JP5424695B2 - 防振装置 - Google Patents

防振装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5424695B2
JP5424695B2 JP2009101891A JP2009101891A JP5424695B2 JP 5424695 B2 JP5424695 B2 JP 5424695B2 JP 2009101891 A JP2009101891 A JP 2009101891A JP 2009101891 A JP2009101891 A JP 2009101891A JP 5424695 B2 JP5424695 B2 JP 5424695B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
opening
orifice
closing member
liquid chamber
vibration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009101891A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010249287A (ja
Inventor
哲 植木
宏 小島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP2009101891A priority Critical patent/JP5424695B2/ja
Publication of JP2010249287A publication Critical patent/JP2010249287A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5424695B2 publication Critical patent/JP5424695B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Arrangement Or Mounting Of Propulsion Units For Vehicles (AREA)
  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)

Description

本発明は、振動を発生する部材からの振動の伝達を防止する流体封入式の防振装置に係り、特に、自動車のエンジンマウント等に好適に用いられる防振装置に関する。
例えば、乗用車等の車両では、振動発生部となるエンジンと振動受け部となる車体との間にエンジンマウントとしての防振装置が配設されており、この防振装置がエンジンから発生する振動を吸収し、車体側に伝達されるのを阻止するような構造となっている。
このような構造の防振装置として、特許文献1には、主液室と副液室がシェイクオリフィス及びアイドルオリフィスによりそれぞれ連通されており、アイドルオリフィスの一部を形成すると共に副液室に連通したシリンダ空間内に配置されたプランジャ部材が、シェイク振動の入力時には主液室の液圧によりアイドルオリフィスを閉塞する閉塞位置へ移動し、アイドル振動の入力時にはコイルスプリングの付勢力を受けて、アイドルオリフィスを開放する開放位置へ移動する防振装置が開示されている。
特許文献1に記載の防振装置では、プランジャ部材(移動開閉部材)が閉塞位置へ移動したときに、シリンダ室に当たって異音を発生させるおそれがあるため、この異音を抑制することが望まれる。
特開2007−71313号公報
本発明は上記事実を考慮して、移動開閉部材が移動したときの異音の発生を抑制可能な防振装置を得ることを課題とする。
請求項1に記載の発明では、振動発生部及び振動受け部の一方に連結される第1取付部材と、振動発生部及び振動受け部の他方に連結される第2取付部材と、前記第1取付部材と前記第2取付部材との間に配置された弾性体と、前記弾性体を隔壁の一部として液体が封入され、該弾性体の弾性変形に伴って内容積が変化する主液室と、液体が封入され内容積が拡縮可能とされた副液室と、前記主液室と前記副液室とを互いに連通する複数の通路と、前記主液室と前記副液室との間に設けられ、液体が封入されたシリンダ室を構成するシリンダ部材と、液体の前記主液室から前記シリンダ室方向のみへの移動を許容する逆止弁と、前記シリンダ室と前記通路の長手中間部分とを連通するように前記シリンダ部材に設けられたオリフィス開口と、前記主液室の液圧変動に応じて前記シリンダ室内で移動することで前記オリフィス開口を開閉して前記通路を選択しシェイクモードとアイドルモードとの切替を行う移動開閉部材と、前記移動開閉部材を、前記シリンダ室内で往復移動可能に弾性支持する付勢部材と、前記移動開閉部材に設けられ、移動開閉部材の移動方向先端側に位置する前記シリンダ部材の被接触部分に接触して緩衝を行うと共に、前記移動開閉部材で閉じられた前記オリフィス開口から漏れる前記液体の前記副液室への流入を阻止する緩衝部材と、を有する。
請求項1の防振装置では、第1取付部材及び第2取付部材の何れか一方に振動が伝達されると、第1取付部材と第2取付部材との間に配置された弾性体が弾性変形し、この弾性体の内部摩擦等に基づく吸振作用によって振動が吸収され、振動受け部側へ伝達される振動が低減される。
また、請求項1に係る防振装置では、主液室と副液室とが複数の流路によって連通されている。
更に、この防振装置では、移動開閉部材に対し逆止弁を通してシリンダ室へ流入した液体により主液室の液圧変動が作用すると、付勢部材の付勢力に抗して、あるいは付勢力を受けて移動開閉部材はシリンダ室内で移動するため、これによってオリフィス開口が開閉され、シェイクモードとアイドルモードとの切替が行われる。
たとえば、相対的に周波数が低く振幅が大きい振動(以下、「低周波域振動」という。)が入力した場合には、防振装置をいわゆるシェイクモードとすることが可能である。
また、この防振装置では、相対的に周波数が高く振幅が小さい振動(以下、「高周波域振動」という。)が入力した場合には、防振装置をいわゆるアイドルモードとすることが可能である。
また、この防振装置では、移動開閉部材に緩衝部材が設けられており、移動開閉部材が移動したときには、この緩衝部材がシリンダ部材の被接触部分に接触することで緩衝作用を発揮する。したがって、このような緩衝部材が設けられていない構成と比較して、異音の発生を抑制することが可能になる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記移動開閉部材の前記緩衝部材が取り付けられた側が、移動開閉部材の一端を構成する端面部と、この端面部から連続する内面部と、を備え、前記緩衝部材が、前記端面部に接触する第1接触面と、前記内面部に接触する第2接触面と、を有する。
したがって、緩衝部材は、第1接触面において、移動開閉部材の端面部に接触し、第2接触面において、移動開閉部材の内面部に接触する。このように、異なる2面で緩衝部材が移動開閉部材に接触して取り付けられることで、より高いリーク抑制効果が得られる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記緩衝部材がゴム製とされ、前記移動開閉部材が樹脂製とされている。
このように緩衝部材をゴム製とし、移動開閉部材を樹脂製とすることで、緩衝部材を熱溶着等によって移動開閉部材と一体成形することが可能となり、生産性の向上に寄与する。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記移動開閉部材と前記緩衝部材のいずれか一方においてこれらの取付面に形成された第2凸部と、前記移動開閉部材と前記緩衝部材の他方に形成され前記第2凸部が嵌合される凹部と、を有する。
凹部に第2凸部を嵌合させることで、移動開閉部材への緩衝部材の取り付け(固定)をより確実にすることができる。
本発明は上記の構成としたので、移動開閉部材が閉塞位置に移動したときの異音の発生を抑制できる。
本発明の第1実施形態に係る防振装置の構成を示す軸方向に沿った断面図であり、移動開閉部材が開放位置にある状態を示している。 本発明の第1実施形態に係る防振装置の構成を示す軸方向に沿った断面図であり、プランジャ本体が閉塞位置にある状態を示している。 本発明の第1実施形態に係る防振装置における仕切金具及び移動開閉部材の構成を示す断面図であり、移動開閉部材が開放位置にある状態を示している。 本発明の第1実施形態に係る防振装置における仕切金具及び移動開閉部材の構成を示す断面図であり、移動開閉部材が閉塞位置にある状態を示している。 本発明の第1実施形態に係る防振装置における仕切金具及び移動開閉部材の構成を示す分解斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る防振装置におけるオリフィス部材の構成を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る防振装置における緩衝ゴムリングを示し(A)は斜視図、(B)は径方向の断面図である。 本発明の第2実施形態に係る防振装置における仕切金具及び移動開閉部材の構成を部分的に示す断面図であり、(A)は移動開閉部材が開放位置にある状態、(B)は移動開閉部材が閉塞位置にある状態を示している。 本発明の第2実施形態に係る防振装置における緩衝ゴムリングを示し(A)は斜視図、(B)は径方向の断面図である。 本発明の第3実施形態に係る防振装置における仕切金具及び移動開閉部材の構成を部分的に示す断面図であり、(A)は移動開閉部材が開放位置にある状態、(B)は移動開閉部材が閉塞位置にある状態を示している。 本発明の第4実施形態に係る防振装置における仕切金具及び移動開閉部材の構成を部分的に示す断面図であり、(A)は移動開閉部材が開放位置にある状態、(B)は移動開閉部材が閉塞位置にある状態を示している。 本発明の第4実施形態に係る防振装置における緩衝ゴムリングを示し(A)は斜視図、(B)は径方向の断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る防振装置について図面を参照して説明する。なお、図中、符号Sは装置の軸心を表しており、この軸心Sに沿った方向を装置の軸方向として以下の説明を行う。
図1及び図2には本発明の実施形態に係る防振装置10が示されている。図1に示すように、防振装置10には、その外周側に薄肉円筒に形成された外筒金具12が設けられると共に、この外筒金具12の内周側に取付金具20が略同軸的に配置されている。外筒金具12には、その上端部に外周側へ延出する環状のフランジ部14が屈曲形成されると共に、下端部に装置の組立時に内周側へテーパ状に折り曲げられるかしめ部16が形成されており、これらのフランジ部14とかしめ部16との中間に内周側へ向かって断面V字状に屈曲された絞り部18が全周に亘って形成されている。防振装置10は、外筒金具12がカップ状のホルダ金具(図示省略)内へ嵌挿されることにより、このホルダ金具を介してして車両における車体側へ連結される。
取付金具20は、その上端側が略一定の外径を有する円柱状に形成されると共に、下端側が下方へ向かってテーパ状に外径が縮径する略円錐台状に形成されており、この取付金具20には、その上端面から下端側へ向かって軸心Sに沿ってねじ穴22が穿設されている。防振装置10は、取付金具20のねじ穴22に捻じ込まれたボルト等の締結部材及びブラケットステーを介して車両におけるエンジン側に連結固定される。
防振装置10には、外筒金具12と取付金具20との間に略厚肉リング状に形成されたゴム弾性体24が配置されている。ゴム弾性体24は、その外周面が外筒金具12の外周面における絞り部18の上側に加硫接着されると共に、内周面が取付金具20の外周面下端側に加硫接着されている。これにより、ゴム弾性体24は外筒金具12と取付金具20とを弾性的に連結する。
ゴム弾性体24は、その断面が取付金具20から外筒金具12へ向かって下方へ傾斜しつつ広がる形状に形成されている。これにより、ゴム弾性体24の下面中央部には、下方から上方へ向かって内径が狭くなる略円錐台状の凹部26が形成される。ゴム弾性体24には、その上端外周部から外周側へ延出する断面矩形状のストッパ部28が一体的に形成されており、このストッパ部28は、外筒金具12のフランジ部14における周方向に沿った一部に加硫接着されている。このストッパ部28は、防振装置10が車両に取り付けられた状態で、軸方向に沿ってエンジン側に大きな相対変位が生じた場合に、ブラケットステー等へ当接してエンジン側の変位を制限すると共に衝突音の発生を防止する。
ゴム弾性体24には、その下端内周部に取付金具20の下端部を覆うインナクッション部30が一体的に形成されると共に、外筒金具12の絞り部18の内周側に段差部32が一体的に形成されている。この段差部32は、その下面側が平面状に形成されており、絞り部18により外周側から軸方向への変形が制限されるように支持されている。またゴム弾性体24には、段差部32の下端外周部から下方へ延出する薄肉円筒状の被覆部34が一体的に形成されている。この被覆部34は、外筒金具12の内周面に下端側を覆うように外筒金具12に加硫接着されている。
防振装置10には、外筒金具12の内周側に全体として略厚肉円板状に形成された仕切金具36(図3参照)が嵌挿されている。仕切金具36は、その上面外周部を段差部32の下面側へ当接させると共に、外周面を被覆部34を介して外筒金具12の内周面へ圧接させている。また防振装置10には、外筒金具12の内周側における仕切金具36の下側に環状の支持筒38が嵌挿されている。支持筒38は、その上端側を仕切金具36の下面外周部へ当接させると共に、被覆部34を介して外周面を外筒金具12の内周面へ圧接させている。防振装置10では、外筒金具12内に仕切金具36及び支持筒38が嵌挿された状態で、外筒金具12のかしめ部16が上端側から下端側へ向かって内外径が縮径するように折り曲げられる。これにより、外筒金具12内で仕切金具36及び支持筒38が段差部32(絞り部18)とかしめ部16との間に固定される。
支持筒38には、その内周側にゴム材料により薄肉円板状に成形されたダイヤフラム40が配置されており、このダイヤフラム40は、その外周縁部が全周に亘って支持筒38の内周面に加硫接着されている。これにより、外筒金具12内には、その軸方向に沿った上端側がゴム弾性体24により閉塞されると共に、下端側がダイヤフラム40により閉塞された略円柱状の空間(液室空間)が形成され、この液室空間は仕切金具36によりゴム弾性体24を隔壁の一部とする主液室42及びダイヤフラム40を隔壁とする副液室44に区画される。これらの主液室42及び副液室44内には、それぞれ水、エチレングリコール等の液体が充填される。
ここで、主液室42は、その内容積がゴム弾性体24の弾性変形に伴って変化(拡縮)し、またダイヤフラム40は、副液室44の内容積を拡縮する方向へ十分に小さい荷重(液圧)で変形可能とされている。
図5に示すように、仕切金具36には、その下部側に合成樹脂、あるいはアルミニウム等の金属材料で形成されたオリフィス部材46が設けられると共に、このオリフィス部材46の上側に有底円筒状の蓋部材48が配置されている。オリフィス部材46は、下面側が底板部50により閉止された厚肉の有底円筒状に形成されている。底板部50には、周方向に沿った寸法が内周側から外周側へ向かって広がる略扇状に形成された複数個(例えば、4個)の流通開口52が穿設されると共に、図3に示すように、流通開口52の内周側に厚肉円筒状のボス部54が一体的に形成されている。
図3に示すように、ボス部54は、その軸方向に沿った寸法が底板部50の厚さよりも大きくなっており、底板部50の上面部及び下面部からそれぞれ突出している。ボス部54には上面中央部に円形凹状の座受穴56が開口しており、この座受穴56には後述するコイルスプリング90の下端部が挿入される。またボス部54には、座受穴56の底面とボス部54の下面との間を貫通する逃げ穴58が穿設されている。この逃げ穴58の内径は座受穴56の内径よりも小径とされており、この逃げ穴58内には、後述する移動開閉部材78のガイド筒部82が挿脱可能に挿入される。
図5に示すように、オリフィス部材46には、その外周面上端部に下端側よりも外径が小さい嵌挿部60が形成されている。またオリフィス部材46には、外周面における段差部62と下端部との間に周方向に対して所定角度傾いたスパイラル方向に沿って延在する凹状の溝部64が形成されている。この溝部64は、オリフィス部材46の外周面を2周よりも若干多い周回数に亘って周回している。
オリフィス部材46には、図6(B)に示すように、嵌挿部60の一部を軸方向へ凹状に切り欠いて、溝部64の長手方向に沿った主液室42側の一端部をオリフィス部材46の上面部まで連通させる連通路66が形成されている。またオリフィス部材46には、図6(C)に示すように、その下端部の一部を軸方向へ矩形状に切り欠いて、溝部64の長手方向に沿った他端部をオリフィス部材46の下面まで連通させる連通路68が形成されている。
溝部64には、主液室42側の一端から長手方向(スパイラル方向)中間部までの区間に共用オリフィス部70が設けられると共に、この共用オリフィス部70に対して副液室44側に専用オリフィス部72が設けられている。ここで、共用オリフィス部70及び専用オリフィス部72は、その径方向に沿った深さは同じになっているが、共用オリフィス部70は、その軸方向に沿った幅が専用オリフィス部72の軸方向に沿った幅よりも所定長だけ長くなっている。これにより、共用オリフィス部70は、その断面積が専用オリフィス部72の断面積よりも大きくなり、この共用オリフィス部70の断面積は、車両のアイドリング運転時に発生するアイドル振動の周波数(例えば、18〜30Hz)及び振幅に対応するように設定されている。
オリフィス部材46には、図6(A)に示すように、溝部64における共用オリフィス部70と専用オリフィス部72との境界部付近に、溝部64の内周側の底面部からオリフィス部材46の内周面まで貫通するオリフィス開口74が穿設されている。このオリフィス開口74は周方向へ細長いスロット状に形成されている。ここで、オリフィス開口74の開口面積は、共用オリフィス部70の断面積以上になっている。
またオリフィス開口74は、その内周端に沿った両端部の形状が略半円形とされており、この両端部付近での液体の流通抵抗の増加が抑制されている。またオリフィス開口74の内周縁部(エッジ部)における液体の流通方向に沿った断面形状を凸の半円状や楔状として、エッジ部での液体の流通抵抗の増加を抑制するようにして良い。
図6(C)に示すように、オリフィス部材46の内周側には円柱状の空間が形成され、この円柱状の空間は、後述する移動開閉部材78が収納されるシリンダ部材76が設けられ、その内側の空間がシリンダ室76Sとされる。移動開閉部材78は、図5に示すように、厚肉円板状に形成されており、シリンダ室76Sを軸方向に沿って主液室42側の小空間である加圧空間130(図3参照)と副液室44側の小空間であるオリフィス空間132(図4参照)とに区画している。また移動開閉部材78は、その外周面下端側のエッジ部79がオリフィス開口74の長手方向と平行に延在している。
図3に示すように、移動開閉部材78には、その下面側における周縁部と中央部との間には周方向へ延在する環状凹部80が形成されている。また移動開閉部材78には、その下面中央部から下方へ突出する厚肉円筒状のガイド筒部82が一体的に形成されると共に、このガイド筒部82の中央部を軸方向へ貫通する軸受穴84が穿設されている。移動開閉部材78には、ガイド筒部82の基端部にガイド筒部82よりも大径とされた円柱状の座受部86が同軸的に形成されている。また移動開閉部材78には、その上面中央部に円形凹状の逃げ部88が形成されている。
移動開閉部材78は、図3に示すように、オリフィス部材46のシリンダ室76S内へ挿入され、シリンダ室76Sの内周面に沿って軸方向に移動可能(スライド可能)となる。このとき、移動開閉部材78は、ガイド筒部82の先端側をオリフィス部材46の座受穴56及び逃げ穴58内にも同軸的に挿入するが、ガイド筒部82の外径は、座受穴56及び逃げ穴58の内径よりも小径であることから、移動開閉部材78は、オリフィス部材46の底板部50へ接することなく、軸方向に沿って所定の範囲(後述する閉塞位置と開放位置との間)で移動可能になる。また仕切金具36には、オリフィス部材46の底板部50と移動開閉部材78との間に付勢部材としてのコイルスプリング90が配置されている。
コイルスプリング90は、その上端部を移動開閉部材78の座受部86の外周側に外嵌すると共に、その下端部をオリフィス部材46の座受穴56内へ挿入している。この状態で、コイルスプリング90は、その上端面(上側座面)を移動開閉部材78における座受部86の周縁部へ圧接させると共に、下端面(下側座面)を座受穴56の底面部へ圧接させ、移動開閉部材78及び底板部50により常に圧縮状態に保持されている。これにより、コイルスプリング90は移動開閉部材78を常に上方(主液室42側)へ付勢する。
図3に示すように、仕切金具36では、蓋部材48がオリフィス部材46における嵌挿部60の外周側に嵌挿固定されている。これにより、オリフィス部材46のシリンダ室76Sの上端側が蓋部材48の頂板部92により閉止される。蓋部材48には、図5に示すように、頂板部92の中央部に円形の嵌挿穴94が穿設されると共に、この嵌挿穴94の外周側に扇状に形成された複数個(本実施形態では、4個)の弁座開口96が形成されている。これら弁座開口96は、軸心Sを中心として対称的な位置関係(点対称)となるように配置されている。また蓋部材48には、図5に示すように、その外周部にオリフィス部材46の上端側の連通路66(図6(B)参照)に面するように切欠部98が形成されている。共用オリフィス部70は、蓋部材48の切欠部98及び連通路66を介して副液室44内へ連通している。
図5に示すように、仕切金具36には、蓋部材48と移動開閉部材78との間に略円板状のホルダ部材100が配置されると共に、このホルダ部材100と蓋部材48との間に略円板状の弁体102が介装されている。ホルダ部材100には、図3に示すように、その中央側に底の浅い有底円筒状とされた弁体ホルダ104が形成されると共に、この弁体ホルダ104の上端部から外周側へ延出する環状のフランジ部106が屈曲形成されている。またホルダ部材100には、弁体ホルダ104の底板部105の外周部にそれぞれ扇状に形成された複数個の連通開口108が穿設されている。
図3に示すように、ホルダ部材100には、底板部105の中央部に厚肉円板状のボス部110が一体的に形成されると共に、このボス部110の下面中央部から軸心Sに沿って下方へ突出する丸棒状のガイドロッド120が一体的に形成されている。またボス部110の上面側には、円形凹状の嵌挿穴112が形成されている。ここで、蓋部材48の頂板部92とホルダ部材100の底板部105との間には、嵌挿穴112の外周側に軸方向に沿った厚さ一定の円板状の空間である弁体収納室114が形成され、この弁体収納室114内には弁体102が収納される。
弁体102は、NR、NBR等のゴム組成物により成形されており、その上面側が平面状とされると共に、下面側が内周側から外周側へ向って上方へ僅かに傾斜するスロープ状に形成されており、軸方向に沿った肉厚が内周側から外周側へ向って徐々に薄くなっている。また弁体102には、上面中央部に円形凸状の突起部116が形成されると共に、下面中央部にも円形凸状の突起部118が形成されている。弁体102は、その上面側の突起部116を蓋部材48の嵌挿穴94内へ嵌挿すると共に、下面側の突起部118をホルダ部材100の嵌挿穴112内へ嵌挿している。これにより、弁体102は、ホルダ部材100及び蓋部材48と同軸的に位置決めされると共に、径方向への移動が拘束される。
弁体102は、突起部116,118の周縁部付近が蓋部材48の頂板部92とホルダ部材100の底板部105との間で軸方向に沿って圧縮されている。これにより、弁体102は、その上面部を所定の加圧力(予圧力)で蓋部材48の頂板部92の下面側へ圧接させると共に、蓋部材48とホルダ部材100との間で軸方向への移動が拘束される。弁体102は、圧縮状態となった部分の外周側の部分が下方へ向って撓み変形可能となっている。
図3に示すように、弁体102は、その外周端を径方向に沿って蓋部材48における弁座開口96の外周端よりも外周側に位置させ、かつホルダ部材100の連通開口108の外周端よりも内周側に位置させている。これにより、弁体102は、その上面部を頂板部92に圧接させた状態(閉状態)で弁座開口96を閉塞し、また、図3の2点鎖線で示すように、外周側が下方へ撓み変形して頂板部92から離間した状態(開状態)になると、弁座開口96が弁体収納室114を介して連通開口108に連通した状態となり、主液室42が弁体収納室114を通して仕切金具36内のシリンダ室76Sへ連通する。すなわち、弁体収納室114内に収納された弁体102、蓋部材48及びホルダ部材100は、主液室42とシリンダ室76Sとの間で逆止弁128を構成しており、この逆止弁128は、主液室42からシリンダ室76S(加圧空間130)内へのみ液体の流入を許容するが、加圧空間130から主液室42内への液体の流出を阻止する。
ホルダ部材100のガイドロッド120は、移動開閉部材78の軸受穴84内へ軸方向に沿って相対的に摺動可能となるように挿入されている。ここで、軸受穴84が穿設されたガイド筒部82及びガイドロッド120の一方が金属により形成されている場合には、他方を樹脂等のヤング率が所定値以上異なり、摩擦抵抗が小さい素材により形成することが好ましい。また軸受穴84の内周面及びガイドロッド120の外周面の一方又は双方に潤滑性を有し、かつ耐摩耗性が高い物質をコーティングして摩擦抵抗を抑制するようにしても良い。またガイドロッド120は、その先端側がオリフィス部材46の座受穴56及び逃げ穴58内を通ってオリフィス部材46の下方まで突出させており、このガイドロッド120の先端部には、ダイヤフラム40の中央部に円形凸状に形成された中央連結部41が加硫接着により固着されている。
シリンダ室76Sのオリフィス空間132は、オリフィス部材46の複数の流通開口52と座受穴56及び逃げ穴58を通して常に副液室44と連通している。また防振装置10では、図1に示すように、オリフィス部材46における溝部64の外周側が被覆部34を介して外筒金具12の内周面により閉塞される。これにより、溝部64内には、スパイラル方向に沿って細長い空間であるシェイクオリフィス122が形成され、このシェイクオリフィス122は、その一端部がオリフィス部材46の連通路66及び蓋部材48の切欠部98を介して主液室42に接続されると共に、他端部がオリフィス部材46の連通路68を介して副液室44に接続される。
ここで、シェイクオリフィス122は、互いに断面積が異なる共用オリフィス部70及び専用オリフィス部72からなる溝部64全体と連通路66,68とにより構成されている。このシェイクオリフィス122は、入力振動のうち相対的に低周波域の振動であるシェイク振動(例えば、9〜15Hz)に対応するように、その路長及び断面積、すなわち液体の流通抵抗が設定(チューニング)されている。
溝部64における共用オリフィス部70は、シェイク振動に対して相対的に高周波域の振動であるアイドル振動(例えば、18〜30Hz)に対応するアイドルオリフィス124の一部を形成している。アイドルオリフィス124は、共用オリフィス部70、オリフィス開口74及びオリフィス部材46内のオリフィス空間132により構成されており、その路長及び断面積、すなわち液体の流通抵抗がアイドル振動に対応するように設定(チューニング)されている。ここで、アイドルオリフィス124におけり液体の流通抵抗は、シェイクオリフィス122における液体の流通抵抗よりも小さくなっている。
防振装置10では、図2に示すように、移動開閉部材78が閉塞位置へ移動(下降)すると、オリフィス部材46のオリフィス開口74が移動開閉部材78の外周面により閉塞され、共用オリフィス部70がオリフィス空間132と非連通状態となる。これにより、主液室42と副液室44とは、シェイクオリフィス122のみを通して互いに連通する。
また防振装置10では、図1に示すように、移動開閉部材78が開放位置へ移動(上昇)すると、移動開閉部材78がオリフィス開口74から離れてオリフィス開口74が開放され、共用オリフィス部70がオリフィス空間132と連通状態となる。これにより、主液室42と副液室44とは、シェイクオリフィス122及びアイドルオリフィス124の双方を通して互いに連通するが、主液室42内の液圧が変化した際には、主液室42内から共用オリフィス部70内へ流入した液体は、専用オリフィス部72との境界部付近に達すると、専用オリフィス部72よりも液体の流通抵抗が小さいオリフィス開口74を通ってオリフィス空間132内へ優先的に流入し、またオリフィス開口74を通って共用オリフィス部70内へ流入した液体も、専用オリフィス部72よりも液体の流通抵抗が小さい共用オリフィス部70を優先的に通って主液室42内へ抜ける。これにより、防振装置10では、移動開閉部材78が開放位置にある場合、実質的にアイドルオリフィス124のみを通って主液室42と副液室44との間で液体が流通する。
移動開閉部材78には、図3に示すように、その径方向中間部に軸方向へ貫通する複数本(本実施形態では、2本)の液圧解放路126が形成されている。これらの液圧解放路126は、コイルスプリング90の付勢力により閉塞位置にある移動開閉部材78が開放位置側へ移動する際に、外部から閉じられた加圧空間130内の液体をオリフィス空間132内へ流出させ、加圧空間130の液圧上昇を防止して移動開閉部材78を開放位置側へ移動可能にする。
図3、図4及び図7(A)及び(B)にも詳細に示すように、移動開閉部材78の下端部78Lには、NR、NBR等のゴム組成物により成形された環状の緩衝ゴムリング142が取り付けられている。なお、図7(B)では、緩衝ゴムリング142が環形状の径方向の断面にて示されているが、この径方向では、緩衝ゴムリング142は略円形の断面を有している。
これに対し、移動開閉部材78の下端部78Lには、緩衝ゴムリング142の略上半分を収容する環状の収容溝144が全周にわたって形成されている。緩衝ゴムリング142は、収容溝144にその略上半分が収容された状態で、熱溶着あるいは接着等によって移動開閉部材78に固定されている。このように緩衝ゴムリング142が移動開閉部材に取り付けられると、緩衝ゴムリング142の略下半分が、下端部78Lよりも下側に露出する。特に本実施形態では、移動開閉部材78を樹脂製としている。このため、ゴム製とされた緩衝ゴムリング142を熱溶着等によって移動開閉部材78と一体成形することが可能になっている。
緩衝ゴムリング142の太さ(図7(B)に示す直径D1)は、移動開閉部材78への取り付け状態で、移動開閉部材78が閉塞位置に移動すると、図2及び図4に示すように、緩衝ゴムリング142がシリンダ部材76の内側下面(以下、この面を特に「被接触面76T」とする)に接触するように、移動開閉部材78の形状や移動ストロークとの関係を考慮して決められている。したがって、被接触面76Tの位置は、移動開閉部材78が移動した場合(この移動は、たとえば主液室42の液圧上昇時に生じる)の移動方向先端側であり、本発明に係る「移動開閉部材の移動方向先端側」となっている。そして、移動開閉部材78がこのように移動した場合に、緩衝ゴムリング142が被接触面76Tに接触する。なお、かかる観点からは、緩衝ゴムリング142の径方向での断面は、図7(B)に示した円形に限られず、楕円形や多角形でもよい。
次に、本発明の実施形態に係る防振装置10の作用を説明する。
例えば、車両におけるエンジンが作動すると、エンジンが発生した振動が防振装置10に作用する。防振装置10では、取付金具20を介してゴム弾性体24に伝達され、ゴム弾性体24が弾性変形する。このとき、ゴム弾性体24は吸振主体として作用し、ゴム弾性体24の内部摩擦等に基づく吸振作用によって振動が吸収され、外筒金具12を介して車体側へ伝達される振動が低減される。
なお、自動車等の車両では、アイドリング運転時にエンジンが相対的に高周波域の振動であるアイドル振動を発生し、また所定速度以上での走行時にはエンジンが相対的に低周波域の振動であるシェイク振動を発生する。
また防振装置10では、シェイクオリフィス122の主液室42側の一部が、アイドルオリフィス124の一部を形成する共用オリフィス部70とされている。そして、この共用オリフィス部70とシェイクオリフィス122における副液室44側の一部である専用オリフィス部72との間にシリンダ室76Sのオリフィス空間132に連通するオリフィス開口74が形成されている。このため、主液室42と副液室44とは、共用オリフィス部70及び専用オリフィス部72を含むシェイクオリフィス122により互いに連通し、さらに、共用オリフィス部70及びオリフィス空間132を含むアイドルオリフィス124によっても互いに連通する。
更に、防振装置10では、移動開閉部材78が、シリンダ室76Sの加圧空間130内の液圧によりコイルスプリング90の付勢力に抗して開放位置から閉塞位置に移動するとオリフィス開口74を閉塞させ、コイルスプリング90の付勢力により閉塞位置から開放位置へ復帰するとオリフィス開口74を開放することから、開放位置にあった移動開閉部材78が、逆止弁128を通して主液室42から加圧空間130内へ供給される液圧により閉塞位置へ移動すると、ゴム弾性体24の弾性変形に伴って、シェイクオリフィス122のみを通って主液室42と副液室44との間を液体が行き来し、また閉塞位置にあった移動開閉部材78が、コイルスプリング90の付勢力により開放位置へ復帰すると、シェイクオリフィス122及びアイドルオリフィス124の双方が開放された状態となるが、ゴム弾性体の弾性変形に伴って、液体の流通抵抗が相対的に小さいアイドルオリフィス124を優先的に通って主液室42と副液室44との間を液体が行き来する。
すなわち、防振装置10では、相対的に周波数が低く振幅が大きいシェイク振動が入力した場合には、このシェイク振動によってゴム弾性体24が弾性変形し、主液室42内に相対的に大きな液圧変化が生じると共に、主液室42内の周期的な液圧上昇時に逆止弁128を通して主液室42から加圧空間130へ液体が流入して、加圧空間130内の液圧も主液室42内の上昇時の液圧と略平衡する平衡圧まで上昇する。
ここで、防振装置10では、コイルスプリング90の付勢力がシェイク振動の入力時の加圧空間130内の液圧(平衡圧)に対応する値よりも小さく設定されており、これにより、シェイク振動の入力時には、移動開閉部材78がコイルスプリングの付勢力に抗して開放位置から閉塞位置側へ間欠的に移動し、加圧空間130内の液圧により閉塞位置へ保持される。
従って、防振装置10では、シェイク振動の入力時には、ゴム弾性体24の弾性変形に伴って、シェイクオリフィス122のみを通して主液室42と副液室44との間を液体が行き来することから、このシェイクオリフィス122を通過する液体の粘性抵抗や圧力損失により入力振動(シェイク振動)を吸収できるので、車両におけるエンジン側から車体側へ伝達される低周波域振動を低減できる。
このとき、シェイクオリフィス122における液体の流通抵抗がシェイク振動の周波数及び振幅に対応するように設定(チューニング)されていることから、シェイクオリフィス122を通って主液室42と副液室44との間を行き来する液体に共振現象(液柱共振)が生じ、この液柱共振の作用によってシェイク振動を特に効果的に吸収できる。
また防振装置10では、相対的に周波数が高く振幅が小さいアイドル振動が入力した場合には、このアイドル振動によってゴム弾性体24が弾性変形すると共に、主液室42内に相対的に小さな液圧変化が生じることから、主液室42内の周期的な液圧上昇時に逆止弁128を通して主液室42から加圧空間へ液体が流入して、加圧空間130内の液圧が上昇して主液室42内の上昇時の液圧(最高値)と略平衡する平衡圧まで達する。
ただし、防振装置10では、コイルスプリング90の付勢力がアイドル振動の入力時における加圧空間130内の平衡圧に対応する値よりも大きく設定されており、これにより、移動開閉部材78が開放位置にあるときには、コイルスプリング90の付勢力により開放位置に保持され、また閉塞位置にある場合には、コイルスプリング90の付勢力により閉塞位置から開放位置へ移動(復帰)する。
なお、コイルスプリング90の付勢力により閉塞位置にある移動開閉部材78が開放位置側へ移動する際には、移動開閉部材78に形成された液圧解放路126が、外部から閉じられた加圧空間130内の液体をオリフィス空間132内へ流出させることから、加圧空間130の液圧上昇を防止して移動開閉部材78を開放位置側へ円滑に、かつ低い移動抵抗で移動可能にする。
従って、防振装置10では、アイドル振動の入力時には、ゴム弾性体24の弾性変形に伴って、シェイクオリフィス122に対して液体の流通抵抗が小さいアイドルオリフィス124を優先的に通って主液室42と副液室44との間を液体が行き来することから、このアイドルオリフィス124を流通する液体の粘性抵抗や圧力損失等により入力振動(アイドル振動)を吸収できるので、エンジン側から車体側へ伝達されるアイドル振動を低減できる。
このとき、アイドルオリフィス124における液体の流通抵抗がアイドル振動の周波数及び振幅に対応するように設定(チューニング)されていることから、アイドルオリフィス124を通って主液室42と副液室44との間を行き来する液体に共振現象(液柱共振)が生じ、この液柱共振の作用によってアイドル振動を特に効果的に吸収できる。
この結果、防振装置10によれば、電磁ソレノイドや空圧ソレノイド等の外部からの制御及び動力供給を受けて作動するバルブ機構を用いることなく、主液室42と副液室44とを連通するオリフィスを、入力振動の周波数に応じて、シェイクオリフィス122及びアイドルオリフィス124の何れか一方に、主液室42内の液圧変化を駆動力として用い切り換えることができる。
また防振装置10では、シェイクオリフィス122の主液室42側の一部が、アイドルオリフィス124の一部を形成する共用オリフィス部70としたことにより、シェイクオリフィス122の共用オリフィス部70によりアイドルオリフィス124の一部を形成できるので、2本のシェイクオリフィス122及びアイドルオリフィス124を外筒金具12内の狭いスペース内に効率的に配置でき、装置サイズを効率的に小型化できる。
また防振装置10では、略円筒状に形成されたオリフィス部材46の外周面にシェイクオリフィス122(共用オリフィス部70及び専用オリフィス部72)及びアイドルオリフィス124の一部(共用オリフィス部70)を形成すると共に、オリフィス部材46の内周側にシリンダ室76S(オリフィス空間132)を設けたことにより、オリフィス部材46(仕切金具36)の軸方向及び径方向のサイズ増加を抑制しつつ、相対的に長い路長を必要とするシェイクオリフィス122及び大きな断面積を必要とするアイドルオリフィス124を仕切金具36に効率的に配置できるので、結果として装置全体のサイズも効率的に小型化できる。
ここで、本実施形態の防振装置10では、移動開閉部材78の下端部78Lには、緩衝ゴムリング142が取り付けられている。したがって、移動開閉部材78が閉塞位置に移動したとき、緩衝ゴムリング142がシリンダ部材76の被接触面76Tに接触する。すなわち、移動開閉部材78の下端部78Lがシリンダ部材76の被接触面76Tに直接的に当たることがない。このため、緩衝ゴムリング142が設けられていない構成、すなわち、移動開閉部材78の下端部78Lがシリンダ部材76の被接触面76Tに直接的に当たる構成と比較して、異音の発生を抑制できる。
図8(A)及び(B)には、本発明の第2実施形態の防振装置210が部分的に示されている。第2実施形態では、第1実施形態と比較して、本発明に係る緩衝部材である緩衝ゴムリング214の構造が異なっている。なお、第2実施形態では、緩衝ゴムリング214の構造を除き、防振装置210の全体構成は、第1実施形態と同一とされているので、防振装置210の全体構成の図示を省略する。また、以下において、第1実施形態と同様の構成要素、部材等については図中に同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
第2実施形態の緩衝ゴムリング214は、図9(A)及び(B)にも詳細に示すように、全体として環状に形成されているが、その上部は上方に向かって階段状に縮径されており、小径部218と大径部216とを有している。換言すれば、大径部216の上方から、この大径部216よりも小径の環状の突起が突出されている。これに対し、移動開閉部材78の下部は円筒状に形成されており、軸方向の一端(下端)を構成する下端部78Lと、この端面部78Lから連続して円筒形状の内周を構成する内面部78Nを備えている。小径部218の外径D2は、移動開閉部材78の内面部78Nの内径と同程度か、もしくは僅かに大径とされている。また、大径部216の外径D3は、移動開閉部材78の外径と同程度とされている。そして、緩衝ゴムリング214が移動開閉部材78に取り付けられると、小径部218の外周面218Gが移動開閉部材78の内面部78Nに密着する。また、大径部216の上端面216Uが、移動開閉部材78の下端部78Lに密着する。すなわち、緩衝ゴムリング214は、大径部216と小径部218とを備えた略階段形状にしてことで、大径部216の上端面216Uだけでなく、小径部218の外周面218Gでも移動開閉部材78に密着してシールできるようになっている。なお、大径部216の上端面216Uが、本発明に係る第1接触面となっている。また、小径部218の外周面218Gが、本発明に係る第2接触面となっている。
図9(B)に詳細に示すように、緩衝ゴムリング214の大径部216の下端からは、下方に向かって断面略逆三角形状の緩衝突起220が、全周にわたって環状に形成されている。移動開閉部材78が開放位置から閉塞位置に移動すると、まず、緩衝突起220の先端が被接触面76Tに接触する。接触初期では、緩衝突起220の先端のみが被接触面76Tに接触するため、接触面積は小さい。そして、この状態から緩衝ゴムリング142がさらに下方に移動すると、図8(B)に示すように、緩衝突起220の先端が弾性的に押しつぶされ、被接触面76Tとの接触面積が漸増していく。
このような構成とされた第2実施形態の防振装置210においても、エンジンから作用したアイドル振動及び、フェイク振動の双方に対する防振効果としては、第1実施形態の防振装置10と同様のものを発揮する。
特に第2実施形態の緩衝ゴムリング214では、被接触面76Tに向かって断面略逆三角形状の緩衝突起220が形成されている。したがって、移動開閉部材78が開放位置から閉塞位置へと移動すると、まず、緩衝突起220の先端が被接触面76Tに接触する。緩衝突起220は略逆三角形状に形成されており、接触初期での被接触面76Tへの接触面積は小さい。したがって、接触初期から大きな接触面積で接触してしまうものと比較して、接触後であっても移動開閉部材78の下方への移動を許容する。これにより、移動開閉部材78の下方への移動ストロークも長く確保でき、結果的に、被接触面76Tへの緩衝ゴムリング214の密着性が高くなる。そして、緩衝ゴムリング214と被接触面76Tとの間での不用意な液体の流れ(リーク)を抑制する効果も高くなる。
また、第2実施形態の緩衝ゴムリング214では、大径部216の上端面216Uと、小径部218の外周面218Gの2箇所で移動開閉部材78に密着してシールしている。したがって、たとえば1箇所のみで緩衝ゴムリングが移動開閉部材に密着している構成と比較して、シール性が高くなる。緩衝ゴムリング214と移動開閉部材78の間での不用意な液体の流れ(リーク)を抑制する効果も高くなる。
なお、緩衝突起220の形状は、上記した効果を奏するのであれば、図9(B)に示した断面略逆三角形状に限定されない。たとえば、断面が略四角形状あるいは略半円形状であってもよい。
図10(A)及び(B)には、本発明の第3実施形態に係る緩衝ゴムリング314が備えられた防振装置310が部分的に示されている。第3実施形態では、第2実施形態と比較して、本発明に係る緩衝部材である緩衝ゴムリング314の構造が異なっている。なお、第3実施形態では、緩衝ゴムリング314の構造を除き、防振装置310の全体構成は、第1実施形態および第2実施形態と同一とされているので図示を省略する。また、以下において、第1実施形態または第2実施形態と同様の構成要素、部材等については図中に同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
第3実施形態の緩衝ゴムリング314では、大径部216の下端から、同芯で且つ異径の大小2つの緩衝突起220(外側緩衝突起220S及び内側緩衝突起220U)が全周にわたって環状に形成されている。
したがって、第3実施形態の防振装置310では、第2実施形態の防振装置210と略同様の作用効果を奏するが、特に、緩衝ゴムリング314に2つの緩衝突起220S、220Uが形成されているので、緩衝ゴムリング314が被接触面76Tに接触した状態(図10(B)参照)での、これらの間で液体が不用意に流れる現象をより効果的に抑制できる。
また、緩衝ゴムリング314が被接触面76Tに接触したときの荷重を2つの緩衝突起220S、220Uで分散して受けるので、第2実施形態と比較して、緩衝ゴムリング314の耐久性が向上する。
もちろん、このような観点から、さらに緩衝突起220の数を増やして、3つ以上としてもよい。
図11(A)及び(B)には、本発明の第4実施形態に係る緩衝ゴムリング414が備えられた防振装置410が部分的に示されている。第4実施形態では、第2実施形態と比較して、本発明に係る緩衝部材である緩衝ゴムリング414の構造が異なっている。なお、第4実施形態では、緩衝ゴムリング414の構造を除き、防振装置410の全体構成は、第1実施形態および第2実施形態と同一とされているので図示を省略する。また、以下において、第1実施形態または第2実施形態と同様の構成要素、部材等については図中に同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
第4実施形態の緩衝ゴムリング414は、第2実施形態の緩衝ゴムリング214と略同一の形状とされているが、さらに、図12に詳細に示すように、大径部216の上端面216Uに、上方に向かって複数の嵌合突起416が形成されている。嵌合突起416のそれぞれは略円柱状に形成されている。そして、複数の嵌合突起416が周方向に一定間隔をあけて配置されている。
これに対し、移動開閉部材78の緩衝ゴムリング214の下端部78Lには、嵌合突起416に対応した位置に嵌合穴418が形成されている。嵌合穴418の内径は、嵌合突起416の外径よりも僅かに小さくされており、嵌合突起416は僅かに縮径されて嵌合穴418に挿入され嵌合される。したがって、第4実施形態では、移動開閉部材78に対して緩衝ゴムリング414をより確実に固定できる。
なお、嵌合突起416及び嵌合穴418の形状は、上記したものに限定されず、要するに、緩衝ゴムリングと移動開閉部材とが部分的に嵌合して、固定をより確実にする構造であればよい。したがって嵌合突起416及び嵌合穴418が、全周にわたって連続する形状(環状)であってもよい。また、移動開閉部材78に嵌合突起416を、緩衝ゴムリング414に嵌合穴418をそれぞれ形成してもよい。
なお、本発明の各実施形態に係る防振装置では、2本のオリフィス(第1制限通路及び第2制限通路)の一方をシェイク振動に対応するシェイクオリフィス122とし、他方をアイドル振動に対応するアイドルオリフィス124としているが、2本の第1制限通路及び第2制限通路を必ずしもシェイク振動及びアイドル振動に対応させる必要はなく、第1制限通路が相対的に低い周波域の振動に対応するものとなり、第2制限通路が相対的に高い周波域の振動に対応するものとなれば良い。
また本発明の防振装置では、オリフィス開口74の長手方向を、軸心Sを中心とする周方向と一致させているが、このオリフィス開口74の長手方向を、軸心Sを中心とする周方向に対して傾斜させると共に、移動開閉部材78のエッジ部79が延在する方向を周方向に対して傾斜させ、周方向に対して傾斜したオリフィス開口74の長手方向と一致させても良い。
また本発明の防振装置では、取付金具20をエンジン側に連結すると共に、外筒金具12を車体側に連結するように構成しているが、これとは逆に、取付金具20を車体側に連結すると共に、外筒金具12をエンジン側に連結するようにしても良い。
また本発明の防振装置では、主液室42内の液圧上昇時に逆止弁128を通して液体を主液室42から加圧空間130内へ供給し、この加圧空間130内の液圧を主液室42の液圧上限値に対応する平衡圧に上昇させ、シェイク振動の入力時に、加圧空間130の液圧(正圧)により移動開閉部材78を開放位置から閉塞位置へ移動させているが、これとは逆に、逆止弁を加圧空間130から主液室42へのみ液体が流出させ得るように構成し、主液室42内の液圧低下時に逆止弁を通して液体を加圧空間130から主液室42内へ流出させることにより、加圧空間130内の液圧を主液室42の液圧下限値に対応する平衡圧まで低下させ、シェイク振動の入力時に、加圧空間130の液圧(負圧)により移動開閉部材78を開放位置から閉塞位置へ移動させるようにして良い。
上記の場合には、防振装置は、移動開閉部材78がコイルスプリング90により軸方向に沿って下方へ付勢し、この移動開閉部材78が下限位置(開放位置)にある状態で、オリフィス開口74が開放され、加圧空間130内の負圧の作用によりコイルスプリング90の付勢力に抗して下限位置から上限位置(閉塞位置)へ上昇すると、オリフィス開口74が開放されるように構成される。
10 防振装置
12 外筒金具(第1取付部材)
20 取付金具(第2取付部材)
24 ゴム弾性体(弾性体)
36 仕切金具(支持部材)
40 ダイヤフラム
42 主液室
44 副液室
70 共用オリフィス部
72 専用オリフィス部
74 オリフィス開口
76 シリンダ部材
76S シリンダ室
78 移動開閉部材
78L 下端部(端面部)
78N 内面部
79 エッジ部
90 コイルスプリング(付勢部材)
102 弁体
122 シェイクオリフィス(通路)
124 アイドルオリフィス(通路)
126 液圧解放路
128 逆止弁
130 加圧空間
132 オリフィス空間
142 緩衝ゴムリング(緩衝部材)
144 収容溝
210 防振装置
214 緩衝ゴムリング(緩衝部材)
216 大径部
216U 上端面
218 小径部
218G 外周面
220 緩衝突起(凸部)
220S 外側緩衝突起
220U 内側緩衝突起
310 防振装置
314 緩衝ゴムリング(緩衝部材)
410 防振装置
414 緩衝ゴムリング(緩衝部材)
416 嵌合突起
418 嵌合穴

Claims (4)

  1. 振動発生部及び振動受け部の一方に連結される第1取付部材と、
    振動発生部及び振動受け部の他方に連結される第2取付部材と、
    前記第1取付部材と前記第2取付部材との間に配置された弾性体と、
    前記弾性体を隔壁の一部として液体が封入され、該弾性体の弾性変形に伴って内容積が変化する主液室と、
    液体が封入され内容積が拡縮可能とされた副液室と、
    前記主液室と前記副液室とを互いに連通する複数の通路と、
    前記主液室と前記副液室との間に設けられ、液体が封入されたシリンダ室を構成するシリンダ部材と、
    液体の前記主液室から前記シリンダ室方向のみへの移動を許容する逆止弁と、
    前記シリンダ室と前記通路の長手中間部分とを連通するように前記シリンダ部材に設けられたオリフィス開口と、
    前記主液室の液圧変動に応じて前記シリンダ室内で移動することで前記オリフィス開口を開閉して前記通路を選択しシェイクモードとアイドルモードとの切替を行う移動開閉部材と、
    前記移動開閉部材を、前記シリンダ室内で往復移動可能に弾性支持する付勢部材と、
    前記移動開閉部材に設けられ、移動開閉部材の移動方向先端側に位置する前記シリンダ部材の被接触部分に接触して緩衝を行うと共に、前記移動開閉部材で閉じられた前記オリフィス開口から漏れる前記液体の前記副液室への流入を阻止する緩衝部材と、
    を有する防振装置。
  2. 前記移動開閉部材の前記緩衝部材が取り付けられた側が、移動開閉部材の一端を構成する端面部と、この端面部から連続する内面部と、を備え、
    前記緩衝部材が、前記端面部に接触する第1接触面と、前記内面部に接触する第2接触面と、を有する請求項1に記載の防振装置。
  3. 前記緩衝部材がゴム製とされ、
    前記移動開閉部材が樹脂製とされている請求項1または請求項2に記載の防振装置。
  4. 前記移動開閉部材と前記緩衝部材のいずれか一方においてこれらの取付面に形成された第2凸部と、
    前記移動開閉部材と前記緩衝部材の他方に形成され前記第2凸部が嵌合される凹部と、
    を有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の防振装置。
JP2009101891A 2009-04-20 2009-04-20 防振装置 Expired - Fee Related JP5424695B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009101891A JP5424695B2 (ja) 2009-04-20 2009-04-20 防振装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009101891A JP5424695B2 (ja) 2009-04-20 2009-04-20 防振装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010249287A JP2010249287A (ja) 2010-11-04
JP5424695B2 true JP5424695B2 (ja) 2014-02-26

Family

ID=43311840

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009101891A Expired - Fee Related JP5424695B2 (ja) 2009-04-20 2009-04-20 防振装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5424695B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6343491B2 (ja) * 2014-05-20 2018-06-13 住友理工株式会社 流体封入式防振装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4055087B2 (ja) * 1997-11-17 2008-03-05 カルソニックコンプレッサー株式会社 気体圧縮機
JP4921745B2 (ja) * 2005-09-07 2012-04-25 株式会社ブリヂストン 防振装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010249287A (ja) 2010-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4699863B2 (ja) 防振装置
JP5557837B2 (ja) 防振装置
JP5363093B2 (ja) 流体封入式防振装置
JPWO2007116976A1 (ja) 防振装置
JP4939997B2 (ja) 防振装置
JP4945162B2 (ja) 防振装置
JP4921745B2 (ja) 防振装置
JP4648155B2 (ja) 防振装置
JP4723958B2 (ja) 防振装置
JP5424695B2 (ja) 防振装置
JP2010031988A (ja) 流体封入式防振装置
JP4728774B2 (ja) 防振装置
JP2007100954A (ja) 防振装置
JP5069200B2 (ja) 防振装置
JP4732852B2 (ja) 防振装置
JP4732842B2 (ja) 防振装置
JP2007120566A (ja) 防振装置
JP2010185550A (ja) 防振装置
JP5244468B2 (ja) 防振装置
JP2007071316A (ja) 防振装置
JP2009144844A (ja) 防振装置
JP2010007811A (ja) 防振装置
JP4732851B2 (ja) 防振装置
JP2007247660A (ja) 防振装置
JP2007071317A (ja) 防振装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120404

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130305

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130604

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130729

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131029

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131126

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees