JP5422142B2 - 漂白剤カプセル化粒子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、漂白剤粒子毎のカプセル化が十分になされ、洗浄剤の一部として水中に投じられた際は内包する漂白剤が徐々に放出され、かつ低温・高温が繰り返される環境下に置かれてもカプセル被膜が割れず、カプセル化工程での収率が高い漂白剤カプセル化粒子、およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明における漂白剤カプセル化粒子は、漂白剤粒子を核とし、漂白剤粒子に接して被覆する第1コーティング層と、該第1コーティング層を被覆する第2コーティング層により形成されるカプセル被膜を備える。第1コーティング層はワックス類を含有する第1コート剤にて形成され、第2コーティング層は無機粉体および有機粉体から選択される1種以上からなる第2コート剤から形成されている。
まず、測定対象物(サンプル)について、目開き5.6mm、2.0mm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μm、90μmの9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行う。分級操作は、まず受け皿の上に5.6mmの篩を重ね、篩の上から70g/回のサンプルを入れて、手作業で篩い、目開き5.6mmの篩を通過した粒子を得る。次に、別の受け皿の上方に、目開き2.0mm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μm、90μmの8段の篩を、上に向かって目開きが次第に大きくなるように積み重ねる。最上部の目開き2.0mmの篩の上から、目開き5.6mmの篩を通過した粒子を入れ、蓋をしてロータップ型ふるい振盪機(飯田製作所社製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩および受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定する。
受け皿と各篩との質量頻度を積算していくと、積算の質量頻度が、50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、aμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の質量頻度をd%として、下記数式(1)、(2)により平均粒子径(50質量%)を求めることができる。
具体的な第1コート剤としては、パラフィンワックス150(日本精蝋株式会社製、融点66℃)、パラフィンワックス140(日本精蝋株式会社製、融点61℃)、パラフィンワックス125(日本精蝋株式会社製、融点53℃)、パラフィンワックス115(日本精蝋株式会社製、融点49℃)、ステアリルアルコール(融点58〜60℃)、セチルアルコール(融点49〜53℃)、ベヘニルアルコール(融点70℃)、ミツロウ(融点64℃)、キャンデリラワックス(融点71℃)、大豆硬化油(融点67℃)等が挙げられる。
該無機粉体は、脂溶性でないことが好ましく、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、酸化物であればよい。具体的には硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム等が挙げられる。製造性や収率の面からの観点から、A型ゼオライト、炭酸ナトリウム、シリカが用いられることが好ましい。無機粉体が脂溶性でないことは、第2コート剤をコーティングする際に、第1コート剤に溶解せず、漂白剤カプセル化粒子同士の凝集を防ぐ効果が発揮されやすい。
カプセル被膜が前記漂白剤粒子を十分に被覆し、カプセル被膜の欠落を防ぐ観点から、第1コート剤と第2コート剤の配合比率は、第1コート剤:第2コート剤=1:3〜4:1であり、好ましくは1:3〜2:1である。製造性や収率の観点から、第1コート剤と第2コート剤の配合比率は1:2〜1:1であることが更に好ましい。また、該カプセル被膜は第2コート剤の一部が第1コーティング層に埋め込まれた状態で形成されることで、より強固なカプセル被膜が形成される。
本発明の漂白剤カプセル化粒子の製造方法の一例について説明する。
製造の手順は、第1コート剤の融点以上に加温した漂白剤粒子を、選択した造粒・被膜(コーティング)装置内に投入する。次いで、該漂白剤粒子を流動させながら、融点以上に加温した第1コート剤を造粒装置に添加し全体が均一になるまで混合して漂白剤粒子に第1コーティング層を形成させる。続いて、第1コート剤が溶融している段階で、第2コート剤を造粒装置内に添加し、全体が均一になるまで混合することでコーティングする。漂白剤粒子とコート剤の混合物を流動させたまま、空冷あるいは水冷により、使用した第1コート剤の融点の10℃以下まで冷却し、漂白剤カプセル化粒子を製造する。
転動造粒装置は任意の形式のものを選択することができる。その中でも、ドラム状の円筒が回転して処理する形式のものが好ましく、特に任意の形状の邪魔板を具備しているものが好ましい。具体的には、水平円筒形ドラム型造粒機、造粒ハンドブック第一版第1刷(日本粉体工業技術協会編)記載の円錐ドラム型造粒機、多段円錐ドラム型造粒機、攪拌羽根付ドラム型造粒機等が挙げられる。
垂直方向に対して45度の回転軸をもって回転できるように設置された500mlビーカーに、68℃に加温したトリクロロイソシアヌル酸(ネオクロール90FG)70質量部を投入し、約100rpmで回転(転動)させた。ここに68℃に加温した12質量部のパラフィンワックス125を、スポイトにてビーカーの内容物に振り掛けるように約30秒かけて滴下した。この時以降、内容物の流動部分に薬さじを挿入して邪魔板の役割をさせて混合を促進させた。攪拌を約30秒間継続した後に、46℃に加温したA型ゼオライト18質量部を一度に添加し、混合した。約20秒間混合した後に、ヘアドライヤーでビーカー内に加熱しない空気を送風し冷却を行った。内容物が流動しているところにデジタル温度計のセンサーを挿入し粒子の温度を測定しながら、40℃まで冷却し、内容物である漂白剤カプセル化粒子を得た。なお、処理量は全体で100gとなるようにした。得られた漂白剤カプセル化粒子について、各種評価を行った。
表2、3、5、6に記載したカプセル組成、構成比、および製造温度条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜17および19の漂白剤カプセル化粒子を得て、各種評価を行った。
卓上の小型粉砕機(アズワンSM−1C型)を用いて漂白剤カプセル化粒子の製造を行った。60℃に加温したジクロロイソアシヌル酸ナトリウム(ネオクロール60MG)70質量部を装置容器内に投入して、約700〜800rpmで流動させた。次いで60℃に加温したパラフィンワックス115を蓋に開けた穴から約30秒間かけて滴下した。その後、約30秒間攪拌を継続させた後に、攪拌を止めて蓋を開け、30℃に加温したA型ゼオライト18部の全量を一度に添加した。蓋を閉めた後に再度700〜800rpmで流動化させて約20秒間混合した後、装置ジャケットに水道水を流して冷却を行った。適宜、攪拌を止めて粒子の温度を測りながら、30℃となるまで冷却し、漂白剤カプセル化粒子を得た。なお、処理量は全体で100gとなるようにした。得られた漂白剤カプセル化粒子について、各種評価を行った。
表3、6に記載したカプセル組成、構成比、および製造温度条件に変えたこと以外は、実施例18と同様にして実施例20の漂白剤カプセル化粒子を得て、各種評価を行った。
表4、7に記載したカプセル組成、構成比、および製造温度条件に変えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例21〜25の漂白剤カプセル化粒子を得て、各種評価を行った。ただし、第2コート剤の添加は、A型ゼオライトとステアリン酸カルシウムを表7記載の温度にそれぞれ加温し、A型ゼオライトを投入した直後にステアリン酸カルシウムを添加し、混合を行った。
表4、7に記載したカプセル組成、構成比、および製造温度条件に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例26〜27の漂白剤カプセル化粒子を得て、各種評価を行った。
表4、7に記載したカプセル組成および組成比ならびに製造温度条件に変えたこと以外は、実施例1と同様にして比較例1〜3の漂白剤カプセル化粒子を得て、各種評価を行った。
(粒子の収率評価)
実施例および比較例で得られた漂白剤カプセル化粒子のうち、10メッシュパス、60メッシュオン(粒径0.25〜2mm)の微粉および粗大粒子を除いた粒子の回収量を測定して、収率評価を行った。評価方法は次の通りである。得られた漂白剤カプセル化粒子の全量を10メッシュ(米国標準、目開き2mm)のステンレス製篩にて篩い分けた。10メッシュ篩を通過した粒子を回収し、更に60メッシュ(米国標準、目開き0.25mm)のステンレス製篩にて篩い分けた。ここで、前記の製造で装置内に投入した成分の合計質量をWALL、10メッシュ篩を通過し60メッシュ篩上に残存した粒子の質量をWCとして、次式によって粒子の収率を算出した。
収率95%以上・・・・・・・・・・・・◎
収率90%以上95%未満・・・・・・・○
収率80%以上90%未満・・・・・・・△
収率80%未満・・・・・・・・・・・・×
実施例および比較例で得られた漂白剤カプセル化粒子をSEMで観察し、被覆の状態を目視で評価した。観察は各実施例・比較例毎に10個の漂白剤カプセル化粒子について実施した。観察は次の評価基準により評価し、その結果を表5〜7に示す。
全体に均一にカプセル被覆が形成されている・・・○
部分的なカプセル被膜の欠落が見られる・・・・・×
実施例および比較例で得られた漂白剤カプセル化粒子を50mlのガラス製のバイアル瓶に入れて保管した。該バイアル瓶中の漂白剤カプセル化粒子を−15℃で24時間保管し、その後25℃で24時間保管することを1サイクルとし、3サイクルを行った後に漂白剤カプセル化粒子をSEM(日立ハイテクノロジーズ製Miniscope TM−1000あるいはS−2380N)で観察を行った。観察は各実施例・比較例毎に10個の漂白剤カプセル化粒子について行い、次の評価基準により評価した。評価結果を表5〜7に示す。
全観察カプセル被膜にひび割れがない・・・・・・・・○
観察したカプセル被膜の1以上にひび割れがある・・・×
実施例および比較例で得られた漂白剤カプセル化粒子を用いて、カプセルからの漂白剤の放出持続性評価を行った。500mLビーカーに60℃の精製水を400g投入し、60℃にコントロールした温浴中に入れた。そこに、漂白剤の有効塩素濃度が15mg/Lになる量の漂白剤カプセル化粒子と、市販の食器洗浄機用洗浄剤(ライオンハイジーン株式会社製:ペレッタAを乳鉢ですりつぶしたもの)を1.5g/Lになるように添加し、30mmのスターラーピースを用いて600rpmで攪拌させた。所定の時間が経過した後に溶液約80gをサンプリングし、No.2定性濾紙で濾過を行い室温まで冷却後、ヨウ化カリウム滴定法により溶液中の有効塩素濃度を測定した。溶液中の攪拌時間は、40sec、30minの2つの試験を行い、サンプリングによる組成変化を抑えるため、それぞれ別々に試験を行った。
それぞれの漂白剤に含まれる有効塩素の理論値は、トリクロロイソシアヌル酸では、質量の91.53%であり、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムでは、質量の64.48%である。ヨウ化カリウム滴定法の手順は、以下に述べる通りである。上記でサンプリングした溶液約80gを300mL三角フラスコに精秤し、10%ヨウ化カリウム水溶液5mLと50%酢酸水溶液9mLを加え良く混合した。次に、混合液を冷暗所に10分間静置した。その後、0.02Nのチオ硫酸ナトリウム規定液で滴定し、褐色が消えて無色になった点を終点とした。その時のチオ硫酸ナトリウム規定液の滴下量をもとに、次式によって有効塩素濃度を算出した。
表5〜7に示すように、本発明の実施例1〜27においては、粒子収率は80%以上であり、カプセル被膜の状態(カプセル化状態)ならびに温度変化耐性も良好である。徐放持続性評価においては、40sec後の有効塩素の放出維持割合ならびに30min後の有効塩素の放出維持割合とも適正な範囲であり、短時間での塩素放出性と長時間での塩素濃度維持の両立ができていることが判った。漂白剤粒子成分の影響を見ると、ネオクロール90FG(トリクロロイソシアヌル酸)を用いた実施例1、11、12では、40sec後の有効塩素の放出維持割合が50%台となっていた。これはトリクロロイソシアヌル酸の水への溶解度が低い影響が出ているものと思われる。また、漂白剤粒子をネオクロール60MGとした、実施例2、4〜10、14〜16、18、21〜27を見ると、融点が低い第1コート剤を使用したものの方が、40sec後の有効塩素の放出維持割合が高くなる傾向にある。これは60℃の温水環境下における第1コート剤の溶融性の違いによると思われる。
実施例7で得られた漂白剤カプセル化粒子(以下、粒子Aという)を用いて食器洗浄機用の洗浄剤を次の組成に従って配合した。なお、特に断りのない限り「部」とは「質量部」を表す。
メタケイ酸ナトリウム・5水塩(広栄化学工業株式会社製)・・・・43.5部
ニトリロ3酢酸ナトリウム(キレスト株式会社製、LH700)・・・28.0部
C5オレフィン−無水マレイン酸ナトリウム塩共重合体(ローム&ハース社製、Acusol460ND)・・・1.0部
非イオン性界面活性剤(株式会社ADEKA製、PluronicTR−913R) ・・・1.0部
粒子A・・・2.2部
硫酸ナトリウム(日本化学工業株式会社製、中性無水芒硝)・・・24.3部
粒子Aを比較例1で得られた漂白剤カプセル化粒子(以下、粒子Bという)に換えた以外は、実施例28と同様の操作で洗浄剤Bを作成した。
洗浄性の評価は、コンベアタイプの食器洗浄機を用いて、陶器(湯飲み)に付いた茶渋汚れの洗浄スタミナ性について行った。すすぎ液を洗浄液に戻さない方式で、洗浄剤Aを0.15質量%溶解させた洗浄液を用いて繰り返し洗浄を行ったところ、5回繰り返しても漂白力は落ちなかった。一方で、比較例4の洗浄剤Bを用いて同様な評価を行ったところ、3回目で茶渋の漂白力が悪くなった。以上の結果から、本発明の漂白剤カプセル化粒子を用いた食器洗浄機用の洗浄剤は、漂白力の持続性に優れていることが判った。
Claims (3)
- 漂白剤を含む粒子が、パラフィンワックス、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ミツロウ、キャンデリラワックス及び大豆硬化油から選択される1種以上を含有する第1コート剤でコーティングされ、さらに該第1コート剤で形成されたコーティング層が、A型ゼオライトの粉体及びステアリン酸カルシウムの粉体からなる第2コート剤でコーティングされ、かつ前記第1コート剤と前記第2コート剤との質量比が1:2〜1:1であることを特徴とした漂白剤カプセル化粒子。
- 前記第2コート剤の平均粒子径が、0.5μm以上、20μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の漂白剤カプセル化粒子。
- 請求項1又は2に記載の漂白剤カプセル化粒子の製造方法であって、前記第1コート剤で漂白剤を含有する粒子をコーティングした後、該第1コート剤が溶融している状態で前記第2コート剤を添加し、流動させながら第1コート剤の融点の10℃以下まで冷却して、コーティングすることを特徴とする漂白剤カプセル化粒子の製造方法。
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