JP5433568B2 - カテコールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、2−デオキシ−scyllo−イノソースから中間体(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを経由してカテコールを製造する新しい製法に関する。
カテコールは重合防止剤、医薬品、農薬、香料などの原料として、また酸化抑制剤やゴム加硫剤として汎用的に用いられている物質であり、主にフェノールを過酸化水素で酸化することにより製造されている。しかし、近年の化石原料の高騰や枯渇の問題、温暖化ガスとしての炭酸ガスの排出抑制の観点から、再生可能資源からの製造が切望されている。
すでに様々な試みが行われており、例えば非特許文献1に有るように微生物によりD−グルコースからシキミ酸を経由して収率33%でカテコールを得る方法が知られている。
また非特許文献2に有るように、D−グルコースから2−デオキシ−scyllo−イノソースを経由し、酢酸中でヨウ化水素酸による還元的脱水反応により収率59%でカテコールを得る方法が知られている。
J.Am.Chem.Soc.K.M.Draths and J.W.Frost、1995、117,p.2395―2400 Tetrahedron Letters、Katsumi Kakinuma et. al,2000、41、p.1935―1938 J.Am.Chem.Soc.C.A.Hansen and J.W.Frost、2002、124,p.5926―5927 Carbohydrate Research A.Lubineau and I.Billault、1999、320,p.49―60
しかしながら、非特許文献2では高価で腐食性の高いヨウ化水素酸を大量に使用しなければならないという問題がある。そのため、その腐食性により特殊な設備が必要であり、工業的に生産するのが容易ではない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、汎用化学品であるカテコールを工業的に好適な方法により生産可能とすることにある。
本発明によれば、下記式(1)で表される(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水素還元条件下、加熱しながら反応させることにより、カテコールを製造する方法が提供される。
Figure 0005433568
本発明において、以下の態様を含むことができる。
(1)上記のカテコールを製造する方法において、下記式(2)で表される2−デオキシ−scyllo−イノソースを脱水して(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造し、さらに水素化反応および脱水反応を行うことでカテコールを製造する方法。
Figure 0005433568
)上記のカテコールを製造する方法において、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水素還元条件下、加熱しながら反応させることによりカテコールを製造する方法。
)上記のカテコールを製造する方法において、2−デオキシ−scyllo−イノソースを脱水して(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造し、さらに水素還元条件下、加熱しながら反応させることによりカテコールを製造する方法。
)上記のカテコールを製造する方法において、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを金属触媒存在下反応させることによりカテコールを製造する方法。
)上記のカテコールを製造する方法において、金属触媒が白金属金属からなる群または鉄族金属からなる群から選択される金属を含む、カテコールを製造する方法。
)上記のカテコールを製造する方法において、金属触媒がパラジウムを含む、カテコールを製造する方法。
)上記のカテコールを製造する方法において、金属触媒に含まれる金属成分が活性炭、アルミナまたはゼオライトに担持されている、カテコールを製造する方法。
)上記のカテコールを製造する方法において、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水溶液中反応させることによりカテコールを製造する方法。
)上記のカテコールを製造する方法において、2−デオキシ−scyllo−イノソースからワンポットでカテコールを製造する方法。
10)上記のカテコールを製造する方法において、固体酸の存在下、2−デオキシ−scyllo−イノソースからカテコールを製造する方法。
11)上記のカテコールを製造する方法において、固体酸がゼオライト、活性白土及びナフィオン(登録商標)からなる群から選択される、カテコールを製造する方法。
12)上記のカテコールを製造する方法において、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水素で還元し、下記式(3)で表される(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを製造し、脱水反応させることでカテコールを製造する方法。
Figure 0005433568
13)上記のカテコールを製造する方法において、2−デオキシ−scyllo−イノソースを加熱しながら脱水して(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンとした後、金属触媒存在下、水素で還元して(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンとしたのち、さらに加熱しながら脱水することでカテコールを製造する方法。
また、本発明によれば、2−デオキシ−scyllo−イノソースを脱水して、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造する方法が提供される。
また、本発明によれば、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンが提供される。
また、本発明によれば、(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを加熱しながら脱水反応させることでカテコールを製造する方法が提供される。
また、本発明によれば、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水素で還元し、(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを製造する方法が提供される。
また、本発明によれば、下記式(4)で表される2,3,4,5−テトラヒドロキシ−シクロヘキサン−1−オンを水素還元条件下に加熱しながら反応させることでカテコールを製造する方法が提供される。
Figure 0005433568
本発明によれば、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンからカテコールを製造することができる。この方法によれば、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンのオレフィンの還元反応および2分子の水を脱水することによりカテコールを製造することができる。したがって、腐食性の試薬を使用せずに、マイルドな条件でカテコールを得ることができ、環境負荷を低減した工業的生産に適したカテコールの製造が実現可能となる。
本発明によれば、環境負荷を低減した工業的生産に適した方法により、汎用化学品であるカテコールを製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態は、下記式(1)で表される(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンからカテコールを製造する方法である。
Figure 0005433568
この方法は、式(5)で表される反応によりカテコールを製造するものである。
Figure 0005433568
具体的には、本実施形態は、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水素還元条件下、加熱しながら反応させることによりカテコールを製造する方法である。
本実施形態は、ワンポットで(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンからカテコールを製造するものである。ここでいうワンポットとは、いくつかの反応を同一反応容器で行うことを意味し、具体的には還元反応と脱水反応である。
(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンからカテコールを製造するにあたり、「水素還元条件下」に反応するとは、溶媒に溶解した(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを還元触媒とともに水素雰囲気下に反応させることである。
溶媒として、反応の進行を妨げないものであれば特に制限はないが、水あるいは、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。またこれら溶媒は単独で、あるいは2種以上の任意の比率での混合溶媒として使用可能であるが、水を用いるのが好ましい。
(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンの仕込みの濃度は、とくに限定されないが、たとえば、1w/v%以上30w/v%以下とすると好ましい。
本実施形態において「加熱しながら」とは、気温以上に反応温度を上昇させることであり、必要に応じて反応中に時間の経過とともに温度を変化させることも包含する概念であり、温度を変化させることにより、反応を段階的に進めることができる。通常の反応温度範囲として、30℃以上300℃以下である。反応温度が低いと脱水反応の反応速度が低下し、反応温度が高いと副反応が進行する。したがって30℃以上300℃以下で加熱させることにより、収率よくカテコールを製造することができる。より好ましくは35℃以上240℃以下であり、さらに好ましくは70℃以上200℃以下とする。こうすることにより、好適な反応速度で脱水反応を進行させることができ、より収率よくカテコールを製造することができる。
反応時間は特に制限は無いが、数分から48時間、好ましくは30分から24時間の範囲である。こうすることにより、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを確実に還元し、かつ、脱水させることができ、収率よくカテコールを製造することができる。
還元触媒としては、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、白金、イリジウムなどの白金属金属、及び、ニッケル、コバルトなどの鉄属金属から選択される金属、並びに、銅などの金属を用いることができる。これら金属は、単独で用いてもよいし、または活性炭、シリカゲル、アルミナ、グラファイト、珪藻土、軽石、モンモリロナイト、ゼオライトなどに担持させてもよい。具体的な例としてパラジウム/活性炭、パラジウム/シリカゲル、パラジウム/アルミナ、パラジウム/ゼオライト、ニッケル/アルミナ、銅/アルミナ、ルテニウム/活性炭、ロジウム/活性炭、白金/活性炭、イリジウム/活性炭などが挙げられる。また、その担持量は、通常、担体に対して0.01〜50重量%の範囲である。こうすることにより、好適に還元反応を進行させることが可能となる。還元触媒の添加量は、0.1〜10重量%の範囲にすると好ましい。
水素雰囲気下とは、大気圧から10MPaまでの水素を含む気体で満たされた反応器の中で反応させることであり、好ましくは大気圧から1MPaの間である。水素は単独あるいは窒素などと混合して使用することもできる。
(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンの製造方法は後述するが、2−デオキシ−scyllo−イノソースを脱水反応させることにより製造することができる。
また、加熱することで無触媒でも反応が可能であるが、反応には反応を促進させるために添加剤を加えることができる。添加剤として酸、塩基やそれらの塩を用いることができる。
用いられる酸としては、例えば塩化水素、臭化水素、硫酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機酸、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、活性白土、ナフィオン(登録商標)、イオン交換樹脂等の固体酸等が挙げられる。酸の添加量は、1〜2000重量%の範囲にすると好ましい。
用いられる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、トリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロウンデセン等の有機アミン塩基等を挙げることができる。
反応終了後カテコールを取得する方法として、反応液から還元触媒や不均一な添加剤をろ過で除いた後、ろ液を濃縮することで粗精製のカテコールを結晶として得ることができる。粗精製のカテコールは蒸留や再結晶することでより精製されたカテコールとして取得することができる。また加熱した状態の反応液を、ある程度まで溶媒濃縮を行なった後冷却することでカテコールを結晶として析出させ、ろ過により取得することができる。また、カテコールが溶けにくい溶媒を加えることで結晶としてカテコールを析出させ、ろ過により取得することもできる。さらに、反応溶媒に適当な溶媒を加え、抽出することができる。抽出液は前記と同様に処理することで、より精製されたカテコールとして取得することができる。
つづいて、本実施形態の効果について説明する。本発明者は鋭意検討した結果、2−デオキシ−scyllo−イノソースから得られる(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水素化反応と脱水反応することで容易にカテコールが得られることを見いだした。
本実施形態の方法によれば、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水素雰囲気下加熱しながら反応させるため、ワンポットで水素添加による還元反応と脱水反応とを同時に行うことができる。これにより、理想的には基質と等モルの水素と、少量の触媒を用いることによりカテコールを製造することができる。したがって、腐食性の試薬を使用せず、マイルドな条件で安価にカテコールを製造することができ、工業的生産に適した容易なカテコールの製造が実現可能となる。
(第2の実施形態)
本実施形態は、下記式(2)で表される2−デオキシ−scyllo−イノソースを脱水して(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造し、さらに水素化反応および脱水反応を行うことでカテコールを製造する方法である。この方法は、式(6)で表される反応によりカテコールを製造するものである。
Figure 0005433568
Figure 0005433568
具体的には、2−デオキシ−scyllo−イノソースを水素還元条件下加熱しながら反応させることにより(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを経由してワンポットでカテコールを製造する方法である。
この方法では、2−デオキシ−scyllo−イノソースを脱水して(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造し、さらに水素還元条件下、加熱反応させることによりカテコールを製造する。
本実施形態では、2−デオキシ−scyllo−イノソースからワンポットでカテコールを製造する。
本実施形態において、2−デオキシ−scyllo−イノソースから(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを経由してカテコールを製造するにあたり、「水素還元条件下、加熱しながら反応させる」とは、加熱しながら溶媒に溶解した2−デオキシ−scyllo−イノソースを還元触媒とともに水素雰囲気下に反応させることである。
溶媒として、反応の進行を妨げないものであれば特に制限はないが、水、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。またこれら溶媒は単独で、あるいは2種以上の任意の比率での混合溶媒として使用可能であるが、水を用いるのが好ましい。
2−デオキシ−scyllo−イノソースの仕込みの濃度は、とくに限定されないが、たとえば、1w/v%以上30w/v%以下とすると好ましい。
本実施形態において「加熱しながら」とは、気温以上に反応温度を上昇させることであり、必要に応じて反応中に時間の経過とともに温度を変化させることも包含する概念であり、温度を変化させることにより、反応を段階的に進めることができる。通常の反応温度範囲として、30℃以上300℃以下である。反応温度が低いと脱水反応の反応速度が低下し、反応温度が高いと副反応が進行する。したがって30℃以上300℃以下で加熱させることにより、収率よくカテコールを製造することができる。より好ましくは60℃以上240℃以下であり、さらに好ましくは70℃以上200℃以下とする。こうすることにより、好適な反応速度で脱水反応を進行させることができ、より収率よくカテコールを製造することができる。
反応時間は特に制限は無いが、数分から48時間、好ましくは1時間から24時間の範囲である。こうすることにより、2−デオキシ−scyllo−イノソースを確実に脱水し、かつ、中間体の(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを還元させることができ、収率よくカテコールを製造することができる。
還元触媒としては、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、白金、イリジウムなどの白金属金属、及び、ニッケル、コバルトなどの鉄属金属から選択される金属、並びに、銅などの金属を用いることができる。これら金属は、単独で用いてもよいし、または活性炭、シリカゲル、アルミナ、グラファイト、珪藻土、軽石、モンモリロナイト、ゼオライトなどに担持させてもよい。具体的な例としてパラジウム/活性炭、パラジウム/シリカゲル、パラジウム/アルミナ、パラジウム/ゼオライト、ニッケル/アルミナ、銅/アルミナ、ルテニウム/活性炭、ロジウム/活性炭、白金/活性炭、イリジウム/活性炭などが挙げられる。また、その担持量は、通常、担体に対して0.01〜50重量%の範囲である。こうすることにより、好適に還元反応を進行させることが可能となる。還元触媒の添加量は、0.1〜10重量%の範囲にすると好ましい。
水素雰囲気下とは、大気圧から10MPaまでの水素を含む気体で満たされた反応器の中で反応させることであり、好ましくは大気圧から1MPaの間である。水素は単独あるいは窒素などと混合して使用することもできる。
また、加熱することで無触媒でも反応が可能であるが、反応には反応を促進させるために添加剤を加えることができる。添加剤として酸、塩基やそれらの塩を用いることができる。
用いられる酸としては、例えば塩化水素、臭化水素、硫酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機酸、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、活性白土、ナフィオン(登録商標)、イオン交換樹脂等の固体酸等が挙げられる。酸の添加量は、1〜2000重量%の範囲にすると好ましい。
用いられる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、トリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロウンデセン等の有機アミン塩基等を挙げることができる。
また、ここでいうワンポットとは、いくつかの反応を同一反応容器で行うことを意味し、具体的には還元反応と脱水反応である。
なお、本実施形態で用いられる2−デオキシ−scyllo−イノソースはD−グルコースから発酵によって得られることが非特許文献2、非特許文献3、および国際公開第2006/112000号パンフレットなどにより知られている。
反応終了後カテコールを取得する方法として、反応液から還元触媒や不均一な添加剤をろ過で除いた後、ろ液を濃縮することで粗精製のカテコールを結晶として得ることができる。粗精製のカテコールは蒸留や再結晶することでより精製されたカテコールとして取得することができる。また加熱した状態の反応液を、ある程度まで溶媒濃縮を行なった後冷却することでカテコールを結晶として析出させ、ろ過により取得することができる。また、カテコールが溶けにくい溶媒を加えることで結晶としてカテコールを析出させ、ろ過により取得することもできる。さらに、反応溶媒に適当な溶媒を加え、抽出することができる。抽出液は前記と同様に処理することで、より精製されたカテコールとして取得することができる。
つづいて、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、2−デオキシ−scyllo−イノソースを水素還元条件下に加熱しながらワンポットで反応させることでカテコールを製造することができる。これにより、再生可能資源であるD−グルコースから腐食性の試薬を使用せず、安価にカテコールを製造することができる。したがって、工業的生産に適したカテコールの製造が実現可能となる。
また、本実施形態によれば、再生可能資源であるグルコースから発酵により容易に得られる2−デオキシ−scyllo−イノソースを水素還元条件下加熱しながら反応させることにより、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを経由して、カテコールを得ることができる。したがって、ワンポットで水素添加による還元反応と脱水反応とを同時に行って容易にカテコールを製造することができる。
上述のように非特許文献2において、2−デオキシ−scyllo−イノソースを酢酸中でヨウ化水素による還元的脱水反応を行うことにより、収率59%でカテコールを得る方法が知られている。しかし、この反応では2−デオキシ−scyllo−イノソースに対し2分子のヨウ化水素が必要とされる。すなわち、1分子のヨウ化水素がカルボニル基に付加し、ついでもう1分子のヨウ化水素と反応し、ヨウ素と水として脱離しながら還元し、さらに脱水することでカテコールが生成すると考えられる。このため、高価で腐食性の高いヨウ化水素酸を理想的な反応においても2当量使用しなければならないという問題があった。
一方、本実施形態の方法においては、理想的には基質と等モルの水素と、少量の触媒を必要とするのみである。また、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを経由するため、マイルドな条件でカテコールを合成することができる。したがって、腐食性の試薬を使用せず、安価かつ容易にカテコールを製造することができ、工業的生産に適したカテコールの製造が実現可能となる。
また、本実施形態の方法では、金属触媒を用いて水素還元反応を実施することができる。したがって、原料コストが安価にすみ、工業的生産に有利である。また、多量の腐食性の試薬を使用しないため、環境にもやさしい。
また、本実施形態の方法では、2−デオキシ−scyllo−イノソースをワンポットで反応させることでカテコールを製造することができる。したがって、各ステップの単離精製をする手間を省き、工業的生産にさらに有利である。
さらに、本実施形態の方法により、再生可能資源であるグルコースなどから容易に製造される2−デオキシ−scyllo−イノソースを原料とし、汎用化学品であるカテコールを製造することができる。それにより、化石原料の使用削減、温暖化ガスの排出抑制、地球温暖化防止に有用である。
(第3の実施形態)
本実施形態は、2−デオキシ−scyllo−イノソースを加熱しながら脱水して(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンとした後、金属触媒存在下、水素で還元して下記式(3)で表される(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンとしたのち、さらに加熱しながら脱水することでカテコールを製造する方法である。本実施形態の方法は、式(7)で示す反応によりカテコールを製造する。
Figure 0005433568
Figure 0005433568
第2の実施形態ではカテコールをワンポットで製造する方法を例示した。本実施形態では、以下の3つの工程をそれぞれ行って、カテコールを製造するものである。
(工程1)2−デオキシ−scyllo−イノソースから(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造する工程、
(工程2)(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンから(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを製造する工程。
(工程3)(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンからカテコールを製造する工程。
<工程1>
工程1は、2−デオキシ−scyllo−イノソースを脱水して、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造する工程である。
2−デオキシ−scyllo−イノソースを脱水反応させて(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造するにあたり、反応温度に関しては、30℃以上300℃以下とすることにより実施可能である。反応温度が低いと脱水反応の反応速度が低下し、反応温度が高いと副反応が進行する。したがって30℃以上300℃以下で加熱させることにより、収率よく(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造することができる。より好ましくは、100℃以上240℃以下の温度範囲とする。こうすることにより、好適な反応速度で脱水反応を進行させることができ、より収率よく(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造することができる。
溶媒として、反応の進行を妨げないものであれば特に制限はないが、水、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。またこれら溶媒は単独で、あるいは2種以上の任意の比率での混合溶媒として使用可能であるが、水を用いるのが好ましい。
反応時間は特に制限は無いが、数分から48時間、好ましくは15分から24時間の範囲である。こうすることにより、2−デオキシ−scyllo−イノソースを確実に脱水し、収率よく(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造することができる。
加熱することで無触媒でも反応が可能であるが、反応促進のため添加剤として酸、塩基やそれらの塩を用いることができる。
用いられる酸としては、例えば塩化水素、臭化水素、硫酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機酸、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、活性白土、ナフィオン(登録商標)、イオン交換樹脂等の固体酸等が挙げられる。酸の添加量は、1〜2000重量%の範囲にすると好ましい。
用いられる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、トリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロウンデセン等の有機アミン塩基等を挙げることができる。
ただし、非特許文献3にあるように、2−デオキシ−scyllo−イノソースから2分子の水が脱水すると1,2,4−トリヒドロキシベンゼンが生成する。そのため、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを収率良く得るためには、反応温度と時間と触媒をコントロールする必要がある。より具体的には、高い温度で反応させるときは、弱い触媒あるいは無触媒で短時間反応させ、低い温度であれば強い触媒を用い長時間反応させることで、1,2,4−トリヒドロキシベンゼンの生成を抑えることができる。
なお、触媒とは、上記の酸または塩基に例示される添加剤のことをいう。同一種類の触媒では、溶液中の濃度を高めることにより、強い触媒として反応させることができ、溶液中の濃度を低くすることにより、弱い触媒として反応させることができる。また、異なる種類の触媒では、例えば水を溶媒としたとき溶液のpHが7から離れるほど強い触媒ということができ、pH7に近いものほど弱い触媒ということができる。このように、触媒を適宜変更させつつ、反応温度および時間をコントロールすることにより、収率よく(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを合成することができる。
なお、本発明で用いられる2−デオキシ−scyllo−イノソースの入手方法は第2の実施形態で説明したとおりである。
反応終了後(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンは、反応液を濃縮することで粗生成物を得ることができる。必要に応じ、pHを中性付近(pH6〜8)に調整することができる。また、不均一な添加剤を使用した場合、反応液からろ過で除き、同様にろ液を濃縮することで粗精製物を得ることができる。さらに、粗精製物は、再結晶やシリカゲルカラムで精製し、より高純度の(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを取得することができる。
<工程2>
工程2は、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを金属触媒存在下水素で還元し、(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを製造する工程である。
ここでいう金属触媒としては、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、白金、イリジウムなどの白金属金属、及び、ニッケル、コバルトなどの鉄属金属から選択される金属、並びに、銅などの金属を用いることができる。これら金属は、単独で用いてもよいし、または活性炭、シリカゲル、アルミナ、グラファイト、珪藻土、軽石、モンモリロナイト、ゼオライトなどに担持させてもよい。具体的な例としてパラジウム/活性炭、パラジウム/シリカゲル、パラジウム/アルミナ、パラジウム/ゼオライト、ニッケル/アルミナ、銅/アルミナ、ルテニウム/活性炭、ロジウム/活性炭、白金/活性炭、イリジウム/活性炭などが挙げられる。また、その担持量は、通常、担体に対して0.01〜50重量%の範囲である。還元触媒の添加量は、0.1〜10重量%の範囲にすると好ましい。
水素雰囲気下とは、大気圧から10MPaまでの水素を含む気体で満たされた反応器の中で反応させることであり、好ましくは大気圧から1MPaの間である。水素は単独あるいは窒素などと混合して使用することもできる。
溶媒として、反応の進行を妨げないものであれば特に制限はないが、水、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。またこれら溶媒は単独で、あるいは2種以上の任意の比率での混合溶媒として使用可能であるが、メタノールを用いることにより脱水反応を抑制することができ(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを収率よく製造できるため好ましい。
(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンの仕込みの濃度は、とくに限定されないが、たとえば、1w/v%以上30w/v%以下とすると好ましい。
また、反応には反応を促進させるために添加剤を加えることができる。添加剤として酸、塩基やそれらの塩を用いることができる。
用いられる酸としては、例えば塩化水素、臭化水素、硫酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機酸、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、活性白土、ナフィオン(登録商標)、イオン交換樹脂等の固体酸等が挙げられる。酸の添加量は、1〜2000重量%の範囲にすると好ましい。
用いられる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、トリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロウンデセン等の有機アミン塩基等を挙げることができる。
反応温度に関しては、室温(25℃)から300℃まで実施可能であるが、好ましくは、60℃以上240℃以下の温度範囲とする。こうすることにより、好適な反応速度で還元反応を進行させることができ、かつ、脱水反応の進行を抑制ことができる。したがって、より収率よく(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを製造することができる。
反応時間は特に制限は無いが、数分から48時間、好ましくは10分から24時間の範囲である。こうすることにより、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを確実に還元させることができる。
(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンは、還元触媒をろ過により除去し、ろ液を濃縮することで得ることができる。必要に応じ再結晶を行うことで、より純度の高い(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを取得することができる。
<工程3>
工程3は、(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを加熱しながら脱水反応させることでカテコールを製造する工程である。
溶媒として、反応の進行を妨げないものであれば特に制限はないが、水、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。またこれら溶媒は単独で、あるいは2種以上の任意の比率での混合溶媒として使用可能であるが、水を用いるのが好ましい。
(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンの仕込みの濃度は、とくに限定されないが、たとえば、1w/v%以上30w/v%以下とすると好ましい。
また、反応には反応を促進させるために添加剤を加えることができる。添加剤として酸、塩基やそれらの塩を用いることができる。
用いられる酸としては、例えば塩化水素、臭化水素、硫酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機酸、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、活性白土、ナフィオン(登録商標)、イオン交換樹脂等の固体酸等が挙げられる。酸の添加量は、1〜2000重量%の範囲にすると好ましい。
用いられる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、トリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロウンデセン等の有機アミン塩基等を挙げることができる。
本実施形態において「加熱しながら」とは、気温以上に反応温度を上昇させることであり、必要に応じて反応中に時間の経過とともに温度を変化させることも包含する概念であり、温度を変化させることにより、反応を段階的に進めることができる。30℃以上300℃以下で加熱させることをいう。反応温度が低いと反応速度が低下し、反応温度が高いと副反応が進行する。したがって30℃以上300℃以下で加熱させることにより、カテコールを製造することができる。より好ましくは、60℃以上240℃以下の温度範囲とし、さらに好ましくは70℃以上200℃以下とする。こうすることにより、好適な反応速度で脱水反応を進行させることができ、より収率よくカテコールを製造することができる。
反応時間は特に制限は無いが、数分から48時間、好ましくは10分から24時間の範囲である。こうすることにより、(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを確実に脱水させることができる。
反応終了後カテコールを取得する方法として、反応液から還元触媒や不均一な添加剤をろ過で除いた後、ろ液を濃縮することで粗精製のカテコールを結晶として得ることができる。粗精製のカテコールは蒸留や再結晶することでより精製されたカテコールとして取得することができる。また加熱した状態の反応液を、ある程度まで溶媒濃縮を行なった後冷却することでカテコールを結晶として析出させ、ろ過により取得することができる。また、カテコールが溶けにくい溶媒を加えることで結晶としてカテコールを析出させ、ろ過により取得することもできる。さらに、反応溶媒に適当な溶媒を加え、抽出することができる。抽出液は前記と同様に処理することで、より精製されたカテコールとして取得することができる。
つづいて、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、2−デオキシ−scyllo−イノソースを脱水し、得られる(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを還元し(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンとしたのち、脱水することでカテコールを製造することができる。これにより、グルコースなどの再生可能資源から汎用化学品として有用なカテコールを容易に製造することができる
また、本実施形態の工程1の方法によれば、2−デオキシ−scyllo−イノソースを加熱しながら脱水して、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造することができる。これにより、汎用化学品として有用なカテコール製造に重要な中間体である、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを容易に製造することができる。
より詳しく述べれば、2−デオキシ−scyllo−イノソースは、0.5Mリン酸水溶液中で加熱することで2分子の水が脱水し、1,2,4−トリヒドロキシベンゼンになることが知られている(非特許文献3)。しかし、2−デオキシ−scyllo−イノソースを反応温度、時間と触媒などをコントロールして反応させることで、1分子の水が脱水し(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンとすることができる。すなわち、高い温度で反応させるときは、弱い触媒あるいは無触媒で短時間反応させ、低い温度で反応させるときは、強い触媒を用い長時間反応させることで、1,2,4−トリヒドロキシベンゼンの生成を抑えることができる。したがって、汎用化学品として有用なカテコール製造に重要な中間体である、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを容易に製造することができる。
また、本実施形態の工程2の方法によれば、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを還元し、(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを製造することができる。これにより、汎用化学品として有用なカテコール製造に重要な中間体である(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを容易に製造することができる。
従来、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンとは、逆の立体を有する(4R,5S,6R)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンは知られていた(非特許文献4など)。しかしながら、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンの合成方法は知られていなかった。この物質はカテコールを製造する目的において有用な中間体であり、その2重結合が触媒存在下、水素で容易に還元され、(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンとなること、さらに触媒存在下あるいは非存在下で脱水反応を行うことでカテコールを得ることができる。したがって、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造可能とすることにより、汎用化学品として有用なカテコールを容易に製造することが可能となる。
さらに、本実施形態の工程3の方法によれば、(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを加熱しながら脱水反応させることでカテコールを製造することができる。これにより、グルコースなどの再生可能資源から汎用化学品として有用なカテコールを製造することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
たとえば、第2の実施形態および第3の実施形態では、出発物質として、2−デオキシ−scyllo−イノソースを用いてカテコールを製造する方法について説明した。しかしながら、2−デオキシ−scyllo−イノソースに代えて下記式(4)で表される2,3,4,5−テトラヒドロキシ−シクロヘキサン−1−オンを適用することも可能である。
Figure 0005433568
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(実施例1)
<2−デオキシ−scyllo−イノソースからカテコールの合成>
国際公開第2006/112000号パンフレット記載の方法により合成した2−デオキシ−scyllo−イノソース150mgを0.5N酢酸3mLに溶解し、オートクレーブ中に仕込んだ。さらに5重量%Pd/C(パラジウム/活性炭)3mg(50重量%含水)を仕込み、反応器を窒素で置換した。0.35MPaの水素圧をかけ撹拌しながら100℃に加熱し、水素添加反応を19時間行った。冷却後、窒素置換し、HPLCを用いて定量分析を行った。その結果、原料が消失し、カテコールが収率56%で得られた。
HPLC分析条件;10mM酢酸水溶液/アセトニトリル=94/6、1.2mL/min.、UV=220nm、使用カラム ODS−AQ、内標 没食子酸メチル
(実施例2)
<2−デオキシ−scyllo−イノソースからカテコールの合成>
国際公開第2006/112000号パンフレット記載の方法により合成した2−デオキシ−scyllo−イノソース150mgを水3mLに溶解し、オートクレーブ中に仕込んだ。さらに5重量%Pd/C3mg(50重量%含水)を仕込み、反応器を窒素で置換した。0.1MPaの水素圧をかけ撹拌しながら170℃に加熱し、水素添加反応を行った。反応途中、反応溶液を採取し、HPLCを用いて分析したところ、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンの存在を確認した。合計4時間反応し、冷却後、窒素置換し、HPLCを用いて定量分析を行った。その結果、原料が消失し、カテコールが収率23%で得られた。分析条件は実施例1と同様に行った。
(実施例3)
<2−デオキシ−scyllo−イノソースから(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンの合成>
国際公開第2006/112000号パンフレット記載の方法により合成した2−デオキシ−scyllo−イノソース1.64gとイオン交換樹脂IR120B5mLを水13.6mL中に加え、20時間加熱還流した。反応終了後イオン交換樹脂をろ別し、ろ液を減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラム(酢酸エチル)で精製し、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを604mg(収率41%)得た。
H−NMR(CDOD);δ6.91(dd,1H,J=2.3,11.5Hz),6.02(dd,1H,J=2.7,11.5Hz),4.35(dt,J=2.3,8.2Hz),3.57(dd,1H,J=8.2,11.5Hz)
13C−NMR(CDOD);δ200.18,153.32,127.51,79.93,78.12,73.06
(実施例4)
<(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンから(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンの合成>
実施例3で得られた(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オン 205mgをメタノール3.5mLに溶解した。5重量%Pd/C20mg(50重量%含水)を加え、室温(25℃)で常圧(1気圧)水素添加を行った。反応終了後、触媒をろ別し、ろ液を濃縮し、(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを198mg(収率96%)得た。
H−NMR(DMSO);δ5.21(d,1H,OH),4.91(d,1H,OH),4.87(d,1H,OH),3.88(m,1H),3.63(m,1H),3.07(m,1H),2.48(m,1H),2.14(m,1H),1.33(m,1H)
(実施例5)
<(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンからカテコールの合成>
実施例4で得られた(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オン29.2mgを33w/v%リン酸水溶液1mLに溶解し、100℃で2時間加熱した。HPLCを用いて定量分析を行った結果、カテコールが収率86%で得られた。HPLC分析条件;10mM酢酸水溶液/アセトニトリル=94/6、1.2mL/min.、UV=220nm、使用カラム ODS−AQ、内標 没食子酸メチル
(実施例6)
<2−デオキシ−scyllo−イノソースから(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンの合成>
国際公開第2006/112000号パンフレット記載の方法により合成した2−デオキシ−scyllo−イノソース0.15gを0.5N酢酸水1.35mL中に加え、120℃で1時間加熱した。反応終了後HPLCを用いて定量分析を行った結果、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンが収率33%で得られた。このとき44%の原料2−デオキシ−scyllo−イノソースが回収された。HPLC分析条件;10mM酢酸水溶液/アセトニトリル=94/6、1.2mL/min.、UV=220nm、使用カラム ODS−AQ、内標 没食子酸メチル
(実施例7)
<2−デオキシ−scyllo−イノソースから(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンの合成>
国際公開第2006/112000号パンフレット記載の方法により合成した2−デオキシ−scyllo−イノソース0.05gを5N酢酸水1mL中に加え100℃で2時間加熱した。反応終了後HPLCを用いて定量分析を行った結果、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンが収率48%で得られた。このとき35%の原料2−デオキシ−scyllo−イノソースが回収された。HPLC分析条件;10mM酢酸水溶液/アセトニトリル=94/6、1.2mL/min.、UV=220nm、使用カラム ODS−AQ、内標 没食子酸メチル
(実施例8)
<2−デオキシ−scyllo−イノソースから(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンの合成>
国際公開第2006/112000号パンフレット記載の方法により合成した2−デオキシ−scyllo−イノソース0.5gとシリカゲル(メルク社製キーゼルゲル60)100mgを水1mL中に加え150℃で2時間加熱した。反応終了後HPLCを用いて定量分析を行った結果、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンが収率50%で得られた。このとき15%の原料2−デオキシ−scyllo−イノソースが回収された。HPLC分析条件;10mM酢酸水溶液/アセトニトリル=94/6、1.2mL/min.、UV=220nm、使用カラム ODS−AQ、内標 没食子酸メチル
(実施例9)
<2−デオキシ−scyllo−イノソースからカテコールの合成>
国際公開第2006/112000号パンフレット記載の方法により合成した2−デオキシ−scyllo−イノソース150mgを水3mLに溶解し、オートクレーブ中に仕込んだ。さらに5重量%Pd/C7mg(50重量%含水)を仕込み、反応器を窒素で置換した。0.3MPaの水素圧をかけ撹拌しながら130℃に加熱し、水素添加反応を3時間行った。冷却後、窒素置換し、HPLCを用いて定量分析を行った。その結果、原料が消失し、カテコールが収率29%で得られた。分析条件は実施例1と同様に行った。
(実施例10〜16)
<2−デオキシ−scyllo−イノソースからカテコールの合成>
実施例9で用いた5重量%Pd/Cの代わりに、表1に示す触媒を用い、さらに表1に示す反応温度、反応時間とした以外は実施例9と全く同様に反応を行い、分析を行った。カテコール収率と併せて表1に示す。
Figure 0005433568
(実施例17)
<2−デオキシ−scyllo−イノソースからカテコールの合成>
国際公開第2006/112000号パンフレット記載の方法により合成した2−デオキシ−scyllo−イノソース150mgを水3mLに溶解し、オートクレーブ中に仕込んだ。さらに5重量%Pd/C1.8mg(50重量%含水)を仕込み、反応器を窒素で置換した。0.3MPaの水素圧をかけ撹拌しながら130℃に加熱し、水素添加反応を3時間行った。冷却後、窒素置換し、HPLCを用いて定量分析を行った。その結果、原料が消失し、カテコールが収率39%で得られた。分析条件は実施例1と同様に行った。
(実施例18)
<2−デオキシ−scyllo−イノソースからカテコールの合成>
国際公開第2006/112000号パンフレット記載の方法により合成した2−デオキシ−scyllo−イノソース150mgを水3mLに溶解し、オートクレーブ中に仕込んだ。さらに5重量%Pd/C1.5mg(50重量%含水)および硫酸155mgを仕込み、反応器を窒素で置換した。0.3MPaの水素圧をかけ撹拌しながら70℃に加熱し、水素添加反応を10時間行った。冷却後、窒素置換し、HPLCを用いて定量分析を行った。その結果、原料が消失し、カテコールが収率41%で得られた。分析条件は実施例1と同様に行った。
(実施例19〜21)
実施例18で用いた硫酸の代わりに、表2に示す酸を用い、反応温度を90℃とした以外は実施例18と全く同様に反応を行い、分析を行った。カテコール収率と併せて表2に示す。
Figure 0005433568
(実施例22)
<2−デオキシ−scyllo−イノソースからカテコールの合成>
国際公開第2006/112000号パンフレット記載の方法により合成した2−デオキシ−scyllo−イノソース150mgを水3mLに溶解し、オートクレーブ中に仕込んだ。さらに5重量%Pd/C1.6mg(50重量%含水)およびゼオライトHβ(NEケムキャット(株))152mgを仕込み、反応器を窒素で置換した。0.3MPaの水素圧をかけ撹拌しながら130℃に加熱し、水素添加反応を10時間行った。冷却後、窒素置換した後、再度170℃に加熱し、2時間攪拌した。冷却後、HPLCを用いて定量分析を行った。その結果、原料が消失し、カテコールが収率57%で得られた。分析条件は実施例1と同様に行った。
(実施例23)
固体酸として、ゼオライトHβの代わりに、ゼオライトHZSM5(NEケムキャット(株))155mgを用いた以外は、実施例22と全く同様に反応を行い、分析を行った。結果を表3に示す。
(実施例24)
固体酸として、ゼオライトHβの代わりに、活性白土(和光純薬工業(株))153mgを用いた以外は、実施例22と全く同様に反応を行い、分析を行った。結果を表3に示す。
(実施例25)
固体酸として、ゼオライトHβの代わりに、ナフィオン(登録商標)155mgを用いた以外は、実施例22と全く同様に反応を行い、分析を行った。結果を表3に示す。
Figure 0005433568

なお、上記実施形態には以下の態様が開示されている。
1.下記式(1)
Figure 0005433568

で表される(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンからカテコールを製造する方法。
2.1に記載のカテコールを製造する方法において、下記式(2)
Figure 0005433568

で表される2−デオキシ−scyllo−イノソースを脱水して(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造し、さらに水素化反応および脱水反応を行うことでカテコールを製造する方法。
3.1または2に記載のカテコールを製造する方法において、2−デオキシ−scyllo−イノソースを水素還元条件下加熱しながら反応させることにより(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを経由してカテコールを製造する方法。
4.1乃至3いずれかに記載のカテコールを製造する方法において、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水素還元条件下、加熱しながら反応させることによりカテコールを製造する方法。
5.1乃至4いずれかに記載のカテコールを製造する方法において、2−デオキシ−scyllo−イノソースを脱水して(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造し、さらに水素還元条件下、加熱しながら反応させることによりカテコールを製造する方法。
6.1乃至5いずれかに記載のカテコールを製造する方法において、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを金属触媒存在下反応させることによりカテコールを製造する方法。
7.6に記載のカテコールを製造する方法において、前記金属触媒が白金属金属からなる群または鉄族金属からなる群から選択される金属を含む、カテコールを製造する方法。
8.7に記載のカテコールを製造する方法において、前記金属触媒がパラジウムを含む、カテコールを製造する方法。
9.6乃至8いずれかに記載のカテコールを製造する方法において、前記金属触媒に含まれる金属成分が活性炭、アルミナまたはゼオライトに担持されている、カテコールを製造する方法。
10.1乃至9いずれかに記載のカテコールを製造する方法において、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水溶液中反応させることによりカテコールを製造する方法。
11.1乃至10いずれかに記載のカテコールを製造する方法において、2−デオキシ−scyllo−イノソースからワンポットでカテコールを製造する方法。
12.11に記載のカテコールを製造する方法において、固体酸の存在下、2−デオキシ−scyllo−イノソースからカテコールを製造する方法。
13.12に記載のカテコールを製造する方法において、前記固体酸がゼオライト、活性白土及びナフィオン(登録商標)からなる群から選択される、カテコールを製造する方法。
14.1に記載のカテコールを製造する方法において、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水素で還元し、下記式(3)
Figure 0005433568

で表される(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを製造し、脱水反応させることでカテコールを製造する方法。
15.14に記載のカテコールを製造する方法において、2−デオキシ−scyllo−イノソースを加熱しながら脱水して(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンとした後、金属触媒存在下、水素で還元して(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンとしたのち、さらに加熱しながら脱水することでカテコールを製造する方法。
16.2−デオキシ−scyllo−イノソースを脱水して、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造する方法。
17.(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オン。
18.(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを加熱しながら脱水反応させることでカテコールを製造する方法。
19.(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水素で還元し、(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを製造する方法。
20.下記式(4)
Figure 0005433568

で表される2,3,4,5−テトラヒドロキシ−シクロヘキサン−1−オンを水素還元条件下に加熱しながら反応させることでカテコールを製造する方法。

Claims (19)

  1. 下記式(1)
    Figure 0005433568

    で表される(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水素還元条件下、加熱しながら反応させることにより、カテコールを製造する方法。
  2. 請求項1に記載のカテコールを製造する方法において、
    下記式(2)
    Figure 0005433568

    で表される2−デオキシ−scyllo−イノソースを脱水して(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造し、さらに水素化反応および脱水反応を行うことでカテコールを製造する方法。
  3. 請求項1または2に記載のカテコールを製造する方法において、
    2−デオキシ−scyllo−イノソースを水素還元条件下加熱しながら反応させることにより(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを経由してカテコールを製造する方法。
  4. 請求項1乃至いずれかに記載のカテコールを製造する方法において、
    2−デオキシ−scyllo−イノソースを脱水して(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造し、さらに水素還元条件下、加熱しながら反応させることによりカテコールを製造する方法。
  5. 請求項1乃至いずれかに記載のカテコールを製造する方法において、
    (4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを金属触媒存在下反応させることによりカテコールを製造する方法。
  6. 請求項に記載のカテコールを製造する方法において、
    前記金属触媒が白金属金属からなる群または鉄族金属からなる群から選択される金属を含む、カテコールを製造する方法。
  7. 請求項に記載のカテコールを製造する方法において、
    前記金属触媒がパラジウムを含む、カテコールを製造する方法。
  8. 請求項乃至いずれかに記載のカテコールを製造する方法において、
    前記金属触媒に含まれる金属成分が活性炭、アルミナまたはゼオライトに担持されている、カテコールを製造する方法。
  9. 請求項1乃至いずれかに記載のカテコールを製造する方法において、
    (4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水溶液中反応させることによりカテコールを製造する方法。
  10. 請求項乃至いずれかに記載のカテコールを製造する方法において、2−デオキシ−scyllo−イノソースからワンポットでカテコールを製造する方法。
  11. 請求項10に記載のカテコールを製造する方法において、
    固体酸の存在下、2−デオキシ−scyllo−イノソースからカテコールを製造する方法。
  12. 請求項11に記載のカテコールを製造する方法において、
    前記固体酸がゼオライト、活性白土及びナフィオン(登録商標)からなる群から選択される、カテコールを製造する方法。
  13. 請求項1に記載のカテコールを製造する方法において、
    (4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水素で還元し、下記式(3)
    Figure 0005433568

    で表される(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを製造し、脱水反応させることでカテコールを製造する方法。
  14. 請求項13に記載のカテコールを製造する方法において、
    2−デオキシ−scyllo−イノソースを加熱しながら脱水して(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンとした後、金属触媒存在下、水素で還元して(2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンとしたのち、さらに加熱しながら脱水することでカテコールを製造する方法。
  15. 2−デオキシ−scyllo−イノソースを脱水して、(4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを製造する方法。
  16. (4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オン。
  17. (2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを加熱しながら脱水反応させることでカテコールを製造する方法。
  18. (4S,5R,6S)−4,5,6−トリヒドロキシ−2−シクロヘキセン−1−オンを水素で還元し、
    (2S,3R,4S)−2,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−オンを製造する方法。
  19. 下記式(4)
    Figure 0005433568

    で表される2,3,4,5−テトラヒドロキシ−シクロヘキサン−1−オンを水素還元条件下に加熱しながら反応させることでカテコールを製造する方法。
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