JP5429849B2 - 鋼板の曲げ加工方法 - Google Patents
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Description
また、留め金具の形状としては、たとえば図1に示すように、コーナー部のRが小さい部材に取り付ける場合に、留め金具1としてもRの小さいものが求められるなど、被締結材2との取り合いなどの問題から曲げ肩半径Rが小さいものが求められるケースが多々ある。
前記予備曲げ加工品の両側端を曲げ部方向に押圧することに替え、前記予備曲げ加工品の一側未加工部を拘束し、他側端を曲げ部方向に、当該側端が曲げ部方向に変位するように押圧することによって、曲げ部に目標の小肩半径を付与する形態であってもよい。
ここで、rp ’/tは1工程目の無次元化したパンチ肩半径、rp/tは割れが発生する無次元化した曲げ肩半径、tは素板板厚、dは2工程目の押込み量、La’-b’は最終製品の曲げ部の線長、La-bは予備曲げ加工品の曲げ部の線長である。
したがって、既存技術に比べ材料コストが低減できる。また、後処理の必要や熱源の使用も無くなるため製造時間の短縮や製造コストの低減が可能となる。
建材などに使用される留め金具としては、安全性の面から強度の高い材料が使用されるケースが多くなっているが、上記のような加工上の理由から、伸びの大きい高価な材料の使用がほとんどとなっている。
その過程で、鋼板を所望形状に近似した大肩半径に予備曲げ加工した後、所定の角度をなす固定2壁に前記予備曲げ加工品の両側未加工部外面を当接させた状態で、当該予備曲げ加工品の両側端を曲げ部方向に押圧することにより、小肩半径曲げ部の形成に際して発生する引張り歪を抑制し、加工品に小肩半径曲げ部を形成することができる鋼板の曲げ加工方法を発明するに至った。
予備曲げ加工品の両側端を曲げ部方向に押圧する以外の形態として、当該予備曲げ加工品の一側端の未加工部を拘束し、予備曲げ加工品の他側端を曲げ部方向に押圧することにより、反力を利用する形態が使用できる。
ここで、rpはパンチ金型先端に付与された肩半径であり、rp>0mmでの割れとは、パンチ肩半径が0mmの金型を使用して曲げを実施した際に割れが発生したことを意味している。なお、使用した金型のrpは輪郭形状測定器にて確認される。
まず、1工程目で図4に示す上下金型により、伸びの小さい鋼板に対し予備曲げ加工を行う。この工程で用いる上下金型は、図2(b)で示した通常の曲げ金型と同様のものであり、素板3に対し板押さえ4とパンチ肩半径rp ’のパンチ5、ダイス肩半径rd ’のダイス6により曲げ加工を行う。この工程での曲げ加工は、素板板厚t当たりのパンチ肩半径rp ’が素板板厚t当たりの割れが発生する曲げ肩半径rpよりも大きくなる条件、すなわちrp ’/t>rp/tとなる条件にて行うことが必要である。この予備曲げ加工により、所望の製品である最終品の肩半径曲げ部より大きい肩半径曲げ部を有する予備曲げ加工品7を形成する。
この装置は、下基盤に対して下部板押え8、側面部板押え9が取り付けられており、上基盤に対して上部板押え10がスプリング等の緩衝機構を介して、また整形パンチ11が直接取り付けられており、上基盤が図示しない駆動装置により下方向に移動可能とされている。なお、この装置にあっては、下基盤と上基盤は相対しており、下基盤に取り付けた側面部押え9と、上基盤に取り付けた上部板押え10は、被加工板厚を僅かに超えるクリアランスをもって配置され、整形パンチ11は、その側面が上部板押え10の側面と接する位置関係で取り付けられている。さらに下部板押え8には、予備曲げ加工品7の素板板厚tと同じ深さ、および得ようとする長辺部長さと同じ長さを有する凹部が形成されている。すなわち、下部板押え8の端部にストッパとなる凸部が形成されている。また、整形パンチ11には、上部板押え10と接する側に、予備曲げ加工品7の素板板厚tと同じ幅の凹部が形成されていることが好ましい。
この工程では、予備曲げ加工品7を、当該予備曲げ加工品の両端未加工部の内の短い方の未加工部外面を側面部板押え9に接するように長い方の未加工部外面を下部板押え8の凹部内に載置した後、上基盤を下方に下降させる。上基盤を下方に下降させることにより、まず予備曲げ加工品7の一側端の未加工部を下部板押え8と上部板押え10の間で固定する。未加工部の端部は下部板押え8の凹部で外方向への移動が妨げられる形態となっている。
なお、上部板押え10のコーナーRは、得ようとする曲げ加工品の肩半径よりも大きくすることが好ましい。
2工程目の押込み量は、図5(b)に示すように、最終曲げ加工品の曲げ部線長(線分AA’+線分A’B’+線分B’B)−予備曲げ加工品の曲げ部線長(線分AB)とする。この押込み量が請求項3に記載したdの数値となる。
図6に曲げ角が鋭角である場合、図7に曲げ角が鈍角である場合の、2工程目の加工形態を説明している。
すなわち、曲げ角が鋭角あるいは鈍角の場合、1工程目の上下金型としてパンチ角度を調整した常用の曲げ金型を用いてV曲げ加工を行った後、図6、7に示すような金型装置を用いて2工程目の加工を行うことにより、所望の曲げ角度の曲げ製品が得られる。
したがって、板押え12の前面側に予備曲げ加工品16を配した後、整形パンチ13を押し当て、その後に上基盤を下方に下降させることにより、加工パンチ13を板押え12方向に押圧させることで、曲げ部に目標の小肩半径を付与することができる。
供試材として、表1に示す成分組成と、表2に示す機械的特性を有する2種類のステンレス鋼板を用い、図8に示す条件でV曲げ加工を、図9に示す条件でL曲げ加工を施した。なお、曲げ加工は各条件でそれぞれ3回行った。そして、割れの発生状況を目視観察した。その結果を表3,4に示す。表中、割れが発生したものを×で、割れが認められなかったものを○で示している。
表3,4に示す通り、V曲げおよびL曲げとも伸びの大きい供試材Aはパンチ肩半径が0でも割れが発生しなかったが、伸びの小さい供試材B(ばね鋼板)はパンチ肩半径が小さくなると割れが発生した。
供試材として、表1に示す成分組成と、表2に示す機械的特性を有する供試材Bのばね材用ステンレス鋼板を用い、図10の加工条件で曲げ加工を実施した。なお加工は、1工程目の金型および加工条件は図9に準じて行った。また2工程目の押込み量は、1工程目で仮曲げ製品に3.0mmの肩半径の曲げが施されていると仮定し、それぞれ肩半径Rを0mm、1.0mm、1.5mmにするに必要な1工程目との線長差分とした。
その結果を表5に示す。前述のV曲げおよびL曲げ加工にて割れが発生していた小肩半径の曲げ加工条件において割れ無しの加工品を得ることができた。
5:パンチ 6:ダイス 7:予備曲げ加工品 8:下部板押え
9:側面部板押え 10:上部板押え 11:整形パンチ 12:板押え
13:加工パンチ 14:押圧棒 15:カムスライド
16:予備曲げ加工品
Claims (3)
- 鋼板に小肩半径の曲げ部を形成するにあたり、目標肩半径よりも大きい肩半径の曲げ部を有する予備曲げ加工品を形成した後、所定の角度をなす固定2壁に前記予備曲げ加工品の両側未加工部外面を当接させた状態で、前記予備曲げ加工品の両側端を曲げ部方向に、当該側端が曲げ部方向に変位するように押圧することにより曲げ部に目標の小肩半径を付与することを特徴とする鋼板の曲げ加工方法。
- 鋼板に小肩半径の曲げ部を形成するにあたり、目標肩半径よりも大きい肩半径の曲げ部を有する予備曲げ加工品を形成した後、所定の角度をなす固定2壁に前記予備曲げ加工品の両側未加工部外面を当接させた状態で、前記予備曲げ加工品の一側未加工部を拘束し、他側端を曲げ部方向に、当該側端が曲げ部方向に変位するように押圧することにより曲げ部に目標の小肩半径を付与することを特徴とする鋼板の曲げ加工方法。
- 前記予備曲げ加工品を得る曲げ加工を、rp ’/t>rp/tとなる条件にて行い、後段の小肩半径を付与する工程を、d=La’-b’−La-bの条件にて行う請求項1または2に記載の鋼板の曲げ加工方法。
ただし、rp ’/t;1工程目の無次元化したパンチ肩半径、rp/t;割れが発生する無次元化した曲げ肩半径、t;素板板厚、d;2工程目の押込み量、La’-b’;最終製品の曲げ部線長、La-b;予備曲げ加工品の曲げ部線長
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