JP5426178B2 - Iii族金属窒化物単結晶の製造方法 - Google Patents

Iii族金属窒化物単結晶の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、III 族金属窒化物単結晶を育成する方法に関するものである。
窒化ガリウム薄膜結晶は、優れた青色発光素子として注目を集めており、発光ダイオードにおいて実用化され、光ピックアップ用の青紫色半導体レーザー素子としても期待されている。
特許文献1では、テンプレート基板の表面に凹凸形状を形成したものを種基板として用い、Naフラックス法にてGaNを結晶成長させた後、凹部に形成された空隙部の近傍でフラックス法成長部分をテンプレートから分離(剥離)している。
特開2004-247711
特許文献2では、特許文献1と同様にして空隙部を作製し、HVPE法によりGaNを成長させた後、育成したGaNをテンプレート基板から分離している。
特開2004-51415
特許文献3では、空隙はないが、凹凸部分の凸部と側面をマスクしたものをテンプレート基板として用い、HVPE法によりGaNを成長させた後、育成したGaNをテンプレート基板から分離している。
特開2004-55799
また、特許文献4では、サファイア基板の表面に島状部を加工によって形成し、島状部の表面に種結晶膜を形成し、種結晶膜上にIII 族金属窒化物単結晶をフラックス法によって形成することが記載されている。
特開2008-239365
HVPE法では、結晶が横方向成長しにくいため、凹凸の周期は数十ミクロン程度と小さくなる。このため、フラックス法を用いることで、周期が0.5mm 程度まで広げることが出来ることが、特許文献1の(0051)に記載されている。また、特許文献1の(0035)(0050)によると、育成結晶を分離しやすい空隙部を設けるために、種基板上の凸部(種がある部分)の割合が50%以下、さらには10%以下が好ましいと記載されている。具体的には、凸部1 〜5
ミクロンに対し、その周期が5
〜20ミクロンである。実施例5では、凸部5 ミクロン、周期約300 ミクロンである。
ところが、特許文献1の方法では、種結晶膜がある凸部の割合が小さくなってしまうと、種結晶膜がフラックス中にメルトバックして消失しやすいことが判明した。
本発明者は、種結晶のメルトバックを防止するために、種結晶膜の厚さを数十ミクロンまで厚くすることを検討した。しかし、この場合にも、メルトバックを防止することが難しいことがわかった。これは、種結晶膜の側面からも予想外にメルトバックが速く進むために、種結晶膜を厚くしてもメルトバックによる消失を防止できないことを意味している。特許文献2、3記載のように、種結晶の幅S と種がない部分(ウイング)の幅W の比をS/W を1/3 〜1/5 にしてフラックス法を適用してみたところ、同様にメルトバックが顕著であった。
本発明の課題は、III 族金属窒化物単結晶の生産性が高く、製造が比較的に容易であり、育成されたIII 族金属窒化物単結晶を容易にテンプレート基板から剥離させ得る方法を提供することである。
本発明に係る製法は、
基板本体に成膜面と側壁面とが設けられた突起および加工凹部を形成する基板加工工程、
基板本体に対して、成膜面、側壁面および加工凹部を被覆するようにIII 族金属窒化物下地膜を成膜し、下地膜が、成膜面上の単結晶である種結晶膜と、側壁面および加工凹部の底面を被覆する多結晶膜とを有する種結晶形成工程、および
下地膜上にフラックス法または気相法によってIII 族金属窒化物単結晶を育成し、この際隣接する前記突起から成長するIII 族金属窒化物単結晶のa面同士を互いに会合させる単結晶育成工程
を有する。
育成される前記III族金属窒化物単結晶が、窒化ガリウム単結晶または窒化アルミニウム単結晶であり、下地膜を構成するIII 族金属窒化物が、窒化ガリウム、窒化アルミニウムまたは窒化アルミニウム−窒化ガリウム固溶体結晶であり、育成されたIII 族金属窒化物単結晶を下地膜から自然剥離させることを特徴とする。
本発明者は、基板に加工凹部を設け、成膜面および側壁面の設けられた突起を残留させた後、III 族金属窒化物単結晶からなる下地膜を、成膜面および加工凹部の全体を被覆するように形成し、この下地膜上にIII 族金属窒化物単結晶を育成することを検討した。すると、成膜面上では下地膜は良好に配向し、種結晶として有効に機能することがわかった。この種結晶上に育成された窒化物単結晶は、横方向に向かって基板を覆うように成長していく。これと同時に、加工凹部上に設けられた下地膜では、結晶の配向が不十分となり、多結晶化することが判明した。このため、加工凹部上では下地膜が種結晶として機能せず、その上に単結晶膜が有効に成長しないことがわかった。
この結果、成膜面上の種結晶膜からIII 族金属窒化物単結晶が良好に成長するとともに、成長した単結晶は、加工凹部上では下地膜に対して接合しにくく、温度降下後には窒化物単結晶が基板本体から自然剥離することを見いだした。その上、この加工凹部上の下地膜によって、成膜面上の種結晶膜のメルトバックを防止できることを確認し、本発明に到達した。
このとき、本発明者らは、加工凹部の方位についても検討し、育成される六方晶窒化物単結晶のa 面同士が会合するように凹部を作製することが重要であることを、見出した。あらゆる方位について検討した結果、全く適さない方位は六方晶窒化物単結晶のm面同士が会合するように凹部を作製した場合であった。この理由は、成長速度の方位依存性によるものであると考察した。加工凹部からの多結晶が成長する速度よりも、未加工部から凹部へはみだして成長する方向、すなわち会合方向の成長速度が速い場合のみに、単結晶が成長した領域同士が平滑に会合し、一様な単結晶となって育成するのであり、加工凹部の多結晶が成長する速度よりも、会合方向の成長速度が遅い場合は、多結晶が単結晶に挟まった形の混合体が作成されるのである。
このことを確認するために、以下のような実験を行った。すなわち、六方晶窒化物単結晶のc面自立基板をさまざまな方向にスライスして、わずかに隙間が生じるようにして並べて配置し、フラックス法にて育成実験を行った。結果は、a 面に平行にスライスした結晶を並べて配置した場合は平滑につながって、一様なバルク単結晶が育成できたのに対し、m面に平行にスライスした結晶を並べて配置した場合は、一応つながってはいるが、所々に隙間が存在し、かつ、最表面は隙間の直上部は凸凹した異常成長部となってしまった。以上の実験から、育成される六方晶窒化物単結晶のa 面同士が会合するように凹部を作製することが重要であることを見出した。
以下、図面を参照しつつ、本発明についてさらに詳細に説明する。
図1(a)は、本発明で使用できる基板本体1を示す。この基板本体1の成膜面1aは、平滑に加工されており、成膜面1a上に、よく配向された種結晶膜を形成可能である。
基板本体1の成膜面1aには、図1(b)に示すように、所定形状の凹部8を形成する。この結果、基板本体1には、凹部8と、残留する突起2が形成される。突起2には、成膜面2bが残留するとともに、側壁面2aが形成される。側壁面2aおよび凹部底面3は、加工によって形成された加工面である。
次いで、基板本体1上に、III 族金属窒化物単結晶からなる下地膜10を形成し、図1(c)に示すテンプレート基板9を得る。下地膜10は基板1の表面側を被覆する。このとき、下地膜10のうち、成膜面2b上には、良好に配向された種結晶膜5を形成する。しかし、凹部8に面する突起2の壁面2aと凹部底面3とは、加工によって歪みが導入されている。この加工歪みの結果として、壁面2aおよび凹部底面3上に形成された下地膜4A、4Bは配向が乱れ、多結晶化する。
ここで、従来技術においては、突起2上の成膜面2b上に種結晶膜5を形成し、凹部8の側壁面には種結晶膜の形成を試みていなかった。このため、種結晶膜5を厚く形成して膜のメルトバックの防止を試みても、側壁面2a側からのメルトバックの進行が速く、種結晶膜5上の膜形成を効果的に進めることが難しかった。これに対して、本発明では、下地膜10によって、成膜面2bだけでなく、側壁面2aおよび凹部底面3までの全体を被覆しているので、種結晶膜5のメルトバックを防止できる。
つぎに、図1(c)のテンプレート基板9上に、フラックス法または気相法によってIII 族金属窒化物単結晶6を形成し、図2(a)の状態とする。この工程では、種結晶膜5上に形成された単結晶6がつながり、基板を被覆していく。これとともに、多結晶化した下地膜4A、4B上にも膜6aが形成されていくが、膜6aと下地膜4A、4Bとの接合力は弱い。
この結果、成膜後の降温過程において、図2(b)に示すように、窒化物単結晶6が基板本体1から自然に剥離しやすいことが判明した。これによって、単結晶6を自然に、あるいは少ない労力をもって容易にテンプレート基板から剥離させることができ、生産性がきわめて高くなる。
このように、加工凹部上に種結晶膜を介してIII 族金属窒化物単結晶を形成した後に、育成された単結晶がテンプレート基板から容易にあるいは自然に剥離することは、本発明者の新規な発見である。
図3に模式的に示すように、育成される六方晶窒化物単結晶のa面同士が会合面7で会合するようにする必要がある。すなわち、隣接する種結晶膜5からは、矢印Dのようにそれぞれ単結晶6A、6Bが成長していき、やがて7で会合する。このとき、隣接する種結晶膜5から成長した単結晶6A、6Bがm面同士が会合するように加工凹部8を形成した場合には、加工凹部から多結晶が成長する速度よりも、会合方向Dの成長速度が遅く、結晶が成長した領域同士が平滑に会合せず、多結晶が単結晶に挟まった形の混合体が生成した。
隣接する種結晶膜5から成長した単結晶が会合面7でa軸で会合していることは、蛍光顕微鏡にて確認できた。蛍光顕微鏡像の一例を図8にしめす。蛍光顕微鏡を用いると、その不純物帯発光の様子から、成長履歴が観察できる。水銀ランプの紫外線によって、励起された電子が、結晶中の不純物準位から発光する。このとき、不純物濃度差によって、発光の強度差が木の年輪のように、観察できる。
基板本体の材質は特に限定されないが、サファイア、シリコン単結晶、SiC単結晶、MgO単結晶、スピネル(MgAl)、LiAlO、LiGaO、LaAlO,LaGaO,NdGaO等のペロブスカイト型複合酸化物を例示できる。また組成式〔A1−y(Sr1−xBa〕〔(Al1−zGa1−u・D〕O(Aは、希土類元素である;Dは、ニオブおよびタンタルからなる群より選ばれた一種以上の元素である;y=0.3〜0.98;x=0〜1;z=0〜1;u=0.15〜0.49;x+z=0.1〜2)の立方晶系のペロブスカイト構造複合酸化物も使用できる。また、SCAM(ScAlMgO)も使用できる。
基板本体への凹部の形成方法は限定されない。特に、ダイサー(ダイヤモンドブレード)により、サファイアなどの単結晶に溝入れ加工することで、低コストかつリソグラフィでは作製困難な深い溝(10ミクロン以上の深さ)を作製することができる。また、加工面が平滑かつ、加工歪みが残存し、エピレディで無ければ良く、例えば、レーザー加工でもよく、プラズマエッチング、サンドブラストでもよい。
凹部の深さは、本発明によって育成単結晶の剥離を促進し、凹部からの多結晶が成長するよりも早く凹部の上部が会合するようにするという観点からは、10μm以上が好ましく、20μm以上がさらに好ましい。一方、凹部が深すぎると、基板本体がハンドリング時に割れやすくなるので、この観点からは、100μm以下が好ましい。
下地膜を構成するIII族金属窒化物は、GaN、AlN、GaAlNである。
下地膜の形成方法は、不純物濃度の制御性や膜厚均一性の観点からMOCVD法が好ましい。
下地膜の厚さは特に限定されない。種結晶膜のメルトバックを抑制するという観点からは、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。また、下地膜を厚くすると、下地膜の形成に時間がかかるので、この観点からは、下地膜の厚さを30μm以下とすることができる。
本発明においては、溝8の幅b(図1(b)参照)を大きくすることによって、育成された単結晶6の基板本体からの剥離を一層促進できる。特許文献1においては、溝幅は20〜500μmであり、好ましくは100μm以上であり、実施例5では、突起幅5μm、突起の周期300μm、凹部の幅295μmである。しかし、この条件では、種結晶膜がメルトバックしやすい。
本発明においては、種結晶のメルトバックの問題がないので、凹部の幅bを大きくすることで育成単結晶の剥離を促進できるわけである。この観点からは、凹部の幅bを400μm以上とすることが好ましく、500μm以上とすることがさらに好ましい。また、凹部の幅bが大きくなると、育成された単結晶がつながりにくくなるので、この観点からは、凹部の幅bは、1000μm以下が好ましく、700μm以下がさらに好ましい。
突起の幅aは、単結晶育成を促進するという観点からは、100μm以上が好ましく、150μm以上が更に好ましい。また、育成された単結晶の剥離を促進するという観点からは、300μm以下が好ましい。
好ましくは、突起の側壁面の長手方向と基板本体のa軸とがなす角度θが25°以下であり、更に好ましくは20°以下であり、いっそう好ましくは10°以下である。最も好ましくは、突起の側壁面の長手方向と基板本体のa軸とが平行である。
ここで、a軸とは、六方晶単結晶の(1 1
-2 0 )を示す。サファイア、窒化ガリウムともに、六方晶系なので、a1、a2、a3は等価であり、(2 -1 -1 0 )、(1 1 -2 0 )、(-1 2 -1 0 )、(-2 1 1 0 )、(-1 -1 2 0 )、(1 -2 1 0 )の6つは等価である。
この6つのうち、a 軸は慣例で(1 1
-2 0 )を用いることが多く、本願でいうa 軸はこのすべての等価な面のことを意味し、(1 1 -2 0 )と表記する場合でも、前記等価な軸をすべて含む。
図4(a)、(b)の例では、基板本体の材料が、六方晶のIII 族金属窒化物単結晶である。そして、突起2の側壁面2aの長手方向Aと基板本体のa軸とが平行である。
図5(a)、(b)の例では、突起2の側壁面2aの長手方向Aと基板本体のa軸とが交差している。そして、この交差角度θが25°以下であり、更に好ましくは20°以下であり、いっそう好ましくは10°以下である。
また、好ましくは、突起の側壁面の長手方向と下地膜のa軸とがなす角度θが5°以上、30°以下であり、更に好ましくは10〜30°以下であり、いっそう好ましくは15〜30°以下である。最も好ましくは特に突起の側壁面の長手方向と下地膜のa軸とがなす角度が30°である。
すなわち、図6(a)、(b)の例では、下地膜の材料が、六方晶のIII 族金属窒化物単結晶である。そして、突起2の側壁面2aの長手方向Aと下地膜のa軸とのなす角度が30°である。
図7(a)、(b)の例では、突起2の側壁面2aの長手方向Aと下地膜のa軸とのなす角度が30°よりも小さい。
なお、図1〜7の例では、各突起および各凹部が、細長く一定方向に向かって延びたストライプ状であるが、これは必須要件ではない。たとえば、突起が細長いストライプ状ではなく、三角形、六角形などの形状であってよい。ただし、この場合、突起の各片における側壁面の長手方向Aと基板本体のa軸とがなす角度が、前述のように30°以下であることが好ましい。また、突起の各片における側壁面の長手方向Aと下地膜のa軸とがなす角度が、前述のように5°〜30°であることが好ましい。
また、突起を多数、基板本体上に一定間隔で形成することも可能である。たとえば、円形、楕円形、三角形、四辺形等の多角形状など、さまざまな形状をした突起を、一定間隔で縦横に基板本体上に多数形成することができる。この場合にも、突起の側壁面の長手方向Aと基板本体のa軸とがなす角度が30°以下でない場合にも、育成されるIII 族金属窒化物単結晶がa面で会合するように設計可能である。
次いで、下地膜上に、気相法またはフラックス法によってIII 族金属窒化物単結晶を育成する。
気相法としては、MOCVD法、HVPE法、昇華法、MBE法が好ましい。特に好ましくはHVPE法である。
フラックス法を採用すると、生産性が高い点で好ましい。この場合、フラックスの種類は、III 族金属窒化物単結晶を生成可能である限り、特に限定されない。好適な実施形態においては、ナトリウム金属とカルシウム金属との少なくとも一方を含むフラックスを使用し、ナトリウム金属を含むフラックスが特に好ましい。
フラックスには、目的とするIII 族金属窒化物単結晶の原料を混合し、使用する。このIII 族金属窒化物単結晶は、GaN、AlNである。
フラックスを構成する原料は、目的とするIII 族金属窒化物単結晶に合わせて選択する。
ガリウム原料物質としては、ガリウム単体金属、ガリウム合金、ガリウム化合物を適用できるが、ガリウム単体金属が取扱いの上からも好適である。
アルミニウム原料物質としては、アルミニウム単体金属、アルミニウム合金、アルミニウム化合物を適用できるが、アルミニウム単体金属が取扱いの上からも好適である。
III 族金属窒化物単結晶の育成温度や育成時の保持時間は特に限定されず、目的とするIII 族金属窒化物単結晶の種類やフラックスの組成に応じて適宜変更する。
一例では、ナトリウムまたはリチウム含有フラックスを用いて窒化ガリウム単結晶を育成する場合には、育成温度を800〜1000℃とすることができる。
好適な実施形態においては、窒素ガスを含む混合ガスからなる雰囲気下でIII 族金属窒化物単結晶を育成する。雰囲気の全圧は特に限定されないが、フラックスの蒸発を防止する観点からは、10気圧以上が好ましく、30気圧以上が更に好ましい。ただし、圧力が高いと装置が大がかりとなるので、雰囲気の全圧は、2000気圧以下が好ましく、1000気圧以下が更に好ましい。
また、雰囲気中の窒素分圧も特に限定されないが、窒化ガリウム単結晶を育成する場合には10〜2000気圧が好ましく、100〜1000気圧が更に好ましい。窒化アルミニウム単結晶を育成する場合には、0.1〜50気圧が好ましく、1〜10気圧が更に好ましい。
雰囲気中の窒素以外のガスは限定されないが、不活性ガスが好ましく、アルゴン、ヘリウム、ネオンが特に好ましい。窒素以外のガスの分圧は、全圧から窒素ガス分圧を除いた値である。
本発明における実際の育成手法は特に限定されない。例えばるつぼ内でテンプレート基板をフラックス中に浸漬し、るつぼを耐圧容器に収容し、耐圧容器内に窒素含有雰囲気を供給しつつ加熱できる。また、テンプレート基板を所定位置に固定し、フラックスが収容されたルツボを上方向へと上昇させることにより、下地膜の表面にフラックスを接触させることができる。
(実施例1)
図1、図2を参照しつつ説明した方法に従い、窒化ガリウム単結晶を育成した。
具体的には、直径2インチのc面サファイア基板本体1の表面1aに、深さ25ミクロン、幅0.5mmの溝8を周期0.7mmで多数形成した。このとき、溝方向はサファイアのa 軸(1 1 -2 0)方向に平行とした。この凹部は、ダイサー(ダイヤモンドブレードの番手#400 )により形成した。次いで、基板本体1上に、窒化ガリウム単結晶からなる下地膜10をエピタキシャル成長させ、テンプレート基板9を得た。つまり、成膜面2aは、GaN種結晶のa 面、つまり(1 1 -2 0)面となるように配向させた。
次いで、フラックス法によって、テンプレート基板上に窒化ガリウム単結晶6を育成した。具体的には、内径70mm、高さ50mmの円筒平底坩堝を用い、育成原料(金属Ga60g、金属Na60g、炭素0.1 g)をグローブボックス内でそれぞれ融解して坩堝内に充填した。まずNaを充填し、その後Gaを充填することにより、Naを雰囲気から遮蔽し、酸化を防止した。坩堝内の原料の融液高さは約20mmとなった。
次に、坩堝内部に設置した種基板保持用の台に、前記したテンプレート基板9を1 枚、斜めに配置した。保持用の台は、テンプレート基板より一回り大きくしてあり、基板をはめ込む窪みを有している。この坩堝を耐熱金属製の容器に入れて密閉した後、結晶育成炉の揺動および回転が可能な台上に設置した。870 ℃・4.5MPaまで昇温加圧後、100 時間保持し溶液を揺動および回転することで撹拌しながら結晶成長させた。その後10時間かけて室温まで徐冷し、結晶を回収した。育成した結晶は2インチの種基板全面に約1.5 mmのGaN結晶が成長していた。面内の厚さバラツキは小さく、10%未満であった。約7 割の部分が、取り出した時点で、自然剥離しており、残りの3 割の部分は、軽く手で触れただけで、サファイアから剥離することが出来た。目視にてクラックは確認されなかった。
(実施例2)
実施例1と同様にして窒化ガリウム単結晶を育成した。ただし、溝8の幅bを0.7mm(周期0.9mm)とした。これ以外は実施例1と同様にして単結晶を育成したところ、単結晶が自然剥離した面積は約9割であった。従って単結晶の剥離しやすさが更に高いことがわかった。
(実施例3)
実施例1と同様にして窒化ガリウム単結晶を育成した。ただし、溝8の幅bを0.9mm(周期1.1mm)とした。これ以外は実施例1と同様にして単結晶を育成したところ、単結晶が自然剥離した面積は約10割であった。従って単結晶の剥離しやすさが更に高いことがわかった。
(実施例4)
実施例2と同様にしてテンプレート基板を作製した。次いで、ハイドライド気相成長(HVPE)装置のサセプターにテンプレート基板を配置した。常圧で、1100℃まで加熱した後、塩化ガリウム(GaCl)、アンモニア(NH3 )を原料ガスとして種基板上に流し、GaN厚膜を15時間成膜した。その後5 時間かけて室温まで徐冷し、結晶を回収した。2インチの種基板全面に約1.5 mmのGaN結晶が成長していた。面内の厚さバラツキは小さく、10%未満であった。HVPE装置から取り出した時点で、サファイア基板から自然剥離しており、サファイアから分離することが出来た。目視にてクラックは確認されなかった。
(比較例1)
GaN
テンプレートを特許文献1の実施例1と同じように作製した。次いで、このテンプレート基板を使用し、上記の実施例1と同様にしてフラックス法で窒化ガリウム単結晶の育成を行った。この結果、MOCVD 法による種結晶膜が完全にメルトバックして、サファイアのみになっており、結晶成長ができなかった。
(比較例2)
実施例1と同様にして窒化ガリウム単結晶を育成した。ただし、実施例1とは異なり、成膜面2aは、GaN種結晶のm面、つまり(10−10)面となるように配向させた。
この結果、窒化ガリウム単結晶6を育成でき、また単結晶6をテンプレート基板から自然剥離させることができた。ただし、溝8の上部は多結晶化しており、全体が一様な単結晶ではなかった。
(a)は、基板本体1の概略図であり、(b)は、基板本体1に加工によって凹部8を設けた状態を示す概略図であり、(c)は、テンプレート基板を示す概略図である。 (a)は、テンプレート基板9上に窒化物単結晶6を形成した状態を示す概略図であり、(b)は、テンプレート基板9から窒化物単結晶6を剥離させた状態を示す概略図である。 育成されるIII 族金属窒化物単結晶の会合を説明する模式図である。 (a)、(b)は、基板本体のa軸の方位と突起側壁面の長手方向Aとの位置関係を示す模式図であり、両者が平行である。 (a)、(b)は、基板本体のa軸の方位と突起側壁面の長手方向Aとの位置関係を示す模式図であり、両者が角度θで交差している。 (a)、(b)は、下地膜のa軸の方位と突起側壁面の長手方向Aとの位置関係を示す模式図であり、両者の交差角度が30°である。 (a)、(b)は、下地膜のa軸の方位と突起側壁面の長手方向Aとの位置関係を示す模式図であり、両者の交差角度が30°より小さい。 実施例1において、単結晶を基板から剥離させた後、剥離面側から単結晶の会合部を観測した蛍光顕微鏡写真であり、点線部のように、a 面同士で会合している様子が確認できた。
1 基板本体 2 突起 2a 凹部の壁面 2b 成膜面 3 凹部の底面 4A、4B 多結晶化した下地膜 5 種結晶膜 6 育成されたIII 族金属窒化物単結晶 8 凹部 9 テンプレート基板 10 下地膜

Claims (5)

  1. 基板本体に成膜面と側壁面とが設けられた突起および加工凹部を形成する基板加工工程、
    前記基板本体に対して、前記成膜面、前記側壁面および前記加工凹部を被覆するようにIII 族金属窒化物下地膜を成膜し、前記下地膜が、前記成膜面上の単結晶である種結晶膜と、前記側壁面および前記加工凹部の底面を被覆する多結晶膜とを有する種結晶形成工程、および
    前記下地膜上にフラックス法または気相法によってIII 族金属窒化物単結晶を育成し、この際隣接する前記突起から成長するIII 族金属窒化物単結晶のa面同士を互いに会合させる単結晶育成工程
    を有し、育成される前記III 族金属窒化物単結晶が、窒化ガリウム単結晶または窒化アルミニウム単結晶であり、前記下地膜を構成する前記III 族金属窒化物が、窒化ガリウム、窒化アルミニウムまたは窒化アルミニウム−窒化ガリウム固溶体結晶であり、前記育成されたIII 族金属窒化物単結晶を前記下地膜から自然剥離させることを特徴とする、III 族金属窒化物単結晶の育成方法。
  2. 前記側壁面および前記底面に加工歪みがあることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 前記突起の前記側壁面の長手方向と前記基板本体のa軸とがなす角度が25°以下であることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記突起の前記側壁面の長手方向と、前記種結晶膜のa軸とがなす角度が5°以上、30°以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の方法。
  5. 前記下地膜上にフラックス法によって前記III 族金属窒化物単結晶を育成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の方法。
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