JP5428924B2 - 導電積層体およびそれを用いてなるタッチパネル - Google Patents

導電積層体およびそれを用いてなるタッチパネル Download PDF

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Description

本発明は、線状構造体からなる導電成分を含む導電層上に保護層を有する導電積層体に関する。さらに詳しくは、タッチパネル等に使用する電極部材を形成する際の、ケミカルエッチングにより形成するパターンの微細化が可能な導電積層体に関するものである。またさらに、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどのディスプレイ関連および太陽電池モジュールなどの使用される電極部材にも使用される導電積層体に関するものである。
近年、タッチパネルを搭載する携帯電話、ゲーム機、パソコン等が普及している。タッチパネルには電極用の導電部材が使用されているが、複雑な操作を可能にするタッチパネルには導電部材の導電層表面を所望のパターンを形成して用いられている。
このタッチパネルに使用する導電部材としては、基材上に設けた導電性薄膜層の上にアミノ基等の官能基を有する高分子化合物からなる層を積層した導電積層体(特許文献1)、基材上に設けた金属薄膜や導電性高分子薄膜からなる導電性薄膜層の上にシアノ基等の高分子化合物からなる層を積層した導電積層体(特許文献2)、さらには基材上に設けた球状の金属微粒子を含む導電層上にエポキシ樹脂からなる層を積層した導電積層体(特許文献3)、基材上に設けた針状の導電性金属酸化物を含む導電層上に親水性官能基であるカチオン性第四級アンモニウム塩基やスルホン基を有するを有する高分子化合物からなる層を積層した導電積層体(特許文献4)等、特定の元素からなる官能基もしくは骨格構造を有する高分子化合物からなる層を各導電性薄膜層上に積層した導電積層体が提案されている。
また、基材上側から導電性薄膜層・無機酸化物層の順に積層したさらに上にシリコーンポリマーである直鎖の有機ポリシロキサンを含有する層の順に複数積層した導電積層体(特許文献5)、基材上側から球状の金属微粒子を含むハードコート層・導電層の順に積層したさらに上にパーフルオロアルキル基を含有する重合性化合物を含有する層を積層した導電積層体(特許文献6)等、撥水性と撥油性を有する層を各導電性薄膜層上に積層した導電積層体が提案されている。
さらに、高分子基材上に設けた線状構造体であるカーボンナノチューブ(以下CNTと略す。)を含む導電層の上に、薄膜のシリコンコート層すなわちシリカ層を積層した導電積層体(特許文献7)や、導電層上に親水性基を有する高分子化合物や界面活性剤等の添加剤にて水に対する表面濡れ性を制御した層を積層した導電積層体も提案されている(特許文献4、8)。
一方、これら導電部材のパターン形成方法としては、レーザーアブレーション法や、エッチング液を用いたケミカルエッチング法が一般的に用いられている(特許文献9)。レーザーアブレーション法は近赤外領域(NIR)レーザー光を導電膜に照射して不要部分を除去するため、レジストを必要とせず精度の高いパターニングが可能であるが、適用可能な基材が限定される上、コストが高く、処理速度が遅いため大面積の加工には不向きである。一方、ケミカルエッチング法では、例えば、酸を含むエッチング媒体が提案されており(特許文献10)、このエッチング媒体を導電部材上に所望のパターン(例えば、線幅が数十μm〜数mmの直線パターン等)にスクリーン印刷等で転写後、洗浄することで、エッチング媒体が転写されたパターン部分が除去されパターン(例えば、線幅が数十μm〜数mmの直線パターン等)を得るため、工程数が少なく低コストであるため有利である。
特開2003−115221号公報 特開2007−276322号公報 特許第3442082号公報 特開平11−198275号公報 特許第2847704号公報 特開2001−243841号公報 特許第3665969号公報 特開2004−294555号公報 特開2001−307567号公報 特表2009−503825号公報
しかしながら、特許文献1、2、4に記載されている積層体の保護層のように、導電層の上に積層する層が、アミノ基、シアノ基、カチオン性第四級アンモニウム塩基、スルホン基等の官能基を有する高分子化合物を成分とする場合は、いずれも特許文献10に記載しているような酸やまたその他塩基成分を含むエッチング媒体(以下除去剤とする。)に対して耐性が無いため、所望のパターンを形成することができずパターンの太りが発生したり、パターンを綺麗に形成することができない。また、特許文献3のように特定の元素が官能基ではなく骨格構造自体に有する高分子化合物である場合は、官能基として特定の元素を含む高分子化合物に比べて除去剤に対する耐性は比較的得やすく、特許文献5、6のように撥水性と撥油性を有する層上には除去剤の極性に限らず、スクリーン印刷等の一般的な方法にて比較的所望のパターンに除去剤を塗布積層することができるものの、導電層が導電性の薄膜であったり、導電成分が金属微粒子のような非線状構造体である場合は、電気を導電するために面内均一な薄膜としたり導電層内の金属微粒子を密に含有しているため、パターンを形成するためには処理時間を長くしたり、酸や塩基濃度を増加させる必要があり、結果、除去剤に含まれる酸や塩基が浸食してしまい、特許文献1、2、4と同様にパターンの太りが発生する。さらに、特許文献7のように導電成分が線状構造体であるCNTであっても、撥油性が劣るシリカ層を導電性を損なわない程度の薄膜で積層した場合や、特許文献4、8のように親水性の表面を形成する層を積層した場合も、同様にパターンの太りが発生する問題を解決することはできない。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、導電層と保護層との両方を改良することでケミカルエッチングにより形成するパターンの微細化が可能な導電積層体を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような構成を採用する。すなわち、
(1)基材の少なくとも片面に、基材側から、線状構造体からなる導電成分を含む導電層、保護層の順に積層した導電積層体であって、該保護層が下記(i)及び(ii)を満たす導電積層体、
(i)保護層の表面について、純水の接触角が80°以上、且つ、オレイン酸の接触角が13°以上、
(ii)保護層が、S元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素をいずれも含まない高分子化合物からなる。
(2)前記高分子化合物が架橋構造を有すること、
(3)前記線状構造体が、少なくとも1つの接点で線状構造体同士が接したネットワーク構造を有すること、
(4)前記線状構造体が銀ナノワイヤーであり、且つ、保護層がS元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素のいずれも含まない多官能アクリル系高分子化合物もしくは多官能メタクリル系高分子化合物であること、
(5)前記線状構造体がカーボンナノチューブであり、且つ、保護層がS元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素のいずれも含まない多官能アクリル系高分子化合物もしくは多官能メタクリル系高分子化合物であること、
(6)前記保護層中に、極大吸収波長の値が20nm以上異なる光開始剤を2種以上含有すること、
(7)保護層側から入射した際のJIS K7361−1(1997年)に基づいた全光線透過率が80%以上であること、
(8)タッチパネル用に用いられる(1)〜(7)のいずれかに記載の導電積層体、
(9)(8)に記載の導電積層体を用いてなるタッチパネル、
とするものである。
また、本発明の導電積層体はタッチパネル用途に好適に使用されるものである。さらに、本発明の導電積層体は、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどのディスプレイ関連および太陽電池モジュールなどの使用される電極部材にも好適に使用することができる。
本発明によれば、基材の少なくとも片面に、基材側から、線状構造体からなる導電成分を含む導電層、特定の保護層の順に積層することで、ケミカルエッチングにより形成するパターンの微細化が可能な導電積層体を提供できる。
本発明の導電積層体の断面模式図の一例である。 本発明の導電積層体の導電層側から観察した線状構造体の模式図の一例である。 本発明の一様態であるタッチパネルの一例を示した模式図である。 本発明の線状構造体近傍の断面模式図の一例である。 流動床縦型反応装置の概略図
本発明の導電積層体は、基材の少なくとも片面に、基材側から、線状構造体からなる導電成分を含む導電層、保護層の順に積層した導電積層体であって、該保護層が下記(i)及び(ii)を満たす導電積層体である。
(i)保護層の表面について、純水の接触角が80°以上、且つ、オレイン酸の接触角が13°以上
(ii)保護層が、S元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素をいずれも含まない高分子化合物からなる。
かかる導電成分が線状構造体であり、且つ保護層が前記(i)〜(ii)を満たすことで、ケミカルエッチングにより形成するパターンの微細化が可能となり理由は、以下であると推定している。
すなわち、導電成分が線状構造体であると、線状構造体が存在しない疎な部分があっても線状構造体から電気が流れるため、表面の抵抗値は充分低く実用レベルで問題ない程度の抵抗値を得ることができる。一方、ケミカルエッチングによってパターニングされた導電積層体は、パターニング部分の導電成分が除去され電気絶縁している必要がある。これは電気絶縁が不十分であると電極部材として使用した際に短絡等の不具合が発生してしまうためで、例え形成するパターンの微細化が可能であっても電極部材として使用することができないためである。導電成分が線状構造体であると、以下後述の効果によって容易に除去され、電気絶縁が得やすいと推定している。
一方、除去剤には導電成分を除去する成分である酸もしくは塩基成分以外に、バインダーや溶剤等の除去成分以外を含有するため、その種類によっては除去剤としての極性が変化する。その極性の変化に伴い、通常の導電積層体表面ではスクリーン印刷等で除去剤を転写したとしても、除去剤が濡れ広がってしまい所望のパターンを得ることが困難であり、パターンの太り(例えば所望の直線パターンに対し太い直線となる)が発生したり、除去剤が不均一に濡れ広がることでパターンを綺麗に形成することができない。
ここで導電層の上に積層する保護層の表面濡れ性の指標である接触角について、
(1)純水の接触角を80°以上とすることで除去剤中の水系に近い極性を示す成分に対し、
(2)また、オレイン酸の接触角を13°以上とすることで除去剤中の有機溶剤系(油系)に近い極性を示す成分に対し、
(3)またさらに、水系と有機溶剤系(油系)の成分が混合している中間の極性を示す除去剤に対し、
それぞれ濡れ広がりを抑制することができ、如何なる極性の除去剤であっても所望のパターンに対し、除去剤を微細に且つ綺麗に導電積層体の上に転写・積層することができると推定している。
さらに、上述のように所望のパターンに対し除去剤を微細に且つ綺麗に導電積層体の上に転写・積層することができたとしても、除去剤中の除去成分である酸もしくは塩基成分に対し、保護層に耐性がない場合は、その酸もしくは塩基成分が保護層に浸透しやすく、除去剤の洗浄工程後に保護層が導電層と共に剥離・溶解してしまう。その結果、除去剤が転写・積層した部分よりも、その保護層が剥離・溶解した分だけパターンの太りが発生したり、所望のパターンよりも不均一なパターンになってしまったりする。ここで保護層が、S元素、P元素、金属元素、金属イオン及び官能基を構成するN元素をいずれも含まない高分子化合物からなると、下記推定理由から除去剤中の除去成分である酸もしくは塩基成分の浸透する速度を遅くすることができ、結果、導電成分である線状構造体を選択的に除去することで、除去剤の洗浄工程後も保護層の剥離・溶解を抑制することができるため、パターンの太りや不均一化が無く、微細化が可能となると推定している。保護層が、S元素、P元素、金属元素、金属イオン及び官能基を構成するN元素をいずれも含まない高分子化合物からなると、除去剤中の除去成分である酸もしくは塩基成分の浸透する速度を遅くすることができる推定理由を以下に示す。
S元素、P元素、N元素はその電子軌道状態からその他元素と結合しない電子対を有することがあったり、金属イオンとイオン結合を有する官能基(例えば、−ONa、−COONa、−SONaなど)を形成したりし、また金属元素は配位結合を形成することがある。それらその他元素と結合しない電子対、イオン結合、配位結合は、除去剤中の除去成分である酸もしくは塩基成分と容易に作用してしまい、S元素、P元素、金属元素、金属イオン及び官能基を構成するN元素のいずれかがもともと結合していた元素との結合を容易に切断・開裂してしまうことで、結果、除去剤中の除去成分である酸もしくは塩基成分が保護層に浸透しやすくさせてしまう場合があると推定している。またさらに、前記イオン結合を有する官能基は親水性を付与しやすくなるため、前記純水の接触角を小さくする傾向にあり、純水の接触角を80°以上にするには不向きである。従って、これらS元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素をいずれも含まない高分子化合物を用いると、除去剤中の除去成分である酸もしくは塩基成分の浸透する速度を遅くすることができ、結果、導電成分である線状構造体を選択的に除去することで、除去剤の洗浄工程後も保護層の剥離・溶解を抑制することができるため、パターンの太りや不均一化が無く、微細化が可能となると推定している。
さらに、導電成分を線状構造体とすることで、保護層内に浸透した除去成分である酸もしくは塩基成分が線状構造体に到達し線状構造体がエッチングされ始めると、その酸もしくは塩基成分に対して耐性の低い線状構造体の線方向(後述する長軸方向)に酸もしくは塩基成分が選択的に浸食する一方、前述の理由から保護層への酸もしくは塩基成分の浸透する速度が格段に遅いため、導電成分が除去される相対割合が保護層より大きくなり、結果、洗浄工程において導電成分を選択的に除去し保護層の剥離・溶解を抑制することができるため、パターンの太りや不均一化が無く、微細化が可能となると推定している。
本発明の導電積層体は、基材の少なくとも片面に、基材側から、線状構造体からなる導電成分を含む導電層を有する。上記導電層を設けない場合は、導電性を示さない。
導電層の導電成分は線状構造体である必要がある。従来技術のように導電成分が線状構造体でない場合(非線状構造体である場合)、電気を導電するために面内均一な薄膜としたり導電層内の金属微粒子を密に含有しているため、導電層を取り除くためには、パターンを形成するためには処理時間を長くしたり、酸や塩基成分の濃度を増加させる必要があり、結果、除去剤に含まれる酸や塩基成分が導電層と共に保護層にも充分浸食してしまい、除去剤の洗浄工程後に保護層が剥離・溶解することでパターンの太りや不均一化が発生し、パターンを微細化することができない。逆に、パターンを形成するための処理時間を長くしなかったり、酸や塩基成分の濃度を増加させ内等の方法でパターンの太りや不均一化を抑制したとしても、パターニング部分の電気絶縁が不十分となる。線状構造体を用いた場合、除去剤中の除去成分である酸もしくは塩基成分に対して耐性の低い線状構造体の線方向(後述する長軸方向)に酸もしくは塩基成分が選択的に浸食することで、導電成分が除去される相対割合が保護層より大きくなり、結果、結果、洗浄工程において導電成分を選択的に除去、保護層の剥離・溶解を抑制することで、パターンの太りや不均一化が無く、微細化が可能となる。
本発明における線状構造体とは短軸の長さと長軸の長さの比、すなわちアスペクト比=長軸の長さ/短軸の長さが1より大きい構造体のことである(一方、例えば球状はアスペクト比=1である。)。線上構造体としては、例えば、繊維状導電体、ウィスカーのような針状導電体等が挙げられる。前記短軸及び長軸の長さは、線状構造体の種類によっても異なるため一義的に限定することはできないが、短軸の長さは形成するパターンよりも小さく1nm〜1000nm(1μm)が好ましく、また長軸の長さは短軸の長さに対し、前記アスペクト比=長軸の長さ/短軸の長さが1より大きくなるような長さであれば良く1μm〜100μm(0.1mm)が好ましい。
前記、繊維状導電体としては、炭素系繊維状導電体、金属系繊維状導電体、金属酸化物系繊維状導電体などが挙げられる。炭素系繊維状導電体としては、ポリアクリルニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、ガラス状カーボン、CNT、カーボンナノコイル、カーボンナノワイヤー、カーボンナノファイバー、カーボンウィスカー、グラファイトフィブリルなどが挙げられる。金属系繊維状導電体としては、金、白金、銀、ニッケル、シリコン、ステンレス鋼、銅、黄銅、アルミニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、オスミウム、コバルト、亜鉛、スカンジウム、ホウ素、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、錫、マグネシウムなどから製造される繊維状であったりナノワイヤー状の金属および合金などが挙げられる。金属酸化物系繊維状導電体としては、InO、InOSn、SnO、ZnO、SnO−Sb、SnO−V、TiO(Sn/Sb)O、SiO(Sn/Sb)O、KO−nTiO−(Sn/Sb)O、KO−nTiO−Cなどから製造された繊維状であったり、ナノワイヤー状の金属酸化物および金属酸化物複合体などが挙げられる。これらは表面処理を施されていてもよい。さらに、植物繊維、合成繊維、無機繊維などの非金属材料の表面に前記金属、前記金属酸化物またはCNTでコーティングまたは蒸着したものも繊維状導電体に含まれる。
前記ウィスカーのような針状導電体とは、金属、炭素系化合物、金属酸化物などからなる化合物である。金属としては、元素の短周期型周期律表におけるIIA属、IIIA属、IVA属、VA属、VIA属、VIIA属、VIII属、IB属、IIB属、IIIB属、IVB属またはVB属に属する元素が挙げられる。具体的には、金、白金、銀、ニッケル、ステンレス鋼、銅、黄銅、アルミニウム、ガリウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、マンガン、アンチモン、パラジウム、ビスマス、テクネチウム、レニウム、鉄、オスミウム、コバルト、亜鉛、スカンジウム、ホウ素、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、テルル、錫、マグネシウムや、これらを含む合金が挙げられる。炭素系化合物としては、カーボンナノホーン、フラーレン、グラフェンなどが挙げられる。金属酸化物としては、InO、InOSn、SnO、ZnO、SnO−Sb、SnO−V、TiO(Sn/Sb)O、SiO(Sn/Sb)O、KO−nTiO−(Sn/Sb)O、KO−nTiO−Cなどが挙げられる。これら線状構造体のうち、透明性等の光学特性、導電性等の観点から銀ナノワイヤーもしくはCNTを好ましく使用することができる。
前記線状構造体の一例としてCNTについて説明する。本発明において、導電層の成分に用いられるCNTは、単層CNT、二層CNT、三層以上の多層CNTのいずれでもよい。直径が0.3〜100nm、長さ0.1〜20μm程度のものが好ましく用いられる。尚、後述する導電積層体の透明性を高め、表面抵抗値を低減するためには、直径10nm以下、長さ1〜10μmの単層CNT、二層CNTがより好ましい。また、CNTの集合体にはアモルファスカーボンや触媒金属などの不純物は極力含まれないことが好ましい。これら不純物が含まれる場合は、酸処理や加熱処理などによって適宜精製することができる。このCNTは、アーク放電法、レーザーアブレーション法、触媒化学気相法(化学気相法の中で担体に遷移金属を担持した触媒を用いる方法)などによって合成、製造されるが、なかでも生産性よくアモルファスカーボン等の不純物の生成を少なくできる触媒化学気相法が好ましい。
本発明において、CNT分散液を塗布して導電層を形成することができる。CNT分散液を得るには、CNTを溶媒とともに、混合分散機や超音波照射装置によって分散処理を行うことが一般的であり、さらに分散剤を添加することが望ましい。
分散剤としては、CNTが分散できれば特に限定はないが、CNT分散液を基材上に塗布、乾燥させたCNTを含有する導電層の基材との密着性、膜の硬度、耐擦過性の点で、合成高分子、天然高分子のポリマーを選択することが好ましい。さらに、分散性を損わない範囲で架橋剤を添加してもよい。
合成高分子は、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、アセタール基変性ポリビニルアルコール、ブチラール基変性ポリビニルアルコール、シラノール基変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合樹脂、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、変性フェノキシ系樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂、フッ素系樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンである。天然高分子は、例えば、多糖類であるデンプン、プルラン、デキストラン、デキストリン、グアーガム、キサンタンガム、アミロース、アミロペクチン、アルギン酸、アラビアガム、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、カードラン、キチン、キトサン、セルロースおよびその誘導体から選択できる。誘導体とはエステルやエーテルなどの従来公知の化合物を意味する。これらは、1種または2種以上を混合して用いることができる。中でも、CNTの分散性に優れることから、多糖類ならびにその誘導体が好ましい。さらにセルロースならびにその誘導体が、膜形成能が高く好ましい。中でもエステルやエーテル誘導体が好ましく、具体的には、カルボキシメチルセルロースやその塩などが好適である。
また、CNTと前記分散剤との配合比を調整することも可能である。CNTと分散剤の配合比は、基材との密着性、硬度、耐擦過性に問題のない配合比が好ましい。具体的には、CNTが導電層全体に対し10質量%〜90質量%の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、30質量%〜70質量%の範囲である。CNTが10質量%以上であると、タッチパネルに必要な導電性が得られ易く、またさらに、基材表面に塗布する際にはじくことなく均一に塗布しやすくなり、ひいては良好な外観・品位を有する導電積層体を生産性良く供給することができる。90質量%以下であると、CNTの溶媒中での分散性が良化、凝集し難くなり、良好なCNT塗布層が得られ易くなり、生産性が良いので好ましい。さらに塗布膜も強固で、生産工程中に擦過傷が発生し難くなり、表面抵抗値の均一性を維持できるので好ましい。
また、前記線状構造体として挙げられる金属や金属酸化物のナノワイヤーは、特表2009−505358号公報、特開2009−146747号公報、特開2009−70660号公報に開示されており、また、ウィスカーのような針状導電体としては、例えば、チタン酸カリウム繊維とスズ及びアンチモン系酸化物の複合化合物であるデントールWKシリーズ(大塚化学(株)製)のWK200B、WK300R、WK500や、二酸化ケイ素繊維とスズ及びアンチモン系酸化物の複合化合物であるデントールTMシリーズ(大塚化学(株)製)のTM100等が市販されており、前記線状構造体を単独、又は複数を組み合わせて混合させ使用することができ、さらに、必要に応じて他のマイクロ〜ナノサイズの導電性材料を添加しても良く、特にこれらに限定されるものではない。
本発明においては、導電層の上に積層する保護層はその表面が、純水の接触角が80°以上、且つ、オレイン酸の接触角が13°以上である必要がある。保護層はその表面が少なくとも純水の接触角が80°未満もしくはオレイン酸の接触角が13°未満のどちらか一方である場合、除去剤を導電積層体の上に転写・積層した際に、除去剤が濡れ広がってしまい所望のパターンを得られず、パターンの太りが発生したり、除去剤が不均一に濡れ広がることでパターンを綺麗に形成することができない。一方、保護層はその表面が、純水の接触角が80°以上、且つ、オレイン酸の接触角が13°以上であると、除去剤が如何なる極性であっても濡れ広がりを抑制することができ、所望のパターンに対し微細且つ綺麗なパターンを形成することができる。ここで、接触角とはJIS R3257に準じた静滴法にて、水平に設置した本発明の導電積層体の保護層側上に液滴を静置した際に算出される値θのことである。本発明においては、前記液滴を純水及びオレイン酸として実施し、純水の接触角を除去剤中の水系に近い極性を示す成分に対する表面濡れ性の指標、また、オレイン酸の接触角を除去剤中の有機溶剤系(油系)に近い極性を示す成分に対する表面濡れ性の指標として、各々採用したものである。
本発明における保護層側における純水の接触角は、保護層を構成する成分等に依存するため80°以上であれば良く一義的に限定することはできないが、所望のパターンに対しパターンの太りや不均一化が無くより微細且つ綺麗なパターンを形成することができるため、好ましくは85°以上、さらに好ましくは90°以上、より好ましくは93°以上である。尚、上限は特には限定されないが、除去剤の種類や含有する成分、導電積層体の上に転写・積層する方法等によっては、除去剤がハジキ等の転写欠点・積層欠点が発生したりすることがあるため100°以下が好ましい。また、本発明における保護層側におけるオレイン酸の接触角は、保護層を構成する成分等に依存するため13°以上であれば良く一義的に限定することはできないが、所望のパターンに対しパターンの太りや不均一化が無くより微細且つ綺麗なパターンを形成することができるため、好ましくは30°以上、さらに好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上である。尚、上限は特には限定されないが、除去剤の種類や含有する成分、導電積層体の上に転写・積層する方法等によっては、除去剤がハジキ等の転写欠点・積層欠点が発生したりすることがあるため70°以下が好ましい。本発明における保護層の表面が、純水の接触角が80°以上、且つ、オレイン酸の接触角が13°以上とする方法としては、後述するS元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素をいずれも含まない高分子化合物と共に添加剤を加えた構成からなる保護層とすることで各接触角の範囲を満たしても良いが、添加剤がブリードアウトしたり高分子化合物の硬化反応を阻害する恐れがあるため、S元素、P元素、金属元素、金属イオン及び官能基を構成するN元素をいずれも含まない高分子化合物のうち、その高分子化合物自体が各接触角の範囲を満たしているものを選択してその高分子化合物のみで保護層を構成している方が好ましい。添加剤としては、例えば、フッ素元素(F元素)を含有する低分子化合物・モノマー・オリゴマー等、シリコーン系の低分子化合物・モノマー・オリゴマー樹脂等が挙げられ、さらに、これら添加剤が後述するS元素、P元素、金属元素、金属イオン及び官能基を構成するN元素をいずれも含まない高分子化合物と混合した状態で保護層内に存在していても良く、また、S元素、P元素、金属元素、金属イオン及び官能基を構成するN元素をいずれも含まない高分子化合物と一部結合を有していても良く、各接触角の範囲を満たしていれば、特に限定されるものでない。
本発明における保護層は、S元素、P元素、金属元素、金属イオン及び官能基を構成するN元素をいずれも含まない高分子化合物からなる必要がある。S元素、P元素、N元素はその電子軌道状態からその他元素と結合しない電子対を有することがあったり、金属イオンとイオン結合を有する官能基(例えば、−ONa、−COONa、−SONaなど)を形成したりし、また金属元素は配位結合を形成することがある。それらその他元素と結合しない電子対、イオン結合、配位結合は、除去剤中の除去成分である酸もしくは塩基成分と容易に作用してしまい、S元素、P元素、金属元素、金属イオン及び官能基を構成するN元素のいずれかがもともと結合していた元素との結合を容易に切断・開裂してしまい、結果、除去剤中の除去成分である酸もしくは塩基成分が保護層に浸透しやすくさせてしまい、ひいてはパターンの太りや不均一化が発生し、微細化が困難となる。またさらに、前記イオン結合を有する官能基は親水性を付与しやすくなるため、前記純水の接触角を小さくする傾向にあり、純水の接触角を80°以上にするには不向きである。一方、これらS元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素をいずれも含まない高分子化合物を用いると、容易に前記純水の接触角を80°以上にすることができることに加え、除去剤中の除去成分である酸もしくは塩基成分の浸透する速度を遅くすることができ、結果、導電成分である線状構造体を選択的に除去することで、除去剤の洗浄工程後も保護層の剥離・溶解を抑制することができるため、パターンの太りや不均一化が無く、微細化が可能となる。保護層の成分としては、有機または無機系の高分子化合物などが挙げられる。
無機系高分子化合物としては、無機系の酸化物等が挙げられ、例えば、珪素酸化物である、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、メチルトリアセチルオキシシラン、メチルトリフェノキシシランなどのオルガノアルコシシランのアルコール、水、酸などから、加水分解・重合反応によって形成させるゾル−ゲルコーティング膜、珪素酸化物のスパッタ蒸着膜などが使用できる。
有機系高分子化合物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられ、可視光透過性、基材の耐熱性、ガラス転移点および膜硬度などの観点から、適宜選択することができる。これら樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、フェノール系樹脂、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の塩素元素(Cl元素)を含有する樹脂、フッ素元素(F元素)を含有する樹脂(例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等の樹脂の構造内にフッ素元素(F元素)を含有する樹脂)、シリコーン系樹脂(直鎖シリコーン系樹脂、シリコーンレジン系樹脂、直鎖シリコーン系樹脂やシリコーンレジン系樹脂とその他樹脂との共重合体やグラフト構造の共重合体、前記直鎖シリコーン系樹脂・前記シリコーンレジン系樹脂・前記その他樹脂との共重合体やグラフト構造の共重合体のシリコーンの分子鎖末端、分子鎖中、分岐鎖中など構造内に各種官能基を導入した変性シリコーン系樹脂)、等が挙げられ、これらを要求する特性や生産性等をふまえ少なくとも1種類を任意に選択し、またこれらを2種以上混合しても良く、特にこれらに限定されるものではないが、前記各接触角を特定の範囲にすることが容易という観点からは、フッ素元素(F元素)を含有する樹脂、シリコーン系樹脂、が好ましく、さらには、透明性等の光学特性に加え後述する理由から多官能アクリル系高分子化合物、もしくは多官能メタクリル系高分子化合物が好ましく使用することができる。
またさらに本発明においては、前記高分子化合物が架橋構造を有していると、除去剤中の除去成分である酸もしくは塩基成分の浸透する速度を遅くし、導電成分である線状構造体を選択的に除去することで、除去剤の洗浄工程後も保護層の剥離・溶解を抑制し、パターンの太りや不均一化が無く、さらに微細化がしやすくなるため特に好ましい。本発明における架橋構造とは保護層を形成する成分の結合が3次元的につながった状態であり、架橋構造をとることで保護層を構成する成分の結合が緻密になり保護層の自由空間(自由体積)が小さくなった結果、保護層への除去剤からの酸もしくは塩基成分の浸透を抑制することができると推定している。この架橋構造による効果は、有機系高分子化合物であっても、また、無機系高分子化合物であっても同様であるが、有機系高分子化合物に比べ無機系高分子化合物が架橋構造をとると柔軟性や屈曲性が低下し保護層が脆くなり、生産時の取り扱い方法等では脆性破壊しやすくなる可能性があるため、有機系高分子化合物の架橋構造体が最も好ましい。
有機系高分子化合物を架橋構造とする方法としては、多官能モノマーや多官能オリゴマーを加熱硬化したり、紫外光、可視光、電子線等の活性電子線を照射して光硬化させる方法がある。熱硬化の場合は熱エネルギーが硬化反応のドライビングフォースであるため、モノマーやオリゴマーをより多官能にすると反応性に時間を要し硬化時間が長くする等の対処が必要な場合がある、一方、光硬化の場合は、後述するような光開始剤を含有し、そこに前記活性電子線を照射することで発生する開始種によって連鎖的に容易に反応が進行するため、硬化時間が短い等の理由からより好ましい。本発明の多官能アクリル系高分子化合物、もしくは多官能メタクリル系高分子化合物を形成する多官能モノマーや多官能オリゴマーとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、等が挙げられ、これらを要求する特性や生産性等をふまえ少なくとも1種類を任意に選択し、またこれらを2種以上混合しても良く、さらには添加剤としてイソホロンジイソシアネート(IPDI)等のイソシアネート系化合物を混合して官能基とは異なり骨格構造内にN元素を含有するウレタンアクリレート骨格を一部有していても良く、特にこれらに限定されるものではない。
ここで、光開始剤とは、紫外領域の光、可視領域の光、電子線等の活性電子線を吸収し、反応の開始種であるラジカル種、カチオン種、アニオン種等の活性種を生成し、高分子化合物の反応を開始する物質である。
本発明においては、使用する前記活性電子線の種類から光開始剤を1種のみ単独で使用してもよいが、より好ましくは極大吸収波長の値が各々20nm以上異なる光開始剤を2種以上選定し含有させて使用することが好ましい。
その理由を以下に示す。例えば開始種がラジカル種である場合を挙げると、ラジカル種は非常に反応性が高い一方、その高い反応性が故に多官能モノマーや多官能オリゴマーと反応する前に大気中の酸素の作用にてラジカルが失活してしまう場合があり硬化反応が思うように進行せず、高分子化合物の架橋構造が不十分になる場合がある。その酸素阻害を抑制するために窒素やアルゴン等の不活性ガスにて置換した雰囲気下にしたり、酸素脱気した雰囲気下にする等の対処が必要な場合があるが、そのような特殊な雰囲気下にするには設備が大がかりなものになるなど、生産性やコストの点で不利になってしまう。従って、大気下でも充分に硬化反応が進行し架橋構造を形成することができれば、低コストでありながら安定生産が可能になり、ひいてはより高品質な導電積層体を提供することができる。ここで、発明者らは、混合する光開始剤の極大吸収波長の値が20nm以上異なることで大気下であっても特殊な雰囲気下同様に充分に硬化反応が進行し得ることを見出した。
尚、ここでいう極大吸収波長とは、光開始剤を可溶な溶剤に溶解させた際の紫外可視分光光度法(UV−Vis)より求めた吸収スペクトルの極大値における波長のことである。また、極大値が複数ある場合は以下を極大吸収波長とする。光路長1cmにて求めた吸収スペクトルにおける200〜400nmの領域に存在する複数の極大値の内、最も吸光度の大きい極大値における波長を極大吸収波長とする。ここで、溶剤に溶解させた際の光開始剤の濃度が高すぎると、前記最も吸光度の大きい極大値が使用する装置の検出限界を越えてしまい、あたかもその前記最も吸光度の大きい極大値が無いように観察されてしまうことがあるので、適宜光開始剤の濃度を変えて同様に測定し、各同濃度において相対的に最も吸光度の大きい極大値における波長を極大吸収波長とする。極大吸収波長の値の差が20nm未満の場合は、混合した光開始剤の吸収帯の重なってしまう領域が存在し、あたかも1種の光開始剤のみと同等の効果しか得られないと推定している。ところが、前記活性電子線を放出するランプ等の放出体からは、実際は単一波長のみを放出しているわけではなく様々な波長を放出しているおり、極大吸収波長の差が20nm以上の光開始剤を2種以上混合することで、より広い領域の波長を吸収することができ、結果、放出した活性電子線を効率よく捕捉・使用することで、大気下であっても充分に硬化反応を進行させ得ることができる。従って、光開始剤を3種以上含有する場合は、それぞれの極大吸収波長の差が20nm以上であるとさらに効果的である。
使用可能な光開始剤としては例えば、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などのα−ヒドロキシケトン系やα−アミノケトン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、メチルフェニルグリオキシレートなどが使用でき、極大吸収波長の値、吸光度、色見、着色度合い等の観点から、これら光開始剤のうち好ましく使用することができる。好ましく用いられるものは、例えば市販品としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとしてCiba(登録商標)IRGACURE(登録商標)184(チバ・ジャパン(株)製)、2−メチル1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンとしてCiba(登録商標)IRGACURE(登録商標)907(チバ・ジャパン(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1としてCiba(登録商標)IRGACURE(登録商標)369(チバ・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
本発明において、前記線状構造体は、導電層中においてネットワーク構造で存在していることが好ましい。ネットワーク構造となることで、保護層側の面方向への導電パスが増え、導電積層体の保護層側を低い表面抵抗値に調整しやすく、また、除去剤中の酸もしくは塩基成分がネットワーク構造を伝って侵食することで、より選択的に線状構造体を侵食することができ、除去剤の洗浄工程後も保護層の剥離・溶解を抑制し、パターンの太りや不均一化が無く、さらに微細化がしやすくなるため特に好ましい。発明におけるネットワーク構造とは、少なくとも1つの接点で線状構造体同士が接していることで、最も小さいネットワーク構造は2本の線状構造体が、ある一接点を有している場合である。接点は線状構造体のいかなる部分同士で形成されていてもよく、線状構造体の末端部同士が接していたり、末端と線状構造体の末端以外の部分が接していたり、線状構造体の末端以外の部分同士が接していてもよく、また、接するとはその接点が接合していても、単に接触しているだけでもよい。ネットワーク構造は、後述する方法にて観察することができるが、特に限定されるものではない。さらに線状構造体が集合体を形成してネットワーク構造となっていても良い。ここで、線状構造体の集合体とは、例えば線状構造体の配置の方向性に規則性がなくランダムに集合した状態であっても良く、また線状構造体の長軸方向の面同士が平行に集合した状態であっても良い。長軸方向の面同士が平行に集合した状態の例としては、前述のCNTを導電層とした際にバンドルという集合体となることが公知に知られており、その他線状構造体が同様に類似のバンドル構造を有していても良い。
本発明にかかる導電積層体は、前記導電層側から入射した際のJIS K7361−1(1997年)に基づいた全光線透過率が80%以上である透明導電積層体であることが好ましい。本発明の導電積層体を透明導電積層体として組み込んだタッチパネルは、優れた透明性を示し、この透明導電積層体を用いたタッチパネルの下層に設けたディスプレイの表示を鮮やかに認識することができる。本発明における透明性とは、前記導電層側から入射した際のJIS K7361−1(1997年)に基づいた全光線透過率が80%以上であることを意味し、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。全光線透過率を上げるための方法としては、例えば、使用する基材の全光線透過率を上げる方法、前記導電層の膜厚をより薄くする方法、また、保護層が光学干渉膜となるように積層する方法等が挙げられる。
基材の全光線透過率を上げる方法としては、基材の厚みを薄くする方法、あるいは全光線透過率の大きな材質の基材を選定する方法が挙げられる。本発明の透明導電積層体における基材は、可視光線の全光線透過率が高い基材が好適に使用でき、具体的にはJIS K7361−1(1997年)に基づいた全光線透過率が80%以上のもの、より好ましくは90%以上の透明性を有しているものである。具体的には例えば透明な樹脂、ガラスなどを挙げることができ、厚み250μm以下で巻き取り可能なフィルムであっても、厚み250μmを超える基板であっても上記全光線透過率の範囲で有ればよい。コスト、生産性、取り扱い性等の観点からは250μm以下の樹脂フィルムが好ましく、特に好ましくは190μm以下、さらに好ましくは150nm以下である。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース、及びこれら樹脂の混合及び/又は共重合したものが挙げられ、例えばその樹脂を未延伸、一軸延伸、二軸延伸してフィルムとすることができる。これら基材のうち、基材への成形性、透明性等の光学特性、生産性当の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、またPENとの混合及び/又は共重合したPETフィルム、ポリプロピレンフィルムを好ましく使用することができる。
ガラスとしては、通常のソーダガラスを用いることができる。また、これらの複数の基材を組み合わせて用いることもできる。例えば、樹脂とガラスを組み合わせた基材、2種以上の樹脂を積層した基材などの複合基材であってもよい。さらに、基材は、必要に応じ、表面処理を施してあっても良い。表面処理は、グロー放電、コロナ放電、プラズマ処理、火炎処理等の物理的処理、あるいは樹脂層を設けてあっても良い。フィルムの場合、易接着層のあるものでも良い。基材の種類は上述に限定されることはなく、用途に応じて透明性や耐久性や可撓性やコスト等から最適なものを選ぶことができる。
次に、保護層が光学干渉膜となるように積層する方法の説明を以下に示す。
導電層は、その導電成分自身の物性により光を反射や吸収する。そのため、基材上に設けた導電層を含む透明導電積層体の全光線透過率を上げるには、保護層が透明な材料で光学干渉膜となるように設け、この光学干渉膜側の波長380〜780nmでの平均反射率を4%以下に下げることが効果的であり、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下である。平均反射率が4%以下であると、タッチパネル用途などに用いる場合の全光線透過率80%以上の性能を生産性良く得ることができるので好ましい。
本発明の導電積層体は、線状構造体の導電成分が如何なるものであっても、その導電層側の表面抵抗値が、1×10Ω/□以上、1×10Ω/□以下であることが好ましく、より好ましくは1×10Ω/□以上、1.5×10以下である。この範囲にあることで、タッチパネル用の導電積層体として好ましく用いることができる。すなわち、1×10Ω/□以上であれば消費電力を少なくすることができ、1×10Ω/□以下であれば、タッチパネルの座標読みとりにおける誤差の影響を小さくすることができる。
保護層を導電層上に形成する方法としては、形成する物質により最適な方法を選択すれば良く、真空蒸着、EB蒸着、スパッタなどのドライ法、キャスト、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレー、ブレードコート、スリットダイコート、グラビアコート、リバースコート、スクリーン印刷、鋳型塗布、印刷転写、インクジェットなどのウエットコート法等、一般的な方法を挙げることができる。なかでも、保護層を均一に積層できかつ導電層への傷が入りにくいスリットダイコート、もしくは保護層を均一にかつ生産性良く形成できるマイクログラビアを使用したウエットコート法が好ましい。
本発明にかかる基材及び/或いは各層には、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、有機および/又は無機の微粒子、架橋剤、難燃剤、難燃助剤、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、レベリング剤、滑り賦活剤、導電剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、核剤、染料、充填剤、分散剤およびカップリング剤などを用いることができる。
次に、本発明に対して用いられる除去剤について説明する。本発明に用いる除去剤とは、酸もしくは塩基成分を含有するものである。酸もしくは塩基成分を含有することで、保護層上に塗布した際に線状構造体を選択的に除去することができる。本発明に対して用いる除去剤は、
沸点が80℃以上の酸または沸点が80℃以上の塩基もしくは外部エネルギーにより酸または塩基を発生させる化合物、溶媒、樹脂およびレベリング剤からなる群の内一種以上を含むものである。レベリング剤を含むことにより、導電層除去剤に高い浸透力を付与し、従来では除去が困難であった繊維状導電成分をも容易に除去することができる。前記除去剤を、導電層側の保護層の少なくとも一部に塗布し、80℃以上で加熱処理し、液体を用いた洗浄により導電層を除去することによって、前記除去剤が塗布された部分の導電層を選択的に除去することができる。除去剤を所望の箇所に塗布することにより、鋭角や曲線を含む複雑かつ高精細なパターンも任意に形成することができる。加熱処理温度は、除去剤のうちの溶媒以外の成分の沸点よりも低い温度であることが好ましく、200℃以下が好ましい。
本発明に用いる除去剤は、導電成分として反応性の低いCNTやグラフェン、銀や銅などの金属を含む導電層も容易に除去することができる。
除去剤に好ましく用いられる酸は、沸点が80℃以上であれば特に限定されない。ここで、本発明において、沸点は大気圧下における値をいい、JIS−K5601−2−3(1999)に準拠して測定する。100℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。なお、本発明においては、大気圧下において明確な沸点を持たず、昇温すると気化よりも先に80℃以上で熱分解が始まる酸も、沸点が80℃以上の酸に含めるものとする。また、導電層を除去する際の加熱処理温度における蒸気圧密度が30kPa以下であるものがより好ましい。例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、マロン酸などのジカルボン酸、クエン酸、トリカルバリル酸などのトリカルボン酸、メタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などのフェニルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸などのスルホン酸化合物、トリフルオロ酢酸などの有機酸を一部フッ素化した誘導体、硫酸、塩酸、硝酸およびリン酸などの無機酸を挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。
これらの中でも、高い酸化力を有する酸が好ましく、硫酸またはスルホン酸化合物がより好ましい。硫酸の大気圧下における沸点は290℃であり、例えば150℃における硫酸の蒸気圧密度は1.3kPa以下であるため、この温度で加熱しても液状を保持し、導電層内の線状構造体へ深く浸透する。さらに、硫酸は高い酸化力を有しているため、80〜200℃程度の低温でも導電層と反応しやすく、硝酸や酢酸よりも短時間の加熱処理で、基材に影響を与えることなく導電層を除去することができる。また、スルホン酸化合物は、大気圧下では固体酸であることから蒸発することがなく、例えば150℃における蒸気圧密度は1.3kPa以下であるため、この温度で加熱しても蒸発または昇華することなく、加熱時に効率よく反応が促進されるため、短時間の加熱処理で導電層を除去することができる。さらに、固体酸を含む除去剤は非ニュートン流動性の制御が容易となるため、各種基材に対して、例えば線幅30μm程度の線幅の小さい直線パターンを線幅のばらつき(うねり)を少なく形成できるなど、高精細なパターン形成を行うことができ、特に好ましい。
本発明に用いられる塩基は、沸点が80℃以上であれば特に限定されず、100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。なお、本発明においては、大気圧下において明確な沸点を持たず、昇温すると気化よりも先に80℃以上で熱分解が始まる塩基も、沸点が80℃以上の塩基に含めるものとする。また、導電膜を除去する際の加熱処理温度における蒸気圧密度が30kPa以下であるものがより好ましい。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化バリウム、グアニジン、水酸化トリメチルスルホニウム、ナトリウムエトキシド、ジアザビシクロウンデセン、ヒドラジン、ホスファゼン、プロアザホスファトラン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、アミノ基を有するアルコキシシランなどを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。
除去剤に好ましく用いられる外部エネルギーにより酸を発生させる化合物としては、放射線、紫外線の照射および/または熱によって酸を発生させる化合物を挙げることができる。例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホナートなどのスルホニウム化合物、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾイン化合物、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトンなどのフェニルケトン化合物、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンフェノンなどのアセトフェノン化合物、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサンテン化合物、2−アミノアントラキノン、2−エチルアントラキノンなどのアントラキノン化合物、ベンズアントロン、メチレンアントロンなどのアントロン化合物、2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,4,5,5−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾールなどのイミダゾール化合物、2−(3,4−ジメトキシシチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン化合物、2−ベンゾイル安息香酸、過酸化ベンゾイルなどのベンゾイル化合物、2−ピリジルトリブロモメチルスルホン、トリブロモメチルフェニルスルホンなどのスルホン化合物、4−イソプロピル−4−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホン酸などのヨードニウム化合物、テトラメチルチウラムジスルフィド、9−フルオレノン、ジベンゾスベロン、N−メチルアクリドン、ニフェジピン、カンファーキノン、四臭化炭素などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
本発明に用いられる外部エネルギーにより塩基を発生させる化合物としては、放射線、紫外線の照射および/または熱によって塩基を発生させる化合物を挙げることができる。例えば、ビス[(α−メチル)−2,4,6−トリニトロベンジルオキシカルボニル]メタンジフェニレンジアミン、N−[(2−ニトロフェニル)−1−メチルメトキシ]カルボニル−2−プロピルアミンなどのアミン化合物、ベンジルカルバメート、ベンジルスルホンアミド、ベンジル4級アンモニウム塩、イミン、イミニウム塩、コバルトアミン錯体、オキシム化合物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
本発明に用いる除去剤において、沸点が80℃以上の酸または沸点が80℃以上の塩基もしくは外部エネルギーにより酸または塩基を発生させる化合物の含有量は、溶媒を除いた成分中1〜80重量%が好ましい。その中でも、沸点が80℃以上の酸の含有量は、溶媒を除いた成分中の質量割合が10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%がより好ましい。沸点が80℃以上の塩基の含有量は、溶媒を除いた成分中0.01〜70重量%が好ましい。また、外部エネルギーにより酸を発生させる化合物の含有量は、溶媒を除いた成分中0.1〜70重量%が好ましい。外部エネルギーにより塩基を発生させる化合物の含有量は、溶媒を除いた成分中1〜80重量%が好ましい。ただし、この範囲に限定されず、化合物の分子量、発生する酸または塩基の量、除去される導電層の材質や膜厚、加熱温度や加熱時間により適宜選択できる。
本発明に用いる除去剤は、溶媒を含有する。溶媒の具体例として、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類、アセトン、アセトフェノン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレン、ベンジルアルコールなどの芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、1,2−プロパンジオール、テルピネオール、アセチルテルピネオール、ブチルカルビトール、エチルセルソルブ、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセロールなどのアルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エチレングリコールモノアリールエーテル類、ポリエチレングリコールモノアリールエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ソルベントナフサ、水、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルエチレン尿素、N,N’−ジメチルプロピレン尿素、テトラメチル尿素などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
本発明において、溶媒の含有量は、除去剤中1重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましく、50重量%以上がより好ましい。溶剤の含有量を1重量%以上とすることにより、除去剤の流動性を向上させ、塗布性をより高めることができる。一方、99.9重量%以下が好ましく、95重量%以下がより好ましい。溶剤の含有量を99.9重量%以下とすることにより、加熱時の流動性を適切な範囲に保つことができ、所望のパターンを精度よく維持することができる。
本発明の除去剤は、樹脂を含有する。樹脂を含むことで、非ニュートン流動性を有する除去剤が得られ、公知の方法により容易に導電積層体に塗布することができる。また、加熱処理時の除去剤の流動性を制限し、塗布位置の精度を向上させることができる。樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメタクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、非イオン性、アニオン性、両イオン性、カチオン性などの親水性樹脂を含有すると、水、後述する塩基性水溶液や有機溶剤の水溶液で容易に洗浄することができ、除去面の残渣を抑制し、面内均一をより向上させることができる。
親水性樹脂としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、親水性ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリエチルオキサゾリン、ポリアクリル酸、ゼラチン、ヒドロキシアルキルグア、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸、アラビアガム、ペクチン、キサンタンガム、セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウム、アクリルアミド系共重合体、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルフォニウム、ポリビニルピリジン、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリエポキシアミン、ポリアミドアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合物、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ポリビニルアミン、ポリアクリルアミンなどの化合物およびこれらの変性物などが挙げられる。
これらの中でも、酸や高温条件下でも変性し難く、極性溶媒に高い溶解性を示すカチオン性樹脂がより好ましい。高い溶解性を保持することにより、加熱処理後、液体を用いた洗浄によって導電層を除去する工程において短時間で導電層を除去することができる。なお、カチオン性樹脂としては、例えば、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリエポキシアミン、ポリアミドアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合物、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリアクリルアミン、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−9、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−28、ポリクオタニウム−32、ポリクオタニウム−37、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−51、ポリクオタニウム−52、ポリクオタニウム−44、ポリクオタニウム−46、ポリクオタニウム−55、ポリクオタニウム−68などの化合物およびこれらの変性物などが挙げられる。例えば、ポリクオタニウム−10は、側鎖末端にトリメチルアンモニウム基を有する。酸性条件下においてトリメチルアンモニウム基がカチオン化し、静電反発の作用により高い溶解性を示す。また、加熱による脱水重縮合が生じ難く、加熱後でも高い溶媒溶解性を保持する。このため、加熱処理後、液体を用いた洗浄によって導電層を除去する工程において、短時間で導電膜を除去することができる。
本発明に用いる除去剤において、樹脂を用いる場合の樹脂の含有量は、溶媒を除いた成分中0.01〜80重量%が好ましい。導電層除去に要する加熱温度を低く抑え、加熱時間を短縮するために、除去剤中の樹脂含有量は、非ニュートン流動性を維持する範囲で極力少ないことがより好ましい。除去剤の粘度は、2〜500Pa・S(25℃)程度が好ましく、均一な塗布膜をスクリーン印刷法によって容易に形成することができる。除去剤の粘度は、例えば、溶媒と樹脂の含有量により調整することができる。
本発明に用いる除去剤は、レベリング剤を含有することが好ましい。レベリング剤を含有することにより、除去剤に高い浸透力を付与し、繊維状導電体をも含む導電層であっても容易に除去することができる。レベリング剤は、除去剤の表面張力を50mN/m未満に低下させる性質を持つ化合物が好ましい。レベリング剤の具体例としては、変性ポリアクリレートなどのアクリル系化合物やアクリル系樹脂、分子骨格に二重結合を有するビニル系化合物やビニル系樹脂、アルキルオキシシリル基および/またはポリシロキサン骨格などを有するシリコーン系化合物やシリコーン系樹脂、フッ素化アルキル基および/またはフッ素化フェニル基などを有するフッ素系化合物やフッ素系樹脂などを挙げることができる。保護層表面の材質や極性状態によって、これらを適宜選択して用いることができるが、フッ素化アルキル基および/またはフッ素化フェニル基などを有するフッ素系化合物やフッ素系樹脂は、表面張力低下能が強いため、特に好ましく用いられる。なお、本発明においては、表面張力を50mN/m未満に低下させる性質をもつ化合物であれば、高分子化合物であってもレベリング剤に分類するものとする。
本発明に用いる除去剤において、レベリング剤の含有量は、導電積層体への濡れ性やレベリング性などの界面活性能と、得られる塗膜の酸含有量のバランスから、溶媒を除いた成分中0.001〜10重量%が好ましく、0.01〜5重量%がより好ましく、0.05〜3重量%がさらに好ましい。
本発明において、沸点が80℃以上の酸または外部エネルギーにより酸を発生させる化合物を含む場合、さらに硝酸塩または亜硝酸塩を含むことが好ましい。酸と導電成分の反応は、それぞれの種類によって反応速度が異なる場合があるが、硝酸塩または亜硝酸塩を含むことにより、加熱処理時、酸と硝酸塩または亜硝酸塩とが反応し、系中にて硝酸が生成することから、導電成分の溶解をより促進することができる。このため、短時間の加熱処理により導電層を除去することができる。硝酸塩としては、例えば、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸アンモニウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム、またはそれら硝酸塩の水和物が挙げられる。亜硝酸塩としては、例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸銀、亜硝酸バリウムなどを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、硝酸生成の反応速度などを考慮すると硝酸塩が好ましく、硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムがより好ましい。
本発明に用いる除去剤は、目的に応じて、酸化チタン、アルミナ、シリカなどの無機微粒子、チキソトロピック性を付与することができるチキソ剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候剤、耐熱剤、酸化防止剤、防錆剤、スリップ剤、ワックス、離型剤、相溶化剤、分散剤、分散安定剤、レオロジーコントロール剤などを含有してもよい。
本発明に用いる除去剤の製造方法について例を挙げて説明する。まず、溶媒に樹脂を添加し、十分に撹拌して溶解させる。撹拌は、加熱条件下で行ってもよく、溶解速度を上げる目的から50〜80℃で撹拌することが好ましい。次に、沸点が80℃以上の酸または沸点が80℃以上の塩基もしくは外部エネルギーにより酸または塩基を発生させる化合物、レベリング剤および必要に応じて前記添加剤を加え撹拌する。添加方法および添加順序は特に限定されない。撹拌は、加熱条件下で行ってもよく、添加剤の溶解速度を上げる目的から50〜80℃で撹拌することが好ましい。
本発明の導電積層体を、除去剤を用いたケミカルエッチングによってパターン形成する方法について例を挙げて説明する。本発明における導電積層体の保護層側の除去したい部分に除去剤を塗布する。本発明に用いる除去剤は非ニュートン流動性をもつことから、導電積層体の種類、大きさ、形状を問わず公知の方法を用いて塗布することができる。塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷法、ディスペンサー法、ステンシル印刷法、パッド印刷法、スプレー塗布、インクジェット法、マイクログラビア印刷法、ナイフコート法、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、カーテンコート法、フローコート法などが挙げられるがこれに限定されない。また、導電層のエッチングムラをより低減するために除去剤を導電積層体の保護層上に均一塗布することが好ましい。
塗布した除去膜の厚みは、除去される導電層の材質や厚み、加熱温度や加熱時間によって適宜決められるが、乾燥後の厚みが0.1〜200μmとなるように塗布することが好ましく、2〜200μmであることがより好ましい。乾燥後の除去剤厚みを前記範囲内とすることで、塗膜中に必要量の導電層除去成分が含まれ、導電層をより面内均一に除去することができる。また、加熱時に横方向へのダレを抑制できるため、塗布膜境界ラインの位置ずれがなく所望のパターンを得ることができる。
次に、除去剤を塗布した導電積層体を、80℃以上で加熱処理する。加熱処理温度は、除去剤のうちの溶剤以外の成分の沸点よりも低い温度であることが好ましく、200℃以下が好ましい。前記温度範囲で加熱処理することで、除去剤が塗布された部分の導電層は、分解、溶解または可溶化される。加熱処理方法は、目的や用途に応じて選択でき、例えば、ホットプレート、熱風オーブン、赤外線オーブン、周波数300メガヘルツ〜3テラヘルツのマイクロ波照射などが挙げられるがこれに限定されない。
加熱処理後、液体を用いた洗浄により除去剤および導電層の分解・溶解物を除去し、所望の導電パターンを得る。洗浄工程で使用される液体は、除去剤に含まれる樹脂が溶解するものが好ましく、具体的には、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、テトラヒドロフランなどの有機溶剤が上げられ、前記有機溶剤を含む水溶液、水酸化ナトリウム、エタノールアミン、トリエチルアミンなどを含む塩基性水溶液、純水などが挙げられるがこれに限定されない。洗浄工程では残渣なく洗浄するため、前記液体を25〜100℃に加温し使用してもよい。
本発明のタッチパネルは、本発明の導電積層体を単独もしくは複数枚、さらには他の部材と組み合わせて搭載したものであり、その例として抵抗膜式タッチパネルや静電容量式タッチパネル等が挙げられる。これら本発明の導電積層体を搭載してなるタッチパネルは、例えば、リード線と駆動ユニットを取り付け、液晶ディスプレイの前面に組み込んで用いられる。
以下、本発明を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。まず、各実施例および比較例における評価方法を説明する。
(1)表面抵抗値R
導電層側の表面抵抗値は、非接触式抵抗率計(ナプソン(株)製 NC−10)を用い渦電流方式で100mm×50mmのサンプルの中央部分を測定した。5サンプルについて平均値を算出し、これを表面抵抗値R[Ω/□]とした。検出限界を超えて表面抵抗値が得られなかった場合は、次いで以下の方法にて測定した。
高抵抗率計(三菱化学(株)製 Hiresta−UP MCP−HT450)を用い、リングタイププローブ(三菱化学(株)製 URSプローブ MCP−HTP14)を接続して二重リング方式で100mm×100mmのサンプルの中央部分を測定した。5サンプルについて平均値を算出し、これを表面抵抗値R[Ω/□]とした。
(2)積層体の構成
サンプルの観察したい部分近傍を氷で埋包し凍結固着、もしくはエポキシ樹脂のような氷よりさらに固着力の強い成分で埋包後、日本ミクトローム研究所(株)製ロータリー式ミクロトームを使用し、ナイフ傾斜角度3°にダイヤモンドナイフをセットしてフィルム平面に垂直な方向に切断する。次いで得られたフィルム断面を、電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)を用いて加速電圧3.0kVにて観察倍率10000〜200000倍から任意の3倍率を選択し、画像のコントラストを適宜調節して各倍率にて観察した。
(3)線状構造体の判別(導電成分の構造)、線状構造体のネットワーク状態
サンプルの導電層側の表面を、走査透過電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 日立走査透過電子顕微鏡HD−2700)を用いて観察した。
前記方法にて観察が困難な場合は、電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)を用いて加速電圧3.0kVにて観察倍率10000〜200000倍から任意の3倍率を選択し、画像のコントラストを適宜調節して各倍率にて観察した。
さらに前記方法にて観察が困難な場合は、次いでカラー3D レーザー顕微鏡((株)キーエンス製 VK−9710)を用いて、付属の標準対物レンズ10X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan 10X)、20X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan 20X)、50X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan Apo 50X)、150X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan Apo 150XA)にて各倍率で保護層側の同位置を表面観察し、その画像データから観察アプリケーション((株)キーエンス製 VK−HV1)を用いて画像解析し確認した。
それでも観察が困難な場合は、次いで原子間力顕微鏡(Digital Instruments社製 NanoScopeIII)を用いて、カンチレバーをシリコン単結晶、走査モードをタッピングモード、測定環境を温度25℃及び相対湿度65%RHにて観察した。
表面観察では観察できない場合は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、液体高速クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等に代表される一般的なクロマトグラフィーやその他分離・精製が可能な方法にて単一物質に分離精製、また適宜濃縮及び希釈後、導電成分に該当する物質を充分量を採取・集めてから、同様に観察し線状構造体の判別(導電成分の構造)を行った。
(4)保護層側表面の接触角
JIS R3257に準じた静滴法にて行った。接触角計(協和界面科学(株)製 FACE接触角計CA−X型(画像処理式))を用いて、(1)より断定した本発明の導電積層体の導電層層側(保護層側)を測定面とし試料台上に水平に設置後、純水を滴下し接触角を求めた。同様の方法にて任意の計10箇所にて接触角を求め、その10点の平均値を本発明における純水の接触角とした。次いで、同様の方法にて別の任意の10箇所にオレイン酸(ナカライテスク(株)製)を滴下し10点の平均値を本発明におけるオレイン酸の接触角とした。
(5)保護層の化合物の含有元素、構造、結合様態の同定
保護層中の化合物の含有元素、化合物の構造(高分子構造等)、結合様態(架橋等)は、先ず、(1)又は(2)の方法にて、導電積層体の導電層側もしくは保護層側の面を断定する。次いで、必要な場合は、(3)の方法と同様に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、液体高速クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等に代表される一般的なクロマトグラフィーやその他分離・精製が可能な方法にて単一物質に分離精製、また適宜濃縮及び希釈した。
次いで、保護層を対象に、ダイナミック二次イオン質量分析法(Dynamic−SIMS)、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)、その他スタティック二次イオン質量分析法(Static−SIMS)、核磁気共鳴分光法(H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、19F−NMR)、二次元核磁気共鳴分光法(2D−NMR)、赤外分光光度法(IR)、ラマン分光法、質量分析法(Mass)、X線回折法(XRD)、中性子回折法(ND)、低速電子線回折法(LEED)、高速反射電子線回折法(RHEED)、原子吸光分析法(AAS)、紫外光電子分光法(UPS)、オージェ電子分光法(AES)、X線光電子分光法(XPS)、蛍光X線元素分析法(XRF)、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP−AES)、電子線マイクロアナリシス法(EPMA)、荷電粒子励起X線分光法(PIXE)、低エネルギーイオン散乱分光法(RBSまたはLEIS)、中エネルギーイオン散乱分光法(MEIS)、高エネルギーイオン散乱分光法(ISSまたはHEIS)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、透過電子顕微鏡−エネルギー分散X線分光分析(TEM−EDX)、走査電子顕微鏡−エネルギー分散X線分光分析(SEM−EDX)、その他元素分析、から方法を適宜選択・組み合わせて保護層の化合物の含有元素、構造、結合様態の同定・分析を行った。
(6)ケミカルエッチングにより形成したパターンの評価
パターンの微細化の評価として、後述する直線ラインのパターンにおいて以下(a)〜(c)3指標にて評価した。
(a)除去剤の印刷パターンのライン幅
・導電積層体の上に転写・積層した除去剤のライン幅。
・ライン幅が細いほど微細なパターンが導電積層体の上に転写・積層していることを示し、太いほど線太りが大きいことを示す。
(b)エッチングパターンのライン幅
・導電積層体の上に転写・積層した除去剤を水洗した後のエッチングされた部分のライン幅。
・上記(a)と同様に、ライン幅が細いほど微細なパターンを形成していることを示し、太いほど線太りが大きいことを示す。
(c)エッチングパターンのエッチング境界部のライン直線性(うねり)
・上記(b)にて求めたライン幅の標準偏差(σ)。
・標準偏差(σ)が小さいほど、高精細で綺麗なパターンであることを示す。
まず、実施例及び比較例に記載の導電積層体の導電層側(保護層側)を、(1)、(2)に記載の方法と同様の方法にて観察し、導電層上へ保護層が積層しているかを確認した。
次いで後述する除去剤を用意し、実施例及び比較例に記載の導電積層体上の前記観察部分と同位置にsus#500メッシュを用いて、除去剤を乾燥後の膜厚が2.4μmとなるようにスクリーン印刷した。印刷パターンは、ライン長5cmの(i)ライン幅50μm、(ii)100μmの各直線ラインとした。除去剤を塗布後、赤外線オーブンに入れ、130℃で3分間加熱処理し、オーブンから取り出し室温まで放冷し、除去剤が直線パターンに転写・積層した導電積層体を得た。次いで、この除去剤が転写・積層した導電積層体の(i)、(ii)の各直線パターンにおいて、ライン長の一方の端部から0.5cm、1cm、1.5cm、2cm、2.5cm(ライン中点)、3cm、3.5cm、4cm(もう一方の端部から1cm)の8箇所を、カラー3D レーザー顕微鏡((株)キーエンス製 VK−9710)を用いて、付属の標準対物レンズ10X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan 10X)、20X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan 20X)、50X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan Apo 50X)、150X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan Apo 150XA)にて倍率を任意に変更し観察した。次いで、(i)(ii)の各直線パターンの画像データについて観察アプリケーション((株)キーエンス製 VK−HV1)を用いて画像解析し、各位置(前記8箇所)におけるライン幅の最大値と最小値を求め、計16点の平均値を算出し、この値を前記(a)除去剤の印刷パターンのライン幅とした。
次いで、除去剤が転写・積層した導電積層体を25℃の純水を用いて1分間洗浄を行い付着している除去剤および分解物を除去した。そして、前記基板を圧空で水切りしてから赤外線オーブンで80℃1分間乾燥し、導電層がパターニングされた導電積層体を得た。
この導電層がパターニングされた導電積層体のパターニング部分の前記観察部分と同位置(前記8箇所)を同様に観察し、計16点の平均値を前記(b)エッチングパターンのライン幅とした。さらに、計16点から標準偏差(σ)を算出した。
(7)パターニング部分の電気絶縁性
(6)にて作製した導電層がパターニングされた導電積層体を、各直線のライン長の両端部から1cmの部分を切断し、エッチングラインで仕切られた3cm×10cmの導電積層体を得た。そして、エッチングラインの右側と左側に絶縁抵抗計(三和電気計器(株)製、EA709DA−1)の探針をあて、直流25V印加で10MΩ以上の抵抗を示した場合を合格、10MΩ未満の抵抗を示した場合を不合格とした。
(8)パターニング部分の導電成分の残存有無
(6)にて作製した導電層がパターニングされた導電積層体のパターニング部分を、(3)に記載と同様の方法にて観察した。
前記(3)にて判別した導電成分が確認できない場合を合格(導電成分の残存無し)、確認できる場合を不合格(導電成分の残存有り)とした。
(9)光開始剤の極大吸収波長の差
(3)と同様のいずれかの方法にて保護層の成分を分離精製し、各種成分の内、光開始剤に該当する化合物のみを抽出した。光開始剤への該当・非該当が不明な場合は、活性電子線を照射しラジカル種、カチオン種、アニオン種のいずれかが発生する化合物を光開始剤とした。次いで、光開始剤を各種可溶な溶剤に溶解させた。次いで、この溶液を石英セル中に入れ、紫外可視分光光度計(UV−Bis Spectrophotometer、日本分光(株)製 V−660型)を用いて波長200〜900nmにおける吸収スペクトルを測定し極大吸収波長を求めた。
各光開始剤において、同様に3回吸収スペクトルを測定し極大吸収波長を求めて、その平均値を光開始剤の極大吸収波長とし、各光開始剤の極大吸収波長の差を求めた。
尚、極大値が複数ある場合は以下を極大吸収波長とする。光路長1cmにて求めた吸収スペクトルにおける200〜400nmの領域に存在する複数の極大値の内、最も吸光度の大きい極大値における波長を極大吸収波長とする。ここで、溶剤に溶解させた際の光開始剤の濃度が高すぎると、前記最も吸光度の大きい極大値が使用する装置の検出限界を越えてしまい、あたかもその前記最も吸光度の大きい極大値が無いように観察されてしまうことがあるので、適宜光開始剤の濃度を変えて同様に測定し、各同濃度において相対的に最も吸光度の大きい極大値における波長を極大吸収波長とした。
(10)全光線透過率
濁度計(曇り度計)NDH2000(日本電色工業(株)製)を用いてJIS K7361−1(1997年)に基づいて、導電積層体厚み方向の全光線透過率を、導電層側から光を入射させて測定した。5サンプルについて測定した値から平均値を算出し、これを全光線透過率とした。
[実施例]
各実施例及び比較例の保護層に使用した材料を以下に示す。各保護層は導電層の上に実施例及び比較例の各方法で積層した。
(1)保護層材料A
・直鎖アクリル系樹脂(綜研化学(株)製 フォレットGS−1000、固形分濃度30質量%)
(S元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素をいずれも含まない有機系高分子化合物であって、架橋構造を有さない。)
(2)保護層材料B
・多官能アクリル系樹脂組成物(綜研化学(株)製 フルキュアHC−6、固形分濃度51質量%)
(S元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素をいずれも含まない有機系高分子化合物であって、光開始剤により架橋構造を形成する。)
(3)保護層材料C
・多官能アクリル系樹脂組成物(綜研化学(株)製 フルキュアUAF−1、固形分濃度48.4質量%)
(S元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素を含まず、F元素(フッ素元素)を有する有機系高分子化合物であって、光開始剤により架橋構造を形成する。)
(4)保護層材料D
・多官能アクリル系樹脂組成物(中国塗料(株)製 オーレックスJU−114、固形分濃度70質量%)
(S元素、P元素、金属元素、金属イオン及び官能基を構成するN元素をいずれも含まず、アルキル鎖を有する有機系高分子化合物であって、光開始剤により架橋構造を形成する。)
(5)保護層材料E
・多官能ウレタンアクリレート系樹脂組成物(根上工業(株)製 アートレジンUN−904M、固形分濃度80質量%)
(S元素、P元素、金属元素、金属イオン及び官能基を構成するN元素をいずれも含まず、骨格構造内にN元素を含む有機系高分子化合物であって、光開始剤により架橋構造を形成する。)
(6)保護層材料F
・多官能アクリル系樹脂組成物(綜研化学(株)製 フルキュアHCE−022、固形分濃度52.1質量%)
(官能基を形成するN元素、金属イオンを含む有機系高分子化合物であって、光開始剤により架橋構造を形成する。)
(7)保護層材料G
・直鎖アクリル系樹脂(下記にて重合、固形分濃度100質量%)
(S元素を含む有機系高分子化合物であって、架橋構造を有さない。)
・Acrylamide t−Butyl Sulfonic Acid(別名2−Acrylamide−2−Methyl Propane Sulfonic Acid、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)とMethyl Methacrylate(別名メタクリル酸メチル、2−メチル−2−プロペン酸メチル、略名MMA)から共重合した。
(8)保護層材料H
・直鎖アクリル系樹脂(下記にて重合、固形分濃度100質量%)
(S元素、金属イオンを含む有機系高分子化合物であって、架橋構造を有さない。)
・Acrylamide t−Butyl Sulfonic Acid Sodium Sait(別名2−Acrylamide−2−Methyl Propane Sulfonic Acid Sodium Sait、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム)とMethyl Methacrylate(別名メタクリル酸メチル、2−メチル−2−プロペン酸メチル、略名MMA)から共重合した。
(9)保護層材料I
・多官能アクリル系樹脂組成物(下記にて作製、固形分濃度40質量%)
(P元素を含む有機系高分子化合物であって、光開始剤により架橋構造を形成する。)
・特開2008−222848号公報の実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物には、下記(12)添加剤Aを含有している。
(10)保護層材料J
・無機ケイ素酸化物(シリカ)組成物(下記にて作製、固形分濃度3質量%)
(S元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素をいずれも含まない無機系高分子化合物であって、熱により架橋構造を形成する。)
・100mLポリ容器中に、エタノール20gを入れ、n−ブチルシリケート40gを添加し30分間撹拌した。その後、0.1N塩酸水溶液を10g添加した後2時間撹拌を行い(加水分解反応)、4℃で保管した。翌日、この溶液をイソプロピルアルコール/トルエン/n−ブタノール混合液(混合質量比2/1/1)で固形分濃度が、3.0質量%となるように希釈した。
(11)保護層材料K
・多官能アクリル系樹脂組成物(綜研化学(株)製 フルキュアUAF−6、固形分濃度50.9質量%)
(S元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素をいずれも含まない有機系高分子化合物であって、光開始剤により架橋構造を形成する。)
(12)添加剤A
・光重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)184)
・極大吸収波長240nm
(13)添加剤B
・光重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)907)
・極大吸収波長300nm
(14)添加剤C
・光重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)369)
・極大吸収波長320nm
(15)添加剤D
・光重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製 Ciba(登録商標)IRGACURE(登録商標)651)
・極大吸収波長250nm
(16)添加剤E
・F元素(フッ素元素)を有する有機系低分子化合物(ダイキン工業(株)製 オプツールTMDAC、固形分濃度20質量%)
(17)添加剤F
・シリコーン系化合物(信越化学工業(株)製 X−22−8114 濃度40%溶液、熱により保護層材料Jと結合可)
各実施例及び比較例における、導電層を以下に示す。各導電層は実施例及び比較例における基材上に以下の各方法で積層した。
(1)導電層A「針状二酸化ケイ素系・ATO(アンチモンドープ酸化錫)複合化合物導電層」
バインダー成分として前記保護層材料A(アクリル系樹脂)、導電成分として針状形状の二酸化ケイ素系・ATO(アンチモンドープ酸化錫)複合化合物(大塚化学(株)製 デントールTM100、短軸:700〜900nm、長軸:15〜25μm)を用い、固形分全体に対する導電成分量が60質量%となるように混合(固形分混合比:バインダー成分/導電成分=40質量%/60質量%)し、次いでこの混合液に塗料固形分濃度50質量%となるように酢酸エチルを加えて希釈し濃度調整し、針状二酸化ケイ素系・ATO(アンチモンドープ酸化錫)複合化合物分散塗液を得た。この針状二酸化ケイ素系・ATO(アンチモンドープ酸化錫)複合化合物分散塗液を、材質がsusのシム(シム厚み100μm)を装着したスリットダイコートを使用して基材上に塗布、120℃で5分間乾燥し針状二酸化ケイ素系・ATO(アンチモンドープ酸化錫)複合化合物塗膜を設けた。
(2)導電層B「銀ナノワイヤー導電層」
特表2009−505358号公報の例1(銀ナノワイヤーの合成)に開示されている方法にて銀ナノワイヤー(短軸:50〜100nm、長軸:20〜40μm)を得た。次いで、同特表2009−505358号公報の例8(ナノワイヤー分散)に開示されている方法にて銀ナノワイヤー分散塗液を得た。この銀ナノワイヤー分散塗液を、塗液全体に対する銀ナノワイヤー量が0.05質量%となるように濃度調整した。この濃度調整した銀ナノワイヤー分散塗液を、材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して基材上に塗布、120℃で2分間乾燥し銀ナノワイヤー塗膜を設けた。
(3)導電層C「CNT導電層」
(触媒調整)
クエン酸アンモニウム鉄(緑色)(和光純薬工業(株)製)2.459gをメタノール(関東化学(株)製)500mLに溶解した。この溶液に、軽質マグネシア(岩谷化学工業(株)製)を100g加え、室温で60分間攪拌し、40℃から60℃で攪拌しながら減圧乾燥してメタノールを除去し、軽質マグネシア粉末に金属塩が担持された触媒を得た。
(CNT組成物製造)
図5の概略図で示す流動床縦型反応装置でCNTを合成した。反応器100は内径32mm、長さは1200mmの円筒形石英管である。中央部に石英焼結板101を具備し、石英管下方部には、不活性ガスおよび原料ガス供給ライン104、上部には排ガスライン105および、触媒投入ライン103を具備する。さらに、反応器を任意温度に保持できるように、反応器の円周を取り囲む加熱器106を具備する。加熱器106には装置内の流動状態が確認できるよう点検口107が設けられている。
前記触媒12gを取り、密閉型触媒供給器102から触媒投入ライン103を通して、石英焼結板101上に前記「触媒調整」部分で示した触媒108をセットした。次いで、原料ガス供給ライン104からアルゴンガスを1000mL/分で供給開始した。反応器内をアルゴンガス雰囲気下とした後、温度を850℃に加熱した。
850℃に到達した後、温度を保持し、原料ガス供給ライン104のアルゴン流量を2000mL/分に上げ、石英焼結板上の固体触媒の流動化を開始させた。加熱炉点検口107から流動化を確認した後、さらにメタンを95mL/分で反応器に供給開始した。該混合ガスを90分供給した後、アルゴンガスのみの流通に切り替え、合成を終了させた。
加熱を停止させ室温まで放置し、室温になってから反応器から触媒とCNTを含有するCNT組成物を取り出した。
上記で示した触媒付きCNT組成物23.4gを磁性皿に取り、予め446℃まで加熱しておいたマッフル炉(ヤマト科学(株)製、FP41)にて大気下、446℃で2時間加熱した後、マッフル炉から取り出した。次に、触媒を除去するため、CNT組成物を6Nの塩酸水溶液に添加し、室温で1時間攪拌した。濾過して得られた回収物を、さらに6Nの塩酸水溶液に添加し、室温で1時間攪拌した。これを濾過し、数回水洗した後、濾過物を120℃のオーブンで一晩乾燥することでマグネシアおよび金属が除去されたCNT組成物を57.1mg得ることができ、上記操作を繰り返すことによりマグネシアおよび金属が除去されたCNT組成物を500mg用意した。
次に、マッフル炉で加熱して触媒を取り除いたCNT組成物80mgを濃硝酸(和光純薬工業(株)製 1級 Assay60〜61%)27mLに添加し、130℃のオイルバスで5時間攪拌しながら加熱した。加熱攪拌終了後、CNTを含む硝酸溶液をろ過し、蒸留水で水洗後、水を含んだウエット状態のままCNT組成物を1266.4mg得た。
(CNT分散塗液)
50mLの容器に上記CNT組成物を10mg(乾燥時換算)、分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(シグマ社製90kDa,50−200cps)10mgを量りとり、蒸留水を加え10gにし、超音波ホモジナイザー出力20W、20分間で氷冷下分散処理しCNT塗液を調製した。得られた液を高速遠心分離機にて10000G、15分遠心し、上清9mLを得た。この操作を複数回繰り返し得た上清145mLにエタノール5mL加え、コーターで塗布可能なCNT濃度約0.1質量%のCNT分散塗液(CNTと分散剤の配合比1対1)を得た。このCNT分散塗液を石英ガラスに塗布、乾燥したCNT導電層の屈折率は1.82であった。
(CNT導電層の形成)
前記CNT分散塗液をマイクログラビアコーター(グラビア線番150R、グラビア回転比80%)で基材上に塗布、100℃で1分間乾燥しCNT塗膜(CNT塗膜でのCNT集合体として短軸:10〜30nm、長軸:1〜5μm)を設けた。
(4)導電層D「針状ATO(アンチモンドープ酸化錫)導電層」
バインダー成分として前記保護層材料A(アクリル系樹脂)、導電成分として針状形状のATO(アンチモンドープ酸化錫、石原産業(株)製 針状透明導電材FS−10P、短軸:10〜20nm、長軸:0.2〜2μm)を用い、固形分全体に対する導電成分量が60質量%となるように混合(固形分混合比:バインダー成分/導電成分=40質量%/60質量%)し、次いでこの混合液に塗料固形分濃度20質量%となるように酢酸エチルを加えて希釈し濃度調整し、針状ATO(アンチモンドープ酸化錫)分散塗液を得た。この針状ATO(アンチモンドープ酸化錫)分散塗液を、松尾産業(株)製 バーコーター#12を使用して基材上に塗布、120℃で2分間乾燥し針状ATO(アンチモンドープ酸化錫)塗膜を設けた。
(5)導電層E「銅ナノワイヤー導電層」
特開2002−266007号公報に開示されている方法にて銅ナノワイヤー(短軸:10〜20nm、長軸:1〜100μm)を得た。次いで、特表2009−505358号公報の例8(ナノワイヤー分散)に開示されている銀ナノワイヤーを本発明の銅ナノワイヤーに変更し、同様の方法にて銅ナノワイヤー分散塗液を得た。この銅ナノワイヤー分散塗液を、塗液全体に対する銅ナノワイヤー量が0.05質量%となるように濃度調整した。この濃度調整した銅ナノワイヤー分散塗液を、材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して基材上に塗布、120℃で2分間乾燥し銅ナノワイヤー塗膜を設けた。
(6)導電層F「銀ナノ微粒子導電層」
特開2001−243841号公報の実施例((2)銀ナノコロイド塗布液の調整)に開示されている方法にて銀ナノ微粒子(短軸、長軸(粒径):9〜15nm)分散液を得た。次いで、同特開2001−243841号公報の[実施例1〜8]に開示されている方法にて銀ナノ微粒子分散液を塗布、銀ナノ微粒子塗膜を得た。
(7)導電層G「銀ナノワイヤー/銀ナノ微粒子混合導電層」
特開2001−243841号公報の実施例((2)銀ナノコロイド塗布液の調整)に開示されている方法にて得た銀ナノ微粒子分散液に、特表2009−505358号公報の例8(ナノワイヤー分散)に開示されている方法にて得た銀ナノワイヤー分散塗液を、銀ナノ微粒子と銀ナノワイヤーの質量比が銀ナノ微粒子/銀ナノワイヤー=8/2となるように混合し、銀ナノワイヤー/銀ナノ微粒子混合分散液を得た。次いで、同特開2001−243841号公報の[実施例1〜8]に開示されている方法にて銀ナノワイヤー/銀ナノ微粒子混合分散液を基材上に塗布、銀ナノワイヤー/銀ナノ微粒子混合塗膜を得た。
(8)導電層H「ITO(酸化インジウム錫)薄膜導電層」
組成In/SnO=90/10のインジウム・錫酸化物ターゲットを用いて、真空度10−4Torrにてアルゴン/酸素混合ガス導入のもとスパッタリング法にて、厚み250nmのITO(酸化インジウム錫)導電性薄膜を基材上に設けた。
各実施例及び比較例に使用した、除去剤を以下に示す。除去剤Aによるパターニングは後述する実施例1〜16、比較例1〜14の各導電積層体にて行い、除去剤Bによるパターニングは実施例2、3、6、10〜12、比較例2、3、5、9〜14の各導電積層体にて行った。
(1)除去剤A(酸を含有する除去剤)
容器にエチレングリコール(和光純薬工業(株)製)70g、N,N’−ジメチルプロピレン尿素(東京化成工業(株)製)30g、硝酸ナトリウム5gを入れて混合し、これに、ポリクオタニウム−10(ISPジャパン製)5gとチキソ剤としてチクサトロールMAX(エレメンティスジャパン(株)製、ポリエステルアミド誘導体)0.5gを加え、オイルバスで60℃に加熱しながら30分間撹拌した。
次に、容器をオイルバスから外し室温まで放冷した後、レベリング剤(DIC(株)製、F−555)0.5gとp−トルエンスルホン酸一水和物(東京化成工業(株)製、大気圧下における沸点:103〜106℃)10gを加え、15分間撹拌した。得られた溶液をメンブレンフィルター(ミリポア(株)製オムニポアメンブレンPTFE、公称0.45μm径)で濾過して、除去剤Aを得た。
(2)除去剤B(塩基を含有する除去剤)
除去剤に添加する酸を塩基性の2−エタノールアミン4gに、またさらに硝酸塩は添加しないよう変更した以外は、除去剤Aと同様の操作を行い、除去剤Bを得た。
(実施例1)
厚み125μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U46(東レ(株)製)を基材として、基材の片面に「導電層A」を積層した。
次いで、「保護層材料A」500g、「添加剤E」0.75g、「酢酸エチル」1501.25gを混合、撹拌し、保護層塗布液を作った。この保護層塗布液を、前記「導電層A」の上に材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布、120℃で2分間乾燥し厚み800nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(実施例2)
厚み125μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U46(東レ(株)製)を基材として、基材の片面に「導電層B」を積層した。
次いで、保護層塗布液の組成を「保護層材料C」150g、「添加剤A」3.41g、「添加剤B」6.79g、「酢酸エチル」2600gを混合、撹拌し、保護層塗布液を作った。この保護層塗布液を、前記「導電層B」の上に材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布、120℃で2分間乾燥後、紫外線を1.2J/cm照射し硬化させ、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(実施例3)
保護層塗布液の組成を「保護層材料B」65g、「保護層材料C」68.5g、「添加剤A」3.12g、「添加剤B」6.20g、「酢酸エチル」2378gとしたこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(実施例4)
保護層塗布液の組成を「保護層材料B」78g、「保護層材料C」54.8g、「添加剤A」3.12g、「添加剤B」6.20g、「酢酸エチル」2378gとしたこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(実施例5)
保護層塗布液の組成を「保護層材料B」119.60g、「保護層材料D」7.58g、「添加剤A」3.12g、「添加剤B」6.20g、「酢酸エチル」2384gとしたこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(実施例6)
保護層塗布液の組成を「保護層材料B」117g、「保護層材料D」9.47g、「添加剤A」3.12g、「添加剤B」6.20g、「酢酸エチル」2385gとしたこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(実施例7)
保護層塗布液の組成を「保護層材料B」104g、「保護層材料D」18.94g、「添加剤A」3.12g、「添加剤B」6.20g、「酢酸エチル」2388gとしたこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(実施例8)
保護層塗布液の組成を「保護層材料B」123.53g、「保護層材料D」10g、「添加剤A」3.29g、「添加剤B」3.27g、「添加剤C」3.27g、「酢酸エチル」2517.65gとしたこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(実施例9)
使用する添加剤を「添加剤C」ではなく「添加剤D」としたこと以外は、実施例8と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(実施例10)
厚み125μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U46(東レ(株)製)を基材として、基材の片面に「導電層C」を積層した。
次いで、「保護層材料C」52.7g、「添加剤A」1.20g、「添加剤B」2.38g、「酢酸エチル」2367gを混合、撹拌し、保護層塗布液を作った。この保護層塗布液を、前記「導電層C」の上にマイクログラビアコート(グラビア線番80R、グラビア回転比100%)で塗布、120℃で2分間乾燥後、紫外線を1.2J/cm照射し硬化させ、厚み75nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(実施例11)
保護層塗布液の組成を「保護層材料B」25g、「保護層材料C」26.34g、「添加剤A」1.20g、「添加剤B」2.38g、「酢酸エチル」2369gとしたこと以外は、実施例10と同様に作成し、厚み75nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(実施例12)
保護層塗布液の組成を「保護層材料B」45g、「保護層材料D」3.64g、「添加剤A」1.20g、「添加剤B」2.38g、「酢酸エチル」2371gとしたこと以外は、実施例10と同様に作成し、厚み75nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(実施例13)
厚み125μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U46(東レ(株)製)を基材として、基材の片面に「導電層D」を積層した。
次いで、「保護層材料C」10.54g、「添加剤A」0.24g、「添加剤B」0.48g、「酢酸エチル」2414gを混合、撹拌し、保護層塗布液を作った。この保護層塗布液を、前記「導電層D」の上にマイクログラビアコート(グラビア線番80R、グラビア回転比100%)で塗布、120℃で2分間乾燥後、紫外線を1.2J/cm照射し硬化させ、厚み15nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(実施例14)
導電層を「導電層E」としたこと以外は、実施例13と同様に作成し、厚み15nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(実施例15)
導電層を「導電層G」としたこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(実施例16)
厚み125μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U46(東レ(株)製)を基材として、基材の片面に「導電層B」を積層した。
次いで、「保護層材料J」2000g、「添加剤F」24.42g、「酢酸エチル/トルエン混合溶媒(混合質量比1/1)」301.18gを保護層塗布液として用意した。この保護層塗布液を、前記「導電層B」の上に材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布、120℃で2分間乾燥し厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(比較例1)
厚み125μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U46(東レ(株)製)を、導電層及び保護層を設けずに、積層体とした。
(比較例2)
厚み125μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U46(東レ(株)製)を基材として、基材の片面に「導電層B」のみを積層し保護層を設けずに、導電積層体とした。
(比較例3)
導電層を「導電層F」としたこと以外は、実施例2と同様に作成し、非線状構造体で球状の導電成分からなる導電層上に、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(比較例4)
導電層を「導電層H」としたこと以外は、実施例2と同様に作成し、非線状構造体で薄膜の導電成分からなる導電層上に、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(比較例5)
保護層塗布液の組成を「保護層材料B」150g、「添加剤A」3.60g、「添加剤B」7.15g、「酢酸エチル」2748gとしたこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(比較例6)
保護層塗布液の組成を「保護層材料K」150.3g、「添加剤A」3.60g、「添加剤B」7.15g、「酢酸エチル」2747gとしたこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(比較例7)
保護層塗布液の組成を「保護層材料E」87.5g、「添加剤A」3.29g、「添加剤B」3.27g、「添加剤C」3.27g、「酢酸エチル」2563gとしたこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(比較例8)
保護層塗布液の組成を「保護層材料D」100g、「添加剤A」3.29g、「添加剤B」3.27g、「添加剤C」3.27g、「酢酸エチル」2551gとしたこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(比較例9)
保護層塗布液の組成を「保護層材料F」146.8g、「添加剤A」3.60g、「添加剤B」7.15g、「酢酸エチル」2750gとしたこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(比較例10)
保護層塗布液の組成を「保護層材料C」123.3g、「保護層材料G」6.63g、「添加剤A」3.12g、「添加剤B」6.20g、「酢酸エチル」2382gとしたこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(比較例11)
保護層塗布液の組成を「保護層材料C」123.3g、「保護層材料H」6.63g、「添加剤A」3.12g、「添加剤B」6.20g、「酢酸エチル」2382gとしたこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(比較例12)
保護層塗布液の組成を「保護層材料C」123.3g、「保護層材料I」16.58g、「添加剤B」6.2g、「酢酸エチル」2271gとしたこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(比較例13)
厚み125μmのポリエチレンレテフタレートフィルム、ルミラー(登録商標)U46(東レ(株)製)を基材として、基材の片面に「導電層B」を積層した。
次いで、前記(6)導電層F「銀ナノ微粒子導電層」項に記載の特開2001−243841号公報の実施例((2)銀ナノコロイド塗布液の調整)に開示されている方法にて得た銀ナノ微粒子分散液を蒸発乾固し、銀ナノ微粒子を得た。
次いで、「保護層材料B」130.1g、「前記銀ナノ微粒子」3.32g、「添加剤A」3.12g、「添加剤B」6.20g、「酢酸エチル」2377gを混合、撹拌し、保護層塗布液を作った。この保護層塗布液を、前記「導電層B」の上に材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布、120℃で2分間乾燥後、紫外線を1.2J/cm照射し硬化させ、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
(比較例14)
保護層塗布液の組成を「保護層材料J」2000gのみとしたこと以外は、実施例16と同様に作成し、厚み310nmの保護層を設け、本発明の導電積層体を得た。
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保護層の成分が同じであっても、導電成分が線状構造体である場合(実施例2)は、非線状構造体の場合(比較例3、4)と比較して印刷パターンのライン幅には差がないが、エッチングラインパーターンの幅が細く線太りが抑制されるものとなった。保護層の成分に特定の元素を含まなくても接触角が特定の範囲に無い場合(比較例5〜8、14)は、線太りが発生したりライン幅の標準偏差(σ)が大きくライン直線性が悪いが、添加剤を加えたり(実施例16)、単独ではなく樹脂同士を混合(実施例3〜9)することで、接触角を調節することができ線太りを抑制した上でライン幅の標準偏差(σ)を小さくすることができ、細線でありながら高精細で綺麗なパターンを形成することができた。この効果は、導電層の成分が異なっても線状構造体で有れば(実施例10〜14)同様に発現したが、一方、線状構造体と共に非線状構造体が含まれている場合(実施例15)は、線状構造体のみで構成している場合(実施例2)と比較して、エッチングラインパーターンの幅が太くなってしまった。また、保護層に含有する光開始剤の極大吸収波長の差が特定の範囲にあり且つ光開始剤の含有種類が多い場合(実施例8)は、光開始剤の含有種類が少ない場合(実施例6)や極大吸収波長の差が特定の範囲から外れる場合(実施例9)と比較して、さらにエッチングラインパーターンの幅を細くすることができた。また、導電成分や保護層の種類、保護層の平均厚み調整等によっては、導電積層体としての導電性や光学特性を調節することができ、導電積層体の使用用途によって特性を調整でき得るという長所もある(実施例1)。
導電層を設けない場合は、表面抵抗値が測定できず導電積層体となりえない(比較例1)。さらに、保護層を設けない場合(比較例2)や保護層を設けたとしても成分内に特定の元素やイオンを含有していると、例え印刷時において線太りが無くともエッチングラインパーターンが線太りしてしまうばかりか(比較例10〜13)、除去剤の印刷時に既に線太りが発生する場合もある(比較例9)。
本発明は、導電積層体をタッチパネル等に使用する電極部材に加工形成する際のケミカルエッチングにより形成するパターンの微細化が可能な導電積層体に関するものである。またさらに、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどのディスプレイ関連および太陽電池モジュールなどの使用される電極部材にも使用される導電積層体に関するものである。
1:基材
2:導電層
3:保護層
4:積層面に垂直な方向より観察した導電面
5:単一の繊維状導電体(線上構造体の一例)
6:繊維状導電体の集合体(線上構造体の一例)
7:金属や金属酸化物のナノワイヤー(線上構造体の一例)
8:ウィスカーのような針状導電体(線上構造体の一例)
9:導電性薄膜
10:繊維状導電体の重なりよって形成した接点
11:金属や金属酸化物のナノワイヤーの重なりよって形成した接点
12:ウィスカーのような針状導電体の重なりよって形成した接点
13:導電層及び保護層がパターン化された導電積層体
14:導電層及び保護層がパターン化された導電積層体の基材
15:パターン化された導電層
16:パターン化された保護層
17:接着剤や粘着剤による接合層
18:タッチパネルの画面側の基材
19:タッチパネルの画面側の基材に積層したハードコート層
20:保護層表面
21:集合体を形成する単一の線状構造体
22:線状構造体からなる集合体
23:基材
100:反応器
101:石英焼結板
102:密閉型触媒供給機
103:触媒投入ライン
104:原料ガス供給ライン
105:排ガスライン
106:加熱器
107:点検口
108:触媒

Claims (9)

  1. 基材の少なくとも片面に、基材側から、線状構造体からなる導電成分を含む導電層、保護層の順に積層した導電積層体であって、該保護層が下記(i)及び(ii)を満たす導電積層体。
    (i)保護層の表面について、純水の接触角が80°以上、且つ、オレイン酸の接触角が13°以上。
    (ii)保護層が、S元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素をいずれも含まない高分子化合物からなる。
  2. 前記高分子化合物が架橋構造を有する請求項1に記載の導電積層体。
  3. 前記線状構造体が、少なくとも1つの接点で線状構造体同士が接したネットワーク構造を有する請求項1又は2に記載の導電積層体。
  4. 前記線状構造体が銀ナノワイヤーであり、且つ、保護層がS元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素のいずれも含まない多官能アクリル系高分子化合物もしくは多官能メタクリル系高分子化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の導電積層体。
  5. 前記線状構造体がカーボンナノチューブであり、且つ、保護層がS元素、P元素、金属元素、金属イオンおよび官能基を構成するN元素のいずれも含まない多官能アクリル系高分子化合物もしくは多官能メタクリル系高分子化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の導電積層体。
  6. 前記保護層中に、極大吸収波長の値が20nm以上異なる光開始剤を2種以上含有する請求項1〜5のいずれかに記載の導電積層体。
  7. 保護層側から入射した際のJIS K7361−1(1997年)に基づいた全光線透過率が80%以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の導電積層体。
  8. タッチパネル用に用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の導電積層体。
  9. 請求項8に記載の導電積層体を用いてなるタッチパネル。
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