるため、剥離剤塗工液を塗布しても、キャスト塗工層12が溶解せず、剥離層20にキャスト塗工層12の成分が混じりにくい上に、表面状態が良くなるためと思われる。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中の「部」、「%」は、光沢度の単位の「%」を除き、それぞれ「質量部」、「質量%」である。
参考例1)
[原紙の作製]
酸素−オゾン−水酸化ナトリウム−過酸化水素−二酸化塩素の順で多段漂白された広葉樹晒クラフトパルプ(CSF430mL)85質量%と、酸素−オゾン−水酸化ナトリウム−過酸化水素−二酸化塩素の順で多段漂白された針葉樹晒クラフトパルプ(CSF450mL)15質量%とを含むパルプスラリーを調製した。このパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、商品名タマパールTP−121)を原紙灰分が10質量%になるように添加した後、パルプ固形分に対して硫酸アルミニウム0.5質量%、カチオン澱粉(王子コーンスターチ社製、商品名エースK−100)0.5質量%、アルキルケテンダイマーサイズ剤(荒川化学工業社製、商品名サイズパインK−287)0.1質量%、ポリアクリルアミド(荒川化学工業社製、商品名ポリストロン851)0.02質量%を順次添加して、紙料を調製した。得られた試料をオントップツインワイヤー抄紙機で抄紙し、さらにゲートロールサイズプレス装置で酸化澱粉(王子コーンスターチ社製、商品名エースA)を両面に1.5g/m(固形分換算)で塗布し、乾燥した。その後、マシンカレンダーで平滑化処理を施して、実量119g/m、緊度0.75g/cm、紙面pH7.6の原紙を得た。
[バリア層の形成]
上記原紙の上に、ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名PVA110)を含む塗工液を乾燥塗工量10g/mになるようにブレードコーターにより塗工し、200℃で熱風乾燥して、バリア層を形成した。
[キャスト塗工層形成用塗工液の調製]
カオリン(エンゲルハード社製、商品名UW−90)85質量部、軽質炭酸カルシウム(白石工業社製、商品名PX)15質量部、ポリアクリル酸ナトリウム0.5質量部をコーレス分散機を用いて水中に分散して、固形分濃度65質量%の顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに、顔料100質量部に対して、離型剤としてステアリン酸アンモニウム1.0質量部、バインダとして、アンモニアを用いて溶解させた15質量%カゼイン水溶液6.25質量部(固形分換算)、および、ブタジエン含有率が41質量%のスチレン・ブタジエン共重合体のラテックス18.75質量部(固形分換算)を添加して、固形分濃度が54質量%のキャスト塗工層形成用塗工液を調製した。その際、スチレン・ブタジエン共重合体とカゼインとの質量比率(スチレン・ブタジエン共重合体/カゼイン)は75/25とした。
上記バリア層の上に、上記キャスト塗工層形成用塗工液をロールコーターにより乾燥塗工量が10g/mになるように塗工・乾燥した後、再湿潤液を塗布し、表面温度が80℃のキャストドラムから剥離して、キャスト仕上げをした。
これにより、キャスト塗工層(75度光沢度93%)を形成して、坪量157g/mのキャスト塗工紙を得た。
また、アミノシリコーン変性アルキド樹脂(信越化学工業社製、商品名KS883)100部に、平均粒径2.0μm、最大粒径10μmの粒状シリカ(水澤化学工業社製、商品名P527)を5部、酸触媒としてパラトルエンスルホン酸を3部配合し、溶媒としてトルエンを固形分濃度30%になるように添加して、剥離剤塗工液を調製した。
次いで、キャスト塗工紙のキャスト塗工層に、前記剥離剤塗工液をグラビアコーターにより乾燥塗工量6g/mになるように塗工し、150℃で乾燥して剥離層を形成した。
そして、剥離層をエンボスロールによりエンボス加工して工程剥離シートを得た。
得られた工程剥離シートの剥離剤表面に、ウレタン樹脂を含む合成皮革製造用塗料をナイフコートで塗工し、乾燥して皮革層を設けた。その後、皮革層上にポリウレタン接着剤をナイフコートで塗工、乾燥して接着剤層を形成し、次いで、この接着剤層上に基布を貼り合わせ、乾燥した。これにより、工程剥離シート上に、皮革層と基布とが接着剤層を介して接着された合成皮革を形成して、工程剥離シート付き合成皮革を得た。そして、合成皮革を工程剥離シートから剥離した。
参考例2)
キャスト塗工紙のキャスト塗工層に含まれるスチレン・ブタジエン共重合体を、ブタジエン含有率が45%のものに変更した以外は参考例1と同様にして工程剥離シートおよび合成皮革を得た。
(実施例3)
キャスト塗工紙のキャスト塗工層に含まれるスチレン・ブタジエン共重合体を、ブタジエン含有率が50%のものに変更した以外は参考例1と同様にして工程剥離シートおよび合成皮革を得た。
(実施例4)
キャスト塗工紙のキャスト塗工層に含まれるスチレン・ブタジエン共重合体を、ブタジエン含有率が55%のものに変更した以外は参考例1と同様にして工程剥離シートおよび合成皮革を得た。
(実施例5)
粒状シリカを、平均粒子径1.0μm、最大粒子径8μmのものに変更した以外は実施例3と同様にして工程剥離シートおよび合成皮革を得た。
(実施例6)
粒状シリカを、平均粒子径1.8μm、最大粒子径8μmのものに変更した以外は実施例3と同様にして工程剥離シートおよび合成皮革を得た。
(実施例7)
キャスト塗工紙のキャスト塗工層に含まれるスチレン・ブタジエン共重合体を、ブタジエン含有率が61%のものに変更した以外は参考例1と同様にして工程剥離シートおよび合成皮革を得た。
(実施例8)
キャスト塗工紙のキャスト塗工層に含まれるスチレン・ブタジエン共重合体とカゼインの質量比率を40/60に変更した以外は実施例4と同様にして工程剥離シートおよび合成皮革を得た。
参考例9)
粒状シリカを、平均粒子径3.6μm、最大粒子径15μmのものに変更した以外は実施例3と同様にして工程剥離シートおよび合成皮革を得た。
参考例10)
キャスト塗工紙のキャスト塗工層に含まれるスチレン・ブタジエン共重合体とカゼインの質量比率を40/60に変更した以外は参考例1と同様にして工程剥離シートおよび合成皮革を得た。
参考例11)
粒状シリカを、平均粒子径0.6μm、最大粒子径6μmのものに変更した以外は実施例3と同様にして工程剥離シートおよび合成皮革を得た。
参考例12)
粒状シリカを、平均粒子径1.8μm、最大粒子径15μmのものに変更した以外は実施例3と同様にして工程剥離シートおよび合成皮革を得た。
(実施例13)
アミノシリコーン変性アルキド樹脂重合時にホルマリン吸着剤としてジシアノジアミド(関東化学社製 特級試薬)を0.1部添加した以外は実施例3と同様にして工程剥離シートおよび合成皮革を得た。
(実施例14)
粒状シリカの添加部数を4部に変更した以外は実施例13と同様にして工程剥離シートおよび合成皮革を得た。
(比較例1)
キャスト塗工紙のキャスト塗工層に含まれるスチレン・ブタジエン共重合体を、ブタジエン含有率が38%のものに変更した以外は参考例1と同様にして工程剥離シートおよび合成皮革を得た。
(比較例2)
基材シートとして、顔料塗工層中のバインダとしてブタジエン含有率が38%のスチレン・ブタジエン共重合体および塗工層用顔料としてカオリンを含有する塗工層を有し、塗工層がスーパーカレンダーによって鏡面仕上げされた坪量157g/mのカレンダー仕上げ塗工紙を用いた以外は参考例1と同様にして工程剥離シートおよび合成皮革を得た。
実施例3〜8,13,14、参考例1,2,9〜12および比較例1〜2の工程剥離シートにおける、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)のブタジエン単位含有量、SBRのゲル分率、基材シートの種類、他のバインダの種類、スチレン・ブタジエン共重合体と他のバインダの質量比、シリカの平均粒子径および最大粒子径、剥離層表面のJIS Z 8741に準じて測定した75度光沢度を、表1にまとめて示す。
なお、ゲル分率は、以下の方法により測定した。
すなわち、ポリ四フッ化エチレンのシートの上に、スチレン・ブタジエン共重合体のラテックスを塗布し、50℃で24時間乾燥して、膜厚が0.3〜0.5mm(乾燥後)の皮膜を形成した。次いで、前記皮膜を3cm角に切り、その質量を測定した後、トルエンに24時間浸漬した。その後、105℃で3時間以上乾燥してトルエンを完全に揮散させ、得られた固形物の質量を測定した。そして、式(1)により、ゲル分率を求めた。
式(1) ゲル分率=(トルエン浸漬後の質量/トルエン浸漬前の質量)×100(%)
Figure 0005440172
実施例3〜8,13,14、参考例1,2,9〜12および比較例1〜2の工程剥離シートを用い、以下の方法により合成皮革を製造した。
工程剥離シートの剥離層の表面に、合成皮革表皮用のポリウレタンの溶液(大日精化工業社製NE310)をナイフコートにより乾燥塗工量25g/mで塗工し、100℃で熱風乾燥して、表皮を作製した。次いで、得られた表皮にポリウレタン接着剤(大日精化工業社製UD603)をナイフコートで塗布し、その接着剤を介して基布(アキレス社製NTベース)を貼り合わせ、150℃で乾燥した。そして、工程剥離シートから剥離して、合成皮革を得た。
以上の実施例、比較例及び参考例で得られた工程剥離シート、およびこれら工程剥離シートを使用して作製した合成皮革について下記評価を実施した。その結果を表2に示す。
[剥離剤塗工液の塗工適性]
剥離剤塗工液を塗工して形成した剥離層の表面状態を目視により観察し、剥離剤塗工液の塗工適性を評価した。
○:塗工スジの無い均一な塗工面であった。
△:塗工スジが一部見られたが、実用レベルであった。
×:塗工スジがあり、不均一な塗工面であった。
[合成皮革の剥離性]
合成皮革を工程剥離シートから剥離する際の剥離性を目視により評価した。
○:実用上問題ない剥離性を有していた。
△:剥離が重く、実用上問題になる可能性がある剥離性であった。
[合成皮革の表面外観]
得られた合成皮革の表面外観を目視により観察し、評価した。
◎:均一で、かつ漆黒性に優れる。
○:ほとんどムラがなく、かつ漆黒性が良好であった。
△:ムラまたはスジが若干見られた。
×:不均一なムラまたはスジが見られた。
なお、△以上であれば、実用性を有する。
[繰り返し使用適性]
1回目剥離後、および2回目剥離後で得られた合成皮革の表面に、暗室にてカドニカライトの光を照射し、目視により外観を評価し、判定した。
○:白化、曇り、剥離ムラが見られなかった。
×:白化、曇り、剥離ムラが見られた。
Figure 0005440172
基材シートのキャスト塗工層のバインダが、ブタジエン単位を40%より多く含むスチレン・ブタジエン共重合体を50質量%以上含有する実施例3〜8,13,14、参考例1,2,9〜12の工程剥離シートによれば、合成皮革を容易に剥離できた。また、繰り返し使用適性にも優れていた。
特に、スチレン・ブタジエン共重合体のブタジエン単位が45%以上であった実施例2〜7,13,14の工程剥離シートを用いた場合には、合成皮革の表面外観がより優れていた。
また、剥離層中のシリカの最大粒子径が10μm以下であった実施例〜8,13,14および参考例1,2,10,11の工程剥離シートでは、基材シートに剥離剤塗工液を塗工する際に容易に塗工できた。すなわち、塗工適性に優れていた。
これに対し、キャスト塗工層のバインダに含まれるスチレン・ブタジエン共重合体のブタジエン単位が40%以下であった比較例1,2の工程剥離シートでは、合成皮革の剥離性が低かった。とりわけ、基材シートとして、スーパーカレンダー仕上げ塗工紙を用いた比較例2では、繰り返し使用適性を有していなかった。
本発明の基材シートは、工程剥離シートに用いることができ、工程剥離シートから合成皮革を剥離する際に、剥離性の向上を実現できる。
本発明の工程剥離シートを用いることにより、合成皮革の剥離性の向上を実現できる。

Claims (6)

  1. 工程剥離シート用基材シートと剥離層とを有する工程剥離シートであって、
    工程剥離シート用基材シートは、支持体と、バインダおよび塗工層用顔料を含有するキャスト塗工層とを有するキャスト塗工紙からなり、バインダは、ブタジエン単位を50質量%以上含み且つゲル分率が90〜100質量%のスチレン・ブタジエン共重合体を含有し、
    剥離層は、前記基材シートのキャスト塗工層の、支持体と反対側の面に形成され、剥離剤成分と、シリカを含む剥離層用顔料とを含有し、剥離層用顔料に含まれるシリカは、平均粒子径が1〜3μmかつ最大粒子径が10μm以下であることを特徴とする工程剥離シート。
  2. バインダにおけるスチレン・ブタジエン共重合体の含有量は、バインダ全体を100質量%とした際の50質量%以上である請求項1に記載の工程剥離シート
  3. バインダがカゼインを含有する請求項1または2に記載の工程剥離シート
  4. 剥離剤成分は、ホルマリン吸着剤を添加したアルキド樹脂である請求項1〜3のいずれか一項に記載の工程剥離シート。
  5. 剥離層における工程剥離シート用基材シートと反対側の表面は、JIS Z 8741に準じて測定した75度光沢度が30〜90%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の工程剥離シート。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の工程剥離シート上に、合成皮革用樹脂塗料を塗工して皮革層を形成する工程と、前記工程剥離シートを合成皮革の皮革層から剥離する工程とを有することを特徴とする合成皮革の製造方法。
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