JP5434092B2 - 発光装置及び電子機器 - Google Patents
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Description
かかる有機EL素子、ないしはこれを備えた画像表示装置としては、例えば特許文献1及び2に開示されているようなものが知られている。
もっとも、このような駆動回路には様々な解決すべき課題がある。例えば、当該駆動トランジスタの閾値電圧のバラツキにより発光輝度がばらつき、その結果、表示画像の品質が低下する、等々である。
この点、前記特許文献1が開示する技術、即ち「スタート信号線」に「スタート信号」と「消灯タイミング信号」という異なるパルス幅をもつ信号を生成するデコーダ回路を備える技術(特許文献1の〔図8〕〔請求項1〕等参照)を応用すれば、回路規模の増大といった不具合を被るおそれは少なくなる。とはいえ、そのような態様の信号生成は一般に容易ではないため、当該の処理の複雑さが増大し、あるいは、それに見合ったコストの増大が見込まれる、などといった課題がなおある。
また、この特許文献1等のような技術では、スタートパルスが、1フレーム中複数回アクティブとなる(ハイレベル・ローレベルの往還が複数回繰り返される)ので、それを生成する信号生成回路内での貫通電流や、各種寄生容量の充放電等によって消費電力が増大するといったおそれもある。
また、本発明は、かかる態様の発光装置、あるいは電子機器に関連する課題を解決可能な、発光装置、あるいは電子機器を提供することをも課題とする。
また、本発明によれば、いわば1回の機会、あるいは1個の構成で、複数種類の制御信号のうちの2以上の制御信号が生成されるようになっているので、これらを別々の回路によって生成する、などといった場合に比べて、回路規模の縮小化を実現することができる。
また、本発明において、起点パルス信号が、「Z個の順番に従って順次」生成されるとは、例えば、Z個の単位シフト回路に、1,2,…,Zという番号を付けたとすると、1番目,2番目,…,Z番目の単位シフト回路が、この順番に起点パルス信号を生成するという場合を含むほか、その逆に、Z番目,(Z−1)番目,(Z−2)番目,…,1番目の単位シフト回路が、この順番に起点パルス信号を生成するという場合を含む。ちなみに、本発明において、“Z”は、“N”と一応使い分けられているが、これらに関しては、N=Z 又は N≠Zが成立してよい。
さらに、本発明において、「複数種類の制御信号」という場合、その中には例えば、ある種類の制御信号のパルス幅は前記クロック信号の1/4周期分の長さをもつが、他の種類の制御信号のパルス幅は2周期分の長さをもつ、などという場合、等々が含まれる。
この態様によれば、スタートパルス信号に関するハイレベル及びローレベルの往還は、いわゆる1フレーム期間(前述の「複数の発光素子の各々を一通り駆動する間」に相当する。)中、1回だけ行われることから、このスタートパルス信号生成手段その他の回路構成等を含む駆動回路内で、貫通電流や、各種寄生容量の充放電等によって消費電力が極端に増大するといったおそれがない。
この態様によれば、複数種類の制御信号のうちの1つが、他の1つに基づいて生成されることから、信号生成回路の回路構成を効率化・簡易化することが可能になる。また、本態様は、複数種類の制御信号を生成するための最も合理的な方法の1つを提供するということもできる。
この態様によれば、信号生成回路の好適な構成例の1つが提供される。なお、この態様に関する、より詳細な具体例については、後述する実施形態においても説明される。
この態様によれば、発光素子に駆動電流を供給する駆動トランジスタの閾値電圧を補償するための補償制御信号が、信号生成回路によって生成される。この場合、この補償制御信号は、前記起点パルス信号のパルス幅に応じて生成されることから、好適には例えば、当該パルス幅によって規定される比較的長い時間、閾値電圧補償動作を継続させることが可能である。これにより、よりよい閾値電圧補償が実行され得る。
なお、この態様に関する、より詳細な具体例(単位回路の詳細な構成、あるいはそれに基づく補償制御信号の具体的あり方等)については、後述する実施形態においても説明される。ちなみに、この点に関しては、後述する実施形態の変形例を説明する箇所における(3)の説明も参照されたい。
この態様によれば、信号生成回路が生成する複数種類の制御信号の好適な具体例の1つが提供される。
なお、この態様においては、好適には、前記補償制御信号のパルス幅と、本態様に係る初期化信号のパルス幅とは異なっていることが好ましい。かかる態様の、より詳細な具体例については、後述する実施形態においても説明される。
また、本発明に係る「複数種類の制御信号」は、上述した「補償制御信号」、「初期化信号」のほか、例えば、前記発光素子の発光及び非発光を制御するための発光制御信号、あるいは、前記駆動トランジスタのゲート電位を所定の電位に設定するためのデータ信号の前記単位回路への書込の有無を司る書込信号(走査信号)、等々が含まれてよい。
この態様によれば、制御信号の効率的な利用が可能となり、信号生成回路の構成の効率化・簡易化、走査線に含まれる配線数の減少、等々の利点が享受され得る。
なお、この場合においては、第p番目の単位回路における当該制御信号の“意味”と、第(p+1)番目の単位回路における当該制御信号の“意味”とは異ならせてあることが好ましい。例えば、前述した、「補償制御信号」等々の各種の制御信号の例を前提としていえば、当該制御信号は、第p番目の単位回路においては“書込信号(走査信号)”としての意味をもち、第(p+1)番目の単位回路においては“補償制御信号”としての意味をもつ、などというようである。
本発明によれば、上述した各種の発光装置を備えてなるので、制御信号生成処理の簡易化、回路規模の縮小化、消費電力低減、より確実な閾値電圧補償動作の実行、等々の各種の効果が享受される。
以下では、本発明に係る第1実施形態について図1乃至図4を参照しながら説明する。なお、ここに言及した図1乃至図4に加え、以下で参照する各図面においては、各部の寸法の比率が実際のものとは適宜に異ならせてある場合がある。
画像表示領域7aは、素子基板7上、これら複数の有機EL素子8が配列されている領域である。画像表示領域7aでは、各有機EL素子8の個別の発光及び非発光に基づき、所望の画像が表示され得る。なお、以下では、素子基板7の面のうち、この画像表示領域7aを除く領域を、「周辺領域」と呼ぶ。
前記のうち走査線駆動回路103は、走査線3のそれぞれを順番に選択するための回路である。また、データ線駆動回路106は、走査線駆動回路103によって選択された走査線3に対応する各有機EL素子8に向けて、各データ線6を通じてデータ信号を供給するための回路である。第1実施形態においては、走査線駆動回路103の構成及び動作について特徴があるが、この点については後述する。
なお、これらクロック信号CLK及びスタートパルス信号SPは、両回路(103,106)の別に応じて例えば周期、位相等の態様の異なるものが生成されてもよいし、そのうちの全部又は一部が両回路(103,106)間で共用されてもよい。
単位回路Pは、図2に示すように、有機EL素子8を含むほか、駆動トランジスタTdr、発光制御トランジスタTel、第1〜第4トランジスタTr1〜Tr4、及び第1〜第3容量素子C1〜C3を含む。
なお、図1では便宜的に1本の配線として図示された走査線3は、図2に示すように実際には4本の配線を含む。各配線には走査線駆動回路103から所定の信号が供給される。より詳細には、これら各配線には、それぞれ、走査信号GWRT[i]、補償制御信号GINI[i]、初期化信号GPRE[i]、及び発光制御信号GEL[i]が供給される。これら各信号の具体的な意義やこれに応じた単位回路Pの動作については後述する。なお、ここで使われた記号iは、前記マトリクス状配列の中の行番号を意味する(図1参照。1本の走査線3が4本の配線からなるので、全走査線3に含まれる配線数は結局、4N本である。)。また、これら各信号(GWRT[i],GINI[i],GPRE[i],GEL[i])は、本発明にいう「発光素子の各々に対応して、その駆動に関与する複数種類の制御信号」の一具体例に該当する。
この駆動トランジスタTdrは、ソース(S)とドレイン(D)との導通状態(ソース−ドレイン間の抵抗値)がゲート電位Vgに応じて変化することで当該ゲート電位Vgに応じた駆動電流Ielを生成する手段である。なお、ゲート電位Vgは、データ線6を通じて供給されるデータ信号Dataの大きさに応じる。
こうして、有機EL素子8は、駆動トランジスタTdrの導通状態、ないしはデータ信号Dataに応じて駆動される。
なお、有機EL素子8の画素電極は、前記駆動トランジスタTdrを介して前述した高電源電位Velが供給される電源線113に接続され、その対向電極は低電源電位VCTが供給される電位線(不図示)に接続される。
第1容量素子C1の一方の電極及び第2容量素子C2の一方の電極(いずれも図中上方の電極)は電源線113に接続される。また、第1容量素子C1の他方の電極は第3容量素子C3の一方の電極(図中右方の電極)に接続され、第2容量素子C2の他方の電極は第3容量素子C3の他方の電極(図中左方の電極)に接続される。
第4トランジスタTr4は、初期化電位VSTが供給される電位線(不図示)と駆動トランジスタTdrのドレインとの間に設けられ両者の電気的な接続を制御するスイッチング素子である。第4トランジスタTr4のゲートには前記の初期化信号GRPE[i]が供給される。なお、VSTは、VST<Vel−Vthを満たす。ここでVthは駆動トランジスタTdrの閾値電圧である。
第3トランジスタTr3は、ノードZ2と駆動トランジスタTdrのドレインとの間に設けられ両者の電気的な接続を制御するスイッチング素子である。第3トランジスタTr3のゲートには補償制御信号GINI[i]が供給される。補償制御信号GINI[i]は、第2及び第3トランジスタTr2及びTr3間で共用される。
〔i〕初期化: 初期化信号GPRE[i]及び補償制御信号GINI[i]がハイレベルとなることで、第2〜第4トランジスタTr2〜Tr4がONとなり、これにより、第3容量素子C3は放電するとともに、初期化電位VSTをもつ。
〔ii〕補償: 初期化信号GPRE[i]がローレベルに遷移して第4トランジスタTr4がOFFとなり、補償制御信号GINI[i]がハイレベルを維持する。これにより、駆動トランジスタTdrはダイオード接続され、そのゲート・ソース間電圧が閾値電圧Vthに漸近し、したがってゲート電位Vgは、Vg=Vel−Vthに漸近する。なお、この一連の過程中、第1容量素子C1は閾値電圧Vthを保持する。
〔iii〕データ書込: 補償制御信号GINI[i]がローレベルに遷移して第2・第3トランジスタTr2・Tr3がOFFとなる一方、走査信号GWRT[i]がハイレベルとなることで、第1トランジスタTr1がONとなる。この際、適当な電位をもつデータ信号がデータ線6を通じて供給されると、それに応じて第3容量素子C3の電極(図中左方の電極)の電位が変動し、さらにそれに伴って駆動トランジスタTdrのゲート電位Vgが変動する。ここで「適当な電位」というのは、当該の有機EL素子8の発光階調に加えて、第1・第3容量素子C1・C3による分圧等の影響を勘案した上で設定される電位であることを含意する。結局、ゲート電位Vgは、データ信号の大きさに応じて変動する。
〔iv〕駆動: 走査信号GWRT[i]がローレベルに遷移して第1トランジスタTr1がOFFとなる一方、発光制御信号GEL[i]がハイレベルとなることで、発光制御トランジスタTelがONとなる。これにより、有機EL素子8には、ゲート電位Vgに応じた大きさの駆動電流Ielが駆動トランジスタTdrから供給されることになり、当該有機EL素子8は発光する。
このPRE・INI信号生成回路50は、図3に示すように、シフトレジスタ51(i)、原信号生成回路52(i)、デコーダ53(i)、及び出力回路71(i)を備えている(なお、記号iの意義は、前述と同様、前記マトリクス状配列の中の行番号を意味する。)。これらのうちシフトレジスタ51(i)及び原信号生成回路52(i)のそれぞれは同数存在し、デコーダ53(i)は、それよりも1だけ少ない数存在する。つまり、前二者はN個、後一者は(N−1)個ある。
最前段のシフトレジスタ51(1)は、クロック信号CLKのほか、スタートパルス信号SPの入力も受ける。シフトレジスタ51(1)によって出力される最初のパルス信号は、これら両信号(CLK,SP)の入力に応じる。以後、それよりも後段に位置するシフトレジスタ51(i)は、それぞれの前段のシフトレジスタ51(i−1)から出力される開始信号(1段目のシフトレジスタ51(1)に入力するスタートパルス信号SPに相当する機能をはたす。)及びクロック信号CLKに応じて、前記パルス信号を順次出力する。
各シフトレジスタ51(i)から出力されるパルス信号は、前記所定の幅として、スタートパルス信号SPがもつパルス幅と同じパルス幅をもつ。したがって、第1実施形態では、スタートパルス信号SPが上述のようにクロック信号CLKの1周期の長さをもつことに応じて、当該パルス信号のパルス幅も、同じ長さをもつことになる(図4中の「nodeA」あるいは「nodeB」参照。この点については後に改めて触れる。)。
なお、シフトレジスタ51のより具体的な回路構成としては様々なものがあるが、本発明は、基本的にどのような態様でも採用可能である。例えば好適には、特開2006−113325号公報に開示されるシフトレジスタの構成などが参考になる。本発明は、かかる形態のシフトレジスタを、その範囲内に含む。
また、上記のシフトレジスタ51(1),51(2),…,51(N)の1個1個は、本発明にいう「単位シフト回路」の一具体例に該当する。
この原信号生成回路52(i)は、より具体的には例えば、図3に示すように、NAND回路521(i)を含む。このNAND回路521(i)は、シフトレジスタ51(i)とその後段に位置するシフトレジスタ51(i+1)の各々から出力された前記パルス信号の入力を受ける。NAND回路521(i)は、両パルス信号の論理関係に応じて、ハイレベル又はローレベルの原信号を出力する。
このデコーダ53(i)は、より具体的には例えば、図3に示すように、NAND回路531(i)、及び、負論理入力端をもつインバータ532(i)を含む。インバータ532(i)は、前述した原信号生成回路52(i)から出力された原信号の入力を受ける。また、インバータ532(i)の出力は、NAND回路531(i)への入力となる。このNAND回路531(i)はまた、その後段に位置付けられる原信号生成回路52(i+1)から出力された原信号の入力も受ける。NAND回路531(i)は、これらの2入力の論理関係に応じ、ハイレベル又はローレベルの変換原信号を出力する。
この出力回路71(i)は、より具体的には例えば、図3に示すように、2つのNOR回路711(i)及び712(i)を含む。これらNOR回路711(i)及び712(i)は、それぞれ、2つの負論理入力端をもつ。
NOR回路711(i)は、その一方の入力端子に前記原信号の入力を受け、他方の入力端子に制御信号EMBBGPの入力を受ける。NOR回路711(i)は、これら各信号の論理関係に応じて、ハイレベル又はローレベルの初期化信号GPRE[i]を出力する。なお、制御信号EMBBGPは、クロック信号CLKの2倍の周期でハイレベル及びローレベル間を遷移する信号である(後述する図4参照)。
また、NOR回路712(i)は、その一方の入力端子に前記変換原信号の入力を受け、他方の入力端子に制御信号EMBBGINの入力を受ける。NOR回路712(i)は、これら各信号の論理関係に応じて、ハイレベル又はローレベルの補償制御信号GINI[i]を出力する。なお、制御信号EMBBGINは、常に、ローレベルの信号である(後述する図4参照)。
まず、スタートパルス信号SPがローレベルからハイレベルに遷移した後、クロック信号CLKもローレベルからハイレベルに遷移すると、シフトレジスタ51(1)は、ハイレベルのパルス信号を出力する。これにより、図3のノードAは、図4に示すように、ローレベルからハイレベルに遷移する(図4中の期間αの開始)。なお、既に述べたように、スタートパルス信号SPのパルス幅は、クロック信号CLKの1周期分の長さに相当する。
この期間αの段階では、次段のシフトレジスタ51(2)から出力されるパルス信号はローレベルであるから、原信号生成回路52(1)ないしNAND回路521(1)は、ハイレベルの原信号を出力する。
また、この段階においては、制御信号EMBBGPはローレベルであるので、出力回路71(1)内のNOR回路711(1)はローレベルの信号を出力する。
すなわち、この段階における初期化信号GPRE[1]はローレベルである。
なお、この期間α内の後半では、制御信号EMBBGPがハイレベルに遷移するが、これによってNOR回路711(1)の出力は影響を受けない。つまり、この期間α中、初期化信号GPRE[1]はローレベルを維持する。
すなわち、このデコーダ53(1)内のインバータ532(1)には前記ハイレベルの原信号が入力するので、当該インバータ532(1)はローレベルの信号を出力する。他方、次段の原信号生成回路52(2)は、当該の段のシフトレジスタ51(2)及び更にその次段のシフトレジスタ51(3)がともにローレベルのパルス信号を出力しているので、ハイレベルの原信号を出力する。したがって、このデコーダ53(1)に含まれるNAND回路531(1)は、ハイレベルの変換原信号を出力する。
また、この期間αにおいて、制御信号EMBBGINはローレベルであるので、出力回路71(1)内のNOR回路712(1)はローレベルの信号を出力する。
すなわち、この段階における補償制御信号GINI[1]はローレベルである。
この期間βの段階では、前段のシフトレジスタ51(1)はなおハイレベルを維持しているので、原信号生成回路52(1)はローレベルの原信号を出力する。
また、この段階においては、制御信号EMBBGPはローレベルであるので、出力回路71(1)内のNOR回路711(1)はハイレベルの信号を出力する。
すなわち、この段階における初期化信号GPRE[1]はハイレベルである。
すなわち、このデコーダ53(1)内のインバータ532(1)には前記ローレベルの原信号が入力するので、当該インバータ532(1)はハイレベルの信号を出力する。他方、次段の原信号生成回路52(2)は、更にその次段のシフトレジスタ51(3)がローレベルにパルス信号を出力しているので、なおハイレベルの原信号を出力する。したがって、このデコーダ53(1)に含まれるNAND回路531(1)は、ローレベルの変換原信号を出力する。
また、この段階において、制御信号EMBBGINはローレベルであるので、出力回路71(1)内のNOR回路712(1)はハイレベルの信号を出力する。
すなわち、この段階における補償制御信号GINI[1]はハイレベルである。
この期間γの段階では、前の期間βから、いま述べた制御信号EMBBGPの変化だけが生じるので、出力回路71(1)中のNOR回路711(1)はローレベルの信号を出力する。
すなわち、この期間γにおいて、初期化信号GPRE[1]はハイレベルからローレベルに遷移する。
また、この期間γの段階では、補償制御信号GINI[i]は従前に続きなおハイレベルを維持する。これにより、第1行目に対応する単位回路Pにおいて、前記〔ii〕に記したような閾値電圧Vthの補償動作が行われる。
このように、第1実施形態では、スタートパルス信号SPがハイレベルとなることを契機として、ノードAの電位がハイレベルとなり、更に、これが維持されている間に、初期化信号GPRE[1]及び補償制御信号GINI[1]の2種の信号が単位回路Pに供給されて、両動作が調和的に実行されるようになっている。また、この場合特に、ノードAがハイレベルを維持する間(即ち、シフトレジスタ51(1)から出力されたパルス信号がハイレベルを維持する間)は、補償制御信号GINI[1]はハイレベルを維持し、閾値電圧Vthの補償動作は一定時間継続するようになっているから、ゲート電位はVel−Vthにより近づく(即ち、よりよい補償が行われる)ことが可能となっている。このことは、第1実施形態における特徴の1つといえる。
この期間δの段階では、シフトレジスタ51(2)はなおハイレベルを維持しているので、原信号生成回路52(1)はハイレベルの原信号を出力する。
また、この段階においては、制御信号EMBBGPはローレベルであるので、出力回路71(1)内のNOR回路711(1)はローレベルの信号を出力する。
すなわち、この段階における初期化信号GPRE[1]はなおローレベルを維持する。
すなわち、このデコーダ53(1)内のインバータ532(1)には前記ハイレベルの原信号が入力するので、当該インバータ532(1)はローレベルの信号を出力する。他方、次段の原信号生成回路52(2)は、その更に次段のシフトレジスタ52(3)がハイレベルのパルス信号を出力するようになるので(ただし、それについては不図示)、ローレベルの原信号を出力する。したがって、このデコーダ53(1)に含まれるNAND回路531(1)は、ハイレベルの変換原信号を出力する。
また、この段階において、制御信号EMBBGINはローレベルであるので、出力回路71(1)内のNOR回路712(1)はローレベルの信号を出力する。
すなわち、この段階における補償制御信号GINI[1]はハイレベルからローレベルに遷移する。
また、この期間δの段階においては、次段の初期化信号GPRE[2] 及び補償制御信号GINI[2]がともに、ローレベルからハイレベルに遷移する。これは、シフトレジスタ51(2)及び51(3)がハイレベルのパルス信号の出力を開始することによる帰結である。この動作の機序は、基本的には、前述の期間βの段階における場合と同じである(ただし、信号生成に関与する信号生成回路52(i)及びデコーダ53(i)は当然変化する。)
以上により、第2行目に対応する単位回路Pにおいては、前記〔i〕に記したような初期化動作が行われる。
このように、第1実施形態によれば、回路規模の縮小化、さらには有機EL装置100全体の小型化が実現される。
以下では、本発明に係る第2実施形態について図7を参照しながら説明する。なお、この第2実施形態は、転送方向制御信号DIR等を利用する点を除いて、上記第1実施形態と本質的に相違はない。したがって、以下では、両実施形態間で相違のない事項については、その説明を適宜簡略化するか、あるいは省略する。
これら両信号(DIR,/DIR)は、一方が常時ハイレベルであるときは他方が常時ローレベルに、他方が常時ハイレベルであるときは一方が常時ローレベルになる。
また、これら両信号(DIR,/DIR)は、デコーダ54(i)に入力する。
このデコーダ54(i)は、第1実施形態とは異なり、より具体的には例えば、図7に示すように、第1及び第2トランスミッションゲート543(i)及び544(i)を含む。なお、このデコーダ54(i)も、NAND回路541(i)及びインバータ542(i)を含む点では、第1実施形態におけるデコーダ53(i)と同様である。
第1トランスミッションゲート543(i)は、転送方向制御信号DIRがハイレベルのときに導通状態となり、あるいは、反転転送方向制御信号/DIRがローレベルのときに導通状態となる。その反対のレベルのときにはハイインピーダンス状態となる。
第2トランスミッションゲート544(i)は、転送方向制御信号DIRがローレベルのときに導通状態となり、その反対のハイレベルのときにハイインピーダンス状態となる。
なお、例えば、デコーダ54(2)は、その前段の原信号生成回路52(1)から出力される原信号の入力を受ける。この原信号は、当該デコーダ54(2)内の第1トランスミッションゲート543(2)の一端に入力する。デコーダ54(3)以後の各デコーダ54(i)についても同様である。なお、この場合、第1段目のデコーダ54(1)に含まれる第1トランスミッションゲート543(1)は、適当な初期信号の入力を受ける。
転送方向制御信号DIRがハイレベルで、反転転送方向制御信号/DIRがローレベルの時には、前述のように、第1トランスミッションゲート543(i)は導通状態となり、第2トランスミッションゲート544(i)がハイインピーダンス状態となるから、原信号生成回路52(i)で生成された原信号が、その後段のデコーダ54(i+1)で利用されるということになる。他方、その逆の時には、原信号生成回路52(i)で生成された原信号が、その前段のデコーダ54(i−1)で利用されるということになる。
以下では、本発明に係る第3実施形態について図9及び図10を参照しながら説明する。なお、この第3実施形態は、出力回路73(i)と、それに入力する制御信号EMBBGW及びEMBBGELを利用する点を除いて、上記第1実施形態と本質的に相違はない。したがって、以下では、両実施形態間で相違のない事項については、その説明を適宜簡略化するか、あるいは省略する。
この出力回路73(i)は、上記第1実施形態と異なって、より具体的には例えば、4つのNOR回路731(i),732(i),733(i)及び734(i)を含む。これらのNOR回路731(i)〜734(i)は、それぞれ、2つの負論理入力端をもつ。
NOR回路731(i)及び732(i)は、上述の第1実施形態と相違ない。すなわち、NOR回路731(i)は、原信号及び制御信号EMBBGPの入力を受けて、初期化信号GPRE[i]を出力し、NOR回路732(i)は、変換原信号及び制御信号EMBBGINの入力を受けて、補償制御信号GINI[i]を出力する。
また、NOR回路734(i)は、その一方の入力端子に後段に位置するデコーダ53(i+1)の出力を受け、その他方の入力端子に制御信号EMBBGWの入力を受ける。NOR回路734(i)は、これら各信号の論理関係に応じて、ハイレベル又はローレベルの発光制御信号GEL[i]を出力する。
しかも、この第3実施形態によれば、全信号生成回路50Bが、初期化信号GPRE[i]及び補償制御信号GINI[i]に加えて、走査信号GWRT[i]及び発光制御信号GEL[i]をも生成することから、図10に示すように、図5と比べても回路規模の縮小化が実現される。
(1) 上記第1実施形態では、例えば図4に示すように、前記〔i〕の初期化動作が一定期間行なわれた後、前記〔ii〕の補償動作が行われる例(であって、その後、初期化動作は行われない例)について説明しているが、本発明は、かかる形態に限定されない。
例えば、図11に示すように、初期化信号GPRE[i]が、補償動作が行われた後、特に前記〔iii〕の書込動作の後にも発せられるようになっていてもよい。図11では特に、書込動作が行われた後、発光期間が開始する前に、初期化動作が更に1回行われている例が示されている。
このような形態によると、駆動トランジスタTdrのドレイン電極の電位が、書込動作の後に初期化電位VSTに設定されることから、当該ドレイン電極に残存していた電荷が放電されることになる。
前記〔iii〕の補償動作の後には、前述のように、ゲート電位VgはVel−Vthに漸近するが、このことは、発光制御トランジスタTelがON状態とされた直後(即ち、発光期間の開始直後)に、有機EL素子8に望ましくない電流の供給を行う原因となることがある。これによると、例えば、本来は黒表示を行いたいのに、当該発光期間直後は、灰色表示が行われてしまうなどといった事象が発生してしまうことになる。
図11の形態によれば、このような不具合が発生しない。というのも、図11によれば、上述のように、発光期間の開始前に、前記ドレイン電極に残存していた電荷が放電されることになるので、当該ドレイン電極から有機EL素子8へ移動する電荷に起因した有機EL素子8の発光を抑制することが可能となるからである。
例えば、図12に示すように、前段の、あるいは自段の単位回路Pに供される走査信号GWRT[i]が、その次段の段位回路Pに供される補償制御信号GINI[i+1]と共用されるようになっていてもよい(図中符号Cs参照)。その他の共用態様も場合によっては考えられる。この場合、ある1本の走査線3が、隣接する2段分の単位回路Pを動作させるために必要な信号を供給しているということができる。
このような形態によれば、いったん発生させた信号の利用効率が高まり、また、図から明らかなように走査線3の配線数を減少することができるから、回路規模の縮小化、画素開口率の向上等の各種効果が奏されることになる。
なお、この場合、単位回路の構成の相違に応じて、本発明にいう「補償制御信号」、あるいは「初期化信号」は、上記実施形態における利用形態ないし態様に比べて、異なることになると考えられるが、そのような場合であっても、当該の単位回路内で「補償制御信号」・「初期化信号」と呼びうる、あるいは、そのような機能をもつ信号が用いられる限り、本発明はそれを範囲内に収める。
本発明において、「駆動トランジスタの閾値電圧を補償するための補償制御信号」、あるいは「駆動トランジスタのゲート電位を初期化するための初期化信号」というように、やや一般的な規定のされ方がなされているのは、このような事情への配慮である。
次に、上記実施形態に係る有機EL装置100を適用した電子機器について説明する。
図13は、上記実施形態に係る有機EL装置100を画像表示装置に利用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての有機EL装置100と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。
図14に、上記実施形態に係る有機EL装置100を適用した携帯電話機を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置としての有機EL装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、有機EL装置100に表示される画面がスクロールされる。
図15に、上記実施形態に係る有機EL装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistant)を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての有機EL装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が有機EL装置100に表示される。
Claims (3)
- クロック信号の周期に応じたパルス幅をもつスタートパルス信号を生成するスタートパルス信号生成手段と、
その各々が前記スタートパルス信号のパルス幅に応じたパルス幅をもつ起点パルス信号を生成する、(Z+1)(Zは自然数)個の単位シフト回路と、
前記(Z+1)個の単位シフト回路のうち第p番目(pは、p≦Z−1を満たす自然数)の単位シフト回路が出力する起点パルス信号と第(p+1)番目の単位シフト回路から出力される起点パルス信号が入力される第1NAND回路と、
前記(Z+1)個の単位シフト回路のうち第(p+1)番目の単位シフト回路が出力する起点パルス信号と第(p+2)番目の単位シフト回路から出力される起点パルス信号が入力される第2NAND回路と、
前記第1NAND回路から出力される第1原信号が入力されるインバータ回路と、
前記インバータ回路から出力される信号と、第2NAND回路から出力される第2原信号とが入力される第3NAND回路と、
前記第1NAND回路の出力に基づいて、第1の制御信号を出力する第1出力回路と、
前記第3NAND回路の出力に基づいて、前記第1の制御信号とは異なる第2の制御信号を出力する第2出力回路と、
前記第1の制御信号が出力される第1の制御線と、
前記第2の制御信号が出力される第2の制御線と、
前記第1の制御線及び第2の制御線に接続され且つ発光素子を有する単位回路と、
を備え、
前記単位回路は、少なくともZ個有しており、
前記Z個の単位回路の各々は、
ゲート電位の変動に応じた大きさの駆動電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタを含み、
前記第1の制御信号は、前記駆動トランジスタのゲート電位を初期化するための初期化信号であり、
前記第2の制御信号は、前記駆動トランジスタの閾値電圧を補償するための補償制御信号であり、
前記第1の制御信号のパルス幅は、第2の制御信号のパルス幅と異なる
ことを特徴とする発光装置。 - 前記スタートパルス信号生成手段は、
前記Z個の単位回路の各々を一通り駆動する間に、1回だけ、前記スタートパルス信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の発光装置を備える、
ことを特徴とする電子機器。
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