JP5439158B2 - プラグの抜出し方法 - Google Patents
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Description
そこで、例えば下記特許文献1に示されるような、積層体に一方向にせん断力を作用させてプラグとともにせん断変形させる変形工程と、積層体をせん断変形前の形状に復元させる復元工程と、プラグを積層方向に抜き出す抜出し工程と、を備えるプラグの抜出し方法が知られている。
この方法によれば、変形工程時に、プラグは、一方向に沿った大きさが小さくなるように塑性変形させられる。その後、復元工程時に、積層ゴムが、せん断変形前の形状に復元変形するものの、プラグが、せん断変形後の形状を維持することとなり、プラグの一方向に沿った大きさが、積層体の内径よりも小さくなり、プラグの外周面と積層体の内周面とが離反することとなる。したがって、抜出し工程時に、プラグを積層体から積層方向に抜き出すことができる。
さらにこの方法では、抜出し工程の前に、変形工程および復元工程を2回ずつ行っている。すなわち、1度目の変形工程として、積層体に一方向にせん断力を作用させた後、1度目の復元工程を行い、その後、2度目の変形工程として、積層体に一方向と交差する他方向にせん断力を作用させた後、2度目の復元工程を行っている。これにより、プラグの一方向および他方向に沿った大きさをそれぞれ小さくすることが可能になり、プラグを積層体から積層方向に容易に抜き出すことができるとされている。
本発明に係るプラグの抜出し方法は、軟質板と硬質板とが交互に積層された積層体と、該積層体に、その積層方向に貫通するように圧入されたプラグと、を備える免震装置の積層体からプラグを抜き出すプラグの抜出し方法であって、前記免震装置に一方向にせん断力を作用させて前記プラグを塑性変形させた後、該せん断力を解除することにより前記プラグの外周面と前記積層体の内周面とを離反させる第1離反工程と、該第1離反工程で前記プラグの外周面と前記積層体の内周面との間に形成された第1空隙に、介在部材を配設する配設工程と、前記免震装置に前記一方向に交差する他方向にせん断力を作用させて前記プラグを塑性変形させた後、該せん断力を解除することにより前記プラグの外周面と前記積層体の内周面とを離反させる第2離反工程と、前記プラグを前記積層体から前記積層方向に抜き出す抜出し工程と、を備え、前記配設工程は、前記第2離反工程の前に行うことを特徴とする。
なお、第1離反工程時にプラグを一方向にせん断変形させたときに、このプラグが一方向に直交する方向に拡幅変形することで、プラグの外周面が積層体の内周面に押し込められているため、第2離反工程時にプラグの外周面が積層体の内周面から離反するときには、プラグの破片が積層体の内周面に残存し易くなっていることから、前述の作用効果は顕著に奏功されることとなる。
図1に示すように、免震装置1は、ゴム層(軟質板)2と金属板(硬質板)3とが交互に積層された積層ゴム(積層体)4と、該積層ゴム4の積層方向Zに貫通するように該積層ゴム4に圧入された鉛プラグ(プラグ)5と、積層ゴム4の積層方向Zの両端に固着された取付けプレート6と、を備えている。
まず、図2および図3に示すように、キャップ8と、取付けプレート6との溶接を切ってキャップ8を外す。
この工程では、まず図4に示すように、例えば、一般的な免震装置1の試験機を用いて、免震装置1に一方向Xにせん断力を作用させて積層ゴム4および鉛プラグ5をせん断変形させる。これにより、鉛プラグ5は、一方向Xに沿った縦断面視形状が平行四辺形状となるように、塑性変形させられる。
なおこの際、例えば、前記せん断力を解除するとともに積層ゴム4を強制的にせん断変形前の形状に復元しても良い。
以上で第1離反工程が終了する。
この工程では、まず、免震装置1に他方向Yにせん断力を作用させて積層ゴム4および鉛プラグ5をせん断変形させることで、鉛プラグ5を塑性変形させる。ここで本実施形態では、第2離反工程の前に配設工程を行っているので、第2離反工程時に鉛プラグ5を他方向Yにせん断変形させるときに、鉛プラグ5が、他方向Yに直交する一方向Xに拡幅変形しても、鉛プラグ5の外周面5aと積層ゴム4の内周面4aとの間に介在部材11が介在することとなり、鉛プラグ5が、積層ゴム4のゴム層2に食い込んでしまうことが抑制される。
これにより、鉛プラグ5の他方向Yの両外側において、鉛プラグ5および介在部材11と積層ゴム4の内周面4aとの間に第2空隙12が形成される。図示の例では、第2空隙12は、平面視三日月状となっており、一方向Xの中央部から両外側に向かうに従い、他方向Yに沿った大きさが漸次、小さくなっている。
なお前記樹脂材料としては、配設工程で介在部材11に採用した樹脂材料と同様のものを採用することができる。
ここで本実施形態では、介在部材11および充填部材13が、樹脂材料で形成されているので、鉛プラグ5が積層ゴム4に圧入されるときに、積層ゴム4の内周面4aを形成するゴム層2に食い込むことで、積層ゴム4の内周面4aが、積層方向Zに交互に並ぶ凹凸状をなしていても、介在部材11および充填部材13を、積層ゴム4から鉛プラグ5とともに積層方向Zに容易に抜き出すことができる。すなわち、介在部材11および充填部材13が、積層ゴム4の内周面4aに倣って凹凸状をなすものの、介在部材11および充填部材13が樹脂材料で形成されているので、積層ゴム4の内周面4aの凸部と介在部材11の凸部とを、介在部材11の凸部を弾性変形させながら積層方向Zに互いに乗り越えさせることができるとともに、積層ゴム4の内周面4aの凸部と充填部材13の凸部とを、充填部材13の凸部を弾性変形させながら積層方向Zに互いに乗り越えさせることができる。
以上により、免震装置1の積層ゴム4から鉛プラグ5を抜き出すことができる。
なお、第1離反工程時に鉛プラグ5を一方向Xにせん断変形させたときに、この鉛プラグ5が一方向Xに直交する他方向Yに拡幅変形することで、鉛プラグ5の外周面5aが積層ゴム4の内周面4aに押し込められているため、第2離反工程時に鉛プラグ5の外周面5aが積層ゴム4の内周面4aから離反するときには、鉛プラグ5の破片が積層ゴム4の内周面4aに残存し易くなっていることから、前述の作用効果は顕著に奏功されることとなる。
例えば、前記実施形態では、充填工程を備えているものとしたが、充填工程はなくても良い。
また前記実施形態では、他方向Yは、一方向Xに直交しているものとしたが、積層方向Zに直交しかつ一方向Xに交差していれば、これに限られるものではない。
また前記実施形態では、抜出し工程時に、介在部材11を鉛プラグ5とともに積層ゴム4から抜き出すものとしたが、介在部材11は積層ゴム4から抜き出されなくても良い。
2 ゴム層(軟質板)
3 金属板(硬質板)
4 積層ゴム(積層体)
4a 内周面
5 プラグ
5a 外周面
10 第1空隙
11 介在部材
12 第2空隙
13 充填部材
X 一方向
Y 他方向
Z 積層方向
Claims (3)
- 軟質板と硬質板とが交互に積層された積層体と、
該積層体に、その積層方向に貫通するように圧入されたプラグと、を備える免震装置の積層体からプラグを抜き出すプラグの抜出し方法であって、
前記免震装置に一方向にせん断力を作用させて前記プラグを塑性変形させた後、該せん断力を解除することにより前記プラグの外周面と前記積層体の内周面とを離反させる第1離反工程と、
該第1離反工程で前記プラグの外周面と前記積層体の内周面との間に形成された第1空隙に、介在部材を配設する配設工程と、
前記免震装置に前記一方向に交差する他方向にせん断力を作用させて前記プラグを塑性変形させた後、該せん断力を解除することにより前記プラグの外周面と前記積層体の内周面とを離反させる第2離反工程と、
前記プラグを前記積層体から前記積層方向に抜き出す抜出し工程と、を備え、
前記配設工程は、前記第2離反工程の前に行うことを特徴とするプラグの抜出し方法。 - 請求項1記載のプラグの抜出し方法であって、
前記配設工程は、前記第1空隙に未硬化状態の樹脂材料を注入した後に硬化させることで、前記第1空隙に前記介在部材を配設することを特徴とするプラグの抜出し方法。 - 請求項1又は2に記載のプラグの抜出し方法であって、
前記第2離反工程で前記プラグの外周面と前記積層体の内周面との間に形成された第2空隙に、未硬化状態の樹脂材料を注入した後に硬化させることで充填部材を配設する充填工程を備え、
前記抜出し工程は、前記充填部材を前記プラグとともに前記積層体から前記積層方向に抜き出すことを特徴とするプラグの抜出し方法。
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